(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】生物学的サンプルの画像に対するコンピュータ実装プロセス
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20231130BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231130BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20231130BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N33/48 P
G06T7/00 250
G06T7/00 630
G01N33/483 C
G01N33/48 M
G01N33/53 Y
(21)【出願番号】P 2021500949
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2019067180
(87)【国際公開番号】W WO2020011549
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-21
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521009326
【氏名又は名称】ヴィリニュス ウニヴェルシテタス
(73)【特許権者】
【識別番号】515334773
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ カーン ノルマンディ
(73)【特許権者】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(73)【特許権者】
【識別番号】521009337
【氏名又は名称】サントレ レジオナル フランソワ バクレシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プーラン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ロリナヴィシウス,アルビダス
(72)【発明者】
【氏名】プランクレーヌ,ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】エリー,ニコラス
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517209(JP,A)
【文献】特開2003-004608(JP,A)
【文献】特開2004-151101(JP,A)
【文献】特開2006-148878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0118124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプル(101)のデジタル画像のピクセルを分類するためのプロセス(100)であって、
(a)第1のデジタル画像(103)の各ピクセルに関連付けられた値X
1を取得するために、前記生物学的サンプル(101)を表す前記第1のデジタル画像(103)を受信し(202)、前記第1のデジタル画像(103)および/またはさらなるデジタル画像(103b)からの各ピクセルに対する少なくとも1つの他の値X
iを取得する(202b)ステップであって、iが2≦i≦n
の整数であり、nがn≧2
の整数である、ステップと、
(b)第2のデジタル画像(104)を取得するために、行列乗算、
【数9】
によって空間を変更する(203)ステップであって、Xが、値X
1からX
nを含むn行1列の行列であり、Iが、値I
1からI
mを含むm行1列の行列であり、mが2以上の整数であり、I
1からI
mが、前記第2のデジタル画像(104)の各ピクセルに関連付けられた値であり、Aが、m行n列の行列である、ステップと、
(c)
前記第2のデジタル画像(104)の2以上のピクセルの、I
1
の値と、I
jとの値に基づいて、分類条件(105)を判定する(204)ステップ
であって、
ここでI
j
におけるjはj>1且つj≦mである、分類条件(105)を判定する(204)ステップと、
(d)第1のクラス(106)における前記分類条件を満たす(105)前記第2のデジタル画像(104)のピクセルを分類する(205)ステップと、を備え、
ステップ(c)が、
・1つまたは複数の分布のセット(111)を判定すること(211)であって、前記セット(111)が、I
1の関数として前記第2のデジタル画像(104)内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含み、
且つ前記セット(111)が
、I
jの関数として前記第2のデジタル画像(104)内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含
み、ここでI
j
におけるjは、j>1且つj≦mである、ことと、
・少なくとも1つのフィッティングパラメータ(112)を判定するために前記セット(111)の分布をフィッティングすること(212)と、
・前記少なくとも1つのフィッティングパラメータ(112)から前記分類条件(105)を判定することと、を備える、プロセス。
【請求項2】
前記分布のセット(111)が、I
1の関数
である分布およびI
jの関数である分布を含
み、ここでI
j
におけるjは、j>1且つj≦mである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記分布のセット(111)が、I
1の関数である第1の分布
およびI
jの関数である第2の分布とを含
み、ここでI
j
におけるjは、j>1且つj≦mである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
現在分類されているピクセルの前記分類条件が、I
1と
、少なくとも1つのI
jの前記
現在分類されているピクセルの値に関連
し、ここでI
j
におけるjは、j>1且つj≦mである、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
主成分分析
による前記行列Aの判定、独立成分分析
による前記行列Aの判定、または
前記行列Xの因子分析
による前記行列Aの判定を備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
n=3、m=3、X
1が、前記第1のデジタル画像(103)における赤色値Rであり、X
2が、前記第1のデジタル画像(103)における緑色値Gであり、X
3が、前記第1のデジタル画像(103)における青色値Bであり、
【数10】
である、請求項1から
5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1のデジタル画像(103)が、第1の染色技術にしたがって染色された前記生物学的サンプル(101)の少なくとも一部を示す、請求項1から
6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記さらなるデジタル画像(103b)が、第2の染色技術にしたがって染色された前記生物学的サンプル(101)の少なくとも一部を示す、請求項1から
7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1のデジタル画像(103)が、光学画像、蛍光の画像、または偏光の画像から取得される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
X
2が、前記さらなるデジタル画像(103b)から取得され、i>2
である少なくとも1つのX
iが、他のデジタル画像から取得される、請求項1から
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
X
1が、前記第1のデジタル画像(103)と他のデジタル画像との組み合わせから取得され、2≦i≦nの少なくとも1つのX
iが、前記さらなるデジタル画像(103b)と前記他のデジタル画像との組み合わせから取得される、請求項1から
10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載のプロセスを実行する手段を備えるデータ処理装置。
【請求項13】
プログラムがデータ処理装置によって実行されるときに、前記データ処理装置に請求項1から
11のいずれか一項に記載のプロセスを実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項14】
データ処理装置によって実行されると、前記データ処理装置に請求項1から
11のいずれか一項に記載のプロセスを実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的サンプルのデジタル画像のピクセルを分類するためのコンピュータ実装プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプルの画像の自動処理のためのプロセスが知られている。しかしながら、例えばそれらの色の関数としてのピクセルの自動分類は、通常、不十分である。例えば、ピクセルは、実際には染色されていない領域にあるのに対して、染色されているとして誤って分類されることが非常によくある。
非特許文献1は、生物学的画像セグメンテーションのための自動色空間選択について説明している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】MEAS-YEDID Vら:「Automatic color space selection for biological image segmentation」,PATTERN RECOGNITION,2004.ICPR2004.PROCEEDINGS OF THE17TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON CAMBRIDGE,UK AUG.23-26,2004,PISCATAWAY,NJ,USA.IEEE,LOS ALAMITOS,CA,USA,vol.3,2004年8月23日(2004-08-23),514-517ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ピクセルの分類の精度を高めて、生物学的サンプルの画像を自動処理するためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明の目的は、生物学的サンプルのデジタル画像のピクセルを分類するためのプロセスであって、
(a)第1のデジタル画像の各ピクセルに関連付けられた値X
1を取得するために、生物学的サンプルを表す第1のデジタル画像を受信し、第1のデジタル画像および/またはさらなるデジタル画像から、各ピクセルについて少なくとも1つの他の値X
iを取得するステップであって、iは2≦i≦nなどの整数であり、nはn≧2などの整数である、ステップと、
(b)第2のデジタル画像を取得するために、行列
【数1】
の乗算によって空間を変更するステップであって、Xは値X
1からX
nを含むn行1列の行列であり、Iは値I
1からI
mを含むm行1列の行列であり、mは2以上の整数であり、I
1からI
mは、第2のデジタル画像の各ピクセルに関連付けられた値であり、Aはm行n列の行列である、ステップと、
(c)I
1の値と、j>1且つj≦mを有する第2のデジタル画像の少なくともいくつかのピクセルのI
jの値とに基づいて分類条件を判定するステップと、
(d)第1のクラスの分類条件を満たす第2のデジタル画像のピクセルを分類するステップと、を備え、
ステップ(c)が、
・1つまたは複数の分布のセットを判定することであって、セットが、I
1の関数として第2のデジタル画像内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含み、セットが、j>1且つj≦mを有するI
jの関数として第2のピクセル数の少なくとも1つの分布を含むことと、
・少なくとも1つのフィッティングパラメータを判定するためにセットの分布をフィッティングすることと、
・少なくとも1つのフィッティングパラメータから分類条件を判定することと、を備える、プロセスである。
【0006】
本発明にかかるプロセスでは、第1のデジタル画像のいくつかの色、または第1のデジタル画像の少なくとも1つの色およびさらなるデジタル画像の少なくとも1つの色が、第1のデジタル画像の各ピクセルについて、共通の行列Xに合成される。したがって、この行列は、第1の空間において、数学的に使いやすいツールで関連情報を合成する。次に、行列Xは、情報の処理が容易な第2の空間において情報を取得するように変換される。行列Iは、その変換から取得される。次に、分類条件を判定するために、行列Iの少なくとも2つの係数(すなわち、第2の空間の2つの次元)への分布のフィッティングを含む頻度分析が実行される。分類条件は、第2のデジタル画像のピクセルについてチェックされ、例えば、次々に考慮されて、それらを第1のクラスに分類する(または分類しない)。
【0007】
本発明において、分類条件の判定が、第2の空間におけるいくつかの次元からの情報を使用することは非常に興味深い。実際、この異なる情報源の交差により、特に信頼できる分類条件を取得することができる。
【0008】
ピクセルの値XiおよびIjは、それらが本発明の全ての実施形態において実際の色でない場合であっても、「色」と呼ばれることができる。行列Xは、第1の色空間におけるピクセルを定義すると見なすことができ、行列Iは、第2の色空間におけるピクセルを定義すると見なすことができる。ピクセルの値Xiとピクセルの値Ijとの間の空間の変更は、色空間の変更と呼ばれることができる。
【0009】
i≧2の少なくとも1つのXiがさらなるデジタル画像から取得されると、第1のデジタル画像およびさらなるデジタル画像からのピクセルは、第1のデジタル画像およびさらなるデジタル画像の構造またはオブジェクト間にオーバーレイが存在するように照合される。プロセスの入力として3つ以上の画像が使用される場合も、同じことが当てはまる。第1のデジタル画像およびさらなるデジタル画像がXの値を判定するために使用される場合、第2のデジタル画像は、第1のデジタル画像およびさらなるデジタル画像から生じる情報の組み合わせである。
【0010】
本発明にかかる方法では、分類条件の判定は、行列Iの要素の少なくとも1つの関数として少なくとも1つの分布を考慮に入れる。分布は、1つまたは複数の分布のセットで構成される。セットの分布は、I1、f(I1)の関数である。セットの分布は、Ij(m≧j>1)の関数であり、分布は、I1の関数である[およびf(I1、I2)と書くことができる]分布と同じとすることができ、または、分布は、m≧j>1を有するI1、g(Ij)の関数ではない別の関数とすることができる。上記分布は、行列Iの他の係数の関数であってもよい。
【0011】
分布の使用は、色値の全範囲からの情報を考慮することを可能にする。例えば、I1の1次元分布と、I2もしくはI3またはm≧j>1の任意のIjの1次元分布が使用されることができ、または、I1およびI2もしくはI3、またはm≧j>1の任意のIjの2次元分布が使用されることができる。
【0012】
分類条件は、好ましくは、Iのいくつかの次元における考慮されたピクセルの値およびIの次元における参照値を含む。
【0013】
好ましくは、分類条件は、I
1およびI
iにおいて考慮されるピクセルの値にともに関係する条件を含む。例えば、分類条件は、
【数2】
とすることができる。ここで、I
1
0、I
2
0、およびRは、ステップ(c)から取得された参照値であり、X=(I
1、I
2)は、考慮されるピクセルである。
【0014】
フィッティングは、通常、ピクセルの色または染色に対応する色範囲を大まかに判定することを可能にする。フィッティングパラメータは、これらの色の範囲を定量化する。分類条件は、色の範囲間の分離を反映することが好ましい。
【0015】
本文書の枠内では、生物学的サンプルは、好ましくは、組織学的セクションまたは例えば、2~5μm間隔の複数の連続した組織学的セクションである。それはまた、例えば、生物学的組織、血液のサンプル、1つまたは複数の細胞などとすることができる。本発明にかかるプロセスは、組織学、細胞学、血液学などで使用されることができる。
【0016】
1つまたは複数の分布のセット、I1の関数としての第2のデジタル画像内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含むセット、およびm≧j>1のIjの関数としての第2のデジタル画像内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含むセットの判定は、頻度分析と呼ばれることがある。
【0017】
本発明にかかるプロセスは、ソフトウェアで実装するのが特に容易である。また、コンピュータなどの電子機器によって実行される場合も特に高速である。
【0018】
本方法は、別のさらなるステップ、例えば、特にステップ(a)と(b)との間の画像処理の任意のさらなるステップを含むことができる。ステップ(a)と(b)との間で解像度を増減するステップを実行することができる。次に、ステップ(b)から(d)は、最初に撮像された画像のピクセルとは別のサイズのピクセルに対して実行されることができる。
【0019】
プロセスのステップは、好ましくは、(a)、(b)、(c)、および(d)の順序で実行される。しかしながら、例えば、ステップ(d)の一部がステップ(c)の一部の前に実行されることもできる。
【0020】
本発明にかかる方法は、任意の段階で、「関心部分」であるとして、第1のデジタル画像、さらなるデジタル画像、または第2のデジタル画像の少なくとも一部の選択を含むことができる。プロセスは、選択された部分でのみ続行することが好ましい。選択は、好ましくは、ステップ(a)と(b)との間で実行される。例えば、本発明の実施形態では、ステップ(a)と(b)との間、またはステップ(a)の前のステップは、生物学者またはソフトウェアが第1のデジタル画像上で1つまたは複数の関心領域を選択することを含む。これは、明らかに健全な領域およびアーティファクト(折り目、斑点、・・・)を削除するのに役立つことができる。次に、好ましくは、ステップ(b)、(c)、および(d)は、関心領域に対してのみ実行される。
【0021】
本発明の実施形態では、ステップ(a)と(b)との間の「関心部分」としての第1または第2のデジタル画像の少なくとも1つの部分の選択は、ピクセルのRGBカラー値に基づいている。例えば、青、緑または赤のピクセルの色値の関数として閾値を含むことができる。これは、上皮に対応する関心領域が青色値の分布の閾値処理によって選択されることができる癌腫にとって特に興味深い。
【0022】
分類条件は、I1の値と、第2のデジタル画像の全てのピクセルのm≧j>1であるIjの値とに基づいて判定されることが好ましい。
【0023】
本文書の枠内では、デジタル画像は、ピクセルの行列である。いくつかのデジタル画像は、3つの色値が各ピクセルに関連付けられているカラーデジタル画像とすることができる。
【0024】
好ましくは、各ピクセルは、第1のデジタル画像および第2のデジタル画像に存在するが、第1および第2のデジタル画像では異なる値を有する。
【0025】
第1の画像では、赤の値、緑の値、青の値の3つの値が各ピクセルに関連付けられている。第1の画像は、赤、緑、青(RGB)色空間である第1の色空間にあると言うことができる。第2の画像では、I1の値、I2の値、およびI3の値の3つの値が各ピクセルに関連付けられている。第2の画像は、第2の色空間にあると言うことができる。第2の色空間は、RGB色空間ではない。第2の色空間は、Ohta色空間と呼ばれることができる。
【0026】
色値I1は、「強度」と呼ばれることができる。色値I2は、「赤対青」と呼ばれることができる。色値I3は「マゼンタ対緑」と呼ばれることができる。
【0027】
本文書の枠内では、分類条件は、いくつかの特定の条件を含むことができる。好ましくは、全ての特定の条件が満たされる場合、分類条件が満たされる。
【0028】
本文書の枠内では、分布は、好ましくはヒストグラムである。
【0029】
本発明の実施形態では、ステップ(a)、(b)、(c)および(d)は、完全に自動化されている。
【0030】
本発明にかかるプロセスは、「染色された」、すなわち、任意の染色プロセスによって着色された、または自然に着色された生物学的サンプルに特に適している。染色プロセスは、例えば、タンパク質、DNA、RNA、細胞の分化の染色などに基づくことができる。染色プロセスは、染料による着色を含むことができ、および/または、すなわち、ヘマトキシリン、エオシン、サフランの場合、蛍光および/または可視光を含むことができる。染色プロセスは、色原体化合物を含むことができる。染色プロセスは、抗体/抗原反応を含むことができる。
【0031】
染色は、生物学または組織学、特に組織化学の任意の染色プロセスによって実行されることができる。染色は、好ましくは染色装置を用いて実行される。例えば、染色は、青(ヘマトキシリンによって対比染色された核)および茶(従来のペルオキシダーゼ/DAB系によって免疫検出された様々な起源のタンパク質)とすることができる。例えば、染色は、増殖細胞(ki67またはサイクリンAの検出)、アポトーシス細胞(切断されたカスパーゼ3、切断されたサイトケラチン18・・・)、膜抗原(成長因子受容体、接着受容体、死受容体・・・)、Bcl-2ファミリータンパク質などの細胞質タンパク質、核抗原(転写因子・・・)などの検出を可能とすることができる。
【0032】
本発明の実施形態では、生物学的サンプルは、癌が疑われる組織片で採取された組織学的セクションである。
【0033】
ステップ(a)では、例えばカメラまたはスキャナを使用する任意のデジタル写真プロセスを使用することができる。画像は、好ましくは、完全な生物学的サンプルを表す。
【0034】
本発明の実施形態では、第1のクラスは、第1のタイプの構造または第1のタイプのオブジェクト、例えば腫瘍区画を表すものとして分類されるピクセルを含む。第1のクラスに分類されていないピクセルは、第1のタイプの構造またはオブジェクトを表していないと見なされる。例えば、第1クラスのピクセルは、「ラベル付き」、「着色済」、または「染色済」ピクセルに対応し、第1クラスに属さないピクセルは、「未着色」ピクセル、「未染色」ピクセル、または「背景」ピクセルと見なされる。
【0035】
第1のクラスのピクセルが第1の色で着色または染色されたピクセルに対応する一方で、第1のクラスに属さないピクセルが、未着色、未染色、または例えば別の色で染色されているなど別の色とすることができることも可能である。
【0036】
本発明の実施形態では、第1のデジタル画像を間質区画と腫瘍区画に分離するプロセスもまた、例えば、本発明にかかるピクセルを分類するためのプロセスと並行して実行される。そのような分離プロセスは、例えば、国際公開第2004084135号パンフレットに記載されている。本発明の実施形態は、本発明にしたがってピクセルを分類するためのプロセスと、腫瘍区画に属する第1のクラスのピクセルを判定するステップとを含む。
【0037】
本発明にかかるプロセスの後、第1のクラスのピクセルは、さらなる分析のために使用されることができる。このさらなる分析は、ピクセル、好ましくは第1のクラスのピクセルのマクロピクセルへの割り当てを含むことができる。マクロピクセルは、好ましくは六角形である。割り当てはタイリングであることが好ましい。本発明の実施形態では、さらなる分析は、第1のクラスのピクセルおよび腫瘍区画に属するピクセルのマクロピクセルへの割り当てを含む。
【0038】
次に、マクロピクセルのヒストグラムが判定されることができる。それは、例えば腫瘍の分類や腫瘍の不均一性の研究に使用されることができる。
【0039】
本発明の実施形態では、ステップ(c)は、さらなる分類条件を判定することを備え、ステップ(d)は、さらなる分類条件を満たす第2のデジタル画像の第2のクラスのピクセルに分類することを備える。例えば、分類条件は、第2の画像の色空間における第1の範囲の色値に対応することができ、さらなる分類条件は、第2の画像の色空間における第2の範囲の色値に対応することができる。
【0040】
本発明の実施形態では、分布のセットは、I1の関数およびm≧j>1のIjの関数である分布を含む。この分布は、好ましくは、少なくとも2次元を有する。この分布は、例えば、m次元のガウス分布の合計によってフィッティングされることができる。
【0041】
本発明の第1の実施形態では、分布のセットは、I1の関数およびm≧j>1のIjの関数であるいくつかの分布を含む。セットは、例えば、I1およびI2またはI1、I2およびI3に依存する4つの分布を含むことができる。
【0042】
本発明の第2の実施形態では、分布のセットは、I1の関数である第1の分布と、m≧j>1のIjの関数である第2の分布とを含む。第1および第2の分布は、1次元とすることができる。
【0043】
本発明の実施形態では、考慮されるピクセルの分類条件は、I1、I2、およびI3のうちの少なくとも1つにおける考慮されるピクセルの値に関係する。
【0044】
これは、第2の色空間におけるそれらの値からピクセルを容易に分類することを可能にする。「考慮される」ピクセルは、現在分類されているピクセルである。
【0045】
好ましくは、分類条件は、I1、I2およびI3の少なくとも1つの閾値、またはI1、I2およびI3の少なくとも2つの組み合わせの閾値を含む。本発明の実施形態では、分類条件は、ピクセルが閾値よりも高いI1の値を有する必要があるということであり、閾値は、I1の分布から判定されている。
【0046】
本発明の実施形態では、分類条件は、I1における考慮されるピクセルの値、およびm≧j>1の少なくとも1つのIjにおける考慮されるピクセルの値に関係する。換言すれば、同じ次元がフィッティングおよび分類に使用される。
【0047】
好ましくは、分類条件は、I1の閾値およびI2およびI3の少なくとも1つの閾値、またはI1、I2およびI3の組み合わせの閾値を含む。本発明の実施形態では、分類条件は、ピクセルが、第1の閾値よりも高いI1の値および第2の閾値よりも高いI2の値を有する必要があるということであり、前記第1は、I1の分布から判定され、前記第1は、I2の分布から判定されている。
【0048】
本発明の実施形態では、経験的較正パラメータが分類条件の判定に使用され、経験的較正パラメータは、生物学的サンプルと同じ方法で調製された較正生物学的サンプルを生物学的実践者に示すことによって判定されている。
【0049】
いくつかの経験的較正パラメータが存在することができる。2つの経験的較正パラメータが存在することが好ましい。より好ましくは、I1に対応する1つの較正パラメータおよびIjに対応する1つの較正パラメータが存在し、Ijは、分類条件を判定するために使用される色値である。経験的校正パラメータの判定は、特許請求の範囲に記載されたプロセスを使用する前に行うことができる。好ましくは、例えば、染色ツールおよび染色染料を含む調製条件は、較正生物学的サンプルの調製において、および特許請求の範囲に記載されたプロセスによって分析される生物学的サンプルの調製において同一である。「較正生物学的サンプル」はまた、「ダミー生物学的サンプル」と呼ばれることもある。経験的較正パラメータの使用は、どのピクセルを「着色済」および「未着色」と見なすかについての生物学的実践者の経験を考慮に入れることを可能にする。したがって、本発明にかかる分類プロセスを較正することが可能である。例えば、分類条件が閾値を含む場合、経験的較正パラメータの使用は、この閾値の値に影響を与えることができる。好ましくは、ステップ(c)において使用される色値ごとに1つの較正パラメータがある。より好ましくは、I1に1つの較正パラメータがあり、I2またはI3に1つの較正パラメータがある。
【0050】
例えば、染色された組織学的セクションの場合、経験的較正パラメータの使用は、どのピクセルを「染色済」および「未染色」と見なすかについての組織学的実践者の経験を考慮に入れることを可能にする。そのような場合、「調製」は、好ましくは、染色を含む。
【0051】
分類条件の判定に経験的較正パラメータが使用される場合、少なくとも1つのフィッティングパラメータからの分類条件の判定においてそれを考慮に入れることが好ましい。
【0052】
本発明の実施形態では、セットの分布は、ガウス分布にフィッティングされる。
【0053】
少なくとも1つのフィッティングパラメータは、好ましくは、ガウス分布の平均を含む。少なくとも1つのフィッティングパラメータは、好ましくは、ガウス分布の平均および標準偏差を含む。少なくとも1つのフィッティングパラメータからの分類条件の判定は、好ましくは、平均および標準偏差の加重和を含む。分類条件の判定に経験的較正パラメータが使用される場合、それは、好ましくは、加重和の少なくとも1つの重みにおいて考慮に入れられる。
【0054】
本発明の実施形態では、フィッティングは、ガウス混合モデルを使用する。このモデルは、ヒストグラムの変化に特によく適応することができる。
【0055】
本発明の実施形態では、フィッティングは、最尤法を使用する。
【0056】
フィッティングはまた、平均二乗法などの別の方法によっても実行されることができる。本発明者らは、パラメータ推定がサブサンプリングされたピクセルセットから行われるため、最尤法の使用が他の方法よりも良好な結果を提供することを見出した。それは、特にワイドバーチャルスライド(WSI)に非常によく適合される。
【0057】
例えば、フィッティングは、2次元ガウス関数の合計を使用して実行されることができる。
【0058】
本発明の実施形態では、プロセスは、分類条件を満たさない第2のデジタル画像の第2のクラスのピクセルに分類することを備える。
【0059】
例えば、これらのピクセルは、染色されていないと見なすことができ、または、別の色で染色されていると見なすことができ、または、別の色を有していると見なすことができる。本発明の実施形態では、分類条件を満たさないピクセルは、例えば、さらなる分類条件に基づいて、複数のクラスに分類される。したがって、第1のクラス(第1の色または第1の染色色)、第2のクラス(第2の色または第2の染色色)および第3のクラス(第3の色または染色なし)にピクセルを分類することが可能である。
【0060】
本発明の実施形態では、プロセスは、主成分分析、独立成分分析、または行列Xの因子分析からの行列Aの判定を備える。実際、最も関連性の高い情報に焦点を当てる行列Iの係数に対するフィッティングを実行するために、関連情報を表す次元に焦点を当てることは興味深い。別の可能性は、行列Aがプロセスの前に既知であるということである。
【0061】
Ohtaの実施形態と呼ばれる本発明の実施形態では、n=3、m=3、X
1は、第1のデジタル画像における赤値Rであり、X
2は、第1のデジタル画像における緑値Gであり、X
3は、第1のデジタル画像における青値Bである。
【数3】
【0062】
本発明のOhtaの実施形態では、ステップ(b)の色空間の変更に使用される方程式は、Ohtaによって刊行物に示されているように、主成分分析に基づいている。したがって、「第2の色空間」または「Ohta色空間」と呼ばれることができる第2のデジタル画像の色空間において、色間の分離は、はるかに強い。したがって、本発明にかかるプロセスは、異なる色のピクセルを区別するのに特に適しており、それにより、その分類精度を向上させる。
【0063】
さらに、分類条件は、第2の色空間I1内のピクセルの強度、およびピクセルの少なくとも別の色値I2、I3に基づいているためである。I1の使用は、信号と背景とを区別するのに特に適している。I2またはI3の使用は、色を区別するのに特に適している。したがって、I1およびI2またはI3の使用は、補足的な情報編をもたらす。したがって、I1とI2またはI3の使用を組み合わせると、プロセスの精度の大幅な向上につながる。
【0064】
本発明者らは、Ohta空間におけるI1とI2および/またはI3との組み合わせが、例えば、茶色と青色を区別するのに特に効率的であり、他の色を区別することも非常に効率的であり得ることを示した。
【0065】
第1の画像では、赤の値、緑の値、青の値の3つの値が各ピクセルに関連付けられている。第1の画像は、赤、緑、青(RGB)色空間である第1の色空間にあると言うことができる。第2の画像では、I1の値、I2の値、およびI3の値の3つの値が各ピクセルに関連付けられている。第2の画像は、第2の色空間にあると言うことができる。第2の色空間は、RGB色空間ではない。第2の色空間は、Ohta色空間と呼ばれることができる。
【0066】
色値I1は、「強度」と呼ばれることができる。色値I2は、「赤対青」と呼ばれることができる。色値I3は「マゼンタ対緑」と呼ばれることができる。
【0067】
本発明の実施形態では、第1のデジタル画像は、第1の染色技術にしたがって染色された生物学的サンプルの少なくとも一部を示している。生物学的サンプルのこの部分は、好ましくは、第1の組織学的セクションである。第1のデジタル画像は、好ましくは、RGBである。例えば、それが蛍光の画像または偏光の画像である場合、第1のデジタル画像は、灰色のレベルとすることができる。
【0068】
本文書の枠内では、第1の染色技術は、好ましくは、着色に使用される化学物質によって第2の染色技術とは異なる。
【0069】
本発明の実施形態では、さらなるデジタル画像は、第2の染色技術にしたがって染色された生物学的サンプルの少なくとも一部を示している。そのような場合、本発明にかかるプロセスは、いくつかの染色技術によって提供される情報を組み合わせて、ピクセルの分類のための共通の条件または基準を取得することを可能にする。さらなるデジタル画像上に見える生物学的サンプルの部分は、第2の組織学的セクション、または染色されておらず、第2の染色技術にしたがって染色された第1の組織学的セクションとすることができる。
【0070】
本発明の実施形態では、第1のデジタル画像は、光学画像、蛍光画像、または偏光画像から取得される。本発明の枠内では、他の任意の撮像技術も可能である。さらなるデジタル画像は、光学画像、蛍光画像、または偏光画像のいずれかから取得されることができる。「から取得される」とは、デジタル画像が、光学画像、蛍光画像、偏光画像、これらの画像の少なくとも2つの組み合わせ、またはこれらの画像の少なくとも1つからの情報を含む画像とすることができることを意味する。「光学画像」は、好ましくは、可視光、より好ましくはカラーの画像を意味する。
【0071】
本発明の実施形態では、X2は、さらなるデジタル画像から取得され、i>2を有する少なくとも1つのXiは、他のデジタル画像から取得される。例えば、X2、X3およびX4は、さらなるデジタル画像に基礎を有することができ、X5、X6およびX7は、他のデジタル画像に基礎を有することができる。
【0072】
本発明の実施形態では、X1は、第1のデジタル画像と他のデジタル画像との組み合わせから取得され、2≦i≦nについての少なくとも1つのXiは、さらなるデジタル画像と他のデジタル画像との組み合わせから取得される。例えば、第1のデジタル画像および他のデジタル画像からの情報を組み合わせて、X1、X2およびX3を与えることができ、さらなるデジタル画像および他のデジタル画像からの情報を組み合わせて、X4、X5およびX6を与えることができる。
【0073】
ステップ(c)において判定された分類条件は、後に他の生物学的サンプルに再利用されることができる。
【0074】
本発明はまた、本発明の任意の実施形態にかかるプロセスを実行するための手段を備えるデータ処理装置に関する。
【0075】
本発明はまた、プログラムがデータ処理装置によって実行されるときに、データ処理装置に本発明の任意の実施形態にかかるプロセスを実行させる命令を備えるコンピュータプログラムに関する。データ処理装置は、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、コントローラ、プロセッサとすることができ、任意のタイプの装置に含まれることができる。
【0076】
本発明はまた、データ処理装置によって実行されると、データ処理装置に本発明の任意の実施形態にかかるプロセスを実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明をよりよく理解するために、ここで、例として、以下の添付の図面を参照する。
【
図1a】本発明の実施形態にかかるピクセルを分類するためのプロセスの第1の例を示すフローチャートを示している。
【
図1b】本発明の実施形態にかかるピクセルを分類するためのプロセスの第2の例を示すフローチャートを示している。
【
図2】本発明にかかる分類条件の判定の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図3】本発明にかかる少なくとも1つの経験的較正パラメータの判定の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図4】本発明にかかる、分類条件を判定して第1のクラスのピクセルを分類するステップの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態の第1の例における第1のデジタル画像を示している。
【
図6a】
図5の第1のデジタル画像の一部の拡大図である。
【
図6b】
図6aに示されている第1のデジタル画像の一部に対応する第2のデジタル画像の一部を示している。
【
図7】本発明の第1の実施形態の第1の例における第1のヒストグラムを示している。
【
図8】本発明の第1の実施形態の第1の例における第2のヒストグラムを示している。
【
図9a】本発明の第1の実施形態の第1の例において組織学的実践者に提出された画像を示している。
【
図9b】
図9aと同じ画像を示しており、異なるタイプのドットは、組織学的実践者がドットによって示された点を染色済または未染色として見なすことを示している。
【
図10a】経験的較正パラメータなしで取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界を示している。
【
図10b】本明細書に記載されている経験的較正パラメータを使用して取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界を示している。
【
図11】本発明の第1の実施形態の第1の例における、本発明にかかる分類から得られた画像を示している。
【
図12】本発明の第1の実施形態の第1の例におけるバイナリマスクを示している。
【
図13】
図11に示されている分類の結果として得られた画像に
図12のバイナリマスクを適用した結果を示している。
【
図14】六角形のマクロピクセルを使用した
図13のタイリングを示している。
【
図15】
図14のマクロピクセルに対して実行された計算の結果を示している。
【
図16】透過率の関数としてマクロピクセルの数を提供するヒストグラムを示している。
【
図17】本発明の第1の実施形態の第2の例における第1のデジタル画像を示している。
【
図18b】
図18aに示されている第1のデジタル画像の一部に対応する第2のデジタル画像の一部を示している。
【
図19】本発明の第1の実施形態の第2の例における第1のヒストグラムを示している。
【
図20】本発明の第1の実施形態の第2の例における第2のヒストグラムを示している。
【
図21a】本発明の第1の実施形態の第2の例において組織学的実践者に提出された画像を示している。
【
図21b】
図21aと同じ画像を示しており、異なるタイプのドットは、組織学的実践者がドットによって示された点を染色済または未染色として見なすことを示している。
【
図22a】経験的較正パラメータなしで取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界を示している。
【
図22b】本明細書に記載されている経験的較正パラメータを使用して取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界を示している。
【
図23】本発明の第1の実施形態の第2の例における、本発明にかかる分類から得られた画像を示している。
【
図24】本発明の第1の実施形態の第2の例におけるバイナリマスクを示している。
【
図25】
図23に示されている分類の結果として得られた画像に
図24のバイナリマスクを適用した結果を示している。
【
図26】六角形のマクロピクセルを使用した
図25のタイリングを示している。
【
図27】
図26のマクロピクセルに対して実行された計算の結果を示している。
【
図28】透過率の関数としてマクロピクセルの数を提供するヒストグラムを示している。
【
図29】本発明の第2の実施形態の例における第1のデジタル画像を示している。
【
図30b】
図30aに示されている第1のデジタル画像の部分に対応する第2のデジタル画像の部分を示している。
【
図31a】本発明の第2の実施形態の例における2次元分布を示している。
【
図31b】
図31aの2次元分布にフィッティングする4つのガウス曲線を示している。
【
図32】
図31bの4つの楕円を使用した分析の結果を示している。
【
図34】六角形のマクロピクセルを使用した
図32のタイリングを示している。
【
図35】それらのコラーゲンの量に対応する色のマクロピクセルを示している。
【
図36】それらの細胞質の量に対応する色のマクロピクセルを示している。
【
図37】それらのコラーゲンの量の関数としてのマクロピクセルの分布を示している。
【
図38】それらの細胞質の量の関数としてのマクロピクセルの分布を示している。
【
図39】本発明の例における第1のデジタル画像を示している。
【
図40】
図39に示されている第1のデジタル画像の一部に対応する第2のデジタル画像を示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、特定の実施形態に関して、および特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、それに限定されるものではない。記載されている図面は、概略図であり、非限定的である。図面において、いくつかの要素のサイズは、例示的な目的のために誇張され、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【0079】
さらにまた、明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列の順序を説明するために使用されるわけではない。これらの用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されている以外の順序で動作することができる。
【0080】
さらにまた、様々な実施形態は、「好ましい」と呼ばれるが、本発明の範囲を限定するものとしてではなく、本発明が実施されることができる例示的な方法として解釈されるべきである。
【0081】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、その後に列挙される要素またはステップに限定されると解釈されるべきではなく、他の要素やステップを除外するものではない。それは、言及されるように、記載された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するものとして解釈される必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップもしくは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。したがって、「AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではなく、本発明に関して、装置の列挙された構成要素は、AおよびBのみであり、さらに、クレームは、それらの構成要素の均等物を含むものとして解釈されるべきである。
【0082】
図では、同一または類似の要素が同じ符号によって参照される場合がある。
【0083】
図1aは、さらなるデジタル画像が使用されない、本発明の実施形態にかかるピクセルを分類するためのプロセス100の例を示すフローチャートを示している。好ましくは、生物学的サンプル101は、染色される201。結果は、染色された生物学的サンプル102である。次に、画像は、生物学的サンプル101の少なくとも一部または染色された生物学的サンプル102の少なくとも一部から作成され、染色の有無にかかわらず生物学的サンプル101の少なくとも一部を表す第1のデジタル画像103をデータ処理手段を備える装置に提供する202。
【0084】
第1のデジタル画像103は、ピクセルを含む。第1のデジタル画像103は、n次元(n≧2)を有する第1の空間にあり、各ピクセルは、X1からXnと呼ばれるn個の値を有する。Xを判定するために第1のデジタル画像103のみが使用される本発明の実施形態では、値X2からXnは、これらの値が第1のデジタル画像103に含まれるため、ステップ202において、値X1とともに取得される202b。
【0085】
第1の空間は、好ましくは、色空間であり、より具体的には、RGB色空間である。したがって、以下の3つの色値が第1のデジタル画像103の各ピクセルに関連付けられている:赤R(=X1)の値、緑G(=X2)の値、および青B(=X3)の値。
【0086】
次に、プロセス100にしたがって、例えば、第1のデジタル画像103のピクセルのRGB値から開始して、空間(または色空間)の変更203が実行される。色空間の変更203は、各ピクセルについて、以下の行列乗算を実行することによって、第2の色空間における第2のデジタル画像104を判定することを備える。
【数4】
【0087】
行列Aは、全てのピクセルについて同じである。行列Iの成分I1からImは、m≧2である、第2のデジタル画像104のピクセルの値である。
【0088】
本発明のOhtaの実施形態では、第2のデジタル画像104のピクセルの色値は、I
1、I
2、およびI
3である。それらは、以下によって判定される。すなわち、
【数5】
【0089】
次に、分類条件105が判定される204。この判定204は、以下に基づいている:
・第2のデジタル画像104の少なくともいくつかのピクセルのI1の値、および
・第2のデジタル画像104の少なくともいくつかのピクセルの少なくとも1つのIj(m≧j>1)の値。
【0090】
本発明のOhtaの実施形態では、この判定204は、以下に基づいている:
・第2のデジタル画像104の少なくともいくつかのピクセルのI1の値、および
・第2のデジタル画像104の少なくともいくつかのピクセルのI2の値および/またはI3の値。
I1の値は、関心のあるピクセルを区別するのに特に役立つ。I2またはI3の値は、色や染色を区別するのに特に役立つ。I1とI2またはI3の組み合わせにより、関心のある着色済または染色済ピクセルを正確に判定することができる。
【0091】
分類条件105は、好ましくは、着色済または染色済ピクセルのみが満たし、未染色ピクセルは、それを満たさないという条件を表すように判定される。
【0092】
次に、分類条件105を満たす第2のデジタル画像104のピクセルは、第1のクラス106に分類される。換言すれば、これらのピクセルは、第1のクラス106に属するピクセルとして選択される。
【0093】
本発明の実施形態では、第1のクラス106のピクセルを使用して、マスク、好ましくは二値画像またはグレースケールの画像である第3のデジタル画像を形成する。このバイナリ画像の第1の色は、第1のクラス106のピクセルに対応し、このバイナリ画像の第2の色は、第1のクラス106に属さないピクセルに対応する。
【0094】
本発明はまた、分類プロセス100および以下のプロセスのうちの少なくとも1つを含む生物学的画像処理のためのプロセスに関する:
・少なくとも1つの経験的較正パラメータ113の判定(例えば、
図3を参照)、
・第1のデジタル画像を間質区画および腫瘍区画に分離するプロセス、
・ピクセル、好ましくは第1のクラス106のピクセルのマクロピクセルへの割り当て、および
・第1のクラス106のピクセルに基づくさらなる分析。
【0095】
本発明の実施形態では、第1のデジタル画像を間質区画および腫瘍区画に分離するプロセスは、第3のバイナリ画像と、腫瘍区画からのピクセルおよび選択された第1のクラスのピクセルのみに重ね合わせることができるバイナリマスクを判定する。
【0096】
好ましくは、それらの選択されたピクセルのみがマクロピクセルに分配され、および/または任意のさらなる分析に使用される。
【0097】
さらなる分析は、好ましくは、所与の特性を有するマクロピクセルの数の関数の統計分析を含む。
【0098】
図1bは、さらなるデジタル画像103bが使用される、本発明の実施形態にかかるピクセルを分類するためのプロセス100の例を示すフローチャートを示している。好ましくは、生物学的サンプル101の第1の組織学的セクションは、第1の染色技術にしたがって染色される201。結果は、生物学的サンプル102の第1の染色された組織学的セクションである。次に、画像は、第1の組織学的セクションの少なくとも一部を表す第1のデジタル画像103を、データ処理手段を備える装置に提供するために、第1の組織学的セクションの少なくとも一部から作成される202。第1のデジタル画像103は、ピクセルを含む。各ピクセルは、少なくとも、第1のデジタル画像103において、X
1と呼ばれる1つの値を有する。
【0099】
次に、または並行して、生物学的サンプル101の第2の組織学的セクションが、第2の染色技術にしたがって染色される201b。結果は、生物学的サンプル102bの第2の染色された組織学的セクションである。次に、第2の組織学的セクションの少なくとも一部から画像が作成され、第2の組織学的セクションの少なくとも一部を表すさらなるデジタル画像103bを、データ処理手段を備える装置に提供する。さらなるデジタル画像103bは、そのピクセルに関連する値を含む。装置がさらなるデジタル画像103bを受信するときに装置によって取得される202bさらなるデジタル画像103bの各ピクセルに関連付けられた少なくとも1つの値Xi(i>1)が存在する。好ましくは、さらなるデジタル画像103bの各ピクセルは、第1のデジタル画像103の単一のピクセルに対応する。各ピクセルについて、第1のデジタル画像103から取得された値とさらなるデジタル画像103bから取得された値とを組み合わせた、前記ピクセルX=(X1、・・・、Xn)Tの値の行列が存在する。
【0100】
次に、プロセスは、行列Xを使用して、
図1aを参照して説明したのと同様の方法でステップ203から205に進む。
【0101】
本発明の枠内で、第1のデジタル画像103および/またはさらなるデジタル画像103bが、光学画像(例えば、RGB)、蛍光または偏光の画像から取得されることが可能である。実際には、いかなる種類の画像でも適している。
【0102】
図1aのプロセスは、第1のデジタル画像103のみをデジタル処理の入力として考慮する。
図1bのプロセスは、第1のデジタル画像103およびさらなるデジタル画像103bをデジタル処理のための入力と見なす。本発明の枠内で、少なくとも1つの他のデジタル画像もまた、Xの少なくとも1つの成分を取得するために使用されることが可能である。例えば、第1のデジタル画像103および他のデジタル画像を組み合わせてX
1を取得することができる一方で、さらなるデジタル画像103bおよび他のデジタル画像を組み合わせてX
2を取得することができる。そのような画像の組み合わせは、画像から最も関連性の高い情報を直接抽出するために、主成分分析を通じて実際に実行されることができる。
【0103】
図2は、本発明にかかる分類条件105の判定204の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【0104】
この例示的な実施形態によれば、1つまたは複数の分布のセット111が判定される211。セット111は、I1の関数として、第2のデジタル画像104内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含む。セット111は、例えばI2またはI3である、m≧j>1を有するIjの関数として、第2のデジタル画像104内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含む。
【0105】
例えば、セット111は、I1の値の関数として第2のデジタル画像のピクセル数を表す第1のヒストグラムと、I2の値の関数として第2のデジタル画像のピクセル数を表す第2のヒストグラムとを含むことができる。
【0106】
次に、
図2に示される実施形態では、セット111の分布は、これらのパラメトリック関数のパラメータ112を抽出するために、パラメトリック関数によってフィッティングされる212。
【0107】
次に、
図2に示される実施形態では、パラメータ112に加えて、判定204は、分類条件105を計算するために、少なくとも1つの経験的較正パラメータ113を考慮に入れる213。
【0108】
本発明の実施形態では、ステップ211および212が実行されるが、ステップ213は実行されない。換言すれば、分類条件105は、経験的較正パラメータ113を使用せずに、分布のフィッティング212を用いて判定される。
【0109】
図3は、本発明にかかる少なくとも1つの経験的較正パラメータ113の判定300の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【0110】
この例示的な実施形態によれば、較正生物学的サンプル301は、分類プロセス100によって分析された生物学的サンプル102と同じ方法で染色または調製される401。それらは、染色または調製された較正生物学的サンプル302になる。次に、それらの画像がRGBで撮像され402、画像の一部のピクセルにドットが配置される。次に、ドット303の付いた画像は、生物学的サンプルの解釈に使用される医師などの生物学的実践者に示される403。生物学的実践者は、染色の表示を与える。染色の表示は、例えば、どのドットを染色済/未染色である、または第1の色で染色されている/第2の色で染色されている/・・・/未染色であると生物学的実践者が見なすかを示すことができる。結果304は、RGB値および染色または色の表示を伴う表の形式を有することができる。次に、経験的較正パラメータ113は、RGB値および対応する染色または色の表示に基づいて判定される404。実践者のドットは、一方がラベル付き画像(または染色/カラー画像)用であり且つ他方がラベルなし画像用である2つのマスク(またはバイナリ画像)と交差する。ラベル付きドットがそのマスク(またはバイナリ画像)に関連付けられている場合、真としてカウントされ、そうでない場合は偽としてカウントされる。スコアは、第1および/または第2の較正パラメータを判定して計算される。
【0111】
図4は、本発明にかかる第1のクラス106において分類条件105を判定し204、ピクセルを分類する205ステップの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
図4の説明では、インデックスJは、厳密に1よりも大きく、m以下の整数であり、mは行列Iの要素数であることを理解されたい。
【0112】
当業者は、
図4に並列として示されているステップのいくつかが、順次、またはその逆に実行されることができることを理解するであろう。
【0113】
この例示的な実施形態によれば、1つまたは複数の分布のセット111の判定211は、I1のヒストグラムである第1のヒストグラム601の判定501、およびIjのヒストグラムである第2のヒストグラム602の判定502を備える。セット111は、第1のヒストグラム601および第2のヒストグラム602を含む。
【0114】
次に、ステップ212において、第1のヒストグラム601は、第1のI
1ガウス曲線および第2のI
1ガウス曲線の合計を伴うガウス混合モデルを使用してフィッティングされる。第1のI
1ガウス曲線は、I
1スケールの染色/着色信号に対応し、第2のI
1ガウス曲線は、I
1スケールの背景に対応することが好ましい。通常、第1のI
1ガウス曲線は、第2のI
1ガウス曲線よりもはるかに高い値に到達する。第1のI
1ガウス曲線は、以下のように記述される。
【数6】
ここで、μ
1およびσ
1603は、フィッティングパラメータ112の一部である。
【0115】
ステップ212において、第2のヒストグラムは、第1のI
jガウス曲線および第2のI
jガウス曲線の合計を伴うガウス混合モデルを使用してフィッティングされる。第1のI
jガウス曲線は、I
jスケールの染色/着色信号に対応し、第2のI
jガウス曲線は、I
jスケールの背景に対応することが好ましい。通常、第1のI
jガウス曲線は、第2のI
jガウス曲線よりもはるかに高い値に到達する。第1のI
jガウス曲線は、以下のように記述される。
【数7】
ここで、μ
jおよびσ
j604は、フィッティングパラメータ112の一部である。
【0116】
ステップ213において、第1の較正パラメータITC1605は、第1の閾値IT1をIT1=μ1+ITC1*σ1として判定するために考慮に入れられ(505)、第2の較正パラメータITCjは、第2の閾値をITj=μj+ITCj*σjとして判定するために考慮に入れられる(506)。
【0117】
分類条件105は、以下で構成される:
・I1>IT1である第1の特定の条件607、および
・Ij>ITjである第2の特定の条件608。
分類ステップ205は、以下を備える:
・第2のデジタル画像104のピクセルと第1の閾値IT1との比較507であり、I1>IT1であるピクセル609のみを選択する、および
・選択されたピクセルと第2の閾値ITjとの比較508であり、Ij>ITjであるピクセルのみを第1のクラス106に分類する。
【0118】
図4は、本発明の第1の実施形態の例示的なプロセスである。本発明の第1の実施形態では、分布のセットは、I
1におけるそれらの値の関数として第2のデジタル画像内のピクセル数を提供する第1の分布と、j>1を有するI
jのそれらの値の関数としての第2のデジタル画像内のピクセル数を提供する第2の分布とを含む。本発明の第1の実施形態は、実施例1および2によって示されている。
【0119】
本発明の第2の実施形態によれば、分布のセットは、I1のそれらの値の関数として、および2≦j≦mを有するIjのそれらの値の少なくとも1つの関数として、第2のデジタル画像内のピクセル数を提供する分布を含む。この多次元分布は、少なくとも2つまたは3つのガウス分布の合計にフィッティングすることが好ましい。フィッティングのためにガウス混合モデルを使用することができる。
【0120】
2次元以上では、フィッティングから生じるガウス分布を楕円によって表すことができる。例えば、染色済/着色済ピクセルに対応する第1の楕円、未染色/未着色ピクセルに対応する第2の楕円、および背景に対応する第3の楕円が存在することができる。楕円は、表面によって分類されることができる:表面が大きい楕円の優先度は低く、表面が小さい楕円の優先度は高い。楕円の長軸と短軸の長さを乗算で増減することにより、経験的較正パラメータを考慮に入れることができる。本発明の第2の実施形態は、実施例3によって示されている。
実施例1
【0121】
図5から
図16は、本発明の第1の実施形態の第1の例を示している。この例では、組織学的セクションの染色は、BIMを使用して実行された。
【0122】
図5は、第1のデジタル画像103(
図1)を示している。
図6aは、
図5の第1のデジタル画像103の一部の拡大図である。
図6bは、
図6aに示されている第1のデジタル画像103の部分に対応する第2のデジタル画像104(
図1)の部分を示している。
【0123】
図7は、第1のI
1ガウス曲線701および第2のI
1ガウス曲線702の合計としてのフィッティングを伴う第1のヒストグラム601(
図4)を示している。
図8は、第1のI
2ガウス曲線703および第2のI
2ガウス曲線704の合計としてのフィッティングを伴う第2のヒストグラム602(
図4)を示している。
【0124】
図9aは、組織学的実践者(
図3)に403を提出したときのドット705を伴う画像303を示している。
図9bは、ドットを伴う画像303を示しており、ドットのタイプは、ドットによって示された点を染色済(薄い灰色のドット706)または未染色(暗い灰色のドット707)と組織学的実践者が見なしたかどうかを示している。さらに白い点は、組織学的実践者が、それらが染色されているかどうかを判断することができなかったピクセルに対応する。
【0125】
図10aは、経験的較正パラメータなしで取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界809aを示している。
図10bは、本明細書に記載されるような経験的較正パラメータを使用して取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界809bを示している。ボックス708a、708b、709a、709bにおいて、経験的較正パラメータの使用が分類を改善することが特に見られる。
【0126】
図11は、分類205から得られた画像を示している:赤のピクセルは、第1のクラス106に属するピクセルであり、緑のピクセルは、第1のクラス106に属さないピクセルである。この実施例
1で適用されたプロセスは、関心領域の選択を含み、黒いピクセルは、関心領域の一部とは見なされなかったものである。
【0127】
図12は、白いピクセルが腫瘍区画に対応するバイナリマスクを示している。
【0128】
図13は、
図11に示される分類205から得られた画像に
図12のバイナリマスクを適用した結果を示している。
【0129】
図14は、六角形のマクロピクセルを使用した
図13のタイリングを示している。
【0130】
図15は、
図14のマクロピクセルに対して実行された計算の結果を示している。色は、この計算によって取得された値を示している。
【0131】
図16は、透過率の関数としてマクロピクセル数を提供するヒストグラムを示している。
実施例2
【0132】
図17から
図28は、本発明の第1の実施形態の第2の例を示している。この例では、組織学的セクションの染色がP-ERKによって実行された。
【0133】
図17は、第1のデジタル画像103(
図1)を示している。
図18aは、
図17の第1のデジタル画像103の一部の拡大図である。
図18bは、
図18aに示されている第1のデジタル画像103の部分に対応する第2のデジタル画像104(
図1)の部分を示している。
【0134】
図19は、第1のI
1ガウス曲線701および第2のI
1ガウス曲線702の合計としてのフィッティングを伴う第1のヒストグラム601(
図4)を示している。
図20は、第1のI
2ガウス曲線703および第2のI
2ガウス曲線704の合計としてのフィッティングを伴う第2のヒストグラム602(
図4)を示している。
【0135】
図21aは、組織学的実践者(
図3)に403を提出したときのドット705を伴う画像303を示している。
図21bは、ドットを伴う画像303を示しており、ドットのタイプは、ドットによって示された点を染色済(薄い灰色のドット706)または未染色(暗い灰色のドット707)と組織学的実践者が見なしたかどうかを示している。さらに白い点は、生物学的実践者が、それらが染色されているかどうかを判断することができなかったピクセルに対応する。
【0136】
図22aは、経験的較正パラメータなしで取得された「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界809aを示している。
図22bは、本明細書に記載されるような経験的較正パラメータを使用して取得される「染色済」領域と「未染色」領域との間の境界809bを示している。ボックス708a、708b、709a、709bにおいて、経験的較正パラメータの使用が分類を改善することが特に見られる。
【0137】
図23は、分類205から得られた画像を示している:赤のピクセルは、第1のクラス106に属するピクセルであり、緑のピクセルは、第1のクラス106に属さないピクセルである。この実施例
2で適用されたプロセスは、関心領域の選択を含み、黒いピクセルは、関心領域の一部とは見なされなかったものである。
【0138】
図24は、白いピクセルが腫瘍区画に対応するバイナリマスクを示している。
【0139】
図25は、
図23に示される分類205から得られた画像に
図24のバイナリマスクを適用した結果を示している。
【0140】
図26は、六角形のマクロピクセルを使用した
図25のタイリングを示している。
【0141】
図27は、
図26のマクロピクセルに対して実行された計算の結果を示している。色は、この計算によって取得された値を示している。
【0142】
図28は、透過率の関数としてマクロピクセル数を提供するヒストグラムを示している。
実施例3
【0143】
図29から
図38は、本発明の第2の実施形態の例を示している。この例では、組織学的セクションの染色は、赤がコラーゲン線維に対応し、シアンが細胞質に対応し、紫が核に対応する三色を有する、RGB3を使用して実行された。
【0144】
図29は、第1のデジタル画像103(
図1)を示している。
図30aは、
図29の第1のデジタル画像103の一部の拡大図である。
図30bは、
図30aに示されている第1のデジタル画像103の部分に対応する第2のデジタル画像104(
図1)の部分を示している。
【0145】
図31aは、I
1およびI
2の関数としての2次元分布を示している。この2次元分布は、一連の分布を形成する。各ドット710は、第2の色空間におけるピクセルの値を表す。
図31bは、
図31aの2次元分布にフィッティングする4つのガウス曲線を示している。第1の楕円711は、RGB空間の赤に対応する。第2の楕円712は、RGB空間の青に対応する。第3の楕円713は、RGB空間の緑に対応する。第4の楕円714は、背景ピクセルに対応する。
【0146】
図32は、赤(第1の楕円-核)、青(第2の楕円-細胞質)、緑(第3の楕円-コラーゲン)、および背景ピクセルに黒の4つの楕円を使用した分析結果を示している。それは、
図29と同じ領域に対応する。
【0147】
【0148】
図34は、六角形のマクロピクセルを使用した
図32のタイリングを示している。
【0149】
図35は、それらのコラーゲンの量に対応する色のマクロピクセルを示している。
【0150】
図36は、それらの細胞質の量に対応する色のマクロピクセルを示している。
【0151】
図37は、それらのコラーゲンの量の関数としてのマクロピクセルの分布を示している。
【0152】
図38は、それらの細胞質の量の関数としてのマクロピクセルの分布を示している。
実施例4
【0153】
図39は、ルシフェラーゼプラスミドによるトランスフェクションの48時間後に、抗ルシフェラーゼ抗体を使用して免疫染色された全細胞を示す第1のデジタル画像103(
図1)を示している。
【0154】
図40は、
図39に示されている第1のデジタル画像103の一部に対応する第2のデジタル画像104(
図1)を示している。
【0155】
本発明の可能な実施形態は、生物学的サンプル(101)のデジタル画像のピクセルを分類するためのプロセス(100)であって、
(a)赤の値R、緑の値G、および青の値Bが第1のデジタル画像(103)の各ピクセルに関連付けられている、生物学的サンプル(101)を表す第1のデジタル画像(103)を受信するステップ(202)と、
(b)第2のデジタル画像(104)を取得するために、式
【数8】
によって色空間を変更するステップ(203)であって、I
1、I
2およびI
3が、第2のデジタル画像(104)の各ピクセルに関連付けられた色値である、ステップと、
(c)第2のデジタル画像(104)の少なくともいくつかのピクセルのI
1の値およびI
2および/またはI
3の値に基づいて分類条件(105)を判定するステップ(204)と、
(d)第1のクラス(106)における分類条件を満たす(105)第2のデジタル画像(104)のピクセルを分類するステップ(205)と、を備える、プロセスである。
このプロセスでは、ステップ(c)が、
・1つまたは複数の分布のセット(111)を判定すること(211)であって、セット(111)が、I
1の関数として第2のデジタル画像(104)内のピクセル数の少なくとも1つの分布を含み、セット(111)が、j=2または3を有するI
jの関数として第2のデジタル画像(104)のピクセル数の少なくとも1つの分布を含む、ことと、
・少なくとも1つのフィッティングパラメータ(112)を判定するためにセット(111)の分布をフィッティングすること(212)と、
・少なくとも1つのフィッティングパラメータ(112)から分類条件(105)を判定することと、を備えることが好ましい。
【0156】
換言すれば、本発明は、生物学的サンプル101のデジタル画像103を自動的に分析するためのコンピュータ実装プロセスに関する。このプロセスは、第1の色空間(例えば、RGB)から第2の色空間(例えば、Ohta)への変更203を含む。次に、ピクセルを分類するために、第2の色空間のいくつかの次元を考慮してフィッティングが実行される。例えば、強度ならびに「赤対青」および「マゼンタ対緑」の少なくとも1つの色値を使用して、染色済または着色済ピクセルを選択する。
【0157】
本発明は、特定の実施形態に関して上述されてきたが、他の実施形態も可能であることは容易に理解されよう。