(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】光拡散機構、およびこの光拡散機構を備えた照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 7/09 20060101AFI20231130BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20231130BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20231130BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231130BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
F21V7/09 100
G02B5/00 C
F21S8/02 410
F21S2/00 625
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022099840
(22)【出願日】2022-06-21
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】596056678
【氏名又は名称】株式会社 マテリアルハウス
(73)【特許権者】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 聡子
(72)【発明者】
【氏名】海宝 幸一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】中曽 万里恵
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-100219(JP,A)
【文献】特開2012-209206(JP,A)
【文献】特開2012-064368(JP,A)
【文献】特開2015-228349(JP,A)
【文献】特開2021-157997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/09
G02B 5/00
F21S 8/02
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなる、
構成態様のものを用い
、
前記傾斜反射面は、
入射側方向と直交する水平方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がった、
ことを特徴とする光拡散機構。
【請求項2】
光源からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなる、
構成態様のものを用い、
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交する水平方向に沿ってそのお互いの反射面が対向するかたちで複数設けられた起立両面反射板を備えた、
ことを特徴とする光拡散機構。
【請求項3】
光源からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなる、
構成態様のものを用い、
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交するかたちで格子状に配置された両面反射板からなる格子反射板を備えた、
ことを特徴とする光拡散機構。
【請求項4】
前記下向き傾斜は、
入射側に近くなるに従って大きくなる、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の光拡散機構。
【請求項5】
前記傾斜反射面は、
両面に反射作用を有する板状部材の片方の面である、
ことを特徴とする請求項1
から3の何れか1項記載の光拡散機構。
【請求項6】
前記傾斜反射面は、
入射側方向と直交する水平方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がった、
ことを特徴とする請求項
2または
3に記載の光拡散機構。
【請求項7】
前記傾斜反射面は、
高さ方向に折れ曲がった、
ことを特徴とする請求項1
から3の何れか1項記載の光拡散機構。
【請求項8】
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交する水平方向に沿ってそのお互いの反射面が対向するかたちで複数設けられた起立両面反射板を備えた、
ことを特徴とする請求項
3記載の光拡散機構。
【請求項9】
請求項1
から3の何れか1項記載の光拡散機構,前記光源およびこれらを格納する筐体からなり、
前記筐体は、
前記光源から前記光拡散機構までを囲い、
反射内面部と、
前記光拡散機構からの照射光が通過する底面開口部と、を有する、
ことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を分割して対象空間に照射する光拡散機構に関する。
【0002】
特に「木漏れ日」態様で光照射することで、利用者の目を楽しませたりやすらぎ感を与えたり、人の目を楽しませるような光空間を形成する光拡散機構に関する。
【0003】
本明細書では光源から光拡散機構に向かう水平方向を「前」、その反対方向を「後」といい、これらの方向に直交する水平方向を「横」、「左右」という。すなわち
図1の右下(符号を正立状態に見たとき左下)、
図2の下側(符号を正立状態に見たとき左側)、
図3~
図4,
図6の左側が「前側」となる。
【背景技術】
【0004】
本件出願人は、「木漏れ日」態様で照射する光拡散機構を開示し、風によって揺動する光反射部材を用いて揺らぎのある「木漏れ日」態様の光の照射する揺らぎ光生成装置構を提案済みである(特許文献1参照)。
【0005】
この揺らぎ光生成装置から可動部分を省略して「木漏れ日」態様の光パターン生成装置としてメンテナンス性を向上させたものが
図5の縦型光拡散装置11である。
【0006】
この縦型光拡散装置11には上から順に整列フィルター12,上側光分割板13,下側光分割板14および拡散板15が収容されている。上側光分割板13および下側光分割板14はそれぞれの平行に連続配置した反射板がお互いに略直交するように設けられ、二層合わせたかたちで格子フィルターを構成している。上方から光ダクトで導かれ入射した太陽光は、整列フィルター12で光の方向が整えられ、上側光分割板13および下側光分割板14の格子フィルターで分割され「木漏れ日」効果を付与されてから、拡散板15で屋内の各部に拡散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フィルターや拡散機構などを重ねることに加えて、上側に光源を設けることから装置全体の背が高く、光ダクトとともにスペースを確保して設置する場合を除き、人工光源を利用した縦型光拡散装置を天井裏の狭いスペースに設置することは困難であった。
【0009】
一方で、照明装置の高さを低くするため、人工光源を光拡散装置の横に配置する
図6に示す各種の方法があった。なお、光の進行を示す矢印は一例である。
【0010】
これらの方法では、内面が鏡面の箱体からなる筐体16に光源17と各種反射板を収容し、光源17から水平方向に照射された光を各種反射板で下方空間域に向けて反射し、筐体16の底面開口部から照射する。
【0011】
図6(a)では45度下向きに配置された平面反射板18を用いているが、光源17からの光は方向を変えるだけで、広がらず特定の方向で下方空間域に照射される。
【0012】
図6(b)では下向きに突出する円弧断面を有する曲面反射板19を用いている。光源17からの光は曲面反射板19に当たる場所によって反射方向が変わり、下方空間域に広がり態様で照射される。
【0013】
図6(c)では
図6(b)の曲面反射板19に代えて、下向きに突出する多角断面を有する多角断面反射板20を用いている。光源17からの光は曲面反射板19に当たる場所によって反射方向が変わり、分割された光の帯が下方空間域に広がり態様で照射される。
【0014】
これらの方法のうち
図6(a)や
図6(b)の場合では、光が分割されないので「木漏れ日」のような効果は生じない。また、
図6(c)ように光が分割される場合であっても、図示右側では光の帯がまばらになって部屋全体に有効な「木漏れ日」効果を生じさせるのが困難であった。
【0015】
また、いずれの方法も
図5の縦型光拡散装置11と異なり、底面開口部の面積が広くても単一の反射板を起点として光が下方空間域に照射されるため、照射される光の態様はこの反射板に近づくほど集中し、起立した人の目線の高さではこの集中した光に眩しさが感じられる場合があった。
【0016】
そこで本発明では、入射側に向かって下向き傾斜し、入射側に近いものほど高さが低くなる複数並んだ傾斜反射面を用いることで、側方から入射する光を部屋の広い範囲に「木漏れ日」態様で底面開口部の全体から照射可能とするとともに、装置の高さを抑える、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)光源(例えば後述の光源3)からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面(例えば後述の傾斜反射板7,7',8,9,10)を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなり、
前記傾斜反射面は、
入射側方向と直交する水平方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がった、
構成態様のものを用いる。
(2)光源(例えば後述の光源3)からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面(例えば後述の傾斜反射板7,7',8,9,10)を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなり、
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交する水平方向に沿ってそのお互いの反射面が対向するかたちで複数設けられた起立両面反射板(例えば後述の垂直反射板6)を備えた、
構成態様のものを用いる。
(3)光源(例えば後述の光源3)からの光を分割し、下方に放出する光拡散機構において、
側方から入射する前記光を下方に反射する複数の傾斜反射面(例えば後述の傾斜反射板7,7',8,9,10)を備え、
前記複数の傾斜反射面は、入射側方向に向いて並んで設けられ、
前記傾斜反射面のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、
前記傾斜反射面のそれぞれの上端の位置は、入射側に近くなるに従って低くなり、
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交するかたちで格子状に配置された両面反射板からなる格子反射板(例えば後述の格子フィルター5)を備えた、
構成態様のものを用いる。
(4)上記(1)~(3)において、
前記下向き傾斜は、
入射側に近くなるに従って大きくなる、
構成態様のものを用いる。
(5)上記(1)~(3)において、
前記傾斜反射面は、
両面に反射作用を有する板状部材の片方の面である、
構成態様のものを用いる。
(6)上記(2),(3)において、
前記傾斜反射面は、
入射側方向と直交する水平方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がった、
構成態様のものを用いる。
(7)上記(1)~(3)において、
前記傾斜反射面は、
高さ方向に折れ曲がった、
構成態様のものを用いる。
(8)上記(3)において、
前記光源と前記複数の傾斜反射面との間に、入射側方向と直交する水平方向に沿ってそのお互いの反射面が対向するかたちで複数設けられた起立両面反射板(例えば後述の垂直反射板6)を備えた、
構成態様のものを用いる。
【0018】
上記(1)~(3)の構成からなる光拡散機構およびこの光拡散機構を備えた照明装置を発明の対象としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上の課題解決手段により、
側方から入射する光を部屋の広い範囲に「木漏れ日」態様で底面開口部の全体から照射可能とするとともに、装置の高さを抑える、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の光拡散機構を備えた照明装置の斜視状態を示す説明図である。
【
図2】
図1の照明装置の中央断面状態を示す説明図である。
【
図3】
図1の照明装置の室内照明シミュレーション結果を示す説明図である。
【
図4】本発明の光拡散機構の各種態様を示す説明図であり、(a)は下向き傾斜が同一の傾斜反射面を用いた光拡散機構、(b)は下向き傾斜がそれぞれ異なる傾斜反射面を用いた光拡散機構、(c)は
図1と同様の光拡散機構、(d)は「く」の字断面の傾斜反射面を用いた光拡散機構を示している。
【
図5】従来の光拡散機構の実施例を示す説明図である。
【
図6】従来の光拡散機構の各種態様を示す説明図であり、(a)は平面反射板を使用した光拡散機構、(b)は曲面反射板を使用した光拡散機構、(c)は多角反射板を使用した光拡散機構を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~
図4を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
図1~
図4で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば反射面1a)は原則として当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば平面反射板1)の一部である、ことを示している。
【0023】
ここで、
図1~
図3において、
1は天井裏に設ける照明器具,
2は内面が反射仕様の筐体,
2aは筐体2の底面に設けられ、光が下方空間域に照射される底面開口部,
3は筐体2の内部に二箇所設置され、LED,蛍光灯または白熱灯などにより発光する光源,
4は後述の格子フィルター5,垂直反射板6および傾斜反射板7からなり、光源3からの入射光を拡散し下方空間域に照射する光拡散機構,
5は入射方向と直交するかたちで格子状に組まれた両面反射板からなり、その各格子の中を光が通過することで入射光を分割しつつ向きを均一化する格子フィルター(格子反射板),
6は「く」の字断面で垂直起立の両面反射板からなり、光源3からの光の入射方向と直交する水平方向に沿ってそのお互いの反射面が対向するかたちで複数設けられ、格子フィルター5を通過した入射光を分割する垂直反射板(起立両面反射板),
7はそれぞれが入射側に向かって下向き傾斜し、入射側に近いものほど高さが低くなる態様で複数並んだジグザグ形状の両面反射板からなり、垂直反射板6を通過した入射光を分割しつつ下方空間域に反射する傾斜反射板(傾斜反射面),
をそれぞれ示している。
【0024】
筐体2の内面,格子フィルター5,垂直反射板6および傾斜反射板7の各反射面は鏡面加工されたアルミニウムやステンレス、または反射膜を貼付・蒸着した樹脂・ガラスなどの反射材からなる。
【0025】
図1および
図2は、本発明の光拡散機構を備えた照明装置であって、
図1は斜め上から透視俯瞰した斜視図であり、
図2は横方向からみた場合の中央断面図である。なお、
図1は透視図であるため、便宜上筐体2の天井面と手前の側面を省略している。
【0026】
筐体2の内面は光源3からの光を有効に利用するため、光が放出される底面開口部2a以外は全体が反射面となっている。
【0027】
なお、この内面は筐体2の全体を反射材で作成することで設けてもよいが、光が主に到達する部分のみに反射材を貼付したり鏡面加工を施すなどして設けてもよい。
【0028】
光源3は筐体2の後部両側端に二箇所設けられ、そのそれぞれの光軸は、光が格子フィルター5の範囲に十分照射されるように、筐体2の中央よりに向くように設定されている。
【0029】
光源3からの光はその光源を起点にそれぞれ広がるため、筐体2の左右で光の進行方向に偏りが生じる。すなわち筐体2の中央では光は平均的に前方へ進み、左右では光は前方向からずれて筐体2の側壁方向に進んでいく。
【0030】
このような、広がっていく光を格子フィルター5の格子内に通過させて対向鏡面で反射することで、光は分割されつつ左右方向に反転を繰り返し全体として筐体の前方向に平均化されて出射する。
【0031】
垂直反射板6は、格子フィルター5から垂直反射板6に入射した光は対向鏡面で反射して、分割されつつ出射方向の左右方向の広がりを増幅する。
【0032】
垂直反射板6の「く」字に折れた態様は、通路を屈曲させて光が鏡面に当たらずに通過することを低減するためである。
【0033】
傾斜反射板7はそれぞれが入射側の面が下向きに傾斜した両面反射板であり、上端が筐体前方に行くに従って高くなり、また下向き傾斜は小さくなって起立状態に近くなるように設定している。
【0034】
垂直反射板6から傾斜反射板7に入射した光は、筐体2の後方側の反射板によって下側の一部が捉えられ、残りがこれより前方の各反射板に進む。これを繰り返すことで、各下向き反射板に光が入射し、分割されたかたちで下方空間域に反射される(
図4(c)参照)。
【0035】
また、各下向き反射板は左右方向に沿ってジグザグ態様に折れ曲がり場所により異なる面角度を有しているため、光は下方への反射の際にもその場所によって異なる方向に分割される。
【0036】
また、隣接する下向き反射板はこのジグザグ態様の位相を違えて対向する反射面の間が平行にならないようにして、この間を通っていく光の反射が単調にならないようにしている。
【0037】
このように、傾斜反射板7に対して水平方向から光を入射できるようにしているので、光源3,格子フィルター5,垂直反射板6および傾斜反射板7をすべて水平方向に並べて配置して、光拡散機構4やこれらを筐体2に格納した照明器具1の高さを低くできる。
【0038】
また、傾斜反射板7の各下向き反射板のそれぞれから底面開口部2aの全体を使用して下方空間域に照射するので、底面開口部2aに近づいても照射される光が集中しにくくなり、眩しさの発生を低減できる。
【0039】
図3は、
図1および
図2の照明装置を天井裏に配置したときの室内の照明シミュレーション結果である。
【0040】
この図で照明器具1は白破線で示すように天井裏に設置しており、光源3は右側となるように設定している。なお便宜上、室内の形状が明確となるように白線で壁,天井および床の輪郭を示している。
【0041】
この図より照明器具1の「木漏れ日」のような光を室内の各所に照射できることが分かる。
【0042】
図4は、本発明の光拡散機構のバリエーション例を示しており、
図4(a)は下向き傾斜が同一の平面状の両面反射板を用いた最も基本的な構成の光拡散機構、
図4(b)は下向き傾斜がそれぞれ異なる平面状の両面反射板を用いた光拡散機構、
図4(c)は
図1の傾斜反射板7と同様の光拡散機構、
図4(d)は「く」の字断面の傾斜した両面反射板を用いた光拡散機構、
をそれぞれ示している。なお、光の進行を示す矢印は一例である。
【0043】
ここで、
図4において、
7'は傾斜反射板7と同様の傾斜反射板(傾斜反射面),
8はそれぞれが同一の下向き傾斜で入射側に傾斜し、入射側に近いものほど高さが低くなる態様で複数並んだ平板形状の両面反射板からなり、入射光を下方空間域に反射する傾斜反射板(傾斜反射面),
9はそれぞれが入射側に傾斜し、入射側に近いものほど高さが低くなり、かつ下向き傾斜が大きくなる態様複数並んだ平板形状の両面反射板からなり、入射光を下方空間域に反射する傾斜反射板(傾斜反射面),
10はそれぞれが全体として入射側に傾斜し、入射側に近いものほど高さが低くなり、かつ下向き傾斜が大きくなる態様で複数並んだ「く」の字断面形状の両面反射板からなり、入射光を下方空間域に反射する傾斜反射板(傾斜反射面),
をそれぞれ示している。
【0044】
なお、
図1,
図2および
図4で示した反射面の下向き傾斜の角度は一例を示したものであり、これら各数値に限定されることはなく、上述した各要件を充足する任意の値をとり得る。
【0045】
「木漏れ日」態様の光を生成・照射するために、各反射面は鏡面が望ましいが、「木漏れ日」態様の光のみ照射する環境では明暗の差が大きく人間の活動に適していないので、全体を一定以上明るくするために各反射面を完全な鏡面ではなく一部または全部に梨地反射面や白色面にしてもよい。
【0046】
また、部屋の雰囲気や演色性の設定のために各反射面を着色してもよく、特に最終反射面となる傾斜反射板7には投影のための模様を付してもよい。
【0047】
傾斜反射板7の下側に別の光学機構を併設してもよい。例えば、傾斜反射板7と直交する態様で複数並んだ反射板を傾斜反射板7の下側に重ねるかたちで設けて、出射光の左右方向の広がりを設定してもよい。
【0048】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば、
(11)格子フィルター5や垂直反射板6を省略する、
(12)
図4(d)の傾斜反射板を折れ平面ではなく曲面形状とする、
(13)垂直反射板6を折れ平面ではなく曲面形状とする、
(14)光源3の代わりに屋外からの太陽光を光ダクトで導入する、
(15)格子フィルター5を上側光分割板13および下側光分割板14と同様に平行に連続配置した反射板がお互いに略直交するように設けて二層合わせたかたちで格子フィルターとする、
ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
(
図1~
図4)
1:照明器具
2:筐体
2a:底面開口部
3:光源
4:光拡散機構
5:格子フィルター
6:垂直反射板
7:傾斜反射板
【0050】
(
図4)
7':ジグザグ形状の傾斜反射板
8:平板形状の傾斜反射板
9:平板形状の傾斜反射板
10:「く」の字断面形状の傾斜反射板
【0051】
(
図5)
11:縦型光拡散装置
12:整向フィルター
13:上側光分割板
14:下側光分割板
15:拡散板
【0052】
(
図6)
16:筐体
17:光源
18:平面反射板
19:曲面反射板
20:反射折板
【要約】
【課題】「木漏れ日」態様の光を底面開口部の全体から照射しつつ、装置の高さを抑える。
【解決手段】入射側に向いて並んで設けられて、入射する光を下方空間域に反射する複数の傾斜反射面7備えた。傾斜反射面7のそれぞれは、入射側方向へ下向き傾斜を有し、その上端は入射側に近くなるに従って低くなり、下向き傾斜は大きくなるように配置されている。また、傾斜反射面7は、両面が反射作用を有する板状の一面であり裏面も反射作用有し、入射側方向と直交する水平方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がっている。
【選択図】
図1