(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/087 20180101AFI20231130BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20231130BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N23/087
G01N23/04
G01N23/18
(21)【出願番号】P 2020019857
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉本 一幸
(72)【発明者】
【氏名】万木 太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 大輔
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-43474(JP,A)
【文献】特開2018-155550(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001107(WO,A1)
【文献】特開2002-168805(JP,A)
【文献】特開2003-65976(JP,A)
【文献】特開2016-114415(JP,A)
【文献】特開2007-271316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N23/00-G01N23/2276
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品にX線を照射するX線照射部と、
前記X線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部によって検出された前記X線の検出結果から作成される画像に基づいて、前記物品を検査する検査部と、を備え、
前記検査部は、
前記画像の各画素の輝度と、前記物品の異物検査に係る第1閾値と、を用いて、前記物品における異物の有無を判定する第1処理と、
前記画像の各画素の輝度と、前記物品の品質検査に係る前記第1閾値よりも低い第2閾値と、を用いて、前記物品の品質の良否を判定する第2処理と、を実施し、
前記第2処理は、前記輝度が前記第1閾値未満であり且つ前記第2閾値以上である前記画素の範囲が所定範囲以上である場合、前記物品が不良品であると判定する、X線検査装置。
【請求項2】
前記X線検出部は、
前記物品を透過した第1エネルギー帯の前記X線を検出する第1検出部と、
前記物品を透過した前記第1エネルギー帯とは異なる第2エネルギー帯の前記X線を検出する第2検出部と、を有し、
前記検査部は、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果から作成される前記画像に基づいて、前記物品を検査する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記第1閾値未満であり且つ前記第2閾値以上である前記輝度に基づいて前記画像の2値化処理を行い、2値化画像における領域の面積を取得し、当該領域の面積が所定面積以上である場合、前記物品が不良品であると判定する、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線検査装置としては、例えば、特許文献1に記載されている装置が知られている。特許文献1に記載のX線検査装置は、物品にX線を照射するX線照射部と、X線を検出するX線検出部と、を備え、X線の検出結果に基づいて作成されたX線画像に対して画像処理を施して物品の検査を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線検査装置では、物品への異物混入の有無の検査を実施して、物品の良品又は不良品の判定を行う。物品は、その品質が悪い場合にも不良品となる。例えば、物品の一部が通常よりも硬い場合や柔らか過ぎる場合等、他の部分とは物性の異なる部分を有している場合には、品質が悪いため不良品となる。このような不良品の検査は、従来、作業者が物品を直接触ることによって、物品の硬さを検査していた。作業者による手作業は、作業者の経験や感覚に左右され得るため、ばらつきが生じ得る。
【0005】
本発明の一側面は、検査精度の向上が図れるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るX線検査装置は、物品にX線を照射するX線照射部と、X線を検出するX線検出部と、X線検出部によって検出されたX線の検出結果から作成される画像に基づいて、物品を検査する検査部と、を備え、検査部は、画像の各画素の輝度と、物品の異物検査に係る第1閾値と、を用いて、物品における異物の有無を判定する第1処理と、画像の各画素の輝度と、物品の品質検査に係る第1閾値よりも低い第2閾値と、を用いて、物品の品質の良否を判定する第2処理と、を実施し、第2処理は、輝度が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上である画素の範囲が所定範囲以上である場合、物品が不良品であると判定する。
【0007】
本願発明者等は、物品において品質不良の部分が存在する場合、X線の検出結果において、異物とは異なる特徴が出現するという知見を得た。物品において品質不良の部分は、異物ほどは検出結果に顕著に現れないが、ある程度の範囲(領域)を有している。このような知見に基づき、本願発明者等は、画像の各画素の輝度の閾値と範囲との関連性を見出した。そこで、本発明の一側面に係るX線検査装置では、第2処理は、輝度が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上である画素の範囲が所定範囲以上である場合、物品が不良品であると判定する。これにより、X線検査装置では、異物検査だけではなく、物品の品質検査も行うことができる。したがって、X線検査装置では、検査精度の向上が図れる。
【0008】
一実施形態においては、X線検出部は、物品を透過した第1エネルギー帯のX線を検出する第1検出部と、物品を透過した第1エネルギー帯とは異なる第2エネルギー帯のX線を検出する第2検出部と、を有し、検査部は、第1検出部及び第2検出部の検出結果から作成される画像に基づいて、物品を検査してもよい。物品においては、物性によって、2つのエネルギー帯のX線の吸収が異なる。そのため、X線検査装置では、2つの異なるエネルギー帯の検出結果から作成された画像を使用することにより、異物又は品質不良をより顕著に捉えることが可能となる。その結果、X線検査装置では、検査精度の向上をより一層図れる。
【0009】
一実施形態においては、検査部は、第1閾値未満であり且つ第2閾値以上である輝度に基づいて画像の2値化処理を行い、2値化画像における領域の面積を取得し、当該領域の面積が所定面積以上である場合、物品が不良品であると判定してもよい。この構成では、物品の品質の良否の判定をより精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、検査精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るX線検査装置の構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるシールドボックスの内部の構成図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、透過画像を示す図である。
【
図4】
図4は、第1処理に係る異物検査を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第2処理に係る良否検査を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示されるように、X線検査装置1は、装置本体2と、支持脚3と、シールドボックス4と、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、表示操作部8と、制御部(検査部)10と、を備える。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。検査前の物品Gは、搬入コンベア51によってX線検査装置1に搬入される。検査後の物品Gは、搬出コンベア52によってX線検査装置1から搬出される。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベア52の下流に配置された振分装置(図示省略)によって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置をそのまま通過する。本実施形態では、物品Gは食肉である。
【0014】
装置本体2は、制御部10等を収容している。支持脚3は、装置本体2を支持している。シールドボックス4は、装置本体2に設けられている。シールドボックス4は、外部へのX線(電磁波)の漏洩を防止する。シールドボックス4の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。シールドボックス4には、搬入口4a及び搬出口4bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベア51から搬入口4aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口4bを介して搬出コンベア52に搬出される。搬入口4a及び搬出口4bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン(図示省略)が設けられている。
【0015】
搬送部5は、シールドボックス4の中央を貫通するように配置されている。搬送部5は、搬入口4aから検査領域Rを介して搬出口4bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部5は、例えば、搬入口4aと搬出口4bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。なお、ベルトコンベアである搬送部5は、搬入口4a及び搬出口4bよりも外側に突出していてもよい。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、X線照射部6は、シールドボックス4内に配置されている。X線照射部6は、搬送部5によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部6は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げる絞り部と、を有している。X線照射部6から照射されるX線には、低エネルギー(長波長)から高エネルギー(短波長)までの様々なエネルギー帯のX線が含まれている。なお、上述した低エネルギー帯及び高エネルギー帯における「低」及び「高」は、X線照射部6から照射される複数のエネルギー帯の中で相対的に「低い」及び「高い」ことを示すものであり、特定の範囲を示すものではない。
【0017】
X線検出部7は、シールドボックス4内に配置されている。X線検出部7は、物品Gを透過した複数のエネルギー帯の各々のX線を検出する。本実施形態では、X線検出部7は、低エネルギー帯(第1エネルギー帯)のX線及び高エネルギー帯(第2エネルギー帯)のX線を検出するように構成されている。すなわち、X線検出部7は、第1ラインセンサ(第1検出部)11と、第2ラインセンサ(第2検出部)12と、を有している。第1ラインセンサ11及び第2ラインセンサ12は、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子によって構成されている。第1ラインセンサ11は、物品G及び搬送部5の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯のX線を検出する。第2ラインセンサ12は、物品G、搬送部5の搬送ベルト及び第1ラインセンサ11を透過した高エネルギー帯のX線を検出する。
【0018】
図1に示されるように、表示操作部8は、装置本体2に設けられている。表示操作部8は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部8は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部8を介して各種条件を入力することができる。
【0019】
制御部10は、装置本体2内に配置されている。制御部10は、X線検査装置1の各部(本実施形態では、搬送部5、X線照射部6、X線検出部7、及び表示操作部8、並びに、X線検査装置1の下流に配置される図示しない振分装置)の動作を制御する。なお、振分装置は、X線検査装置1による画像検査で不良品と判定された被検査物(物品)を搬送路上から排除する装置である。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びSSD(Solid State Drive)等のストレージを備える。ROMには、X線検査装置1を制御するためのプログラムが記録されている。制御部10には、X線検出部7の第1ラインセンサ11から低エネルギー帯のX線の検出結果が入力されると共に、X線検出部7の第2ラインセンサ12から高エネルギー帯のX線の検出結果が入力される。
【0020】
制御部10は、第1ラインセンサ11及び第2ラインセンサ12の検出結果に基づいて、透過画像を生成する。制御部10は、第1ラインセンサ11の低エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、ソフト画像(第1透過画像)P10を生成する。
図3(a)は、制御部10の処理によって生成されたソフト画像P10の一例である。ソフト画像P10は、比較的コントラストが高く、全体的に暗くなっている。制御部10は、第2ラインセンサ12の高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、ハード画像(第2透過画像)P20を生成する。
図3(b)は、制御部10の処理によって生成されたハード画像P20の一例である。ハード画像P20は、比較的コントラストが低く、全体的に明るくなっている。
【0021】
制御部10は、画像処理アルゴリズムを用い、ソフト画像P10及びハード画像P20の処理(画像処理)を行って処理画像を生成する。画像処理アルゴリズムとは、ソフト画像P10及びハード画像P20に施す画像処理の処理手順を示す型である。画像処理アルゴリズムは、1つの画像処理フィルタ、又は、複数の画像処理フィルタの組み合わせによって構成される。複数の画像処理アルゴリズムは、インターネット等のネットワークを介して外部から取得することができる。また、複数の画像処理アルゴリズムは、USBメモリ又はリムーバブルハードディスク等の外部記憶媒体から取得することもできる。複数の画像処理アルゴリズムのうちの少なくとも1つ以上は、生物界における遺伝及び進化のメカニズムを応用した手法である遺伝的アルゴリズム(GA=Genetic Algorithms)を採用して、X線検査装置1の仕様又は検査条件等に基づき複数の画像処理フィルタから自動生成することができる。複数の画像処理アルゴリズムの少なくとも一部は、作業者が表示操作部8を介して適宜設定することもできる。
【0022】
制御部10は、第1処理を実施することにより、物品Gに異物F(
図4参照)が含まれているか否かを判定する。制御部10は、画像の各画素の輝度と、物品Gの異物検査に係る第1閾値T1(
図4参照)と、を用いて、物品Gにおける異物Fの有無を判定する。
【0023】
具体的には、制御部10は、ソフト画像P10とハード画像P20との大きさ、輝度、位置等を合わせる処理を行い、当該処理を行ったソフト画像P10の輝度値とハード画像P20の輝度値とを各画素で除算することにより、ソフト画像P10及びハード画像P20の差異を抽出する処理を行う。制御部10は、差異を抽出した画像においてノイズを除去した処理画像を生成し、当該処理画像を一定の値を閾値として2値化し、2値化画像を生成する(2値化)。制御部10は、2値化画像とハード画像P20とを重ね合わせて、判定画像P30(
図4参照)を生成する。
【0024】
制御部10は、判定画像P30に基づいて、物品Gに異物Fが含まれているか否かを判定する。
図4に示されるように、制御部10は、判定画像P30において、輝度値が第1閾値T1を超えている場合には、物品Gに異物Fが含まれていると判定する。本実施形態では、制御部10は、第1処理において、物品Gに1つの異物Fが含まれていると判定する。制御部10は、第1処理による第1判定結果を記憶部に記憶させる。なお、第1閾値T1は、物品Gの性質に応じて、試験等によって適宜設定される。具体的には、第1閾値T1は、異物が混入されたサンプルを用いて設定することができる。
【0025】
制御部10は、第2処理を実施することにより、物品Gの品質の良否を判定する。本実施形態では、制御部10は、物品Gにおいて、他の部分よりも硬い部位W(
図5参照)が含まれている場合、物品Gが不良品であると判定する。制御部10は、画像の各画素の輝度と、物品Gの品質検査に係る第1閾値T1よりも低い第2閾値T2と、を用いて、物品Gの品質の良否を判定する。制御部10は、第2処理において、輝度が第1閾値T1未満であり且つ第2閾値T2以上である画素の範囲が所定範囲以上である場合、物品Gが不良品であると判定する。
【0026】
具体的には、制御部10は、判定画像P30に基づいて、物品Gの品質の良否を判定する。
図5に示されるように、制御部10は、判定画像P30において、輝度が第1閾値T1未満であり且つ第2閾値T2以上である画素の範囲が所定範囲以上である場合、物品Gが不良品であると判定する。詳細には、制御部10は、第1閾値T1未満であり且つ第2閾値T2以上である輝度に基づいて画像の2値化処理を行い、2値化画像における領域の面積を取得し、当該領域の面積が所定面積以上である場合、物品Gが不良品であると判定する。制御部10は、画像処理によって、判定画像P30における上記領域の面積を取得する。制御部10は、第2処理による第2判定結果を記憶部に記憶させる。なお、第2閾値T2及び所定面積は、物品Gの性質に応じて、試験等によって適宜設定される。具体的には、第2閾値T2及び所定面積は、硬い部位Wを有するサンプルを用いて設定することができる。
【0027】
制御部10は、第1処理及び第2処理を並行して実施する。制御部10は、第1処理において物品Gに異物Fが有ると判定した場合、及び/又は、第2処理において物品Gが不良品であると判定した場合には、振分装置に振分信号を出力する。これにより、振分装置は、物品Gを生産ライン外に振り分ける。また、制御部10は、第1処理において物品Gに異物Fが有ると判定した場合、及び/又は、第2処理において物品Gが不良品であると判定した場合には、表示操作部8にその旨を表示させる。具体的には、制御部10は、物品Gに異物Fが有ると判定した場合には、異物混入を報知する情報を表示操作部8に表示させ、物品Gが不良品であると判定した場合には、不良品を報知する情報を表示操作部8に表示させる。
【0028】
続いて、X線検査装置1の動作について説明する。検査の対象となる物品Gは、搬入コンベア51から搬入口4aを介してX線検査装置1の検査領域Rに搬入される(
図1参照)。X線検査装置1では、X線照射部6が当該物品GにX線を照射し、X線検出部7が当該物品Gを透過した複数のエネルギー帯の各々のX線を検出する。本実施形態では、X線検出部7の第1ラインセンサ11によって低エネルギー帯のX線が検出され、X線検出部7の第2ラインセンサ12によって高エネルギー帯のX線が検出される(
図2参照)。
【0029】
制御部10は、第1ラインセンサ11による低エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、ソフト画像P10を生成し、第2ラインセンサ12による高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、ハード画像P20を生成する。続いて、制御部10は、生成したソフト画像P10及びハード画像P20から判定画像P30を生成する。
【0030】
制御部10は、判定画像P30に基づいて、第1処理を実施する。すなわち、制御部10は、異物Fの有無を検査する。また、制御部10は、判定画像P30に基づいて、第2処理を実施する。すなわち、制御部10は、不良品の有無を検査する。制御部10は、第1処理及び第2処理の少なくとも一方において、NG判定(異物混入判定、不良品判定)を行った場合には、振分装置に振分信号を出力する。また、制御部10は、NG判定の判定結果を表示操作部8に表示させる。
【0031】
以上説明したX線検査装置1の作用効果について説明する。本願発明者等は、物品Gにおいて品質不良の部分が存在する場合、X線の検出結果において、異物Fとは異なる特徴が出現するという知見を得た。物品Gにおいて他の部分よりも硬い部位Wは、異物Fほどは検出結果に顕著に現れないが、ある程度の範囲(面積)を有している。このような知見に基づき、本願発明者等は、輝度の閾値と範囲との関連性を見出した。そこで、本実施形態に係るX線検査装置1では、制御部10は、輝度が第1閾値T1未満であり且つ第2閾値T2以上である画素の範囲が所定範囲以上である場合、物品Gが不良品であると判定する。これにより、X線検査装置1では、異物検査だけではなく、物品Gの品質検査も行うことができる。したがって、X線検査装置1では、検査精度の向上が図れる。
【0032】
本実施形態に係るX線検査装置1では、X線検出部7は、物品Gを透過した第1エネルギー帯のX線を検出する第1ラインセンサ11と、物品Gを透過した第1エネルギー帯とは異なる第2エネルギー帯のX線を検出する第2ラインセンサ12と、を有している。制御部10は、第1ラインセンサ11及び第2ラインセンサ12の検出結果から作成される画像に基づいて、物品Gを検査する。物品Gにおいては、物性によって、2つのエネルギー帯のX線の吸収が異なる。そのため、X線検査装置1では、2つの異なるエネルギー帯の検出結果から作成されたソフト画像P10及びハード画像P20を使用することにより、異物又は品質不良をより顕著に捉えることが可能となる。その結果、X線検査装置1では、検査精度の向上をより一層図れる。
【0033】
本実施形態に係るX線検査装置1では、制御部10は、第1閾値T1未満であり且つ第2閾値T2以上である輝度に基づいてソフト画像P10及びハード画像P20に基づく画像の2値化処理を行い、2値化画像における領域の面積を取得し、当該領域の面積が所定面積以上である場合、物品Gが不良品であると判定する。この構成では、物品Gの品質の良否の判定をより精度良く行うことができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0035】
上記実施形態では、X線検出部7が第1ラインセンサ11及び第2ラインセンサ12を有している形態を一例に説明した。しかし、X線検出部は、少なくとも1つのラインセンサを有していればよい。この場合、制御部10は、1つの透過画像に基づいて、2つの異なる画像処理アルゴリズムを用いて異物Fの判定を実施する。
【0036】
上記実施形態では、制御部10は、第2処理において、物品Gにおいて硬い部位W(
図5参照)が含まれている場合、物品Gが不良品であると判定する形態を一例に説明した。しかし、制御部10は、第2処理において、他の要因に基づいて物品Gの品質の良否を判定してもよい。例えば、制御部10は、物品Gにおいて柔らか過ぎる部位が含まれている場合、物品Gの中身が疎である場合、物品G(肉)において脂身の部位が多い場合(赤身と脂身とのバランスが悪い場合)等に、物品Gの品質不良であると判定してもよい。
【0037】
上記実施形態では、X線検査装置1が搬送部5を備える形態を一例に説明した。しかし、X線検査装置は、搬送部を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…X線検査装置、6…X線照射部、7…X線検出部、11…第1ラインセンサ(第1検出部)、12…第2ラインセンサ(第2検出部)、F…異物、G…物品、T1…第1閾値、T2…第2閾値。