(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】基地局、通信端末、通信システム、制御方法、および、通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20231130BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231130BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021025061
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】辻 和輝
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 雅央
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丞
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531572(JP,A)
【文献】特許第6813202(JP,B1)
【文献】特開2019-158781(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088402(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0353921(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0268842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と無線通信を行う基地局であって、
前記通信端末から送信された、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信する基地局受信部と、
前記基地局受信部が前記認証要求または前記帰属要求を受信した場合に、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を算出する第1時刻算出部と、
前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記第1時刻を示す第1時刻情報を含ませる基地局送信部と、
前記第1時刻に基づいて、前記基地局送信部が起床する基地局起床時刻を算出する基地局起床時刻算出部と、
前記基地局送信部が、前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局送信部をスリープ状態とし、前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局送信部を起床させる基地局制御部と、を備える
基地局。
【請求項2】
前記基地局制御部は、さらに、前記基地局送信部が前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局受信部をスリープ状態とし、前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局受信部を起床させる
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
さらに、時刻を計時する基地局計時部を備え、
前記基地局送信部は、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記基地局計時部によって計時された時刻を示す第2時刻情報を含ませる
請求項1または請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記認証要求および前記帰属要求の少なくとも一方に、前記通信端末によって計時された時刻を示す第3時刻情報が含まれ、
さらに、
時刻を計時する基地局計時部と、
前記第3時刻情報に基づいて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する基地局補正部と、を備える
請求項1または請求項2に記載の基地局。
【請求項5】
前記無線通信は、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項6】
前記無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠する
請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
前記無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠し、
前記基地局送信部は、さらに、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、前記帰属応答に、暗号化されたデータを含ませる
請求項5または請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
基地局と無線通信を行う通信端末であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信する端末送信部と、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された、前記通信端末が起床する端末起床時刻
、および、前記基地局が起床する基地局起床時刻、の双方に係る第1時刻を示す第1時刻情報を含む認証応答、および、前記帰属要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された前記第1時刻を示す前記第1時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信する端末受信部と、
前記第1時刻に基づいて、前記端末起床時刻を算出する端末起床時刻算出部と、
前記端末起床時刻算出部が前記端末起床時刻を算出した後に、前記通信端末をスリープ状態とし、前記通信端末がスリープ状態である場合において、前記端末起床時刻になると、前記通信端末を起床させる端末制御部と、を備える
通信端末。
【請求項9】
前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記基地局によって計時された時刻を示す第2時刻情報が含まれ、
さらに、
時刻を計時する端末計時部と、
前記第2時刻情報に基づいて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する端末補正部と、を備える
請求項8に記載の通信端末。
【請求項10】
さらに、時刻を計時する端末計時部を備え、
前記端末送信部は、前記認証要求および前記帰属要求の少なくとも一方に、端末計時部によって計時された時刻を示す第3時刻情報を含ませる
請求項8に記載の通信端末。
【請求項11】
前記無線通信は、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項12】
前記無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠する
請求項11に記載の通信端末。
【請求項13】
前記無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠し、
前記端末送信部は、さらに、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、前記帰属要求に、暗号化されたデータを含ませる
請求項11または請求項12に記載の通信端末。
【請求項14】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基地局と、
請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の通信端末と、を備える、
通信システム。
【請求項15】
基地局送信部を備え、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、
前記通信端末から送信された、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信し、
前記認証要求を受信した場合、または、前記帰属要求を受信した場合に、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を算出し、
前記基地局送信部が、前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記第1時刻を示す第1時刻情報を含ませ、
前記第1時刻に基づいて、前記基地局送信部が起床する基地局起床時刻を算出し、
前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局送信部をスリープ状態とし、
前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局送信部を起床させる
制御方法。
【請求項16】
基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信し、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された、前記通信端末が起床する端末起床時刻
、および、前記基地局が起床する基地局起床時刻、の双方に係る第1時刻を示す第1時刻情報を含む認証応答、および、前記帰属要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記第1時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信し、
前記第1時刻に基づいて、前記端末起床時刻を算出し、
前記端末起床時刻を算出した後に、前記通信端末をスリープ状態とし、前記通信端末がスリープ状態である場合において、前記端末起床時刻になると、前記通信端末を起床させる
制御方法。
【請求項17】
通信端末と基地局とが無線通信を行う通信方法であって、
前記通信端末が、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を送信し、前記基地局が認証応答および帰属応答のうち少なくとも一方を送信する無線接続ステップと、
前記無線接続ステップの際に、前記通信端末および前記基地局のいずれか一方から他方に対して、当該他方が起床する
他方起床時刻
、および、当該一方が起床する一方起床時刻、の双方に係る第1時刻を送信する第1時刻送信ステップと、
前記第1時刻送信ステップの後に、前記
一方の少なくとも一部、および、前記
他方の少なくとも一部がスリープ状態に移行するスリープ移行ステップと、
前記スリープ移行ステップの後に、前記
一方の少なくとも一部、および、前記
他方の少なくとも一部がスリープ状態である場合において、前記
一方起床時刻になると、前記
一方の少なくとも一部
が起床し、前記他方起床時刻になると、前記他方の少なくとも一部が起床する起床ステップ、とを含む
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、通信端末、通信システム、制御方法、および、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに無線通信を行う基地局と通信端末とからなる通信システムが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、基地局と無線通信を行う通信端末における消費電力を抑制する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信システムにおいて、通信端末における消費電力を抑制することだけではなく、基地局における消費電力を抑制することも望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、基地局における消費電力を抑制すること、および、通信端末における消費電力を抑制することができる基地局、通信端末、通信システム、制御方法、および、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る基地局は、通信端末と無線通信を行う基地局であって、前記通信端末から送信された、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信する基地局受信部と、前記基地局受信部が前記認証要求または前記帰属要求を受信した場合に、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を算出する第1時刻算出部と、前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記第1時刻を示す第1時刻情報を含ませる基地局送信部と、前記第1時刻に基づいて、前記基地局送信部が起床する基地局起床時刻を算出する基地局起床時刻算出部と、前記基地局送信部が、前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局送信部をスリープ状態とし、前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局送信部を起床させる基地局制御部と、を備える。
【0008】
上記構成の基地局によると、第1時刻情報を通信端末に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局送信部による消費電力を抑制することができる。
【0009】
さらに、上記構成の基地局によると、基地局送信部がスリープ状態である期間、基地局は、通信端末へ情報を送信しない。このため、通信端末は、この期間、基地局から送信される情報を受信するための機能を停止することができる。すなわち、この期間における通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0010】
また、前記基地局制御部は、さらに、前記基地局送信部が前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局受信部をスリープ状態とし、前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局受信部を起床させるとしてもよい。
【0011】
これにより、第1時刻情報を通信端末に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部に加えて基地局受信部もスリープ状態にすることができ、この期間における基地局による消費電力をさらに抑制することができる。
【0012】
また、さらに、時刻を計時する基地局計時部を備え、前記基地局送信部は、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記基地局計時部によって計時された時刻を示す第2時刻情報を含ませるとしてもよい。
【0013】
これにより、通信端末は、第2時刻情報を利用して、通信端末によって計時される時刻を補正することができ、基地局および通信端末の起床時刻を確実に同期することができる。
【0014】
また、前記認証要求および前記帰属要求の少なくとも一方に、前記通信端末によって計時された時刻を示す第3時刻情報が含まれ、さらに、時刻を計時する基地局計時部と、前記第3時刻情報に基づいて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する基地局補正部と、を備えるとしてもよい。
【0015】
これにより、基地局は、第3時刻情報を利用して、基地局によって計時される時刻を補正することができ、基地局および通信端末の起床時刻を確実に同期することができる。
【0016】
また、前記無線通信は、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠するとしてもよい。
【0017】
上記構成の基地局によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に含まれて通信端末に送信される。このため、第1情報を通信端末に送信するための、通信端末への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0018】
また、前記無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠するとしてもよい。
【0019】
上記構成の基地局によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に含まれて通信端末に送信される。このため、第1情報を通信端末に送信するための、通信端末への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0020】
また、前記無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠し、前記基地局送信部は、さらに、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、前記帰属応答に、暗号化されたデータを含ませるとしてもよい。
【0021】
これにより、暗号化されたデータは、前記帰属応答に含まれて通信端末に送信される。このため、暗号化されたデータを通信端末に送信するための、通信端末への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0022】
本発明の一態様に係る通信端末は、基地局と無線通信を行う通信端末であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信する端末送信部と、前記認証要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を示す第1時刻情報を含む認証応答、および、前記帰属要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された前記第1時刻を示す前記第1時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信する端末受信部と、前記第1時刻に基づいて、前記端末起床時刻を算出する端末起床時刻算出部と、前記端末起床時刻算出部が前記端末起床時刻を算出した後に、前記通信端末をスリープ状態とし、前記通信端末がスリープ状態である場合において、前記端末起床時刻になると、前記通信端末を起床させる端末制御部と、を備える。
【0023】
上記構成の通信端末によると、端末起床時刻を算出した後から、端末起床時刻までの期間、通信端末をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0024】
さらに、上記構成の通信端末によると、通信端末がスリープ状態である期間、通信端末は、基地局から送信される情報を受信しない。このため、基地局は、この期間、通信端末に情報を送信するための機能を停止することができる。すなわち、この期間における基地局による消費電力を抑制することができる。
【0025】
また、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記基地局によって計時された時刻を示す第2時刻情報が含まれ、さらに、時刻を計時する端末計時部と、前記第2時刻情報に基づいて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する端末補正部と、を備えるとしてもよい。
【0026】
これにより、通信端末は、第2時刻情報を利用して、通信端末によって計時される時刻を補正することができ、基地局および通信端末の起床時刻を正確に同期することができる。
【0027】
また、さらに、時刻を計時する端末計時部を備え、前記端末送信部は、前記認証要求および前記帰属要求の少なくとも一方に、端末計時部によって計時された時刻を示す第3時刻情報を含ませるとしてもよい。
【0028】
これにより、基地局は、第3時刻情報を利用して、基地局によって計時される時刻を補正することができ、基地局および通信端末の起床時刻を正確に同期することができる。
【0029】
また、前記無線通信は、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠するとしてもよい。
【0030】
上記構成の通信端末によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に含まれて基地局から受信される。このため、第1情報を基地局から受信するための、基地局からの情報の受信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0031】
また、前記無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠するとしてもよい。
【0032】
上記構成の通信端末によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に含まれて基地局から受信される。このため、第1情報を基地局から受信するための、基地局からの情報の受信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0033】
また、前記無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠し、前記端末送信部は、さらに、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、前記帰属要求に、暗号化されたデータを含ませるとしてもよい。
【0034】
これにより、暗号化されたデータは、前記帰属要求に含まれて基地局に送信される。このため、暗号化されたデータを基地局に送信するための、基地局への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局と通信端末との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0035】
本発明の一態様に係る通信システムは、上記基地局と上記通信端末とを備える。
【0036】
上記構成の通信システムによると、第1時刻情報を通信端末に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局送信部による消費電力を抑制することができる。
【0037】
また、上記構成の通信システムによると、端末起床時刻を算出した後から、端末起床時刻までの期間、通信端末をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0038】
本発明の一態様に係る制御方法は、基地局送信部を備え、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、前記通信端末から送信された、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信し、前記認証要求を受信した場合、または、前記帰属要求を受信した場合に、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を算出し、前記基地局送信部が、前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、前記認証応答および前記帰属応答の少なくとも一方に、前記第1時刻を示す第1時刻情報を含ませ、前記第1時刻に基づいて、前記基地局送信部が起床する基地局起床時刻を算出し、前記第1時刻情報を前記通信端末に送信した後に、前記基地局送信部をスリープ状態とし、前記基地局送信部がスリープ状態である場合において、前記基地局起床時刻になると、前記基地局送信部を起床させる。
【0039】
上記制御方法によると、第1時刻情報を通信端末に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局送信部による消費電力を抑制することができる。
【0040】
さらに、上記制御方法によると、基地局送信部がスリープ状態である期間、基地局は、通信端末へ情報を送信しない。このため、通信端末は、この期間、基地局から送信される情報を受信するための機能を停止することができる。すなわち、この期間における通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0041】
このように、上記制御方法によると、基地局における消費電力を抑制すること、および、通信端末における消費電力を抑制することができる。
【0042】
本発明の一態様に係る制御方法は、基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信し、前記認証要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記基地局によって算出された、前記通信端末が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を示す第1時刻情報を含む認証応答、および、前記帰属要求を受信した前記基地局から送信され、かつ、前記第1時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信し、前記第1時刻に基づいて、前記端末起床時刻を算出し、前記端末起床時刻を算出した後に、前記通信端末をスリープ状態とし、前記通信端末がスリープ状態である場合において、前記端末起床時刻になると、前記通信端末を起床させる。
【0043】
上記制御方法によると、端末起床時刻を算出した後から、端末起床時刻までの期間、通信端末をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0044】
さらに、上記制御方法によると、通信端末がスリープ状態である期間、通信端末は、基地局から送信される情報を受信しない。このため、基地局は、この期間、通信端末に情報を送信するための機能を停止することができ、基地局による消費電力をさらに抑制することができる。
【0045】
このように、上記制御方法によると、基地局における消費電力を抑制すること、および、通信端末における消費電力を抑制することができる。
【0046】
本発明の一態様に係る通信方法は、通信端末と基地局とが無線通信を行う通信方法であって、前記通信端末が、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を送信し、前記基地局が認証応答および帰属応答のうち少なくとも一方を送信する無線接続ステップと、前記無線接続ステップの際に、前記通信端末および前記基地局のいずれか一方から他方に対して、当該他方が起床する起床時刻に係る第1時刻を送信する第1時刻送信ステップと、前記第1時刻送信ステップの後に、前記基地局の少なくとも一部、および、前記通信端末の少なくとも一部がスリープ状態に移行するスリープ移行ステップと、前記スリープ移行ステップの後に、前記基地局の少なくとも一部、および、前記通信端末の少なくとも一部がスリープ状態である場合において、前記起床時刻になると、前記基地局の少なくとも一部、および、前記通信端末の少なくとも一部が起床する起床ステップ、とを含む。
【0047】
上記通信方法によると、スリープ移行ステップを実行した後から、起床時刻までの期間、基地局の少なくとも一部、および、通信端末をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局および通信端末による消費電力を抑制することができる。
【0048】
このように、上記通信方法によると、基地局における消費電力を抑制すること、および、通信端末における消費電力を抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明の一態様に係る基地局、通信端末、通信システム、制御方法、および、通信方法によれば、基地局における消費電力を抑制すること、および、通信端末における消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る通信システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る通信端末と基地局との間で送信される通信フレームの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る通信システムが繰り返し行う第1処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る通信システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る通信システムが繰り返し行う第2処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施の形態3に係る通信システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る通信システムが繰り返し行う第3処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0053】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0054】
(第1の実施の形態)
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る通信システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0055】
図1に示すように、通信システム1は、通信端末10と、基地局20とを備える。
図1では簡略化して基地局と通信端末を1:1の最小構成として図示したが、基地局1台に対し複数の端末を備えるシステムであってもよい。
【0056】
通信端末10は、基地局20と無線通信を行う。通信端末10は、基地局20を親機とする子機であり、一般的にステーションとも呼ばれる。
【0057】
たとえば、通信端末10と基地局20との無線通信は、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信であってもよい。具体的には、たとえば、通信端末10と基地局20との無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信であってもよい。ここでは、通信端末10と基地局20との無線通信は、920MHz帯でなされる、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信であるとして説明する。
【0058】
また、たとえば、通信端末10と基地局20との無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠する無線通信であってもよい。ここでは、通信端末10と基地局20との無線通信は、IEEE802.11ai規格に準拠する無線通信であるとして説明する。
【0059】
図1に示すように、通信端末10は、端末送信部11と、端末受信部12と、端末起床時刻算出部13と、端末計時部14と、端末補正部15と、端末制御部16とを備える。
【0060】
端末送信部11は、認証要求(Authentication)および帰属要求(Association Request)のうちの少なくとも一方を基地局20に送信する。ここでは、端末送信部11は、認証要求および帰属要求を基地局20に送信するとして説明する。
【0061】
認証要求は、通信端末10と基地局20との無線接続を確立させて通信端末10と基地局20とが無線通信を行うために、通信端末10を基地局20に無線接続するための認証を受けるための要求である。帰属要求は、通信端末10と基地局20との無線接続を確立させて通信端末10と基地局20とが無線通信を行うために、通信端末10を基地局20に帰属させるための要求である。
【0062】
図2は、通信端末10と基地局20との間で送受信される通信フレームの一例を示す模式図である。
【0063】
図2に示すように、通信フレームは、たとえばIEEE Std.802.11-2016の9.4.2.26のVendor Specific Element(以下、VSEとも称する)を含んでいる。たとえば、認証要求の送信、および、認証要求に対する応答である認証応答(Authentication)の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.12のAuthentication frame formatに、当該VSEを付与した通信フレームが用いられる。また、帰属要求の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.6のAssociation Request frame formatに、当該VSEを付与した通信フレームが用いられる。また、帰属要求に対する応答である帰属応答(Association Response)の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.7のAssociation Response frame formatに、当該VSEを付与した通信フレームが用いられる。
【0064】
通信端末10と基地局20との間で送信される通信フレームは、Element IDと、Lengthと、Organization Identifierと、Vendor-specific Contentとを含んでいる。
【0065】
Element IDは、Elementを識別するためのIDであり、ここでは、VSEであることを示す221が使用される。
【0066】
Lengthは、Elementのデータ長を示す。
【0067】
Organization Identifierは、通信フレームの送信元(組織)を識別するための情報であり、IEEEによって割り当てられた一意の識別子が含められる。
【0068】
また、本発明の実施形態の一例としては、Vendor-specific Contentに、時刻を示す時刻情報(たとえば、後述する第1時刻情報、第2時刻情報等)が含まれる。たとえば、Vendor-specific Contentには、マイクロ秒単位でカウントアップした8バイトのデータが含められる。
【0069】
なお、認証要求、帰属要求、認証応答、および、帰属応答の送信に用いられる通信フレームは、上記の構成に限定されず、時刻情報を含めることができる通信フレームを用いることができればよい。
【0070】
再び
図1に戻って、通信システム1の構成についての説明を続ける。
【0071】
端末送信部11は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属要求に、暗号化されたデータを含ませることができる。ここでは、端末送信部11は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属要求に、暗号化されたデータを含ませるとして説明する。
【0072】
端末送信部11は、たとえば、通信端末10が備えるCPU(Central Processing Unit、図示せず)が、通信端末10が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行して、通信端末10が備えるアンテナ(図示せず)およびRF(Radio Frequency)回路(図示せず)を利用する処理を行うことで実現される。
【0073】
端末受信部12は、認証要求を受信した基地局20から送信され、かつ、認証要求を受信した基地局20によって算出された、通信端末10が起床する端末起床時刻に係る第1時刻を示す第1時刻情報を含む認証応答、および、帰属要求を受信した基地局20から送信され、かつ、帰属要求を受信した基地局20によって算出された上記第1時刻を示す上記第1時刻情報を含む帰属応答のうちの少なくとも一方を受信する。
【0074】
ここで、第1時刻情報は、基地局20から通信端末10へと送信される通信フレームに含まれるVSEのVendor-specific Contentに埋め込まれることで、認証応答、および/または、帰属応答に含まれて、基地局20から通信端末10へと送信される。そして、端末受信部12は、その認証応答、および/または、その帰属応答を受信する。
【0075】
ここでは、端末受信部12は、帰属要求を受信した基地局20から送信され、かつ、帰属要求を受信した基地局20によって算出された上記第1時刻を示す上記第1時刻情報を含む帰属応答を受信し、認証要求を受信した基地局20から送信された認証応答を受信するとして説明する。
【0076】
端末受信部12は、IEEE802.11ai規格におけるHLP(Higher Layer Protocol)機能を利用して、帰属応答に含まれる、暗号化されたデータを受信することができる。
【0077】
すなわち、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用すると、通信端末10と基地局20との間で無線接続を確立するときに上位プロトコル(例えば、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol))との間で暗号化されてデータの受け渡しが行われ得る。
【0078】
また、端末受信部12によって受信される認証応答および帰属応答の少なくとも一方に、基地局20によって計時された時刻を示す第2時刻情報が含まれるとしてもよい。
【0079】
ここで、第2時刻情報は、基地局20から通信端末10へと送信される通信フレームに含まれるVSEのVendor-specific Contentに埋め込まれることで、認証応答、および/または、帰属応答に含まれて、基地局20から通信端末10へと送信される。第2時刻情報は、基地局20から通信端末10にいずれかの当該応答を返す際に計時される時刻である。そして、端末受信部12は、その認証応答、および/または、帰属応答とともに第2時刻情報を受信する。
【0080】
ここでは、端末受信部12によって受信される帰属応答に、第2時刻情報が含まれるとして説明する。
【0081】
端末受信部12は、たとえば、通信端末10が備えるCPU(Central Processing Unit、図示せず)が、通信端末10が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行して、通信端末10が備えるアンテナ(図示せず)およびRF回路(図示せず)を利用する処理を行うことで実現される。
【0082】
端末起床時刻算出部13は、第1時刻情報および端末補正部15で補正された端末計時部14により計時される時刻(後で説明する)に基づいて、端末起床時刻を算出する。端末起床時刻算出部13は、たとえば、通信端末10が備えるCPU(図示せず)が、通信端末10が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0083】
端末計時部14は、時刻を計時する。端末計時部14は、たとえば、通信端末10が備えるタイマ(図示せず)によって実現される。また、端末計時部14は、たとえば、通信端末10が備える、クロック信号に同期して動作するカウンタ(図示せず)によって実現されるとしてもよい。
【0084】
端末補正部15は、第2時刻情報に基づいて、端末計時部14により計時される時刻を補正する。端末補正部15は、たとえば、通信端末10が備えるCPU(図示せず)が、通信端末10が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0085】
端末制御部16は、端末起床時刻算出部13が端末起床時刻を算出した後に、通信端末10をスリープ状態とし、通信端末10がスリープ状態である場合において、端末起床時刻になると、通信端末10を起床させる。
【0086】
ここで、通信端末10のスリープ状態とは、通信端末10の少なくとも一部の動作が制限された状態のことをいう。通信端末10がスリープ状態となることで、通信端末10の消費電力が抑制される。通信端末10のスリープ状態は、たとえば、通信端末10が有する機能のうち、時刻を計時する機能と、スリープ状態の通信端末10を起床させる機能とを除く機能が停止された状態であってもよいし、たとえば、通信端末10が間欠動作する状態であってもよい。また、ここで、スリープ状態の通信端末10を起床させるとは、スリープ状態の通信端末10に対して、スリープ状態を解除させることをいう。
【0087】
基地局20は、通信端末10と無線通信を行う。基地局20は、通信端末10を子機とする親機であり、一般的にアクセスポイントとも呼ばれる
図1に示すように、基地局20は、基地局受信部22と、基地局送信部21と、基地局起床時刻算出部23と、基地局計時部24と、第1時刻算出部25と、基地局制御部26とを備える。
【0088】
基地局受信部22は、通信端末10から送信された、無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうちの少なくとも一方を受信する。
【0089】
ここでは、基地局受信部22は、通信端末10から送信された、認証情報と帰属要求とを受信するとして説明する。
【0090】
基地局受信部22は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属要求に含まれる、暗号化されたデータを受信することができる。
【0091】
基地局受信部22は、たとえば、基地局20が備えるCPU(図示せず)が、基地局20が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行して、基地局20が備えるアンテナ(図示せず)およびRF回路(図示せず)を利用する処理を行うことで実現される。
【0092】
第1時刻算出部25は、基地局受信部22が認証要求または帰属要求を受信した場合に、端末起床時刻に係る第1時刻を算出する。
【0093】
ここでは、第1時刻算出部25は、基地局受信部22が帰属要求を受信した場合に、端末起床時刻に係る第1時刻を算出するとして説明する。
【0094】
なお、第1時刻算出部25は、基地局受信部22が認証要求を受信した場合に、端末起床時刻に係る第1時刻を算出するとしてもよい。
【0095】
また、第1時刻算出部25は、たとえば、基地局20から通信端末10へ送信すべきデータ量に基づいて、第1時刻を算出するとしてもよいし、たとえば、通信端末10に要求される消費電力の上限、または、基地局20に要求される消費電力の上限に基づいて、第1情報を算出するとしてもよいし、たとえば、予め定められた時刻を第1時刻として算出するとしてもよい。
【0096】
第1時刻算出部25は、たとえば、基地局20が備えるCPU(図示せず)が、基地局20が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0097】
基地局起床時刻算出部23は、第1時刻情報に基づいて、基地局起床時刻を算出する。基地局起床時刻算出部23は、たとえば、基地局20が備えるCPU(図示せず)が、基地局20が備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0098】
基地局計時部24は、時刻を計時する。基地局計時部24は、たとえば、基地局20が備えるタイマ(図示せず)によって実現される。また、基地局計時部24は、たとえば、基地局20が備える、クロック信号に同期して動作するカウンタ(図示せず)によって実現されるとしてもよい。
【0099】
基地局送信部21は、基地局受信部22が通信端末10からの認証要求を受信した場合には認証応答を通信端末10に送信し、基地局受信部22が通信端末10からの帰属要求を受信した場合には帰属応答を通信端末10に送信し、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に、第1時刻を示す第1時刻情報を含ませる。ここでは、帰属応答に第1時刻情報を含ませるとして説明する。
【0100】
基地局送信部21は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属応答に、暗号化されたデータを含ませることができる。
【0101】
基地局送信部21は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に、基地局計時部24によって計時された時刻を示す第2時刻情報を含ませることができる。
【0102】
ここで、第2時刻情報は、基地局20から通信端末10へと送信される通信フレームに含まれるVSEに埋め込まれることで、認証応答、および/または、帰属応答に含まれて、基地局20から通信端末10へと送信される。
【0103】
ここでは、基地局送信部21は、帰属応答に第2時刻情報を含ませるとして説明する。
【0104】
基地局制御部26は、基地局送信部21が第1時刻情報を通信端末10に送信した後に、基地局送信部21をスリープ状態とし、基地局送信部21がスリープ状態である場合において、基地局起床時刻になると、基地局送信部21を起床させる。
【0105】
ここで、基地局送信部21のスリープ状態とは、基地局送信部21の少なくとも一部の動作が制限された状態のことをいう。基地局送信部21がスリープ状態となることで、基地局送信部21の消費電力が抑制される。すなわち、基地局20の消費電力が抑制される。基地局送信部21のスリープ状態とは、たとえば、基地局送信部21が停止されている状態であってもよいし、たとえば、基地局送信部21が間欠動作する状態であってもよい。また、ここで、基地局送信部21を起床させるとは、スリープ状態の基地局送信部21に対して、スリープ状態を解除させることをいう。
【0106】
なお、基地局20のうち基地局送信部21のみをスリープ状態にさせるとすると、一定の消費電力の低減が見込めるとともに、他の通信端末からの接続要求などには受信対応が可能な状態となる。
【0107】
[1-2.動作]
上記構成の通信システム1は、スリープ状態が解除された状態である起床状態の通信端末10と、基地局送信部21が起床状態の基地局20との間で、データの送受信を行う第1のデータ送受信処理を繰り返し行う。
【0108】
より具体的には、通信システム1は、(1)通信端末10と基地局送信部21とがスリープ状態である状態から、(2)通信端末10と基地局送信部21とが起床して、(3)通信端末10と基地局20との間で第1のデータ送受信処理を行い、(4)第1のデータ送受信処理が終了した後に、通信端末10と基地局送信部21とがスリープ状態となる、という一連の処理(以下、「第1処理」とも称する)を繰り返し行う。
【0109】
以下、通信システム1が繰り返し行う第1処理について、図面を参照しながら説明する。
【0110】
図3は、通信システム1が繰り返し行う第1処理の一例を示すシーケンス図である。
【0111】
以下では、通信端末10と基地局送信部21とがスリープ状態である状態を初期状態として説明する。
【0112】
なお、
図3に示す第1処理は、
図3における第1処理の前に既に通信端末10と基地局20との間で無線接続を確立するための手順の一部が行われている前提で説明する。ここで、無線接続を確立するための手順の一部については、既知の技術(たとえば、プローブ要求および応答処理など)であり、詳細に説明しないが、何れにしても通信端末10と基地局20との間で無線通信を既に開始できる状態にある。
【0113】
図3に示すように、通信端末10と基地局送信部21とがスリープ状態である初期状態において、端末起床時刻T1になると、端末制御部16は、通信端末10を起床させ(ステップS10)、基地局起床時刻T2になると、基地局制御部26は、基地局送信部21を起床させる(ステップS11)。
【0114】
ここで、端末起床時刻は、前回行われた第1処理におけるステップS23の処理(後述)により算出される。今回行われる第1処理が、通信システム1において最初に行われる処理である場合には、たとえば、端末起床時刻は、予め設定された時刻であるとしてもよい。また、基地局起床時刻は、前回行われた第1処理におけるステップS25の処理(後述)により算出される。今回行われる第1処理が、通信システム1において最初に行われる処理である場合には、たとえば、基地局起床時刻は、予め設定された時刻であるとしてもよい。
【0115】
通信端末10と基地局送信部21とが起床状態となると、通信端末10と基地局20とは、第1のデータ送受信処理を開始する。
【0116】
第1のデータ送受信処理が開始されると、端末送信部11は、認証要求を基地局20に送信する(ステップS12)。すると、基地局受信部22は、その認証要求を受信する(ステップS13)。
【0117】
基地局受信部22が認証要求を受信すると、基地局送信部21は、その認証要求への応答である認証応答を通信端末10に送信する(ステップS14)。すると、端末受信部12は、その認証応答を受信する(ステップS15)。
【0118】
端末受信部12が認証応答を受信すると、端末送信部11は、帰属要求を基地局20に送信する(ステップS16)。この際、端末送信部11は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属要求に暗号化されたデータを含ませる。そして、暗号化されたデータを含ませた帰属要求を基地局20に送信する。すると、基地局受信部22は、その帰属要求を受信する(ステップS17)。
【0119】
基地局受信部22が帰属要求を受信すると、第1時刻算出部25は、第1時刻を算出する(ステップS18)。
【0120】
第1時刻算出部25が第1時刻を算出すると、基地局送信部21は、第1時刻情報と、基地局計時部24により計時された時刻を示す第2時刻情報とを、ステップS17の処理において受信された帰属要求に対する帰属応答に埋め込み(ステップS19)、その帰属応答を通信端末10に送信する(ステップS20)。この際、基地局送信部21は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属応答に暗号化されたデータを含ませる。そして、暗号化されたデータを含ませた帰属応答を通信端末10に送信する。すると、端末受信部12は、その帰属応答を受信する(ステップS21)。
【0121】
ステップS21の処理において、端末受信部12が帰属応答を受信すると、通信端末10と基地局20とは、その第1のデータ送受信処理を終了する。
【0122】
通信端末10では、第1のデータ送受信処理が終了すると、端末補正部15は、第2時刻情報に基づいて、端末計時部14により計時される時刻を補正する(ステップS22)。
【0123】
端末補正部15が時刻を補正すると、端末起床時刻算出部13は、第1時刻情報に基づいて、端末起床時刻を算出する(ステップS23)。この際、端末起床時刻算出部13は、たとえば、端末制御部16が通信端末10を起床させてから、通信端末10が第1のデータ送受信処理を開始するまでの時間的マージンを見込んで、端末起床時刻を算出するとしてもよいし、たとえば、第1時刻を端末起床時刻と算出してもよい。
【0124】
端末起床時刻算出部13が、端末起床時刻を算出すると、端末制御部16は、通信端末10をスリープ状態に移行させる(ステップS24)。
【0125】
スリープ状態に移行した通信端末10は、次回行われる第1処理におけるステップS10の処理により起床される。
【0126】
一方、基地局20では、第1のデータ送受信処理が終了すると、基地局起床時刻算出部23は、第1時刻情報に基づいて、基地局起床時刻を算出する(ステップS25)。この際、基地局起床時刻算出部23は、たとえば、基地局制御部26が基地局受信部22を起床させてから、基地局20が第1のデータ送受信処理を開始するまでの時間的マージンを見込んで、基地局起床時刻を算出するとしてもよいし、たとえば、第1時刻を基地局起床時刻と算出してもよい。
【0127】
基地局起床時刻算出部23が、基地局起床時刻を算出すると、基地局制御部26は、基地局送信部21をスリープ状態に移行させる(ステップS26)。
【0128】
スリープ状態に移行した基地局送信部21は、次回行われる第1処理におけるステップS11の処理により起床される。
【0129】
[1-3.考察]
上記構成の基地局20によると、第1時刻情報を通信端末10に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部21をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局送信部21による消費電力を抑制することができる。
【0130】
したがって、基地局20によると、基地局20における消費電力を抑制することができる。
【0131】
上記構成の通信端末10によると、端末起床時刻を算出した後から、端末起床時刻までの期間、通信端末10をスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における通信端末10による消費電力を抑制することができる。
【0132】
したがって、通信端末10によると、通信端末10における消費電力を抑制することができる。
【0133】
上記構成の基地局20によると、暗号化されたデータは、帰属応答に含まれて通信端末10に送信される。このため、暗号化されたデータを通信端末10に送信するための、通信端末10への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局20と通信端末10との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信、たとえば、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0134】
上記構成の通信端末10によると、暗号化されたデータは、帰属要求に含まれて基地局20に送信される。このため、暗号化されたデータを基地局20に送信するための、基地局20への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局20と通信端末10との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信、たとえば、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0135】
上記構成の基地局20によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に(ここでは、帰属応答に)含まれて通信端末10に送信される。このため、第1情報を通信端末10に送信するための、通信端末10への情報の送信を別途必要としない。これにより、基地局20と通信端末10との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信、たとえば、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0136】
上記構成の通信端末10によると、第1時刻情報は、認証応答および帰属応答の少なくとも一方に(ここでは帰属応答に)含まれて基地局20から受信される。このため、第1情報を基地局20から受信するための、基地局20からの情報の受信を別途必要としない。これにより、基地局20と通信端末10との間の無線通信における送信時間が抑制される。このことは、単位時間当たりの送信時間が制限された通信規格に準拠する無線通信、たとえば、IEEE802.11ah規格に準拠する無線通信に、特に有用である。
【0137】
上記構成の通信端末10によると、第2時刻情報を利用して、通信端末10によって計時される時刻を補正することができる。
【0138】
基地局20は、基地局送信部21がスリープ状態である期間に、たとえば、ビーコンを定期的(たとえば、100ms周期)に送信しないとしてもよい。この場合、基地局20は、基地局送信部21がスリープ状態である期間にビーコンを送信できないが、基地局送信部21がスリープ状態である期間に、基地局受信部22がスリープ状態になっていないため、プローブリクエストのようなスキャンを受信でき、これに対し、基地局送信部21が起床してプローブレスポンスを送信できるようにしてもよい。このように、基地局20は、たとえ、基地局送信部21がスリープ状態である期間に一部の機能(ビーコンを送信しない)を停止していても、インフラストラクチャモードの仕様をある程度サポートすることができ、既存の通信端末にも対応できる。
【0139】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る通信システム1の一部が変更されて構成される実施の形態2に係る通信システムについて説明する。
【0140】
実施の形態1に係る通信システム1は、基地局送信部21が第1時刻情報を通信端末10に送信した後に、基地局送信部21がスリープ状態となり、基地局送信部21がスリープ状態である場合において、基地局起床時刻になると、基地局送信部21が起床する構成の一例であった。
【0141】
これに対して、実施の形態2に係る通信システムは、基地局送信部21が第1時刻情報を通信端末10に送信した後に、基地局送信部21に加えて基地局受信部22もスリープ状態となり、基地局送信部21がスリープ状態である場合において、基地局起床時刻になると、基地局送信部21と基地局受信部22とが起床する構成の一例である。
【0142】
以下では、実施の形態2に係る通信システムについて、通信システム1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、通信システム1との相違点を中心に説明する。
【0143】
[2-1.構成]
図4は、実施の形態2に係る通信システム1Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0144】
図4に示すように、通信システム1Aは、実施の形態1に係る通信システム1から、基地局20が基地局20Aに変更されて構成され、基地局制御部26が基地局制御部26Aに変更されて構成される。
【0145】
基地局制御部26Aは、基地局送信部21が第1時刻情報を通信端末10に送信した後に、基地局送信部21と基地局受信部22とをスリープ状態とし、基地局送信部21と基地局受信部22とがスリープ状態である場合において、基地局起床時刻になると、基地局送信部21と基地局受信部22とを起床させる。
【0146】
ここで、基地局受信部22のスリープ状態とは、基地局受信部22の少なくとも一部の動作が制限された状態のことをいう。基地局受信部22がスリープ状態となることで、基地局受信部22の消費電力が抑制される。すなわち、基地局20Aの消費電力が抑制される。基地局受信部22のスリープ状態とは、たとえば、基地局受信部22が停止されている状態であってもよいし、たとえば、基地局受信部22が間欠動作する状態であってもよい。また、ここで、基地局受信部22を起床させるとは、スリープ状態の基地局受信部22に対して、スリープ状態を解除させることをいう。
【0147】
[2-2.動作]
上記構成の通信システム1Aは、起床状態の通信端末10と、基地局送信部21と基地局受信部22とが起床状態の基地局20Aとの間で、第1のデータ送受信処理を繰り返し行う。
【0148】
より具体的には、通信システム1Aは、(1)通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とがスリープ状態である状態から、(2)通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とが起床して、(3)通信端末10と基地局20Aとの間で第1のデータ送受信処理を行い、(4)第1のデータ送受信処理が終了した後に、通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とがスリープ状態となる、という一連の処理(以下、「第2処理」とも称する)を繰り返し行う。
【0149】
以下、通信システム1Aが繰り返し行う第2処理について、実施の形態1に係る第1処理との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0150】
図5は、通信システム1Aが繰り返し行う第2処理の一例を示すシーケンス図である。
【0151】
以下では、通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とがスリープ状態である状態を初期状態として説明する。
【0152】
なお、
図5に示す第2処理は、
図3に示す実施の形態1に係る第1処理の場合と同様に、
図5における第2処理の前に既に通信端末10と基地局20Aとの間で無線接続を確立するための手順の一部が行われている前提で説明する。
【0153】
図5に示すように、第2処理は、実施の形態1に係る第1処理から、ステップS11の処理がステップS111の処理に変更され、ステップS26の処理がステップS126の処理に変更された処理である。このため、ここでは、ステップS111の処理とステップS126の処理とを中心に説明する。
【0154】
図5に示すように、通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とがスリープ状態である初期状態において、基地局起床時刻T2になると、基地局制御部26Aは、基地局送信部21と基地局受信部22とを起床させる(ステップS111)。
【0155】
ここで、基地局起床時刻は、前回行われた第2処理におけるステップS25の処理により算出される。今回行われる第2処理が、通信システム1Aにおいて最初に行われる処理である場合には、たとえば、基地局起床時刻は、予め設定された時刻であるとしてもよい。
【0156】
通信端末10と基地局送信部21と基地局受信部22とが起床状態となると、通信端末10と基地局20Aとは、第1のデータ送受信処理を開始する。
【0157】
ステップS25の処理において、基地局起床時刻算出部23が、基地局起床時刻を算出すると、基地局制御部26Aは、基地局送信部21と基地局受信部22とをスリープ状態とする(ステップS126)。
【0158】
スリープ状態となった基地局送信部21と基地局受信部22とは、次回行われる第2処理におけるステップS111の処理により起床される。
【0159】
[2-3.考察]
上記構成の基地局20Aによると、第1時刻情報を通信端末10に送信した後から、基地局起床時刻までの期間、基地局送信部21に加えて基地局受信部22もスリープ状態にすることができる。すなわち、この期間における基地局送信部21による消費電力に加えて、基地局受信部22による消費電力をも抑制することができる。
【0160】
したがって、基地局20Aによると、実施の形態1に係る基地局20よりもさらに、基地局20Aにおける消費電力を抑制することができる。
【0161】
このように、基地局20Aは、実施の形態1に係る基地局20よりもさらに消費電力を抑制することができる反面、基地局受信部22がスリープ状態となる。このため、基地局20Aは、通信端末10以外の機器と通信をする必要のない環境であって、基地局20Aの消費電力を抑制する必要がある環境において、特に有用となる。
【0162】
(実施の形態3)
以下、実施の形態1に係る通信システム1の一部が変更されて構成される実施の形態3に係る通信システムについて説明する。
【0163】
実施の形態1に係る通信システム1は、基地局20が、基地局計時部24により計時された時刻を示す第2時刻情報を通信端末10に送信し、通信端末10が、第2時刻情報に基づいて、端末計時部14により計時される時刻を補正する構成の一例であった。
【0164】
これに対して、実施の形態3に係る通信システムは、実施の形態3に係る通信端末が、端末計時部14により計時された時刻を示す第3時刻情報を実施の形態3に係る基地局20に送信し、基地局20が、第3時刻情報に基づいて、基地局計時部24により計時される時刻を補正する構成の一例である。
【0165】
以下では、実施の形態3に係る通信システムについて、通信システム1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、通信システム1との相違点を中心に説明する。
【0166】
[3-1.構成]
図6は、実施の形態3に係る通信システム1Bの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0167】
図6に示すように、通信システム1Bは、実施の形態1に係る通信システム1から、通信端末10が通信端末10Bに変更され、基地局20が基地局20Bに変更されて構成される。また、通信端末10Bは、通信端末10から、端末送信部11が端末送信部11Bに変更され、端末補正部15が削除されて構成される。また、基地局20Bは、基地局20から、基地局受信部22が基地局受信部22Bに変更され、基地局補正部27が追加されて構成される。
【0168】
端末送信部11Bは、実施の形態1に係る端末送信部11が有する機能に加えて、さらに、以下の機能を有する。
【0169】
すなわち、端末送信部11Bは、認証要求および帰属要求の少なくとも一方に、端末計時部14によって計時された時刻を示す第3時刻情報を含ませることができる。
【0170】
ここで、第3時刻情報は、通信端末10Bから基地局20Bへと送信される通信フレームに含まれるVSEに埋め込まれることで、認証要求、および/または、帰属要求に含まれて、通信端末10Bから基地局20Bへと送信される。
【0171】
ここでは、端末送信部11Bは、帰属要求に第3時刻情報を含ませるとして説明する。
【0172】
基地局受信部22Bは、実施の形態1に係る基地局受信部22が有する機能に加えて、さらに、以下の機能を有する。
【0173】
すなわち、基地局受信部22Bによって受信される認証要求および帰属要求の少なくとも一方に、通信端末10Bによって計時された時刻を示す第3時刻情報が含まれる。
【0174】
ここでは、基地局受信部22Bによって受信される帰属要求に、第3時刻情報が含まれるとして説明する。
【0175】
基地局補正部27は、第3時刻情報に基づいて、基地局計時部24により計時される時刻を補正する。基地局補正部27は、たとえば、基地局20Bが備えるCPU(図示せず)が、基地局20Bが備えるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0176】
[3-2.動作]
上記構成の通信システム1Bは、起床状態の通信端末10Bと、基地局送信部21が起床状態の基地局20Bとの間で、データの送受信を行う第2のデータ送受信処理を繰り返し行う。ここで、この第2のデータ送受信処理は、実施の形態1に係る第1のデータ送受信処理から、その一部の処理が変更された処理である。
【0177】
より具体的には、通信システム1Bは、(1)通信端末10Bと基地局送信部21とがスリープ状態である状態から、(2)通信端末10Bと基地局送信部21とが起床して、(3)通信端末10Bと基地局20Bとの間で第2のデータ送受信処理を行い、(4)第2のデータ送受信処理が終了した後に、通信端末10Bと基地局送信部21とがスリープ状態となる、という一連の処理(以下、「第3処理」とも称する)を繰り返し行う。
【0178】
以下、通信システム1Bが繰り返し行う第3処理について、実施の形態1に係る第1処理との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0179】
図7は、通信システム1Bが繰り返し行う第3処理の一例を示すシーケンス図である。
【0180】
以下では、通信端末10Bと基地局送信部21とがスリープ状態である状態を初期状態として説明する。
【0181】
なお、
図7に示す第3処理は、
図3に示す実施の形態1に係る第1処理の場合と同様に、
図7における第3処理の前に既に通信端末10Bと基地局20Bとの間で無線接続を確立するための手順の一部が行われている前提で説明する。
【0182】
図7に示すように、第3処理は、実施の形態1に係る第1処理から、ステップS16の処理~ステップS22の処理が、ステップS201の処理~ステップS207の処理に変更され、さらに、ステップS208の処理が追加された処理である。このため、ここでは、ステップS201の処理~ステップS207の処理とステップS208の処理とを中心に説明する。
【0183】
図7に示すように、ステップS15の処理において、端末受信部12が認証応答を受信すると、端末送信部11Bは、端末計時部14により計時された時刻を示す第3時刻情報を帰属要求に埋め込み(ステップS201)、その帰属要求を基地局20Bに送信する(ステップS202)。この際、端末送信部11Bは、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属要求に暗号化されたデータを含ませる。そして、暗号化されたデータを含ませた帰属要求を基地局20Bに送信する。すると、基地局受信部22Bは、その帰属要求を受信する(ステップS203)。
【0184】
基地局受信部22Bが帰属要求を受信すると、第1時刻算出部25は、第1時刻を算出する(ステップS204)。
【0185】
第1時刻算出部25が第1時刻を算出すると、基地局送信部21は、第1時刻情報を、ステップS203の処理において受信された帰属要求に対する帰属応答に埋め込み(ステップS205)、その帰属応答を通信端末10Bに送信する(ステップS206)。この際、基地局送信部21は、IEEE802.11ai規格におけるHLP機能を利用して、帰属応答に暗号化されたデータを含ませる。そして、暗号化されたデータを含ませた帰属応答を通信端末10Bに送信する。すると、端末受信部12は、その帰属応答を受信する(ステップS207)。
【0186】
ステップS207の処理において、端末受信部12が帰属応答を受信すると、通信端末10Bと基地局20Bとは、その第2のデータ送受信処理を終了する。
【0187】
通信端末10Bでは、第2のデータ送受信処理が終了すると、ステップS23の処理に進む。
【0188】
基地局20Bでは、第2のデータ送受信処理が終了すると、基地局補正部27は、第3時刻情報に基づいて、基地局計時部24により計時される時刻を補正する(ステップS208)。そして、ステップS25の処理に進む。
【0189】
[3-3.考察]
上記構成の通信端末10Bによると、第3時刻情報を利用して、基地局20Bにおいて計時される時刻を補正することができる。
【0190】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る通信システム等について、実施の形態1~実施の形態3に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0191】
例えば、ここまでに示した例では、起床時刻に係る第1時刻は、基地局で算出され、通信端末に向けて送信される例であったが、第1時刻は、通信端末側で算出され、基地局に向けて送信されてもよい。この態様は、通信端末と基地局とが1対1である場合だけでなく、1台の基地局に対して複数台の通信端末が存在する場合であっても適用可能である。その場合、基地局は、いずれかの通信端末が指定する第1時刻になると、スリープ状態であれば起床し、他の通信端末が指定する起床時刻を過ぎており起床済みであれば、そのまま起床を継続していればよい。なお、当該態様において、基地局のスリープ状態への移行する箇所は、基地局送信部のみであってもよいし、基地局の送信部および受信部の双方を含むものであってもよい。
【0192】
また、第1時刻は、通信端末と基地局の無線接続ステップ中に必要なフレーム(認証または帰属の要求または応答)に含ませるとしたが、通信中、例えば通信終了直前のフレームに含ませてもよい。あるいは、フレームに含めず、装置設置時、通信開始に先立って、管理者が各装置に設定(例えば、各通信終了60分後に起床などと設定)してもよい。
【0193】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、互いに無線通信を行う基地局と通信端末とからなる通信システム等に利用され得る。
【符号の説明】
【0195】
1、1A、1B 通信システム
10、10B 通信端末
11、11B 端末送信部
12 端末受信部
13 端末起床時刻算出部
14 端末計時部
15 端末補正部
16 端末制御部
20、20A、20B 基地局
21 基地局送信部
22、22B 基地局受信部
23 基地局起床時刻算出部
24 基地局計時部
25 第1時刻算出部
26、26A 基地局制御部
27 基地局補正部