(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】抗菌性組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/39 20060101AFI20231130BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231130BHJP
A61P 1/14 20060101ALN20231130BHJP
A61K 8/9789 20170101ALN20231130BHJP
A61Q 1/00 20060101ALN20231130BHJP
A61Q 5/00 20060101ALN20231130BHJP
A23L 29/00 20160101ALN20231130BHJP
A23L 19/10 20160101ALN20231130BHJP
A23L 19/15 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
A61K36/39
A61P31/04
A61P1/14
A61K8/9789
A61Q1/00
A61Q5/00
A23L29/00
A23L19/10
A23L19/15
(21)【出願番号】P 2021151600
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】508234800
【氏名又は名称】伊豆食文化公園株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上田 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 隆
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0145897(KR,A)
【文献】特表2007-505607(JP,A)
【文献】特開2002-027909(JP,A)
【文献】特開2018-035146(JP,A)
【文献】特開2007-070271(JP,A)
【文献】特開2011-231068(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0087233(KR,A)
【文献】特開平09-154530(JP,A)
【文献】新居 佳孝、池田 絵梨,県産サツマイモの抗酸化活性とポリフェノールに及ぼす加熱調理の影響,徳島県立工業技術センター研究報告,2020年,vol. 29,p. 27-30
【文献】Food Chemistry,2016年10月19日,vol. 221,p. 447-456
【文献】International Journal of Food Properties,2016年,vol. 19,p. 2817-2831
【文献】Society of Chemical Industry,2019年09月12日,vol. 99,p. 6833-6840
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サツマイモの塊根部を、55~75℃で7~60日間熱処理した熱処理物を、水溶性溶媒で抽出して得られた抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗菌性組成物。
【請求項2】
グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して用いられる、請求項
1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
サツマイモの塊根部を55~75℃で7~60日間熱処理する熱処理工程と、該熱処理された処理物を水溶性溶媒で抽出する抽出工程とを含むことを特徴とする抗菌性組成物の製造方法。
【請求項4】
前記水溶性溶媒として、水、含水アルコールから選ばれた1種を用いる、請求項
3に記載の抗菌性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理されたサツマイモの抽出物を有効成分として含む抗菌性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品や医薬品等には細菌による腐敗や品質の低下を抑制するために、抗菌剤が添加されている。また、化粧料や食品の製造工場、病院などの医療現場、駅や空港などの公共機関などでは、施設内の細菌やウイルスの感染を防ぐことを目的として、抗菌剤が使用されている。そして、近年、生活環境に於ける安全、安心への関心が高まっており、抗菌加工された日常品や抗菌剤を有した化粧料など、日常生活で抗菌効果を有する物質が多く利用されている。
【0003】
抗菌剤としては、有機系抗菌剤や銀イオンなどの銀イオンを利用した無機系抗菌剤、そして生物からの抽出物やキトサンを利用する天然系抗菌剤が知られている。特に日常生活での使用を考慮すると、安全性の観点から長い食経験や使用経験のある天然系抗菌剤の利用が好ましい。例えば、特許文献1にはニンニク抽出物を使用した抗菌効果について記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状では天然素材由来の抗菌性組成物は数が少なく、存在しているものも特定の細菌に限定した抗菌効果を示すものが多かった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、天然素材由来であって、グラム陰性菌、グラム陽性菌など、幅広く抗菌効果を有する抗菌性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けた結果、熱処理されたサツマイモ抽出物にグラム陰性菌、グラム陽性菌などに対して抗菌活性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、熱処理されたサツマイモの塊根部の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗菌性組成物を提供するものである。
【0009】
上記抗菌用組成物においては、サツマイモの塊根部を、55~75℃で7日~60日間熱処理された熱処理物を、水溶性溶媒で抽出して得られた抗菌性組成物であることが好ましい。
【0010】
上記抗菌用組成物においては、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して用いられるものであることが好ましい。
【0011】
なお、上記抗菌用組成物は、熱処理されたサツマイモの塊根部の抽出物を有効成分とするが、該抽出物には様々な成分が含まれており、その成分の全てを分析して明らかにするには、多大な労力と時間がかかり、凡そ現実的でないことから、物の発明について方法的記載が認められるべきである。
【0012】
本発明の第2は、サツマイモの塊根部を熱処理する熱処理工程と、該熱処理された処理物を水溶性溶媒で抽出する抽出工程とを含むことを特徴とする抗菌性組成物の製造方法を提供するものである。
【0013】
上記抗菌性組成物の製造方法において、前記熱処理工程は、55~70℃で10日~20日間熱処理することにより行うことが好ましい。
【0014】
また、前記水溶性溶媒として、水又は含水アルコールから選ばれた1種を用いることが好ましい。含水アルコールのアルコール濃度は、50質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、グラム陰性菌やグラム陽性菌など多くの細菌に抗菌性を有する組成物を提供することができる。また、本発明の抗菌性組成物は、長い食経験のあるサツマイモを抽出原料として利用しているため、食品や医薬品、化粧料などに安心して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】サツマイモS抽出液含有培地(検体1)及びサツマイモT抽出液含有培地(検体2)にグラム陽性菌を接種した直後の生菌数を測定したときの標準寒天培地の状態を示す写真である。
【
図2】サツマイモS抽出液含有培地(検体1)及びサツマイモT抽出液含有培地(検体2)にグラム陽性菌を接種し、それぞれ35℃、2日、静止保管した後の生菌数を測定したときの標準寒天培地の状態を示す写真である。
【
図3】グラム陽性菌を接種した検体1、検体2の菌数の推移を示す図表である。
【
図4】サツマイモS抽出液含有培地(検体1)及びサツマイモT抽出液含有培地(検体2)にグラム陰性菌を接種した直後の生菌数を、デソキシコレート培地を用いて測定したときの培地の状態を示す写真である。
【
図5】サツマイモS抽出液含有培地(検体1)及びサツマイモT抽出液含有培地(検体2)にグラム陰性菌を接種し、それぞれ35℃、2日、静止保管した後の生菌数を、デソキシコレート培地を用いて測定したときの培地の状態を示す写真である。
【
図6】デソキシコレート培地を使用してグラム陰性菌を接種した検体1、検体2の菌数の推移を示す図表である。
【
図7】CVT培地を使用してグラム陰性菌を接種した検体1、検体2の菌数の推移を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において「サツマイモ」とは、ヒルガオ科サツマイモ属に属する植物の塊根部をいい、この属であればどんなものでも用いることができる。例えば、シロユタカ、ダイチノユメ、コナホマレ、紅まさり、ひめあやか、コガネセンガン、クイックスイート、紅あずま、紅さつま、紅はるか、高系14号、めんげ芋、紅こがね、紅こまち、パープルスイートロード、アヤムラサキ、ムラサキマサリ、アメリカ芋、アケムラサキ、アヤコマチ、ジェイレッド、すいおう、エレガントサマー、五郎島金時、鳴門金時、とみつ金時、サツマヒカリ、タマユタカ、 護国、シモン1号、 S912-98、九州1号、九系7114-39、シルクスイート、種子島紫、安納芋などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、上記記載の一種のみを用いてもよく、或いは2種以上を併用してもよく、特に限定されるものではない。
【0018】
塊根部とは、植物の根や地下茎が肥大化して養分を蓄えた器官であり、サツマイモにおいては一般に食用されている部分である。
【0019】
本発明においては、サツマイモの塊根部を熱処理し、熱処理物に溶媒を添加して抽出物を得る。この抽出物を抗菌組成物の有効成分として用いるものである。
【0020】
サツマイモの熱処理方法は、特に限定されない。例えば、保温器、炊飯器、恒温器などを用いて加熱又は保温する方法が挙げられる。湿度調整できるものを用いて湿度調整しながら加熱又は保温することが更に好ましい。また、熱処理の温度条件は、55℃~75℃が好ましく、55℃~70℃がより好ましく、60℃~65℃が更に好ましい。55℃未満ではサツマイモ表面などに生息する細菌が増殖してしまう恐れがあり、75℃より高い温度では、サツマイモ中の生体内酵素が失活してしまい、抗菌活性が生じにくくなる。サツマイモの熱処理の期間は7~60日が好ましく、14日~45日が更に好ましく、14日~30日が更に好ましい。
【0021】
サツマイモを、好ましくは55℃~75℃で熱処理することにより、サツマイモに含有される酵素が反応して、何らかの変化が生じ、それによって抗菌活性が付与されたのではないかと推測される。
【0022】
熱処理されたサツマイモは、サツマイモの状態に応じて、乾燥しても良い。乾燥方法についても、特に限定はされないが、高温にしない乾燥方法を選択するのが好ましい。具体的には、天日干し、冷風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、このうち最も好ましいのは減圧乾燥である。
【0023】
乾燥したサツマイモはそのまま抽出しても良いし、抽出効率を上げるために粉末状に粉砕しても良い。
【0024】
抽出溶媒としては、水系溶媒が用いられる。水系溶媒としては、例えば、水、含水アルコールなどを使用することができる。含水アルコールはアルコール濃度50%以下のものが好ましい。特に、滅菌水を使用することが好ましい。
【0025】
水系溶媒の添加量は、熱処理したサツマイモの乾燥質量に対して、1~50倍が好ましく、5~20倍がより好ましい。水系溶媒が1倍量よりも少ない量で行うと水系溶媒が全体に行きわたらない可能性があり、水系溶媒が50倍量よりも多い量で行うと後に濃縮する際に、溶媒を除去する負担が増えるなど抽出効率が悪化する可能性がある。
【0026】
抽出温度は、特に制限はないが、5~90℃が好ましく、15~60℃がより好ましい。抽出時間は、10分~10時間が好ましく、20分~5時間がより好ましい。なお、抽出温度を下げるに従い、長時間かけて抽出することが好ましい。また、抽出の際に加圧して抽出しても良い。
【0027】
抽出後は、必要に応じて冷却し、沈殿を除去して抽出物を得ることが出来る。(以下、この抽出物を熱処理サツマイモ抽出物とする。)得られた熱処理サツマイモ抽出物を更に濃縮して使用することも出来るし、乾燥させて水分を除去し、粉末状の熱処理サツマイモ抽出物として利用してもよい。
【0028】
本発明の抗菌性組成物は、上記のようにして抽出した熱処理サツマイモ抽出物を、乾燥質量換算で、1~50質量%含むことが好ましく、2~20質量%含むことがより好ましい。
【0029】
熱処理サツマイモ抽出物はそのままでも使用してよいが、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、安定剤、界面活性剤、溶解補助剤、還元剤、緩衝材、吸着剤、流動化剤、帯電防止剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、遮光剤、着工剤、香料、芳香剤、コーティング剤、可塑剤などの製剤添加物の1種または2種以上を適宜選択して製剤化をしてもよい。
【0030】
そのような製剤添加物としては、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロース ナトリウム、マルトデキストリン、エチルセルロース、乳糖、ソルビトール、無水ケイ酸 、ケイ酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸、オレイン酸、流 動パラフィン、第二リン酸カルシウム、セバチン酸ジブチル、マクロゴール、プロピレン グリコール、コーンスターチ、デンプン、アルファー化デンプン、ゼラチン、ポピドン、 クロスポピドン、グリセリン、ポリソルベート80、クエン酸、アセスルファムカリウム 、アスパルテーム、炭酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸 カルシウム等を挙げることができる。
【0031】
本発明の抗菌性組成物は、天然の抗菌剤として利用することができ、例えばお腹の調子を整える整腸剤、飲食品の日持ち向上剤、保存剤などとして利用することができる。
【0032】
本発明の抗菌性組成物は、各種の製品に利用することができ、例えば、化粧品、医薬部外品、サプリメント、飲食品、医薬品などに添加して用いることができる。また、本発明の抗菌性組成物は、ヒト用だけに限られず、動物用の製品にも利用できる。例えば、動物用飼料、動物用医薬部外品、動物用サプリメント、動物用栄養補助食品、動物用医薬品などにも利用できる。
【0033】
本発明の抗菌性組成物を添加する飲食品としては、例えば、固形状、粉末状、顆粒状のものとして、ビスケット、クッキー、ケーキ 、スナック、煎餅などの各種の菓子類、パン、粉末飲料(粉末コーヒー、粉末ココアなど )、飴、キャラメル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また 、液状、乳化状、ペースト状、ゼリー状のものとしては、ドリンク、ゼリー、ムースなどの各種製品や薬用酒等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明の抗菌性組成物を添加する化粧品としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、化粧水、ローション、パック、シャンプー、リンス、トリートメント、洗浄料、ファンデーション、口紅、チーク、アイライナー、マスカラ、アイシャドー等が挙げられる。
【0035】
本発明の抗菌性組成物を、各種飲食品、化粧品、医薬品、飼料などに添加する場合、抗菌活性をもたらすのに必要な有効添加量は、熱処理サツマイモ抽出物の乾燥質量換算で、好ましくは0.2~5質量%、より好ましくは0.5~1質量%となるように添加することが好ましい。
【0036】
また、整腸作用などを期待して摂取する場合の好ましい服用量は、熱処理サツマイモ抽出物の乾燥質量換算で、成人1人当たり10~500mg/日が好ましく、50~200mg/日がより好ましい。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
熱処理サツマイモ粉末及び未処理のサツマイモ粉末から抽出液を作成し、菌の増殖に必要な栄養素を微量添加した液体を培地とし、菌を添加し培養した場合の、菌数の変化を測定することで、熱処理サツマイモ抽出物に抗菌性があるか検証を行った。
【0039】
<サツマイモ抽出物の作成>
市販のサツマイモを、それぞれ縦に半分に切り、各サツマイモの1片は冷凍庫に入れて保存し、他の1片は電気釜に入れて、55~70℃で4週間加熱した。加熱後に取出して、スライスして天日乾燥した。冷凍庫に保存したサツマイモは、取出して解凍し、スライスして、同様に天日乾燥した。
【0040】
これらのサツマイモを、粉砕機を使用して粉末化した。以下の説明では、冷凍して取出したサツマイモを粉末化した物を「サツマイモS粉末」とし、熱処理したサツマイモを粉末化した物を「サツマイモT粉末」とする。
【0041】
こうして得られたサツマイモS粉末及びサツマイモT粉末の菌検査を行ったところ、下記表1の結果であった。なお、菌検査は、試料10gを90mlの滅菌生理食塩水に懸濁後、その上澄み液1mlを9mlの滅菌生理食塩水に加えて希釈液を作り、同様の作業を繰り返し、各希釈段階の希釈液をシャーレに添加して、15~20mlの各培地を注ぎ培養し、一般的な生菌数の測定方法に従って、混釈法により菌数を測定することによって行った。
【0042】
【0043】
次に、サツマイモS粉末2.5g、サツマイモT粉末2.5gをそれぞれ100ml三角フラスコに添加し、更に蒸留水47.5gを入れて、冷蔵庫内で適宜攪拌し、5時間保管した。5時間後、No1紙フィルターを使用して、ろ過することで粉末を取り除き、これをサツマイモS抽出液(比較例)及びサツマイモT抽出液(実施例)とした。
【0044】
<試験例1>(グラム陽性菌に対する抗菌作用)
サツマイモS抽出液、サツマイモT抽出液に、下記表2の配合で、カゼインペプトン、酵母エキス、ブドウ糖を添加し、サツマイモS抽出液含有培地(以下「検体1」とする)、サツマイモT抽出液含有培地(以下「検体2」とする)を作成した。
【0045】
【0046】
検体1と検体2を、それぞれ121℃、15分間、オートクレーブで滅菌して、グラム陽性菌(Bacillus sp.)を1白銀耳移植し、移植直後の生菌数を、標準寒天培地を用いて測定した。標準寒天培地による生菌数測定は、試料を100倍に希釈して標準寒天培地に添加し、35℃、48時間後に、発生したコロニー数を測定することにより行った。その結果を表3に示す。また、生菌数測定時の標準寒天培地の写真を
図1に示す。
【0047】
【0048】
次いで、検体1と検体2を、35℃、2日間、静置保管し、前記と同様な方法で生菌数を測定した。その結果を表4に示す。また、生菌数測定時の標準寒天培地の写真を
図2に示す。更に、検体1と検体2の菌数の推移を
図3に示す。検体1では明らかな増加が見られたが、検体2では菌数が減少した。
【0049】
【0050】
<試験例2>(グラム陰性菌に対する抗菌作用)
検体1、検体2を、それぞれ121℃、15分間、オートクレーブで滅菌して、グラム陰性菌(Enterobacter sp.)を1白銀耳移植し、移植直後の生菌数を、デソキシコレート培地と、CVT培地とを用いて測定した。生菌数測定は、試料を1000倍に希釈して、それぞれの培地に添加し、35℃、24時間後に、発生したコロニー数を測定することにより行った。その結果を表5に示す。また、生菌数測定時のデソキシコレート培地の写真を
図4に示す。
【0051】
【0052】
次に、グラム陰性菌(Enterobacter sp.)を移植した検体1及び検体2を、35℃、1日間、静置保管し、再び前記と同様にして生菌数の測定を実施した。その結果を表6に示す。また、生菌数測定時のデソキシコレート培地の写真を
図5に示す。更に、デソキシコレート培地を使用した生菌数の検査結果の推移を
図6に、CVT培地を使用した生菌数の検査結果の推移を
図7に示す。
【0053】
【0054】
図6,7に示すように、検体1ではデソキシコレート培地でもCVT培地でも菌数が明らかに増加しているのに対し、検体2ではいずれの培地でも減少傾向にあった。
〔結果〕
グラム陽性菌、グラム陰性菌いずれの場合も、検体1(サツマイモS)は明らかに増加傾向にあったが、一方、検体2(サツマイモT)は明らかに減少傾向にあった。今回の検査結果により熱処理サツマイモ抽出物には、グラム陽性菌、グラム陰性菌に対する抗菌性が認められた。