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特許7393808皮膚障害の処置のためのナフチリジノン-アニリン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】皮膚障害の処置のためのナフチリジノン-アニリン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20231130BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231130BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C07D471/04 113
C07D471/04 CSP
A61K31/4375
A61P43/00 111
A61P17/00
A61P35/00
A61P17/06
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2021527913
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 US2019000070
(87)【国際公開番号】W WO2020106308
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】62/769,866
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519410600
【氏名又は名称】エヌフレクション セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】キンケイド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ダンクトン マシュー
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-501631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246198(US,A1)
【文献】特表2010-514680(JP,A)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2014年,Vol. 24,pp. 2555-2559
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩:
式中、
下付き文字nは0~2の整数であり;
結合「a」は一重結合または二重結合であり;
R1は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、R5-C(O)-C1~C6アルキル、または-OR4であり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R2aはハロまたはC1~C6アルキルであり;
各R3は独立にハロまたはC1~C6アルキルであり;
R3aおよびR3bはそれぞれ独立に水素、ハロ、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R4は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、またはR5-C(O)-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、またはN-C1~C6アルキルヒドロキシアミノであり;かつ
各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。
【請求項2】
式(Ia):
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(Ib):
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
各R3が独立にハロまたはC1~C3アルキルである、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
下付き文字nが0である、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
R3aおよびR3bがそれぞれ独立に水素、ハロ、またはC1~C6アルキルである、請求項1~5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R3aが水素である、請求項1~6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
R3bが水素である、請求項1~7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R3bがハロである、請求項1~7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
R3bがフルオロである、請求項1~7および9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
R2がハロまたはC1~C6アルキルである、請求項1~10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
R2がハロである、請求項1~10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
R2がヨードである、請求項1~12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
R2がC1~C6アルキルである、請求項1~10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
R2がCH3である、請求項1~10および14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
R2aがハロである、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
R2aがフルオロである、請求項1~16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
R2aがC1~C6アルキルである、請求項1~15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
R2aがメチルである、請求項1~15および18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
R 1 がR 5 -C(O)-C 1 ~C 6 アルキルであり;かつR 5 がヒドロキシ、C 1 ~C 6 アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである、請求項1~19のいずれか一項記載の化合物
【請求項21】
R1が水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、またはヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである、請求項1~19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
R1がC1~C6ヒドロキシアルキルである、請求項1~19および21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
R1がアミノ-C1~C6アルキルである、請求項1~19および21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
R1が-OR4であり、かつR4が水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである、請求項1~19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
R1が-OR4であり、かつR4がC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである、請求項1~19および24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
R1が-OR4であり、かつR4がC1~C6ヒドロキシアルキルである、請求項1~19および24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
R1が-OR4であり、かつR4がアミノ-C1~C6アルキルである、請求項1~19および24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
R1が-OR4であり、かつR4がヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである、請求項1~19および24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
R1が-OR4であり;R4がR5-C(O)-C1~C6アルキルであり;かつR5がヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである、請求項1~19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項30】
R1が、水素、-OH、
からなる群より選択される、請求項1~19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項31】
下記:
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項32】
下記式:
によって表される、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩
【請求項33】
MEK阻害剤反応性障害、MEK阻害剤反応性皮膚障害、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害処置のための、請求項1~32のいずれか一項記載の化合物、および薬学的に許容される担体含む薬学的組成物であって、それを必要としている患者に投与される、前記薬学的組成物
【請求項34】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が、皮膚RAS病、神経線維腫症1型、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、および表在性叢状神経線維腫からなる群より選択される、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項35】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が神経線維腫症1型である、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項36】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮膚神経線維腫である、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項37】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮下神経線維腫である、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項38】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が表在性叢状神経線維腫である、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項39】
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮膚RAS病である、請求項33記載の薬学的組成物
【請求項40】
皮膚RAS病が、乾癬、ケラトアカントーマ(KA)、過角化症、乳頭腫、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、コステロ症候群(顔・皮膚・骨格(faciocutaneoskeletal)症候群またはFCS症候群)、眼外胚葉症候群、カフェオレ斑、および多発性黒子症候群(旧称レオパード症候群)からなる群より選択される、請求項39記載の薬学的組成物
【請求項41】
用投与、経皮投与、または病巣内投与される、請求項33~40のいずれか一項記載の薬学的組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月20日提出の米国特許仮出願第62/769,866号に対する優先権を主張し、その内容はあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
神経線維腫症1型(NF1)は、出生数およそ3,500に対して1件の割合で生じ、ヒトの神経機能に影響を与える最も一般的な常染色体優性単一遺伝子障害の1つである。臨床的には、NF1疾患は、NF1遺伝子に両アレル変異を有するシュワン細胞を含む、神経線維腫と呼ばれる良性末梢神経腫瘍、ならびに他の腫瘍および非腫瘍症状の存在によって特徴づけられる。Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015(非特許文献1)参照。NF1は、皮膚神経線維腫;叢状神経線維腫;カフェオレ斑;ならびに腋窩および鼠径部色素斑を含む、いくつかの皮膚障害に関連する。皮膚神経線維腫は、NF1患者の95%以上で出現し、体のどこにでも現れて、そう痒、刺激、感染、身体疼痛、および外観損傷を引き起こし得る。さらに、皮膚神経線維腫は社会的孤立および不安に関連する。
【0003】
NF1は、RAS経路を不活性化する遺伝子NF1における1つまたは複数の生殖細胞系変異によって生じる。NF1遺伝子はRas-GAPタンパク質をコードするため、NF1の損失は高いRas-GTPをもたらす。したがって、NF1の研究は、Ras-MAPKカスケードを含む、Rasシグナル伝達経路の阻害剤の試験に集中的に焦点を当ててきた。Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015(非特許文献1)参照。4つの異なるMAPKカスケードが特定され、それらのMAPKモジュールに従って命名されている。Akinleye et al. Journal of Hematology & Oncology 6:27, 2013(非特許文献2)参照。MEKタンパク質は、4つのMAPキナーゼシグナル伝達経路のそれぞれにおいて、それらの特異的MAPK標的の上流にある酵素ファミリーに属している。これらのMEKタンパク質の2つ、MEK1およびMEK2は、密接に関連し、このシグナル伝達経路カスケードに関与している。MEK1およびMEK2の阻害剤は、Rasの下流でMEKシグナル伝達を効果的に阻害することが示されており、したがって、NF1の処置においてMEKを標的とするための強力な根拠を提供する。Rice et al. Medicinal Chemistry Letters 3:416-421, 2012(非特許文献3)参照。
【0004】
現在利用可能なMEK阻害剤は、全身送達に対して経口バイオアベイラビリティを有するように設計されており、左心室駆出率の減少、クレアチンホスホキナーゼの上昇、肺炎、腎不全、下痢、感染症、蕁麻疹(uticaria)、および斑状丘疹状皮疹を含む、顕著な副作用に関連し、これらはすべて用量を制限するか、または永久中止を必要とする。さらに、臨床試験は、MEK阻害剤の長期高用量投与による副作用を示している。Huang et al. J. Ocul. Pharmacol. Ther. 25:519-530, 2009(非特許文献4)参照。例えば、現在臨床試験中のMEK阻害剤であるPD0325901は、運動失調、錯乱、および失神に関連する神経学的副作用を示している。加えて、ざ瘡様発疹、CPK上昇、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、および疲労を含む、他の副作用のいくつかはMEK阻害剤への全身暴露で観察されている。したがって、これらの重篤な副作用を制限する、NF1関連の皮膚神経線維腫を処置するためにMEKを阻害する治療法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015
【文献】Akinleye et al. Journal of Hematology & Oncology 6:27, 2013
【文献】Rice et al. Medicinal Chemistry Letters 3:416-421, 2012
【文献】Huang et al. J. Ocul. Pharmacol. Ther. 25:519-530, 2009
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な概要
1つの局面において、式(I)の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される:
式中、
下付き文字nは0~2の整数であり;
結合「a」は一重結合または二重結合であり;
R1は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、R5-C(O)-C1~C6アルキル、または-OR4であり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R2aはハロまたはC1~C6アルキルであり;
各R3は独立にハロまたはC1~C6アルキルであり;
R3aおよびR3bはそれぞれ独立に水素、ハロ、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R4は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、またはR5-C(O)-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、またはN-C1~C6アルキルヒドロキシアミノであり;かつ
各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。
【0007】
第2の局面において、式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が、本明細書において提供される。
【0008】
第3の局面において、MEK阻害剤反応性障害、MEK阻害剤反応性皮膚障害、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害を処置する方法であって、治療的有効量の式(I)の化合物または式(I)の化合物の組成物を投与し、それにより障害または疾患を処置する段階を含む方法が、本明細書において提供される。
[本発明1001]
式(I)の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩:
式中、
下付き文字nは0~2の整数であり;
結合「a」は一重結合または二重結合であり;
R 1 は水素、C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 ヒドロキシアルキル、C 1 ~C 6 アルコキシ-C 1 ~C 6 アルキル、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 アルキルアミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、R 5 -C(O)-C 1 ~C 6 アルキル、または-OR 4 であり、ここでC 3 ~C 8 シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており;
R 2 はハロ、C 1 ~C 6 アルキル、-S-C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 2 ~C 6 アルケニル、またはC 2 ~C 6 アルキニルであり;
R 2a はハロまたはC 1 ~C 6 アルキルであり;
各R 3 は独立にハロまたはC 1 ~C 6 アルキルであり;
R 3a およびR 3b はそれぞれ独立に水素、ハロ、C 1 ~C 6 アルキル、C 2 ~C 6 アルケニル、またはC 2 ~C 6 アルキニルであり;
R 4 は水素、C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 ヒドロキシアルキル、C 1 ~C 6 アルコキシ-C 1 ~C 6 アルキル、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 アルキルアミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、またはR 5 -C(O)-C 1 ~C 6 アルキルであり、ここでC 3 ~C 8 シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており;
R 5 はヒドロキシ、C 1 ~C 6 アルコキシ、アミノ、C 1 ~C 6 アルキルアミノ、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、またはN-C 1 ~C 6 アルキルヒドロキシアミノであり;かつ
各R 6 は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 1 ~C 6 アルコキシ、C 1 ~C 6 -ヒドロキシアルキル、C 1 ~C 6 ハロアルキル、アミノ、C 1 ~C 6 アルキルアミノ、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 アルキルアミノ-C 1 ~C 6 アルキル、またはジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ-C 1 ~C 6 アルキルである。
[本発明1002]
式(Ia):
を有する、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
式(Ib):
を有する、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
各R 3 が独立にハロまたはC 1 ~C 3 アルキルである、本発明1001~1003のいずれかの化合物。
[本発明1005]
下付き文字nが0である、本発明1001~1004のいずれかの化合物。
[本発明1006]
R 3a およびR 3b がそれぞれ独立に水素、ハロ、またはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1005のいずれかの化合物。
[本発明1007]
R 3a が水素である、本発明1001~1006のいずれかの化合物。
[本発明1008]
R 3b が水素である、本発明1001~1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
R 3b がハロである、本発明1001~1007のいずれかの化合物。
[本発明1010]
R 3b がフルオロである、本発明1001~1007および1009のいずれかの化合物。
[本発明1011]
R 2 がハロまたはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1010のいずれかの化合物。
[本発明1012]
R 2 がハロである、本発明1001~1010のいずれかの化合物。
[本発明1013]
R 2 がヨードである、本発明1001~1012のいずれかの化合物。
[本発明1014]
R 2 がC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1010のいずれかの化合物。
[本発明1015]
R 2 がCH 3 である、本発明1001~1010および1014のいずれかの化合物。
[本発明1016]
R 2a がハロである、本発明1001~1015のいずれかの化合物。
[本発明1017]
R 1 がR 5 -C(O)-C 1 ~C 6 アルキルであり;かつR 5 がヒドロキシ、C 1 ~C 6 アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1018]
R 2a がフルオロである、本発明1001~1016のいずれかの化合物。
[本発明1019]
R 2a がC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1015のいずれかの化合物。
[本発明1020]
R 2a がメチルである、本発明1001~1015および1019のいずれかの化合物。
[本発明1021]
R 1 が水素、C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 ヒドロキシアルキル、C 1 ~C 6 アルコキシ-C 1 ~C 6 アルキル、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 アルキルアミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、またはヘテロシクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキルであり、ここでC 3 ~C 8 シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており、かつ各R 6 は独立にヒドロキシまたはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1022]
R 1 がC 1 ~C 6 ヒドロキシアルキルである、本発明1001~1021のいずれかの化合物。
[本発明1023]
R 1 がアミノ-C 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1021のいずれかの化合物。
[本発明1024]
R 1 が-OR 4 であり、かつR 4 が水素、C 1 ~C 6 アルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル、C 3 ~C 8 シクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 ヒドロキシアルキル、C 1 ~C 6 アルコキシ-C 1 ~C 6 アルキル、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、C 1 ~C 6 アルキルアミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ジ-(C 1 ~C 6 アルキル)アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキルであり、ここでC 3 ~C 8 シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており、かつ各R 6 は独立にヒドロキシまたはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1025]
R 1 が-OR 4 であり、かつR 4 がC 3 ~C 8 シクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキルであり、ここでC 3 ~C 8 シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており、かつ各R 6 は独立にヒドロキシまたはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1020および1024のいずれかの化合物。
[本発明1026]
R 1 が-OR 4 であり、かつR 4 がC 1 ~C 6 ヒドロキシアルキルである、本発明1001~1020および1024のいずれかの化合物。
[本発明1027]
R 1 が-OR 4 であり、かつR 4 がアミノ-C 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1020および1024のいずれかの化合物。
[本発明1028]
R 1 が-OR 4 であり、かつR 4 がヘテロシクロアルキル-C 1 ~C 6 アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR 6 で置換されており、かつ各R 6 は独立にヒドロキシまたはC 1 ~C 6 アルキルである、本発明1001~1020および1024のいずれかの化合物。
[本発明1029]
R 1 が-OR 4 であり;R 4 がR 5 -C(O)-C 1 ~C 6 アルキルであり;かつR 5 がヒドロキシ、C 1 ~C 6 アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1030]
R 1 が、水素、-OH、
からなる群より選択される、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1031]
下記:
からなる群より選択される、本発明1001の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩。
[本発明1032]
本発明1001~1031のいずれかの化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
[本発明1033]
MEK阻害剤反応性障害、MEK阻害剤反応性皮膚障害、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害を処置する方法であって、治療的有効量の本発明1001~1031のいずれかの化合物または本発明1032の組成物を、それを必要としている患者に投与する段階を含む、前記方法。
[本発明1034]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が、皮膚RAS病、神経線維腫症1型、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、および表在性叢状神経線維腫からなる群より選択される、本発明1033の方法。
[本発明1035]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が神経線維腫症1型である、本発明1033の方法。
[本発明1036]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮膚神経線維腫である、本発明1033の方法。
[本発明1037]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮下神経線維腫である、本発明1033の方法。
[本発明1038]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が表在性叢状神経線維腫である、本発明1033の方法。
[本発明1039]
MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害が皮膚RAS病である、本発明1033の方法。
[本発明1040]
皮膚RAS病が、乾癬、ケラトアカントーマ(KA)、過角化症、乳頭腫、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、コステロ症候群(顔・皮膚・骨格(faciocutaneoskeletal)症候群またはFCS症候群)、眼外胚葉症候群、カフェオレ斑、および多発性黒子症候群(旧称レオパード症候群)からなる群より選択される、本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記化合物または前記組成物を外用投与、経皮投与、または病巣内投与する、本発明1033~1040のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、式(Ia)の化合物を調製するための合成スキーム1を示す。
図2図2は、式(Ia)の化合物を調製するための合成スキーム2を示す。
図3図3は、式(Ib)の化合物を調製するための合成スキーム3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
I. 一般
式(I)の化合物、式(I)の化合物を含む薬学的組成物、およびMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の処置におけるこれらの化合物または組成物の使用法が、本明細書において提供される。
【0011】
II. 定義
本明細書において用いられる略語は、化学および生物学の技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0012】
置換基を、左から右に書いた、それらの通常の化学式によって明記する場合、それらは構造を右から左に書くことで得られる化学的に同一の置換基を同等に含み、例えば、-CH2O-は-OCH2-と同等である。
【0013】
「アルキル」は、表示の数の炭素原子(すなわち、C1~C6は1~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分枝、飽和、脂肪族基を指す。アルキルは、任意の数の炭素、例えばC1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6、C1~C7、C1~C8、C1~C9、C1~C10、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6およびC5~C6を含み得る。例えば、C1~C6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどを含むがこれらに限定されない。アルキルは、これらに限定されないがヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどである、最大20個の炭素原子を有するアルキル基も指し得る。
【0014】
「アルキレン」は、表示の数の炭素原子(すなわち、C1~C6は1~6個の炭素を意味する)を有し、かつ少なくとも2個の他の基を連結する、直鎖または分枝、飽和、脂肪族基、すなわち、二価の炭化水素基を指す。アルキレンに連結した2つの部分は、アルキレン基の同じ原子または異なる原子に連結され得る。例えば、直鎖アルキレンは、-(CH2)n-の二価の基であり得、ここでnは1、2、3、4、5または6個である。代表的なアルキレン基には、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有し、かつ表示の数の炭素原子(すなわち、C2~C6は2~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分枝炭化水素を指す。アルケニルは、任意の数の炭素、例えばC2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9、C2~C10、C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4、C4~C5、C4~C5、C5、C5~C6、およびC6を含み得る。アルケニル基は、1、2、3、4、5個、またはそれ以上を含むがこれらに限定されない任意の適切な数の二重結合を含み得る。アルケニル基の例には、ビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、または1,3,5-ヘキサトリエニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
「アルキニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を有し、かつ表示の数の炭素原子(すなわち、C2~C6は2~6個の炭素を意味する)を有する、直鎖または分枝いずれかの炭化水素を指す。アルキニルは、任意の数の炭素、例えばC2、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9、C2~C10、C3、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4、C4~C5、C4~C6、C5、C5~C6、およびC6を含み得る。アルキニル基の例には、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、または1,3,5-ヘキサトリイニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
「シクロアルキル」は、3~12個の環原子、または表示の数の原子を含む、飽和または部分不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合体を指す。シクロアルキルは、任意の数の炭素、例えばC3~C6、C4~C6、C5~C6、C3~C8、C4~C8、C5~C8、C6~C8、C3~C9、C3~C10、C3~C11、およびC3~C12を含み得る。飽和単環式シクロアルキル環には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが含まれる。飽和二環式および多環式シクロアルキル環には、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレンおよびアダマンタンが含まれる。シクロアルキル基は、環内に1つまたは複数の二重または三重結合を有する、部分不飽和でもあり得る。部分不飽和である代表的なシクロアルキル基には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-および1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-、1,4-および1,5-異性体)、ノルボルネン、およびノルボルナジエンが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルが飽和単環式C3~C8シクロアルキルである場合、例示的な基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
「シクロアルキルアルキル」は、アルキル構成要素がシクロアルキル構成要素を結合点に連結する、アルキル構成要素およびシクロアルキル構成要素を有する基を指す。アルキル構成要素は、それがシクロアルキル構成要素および結合点に連結するために、少なくとも二価のアルキレンであること以外は、前述の定義のとおりである。アルキル構成要素は、任意の数の炭素、例えばC1~C6、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6およびC5~C6を含み得る。シクロアルキル構成要素は、前述の定義のとおりである。例示的なシクロアルキル-アルキル基には、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルおよびシクロヘキシルメチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
「アルコキシ」は、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルキル基:アルキル-O-を指す。アルコキシ基は、任意の適切な数の炭素原子、例えばC1~C6を有し得る。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。
【0020】
「ヒドロキシアルキル」は、水素原子の少なくとも1つがヒドロキシ基で置き換えられている、前述の定義のアルキル基を指す。アルキル基に関して、ヒドロキシアルキル基は、任意の適切な数の炭素原子、例えばC1~C6を有し得る。例示的なヒドロキシアルキル基には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(ヒドロキシは1または2位にある)、ヒドロキシプロピル(ヒドロキシは1、2または3位にある)、ヒドロキシブチル(ヒドロキシは1、2、3または4位にある)、ヒドロキシペンチル(ヒドロキシは1、2、3、4または5位にある)、ヒドロキシヘキシル(ヒドロキシは1、2、3、4、5または6位にある)、1,2-ジヒドロキシエチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
「アルコキシアルキル」は、アルキル構成要素がアルコキシ構成要素を結合点に連結する、アルキル構成要素およびアルコキシ構成要素を有する基を指す。アルキル構成要素は、それがアルコキシ構成要素および結合点に連結するために、少なくとも二価のアルキレンであること以外は、前述の定義のとおりである。アルキル構成要素は、任意の数の炭素、例えばC1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6、C2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C4~C5、C4~C6およびC5~C6を含み得る。アルコキシ構成要素は、前述の定義のとおりである。アルコキシ-アルキル基の例には、2-エトキシ-エチルおよびメトキシメチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0023】
「ハロアルキル」は、水素原子のいくつか、または全てがハロゲン原子で置き換えられている、前述の定義のアルキルを指す。アルキル基に関して、ハロアルキル基は、任意の適切な数の炭素原子、例えばC1~C6を有し得る。例えば、ハロアルキルには、トリフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチルなどが含まれる。いくつかの場合に、「パーフルオロ」なる用語を、全ての水素がフッ素で置き換えられている化合物または基を定義するために使用し得る。例えば、パーフルオロメチルは、1,1,1-トリフルオロメチルを指す。
【0024】
本明細書において用いられる「アミノ」は、特に記載がないかぎり、-NH2を指す。
【0025】
本明細書において用いられる「アルキルアミノ」は、特に記載がないかぎり、Rが本明細書の定義のアルキルである-NHR、またはそのN-オキシド誘導体を指す。いくつかの態様において、アルキルアミノはC1~C6アルキルアミノである。いくつかの態様において、C1~C6アルキルアミノはメチルアミノ、エチルアミノ、n-、イソ-プロピルアミノ、n-、イソ-、tert-ブチルアミノ、またはメチルアミノ-N-オキシドなどである。
【0026】
本明細書において用いられる「ジアルキルアミノ」は、特に記載がないかぎり、RおよびR'が独立に本明細書の定義のアルキルである-NR'R、またはそのN-オキシド誘導体を指す。いくつかの態様において、ジアルキルアミノはジ-(C1~C6アルキル)アミノである。いくつかの態様において、ジ-(C1~C6アルキル)アミノはジメチルアミノ、メチル-エチルアミノ、ジエチルアミノ、またはジメチルアミノ-N-オキシドなどである。
【0027】
本明細書において用いられる「アミノアルキル」は、特に記載がないかぎり、1または2個のNH2で置換されたアルキル基を指す。いくつかの態様において、アミノアルキルはアミノ-C1~C6アルキルである。
【0028】
本明細書において用いられる「アルキルアミノアルキル」は、特に記載がないかぎり、1または2個の-NH(アルキル)基で置換されたアルキル基を指す。いくつかの態様において、アルキルアミノアルキルはC1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキルである。
【0029】
本明細書において用いられる「ジアルキルアミノアルキル」は、特に記載がないかぎり、1または2個の-N(アルキル)2基で置換されたアルキル基を指す。いくつかの態様において、ジアルキルアミノアルキルはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。
【0030】
本明細書において用いられる「ヒドロキシアミノ」は、特に記載がないかぎり、-NHOHを指す。
【0031】
本明細書において用いられる「N-アルキルヒドロキシアミノ」は、特に記載がないかぎり、-NHOHのアミン水素が本明細書の定義のアルキルで置換されているものを指す。いくつかの態様において、N-アルキルヒドロキシアミノはN-C1~C6アルキル-ヒドロキシアミノである。いくつかの態様において、N-C1~C6アルキル-ヒドロキシアミノはN-メチルヒドロキシアミノ、N-エチルヒドロキシアミノ、N-(n-、イソ-プロピル)ヒドロキシアミノ、またはN-(n-、イソ-、tert-ブチル)ヒドロキシアミノなどである。
【0032】
「ヘテロシクロアルキル」は、3~12個の環要素ならびに1~4個のN、OおよびSのヘテロ原子を有する飽和環系を指す。ヘテロ原子は、酸化されてもよく、これらに限定されないが、-S(O)-および-S(O)2-などであり得る。ヘテロシクロアルキル基は、任意の数の環原子、例えば、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、または3~12個の環要素を含み得る。任意の適切な数のヘテロ原子、例えば1、2、3、もしくは4個、または1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、もしくは3~4個が、ヘテロシクロアルキル基に含まれ得る。ヘテロシクロアルキル基には、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、アゾカニル、キヌクリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル(1,2-、1,3-および1,4-異性体)、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、オキサニル(テトラヒドロピラニル)、オキセパニル、チイラニル、チエタニル、チオラニル(テトラヒドロチオフェニル)、チアニル(テトラヒドロチオピラニル)、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、またはジチアニルなどの基が含まれ得る。ヘテロシクロアルキル基は、芳香環または非芳香環系に縮合して、要素、例えばこれに限定されないが、インドリンを形成することもできる。ヘテロシクロアルキル基は、無置換であり得、または置換され得る。例えば、ヘテロシクロアルキル基は、多くの他のものの中でも、C1~C6アルキルまたはオキソ(=O)で置換され得る。
【0033】
ヘテロシクロアルキル基は、環上の任意の位置で連結され得る。例えば、アジリジニルは1-または2-アジリジニルであり得、アゼチジニルは1-または2-アゼチジニルであり得、ピロリジニルは1-、2-または3-ピロリジニルであり得、ピペリジニルは1-、2-、3-または4-ピペリジニルであり得、ピラゾリジニルは1-、2-、3-、または4-ピラゾリジニルであり得、イミダゾリジニルは1-、2-、3-または4-イミダゾリジニルであり得、ピペラジニルは1-、2-、3-または4-ピペラジニルであり得、テトラヒドロフラニルは1-または2-テトラヒドロフラニルであり得、オキサゾリジニルは2-、3-、4-または5-オキサゾリジニルであり得、イソキサゾリジニルは2-、3-、4-または5-イソキサゾリジニルであり得、チアゾリジニルは2-、3-、4-または5-チアゾリジニルであり得、イソチアゾリジニルは2-、3-、4-または5-イソチアゾリジニルであり得、かつモルホリニルは2-、3-または4-モルホリニルであり得る。
【0034】
ヘテロシクロアルキルが3~8個の環要素および1~3個のヘテロ原子を含む場合、代表的要素には、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、オキサニル、テトラヒドロチオフェニル、チアニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニルおよびジチアニルが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルは5~6個の環要素および1~2個のヘテロ原子を含む環も形成し得、代表的要素には、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびモルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
「保護基」は、官能基を特定の反応条件の組に非反応性にする化合物であるが、次いで官能基をその元の状態に復元するために、後の合成段階で除去可能な化合物を指す。そのような保護基は当業者には周知で、''Protective Groups in Organic Synthesis'', 4th edition, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, John Wiley & Sons, New York, 2006に開示される化合物が含まれ、前記開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0036】
「塩」は、本発明の化合物の酸性または塩基性塩を指す。薬学的に許容される塩の実例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)塩である。薬学的に許容される塩は非毒性であることが理解されよう。適切な薬学的に許容される塩についての追加情報は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0037】
本発明の酸性化合物の薬学的に許容される塩は、塩基と形成される塩、すなわちナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、ならびにアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリス-(ヒドロキシメチル)-メチル-アンモニウム塩などのアンモニウム塩などのカチオン塩である。
【0038】
同様に、ピリジルなどの塩基性基が構造の一部を構成することを条件に、鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などの酸付加塩も可能である。
【0039】
化合物の中性形態を、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を通常の様式で単離することによって再生してもよい。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解性などの一定の物理的特性において、様々な塩形態と異なるが、それ以外は塩は、本発明の目的のために、化合物の親形態と等価である。
【0040】
「異性体」は、同じ化学式を有するが、構造的に区別可能である化合物を指す。本発明の一定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0041】
「互変異性体」は、平衡状態で存在し、かつ1つの形態から別の形態へと容易に変換される、2つ以上の構造異性体の1つを指す。
【0042】
「溶媒和物」は、非共有分子間力によって結合された化学量論または非化学量論量の溶媒をさらに含む、本明細書において提供する化合物またはその塩を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0043】
「水和物」は、少なくとも1個の水分子に複合された化合物を指す。本発明の化合物は、1~10個の水分子と複合することができる。
【0044】
組成物に関して「立体異性体を実質的に含まない」または「実質的に立体異性体の非存在下である」は、組成物中に少なくとも85または90重量%、いくつかの態様において、95重量%、98重量%、99重量%または100重量%の化合物の指定の立体異性体を含む、組成物を指す。いくつかの態様において、本明細書において提供する方法および化合物において、化合物は立体異性体を実質的に含まない。
【0045】
組成物に関して「単離された」は、少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%~100重量%の特定の化合物を含み、残りは他の化学種または立体異性体を含む、組成物を指す。
【0046】
本明細書において用いられる「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の生成物を含むことが意図される。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性で、かつその受容者に対して有害でなければならないことを意味する。
【0047】
「薬学的に許容される賦形剤」は、活性作用物質の対象への投与および対象による吸収を助ける物質を指す。本発明において有用な薬学的賦形剤には、結合剤、充填剤、崩壊罪、滑沢剤、コーティング、甘味料、香料および着色料が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを理解するであろう。
【0048】
「IC50」は、反応を測定するアッセイにおいて最大反応の50%阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度または用量を指す。
【0049】
「阻害」、「阻害する」および「阻害剤」は、具体的な作用または機能を妨げる化合物または妨げる方法を指す。
【0050】
「投与すること」は、対象への経口投与、坐剤としての投与、外用接触、非経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻内もしくは皮下投与、くも膜下腔内投与、または徐放デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの埋め込みを指す。
【0051】
「処置する」、「処置すること」および「処置」は、任意の客観的または主観的パラメータ、例えば、低減;寛解;症状の減少、または傷害、病態もしくは状態を患者にとってより許容可能にすること;変性または衰弱の速度の減速;変性の最終点をあまり衰弱するものにしないこと;患者の身体的または精神的幸福を改善することを含む、傷害、病態または状態の処置または改善における成功の任意の指標を指す。症状の処置または改善は、身体検査、精神神経検査、および/または精神医学的評価を含む、客観的または主観的パラメータに基づき得る。
【0052】
「患者」または「対象」は、本明細書において提供する薬学的組成物の投与によって処置し得る、疾患もしくは状態を患っている、または疾患もしくは状態に罹りやすい生物を指す。非限定例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、および他の非哺乳動物が含まれる。いくつかの態様において、患者はヒトである。
【0053】
「治療的有効量」は、特定された疾患もしくは状態を処置もしくは改善するために、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために有用な化合物または薬学的組成物の量を指す。正確な量は処置の目的に依存することになり、当業者であれば、公知の技術を用いて確認可能であろう(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992);Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Pickar, Dosage Calculations (1999);およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkins参照)。
【0054】
本開示は、「ソフト」MEK阻害剤、「ソフト」MEK阻害剤を含む組成物、ならびに、皮膚障害(例えば、MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害、例えば、皮膚RAS病、例えば、神経線維腫症1型(NF1)に関連する皮膚障害、例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫)をMEK阻害剤、例えば、「ソフト」MEK阻害剤により処置および/または予防する方法を提供する。例えば、本明細書に記載の方法は、MEK阻害剤、例えば、「ソフト」MEK阻害剤、例えば、本明細書に記載の「ソフト」MEK阻害剤の投与、例えば、局所または非全身の投与、例えば、外用投与、皮内投与、または病巣内投与を提供し、それにより、全身曝露によって示される副作用、例えば、全身送達のために設計されたMEK阻害剤によって示される公知の副作用は著しく低減される。
【0055】
いくつかの態様において、「ソフトMEK阻害剤」は、MEK1および/または2を阻害する化合物であり、それらが皮膚におけるその治療的役割を達成した後は、非毒性かつ生物学的に活性が低いか不活性である(すなわち、MEK1および/または2を阻害しないかまたはより低い程度に阻害する)生成物への予測可能かつ制御可能な代謝/分解を特徴とする。
【0056】
「ハードMEK阻害剤」は、当技術分野において公知のMEK阻害剤を指す。いくつかの態様において、ハードMEK阻害剤は、経口バイオアベイラビリティのために設計される。これは、治療的に有効なレベルのMEK阻害剤を末梢病巣に全身送達により送達するために必要である。ハードMEK阻害剤には、例えば、PD0325901;PD184161;SMK-17;AS703026(ピマセルチブ、MSC1936369);RO-4987655;セルメチニブ(AZD6244、ARRY142886);ビニメチニブ(MEK162、ARRY-162、ARRY-438162);レファメチニブ;コビメチニブ(GDC-0973、XL518);GDC-0623;AZD8330(ARRY-424704);CI-1040(PD184352);PD198306;およびPD318088が含まれる。
【0057】
理論に縛られたくはないが、例えば、本明細書に記載の「ソフト」MEK阻害剤などのソフトMEK阻害剤は、公知の「ハード」MEK阻害剤よりも代謝的に不安定であると考えられる。例えば、全身循環に達した後の分解のための、それらの固有の代謝的不安定性により、例えば、本明細書に記載の「ソフト」MEK阻害剤などの「ソフト」MEK阻害剤は、経皮的には活性であるが、それらは血漿または血液または肝代謝酵素へ曝露すると速やかに分解するため、局所または非全身の投与、例えば、外用投与、皮内投与、または病巣内投与の際には低い全身曝露を有する。「ソフト」MEK阻害剤とは異なり、公知のMEK阻害剤は経口バイオアベイラビリティのために歴史的に設計されてきており、これには、治療的に有効なレベルでの全身送達を可能にするのに必要な、血漿または血液中の良好な安定性および肝代謝に対する良好な安定性が必要であり、有害な副作用および高い毒性を経験しやすい。その結果、例えば、本明細書に記載のソフトMEK阻害剤などの「ソフト」MEK阻害剤は、全身毒性が低い。
【0058】
「a」、「an」、または「a(n)」は、本明細書における置換基の群または「置換基」に関して用いる場合、少なくとも1個を意味する。例えば、化合物が「an」アルキルまたはアリールで置換されている場合、化合物は少なくとも1個のアルキルおよび/または少なくとも1個のアリールで置換されていてもよく、ここで各アルキルおよび/またはアリールは任意に異なる。別の例において、化合物が「a」置換基で置換されている場合、化合物は少なくとも1個の置換基で置換されており、ここで各置換基は任意に異なる。
【0059】
III. 化合物
1つの局面において、式(I)の化合物、またはその立体異性体、立体異性体の混合物、および/もしくは薬学的に許容される塩が、本明細書において提供される:
式中、
下付き文字nは0~2の整数であり;
結合「a」は一重結合または二重結合であり;
R1は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、R5-C(O)-C1~C6アルキル、または-OR4であり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R2aはハロまたはC1~C6アルキルであり;
各R3は独立にハロまたはC1~C6アルキルであり;
R3aおよびR3bはそれぞれ独立に水素、ハロ、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルであり;
R4は水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、またはR5-C(O)-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;
R5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、またはN-C1~C6アルキルヒドロキシアミノであり;かつ
各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。
【0060】
いくつかの態様において、R1、R2、R4およびR6のシクロアルキル基はそれぞれ、飽和単環式C3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様において、単独またはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルの一部としてのC3~C8シクロアルキル基は、シクロプロピルまたはシクロブチルである。いくつかの態様において、単独またはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルの一部としてのC3~C8シクロアルキル基は、無置換である。いくつかの態様において、単独またはC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルの一部としてのC3~C8シクロアルキル基は、1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。
【0061】
C3~C8シクロアルキル基の1つまたは複数の置換基としてのR6に関して、いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノである。いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、またはアミノである。いくつかの態様において、各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、各R6は独立にヒドロキシまたはアミノである。
【0062】
いくつかの態様において、R1およびR4のヘテロシクロアルキルは、環要素としてN、O、およびSから選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~8員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの態様において、ヘテロシクロアルキルは、Nおよび/またはOである1~2つのヘテロ原子環要素を有する3~6員ヘテロシクロアルキルである。いくつかの態様において、単独またはヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルの一部としてのヘテロシクロアルキル基は、無置換である。いくつかの態様において、単独またはヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルの一部としてのヘテロシクロアルキル基は、1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。
【0063】
ヘテロシクロアルキル基の1つまたは複数の置換基としてのR6に関して、いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6-ヒドロキシアルキル、C1~C6ハロアルキル、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、またはジ-(C1~C6アルキル)アミノである。いくつかの態様において、各R6は独立にハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、またはアミノである。いくつかの態様において、各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、各R6は独立にヒドロキシ、オキソ、またはアミノである。いくつかの態様において、各R6は独立にヒドロキシまたはアミノである。
【0064】
いくつかの態様において、各R3は独立にハロまたはC1~C3アルキルである。いくつかの態様において、各R3は独立にフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである。いくつかの態様において、各R3はメチルである。
【0065】
いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ独立に水素、ハロ、またはC1~C6アルキルである。
【0066】
いくつかの態様において、R3aは水素、ハロ、またはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R3aは水素である。いくつかの態様において、R3aはハロである。いくつかの態様において、R3aはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの態様において、R3aはフルオロである。いくつかの態様において、R3aはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R3aはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、またはヘキシルである。いくつかの態様において、R3aはメチルである。
【0067】
いくつかの態様において、R3bは水素、ハロ、またはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R3bは水素である。いくつかの態様において、R3bはハロである。いくつかの態様において、R3bはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの態様において、R3bはフルオロである。いくつかの態様において、R3bはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R3bはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、またはヘキシルである。いくつかの態様において、R3bはメチルである。
【0068】
いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。いくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはハロである。いくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはフルオロである。
【0069】
いくつかの態様において、結合「a」は二重結合であり、かつ化合物は式(Ia)で表される:
式中、R1、R2、R2a、R3、R3a、R3b、および下付き文字nは本明細書に記載の任意の局面または態様における本明細書の定義のとおりである。
【0070】
いくつかの態様において、結合「a」は一重結合であり、かつ化合物は式(Ib)で表される:
式中、R1、R2、R2a、R3、R3a、R3b、および下付き文字nは本明細書に記載の任意の局面または態様における本明細書の定義のとおりである。
【0071】
式(I)、(Ia)または(Ib)のいくつかの態様において、下付き文字nは0または1である。いくつかの態様において、下付き文字nは0であり、かつ化合物は式(Ia-1)または(Ib-1)で表される:
式中、R1、R2、R2a、R3a、およびR3bは本明細書に記載の任意の局面または態様における本明細書の定義のとおりである。
【0072】
式(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つに関して、いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ独立に水素、ハロ、またはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R3aは水素、ハロ、またはメチルである。いくつかの態様において、R3bは水素、ハロ、またはメチルである。いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。いくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはハロである。いくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはフルオロである。
【0073】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つに関して、いくつかの態様において、R2はハロ、C1~C6アルキル、-S-C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルである。いくつかの態様において、R2はハロまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R2はハロ、-SCH3、-CH3、C2~C3アルケニル、またはC2~C3アルキニルである。
【0074】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2はハロである。いくつかの態様において、R2はフルオロである。いくつかの態様において、R2はヨードである。いくつかの態様において、R2はクロロである。いくつかの態様において、R2はブロモである。
【0075】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2はC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R2はC1~C3アルキルである。いくつかの態様において、R2はメチルである。
【0076】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2は-S-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R2は-S-C1~C3アルキルである。いくつかの態様において、R2は-SCH3である。
【0077】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2はC3~C8シクロアルキルである。いくつかの態様において、R2はシクロプロピルである。
【0078】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2はC2~C6アルケニルである。いくつかの態様において、R2はC2~C4アルケニルである。いくつかの態様において、R2はビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、またはブタジエニルである。いくつかの態様において、R2はビニルである。
【0079】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2はC2~C6アルキニルである。いくつかの態様において、R2はC2~C3アルキニルである。いくつかの態様において、R2はアセチレニルまたはプロピニルである。いくつかの態様において、R2はアセチレニルである。
【0080】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2aはハロまたはC1~C3アルキルである。いくつかの態様において、R2aはハロまたはCH3である。いくつかの態様において、R2aはフルオロまたはCH3である。いくつかの態様において、R2aはヨードまたはCH3である。いくつかの態様において、R2aはクロロまたはCH3である。いくつかの態様において、R2aはブロモまたはCH3である。
【0081】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2aはハロである。いくつかの態様において、R2aはフルオロである。いくつかの態様において、R2aはヨードである。いくつかの態様において、R2aはクロロである。いくつかの態様において、R2aはブロモである。
【0082】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2aはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R2aはC1~C3アルキルである。いくつかの態様において、R2aはCH3である。
【0083】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R2およびR2aはそれぞれハロである。いくつかの態様において、R2はハロであり、かつR2aはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R2はC1~C6アルキルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2は-S-C1~C6アルキルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2はC3~C8シクロアルキルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2はシクロプロピルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2はC2~C6アルケニルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2はC2~C6アルキニルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2はアセチレニルであり、かつR2aはハロである。いくつかの態様において、R2およびR2aはそれぞれ独立にフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aはフルオロである。いくつかの態様において、R2はフルオロであり、かつR2aはヨードである。いくつかの態様において、R2はハロであり、かつR2aは-CH3である。いくつかの態様において、R2はフルオロであり、かつR2aは-CH3である。いくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aは-CH3である。いくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはフルオロである。いくつかの態様において、R2はアセチレニルであり、かつR2aはフルオロである。
【0084】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ia-1)、および(Ib-1)の任意の1つのいくつかの態様において、R1は水素である。いくつかの態様において、R1はC1~C6アルキルである。R1は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたC3~C8シクロアルキルであり、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R1は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたC3~C8シクロアルキルであり、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R1はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C6アルキル、またはシクロブチル-C1~C6アルキルであり;かつシクロプロピル基およびシクロブチル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R1はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C6アルキル、またはシクロブチル-C1~C6アルキルであり、シクロプロピル基およびシクロブチル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はC1~C6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様において、R1はC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はアミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はC1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたヘテロシクロアルキルであり、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R1は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたヘテロシクロアルキルであり、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R1はヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はオキセタニル-C1~C6アルキル、アゼチジニル-C1~C6アルキル、ピロリジニル-C1~C6アルキル、ピペリジニル-C1~C6アルキル、または2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R1はR5-C(O)-C1~C6アルキルであり;かつR5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、またはN-C1~C6アルキルヒドロキシアミノである。いくつかの態様において、R1はR5-C(O)-C1~C6アルキルであり;かつR5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである。
【0085】
いくつかの態様において、R1は、水素、
からなる群より選択される。
【0086】
いくつかの態様において、R1はOR4である。いくつかの態様において、R4は水素である。いくつかの態様において、R4はC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたC3~C8シクロアルキルであり、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R4は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたC3~C8シクロアルキルであり、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R4はC3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでC3~C8シクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C6アルキル、またはシクロブチル-C1~C6アルキルであり;かつシクロプロピル基およびシクロブチル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R4はシクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピル-C1~C6アルキル、またはシクロブチル-C1~C6アルキルであり、シクロプロピル基およびシクロブチル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はC1~C6ヒドロキシアルキルである。いくつかの態様において、R4はC1~C6アルコキシ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はアミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はC1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたヘテロシクロアルキルであり、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R4は無置換のまたは1~6個のR6で置換されたヘテロシクロアルキルであり、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつR6は本明細書の定義および記載のとおりである。いくつかの態様において、R4はヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキルであり、ここでヘテロシクロアルキル基は無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており、かつ各R6は独立にヒドロキシまたはC1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はオキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、オキセタニル-C1~C6アルキル、アゼチジニル-C1~C6アルキル、ピロリジニル-C1~C6アルキル、ピペリジニル-C1~C6アルキル、または2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル-C1~C6アルキルである。いくつかの態様において、R4はR5-C(O)-C1~C6アルキルであり;かつR5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、C1~C6アルキルアミノ、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ、ヒドロキシアミノ、または N-C1~C6アルキルヒドロキシアミノである。いくつかの態様において、R4はR5-C(O)-C1~C6アルキルであり;かつR5はヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、アミノ、またはヒドロキシアミノである。
【0087】
いくつかの態様において、R1は、-OH、
からなる群より選択される。
【0088】
いくつかの態様において、式(I)、(Ia)、または(Ia-1)の化合物は、以下の式の任意の1つで表される:
式中、R2、R2a、R3a、およびR3bは本明細書に記載の任意の局面または態様における本明細書の定義のとおりである。
【0089】
式(Ia)または(Ia-1)を有する前記構造のいくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aはメチルである。前記構造のいくつかの態様において、R2はエチニルであり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2はエチニルであり、かつR2aはメチルである。前記構造のいくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはメチルである。
【0090】
式(Ia)または(Ia-1)を有する前記構造のいくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。前記構造のいくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはハロである。前記構造のいくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはフルオロである。
【0091】
いくつかの態様において、式(I)、(Ib)、または(Ib-1)の化合物は、以下の式の任意の1つで表される:
式中、R2、R2a、R3a、およびR3bは本明細書に記載の任意の局面または態様における本明細書の定義のとおりである。
【0092】
式(Ib)または(Ib-1)を有する前記構造のいくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2はヨードであり、かつR2aはメチルである。前記構造のいくつかの態様において、R2はエチニルであり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2はエチニルであり、かつR2aはメチルである。前記構造のいくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはフルオロである。前記構造のいくつかの態様において、R2は-SCH3であり、かつR2aはメチルである。
【0093】
式(Ib)または(Ib-1)を有する前記構造のいくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。前記構造のいくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはハロである。前記構造のいくつかの態様において、R3aは水素であり、かつR3bはフルオロである。
【0094】
式(I)の例示的な化合物を表1に挙げる。
【0095】
(表1)式(I)の化合物
【0096】
式(I)のさらなる化合物を表2に挙げる。
【0097】
(表2)式(I)のさらなる化合物
【0098】
いくつかの態様において、式(I)の化合物は下記:
からなる群より選択される。
【0099】
他の形態の化合物
本発明の化合物は、塩として存在してもよい。本発明はそのような塩を含む。適用可能な塩形態の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩またはラセミ混合物を含むその混合物、コハク酸塩、安息香酸塩およびグルタミン酸などのアミノ酸との塩が含まれる。これらの塩は、当業者には公知の方法によって調製してもよい。同様に含まれるのは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩などの塩基付加塩である。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性形態を充分な量の所望の酸と、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素(monohydrogencarbonic)、リン酸、リン酸水素(monohydrogenphosphoric)、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric)、硫酸、硫酸水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸に由来する塩が含まれる。同様に含まれるのは、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツノル酸(galactunoric acid)などの有機酸の塩である。本発明の一定の具体的化合物は、化合物を塩基または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする、塩基性および酸性両方の官能基を含む。
【0100】
他の塩には、本発明の方法において用いる化合物の酸性または塩基性塩が含まれる。薬学的に許容される塩の実例には、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)塩、および四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)塩が含まれる。薬学的に許容される塩は非毒性であることが理解されよう。適切な薬学的に許容される塩に関する追加情報は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985において見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0101】
薬学的に許容される塩には、本明細書に記載の化合物上に見られる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基と調製する、活性化合物の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性形態を充分な量の所望の塩基と、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性形態を充分な量の所望の酸と、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。同様に含まれるのは、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツノル酸などの有機酸の塩である(例えば、Berge et al., ''Pharmaceutical Salts'', Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19参照)。本発明の一定の具体的化合物は、化合物を塩基または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする、塩基性および酸性両方の官能基を含む。
【0102】
化合物の中性形態は、好ましくは、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を通常の様式で単離することによって再生してもよい。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解性などの一定の物理的特性において、様々な塩形態と異なる。
【0103】
本発明の一定の化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に含まれる。本発明の一定の化合物は、複数の結晶または非晶質形態で存在してもよい。一般に、すべての物理的形態は、本発明によって企図される使用のために等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0104】
本発明の一定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、絶対立体化学に関して(R)-もしくは(S)-、またはアミノ酸の場合は(D)-もしくは(L)-と定義され得る立体異性形態、および個々の異性体は本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物には、合成および/または単離するのに不安定すぎることが当技術分野において公知のものは含まれない。本発明は、ラセミ形態および光学的に純粋な形態の化合物を含むことになる。光学的に活性な(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製してもよく、または通常の技術を用いて分割してもよい。
【0105】
異性体には、同じ数および同じ種類の原子を有し、したがって同じ分子重量を有するが、原子の構造的配列または立体配置に関して異なる化合物が含まれる。
【0106】
当業者には、本発明の一定の化合物は、互変異性形態で存在してもよく、化合物のそのような互変異性形態はすべて本発明の範囲内であることが明らかであろう。互変異性体とは、平衡で存在し、かつ1つの異性体から別の異性体へと容易に変換される、2つ以上の構造異性体の1つを指す。
【0107】
特に記載がないかぎり、本明細書に示す構造は、構造のすべての立体化学的形態;すなわち、各不斉中心についてRおよびS配置を含むことにもなる。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびに鏡像異性体およびジアステレオマー混合物は本発明の範囲内である。
【0108】
特に記載がないかぎり、本発明の化合物は、そのような化合物を構成する1つまたは複数の原子で非天然比の原子同位体を含んでもよい。例えば、本発明の化合物は、例えば、重水素(2H)、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、フッ素-18(18F)、窒素-15(15N)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、炭素-13(13C)、または炭素-14(14C)などの、放射性または安定同位体で標識してもよい。本発明の化合物のすべての同位体変種は、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に含まれる。
【0109】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を起こして、本発明の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグを、エクスビボ環境で化学的または生化学的方法によって、本発明の化合物に変換することもできる。例えば、プロドラッグを、適切な酵素または化学試薬を含む経皮パッチレザバーに配置すると、本発明の化合物にゆっくり変換することができる。
【0110】
IV. 組成物
別の局面において、式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が、本明細書において提供される。
【0111】
本明細書において提供される化合物を、当技術分野において利用可能な方法および本明細書に開示される方法を使用して、薬学的組成物に製剤化することができる。本明細書に開示される任意の化合物を、適切な薬学的組成物として提供し、好適な投与経路で投与することができる。
【0112】
対象への本明細書に記載の化合物の投与は局所または非全身の投与、例えば外用投与、皮内投与、または病変内投与でありうる。いくつかの態様では、本化合物は外用投与により投与されうる。いくつかの態様では、本化合物は皮内投与により投与されうる。いくつかの態様では、本化合物は病変内投与、例えば病変内注射により投与されうる。
【0113】
本明細書において提供される方法は、単独で使用されるか、あるいは、適合性がありかつ薬学的に許容される1つまたは複数の担体、例えば希釈剤または補助剤との組み合わせ、あるいは対象が処置を必要とするMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは皮膚疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは皮膚疾患の処置用の別の剤との組み合わせの形態である、式(I)の化合物を含む、適切であれば塩の形態である本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む、薬学的組成物を投与する段階を包含する。
【0114】
いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物と共に第2の剤を製剤化または包装可能である。当然、第2の剤を本明細書において提供される化合物と共に製剤化することは、この共製剤化がいずれかの剤の活性または投与方法に干渉しないはずであると当業者が判断する場合にのみ行われる。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の剤は別々に製剤化される。それらは、当業者の都合に応じて、共に包装されてもよく、別々に包装されてもよい。
【0115】
臨床現場では、本明細書において提供される有効剤は任意の好適な経路で投与、特に外用投与、皮内投与、病変内投与、経口投与、非経口投与、直腸投与、または吸入投与(例えばエアロゾル剤の形態で)されうる。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は外用投与、皮内投与、または病変内投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は外用投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は皮内投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は病変内投与される。
【0116】
錠剤、丸剤、硬ゼラチンカプセル剤、散剤、または顆粒剤を経口投与用固体組成物として使用することができる。これらの組成物中では、有効剤とショ糖、ラクトース、またはデンプンなどの1つまたは複数の不活性希釈剤または補助剤とが混合されている。
【0117】
これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、または制御放出向けのコーティングを含みうる。
【0118】
水または流動パラフィンなどの不活性希釈剤を含む、薬学的に許容される溶液剤、懸濁液剤、乳剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を、経口投与用の液体組成物として使用することができる。これらの組成物は希釈剤以外の物質を、いくつかの態様では湿潤剤、甘味料、または香味料を含んでもよい。
【0119】
ローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤、または軟膏剤を外用投与用組成物として使用することができる。これらの組成物中では、有効剤と水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、およびそれらの混合物を含む1つまたは複数の不活性賦形剤とが混合されている。
【0120】
非経口投与、病変内投与、または皮内投与用組成物は乳剤または滅菌溶液剤でありうる。プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、または注射用有機エステル、いくつかの態様ではオレイン酸エチルを溶媒またはビヒクルとして使用することができる。これらの組成物は、補助剤、特に湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、および安定剤を含んでもよい。滅菌はいくつかのやり方で、いくつかの態様では細菌フィルターの使用、放射線、または加熱によって実行可能である。これらの組成物を、使用時に滅菌水または任意の他の注射用滅菌媒体に溶解可能な滅菌固体組成物の形態で調製してもよい。
【0121】
直腸投与用組成物は、有効成分に加えてカカオバター、半合成グリセリド、またはポリエチレングリコールなどの賦形剤を含む坐薬または直腸カプセル剤である。
【0122】
本組成物はエアロゾル剤であってもよい。液体エアロゾル剤の形態での使用では、本組成物は安定な滅菌溶液剤、または使用時に非発熱性滅菌水、生理食塩水、もしくは任意の他の薬学的に許容されるビヒクルに溶解する固体組成物でありうる。直接吸入されるように意図される乾燥エアロゾル剤の形態での使用では、有効成分が微粉化され、水溶性固体希釈剤またはビヒクル、いくつかの態様ではデキストラン、マンニトール、またはラクトースと組み合わせられる。
【0123】
いくつかの態様では、本明細書において提供される組成物は薬学的組成物または単一単位剤形である。本明細書において提供される薬学的組成物または単一単位剤形は、予防有効量または治療有効量の1つまたは複数の予防剤または治療剤(例えば本明細書において提供される化合物、または他の予防剤もしくは治療剤)と、典型的には1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む。いくつかの態様では、「薬学的に許容される」という用語、動物、より具体的にはヒトにおける使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているかまたは米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方において列挙されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬がそれによって投与される希釈剤、補助剤(例えばフロイントアジュバント(完全および不完全))、賦形剤、またはビヒクルを含む。これらの薬学的担体は滅菌液体、例えば水、およびピーナッツ油、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油などの石油、動物、植物、または合成起源の油を含む油でありうる。薬学的組成物を静脈内投与する場合、水を担体として使用することができる。生理食塩水、ならびにブドウ糖水溶液およびグリセリン水溶液を、特に注射用溶液剤の液体担体として使用してもよい。好適な薬学的担体の例はRemington: The Science and Practice of Pharmacy; Pharmaceutical Press; 第22版(2012年9月15日)に記載されている。
【0124】
典型的な薬学的組成物および剤形は1つまたは複数の賦形剤を含む。好適な賦形剤は薬学分野の当業者に周知であり、いくつかの態様では、好適な賦形剤としてデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。特定の賦形剤が薬学的組成物または単位剤形に組み込まれるために好適であるか否かは、単位剤形が対象に投与されるやり方、および剤形中の特定の有効成分を含むがそれに限定されない、当技術分野において周知の種々の要因に依存する。所望であれば、組成物または単一単位剤形は微量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0125】
本明細書において提供されるラクトースを含まない組成物は、当業者に周知でありかついくつかの態様では米国薬局方に列挙されている(USP 36-NF 31 S2)、賦形剤を含みうる。一般に、ラクトースを含まない組成物は、有効成分、結合剤/充填剤、および潤滑剤を、薬学的に適合性がありかつ薬学的に許容される量で含む。例示的なラクトースを含まない剤形は有効成分、結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0126】
水がいくつかの化合物の分解を促進しうることから、有効成分を含む無水性の薬学的組成物および剤形が本明細書にさらに包含される。例えば、製剤の有効期間または経時安定性などの特性を確定するために長期貯蔵を促進する手段として、水(例えば5%)の添加は薬学分野において広く受け入れられている。例えばJens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, New York, 1995, pp. 379 80を参照。実際、水および熱はいくつかの化合物の分解を促進する。したがって、製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、輸送、および使用中に水分および/または湿気に通常遭遇することから、製剤に対する水の効果は非常に重要でありうる。
【0127】
本明細書において提供される無水の薬学的組成物および剤形を、無水または低含水成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトースと、第一級または第二級アミンを含む少なくとも1つの有効成分とを含む、薬学的組成物および剤形は、製造、包装、および/または貯蔵中に水分および/または湿気との有意な接触が予想される場合、無水でありうる。
【0128】
無水薬学的組成物は、その無水性が維持されるように調製および貯蔵されるべきである。したがって、無水組成物を、水に対する曝露を防止することが知られている材料を使用して、好適な製剤キットに含まれうるように包装することができる。いくつかの態様では、好適な包装として気密密封箔、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるがそれに限定されない。
【0129】
有効成分が分解する速度を減少させる1つまたは複数の化合物を含む、薬学的組成物および剤形がさらに提供される。本明細書において「安定剤」と呼ばれる、これらの化合物としては、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が挙げられるがそれに限定されない。
【0130】
薬学的組成物および単一単位剤形は溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態を取りうる。経口製剤は薬学グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体を含みうる。これらの組成物および単位剤形は、予防有効量または治療有効量の予防剤または治療剤を、いくつかの態様では純粋な形態で、対象への適切な投与のための形態を与えるために好適な量の担体と共に含む。製剤は投与様式に適しているべきである。いくつかの態様では、薬学的組成物または単一単位剤形は、滅菌されており、対象、いくつかの態様では動物対象、例えば哺乳動物対象、いくつかの態様ではヒト対象への投与に好適な形態である。
【0131】
薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤化される。いくつかの態様では、投与経路としては非経口投与、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、頬側投与、舌下投与、吸入投与、鼻腔内投与、経皮投与、外用投与、経粘膜投与、腫瘍内投与、滑液包内投与、および直腸投与が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、投与経路は皮内投与、外用投与、または病変内投与である。いくつかの態様では、投与経路は非全身性投与である。いくつかの態様では、本組成物は、日常的手順に従って、ヒトへの静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、鼻腔内投与、または外用投与に適応した薬学的組成物としてとして製剤化される。いくつかの態様では、薬学的組成物は、日常的手順に従って、ヒトへの皮下投与用に製剤化される。通常、静脈内投与用組成物は、滅菌等張性水性緩衝液中の溶液剤である。必要であれば、本組成物は可溶化剤、および注射部位において疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。
【0132】
いくつかの態様では、剤形として錠剤; カプレット剤; 軟弾性ゼラチンカプセル剤などのカプセル剤; カシェ剤; トローチ剤; 舐剤; 分散液剤; 坐薬; 軟膏剤; パップ剤(湿布剤); ペースト剤; 散剤; 包帯剤; クリーム剤; プラスター剤; 溶液剤; パッチ剤; エアロゾル剤(例えば点鼻薬または吸入剤); ゲル剤; 懸濁液剤(例えば水性もしくは非水性液体懸濁液剤、水中油型乳剤、または油中水型液体乳剤)、溶液剤、およびエリキシル剤を含む、対象への経口投与または粘膜投与に好適な液体剤形; 対象への非経口投与に好適な液体剤形; ならびに対象への非経口投与に好適な液体剤形を得るために再構成可能な滅菌固体(例えば結晶性固体または非晶質固体)が挙げられるがそれに限定されない。
【0133】
通常、本明細書において提供される剤形の組成、形状、および種類はその用途に応じて異なる。いくつかの態様では、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは皮膚疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは皮膚疾患の初期処置において使用される剤形は、同じ障害または疾患の維持処置において使用される剤形よりも多くの量の1つまたは複数の有効成分を含みうる。同様に、非経口剤形は、同じ疾患または障害を処置するために使用される経口剤形よりも少ない量の1つまたは複数の有効成分を含みうる。本明細書に包含される特定の剤形がこれらの点および他の点で互いに異なることは、当業者には自明であろう。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy; Pharmaceutical Press; 第22版(2012年9月15日)を参照。
【0134】
一般に、組成物の成分は、有効剤の量を指示するアンプルもしくはサッシェなどの密封容器中で、単位剤形として、いくつかの態様では凍結乾燥粉末もしくは無水濃縮物として、別々にまたは混合物として供給される。本組成物を注入により投与すべき場合、薬学グレードの滅菌水または滅菌食塩水を収容する注入ボトルを用いて分注することができる。本組成物を注射により投与する場合、滅菌注射用水または滅菌生理食塩水のアンプルを、成分が投与前に混合可能になるように用意することができる。
【0135】
典型的な剤形は、本明細書において提供される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を1日当たり約0.1mg~約1000mgの範囲内で含み、朝に1日1回の単一用量として、または食事と共に摂取される1日を通じての分割用量として与えられる。特定の剤形は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、2.0、2.5、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、100、200、250、500または1000mgの有効化合物を有しうる。
【0136】
経口剤形
経口投与に好適な薬学的組成物を、錠剤(例えば咀嚼錠剤)、カプレット剤、カプセル剤、および液剤(例えば香味シロップ剤)などであるがそれに限定されない別々の剤形として提示することができる。これらの剤形は所定量の有効成分を含むものであり、当業者に周知の薬学的方法により調製可能である。一般にRemington: The Science and Practice of Pharmacy; Pharmaceutical Press; 第22版(2012年9月15日)を参照。
【0137】
いくつかの態様では、経口剤形は固体であり、本明細書で詳細に説明するように、無水成分を用いて無水疾患または障害下で調製される。しかし、本明細書において提供される組成物の範囲は無水固体経口剤形を超えて広がる。したがって、さらなる形態を本明細書に記載する。
【0138】
典型的な経口剤形は、従来の薬学的配合技術に従って有効成分と少なくとも1つの賦形剤とを均質混合させて組み合わせることで調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製形態に応じて多種多様な形態を取りうる。いくつかの態様では、経口液体またはエアロゾル剤形中での使用に好適な賦形剤として、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存料、および着色料が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、固体経口剤形(例えば散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット剤)中での使用に好適な賦形剤として、デンプン、糖、結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、および崩壊剤が挙げられるがそれに限定されない。
【0139】
錠剤およびカプセル剤は、投与が容易であることから、最も有利な経口単位剤形となり、この場合、固体賦形剤が使用される。所望であれば、錠剤を標準的な水性または非水性技術でコーティングすることができる。これらの剤形を任意の薬学的方法によって調製することができる。一般に、薬学的組成物および剤形は、有効成分と液体担体、微粉化固体担体、またはその両方とを均一かつ均質に混合した後、必要に応じて生成物を所望の外観に形状化することで調製される。
【0140】
いくつかの態様では、錠剤を圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠剤は、任意で賦形剤と混合された散剤または顆粒剤などの易流動性形態の有効成分を好適な機械中で圧縮することで調製可能である。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた化合物粉末の混合物を好適な機械中で成形することで作製可能である。
【0141】
いくつかの態様では、経口剤形中で使用可能な賦形剤として、結合剤、充填剤、崩壊剤、および潤滑剤が挙げられるがそれに限定されない。薬学的組成物および剤形中での使用に好適な結合剤としてはコーンスターチ、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然ゴムおよび合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば2208番、2906番、2910番)、結晶セルロース、ならびにそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書に開示される薬学的組成物および剤形中での使用に好適な充填剤として、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒または粉末)、結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。通常、薬学的組成物中の結合剤または充填剤は、薬学的組成物または剤形の約50~約99重量パーセントで存在する。
【0143】
いくつかの態様では、結晶セルロースの好適な形態として、AVICEL PH 101、AVICEL PH 103、AVICEL RC 581、AVICEL PH 105として販売される材料(ペンシルベニア州マーカスフックのFMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Salesから入手可能)、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。特定の結合剤は、AVICEL RC 581として販売されている、結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。好適な無水または低水分の賦形剤または添加剤としてはAVICEL PH 103(商標)およびStarch 1500 LMが挙げられる。
【0144】
崩壊剤は、水性環境に曝露される際に崩壊する錠剤を与えるために、組成物中で使用される。含まれる崩壊剤が多すぎる錠剤は貯蔵中に崩壊することがあり、一方、含まれる崩壊剤が少なすぎる錠剤は所望の速度または所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、有効成分の放出を有害に改変するほど多すぎも少なすぎもしない十分な量の崩壊剤を使用して固体経口剤形を形成すべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて異なり、当業者には容易に認識可能である。典型的な薬学的組成物は約0.5~約15重量パーセントの崩壊剤、特に約1~約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0145】
薬学的組成物および剤形中で使用可能な崩壊剤としては寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。
【0146】
薬学的組成物および剤形中で使用可能な潤滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル、ライトミネラルオイル、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、さらなる潤滑剤としてSyloidシリカゲル(AEROSIL 200、メリーランド州ボルチモアのW.R. Grace Co.製)、合成シリカの凝固エアロゾル(テキサス州プレイノのDegussa Co.が販売)、CAB O SIL(発熱性二酸化ケイ素製品、マサチューセッツ州ボストンのCabot Co.が販売)、およびそれらの混合物が挙げられる。少しでも使用される場合、潤滑剤は通常、潤滑剤が取り込まれる薬学的組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0147】
遅延放出剤形
本明細書において提供される化合物などの有効成分を、当業者に周知の制御放出手段または送達装置により投与することができる。いくつかの態様では、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第3,845,770号; 第3,916,899号; 第3,536,809号; 第3,598,123号; 第4,008,719号; 第5,674,533号; 第5,059,595号; 第5,591,767号; 第5,120,548号; 第5,073,543号; 第5,639,476号; 第5,354,556号; 第5,639,480号; 第5,733,566号; 第5,739,108号; 第5,891,474号; 第5,922,356号; 第5,972,891号; 第5,980,945号; 第5,993,855号; 第6,045,830号; 第6,087,324号; 第6,113,943号; 第6,197,350号; 第6,248,363号; 第6,264,970号; 第6,267,981号; 第6,376,461号; 第6,419,961号; 第6,589,548号; 第6,613,358号; および第6,699,500号に記載のものが挙げられるがそれに限定されない。これらの剤形を、いくつかの態様ではヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、または所望の放出プロファイルを実現する様々な比率でのそれらの組み合わせを使用して1つまたは複数の有効成分の遅延放出または制御放出を実現するために使用することができる。本明細書に記載のものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤を、本明細書において提供される有効成分での使用のために容易に選択することができる。したがって、制御放出に適応した錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、およびカプレット剤などであるがそれに限定されない、経口投与に好適な単一単位剤形が、本明細書に包含される。
【0148】
すべての薬学的制御放出製品は、その非制御性の対応物が実現する薬物治療に比べて薬物治療を改善するという共通の目標を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出製剤の使用は、疾患または障害を治癒または制御するために最小量の原薬を最小量の時間で使用することを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物の活性の長期化、投薬頻度の減少、および対象コンプライアンスの向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤は、作用の発生時間、または薬物の血中レベルなどの他の特性に影響を与えるために使用可能であり、したがって、副作用(例えば有害作用)の出現に影響を与えることができる。
【0149】
大部分の制御放出製剤は、所望の治療効果を迅速に生じさせる量の薬物(有効成分)を最初に放出するように、かつ長期間にわたってこのレベルの治療効果または予防効果を維持する他の量の薬物を徐々に連続して放出するように設計される。この一定の薬物レベルを体内で維持するには、身体から代謝および排泄される薬物の量を置き換える速度で、薬物を剤形から放出しなければならない。有効成分の制御放出を、pH、温度、酵素、水、あるいは他の生理学的疾患もしくは障害または化合物を含むがそれに限定されない様々な疾患または障害により刺激することができる。
【0150】
いくつかの態様では、静脈内注入、埋め込み式浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を使用して薬物を投与することができる。いくつかの態様では、ポンプを使用することができる(Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)を参照)。いくつかの態様では、ポリマー材料を使用することができる。いくつかの態様では、制御放出システムを当業者が確定する適切な部位において対象内に配置することができ、すなわち、これにより全身量の何分の一しか必要でなくなる(例えばGoodson, Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照)。他の制御放出システムがLangerの総説論文(Science 249:1527-1533 (1990))において説明されている。有効成分を、体液に不溶性の外部ポリマー膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、およびプロピレンとの共重合体、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元共重合体、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体に取り囲まれる、固体内部マトリックス、例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネート共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、ならびに架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルに分散させることができる。次に有効成分は、放出速度制御段階において外部ポリマー膜を通じて拡散する。これらの非経口組成物中の有効成分の割合は、その具体的な性質、および対象の要求に大きく依存する。
【0151】
非経口剤形
いくつかの態様では、非経口剤形が提供される。いくつかの態様では、非経口剤形を、皮下経路、静脈内経路(ボーラス注射を含む)、筋肉内経路、および動脈内経路を含むがそれに限定されない様々な経路で、対象に投与することができる。いくつかの態様では、非経口剤形を、局所経路、皮内経路、または病変内経路を含むがそれに限定されない様々な経路で、対象に投与することができる。非経口剤形の投与が混入物に対する対象の自然防御を通常はバイパスすることから、非経口剤形は通常、滅菌されているか、または対象への投与前に滅菌可能である。いくつかの態様では、非経口剤形として、注射向けに用意された溶液剤、薬学的に許容される注射用ビヒクルに溶解または懸濁するように用意された乾燥製剤、注射向けに用意された懸濁液剤、および乳剤が挙げられるがそれに限定されない。
【0152】
非経口剤形を得るために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。いくつかの態様では、好適なビヒクルとして注射用水USP; 塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖塩化ナトリウム注射液、および乳酸加リンゲル液などであるがそれに限定されない水性ビヒクル; エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどであるがそれに限定されない水混和性ビヒクル; ならびにトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどであるがそれに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるがそれに限定されない。
【0153】
本明細書に開示される1つまたは複数の有効成分の溶解性を増加させる化合物を非経口剤形に組み込んでもよい。
【0154】
経皮剤形、外用剤形、および粘膜剤形
経皮剤形、外用剤形、および粘膜剤形も提供される。経皮剤形、外用剤形、および粘膜剤形としては点眼液剤、スプレー剤、エアゾール剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤、乳剤、懸濁液剤、または当業者に公知である他の形態が挙げられるがそれに限定されない。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy; Pharmaceutical Press; 第22版(2012年9月15日); およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照。口腔内の粘膜組織を処置するために好適な剤形を洗口剤または経口ゲル剤として製剤化することができる。さらに、経皮剤形としては「リザーバ型」または「マトリックス型」パッチ剤が挙げられ、これらを皮膚に適用し、所望量の有効成分の透過を可能にする特定の期間装着することができる。
【0155】
「薬学的に許容される担体」という用語は、任意の対象組成物またはその成分を運搬または輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料などの、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各担体は、対象組成物およびその成分に適合性があって患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。本明細書に包含される経皮剤形、外用剤形、および粘膜剤形を得るために使用することができる好適な担体(例えば賦形剤および希釈剤)ならびに他の材料は、薬学分野の当業者に周知であり、所与の薬学的組成物または剤形が適用される特定の組織に依存する。そのことを念頭に置けば、無毒でありかつ薬学的に許容されるローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤、または軟膏剤を形成するための典型的な担体として水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、薬学的に許容される担体の役割を果たしうる材料として以下が挙げられる: (1) ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖; (2) コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン; セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのその誘導体; (4) トラガント末; (5) 麦芽; (6) ゼラチン; (7) タルク; (8) カカオバターおよび坐薬ワックスなどの賦形剤; (9) ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油; (10) プロピレングリコールなどのグリコール; (11) グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール; (12) オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル; (13) 寒天; (14) 水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤; (15) アルギン酸; (16) パイロジェンフリー水; (17) 等張食塩水; (18) リンゲル液; (19) エチルアルコール; (20) リン酸緩衝液; ならびに(21) 薬学的製剤中で使用される無毒で適合性のある他の物質。所望であれば、保湿剤または保水剤を薬学的組成物および剤形に加えてもよい。これらのさらなる成分の例は当技術分野において周知である。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy; Pharmaceutical Press; 第22版(2012年9月15日)を参照。
【0156】
処置すべき特定の組織に応じて、提供される有効成分による処置の前に、それと同時に、またはその後に、さらなる成分を使用することができる。いくつかの態様では、有効成分を組織に送達することを支援するために、透過促進剤を使用することができる。好適な透過促進剤としてはアセトン; エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリルなどの様々なアルコール; ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド; ジメチルアセトアミド; ジメチルホルムアミド; ポリエチレングリコール; ポリビニルピロリドンなどのピロリドン; コリドングレード(ポビドン、ポリビドン); 尿素; ならびにTween 80(ポリソルベート80)およびSpan 60(ソルビタンモノステアレート)などの様々な水溶性または水不溶性糖エステルが挙げられるがそれに限定されない。
【0157】
また、1つまたは複数の有効成分の送達を改善するために、薬学的組成物もしくは剤形のpH、または該薬学的組成物または剤形が適用される組織のpHを調整することができる。同様に、送達を改善するために、溶媒担体の極性、イオン強度、または等張性を調整することができる。送達を改善するように1つまたは複数の有効成分の親水性または親油性を有利に改変するために、ステアリン酸エステルなどの化合物を薬学的組成物または剤形に加えることができる。この点で、ステアリン酸エステルは製剤の脂質ビヒクルとしての、乳化剤または界面活性剤としての、かつ送達促進剤または透過促進剤としての役割を果たしうる。得られる組成物の特性をさらに調整するために、有効成分の異なる塩、水和物、または溶媒和物を使用することができる。
【0158】
投与量および単位剤形
ヒト治療において、医師は、処置が予防的であるかまたは治療的であるかに従って、かつ年齢、体重、障害または疾患のステージ、および処置すべき対象に特異的な他の要因に従って、医師が最も適切であると考える、用法用量を確定する。いくつかの態様では、用量は成人1人につき1日当たり約1~約1000mg、または成人1人につき1日当たり約5~約250mgもしくは1日当たり約10~50mgである。いくつかの態様では、用量は成人1人につき1日当たり約5~約400mgまたは1日当たり25~200mgである。いくつかの態様では、1日当たり約50~約500mgの用量も想定される。
【0159】
さらなる局面では、対象において、対象が必要とする疾患または障害の処置を、および/あるいはMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは皮膚疾患、MEK仲介性皮膚障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは皮膚疾患の処置を、それを必要とする対象に、治療有効量または予防有効量の本明細書において提供される化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することによって、行う方法が提供される。障害またはその1つもしくは複数の症状の処置において治療的または予防的に有効である本化合物または組成物の量は、疾患または状態の性質および重症度、および有効成分が投与される経路に応じて異なる。また、頻度および投与量は、投与される特定の治療薬(例えば治療剤または予防剤)、障害、疾患、または状態の重症度、投与経路、ならびに対象の年齢、身体、体重、反応、および既往歴に依存する、各対象に特異的な要因に応じて異なる。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から導出される用量反応曲線から外挿することができる。
【0160】
いくつかの態様では、組成物の例示的用量として、対象または試料の重量1キログラム当たりミリグラムまたはマイクログラムの量の有効化合物(例えば1キログラム当たり約10マイクログラム~約50ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラム~1キログラム当たり約25ミリグラム、または1キログラム当たり約100マイクログラム~1キログラム当たり約10ミリグラム)が挙げられる。本明細書において提供される組成物について、いくつかの態様では、対象に投与される投与量は、有効化合物の重量に基づいて、対象の体重1kg当たり0.140mg~3mgである。いくつかの態様では、対象に投与される投与量は対象の体重1kg当たり0.20mg~2.00mg、0.30mg~1.50mg、1mg~100mg、5mg~50mg、10mg~50mg、20mg~50mg、15mg~40mg、15mg~35mg、15mg~30mg、25mg~35mg、10mg~30mg、10mg~20mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、または約50mgである。
【0161】
いくつかの態様では、本明細書に記載の疾患または障害に関する本明細書において提供される組成物の推奨一日量範囲は1日当たり約0.1mg~約1000mgの範囲であり、1日1回の単一用量として、または1日を通じての分割用量として与えられる。いくつかの態様では、一日量は、同等に分割された用量で1日2回投与される。いくつかの態様では、一日量範囲は1日当たり約10mg~約200mg、いくつかの態様では1日当たり約10mg~約150mg、さらなる態様では1日当たり約25mg~約100mgであるべきである。当業者には明らかなように、いくつかの場合では、本明細書に開示される範囲外の有効成分の投与量を使用することが必要なことがある。さらに、臨床医または処置医が、対象の反応との関連で治療をいつどのようにして中断、調整、または終了するかを知っていることに留意されたい。
【0162】
当業者が容易に理解するように、異なる疾患および状態に対して異なる治療有効量が適用可能でありうる。同様に、当該疾患を予防し、管理し、処置し、または寛解させるには十分だが、本明細書において提供される組成物に関連する有害作用を引き起こすには不十分であるかまたは減少させるには十分である量も、本明細書に記載の投与量および投与頻度スケジュールに包含される。さらに、本明細書に投与される組成物の複数投与量を対象に投与する場合、すべての投与量が同じである必要はない。いくつかの態様では、対象に投与される投与量を、本組成物の予防効果または治療効果を改善するために増加させてもよく、特定の対象が経験する1つまたは複数の副作用を減少させるために減少させてもよい。
【0163】
いくつかの態様では、対象において障害またはその1つもしくは複数の症状を予防し、処置し、管理し、または寛解させるために投与される、本明細書において提供される組成物の投与量は、有効化合物の重量に基づいて、対象の体重1kg当たり0.1mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、10mg、もしくは15mg、またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象において障害またはその1つもしくは複数の症状を予防し、処置し、管理し、または寛解させるために投与される、本明細書において提供される組成物の投与量は、単位用量0.1mg~200mg、0.1mg~100mg、0.1mg~50mg、0.1mg~25mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~10mg、0.1mg~7.5mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25mg~7.5mg、0.25mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~7.5mg、1mg~5mg、または1mg~2.5mgである。
【0164】
いくつかの態様では、処置または予防を、1つまたは複数の初回負荷量の本明細書において提供される化合物または組成物で開始した後、1つまたは複数の維持量で行うことができる。そのような態様では、初回負荷量は例えば1日~5週間で1日当たり約60~約400mgまたは1日当たり約100~約200mgでありうる。初回負荷量に続いて1つまたは複数の維持量を投与することができる。いくつかの態様では、各維持量は独立して1日当たり約10mg~約200mg、1日当たり約25mg~約150mg、または1日当たり約25mg~約80mgである。維持量は毎日投与可能であり、単一用量または分割用量として投与可能である。
【0165】
いくつかの態様では、対象の血中または血清中で有効成分の定常状態濃度を実現する用量の、本明細書において提供される化合物または組成物を投与することができる。定常状態濃度は、当業者に利用可能な技術による測定で確定してもよく、身長、体重、および年齢などの対象の身体特性に基づいてもよい。いくつかの態様では、対象の血中または血清中での定常状態濃度約300~約4000ng/mL、約400~約1600ng/mL、または約600~約1200ng/mLを実現するために十分な量の本明細書において提供される化合物または組成物が投与される。いくつかの態様では、定常状態血中濃度または血清中濃度約1200~約8000ng/mLまたは約2000~約4000ng/mLを実現するように、初回負荷量を1~5日間投与することができる。いくつかの態様では、対象の血中または血清中での定常状態濃度約300~約4000ng/mL、約400~約1600ng/mL、または約600~約1200ng/mLを実現するように、維持量を投与することができる。
【0166】
いくつかの態様では、同じ組成物の投与を繰り返すことができ、投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日間、3ヶ月、または6ヶ月の間隔で行うことができる。いくつかの態様では、同じ予防剤または治療剤の投与を繰り返すことができ、投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日間、3ヶ月、または6ヶ月の間隔で行うことができる。
【0167】
特定の局面では、投与に好適な形態の、化合物またはその薬学的に許容される塩を含む単位剤形が、本明細書において提供される。そのような形態を本明細書において詳細に説明する。いくつかの態様では、単位剤形は有効成分1~1000mg、5~250mg、または10~50mgを含む。特定の態様では、単位剤形は有効成分約1、5、10、25、50、100、125、250、500、または1000mgを含む。これらの剤形は当業者に公知の技術に従って調製可能である。
【0168】
投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じた範囲内で異なりうる。任意の化合物について、治療有効量を細胞培養アッセイによって最初に推定することができる。病変、例えば皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫を伴う皮膚中での、細胞培養液中で確定されるIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を実現する試験化合物の濃度)を含むレベルを実現する用量を、動物モデルにおいて製剤化することができる。ヒトにおいて有用な用量をより正確に確定するために、この情報を使用することができる。さらに、全身曝露量を確認するために、例えば高速液体クロマトグラフィによって血漿中レベルを測定することができる。
【0169】
また、任意の特定の患者における具体的な投与量および処置レジメンが、使用される特定の化合物の活性、年齢、病変の大きさ、病変の数、全身的健康、性別、食事、投与時間、薬物組み合わせ、ならびに処置医の判断および処置される特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存するということを理解されたい。また、組成物中のソフトMEK阻害剤、例えば本明細書に記載のソフトMEK阻害剤の量は、組成物中の特定のソフトMEK阻害剤に依存する。
【0170】
いくつかの態様では、外用量は約0.01μg/cm2、約0.05μg/cm2、約0.1μg/cm2、約0.15μg/cm2、約0.2μg/cm2、約0.3μg/cm2、約0.4μg/cm2、約0.5μg/cm2、約0.6μg/cm2、約0.7μg/cm2、約0.8μg/cm2、または約0.9μg/cm2であり、あるいは約0.01~0.03μg/cm2、約0.03~0.05μg/cm2、約0.05~0.1μg/cm2、約0.1~0.3μg/cm2、約0.3~0.5μg/cm2、約0.5~0.8μg/cm2、約0.8~1.0μg/cm2、約1~10μg/cm2、約10~20μg/cm2、約20~30μg/cm2、約30~40μg/cm2、約40~50μg/cm2、約50~60μg/cm2、約60~70μg/cm2、約70~80μg/cm2、約80~90μg/cm2、約90~100μg/cm2、約100~125μg/cm2、約125~150μg/cm2、約150~175μg/cm2、約175~200μg/cm2、約200~250μg/cm2、約250~300μg/cm2、約300~350μg/cm2、約350~400μg/cm2、約400~450μg/cm2、約450~500μg/cm2、約500~550μg/cm2、約550~600μg/cm2、約600~650μg/cm2、約650~700μg/cm2、約700~750μg/cm2、約750~800μg/cm2、約800~850μg/cm2、約850~900μg/cm2、約900~950μg/cm2、または約950~1000μg/cm2の範囲内である。
【0171】
いくつかの態様では、外用量は約0.5~1.0mg/cm2、1.0~1.5mg/cm2、1.5~2.0mg/cm2、2.5~2.5mg/cm2、3.0~3.5mg/cm2、3.5~5.0mg/cm2、5.0~7.5mg/cm2、7.5~10mg/cm2、1~10mg/cm2、約10~20mg/cm2、約20~30mg/cm2、約30~40mg/cm2、約40~50mg/cm2、約50~60mg/cm2、約60~70mg/cm2、約70~80mg/cm2、約80~90mg/cm2、約90~100mg/cm2、約100~125mg/cm2、約125~150mg/cm2、約150~175mg/cm2、約175~200mg/cm2、約200~250mg/cm2、約250~300mg/cm2、約300~350mg/cm2、約350~400mg/cm2、約400~450mg/cm2、約450~500mg/cm2、約500~550mg/cm2、約550~600mg/cm2、約600~650mg/cm2、約650~700mg/cm2、約700~750mg/cm2、約750~800mg/cm2、約800~850mg/cm2、約850~900mg/cm2、約900~950mg/cm2、または約950~1000mg/cm2の範囲内である。
【0172】
V. キット
MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患;あるいはMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする処置の方法において用いるためのキットも提供される。キットは、本明細書において提供する化合物または組成物、第2の作用物質または組成物、およびMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患を処置するための使用に関して、医療提供者に情報を提供する説明を含み得る。説明は印刷した形態で、またはフロッピーディスク、CD、もしくはDVDなどの電子媒体の形態で、またはそのような説明を入手しうるウェブサイトアドレスの形態で提供してもよい。本明細書において提供する化合物もしくは組成物、または第2の作用物質もしくは組成物の単位用量は、対象に投与した場合に、対象において化合物または組成物の治療的または予防的に有効な血漿レベルが少なくとも1日は維持され得るような用量を含み得る。いくつかの態様において、化合物または組成物は、滅菌水性薬学的組成物または乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物として含まれ得る。
【0173】
いくつかの態様において、適切な包装を提供する。本明細書において用いられる「包装」は、系において習慣的に使用され、一定の範囲内で本明細書において提供する化合物および/または対象への投与に適した第2の作用物質を保持することができる、固体マトリックスまたは材料を含む。そのような材料には、ガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリカーボネート)ボトル、バイアル、紙、プラスチック、およびプラスチック-フォイル積層エンベロープなどが含まれる。e-ビーム滅菌技術を用いる場合、包装は、内容物の滅菌を可能にするために、充分に低い密度を有するべきである。
【0174】
VI. 方法
第3の局面において、疾患または障害を処置するための方法が本明細書において提供され、ここで、対象は該処置を必要としており、かつ、該疾患または障害は、該対象におけるMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患である。方法は、治療的または予防的に有効な量の本明細書において開示する化合物、例えば、単一の鏡像異性体、鏡像異性体対の混合物、個々のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、個々の立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはその互変異性形態を含む、式(I)の化合物、ならびに表1および2の化合物;またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、リン酸塩、もしくは活性代謝物を対象に投与する段階を含む。
【0175】
いくつかの態様において、方法は、治療的有効量の、単一の鏡像異性体、鏡像異性体対の混合物、個々のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、個々の立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはその互変異性形態を含む、式(I)の化合物、ならびに表1および2の化合物;またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、方法は、治療的有効量の、単一の鏡像異性体、鏡像異性体対の混合物、個々のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、個々の立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはその互変異性形態を含む、式(I)の化合物、および表1の化合物;またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与する段階を含む。
【0176】
いくつかの態様において、MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害は、皮膚RAS病、神経線維腫症1型、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、および表在性叢状神経線維腫からなる群より選択される。
【0177】
いくつかの態様において、MEK阻害剤反応性皮膚障害またはMEK仲介性皮膚障害は、神経線維腫症1型である。
【0178】
いくつかの態様において、投与する段階は、ソフトMEK阻害剤を対象の皮膚、粘膜、膣、陰茎、喉頭、外陰、頸部、または肛門に、ソフトMEK阻害剤の局所または非全身の適用、例えば、外用適用、皮内適用、もしくは病巣内適用または坐剤による適用により接触させる段階を含む。
【0179】
いくつかの態様において、神経線維腫症1型(NF1)に関連する腫瘍、例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫は、例えば、サイズまたは全腫瘍体積は、参照標準に対して少なくとも約15%(例えば、約15%~約60%)低減し、それにより対象を処置する。いくつかの態様において、参照標準は、例えば、同じ対象または異なる対象からの非処置対照におけるサイズまたは全腫瘍体積である。
【0180】
いくつかの態様において、神経線維腫症1型(NF1)に関連する腫瘍、例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫のサイズまたは全腫瘍体積は、参照標準に対して少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%低減する。いくつかの態様において、参照標準は、例えば、同じ対象または異なる対象からの非処置対照におけるサイズまたは全腫瘍体積である。
【0181】
いくつかの態様において、方法は、例えば、処置前、処置中および/または処置後に、対象を、磁気共鳴画像法(MRI)、または光学イメージングにより評価する、例えば、対象から得た腫瘍の体積を評価する段階を含む。
【0182】
神経線維腫症1型(NF1):いくつかの態様において、皮膚障害はNF1に関連する。NF1は、フォンレックリングハウゼン神経線維腫症または末梢神経線維腫症としても公知で、出生数およそ3,000に対して1件の割合で生じ、最も多い遺伝障害および最も一般的な神経皮膚障害の1つである。NF1は、様々な細胞シグナル伝達経路、例えば、RasおよびRhoの過剰活性化につながるニューロフィブロミンの欠乏によって引き起こされ、皮膚神経線維腫(DF);皮下神経線維腫;表在性叢状神経線維腫(PF);皮膚神経線維腫(cutaneous neurofibroma:CF);カフェオレ斑;ならびに腋窩および鼠径部色素斑を含む、いくつかの皮膚障害に関連する。DFはNF1患者の95%以上で出現する。DFは体のどこにでも現れて、40歳を超えるNF1患者の88%は100を超えるDFを有する。DFは重度の身体疼痛、外観損傷、ならびに社会的不安の両方を引き起こし得る。顔面DFは、罹患した個人の間で著しい社会的不安問題および疼痛を生じ得る。DF(皮膚神経線維腫(cutaneous neurofibroma)または限局性神経線維腫としても公知)は、皮膚内または皮膚のすぐ下の小神経から成長し、典型的には思春期ごろに始まる小さい隆起として現れる。DFに対する現行の処置選択肢は外科的切除およびCO2レーザー除去に限られ、これらはいずれも瘢痕を生じ、どちらも予防的ではない。
【0183】
他の皮膚RAS病:いくつかの態様において、皮膚障害はRasの活性増強に関連する。いくつかの態様において、皮膚障害は:乾癬、ケラトアカントーマ(KA)、過角化症、乳頭腫、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、コステロ症候群(顔・皮膚・骨格(faciocutaneoskeletal)症候群またはFCS症候群)、眼外胚葉症候群、カフェオレ斑、および多発性黒子症候群(旧称レオパード症候群)から選択される。
【0184】
いくつかまたは任意の態様において、低減、改善、処置、または予防される疾患は、癌(例えば、黒色腫)ではない。
【0185】
いくつかの態様において、低減、改善、処置、または予防される疾患は、癌、皮膚RAS病、神経線維腫症1型に関連する皮膚障害、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫、乾癬、ケラトアカントーマ((KA)、過角化症、乳頭腫、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、コステロ症候群(顔・皮膚・骨格症候群またはFCS症候群)、眼外胚葉症候群、カフェオレ斑、および多発性黒子症候群(旧称レオパード症候群)である。
【0186】
いくつかの態様において、低減、改善、処置、または予防される疾患は、癌である。いくつかの態様において、低減、改善、処置、または予防される疾患は、基底細胞癌、扁平上皮癌、日光角化症、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、頸癌、HPV関連扁平上皮癌、および黒色腫からなる群より選択される。
【0187】
いくつかの態様において、低減、改善、処置、または予防される疾患は、皮膚RAS病、神経線維腫症1型に関連する皮膚障害、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫、または表在性叢状神経線維腫、乾癬、ケラトアカントーマ(KA)、過角化症、乳頭腫、ヌーナン症候群(NS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、コステロ症候群(顔・皮膚・骨格症候群またはFCS症候群)、眼外胚葉症候群、カフェオレ斑、および多発性黒子症候群(旧称レオパード症候群)である。
【0188】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする低減のために用いる。
【0189】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする改善のために用いる。
【0190】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする予防のために用いる。
【0191】
いくつかの態様において、本明細書に記載の化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする処置のために用いる。
【0192】
アッセイ法
化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする処置における有効性について、当業者には公知の任意のアッセイに従ってアッセイすることができる。例示的アッセイ法を本明細書の他所に提供する。
【0193】
VII. 併用療法
いくつかの態様において、本明細書において提供する化合物および組成物は、皮膚障害または疾患の処置のために有効な第2の作用物質のさらなる投与を含む、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする処置の方法において、有用である。第2の作用物質は、米国食品医薬品局、または米国以外の国の他の類似の団体によって現在承認されているものを含む、皮膚障害または疾患の処置のために有効であることが当業者には公知の任意の作用物質であり得る。
【0194】
いくつかの態様において、本明細書において提供する化合物を、1つの第2の作用物質と組み合わせて投与する。さらなる態様において、本明細書において提供する化合物を、2つの第2の作用物質と組み合わせて投与する。さらなる態様において、本明細書において提供する化合物を、2つ以上の第2の作用物質と組み合わせて投与する。
【0195】
いくつかの態様において、方法は、それを必要としている対象に、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、該対象が必要とする処置のために有効な量の化合物を、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、該対象が必要とする処置または予防のために有効な第2の作用物質と組み合わせて、投与する段階を含む。化合物は本明細書に記載の任意の化合物であり得、第2の作用物質は当技術分野または本明細書に記載の任意の第2の作用物質であり得る。いくつかの態様において、化合物は、本明細書の他所に記載の薬学的組成物または剤形の形態である。
【0196】
本明細書において用いられる「組み合わせて」なる用語は、複数の治療法(例えば、1つまたは複数の予防および/または治療剤)の使用を含む。用語「組み合わせて」の使用は、治療法(例えば、予防および/または治療剤)を障害を有する対象に投与する順序を制限しない。第1の治療法(例えば、本明細書において提供する化合物などの、予防または治療剤)を、第2の治療法(例えば、予防または治療剤)の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、同時、または後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に、障害を有する対象に投与することができる。
【0197】
本明細書において用いられる「相乗的」なる用語は、本明細書において提供する化合物と、障害を予防、管理または処置するために使用していたまたは現在使用中の別の治療法(例えば、予防または治療剤)との組み合わせを含み、これは治療法の相加効果よりも有効である。治療法の組み合わせ(例えば、予防または治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、1つもしくは複数の治療法のより低用量の使用および/または該治療法の障害を有する対象へのより低頻度の投与を可能にする。治療法(例えば、予防または治療剤)のより低用量を使用する、および/または該治療法をより低頻度で投与することができれば、障害の予防または処置における該治療法の有効性を低減させることなく該治療法の対象への投与に関連する毒性が低減される。加えて、相乗効果は、障害の予防または処置における作用物質の有効性の改善をもたらし得る。最後に、治療法の組み合わせ(例えば、予防または治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、いずれかの治療法単独の使用に関連する有害または望ましくない副作用を回避または低減し得る。
【0198】
本明細書において提供する活性化合物を、別の治療剤と、特に、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の、対象が必要とする処置において有効な治療剤と組み合わせてまたは交互に、投与することができる。併用療法では、2つ以上の作用物質の有効用量を一緒に投与するが、交互または逐次段階療法では、各作用物質の有効量を連続または逐次投与する。与える用量は、薬物の吸収、不活化および排出速度ならびに当業者には公知の他の因子に依存することになる。用量値は、軽減するMEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは疾患の重症度によっても変動することが留意されるべきである。任意の特定の対象に対して、特定の投与法およびスケジュールを、個人の必要性および組成物を投与する、または組成物の投与を監督する者の専門的判断に従って、経時的に調節すべきであることもさらに理解されるべきである。
【0199】
いくつかの態様では、併用療法において使用される第2の剤の投与量が示される。いくつかの態様では、MEK阻害剤反応性障害もしくは疾患、MEK阻害剤反応性皮膚障害もしくは皮膚疾患、MEK仲介性障害もしくは疾患、またはMEK仲介性皮膚障害もしくは皮膚疾患を処置するために使用されたかまたは現在使用中である投与量よりも少ない投与量を、本明細書において提供される併用療法において使用することができる。第2の剤の推奨投与量を当業者の知識から得ることができる。臨床用に承認された第2の剤に関して、推奨投与量は、例えば参照によりその全体が本明細書に組み入れられるHardman et al., eds., 1996, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Therapeutics 9th Ed, McGraw-Hill, New York; Physician's Desk Reference (PDR) 57th Ed., 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJに記載されている。
【0200】
本開示は、本明細書に記載のソフトMEK阻害剤を1つまたは複数のさらなる剤と共に投与することによる併用処置を提供する。いくつかの態様では、1つまたは複数のさらなる剤は以下より選択される:
ざ瘡を処置する剤(例えばアキュテイン、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル、サリチル酸);
鎮痛剤(例えばアセトアミノフェン、カプサイシン)、例えばCox2阻害剤、例えばセレコキシブ);
麻酔薬(例えばベンゾカイン、ベンゾカイン/メントール、ジブカイン、ジペロドン、リドカイン、リドカイン/プリロカイン、プラモキシン);
抗感染症薬(例えばクロタミトン);
抗そう痒薬(例えば乳酸アンモニウム、ベンゾカイン、アスコマイシンマクロラクタム、例えばピメクロリムス);
抗そう痒薬/5HT3受容体アンタゴニスト(例えばオンダンセトロン);
抗生物質(例えばクリンダマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、テトラサイクリン);
抗コリン性制吐薬(例えばジフェンヒドラミン);
抗線維化薬(例えばコラゲナーゼ、ピルフェニドン);
抗ヒスタミン薬(例えばトリプロリジン(Actifed(登録商標))、フェキソフェナジン(Allergra(登録商標)、Allegra(登録商標)D-12、Allegra(登録商標)-24)、Astepro/Astelin点鼻薬(アゼラスチン)(Dymista(登録商標))、塩酸ヒドロキシジン(Atarax(登録商標))、塩酸ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標))、ブロムフェニラミン(Dimetapp(登録商標) Cold and Allergy Elixir)、Zyrtec(登録商標)(セチリジン)、Chlor-Trimeton(登録商標)(クロルフェニラミン)、デスロラタジン(Clarinex(登録商標)、Clarinex(登録商標)D-12、およびClarinex(登録商標)D-24)、ロラタジン(Claritin(登録商標)、Claritin(登録商標)D-12、Claritin(登録商標)D-24、およびAlavert(登録商標))、ジメンヒドリナート(Dramamine(登録商標))、ジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)Allergy、Nytol(登録商標)、Sominex(登録商標))、ドキシラミン(Vicks(登録商標)、NyQuil(登録商標)、Alka-Seltzer(登録商標)Plus Night-Time Cold Medicine)、シプロヘプタジン(Periactin(登録商標))、プロメタジン(Phenergan(登録商標))、アクリバスチン(Semprex(登録商標)、Semprex(登録商標)-D)、クレマスチン(Tavist(登録商標))、ドキシラミン(Unisom(登録商標))、レボセチリジン(Xyzal(登録商標));
マスト細胞安定化剤(例えばβ2-アドレナリンアゴニスト、クロモグリク酸、クロモリンナトリウム、Gastrocrom(登録商標)、ケトチフェン、メチルキサンチン、オマリズマブ、ペミロラスト、ケルセチン、ケトチフェン(Zaditen(登録商標));
抗炎症剤(例えばNSAID(例えばアスピリン、サリチル酸コリンおよびサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナクカリウム(Cataflam(登録商標))、ジクロフェナクナトリウム(Voltaren(登録商標)、Voltaren(登録商標)XR)、ジクロフェナクナトリウム・ミソプロストール(Arthrotec(登録商標))、ジフルニサル(Dolobid(登録商標))、エトドラク(Lodine(登録商標)、Lodine(登録商標)XL)、フェノプロフェンカルシウム(Nalfon(登録商標))、フルルビプロフェン(Ansaid(登録商標))、イブプロフェン(Advil(登録商標)、Motrin(登録商標)、Motrin(登録商標)IB、Nuprin(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標)、Indocin(登録商標)SR)、ケトプロフェン(Actron(登録商標)、Orudis(登録商標)、Orudis(登録商標)KT、Oruvail(登録商標))、サリチル酸マグネシウム(Arthritab、Bayer(登録商標)Select、Doan's Pills、Magan、Mobidin、Mobogesic)、メクロフェナム酸ナトリウム(Meclomen(登録商標))、メフェナム酸(Ponstel(登録商標))、メロキシカム(Mobic(登録商標))、ナブメトン(Relafen(登録商標))、ナプロキセン(Naprosyn(登録商標)、Naprelan(登録商標))、ナプロキセンナトリウム(Aleve(登録商標)、Anaprox(登録商標))、オキサプロジン(Daypro(登録商標))、ピロキシカム(Feldene(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、サルサラート(Amigesic、Anaflex 750、Disalcid、Marthritic、Mono-Gesic、Salflex、Salsitab)、サリチル酸ナトリウム、スリンダク(Clinoril(登録商標))、トルメチンナトリウム(Tolectin(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標)));
受容体チロシンキナーゼ阻害剤(例えばスニチニブ);
アルキル化剤(例えばダカルバジン、カルボプラチン);
CDK 4/6阻害剤(例えばLEE011);
PKC阻害剤(例えばAEB071);
MAPK阻害剤(例えばRAS阻害剤/ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばティピファニブ)、Rafキナーゼ阻害剤(例えばソラフェニブ(BAY 43-9006、Nexavar)、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、LGX818、TAK-632、MLN2480、PLX-4720)、ERK阻害剤(例えばSCH772984、VTX11e);
PI3K阻害剤(例えばLY294002);
AKT阻害剤(例えばMK 2206);
PI3K/AKT阻害剤(例えばブパリシブ、シズツムマブ);
mTOR阻害剤(例えば外用ラパマイシン、RAD001(エベロリムス/ラパマイシン)、テムシロリムス、シロリムス);
チロシンキナーゼ阻害剤(例えばイマチニブ(Gleevec(登録商標))、カボザンチニブ(チロシンキナーゼc-MetおよびVEGFR2の阻害剤)、ニロチニブ(Tasigna(登録商標));
VEGF阻害剤(例えばラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、セジラニブ);
免疫反応調節剤(例えば外用イミキモド、インターフェロン、PEGインターフェロン);
カルシウムチャネル遮断薬(例えばAvocil(Mederma)/15%ベラパミル、別途ビタミンD、ドキシサイクリン注射液);
スタチン(例えばロバスタチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、プレガバリン、テモゾロミド、PLX3397);
HDAC阻害剤(例えばAR-42);
HSP-90阻害剤(例えばガネテスピブ(Ganetespib));
レチノイド(例えばアダパレン、イソトレチノイン、タザロテン、トレチノイン);
ステロイド(例えばアルクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、増強ジプロピオン酸ベタメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸クロベタゾール、コルチゾン、デソニド、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、フロ酸モメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド);
外用カルシニューリン阻害剤(例えばピメクロリムス(Elidel(登録商標)クリーム1%、Novartis)、タクロリムス(Protopic(登録商標)軟膏、Astellas)); ならびに
非薬学的治療介入(例えば光線力学療法(外用Levulan Kerastick + 光)、電気乾固(ED)、YAGレーザー)。
【0201】
様々な態様では、治療薬(例えば本明細書において提供される化合物および第2の剤)は5分未満の間隔で、30分未満の間隔で、1時間の間隔で、約1時間の間隔で、約1時間~約2時間の間隔で、約2時間~約3時間の間隔で、約3時間~約4時間の間隔で、約4時間~約5時間の間隔で、約5時間~約6時間の間隔で、約6時間~約7時間の間隔で、約7時間~約8時間の間隔で、約8時間~約9時間の間隔で、約9時間~約10時間の間隔で、約10時間~約11時間の間隔で、約11時間~約12時間の間隔で、約12時間~18時間の間隔で、18時間~24時間の間隔で、24時間~36時間の間隔で、36時間~48時間の間隔で、48時間~52時間の間隔で、52時間~60時間の間隔で、60時間~72時間の間隔で、72時間~84時間の間隔で、84時間~96時間の間隔で、または96時間~120時間の間隔で投与される。様々な態様では、治療薬は24時間以下の間隔または48時間以下の間隔で投与される。いくつかの態様では、2つ以上の治療薬は同じ患者来診内に投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の剤は同時に投与される。
【0202】
いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の剤は約2~4日の間隔で、約4~6日の間隔で、約1週間の間隔で、約1~2週間の間隔で、または2週間超の間隔で投与される。
【0203】
いくつかの態様では、同じ剤の投与を繰り返すことができ、投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日間、3ヶ月、または6ヶ月の間隔で行うことができる。いくつかの態様では、同じ剤の投与を繰り返すことができ、投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日間、3ヶ月、または6ヶ月の間隔で行うことができる。
【0204】
いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の剤は、本明細書において提供される化合物および他方の剤が別々に投与される場合よりもベネフィットの増加を示すように両者が共に作用しうる順序および時間間隔内で、患者、いくつかの態様では哺乳動物、例えばヒトに投与される。いくつかの態様では、第2の有効剤を同時に、または異なる時点にて任意の順序で順次投与することができるが、同時に投与しない場合、所望の治療効果または予防効果が得られるように両者を十分に短い時間間隔で投与すべきである。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の有効剤は、重複する時間に効果を発揮する。各第2の有効剤を別々に、任意の適切な形態で、かつ任意の好適な経路で投与することができる。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は第2の有効剤の投与の前に、それと同時に、またはその後に投与される。
【0205】
いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の剤は周期的に患者に投与される。周期療法は、第1の剤(例えば第1の予防剤または治療剤)をある期間投与した後、第2の剤および/または第3の剤(例えば第2および/または第3の予防剤または治療剤)をある期間投与し、この順次投与を繰り返すことを包含する。周期療法は、1つもしくは複数の治療薬に対する耐性の発生を減少させ、1つの治療薬の副作用を回避するかもしくは減少させ、かつ/または処置の有効性を改善することができる。
【0206】
いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物および第2の有効剤は約3週間未満に約1回、2週間に約1回、10日に約1回、または週約1回のサイクルで投与される。1つのサイクルは、サイクル毎に約90分、サイクル毎に約1時間、サイクル毎に約45分にわたる注入による本明細書において提供される化合物および第2の剤の投与を含みうる。各サイクルは少なくとも1週間の休息、少なくとも2週間の休息、少なくとも3週間の休息を含みうる。実行されるサイクル数は約1~約12サイクル、より典型的には約2~約10サイクル、より典型的には約2~約8サイクルである。
【0207】
いくつかの態様では、処置過程は患者に対して同時に実行され、すなわち、個々の用量の第2の剤は、別々に、但し、本明細書において提供される化合物が第2の有効剤と共に作用しうる時間間隔内で投与される。いくつかの態様では、1つの成分を週1回投与することを、2週間に1回または3週間に1回投与可能な他の成分との組み合わせで行うことができる。言い換えれば、治療薬が同時にまたは同じ日の間に投与されないとしても、投与レジメンは同時に実行されることになる。
【0208】
第2の剤は、本明細書において提供される化合物と相加的または相乗的に作用しうる。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は、同じ薬学的組成物中で1つまたは複数の第2の剤と同時に投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は、別々の薬学的組成物中で1つまたは複数の第2の剤と同時に投与される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物は第2の剤の投与の前または後に投与される。同じまたは異なる投与経路、例えば経口経路および非経口経路による本明細書において提供される化合物および第2の剤の投与も想定される。いくつかの態様では、本明細書において提供される化合物が、毒性を含むがそれに限定されない有害副作用を潜在的に生じさせる第2の剤と同時に投与される場合、有害副作用を誘発させる閾値未満の用量で第2の有効剤を投与することが有利でありうる。
【実施例
【0209】
VIII. 実施例
一般合成法
本明細書において提供する化合物を、当業者には明白な任意の方法によって調製、単離または入手することができる。本明細書において提供する化合物を、以下に提供する例示的調製スキームに従って調製することができる。例示的調製スキームに提供していない反応条件、段階および反応物は、当業者には明白であり、公知であろう。本明細書において用いられる、これらのプロセス、スキームおよび例において使用される記号および慣例は、特定の略語が具体的に定義されているかどうかに関わらず、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致している。具体的には、実施例および明細書の全体において以下の略語を用い得るがこれらに限定されない:g(グラム);mg(ミリグラム);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mmol(ミリモル);hrまたはhrs(時間);min(分);MS(質量分析);ESI(エレクトロスプレーイオン化);TLC(薄層クロマトグラフィ);HPLC(高圧液体クロマトグラフィ);THF(テトラヒドロフラン);CDCl3(重水素化クロロホルム);AcOH(酢酸);DCM(ジクロロメタン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DMSO-d6(重水素化ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);MeOH(メタノール);Tces(2,2,2-トリクロロエトキシスルホニル);-Si(tert-Bu)(Ph)2および-SitBuPh2(tert-ブチル-ジフェニルシリル);ならびにBOC(t-ブチルオキシカルボニル)。
【0210】
以下の実施例のすべてについて、当業者には公知の標準の後処理および精製法を使用することができる。特に記載がないかぎり、すべての温度は℃(摂氏度)で表す。全ての反応は、特に記載がないかぎり、室温で行う。本明細書において例示する合成法は、具体例の使用を通じて適用可能な化学を例示することが意図され、本開示の範囲を示すものではない。
【0211】
下付き文字nが0であり;R1が水素、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルキル-C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ-C1~C6アルキル、アミノ-C1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ-C1~C6アルキル、ジ-(C1~C6アルキル)アミノ-C1~C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル-C1~C6アルキル、R5-C(O)-C1~C6アルキル、または-OHであり、ここでC3~C8シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基はそれぞれ無置換であるかまたは1~6個のR6で置換されており;R2、R2a、R3a、R3b、R5、およびR6は本明細書に記載の任意の局面、態様、または請求項における定義のとおりである、式(Ia)の化合物を、図1に示すスキーム1に従って調製することができる。いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。
【0212】
市販のまたは日常的に入手可能な式(101)のピリジンおよび市販のクロロギ酸メチルから出発して、式(102)の化合物を当業者には明白な方法によって調製することができる。次いで、式(102)の化合物を式(103)の化合物と、Cs2CO3および触媒、例えば、PdXPhos G2存在下で反応させるが、式(103)の化合物はピナコルボランおよびエチルビニルエーテルから調製する。式(104)の化合物を酸性条件下で環化させて、式(105)の中間体を得る。様々な市販のまたは日常的に入手可能なR1NH2のアミンまたは保護アミンを式(105)の中間体と反応させて、式(106)の化合物を得ることができる。式(106)の化合物と市販のまたは日常的に入手可能なアニリンを、当業者には明白な方法によってカップリング反応させ、続いて任意に脱保護することにより、式(Ia)の化合物を調製することができる。R1がHOC(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物のいくつかの態様において、当技術分野において公知の方法による-C(O)OH基のさらなる活性化の後、これらの化合物を、R1がR5C(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物に変換する。
【0213】
下付き文字nが0であり;R1が-OR4であり;かつR2、R2a、R3a、R3b、およびR4が本明細書に記載の任意の局面、態様、または請求項における定義のとおりである、式(Ia)の化合物を、図2に示すスキーム2に従って調製することができる。いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。
【0214】
スキーム1に示す式(104)の共通の中間体から出発して、様々な市販のまたは日常的に入手可能なR4ONH2のヒドロキシアミンまたは保護ヒドロキシアミンを式(104)の化合物と反応させて、式(107)の化合物を得ることができる。式(107)の化合物を塩基下で環化させて、式(108)の化合物を得る(R1における任意のエステル基も対応する酸に加水分解されることに留意されたい)。式(108)の化合物と市販のまたは日常的に入手可能なアニリンを、当業者には明白な方法によってカップリング反応させ、続いて任意に脱保護することにより、式(Ia)の化合物を調製することができる。R1が-OR4であり、かつR4がHOC(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物のいくつかの態様において、当技術分野において公知の方法によるC(O)OH基のさらなる活性化の後、これらの化合物を、R1が-OR4であり、かつR4がR5C(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物に変換する。いくつかの態様において、R1が-OHである場合、対応する式(Ia)の化合物を、スキーム1に従って調製する。
【0215】
下付き文字nが0であり、かつR1、R2、R2a、R3a、およびR3bが本明細書に記載の任意の局面、態様、または請求項における定義のとおりである、式(Ib)の化合物を、図3に示すスキーム3に従って調製することができる。いくつかの態様において、R3aおよびR3bはそれぞれ水素である。
【0216】
スキーム1に示す式(104)の共通の中間体から出発して、様々な市販のまたは日常的に入手可能なR1NH2のアミン、ヒドロキシアミン、保護アミン、または保護ヒドロキシアミンを式(104)の化合物と反応させて、式(109)の化合物を得ることができる。式(109)の化合物を還元剤(例えば、NaCNBH3)存在下で還元的環化させて、式(110)の化合物を得る(R1におけるエステル基も対応する酸に加水分解されることに留意されたい)。式(110)の化合物と市販のまたは日常的に入手可能なアニリンを、当業者には明白な方法によってカップリング反応させ、続いて任意に脱保護することにより、式(Ia)の化合物を調製することができる。R1がHOC(O)-C1~C6アルキルまたは-OR4であり、かつR4がHOC(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物のいくつかの態様において、当技術分野において公知の方法によるC(O)OH基のさらなる活性化の後、これらの化合物を、R1がR5C(O)-C1~C6アルキルまたは-OR4であり、かつR4がR5C(O)-C1~C6アルキルである、式(Ia)の化合物に変換する。
【0217】
本明細書において提供する例示的調製スキームおよび当業者には公知の手順を用いて、表1および2の化合物を調製することができる。
【0218】
一般法
NMR分光法
1H NMRスペクトルを、Bruker Avance III NMR分光計により、400MHzで記録した。試料を重水素化クロロホルム(CDCl3)またはジメチルスルホキシド(DMSO-d6)中で調製し、生データをACD NMRソフトウェアを用いて処理した。
【0219】
UPLC-MS分析
LCMS分析を、Acquity i-Class Sample Manager-FL、Acquity i-Class Binary Solvent ManagerおよびAcquity i-Class UPLC Column ManagerからなるWaters Acquity UPLCシステムで実施した。UV検出は、Acquity i-Class UPLC PDA検出器(210~400nmまで走査)を用いて行い、質量検出はAcquity QDa検出器(100~1250Daまで質量走査:ポジティブモードとネガティブモードを同時に)を用いて行った。Waters Acquity UPLC BEH C18カラム(2.1×50mm、1.7μm)を用いて分析物の分離を行った。
【0220】
H2O中のMeCNの体積比1:1混合物1mLに溶解(超音波処理して、または超音波処理なしで)することにより、試料を調製した。得られた溶液を0.2μmシリンジフィルターを通してろ過した後、分析に供した。用いた全ての溶媒(ギ酸および36%アンモニア溶液を含む)はHPLC等級で用いた。
【0221】
本明細書に記載の化合物を分析するために、4つの異なる分析法を用いた。4つの分析法をそれぞれ以下に詳細に示す:
酸性試行(2分):水中0.1体積%ギ酸[溶離剤A];MeCN中0.1体積%ギ酸[溶離剤B];流速0.8mL/分;注入量2μLおよび試料間の平衡時間1.5分。
酸性試行(4分):水中0.1体積%ギ酸[溶離剤A];MeCN中0.1体積%ギ酸[溶離剤B];流速0.8mL/分;注入量2μLおよび試料間の平衡時間1.5分。
塩基性試行(2分):水中0.1%アンモニア[溶離剤A];MeCN中0.1%アンモニア[溶離剤B];流速0.8mL/分;注入量2μLおよび試料間の平衡時間1.5分。
塩基性試行(4分):水中0.1%アンモニア[溶離剤A];MeCN中0.1%アンモニア[溶離剤B];流速0.8mL/分;注入量2μLおよび試料間の平衡時間1.5分。
【0222】
実施例1: (R)-2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 3-ブロモ-5-フルオロイソニコチン酸メチル
無水THF(300mL)中の無水ジイソプロピルアミン(8.8mL、62.5mmol)の溶液を0℃で撹拌し、これにn-BuLi(ヘキサン中2.5M、25mL、62.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで-78℃まで冷却し、無水THF(300mL)中の3-ブロモ-5-フルオロピリジン(10g、56.8mmol)の溶液を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、クロロギ酸メチル(5.3mmol、68.2mmol)で処理した。反応混合物を1.5時間撹拌し、次いで飽和NH4Cl水溶液により0℃で反応停止し、EtOAc(3×100mL)で抽出し、H2O(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~7%EtOAc)で精製し、生成物(10.43g、78%)を帯黄色液体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.86分、
【0223】
段階2: 2-(2-エトキシビニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(式(103)の化合物)
ピナコルボラン(20g、156mmol)およびエチルビニルエーテル(61.4mL、640mmol)の混合物に、酢酸パラジウム(II)(0.176g、0.781mmol)を、発熱工程のため注意深く加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカプラグを通過させて(ヘキサン中0~10%EtOAc)、生成物(24.6g、85%)を黄色液体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.92および1.03分、
【0224】
段階3: 3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(式(104)の化合物)
THF/H2O(体積比9:1、90:10mL)中の3-ブロモ-5-フルオロイソニコチン酸メチル(10g、42.70mmol)、2-(2-エトキシビニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(12.7g、64.05mmol)、Cs2CO3(48.7g、49.45mmol)およびPdXPhos G2触媒(3.4g、4.27mmol)の脱気溶液を、85℃で18時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、セライトパッドを通してろ過した。有機ろ液をH2O(100mL)、食塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~25%EtOAc)で精製して、生成物(7.07g、74%)を褐色油状物で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.01および1.10分、
【0225】
段階4: 8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(式(105)の化合物)
3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(2.07g、9.2mmol)に4M HCl(26mL、104mmol)を加え、反応混合物を100℃で18時間撹拌した。反応混合物を冷却し、生じた沈澱をろ過により単離し、ジオキサン(3×5mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、生成物(0.93g、50%)を淡褐色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.60、
【0226】
段階5: (R)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-フルオロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(13mL)中の8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(300mg、1.82mmol)の溶液に、(R)-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(334mg、2.55mmol)を加え、反応混合物を80℃で72時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcに溶解し、H2O(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~80%EtOAc)で精製して、生成物(94mg、19%)をオフホワイト固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.84分、
【0227】
段階6: (R)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(1mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(49mg、0.21mmol)の溶液を-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、0.3mL、0.3mmol)で処理し、反応混合物を10分間撹拌した。次いで、無水THF(1mL)中の(R)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-フルオロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(60mg、0.216mmol)の溶液を加え、反応混合物を-78℃で15分撹拌し、次いで室温まで戻した。反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(1mL)により0℃で反応停止し、EtOAc(3×7mL)で抽出した。合わせた有機相をH2O(7mL)、食塩水(7mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~50%EtOAc)で精製して、生成物(68mg、64%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.17分、
【0228】
段階7: (R)-2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
ジオキサン(3.5mL)中の(R)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(68mg、0.137mmol)の溶液を、ジオキサン中4M HCl(0.086mL)で処理し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、生成物(62mg、100%)を橙色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.87分、
【0229】
実施例2: (S)-2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: (S)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-フルオロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(22mL)中の8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(500mg、3.03mmol)の溶液に、(S)-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(556mg、4.24mmol)を加え、反応混合物を80℃で72時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcに溶解し、H2O(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~100%EtOAc)で精製して、生成物(165mg、20%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.76分、
【0230】
段階2: (S)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(1mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(53mg、0.222mmol)の溶液を-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、0.33mL、0.33mmol)で処理し、反応混合物を10分間撹拌した。次いで、無水THF(1mL)中の(S)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-フルオロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(65mg、0.234mmol)の溶液を加え、反応混合物を-78℃で15分撹拌し、次いで室温まで戻した。反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(1mL)により0℃で反応停止し、EtOAc(3×7mL)で抽出した。合わせた有機相をH2O(7mL)、食塩水(7mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~50%EtOAc)で精製して、生成物(77mg、66%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.14分、
【0231】
段階3: (S)-2-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
ジオキサン(3.5mL)中の(S)-2-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)-8-(2-フルオロ-4-(トリメチルシリル)フェニル-アミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(67mg、0.136mmol)の溶液を、1,4-ジオキサン中4M HCl(85μL)で処理し、反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗製材料を分取HPLCで精製して、生成物(16mg、26%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.02分、
【0232】
実施例3: 2-(3-アミノプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン塩酸塩
段階1: 3-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)プロピルカルバミン酸tert-ブチル
MeOH(22mL)中の8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(0.5g、2.48mmol)および3-アミノプロピルカルバミン酸tert-ブチル(0.74g、4.24mmol)の溶液を80℃で18時間加熱し、減圧下で濃縮した。粗製残渣をEtOAcで処理し、集めた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(1.02g、純度35%)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.97分、m/z 322.1 [M+H]+
【0233】
段階2: 3-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)プロピルカルバミン酸tert-ブチル
無水THF(15mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(680mg、2.87mmol)の溶液をN2雰囲気下、-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、4.23mL、4.23mmol)を滴加して処理した。反応混合物を-78℃で15分間撹拌し、次いで、無水THF(15mL)中の3-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)プロピルカルバミン酸tert-ブチル(970mg、純度35%、1.06mmol)の懸濁液を加えた。反応混合物を-7℃でさらに撹拌し、次いで室温まで戻した。1時間後、反応混合物を-78℃まで再度冷却し、追加のLiHMDS(THF中1M、4.23mL、4.23mmol)を滴加して処理し;この添加をもう1回繰り返した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、室温まで戻した。次いで、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液により0℃で反応停止し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製材料を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~90%EtOAc)で精製して、生成物(73mg、13%)を得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.28分、
【0234】
段階3: 2-(3-アミノプロピル)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン塩酸塩
無水ジオキサン(1mL)中の3-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)プロピルカルバミン酸tert-ブチル(73mg、0.136mmol)の溶液を室温で撹拌し、HCl溶液(ジオキサン中4N、50μl、0.195mmol)で処理した。1.5時間後、追加のHCl溶液(ジオキサン中4N、2×50μl、0.390mmol)を加え、反応混合物をさらに18時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮して、生成物(62mg、97%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.85分、
【0235】
実施例4: 2-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸
段階1: 2-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸メチル
MeOH(5mL)中のグリシンメチルエステル塩酸塩(0.53g、4.24mmol)の懸濁液を、Et3N(0.59mL、4.24mmol)で処理し、得られた溶液をMeOH(17mL)中の8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(0.50g、2.48mmol)の溶液に加えた。反応混合物を80℃で72時間加熱し、次いで減圧下で濃縮した。粗製残渣をEtOAcで複数回処理し、集めた有機相を水、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物(465mg、80%)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.71分、
【0236】
段階2: 2-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸
MeOH(12mL)およびH2O(12mL)中の2-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸メチル(465mg、1.97mmol)の溶液を0℃で撹拌し、1M LiOH水溶液(3.9mL、3.94mmol)で処理した。反応混合物を30分間撹拌し、室温まで戻した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcで抽出した。水相をクエン酸水溶液(pH2)でpH3に達するまで酸性化し、次いでEtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物(153mg、50%)をオフホワイト固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.17分、
【0237】
段階3: 2-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸
無水THF(2mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(155mg、0.655mmol)の溶液をN2雰囲気下、-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、1.65mL、1.65mmol)を滴加して処理した。反応混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、無水THF(3mL)中の2-(8-フルオロ-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸(153mg、0.689mmol)の懸濁液を加えた。反応混合物をさらに撹拌し、室温まで戻した。2.5時間後、反応混合物を-78℃まで再度冷却し、追加のLiHMDS(THF中1M、2×0.8mL、1.60mmol)を滴加して処理した。反応混合物をさらに18時間撹拌し、室温まで戻した。次いで、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液により0℃で反応停止し、EtOAcで抽出した。水相をクエン酸水溶液(pH2)でpH3に達するまで酸性化し、次いでEtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製材料を得、これを分取HPLC精製により精製して、生成物(32mg、11%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.01分、
【0238】
実施例5: 2-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸メチル
MeOH(1mL)中の2-(8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-1-オキソ-2,6-ナフチリジン-2(1H)-イル)酢酸(200mg、0.46mmol)の溶液を0℃で撹拌し、SOCl2(0.12mL、1.61mmol)を滴加して処理した。反応混合物を18時間撹拌し、室温まで戻した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗製材料を得、これを分取HPLC精製により精製して、生成物(11mg、8%)を得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.14分、
【0239】
実施例6: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-ヒドロキシ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 8-フルオロ-2-ヒドロキシ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(5mL)中のヒドロキシアミン塩酸塩(0.29g、4.24mmol)の懸濁液を、Et3N(0.59mL、4.24mmol)で処理し、得られた溶液を、4Åモレキュラーシーブスを加えたMeOH(17mL)中の8-フルオロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジン-1-オン塩酸塩(0.50g、2.48mmol)の溶液に加えた。反応混合物を80℃で18時間加熱し、次いで室温で72時間反応させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗製残渣をEtOAcで処理し、集めた有機相を減圧下で濃縮して、生成物(0.26g、58%)を得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.17分、
【0240】
段階2: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-ヒドロキシ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(2mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(95mg、0.40mmol)の溶液をN2雰囲気下、-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、1.00mL、1.00mmol)を滴加して処理した。反応混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、無水THF(1mL)中の8-フルオロ-2-ヒドロキシ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(76mg、0.42mmol)の懸濁液を加えた。反応混合物をさらに-78℃で15分間撹拌し、次いで室温まで戻した。30分後、反応混合物を-78℃まで再度冷却し、追加のLiHMDS(THF中1M、1.00mL、1.00mmol)を滴加して処理した。反応混合物をさらに撹拌し、室温まで戻し、次いで飽和NH4Cl水溶液により0℃で反応停止した。水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、室温、減圧下で濃縮して、粗製材料を得、これを分取HPLC精製により精製して、生成物(9.5mg、6%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.00分、
【0241】
実施例7: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
ジオキサン(5mL)中のO-(2-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)エチル)ヒドロキシルアミン(0.70g、2.22mmol)、Et3N(0.31mL、2.22mmol)およびHCl(ジオキサン中4N、1.1mL、4.44mmol)の溶液を室温で15分間撹拌し、これに3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(0.50g、2.22mmol)を加えた。反応混合物を50℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、LiHMDS(THF中1M、7.1mL、7.10mmol)を滴加して処理し、30分間撹拌した。次いで、2-フルオロ-4-ヨードアニリン(0.53g、2.22mmol)を反応混合物に加え、続いてLiHMDS(THF中1M、2.7mL、2.66mmol)を滴加し、これを室温でさらに撹拌した。45分後、追加のLiHMDS(THF中1M、1.3mL、1.33mmol)を加え、反応混合物を30分間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液により反応停止し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製材料を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~30%EtOAc+1%Et3N)で精製して、生成物(250mg、16%)を黄色ガラス状物で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.61分、
【0242】
段階2: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
THF(5mL)中の2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(250mg、0.368mmol)の溶液を室温で撹拌し、これにTBAF(THF中1M、0.37mL、0.368mmol)を加えた。30分後、反応は完了し、飽和NaHCO3水溶液を加えた。混合物をEtOAcで2回抽出し、有機相をH2Oおよび食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料の半分を分取HPLC精製と、続いてSFC精製により精製して、生成物(30mg、64%)を得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.03分、
【0243】
実施例8: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-イソプロポキシ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 3-フルオロ-5-(2-(イソプロポキシイミノ)エチル)イソニコチン酸メチル
耐圧チューブに入れたジオキサン(8mL)中のO-イソプロピルヒドロキシルアミン塩酸塩(495mg、4.44mmol)、Et3N(0.62mL、4.44mmol)およびHCl(ジオキサン中4N、1.1mL、4.44mmol)の溶液に、ジオキサン(2mL)中の3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(1.0g、4.44mmol)の溶液を加えた。反応混合物を密封し、50℃で18時間撹拌した。注:反応混合物は、工程中に生成したNH4Cl塩の高密度懸濁液の形態であり、最良の結果を得るために効率よく撹拌すべきである。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製材料をセライト上に乾燥状態でロードし、フラッシュカラムクロマトグラフィ(40gシリカ、ヘキサン中0~15%EtOAc+1%Et3N)で精製して、生成物(795mg、70%、2つの異性体の混合物)を薄い色の油状物で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.07分、
【0244】
段階2: 8-フルオロ-2-イソプロポキシ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(4mL)中の3-フルオロ-5-(2-(イソプロポキシイミノ)エチル)イソニコチン酸メチル(400mg、1.575mmol)の溶液を、漂白剤および1M NaOHの溶液を含むドレクセル瓶に排気しながら、N2気流下、室温で撹拌し、これにNaCNBH3(297mg、4.724mmol)を一度に加え、続いて1M HCl水溶液(1.57mL、1.575mmol)を滴加した。反応混合物を室温で5日間撹拌した。反応をH2O(50mL)で停止し、EtOAc(6×25mL)で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物(275mg、78%)を白色固体で得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.78分、
【0245】
段階3: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-イソプロポキシ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(1mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(106mg、0.45mmol)の溶液をN2雰囲気下、-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、0.45mL、0.45mmol)を滴加して処理し、反応混合物を15分間撹拌した。次いで、無水THF(1mL)中の2-(シクロプロピルメトキシ)-8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(100mg、0.45mmol)の溶液を加え、反応混合物をさらに撹拌し、次いで室温まで戻した。18時間後、反応混合物を-78℃まで再度冷却し、LiHMDS(THF中1M、0.45mL、0.45mmol)を滴加し、反応混合物をさらに撹拌し、室温まで戻した。18時間後、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(15mL)により反応停止し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~60%EtOAc)で精製して、生成物(61mg、31%)を橙色ゴム状物で得た。UPLC-MS(酸性法、4分):室温1.21分、
【0246】
実施例9: 2-(シクロプロピルメトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 3-(2-(シクロプロピルメトキシイミノ)エチル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル
耐圧チューブに入れたジオキサン(8mL)中のO-(シクロプロピルメチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩(546mg、4.44mmol)、Et3N(0.62mL、4.44mmol)およびHCl(ジオキサン中4N、1.1mL、4.44mmol)の溶液に、ジオキサン(2mL)中の3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(1.0g、4.44mmol)の溶液を加えた。反応混合物を密封し、50℃で18時間撹拌した。注:反応混合物は、工程中に生成したNH4Cl塩の高密度懸濁液の形態であり、最良の結果を得るために効率よく撹拌すべきである。追加のEt3N(0.62mL、4.44mmol)、HCl(ジオキサン中4N、1.1mL、4.44mmol)およびO-(シクロプロピルメチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩(273mg、2.22mmol)を反応混合物に加え、50℃でさらに30時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製材料をセライト上に乾燥状態でロードし、フラッシュカラムクロマトグラフィ(45gシリカ、ヘキサン中0~10%EtOAc+1%Et3N)で精製して、生成物(791mg、67%、2つの異性体の混合物)を薄い色の油状物で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.07分、
【0247】
段階2: 2-(シクロプロピルメトキシ)-8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(6mL)中の3-(2-(シクロプロピルメトキシイミノ)エチル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(600mg、2.253mmol)の溶液を、漂白剤および1M NaOHの溶液を含むドレクセル瓶に排気しながら、N2気流下、室温で撹拌し、これにNaCNBH3(425mg、6.760mmol)を一度に加え、続いて1M HCl水溶液(2.25mL、2.253mmol)を滴加した。反応混合物を室温で5日間撹拌した。反応をH2O(50mL)で停止し、EtOAc(6×25mL)で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物(582mg、96%)を淡黄色油状物で得、これをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.81分、
【0248】
段階3: 2-(シクロプロピルメトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(2mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(201mg、0.85mmol)の溶液をN2雰囲気下、-78℃で撹拌し、LiHMDS(THF中1M、0.85mL、0.85mmol)を滴加して処理し、反応混合物を15分間撹拌した。次いで、無水THF(2mL)中の2-(シクロプロピルメトキシ)-8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(200mg、0.85mmol)の溶液を加え、反応混合物をさらに撹拌し、室温まで戻した。18時間後、反応混合物を-78℃まで再度冷却し、LiHMDS(THF中1M、0.21mL、0.21mmol)を滴加し、反応混合物をさらに撹拌し、室温まで戻した。18時間後、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(20mL)により反応停止し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘキサン中0~60%EtOAc)で精製して、生成物(132mg、34%)を橙色ゴム状物で得た。UPLC-MS(酸性法、4分):室温1.22分、
【0249】
実施例10: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
段階1: 3-(9,9-ジメチル-8,8-ジフェニル-4,7-ジオキサ-3-アザ-8-シラデカ-2-エニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル
ジオキサン(10mL)中の3-(2-エトキシビニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(1.0g、4.44mmol)の溶液を、HCl(ジオキサン中4N、2.2mL、8.88mmol)で処理し、45℃で18時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、ジオキサン(2mL)中のO-(2-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)エチル)ヒドロキシルアミン(1.75g、5.55mmol)およびEt3N(0.62mL、4.44mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。粗製材料をセライト上に乾燥状態でロードし、フラッシュカラムクロマトグラフィ(80gシリカ、DCM中0~10%MeOH)で精製して、生成物(760mg、35%、2つの異性体の混合物)を淡黄色油状物で得た。UPLC-MS(酸性法、4分):室温2.65、2.67分(2つの異性体1:1)、
【0250】
段階2: 2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
MeOH(28mL)中の3-(9,9-ジメチル-8,8-ジフェニル-4,7-ジオキサ-3-アザ-8-シラデカ-2-エニル)-5-フルオロイソニコチン酸メチル(2.82g、5.71mmol)の溶液を、漂白剤および1M NaOHの溶液を含むドレクセル瓶に排気しながら、N2気流下、室温で撹拌し、これにNaCNBH3(1.07g、17.1mmol)を一度に加え、続いて1M HCl水溶液(2.86mL、2.86mmol)を滴加した。7時間後、追加の1M HCl水溶液(1.43mL、1.43mmol)を加え、反応混合物をさらに3日間撹拌した。反応を1M NaOH水溶液で停止し、EtOAcで2回抽出した。有機相をH2Oおよび食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘプタン中20~50%EtOAc)で精製して、生成物(1.90g、72%)を淡黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.37分、
【0251】
段階3: 2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
THF(2.5mL)中の2-フルオロ-4-ヨードアニリン(512mg、2.16mmol)の溶液を室温で撹拌し、これにLiHMDS(THF中1M、2.6mL、2.59mmol)を加えた。混合物を15分間撹拌し、これを次いで、THF(2.5mL)中の2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(536mg、1.08mmol)の溶液を室温で撹拌しているところに滴加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、反応を飽和NH4Cl水溶液により停止し、EtOAcで2回抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ、ヘプタン中10~40%EtOAc)で精製して、生成物(316mg、43%)を得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.58分、
【0252】
段階4: 8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
THF(4mL)中の2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(360mg、0.530mmol)の溶液を室温で撹拌し、これにTBAF(THF中1M、0.53mL、0.530mmol)を加えた。10分後、反応は完了し、飽和NaHCO3水溶液を加えた。混合物をEtOAcで2回抽出し、有機相をH2Oおよび食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料の半分(200mg)を分取HPLC精製により精製して、生成物(75.8mg、64%)を黄色固体で得た。UPLC-MS(酸性法、2分):室温0.99分、
【0253】
実施例11: 2-エトキシ-8-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
化合物1.011を、実施例8に記載のとおりであるが、段階1のO-イソプロピルヒドロキシルアミン塩酸塩を、市販のまたは当業者には公知の条件を用いて調製した適切なO-エチルヒドロキシルアミンに置き換えて、調製することができる。
【0254】
実施例12: 8-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン
無水THF(1.1mL)中の2-エトキシ-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(40mg、93.6μmol)の溶液をN2雰囲気下、室温で撹拌し、SmI2(THF中0.1M、3.74mL、0.374mmol)を滴加して処理し、反応混合物を5分間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和Na2S2O4水溶液(10mL)で反応停止し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料(31.4mg)を分取HPLC精製により精製して、生成物(8.1mg、23%)を黄色固体で得た。
【0255】
または、無水THF(1.1mL)中の2-(シクロプロピルメトキシ)-8-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,6-ナフチリジン-1(2H)-オン(40mg、88.2μmol)の溶液をN2雰囲気下、室温で撹拌し、SmI2(THF中0.1M、3.74mL、0.374mmol)を滴加して処理し、反応混合物を5分間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和Na2S2O4水溶液(10mL)で反応停止し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料(31.6mg)を分取HPLC精製により精製して、生成物(14.6mg、43%)を黄色固体で得た。
【0256】
UPLC-MS(酸性法、2分):室温1.00分、
【0257】
以下の化合物を、実施例10に記載のとおりであるが、段階3の2-フルオロ-4-ヨードアニリンを、市販のまたは当業者には公知の条件を用いて調製した適切なアニリンに置き換えて、調製することができる。
【0258】
以下の化合物を以下のとおりに調製することができる:1)実施例10の段階1に記載のとおりであるが、O-(2-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)エチル)ヒドロキシルアミンを、市販のまたは当業者には公知の条件を用いて調製した適切なヒドロキシルアミンに置き換えて;2)エステルの加水分解のために、実施例4の段階2に記載のとおり;および3)2-フルオロ-4-ヨードアニリンとのカップリング反応のために、実施例4の段階3に記載のとおり。
【0259】
以下の化合物を、エステル化により、実施例5に記載のとおりに調製することができる。
【0260】
以下の化合物を、対応する酸(例えば、化合物番号1.013および1.016とヒドロキシルアミンから、当業者には公知の条件を用いてのアミド化により調製することができる。
【0261】
以下の化合物を以下のとおりに調製することができる:1)実施例10の段階1に記載のとおりであるが、O-(2-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)エチル)ヒドロキシルアミンを、市販のまたは当業者には公知の条件を用いて調製した適切な(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミンに置き換えて。
【0262】
実施例13: MEK阻害アッセイ-1
以下の手順を使用して生化学的活性を測定することができる。以下の手順を使用して化合物のMEK1阻害活性を試験した。Anastassiadis T, et al. Comprehensive assay of kinase catalytic activity reveals features of kinase inhibitor selectivity. Nat Biotechnol. 2011, 29(11), 1039-45を参照。
試薬:
反応緩衝液: 20mM Hepes(pH 7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1% DMSO
酵素: MEK1、Invitrogenカタログ番号PV3303
N末端Hisタグ化組換えヒト全長タンパク質、昆虫細胞中で発現。RAF1によりインビトロ活性化。MW=49.2kDa、GenBankアクセッション番号NP_002746。
基質: 5μM ERK2(K52R)、キナーゼ失活型変異体、(GenBankアクセッション番号NM_0011949)、N末端His6タグ付きaa2-358、MW=43.63kDa、大腸菌中で発現。
【0263】
新たに調製した反応緩衝液中で、基質溶液を調製した。キナーゼを基質溶液に加え、穏やかに混合した。試験化合物の100% DMSO溶液を音波技術(Echo550; ナノリットル範囲)によりキナーゼ反応混合物に加え、室温で20分間インキュベートした。33P-ATPを反応混合物に加えて反応を開始した。反応混合物を室温で2時間インキュベートした。キナーゼ活性をP81フィルター結合法により検出した。
【0264】
実施例14: MEK阻害アッセイ-2
以下の手順を使用して化合物のMEK1阻害活性を試験した(プロトコルはthermofisher.com/content/dam/LifeTech/migration/files/drug-discovery/pdfs.par.60256.file.dat/20130430%20ssbk%20customer%20protocol%20and%20assay%20conditions.pdfで入手可能)。Z'-LYTE生化学アッセイ(ThermoFisher)は、蛍光ベースの共役酵素フォーマットを使用するものであり、タンパク質切断に対するリン酸化ペプチドおよび非リン酸化ペプチドの感受性の差に基づく。
【0265】
ウェルにおいて、試験化合物の100% DMSO溶液を1% DMSO(最終)中でスクリーニングした。10点滴定において、出発濃度30μMから3倍段階希釈を行う。
【0266】
ペプチド/キナーゼ、すなわちMAP2K1(MEK1)/不活性MAPK1(ERK2)/Ser/Thr 03の混合物(「ペプチド/キナーゼ混合物」)を以下の緩衝液(「キナーゼ緩衝液」)中で2倍作業濃度に希釈した: 50mM HEPES pH 7.5、0.01% BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTA。最終10μLキナーゼ反応液はMAP2K1(MEK1)0.06~0.25ng、不活性MAPK1(ERK2)105ng、および2μM Ser/Thr 03の50mM HEPES pH 7.5、0.01% BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTA溶液からなった。1時間のインキュベーション後、発色試薬A(Invitrogenから入手可能、カタログ番号PV3295)の1:1024希釈液5μLを加えた。
【0267】
ATP溶液をキナーゼ緩衝液(50mM HEPES pH 7.5、0.01% BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTA)中で4倍作業濃度に希釈した。ATPの見かけのKmを事前にZ'-LYTEアッセイを使用して確定した。発色試薬を発色緩衝液(Invitrogenから入手可能、カタログ番号P3127)中で希釈した。
【0268】
アッセイプロトコル: 4倍試験化合物2.5μLまたは100倍試験化合物100nL、およびキナーゼ緩衝液2.4μL、2倍ペプチド/キナーゼ混合物5μL、4倍ATP溶液2.5μLをプレートに加え、振盪プレート上に30秒間置いた。キナーゼ反応を室温で60分間進行させた後、発色試薬溶液5μLを加え、混合物を振盪プレート上で30秒間攪拌した。混合物を室温で60分間インキュベートした。プレートリーダーを使用して蛍光を測定し、データを解析した。
【0269】
ATPを含まず、したがってキナーゼ活性を示さない、0%リン酸化対照(100%阻害対照)によって、最大発光比を確定した。この対照により、発色反応において100%の切断ペプチドが得られた。ペプチド基質と同じ配列の合成リン酸化ペプチドからなる100%リン酸化対照を、リン酸化パーセントの計算を可能にするように設計した。この対照により、発色反応において、非常に低いパーセントの切断ペプチドが得られた。0%リン酸化対照および100%リン酸化対照により、特定の反応ウェル中でのリン酸化パーセントの計算が可能になる。対照ウェルはキナーゼ阻害剤を含まなかった。
【0270】
スクリーン中の最小発光比を、活性キナーゼを含む0%阻害対照により確定した。この対照を、キナーゼ反応において10~50リン酸化%ペプチドを生成するように設計した。カスケードアッセイは最大70リン酸化%のペプチドを生成しうる。
【0271】
公知の阻害剤対照標準曲線である10点滴定を、前記キナーゼと同じプレート上の個々の各キナーゼに対して実行することで、以前に確定された予想IC50範囲内で該キナーゼが阻害されることを確実にした。
【0272】
アッセイされる各濃度の試験化合物について以下の対照を用意する。ATPを含まない試験化合物対照ウェルと0%リン酸化対照(試験化合物を含まない)とを比較することで、発色反応干渉を確定した。非干渉化合物の予想値は100%であるはずである。90%~110%の範囲外のすべての値にフラグを付けた。キナーゼ/ペプチド混合物を含まない試験化合物対照ウェル(ゼロペプチド対照)と0%阻害対照とを比較することで、試験化合物の蛍光干渉を確定した。非蛍光化合物の予想値は0%であるはずである。20%超のすべての値にフラグを付けた。
【0273】
表A中のデータを計算した。IDBSのXLfitを使用した。用量反応曲線をモデル番号205(シグモイド用量反応モデル)にカーブフィッティングした。曲線における最小応答が-20阻害%と20阻害%との間にフィットしない場合、それを0阻害%に設定した。曲線における最大応答が70阻害%と130阻害%との間にフィットしない場合、それを100阻害%に設定した。
【0274】
(表A)
FI = 蛍光強度
C100% = 100%リン酸化対照の平均クマリン発光シグナル
C0% = 0%リン酸化対照の平均クマリン発光シグナル
F100% = 100%リン酸化対照の平均フルオレセイン発光シグナル
F0% = 0%リン酸化対照の平均フルオレセイン発光シグナル
DRI = 発色反応干渉
TCFI = 試験化合物の蛍光干渉
【0275】
表3は、前述の手順に従って選択した化合物のMEK1阻害アッセイ結果を示す。Aは150nM以下のIC50を示し、Bは150nM超かつ1.5μM以下のIC50を示し、Cは1.5μM超のIC50を示す。
【0276】
(表3)MEK1阻害アッセイ結果
ND - 決定されず
【0277】
実施例15: 細胞ベースアッセイ-1
NF1関連細胞増殖アッセイにおいてソフトMEK阻害剤を試験するために有用な細胞株の調製はBasu et al. Nature 356: 713-715, 1992; およびDeClue et al. Cell 69: 265-273, 1992に見ることができる。さらに、本明細書に記載のソフトMEK阻害剤の有効性を確定するための例示的なインビトロおよびインビボモデルは、参照によりその全体が組み入れられる米国特許第8,211,875号および第8,487,004号に見ることができる。
【0278】
実施例16: 細胞ベースアッセイ-2
あるいは、以下の手順を使用して細胞ベース活性を測定することができる。試験化合物をDMSOに溶解して10mMストックにした。Cell Titer-Glo(登録商標)2.0発光細胞生存率アッセイ試薬をPromega(ウィスコンシン州マジソン)から購入した。A375およびHCT116細胞株をAmerican Type Culture Collection(バージニア州マナサス)から購入した。A375細胞では、細胞培地をDMEM + 10%FBSとした。細胞培地を下記の表に列挙する。HCT116細胞では、細胞培地をマッコイ5A + 10%FBSとした。すべての培地に100μg/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを補充した。培養液を5% CO2および95%空気の加湿雰囲気中で37℃に維持した。
【0279】
ソースプレートにおいて、10mMで出発する3倍希釈の10用量で、試験化合物をDMSO溶液中で希釈した。各試験化合物25nLをEcho 550によってソースプレートから384ウェル細胞培養プレート(T = 最終)の各ウェルに加えた。A375またはHCT116細胞2000個を含む培地25μLを細胞培養プレート(T = 0およびT = 最終)の各二つ組のウェルに加えた。細胞培養プレート(T = 0)の各ウェルにCell Titer Glo 2.0試薬25μLを加えた。内容物をオービタルシェーカー上で2分間混合し、室温で15分間インキュベートして発光シグナルを安定化した。発光をEnvision 2104マルチラベルリーダー(カリフォルニア州サンタクララ、PerkinElmer)により記録した。培養液中の生細胞の数を、各培養ウェル中に存在するATPの定量化に基づいて確定した。細胞培養プレート(T = 最終)中の細胞を、化合物と共に37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。Cell Titer Glo 2.0試薬25μLを各ウェルに加えた。内容物をオービタルシェーカー上で2分間混合し、室温で15分間インキュベートして発光シグナルを安定化した。発光をEnvision 2104マルチラベルリーダー(カリフォルニア州サンタクララ、PerkinElmer)により記録した。培養液中の生細胞の数を、各培養ウェル中に存在するATPの定量化に基づいて確定した。GI50曲線を、GraphPad Prism 4プログラムを使用してシグモイド用量反応式Y = 最小応答 + (最大応答-最小応答)/(1+10^((LogEC50-X)*ヒル勾配))に基づいてプロットした。式中のすべてのパラメータをGraphPad Prism 4プログラムにより計算した。GI50とは、[(Ti - Tz)/(C - Tz)] * 100 = 50に従って計算される化合物の濃度のことであり、式中、TiはT = 最終での試験化合物ありの細胞の生データであり; TzはT = 0時間での化合物なしの細胞の生データであり; CはT = 72時間での対照化合物スタウロスポリン(Sigma-Aldrich)ありの細胞の生データである。したがって、GI50は、Y = 50である際にXがExcelを使用してカーブフィッティング式により計算された、10Xの値である。
【0280】
実施例17: S9安定性アッセイ
ヒトS9皮膚画分からの消失速度を評価することによって、ヒト皮膚中での代謝安定性について、化合物を評価することができる。同様に、ヒトS9肝画分からの消失速度を評価することによって、ヒト肝臓中での代謝安定性について、化合物を評価することができる。以下のプロトコルを使用して皮膚代謝と肝代謝との間の差を評価する。
【0281】
96ウェルマイクロタイタープレート中にて37℃でアッセイを行った。反応混合物(25μL)は、最終濃度1μMの試験化合物、2mg/mL肝または皮膚タンパク質、および1mM NADPHを緩衝液(1mM EDTA、3mM MgCl2入りの100mMリン酸カリウムpH 7.4緩衝液)中に含んだ。各時点(0分、15分、30分、および60分)において、内部標準入りの反応停止溶液(0.1%ギ酸入りの100%アセトニトリル)150μLを各ウェルに移した。ゼロ分対照以外に、NADPHを除いて同じ成分を含む混合物も陰性対照として調製した。ベラパミルまたはテストステロンを、アッセイ性能を確認するための陽性対照として含めた。プレートを密封し、4000rpmにて4℃で15分間遠心した。上清をLC/MS/MS分析用に新たなプレートに移した。
【0282】
すべての試料を、AB Sciex API 4000機器とShimadzu LC-20AD LCポンプシステムとの組み合わせを使用するLC/MS/MSで分析した。分析用試料を、Waters Atlantis T3 dC18逆相HPLCカラム(20mm x 2.1mm)を使用して流量0.5mL/分で分離させた。移動相は0.1%ギ酸水溶液(溶媒A)および0.1%ギ酸の100%アセトニトリル溶液(溶媒B)からなった。
【0283】
代謝の程度を、0分対照反応インキュベーションに比べての試験化合物の消失として計算した。初速度を化合物濃度に関して計算し、t1/2値、続いて固有クリアランスCLint = (0.693)(1/t1/2(分))(mLインキュベーション/mg S9タンパク質)を確定するために使用した。
【0284】
表4は、上述の肝S9安定性アッセイのt1/2値を示す。「A」は50分超かつ200分以下の半減期を示し、「B」は50分以下の半減期を示す。
【0285】
(表4)ヒト肝S9画分安定性結果
【0286】
実施例18: ミクロソーム安定性アッセイ
試験化合物の代謝安定性をヒト肝ミクロソームを使用して評価することで、固有クリアランスを予測することができる。ヒト肝ミクロソームはCorning Gentestから取得する。
【0287】
96ウェルマイクロタイタープレート中にて37℃でアッセイを行った。反応混合物(25μL)は、最終濃度1μMの試験化合物、0.5mg/mL肝ミクロソームタンパク質、および1mM NADPHを緩衝液(3mM MgCl2入りの100mMリン酸カリウムpH 7.4緩衝液)中に含む。各時点(0分、15分、30分、および60分)において、内部標準入りの反応停止溶液(0.1%ギ酸入りの100%アセトニトリル)150μLを各ウェルに移した。アッセイ性能を確認するための陽性対照としてベラパミルを含めた。プレートを密封し、4000rpmにて4℃で15分間遠心した。上清をLC/MS/MS分析用に新たなプレートに移した。
【0288】
すべての試料を、AB Sciex API 4000機器とShimadzu LC-20AD LCポンプシステムとの組み合わせを使用するLC/MS/MSで分析した。分析用試料を、Waters Atlantis T3 dC18逆相HPLCカラム(20mm x 2.1mm)を使用して流量0.5mL/分で分離させた。移動相は0.1%ギ酸水溶液(溶媒A)および0.1%ギ酸の100%アセトニトリル溶液(溶媒B)からなった。
【0289】
代謝の程度を、0分時間インキュベーションに比べての試験化合物の消失として計算した。初速度を化合物濃度に関して計算し、t1/2値、続いて固有クリアランスCLint = (0.693)(1/t1/2(分))(g肝臓/kg体重)(mLインキュベーション/mgミクロソームタンパク質)(45mgミクロソームタンパク質/g肝重量)を確定するために使用した。
【0290】
実施例19:インビボモデル
試験手順: 本明細書に記載の化合物の外用製剤と、ビヒクルの外用製剤とを、ヌードマウスの皮膚に二つ組で適用する。皮膚を別々の時間間隔で生検し、二等分して半分を液体窒素中で急速凍結し、半分をホルマリン固定し、パラフィン包埋する。p-ERKレベルに関するウエスタンブロット解析のためにタンパク質を単離する。p-ERKレベルの細胞特異的解析のためにFFPE切片のp-ERK免疫染色を行う。さらなる解析は、皮膚の完全性を調査するためのH&E染色を含む。
【0291】
マウス皮膚中のRAS/MAPKシグナル伝達の下流バイオマーカーであるp-ERKの抑制に関して化合物を評価する。さらに、マウス皮膚の増殖、マウス皮膚中でのアポトーシス、およびマウス皮膚の組織完全性も評価する。
【0292】
マウス: Jackson Laboratoriesから取得した8週齢マウス129匹を試験開始前に剪毛する。約21匹のマウスを試験に使用した。化合物をマウスの無毛背部皮膚に12時間間隔で適用し、皮膚生検組織を処置前、処置24時間後、72時間後、および96時間後に6mmパンチ生検を使用して得る。
【0293】
ウエスタンブロット解析: 免疫ブロッティングのために、生検直後に表皮を液体窒素中に急速凍結させる。表皮を溶解緩衝液に溶解し、ウエスタンブロットを行う。免疫ブロッティングに使用する抗体はウサギ抗リン酸化p44/42 MAPK(1:3000、Cell Signaling)およびウサギ抗p44/42 MAPK(1:3000、Cell Signaling)、マウス抗アクチン(1:5,000、Sigma-Aldrich)、ロバ抗マウスIgG結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP; 1:40,000、Amersham Biosciences)、ならびにヤギ抗ウサギIgG結合HRP(1:40,000、Jackson ImmunoResearch)を含む。
【0294】
免疫組織化学的検査: 5μmパラフィン切片に対して免疫組織化学的検査を行う。標準的プロトコルを使用する酵素処理(1:1000)による抗原賦活化を達成する。抗体としてはウサギp-ERK(Cell Signaling、4307S、1:100)を使用する。Bond Polymer Refine抗ウサギHRP検出キット(Leica Biosystems)を製造者のプロトコルに従って使用する。次に切片をヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、TissueTek-PrismaおよびCoverslipper(Sakura)を使用してフィルムにカバーガラスを付ける。
【0295】
組織学的解析: 5μMパラフィン切片に対してH&Eを行い、マウス皮膚の細胞毒性、炎症、または他の完全性の変化について評価するために組織を調査する。
【0296】
マウス皮膚における外因性RAS活性化: 実験は未処置マウス皮膚で行われる。あるいは、皮膚を予めTPAで処置してp-ERKレベルを高める。ヌードマウスの皮膚に12.5uG TPAのアセトン100μL溶液を96時間かけて適用して、TPA誘導RAS/MAPK活性化を行う。TPA曝露の48時間後に試験を行う。
【0297】
t検定を使用することで、外用MEK1阻害剤で処置された試料中のp-ERKおよびKi-67の、ビヒクル対照に対する差を評価する。
【0298】
実施例20: インビボマウスモデル
本明細書に記載の化合物を、NF1のマウスモデル、例えばNF1の遺伝子改変マウスモデル、ヒト皮膚神経線維腫異種移植ヌードマウスモデル、またはその両方、において試験する。例えば、Jousma et al. Pediatr. Blood Cancer 62: 1709-1716, 2015に記載のDhh-CreマウスモデルであるNf1flox/floxを使用する方法を、本試験において使用する。磁気共鳴断層撮影(MRI)および体積測定を使用して腫瘍量を測定する。
【0299】
実施例21: ヒト皮膚神経線維腫外植プロトコル
皮膚(dermal)神経線維腫(または皮膚(cutaneous)神経線維腫)は、RAS/MAPK経路の下流活性化を生じさせるNF1遺伝子の変異により引き起こされる稀な遺伝性疾患である神経線維腫症1型(NF1)に罹患した個人において発生する良性腫瘍である。最近の研究は、全身MEK阻害剤を使用するMEK1の阻害がマウスモデルにおいて神経線維腫および他のNF-1関連腫瘍を抑制しうることを示した。例えばNew Engl J Med 2016, 375;26; J Clin Invest. 2013, 123(1), 340-347; およびPediatr Blood Cancer 2015, 62(10), 1709-1716を参照。本試験はインビトロ神経線維腫外植モデルを確立するものである。
【0300】
試験の目的: 第1の目的は、神経線維腫外植片中での、RAS/MAPKシグナル伝達の下流バイオマーカーであるp-ERKの抑制に対する本明細書に記載の外用製剤化化合物の有効性を評価することである。第2の目的は、本明細書に記載の化合物で処理された神経線維腫外植片の透過性(化合物が外用適用される場合)を評価することである。
【0301】
プロトコル-1:
試料採取および適格性: 原発性の皮膚(dermal)神経線維腫または皮膚(cutaneous)神経線維腫を、NF1の臨床診断または遺伝子診断を受けた患者から得る。廃棄されたヒト神経線維腫試料をStanford Surgery Clinicから、承認済みヒト対象プロトコル(Stanford IRB#18325)を使用して得る。試料を研究代表者の指示下で同定し、細胞増殖培地(DMEM/F12含有ペニシリン/ストレプトマイシン(0.1%); ファンギゾン(40μg/mL); B27(ビタミンAなし))に入れる。
【0302】
患者は、本試験に登録される以下のデータを有している: 年齢が18歳を超える; 生検時に化学療法処置を受けていない; 以下のうち2つの存在に基づくNF1の臨床診断および/または遺伝子診断を受けている:
1. 思春期前の個人において直径5mm超、思春期後の個人において最大直径15mm超の6個以上のカフェオレ斑。
2. 2個以上の任意の種類の神経線維腫または1個の叢状神経線維腫。
3. 腋窩部または鼠径部のしみ。
4. 2個以上のLisch小結節(虹彩過誤腫)。
5. 視神経膠腫。
6. 偽関節を伴うかまたは伴わない、蝶形骨異形成または長管骨皮質菲薄化などの独特な骨病変。
7. 上記判定基準によるNF-1を有する第一度近親者(親、兄弟、または子)。
【0303】
試験手順: 試料は、サイズが少なくとも6mmの原発性未処置神経線維腫である。試料を、削り取り、パンチ生検、または楕円形切除により切除する。試料は皮膚(dermal)神経線維腫または皮膚(cutaneous)神経線維腫の組織学的診断を受ける。試料を研究代表者の指示下で同定する。
【0304】
試料を2mm断片に切り刻み、細胞増殖培地(DMEM/F12含有ペニシリン/ストレプトマイシン(0.1%); ファンギゾン(40μg/mL); B27(ビタミンAなし))の入った24ウェルプレートに入れ、薬物入りの培地に浸す。外用ゲル剤適用では、試料を96ウェルプレートに入れ、表皮表面を空気にさらす。
【0305】
ウエスタンブロット解析: 免疫ブロッティング用に、全皮膚生検組織を溶解緩衝液に溶解し、ウエスタンブロットを行う。免疫ブロッティングに使用する抗体はウサギ抗リン酸化p44/42 MAPK(1:3000、Cell Signaling)およびウサギ抗p44/42 MAPK(1:3000、Cell Signaling)、ウサギ抗リン酸化Mek1/2(1:3000、Cell Signaling)、マウス抗アクチン(1:5000、Sigma-Aldrich)、ロバ抗マウスIgG結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP; 1:40,000、Amersham Biosciences)、ならびにヤギ抗ウサギIgG結合HRP(1:40,000、Jackson ImmunoResearch)を含む。
【0306】
免疫組織化学的検査: 5μmパラフィン切片に対して免疫組織化学的検査を行う。標準的プロトコルを使用する酵素処理(1:1000)による抗原賦活化を達成する。抗体としてはウサギp-ERK(Cell Signaling、4307S、1:100)を使用する。Bond Polymer Refine抗ウサギHRP検出キット(Leica Biosystems)を製造者のプロトコルに従って使用する。次に切片をヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、TissueTek-PrismaおよびCoverslipper(Sakura)を使用してフィルムにカバーガラスを付ける。
【0307】
データ解析: 半定量的ウエスタンブロットを使用することで、本明細書に記載の化合物で処置された試料中のp-ERKの、ビヒクル対照に対する差を評価する。
【0308】
試験管理: 試験は、患者のインフォームドコンセントおよびHIPAAの承認に基づいてIRBの監督下で行う。
【0309】
プロトコル-2:
外植プロトコル: ヒト皮膚神経線維腫外植片試料を、1×B27サプリメント(Thermo Fisher、Cat# 17504044)、2.5μg/mlアンホテリシンB(Thermo Fisher、Cat# 15290018)、および50単位/mlペニシリン-50μg/mlストレプトマイシン(Thermo Fisher、Cat# 15070063)を補足したDMEM/F-12(Thermo Fisher、Cat# 11320033)中に採取し、同じ培地中でその後の処理のためにインキュベートする。検体を、表皮および真皮の両方を含む小さい立方体へと切断する。組織を384穴プレートの培地中に部分的に浸漬させ、表皮を空気に曝す。
【0310】
組織を48穴プレート中の培地に完全に浸漬させ、各ウェル中の培地200μlに、DMSOに溶解した化合物5μlを加えた。37℃および5%CO2で4時間インキュベートした後、組織を回収し、検体の半分をウエスタンブロット解析のために液体窒素中で急速凍結させる。検体の残りの半分を10%ホルマリン中で24時間固定し、次いでウエスタンブロット解析のために70%エタノールに移す。
【0311】
皮膚試料を氷上で解凍し、秤量する。次いで、溶解緩衝液(RIPA緩衝液+0.5mM EDTA+1×Haltプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル)10倍量(組織各1mgに10μl)を各試料に加える。試料を小片へと切断し、氷上で超音波処理プローブによりホモジナイズする。ホモジナイズした試料を12,000rpm、4℃で10分間遠心分離する。上清を新しいチューブに移し、ウエスタンブロット解析まで-80℃で貯蔵する。
【0312】
ウエスタンブロット解析: 溶解物を氷上で解凍し、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として用いて、BCAタンパク質アッセイキットによりタンパク質濃度を判定する。すべての試料を溶解緩衝液で希釈して、同じ最終濃度とする。10~20μgの全タンパク質を各ウェルにロードし、1×NuPAGE MES SDS泳動緩衝液(Thermo Fisher、Cat# NP0002)中のNuPAGE 4~12%Bis-Trisゲル(Thermo Fisher)上で分離させる。次いで、タンパク質をPVDF膜に転写する。次いで、膜を、5%脱脂乳(全ERK用)または5%BSA(ホスホ-ERKおよびα-チューブリン用)のいずれかを含む1×TBST(Tris緩衝化食塩水+0.1%Tween 20)中で1時間ブロックする。以下の一次抗体を用いる(同じブロッキング溶液で希釈):ウサギモノクローナル抗ホスホ-p44/42 MAPK(Erk1/2)(Thr202/Tyr204)抗体(Cell Signaling、Cat# 4370L)、1:3000;ウサギモノクローナル抗p44/42 MAPK(Erk1/2)抗体(Cell Signaling、Cat# 4695S)、1:3000;マウスモノクローナル抗α-チューブリン(DM1A)抗体(Cell Signaling、Cat# 3873S)、1:3000~1:4000。膜を一次抗体と共に4℃で終夜インキュベートした後、1×TBSTで3回洗浄する。二次抗体、ヤギ抗ウサギIgG(H+L)、HRP(Thermo Fisher、Cat# 31460)およびペルオキシダーゼ結合affinipureヤギ抗マウスIgG(H+L)(Jackson Immuno Research、Cat# 115-035-062)を、同じ濃度の一次抗体を含み、全ERK用に2%脱脂乳ならびに/またはホスホERKおよびα-チューブリン用に2%BSAを含む1×TBSTで希釈し、室温で1~3時間インキュベートする。1×TBSTで3回洗浄した後、ブロットをWesternBright ECL HRP基質(Advansta、Cat#K12045-D50)で展開する。
【0313】
免疫組織化学: 抗原回収を酵素処理により行う。切片を10%健常ヤギ血清でブロックし、続いてホスホ-p44/42 MAPK(Erk1/2)ウサギモノクローナル抗体(Cell Signaling)またはマウス抗-Ki-67(Pharmingen)と共に、1:100希釈で60分間、室温でインキュベートする。検出はペルオキシダーゼ結合抗ウサギ系(Leica Biosystem)で行う。
【0314】
データ解析: 半定量的ウエスタンブロットを用いて、ビヒクル対照と比較した、本明細書に記載の化合物で処理した試料におけるp-ERKの差を評価する。
【0315】
前述の発明を、明白な理解のために図表および実施例によって幾分詳細に記載してきたが、当業者であれば、一定の変更および改変を添付の特許請求の範囲内で実施し得ることを理解するであろう。加えて、本明細書において提供する各参照文献は、各参照文献が個別に参照により組み入れられるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本出願と本明細書において提供する参照文献との間に矛盾がある場合、本出願が優位を占めることになる。
図1
図2
図3