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特許7393848胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナを有する導入カニューレ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナを有する導入カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20231130BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61B10/02 110J
A61B17/34
A61B10/02 300Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022537346
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2019067519
(87)【国際公開番号】W WO2021126213
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アディソン,ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,ヘザー
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207804345(CN,U)
【文献】国際公開第2019/138019(WO,A1)
【文献】特開2018-069096(JP,A)
【文献】特表2005-511186(JP,A)
【文献】特表2018-520761(JP,A)
【文献】特表2002-518121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
10/00-10/06
13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸膜層を横断する際に使用するための導入カニューレであって、
細長い管状部材であって、近位端、遠位端、および前記近位端と前記遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有し、前記側壁が、外面および内面を有し、前記内面が、管腔を画定している、細長い管状部材と、
水分を吸収すると膨張する膨張可能でかつ生体吸収性材料から形成された胸膜アクセスライナと、
を含み、前記胸膜アクセスライナは、細長いチューブの形状を有し、前記胸膜アクセスライナは、前記細長い管状部材の前記外面の外面部分を取り囲む細長い開口を有する、導入カニューレ。
【請求項2】
前記細長い管状部材の前記側壁の前記外面が、第1の直径を有する第1の外面部分と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の外面部分とを有し、前記側壁の前記第2の外面部分が、前記細長い管状部材の周囲に延びる細長い外側凹部を画定しており、
前記胸膜アクセスライナが、前記細長い管状部材の前記側壁の前記細長い外側凹部内に存在しかつ前記細長い外側凹部を取り囲んでいる、請求項1に記載の導入カニューレ。
【請求項3】
前記胸膜アクセスライナが、最初は、前記細長い管状部材の前記外面の周囲に半径方向に延びる乾燥した材料である、請求項1または2に記載の導入カニューレ。
【請求項4】
前記胸膜アクセスライナが、前記細長い管状部材の前記外面に結合された細長い円筒状の層である、請求項1または2に記載の導入カニューレ。
【請求項5】
前記胸膜アクセスライナが、前記細長い管状部材の前記外面に結合された粉末コーティングである、請求項1または2に記載の導入カニューレ。
【請求項6】
前記胸膜アクセスライナが、多糖類から形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項7】
前記胸膜アクセスライナが、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプンのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項8】
前記胸膜アクセスライナが、発泡材料から形成された予め形成されたチューブである、請求項1または2に記載の導入カニューレ。
【請求項9】
前記胸膜アクセスライナが、織られたまたはエレクトロスピニングされた繊維のチューブである、請求項1または2に記載の導入カニューレ。
【請求項10】
前記胸膜アクセスライナが、X線不透過性材料を含む、請求項1から9のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項11】
前記胸膜アクセスライナが、前記細長い管状部材から除去可能であるように構成されている、請求項1から10のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項12】
胸膜層を横断する際に使用するための導入カニューレであって、
細長い管状部材であって、近位端、遠位端、および前記近位端と前記遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有し、前記側壁が、管腔を画定する内面を有し、前記側壁が、第1の直径を有する第1の外面部分と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の外面部分とを有し、前記側壁の前記第2の外面部分が、前記細長い管状部材の全体の周囲に延びる前記側壁の細長い外側凹部を画定している、細長い管状部材と、
前記管状部材の前記側壁の前記細長い外側凹部に配置された生体吸収性部材であって、生体吸収性材料は、流体と接触すると膨張するように構成されている、生体吸収性部材と、を含む、導入カニューレ。
【請求項13】
前記生体吸収性部材は、前記細長い管状部材の前記側壁の前記細長い外側凹部の全体の周囲に半径方向に延びている、請求項12に記載の導入カニューレ。
【請求項14】
前記生体吸収性部材は、前記細長い管状部材の前記外面に結合された、前記細長い管状部材の前記側壁の前記細長い外側凹部の全体の周囲に延びる細長い円筒状の層である、請求項12に記載の導入カニューレ。
【請求項15】
前記生体吸収性部材は、前記細長い管状部材の前記外面に結合された、前記細長い管状部材の前記側壁の前記細長い外側凹部の全体の周囲に延びる粉末コーティングである、請求項12に記載の導入カニューレ。
【請求項16】
前記生体吸収性部材が、多糖類から形成されている、請求項12から15のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項17】
前記生体吸収性部材が、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプンのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項12から15のいずれかに記載の導入カニューレ。
【請求項18】
前記生体吸収性部材が、発泡材料から形成された予め形成されたチューブである、請求項12に記載の導入カニューレ。
【請求項19】
前記生体吸収性部材が、織られたまたはエレクトロスピニングされた繊維のチューブである、請求項12に記載の導入カニューレ。
【請求項20】
前記生体吸収性部材が、X線不透過性材料を含む、請求項12から19のいずれかに記載の導入カニューレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
[0001]なし
[0002]本発明は、肺生検などの肺アクセス手術、より具体的には、胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナを有する導入カニューレに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]気胸は、壁側胸膜および臓側胸膜の穿刺の結果、空気または流体が胸膜腔に流入させられる、肺生検手術の問題のある合併症である。気胸、さらには、胸腔チューブ配置を必要とする気胸は、経皮的肺生検を行う臨床医および経皮的肺生検を受ける患者にとって著しい懸念事項である。経皮的肺生検を受ける患者における気胸の発生率は、9~54%であると報告されており、平均が約15%である。平均して、全ての経皮的肺生検の6.6%が、胸腔チューブが配置されることを必要とする気胸を生じ、これは、平均して2.7日の病院滞在を生じる。
【0003】
[0004]気胸のリスクを高める要因は、患者の年齢が高いこと、閉塞性肺病、皮膚の損傷の深さが大きいこと、複数の胸膜通過、アクセス針が胸膜を横切る時間が長いこと、亀裂の横断を含む。気胸は、手術中または手術の直後に発生する場合があり、これは、一般的に、針の除去後にその領域のCTスキャンが行われる理由である。他に、あまり一般的ではないが、経皮的肺生検の合併症は、喀血(血液を吐き出すこと)、血胸(血液が胸膜腔に蓄積する胸水の1つのタイプ)、感染、および空気塞栓症を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005]気胸の防止を助ける、胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナを有する導入カニューレが、当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]本発明は、気胸の防止を助ける、胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナを有する導入カニューレを提供する。
[0007]本発明は、1つの形態において、細長い管状部材および胸膜アクセスライナを含む、胸膜層を横断する際に使用するための導入カニューレに関する。細長い管状部材は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有する。側壁は、外面および内面を有し、内面は管腔を画定している。胸膜アクセスライナは、水分を加えられると膨張する、膨張可能でかつ生体吸収性の材料から形成されている。胸膜アクセスライナは、細長いチューブの形状を有し、胸膜アクセスライナは、細長い管状部材の外面の外面部分を取り囲む細長い開口を有する。
【0006】
[0008]本発明は、別の形態において、胸膜層を横断する際に使用するための導入カニューレに関する。導入カニューレは、細長い管状部材および生体吸収性部材を含む。細長い管状部材は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有する。側壁は、管腔を画定する内面を有する。側壁は、第1の直径を有する第1の外面部分と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の外面部分とを有する。側壁の第2の外面部分は、細長い管状部材の全体の周囲に延びる側壁の細長い外側凹部を画定している。生体吸収性部材は、管状部材の側壁の細長い外側凹部に配置されている。生体吸収性材料は、流体と接触すると膨張するように構成されている。
【0007】
[0009]本発明の利点は、胸膜アクセスライナが、肺生検を行う前、肺生検と同時または肺生検の後に気胸を防止することを助けるように胸膜層を横切るアクセスを容易にすることである。
【0008】
[0010]本発明の別の利点は、胸膜アクセスライナが、生検アクセス開口を閉鎖するように組織が治癒するときに時間の経過とともに患者の体によって吸収される膨張可能でかつ生体吸収性の材料から形成されているということである。
【0009】
[0011]本発明の上述の特徴および利点、ならびにその他の特徴および利点、およびそれらを達成する形式は、より明らかになり、本発明は、添付の図面に関連してなされる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0012]スタイレットの一部を露出させるために一部が省略された、スタイレットアセンブリと同軸の、胸膜アクセスライナを支持する導入カニューレを含む胸膜層横断システムの側面図である。
図2】[0013]図1の胸膜層横断システムの遠位部分の拡大側面図である。
図3】[0014]図1の胸膜層横断システムの分解斜視図である。
図4】[0015]図3に示された導入カニューレの遠位部分の拡大斜視図である。
図5】[0016]図3に示された胸膜アクセスライナの拡大斜視図であり、胸膜アクセスライナは乾燥状態にある。
図6】[0017]図3および図5に示された胸膜アクセスライナの拡大斜視図であり、水分が加えられた(膨張した)状態における胸膜アクセスライナを示している。
図7】[0018]図胸壁および肺の一部の断面における画像表現であり、図1図6の胸膜層横断システムの導入カニューレ、胸膜アクセスライナおよびスタイレットが、患者の胸壁および胸膜層におけるアクセス開口に配置されている。
図8】[0019]図2に示されたような、胸膜アクセスライナを支持する導入カニューレの斜視図であり、胸膜アクセスライナの展開/加水後の胸膜アクセスライナからの導入カニューレの除去を助けるように構成された、導入カニューレのハンドル本体と胸膜アクセスライナとの間に配置された除去ツールを有する。
図9】[0020]導入カニューレが存在しない、図8の胸膜アクセスライナ除去ツールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0021]対応する参照符号は、複数の図面を通じて対応する部分を示している。本明細書に示された例示は、本発明の少なくとも1つの実施形態を示しており、このような例示は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
[0022]ここで図面、より具体的には図1図4を参照すると、肺アクセス手術において胸膜層を横断する際に使用するための胸膜アクセスライナ14を有する導入カニューレ12と、スタイレットアセンブリ16とを含む、胸膜層横断システム10が示されている。導入カニューレ12およびスタイレットアセンブリ16は長手方向軸線22に沿って配置されており、したがって、導入カニューレ12およびスタイレットアセンブリ16は同軸である。
【0013】
[0023]スタイレットアセンブリ16は、スタイレット16-1およびスタイレットハンドル16-2を含む。スタイレット16-1は穿孔先端部16-3を有する。スタイレットハンドル16-2は、スタイレット16-1の近位端部分に固定して接続されている。「固定して接続」という用語は、それぞれの構成要素が互いから容易に分離されない2つ以上の構成要素の間の結合を意味する。例えば、スタイレット16-1へのスタイレットハンドル16-2の固定された接続は、例えば、接着剤、溶接、プレスばめまたはねじ接続によって達成されてよい。
【0014】
[0024]導入カニューレ12は、ハンドル本体18および細長い管状部材20を含む。細長い管状部材20は、近位端20-1と、遠位端20-2と、遠位端部分20-3と、管腔20-4と、側壁20-5とを有する。側壁20-5は、長手方向に近位端20-1と遠位端20-2との間に、例えば、細長い管状部材20の全長に沿って延びている。側壁20-5は、外面20-6と、管腔20-4を取り囲みかつ画定する内面20-7とを有する。
【0015】
[0025]ハンドル本体18は、例えば、管腔20-4がハンドル本体18を貫通している、近位端20-1の遠位の位置において、細長い管状部材20に固定して接続されている。言い換えれば、管腔20-4はハンドル本体18を貫通して延びており、細長い管状部材20の近位端20-1から細長い管状部材20の遠位端20-2まで、例えば、細長い管状部材20の全長に沿って延びている。
【0016】
[0026]この実施形態において、特に図4を参照すると、細長い管状部材20の側壁20-5の外面20-6は、第1の直径24-1を有する第1の外面部分20-8と、第1の直径24-1よりも小さい第2の直径24-2を有する第2の外面部分20-9とを有し、側壁20-5の第2の外面部分20-9は、細長い管状部材20の周囲に延びる、側壁20-5における細長い外側凹部26を画定している。この実施形態において、側壁20-5の細長い外側凹部26は、細長い管状部材20の全体の周囲に延びており、長さ28を有する。細長い外側凹部26の長さ28は、完全に、または代替的に部分的に、長手方向で胸膜アクセスライナ14によって占められていてもよい。幾つかの実施態様において、例えば、細長い外側凹部26の長さ28は、2~5cmの範囲であってよい。
【0017】
[0027]図5および図6も参照すると、この実施形態において、胸膜アクセスライナ14は、生体吸収性部材であり、最初は乾燥状態(図5参照)にあり、流体と接触すると、例えば、肺アクセス手術中に人間の体液と接触すると、水分を吸収して膨張する(図6参照)ように構成されている。再び図1図4も参照すると、胸膜アクセスライナ14は、細長い管状部材20の外面20-6に結合された、膨張可能でかつ生体吸収性の細長い円筒状の層として構成されてよく、細長い管状部材20の外面20-6への胸膜アクセスライナ14の結合は、締まりばめであってよい。
【0018】
[0028]この実施形態において、特に図5および図6を参照すると、胸膜アクセスライナ14は、形状、例えば、円筒形状を有し、細長い開口14-2を有する細長いチューブ14-1を含む。細長い開口14-2、すなわち、細長い容積は、締まりばめにおいて細長い管状部材20の外面20-6を取り囲むようにサイズ決めおよび成形されており、例えば、円形の断面を有する。より具体的には、再び図1図4も参照すると、この実施形態において、細長い開口14-2は、細長い管状部材20の細長い外側凹部26において第2の外面部分20-9を取り囲むようにサイズ決めおよび成形されており、これにより、胸膜アクセスライナ14(生体吸収性部材)は細長い管状部材20の側壁20-5の細長い外側凹部26に存在しかつこれを半径方向で取り囲む。例えば、生体吸収性部材としての胸膜アクセスライナ14は、細長い管状部材20の側壁20-5の細長い外側凹部26の全体の周囲に半径方向に延びていてよく、細長い外側凹部26の長さ28の全体に沿って長手方向に延びていてよい。
【0019】
[0029]図1を参照すると、例えば、胸膜アクセスライナ14が非展開(例えば、乾燥した)状態にあるとき、例えば、患者への挿入前に、胸膜アクセスライナ14は、最初、展開のために細長い管状部材20によって支持されるために、細長い管状部材20の外面20-6の周囲に半径方向に延びる、例えば、外面20-6上に滑り込まされた、乾燥した生体吸収性材料である。最初の乾燥した状態において、胸膜アクセスライナ14の直径は、導入カニューレ12の細長い管状部材20の第1の外面部分20-8の第1の直径24-1と実質的に等しくてよい。胸膜アクセスライナ14は、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプンのうちの少なくとも1つから形成されてよい。したがって、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナ14は、多糖類から形成されてよい。
【0020】
[0030]この実施形態において、例えば、胸膜アクセスライナ14の細長いチューブ14-1は、細長い開口14-2を含むように予め形成されてよく、発泡材料から形成されてよい。組立て中、細長い管状部材20は、細長い開口14-2に挿入され、これにより、細長いチューブ14-1が細長い管状部材20の外面20-6と摩擦接触し、より具体的には、細長い管状部材20の細長い外側凹部26における第2の外面部分20-9と摩擦接触する。発泡材料は、水分を吸収すると膨張する、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプン(またはその他の多糖類)のうちの少なくとも1つから形成されてよい、またはそれらを含むように形成されてよい。幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナ14を形成する予め形成された細長いチューブ14-1は、例えば、織られたまたはエレクトロスピニングされた繊維のチューブであってよい。
【0021】
[0031]代替的な実施形態において、例えば、胸膜アクセスライナ14は、細長い管状部材20の外面20-6の周囲に細長い膨張可能な円筒状の層を形成するために細長い管状部材20の外面20-6に結合された、例えば、接着された、粉末コーティングであってよい。例えば、胸膜アクセスライナ14を形成する粉末コーティングは、細長い管状部材20の細長い外側凹部26において第2の外面部分20-9に結合され、細長い管状部材20の側壁20-5の細長い外側凹部26を半径方向で取り囲むように適用されてよい。異なる言い方をすれば、細長い管状部材20の外面20-6に結合された粉末コーティングは、細長い管状部材20の側壁20-5の細長い外側凹部26の全体の周囲に延びていてよい。
【0022】
[0032]粉末コーティング実施形態において、胸膜アクセスライナ14を形成する粉末コーティングは、水分を吸収したときに膨張する、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプン(またはその他の多糖類)のうちの少なくとも1つから形成されている、またはそれらを含むように形成されている。
【0023】
[0033]再び図5および図6を参照すると、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナ14の展開位置を確認することが望ましい場合があり、確認は、イメージング、例えば、X線イメージングによって決定されてよい。したがって、選択的に、胸膜アクセスライナ14は、マーキング材料または特徴、例えば、X線不透過性材料30を含んでよい。X線不透過性材料30は、例えば、X線不透過性物質(例えば、バリウム組成物)または金属要素(例えば、ステンレス鋼要素)であってよい。
【0024】
[0034]図7は患者の胸壁32および肺34の一部を描いており、胸膜アクセスライナ14の水分吸収前の、展開状態における導入カニューレ12および胸膜アクセスライナ14を有する胸膜層横断システム10を示している。図7に示された展開状態を達成するために、スタイレット16-1が、導入カニューレ12の管腔20-4を通じて挿入され(図3参照)、その際、スタイレット16-1の穿孔先端16-3が、導入カニューレ12の細長い管状部材20の遠位端20-2から突出した状態である(図1図2および図7参照)。
【0025】
[0035]再び、図7を参照すると、導入カニューレ12(胸膜アクセスライナ14を支持している)と組み合わされたスタイレット16-1は、患者に挿入され、肺34の内部へのアクセス開口36を形成する、特に、アクセス開口36は、胸壁32の胸郭における隣接する肋骨38-1,38-2の間に形成され、壁側胸膜40、胸膜腔42および臓側胸膜44を貫通して延び、肺34の内部へのアクセスを提供する。導入カニューレ12および胸膜アクセスライナ14が肺実質に進入すると、例えば、イメージングによって、胸膜アクセスライナ14が、壁側胸膜40、胸膜腔42および臓側胸膜44を横断するように配置されたことが確認されてよい。アクセス開口36内およびその周囲の流体が胸膜アクセスライナ14に水分を加え、これにより、胸膜アクセスライナ14は膨張し(図6も参照)、アクセス開口36に沿って壁側胸膜40と臓側胸膜44との間の領域を封止し、気胸を防止することを助ける。
【0026】
[0036]肺生検などの肺アクセス手術は、導入カニューレ12の細長い管状部材20の管腔20-4からスタイレット16-1を除去し、次いで、肺生検デバイス、例えば、生検プローブを、導入カニューレ12の細長い管状部材20の管腔20-4を通じて肺内へ挿入することによって行われてよい。肺アクセス手術の完了時、肺生検デバイスは、導入カニューレ12の細長い管状部材20から除去されてよい。次いで、導入カニューレ12の細長い管状部材20は、胸膜アクセスライナ14から除去されてよく、これにより、胸膜アクセスライナ14はアクセス開口36内にとどまり、胸膜腔42への空気および流体進入をブロックし、気胸を防止することを助ける。胸膜アクセスライナ14からの細長い管状部材20の除去時、胸膜アクセスライナ14は、さらなる膨張を生じてよく、それにより、胸膜アクセスライナ14の細長い開口14-2を閉鎖する。
【0027】
[0037]幾つかの実施態様において、展開中および展開後の胸膜アクセスライナ14の膨張後、胸膜アクセスライナ14と患者のアクセス開口36との間の摩擦係数は、胸膜アクセスライナ14と導入カニューレ12の細長い管状部材20との間の摩擦係数を超過してよく、それにより、導入カニューレ12の細長い管状部材20がアクセス開口36から引き抜かれるとき、胸膜アクセスライナ14は、アクセス開口36内の所定の位置にとどまる。
【0028】
[0038]しかしながら、幾つかの実施態様において、胸膜アクセスライナ14からの導入カニューレ12の細長い管状部材20の除去を補助するために機械的支援を提供することが望ましい場合があると考えられる。例えば、図8および図9をさらに参照すると、展開前、例えば、管腔46-2を有する外側チューブ46-1の形式の除去ツール46が、細長い管状部材20上に、胸膜アクセスライナ14の近位の位置において、例えば、導入カニューレ12のハンドル本体18と、胸膜アクセスライナ14を支持する細長い管状部材20の細長い外側凹部26との間に配置されてよい。
【0029】
[0039]患者における胸膜アクセスライナ14の展開および膨張後、細長い管状部材20が除去ツール46および胸膜アクセスライナ14から近位へ引き抜かれながら、胸膜アクセスライナ14の位置を維持することを助けるために除去ツール46が胸膜アクセスライナ14と接触するように(まだ接触していない場合)摺動可能に遠位へ前進させられてよい。例えば、胸膜アクセスライナ14と接触した除去ツール46の固定された位置を維持するために、除去ツール46がユーザの片手によって掴まれてよく、ユーザは、ユーザの他方の手で導入カニューレ12のハンドル本体18も掴んでよい。次いで、ユーザは、ハンドル本体18を近位に引っ張り、ひいては、除去ツール46から細長い管状部材20を近位に引き抜き、患者のアクセス開口36におけるその位置に胸膜アクセスライナ14を残す。その後、除去ツール46は、患者から除去され、廃棄されてよい。
【0030】
[0040]以下のアイテムも、本発明に関する。
[0041]1つの形態において、本発明は、胸膜層を横断するために/胸膜層を横断する際に使用するために構成された導入カニューレに関する。導入カニューレは、細長い管状部材および胸膜アクセスライナを含んでよい。細長い管状部材は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有してよく、ここで、側壁は、外面および内面を有し、内面が管腔を画定している。胸膜アクセスライナは、水分を吸収すると膨張するように構成された膨張可能でかつ生体吸収性の材料から形成されてよい。胸膜アクセスライナは、細長いチューブの形状を有してよい。胸膜アクセスライナは、細長い管状部材の外面の外面部分を取り囲む選択的に細長い開口を有してよい。
【0031】
[0042]幾つかの実施形態において、細長い管状部材の側壁の外面は、第1の直径を有する第1の外面部分と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の外面部分とを有してよく、側壁の第2の外面部分は、細長い管状部材の周囲に延びる細長い外側凹部を画定している。胸膜アクセスライナは、細長い管状部材の側壁の細長い外側凹部内に存在し、これを取り囲んでいてよい。
【0032】
[0043]実施形態のうちのいずれかにおいて、胸膜アクセスライナは、(最初、すなわち、使用前)細長い管状部材の外面の周囲に半径方向に延びる乾燥した材料であってよい。
[0044]選択的に、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナは、細長い管状部材の外面に結合された細長い円筒状の層であってよい。
【0033】
[0045]選択的に、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナは、細長い管状部材の外面に結合された粉末コーティングであってよい。
[0046]選択的に、胸膜アクセスライナは、多糖類から形成されてよい。
【0034】
[0047]選択的に、胸膜アクセスライナは、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプンのうちの少なくとも1つから形成されてよい。
【0035】
[0048]選択的に、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナは、発泡材料から形成された予め形成されたチューブであってよい。
[0049]選択的に、幾つかの実施形態において、胸膜アクセスライナは、織られたまたはエレクトロスピニングされた繊維のチューブであってよい。
【0036】
[0050]選択的に、胸膜アクセスライナは、X線不透過性材料を含んでよい。
[0051]選択的に、胸膜アクセスライナは、細長い管状部材から除去されるように構成されてよい。
【0037】
[0052]別の形態において、本発明は、細長い管状部材および生体吸収性部材を含む、胸膜層を横断するために/胸膜層を横断する際に使用するために構成された導入カニューレに関する。細長い管状部材は、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間に長手方向に延びる側壁を有してよく、側壁は、管腔を画定する内面を有する。側壁は、第1の直径を有する第1の外面部分と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の外面部分とを有してよく、側壁の第2の外面部分は、細長い管状部材の全体の周囲に延びる側壁の細長い外側凹部を画定している。生体吸収性部材は、管状部材の側壁の細長い外側凹部に配置されてよい。生体吸収性材料は、流体と接触すると膨張するように構成されてよい。
【0038】
[0053]前の段落の実施形態において、生体吸収性部材は、選択的に、細長い管状部材の側壁の細長い外側凹部の全体の周囲に半径方向に延びていてよい。
[0054]選択的に、幾つかの実施形態において、生体吸収性部材は、細長い管状部材の外面に結合された、細長い管状部材の側壁の細長い外側凹部の全体の周囲に延びる、細長い円筒状の層であってよい。
【0039】
[0055]選択的に、幾つかの実施形態において、生体吸収性部材は、細長い管状部材の外面に結合された、細長い管状部材の側壁の細長い外側凹部の全体の周囲に延びる粉末コーティングであってよい。
【0040】
[0056]選択的に、生体吸収性部材は、多糖類から形成されてよい。
[0057]選択的に、生体吸収性部材は、コラーゲン、絹フィブロイン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、無水ゼラチンおよびデンプンのうちの少なくとも1つから形成されてよい。
【0041】
[0058]選択的に、幾つかの実施形態において、生体吸収性部材は、発泡材料から形成された予め形成されたチューブであってよい。
[0059]選択的に、幾つかの実施形態において、生体吸収性部材は、織られたまたはエレクトロスピニングされた繊維のチューブであってよい。
【0042】
[0060]選択的に、生体吸収性部材は、X線不透過性材料を含んでよい。
[0061]選択的に、生体吸収性部材は、細長い管状部材から除去可能であるように構成されてよい。
【0043】
[0062]本明細書において使用されるように、「実質的に」、「概して」および程度のその他の用語は、そのように修飾された特徴からの許容可能な変動を示すことが意図された相対的な修飾語句である。それが修飾する絶対値または特徴に限定されることは意図されておらず、むしろその逆よりも物理的または機能的特徴の多くを有し、このような物理的または機能的特徴に近づくまたは近似する。
【0044】
[0063]本発明は少なくとも1つの実施形態に関して説明されているが、本発明は、本開示の思想および範囲内でさらに修正することができる。したがって、本願は、その一般的原理を使用して本発明のあらゆる変更、使用または適応をカバーすることが意図されている。さらに、本願は、本発明が属する技術分野において公知のまたは一般的な実用に含まれ、添付の請求項の限定に当てはまる、本開示からのこのような逸脱をカバーすることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9