(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び触覚デバイス
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20231130BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H02K33/16 A
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2019021710
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】武居 勇一
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-013086(JP,A)
【文献】特開2018-073021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と
前記可動体を移動可能に支持する支持体と、
を有し、
前記可動体は、永久磁石と、前記永久磁石が固定されるヨーク部とを備え、
前記支持体は、前記可動体を移動可能に支持すると共に、前記可動体の前記永久磁石に対して第1の方向に間隙を空けて空芯コイルを保持するコイルホルダと、前記コイルホルダを収容するケースとを備え、
前記可動体が、前記支持体に対して、弾性及び粘弾性の少なくとも一方を備える接続体により接続され、前記空芯コイルへの通電時に前記可動体が前記第1の方向と交差する第2の方向に振動するアクチュエータであって、
前記ヨーク部は、前記永久磁石が固定された平板部と、前記平板部の前記第2の方向の両側の端部から前記第1の方向に折れ曲げられた連結部とを有し、
前記支持体の前記ケース及びコイルホルダは、前記ヨーク部の
前記連結部に対向する位置に、前記支持体の内部と外部とを連通する第1の開口を有し、
前記支持体は、更に、前記第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向
の一方側の端部に第2の開口を有し、
前記可動体が前記第2の方向に振動して、前記ヨーク部が前記第1の開口の側に移動したとき、前記支持体の内部の空気が、前記第1の開口を通じて該支持体の外部に排出され、同時に、前記支持体の外部の空気が前記第2の開口を通じて該支持体の内部に導入されるアクチュエータ。
【請求項2】
可動体と
前記可動体を移動可能に支持する支持体と、
を有し、
前記可動体は、永久磁石と、前記永久磁石が固定されるヨーク部とを備え、
前記支持体は、前記可動体を移動可能に支持すると共に、前記可動体の前記永久磁石に対して第1の方向に間隙を空けて空芯コイルを保持するコイルホルダと、前記コイルホルダを収容するケースとを備え、
前記可動体が、前記支持体に対して、弾性及び粘弾性の少なくとも一方を備える接続体により接続され、前記空芯コイルへの通電時に前記可動体が前記第1の方向と交差する第2の方向に振動する触覚デバイスであって、
前記ヨーク部は、前記永久磁石が固定された平板部と、前記平板部の前記第2の方向の両側の端部から前記第1の方向に折れ曲げられた連結部とを有し、
前記支持体の前記ケース及びコイルホルダは、前記ヨーク部の
前記連結部に対向する位置に、前記支持体の内部と外部とを連通する第1の開口を有し、
前記支持体は、更に、前記第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向
の一方側の端部に第2の開口を有し、
前記可動体が前記第2の方向に振動して、前記ヨーク部が前記第1の開口の側に移動したとき、前記支持体の内部の空気が、前記第1の開口を通じて該支持体の外部に排出され、同時に、前記支持体の外部の空気が前記第2の開口を通じて該支持体の内部に導入される触覚デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータ及び触覚デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報を振動によって報知するデバイスとして、永久磁石を備えた可動体と、永久磁石と対向するコイルを有する支持体とを備えたアクチュエータが提案されており、可動体および支持体は、ケースに内包されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電流がコイルに流れることによって可動体が振動するが、通電に伴ってコイルが発熱し、発生した熱がケースの内部にこもり、ケースの内部の温度が高まる。ケースの内部の温度が上昇すると、例えば永久磁石がボンド磁石である場合に、磁石の熱減磁によってアクチュエータの性能が低下する虞がある。また、小型のアクチュエータでは、スペースの都合でボビンを用いることができず、典型的には、コイルを形成する導線に自己融着線が用いられるが、ケースの内部の温度が上昇すると、自己融着線の接着剤が溶け、コイルの形状が維持できなくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ケースの内部に発生した熱を効率的に外部に排出することができるアクチュエータ及び触覚デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のアクチュエータは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体及び前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、及び前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体及び前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記支持体は、箱形に形成され、前記可動体及び前記磁気駆動回路を収容しており、前記第2方向に開口する一つ以上の第1開口部を有する。
【0007】
本発明の一態様の触覚デバイスは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体及び前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体及び前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記支持体は、箱形に形成され、前記可動体及び前記磁気駆動回路を収容しており、前記第2方向に開口する一つ以上の第1開口部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースの内部に発生した熱を効率的に外部に排出することができるアクチュエータ及び触覚デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、アクチュエータの一例を示し、(A)は、アクチュエータを第3方向の一方側の上方から見た全体斜視図であり、(B)はアクチュエータを第3方向の他方側の上方から見た全体斜視図である。
【
図2】アクチュエータのII-II線断面図である。
【
図3】アクチュエータのIII-III線断面図である。
【
図7】ヨークの連結部において切断したアクチュエータの斜視図である。
【
図8】ヨークの非連結部において切断したアクチュエータの斜視図である。
【
図9】永久磁石において切断したアクチュエータの斜視図である。
【
図11】アクチュエータの他の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、可動体12の振動方向(第2方向)にXを付し、第2方向Xと交差する第1方向にZを付し、第1方向Zおよび第2方向Xに対して交差する第3方向にYを付して説明する。なお、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付して説明する。
【0011】
(全体構成)
図1(A)は、アクチュエータ10を第3方向Yの一方側Y1の上方から見た全体斜視図であり、
図1(B)は第3方向Yの他方側Y2の上方から見た全体斜視図である。
図2は、アクチュエータ10のII-II線断面図である。
図3は、アクチュエータ10のIII-III線断面図である。
図4は、アクチュエータ10の分解斜視図である。
【0012】
図1(A)および
図1(B)に示すアクチュエータ10は、第3方向Yに長手方向を向けた直方体形状を有しており、アクチュエータ10を手にした利用者に対して第2方向Xの振動によって情報を報知し、例えばゲーム機の操作部材等として利用することができる。また、アクチュエータ10は、振動によって触覚を提示する触覚デバイスとしても利用可能である。
【0013】
図1~
図4に示すように、アクチュエータ10は、アクチュエータ10の外形を規定する角形のケース20等を含む支持体11と、ケース20の内部で支持体11に対して第2方向Xに移動可能に支持された可動体12とを有しており、可動体12が第2方向Xに振動することによって情報を出力する。可動体12は、可動体12と支持体11との間に設けられたダンパー(接続体)13を介して、振動可能に支持体11に支持されている。ダンパー13は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えている。
【0014】
支持体11は、ケース20、コイルホルダ30、コイル31、給電基板32を有している。一方、可動体12は、永久磁石41(第1永久磁石411および第2永久磁石412)、およびヨーク42(第1ヨーク421および第2ヨーク422)を有している。また、コイル31および永久磁石41によって磁気駆動回路40が構成されている。
【0015】
(可動体12の構成)
図5は、アクチュエータ10における可動体12の分解斜視図である。
図2、
図3及び
図5に示すように、可動体12は、コイル31に対して第1方向Zの一方側Z1に配置された磁性板からなる第1ヨーク421と、コイル31に第1方向Zの一方側Z1で対向するように第1ヨーク421の第1方向Zの他方側Z2の面に保持された平板状の永久磁石41である第1永久磁石411とを有している。
【0016】
また、可動体12は、コイル31に対して第1方向Zの他方側Z2に配置された磁性板からなる第2ヨーク422と、コイル31に第1方向Zの他方側Z2で対向するように第2ヨーク422の第1方向Zの一方側Z1の面に保持された平板状の永久磁石41である第2永久磁石412とを有している。本実施の形態において、可動体12は、第1ヨーク421、第1永久磁石411、第2ヨーク422、および第2永久磁石412を有する。
【0017】
第1ヨーク421は、第1永久磁石411が固定された平板部431と、平板部431の第2方向Xの両側の端部から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲げられた連結部44とを有する。連結部44は、第3方向Yに沿って複数個設けられており、隣接する連結部44の間には、隙間46が設けられている。連結部44は、第3方向Yの中央部に、第2ヨーク422側に突出する凸部441を有する。
【0018】
第2ヨーク422は、第2永久磁石412が固定される平板部432を有するとともに、平板部432の第3方向Yの中間部分には、第2方向Xの一方側X1および他方側X2に張り出した張り出し部45が複数個設けられている。張り出し部45は、第3方向Yに沿って一対の張り出し板451、451を有しており、一対の張り出し板451、451の間には凹部452を有する。なお、隣接する張り出し部45の間には、隙間46が設けられている。
【0019】
第1ヨーク421と第2ヨーク422とが連結される際には、第1ヨーク421の連結部44の凸部441が、第2ヨーク422の凹部452に挿嵌される。そして、張り出し部45と連結部44とが例えば溶接等により接続されることにより、第1ヨーク421と第2ヨーク422とが一体に連結される。このとき、第1ヨーク421側の隙間46と第2ヨーク422側の隙間46は、一致している。
【0020】
(支持体11の構成)
図1~
図4に示すように、支持体11は、ケース20、コイルホルダ30、コイル31、給電基板32を有している。ケース20は、第1方向Zの一方側Z1に位置する第1ケース部材21と、第1方向Zの他方側Z2で第1ケース部材21と重なる第2ケース部材22とを有する。第1ケース部材21は、第1ケース蓋板部211と、第1ケース蓋板部211の第2方向Xの両側から第1方向Zの他方側Z2に折り曲げられた第1ケース側板部(ケース側板部)212とを有する。また、第2ケース部材22は、第2ケース蓋板部221と、第2ケース蓋板部221の第2方向Xの両側から第1方向の一方側Z1に折り曲げられた第2ケース側板部(ケース側板部)222とを有する。
【0021】
ここでは、第2ケース側板部222が、第1ケース側板部212の第1方向Zの他方側Z2の端部である縁部25(
図1参照)の外側に重なることによりケース20が形成される。ケース20は、第3方向Yの両端が開口している。なお、第1ケース部材21と第2ケース部材22との間には、コイルホルダ30および可動体12等が収容される。
【0022】
第1ケース部材21の一対の第1ケース側板部212には、第3方向Yに所定間隔で第1開口部23が設けられている。第1開口部23は、ケース20に可動体12を収容した際に、第1ヨーク421の連結部44に対向する位置に設けられたA開口部231(
図7参照)と、隣接する連結部44の間の隙間46に位置するB開口部232(
図8参照)とを有する。一方、第2ケース部材22の一対の第2ケース側板部222における第1方向Zの一方側Z1の端部には、第3方向Yに所定間隔で切欠き223(
図4参照)が設けられている。切欠き223は、矩形で、第1方向Zの一方側Z1に開口している。第2ケース部材22の切欠き223は、第1開口部23のB開口部232に対応して設けられている。
【0023】
コイルホルダ30は、第1方向Zの両側に開口した枠状を呈しており、第1方向Zおよび第3方向Yに延びる一対のホルダ側板部34と、第3方向Yの両端に設けられた一対のホルダ側板部35を有する。第3方向Yの一方側Y1のホルダ側板部35には給電基板32が取り付けられ、ホルダ側板部35には給電基板32を露出させる切欠き36が設けられている(
図1(A)参照)。また、第3方向Yの他方側Y2のホルダ側板部35には、第2開口部33が設けられている(
図1(B)参照)。一対のホルダ側板部34には、第3方向Yに沿って複数のホルダ側第1開口部37が設けられている。ホルダ側第1開口部37は、第1ケース部材21のA開口部231に対応したホルダ側A開口部371と、第1ケース部材21のB開口部232に対応したホルダ側B開口部372とを有する。
【0024】
したがって、コイルホルダ30が第1ケース部材21に収容された状態では、A開口部231とホルダ側A開口部371とによって、コイルホルダ30と第1ケース部材21とを一続きに貫通する開口部が形成される。なお、A開口部231及びホルダ側A開口部371は、第1ヨーク421の連結部44に対向している(
図7参照)。また、同様に、B開口部232とホルダ側B開口部371とによって、コイルホルダ30と第1ケース部材21とを一続きに貫通する開口部が形成される。なお、B開口部232及びホルダ側B開口部372は、第1ヨーク421の隣接する連結部44の間の隙間46に位置するので、可動体12の内部はケース20の外側に連通する(
図8参照)。
【0025】
コイルホルダ30の一対のホルダ側板部34の内面には、第3方向Yに所定間隔で位置決め部38が設けられている。位置決め部38は、コイルホルダ30に可動体12を収容した状態で、第1ヨーク421の連結部44の間に設けられている隙間46に対応する位置に設けられており、隙間46に収容可能となっている。これにより、可動体12は、コイルホルダ30の内部において第3方向Yへの移動が規制される。
【0026】
(磁気駆動回路40の構成)
図6は、磁気駆動回路40の斜視図である。
図2及び
図6に示すように、磁気駆動回路40は、長円形状に巻回された空芯のコイル31を有しており、コイル31のコイル線311は、コイルホルダ30の給電基板32に接続される。コイル31の第1方向Zの一方側Z1には第1プレート471が設けられ、コイル31の第1方向Zの他方側Z2には第2プレート472が設けられている。すなわち、コイル31は、第1プレート471と第2プレート472によって挟まれている。また、第1プレート471の第1方向Zの一方側Z1には、第1永久磁石411(
図6においては図示省略)が設けられており、第2プレート472の第1方向Zの他方側Z2には、第2永久磁石412が設けられている。ここでは、永久磁石41は、第3方向Yに2個並べて設けているが、1個あるいは3個以上用いることもできる。
【0027】
(動作)
給電基板32を介して外部(上位の機器)からコイル31に給電されると、コイル31、第1永久磁石411および第2永久磁石412を備えた磁気駆動回路40によって、可動体12が支持体11の内部において第2方向Xに往復移動する。これにより、アクチュエータ10を手に持っていた利用者は、アクチュエータ10からの振動によって情報を得ることができる。
【0028】
図9には、可動体12の振動に伴う空気Aの流れを示している。
図9に示すように、可動体12の振動により、支持体11の第1開口部23(A開口部231)及びホルダ側第1開口部37(ホルダ側A開口部371)に対向している第1ヨーク421の連結部44が、第1開口部23及びホルダ側第1開口部37に対して繰り返し接離する。これにより、支持体11の内部の空気Aが、連結部44の外面によって支持体11の外部に排出される。
【0029】
また、可動体12が、第1ヨーク421の連結部44の間の隙間46に対向して設けられている第1開口部23(B開口部232)及びホルダ側第1開口部37(ホルダ側B開口部372)に対して繰り返し接離する。これにより、第1ヨーク421と第2ヨーク422によって囲われているコイル31の周囲の空気Aが、隙間46、第1開口部23(B開口部232)及びホルダ側第1開口部37(ホルダ側B開口部372)を通して支持体11の外部に排出される。
【0030】
支持体11の内部の空気Aが外部に排出される際に、コイルホルダ30の第3方向Yの他方側Y2の端部に設けられている第2開口部33から、外部の空気Aが支持体11の内部に導入されるので、支持体11の内部における空気Aの流動が活発となる。
【0031】
(作用・効果)
上述したアクチュエータ10では、可動体12と支持体11とが、対向する位置において弾性または粘弾性を備えたダンパー13に接している。このため、可動体12が共振することを抑制することができる。そして、可動体12を支持体11に対して第1方向Zと交差する第2方向Xに振動させるための磁気駆動回路40が設けられている。これにより、可動体12は支持体11に対して第2方向Xへ振動するので、アクチュエータ10を手に持っている利用者に、情報を伝達することができる。また、可動体12および磁気駆動回路40は、箱形に形成された支持体11に収容されており、支持体11には、第2方向Xに開口する一つ以上の第1開口部23が設けられている。このため、支持体11の内部の空気は、可動体12の振動によって振動方向である第2方向Xへ押されるので、支持体11の内部に発生した熱を第1開口部23から適正に排出することができる。
【0032】
また、アクチュエータ10では、可動体12に設けられているヨーク42が、コイル31及び永久磁石41を第1方向Zに挟む一対の平板部431、432と、第2方向Xの両側において一対の平板部431、432を互いに連結する連結部44を有する。これによりヨーク42が形成され、ヨーク42は第2方向Xへ振動する。そして、支持体11において第2方向Xに開口する第1開口部23は、連結部44と重なる位置に設けられている。このため、ヨーク42が第2方向Xへ振動すると、連結部44の外面が支持体11内部の空気Aを第1開口部23から押し出すので、効率的に排熱できる。
【0033】
また、アクチュエータ10では、連結部44が第3方向Yに間隔をあけて複数設けられ、隣接する連結部44の間には隙間46が設けられている。このため、ヨーク42によって囲まれるコイル31の周囲の空気Aをヨーク42の外側で連結部44の外面まで導くことができ、効率的に排熱できる。
【0034】
また、アクチュエータ10では、隣り合う連結部44の間の隙間46に対応して設けられている第1開口部23を介してヨーク42の内側が支持体11の外部と連通するので、さらに効率的に排熱できる。
【0035】
また、アクチュエータ10では、第1開口部23が、第1ケース側板部212と第2ケース側板部222とが重なる第1ケース部材21の縁部25を除く部分に設けられているので、第1ケース部材21の強度を確保することができる。
【0036】
また、アクチュエータ10では、第2開口部33が、箱形の支持体11の第3方向Yに開口しているので、可動体12の振動に応じて支持体11の内部の空気Aが第1開口部23から排出される際に、第2開口部33から外部の空気Aを支持体11の内部に導入することができる。これにより、支持体11の内部における空気Aの流動を活発にして、排熱効率をさらに高めることができる。
【0037】
また、アクチュエータ10では、第2開口部33がコイルホルダ30に設けられているので、第2開口部33から導入される外部の空気Aによってコイル31を効率的に冷却できる。
【0038】
なお、上述したアクチュエータ10では、第2ケース部材22の第2ケース側板部222に、第1開口部23のB開口部232に対応して切欠き223を設けた場合について説明した(
図4参照)が、
図10に示すように、第2ケース部材22の第2ケース側板部222に切欠き223を設けないようにすることも可能である。
【0039】
また、上述したアクチュエータ10では、可動体12であるヨーク42と、支持体11であるケース20との間にダンパー13を設けた場合について説明した(
図2参照)が、
図11に示すように、可動体12であるヨーク42と、支持体11であるプレート47との間にダンパー13を設けることも可能である。このようにしても、上述したアクチュエータ10と同様の作用・効果を得ることができ、さらにアクチュエータ10の薄型化を図ることができる。
【0040】
なお、上述したアクチュエータ10では、コイル31が支持体11に設けられ、永久磁石41(第1永久磁石411及び第2永久磁石412)が可動体12に設けられているが、コイル31が可動体12に設けられ、永久磁石41が支持体11に設けられてもよい。
【0041】
以上、説明したとおり、本明細書に開示されたアクチュエータは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記支持体は、箱形に形成され、前記可動体及び前記磁気駆動回路を収容しており、前記第2方向に開口する一つ以上の第1開口部を有する。この構成によれば、可動体および磁気駆動回路を収容する支持体には、振動方向である第2方向に開口する一つ以上の第1開口部が設けられており、支持体の内部の空気は、可動体の振動によって振動方向である第2方向へ押されるので、支持体の内部の空気を第1開口部から外部に排出でき、効率的に排熱できる。
【0042】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記可動体が、前記第1方向において前記コイル及び前記永久磁石の周囲を挟んで配置される一対の平板部と、前記第2方向の少なくとも一方側で前記一対の平板部を互いに連結する一つ以上の連結部と、を有し、前記第2方向から見て一つ以上の前記第1開口部が、前記連結部と重なる位置に設けられている。この構成によれば、支持体の第1開口部は、可動体の連結部と第2方向に重なる位置に設けられ、可動体が第2方向へ振動すると、連結部が支持体内部の空気を第1開口部から押し出すので、さらに効率的に排熱できる。
【0043】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記連結部が、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に間隔をあけて複数設けられている。この構成によれば、第3方向に隣り合う二つの連結部の間を通して、可動体によって囲まれる空気を可動体の外側に導くことができ、さらに効率的に排熱できる。
【0044】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、一つ以上の前記第1開口部が、前記第3方向に隣り合う二つの前記連結部の間と重なる位置に設けられている。この構成によれば、可動体の内側が支持体の外部と連通するので、さらに効率的に排熱できる。
【0045】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記支持体が、前記コイルを保持するコイルホルダと、前記コイルホルダを収容するケースと、を備え、前記コイルホルダは、前記第2方向に前記可動体及び前記磁気駆動回路を挟む一対のホルダ側板部を有し、前記ケースは、前記一対のホルダ側板部に被さる一対のケース側板部を有し、前記第1開口部は、前記ホルダ側板部と、前記ケース側板部とを貫通している。
【0046】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記ケースが、前記コイルホルダに対して前記第1方向の一方側に位置する第1ケース部材と、前記コイルホルダに対して前記第1方向の他方側に位置する第2ケース部材と、を備え、前記第1ケース部材は、前記一対のホルダ側板部に被さる一対の第1ケース側板部を有し、前記第2ケース部材は、前記一対の第1ケース側板部の縁部に被さる一対の第2ケース側板部を有し、前記第1開口部は、前記第1ケース側板部の前記縁部を除く部分を貫通している。この構成によれば、第1ケース部材の強度を高めることができる。
【0047】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記支持体が、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に開口する一つ以上の第2開口部を有する。この構成によれば、可動体の振動に応じて支持体の内部の空気が排出される際に、第2開口部から外部の空気を支持体の内部に導入することができ、支持体の内部における空気の流動を活発にして、排熱効率をさらに高めることができる。
【0048】
また、本明細書に開示されたアクチュエータは、前記支持体が、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に開口する一つ以上の第2開口部を有し、前記第2開口部は、前記コイルホルダに設けられており、前記ケースは、筒状に形成され、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に開口している。この構成によれば、第2開口部から導入される外部の空気によってコイルを効率的に冷却できる。
【0049】
また、本明細書に開示された触覚デバイスは、可動体と、支持体と、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備え、前記可動体と前記支持体とが対向する位置で前記可動体および前記支持体の双方に接するように配置された接続体と、前記可動体および前記支持体のうちの一方側部材に設けられた空芯のコイル、および前記コイルに対して第1方向の少なくとも一方側で対向するように前記可動体および前記支持体のうちの他方側部材に設けられた永久磁石を有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を備え、前記支持体は、箱形に形成され、前記可動体及び前記磁気駆動回路を収容しており、前記第2方向に開口する一つ以上の第1開口部を有する。この構成によれば、可動体および磁気駆動回路を収容する支持体には、振動方向である第2方向に開口する一つ以上の第1開口部が設けられており、支持体の内部の空気は、可動体の振動によって振動方向である第2方向へ押されるので、支持体の内部の空気を第1開口部から外部に排出でき、効率的に排熱できる。
【符号の説明】
【0050】
10 アクチュエータ
11 支持体
12 可動体
13 ダンパー(接続体)
20 ケース
21 第1ケース部材
212 第1ケース側板部
22 第2ケース部材
222 第2ケース側板部
23 第1開口部
25 縁部
30 コイルホルダ
31 コイル
33 第2開口部
34 ホルダ側板部
40 磁気駆動回路
41 永久磁石
42 ヨーク
431、432 平板部
44 連結部
X 第2方向
Y 第3方向
Z 第1方向