(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/147 20180101AFI20231130BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20231130BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20231130BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20231130BHJP
F21S 41/64 20180101ALI20231130BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20231130BHJP
F21S 41/675 20180101ALI20231130BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231130BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20231130BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20231130BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20231130BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20231130BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
F21S41/147
F21S41/143
F21S41/153
F21S41/25
F21S41/64
F21S41/663
F21S41/675
F21V5/04 600
F21V7/00 590
F21V9/40 400
F21V14/04
F21W102:145
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019097349
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】星野 真也
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-327095(JP,A)
【文献】特開2013-054963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0235349(US,A1)
【文献】特開2004-327188(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101571254(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/147
F21S 41/153
F21S 41/25
F21S 41/143
F21S 41/675
F21S 41/64
F21S 41/663
F21V 7/00
F21V 14/04
F21V 9/40
F21V 5/04
F21W 102/145
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に隙間なく隣接した状態で配置された複数の光源像を含む所定配光パターンを車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成する車両用灯具において、
複数の光源と、
前記複数の光源に対応する複数の投影光学系と、を備え、
前記複数の光源は、少なくとも第1光源及び第2光源を含み、
前記複数の投影光学系は、前記第1光源に対応する第1投影光学系及び前記第2光源に対応する第2投影光学系を含み、
前記複数の投影光学系それぞれの光軸は、互いに平行であり、
前記第1光源は、当該第1光源の一辺と前記第1投影光学系の光軸との間に第1距離をあけて配置され、
前記第2光源は、当該第2光源の一辺と前記第2投影光学系の光軸との間に前記第1距離より長い第2距離をあけて配置され、
前記複数の光源像は、少なくとも前記第1投影光学系により投影される前記第1光源の光源像及び前記第2投影光学系により投影される前記第2光源の光源像を含み、
前記第1光源の光源像は、前記仮想鉛直スクリーン上の鉛直線から近くに配置され、
前記第2光源の光源像は、前記仮想鉛直スクリーン上の鉛直線から遠くに配置され、
前記第2光源は、当該第2光源の光源像が前記第1光源の光源像に対して水平方向に隙間無く隣接した状態で配置されるように、前記第2投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置され、
前記第1投影光学系のイメージサークルは、前記第2投影光学系のイメージサークルより小さく、
前記第1投影光学系のFナンバーは、前記第2投影光学系のFナンバーより小さく、
前記第1光源は、前記第1投影光学系のイメージサークル内に配置され、
前記第2光源は、前記第2投影光学系のイメージサークル内に配置されている車両用灯具。
【請求項2】
前記第2投影光学系は、前記第2光源の光源像の水平方向の拡大率を大きくする倍率変更レンズを含む請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数の光源像は、互いに隣接する光源像が一部重複した状態で配置されている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記複数の光源は、それぞれ、当該光源の光軸が当該光源に対応する投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置されている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源の光軸が当該光源に対応する前記投影光学系の光軸と一致した状態で配置されており、残りの光源は、当該残りの光源の光軸が当該残りの光源に対応する投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置されている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記複数の光源は、それぞれ、マトリックス状に配置された複数の半導体発光素子を含むマトリックス光源であり、
前記複数の光源像は、それぞれ、前記複数の半導体発光素子に対応する複数のピクセルを含む請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記複数の光源は、それぞれ、1つの半導体発光素子を含む光源である請求項1から
5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記半導体発光素子を個別に点消灯制御する制御手段をさらに備える請求項6又は7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記複数の投影光学系の投影倍率は、互いに同一である請求項1から8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記複数の投影光学系のうち一部の投影光学系の投影倍率は、他の投影光学系の投影倍率と異なる請求項1から
8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記複数の
投影光学系の投影倍率は、互いに異なる請求項1から
8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源に対応する前記投影光学系の光軸に対して鉛直方向にずれた状態で配置されている請求項2から
11のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記第1光源の光源像の上辺が前記第2光源の光源像の上辺と一致し、前記第1光源の光源像の下辺が前記第2光源の光源像の下辺と一致することを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記第1投影光学系のイメージサークルは、前記第1光源を取り囲む最小の半径を有し、
前記第2投影光学系のイメージサークルは、前記第2光源を取り囲む最小の半径を有していることを特徴とする請求項1から
13のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に係り、特に、拡大投影される光源像の明るさや解像度を個別に最適化できる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具の分野においては、複数の光源(LEDチップ)と、1つの投影レンズと、を備え、1つの投影レンズによって複数の光源の光源像を拡大投影することで水平方向に配置された複数の光源像を含む所定配光パターンを形成する車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して、本発明者は、1つの投影レンズに代えて、複数の光源に対応する複数の投影レンズを用いることを検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が検討したところ、複数の投影レンズとして互いに同じ構成の投影レンズを用いると、各々の投影レンズによって拡大投影される光源像の明るさや解像度を個別に最適化できない場合があることが判明した。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、拡大投影される光源像の明るさや解像度を個別に最適化できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一つの側面は、水平方向に配置された複数の光源像を含む所定配光パターンを形成する車両用灯具において、複数の光源と、前記複数の光源に対応する複数の投影光学系と、を備え、前記複数の光源は、少なくとも第1光源及び第2光源を含み、前記複数の投影光学系は、前記第1光源に対応する第1投影光学系及び前記第2光源に対応する第2投影光学系を含み、前記第1光源は、当該第1光源の一辺と前記第1投影光学系の光軸との間に第1距離をあけて配置され、前記第2光源は、当該第2光源の一辺と前記第2投影光学系の光軸との間に前記第1距離より長い第2距離をあけて配置され、前記第1投影光学系のイメージサークルは、前記第2投影光学系のイメージサークルより小さく、前記第1投影光学系のFナンバーは、前記第2投影光学系のFナンバーより小さく、前記第1光源は、前記第1投影光学系のイメージサークル内に配置され、前記第2光源は、前記第2投影光学系のイメージサークル内に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この側面によれば、拡大投影される光源像の明るさや解像度を個別に最適化できる車両用灯具を提供することができる。
【0009】
これは、複数の光源に対応する複数の投影光学系を設けたこと、そして、第1投影光学系のイメージサークルが第2投影光学系のイメージサークルより小さいこと、さらに、第1投影光学系のFナンバーが第2投影光学系のFナンバーより小さいこと、によるものである。
【0010】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源に対応する前記投影光学系の光軸に対してずれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源に対応する前記投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源像は、互いに隣接する光源像が一部重複した状態で配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源は、それぞれ、当該光源の光軸が当該光源に対応する投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源の光軸が当該光源に対応する前記投影光学系の光軸と一致した状態で配置されており、残りの光源は、当該残りの光源の光軸が当該残りの光源に対応する投影光学系の光軸に対して水平方向にずれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記第2光源のサイズは、前記第1光源のサイズより大きく、前記第1光源は、当該第1光源の光軸が前記第1投影光学系の光軸と一致した状態で配置され、前記第2光源は、当該第2光源の光軸が前記第2投影光学系の光軸と一致した状態で配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源は、それぞれ、マトリックス状に配置された複数の半導体発光素子を含むマトリックス光源であり、前記複数の光源像は、それぞれ、前記複数の半導体発光素子に対応する複数のピクセルを含むことを特徴とする。
【0017】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源は、それぞれ、1つの半導体発光素子を含む光源であることを特徴とする。
【0018】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記半導体発光素子を個別に点消灯制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の投影光学系の投影倍率は、互いに同一であることを特徴とする。
【0020】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の投影光学系のうち一部の投影光学系の投影倍率は、他の投影光学系の投影倍率と異なることを特徴とする。
【0021】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の投影光学系の投影光学系の投影倍率は、互いに異なることを特徴とする。
【0022】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源及び当該光源に対応する投影光学系を含む灯具ユニットを少なくとも1つ備えることを特徴とする。
【0023】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の投影光学系それぞれの光軸は、互いに平行であることを特徴とする。
【0024】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の光源のうち少なくとも1つの光源は、当該光源に対応する前記投影光学系の光軸に対して鉛直方向にずれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0025】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の一つの側面は、少なくとも1つの光源像を含む所定配光パターンを形成する車両用灯具において、光源と、前記光源に対応する投影光学系と、を備え、前記光源は、前記投影光学系のイメージサークル内に配置されていることを特徴とする。
【0026】
この側面によれば、拡大投影される光源像の明るさや解像度を個別に最適化できる車両用灯具を提供することができる。
【0027】
これは、光源が投影光学系のイメージサークル内に配置されていること、によるものである。
【0028】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記イメージサークルは、前記光源を取り囲む最少半径の円であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】車両用灯具10及びその制御システム20の概略構成図である。
【
図2】(a)車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例、(b)ADB用配光パターンPの他の一例である。
【
図3】投影レンズOP1~OP4によって光源LS1~LS4の光源像を拡大投影することで、仮想鉛直スクリーンS上に光源像I1~I4を形成している様子を表す。
【
図4】投影レンズOP1~OP4の正面図(透視図)である。
【
図6】投影レンズOPの光軸に対する光源LS(光軸)の配置の変形例である。
【
図7】光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合(
図6参照)に形成される光源像Iの例である。
【
図8】(a)投影レンズOP1、OP4の投影倍率(横倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例、(b)投影レンズOP1、OP4の投影倍率(縦倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例、(c)投影レンズOP1、OP4の投影倍率(横倍率及び縦倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例である。
【
図9】光源LSとして、矩形領域(例えば、約4mm角)に一つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)が配置された光源を用いた場合に形成される光源像I1~I4の一例である。
【
図10】光源LS2及び投影レンズOP2の水平断面図である。
【
図11】(a)光源LS2(発光面LS2a)と投影レンズOP2のイメージサークルC1との関係、(b)光源LS1(発光面LS1a)と投影レンズOP1のイメージサークルC2との関係を表す。
【
図12】光源LS1及び投影レンズOP1の水平断面図である。
【
図13】光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合の、光源LS2(発光面LS2a)と投影レンズOP2のイメージサークルC3との関係を表す。
【
図14】第3実施形態の車両用灯具10Bの水平断面図である。
【
図15】(a)光源LS5(発光面LS5a)と投影レンズOP5のイメージサークルC4との関係、(b)光源LS6(発光面LS6a)と投影レンズOP6のイメージサークルC5との関係を表す。
【
図16】第3実施形態の車両用灯具10Bによって形成されるADB用配光パターンP(光源像)の一例である。
【
図17】(a)車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例、(b)
図17(a)中の水平断面A-Aの光度分布を表す図である。
【
図18】光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の一例である。
【
図19】光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【
図20】光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【
図21】光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【
図22】補完処理を行う制御システム20Aの概略構成図である。
【
図23】制御システム20Aの動作(故障した光源LS(半導体発光素子)を補完する補完処理)の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図24】光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【
図25】ピクセルPX1に対応する箇所の光度が低下したADB用配光パターンPの光度分布を表す図である。
【
図26】第6実施形態の車両用灯具10Cの概略構成図である。
【
図27】車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【
図28】倍率変更レンズ14の一例(概略斜視図)である。
【
図29】(a)(b)倍率変更レンズ14の横断面図、(c)縦断面図(概略図)である。
【
図30】投影レンズOP1~OP4及び倍率変更レンズ14を構成するレンズ群の斜視図である。
【
図31】第1レンズ体LE1の正面図(透視図)である。
【
図32】第7実施形態の車両用灯具10Dの水平断面図である。
【
図33】車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【
図34】第8実施形態の車両用灯具10Eの水平断面図である。
【
図35】車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【
図36】
図3に対して倍率変更レンズ14を追加した図である。
【
図37】DMD30を用いた車両用灯具10Fの一例である。
【
図38】LCD40を用いた車両用灯具10Gの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態である車両用灯具10及びその制御システム20について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0031】
図1は、車両用灯具10及びその制御システム20の概略構成図である。
【0032】
図1に示す車両用灯具10(車両用灯具ユニット)は、ADB(Adaptive Driving Beam)用配光パターンを形成可能な配光可変型の車両用前照灯であり、車両(図示せず。以下、自車という)の前端部の左側及び右側に搭載される。車両用灯具10は、アウターレンズ11とハウジング12とによって構成される灯室13内に配置され、ハウジング12等に固定される。なお、以下、説明の便宜のため、XYZ軸を定義する。X軸は車幅方向に延びており、Y軸は鉛直方向に延びており、Z軸は車両前後方向に延びている。
【0033】
まず、ADB用配光パターンPについて説明する。ADB用配光パターンPは、本発明の所定配光パターンの一例である。
【0034】
図2(a)は車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
図2(b)はADB用配光パターンPの他の一例である。
【0035】
図2(a)に示すように、ADB用配光パターンPは、水平方向に配置された4つの光源像I1~I4を含む。以下、光源像I1~I4を特に区別しない場合、光源像Iと記載する。
【0036】
光源像Iは、後述のように投影レンズによって光源の光源像を拡大投影することで、仮想鉛直スクリーン上に水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態で配置される。
【0037】
「隙間無く隣接した状態」とは、互いに隣接する光源像Iの左辺(又は右辺)と右辺(又は左辺)の間に隙間が存在しない状態(
図2(a)参照)、及び、
図2(b)に示すように、互いに隣接する光源像Iの左辺(又は右辺)と右辺(又は左辺)の間に隙間S1が存在しても、当該隙間S1がわずかで当該隙間S1を視認又は識別できない状態(つまり、視覚的に隙間無く隣接していると評価できる状態)を意味する。
【0038】
光源像Iは、上辺(及び下辺)が水平方向(X軸方向)に一致し、かつ、左辺(及び右辺)が鉛直方向(Y軸方向)に一致した状態で配置される。
【0039】
光源像Iは、後述のように光源(複数の半導体発光素子)の点消灯制御に応じて個別に点消灯(減光を含む)される複数のピクセルを含む。
図2中の各々の矩形PXは、個別に点消灯されるピクセルを表す。以下、ピクセルPXと記載する。
【0040】
上記構成の光源像Iによれば、例えば、自車前方のマスク対象物(先行車や対向車等の移動体)に対応するピクセルPXを消灯(又は減光)しそれ以外のピクセルPXを点灯することで、当該マスク対象物を照射しない非照射領域を含むADB用配光パターンPを形成することができる。
【0041】
次に、上記光源像Iを含むADB用配光パターンPを形成する車両用灯具10の構成例について説明する。
【0042】
図1に示すように、車両用灯具10は、光源LS1~LS4と、光源LS1~LS4に対応する投影レンズOP1~OP4と、を備える。以下、光源LS1~LS4を特に区別しない場合、光源LSと記載する。また、投影レンズOP1~OP4を特に区別しない場合、投影レンズOPと記載する。
【0043】
光源LSは、白色光を発光するLED等の半導体発光素子である。以下、光源LSとして、矩形領域(例えば、約4mm角)にマトリックス状に配置された複数の半導体発光素子(例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)のLEDチップ)を含むマトリックス光源を用いる例について説明する。マトリックス光源は、LEDアレイ光源又はピクセルLEDとも称される。なお、光源LS1、LS4は、マトリックス光源以外の光源、例えば、発光面が約4mm角の1つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を含む光源であってもよい。
【0044】
図3は、投影レンズOP1~OP4によって光源LS1~LS4の光源像を拡大投影することで、仮想鉛直スクリーンS上に光源像I1~I4を形成している様子を表す。
図4は、投影レンズOP1~OP4の正面図(透視図)で、光源LS1~LS4及び投影レンズOP1~OP4等の配置を表す。
【0045】
図3、
図4に示すように、光源LS1~LS4は、発光面LS1a~LS4aを備える。光源LS1の光軸AX
LS1は、光源LS1の発光面LS1aの中心を通り、かつ、発光面LS1aに直交する方向(Z軸方向)に延びている。光源LS2~LS4の光軸AX
LS2~AX
LS4も同様である。光源LS1~LS4の光軸AX
LS1~AX
LS4は、互いに平行である。
【0046】
上記構成の光源LS1~LS4は、放熱性を考慮して、ヒートシンク又はハウジング等に固定された共通の基板K(
図1参照)上に互いに十分な間隔をあけて配置(実装)される。間隔は、数十mm程度である。
【0047】
具体的には、
図3に示すように、光源LS1及び光源LS2は灯具光軸AXに対して左側(仮想鉛直スクリーンSに向かって左側)に配置され、光源LS3及び光源LS4は灯具光軸AXに対して右側(仮想鉛直スクリーンSに向かって右側)に配置される。また、
図4に示すように、光源LS1及び光源LS4はそれぞれの上辺がX軸方向に延びる上側の直線L1に沿った状態で配置され、光源LS2及び光源LS3はそれぞれの上辺がX軸方向に延びる下側の直線L2に沿った状態で配置される。その際、光源LS1~LS4(発光面LS1a~LS4a)は、XY平面に対して平行な平面上に配置される。
【0048】
光源LS1~LS4の前方には、投影レンズOP1~OP4が配置される(
図3参照)。投影レンズOP1~OP4は、本発明の投影光学系の一例である。投影レンズOP1~OP4の材料は、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。投影レンズOP1~OP4は、図示しないが、ヒートシンク又はハウジング等に固定された保持部材に保持された状態で光源LS1~LS4の前方に配置される。
【0049】
投影レンズOP1~OP4は、像面が平面になるように収差(像面湾曲及び色収差等)が補正された投影レンズである。投影レンズOP1~OP4は、複数のレンズによって構成される場合(
図1参照)もあるし、1つのレンズによって構成される場合もある。光源LS1は、投影レンズOP1の像面(平面)に沿って配置される。光源LS2~LS4についても同様である。投影レンズOP1~OP4の投影倍率は、互いに同一である。
【0050】
投影レンズOP1~OP4の光軸AXOP1~AXOP4は、互いに平行で、Z軸方向に延びている。なお、投影レンズOP1~OP4の光軸AXOP1~AXOP4は、互いに間隔をあけて配置されているが、その間隔はわずか(数十mm程度)であるため、灯具光軸AXと同視し得る。灯具光軸AXは、Z軸方向に延びている。
【0051】
図3、
図4に示すように、光源LS1は、当該光源LS1に対応する投影レンズOP1の光軸AX
OP1に対してずれた状態で配置されている。光源LS2~LS4についても同様である。
【0052】
例えば、光源LS2(光軸AX
LS2)は、水平方向(X軸方向)に関し、投影レンズOP2の光軸AX
OP2に対して左側(仮想鉛直スクリーンSに向かって左側。
図3参照)にずれ量w2分ずれた状態で配置される。そのため、投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は鉛直線V)に対して右側にずれ量w2に応じた分ずれた状態で配置される。
【0053】
この原理によれば、ずれ量w2を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、左辺が鉛直線Vに一致(又は概ね一致)した状態で光源像I2を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0054】
一方、光源LS2(光源LS2の上辺)は、鉛直方向(Y軸方向)に関し、投影レンズOP2の光軸AX
OP2に対して上側にずれ量h2分ずれた状態で配置される(
図4参照)。そのため、投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は水平線H)に対して下側にずれ量h2に応じた分ずれた状態で配置される。
【0055】
したがって、ずれ量h2を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、下辺がX軸方向に延びる直線L3に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I2を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0056】
また、光源LS1(光軸AX
LS1)は、水平方向(X軸方向)に関し、投影レンズOP1の光軸AX
OP1に対して左側(仮想鉛直スクリーンSに向かって左側。
図3参照)にずれ量w1(w1>w2)分ずれた状態で配置される。そのため、投影レンズOP1によって拡大投影される光源像I1は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は鉛直線V)に対して右側にずれ量w1に応じた分ずれた状態で配置される。
【0057】
この原理によれば、ずれ量w1を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、左辺が光源像I2の右辺に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I1を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0058】
一方、光源LS1(光源LS1の上辺)は、鉛直方向(Y軸方向)に関し、投影レンズOP1の光軸AX
OP1に対して上側にずれ量h1分ずれた状態で配置される(
図4参照)。そのため、投影レンズOP1によって拡大投影される光源像I1は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は水平線H)に対して下側にずれ量h1に応じた分ずれた状態で配置される。
【0059】
したがって、ずれ量h1を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、下辺がX軸方向に延びる直線L3に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I1を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0060】
また、光源LS3(光軸AX
LS3)は、水平方向(X軸方向)に関し、投影レンズOP3の光軸AX
OP3に対して右側(仮想鉛直スクリーンSに向かって右側。
図3参照)にずれ量w3分ずれた状態で配置される。そのため、投影レンズOP3によって拡大投影される光源像I3は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は鉛直線V)に対して左側にずれ量w3に応じた分ずれた状態で配置される。
【0061】
この原理によれば、ずれ量w3を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、右辺が鉛直線Vに一致(又は概ね一致)した状態で光源像I3を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0062】
一方、光源LS3(光源LS3の上辺)は、鉛直方向(Y軸方向)に関し、投影レンズOP3の光軸AX
OP3に対して上側にずれ量h3分ずれた状態で配置される(
図4参照)。そのため、投影レンズOP3によって拡大投影される光源像I3は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は水平線H)に対して下側にずれ量h3に応じた分ずれた状態で配置される。
【0063】
したがって、ずれ量h3を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、下辺がX軸方向に延びる直線L3に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I3を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0064】
また、光源LS4(光軸AX
LS4)は、水平方向(X軸方向)に関し、投影レンズOP4の光軸AX
OP4に対して右側(仮想鉛直スクリーンSに向かって右側。
図3参照)にずれ量w4(w4>w3)分ずれた状態で配置される。そのため、投影レンズOP4によって拡大投影される光源像I4は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は鉛直線V)に対して左側にずれ量w4に応じた分ずれた状態で配置される。
【0065】
この原理によれば、ずれ量w4を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、右辺が光源像I3の左辺に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I4を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0066】
一方、光源LS4(光源LS4の上辺)は、鉛直方向(Y軸方向)に関し、投影レンズOP4の光軸AX
OP4に対して上側にずれ量h4分ずれた状態で配置される(
図4参照)。そのため、投影レンズOP4によって拡大投影される光源像I4は、仮想鉛直スクリーンS上において灯具光軸AX(又は水平線H)に対して下側にずれ量h4に応じた分ずれた状態で配置される。
【0067】
したがって、ずれ量h4を適切に調整(設定)することで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、下辺がX軸方向に延びる直線L3に一致(又は概ね一致)した状態で光源像I4を仮想鉛直スクリーンS上に配置することができる。
【0068】
以上のように投影レンズOP1~OP4の光軸AXOP1~AXOP4に対する光源LS1~LS4(光軸AXLS1~AXLS4)の水平方向(X軸方向)のずれ量w1~w4を適切に調整(設定)することで、光源像I1~I4を仮想鉛直スクリーンS上に水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態で形成することができる。
【0069】
また、投影レンズOP1~OP4の光軸AX
OP1~AX
OP4に対する光源LS1~LS4の鉛直方向(Y軸方向)のずれ量h1~h4を適切に調整(設定)することで、光源像I1~I4を仮想鉛直スクリーンS上にそれぞれの下辺がX軸方向に延びる直線L3(
図2参照)に一致(又は概ね一致)した状態で形成することができる。
【0070】
以上のずれ量w1~w4及びh1~h4の調整は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0071】
次に、上記構成の車両用灯具10を制御する制御システム20の構成例について説明する。
【0072】
図1に示すように、制御システム20は、制御部21を備える。制御部21には、点灯制御回路22、撮像装置23、路面状況検知部24、天候検知部25、車速センサ26等が接続されている。なお、図示しないが、制御部21には、舵角センサ等のその他のセンサも接続されている。制御部21及び点灯制御回路22は、本発明の制御手段の一例である。
【0073】
制御部21は、例えば、図示しないが、CPU、RAM、ROMを備えるECU(Electronic Control Unit)である。
【0074】
点灯制御回路22には、光源LS1~LS4が接続されている。点灯制御回路22は、制御部21からの制御に従って光源LS1~LS4を構成する複数の半導体発光素子(ピクセル)を個別に点消灯(減光を含む)制御する。
【0075】
撮像装置23は、図示しないが、自車前方を撮像するカメラを備える。カメラは、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子で、自車前方のマスク対象物(先行車や対向車等の移動体)を含む画像を周期的に(例えば、30fps)撮像する。撮像装置23は、例えば、自車の車室内に設けられ、フロントガラス越しに自車前方を撮像する。
【0076】
路面状況検知部24は、自車が走行中の道路の路面状況を検知するための手段で、例えば、カーナビゲーションシステムである。
【0077】
天候検知部25は、自車周辺の現在の天候を検出するための手段で、例えば、雨滴センサ、霧センサ、ワイパーのオンオフ状態の検出手段である。
【0078】
制御部21は、CPUがROMからRAM等に読み込まれた所定プログラムを実行することにより例えば次の処理を行う。
【0079】
例えば、撮像装置23によって撮像された画像等に基づいてマスク対象物(例えば、対向車)が認識された場合、制御部21は、光源LS1~LS4のうち当該認識されたマスク対象物に対応する半導体発光素子(ピクセル)が消灯(又は減光)しそれ以外の半導体発光素子が点灯するように点灯制御回路22を制御する。
【0080】
点灯制御回路22は、制御部21からの制御に従って、光源LS1~LS4のうち当該認識されたマスク対象物に対応する半導体発光素子(ピクセル)が消灯(又は減光)しそれ以外の半導体発光素子が点灯するように調整された駆動電流を各々の半導体発光素子(ピクセル)に印加する。
【0081】
これにより、光源LS1~LS4の発光面LS1a~LS4aそれぞれに光源像I1~I4に対応する画像が形成される。この画像は、例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)の画像として構成される。この画像が投影レンズOP1~OP4によって拡大投影されることで光源像I1~I4を含むADB用配光パターンPが形成される。各々の半導体発光素子(ピクセル)から出射して投影レンズOP1~OP4を透過した光は、灯具光軸AXに対して各々のピクセル位置に応じた角度方向(角度範囲)に照射される。
【0082】
以上のように光源LS(複数の半導体発光素子)を点消灯制御する構成及び処理については公知であるため(例えば、特開2018-58412号公報参照)、これ以上の説明は省略する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源LS1~LS4の配置間隔を広げても(
図4参照)、光源像I1~I4を水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態(
図2参照)で配置することができる車両用灯具10を提供することができる。
【0084】
これは、複数の光源LS1~LS4に対応する複数の投影レンズOP1~OP4を設けたこと、そして、光源LS1~LS4が当該光源LS1~LS4に対応する投影レンズOP1~OP4の光軸AX
OP1~AX
OP4に対してずれた状態(
図3、
図4参照)で配置されていること、によるものである。
【0085】
また、本実施形態によれば、光源LS1~LS4の配置間隔を広げることができるため、放熱性能を高めることができる。
【0086】
次に、変形例について説明する。
【0087】
【0088】
上記実施形態では、互いに隣接する光源像Iの左辺(又は右辺)と右辺(又は左辺)が一致した状態で配置されている例(
図2(a)参照)について説明したが、これに限らない。
【0089】
例えば、
図5に示すように、互いに隣接する光源像Iが一部重複した状態で配置されていてもよい。投影レンズOP1~OP4の光軸AX
OP1~AX
OP4に対する光源LS1~LS4(光軸AX
LS1~AX
LS4)の水平方向(X軸方向)のずれ量w1~w4を適切に調整(設定)することで、互いに隣接する光源像Iを仮想鉛直スクリーンS上に水平方向(X軸方向)に一部重複した状態で(つまり、隙間無く隣接した状態で)形成することができる。
【0090】
図6は、投影レンズOPの光軸に対する光源LS(光軸)の配置の変形例である。
【0091】
上記実施形態では、光源LS1~L4(光軸AX
LS1~AX
LS4)が全て、投影レンズOP1~OP4の光軸AX
OP1~AX
OP4に対して水平方向にずれた状態で配置されている例(
図3参照)について説明したが、これに限らない。
【0092】
例えば、少なくとも1つの光源は、当該光源に対応する投影レンズの光軸と一致した状態で配置されていてもよい。
【0093】
例えば、
図6に示すように、光源LS2(光軸AX
LS2)は、当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されていてもよい。そして、残りの光源LS1、LS3~LS4(光軸AX
LS2、AX
LS3~AX
LS4)は、当該残りの光源LS1、LS3~LS4に対応する投影レンズOP1、OP3~OP4の光軸AX
OP1、AX
OP3~AX
OP4に対して水平方向にずれた状態で配置されていてもよい。
【0094】
図7は、光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合(
図6参照)に形成される光源像Iの例である。
【0095】
また、上記実施形態では、光源LS1~LS4及び光源像I1~I4がそれぞれ4個の例(
図2参照)について説明したが、これに限らない。すなわち、図示しないが、光源LS及び光源像Iは、それぞれ、複数であればよく、2、3、又は5個以上であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、投影レンズOP1~OP4の投影倍率が互いに同一である例について説明したが、これに限らない。
【0097】
例えば、投影レンズOP1~OP4のうち一部の投影レンズの投影倍率は、他の投影レンズの投影倍率と異なっていてもよい。
【0098】
図8(a)は、投影レンズOP1、OP4の投影倍率(X軸方向の倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例である。
図8(b)は、投影レンズOP1、OP4の投影倍率(Y軸方向の倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例である。
図8(c)は、投影レンズOP1、OP4の投影倍率(X軸方向の倍率及びY軸方向の倍率)が他の投影レンズOP2、OP3より大きい場合に形成される光源像Iの例である。
【0099】
また、上記実施形態では、車両用灯具10を、光源LS1~LS4及び投影レンズOP1~OP4を含む一つの車両用灯具ユニットで構成した例について説明したが、これに限らない。例えば、車両用灯具10を、光源LS1及び投影レンズOP1を含む第1車両用灯具ユニット、光源LS2及び投影レンズOP2を含む第2車両用灯具ユニット、光源LS3及び投影レンズOP3を含む第3車両用灯具ユニット、並びに、光源LS4及び投影レンズOP4を含む第4車両用灯具ユニットのように、複数の車両用灯具ユニットで構成してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、光源像I1~I4を鉛直線Vに対して対称に配置した例(
図2参照)について説明したが、これに限らない。例えば、光源像I1~I4を鉛直線Vに対して非対称に配置してもよい(
図7参照)。
【0101】
また、上記実施形態では、光源LS1~LS4を
図4に示すように配置した例について説明したが、これに限らない。
【0102】
すなわち、光源LS1~LS4は、当該光源LS1~LS4に対応する投影レンズOP1~OP4の光軸AXOP1~AXOP4に対してずれた状態で配置されていればよく、どのように配置されていてもよい。例えば、光源LS1~LS4は、横一列に配置されていてもよいし、縦一列に配置されていてもよいし、斜め一列に配置されていてもよい。また、光源LS1~LS4は、X軸方向及びY軸方向に関し、ランダムに配置されていてもよい。
【0103】
このように配置しても、投影レンズOP1~OP4の光軸AXOP1~AXOP4に対する光源LS1~LS4(光軸AXLS1~AXLS4)の水平方向(X軸方向)のずれ量w1~w4を適切に調整(設定)することで、光源像I1~I4を仮想鉛直スクリーンS上に水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態で形成することができる。
【0104】
また、投影レンズOP1~OP4の光軸AX
OP1~AX
OP4に対する光源LS1~LS4(光軸AX
LS1~AX
LS4)の鉛直方向(Y軸方向)のずれ量h1~h4を適切に調整(設定)することで、光源像I1~I4を仮想鉛直スクリーンS上にそれぞれの下辺がX軸方向に延びる直線L3(
図2参照)に一致(又は概ね一致)した状態で形成することができる。
【0105】
また、上記実施形態では、光源LSとしてマトリックス光源を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、光源LSとして、矩形領域(例えば、約4mm角)に一つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)が配置された光源を用いてもよい。
【0106】
図9は、光源LSとして、矩形領域(例えば、約4mm角)に一つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)が配置された光源を用いた場合に形成される光源像I1~I4の一例である。
【0107】
また、上記各実施形態では、マトリックス光源として、矩形領域(例えば、約4mm角)にマトリックス状に配置された複数の半導体発光素子(例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)のLEDチップ)を含むマトリックス光源を用いる例について説明したが、これに限らない。
【0108】
例えば、マトリックス光源として、DMD30(DMD:Digital Mirror Device)を用いてもよい。
【0109】
図38は、DMD30を用いた車両用灯具10Fの一例である。
【0110】
図38に示すように、本変形例のDMD30を用いた車両用灯具10Fは、光源31(例えば、LED等の半導体発光素子)、集光レンズ32、DMD30、投影レンズ33、不用光吸収体34等を備える。
【0111】
DMD30は、アレイ状に配列された複数のマイクロミラー(図示せず)を備えている。集光レンズ32で集光された光源31からの光は、複数のマイクロミラーに入射する。複数のマイクロミラーのうちオン位置のマイクロミラーで反射された光は、投影レンズ33に入射し、当該投影レンズ33を透過して車両前方に照射される。一方、複数のマイクロミラーのうちオフ位置のマイクロミラーで反射された光は、不用光吸収体34に入射し、当該不用光吸収体34に吸収される。各々の画素(ピクセル)の明るさは、各々のマイクロミラーのオンオフする周期を個別に制御することで、個別に制御される。DMDを備えたヘッドランプについては、特開2016-34785号公報や特開2004-210125号公報等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0112】
上記DMD30(DMD30、光源31、集光レンズ32)をマトリックス光源として用いることで、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、光源LS1~LS4の配置間隔を広げても(
図4参照)、光源像I1~I4を水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態(
図2参照)で配置することができる。他の実施形態においても同様に、マトリックス光源としてDMD30を用いることができる。
【0113】
また例えば、マトリックス光源として、LCD40(LCD:liquid crystal display)を用いてもよい。
【0114】
図39は、LCD40を用いた車両用灯具10Gの一例である。
【0115】
図39に示すように、本変形例のLCD40を用いた車両用灯具10Gは、光源41(LED等の半導体発光素子)、集光光学系42、偏光軸が互いに直交する2枚の偏光板43a、43b、2枚の偏光板43a、43bの間に配置されたLCD40(LCD素子)、投影レンズ44等を備えている。
【0116】
集光光学系42で整えられた光源41からの光は、各々の画素(図示せず)の偏光方向が個別に制御されたLCD40に入射する。各々の画素を透過する光の透過量は、偏光板43a、43bの偏光方向とLCD40の各々の画素で偏光された光の偏光方向との関係により決まる。各々の画素(ピクセル)の明るさは、各々の画素の偏光方向を個別に制御することで、個別に制御される。LCDについては、特開平1-244934号公報、特開2005-183327号公報等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0117】
上記LCD40(LCD40、光源41、集光光学系42、偏光板43a、43b)をマトリックス光源として用いることで、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、光源LS1~LS4の配置間隔を広げても(
図4参照)、光源像I1~I4を水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態(
図2参照)で配置することができる。他の実施形態においても同様に、マトリックス光源としてLCD40を用いることができる。
【0118】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の車両用灯具10Aについて説明する。
【0119】
本実施形態の車両用灯具10Aは、上記第1実施形態の車両用灯具10と比べ、投影レンズOP2、OP3のイメージサークルが投影レンズOP1、OP4のイメージサークルより小さく、かつ、投影レンズOP2、OP3のFナンバーが投影レンズOP1、OP4のFナンバーより小さい点が相違する。それ以外、上記第1実施形態と同様の構成である。以下、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0120】
イメージサークルは、投影レンズOPで良好に結像できる円形の範囲を表す。光源LS(発光面LSa)がイメージサークル内に配置されている場合、投影レンズOPによって拡大投影される光源LSの光源像Iは、当該光源LSを構成する各々の半導体発光素子(例えば、125μ角)の光源像(ピクセルPX)を解像できる程度に仮想鉛直スクリーンS上に良好に結像される。
【0121】
Fナンバーは、レンズの明るさを表す指標で、F(Fナンバー)=投影レンズOPの焦点距離f/投影レンズOPの開口の直径Dで表される。一般的に、Fナンバーが小さいほど光の取り込み量(取り込み角)が大きく、明るいレンズであることを表す。
【0122】
次に、投影レンズOP2のイメージサークルC1及びFナンバーについて説明する。なお、説明は省略するが、投影レンズOP3のイメージサークル及びFナンバーについても同様である。
【0123】
図10は、光源LS2及び投影レンズOP2の水平断面図である。
【0124】
図10に示すように、投影レンズOP2は、二枚のレンズOP2a、OP2bで構成される。
【0125】
図11(a)は、光源LS2(発光面LS2a)と投影レンズOP2のイメージサークルC1との関係を表す。
【0126】
図11(a)に示すように、光源LS2(本発明の第1光源の一例)は、当該光源LS2の一辺と投影レンズOP2(本発明の第1投影光学系の一例)の光軸AX
OP2との間に第1距離h5をあけて配置される。投影レンズOP2は、そのイメージサークルC1が光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R1の円となるように設計される。
【0127】
投影レンズOP2のイメージサークルC1は、光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R1の円であるのが望ましい。その理由は、次のとおりである。
【0128】
すなわち、イメージサークルC1の半径を大きくすると、投影レンズOP2のFナンバーを小さくするのが難しくなる。一方、イメージサークルC1の半径を最小半径R1より小さくすると、投影レンズOP2のイメージサークルC1からはみ出た光源LS2(発光面LS2a)部分に対応する光源像I2の解像度が低下する。
【0129】
したがって、投影レンズOP2のFナンバーを小さくしかつ光源像I2の解像度の低下を抑制する観点から、投影レンズOP2のイメージサークルC1は、光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R1の円であるのが望ましい。
【0130】
なお、最小半径R1は、厳密な意味での最小半径でなくてもよく、概ね最小半径であればよい。
【0131】
また、
図10に示すように、投影レンズOP2は、光源LS2からの光の取り込み角θ1ができる限り大きくなるように、つまり、Fナンバーができる限り小さくなるように設計される。
【0132】
この設計は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0133】
上記構成の投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、例えば、
図2に示すように、鉛直線V近傍に配置される。
【0134】
次に、投影レンズOP1のイメージサークルC2及びFナンバーについて説明する。なお、説明は省略するが、投影レンズOP4のイメージサークル及びFナンバーについても同様である。
【0135】
図12は、光源LS1及び投影レンズOP1の水平断面図である。
【0136】
図12に示すように、投影レンズOP1は、二枚のレンズOP1a、OP1bで構成される。
【0137】
図11(b)は、光源LS1(発光面LS1a)と投影レンズOP1のイメージサークルC2との関係を表す。
【0138】
図11(b)に示すように、光源LS1(本発明の第2光源の一例)は、当該光源LS1の一辺と投影レンズOP1(本発明の第2投影光学系の一例)の光軸AX
OP1との間に第1距離h6(h6>h5)をあけて配置される。投影レンズOP1は、そのイメージサークルC2が光源LS1(発光面LS1a)を取り囲む最小半径R2の円となるように設計される。
【0139】
投影レンズOP1のイメージサークルC2は、光源LS1(発光面LS1a)を取り囲む最小半径R2の円であるのが望ましい。その理由は、次のとおりである。
【0140】
すなわち、イメージサークルC2の半径を大きくすると、投影レンズOP1のFナンバーを小さくするのが難しくなる。一方、イメージサークルC2の半径を最小半径R2より小さくすると、投影レンズOP1のイメージサークルC2からはみ出た光源LS1(発光面LS1a)部分に対応する光源像I1の解像度が低下する。
【0141】
したがって、投影レンズOP1のFナンバーを小さくしかつ光源像I1の解像度の低下を抑制する観点から、投影レンズOP1のイメージサークルC2は、光源LS1(発光面LS1a)を取り囲む最小半径R2の円であるのが望ましい。
【0142】
なお、最小半径R2は、厳密な意味での最小半径でなくてもよく、概ね最小半径であればよい。
【0143】
また、
図12に示すように、投影レンズOP1は、光源LS1からの光の取り込み角θ2ができる限り大きくなるように、つまり、Fナンバーができる限り小さくなるように設計される。
【0144】
この設計は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0145】
上記構成の投影レンズOP1によって拡大投影される光源像I1は、例えば、
図2に示すように、鉛直線Vから遠くに配置される。
【0146】
以上のように投影レンズOP1、OP2を設計すると、
図11に示すように、投影レンズOP2のイメージサークルC1は、投影レンズOP1のイメージサークルC2より小さくなる。また、投影レンズOP2の取り込み角θ1(
図10参照)は、投影レンズOP1の取り込み角θ2(
図12参照)より大きくなる。つまり、投影レンズOP2のFナンバーは、投影レンズOP1のFナンバーより小さくなる。
【0147】
その結果、投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、投影レンズOP1によって拡大投影される光源像I1より明るくなる。
【0148】
投影レンズOP3、OP4についても投影レンズOP1、OP2と同様に設計することで、投影レンズOP3によって拡大投影される光源像I3は、投影レンズOP4によって拡大投影される光源像I4より明るくなる。
【0149】
その結果、
図2に示すように、鉛直線V近傍に配置された光源像I2、I3が相対的に明るく、鉛直線Vから遠くに配置された光源像I1、I4が相対的に暗い遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
【0150】
なお、
図6に示すように、光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合、光源LS2(発光面LS2a)と投影レンズOP2のイメージサークルC1とは、
図13に示す関係となる。
【0151】
図13は、光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合の、光源LS2(発光面LS2a)と投影レンズOP2のイメージサークルC3との関係を表す。
【0152】
光源LS2(光軸AX
LS2)が当該光源LS2に対応する投影レンズOP2の光軸AX
OP2と一致した状態で配置されている場合、
図13に示すように、投影レンズOP2は、そのイメージサークルC3が光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R3の円となるように設計される。
【0153】
投影レンズOP2のイメージサークルC3は、光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R3の円であるのが望ましい。その理由は、次のとおりである。
【0154】
すなわち、イメージサークルC3の半径を大きくすると、投影レンズOP2のFナンバーを小さくするのが難しくなる。一方、イメージサークルC3の半径を最小半径R3より小さくすると、投影レンズOP2のイメージサークルC3からはみ出た光源LS2(発光面LS2a)部分に対応する光源像I2の解像度が低下する。
【0155】
したがって、投影レンズOP2のFナンバーを小さくしかつ光源像I2の解像度の低下を抑制する観点から、投影レンズOP2のイメージサークルC3は、光源LS2(発光面LS2a)を取り囲む最小半径R3の円であるのが望ましい。
【0156】
なお、最小半径R3は、厳密な意味での最小半径でなくてもよく、概ね最小半径であればよい。
【0157】
また、投影レンズOP2は、光源LS2からの光の取り込み角ができる限り大きくなるように、つまり、Fナンバーができる限り小さくなるように設計される。
【0158】
この設計は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0159】
上記構成の投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、例えば、
図7に示すように、鉛直線V近傍に配置される。
【0160】
以上のように投影レンズOP2を設計すると、
図13に示すように、投影レンズOP2のイメージサークルC3は、他の投影レンズOP1、OP3、OP4のイメージサークル(
図11参照)より小さくなる。また、投影レンズOP2の取り込み角度は、投影レンズOP1、OP3、OP4の取り込み角度より大きくなる。つまり、投影レンズOP2のFナンバーは、投影レンズOP1、OP3、OP4のFナンバーより小さくなる。
【0161】
その結果、投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2は、他の投影レンズOP1、OP3、OP4によって拡大投影される光源像I1、I3、I4より明るくなる。
【0162】
その結果、
図7に示すように、鉛直線V近傍に配置された光源像I2が相対的に明るい遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
【0163】
以上説明したように、本実施形態によれば、拡大投影される光源像I1~I4の明るさや解像度を最適化できる車両用灯具10Aを提供することができる。
【0164】
これは、複数の光源LS1~LS4に対応する複数の投影レンズOP1~OP4を設けたこと、そして、投影レンズOP2(及び投影レンズOP3)のイメージサークルC1が投影レンズOP1(及び投影レンズOP4)のイメージサークルC2より小さいこと、さらに、投影レンズOP2(及び投影レンズOP3)のFナンバーが投影レンズOP1(及び投影レンズOP4)のFナンバーより小さいこと、によるものである。
【0165】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の車両用灯具10Bについて説明する。
【0166】
図14は、第3実施形態の車両用灯具10Bの水平断面図である。
【0167】
図14に示すように、本実施形態の車両用灯具10Bは、光源LS5、LS6と、光源LS5、LS6に対応する投影レンズOP5、OP6と、を備える。
【0168】
光源LS5は、光源LS1~LS4と同様、矩形領域(例えば、約4mm角)にマトリックス状に配置された複数の半導体発光素子(例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)のLEDチップ)を含むマトリックス光源である。
【0169】
光源LS6は、例えば、矩形領域(例えば、約4mm角)に一つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)が配置された光源を複数(例えば、3個)水平方向(X軸方向)に隣接した状態で配置することで構成される光源である。
【0170】
次に、投影レンズOP5のイメージサークルC4及びFナンバーについて説明する。
【0171】
図15(a)は、光源LS5(発光面LS5a)と投影レンズOP5のイメージサークルC4との関係を表す。
【0172】
図15(a)に示すように、光源LS5(本発明の第1光源の一例)は、当該光源LS5の一辺と投影レンズOP5(本発明の第1投影光学系の一例)の光軸AX
OP5との間に第1距離h7をあけて配置される。投影レンズOP5は、そのイメージサークルC4が光源LS5(発光面LS5a)を取り囲む最小半径R4の円となるように設計される。
【0173】
投影レンズOP5のイメージサークルC4は、光源LS5(発光面LS5a)を取り囲む最小半径R5の円であるのが望ましい。その理由は、次のとおりである。
【0174】
すなわち、イメージサークルC4の半径を大きくすると、投影レンズOP5のFナンバーを小さくするのが難しくなる。一方、イメージサークルC4の半径を最小半径R4より小さくすると、投影レンズOP5のイメージサークルC4からはみ出た光源LS5(発光面LS5a)部分に対応する光源像I5(
図16参照)の解像度が低下する。
【0175】
したがって、投影レンズOP5のFナンバーを小さくしかつ光源像I5の解像度の低下を抑制する観点から、投影レンズOP5のイメージサークルC4は、光源LS5(発光面LS5a)を取り囲む最小半径R4の円であるのが望ましい。
【0176】
なお、最小半径R4は、厳密な意味での最小半径でなくてもよく、概ね最小半径であればよい。
【0177】
また、投影レンズOP5は、光源LS5からの光の取り込み角ができる限り大きくなるように、つまり、Fナンバーができる限り小さくなるように設計される。
【0178】
この設計は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0179】
上記構成の投影レンズOP5によって拡大投影される光源像I5は、例えば、
図16に示すように、鉛直線V近傍に配置される。
【0180】
次に、投影レンズOP6のイメージサークルC5及びFナンバーについて説明する。
【0181】
図15(b)は、光源LS6(発光面LS6a)と投影レンズOP6のイメージサークルC5との関係を表す。
【0182】
図15(b)に示すように、光源LS6(本発明の第2光源の一例)は、当該光源LS6の一辺と投影レンズOP6(本発明の第2投影光学系の一例)の光軸AX
OP6との間に第2距離h8(h8>h7)をあけて配置される。投影レンズOP6は、そのイメージサークルC5が光源LS6(発光面LS6a)を取り囲む最小半径R5の円となるように設計される。
【0183】
投影レンズOP6のイメージサークルC5は、光源LS6(発光面LS6a)を取り囲む最小半径R5の円であるのが望ましい。その理由は、次のとおりである。
【0184】
すなわち、イメージサークルC5の半径を大きくすると、投影レンズOP6のFナンバーを小さくするのが難しくなる。一方、イメージサークルC5の半径を最小半径R5より小さくすると、投影レンズOP6のイメージサークルC5からはみ出た光源LS6(発光面LS6a)部分に対応する光源像I6(
図16参照)の解像度が低下する。
【0185】
したがって、投影レンズOP6のFナンバーを小さくしかつ光源像I6の解像度の低下を抑制する観点から、投影レンズOP6のイメージサークルC5は、光源LS6(発光面LS6a)を取り囲む最小半径R5の円であるのが望ましい。
【0186】
なお、最小半径R5は、厳密な意味での最小半径でなくてもよく、概ね最小半径であればよい。
【0187】
また、投影レンズOP6は、光源LS6からの光の取り込み角ができる限り大きくなるように、つまり、Fナンバーができる限り小さくなるように設計される。
【0188】
この設計は、例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行うことができる。
【0189】
上記構成の投影レンズOP6によって拡大投影される光源像I6は、例えば、
図16に示すように配置される。
【0190】
以上のように投影レンズOP5、OP6を設計すると、
図15に示すように、投影レンズOP5のイメージサークルC4は、投影レンズOP6のイメージサークルC5より小さくなる。また、投影レンズOP5の取り込み角度は、投影レンズOP6の取り込み角度より大きくなる。つまり、投影レンズOP5のFナンバーは、投影レンズOP6のFナンバーより小さくなる。
【0191】
その結果、投影レンズOP5によって拡大投影される光源像I5は、投影レンズOP6によって拡大投影される光源像I6より明るくなる。
【0192】
その結果、
図16に示すように、鉛直線V近傍に配置された光源像I5が相対的に明るい遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
図16は、第3実施形態の車両用灯具10Bによって形成されるADB用配光パターンP(光源像)の一例である。
【0193】
以上説明したように、本実施形態によれば、拡大投影される光源像I5、I6の明るさや解像度を最適化できる車両用灯具10Bを提供することができる。
【0194】
これは、複数の光源LS5、LS6に対応する複数の投影レンズOP5、OP6を設けたこと、そして、投影レンズOP5のイメージサークルC4が投影レンズOP6のイメージサークルC5より小さいこと、さらに、投影レンズOP5のFナンバーが投影レンズOP6のFナンバーより小さいこと、によるものである。
【0195】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態として、配光ムラを抑制する処理について説明する。
【0196】
まず、本実施形態のADB用配光パターンPについて説明する。ADB用配光パターンPは、本発明の所定配光パターンの一例である。
【0197】
図17(a)は車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【0198】
図17(a)に示すように、ADB用配光パターンPは、水平方向に配置された4つの光源像I1~I4(4つの吹き出しそれぞれに描いた光源像I1~I4)を含む。以下、光源像I1~I4を特に区別しない場合、光源像Iと記載する。なお、
図17(a)中の白色で描いた四角は点灯領域を表し、黒色で描いた四角は非点灯領域を表す。
【0199】
光源像Iは、第1実施形態で説明したように、投影レンズOP1~OP4によって光源LS1~LS4の光源像I1~I4を拡大投影することで、互いに隣接する光源像I(ピクセル群)の一部が互いに重畳された状態で仮想鉛直スクリーン上に水平方向に配置される。
図17(a)中の符号Dは、互いに隣接する光源像I(ピクセル群)の一部が互いに重畳された重畳領域を表す。以下、重畳領域Dと記載する。
【0200】
光源像Iは、互いのピクセル群がずれることなく重畳されているのが望ましいが、互いのピクセル群がずれた状態で重畳されていてもよい。
【0201】
本発明者は、以上のように各々の光源像Iを重畳させた場合、次の問題があることを見出した。
【0202】
図17(b)は、
図17(a)中の水平断面A-Aの光度分布を表す図である。
【0203】
例えば、光源像I2全域の光度が概ね一定で、かつ、光源像I3全域の光度が概ね一定の場合、
図17(b)に示すように、ADB用配光パターンPのうち重畳領域D内の光度(
図17(b)中の符号E1、E2が示す部分参照)が重畳領域D外の光度(
図17(b)中の符号E3が示す部分参照)より高くなるため、配光ムラが発生し、運転者等に違和感を与えるという問題がある。
【0204】
制御部21は、配光ムラ、つまり、重畳領域D内のADB用配光パターンPの明るさと重畳領域D外のADB用配光パターンPの明るさの差が目立たないように光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御する。具体的には、次のように点消灯制御する。
【0205】
図18は、光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の一例である。
図18中の各々の矩形は、互いに隣接する光源像I(例えば、
図17(a)中の光源像I2、I3)から抜き出した重畳領域D内のピクセルPXを表し、各々の矩形の縦方向の長さは、各々のピクセルPXの光度を表す。
【0206】
例えば、制御部21は、
図18(a)に示すように、重畳領域D内の一方の光源像I(ピクセル群)の光度及び重畳領域D内の他方の光源像I(ピクセル群)の光度がそれぞれグラデーション状に減少するように光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御(調光)する。
【0207】
このように光度が調整された重畳領域D内の光源像I(ピクセル群)が
図18(b)に示すように互いに重畳されると、重畳領域D内の各々のピクセルの光度が足し合わされて、重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度が、重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度と概ね一致する。
図18(b)中の符号F1が示す点線は重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度(合計光度)を表し、符号F2、F3が示す点線は重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度を表す。
【0208】
その結果、重畳領域D内のADB用配光パターンPの明るさと重畳領域D外のADB用配光パターンPの明るさの差が目立たなくなる。つまり、配光ムラを抑制することができる。
【0209】
図19は、光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
図19中の各々の矩形は、互いに隣接する光源像I(例えば、
図17(a)中の光源像I2、I3)から抜き出した重畳領域D内のピクセルPXを表し、各々の矩形の縦方向の長さは、各々のピクセルPXの光度を表す。
【0210】
例えば、制御部21は、
図19(a)に示すように、重畳領域D内の一方の光源像I(ピクセル群)の光度及び重畳領域D内の他方の光源像I(ピクセル群)の光度がそれぞれ減少するように光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御(調光)してもよい。
【0211】
このように光度が調整された重畳領域D内の光源像I(ピクセル群)が
図19(b)に示すように互いに重畳されると、重畳領域D内の各々のピクセルの光度が足し合わされて、重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度が、重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度と概ね一致する。
図19(b)中の符号F4が示す点線は重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度(合計光度)を表し、符号F5、F6が示す点線は重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度を表す。
【0212】
その結果、重畳領域D内のADB用配光パターンPの明るさと重畳領域D外のADB用配光パターンPの明るさの差が目立たなくなる。つまり、配光ムラを抑制することができる。
【0213】
図20は、光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
図20中の各々の矩形は、互いに隣接する光源像I(例えば、
図17(a)中の光源像I2、I3)から抜き出した重畳領域D内のピクセルPXを表し、各々の矩形の縦方向の長さは、各々のピクセルPXの光度を表す。
【0214】
例えば、制御部21は、
図20(a)に示すように、重畳領域D内の一方の光源像I(ピクセル群)が点灯し、重畳領域D内の他方の光源像I(ピクセル群)が消灯するように光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御(調光)してもよい。
図20(a)中、右(実線)が点灯した状態の光源像I(ピクセル群)を表し、左(点線)が消灯した状態の光源像I(ピクセル群)を表す。
【0215】
このように光度が調整された重畳領域D内の光源像I(ピクセル群)が
図20(b)に示すように互いに重畳されると、重畳領域D内の各々のピクセルの光度が足し合わされて、重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度が、重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度と概ね一致する。
図20(b)中の符号F7が示す点線は重畳領域D内のADB用配光パターンPの光度(合計光度)を表し、符号F8、F9が示す点線は重畳領域D外のADB用配光パターンPの光度を表す。
【0216】
その結果、重畳領域D内のADB用配光パターンPの明るさと重畳領域D外のADB用配光パターンPの明るさの差が目立たなくなる。つまり、配光ムラを抑制することができる。
【0217】
本発明者は、シミュレーションを行った結果、重畳領域D内のピクセル数が多いほど光源像I間のつながりが滑らかになることを確認した。
【0218】
図21は、光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【0219】
例えば、
図21(a)に示すように重畳領域D内のピクセル数が少ない場合、
図21(b)に示すように互いのピクセル群がずれた状態で重畳されると、粗(配光ムラ)が目立つのに対して、
図18(a)に示すように重畳領域D内のピクセル数が多い場合、
図18(b)に示すように互いのピクセル群がずれた状態で重畳されても、粗(配光ムラ)が目立たず、光源像I間のつながりが滑らかに見え、満足できる結果となることを確認した。
【0220】
以上のことから、重畳領域D内のピクセル数は多い方が望ましい。
【0221】
以上説明したように、本実施形態によれば、配光ムラを抑制できる車両用灯具を提供することができる。
【0222】
これは、光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御する制御部21を備えていること、そして、制御部21が、重畳領域D内のADB用配光パターンPの明るさと重畳領域D外のADB用配光パターンPの明るさの差が目立たないように(例えば、
図18~
図20参照)光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御すること、によるものである。
【0223】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態として、重畳領域D内の一方の光源像I(ピクセル群)に対応する光源LS(半導体発光素子)が故障した場合に当該故障した光源LS(半導体発光素子)を補完する補完処理を行う制御システム20Aについて説明する。
【0224】
図22は、補完処理を行う制御システム20Aの概略構成図で、
図1に対して故障検出部21a及び故障報知部27を追加したものに相当する。故障検出部21aは、本発明の故障検出手段の一例である。
【0225】
故障検出部21aは、光源LS(半導体発光素子群)のうち故障した半導体発光素子を検出する。例えば、故障検出部21aは、光源LS(半導体発光素子群)それぞれを構成する半導体発光素子に印加される電圧が閾値を超えたか否かを判定し、超えたと判定した場合(例えば、特定の半導体発光素子がショートした場合)、当該半導体発光素子の故障を検出する。故障検出部21aは、例えば、制御部21のCPUがROMからRAM等に読み込まれた所定プログラムを実行することにより実現される。故障検出部21aは、点灯制御回路22に設けてもよい。
【0226】
故障報知部27は、光源LS(半導体発光素子群)の故障を報知するための手段で、例えば、光源LS(半導体発光素子群)の故障が発生した旨を表示するディスプレイやその旨を音声出力するスピーカーである。
【0227】
次に、制御システム20Aの動作(故障した光源LS(半導体発光素子)を補完する補完処理)の一例について説明する。
【0228】
図23は、制御システム20Aの動作(故障した光源LS(半導体発光素子)を補完する補完処理)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0229】
図23に示す処理は、例えば、運転者が光源LSを点灯させるスイッチ(図示略)をオンした場合に開始し、当該スイッチをオフした場合に終了する。
【0230】
図24は、光源LS(半導体発光素子群)の点消灯制御の他の一例である。
【0231】
以下、
図24(a)に示すように一方の光源像Iを構成するピクセルPX1と他方の光源像Iを構成するピクセルPX2とが、
図24(b)に示すように重畳された状態で配置されている場合を例にして説明する。
図24(b)においては、制御部21は、ピクセルPX1、PX2をとおる水平断面B-Bの光度が
図24(c)に示すように概ね一定の光度Eとなるように光源LS(半導体発光素子群)を個別に点消灯制御しているものとする。
【0232】
光源LSが点灯すると、故障検出部21aは、光源LS(半導体発光素子群)中の半導体発光素子が故障したか否かを判定する(ステップS10)。
【0233】
ここでは、
図24(a)に示すピクセルPX1に対応する半導体発光素子が故障し、
図25に示すように、ADB用配光パターンP中のピクセルPX1に対応する箇所の光度が低下したとする。
図25は、ピクセルPX1に対応する箇所の光度が低下したADB用配光パターンPの光度分布を表す図である。
【0234】
この場合、故障検出部21aは、
図24(a)に示すピクセルPX1に対応する半導体発光素子が故障したと判定する(ステップS10:Yes)。
【0235】
次に、制御部21は、ステップS10で故障したと判定された半導体発光素子が重畳領域D内か否かを判定する(ステップS12)。
【0236】
ここでは、ピクセルPX1に対応する半導体発光素子が重畳領域D内であるため、制御部21は、ステップS10で故障したと判定された半導体発光素子が重畳領域D内であると判定する(ステップS12:Yes)。
【0237】
次に、制御部21は、ステップS10で故障したと判定された半導体発光素子(ピクセルPX1に対応する半導体発光素子)に対応する重畳領域D内の半導体発光素子(ピクセルPX2に対応する半導体発光素子)を点消灯制御(調光)する(ステップS14)。
【0238】
具体的には、制御部21は、ピクセルPX2の光度が増加するように当該ピクセルPX2に対応する半導体発光素を点消灯制御する。詳細には、制御部21は、
図24(c)に示すようにADB用配光パターンP中のピクセルPX2に対応する箇所の光度が周辺光度と概ね一致するように(つまり、ピクセルPX1の光度が補完されるように)当該ピクセルPX2に対応する半導体発光素を点消灯制御する。
【0239】
次に、制御部21は、故障報知部27を制御して光源LS(半導体発光素子群)の故障を報知する(ステップS16)。
【0240】
上記ステップS10~S16は、光源LSを点灯させるスイッチがオフされるまで繰り返し実行される。
【0241】
本実施形態によれば、重畳領域D内の一方の光源LS(例えば、
図24(a)中のピクセルPX1に対応する半導体発光素子)が故障した場合、重畳領域D内の他方の光源LS(例えば、
図24(a)中のピクセルPX2に対応する半導体発光素子)を制御することで、ADB用配光パターンP中の故障した半導体発光素子に対応するピクセル部分の光度を補完することができる。その結果、ADB用配光パターンP中の故障した半導体発光素子に対応するピクセル部分(例えば、
図24(b)中のピクセルPX1部分)に暗部が形成されるのを防止することができる。
【0247】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態の車両用灯具10Cについて説明する。
【0248】
図27は、第6実施形態の車両用灯具10Cの概略構成図である。
【0249】
図27に示すように、本実施形態の車両用灯具10Cは、第1実施形態の車両用灯具10(
図1参照)に対して倍率変更レンズ14を追加したものに相当する。
【0250】
まず、本実施形態のADB用配光パターンPについて説明する。ADB用配光パターンPは、本発明の所定配光パターンの一例である。
【0251】
図28は、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【0252】
図28に示すように、ADB用配光パターンPは、水平方向に配置された4つの光源像I1~I4を含む。以下、光源像I1~I4を特に区別しない場合、光源像Iと記載する。
【0253】
第1実施形態で説明したように、光源像Iは、光源LS(複数の半導体発光素子)の点消灯制御に応じて個別に点消灯(減光を含む)される複数のピクセルPXを含む。光源像Iは、投影レンズOPによって拡大投影されることで、仮想鉛直スクリーン上に水平方向(X軸方向)に隙間無く隣接した状態で配置される。
【0254】
その際、光源像I2、I3は、ADB用配光パターンPの水平方向の中央部に配置される。一方、光源像I1、I4は、光源像I2、I3より水平方向の拡大率が大きく、ADB用配光パターンPの水平方向の周辺部(両端部)に配置される。ADB用配光パターンPの水平方向の中央部は、例えば、水平線Hの±10°より内側の範囲(右10°と左10°との間の範囲)である。ADB用配光パターンPの水平方向の周辺部は、例えば、水平線Hの±10°より外側の範囲である。なお、ADB用配光パターンPの周辺部は、一部が水平線Hの±10°より内側の範囲に入り込む場合がある。
【0255】
次に、倍率変更レンズ14について説明する。
【0256】
図37は、
図3に対して倍率変更レンズ14を追加した図である。
【0257】
図37に示すように、倍率変更レンズ14は、例えば、投影レンズOP1、OP4の前方にそれぞれ配置される。
【0258】
図29は、倍率変更レンズ14の一例(概略斜視図)である。
図30(a)、
図30(b)は倍率変更レンズ14の横断面図、
図30(c)は縦断面図(概略図)である。
【0259】
倍率変更レンズ14は、光源LSの光源像Iの水平方向の拡大率を大きくするレンズで、アナモフィックレンズとも呼ばれる。倍率変更レンズ14は、本発明の倍率変更光学系の一例である。
【0260】
図29、
図30(a)に示すように、倍率変更レンズ14は、複数のシリンドリカルレンズによって構成される。例えば、倍率変更レンズ14は、二枚のシリンドリカルレンズOP1c、OP1dを組み合わせることで構成される。なお、倍率変更レンズ14は、1つのシリンドリカルレンズによって構成される場合もある。
【0261】
第1シリンドリカルレンズOP1cは、水平断面において正のパワーを有するシリンドリカルレンズである。第2シリンドリカルレンズOP1dは、水平断面において負のパワーを有するシリンドリカルレンズである。
【0262】
次に、光源LS1からの光が辿る光路について説明する。なお、光源LS4からの光が辿る光路も同様である。
【0263】
以下、説明の便宜のため、光源LS1の光軸AXLS1と投影レンズOP1の光軸AXOP1(及び倍率変更レンズ14の光軸)とが一致している場合の光路について説明する。
【0264】
例えば、
図30(a)に示すように、光源LS1の発光面の中心から放出された光Ray1は、投影レンズOP1、第1シリンドリカルレンズOP1c及び第2シリンドリカルレンズOP1dでこの順に屈折され、最終的に投影レンズOP1の光軸AX
OP1に対して平行な方向に進行して、水平線Hと鉛直線Vとの交点に向かう。
【0265】
また例えば、
図30(b)に示すように、光源LS1の発光面の中心に対して左側(車両前方に向かって左側。
図30(b)中上側)にシフトした位置から放出された光Ray2は、投影レンズOP1、第1シリンドリカルレンズOP1c及び第2シリンドリカルレンズOP1dでこの順に屈折され、投影レンズOP1の光軸AX
OP1に対して角度θ3の方向に進行する。他の位置から放出された光も同様で、各々の位置に応じた角度方向に進行する。
【0266】
その際、
図30(a)、
図30(b)に示すように、水平断面においては投影レンズOP1及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系の焦点距離f2は投影レンズOP1(投影レンズOP2も同様)の焦点距離f1と比べて短いため、投影レンズOP1及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系によって拡大投影される光源像I1の水平方向の拡大率は、投影レンズOP2によって拡大投影される光源像I2の水平方向の拡大率より大きくなる。
【0267】
同様に、水平断面においては投影レンズOP4及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系の焦点距離は投影レンズOP4(投影レンズOP3も同様)の焦点距離と比べて短いため、投影レンズOP4及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系によって拡大投影される光源像I4の水平方向の拡大率は、投影レンズOP3によって拡大投影される光源像I3の水平方向の拡大率より大きくなる。
【0268】
その結果、周辺部に配置される光源像I1、I4の水平方向の拡大率が中央部に配置される光源像I2、I3の水平方向の拡大率より大きい水平方向にワイドなADB用配光パターンPが形成される(
図28参照)。
【0269】
なお、倍率変更レンズ14は縦断面に曲率を有していないため(
図30(c)参照)、光源像I1~I4の鉛直方向の拡大率は互いに同一となる。なお、
図29、
図30(c)中、投影レンズOP1、倍率変更レンズ14は、説明の便宜のため、模式的に描いてある。
【0270】
次に、投影レンズOP1~OP4及び倍率変更レンズ14を構成するレンズ群の一例について説明する。
【0271】
図31は、投影レンズOP1~OP4及び倍率変更レンズ14を構成するレンズ群の斜視図である。レンズ群は、第1レンズ体LE1、第2レンズ体LE2、第3レンズ体LE3、第4レンズ体LE4の4枚のレンズ体で構成される。第1レンズ体LE1、第2レンズ体LE2、第3レンズ体LE3、第4レンズ体LE4は、光源LSから前方に向かってこの順に配置されている。第1~第4レンズ体LE1~LE4の材料は、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。第1~第4レンズ体LE1~LE4は、図示しないが、ヒートシンク又はハウジング等に固定された保持部材に保持された状態で光源LSの前方に配置される。
【0272】
図32は、第1レンズ体LE1の正面図(透視図)である。
【0273】
図32に示すように、第1レンズ体LE1は、外形が概ね円形のレンズ体である。第1レンズ体LE1は、光源LS1~LS4の前方に配置されるレンズOP1a~OP4aを含む。
【0274】
図31に示すように、第2レンズ体LE2も、外形が概ね円形のレンズ体である。第2レンズ体LE2は、第1レンズ体LE1の前方に配置される。第2レンズ体LE2は、レンズOP1a~OP4aの前方に配置されるレンズOP1b~OP4bを含む。
【0275】
レンズOP1a及びその前方に配置されたレンズOP1b(
図31参照)が、光源LS1の光源像I1を拡大投影する投影レンズOP1を構成する(
図12参照)。同様に、レンズOP2a及びその前方に配置されたレンズOP2bが、光源LS2の光源像I2を拡大投影する投影レンズOP2を構成する(
図10参照)。同様に、レンズOP3a(
図31中図示せず)及びその前方に配置されたレンズOP3bが、光源LS3の光源像I3を拡大投影する投影レンズOP3を構成する(
図10参照)。同様に、レンズOP4a(
図31中図示せず)及びレンズOP4bが、光源LS4の光源像I4を拡大投影する投影レンズOP4を構成する(
図12参照)。
【0276】
図31に示すように、第3レンズ体LE3は、外形が概ね円形のレンズ体の下半分をカットした半円形のレンズ体である。第3レンズ体LE3は、第2レンズ体LE2(レンズOP1b、OP4b)の前方に配置される。第3レンズ体LE3は、レンズOP1b、OP4bの前方に配置されるレンズOP1c、OP4cを含む。
【0277】
第4レンズ体LE4は、外形が概ね円形のレンズ体である。第4レンズ体LE4は、第3レンズ体LE3の前方に配置される。第4レンズ体LE4の最終出射面14
LE4は、例えば、XY平面に対して平行な面である。第4レンズ体LE4は、レンズOP1c、OP4cの前方に配置されるレンズOP1d、OP4dを含む。また、第4レンズ体LE4は、レンズOP2b、OP3bの前方に配置される素通し部OP2d、OP3dを含む。素通し部OP2d、OP3dは、光を屈折させることなく透過させる部分(レンズ機能を持たない部分)である。素通し部OP2d、OP3dは、
図31に示すレンズ群を一眼の見栄えとするために設けられる。
【0278】
レンズOP1c及びその前方に配置されたレンズOP1d(
図31参照)が、光源LS1の光源像I1を水平方向に拡大する倍率変更レンズ14を構成する(
図30(a)参照)。同様に、レンズOP4c及びその前方に配置されたレンズOP4d(
図31参照)が、光源LS4の光源像I4を水平方向に拡大する倍率変更レンズ14を構成する(
図30(a)参照)。
【0279】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源LSの数を増やすことなく水平方向にワイドなADB用配光パターンPを形成することができる車両用灯具10Cを提供することができる。
【0280】
これは、周辺部に配置される光源像I1、I4の水平方向の拡大率を中央部に配置される光源像I2、I3の水平方向の拡大率より大きくする倍率変更レンズ14を備えることによるものである。
【0281】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I1、I4の水平方向の拡大率が中央部に配置される光源像I2、I3の水平方向の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I2、I3)の光度が周辺部(I1、I4)の光度より高い遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
【0282】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I1、I4の水平方向の拡大率が中央部に配置される光源像I2、I3の水平方向の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I2、I3)の解像度が周辺部(I1、I4)の解像度より高いADB用配光パターンPを形成することができる。
【0283】
次に、変形例について説明する。
【0284】
上記実施形態では、光源LS1~LS4として、マトリックス光源を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、中央部に配置される光源像の光源LS2、LS3としてマトリックス光源を用い、周辺部に配置される光源像の光源LS1、LS4としてマトリックス光源以外の光源、例えば、発光面が約4mm角の少なくとも1つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を含む光源を用いてもよい。
【0285】
本変形例によれば、中央部にマトリックス状に配置されたピクセルPX(ピクセル群)を含み、周辺部に非マトリックス状に(例えば、水平方向一列に)配置された少なくとも1つの光源像を含むADB用配光パターンPを形成することができる。
【0286】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態の車両用灯具10Dについて説明する。
【0287】
図33は、第7実施形態の車両用灯具10Dの水平断面図である。
【0288】
まず、本実施形態のADB用配光パターンPについて説明する。ADB用配光パターンPは、本発明の所定配光パターンの一例である。
【0289】
図34は、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【0290】
図34に示すように、ADB用配光パターンPは、2つの光源像I7、I8を含む。以下、光源像I7、I8を特に区別しない場合、光源像Iと記載する。
【0291】
第1実施形態と同様、光源像Iは、光源LS(複数の半導体発光素子)の点消灯制御に応じて個別に点消灯(減光を含む)される複数のピクセルPXを含む。光源像Iは、後述のように、投影レンズによって拡大投影されることで、仮想鉛直スクリーン上に光源像I7(ピクセル群)と光源像I8(ピクセル群)が互いに重畳された状態で配置される。
【0292】
その際、光源像I8は、ADB用配光パターンPの水平方向の中央部に配置される。一方、光源像I7は、光源像I8より拡大率が大きく、その少なくとも一部がADB用配光パターンPの水平方向の周辺部(両端部)に配置される。
【0293】
次に、上記光源像I7、I8を含むADB用配光パターンPを形成する車両用灯具10Dの構成例について説明する。
【0294】
図33に示すように、本実施形態の車両用灯具10Dは、光源LS7、LS8と、光源LS7、LS8に対応する投影レンズOP7、OP8と、を備える。
【0295】
光源LS7、LS8は、光源LS1~LS4と同様、矩形領域(例えば、約4mm角)にマトリックス状に配置された半導体発光素子群(例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)のLEDチップ)を含むマトリックス光源である。
【0296】
光源LS7の光軸AXLS7と投影レンズOP7の光軸AXOP7は、一致している。また、光源LS8の光軸AXLS8と投影レンズOP8の光軸AXOP8は、一致している。投影レンズOP7の光軸AXOP7と投影レンズOP8の光軸AXOP8は、互いに平行である。
【0297】
投影レンズOP7の投影倍率(例えば、X軸方向の倍率及びY軸方向の倍率)は、投影レンズOP8の投影倍率より大きい。そのため、投影レンズOP7によって拡大投影される光源像I7の拡大率は、投影レンズOP8によって拡大投影される光源像I8より大きくなる。
【0298】
その結果、少なくとも一部が周辺部に配置される光源像I7の拡大率が中央部に配置される光源像I8の拡大率より大きい水平方向にワイドなADB用配光パターンPが形成される。
【0299】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源LSの数を増やすことなく水平方向にワイドなADB用配光パターンPを形成することができる車両用灯具10Dを提供することができる。
【0300】
これは、周辺部に配置される光源像I7の拡大率が中央部に配置される光源像I8の拡大率より大きいことによるものである。
【0301】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I7の拡大率が中央部に配置される光源像I8の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I8)の光度が周辺部の光度より高い遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
【0302】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I7の拡大率が中央部に配置される光源像I8の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I8)の解像度が周辺部(I7)の解像度より高いADB用配光パターンPを形成することができる。
【0303】
次に、変形例について説明する。
【0304】
上記実施形態では、光源LS7、LS8として、マトリックス光源を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、中央部に配置される光源像の光源LS8としてマトリックス光源を用い、周辺部に配置される光源像の光源LS7としてマトリックス光源以外の光源、例えば、発光面が約4mm角の少なくとも1つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を含む光源を用いてもよい。
【0305】
本変形例によれば、中央部にマトリックス状に配置されたピクセルPX(ピクセル群)を含み、周辺部に非マトリックス状に(例えば、水平方向一列に)配置された少なくとも1つの光源像を含むADB用配光パターンPを形成することができる。
【0306】
[第8実施形態]
次に、第8実施形態の車両用灯具10Eについて説明する。
【0307】
図35は、第8実施形態の車両用灯具10Eの水平断面図である。
【0308】
まず、本実施形態のADB用配光パターンPについて説明する。ADB用配光パターンPは、本発明の所定配光パターンの一例である。
【0309】
図36は、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置される)上に形成されるADB用配光パターンPの一例である。
【0310】
図36に示すように、ADB用配光パターンPは、2つの光源像I9、I10を含む。以下、光源像I9、I10を特に区別しない場合、光源像Iと記載する。
【0311】
第1実施形態と同様、光源像Iは、光源LS(複数の半導体発光素子)の点消灯制御に応じて個別に点消灯(減光を含む)される複数のピクセルPXを含む。光源像Iは、後述のように、投影レンズによって拡大投影されることで、仮想鉛直スクリーン上に光源像I10(ピクセル群)と光源像I9(ピクセル群)が互いに重畳された状態で配置される。
【0312】
その際、光源像I10は、ADB用配光パターンPの水平方向の中央部に配置される。一方、光源像I9は、光源像I10より拡大率が大きく、その少なくとも一部がADB用配光パターンPの水平方向の周辺部(両端部)に配置される。
【0313】
次に、上記光源像I9、I10を含むADB用配光パターンPを形成する車両用灯具10Eの構成例について説明する。
【0314】
図35に示すように、本実施形態の車両用灯具10Eは、光源LS9、LS10と、光源LS9、LS10に対応する投影レンズOP9、OP10と、投影レンズOP9の前方に配置された倍率変更レンズ14と、を備える。
【0315】
光源LS9、LS10は、光源LS1~LS4と同様、矩形領域(例えば、約4mm角)にマトリックス状に配置された半導体発光素子群(例えば、縦32×横32の合計1024(ピクセル)のLEDチップ)を含むマトリックス光源である。
【0316】
光源LS9の光軸AXLS9と投影レンズOP9の光軸AXOP9は、一致している。また、光源LS10の光軸AXLS10と投影レンズOP10の光軸AXOP10は、一致している。投影レンズOP9の光軸AXOP9と投影レンズOP10の光軸AXOP10は、互いに平行である。
【0317】
投影レンズOP9の投影倍率及び投影レンズOP10の投影倍率は、互いに同じである。
【0318】
水平断面においては投影レンズOP9及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系の焦点距離は投影レンズOP9(投影レンズOP10も同様)の焦点距離と比べて短いため、投影レンズOP9及び倍率変更レンズ14によって構成される光学系によって拡大投影される光源像I9の水平方向の拡大率は、投影レンズOP10によって拡大投影される光源像I10の水平方向の拡大率より大きくなる。
【0319】
その結果、少なくとも一部が周辺部に配置される光源像I9の拡大率が中央部に配置される光源像I10の拡大率より大きい水平方向にワイドなADB用配光パターンPが形成される。
【0320】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源LSの数を増やすことなく水平方向にワイドなADB用配光パターンPを形成することができる車両用灯具10Eを提供することができる。
【0321】
これは、周辺部に配置される光源像I9の水平方向の拡大率を中央部に配置される光源像I10の水平方向の拡大率より大きくする倍率変更レンズ14を備えることによるものである。
【0322】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I9の水平方向の拡大率が中央部に配置される光源像I10の水平方向の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I10)の光度が周辺部(光源像I9)の光度より高い遠方視認性に優れたADB用配光パターンPを形成することができる。
【0323】
また、本実施形態によれば、周辺部に配置される光源像I9の水平方向の拡大率が中央部に配置される光源像I10の水平方向の拡大率より大きくなる結果、中央部(光源像I10)の解像度が周辺部(光源像I9)の解像度より高いADB用配光パターンPを形成することができる。
【0324】
次に、変形例について説明する。
【0325】
上記実施形態では、光源LS9、LS10として、マトリックス光源を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、中央部に配置される光源像の光源LS10としてマトリックス光源を用い、周辺部に配置される光源像の光源LS9としてマトリックス光源以外の光源、例えば、発光面が約4mm角の少なくとも1つの半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を含む光源を用いてもよい。
【0326】
本変形例によれば、中央部にマトリックス状に配置されたピクセルPX(ピクセル群)を含み、周辺部に非マトリックス状に(例えば、水平方向一列に)配置された少なくとも1つの光源像を含むADB用配光パターンPを形成することができる。
【0327】
上記各実施形態及び各変形例で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができる。
【0328】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0329】
10…車両用灯具、11…アウターレンズ、12…ハウジング、13…灯室、20…制御システム、21…制御部、22…点灯制御回路、23…撮像装置、24…路面状況検知部、25…天候検知部、26…車速センサ、AX…灯具光軸、AXLS1~AXLS4…光軸、AXOP1~AXOP4…光軸、I1~I4…光源像、K…基板、LS1~LS4…光源、LS1a~LS4a…発光面、OP1~OP4…投影レンズ、h1~h4…ずれ量、w1~w4…ずれ量