(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20231130BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61M25/10 530
A61M25/098
A61M25/10 550
(21)【出願番号】P 2019120682
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂田 武治
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0273052(US,A1)
【文献】特開2005-103120(JP,A)
【文献】国際公開第2012/169593(WO,A1)
【文献】特開2017-035532(JP,A)
【文献】特開平09-038207(JP,A)
【文献】特開平09-239034(JP,A)
【文献】特開2001-149480(JP,A)
【文献】米国特許第06066157(US,A)
【文献】米国特許第04665925(US,A)
【文献】特開2019-030693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 25/098
A61M 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルであって、
筒状のインナーシャフトと、
前記インナーシャフトの一部を覆うと共に、先端部が前記インナーシャフトに接合されたバルーンと、
前記インナーシャフトの
外周面側に配置されたX線不透過マーカーと、
前記インナーシャフトの一部を収容する筒状のアウターシャフトと、
を備え、
前記アウターシャフトは、前記バルーンの基端部に接合されたバルーン接合部と、前記バルーン内に収容されると共に前記バルーン接合部の外径より小さい外径を有する
筒状の縮径部と、を有し、かつ、前記バルーン内において
前記縮径部の先端部が前記インナーシャフトに接合されており、
前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトの軸方向において、前記アウターシャフトの前記縮径部の前記先端部と前記インナーシャフトとの接合部分と、前記バルーン接合部に対応する部分の基端との間に位置するように配置されており、
前記アウターシャフトの内周面と前記インナーシャフトの外周面との間に形成された拡張ルーメンと前記バルーン内とを連通する連通孔が形成されており、
前記バルーン内において、前記インナーシャフト
と前記アウターシャフトとが形成する構造物の最外周の外径が、前記バルーンの前記基端部の側から前記先端部の側に向けて連続的または段階的に縮径している、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
バルーンカテーテルであって、
筒状のインナーシャフトと、
前記インナーシャフトの一部を覆うと共に、先端部が前記インナーシャフトに接合されたバルーンと、
前記インナーシャフトの外周面側に配置されたX線不透過マーカーと、
前記インナーシャフトの一部を収容する筒状のアウターシャフトと、
を備え、
前記アウターシャフトは、前記バルーンの基端部に接合されたバルーン接合部と、前記バルーン内に収容されると共に前記バルーン接合部の外径より小さい外径を有する筒状の縮径部と、を有し、かつ、前記バルーン内において前記縮径部の先端部が前記インナーシャフトに接合されており、
前記X線不透過マーカーは、前記アウターシャフトの前記縮径部よりも先端側に配置されており、前記インナーシャフトの軸方向において、前記X線不透過マーカーの基端は、前記縮径部の先端に隣接しており、
前記アウターシャフトの内周面と前記インナーシャフトの外周面との間に形成された拡張ルーメンと前記バルーン内とを連通する連通孔が形成されており、
前記バルーン内において、前記インナーシャフトと前記X線不透過マーカーと前記アウターシャフトとが形成する構造物の最外周の外径が、前記バルーンの前記基端部の側から前記先端部の側に向けて連続的または段階的に縮径している、
バルーンカテーテル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの先端部の厚さは、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部の厚さに比べて薄い、
バルーンカテーテル。
【請求項4】
請求項3に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの厚さは、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて連続的または段階的に小さくなっている、
バルーンカテーテル。
【請求項5】
請求項2から
請求項4までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトの軸方向において、前記アウターシャフトの先端側に配置され、かつ、前記X線不透過マーカーの外径は、前記縮径部の先端の外径以下である、
バルーンカテーテル。
【請求項6】
請求項1から
請求項5までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記バルーン接合部の外径は、前記アウターシャフトのうち、前記バルーン接合部より基端側の部位の外径より小さい、
バルーンカテーテル。
【請求項7】
請求項1から
請求項6までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記縮径部の外周面は、前記バルーン接合部の側から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて連続的に縮径している、
バルーンカテーテル。
【請求項8】
請求項1から
請求項7までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記縮径部の外周面は、前記バルーン接合部の側から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて複数段階に縮径している、
バルーンカテーテル。
【請求項9】
請求項1から
請求項8までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記縮径部は、前記インナーシャフトの外周面から、前記インナーシャフトの径方向の外側に離間した離間部分を有し、前記離間部分に前記連通孔が形成されている、
バルーンカテーテル。
【請求項10】
請求項1から
請求項9までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記縮径部の先端は、前記インナーシャフトの軸方向において、前記インナーシャフトと前記バルーンとの接合部分から離間した位置に配置されている、
バルーンカテーテル。
【請求項11】
請求項1から
請求項10までのいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記縮径部は、前記アウターシャフトのうち、前記縮径部に隣接する部分と一体に形成されている、
バルーンカテーテル。
【請求項12】
請求項11に記載のバルーンカテーテルであって、
前記アウターシャフトの前記縮径部は、前記アウターシャフトの先端の側を延伸して形成されている、
バルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、血管等の体腔内に形成された狭窄部等を拡張させるために使用されるバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の体腔内に形成された狭窄部や閉塞部(以下、「病変部」という。)を拡張させるためにバルーンカテーテルが用いられる。バルーンカテーテルは、筒状のインナーシャフトと、インナーシャフトの一部を覆うと共に、先端部がインナーシャフトに接合されたバルーンと、インナーシャフトの一部を収容すると共にバルーンの基端部に接合された筒状のアウターシャフトと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。バルーンがインナーシャフトとアウターシャフトとの外形に倣うように収縮した状態でバルーンカテーテルの先端側が病変部内に押し込まれる。その後、バルーンを拡張させるための流体が、アウターシャフトとインナーシャフトとの間に形成された拡張ルーメンからバルーン内に送り込まれることにより、バルーンが拡張し、その結果、病変部を押し広げて拡張させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-291897号公報
【文献】米国特許出願公開第2005/0273052号明細書
【文献】特開平10-33681号公報
【文献】米国特許第6315757号明細書
【文献】国際公開第2006/135581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のバルーンカテーテルでは、アウターシャフトの内、バルーンの基端部が接合されたバルーン接合部は、アウターシャフトの先端に位置し、かつ、インナーシャフトの外周面から径方向外側に離間した位置に配置されている。このため、収縮状態のバルーンは、アウターシャフトのバルーン接合部の外周面とインナーシャフトの外周面との外径差に応じた段差に倣うように収縮した状態となる。その結果、バルーンを狭小の病変部に押し込む際、該段差に起因して、例えばアウターシャフトの先端が撓む等して、押し込み力が側方に逃げるため、アウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力の伝達性が低下し、その結果、バルーンカテーテルの通過性が低下するという問題があった。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示されるバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルであって、筒状のインナーシャフトと、前記インナーシャフトの一部を覆うと共に、先端部が前記インナーシャフトに接合されたバルーンと、前記インナーシャフトの内周面側または外周面側に配置されたX線不透過マーカーと、前記インナーシャフトの一部を収容する筒状のアウターシャフトと、を備え、前記アウターシャフトは、前記バルーンの基端部に接合されたバルーン接合部と、前記バルーン内に収容されると共に前記バルーン接合部の外径より小さい外径を有する縮径部と、を有し、かつ、前記バルーン内において前記インナーシャフトに接合されており、前記アウターシャフトの内周面と前記インナーシャフトの外周面との間に形成された拡張ルーメンと前記バルーン内とを連通する連通孔が形成されており、前記バルーン内において、前記インナーシャフトと前記X線不透過マーカーと前記アウターシャフトとが形成する構造物の最外周の外径が、前記バルーンの前記基端部の側から前記先端部の側に向けて連続的または段階的に縮径している。
【0008】
本バルーンカテーテルでは、拡張ルーメンとバルーンとを連通する連通孔を介して、バルーンを拡張させるための流体を拡張ルーメンからバルーン内に送り込むことができる。また、アウターシャフトは、縮径部を有し、この縮径部は、バルーン内に収容されると共に、バルーンの基端部に接合されたバルーン接合部の外径より小さい外径を有する。その結果、収縮状態のバルーンは、アウターシャフトのバルーン接合部に接合された基端部から先端部の側に向けてアウターシャフトの縮径部の外形に倣うように縮径した状態になる。このため、本バルーンカテーテルでは、例えば、アウターシャフトが収縮部を有しない構成に比べて、バルーン内におけるアウターシャフトのバルーン接合部とインナーシャフトとの外径差に起因してアウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力の伝達性が低下することを抑制できる。また、本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトは、バルーン内においてインナーシャフトに接合されている。このため、アウターシャフトがバルーン内においてインナーシャフトに接合されていない構成に比べて、アウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力が効率よく伝達される。これにより、本バルーンカテーテルによれば、バルーンカテーテルの通過性を向上させることができる。さらに、本バルーンカテーテルでは、バルーン内において、インナーシャフトとX線不透過マーカーとアウターシャフトとが形成する構造物の最外周の外径が、バルーンの基端部の側から先端部の側に向けて連続的または段階的に縮径している。これにより、病変部に到達したバルーンカテーテルを先端側へ移動する際のバルーンカテーテルの通過性をさらに向上させるとともに、バルーンカテーテルを基端側へ移動する際の引っ掛かりに起因するバルーンの破損を抑制することができる。
【0009】
(2)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトにおける前記縮径部の先端が、前記インナーシャフトに接合されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトにおける縮径部の先端が、インナーシャフトに接合されている。このため、例えば、アウターシャフトにおける縮径部より基端側の部分がインナーシャフトに接合された構成に比べて、アウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力がさらに効率よく伝達される。これにより、本バルーンカテーテルによれば、バルーンカテーテルの通過性を、より効果的に向上させることができる。
【0010】
(3)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの先端部の厚さは、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部の厚さに比べて薄い構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトの先端部の剛性が、アウターシャフトのバルーン接合部の剛性に比べて低いため、例えば、アウターシャフトの先端部が折れ曲がって元に戻らないキンクの発生を抑制することができる。
【0011】
(4)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの厚さは、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて連続的または段階的に小さくなっている構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトの剛性が、アウターシャフトのバルーン接合部の側から先端部の側に向けて連続的または段階的に小さくなっているため、例えばアウターシャフトのキンクの発生を、効果的に抑制することができる。
【0012】
(5)上記バルーンカテーテルにおいて、前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトの軸方向において、前記アウターシャフトの先端側に配置され、かつ、前記X線不透過マーカーの基端と前記アウターシャフトの先端との前記軸方向の距離は、前記バルーンの厚さの2倍未満である構成としてもよい。本バルーンカテーテルによれば、X線不透過マーカーがインナーシャフトの先端側に配置されていない構成に比べて、生体内におけるバルーンカテーテルの先端部の位置を正確に造影することができる。また、本バルーンカテーテルによれば、X線不透過マーカーの基端とアウターシャフトの先端との、インナーシャフトの軸方向の距離が、バルーンの厚さの2倍以上である構成に比べて、例えば、バルーンがX線不透過マーカーの基端とアウターシャフトの先端との間に入り込むなどして、バルーンの拡縮機能が低下したり、損傷したりすることを抑制することができる。
【0013】
(6)上記バルーンカテーテルにおいて、前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトの軸方向において、前記アウターシャフトの先端側に配置され、かつ、前記X線不透過マーカーの外径は、前記縮径部の先端の外径以下である構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、X線不透過マーカーの外径が縮径部の先端の外径より大きい構成に比べて、X線不透過マーカーとインナーシャフトとの外径差に起因してアウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力の伝達性が低下することを抑制でき、バルーンカテーテルの通過性をさらに向上させることができる。
【0014】
(7)上記バルーンカテーテルにおいて、前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトと前記アウターシャフトとの接合部分より基端側に配置されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、バルーンとX線不透過マーカーとが接触しないため、バルーンとX線不透過マーカーとの接触に起因するバルーンの損傷(例えばバルーンの破裂)を抑制することができる。
【0015】
(8)上記バルーンカテーテルにおいて、前記X線不透過マーカーは、前記インナーシャフトの軸方向において、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部と対応する位置、または、前記位置より先端側に配置されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルによれば、X線不透過マーカーがインナーシャフトの軸方向においてアウターシャフトのバルーン接合部と対応する位置より基端側に配置された構成に比べて、生体内におけるバルーンカテーテルの先端部の位置を正確に造影することを可能にしつつ、バルーンとX線不透過マーカーとの接触に起因するバルーンの損傷を抑制することができる。
【0016】
(9)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記バルーン接合部の外径は、前記アウターシャフトのうち、前記バルーン接合部より基端側の部位の外径より小さい構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトの前記バルーン接合部の外径がアウターシャフトのうち、バルーン接合部より基端側の部位の外径以上である構成に比べて、病変部に到達したバルーンカテーテルを先端側へ移動する際のバルーンカテーテルの通過性を向上させるとともに、バルーンカテーテルを基端側へ移動する際の引っ掛かりに起因するバルーンの破損を抑制することができる。
【0017】
(10)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記縮径部の外周面は、前記バルーン接合部の側から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて連続的に縮径している構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、縮径部の外周面は、バルーン接合部の側からアウターシャフトの先端部の側に向けて連続的に縮径している。このため、本バルーンカーテルによれば、例えば、縮径部の外周面全体がアウターシャフトの軸方向に平行な構成に比べて、アウターシャフトのバルーン接合部とインナーシャフトとの外径差に起因してアウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力の伝達性が低下することを、より効果的に抑制でき、バルーンカテーテルの通過性をさらに向上させることができる。
【0018】
(11)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記縮径部の外周面は、前記バルーン接合部の側から前記アウターシャフトの先端部の側に向けて複数段階に縮径している構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、縮径部の外周面は、バルーン接合部の側からアウターシャフトの先端部の側に向けて複数段階に縮径している。このため、本バルーンカーテルによれば、例えば、縮径部の外周面全体がアウターシャフトの軸方向に平行な構成に比べて、アウターシャフトのバルーン接合部とインナーシャフトとの外径差に起因してアウターシャフトからインナーシャフトへの押し込み力の伝達性が低下することを、より効果的に抑制でき、バルーンカテーテルの通過性をさらに向上させることができる。
【0019】
(12)上記バルーンカテーテルにおいて、前記縮径部は、前記インナーシャフトの外周面から、前記インナーシャフトの径方向の外側に離間した離間部分を有し、前記離間部分に前記連通孔が形成されている構成としてもよい。仮に、拡張ルーメンとバルーン内とを連通する連通孔を、アウターシャフトの内周面とインナーシャフトの外周面との間(バルーン内での両シャフトの接合部分)に形成する構成とすると、連通孔の径を確保する分だけ、アウターシャフトの外径が大きくなり、その結果、バルーンカテーテルの押し込み性が低下するおそれがある。これに対して、本バルーンカテーテルでは、連通孔が、アウターシャフトの縮径部の内、インナーシャフトから離間した離間部分に形成されている。このため、連通孔の形成に起因するアウターシャフトの径の増大を抑制することができる。
【0020】
(13)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記縮径部の先端は、前記インナーシャフトの軸方向において、前記インナーシャフトと前記バルーンとの接合部分から離間した位置に配置されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルでは、アウターシャフトの縮径部の先端は、インナーシャフトとバルーンとの接合部分から離間した位置に配置されている。これにより、本バルーンカテーテルによれば、例えば、アウターシャフトの縮径部の先端が、インナーシャフトとバルーンとの接合部分まで伸びている構成に比べて、収縮状態のバルーンの先端側部分の径が小さいため、バルーンの収縮状態におけるバルーンカテーテルの先端側部分の病変部への押し込み性を向上させることができる。
【0021】
(14)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記縮径部は、前記アウターシャフトのうち、前記縮径部に隣接する部分と一体に形成されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルによれば、縮径部が、アウターシャフトのうち、縮径部に隣接する部分と別体で形成された構成に比べて、縮径部と隣接する部分との剛性の差に起因して、バルーンカテーテルの通過性が低下することを抑制することができる。
【0022】
(15)上記バルーンカテーテルにおいて、前記アウターシャフトの前記縮径部は、前記アウターシャフトの先端の側を延伸して形成されている構成としてもよい。本バルーンカテーテルによれば、アウターシャフトの剛性を、アウターシャフトのバルーン接合部の側から先端部の側に向けて連続的に小さくさせつつ、縮径部と隣接する部分との剛性の差に起因して、バルーンカテーテルの通過性が低下することを、より効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図2】第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の構成を概略的に示す説明図(横断面図)
【
図3】第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の使用例を示す説明図
【
図4】第1実施形態のバルーンカテーテル100と比較例のバルーンカテーテル100Xとのバルーン30の収縮状態を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図5】第2実施形態におけるバルーンカテーテル100aの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図6】第2実施形態におけるバルーンカテーテル100aの構成を概略的に示す説明図(横断面図)
【
図7】変形例1におけるバルーンカテーテル100bの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図8】変形例2におけるバルーンカテーテル100cの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図9】変形例3におけるバルーンカテーテル100dの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図10】変形例4におけるバルーンカテーテル100eの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図11】変形例5におけるバルーンカテーテル100fの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図12】変形例6におけるバルーンカテーテル100gの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【
図13】変形例7におけるバルーンカテーテル100hの構成を概略的に示す説明図(縦断面図)
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.第1実施形態:
A-1.バルーンカテーテル100の基本構成:
図1および
図2は、第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の構成を概略的に示す説明図である。
図1には、バルーンカテーテル100の側断面(YZ断面:
図1に記載されたY軸とZ軸とを含む平面に沿って切断した断面図)の構成が示されており、
図2には、
図1のII-IIの位置におけるバルーンカテーテル100の断面(XY断面:
図2に記載されたX軸とY軸とを含む平面に沿って切断した断面図)の構成が示されている。
図1において、Z軸正方向側(バルーンカテーテル100の先端チップ12の側)が、体内に挿入される先端側(遠位側)であり、Z軸負方向側(バルーンカテーテル100の先端チップ12の側とは逆側)が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。なお、
図1では、バルーンカテーテル100が全体としてZ軸方向に平行な直線状となった状態を示しているが、バルーンカテーテル100は湾曲させることができる程度の柔軟性を有している。また、
図1および
図2では、後述のバルーン30が拡張した状態が示されている。
【0025】
バルーンカテーテル100は、血管等における病変部(狭窄部や閉塞部)を押し広げて拡張させるために、血管等に挿入される医療用デバイスである。バルーンカテーテル100は、インナーシャフト10と、アウターシャフト20と、バルーン30とを備えている。
【0026】
インナーシャフト10は、先端と基端とが開口した筒状(例えば円筒状)の部材である。なお、本明細書において「筒状(円筒状)」とは、完全な筒形状(円筒形状)に限らず、全体として略筒状(略円筒形状、例えば、若干、円錐形状や、一部に凹凸がある形状など)であってもよい。インナーシャフト10の内部には、ガイドワイヤ60(後述の
図3参照)が挿通されるガイドワイヤルーメンS1が形成されている。なお、インナーシャフト10の先端には、先端チップ12が設けられている。先端チップ12は、先端と後端とが開口した筒状の部材である。先端チップ12は、その先端側に先端側ガイドワイヤポート14が形成されると共に、先端に向かって外径が徐々に小さくなるテーパ状の外形を有している。ガイドワイヤルーメンS1に挿入されたガイドワイヤ60は、先端側ガイドワイヤポート14から外部に導出される(後述の
図3参照)。なお、先端チップ12は、樹脂により形成されている。
【0027】
アウターシャフト20は、先端と基端とが開口した筒状(例えば円筒状)の部材である。アウターシャフト20の内径は、インナーシャフト10の外径より大きい。アウターシャフト20は、インナーシャフト10の一部を収容し、かつ、インナーシャフト10と同軸上に位置するように配置されている。インナーシャフト10の外周面とアウターシャフト20の内周面との間には、バルーン30を拡張するための拡張用の流体Gが流通する拡張ルーメンS2が形成されている。なお、流体Gは、気体でも液体でもよく、例えば、ヘリウムガス、CO2ガス、O2ガス等の気体や、生理食塩水、造影剤等の液体が挙げられる。
【0028】
具体的には、アウターシャフト20は、円環形断面の筒状のシャフト本体部22と、シャフト本体部22に対して先端側に位置し、シャフト本体部22より内径および外径が小さいバルーン接合部24とを備えている。シャフト本体部22とバルーン接合部24との内周面は、インナーシャフト10の軸(Z軸方向)周りの全周にわたって、インナーシャフト10の外周面から離間している(
図1参照)。なお、
図1では、シャフト本体部22の一部分の図示を省略している。
【0029】
インナーシャフト10の先端部は、アウターシャフト20の先端部より先端側に突出している。インナーシャフト10の基端は、インナーシャフト10の軸方向(インナーシャフト10の長さ方向 各図ではZ軸方向)に対して側方に湾曲してアウターシャフト20のシャフト本体部22の側壁に接続される共に、シャフト本体部22の外周面で開口している。このシャフト本体部22の外周面での開口が、インナーシャフト10における基端側ガイドワイヤポート16であり、この基端側ガイドワイヤポート16からガイドワイヤ60が挿入される。すなわち、本実施形態におけるバルーンカテーテル100は、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルである。
【0030】
インナーシャフト10とアウターシャフト20とは、熱融着可能であり、かつ、ある程度の可撓性を有する材料により形成されている。インナーシャフト10とアウターシャフト20との形成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。
【0031】
なお、
図1に示すように、アウターシャフト20のシャフト本体部22の内部には、コアワイヤ40が収容されている。コアワイヤ40は、先端側が細径であり基端側が太径である棒状の部材である。このコアワイヤ40により、バルーンカテーテル100に対して先端に向かう程、柔軟となる剛性変化が付与されている。コアワイヤ40は、例えば、金属材料、より具体的には、ステンレス鋼(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金、タングステン等により構成されている。
【0032】
バルーン30は、流体Gの供給および排出に伴い拡張および収縮可能な拡張部である。バルーン30は、インナーシャフト10の内、アウターシャフト20の先端から突出した先端部を覆う。また、バルーン30の先端部32は、例えば溶着により、インナーシャフト10(先端チップ12の基端側の外周面)に接合されており、バルーン30の基端部34は、例えば溶着により、アウターシャフト20におけるバルーン接合部24の外周面に接合されている。先端チップ12の先端部は、バルーン30の先端部32より先端側で開口している。なお、バルーン30は、収縮された状態では、インナーシャフト10とアウターシャフト20との外周面に密着するように折り畳まれる(後述の
図3および
図4(A)参照)。
【0033】
バルーン30は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されていることが好ましく、インナーシャフト10やアウターシャフト20より薄くて、可撓性を有する材料により形成されていることがより好ましい。バルーン30の形成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。
【0034】
A-2.バルーンカテーテル100の詳細構成:
次に、本実施形態のバルーンカテーテル100の詳細構成について説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態のバルーンカテーテル100では、アウターシャフト20は、縮径部26を有する。縮径部26は、バルーン接合部24に対して先端側に位置する。すなわち、縮径部26は、バルーン30の内部空間S3に収容されている。縮径部26は、筒状(例えば、円環形断面の筒状)である。縮径部26の外径は、バルーン接合部24の外径D1より小さい。具体的には、縮径部26は、細径部26Aとテーパ部26Bと筒状部26Cとから構成されている。
図1に示すように、縮径部26は、筒状の部分(例えば、細径部26Aや筒状部26C)を有していてもよい。細径部26Aの形状は、外周面がインナーシャフト10の外周面に平行な筒状(例えば円筒状)であり、細径部26Aの外径D2は、インナーシャフト10の外径D4より大きく、かつ、バルーン接合部24の外径D1より小さい。テーパ部26Bは、インナーシャフト10の軸方向(Z軸方向)において、細径部26Aとバルーン接合部24との間に位置している。テーパ部26Bの外周面は、バルーン接合部24との境界位置から細径部26Aとの境界位置に向けて連続的に縮径している。なお、テーパ部26Bの外周面は、先端側に向かって直線状に縮径していてもよいし、先端側に向かって曲線状に縮径していてもよい。なお、バルーン接合部24は、アウターシャフト20のバルーン30に接合されている部分を意味している。従って、
図1に示すように、バルーン接合部24は、バルーン30の拡張状態において、アウターシャフト20のバルーン30に接触(接合)していない部分(例えば、筒状部26C)を含まない。
【0035】
図1に示すように、アウターシャフト20における細径部26Aの内周面は、例えば溶着により、インナーシャフト10の外周面に接合されている。細径部26Aは、特許請求の範囲における縮径部の先端の一例である。
【0036】
また、
図1に示すように、アウターシャフト20におけるテーパ部26Bの内周面は、インナーシャフト10の外周面から、該インナーシャフト10の径方向外側に離間しており、このテーパ部26Bに連通孔28が貫通形成されている。
図2に示すように、連通孔28は、テーパ部26Bの内、バルーンカテーテル100の軸周りの周方向における一箇所に形成されている。この連通孔28により、インナーシャフト10の外周面とアウターシャフト20の内周面との間に形成された拡張ルーメンS2と、バルーン30の内部空間S3とが連通している。このため、拡張ルーメンS2とバルーン30の内部空間S3との間で、流体Gの供給および排出を行うことができる。テーパ部26Bは、特許請求の範囲における離間部分の一例である。
【0037】
また、
図1に示すように、アウターシャフト20の縮径部26(細径部26A)の先端は、インナーシャフト10の軸方向(Z軸方向)において、インナーシャフト10とバルーン30の先端部32との接合部分36から、例えば距離Mだけ離間した位置に配置されている。
【0038】
また、本実施形態のバルーンカテーテル100は、X線不透過マーカー50を備えている。X線不透過マーカー50は、筒状(例えば円筒状)の部材であり、アウターシャフト20の縮径部26に対して先端側に位置し、インナーシャフト10の外周面を囲むように配置されている。X線不透過マーカー50は、例えば金、白金、タングステン等の金属により形成されている。これにより、バルーンカテーテル100を生体内に挿入する際、生体の外部からX線によりX線不透過マーカー50の位置を造影することが可能になる。なお、X線不透過マーカー50の基端は、アウターシャフト20の縮径部26の先端に隣接している。また、
図1に示すように、X線不透過マーカー50の外径D3は、インナーシャフト10の外径D4より大きく、かつ、アウターシャフト20における細径部26Aの外径D2より小さい。
【0039】
以上説明したように、インナーシャフト10とアウターシャフト20とX線不透過マーカー50とは、外径に関して次の関係式1が成り立つことにより、バルーン接合部24からインナーシャフト10の外周面に向かって外径が徐々に縮径している。
【0040】
(関係式1)
バルーン接合部24の外径D1 > テーパ部26Bの外径 > 細径部26Aの外径D2 > X線不透過マーカー50の外径D3 > インナーシャフト10の外径D4
【0041】
このため、バルーン30は、内部空間S3に流体Gが送り込まれておらず、バルーン30が収縮した状態(以下、単に「収縮状態」という)では、アウターシャフト20のバルーン接合部24に接合された基端部34から先端部32側に向けて、アウターシャフト20の縮径部26とインナーシャフト10とX線不透過マーカー50との外形に倣うように徐々に縮径した状態になる。すなわち、バルーン30も、基端部34から先端部32に向かって外径が徐々に縮径した状態になる(後述の
図4(A)参照)。
【0042】
なお、例えば、アウターシャフト20の外径D0は、0.77mmであり、アウターシャフト20におけるバルーン接合部24の外径D1は、0.75mmであり、縮径部26における細径部26Aの外径D2は、0.57mmであり、X線不透過マーカー50の外径D3は、0.54mmであり、インナーシャフト10の外径D4は、0.48mmである。また、バルーン接合部24の外径D1と細径部26Aの外径D2との差は、0.18mmであり、細径部26Aの外径D2とX線不透過マーカー50の外径D3との差は、0.03mmであり、X線不透過マーカー50の外径D3とインナーシャフト10の外径D4との差は、0.06mmである。
【0043】
A-3.バルーンカテーテル100の使用例:
次に、第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の使用例について説明する。
図3は、第1実施形態におけるバルーンカテーテル100の使用例を示す説明図である。まず、ガイドワイヤ60を、血管K中に挿入する。ガイドワイヤ60の後端を、バルーンカテーテル100の先端側ガイドワイヤポート14に挿入し、バルーンカテーテル100をガイドワイヤ60に沿って血管K中に挿入する。次に、バルーンカテーテル100を、バルーン30の収縮状態で先端側に押し込むことにより、バルーンカテーテル100がガイドワイヤ60に沿って血管Kにおける病変部Lに案内される。ここで、上述したように、収縮状態のバルーン30は、インナーシャフト10とアウターシャフト20との外周面に密着しており、基端部34から先端部32に向かって外径が徐々に縮径した状態になっている。このため、アウターシャフト20を先端側に押し込むことにより、
図3(A)に示すように、バルーンカテーテル100の内、先端チップ12からバルーン30におけるインナーシャフト10とアウターシャフト20の縮径部26とを覆う部分までのバルーン先端部分を、比較的容易に病変部L内に挿入することができる。
【0044】
次に、バルーンカテーテル100におけるバルーン先端部分が病変部L内に挿入された状態で、流体Gを拡張ルーメンS2からバルーン30の内部空間S3に送り込むことにより、バルーン30を拡張させる。これにより、
図3(B)に示すように、拡張したバルーン30によって病変部Lが押し広げられる。次に、
図3(C)に示すように、バルーンカテーテル100におけるバルーン30を拡張状態から再び収縮状態に戻し、
図3(D)に示すように、バルーンカテーテル100を、バルーン30の収縮状態で先端側に押し込むことにより、バルーン先端部分を病変部Lのさらに奥側に挿入する。これらの手順を繰り返すことにより、バルーン30を病変部Lの奥側に進行させつつ病変部Lを押し広げていくことができる。
【0045】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態のバルーンカテーテル100では、アウターシャフト20に形成された連通孔28を介して、バルーン30を拡張させるための流体Gを拡張ルーメンS2からバルーン30の内部空間S3に送り込むことができる。また、アウターシャフト20は、縮径部26を有し、この縮径部26は、バルーン30内に収容されると共に、バルーン30の基端部34に接合されたバルーン接合部24の外径D1より小さい外径を有する。その結果、収縮状態のバルーン30は、アウターシャフト20のバルーン接合部24に接合された基端部34から先端部32側に向けてアウターシャフト20の縮径部26の外形に倣うように徐々に縮径した状態になる。
【0046】
ここで、
図4は、本実施形態のバルーンカテーテル100と比較例のバルーンカテーテル100Xとのバルーン30の収縮状態を概略的に示す説明図である。
図4(A)には、本実施形態のバルーンカテーテル100について、バルーン30が収縮した状態が示されており、
図4(B)には、比較例のバルーンカテーテル100Xについて、バルーン30が収縮した状態が示されている。
図4(B)に示すように、比較例のバルーンカテーテル100Xは、本実施形態のバルーンカテーテル100に対して、縮径部26を備えない点で異なる。このため、収縮状態のバルーン30は、バルーン接合部24の外周面とインナーシャフト10の外周面との外径差(D1,D4)に応じた、比較的に大きい段差に倣うように縮径した状態となる。その結果、バルーン30を狭小の病変部に押し込む際、この大きい段差に起因して、例えばアウターシャフト20の先端が撓む等して、押し込み力が側方に逃げるため、アウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力の伝達性が低下し、その結果、バルーンカテーテル100の通過性が低下するという問題があった。
【0047】
これに対して、
図4(A)に示すように、本実施形態のバルーンカテーテル100では、アウターシャフト20が縮径部26を備えている。このため、収縮状態のバルーン30は、アウターシャフト20のバルーン接合部24に接合された基端部34から先端部32側に向けてアウターシャフト20の縮径部26の外形に倣うように徐々に縮径した状態になる。したがって、本実施形態では、例えば、アウターシャフト20が縮径部26を有しない比較例に比べて、バルーン30内におけるアウターシャフト20のバルーン接合部24とインナーシャフト10との外径差に起因してアウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力の伝達性が低下することを抑制できる。また、本実施形態では、アウターシャフト20は、バルーン30内においてインナーシャフト10に接合されている。このため、アウターシャフト20がバルーン30内においてインナーシャフト10に接合されていない構成に比べて、アウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力が効率よく伝達される。これにより、本実施形態によれば、バルーンカテーテル100の通過性を向上させることができる。さらに、本実施形態では、バルーン30内において、インナーシャフト10とX線不透過マーカー50とアウターシャフト20とが形成する構造物の最外周の外径D0が、バルーン30の基端部の側から先端部の側に向けて連続的または段階的に縮径している。すなわち、バルーン30の基端部の側から先端部の側に向けてバルーンに損傷を与えるような大きな段差がない。これにより、病変部に到達したバルーンカテーテル100を先端側へ移動する際のバルーンカテーテル100の通過性をさらに向上させるとともに、バルーンカテーテル100を基端側へ移動する際の引っ掛かりに起因するバルーン30の破損を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、アウターシャフト20における縮径部26の先端が、インナーシャフト10に接合されている。このため、例えば、アウターシャフト20における縮径部26より基端側の部分がインナーシャフト10に接合された構成に比べて、アウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力がさらに効率よく伝達される。また、押し込み力による荷重によって縮径部26の形状が変形することを抑制することができる。これにより、本実施形態によれば、バルーンカテーテル100の通過性を、より効果的に向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、縮径部26の外周面は、バルーン接合部24側からアウターシャフト20の先端部の側に向けて複数段階に縮径している。このため、本実施形態によれば、例えば、縮径部26の外周面全体がアウターシャフト20の軸方向(Z軸方向)に平行な構成に比べて、アウターシャフト20のバルーン接合部24とインナーシャフト10との外径差に起因してアウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力の伝達性が低下することを、より効果的に抑制でき、バルーンカテーテル100の通過性をさらに向上させることができる。
【0050】
仮に、拡張ルーメンS2とバルーンの内部空間S3とを連通する連通孔28を、アウターシャフト20の内周面とインナーシャフト10の外周面との間に形成する構成とすると、連通孔28の径を確保する分だけ、アウターシャフト20の外径が大きくなり、その結果、バルーンカテーテル100の押し込み性が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態では、連通孔28が、アウターシャフト20の縮径部26の内、インナーシャフト10から離間したテーパ部26Bに形成されている。このため、連通孔28の形成に起因するアウターシャフト20の径の増大を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、アウターシャフト20の縮径部26の先端は、インナーシャフト10とバルーン30との接合部分36から離間した位置に配置されている。これにより、本実施形態によれば、例えば、アウターシャフト20の縮径部26の先端が、インナーシャフト10とバルーン30との接合部分36まで伸びている構成に比べて、収縮状態のバルーン30の先端側部分の径が小さいため、バルーン30の収縮状態におけるバルーンカテーテル100の先端側部分の病変部への押し込み性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、X線不透過マーカー50は、インナーシャフト10の軸方向において、アウターシャフト20の先端側に配置されている。ここで、X線不透過マーカー50の基端とアウターシャフト20の先端との軸方向の距離は、バルーン30の厚さの2倍未満であることが好ましい。これにより、X線不透過マーカー50がインナーシャフト10の先端側に配置されていない構成に比べて、生体内におけるバルーンカテーテル100の先端部の位置を正確に造影することができる。また、X線不透過マーカー50の基端とアウターシャフト20の先端との軸方向の距離が、バルーン30の厚さの2倍以上である構成に比べて、例えば、バルーン30がX線不透過マーカー50の基端とアウターシャフト20の先端との間に入り込むなどして、バルーン30の拡縮機能が低下したり、損傷したりすることを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、アウターシャフト20の縮径部26の外径より小さい外径を有するX線不透過マーカー50が配置されている。このため、本実施形態によれば、例えば、縮径部26の先端側に位置するX線不透過マーカー50の外径が縮径部26の外径より大きい構成に比べて、X線不透過マーカー50とインナーシャフト10との外径差に起因してアウターシャフト20からインナーシャフト10への押し込み力の伝達性が低下することを抑制でき、バルーンカテーテル100の通過性をさらに向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、アウターシャフト20のバルーン接合部24の外径D1は、アウターシャフト20のうち、バルーン接合部24より基端側の部位(シャフト本体部22)の外径D0により小さい。本実施形態によれば、例えばアウターシャフト20のバルーン接合部24の外径がシャフト本体部22の外径以上である構成に比べて、病変部に到達したバルーンカテーテル100を先端側へ移動する際のバルーンカテーテル100の通過性を向上させるとともに、バルーンカテーテル100を基端側へ移動する際の引っ掛かりに起因するバルーン30の破損を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、アウターシャフト20の縮径部26は、アウターシャフト20のシャフト本体部22と一体に形成されている。本実施形態によれば、縮径部26がシャフト本体部22と別体で形成された構成に比べて、縮径部26とシャフト本体部22との剛性の差に起因して、バルーンカテーテル100の通過性が低下することを抑制することができる。
【0056】
B.第2実施形態:
図5および
図6は、第2実施形態におけるバルーンカテーテル100aの構成を概略的に示す説明図である。
図5には、バルーンカテーテル100aの側断面(YZ断面)の構成が示されており、
図6には、
図5のVI-VIの位置におけるバルーンカテーテル100aの断面(XY断面)の構成が示されている。以下では、第2実施形態のバルーンカテーテル100aの構成の内、上述した第1実施形態のバルーンカテーテル100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0057】
図5に示すように、第2実施形態のバルーンカテーテル100aは、アウターシャフト20aにおける縮径部26aの構成が、第1実施形態のバルーンカテーテル100と異なっている。すなわち、第2実施形態のバルーンカテーテル100aでは、縮径部26aの外周面は、バルーン接合部24との境界位置から縮径部26aの先端(X線不透過マーカー50aとの境界位置)に向けて連続的に縮径している。縮径部26aの先端は、X線不透過マーカー50aの基端に隣接しており、かつ、縮径部26aの先端の外径は、X線不透過マーカー50aの基端の外径D2aと同一であり、両者の間に段差がない。また、縮径部26aの基端の外径は、バルーン接合部24の先端の外径D1と同一であり、両者の間に段差がない。なお、縮径部26aの外周面は、先端側に向かって直線状に縮径していてもよいし、先端側に向かって曲線状に縮径していてもよい。なお、本明細書において、「MとNとが同一である」とは、MとNとが完全に一致することに限らず、MとNとの差がMの1%の値以下であってもよい。
【0058】
また、第2実施形態のバルーンカテーテル100aでは、アウターシャフト20aにおける縮径部26aとX線不透過マーカー50aとの内周面と、インナーシャフト10の外周面との間に、連通孔28aが形成されている。具体的には、
図5および
図6に示すように、縮径部26aとX線不透過マーカー50aとの内周面に、インナーシャフト10の軸方向(Z軸方向)に沿って延びる溝が形成されており、この溝とインナーシャフト10の外周面とによって囲まれた空間が、連通孔28aとされている。なお、本実施形態では、縮径部26aとX線不透過マーカー50aとにおける溝形成部分の強度(肉厚)を確保するため、縮径部26aとX線不透過マーカー50aとの外周面の内、溝に対応する部分に、径方向外側に突出する突出部分29が形成されている。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態のバルーンカテーテル100aでは、縮径部26aの外周面は、バルーン接合部24側からアウターシャフト20aの先端部の側に向けて連続的に縮径している。すなわち、本実施形態では、バルーン接合部24からアウターシャフト20aの先端部までの間に段差がない。このため、本実施形態によれば、例えば、縮径部26aの外周面全体がインナーシャフト10の軸方向(Z軸方向)に平行な構成や、複数段階に縮径している構成に比べて、アウターシャフト20aのバルーン接合部24とインナーシャフト10との外径差に起因してアウターシャフト20aからインナーシャフト10への押し込み力の伝達性が低下することを、より効果的に抑制でき、バルーンカテーテル100aの通過性をさらに向上させることができる。
【0060】
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0061】
上記実施形態におけるバルーンカテーテル100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態において、アウターシャフト20におけるバルーン接合部24の外径は、シャフト本体部22の外径と同等以上であってもよい。また、上記第1実施形態において、連通孔28は、テーパ部26Bの内、バルーンカテーテル100の軸周りの周方向における複数の箇所に形成されている構成であってもよい。
【0062】
上記実施形態では、アウターシャフト20における縮径部26の先端(細径部26A)が、インナーシャフト10に接合されている構成であったが、例えば、縮径部26の基端(例えばテーパ部26Bの一部を肉厚にした部分)が、インナーシャフト10に接合されている構成であってもよい。要するに、アウターシャフト20が、バルーン30内においてインナーシャフト10に接合された構成であればよい。また、上記実施形態において、アウターシャフト20の縮径部26の先端が、インナーシャフト10とバルーン30との接合部分36まで伸びている構成であってもよい。
【0063】
上記第1実施形態において、縮径部26は、テーパ部26Bの代わりに、アウターシャフト20の軸方向に垂直な段差面を有する段差部を備える構成であってもよい。なお、本明細書において、「MとNとが垂直である」とは、MとNとのなす角度が90度であることに限らず、MとNとのなす角度が90度±5度以下であればよい。この場合、縮径部26全体の段数が、1段であってよく、複数段であってもよい。また、上記第1実施形態において、連通孔28を、アウターシャフト20の内周面とインナーシャフト10の外周面との間に形成する構成であってもよい。また、上記第2実施形態において、アウターシャフト20aにおける縮径部26aに連通孔が貫通形成された構成であってもよい。
【0064】
上記第1実施形態において、X線不透過マーカー50の外径D3は、アウターシャフト20における細径部26Aの外径D2と同じでもよい。また、上記第2実施形態において、X線不透過マーカー50aの基端の外径は、縮径部26aの先端の外径より小さくてもよいし、大きくてもよい。また、上記第2実施形態において、縮径部26aの基端とバルーン接合部24の先端との間に段差がある構成であってもよい。また、上記各実施形態において、X線不透過マーカー50,50aの基端は、アウターシャフト20の縮径部26,26aの先端から離間していてもよい。また、上記各実施形態において、X線不透過マーカー50,50aを複数備える構成や、X線不透過マーカー50,50aを備えない構成であってもよい。
【0065】
図7は、変形例1におけるバルーンカテーテル100bの構成を概略的に示す説明図であり、
図8は、変形例2におけるバルーンカテーテル100cの構成を概略的に示す説明図である。各変形例1,2のバルーンカテーテル100b,100cの構成の内、上述した第1実施形態のバルーンカテーテル100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。各変形例1,2のバルーンカテーテル100b,100cは、X線不透過マーカー50b,50cの配置が、第1実施形態のバルーンカテーテル100と異なっている。すなわち、
図7に示すように、変形例1におけるバルーンカテーテル100bでは、X線不透過マーカー50bの内周面側がインナーシャフト10に埋設されている。このような構成により、X線不透過マーカー50bの外周面とインナーシャフト10の外周面との段差を小さくすることができる。なお、変形例1において、X線不透過マーカー50bの全体がインナーシャフト10に埋設されており、X線不透過マーカー50bの外周面とインナーシャフト10の外周面とが段差なく連続的に繋がっていてもよい。すなわち、X線不透過マーカー50bの外周面とインナーシャフト10の外周面とが、段差を形成することなく、同一の平面上又は曲面上に配置されていてもよい。
図8に示すように、変形例2におけるバルーンカテーテル100cでは、X線不透過マーカー50cがインナーシャフト10の内周面側に配置されており、X線不透過マーカー50cの外周面側がインナーシャフト10に埋設されている。このような構成により、X線不透過マーカー50cの存在に起因してバルーンカテーテル100cの外周面に段差が生じることを抑制することができる。なお、変形例2において、X線不透過マーカー50cの全体がインナーシャフト10に埋設されており、X線不透過マーカー50bの内周面がインナーシャフト10の内周面と面一になっていてもよい。すなわち、X線不透過マーカー50bの内周面とインナーシャフト10の内周面とが、段差を形成することなく、同一の平面上又は曲面上に配置されていてもよい。
【0066】
図9は、変形例3におけるバルーンカテーテル100dの構成を概略的に示す説明図であり、
図10は、変形例4におけるバルーンカテーテル100eの構成を概略的に示す説明図であり、
図11は、変形例5におけるバルーンカテーテル100fの構成を概略的に示す説明図である。各変形例3~5のバルーンカテーテル100d~100fの構成の内、上述した変形例1のバルーンカテーテル100bと同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図9に示すように、変形例3のバルーンカテーテル100dは、アウターシャフト20の先端部(細径部26A)の厚さ(アウターシャフト20における内周面と外周面との径方向の距離 以下同じ)td1は、アウターシャフト20のバルーン接合部24の厚さtd2に比べて薄い点で、変形例1のバルーンカテーテル100bと異なっている。これにより、変形例3では、アウターシャフト20の先端部の剛性が、アウターシャフト20のバルーン接合部24の剛性に比べて低いため、例えば、アウターシャフト20の先端部が折れ曲がって元に戻らないキンクの発生を抑制することができる。また、変形例3では、X線不透過マーカー50dは、インナーシャフト10の外周面を囲むように配置されている。また、インナーシャフト10とアウターシャフト20とX線不透過マーカー50dとは、外径に関して次の関係式2が成り立つことにより、バルーン接合部24からインナーシャフト10の外周面に向かって外径が徐々に縮径している。
(関係式2)
バルーン接合部24の外径D1 > 細径部26Aの外径D2 > X線不透過マーカー50dの外径D3d > インナーシャフト10の外径D4
【0067】
また、
図10に示すように、変形例4のバルーンカテーテル100eは、アウターシャフト20の厚さが、アウターシャフト20のバルーン接合部24からアウターシャフト20の先端部の側に向けて段階的に小さくなっている点で、変形例1のバルーンカテーテル100bと異なっている。具体的には、細径部26Aとテーパ部26Bと筒状部26C(バルーン接合部24)とは、厚さに関して次の関係式3が成り立つ。
(関係式3)
細径部26Aの厚さte1 < テーパ部26Bの厚さte2 <筒状部26C(バルーン接合部24)の厚さte3
これにより、変形例4では、アウターシャフト20の剛性が、アウターシャフト20のバルーン接合部24の側から先端部の側に向けて段階的に小さくなっているため、例えばアウターシャフト20のキンクの発生を、効果的に抑制することができる。なお、変形例4では、上記変形例3と同様に、X線不透過マーカー50dが、インナーシャフト10の外周面を囲むように配置されている。
【0068】
また、
図11に示すように、変形例5のバルーンカテーテル100fは、アウターシャフト20の厚さが、アウターシャフト20のバルーン接合部24からアウターシャフト20の先端部の側に向けて連続的に小さくなっている点で、変形例1のバルーンカテーテル100bと異なっている。具体的には、アウターシャフト20の縮径部26は、アウターシャフト20の先端の側を延伸して形成されている。これにより、変形例5によれば、アウターシャフト20の剛性を、アウターシャフト20のバルーン接合部24の側から先端部の側に向けて連続的に小さくさせつつ、縮径部26と隣接する部分(例えばシャフト本体部22)との剛性の差に起因して、バルーンカテーテル100fの通過性が低下することを、より効果的に抑制することができる。なお、変形例4では、上記変形例3と同様に、X線不透過マーカー50dが、インナーシャフト10の外周面を囲むように配置されている。
【0069】
図12は、変形例6におけるバルーンカテーテル100gの構成を概略的に示す説明図であり、
図13は、変形例7におけるバルーンカテーテル100hの構成を概略的に示す説明図である。各変形例6,7のバルーンカテーテル100g,100hの構成の内、上述した第1実施形態のバルーンカテーテル100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図12に示すように、変形例6のバルーンカテーテル100gは、X線不透過マーカー50gが、インナーシャフト10とアウターシャフト20との接合部分(
図12では、細径部26Aの内周面とインナーシャフト10の外周面との接触部分)より基端側に配置されている点で、第1実施形態のバルーンカテーテル100と異なっている。変形例6では、バルーン30とX線不透過マーカー50gとが接触しないため、バルーン30とX線不透過マーカー50gとの接触に起因するバルーン30の損傷(例えばバルーン30の破裂)を抑制することができる。
【0070】
図13に示すように、変形例7のバルーンカテーテル100hは、X線不透過マーカー50hが、軸方向において、アウターシャフト20のバルーン接合部24と対応する位置に配置されている点で、第1実施形態のバルーンカテーテル100と異なっている。なお、X線不透過マーカー50hは、バルーン接合部24と対応する位置より先端側に配置されていてもよい。変形例7では、X線不透過マーカー50hが軸方向においてアウターシャフト20のバルーン接合部24と対応する位置より基端側に配置された構成に比べて、生体内におけるバルーンカテーテル100hの先端部の位置を正確に造影することを可能にしつつ、バルーン30とX線不透過マーカー50hとの接触に起因するバルーン30の損傷を抑制することができる。
【0071】
また、上記実施形態における各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0072】
上記実施形態では、本発明を、ラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテル100に適用した構成を例示したが、いわゆるオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10:インナーシャフト 12:先端チップ 14:先端側ガイドワイヤポート 16:基端側ガイドワイヤポート 20:アウターシャフト 20a:アウターシャフト 22:シャフト本体部 24:バルーン接合部 26,26a:縮径部 26A:細径部 26B:テーパ部 28,28a:連通孔 29:突出部分 30:バルーン 32:先端部 34:基端部 36:接合部分 40:コアワイヤ 50,50a~50h:X線不透過マーカー 60:ガイドワイヤ 100,100X,100a~100h:バルーンカテーテル G:流体 K:血管 L:病変部 S1:ガイドワイヤルーメン S2:拡張ルーメン S3:内部空間