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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231130BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/09 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019125693
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021012489
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】澤野 慎
(72)【発明者】
【氏名】町田 剛太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優一
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚文
(72)【発明者】
【氏名】安達 香
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205972(JP,A)
【文献】特開2009-075647(JP,A)
【文献】特開2001-004382(JP,A)
【文献】特開2006-015885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置データおよびタイヤの空気圧データを含むモニタリングデータを複数の乗用車から受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記モニタリングデータに基づいて、各前記乗用車の前方の道路状況データを生成する演算部と、
前記演算部で生成された前記道路状況データを各前記乗用車に送信する送信部と
を備え、
前記演算部は、前記モニタリングデータに含まれる位置データに基づいて、第1の乗用車の前方道路を把握し、把握した前記前方道路に対応する位置データを含む1または複数の前記モニタリングデータに含まれる前記空気圧データが、前記第1の乗用車から得られた前記モニタリングデータに含まれる前記空気圧データよりも有意に低い場合には、前記前方道路の路面状況がウエット路面もしくは積雪路面であると推定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記演算部は、把握した前記前方道路に対応する位置データを含む1または複数の前記モニタリングデータに含まれる前記空気圧データにおいて、左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化がある場合には、前記前方道路に、カーブが多いと推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記演算部は、把握した前記前方道路に対応する位置データを含む1または複数の前記モニタリングデータに含まれる前記空気圧データに、細かな変動がある場合には、前記前方道路の路面状況が粗い路面であると推定する
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路状況を把握するために、例えば、特許文献1に記載されているような監視カメラを用いたり、温度センサや地図データなどを用いたりすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-203650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのような方法では、監視する場所が、監視カメラや温度センサなどを設置した箇所に限定されてしまい、監視カメラや温度センサなどが設置されていない場所の道路状況を把握することが難しい。任意の場所の道路状況を把握することの可能な情報処理装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る情報処理装置は、受信部と、演算部と、送信部とを備えている。受信部は、位置データおよびタイヤの空気圧データを含むモニタリングデータを複数の乗用車から受信する。演算部は、受信部で受信したモニタリングデータに基づいて、各乗用車の前方の道路状況データを生成する。送信部は、演算部で生成された道路状況データを各乗用車に送信する。演算部は、モニタリングデータに含まれる位置データに基づいて、第1の乗用車の前方道路を把握し、把握した前方道路に対応する位置データを含む1または複数のモニタリングデータに含まれる空気圧データが、第1の乗用車から得られたモニタリングデータに含まれる空気圧データよりも有意に低い場合には、前方道路の路面状況がウエット路面もしくは積雪路面であると推定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る車両、情報処理装置および情報処理システムによれば、任意の場所の道路状況を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る道路状況予測システムの概略構成例を表す図である。
図2】各車両に搭載された道路状況予測装置の機能ブロック例を表す図である。
図3】モニタリングデータの一例を概念で表す図である。
図4】サーバ装置の機能ブロック例を表す図である。
図5】各車両における処理手順の一例を表す図である。
図6】サーバ装置における処理手順の一例を表す図である。
図7】学習モデルの学習に係る処理手順の一例を表す図である。
図8】サーバ装置の機能ブロックの一変形例を表す図である。
図9】道路状況予測装置の機能ブロックの一変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.背景
2.実施の形態
・クラウド上の道路状況予測モデルを用いて
道路状況の予測を行う例
3.変形例
・クラウド上の道路状況予測プログラムを用いて
道路状況の予測を行う例
・各車両に、車両特性を制御する装置を設けた例
【0011】
<1.背景>
従来から、道路状況を把握するために、例えば、監視カメラを用いたり、温度センサや地図データなどを用いたりすることが行われている。しかし、そのような方法では、監視する場所が、監視カメラや温度センサなどを設置した箇所に限定されてしまい、監視カメラや温度センサなどが設置されていない場所の道路状況を把握することが難しい。
【0012】
そこで、以下では、他車の空気圧データに着目し、他車の空気圧データに基づいて、自車両の前方の道路状況を予測することの可能な道路状況予測システムについて説明する。この道路状況予測システムでは、他車の空気圧データに基づいて得られた、自車両の前方の道路状況をユーザに報知することで、より安全な運転を実現することを可能にする。
【0013】
<2.実施の形態>
[概略構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る道路状況予測システム100の概略構成の一例を表したものである。道路状況予測システム100は、他車の空気圧データに基づいて、自車両の前方の道路状況データ403A(後述)を生成し、ドライバに報知するシステムである。道路状況予測システム100は、複数の車両200と、サーバ装置400とを備えている。道路状況予測システム100が、本開示の「情報処理システム」の一具体例に相当する。車両200が、本開示の「車両」の一具体例に相当する。サーバ装置400が、本開示の「情報処理装置」の一具体例に相当する。
【0014】
車両200は、例えば、図1に示したような4輪自動車である。なお、車両200は、4輪自動車に限られるものではなく、例えば、2輪自動車などであってもよい。図1には、3台の車両200(200A,200B,200C)が例示されている。
【0015】
複数の車両200と、サーバ装置400とは、ネットワーク300に接続されている。図1には、3台の車両200がネットワーク300に接続され、1台のサーバ装置400がネットワーク300に接続されている場合が例示されている。各車両200は、ネットワーク300を介してサーバ装置400と通信することができるように構成されている。サーバ装置400は、ネットワーク300を介して各車両200と通信することができるように構成されている。
【0016】
ネットワーク300は、例えば、インターネットで標準的に利用されている通信プロトコル(TCP/IP)を用いて通信を行う通信ネットワークである。ネットワーク300は、例えば、そのネットワーク独自の通信プロトコルを用いて通信を行うセキュアなネットワークであってもよい。
【0017】
(車両200)
車両200は、例えば、道路状況予測装置210を有している。道路状況予測装置210は、例えば、図2に示したように、通信部211と、空気圧計測装置212と、位置計測装置213と、報知部214と、記憶部215と、制御部216とを有している。
【0018】
通信部211が、本開示の「受信部」「第1受信部」「送信部」「第1送信部」の一具体例に相当する。報知部214が、本開示の「報知部」の一具体例に相当する。制御部216が、本開示の「演算部」「第1演算部」の一具体例に相当する。
【0019】
空気圧計測装置212、位置計測装置213および報知部214のうち少なくとも1つは、道路状況予測装置210とは別体で車両200に設けられていてもよい。この場合、道路状況予測装置210は、例えば、空気圧計測装置212、位置計測装置213および報知部214のうち、道路状況予測装置210とは別体で車両200に設けられたものと通信可能に構成されている。
【0020】
通信部211は、ネットワーク300を介してサーバ装置400と通信するための通信インターフェースである。通信部211は、例えば、ネットワーク300を介してサーバ装置400とデータのやり取りを行う。通信部211は、例えば、自車両が走行している間、定期的に、モニタリングデータ216A(後述)をサーバ装置400に送信する。通信部211は、例えば、サーバ装置400に対して送信したモニタリングデータ216Aに対する応答として、自車両の前方の道路状況データ403Aをサーバ装置400から受信する。
【0021】
空気圧計測装置212は、自車両のタイヤ220の空気圧を計測する圧力計である。空気圧計測装置212は、自車両の各タイヤ220(少なくとも前輪または後輪の左右のタイヤ)の空気圧を計測し、それにより得られた計測値(空気圧データ)を制御部216に出力する。空気圧計測装置212は、例えば、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS)であってもよいし、車両200を駆動するエンジンもしくはモータのトルクから計算によって導出する演算部であってもよい。
【0022】
位置計測装置213は、自車両の位置および現在時刻を計測し、それにより得られた計測値(位置データおよび現在時刻データ)を制御部216に出力する。位置計測装置213は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機である。
【0023】
報知部214は、制御部216から入力された道路状況データ403Aに基づいて、自車両の前方の道路状況を報知する。報知部214は、例えば、有機EL(electro-luminescenc)パネル、または、液晶パネルを含んで構成されている。報知部214は、例えば、制御部216から入力された道路状況データ403Aに基づく、自車両の前方の道路状況を含む映像を表示することにより、ユーザに自車両の前方の道路状況を報知する。
【0024】
記憶部215は、制御部216によって実行されるプログラム215Aを記憶している。プログラム215Aは、自車両の前方の道路状況をユーザに報知するための一連の手順を制御部216に実行させる。プログラム215Aが制御部216に実行させる一連の手順については、後に詳述する。
【0025】
記憶部215は、さらに、自車両を識別する識別子である識別データ215Bを記憶している。記憶部215は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)等によって構成される。
【0026】
制御部216は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成されており、例えば、記憶部215に記憶されたプログラム215Aを実行する。制御部216は、道路状況予測装置210の動作を制御する。制御部216は、例えば、プログラム215Aに記述された、自車両の前方の道路状況をユーザに報知するための一連の手順を実行する。
【0027】
制御部216は、例えば、図3に示したように、位置データLD、空気圧データPDおよび識別データ215Bを含むモニタリングデータ216Aを生成し、通信部211を介してサーバ装置400に送信する。制御部216は、例えば、空気圧計測装置212から取得した空気圧データに基づいて空気圧データPDを生成する。制御部216は、例えば、位置計測装置213から取得した位置データに基づいて位置データLDを生成する。制御部216は、例えば、自車両の前方の道路状況データ403Aを、通信部211を介してサーバ装置400から受信する。制御部216は、例えば、道路状況データ403Aを含む映像信号を生成し、報知部214に出力する。
【0028】
(サーバ装置400)
サーバ装置400は、例えば、図4に示したように、通信部401と、記憶部402と、制御部403とを有している。通信部401が、本開示の「受信部」「第2受信部」「送信部」「第2送信部」の一具体例に相当する。制御部403が、本開示の「演算部」「第2演算部」の一具体例に相当する。
【0029】
通信部401は、ネットワーク300を介して各車両200と通信するための通信インターフェースである。通信部401は、例えば、モニタリングデータ216Aを、複数の車両200から受信し、受信したモニタリングデータ216Aを、制御部403に入力する。通信部401は、制御部403で生成された道路状況データ403Aを車両200に送信する。
【0030】
記憶部402は、道路状況予測モデル402Aを記憶している。記憶部402には、ネットワーク300を介して各車両200から取得した複数のモニタリングデータ216Aを含むモニタリングデータ402Bが記憶される。記憶部402は、例えば、RAM、ROM、補助記憶装置(ハードディスク等)等によって構成される。
【0031】
道路状況予測モデル402Aは、モニタリングデータ216Aが入力されると、入力されたモニタリングデータ216Aに基づいて、道路状況データ403Aを生成(出力)する。道路状況予測モデル402Aは、例えば、モニタリングデータ216Aが入力されることにより、入力されたモニタリングデータ216Aに応じた道路状況データ403Aを出力する学習モデルである。学習モデルは、例えば、車両200から得られたモニタリングデータ216Aを用いて機械学習が行われたモデルである。
【0032】
制御部403は、例えば、通信部401で受信したモニタリングデータ216Aに基づいて、道路状況データ403Aを生成する。制御部403は、例えば、通信部401およびネットワーク300を介して、ある車両200から、モニタリングデータ216Aを取得すると、取得したモニタリングデータ216Aを道路状況予測モデル402Aに入力することにより、道路状況予測モデル402Aから道路状況データ403Aを取得する。制御部403は、例えば、道路状況予測モデル402Aから取得した道路状況データ403Aを通信部401に出力する。通信部401は、道路状況データ403Aを、モニタリングデータ216Aを送信してきた車両200に、ネットワーク300を介して送信する。
【0033】
制御部403は、例えば、モニタリングデータ216Aに含まれる位置データLDに基づいて、第1の車両(車両200A)の前方道路を把握し、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに基づいて、車両200Aの前方道路の路面状況およびカーブ状況のうち少なくとも一方を推定し、推定により得られた状況を車両200Aの道路状況データ403Aとする。このとき、通信部401は、そのようにして得られた道路状況データ403Aを車両200Aに送信する。
【0034】
制御部403は、例えば、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDにおいて、左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化がある場合には、車両200Aの前方道路に、カーブが多いと推定する。
【0035】
制御部403は、例えば、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDが、車両200Aから得られたモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDよりも有意に低い場合には、車両200Aの前方道路の路面状況がウエット路面もしくは積雪路面であると推定する。
【0036】
制御部403は、例えば、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDに、細かな変動がある場合には、車両200Aの前方道路の路面状況が粗い路面であると推定する。
【0037】
制御部403は、例えば、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDに、急激な変化がない判断した場合には、車両200Aの前方道路には変化はないと推定する。
【0038】
(車両200で行う処理)
次に、車両200で行う処理手順について説明する。図5は、車両200で行う処理手順の一例を表したものである。
【0039】
まず、ユーザは、車両200を始動する(ステップS101)。すると、制御部216は、記憶部215からプログラム215Aを読み出して、制御部216にロードする。プログラム215Aがロードされた制御部216は、自車両の前方の道路状況をユーザに報知するための一連の手順を実行する。
【0040】
制御部216は、まず、空気圧計測装置212を介した自車両のタイヤの空気圧のモニタリングを開始する(ステップS102)。制御部216は、さらに、位置計測装置213を介した自車両の現在位置のモニタリングを開始する(ステップS102)。自車両が走行を開始すると(ステップS103;Y)、制御部216は、空気圧計測装置212から得られた空気圧データと、位置計測装置213から得られた現在位置データとに基づいて、位置データLD、空気圧データPDおよび識別データ215Bを含むモニタリングデータ216Aを生成する。制御部216は、生成したモニタリングデータ216Aを、通信部211に出力する。通信部211は、制御部216で生成されたモニタリングデータ216Aを、ネットワーク300を介してサーバ装置400に送信する(ステップS104)。
【0041】
通信部211は、サーバ装置400に送信したモニタリングデータ216Aに対する応答として、サーバ装置400から、自車両の前方の道路状況データ403Aを受信する(ステップS105)。通信部211は、受信した道路状況データ403Aを制御部216に出力する。制御部216は、受信した道路状況データ403Aと、道路状況データ403Aに応じた注意喚起情報216Bとを報知部214に出力する。制御部216は、例えば、注意喚起情報216Bを含む映像信号を報知部214に出力する。報知部214は、制御部216から入力された道路状況データ403Aに基づいて、自車両の前方の道路状況を報知する。報知部214は、さらに、制御部216から入力された注意喚起情報216Bを報知する(ステップS106)。報知部214は、例えば、注意喚起情報216Bを含む映像を表示画面に表示することにより、ユーザに対して注意喚起を行う。
【0042】
(サーバ装置400で行う処理)
次に、サーバ装置400で行う処理手順について説明する。図6は、サーバ装置400で行う処理手順の一例を表したものである。
【0043】
まず、サーバ装置400において、制御部403は、車両200Aから、通信部401を介してモニタリングデータ216Aを受信する(ステップS201)。制御部403は、車両200Aから受信したモニタリングデータ216Aに含まれる位置データLDに基づいて、第1の車両(車両200A)の前方道路を把握し、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDを取得する(ステップS202)。
【0044】
制御部403は、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDに、急激な変化があるか否かを判定する(ステップS203)。その結果、急激な変化がない場合には、制御部403は、車両200Aの前方道路には変化はないと推定する(ステップS204)。
【0045】
一方、急激な変化がある場合には、制御部403は、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDにおいて、左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化があるか否かを判定する(ステップS205)。左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化がある場合には、制御部403は、車両200Aの前方道路に、カーブが多いと推定し(ステップS206)、その推定内容を含む道路状況データ403Aを生成する(ステップS207)。通信部401は、制御部403で生成された道路状況データ403Aを、ネットワーク300を介して車両200Aに送信する(ステップS207)。
【0046】
左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化がない場合には、制御部403は、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDが、車両200Aから得られたモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDよりも有意に低いか否かを判定する(ステップS208)。その結果、有意に低い場合には、制御部403は、車両200Aの前方道路の路面状況がウエット路面もしくは積雪路面であると推定し(ステップS209)、その推定内容を含む道路状況データ403Aを生成する(ステップS207)。通信部401は、制御部403で生成された道路状況データ403Aを、ネットワーク300を介して車両200Aに送信する(ステップS207)。
【0047】
有意に低くない場合には、制御部403は、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDに、細かな変動があるか否かを判定する(ステップS210)。その結果、細かな変動がある場合には、制御部403は、車両200Aの前方道路の路面状況が粗い路面であると推定し(ステップS211)、その推定内容を含む道路状況データ403Aを生成する(ステップS207)。通信部401は、制御部403で生成された道路状況データ403Aを、ネットワーク300を介して車両200Aに送信する(ステップS207)。
【0048】
細かな変動がない場合には、制御部403は、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aを送信してきた1または複数の車両200(例えば車両200B)に異常ありと推定し(ステップS212)、その推定内容に対応する異常信号403Bを生成する(ステップS213)。通信部401は、制御部403で生成された異常信号403Bを、ネットワーク300を介して、車両200Bに送信する(ステップS213)。
【0049】
(学習モデルの学習)
次に、学習モデルの学習手順について説明する。図7は、学習モデルの学習に係る処理手順の一例を表したものである。
【0050】
通信部401は、モニタリングデータ216Aを車両200から受信する(ステップS301)。通信部401は、受信したモニタリングデータ216Aを制御部403に出力するとともに、記憶部402のモニタリングデータ402B内に格納する。次に、制御部403は、受信したモニタリングデータ216Aを用いて、道路状況予測モデル402Aに対する機械学習を行う(ステップS302)。制御部403は、モニタリングデータ216Aを道路状況予測モデル402Cに入力することにより、道路状況予測モデル402Cに対する機械学習を行う。なお、記憶部402のモニタリングデータ402B内に、あらかじめ、複数のモニタリングデータ216Aが格納されている場合には、制御部403は、記憶部402のモニタリングデータ402B内に格納されている複数のモニタリングデータ216Aを順次、道路状況予測モデル402Aに入力することにより、道路状況予測モデル402Aに対する機械学習を行ってもよい。
【0051】
[効果]
次に、本実施の形態に係る道路状況予測システム100の効果について説明する。
【0052】
本実施の形態では、空気圧計測装置212および位置計測装置213から得られた各種データに基づいて、位置データLDおよび空気圧データPDを含むモニタリングデータ216Aが生成され、サーバ装置400送信される。その結果、送信したモニタリングデータ216Aに基づく道路状況データ403Aをサーバ装置400から受信することで、ユーザは、道路状況データ403Aに基づいた、自車両の前方の道路状況を把握することができる。従って、ユーザは、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態では、自車両が走行している間、定期的に、モニタリングデータ216Aがサーバ装置400送信される。これにより、ユーザは、自車両の前方の道路状況を素早く把握することができる。従って、ユーザは、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態では、モニタリングデータ216Aとして、位置データLD、空気圧データPDおよび識別データ215Bがサーバ装置400に送信される。これにより、車種やタイヤ種類に応じた道路状況データ403Aを得ることができるので、ユーザは、より精度の高い推奨空気圧の情報を取得することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、通信部211によって、ネットワーク300を介したサーバ装置400とのデータのやり取りが行われる。これにより、車両200ごとに、サーバ装置400と同等の機能のものを設置する必要が無くなるので、製品コストを低減することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、位置データLDおよび空気圧データPDを含むモニタリングデータ216Aを複数の車両200から受信し、受信したモニタリングデータ216Aに基づいて、各車両200の前方の道路状況データ403Aが生成される。これにより、生成した道路状況データ403Aを、モニタリングデータ216Aを送信してきた各車両200に送信することができる。その結果、それぞれのユーザは、道路状況データ403Aに基づいた、自車両の前方の道路状況を把握することができる。従って、それぞれのユーザは、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態では、モニタリングデータ216Aに含まれる位置データLDに基づいて、第1の車両(車両200A)の前方道路が把握され、把握された前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに基づいて、車両200Aの前方道路の路面状況およびカーブ状況のうち少なくとも一方が推定され、推定により得られた状況が車両200Aの道路状況データ403Aとなる。そのようにして得られた道路状況データ403Aが車両200Aに送信される。これにより、ユーザは、車両200Aの前方の道路状況を具体的に把握することができるので、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態では、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDにおいて、左タイヤの空気圧データと、右タイヤの空気圧データとで連続した変化がある場合には、車両200Aの前方道路に、カーブが多いと推定され、推定により得られた状況が車両200Aの道路状況データ403Aとなる。そのようにして得られた道路状況データ403Aが車両200Aに送信される。これにより、ユーザは、車両200Aの前方の道路状況を具体的に把握することができるので、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0059】
また、本実施の形態では、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDが、車両200Aから得られたモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDよりも有意に低い場合には、車両200Aの前方道路の路面状況がウエット路面もしくは積雪路面であると推定され、推定により得られた状況が車両200Aの道路状況データ403Aとなる。そのようにして得られた道路状況データ403Aが車両200Aに送信される。これにより、ユーザは、車両200Aの前方の道路状況を具体的に把握することができるので、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態では、把握した前方道路に対応する位置データLDを含む1または複数のモニタリングデータ216Aに含まれる空気圧データPDに、細かな変動がある場合には、車両200Aの前方道路の路面状況が粗い路面であると推定され、推定により得られた状況が車両200Aの道路状況データ403Aとなる。そのようにして得られた道路状況データ403Aが車両200Aに送信される。これにより、ユーザは、車両200Aの前方の道路状況を具体的に把握することができるので、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、位置データLDおよび空気圧データPDを含むモニタリングデータ216Aが生成され、サーバ装置400に送信される。これにより、サーバ装置400において、受信したモニタリングデータ216Aに基づいて道路状況データ403Aが生成され、生成された道路状況データ403Aがサーバ装置400から車両200に送信される。その結果、ユーザは、道路状況データ403Aに基づいた、自車両の前方の道路状況を把握することができる。従って、ユーザは、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0062】
<3.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0063】
[変形例A]
上記実施の形態において、例えば、図8に示したように、道路状況予測モデル402Aの代わりに、道路状況予測プログラム402Cが記憶部402に記憶されていてもよい。道路状況予測プログラム402Cは、道路状況データ403Aを生成するための一連の手順を制御部403に実行させる。制御部403は、道路状況予測プログラム402Cに基づいて、通信部401で受信したモニタリングデータ216Aから道路状況データ403Aを得る。制御部403は、記憶部402から道路状況予測プログラム402Cを読み出して、制御部403にロードする。道路状況予測プログラム402Cがロードされた制御部403は、道路状況データ403Aを生成するための一連の手順を実行することにより、道路状況データ403Aを生成する。
【0064】
このように、本変形例では、道路状況予測モデル402Aの代わりに、道路状況予測プログラム402Cを用いて、モニタリングデータ216Aから道路状況データ403Aが得られる。このようにした場合であっても、ユーザは、道路状況データ403Aに基づいた、自車両の前方の道路状況を把握することができる。従って、ユーザは、自車両の前方の道路状況を考慮した、より安全な運転を行うことができる。
【0065】
[変形例B]
また、上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図9に示したように、道路状況予測装置210が、道路状況データ403Aに基づいて車両特性を制御する車両特性制御装置217を更に有していてもよい。このようにした場合、制御部216が車両特性制御装置217に対して、道路状況データ403Aに応じた制御信号を入力することにより、車両特性制御装置217は、制御部216から入力された制御信号に基づいて、例えば、FF駆動から4WD駆動に駆動機構を変更したり、その逆に、4WD駆動からFF駆動に駆動機構を変更したりすることができる。
【0066】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0067】
100…道路状況予測システム、200,200A,200B,200C…車両、210…道路状況予測装置、211…通信部、212…空気圧計測装置、213…位置計測装置、214…報知部、215…記憶部、215A…プログラム、215B…識別データ、216…制御部、216A…モニタリングデータ、216B…注意喚起情報、300…ネットワーク、400…サーバ装置、401…通信部、402…記憶部、402A…道路状況予測モデル、402B…モニタリングデータ、402C…道路状況予測プログラム、403…制御部、403A…道路状況データ、403B…異常信号、LD…位置データ、PD…空気圧データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9