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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】廻り階段及び廻り階段の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/022 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E04F11/022
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019138732
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021021256
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小曽根 翔士
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-131738(JP,A)
【文献】実開平02-040837(JP,U)
【文献】特開2005-315031(JP,A)
【文献】特開2003-138715(JP,A)
【文献】特開2002-206320(JP,A)
【文献】特開2004-116088(JP,A)
【文献】米国特許第04655017(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段であって、
上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられ、
上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、
上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、該踏板側位置決め部は、踏板下面に形成された凹溝であり、
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備え、
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に嵌合することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、
上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、上記踏板下面の凹溝に嵌合する凸条であり、
上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されている廻り階段。
【請求項2】
芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段であって、
上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられ、
上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、
上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、該踏板側位置決め部は、踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットを含み、
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備え、
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に螺合することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、
上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、載置部の貫通状態で上記複数の埋込ナットにそれぞれ螺合して踏板の内端部を載置部に固定する固定ボルトを含んでおり、
上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されている廻り階段。
【請求項3】
芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段であって、
上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられ、
上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、
上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、
上記踏板側位置決め部は、踏板下面に形成された凹溝と、踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットとを含み、
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備え、
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に嵌合及び螺合することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、
上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、上記踏板下面の凹溝に嵌合する凸条と、上記載置部の貫通状態で上記複数の埋込ナットにそれぞれ螺合して踏板の内端部を載置部に固定する固定ボルトとを含んでおり、
上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されている廻り階段。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つにおいて、
踏板受け具の取付部は、芯柱の取付位置に配置された状態で上端部又は下端部が該取付部の上側又は下側に隣接する他の踏板受け具の取付部と当接するように縦長形状に設けられている廻り階段。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つにおいて、
踏板受け具の取付部は、芯柱の角部に密着状態で係合する断面L字状の溝部を有する廻り階段。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの廻り階段を施工する方法であって、
踏板受け具を取付部で芯柱に取付固定した後、
上記踏板受け具の受け部の載置部上に踏板を踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによって位置決めして載置し、固定する廻り階段の施工方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つの廻り階段を施工する方法であって、
芯柱に取り付けられていない状態の踏板受け具の受け部の載置部上に踏板を踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによって位置決めして載置し、踏板受け具に踏板を固定した後、
上記踏板が固定された踏板受け具を取付部で芯柱に取付固定する廻り階段の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、り階段及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の踏板を芯柱の周りに放射状に配置した廻り階段は一般によく知られている。この廻り階段では、複数の踏板が上下の踏板間に蹴込板を介在して段差状に配置され、踏板の内端部は芯柱の異なる高さ位置に取付固定される。しかし、その複数の踏板の内端 部を芯柱に受け材によって施工する際の施工が難しいという問題がある。
【0003】
具体的には3つの理由があり、第1に、廻り階段において複数の踏板を配置する構造として、段鼻芯納め構造と蹴込芯納め構造とがあり、段鼻芯納め構造では、各踏板の段鼻部を通る直線が芯柱の中心を通るように配置され、一方、蹴込芯納め構造では、各踏板の下側に配置される蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される。これら両芯納め構造に応じて受け材の芯柱に対する取付位置が変化する。
【0004】
第2には、芯柱として角材が使用されるが、その芯柱の太さ(角材一辺の長さ)は複数種類に異なる場合があり、芯柱の太さに応じてやはり受け材の芯柱に対する取付位置が変化する。また、芯柱の太さが細いと、受け材の取付スペースが小さくなる。
【0005】
第3には、廻り階段外側に位置する側板(側桁)に踏板の外端部を納める踏板納め方式として、側板の内面に後側に開放された複数の踏板挿入溝を段差状に形成し、この踏板挿入溝に各踏板の外端部を後側から差し込んで固定する一般的な側板納め方式と、側板の上面に複数の踏板載置部を段差状に形成し、踏板の外端部を踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式とがあり、両方式の踏板の取付方向は異なっている。そのため、両方式の踏板の取付方向に違いを考慮して受け材に対する踏板の取付方向も指定する必要があり、受け材の設計が難しい。
【0006】
一方、例えば特許文献1に示されるように、芯柱に相当する壁体の側面に複数の板状の中間支持部材を取り付け、この中間支持部材に各踏板の内端部を載置固定する受け具(受け金具)を取り付けた廻り階段構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-196078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1のものでは、廻り階段外側に位置する側板に踏板の外端部を納める踏板納め方式が、側板上面の複数の踏板載置部に踏板の外端部を上から載置して固定する巾木納め方式となっている。そのため、踏板の外端部を側板の踏板挿入溝に後側から差し込んで固定する側板納め方式踏板の外端部を後側からスライドさせようとしても、中間支持部材が干渉して施工することはできない。つまり、特許文献1のものは一般的な側板納め方式に対応しておらず、問題が解決されていない。
【0009】
また、各踏板用の受け具に加えて複数の中間支持部材を必要とし、階段を構成する部材が多くなって、その分、施工工数が増え、省施工の点で難がある。しかも、中間支持部材を専用寸法で加工する必要があり、加工手間が増加する。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、廻り階段の踏板の内端部を芯柱に支持する踏板受け具の構造を工夫することにより、中間支持部材を要することなく、廻り階段の踏板の芯納め構造の違い、芯柱の太さの大小、及び廻り階段外側の側板に対する踏板納め方式の違いに拘わらず、踏板を施工できるようにして、廻り階段の施工を容易化しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的の達成のため、この発明では、予め、踏板に踏板側位置決め部を、また芯柱に取付固定される踏板受け具に受け具側位置決め部をそれぞれ設け、両位置決め部の位置合わせにより踏板の内端部を芯柱に位置決めして固定するようにした。
【0012】
具体的には、第1の発明は、芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段が対象である。
【0013】
この廻り階段では、上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられている。上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、この踏板側位置決め部は、踏板下面に形成された凹溝とされている。
【0014】
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備えている。
【0015】
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に嵌合(係合)することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、上記凹溝に嵌合する凸条とされている。
【0016】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さ(角材一辺の長さ)に応じて設定されていることを特徴とする。
【0017】
この第1の発明では、廻り階段用受け具装置は、廻り階段における少なくとも1枚の踏板に対応する少なくとも1つの踏板受け具を備え、この踏板受け具は、踏板に対応するように該踏板専用に設けられていて、その取付部により廻り階段の芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される。この取付部には受け部が突設され、この受け部の載置部に、段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の内端部が載置されて固定される。そのとき、受け部の受け具側位置決め部としての凸条が、予め踏板毎に異なる位置に設けられている踏板側位置決め部としての、踏板下面の凹溝に嵌合(係合)し、このことで踏板が踏板受け具に対し位置決め状態にされて固定される。また、踏板受け具は、踏板を支持する受け部が芯柱への取付部に突設されて、受け部と取付部とが離れて設けられているので、上記踏板の段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造による施工の違いがあっても、受け部において踏板を安定して支持できるようになり、施工の違いに容易に対応することができる。
【0018】
また、踏板側位置決め部は踏板下面の凹溝で、この凹溝に各踏板受け具の受け具側位置決め部としての凸条が嵌合することにより、踏板が踏板受け具に対し位置決めされることから、踏板下面に形成される凹溝の位置を変えるだけで、踏板側位置決め部の位置を容易に変更することができる。
【0019】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部つまり凹溝の位置と、踏板受け具における受け具側位置決め部つまり凸条の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方は、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されているので、踏板が段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造で配置されたり、或いは芯柱の太さが大小に異なったりして、踏板内端部の芯柱に対する位置が変化しても、その変化に応じるように、踏板側位置決め部(凹溝)の位置と、受け具側位置決め部(凸条)の芯柱周りの位置との少なくとも一方が変更される。このような踏板側位置決め部の位置と受け具側位置決め部の位置との変更により、芯納め構造及び芯柱の太さに拘わらず踏板に付き1種類の踏板受け具を用いることができ、踏板受け具の設計や廻り階段の施工が容易になる。
【0020】
また、階段の施工時に、踏板の外端部を側板の踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具を芯柱に取り付け、その踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を載置固定し、踏板の外端部は側板の踏板載置部に載置固定すればよい。一方、踏板の外端部を側板内面の踏板挿入溝に差し込んで固定する一般的な側板納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を固定しておき、その踏板受け具が固定された踏板の外端部を側板の踏板挿入溝に差し込んで固定し、踏板が固定された踏板受け具を芯柱に取り付ければよい。よって、踏板の外端部を納める踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板を施工することができる。
【0021】
そして、こうして廻り階段の踏板はそれに対応する1種類の踏板受け具を用いて芯柱に取り付けることができるので、従来のような中間支持部材を用いずとも済み、階段を構成する部材が少なくなって、その分、施工工数や加工手間も減り、省施工を実現することができる。
【0022】
第2の発明は、第1の発明の廻り階段と同様に、芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段が対象である。
【0023】
そして、この廻り階段では、上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられている。上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、この踏板側位置決め部は、踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットを含んでいる。
【0024】
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備えている。
【0025】
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に螺合することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、載置部の貫通状態で上記複数の埋込ナットにそれぞれ螺合して踏板の内端部を載置部に固定する固定ボルトを含んでいる。
【0026】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さ(角材一辺の長さ)に応じて設定されていることを特徴とする。
【0027】
この第2の発明でも、第1の発明と同様に、廻り階段用受け具装置は、廻り階段における少なくとも1枚の踏板に対応する少なくとも1つの踏板受け具を備え、この踏板受け具は、踏板に対応するように該踏板専用に設けられていて、その取付部により廻り階段の芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される。この取付部には受け部が突設され、この受け部の載置部に、段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の内端部が載置されて固定される。そのとき、受け部の受け具側位置決め部つまり固定ボルトが、予め踏板毎に異なる位置に設けられている踏板側位置決め部、つまり踏板に埋め込まれた埋込ナットに載置部を貫通して螺合し、このことで踏板が踏板受け具に対し位置決め状態にされて固定される。また、踏板受け具は、踏板を支持する受け部が芯柱への取付部に突設されて、受け部と取付部とが離れて設けられているので、上記踏板の段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造による施工の違いがあっても、受け部において踏板を安定して支持できるようになり、施工の違いに容易に対応することができる。
【0028】
また、こうして踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットに各踏板受け具の受け具側位置決め部としての固定ボルトが載置部を貫通して螺合することにより、踏板が芯柱に対し位置決めされることから、踏板に埋め込まれる埋込ナットの位置を変えるだけで、踏板側位置決め部を容易に変更することができる。また、埋込ナットに対する固定ボルトの螺合締結により、踏板の内端部を踏板受け具の載置部に固定することができ、その踏板と踏板受け具とを固定するための埋込ナット及び固定ボルトをそれぞれ踏板側位置決め部及び受け具側位置決め部として兼用することができる。
【0029】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部つまり埋込ナットの位置と、踏板受け具における受け具側位置決め部つまり固定ボルトの芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方は、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されているので、踏板が段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造で配置されたり、或いは芯柱の太さが大小に異なったりして、踏板内端部の芯柱に対する位置が変化しても、その変化に応じるように、踏板側位置決め部(埋込ナット)の位置と、受け具側位置決め部(固定ボルト)の芯柱周りの位置との少なくとも一方が変更される。このような踏板側位置決め部の位置と受け具側位置決め部の位置との変更により、芯納め構造及び芯柱の太さに拘わらず踏板に付き1種類の踏板受け具を用いることができ、踏板受け具の設計や廻り階段の施工が容易になる。
【0030】
また、階段の施工時に、踏板の外端部を側板の踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具を芯柱に取り付け、その踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を載置固定し、踏板の外端部は側板の踏板載置部に載置固定すればよい。一方、踏板の外端部を側板内面の踏板挿入溝に差し込んで固定する一般的な側板納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を固定しておき、その踏板受け具が固定された踏板の外端部を側板の踏板挿入溝に差し込んで固定し、踏板が固定された踏板受け具を芯柱に取り付ければよい。よって、踏板の外端部を納める踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板を施工することができる。
【0031】
そして、こうして廻り階段の踏板はそれに対応する1種類の踏板受け具を用いて芯柱に取り付けることができるので、従来のような中間支持部材を用いずとも済み、階段を構成する部材が少なくなって、その分、施工工数や加工手間も減り、省施工を実現することができる。
【0032】
第3の発明は、第1の発明の廻り階段と同様に、芯柱と、該芯柱周りに蹴込板を介在して配置される少なくとも1枚の踏板とを備え、該踏板が、踏板の段鼻部を通る直線が上記芯柱の中心を通るように配置される段鼻芯納め構造と、踏板の下側に配置される上記蹴込板を通る直線が芯柱の中心を通るように配置される蹴込芯納め構造との一方で施工される廻り階段が対象である。
【0033】
そして、この廻り階段では、上記芯柱に取付固定され、上記踏板の内端部を支持するための少なくとも1つの踏板受け具を備えた廻り階段用受け具装置が設けられている。上記踏板受け具は、上記踏板に対応するように該踏板専用に設けられており、上記踏板には、予め踏板側位置決め部が踏板毎に異なる位置に設けられ、この踏板側位置決め部は、踏板下面に形成された凹溝と、踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットとを含んでいる。
【0034】
上記踏板受け具は、芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される取付部と、該取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備えている。
【0035】
上記受け部には、上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の上記踏板側位置決め部に嵌合(係合)及び螺合することで、該踏板及び踏板受け具の間を位置決め状態にする受け具側位置決め部と、該受け具側位置決め部により踏板受け具の間で位置決め状態にされた踏板の内端部を載置して固定する載置部とが設けられ、上記踏板受け具の受け具側位置決め部は、上記踏板下面の凹溝に嵌合(係合)する凸条と、載置部の貫通状態で上記複数の埋込ナットにそれぞれ螺合して踏板の内端部を載置部に固定する固定ボルトとを含んでいる。
【0036】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部の位置と、上記踏板受け具における受け具側位置決め部の芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方が、上記芯納め構造及び芯柱の太さ(角材一辺の長さ)に応じて設定されていることを特徴とする。
【0037】
この第3の発明でも、第1の発明や第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、廻り階段用受け具装置は、廻り階段における少なくとも1枚の踏板に対応する少なくとも1つの踏板受け具を備え、この踏板受け具は、踏板に対応するように該踏板専用に設けられていて、その取付部により廻り階段の芯柱において踏板に応じた取付位置に取付固定される。この取付部には受け部が突設され、この受け部の載置部に、段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある踏板の内端部が載置されて固定される。そのとき、受け部の受け具側位置決め部としての凸条が、予め踏板毎に異なる位置に設けられている踏板側位置決め部としての、踏板下面の凹溝に嵌合(係合)するとともに、受け具側位置決め部としての固定ボルトが、予め踏板毎に異なる位置に設けられている踏板側位置決め部、つまり踏板に埋め込まれた埋込ナットに載置部を貫通して螺合する。このことで踏板が踏板受け具に対し位置決め状態にされて固定される。また、踏板受け具は、踏板を支持する受け部が芯柱への取付部に突設されて、受け部と取付部とが離れて設けられているので、上記踏板の段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造による施工の違いがあっても、受け部において踏板を安定して支持できるようになり、施工の違いに容易に対応することができる。
【0038】
また、こうして踏板側位置決め部としての踏板下面の凹溝に、各踏板受け具の受け具側位置決め部としての凸条が嵌合すること、及び踏板に埋め込まれた複数の埋込ナットに各踏板受け具の受け具側位置決め部としての固定ボルトが載置部を貫通して螺合することにより、踏板が芯柱に対し位置決めされることから、踏板での凹溝や埋込ナットの位置を変えるだけで、踏板側位置決め部を容易に変更することができる。また、埋込ナットに対する固定ボルトの螺合締結により、踏板の内端部を踏板受け具の載置部に固定できるので、その踏板と踏板受け具とを固定するための埋込ナット及び固定ボルトをそれぞれ踏板側位置決め部及び受け具側位置決め部として兼用することができる。
【0039】
そして、上記踏板における踏板側位置決め部つまり凹溝及び埋込ナットの位置と、踏板受け具における受け具側位置決め部つまり凸条及び固定ボルトの芯柱周囲方向の位置との少なくとも一方は、上記芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定されているので、踏板が段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造で配置されたり、或いは芯柱の太さが大小に異なったりして、踏板内端部の芯柱に対する位置が変化しても、その変化に応じるように、踏板側位置決め部(凹溝及び埋込ナット)の位置と、受け具側位置決め部(凸条及び固定ボルト)の芯柱周りの位置との少なくとも一方が変更される。このような踏板側位置決め部の位置と受け具側位置決め部の位置との変更により、芯納め構造及び芯柱の太さに拘わらず踏板に付き1種類の踏板受け具を用いることができ、踏板受け具の設計や廻り階段の施工が容易になる。
【0040】
また、階段の施工時に、踏板の外端部を側板の踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具を芯柱に取り付け、その踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を載置固定し、踏板の外端部は側板の踏板載置部に載置固定すればよい。一方、踏板の外端部を側板内面の踏板挿入溝に差し込んで固定する一般的な側板納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具における受け部の載置部に踏板の内端部を固定しておき、その踏板受け具が固定された踏板の外端部を側板の踏板挿入溝に差し込んで固定し、踏板が固定された踏板受け具を芯柱に取り付ければよい。よって、踏板の外端部を納める踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板を施工することができる。
【0041】
そして、こうして廻り階段の踏板はそれに対応する1種類の踏板受け具を用いて芯柱に取り付けることができるので、従来のような中間支持部材を用いずとも済み、階段を構成する部材が少なくなって、その分、施工工数や加工手間も減り、省施工を実現することができる。
【0042】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つの廻り階段において、踏板受け具の取付部は、芯柱の取付位置に配置された状態で上端部又は下端部が該取付部の上側又は下側に隣接する他の踏板受け具の取付部と当接するように縦長形状に設けられていることを特徴とする。
【0043】
この第4の発明では、踏板受け具の取付部は縦長形状であり、その取付部が芯柱に取付位置に配置されて取り付けられると、上下に隣接する2つの踏板受け具の取付部同士が当接する。このように踏板受け具を、隣接する他の踏板受け具の取付部と当接させた状態にして取り付けると、その踏板受け具は取付位置に位置決めされて取り付けられることとなり、その芯柱周囲方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0044】
第5の発明は、第1~第4の発明のいずれか1つの廻り階段において、踏板受け具の取付部は、芯柱の角部に密着状態で係合する断面L字状の溝部を有することを特徴とする。
【0045】
この第5の発明では、取付部の溝部を芯柱の角部に密着して係合させるだけで、その取付部が芯柱に対し位置決めされ、取付部を目的の取付位置に容易に取り付けることが可能となる
【0046】
の発明は、第1~第5の発明のいずれか1つの廻り階段を施工する方法であって、踏板受け具を取付部で芯柱に取付固定した後、上記踏板受け具の受け部の載置部上に踏板を踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによって位置決めして載置し、固定することを特徴とする。
【0047】
この第の発明では、廻り階段用受け具装置により廻り階段を施工する場合、最初に踏板受け具が取付部で芯柱に取付固定され、その取付後、踏板受け具の受け部の載置部上に踏板が踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによる位置決め状態で載置されて固定される。このことで、踏板の外端部を側板の踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式で施工することができる。
【0048】
の発明は、第1~第5の発明のいずれか1つの廻り階段を施工する方法であって、芯柱に取り付けられていない状態の踏板受け具の受け部の載置部上に踏板を踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによって位置決めして載置し、踏板受け具に踏板を固定した後、その踏板が固定された踏板受け具を取付部で芯柱に取付固定することを特徴とする。
【0049】
この第の発明では、廻り階段用受け具装置により廻り階段を施工する場合、最初に、踏板受け具の受け部の載置部上に踏板が踏板側位置決め部と受け具側位置決め部とによって位置決めされた状態で載置され、その状態で踏板受け具に踏板が固定される。その後、踏板の固定された踏板受け具が取付部で芯柱に取付固定される。このことで、踏板の外端部を側板内面の踏板挿入溝に差し込んで固定する側板納め方式で施工することができる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明した如く、本発明によると、廻り階段の踏板の内端部を踏板受け具によって芯柱に支持する場合に、予め踏板に踏板側位置決め部としての凹溝を形成するか埋込ナットを埋め込んでおき、踏板受け具は、芯柱に取付固定される取付部と、その取付部に突設され、踏板を受ける受け部とを備えたものとし、受け部に、段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある各踏板の踏板側位置決め部に嵌合もしくは螺合、又は嵌合及び螺合することで踏板を芯柱に対し位置決め状態にする受け具側位置決め部としての凸条や固定ボルトを設け、踏板における踏板側位置決め部の位置と、芯柱における踏板受け具の取付部の取付位置との少なくとも一方を芯納め構造及び芯柱の太さに応じて設定するようにした。このことにより、踏板の芯納め構造や芯柱の太さの違いによって踏板内端部の芯柱に対する位置が変化しても、芯納め構造及び芯柱の太さに拘わらず踏板に付き1種類の踏板受け具を用いて、踏板受け具の設計や廻り階段の施工を容易に行うことができる。また、踏板の外端部を納める踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板を施工することができる。さらに、中間支持部材を不要として階段構成部材を少なくし、施工工数や加工手間も減らして省施工を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る廻り階段用受け具装置の3つの踏板受け具を示す斜視図である。
図2図2は第1段用踏板受け具の受け具本体を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図である。
図3図3は第1段用踏板受け具のアタッチメントを示し、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
図4図4は第2段用踏板受け具を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図である。
図5図5は第3段用踏板受け具を示し、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図である。
図6図6は、第1段~第3段の踏板を示す平面図である。
図7図7は、踏板の要部拡大断面図である。
図8図8は、第1段~第3段用踏板受け具が芯柱に取り付けられた状態を後側から見て示す斜視図である。
図9図9は、段鼻芯納め構造の3段の廻り階段を左斜め後側から見た斜視図である。
図10図10は、段鼻芯納め構造の廻り階段の平面図である。
図11図11は、段鼻芯納め構造において芯柱の太さに応じて第1段~第3段用踏板受け具の凸条の位置が変更される状態を示す平面図であり、図11(a)は芯柱の太さが105mmであるときを示し、図11(b)は芯柱の太さが90mmであるときを示し、図11(c)は芯柱の太さが120mmであるときを示す。
図12図12は、芯柱の太さが105mmであるときに蹴込芯納め構造に配置された第1段~第3段用踏板の凹溝及び踏板受け具の位置が変更される状態を示す平面図である。
図13図13は、本発明の実施形態2に係る廻り階段用受け具装置の踏板受け具を示す図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0053】
(実施形態1)
図9及び図10は本発明の実施形態1に係る3段の廻り階段Sを示す。この廻り階段Sは、建物の上下階の中間部分に施工されて上側から見て時計回り方向に上がる右廻り上がり階段となっている。尚、説明では、階段Sにおいて最下段が位置する側を前とし、その反対側を後とし、左右とは前側から後側を見た状態の左右側をいうものとする。
【0054】
廻り階段Sは、その回り方向内側の中心部に位置する芯柱1(センター柱)を有し、図10に示すように、この芯柱1の左側には1本の前柱2が芯柱1に対し一定の間隔(中心間の距離が例えば1000mm)を空けて直列に並ぶように立設されている。また、芯柱1及び前柱2の真後ろの位置にはそれぞれ2本の後柱3,3が左右方向に一定の間隔(同様に例えば1000mm)を空けて直列に並ぶように立設されている。すなわち、芯柱1及び前柱2と後柱3,3とはそれぞれ前後に対応した位置にあり、それらの前後間隔は、芯柱1と前柱2との間、及び後柱3,3間の左右方向の間隔と同じ(同様に例えば1000mm)とされている。芯柱1、前柱2及び後柱3はいずれも例えば一辺(角材一辺の長さ)が105mmの断面正方形状の木質材からなる管柱である。尚、芯柱1、前柱2及び後柱3は断面長方形状のものであってもよい。
【0055】
上記前柱2及び左側後柱3の右側には、両柱2,3間に亘って前後方向に延びる石膏ボード等からなる左壁下地材6が配置されている。この左壁下地材6は、例えば両柱2,3の右側面にビス等により固定されている。また、後側の2本の柱3,3の前側には、それらの柱3,3間に亘って左右方向に延びる石膏ボード等からなる後壁下地材7が配置されている。この後壁下地材7は、例えば左端部が上記左壁下地材6の右面に突き当てられた状態で、右端部において右側の後柱3の前側面にビス等により固定されている。
【0056】
上記芯柱1の左面及び後面の周りには、下段から上段に向かって平面視で90°の角度範囲に亘り時計回り方向に順に高くなる第1段~第3段の3枚の木質材からなる踏板11~13が所定の角度間隔(基本的に30°)をあけて施工されている。図では、廻り階段Sにおける第1段~第3段(その踏板11~13も含む)をそれぞれ丸数字にて示している。
【0057】
図9に示すように、廻り階段Sの最下段である第1段の踏板11には、廻り階段Sの下側に位置しかつ後上がりの下側直階段S1の上端部が接続されている。一方、最上段である第3段の踏板13には、踏面の広い踊り場(図示せず)を経て、下側直階段S1と平行で前上がりの上側直階段S2の下端部が接続されている。
【0058】
図6(a)は上記第1段の踏板11を、また図6(c)は第3段の踏板13をそれぞれ上側(表側)から見た状態で示しており、これらは略三角形の板材からなる。図6(b)は第2段の踏板12を同様に示しており、この踏板12は略菱形の板材からなる。いずれも内端角部を直線状又はL字状に切り欠いた形状となっており、図10に示すように、その外端部は上記壁下地材6,7に当接し、内端部は切欠部で上記芯柱1に当接している。また、各踏板11~13は下段側の端部に段鼻部15が形成されている。
【0059】
図6及び図7に示すように、各踏板11~13の下面(裏面)において、段鼻部15から「鼻の出」と呼ばれる一定寸法L(例えば30mm)だけ離れた位置には、段鼻部15と平行に延びる一定溝幅(例えば6mm)の蹴込板挿入溝16が踏板11~13の長さ方向全体に亘り形成されており、この蹴込板挿入溝16に蹴込板21(図9図12参照)の上端部が嵌合され、蹴込板21の下端部は下段側の踏板11,12において段鼻部15と反対側端部に固定されるようになっている。
【0060】
また、各踏板11~13の下面において、上記蹴込板挿入溝16に対し段鼻部15と反対側部分には、蹴込板挿入溝16と略平行に並ぶように配置された例えば2つ(複数)の埋込ナット18,18が埋め込まれて固定されている。この各埋込ナット18は、外周に複数の突起が突設された「鬼目ナット」と呼ばれるもので、踏板11~13下面の有底穴に打ち込みや圧入、ねじ込み等により嵌め込まれて回転不能に抜止め固定されている。各踏板11~13に対する蹴込板挿入溝16の形成や埋込ナット18,18の埋込みは、後述する凹溝19(踏板側位置決め部)の形成と共に、階段Sの施工現場ではなくて製造時に行われる。図7中、17は踏板11~13の段鼻部15近くの上面に形成された溝状の滑り止め部である。
【0061】
3段の踏板11~13の外端部は、通常一般の廻り階段と同様に側板納め方式、又は巾木納め方式によって固定支持されている。図9及び図10は側板納め方式の固定支持構造を示しており、その固定支持構造について説明すると、左壁下地材6の右面に左側板23が前柱2及び左側の後柱3に固定支持された状態で配置され、この左側板23に、後側の方が高い水平方向の前後2段の踏板挿入溝25,25が段差状に形成されている。両踏板挿入溝25,25は後側に開放されており、前側の踏板挿入溝25に第1段の踏板11の外端部が、また前側の踏板挿入溝25よりも高い後側の踏板挿入溝25に第2段の踏板12の外端部の左側部がそれぞれ後側から挿入されて固定されている。また、後壁下地材7の前面には後側板24が2本の後柱3,3に固定支持された状態で配置され、この後側板24には、右側に向かって順に高くなる水平方向の2段の踏板挿入溝25,25が段差状に形成されている。両踏板挿入溝25,25は右側に開放され、左側の踏板挿入溝25は上記左側板20の後段の踏板挿入溝25と同じ高さ位置に連続するように形成されており、その左側の踏板挿入溝25に第2段の踏板12の外端部の後側部が、また右側の踏板挿入溝25に第3段の踏板13の外端部がそれぞれ右側から挿入されて固定されている。
【0062】
尚、図示しないが、左側板23には鉛直方向の2つの蹴込板挿入溝が、また後側板24には同様の1つの蹴込板挿入溝がそれぞれ踏板挿入溝25と連続するように形成されており、この3つの蹴込板挿入溝にそれぞれ各踏板11~13下側の上記蹴込板21の外端部が嵌合される。
【0063】
一方、巾木納め方式の固定支持構造では、図示しないが、左側板23及び後側板24は上部が段差状に切り欠かれ、このことで上端部に、上記側板納め方式の固定支持構造における踏板挿入溝25と同じ高さの踏板支持部が形成されている。すなわち、左側板23の上端部に、後側の方が高い水平方向の前後2段の踏板支持部が段差状に形成され、前側の踏板支持部に第1段の踏板11の外端部が、またこの前側の踏板支持部よりも高い後側の踏板支持部に第2段の踏板12の外端部の左側部がそれぞれ上側から載置されて固定されている。また、後側板24の上端部には、右側に向かって順に高くなる水平方向の2段の踏板支持部が段差状に形成され、左側の踏板支持部は左側板23の後段の踏板支持部と同じ高さ位置に連続するように形成され、その左側の踏板支持部に第2段の踏板12の外端部の後側部が、また右側の踏板支持部に第3段の踏板13の外端部がそれぞれ上側から載置されて固定されている。
【0064】
また、図10に示すように、廻り階段Sは、上記3段の踏板11~13が段鼻芯納め構造で施工されていて、各踏板11~13の段鼻部15を通る仮想の直線がいずれも上記芯柱1の中心Oを通るように配置されている。
【0065】
本発明の特徴として、図6及び図7に示すように、各踏板11~13の下面(裏面)の内端寄り部分において、蹴込板挿入溝16と2つの埋込ナット18,18との間の部分には、蹴込板挿入溝16と平行に延びる短い長さの1本の凹溝19が形成されている。この凹溝19は踏板側位置決め部をなすもので、踏板11~13毎に異なる位置に配置され、その長さ方向の一端部は踏板11~13の内端部に開口している。
【0066】
一方、図8に示すように、上記芯柱1の後面には第1段用~第3段用の上下3つの踏板受け具31~33が上下に間隔を空けた状態で固定支持されている。第1段用踏板受け具31は第1段踏板11に、また第2段用踏板受け具32は第1段踏板12に、さらに第3段用踏板受け具33は第1段踏板13にそれぞれ対応するように専用に設けられている。これらの踏板受け具31~33は、それぞれ上面(後述する載置部48の上面)が上記側板23,24における4つの踏板挿入溝25,25,…(高さ位置は3つ)と同じ高さ位置となるように配置され、下側の第1段用踏板受け具31の上面に第1段の踏板11の内端部が、また上下中間の第2段用踏板受け具32の上面に第2段の踏板12の内端部が、さらに上側の第3段用踏板受け具33の上面に第3段の踏板13の内端部がそれぞれ載置されて固定されている。すなわち、3つの踏板受け具31~33は、廻り階段Sの芯柱1の異なる高さ位置に取付固定されていて、芯柱1周りに蹴込板21を介在して段差状に配置される3枚の踏板11~13の内端部をそれぞれ支持する。そして、図1に示すように、これら3つの踏板受け具31~33の組み合わせによって廻り階段用受け具装置Aが構成されている。
【0067】
上記各踏板受け具31~33はいずれも例えば鉄製のもので、芯柱1において各踏板11~13に応じた取付位置に取付固定される取付部35と、この取付部35に平面視で踏板受け具31~33毎に異なる所定の角度をなすように突設され、踏板11~13を受ける受け部46とを備えている。
【0068】
具体的には、図1の下部に示すように、第1段用踏板受け具31は、受け具本体37と、この受け具本体37に一体的に溶接固定されるアタッチメント40とからなる。受け具本体37は、図2に示すように、上下方向に見て直角に折り曲げられた断面略L字状の板材からなり、その一側に上下方向に延びる縦長の矩形板状の連結部38を有するアタッチメント40は、図3に示すように、上下方向に見て直角に折り曲げられた断面L字状の縦長板材からなり、その一側が連結部41とされている。受け具本体37及びアタッチメント40の連結部38,41同士を折り曲げ外面で重ね合わせて溶接することにより(図2(a)参照)、アタッチメント40を受け具本体37に連結して一体化するようにしている。
【0069】
尚、アタッチメント40を受け具本体37にネジ止めにより連結一体化してもよい。その場合、図示しないが、例えば受け具本体37及びアタッチメント40の連結部38,41の一方に、上下に並んだ例えば3つの連結孔を貫通形成する一方、他方に上下に並んだ例えば3つを1組とする例えば3組(合計9つ)の連結孔を水平方向に一定間隔をあけて並んだ状態で貫通形成し、それら3組のうちの1組の3つの連結孔をそれぞれ受け具本体の3つの連結孔と一致させ、その一致した連結孔に連結ビスを挿通させてナットと螺合締結することにより、アタッチメント40を受け具本体37に連結して一体化するようにしてもよい。そのときに、両連結部38,41の他方に貫通形成される水平方向に一定間隔をあけて並んだ連結孔を一体的に接続することで、水平方向に延びる長孔にしてもよい。
【0070】
こうすれば、両連結部38,41の一方の3つの連結孔と一致する他方の連結孔の組を異ならせるか、長孔の位置を異ならせるかして、両連結部38,41の連結位置を相対的にずらしてアタッチメント40に対する受け具本体37の前後位置、つまり凸条54(受け具側位置決め部)の芯柱1周囲方向の位置である前後位置を変更することができる。そして、第1段用踏板受け具31において、載置部48や凸条54の位置を変えるときには、アタッチメント40の固定部43による芯柱1後面での取付位置を変えずに、アタッチメント40の連結部41における連結孔の組を変えて受け具本体37の連結部38とアタッチメント40の連結部41との相対位置を変えればよく、その載置部48や凸条54の位置変更も容易となる。
【0071】
アタッチメント40の他側は矩形板状の固定部43とされ、その固定部43には上下方向に並んだ4つの取付孔44,44,…が貫通形成されている。そして、受け具本体37の連結部38と、その連結部38に連結されるアタッチメント40の連結部41と、その固定部43とで上記取付部35が構成されている。そして、図8図10及び図11(a)に示すように、アタッチメント40の固定部43を折り曲げ外面で芯柱1の下部後面の左側に当接させ、そのときに連結部41の折り曲げ外面が芯柱1の左面と面一状に並ぶように配置し、その状態で固定部43の取付孔44,44,…に取付ビスV(図8参照)を挿通させて芯柱1に螺合締結することで、第1段用踏板受け具31を芯柱1に取付固定するようにしている。また、そのとき、取付部35は、受け具本体37の連結部38とアタッチメント40の固定部43との間に形成される断面L字状の溝部45(V溝)を有し(図1図2仮想線参照)、取付部35の芯柱1への取付状態では、この溝部45に芯柱1の後側左角部が密着状態で係合される。
【0072】
上記受け具本体37は、連結部38に直角に連続して上下方向に延びる略3角形板状の上記受け部46を有する。このことで、受け部46は取付部35と平行で、取付部35に対し180°の角度をなすように突出している。
【0073】
受け部46の中央部は、軽量化のために外周縁に沿って3角形状に打ち抜かれている。この受け部46において、連結部38から離れた側の先端部上面には、連結部38の位置する側に水平方向に延びる載置部48が受け部46から連続して折り曲げられるように一体に形成され、この載置部48に第1段踏板11の内端部が載置されて支持されるようになっている。
【0074】
載置部48には2つのボルト挿通孔50,50が貫通形成されている。これらのボルト挿通孔50,50は、載置部48に載置される上記第1段踏板11の2つの埋込ナット18,18と対応するように配置されており(換言すれば、踏板11に埋込ナット18,18が踏板受け具31のボルト挿通孔50,50に対応するように埋め込まれる)、各ボルト挿通孔50に下側から挿通された固定ボルト51(図1参照)を、載置部48に載置された第1段踏板11の各埋込ナット18に螺合締結することで、その第1段踏板11が載置部48に固定されるようにしている。
【0075】
また、受け部46において連結部38に近い基端部上面には、該基端部を他の部分よりも上方に延ばした形状の一定高さの凸条54が一体に形成されている。この凸条54は、上記第1段踏板11下面の凹溝19(踏板側位置決め部)に係合して踏板11を第1段用踏板受け具31に対し位置決めするための受け具側位置決め部を構成している。この凸条54が第1段踏板11下面の凹溝19に係合して、その踏板11が踏板受け具31に位置決めされ、その状態で踏板11の内端部が載置部48に埋込ナット18,18に対する固定ボルト51,51の締結によって固定されるようになっている。
【0076】
第2段用及び第3段用踏板受け具32,33は、上記第1段用踏板受け具31とは異なり、アタッチメント40を備えていない。尚、第2段用及び第3段用踏板受け具32,33において、第1段用踏板受け具31と同じ部分については同じ符号を付して説明する。
【0077】
第2段用踏板受け具32は、図1の上下中央部及び図4に示すように、上下方向に見て一定の角度(例えば150°)で折り曲げられた断面略L字状の板材からなる。つまり、第2段用踏板受け具32は、上下方向に延びる縦長の矩形板状の取付部35と、この取付部35に上記角度をなすように突設され、上下方向に延びる略3角形板状の受け部46とを有し、取付部35には4つの取付孔44,44,…が上下方向に並んで貫通形成されている。そして、図8図10及び図11(a)に示すように、取付部35を折り曲げ外面で芯柱1の上下部中間後面の左右略中央に当接させ、その状態で各取付孔44に取付ビスV(図8参照)を挿通させて芯柱1に螺合締結することで、第2段用踏板受け具33を芯柱1に取付位置で取付固定する。
【0078】
また、受け部46の先端部上面には、取付部35に位置する側に水平に延びる載置部48が受け部46から連続して折り曲げられるように形成され、この載置部48に第2段踏板12の内端部が載置されて支持される。この載置部48には2つのボルト挿通孔50,50が、その載置部48に載置される第2段踏板12の2つの埋込ナット18,18と対応するように配置されて貫通形成されており、各ボルト挿通孔50に下側から挿通された固定ボルト51(図1参照)を、載置部48に載置された第2段踏板12の各埋込ナット18に螺合締結することで、その第2段踏板2を載置部48に固定するようになっている。
【0079】
また、受け部46において取付部35側の基端部上面には、該基端部を上方に延ばした凸条54が一体に形成されている。この凸条54は、第2段踏板12下面の凹溝19(踏板側位置決め部)に係合して踏板12を第2段用踏板受け具32に対し位置決めするための受け具側位置決め部を構成しており、この凸条54が第2段踏板12の凹溝19に係合されて踏板12が踏板受け具32に位置決めされた状態で、踏板12の内端部が載置部48に埋込ナット18,18に対する固定ボルト51,51の締結によって固定されるようになっている。
【0080】
第3段用踏板受け具33は、図1の上部及び図5に示すように、上下方向に見て一定の角度(例えば120°)で折り曲げられた断面略L字状の板材からなる。この第3段用踏板受け具33は、上下方向に延びる縦長の矩形板状の取付部35と、この取付部35に上記角度をなすように突設され、上下方向に延びる略3角形板状の受け部46とを有し、取付部35には4つの取付孔44,44,…が貫通形成されている。図8図10及び図11(a)に示すように、取付部35を折り曲げ外面で芯柱1の上部後面の右側に当接させ、その状態で取付孔44,44,…に取付ビス(図示せず)を挿通させて芯柱1に螺合締結することで、第3段用踏板受け具33を芯柱1に取付位置で取付固定するようにしている。
【0081】
また、受け部46の先端部上面には取付部35に位置する側に水平に延びる載置部48が受け部46から連続して折り曲げられるように形成され、この載置部48に第3段踏板13の内端部が載置されて支持される。この載置部48には2つのボルト挿通孔50,50が、載置部48に載置される第3段踏板13の2つの埋込ナット18,18と対応するように配置されて貫通形成されており、各ボルト挿通孔50に下側から挿通された固定ボルト51(図1参照)を、載置部48に載置された第3段踏板13の各埋込ナット18に螺合締結することで、その第3段踏板13を載置部48に固定するようになっている。
【0082】
また、受け部46の基端部上面には、該基端部を上方に延ばした凸条54が一体に形成されている。この凸条54は、第3段踏板13下面の凹溝19(踏板側位置決め部)に係合して踏板13を第3段用踏板受け具33に対し位置決めするための受け具側位置決め部を構成しており、この凸条54が第3段踏板13下面の凹溝19に係合して、その踏板13が踏板受け具33に位置決めされた状態で、その踏板13の内端部が載置部48に埋込ナット18,18に対する固定ボルト51,51の締結によって固定されるようになっている。
【0083】
そして、第1段用~第3段用踏板受け具31~33の各々の取付部35(第1段用踏板受け具31ではアタッチメント40の固定部43)の芯柱1後面に対する水平方向の取付位置を変えることで、凸条54(受け具側位置決め部)の芯柱1周囲方向の位置を変更するようにしている。また、取付部35(第1段用踏板受け具31ではアタッチメント40の固定部43)が平板材で、いずれも芯柱1の後面にまとめて取付固定されており、取付部35の取付固定やその位置の変更は容易となる。
【0084】
上記第2段及び第3段踏板受け具32,33の各々の取付部35の芯柱1後面に対する水平方向の取付位置は、例えば踏板受け具32,33毎に設けられた2種類の図外の型紙を用いて決定される。この型紙は、芯材1の後面と同じ左右幅を有し、その両端部が前面に折り曲げられた断面コ字状のもので、中間部に各踏板受け具32,33の取付孔44,44,…に応じた孔部が貫通形成されている。そして、この型紙を芯柱1後面の目的の高さ位置に型紙の左右端部が芯柱1の左右面に引っ掛かった状態で押し当て、孔部を通して芯柱1の後面にビス打ち位置としてマークを付けるようになっている。また、取付部35を芯柱1の後面に取り付けるときには、型紙を取り除いた後、マークの位置を取付部35の取付孔44,44,…に一致させ、その一致状態で取付孔44,44,…にビスVを挿通させて芯柱1にねじ込むことが行われる。尚、第1段踏板受け具31については、芯柱1後面に対する水平方向の取付位置は溝部45によって決定されるので、型紙は設けられていない。しかし、必要であれば同様の機能を持った型紙を用いることができる。
【0085】
以上により、図10に示すように、廻り階段Sは3段の踏板11~13が段鼻芯納め構造で施工され、この段鼻芯納め構造になるように、踏板11~13における凹溝19(踏板側位置決め部)の位置と、上記踏板受け具31~33における凸条54(受け具側位置決め部)の芯柱1周囲方向の位置との一方又は両方が設定されている。
【0086】
尚、上記各側板23,24における踏板挿入溝25,25,…、各踏板受け具31~33の載置部48の各々の高さ位置を所定値に設定することで、上下に隣り合う踏板11~13間の高さ(蹴上げ寸法)は例えば170~230mmとされている。
【0087】
上記3段の踏板11~13は芯柱1に対し段鼻芯納め構造で施工され、芯柱1の太さ(角材一辺の長さ)は105mmであるが、廻り階段Sによっては、踏板11~13が段鼻芯納め構造ではなくて蹴込芯納め構造で施工されたり、或いは芯柱1の太さが105mmから90mm又は120mmに変化したりすることがあり、その場合、各踏板11~13の内端部の芯柱1に対する位置が変化する。この実施形態では、いずれの場合であっても、各踏板11~13下面の凹溝19の位置や各踏板受け具31~33の凸条54の芯柱1周囲方向の位置を変えることにより、上記3つの踏板受け具31~33をそのまま使用して施工することが可能となっている。
【0088】
具体的に説明すると、蹴込芯納め構造は、図12に示すように、各踏板11~13の下側に配置される蹴込板21(詳しくはその下段側の表面)を通る仮想の直線が芯柱1の中心Oを通るように配置される芯納め構造であり、図10に示す段鼻芯納め構造と比べると、各踏板11~13は、段鼻部15と踏板11~13下面の蹴込板挿入溝16の段鼻部15側の溝側面との間の鼻の出の寸法Lだけ下段側にずれて配置される。
【0089】
そのため、この蹴込芯納め構造では、上記各踏板11~13下面の凹溝19を、蹴込板挿入溝16から鼻の出の寸法Lだけ段鼻部15と反対側の位置に形成して、踏板11~13のみを踏板受け具31~33(芯柱1)に対しずらすか、或いは、踏板11~13の凹溝19の形成位置は変えずに、踏板受け具31~33の凸条54を芯柱1の周囲方向にずらすかして施工する。後者の場合、踏板受け具31~33を踏板11~13と共にずらす構造であり、取付部35の芯柱1後面での取付位置を左側にずらすことで、凸条54の芯柱1周囲方向の配置位置を左側に変更すればよい。この場合も、踏板受け具31~33毎に設けられた型紙を用いて決定される。
【0090】
一方、芯柱1の太さの変化に関しても同様であり、踏板受け具31~33の凸条54の芯柱1周囲方向の位置を変更するか、各踏板11~13下面の凹溝19の位置を変える。図11は3段の踏板11~13が段鼻芯納め構造に配置されているときに、芯柱1の太さに応じて踏板受け具31~33の凸条54の位置が変わる状態を示しており、図11(a)は芯柱1の太さが105mmである状態を示している。芯柱1の太さが90mmであるときには、図11(b)に示すように、踏板受け具31~33を踏板11~13と共にずらし、取付部35の芯柱1後面での取付位置を右側にずらすことで、凸条54の芯柱1周囲方向の配置位置を右側に変更する。
【0091】
また、芯柱1の太さが120mmであるときには、図11(c)に示すように、第1段用~第3段用踏板受け具31~33は、取付部35の芯柱1後面での取付位置を芯柱1の太さが105mmのときの位置よりも左側にずらすことで、凸条54の芯柱1周囲方向の配置位置を左側に変更すればよい。
【0092】
芯柱1の太さに応じて各踏板11~13下面の凹溝19の位置を変えてもよく、その場合には、上記芯納め構造の違いと同様に、太さが大きくなるほど凹溝19の段鼻部15からの距離を大きくすればよい。
【0093】
以上の構成により、本発明の実施形態に係る3段の廻り階段Sは、廻り階段用受け具装置Aの3つの踏板受け具31~33により複数の踏板11~13が段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造で施工される。尚、図9中、57は踏板11~13及び蹴込板21を除く芯柱1表面に取り付けられた巾木である。
【0094】
次に、上記廻り階段用受け具装置Aを用いて廻り階段Sを施工する方法について説明する。各踏板11~13については、予め製造時に、その下面(裏面)の所定位置に踏板側位置決め部としての凹溝19が蹴込板挿入溝16と共に加工形成され、埋込ナット18,18が埋め込まれている。
【0095】
各踏板11~13の外端部を側板23,24に対し巾木納め方式の固定支持構造で支持する場合、最初に、型紙を利用して、芯柱1に第1段用~第3段用踏板受け具31~33を取付部35でビス止めして取付固定する(図8参照)。各踏板受け具31~33は、その受け部46の載置部48が左側板23及び後側板24の対応する踏板支持部と同じ高さとなるように高さ位置を決定する。第1段用踏板受け具31にあっては、受け具本体37の連結部38とアタッチメント40の固定部43との間の断面L字状の溝部45に芯柱1の後側左角部を密着状態で係合させる。第2段用踏板受け具32は、取付部35を芯柱1の上部後面の左右中間部に、また第3段用踏板受け具33は、取付部35を芯柱1の上部後面の右側部分にそれぞれビス止めする。
【0096】
その後、左側板23及び後側板24の踏板支持部と、それらに対応する各踏板受け具31~33の載置部48との間に踏板11~13を架け渡し、その外端部を踏板支持部に上側から固定する。踏板11~13の内端部は踏板受け具31~33における受け部46の載置部48に載置し、その受け部46の凸条54を踏板11~13下面の凹溝19に嵌合して踏板11~13と踏板受け具31~33との間の位置決めをする。その位置決め状態で、踏板受け具31~33の載置部48のボルト挿通孔50,50に固定ボルト51,51を下側から挿通させて踏板11~13下面の埋込ナット18,18に螺合締結し、その固定ボルト51,51により踏板11~13の内端部を踏板受け具31~33に固定する。また、踏板11~13間に蹴込板21を配置し、その上端部を上段側の踏板12,13の蹴込板挿入溝16に挿入し、下端部を下段側踏板11,12の段鼻部15と反対側の端部に固定する。
【0097】
これに対し、各踏板11~13の外端部を側板23,24に対し側板納め方式の固定支持構造で支持する場合、上記巾木納め方式とは逆に、最初に、踏板11~13の内端部に踏板受け具31~33を取付固定する。すなわち、各踏板受け具31~33における受け部46の載置部48に踏板11~13の内端部を載置し、その受け部46の凸条54を踏板11~13下面の凹溝19に嵌合して踏板11~13と踏板受け具31~33との間の位置決めをする。その位置決め状態で、載置部48のボルト挿通孔50,50に固定ボルト51,51を挿通させて踏板11~13下面の埋込ナット18,18に螺合締結し、踏板11~13の内端部を踏板受け具31~33に固定する。
【0098】
次いで、こうして内端部に踏板受け具31~33が固定された踏板11~13を左側板23及び後側板24と芯柱1との間に配置し、踏板11~13の外端部を側板23,24の踏板挿入溝25に後側又は右側から挿入して固定する。その後、各踏板11~13の踏板受け具31~33を取付部35で芯柱1にビス止めして取付固定する。このときに型紙を用いることもできる。各踏板受け具31~33は、その受け部46の載置部48が左側板23及び後側板24の対応する踏板挿入溝25と同じ高さとなって踏板11~13が水平になるように高さ位置を決定する。踏板受け具31~33の芯柱1への取付方法は巾木納め方式の場合と同じであり、第1段用踏板受け具31にあっては、アタッチメント40の固定部43を芯柱1の下部後面の左側にビス止めする。第2段用踏板受け具32は、その取付部35を芯柱1の上部後面の左右中間部に、また第3段用踏板受け具33は、取付部35を芯柱1の上部後面の右側部分にそれぞれビス止めする。また、踏板11~13間に蹴込板21を配置し、その上端部を上段側の踏板12,13の蹴込板挿入溝16に挿入し、下端部を下段側踏板11,12の段鼻部15と反対側の端部に固定する。
【0099】
したがって、上記実施形態では、廻り階段用受け具装置Aは、3枚の踏板11~13にそれぞれ対応する3種類の踏板受け具31~33を備え、各踏板受け具31~33は、その取付部35により廻り階段Sの芯柱1において各踏板11~13に応じた取付位置に取付固定される。この取付部35には受け部46が、平面視で踏板受け具31~33毎に異なる角度をなすように突設され、この受け部46の載置部48に、段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造にある各踏板11~13の内端部が載置されて固定される。そのとき、受け部46に設けられている凸条54(受け具側位置決め部)は各踏板11~13における凹溝19(踏板側位置決め部)に係合して、踏板11~13が踏板受け具31~33に対し位置決めされて固定される。尚、踏板11~13下面に埋込ナット18,18が埋め込まれ、その埋込ナット18,18に、踏板受け具31~33の受け部46のボルト挿通孔50,50を通る固定ボルト51,51が螺合締結されているので、受け部46の凸条54と各踏板11~13の凹溝19との係合構造だけでなく、この螺合構造によっても踏板11~13が踏板受け具31~33に対し位置決めされる(後述の実施形態2の説明参照)。
【0100】
そして、上記踏板11~13の凹溝19の位置と、踏板受け具31~33の凸条54の芯柱1周囲方向の位置とが上記段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造と芯柱1の太さとに応じて設定されているので、踏板11~13が段鼻芯納め構造又は蹴込芯納め構造で配置されていることで、或いは芯柱1の太さが大小に異なることで、各踏板11~13内端部の芯柱1に対する位置が変化しても、その変化に応じるように、踏板11~13における凹溝19の位置と、踏板受け具31~33における凸条54の芯柱1周りの位置との一方又は両方が変更される。このような踏板11~13の凹溝19の位置と、踏板受け具31~33の凸条54の芯柱1周りの位置との変更により、芯納め構造及び芯柱1の太さに拘わらず各踏板11~13に付き1種類の踏板受け具31~33を用いることができる。その結果、踏板受け具31~33の設計や廻り階段Sの施工が容易になる。
【0101】
また、各踏板受け具31~33は、芯柱1に取付固定される取付部35に、踏板11~13を支持する受け部46が一体的に突設されて、受け部46と取付部と35が離れて設けられているので、例えば、これら取付部35と受け部46との間の距離を設計や製造の段階で調整すること等により、施工の違いがあっても、受け部46において踏板11~13を安定して支持できるようになり、施工の違いに容易に対応できるようになる。
【0102】
さらに、上記のように、踏板11~13の施工時、その外端部を側板23,24の踏板載置部に上から載置して固定する巾木納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具31~33を芯柱1に取り付け、その踏板受け具31~33における受け部46の載置部48に踏板11~13の内端部を載置固定し、踏板11~13の外端部は側板23,24の踏板載置部に載置固定する。一方、側板23,24内面の踏板挿入溝25に踏板11~13の外端部を差し込んで固定する一般的な側板納め方式で施工する場合には、先に踏板受け具31~33における受け部46の載置部48に踏板11~13の内端部を載置固定しておき、その踏板受け具31~33が固定された踏板11~13の外端部を側板23,24の踏板挿入溝25に差し込んで固定するとともに、踏板受け具31~33を芯柱1に取り付ける。よって、踏板11~13の外端部を納める踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板11~13を施工することができる。
【0103】
そして、こうして各踏板11~13をそれに対応する1種類の踏板受け具31~33を用いて芯柱1に取り付けることができるので、従来のような中間支持部材を用いずとも済み、階段Sを構成する部材が少なくなって、その分、施工工数や加工手間も減り、省施工を実現することができる。
【0104】
さらに、踏板側位置決め部が踏板11~13下面の凹溝19で、受け具側位置決め部が受け部46の凸条54であり、この凹溝19への凸条54の嵌合によって踏板11~13が踏板受け具31~33に対し位置決めされる。そのため、踏板側位置決め部の位置を変更するときには、踏板11~13下面の凹溝19の位置を変えるだけでよく(埋込ナット18,18の位置変更も必要)、踏板側位置決め部の位置変更を容易に行うことができる。また、凹溝19は、踏板11~13下面に形成される蹴込板挿入溝16と平行であるので、その蹴込板挿入溝16の加工と同時に同じ溝加工装置を用いて形成すればよく、凹溝19の形成が容易となる。また、踏板受け具31~33の凸条54は、受け部46の一部を延長しただけの板部であるので、その形成も容易に行うことができる。
【0105】
尚、踏板11~13に対し、予め、芯納め構造や芯柱1の太さの違いにそれぞれ対応した複数本の凹溝19を平行に形成しておき、施工時にそのうちの1つの凹溝19を選択するようにすることもできる。
【0106】
また、第1段用踏板受け具31においては、その取付部35が受け具本体37とアタッチメント40とからなり、受け具本体37の連結部38とアタッチメント40の固定部43とが直交状に配置されて、両者間に断面L字状の溝部45が形成されている。そのため、上記のように第1段用踏板受け具31の取付部35を芯柱1に取付固定するときには、取付部35の溝部45に芯柱1の後側左角部に密着して係合させるだけで、その取付部35が芯柱1に対し位置決めされ、取付部35を目的の取付位置に容易に取り付けることができる。
【0107】
尚、取付部35の溝部45は、上記のように受け具本体37の連結部38とアタッチメント40の連結部41とが連結された交差部によって設けるのに代え、断面L字状に折り曲げられた板材の角部内側に形成するようにすることもできる。
【0108】
上記実施形態1において、各踏板11~13下面に埋め込まれている埋込ナット18,18をなくし、固定ボルト51,51に代えて固定ビス(図示せず)を用い、その各固定ビスを各踏板受け具31~33における受け部46のボルト挿通孔50に挿通させて踏板11~13にねじ込むことにより、踏板11~13を踏板受け具31~33に固定するようにすることもできる。その場合、踏板11~13は踏板受け具31~33に対し、踏板11~13の凹溝19と踏板受け具31~33の凸条54との係合によってのみ位置決めされる。
【0109】
また、各踏板11~13下面の埋込ナット18,18と、その埋込ナット18,18に各踏板受け具31~33のボルト挿通孔50,50に挿通されて螺合される固定ボルト51,51とについては上記実施形態1のままとし、それに加えて新たに、各踏板受け具31~33の受け部46においてボルト挿通孔50,50とは異なる位置にビス挿通孔(図示せず)を貫通形成し、そのビス挿通孔に受け部46から固定ビスを挿通させて踏板11~13の埋込ナット18,18とは異なる部分にねじ込むことにより、踏板11~13を踏板受け具31~33に固定することもできる。
【0110】
(実施形態2)
図13は本発明の実施形態2を示す。尚、図1図12と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0111】
この実施形態2では、実施形態1における踏板11~13の凹溝19は設けられておらず、埋込ナット18,18のみが所定位置に埋め込まれている。また、踏板受け具31~33では凸条54がなく、受け部46は載置部48及び2つのボルト挿通孔50,50のみが設けられている。このことで、踏板側位置決め部は、踏板11~13に埋め込まれた2つの埋込ナット18,18(埋込ナット)で構成され、受け具側位置決め部は、載置部48をボルト挿通孔50,50で貫通した状態で埋込ナット18,18にそれぞれ螺合して踏板11~13の内端部を載置部48に固定する固定ボルト51,51で構成されている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0112】
この実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。特に、踏板11~13に埋め込まれた埋込ナット18,18と、踏板受け具31~33の載置部48のボルト挿通孔50,50に挿通されて埋込ナット18,18に螺合する固定ボルト51,51とにより踏板11~13が踏板受け具31~33に位置決めされるので、踏板11~13における埋込ナット18,18の位置を変えるだけで、踏板側位置決め部を容易に変更することができる。
【0113】
また、埋込ナット18,18に対する固定ボルト51,51の螺合締結により、踏板11~13の内端部を踏板受け具31~33の載置部48に載置して固定することができ、その踏板11~13を踏板受け具31~33に固定するための埋込ナット18,18及び固定ボルト51,51をそれぞれ踏板側位置決め部及び受け具側位置決め部として兼用することができる。
【0114】
さらに、踏板11~13の凹溝19や踏板受け具31~33の凸条54がないので、それらを省略した分だけ、構造を簡略化することができる。
【0115】
(その他の実施形態)
上記実施形態において、踏板受け具31~33の芯柱1後面に取り付けられる取付部35(第1段用踏板受け具31~33ではアタッチメント40の固定部43)のみを受け部46よりも上下方向に延ばして縦長形状とし、その取付状態では、上側又は下側に隣接する踏板受け具31~33の取付部35に当接するようにしてもよい。
【0116】
こうすると、踏板受け具31~33を、上下に隣接する踏板受け具31~33の取付部35と当接させた状態にして芯柱1に取り付けると、その踏板受け具31~33は基準高さ位置に位置決めされて取り付けられることとなり、その芯柱1周囲方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0117】
また、上記実施形態は、平面視で90°の範囲を3段の踏板11~13で昇降する廻り階段Sに適用したものであるが、本発明は、廻り階段として、平面視で90°や180°の範囲を3段以外の複数段の踏板が円弧状に配置された廻り階段、或いは途中に四角形状の踏板による踊り場が形成され、その踏板の異なる辺部に直線階段が接続されて向きが90°変化するかね折れ階段、同踏板の辺部の異なる部分に直線階段が接続されて向きが180°変化する折り返し階段等にも適用することができ、各踏板に応じた踏板受け具を設ければよい。例えば廻り階段における芯柱1周りの踏板が、上記踊り場となる1枚だけの場合には、その1枚の踏板に対応する1つの踏板受け具を設ければよく、廻り階段用受け具装置は1つの踏板受け具のみで構成されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、芯納め構造及び芯柱の太さに拘わらず各踏板に付き1種類の踏板受け具を用い、踏板納め方式が巾木納め方式及び側板納め方式のいずれであっても、容易に踏板を施工できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0119】
S 廻り階段
1 芯柱
O 中心
11 第1段踏板
12 第2段踏板
13 第3段踏板
15 段鼻部
16 蹴込板挿入溝
18 埋込ナット(踏板側位置決め部)
19 凹溝(踏板側位置決め部)
21 蹴込板
23 左側板
24 後側板
25 踏板挿入溝
A 廻り階段用受け具装置
31 第1段用踏板受け具
32 第2段用踏板受け具
33 第3段用踏板受け具
35 取付部
37 受け具本体
40 アタッチメント
43 固定部
44 取付孔
V 取付ビス
45 溝部
46 受け部
48 載置部
50 ボルト挿通孔
51 固定ボルト(受け具側位置決め部)
54 凸条(受け具側位置決め部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13