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特許7393909積層複合材の構造用構成要素及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】積層複合材の構造用構成要素及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/00 20060101AFI20231130BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20231130BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20231130BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20231130BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B32B37/00
B64C1/00 B
B64F5/10
C23C14/06 N
C23C14/12
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019186641
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2020097218
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】16/157,886
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ノードマン, ポール エス.
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジアンティエン
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-193296(JP,A)
【文献】特表2015-516903(JP,A)
【文献】特開2015-221564(JP,A)
【文献】特表2014-504218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 37/00
B64C 1/00
B64F 5/10
C23C 14/06
C23C 14/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造用部品(100)の製造方法であって、
複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することであって、
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、第1の材料と第2の材料による交互の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することを含み、前記交互の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、
前記第1の材料から第1の層(102、106)を形成することと、
前記第1の層(102、106)に隣接して前記第2の材料から第2の層(104、108)を形成することとを含む、複数の層を形成することを含み、
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)が前記構造用部品(100)を形成し、前記構造用部品(100)の1つ以上の寸法が0.05cm以上であ
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)が、真空堆積処理によって形成される、方法。
【請求項2】
前記交互の層は、マンドレル(202、302)に直接隣接して配置され、前記マンドレル(202、302)は、前記構造用部品の前記複数の層に一体化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の材料が有機材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の材料が無機材料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料または前記第2の材料が1つ以上のセラミックスを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、マンドレル(202、302)上に前記第1の層(102、106)を形成することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記マンドレル(202、302)が前記構造用部品(100)の少なくとも一部を形成している、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、
前記第2の層(104、108)に隣接して第3の材料から第3の層(106)を形成することと、
前記第3の層(106)に隣接して前記第3の材料から第4の層(108)を形成することをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、
第3の材料から第3の層(106)を形成することと、
前記第3の層(106)に隣接して前記第3の材料から第4の層(108)を形成することと、
前記第3の層(106)に隣接して前記第1の材料から第1の層(102、106)を形成することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の材料が金属を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記構造用部品(100)が輸送用のビークルまたは船舶の構造用部品(100)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
構造用部品(100)の製造システム(400)であって、
前記構造用部品(100)を支持するように構成された基部(404)と、
前記基部(404)の近傍に配置され、前記構造用部品(100)を形成するために1つ以上の材料の複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を堆積するように構成された、複数の塗布用ヘッド(408)とを含み、
前記基部(404)及び前記複数の塗布用ヘッド(408)の少なくとも1つが、前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)の堆積中に互いに対して動くように構成され、
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)が、真空堆積処理によって形成される、構造用部品(100)の製造システム(400)。
【請求項13】
構造用部品(100)の製造方法であって、
1つ以上の塗布用ヘッド(408)を有するシステム(400)の基部(404)上に複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することであって、
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成することが、第1の材料と第2の材料による交互の層(102、104、106、108、110、112、410)(106、108、110、112)を形成することを含み、前記交互の層(102、104、106、108、110、112、410)(106、108、110、112)を形成することが、
前記第1の材料から第1の層(102、106)を形成することと、
前記第1の層(102、106)に隣接して前記第2の材料から第2の層(104、108)を形成することとを含む、複数の層を形成することを含み、
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)が前記構造用部品(100)を形成し、前記構造用部品(100)の1つ以上の寸法が0.05cm以上であ
前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)が、真空堆積処理によって形成される、構造用部品(100)の製造方法。
【請求項14】
前記1つ以上の塗布用ヘッド(408)に対して前記基部(404)を動かすことをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基部(404)の近傍にマンドレル(202、302)を配置することと、
前記1つ以上の塗布用ヘッド(408)によって、前記マンドレル(202、302)上に前記複数の層(102、104、106、108、110、112、410)を形成すること
をさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、構造物の製造の分野に関し、具体的には、構造用で耐荷重性の構成要素または部品を製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型の、構造用で耐荷重性の構成要素及び部品は、これらの構造用部品が極限条件(例えば機械的応力、高温など)に曝される無数の用途及び産業プロセスにおいて、利用されている。したがって、これらの構造用部品は、しばしば、これらの極限条件に耐えるのに必要な強度、延性、及び剛性を提供する、金属及び合金といった材料から製造される。例えば、航空機の従来型のブレード及び翼は、しばしば、飛行を持続するための条件下で持ちこたえるのに必要な強度、延性、及び剛性を提供する材料から製造されている。
【0003】
しかし、進歩が進む中で、これらの構造用部品に関する要求も引き上げられてきた。多くの場合、この引き上げられた製造に関する要求を満たすため、しばしば、構造用部品のサイズもしくは寸法が大きくされる、及び/または全体強度が高められる。しかし、構造用部品のサイズを大きくする、及び/または全体強度を高めることによって、しばしば、それに応じて質量が増加する結果となる。これは使用する材料が高密度であることによるが、この結果は、構造用部品の効率的な稼働と製造にとって有害であり得る。上記の観点から、従来型の金属及び合金の特性(例えばサイズ、強度、及び/または剛性)を満たすかまたは超える、改良された特性を有する、新たな材料を発見または作製するという試みがなされてきた。これらの試みの結果、複合材料によって形成された構造用部品が開発されるに至った。これらの複合材料は改善された機械的特性を示しているが、その一方で、さらなる技術の進展のためには、複合材の構造用部品の機械的特性、及びその製造方法のさらなる改善が必要とされている。
【0004】
そこで、改良された構造用部品、及び構造用部品の製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
以下、本教示のいくつかの態様に関する基本的な理解を提供するために、簡略化した概要を提示する。この概要は、広範な概説ではなく、また本教示の主要な要素または重大な要素を特定することや、本開示の範囲を定めることを意図するものでもない。むしろ、本概要の本質的な目的は、後に提示する詳細な説明の前置きとして、簡略的に1つ以上の概念を提示するためのものに過ぎない。
【0006】
本開示の実施例は、構造用部品を製造するための方法を提供する。方法は、複数の層を形成することを含み、複数の層を形成することは、第1の材料と第2の材料とによる交互の層を形成することを含む。交互の層を形成することは、第1の材料から第1の層を形成することと、第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することとを含み得る。複数の層は構造用部品を形成することができ、構造用部品の1つ以上の寸法は、約0.05cm以上である。複数の層は、真空堆積処理によって形成され得る。第1の材料は、有機材料を含み得る。有機材料は、1つ以上のポリマーを含み得る。第2の材料は、無機材料を含み得る。無機材料は、1つ以上のケイ酸塩を含み得る。第1の材料または第2の材料は、1つ以上のセラミックスを含み得る。複数の層を形成することは、マンドレル上に第1の層を形成することを含み得る。方法は、複数の層からマンドレルを取り外すことを含み得る。一実施例では、マンドレルは、構造用部品の少なくとも一部を形成し得る。一実施例では、複数の層を形成することは、第2の層に隣接して第3の材料から第3の層を形成することと、第3の層に隣接して第3の材料から第4の層を形成することを含み得る。第3の材料は、金属を含み得るか、または金属であり得る。少なくとも1つの実施例では、複数の層を形成することは、第3の材料から第3の層を形成することと、第3の層に隣接して第3の材料から第4の層を形成することと、第3の層に隣接して第1の材料から第1の層を形成することを含み得る。少なくとも1つの実施例では、構造用部品は、輸送用のビークルまたは船舶の構造用部品であり得る。
【0007】
本開示の実施例は、構造用部品を製造するためのシステムをさらに提供し得る。システムは、構造用部品を支持するように構成された基部と、基部の近傍に配置され、構造用部品を形成するために1つ以上の材料の複数の層を堆積するように構成された、複数の塗布用ヘッドとを含み得る。この基部と、複数の塗布用ヘッドのうちの少なくとも1つとは、複数の層の堆積中に、互いに対して動くように構成されていることができる。
【0008】
本開示の実施例は、構造用部品を製造するための方法をさらに提供し得る。方法は、1つ以上の塗布用ヘッドを有するシステムの基部上に、複数の層を形成することを含み得る。複数の層を形成することは、第1の材料の層と第2の材料による交互の層を形成することを含み得る。交互の層を形成することは、第1の材料から第1の層を形成することと、第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することとを含み得る。複数の層は構造用部品を形成し、構造用部品の1つ以上の寸法は、0.05cm以上であり得る。方法は、1つ以上の塗布用ヘッドに対して基部を動かすことをさらに含み得る。方法は、基部の近傍にマンドレルを配置することと、1つ以上の塗布用ヘッドによって、マンドレル上に複数の層を形成することも、また含み得る。
【0009】
上記の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することが可能であり、また別の実施形態において組み合わせることも可能である。これらのさらなる詳細は、以下の記載及び添付図面を参照して理解され得る。
【0010】
この明細書に組み込まれ、且つこの明細書の一部を構成している添付の図面は、本教示について例示しており、本記載内容と共に、本開示の原理を解説するために役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】開示されている1つ以上の実施形態による、例示的な構造用部品の側部の断面図を示す。
図2】開示されている1つ以上の実施形態による、マンドレル及び複数の層を含む、別の例示的な構造用部品の側部の断面図を示す。
図3】開示されている1つ以上の実施形態による、マンドレル及び複数の層を含む、別の例示的な構造用部品の側部の断面図を示す。
図4A】開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品を製造するためのシステムの側部の断面図を示す。
図4B】開示されている1つ以上の実施形態による、図4Aの例示的なシステムの上面図または平面図を示す。
図5】開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品を製造するための方法のフロー図を示す。
図6】開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品を製造するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面の細部のうちのある部分が、厳密な構造的な精度、細部、及び縮尺を保持するようにというよりも、むしろ、簡略化され、本開示の理解を容易にするようにして描かれていることは、留意されたい。
【0013】
様々な典型的態様に関する以下の説明は、本来単なる例示であり、いかなる点においても、本開示、その応用、または用途を限定することを意図するものではない。
【0014】
本開示全体を通じて、範囲は、その範囲内にあるあらゆる全ての値を表す簡略的な記号として使用されている。ある範囲の形式による記載は、単に利便性と簡潔性のためのものであり、本明細書で開示されているいかなる実施例または実施形態の範囲をも硬直的に限定するものとして解釈されるべきではないことは、認識され、理解されるべきである。したがって、開示されている範囲は、その範囲内にある全ての可能な部分範囲(subrange)と、個々の数値とを具体的に開示しているものと解釈すべきである。したがって、範囲内のあらゆる値が、その範囲の境界点(terminus)として選択され得る。例えば、「1から5」といった範囲の記載は、例えば「1.5から3」、「1から4.5」、「2から5」、「3.1から5」などといった部分範囲と、同様に1、2、3、3.2、4、5などといったこの範囲内の個別の数とを具体的に開示しているものとみなされるべきである。このことは、範囲の幅に関わらず当てはまる。
【0015】
別様に明記されていない限り、本明細書に示されている全てのパーセント表示及び数量は、重量パーセントを指していると理解すべきである。与えられている数量は、材料の有効重量に基づく。
【0016】
加えて、全ての数値は記載された数値の「およそ」または「約」の値であり、当業者が予期するであろう実験誤差や実験変動を考慮にいれている。本明細書で開示されている全ての数値及び範囲が、数値の前に「約」がついているかどうかに関わらず、およその数値及びおよその範囲であることは、認識すべきである。本明細書で数値と組み合わせて使用されている「約」という用語が、その数値の±0.01%(境界値含む)、±0.1%(境界値含む)、±0.5%(境界値含む)、±1%(境界値含む)、その数値の±2%(境界値含む)、その数値の±3%(境界値含む)、その数値の±5%(境界値含む)、その数値の±10%(境界値含む)、またはその数値の±15% (境界値含む)であり得る値を指していることも、また認識すべきである。本明細書中である数値範囲が開示されている場合、その範囲内に該当するあらゆる数値もまた具体的に開示されているということも、さらに認識すべきである。
【0017】
本明細書で使用する場合、ある材料が「含まれていない」または「ほぼ含まれていない」とは、ある組成物、成分、または相の総重量に基づいて、その材料が10.0重量%未満、5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.005重量%未満、または0.0001重量%未満の量で存在している、組成物、成分、または相のことを指すことができる。
【0018】
本明細書で引用されている全ての参照文献は、その全体が参照によって援用される。本開示の規定と引用されている参照文献の規定とが矛盾する場合には、本開示の規定が優先する。
【0019】
ここで、添付図面に示す本教示の例に詳しく言及していく。可能な場合には全て、図面全体を通して、同一または同様の部品を指すのに同一の参照番号が使用される。
【0020】
本明細書では、例示的な構造用の構成要素または部品と、その方法が開示される。本明細書で開示されている構造用部品は、従来型の構造用部品と比較して、等方的な剛性及び強度の向上、全方向の張力下及び/または圧縮下における強度及び剛性の向上、層間剥離の低減、欠陥の低減、及び/または界面結合の改良を有することができる。等方的な剛性及び強度の向上は、構造用部品の形成に使用される無機材料の強度によってもたらされ得る。例えば、等方的な剛性及び強度の向上は、構造用部品の形成に使用されるケイ酸塩の強度によってもたらされ得る。等方的な強度及び剛性の向上は、無機材料(例えばケイ酸塩)内に、無機材料を汚染し、無機材料の強度を低下させ得る水が存在しないか、またはほぼ存在しないことによってもまた、もたらされ得る。無機材料内から水を取り除く能力は、以下で開示される方法によってもたらされ得る。本明細書で開示されている構造用部品の製造方法は、従来型の構造用部品及び構造用部品を製造するための従来型の方法と比較して、等方的な剛性及び強度の向上、全方向の張力下及び/または圧縮下における強度及び剛性の向上、層間剥離の低減、欠陥の低減、及び/または界面結合の改良を有する、構造用部品を製造し得る。例えば、構造用部品の製造方法は、構造用部品を真空中で製造し、それによって、処理上の欠陥、及び/または水といった汚染物質を低減するか、または除去することを含み得る。水といった汚染物質は、構造用部品を製造するのに使用される材料を汚染し、その強度を低減させ得る。本明細書で開示される方法は、ミクロンサイズのより大きい欠陥を取り除くこと、並びに、層ごとの堆積を通じて、及び/または堆積処理から汚染物質をなくすことが可能な真空堆積を通じて、構造用部品の層間の結合界面を強化することもまた、可能である。本明細書で開示される方法は、製造される構造用部品の形状及び/または外形を無視して、構造用部品の形状及び/または外径によって課される制限から、設計及び製造プロセスを自由にすることを可能にする。本明細書で開示される方法によって、製造時間を比較的短くすることも、また可能になる。
【0021】
図1は、開示されている1つ以上の実施形態による、例示的な構造用構成要素または部品100の側部の断面図を示す。図1に示すとおり、構造用部品100は、複数の層(6個の層102、104、106、108、110、112が示されている)を含み得る。示されている層の数が単に例示的なものであり、個々の層の数が約2から約75,000個、あるいはもっと多い数であり得ることは、認識されるべきである。例えば、構造用部品100を形成するのに使用される層102、104、106、108、110、112の数は、約2、約100、約1,000、約10,000、約20,000、約30,000、約40,000、約50,000、約60,000、約75,000、またはそれよりも多い数であり得る。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、本明細書でさらに記載されるとおり、構造用部品100は、複数の層102、104、106、108、110、112であって、これらのうちの1つ以上が、基板であるか、またはその少なくとも一部分を形成していることができる、複数の層102、104、106、108、110、112を含む、単一の即ちモノリシックなピースとして製造され得る。構造用部品100をモノリシックなピースとして製造することによって、等方的な強度及び剛性を向上することが可能になる。別の実施形態では、以下で検討するとおり、構造用部品100は、マンドレル上で製造することができ、それによって、マンドレル及び複数の層102、104、106、108、110、112を含む構造用部品100が形成される。マンドレルが、構造用部品100に一体化されていることができるか、または構造用部品100から取り外し可能であることは、認識すべきである。
【0023】
構造用部品100は、被覆または被包でなくてよいか、これらの一部を形成していなくてもよい。例えば、典型的なまたは従来型の被覆または被包は、一般的に、約0.03cm以下、約0.025cm以下、約0.020cm以下、または約0.010cm以下の厚さを有する積層の構造、構成要素、または複合材料からなっている。したがって、構造用部品100の1つ以上の寸法(例えば高さ、幅、深さ、厚さなど)は、約0.010cm以上、約0.020cm以上、約0.025cm以上、約0.03cm以上、約0.035cm以上、約0.04cm以上、約0.045cm以上、約0.05cm以上、約0.055cm以上、約0.1cm以上、約0.2cm以上、約0.5cm以上、約1cm以上、またはそれよりも大きいものであることができる。
【0024】
構造用部品100の層102、104、106、108、110、112のそれぞれの厚さは、具体的に限定されていないが、少なくとも部分的に、構造用部品100及び/またはその層102、104、106、108、110、112の1つ以上の所望の特性によって規定され得る。層102、104、106、108、110、112のそれぞれが、それぞれによって大きく異なる厚さを有し得ることは、認識すべきである。少なくとも1つの実施形態では、層102、104、106、108、110、112のそれぞれは、個別に且つ独立して、約1nm(0.001μm)から約20μmの厚さを有し得る。例えば、層102、104、106、108、110、112のそれぞれは、個別に且つ独立して、約0.001μm、約0.01μm、約0.05μm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約2μm、約4μmから、約6μm、約8μm、約10μm、約12μm、約14μm、約16μm、約18μm、約20μmまでの厚さを有し得る。
【0025】
構造用部品100の1つ以上の層102、104、106、108、110、112は、1つ以上の材料から製造され得る。例えば、構造用部品100の層102、104、106、108、110、112のそれぞれは、単一の材料または複数の材料から製造され得る。例えば、複数の層102、104、106、108、110、112のうちの少なくとも1つは、単一の材料から製造され得る。別の例では、複数の層102、104、106、108、110、112のうちの1つの層の少なくとも一部は第1の材料から製造されることができ、この1つの層の別の一部は第2の材料から製造されることができる。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の層102、104、106、108、110、112のうちの隣接する層同士は、同一の材料から製造され得る。別の実施形態では、1つ以上の層層102、104、106、108、110、112のうちの隣接する層同士は、異なる材料から製造され得る。例示的な一実施形態では、構造用部品100の少なくとも一部は、少なくとも2つの材料による交互の層を含む。例えば、構造用部品100の少なくとも一部は、第1の材料から製造された第1の層、第2の材料から製造された第2の層、第1の材料から製造された第3の層、及び第2の材料から製造された第4の層を含み得る。
【0026】
構造用部品100の1つ以上の層102、104、106、108、110、112を形成するのに使用される1つ以上の材料は、非常に多様性に富んでいてよい。例えば、1つ以上の層102、104、106、108、110、112を形成するのに使用される材料のそれぞれは、1つ以上の無機材料、1つ以上の有機材料、1つ以上のセラミックス、1つ以上の合金、1つ以上の金属、1つ以上の超合金、1つ以上の非金属、1つ以上の半金属、1つ以上の結合剤、1つ以上の添加剤、またはこれらの任意の組み合わせ、化合物、もしくは複合材であるか、またはそれらを含み得る。セラミックスは、構造用部品100に、高温強度及び高温剛性、並びに遮熱及び燃焼貫通保護を提供することができる。
【0027】
例示的な一実施形態では、構造用部品100の少なくとも一部は、無機材料の層と有機材料の層による交互の層であるか、またはこれらを含み得るか、もしくはこれらから製造され得る。無機材料と有機材料による交互の層は、透明またはほぼ透明であり得る。構造用部品100は、光透過率を尺度として、約30%から約95%、またはそれよりも高い全体透明率を有し得る。例えば、構造用部品100は、約30%から、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、またはそれよりも高い、全体透明率を有し得る。
【0028】
無機材料は、限定しないが、1つ以上のケイ酸塩(例えばケイ酸塩ガラス)、または、適切なアルコキシドか、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化タングステンなどといった1つ以上の酸化物か、またはこれらの任意の複合材、化合物、もしくは組み合せから形成された他の無機材料であり得るか、またはそれらを含み得る。ケイ酸塩を使用することで、コストを削減し得る。
【0029】
有機材料は、限定しないが、1つ以上のポリマーであり得るか、または1つ以上のポリマーを含み得る。有機材料を使用することで、構造用部品100の隣接層間の結合強度を提供し得る、及び/または構造用部品100の脆性を少なくとも部分的に低減し得る。加えて、有機材料を使用することで、構造用部品100の湿気防止及び/または衝突保護を提供し得る。有機材料としてポリマーを使用することで、コストを削減し、処理を容易にし、及び/または重量効率を維持し得る。例示的なポリマーは、限定しないが、熱可塑性物質、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ホルムアルデヒド系ポリマー、シリコン系ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせであり得るか、またはこれらを含み得る。例えば、ポリマーは、限定しないが、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、トーロン(登録商標)、ポリアミド-イミド、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-アクロニトリルコポリマー、アクロニトリル-ブタジエン-スチレン-ターポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ乳酸、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルオキシド(PPO)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エポキシ樹脂、酸化ポリフェニレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリジヒドロキシメチルシクロヘキシルテレフタラート、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、これらの任意のコポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。さらに、例示的なポリマーは、限定しないが、スチレンポリマー前駆体、メチルスチレンポリマー前駆体、(メタ)アクリレートポリマー前駆体、これらの前駆体のフッ素化形態及び非フッ素化形態の両方、並びにこれらの前駆体のうちの2つ以上の組み合わせから生成されたポリマーもまた、含み得る。ポリマーが、上記のうちの少なくとも2つ以上の任意の組み合わせを含み得ることは、認識され得る。
【0030】
少なくとも1つ以上の実施形態では、1つ以上のポリマーは、エラストマー、合成ゴム、もしくはこれらの任意の組み合わせであり得るか、またはこれらを含み得る。例示的なエラストマー材料及び合成ゴムは、限定しないが、バイトン(登録商標)、ニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル、ポリイソプレン、ネオプレン、ブチルゴム、クロロプレン、ポリシロキサン、スチレン-ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、これらの任意のコポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0031】
構造用部品100の1つ以上の層102、104、106、108、110、112の金属は、限定しないが、1つ以上のアルカリ金属、1つ以上のアルカリ土類金属、1つ以上の遷移金属、1つ以上のポスト遷移金属、またはこれらの任意の混合物、合金、もしくは化合物であり得るか、またはこれらを含み得る。例示的な遷移金属は、限定しないが、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、タンタル、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、レニウム、イットリウム、バナジウム、ハフニウム、またはこれらの任意の混合物、合金、もしくは化合物を含み得る。例示的な金属は、限定しないが、アルミニウム、鉄、チタニウムなど、もしくはこれらの任意の組み合わせでもあり得るか、またはこれらを含むこともできる。金属はステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル基超合金、コバルト基超合金など、またはこれらの任意の組み合わせといった、合金及び超合金でもあり得るか、またはこれらを含むこともできる。1つ以上の半金属は、限定しないが、ホウ素、ケイ素、アンチモン、またはこれらの任意の混合物もしくは化合物であり得るか、またはこれらを含むこともできる。構造用部品100の1つ以上の層102、104、106、108、110、112に金属を使用することで、電磁エネルギー(EME)に対する保護、並びに/または構造的な剛性及び/もしくは強度を提供し得る。
【0032】
例示的な一実施形態では、構造用部品100の隣接する層102、104、106、108、110、112間には、結合剤は一切配置されていない。例えば、構造用部品100の隣接する層102、104、106、108、110、112同士の接着または結合は、その界面において、材料の層それ自体によってもたらされ得る。結合剤を省略することによって、構造用部品100の製造を簡素化し得る、及び/またはその製造コストを削減し得る。別の実施形態では、構造用部品100の隣接する層102、104、106、108、110、112間に1つ以上の結合剤が置かれて、構造用部品100の隣接する層102、104、106、108、110、112のそれぞれを互いに化合、結合、及び/または凝集させ、それによって層間剥離を低減させるように構成されることができる。例示的な結合剤は、限定しないが、1つ以上の金属結合剤、無機結合剤、有機結合剤、もしくはこれらの任意の組み合わせであり得るか、またはこれらを含み得る。例示的な金属結合剤は、限定しないが、マグネシウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム、またはこれらの任意の混合物、化合物、もしくは合金を含む、限定しないが、1つ以上の任意の遷移金属を含み得る。金属結合剤は、限定しないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはこれらの任意の混合物、化合物、もしくは合金を含む、限定しないが、任意のアルカリ金属もまた含み得る。例示的な有機結合剤は、限定しないが、水不溶性であるか、または少なくともほぼ水不溶性である、1つ以上のロウもしくは樹脂であり得るか、またはこれらを含み得る。ロウは、例えば動物性ロウ、植物性ロウ、鉱物ロウ、合成ロウ、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0033】
引き続き図1を参照すると、例示的な1つの実施においては、構造用部品100を製造または形成する方法は、第1の層または基板102を堆積または形成することを含み得る。方法は、第1の層102に隣接して第2の層104を堆積または形成することと、第1の層102と第2の層104とを互いに結合することも、また含み得る。一実施例では、第1の層102と第2の層104とを互いに結合することは、第2の層104の堆積と同時に実施され得る。別の実施例では、第1の層102と第2の層104とを互いに結合することは、第2の層104の堆積後に実施され得る。例えば、第1の層102と第2の層104との結合は、加熱、硬化などといった1つ以上の処理によって促進され得る。図1に示す少なくとも1つの実施例では、第1の層102と第2の層104は、アルミニウムといった金属材料から形成され得る。
【0034】
構造用部品100の製造方法は、金属の第1の層102及び第2の層104に隣接して、有機層と無機層による交互の層を堆積することもまた含み得る。例えば、方法は、第2の層104に隣接して、ケイ酸塩といった無機材料の第3の層106を堆積することと、第3の層106に隣接して、(例えば熱可塑性の)ポリマーといった有機材料の第4の層108を堆積することと、を含み得る。有機層と無機層による交互の層を堆積することによって、複数のナノサイズ層またはミクロンサイズ層による構造用部品100の製造が可能になる。方法は、第4の層108に隣接して、無機材料の第5の層110を堆積することと、第5の層110に隣接して、有機材料の第6の層112を堆積することと、をさらに含み得る。第3の層106と第5の層110を形成するのに使用される無機材料が、同じでも別でもあり得ることは、認識すべきである。同様に、第4の層108と第6の層112を形成するのに使用される有機材料は、同じでも別でもあり得る。図1は、第3の層106が無機材料で製造されているとして示されているが、金属の第2の層104に隣接して堆積された第3の層106が、代わりに、熱可塑性物質といった有機材料から製造され得ることは、認識すべきである。
【0035】
図1に示す構造用部品100は、最初に第1の金属層102及び第2の金属層104を形成することによって製造されているとして示されているが、構造用部品100が、代わりに、反対方向にも同様に製造され得ること、即ち有機層と無機層106、108、110、112による交互の層が形成され、続いて金属層102、104が、有機層と無機層106、108、110、112による交互の層に隣接して形成され得ることは、認識すべきである。
【0036】
構造用部品100は、任意の適切な製造プロセスまたは製造技法を介して製造され得る。例示的なプロセスは、限定しないが、スパッタリング、蒸着、昇華、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD(ECR-PECVD)、溶射、スパッタリング、電子ビーム物理蒸着、パルスレーザ堆積、もしくはこれらの任意の組み合わせであり得るか、またはこれらを含み得る。真空堆積プロセスを使用することによって、構造用部品100の欠陥を低減し得る。なぜならば、真空堆積プロセスによって、欠陥を招き得る、及び/または材料の強度を低下させ得る、汚染物質(例えば水)を構造用部品100の製造から除外することが可能になるからである。
【0037】
図2は、開示されている1つ以上の実施形態による、マンドレル202及び複数の層106、108、110、112を含む、別の例示的な構造用部品200の側部の断面図を示す。図2に示す構造用部品200は、上記の構造用部品100といくつかの点において同様であり得る。したがって、図1の説明を参照することで最もよく理解され得る。同様の番号は同様の構成要素を指しており、再び詳細には説明しない。図2に示すとおり、少なくとも1つの実施形態では、図1の金属層102、104はマンドレル202によって代替することができ、無機材料と有機材料による交互の層106、108、110、112は、マンドレル202上にまたはマンドレル202に隣接して、堆積され得る。例えば、構造用部品200は、図1の金属層102、104を形成する代わりに、マンドレル202を利用して、マンドレル202上に複数の層106、108、110、112を堆積して構造用部品200を製造することができ、それによって構造用部品200の製造が簡素化される。上記のとおり、マンドレル202は、構造用部品200に一体化され得るか、または構造用部品200の一部を形成し得る。マンドレル202を構造用部品200の一体的な部分として使用することによって、構造用部品200にさらなる構造上の強度及び/または剛性を与え得る。別の実施形態では、マンドレル202は、複数の層106、108、110、112用の基板であり得るか、またはその基板の一部を形成し得る。マンドレル202は、構造用部品200を形成するために、層106、108、110、112から分離され得るか、または取り外され得る。したがって、構造用部品200は、マンドレル202の任意の曲線または輪郭を有するようにして製造され得る。
【0038】
引き続き図2を参照すると、例示的な一実施形態では、構造用部品200を製造または形成する方法は、マンドレル202に隣接して第1の層106を堆積または形成することと、第1の層106に隣接して後続の層108を形成することとを含み得る。方法は、層間剥離を低減するため、層106と層108とを互いに結合することもまた含む。上記のとおり、層106と層108を互いに結合することは、第2の層108の堆積と同時か、または第2の層108の堆積後に、実施され得る。図2に示すとおり、構造用部品200の製造方法は、種々の材料による交互の層106、108、110、112を堆積することを含み得る。例えば、方法は、ケイ酸塩とポリマーによる交互の層といった、有機材料と無機材料による交互の層106、108、110、112を堆積することを含み得る。
【0039】
図3は、開示されている1つ以上の実施形態による、マンドレル302及び複数の層102、104、106、108、110、112を含む、別の例示的な構造用部品300の側部の断面図を示す。図3に示す構造用部品300は、上記の構造用部品100といくつかの点において同様であり得る。したがって、図1の説明を参照することで最もよく理解され得る。同様の番号は同様の構成要素を指しており、再び詳細には説明しない。図3に示すとおり、構造用部品300は、複数の層102、104、106、108、110、112及び、複数の層102、104、106、108、110、112のうちの2つ以上の間に間置された1つ以上のマンドレル(2つが302に示されている)を含み得る。マンドレル302は、構造用部品300に一体化され得るか、または構造用部品300の一部を形成し得る。別の実施形態では、マンドレル302は、層102、104、106、108、110、112と分離され得るか、または層102、104、106、108、110、112から取り外されて、構造用部品300を形成し得る。
【0040】
引き続き図3を参照すると、例示的な一実施形態では、構造用部品300を製造または形成する方法は、図1に関連して上記したように、構造用部品300の一部を形成するために、第1及び第2の層102、104を堆積または形成することを含み得る。方法は、構造用部品300を形成する層102、104に隣接して、1つ以上のマンドレル302を配置、位置決め、結合、設置、または別様に固定することもまた含み得る。方法は、図3に示すとおり、第2の層104及びマンドレル302に隣接して後続の層106、108、110、112を堆積し、それによって少なくとも2つの隣接する層104と106の間に間置されたマンドレル302を有する構造用部品300を形成することをさらに含み得る。図3に示すように、層106、108、110、112は、異なる材料による交互の層から製造され得る。別の例では、層106、108、110、112は、同一の材料から製造され得る。
【0041】
本明細書で開示されているマンドレル202、302は、1つ以上の層102、104、106、108、110、112に関連して上記されている材料のうちの、任意の1つ以上から製造され得る。例えば、本明細書で開示されるマンドレル202、302は、1つ以上の無機材料、1つ以上の有機材料、1つ以上のセラミックス、1つ以上の合金、1つ以上の金属、1つ以上の超合金、1つ以上の非金属、1つ以上の半金属、1つ以上の結合剤、1つ以上の添加剤、またはこれらの任意の組み合わせ、化合物、もしくは複合材から製造され得る。
【0042】
図4Aは、開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品402を製造するためのシステム400の側部の断面図を示す。図4Bは、開示されている1つ以上の実施形態による、図4Aの例示的なシステム400の上面図または平面図を示す。図4A及び図4Bに示すとおり、システム400は、1つ以上の基部または支持体(1つを404で示す)、及び支持体404の近傍に配置された1つ以上の塗布用ノズルまたはヘッド(8つを408で示す)を含む。図4A及び図4Bに示す少なくとも1つの実施形態では、支持体404は、その上に配置された1つ以上の構造用備品(8つを402で示す)を保持すること、位置決めすること、クランプ止めすること、固定すること、または別様に支持することが可能であるか、またはこれらを行うように構成され得る。図4Aに示す少なくとも1つの実施形態では、システム400は、基部404及び塗布用ヘッド408を収容可能であるかまたは収容するように構成された、筐体416を含み得る。筐体416は、構造用部品402の堆積または形成を容易にするため、基部404及び塗布用ヘッド408を真空条件下に維持することも可能であるか、または維持するようにも構成され得る。
【0043】
塗布用ヘッド408は、基部404の近傍に配置されることができ、構造用部品402の層410を形成するために1つ以上の材料を堆積するように構成され得る。例えば、図4Aに示すとおり、塗布用ヘッド408は、基部404の上方に配置されることができ、基部404上に構造用部品402を形成するため、複数の層410を堆積するように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、塗布用ヘッド408は、構造用部品402を形成するため、(固定されているかまたは取り外し可能である)マンドレル412上に層410を堆積するように構成され得る。別の実施形態では、塗布用ヘッド408は、基板を形成するために少なくとも1つの層410を堆積することができ、構造用部品402を形成するために、この基板に隣接して後続する層410をさらに堆積し得る。第1の層または基層410が、構造用部品402を形成し得るか、または構造用部品402の一部であり得ることは、認識すべきである。
【0044】
図4Bには8つの構造用部品402及び8つの塗布用ヘッド408が示されているが、システム400が、任意の数の塗布用ヘッド408を用いて任意の数の構造用部品402を製造し得るか、または製造するように構成され得ることは、認識すべきである。例えば、システム400で製造され得る構造用部品402の数は、約1から約5、約10、約15、またはそれより多い数まで、大きく変動することができる。同様に、システム400で使用される塗布用ヘッド408の数は、約1から約5、約10、約15、またはそれより多い数まで、大きく変動することができる。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、基部404は、塗布用ヘッド408に対して並進移動するか、または動くように構成され得る。例えば、基部404は、その中心414の周囲を、静止または固定の状態であり得る塗布用ヘッド408に対して回転するように構成され得る。別の実施形態では、塗布用ヘッド408のうちの少なくとも1つは、基部404に対して動くように構成され得る。例えば、塗布用ヘッド408のうちの少なくとも1つは、構造用部品402を形成するため、静止または固定の状態であり得る基部404の周囲を回転するように構成され得る。塗布用ヘッド408を基部404に対して回転すること、または基部404を塗布用ヘッド408に対して回転することによって、特に複数の構造用部品402及び/または比較的大きな構造用部品402を製造する際に、製造にかかる時間を削減し得ることは、認識すべきである。別の実施例では、塗布用ヘッド408及び/または基部404は、互いに対して1つ以上の任意の次元に動くように構成されていることができる。例えば、塗布用ヘッド408及び/または基部404は、X軸、Y軸、Z軸、またはこれらの任意の組み合わせに沿って、互いに対して並進移動し得るか、または動き得る。
【0046】
図5は、開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品を製造するための方法500のフロー図を示す。方法500は、502に示すとおり、複数の層を形成することを含み得る。複数の層を形成することは、504に示すとおり、第1の材料と第2の材料による交互の層を形成することを含み得る。第1の材料と第2の材料による交互の層を形成すること504は、506で示すとおり第1の材料から第1の層を形成することと、508で示すとおり第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することと、を含み得る。
【0047】
図6は、開示されている1つ以上の実施形態による、構造用部品を製造するための方法600のフロー図を示す。方法600は、602に示すとおり、1つ以上の塗布用ヘッドを有するシステムの基部上に、複数の層を形成することを含み得る。システムの基部上に複数の層を形成することは、604に示すとおり、第1の材料の層と第2の材料による交互の層を形成することを含み得る。第1の材料と第2の材料による交互の層を形成することは、606で示すとおり第1の材料から第1の層を形成することと、608で示すとおり第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することと、を含み得る。
【0048】
本明細書に記載のシステム400及び方法500、600は、任意の適切な構造用部品100、200、300、402を、または任意の適切な構造用部品100、200、300、402の一部を、製造するために使用され得る。例えば、システム400及び方法500、600は、輸送用のビークルまたは船舶の、1つ以上の構造用部品100、200、300、402を製造するために使用され得る。例えば、システム400及び方法500、600は、電車、車、バス、自動車、飛行機またはヘリコプターといった航空機、ボートなどの、構造用部品100、200、300、402を製造するために使用され得る。例えば、システム400及び方法500、600は、航空機またはヘリコプターのフロアまたはキャノピー、航空機のコクピットの窓、航空機のパーティション、車の車体、車軸、シャーシ、船体、ボートのガラス底などを製造するのに使用され得る。本明細書に記載のシステム400及び方法500、600によって製造され得る他の例示的な構造用部品100、200、300、402は、限定しないが、インペラー、ブレード、羽根(vane)、ケーシング、ダイヤフラム、固定子、ピストン、シリンダー、ロッド、シャフト、スリーブ、エンジンブロック、タービンディスク、シュラウドリング、ノーズコーン、吸気ケース、排気ケース、中間ケーシング、バルブブロック、ノズルブロック、吸気ノズル、吐出ノズルもしくは出口ノズル、吸気口の壁、隔壁、排出口の壁、パネル、翼、または他の操縦翼面などを含んでいることができる。少なくとも1つの実施形態では、本明細書で開示されるシステム400及び方法500、600は、水族館のウィンドウまたは出窓タイプの窓といった、フレームなしで少なくとも部分的に構造特性を提供し得る構造窓または窓を製造することも可能であるか、または製造するようにも構成され得る。本明細書に記載のシステム400及び方法500、600を構造用部品100、200、300、402の製造に使用することによって、重量効率が高いか、または環境にやさしい輸送手段である、飛行機、車、船舶などを、高い製造速度で製造することができ、それによって二酸化炭素の排出を削減することができる。
【0049】
さらに、本開示は、下記の条項による実施例を含む。
【0050】
条項1 構造用部品の製造方法であって、複数の層を形成することであって、複数の層を形成することが、第1の材料と第2の材料による交互の層を形成することを含み、交互の層を形成することが、第1の材料から第1の層を形成することと、第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することとを含む、複数の層を形成することを含み、複数の層が構造用部品を形成し、構造用部品の1つ以上の寸法が0.05cm以上である、方法。
【0051】
条項2 複数の層が、真空堆積処理によって形成される、条項1に記載の方法。
【0052】
条項3 前記第1の材料が有機材料を含む、条項1または2に記載の方法。
【0053】
条項4 有機材料が1つ以上のポリマーを含む、条項3に記載の方法。
【0054】
条項5 第2の材料が無機材料を含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
条項6 無機材料が1つ以上のケイ酸塩を含む、条項5に記載の方法。
【0056】
条項7 第1の材料または第2の材料が1つ以上のセラミックスを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
条項8 複数の層を形成することが、マンドレル上に第1の層を形成することを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
条項9 複数の層からマンドレルを取り外すことをさらに含む、条項8に記載の方法。
【0059】
条項10 マンドレルが構造用部品の少なくとも一部を形成している、条項8または9に記載の方法。
【0060】
条項11 複数の層を形成することが、第2の層に隣接して第3の材料から第3の層を形成することと、第3の層に隣接して第3の材料から第4の層を形成することをさらに含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
条項12 第3の材料が金属を含む、条項11に記載の方法。
【0062】
条項13 複数の層を形成することが、第3の材料から第3の層を形成することと、第3の層に隣接して第3の材料から第4の層を形成することと、第3の層に隣接して第1の材料から第1の層を形成することをさらに含む、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
条項14 第3の材料が金属を含む、条項13に記載の方法。
【0064】
条項15 構造用部品が輸送用のビークルまたは船舶の構造用部品である、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
条項16 構造用部品を支持するように構成された基部と、基部の近傍に配置され、構造用部品を形成するために1つ以上の材料の複数の層を堆積するように構成された、複数の塗布用ヘッドとを備える、構造用部品の製造システム。
【0066】
条項17 基部と、複数の塗布用ヘッドのうちの少なくとも1つとが、複数の層の堆積中に互いに対して動くように構成された、条項16に記載のシステム。
【0067】
条項18 構造用部品の製造方法であって、1つ以上の塗布用ヘッドを有するシステムの基部上に複数の層を形成することであって、複数の層を形成することが、第1の材料と第2の材料による交互の層を形成することを含み、交互の層を形成することが、第1の材料から第1の層を形成することと、第1の層に隣接して第2の材料から第2の層を形成することとを含む、複数の層を形成することを含み、複数の層が構造用部品を形成し、構造用部品の1つ以上の寸法が0.05cm以上である、方法。
【0068】
条項19 1つ以上の塗布用ヘッドに対して基部を動かすことをさらに含む、条項18に記載の方法。
【0069】
条項20 基部の近傍にマンドレルを配置することと、1つ以上の塗布用ヘッドによって、マンドレル上に複数の層を形成することとをさらに含む、条項18または19に記載の方法。
【0070】
本開示は、例示的な実施形態を参照しながら説明されてきた。限られた数の実施形態が示され説明されてきたが、上記の詳細な説明の原理及び主旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対して変更が行われ得ることは、当業者に認識されるであろう。本開示は、変更形態や修正形態が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、こうした変更形態及び修正形態の全てを含むものとして解釈されることが、意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6