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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/11 20230101AFI20231130BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 50/13 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 59/32 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20231130BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20231130BHJP
   H10K 101/40 20230101ALN20231130BHJP
【FI】
H10K50/11
H10K50/12
H10K50/13
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K59/32
H10K59/35
H10K85/60
H10K101:30
H10K101:40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019193262
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2020077628
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2018-0137571
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】リム ジン オー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スンガク
(72)【発明者】
【氏名】コ サミル
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0070194(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155515(US,A1)
【文献】国際公開第2018/061987(WO,A1)
【文献】特開2014-182933(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053216(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105098086(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/11
H10K 50/12
H10K 50/13
H10K 50/15
H10K 50/16
H10K 50/17
H10K 59/32
H10K 59/35
H10K 85/60
H10K 101/30
H10K 101/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に提供される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に提供され、第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含む第1発光層と、
前記第1発光層の上に提供され、第1電子輸送物質及び第2発光ドーパントを含む第2発光層と、
前記第2発光層の上に提供され、第2電子輸送物質を含む電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に提供される第2電極と、を含み、
前記第1発光層と前記第2発光層とは接して配置され、
前記第1発光ホストの三重項エネルギーT1、前記第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1、及び前記第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1は、T1<T1<T1の関係を満たす、有機電界発光素子。
【請求項2】
前記第2発光ドーパントと前記第1発光ホストの三重項エネルギーの差(T1-T1)は0.3eV以上である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記第2電子輸送物質と前記第2発光ドーパントの三重項エネルギーの差(T1-T1)は0.4eV以上である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記第1発光ホストの三重項エネルギーT1は1.3eV以上2.0eV以下である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1は1.7eV以上2.8eV以下である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1は2.2eV以上3.3eV以下である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記第1発光ホストは前記第1発光ドーパントによってドーピングされ、前記第1電子輸送物質は前記第2発光ドーパントにドーピングされ、前記第1発光ホストのドーピング率は、前記第1電子輸送物質のドーピング率以下である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記電子輸送領域は複数の有機層を含み、
前記複数の有機層のうち前記第2発光層に隣接する有機層が前記第2電子輸送物質を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記電子輸送領域は、
前記第2発光層の上に提供されるバッファ層と、
前記バッファ層の上に提供される電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に提供される電子注入層と、を含み、
前記バッファ層が前記第2電子輸送物質を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記第1発光層は、平面上で隣り合って配置される第1サブ発光層と、第2サブ発光層と、第3サブ発光層と、を含み、
前記第1サブ発光層が前記第1発光ホスト及び前記第1発光ドーパントを含む、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記第1発光ドーパントと前記第2発光ドーパントは同じ色の光を放出する、請求項10に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記第1サブ発光層は青色発光層であり、前記第2サブ発光層は緑色発光層であり、前記第3サブ発光層は赤色発光層である、請求項10に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記第1発光ホストは、下記化学式1で表される化合物を含み、
【化1】

前記化学式1において、
Ar及びArはそれぞれ独立して置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
及びRはそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換のシリル基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数1以上10以下のアルコキシ基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成し、
a及びbはそれぞれ独立して0以上4以下の整数である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置として、有機電界発光素子(Organic Electroluminescence Device)の開発が活発に行われている。有機電界発光素子は液晶表示装置などとは異なり、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層で再結合させることで、発光層に含まれる有機化合物である発光材料を発光させて表示を実現する、いわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子を表示装置に応用するにあたっては、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化、及び長寿命化が要求されており、これを安定的に実現し得る有機電界発光素子用材料の開発が持続的に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効率が向上された有機電界発光素子を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つにおいて、有機電界発光素子は、第1電極と、第1電極の上に提供される正孔輸送領域と、正孔輸送領域の上に提供され、第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含む第1発光層と、第1発光層の上に提供され、第1電子輸送物質及び第2発光ドーパントを含む第2発光層と、第2発光層の上に提供され、第2電子輸送物質を含む電子輸送領域と、電子輸送領域の上に提供される第2電極と、を含み、第1発光ホストの三重項エネルギーT1a、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1b、及び第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cは、T1a<T1b<T1cの関係を満たす。
【0006】
第2発光ドーパントと第1発光ホストの三重項エネルギーの差(T1b-T1a)は0.3eV以上であってもよい。
【0007】
第2電子輸送物質と第2発光ドーパントの三重項エネルギーの差(T1c-T1b)は0.4eV以上であってもよい。
【0008】
第1発光ホストの三重項エネルギーT1aは1.3eV以上2.0eV以下であってもよい。
【0009】
第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1bは1.7eV以上2.8eV以下であってもよい。
【0010】
第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cは2.2eV以上3.3eV以下であってもよい。
【0011】
電子輸送領域は複数の有機層を含み、複数の有機層のうち第2発光層に隣接する有機層は第2電子輸送物質を含んでもよい。
【0012】
電子輸送領域は、第2発光層の上に提供されるバッファ層と、バッファ層の上に提供される電子輸送層と、電子輸送層の上に提供される電子注入層と、を含んでもよく、バッファ層は第2電子輸送物質を含んでもよい。
【0013】
第1発光層は平面上で隣り合って配置される第1サブ発光層と、第2サブ発光層と、第3サブ発光層と、を含んでもよく、第1サブ発光層は第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含んでもよい。
【0014】
第1発光ドーパントと第2発光ドーパントは同じ色の光を放出してもよい。
【0015】
第1サブ発光層は青色発光層であってもよく、第2サブ発光層は緑色発光層であってもよく、第3サブ発光層は赤色発光層であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子は、優れた効率を有する。本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子は、長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
図2】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
図3】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
図4】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の平面図である。
図5】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
図6】本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述した本発明の目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付した図面及び下記の好ましい実施形態を介して容易に理解できるはずである。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限らず、他の形態で具体化されてもよい。むしろ、ここで記載される実施形態は開示された内容が完璧で完全なものになるように、そして通常の技術者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0019】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「接続される」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・接続・結合されるか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置されることを意味する。
【0020】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0021】
「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0022】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、これらの構成要素は本用語によって制約されるものではない。これらの用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に、第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、特筆しない限り、複数の表現を含む。
【0023】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の位置関係を説明するために使用される。この用語は相対的な概念を表すものであって、図面に示した方向を基準に用いられる。
【0024】
特に定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術における意味と同一の意味を有すると解釈すべきであり、明示的に定義されない限り、理想的な、または過度に形式的な意味に解釈されないと理解すべきである。
【0025】
「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、操作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを特定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、操作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在する、または付加される可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0027】
図4は、本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の上面図である。
【0028】
図4を参照すると、有機電界発光素子は、第1画素領域PAX1、第2画素領域PAX2、及び第3画素領域PAX3を含む。第1画素領域PAX1、第2画素領域PAX2、及び第3画素領域PAX3は平面上で隣り合って配置されることができ、異なる色の光を提供してもよい。例えば、第1画素領域PAX1は青色の光を提供し、第2画素領域PAX2は緑色の光を提供し、第3画素領域PAX3は赤色の光を提供してもよい。
【0029】
第1から第3画素領域PAX1、PAX2、PAX3それぞれの面積は異なってもよい。ここで面積とは、各画素領域を平面視した際の面積を意味する。例えば、青色の光を提供する第1画素領域PAX1の面積が最も大きく、赤色の光を提供する第3画素領域PAX3の面積が2番目に大きくてもよい。緑色光を提供する第2画素領域PAX2の面積が最も小さくてもよいが、本実施形態はこのような態様に限られない。
【0030】
図4に示した画素領域の配列構造はペンタイル構造と称される。但し、本実施形態において画素領域の配列構造は図4に示した画素領域の配列構造に限られない。例えば、本発明の他の実施形態において、画素領域は、第1方向DR1に沿って、第1画素領域PAX1、第2画素領域PAX2、及び第3画素領域PAX3が順次に交互に配列されるストライプ状構造を有してもよい。
【0031】
図1は、本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。図1は、一つの画素領域の断面図である。
【0032】
図1を参照すると、有機電界発光素子10は、第1電極EL1、及び第1電極EL1と向かい合って配置される第2電極EL2を含み、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される複数の有機層を含むことができる。複数の有機層は正孔輸送領域HTR、第1発光層EML1、第2発光層EML2、及び電子輸送層領域ETRを含んでもよい。
【0033】
実施形態の一つにおいて、第1発光層EML1は第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含み、電子輸送領域ETRは第2電子輸送物質を含む。第2発光層EML2は第1発光層EML1と電子輸送領域ETRとの間に提供され、第1電子輸送物質及び第2発光ドーパントを含む。
【0034】
実施形態の一つにおいて、有機電界発光素子10は、第1発光層EML1、第2発光層EML2、及び電子輸送領域ETRの間の三重項エネルギーレベルT1が制御される。より詳しくは、第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cは第1発光ホストの三重項エネルギーT1a、及び第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1bより大きく、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1bは、第1発光ホストの三重項エネルギーT1aより大きい。つまり、第1発光ホストの三重項エネルギーT1a、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1b、及び第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cは、T1a<T1b<T1cの関係式を満足する。このように三重項エネルギーレベルが制御されれば、第1発光層EML1の第1発光ホスト上で発生した三重項エネルギー励起子が第1発光層EML1以外の層に拡散することを防止することができるため、発光効率が向上する。
【0035】
実施形態の一つにおいて、第2発光ドーパントと第1発光ホストの三重項エネルギーの差(T1b-T1a)は0.3eV以上であってもよい。第2発光ドーパントと第1発光ホストの三重項エネルギーの差が0.3eV以上であれば、第1発光ホスト上で発生した三重項励起子が第2発光ドーパントに移動せず、三重項励起子をより効率的に第1発光層EML1に束縛することができる。
【0036】
実施形態の一つにおいて、第2電子輸送物質と第2発光ドーパントの三重項エネルギーの差(T1c-T1b)は0.4eV以上であってもよい。第2電子輸送物質と第2発光ドーパントの三重項エネルギーの差が0.4eV以上であれば、より効率的に第2発光ドーパントの三重項励起子が第1発光層EML1以外の層に拡散することを防止することができる。
【0037】
実施形態の一つにおいて、第1発光ホストの三重項エネルギーT1aは1.3eV以上2.0eV以下であってもよく、上記三重項エネルギーの関係式を満足すれば、特に限られない。
【0038】
実施形態の一つにおいて、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1bは1.7eV以上2.5eV以下であってもよく、上記三重項エネルギーの関係式を満足すれば、特に限られない。
【0039】
実施形態の一つにおいて、第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cは2.2eV以上3.2eV以下であってもよく、上記三重項エネルギーの関係式を満足すれば、特に限られない。
【0040】
第1発光層EML1において、第1発光ホストは第1発光ドーパントによってドーピングされてもよい。第2発光層EML2において、第1電子輸送物質は第2発光ドーパントによってドーピングされてもよい。実施形態の一つにおいて、第1発光ホストのドーピング率と第1電子輸送物質のドーピング率は同じでも異なってもよく、第1発光ホストのドーピング率は第1電子輸送物質のドーピング率以下でもよい。例えば、第1発光ホストは0.1重量%以上3重量%以下でドーピングされ、第1電子輸送物質は3重量%以上10重量%以下でドーピングされてもよいが、ドーピング率はこれに限られない。
【0041】
実施形態の一つにおいて、第1発光ドーパントは第2発光ドーパントと同じ色の光を放出する。例えば、第1発光ドーパントが青色光を放出するドーパントであれば、第2発光ドーパントも青色光を放出するドーパントであってもよい。第1発光ドーパントと第2発光ドーパントは同じ化合物を含んでもよい。但し、これに限らず、第1発光ドーパントと第2発光ドーパントは異なる化合物を含んでもよい。
【0042】
図5は、本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。図5は画素領域に対応する断面図である。
【0043】
図5を参照すると、第1発光層EML1は第1サブ発光層Sub-E1、第2サブ発光層Sub-E2、及び第3サブ発光層Sub-E3を含むことができる。第1サブ発光層Sub-E1、第2サブ発光層Sub-E2、及び第3サブ発光層Sub-E3は、互いに異なる色を放出する発光層であってもよい。第1サブ発光層Sub-E1、第2サブ発光層Sub-E2、及び第3サブ発光層Sub-E3のうち少なくとも一つの層は、第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含む。例えば、第1サブ発光層Sub-E1は第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含んでもよい。
【0044】
図6は、図4のII-II´線に対応する断面図である。図2は、本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。図3は、本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子の断面図である。
【0045】
図6を参照すると、実施形態の一つの有機電界発光素子は、ベース基板BSの上に提供される第1電極EL1、第1電極EL1の上に提供される正孔輸送領域HTR、正孔輸送領域HTRの上に提供される第1発光層EML1、第1発光層EML1の上に提供される第2発光層EML2、第2発光層EML2の上に提供される電子輸送領域ETR、及び電子輸送領域ETRの上に提供される第2電極EL2を含む。
【0046】
ベース基板は、ガラス基板、金属基板、またはプラスチップ基板であってもよいが、これに限られない。
【0047】
第1電極EL1は、ベース基板BSの上に提供される。第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は画素電極または陽極とすることができる。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極であってもよい。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含むことができる。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含んでもよい。または、第1電極EL1は、上記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層を有してもよい。例えば、第1電極EL1はITO/Ag/ITOの3層構造を有してもよいが、これに限られない。
【0048】
第1電極EL1の厚さは、約100nmから約1000nm、例えば約100nmから約300nmとすることができる。
【0049】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1の上に提供される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0050】
正孔輸送領域HTRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。正孔輸送領域HTRは正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質からなる単一構造を有してもよい。
【0051】
図2を参照すると、正孔輸送領域HTRは、第1電極EL1から順番に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTLの構造を有してもよい。図3を参照すると、正孔輸送領域HTRは、第1電極EL1から順番に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層EBLの構造を有することができるが、正孔輸送領域HTRはこれらの構造に限られない。
【0052】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などの多様な方法を利用して形成される。
【0053】
実施形態の一つの有機電界発光素子10の正孔注入層HILは、公知の正孔注入材料を含むことができる。例えば、正孔注入層HILは、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(PPBI)、N,N’-ビス[4-ジ(m-トリル)アミノフェニル]-N,N’-ジフェニルベンジジン(DNTPD)、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(NPB)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(α-NPD)、4,4’,4”-トリ(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4”-トリ{N-2-ナフチル)-N-フェニルアミノ}トリフェニルアミン(2-TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(PANI/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(PANI/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PANI/PSS)、またはHAT-CN(ジピラジノ[2,3-f:2’、3’-h]キノキサリン-2、3、6、7、10、11-ヘキサカルボニトリル)などを含んでもよい。しかし、正孔注入層HILに含まれる材料はこれらに限られない。
【0054】
実施形態の一つの有機電界発光素子10の正孔輸送層HTLは、公知の正孔輸送材料を含むことができる。例えば、正孔輸送層HTLは、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’,4”-トリス(Nーカルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、またはN,N’-ジ(1-ナフチル)-N.N’-ジフェニルベンジジン(NPB)、N,N’-ビス(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(α-NPD)などを含んでもよい。しかし、正孔輸送層HTLに含まれる材料はこれらに限られない。
【0055】
電子阻止層EBLは、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割を有する層である。電子阻止層EBLは、当該技術分野で知られている一般的な材料を含むことができる。電子阻止層EBLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニル-[1、1-ビフェニル]-4、4’-ジアミン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン誘導体、NPB(N、N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N、N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4、4’-シクロへキシリデンビス[N、N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4、4’-ビス[N、N’-(3-トリル)アミノ]-3、3’-ジメチルビフェニル)、またはmCPなどを含んでもよい。
【0056】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約10nmから約1000nm、例えば約10nmから約500nmであってもよい。正孔注入層HILの厚さは、例えば約3nmから約100nmであり、正孔輸送層HTLの厚さは、約3nmから約100nmであってもよい。例えば、電子阻止層EBLの厚さは、約1nmから約100nmであってもよい。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる正孔輸送特性が得られる。
【0057】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含んでもよい。電荷生成物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散される。電荷発生物質は、例えば、p-ドーパント(dopant)であってもよい。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物、及びシアノ基含有化合物のうちいずれか一つであってもよいが、これに限られない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-テトラフルオロ-テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物などが挙げられるが、これに限られない。
【0058】
第1発光層EML1は正孔輸送領域HTRの上に提供される。第1発光層EML1は後述する第2発光層EML2より厚くてもよい。例えば、第1発光層EML1と第2発光層EML2の厚さの割合は2:1から5:1であってもよい。第1発光層EML1の厚さはこの割合を満足すれば特に限られず、例えば、約10nmから約100nm、または約10nmから約50nmの厚さを有してもよい。第1発光層EML1は、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0059】
第1発光層EML1は、例えば、蛍光物質、りん光物質、または熱活性遅延蛍光物質を含んでもよいが、これらに限られない。実施形態の一つにおいて、第1発光層EML1は第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含むことができる。
【0060】
実施形態の一つにおいて、第1発光ホストの材料は、上述した三重項エネルギー関係式を満足すれば特に限られず、例えば、第1発光ホストはアントラセン系化合物を含んでもよい。
【0061】
本明細書において、「置換の」とは、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群より選択される一つ以上の置換基に置換されることを意味し、「非置換の」とは、置換されないことを意味する。また、上記置換基のそれぞれは置換されていてもよく、非置換であってもよい。例えば、ビフェニル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0062】
本明細書において、「隣接する基と結合して環を形成」するとは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは非置換の炭化水素環、または置換若しくは非置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は、単環または多環である。また、隣接する基と互いに結合して形成された環は、他の環と連結されてスピロ構造を形成してもよい。
【0063】
本明細書において、「隣接する基」とは、ある置換基が結合する原子と直接結合された原子に置換された置換基、ある置換基が結合する原子に結合する他の置換基、またはある置換基と立体的に最も近い置換基を意味する。例えば、1,2-ジメチルベンゼンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈され、1,1-ジエチルシクロペンテンにおける2つのエチル基は互いに「隣接する基」と解釈される。
【0064】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0065】
本明細書において、アルキル基は直鎖、分枝鎖、または環である。アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上6以下であってもよい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルペプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、tーオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これに限られない。
【0066】
本明細書において、アルコキシ基は、上述のように定義されたアルキル基に酸素原子が結合された基を意味する。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、iso-アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられるが、これらに限られない。
【0067】
本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素環から誘導された任意の官能基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は、6以上60以下、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、テルフェニル基、クォーターフェニル基、クインクフェニル基、セクシフェニル基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これらに限られない。
【0068】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。フルオレニル基が置換される場合の例は以下に示される。但し、フルオレニル基はこれらに限られない。
【化1】
【0069】
本明細書において、アリールオキシ基は、上述のように定義されたアリール基に酸素原子が結合された基を意味する。アリールオキシ基の例としては、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などが挙げられるが、これらに限られない。
【0070】
本明細書において、ヘテロ環はヘテロ原子としてB、O、N、P、Si、及びSのうち一つ以上を含むことができる。ヘテロ環がヘテロ原子を2つ以上含む場合、2つ以上のヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロ環は単環式ヘテロ環または多環式ヘテロ環であってもよく、ヘテロアリール基を含む概念である。ヘテロ環の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下であってもよい。ヘテロ環の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピリジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フェノキサジン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、N-アリールカルバゾール基、N-ヘテロアリールカルバゾール基、N-アルキルカルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、チエノチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントロリン基、チアゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、フェノチアジン基、ジベンゾシロール基、及びジベンゾフラン基などが挙げられるが、これに限られない。
【0071】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含んでもよい。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限られない。
【0072】
詳しくは、第1発光ホストは下記化学式1で表される化合物を含む。
<化学式1>
【化2】
【0073】
化学式1において、Ar1とAr2はそれぞれ独立して、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよい。
【0074】
実施形態の一つにおいて、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のフェナントリル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換フルオレニル基、置換または非置換ピレニル基、または置換または非置換のジベンゾフラニル基であってもよい。
【0075】
化学式1において、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換のシリル基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数1以上10以下のアルコキシ基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基でもよく、または隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0076】
化学式1において、a及びbはそれぞれ独立して0以上4以下の整数であってもよい。aが2以上の場合、複数のR1は互いに同じであるか異なり、bが2以上の場合、複数のR2は互いに同じであるか異なる。
【0077】
第1発光ホストは、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択することができるが、これらに限られない。
【0078】
<第1化合物群>
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0079】
第1発光層EML1は、第1発光ホスト物質として公知の材料をさらに含んでもよい。例えば、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CBP(4,4-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、mCP(1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、PPF(2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フラン)、TcTa(4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン)、及びTPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)のうち少なくとも一つを含んでもよい。但し、第1発光ホスト物質はこれに限られず、例えば、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、CBP(4、4’-ビス(N-カルバゾリル)-1、1’-ビフェニル)、PVK(ポリ(n-ビニルカルバゾール)、ADN(9、10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン)、TPBi(1、3、5-トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、TBADN(3-tert-ブチル-9、10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリレン)、CDBP(4、4’-ビス(9-カルバゾリル)-2、2’-ジメチル-ビフェニル)、MADN(2-メチル-9、10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CP1(ヘキサフェニルシクロトリホスファゼン)、UGH2(1、4-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)、DPSiO3(ヘキサフェニルシクロトリシロキサン)、DPSiO4(オクタフェニルシクロテトラシロキサン)、PPF(2、8-ビス(ジフェニルホスフォリル)ジゼンゾフラン)などを使用してもよい。
【0080】
第1発光ドーパントは、りん光ドーパント、蛍光ドーパント、または熱活性遅延蛍光ドーパントである。例えば、第1発光ドーパントは、TPD(N,N,N’,N’-テトラフェニル-ピレン-1,6-ジアミン)、BCzVBi(4,4’-ビス(2-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)ビニル)-1,1’-ビフェニル;4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル)、ACRSA(10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9.9’-アントラセン]-10’-オン)、ACRFLCN(10-フェニル-10H-スピロ[アクリジン-9,9’-フルオレン]-2’,7’-ジカルボニトリル)、ACzPN(3,4,5,6-テトラ-9H-カルバゾール-9-イル-1,2-ベンゼンジカルボニトリル)、4CzIPN(2,4,5,6-テトラ-9H-カルバゾールー9-イル-イソフタロニトリル)、DMAC-DPS(ビス[4-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]ソルホン)、PIC-TRZ(2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン)、PIC-TRZ2(12-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-フェニル-5,12-ジヒトロインドロ[3,2-a]カルバゾール)、PXZ-TRZ(10-4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)-10H-フェノキサジン)、及びPSZ-TRZ(2-フェノキサジン-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0081】
また、第1発光ドーパントは、ホウ素含有ドーパント、例えば、下記化合物D-1からD-13のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【化7】
【化8】
【0082】
また、第1発光層EML1は公知のドーパント材料として、スチリル誘導体(例えば、1,4-ビス[2-(3-N-エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン(BCzVB)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン-2-イル)ビニル)フェニル)-N-フェニルベンゼンアミン(N-BDAVBi)、ぺリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルぺリレン(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1-ジピレン、1,4-ジピレニルベンゼン、1,4-ビス(N、N-ジフェニルアミノ)ピレン))などを含んでもよい。
【0083】
図6を参照すると、実施形態の一つにおいて、第1発光層EML1は第1サブ発光層Sub-E1、第2サブ発光層Sub-E2、及び第3サブ発光層Sub-E3を含むことができる。
【0084】
第1サブ発光層Sub-E1は第1画素領域PAX1に重畳してもよく、第2サブ発光層Sub-E2は第2画素領域PAX2に重畳してもよく、第3サブ発光層Sub-E3は第3画素領域PAX3に重畳してもよい。
【0085】
第1サブ発光層Sub-E1は、410nmから480nm波長の光を発光する青色発光層であってもよい。第1サブ発光層Sub-E1は、第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含むことができる。
【0086】
第2サブ発光層Sub-E2は、500nmから570nm波長の光を発光する緑色発光層であってもよい。第2サブ発光層Sub-E2は、例えば、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)を含む蛍光ホスト材料を含むことができ、例えば、Ir(ppy)3(fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム)のような有機金属錯化合物(organometallic compound)や金属錯体(metal complex)、またはクマリン(coumarin)誘導体を含む蛍光ドーパントを含んでもよい。
【0087】
第3サブ発光層Sub-E3は、625nmから675nm波長の光を発光する赤色発光層でもよい。第3サブ発光層Sub-E3は、例えば、PDB:Eu(DBM)3(Phen)(トリス(ジベンゾイルメタナト)フェナントロリンユーロピウム)またはペリレンを含む蛍光ホスト材料を含むことができ、例えば、PIQIr(acac)(ビス(1-フェニルイソキノリン)アセチルアセトネートイリジウム)、PQIr(acac)(ビス(1-フェニルキノリン)アセチルアセトネートイリジウム)、PQIr(トリス(1-フェニルキノリン)イリジウム)、及びPtOEP(白金オクタエチルポルフィリン)のような有機金属化合物若しくは金属錯体、ルブレン(rubrene)誘導体若しくは4-ジシアノメチレン-2-(p-ジメチルアミノスチリル)-6-メチル-4H-ピラン(DCM)誘導体を含む蛍光ドーパントを含んでもよい。
【0088】
第2発光層EML2は第1発光層EML1の上に提供される。図6を参照すると、第2発光層EML2は第1画素領域から第3画素領域PAX1、PAX2、PAX3に重畳する共通層であってもよい。
【0089】
第2発光層EML2は第1発光層EML1より小さい厚さを有することができる。第2発光層EML2の厚さは上述した第1発光層EML1との厚さの比を満足すれば特に限られず、例えば、第2発光層EML2は約1nmから約約40nm、または約3nmから約30nmの厚さを有してもよい。第2発光層EML2は、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0090】
第2発光層EML2は青色光を放出する発光層である。第2発光層EML2は蛍光発光層であってもよい。第2発光層EML2は、蛍光発光物質を第2発光ドーパントとして含むことができる。実施形態の一つにおいて、第2発光ドーパントは青色光を放出する蛍光ドーパントであってもよい。
【0091】
第2発光ドーパントの材料は、本発明の実施形態の一つによる三重項エネルギーレベルの関係式を満足すれば特に限られない。例えば、第2発光ドーパントは、TPD(N,N,N’,N’-テトラフェニル-ピレン-1,6-ジアミン)、BCzVBi(4,4’-ビス(2-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)ビニル)-1,1’-ビフェニル;4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル)、ACRSA(10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン)、4CzPN(3,4,5,6-テトラ-9H-カルバゾール-9-イル-1,2-ベンゼンジカルボニトリル)、4CzIPN(2,4,5,6-テトラ-9H-カルバゾール-9-イル-イソフタロニトリル)、DMAC-DPS(ビス[4-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン)、及びPSZ-TRZ(2-フェノキサジン-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン)のうち少なくとも一つを含んでもよい。また、第2発光層EML2は公知のドーパントとして、スチリル誘導体(例えば、1,4-ビス[2-(3-N-エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン(BCzVB)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン-2-イル)ビニル)フェニル)-N-フェニルベンゼンアミン(N-BDAVBi)、ぺリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルぺリレン(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1-ジピレン、1,4-ジピレニルベンゼン、1,4-ビス(N、N-ジフェニルアミノ)ピレン))などを含むことができる。
【0092】
実施形態の一つにおいて、第2発光ドーパントと第1発光ドーパントは同じ材料を含んでもよい。
【0093】
実施形態の一つにおいて、第2発光層EML2は第1電子輸送物質を更に含んでもよい。第1電子輸送物質は、電子輸送の役割を有する材料であれば特に限られない。例えば、第1電子輸送物質は、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2,4,6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イルフェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0094】
電子輸送領域ETRは第2発光層EML2の上に提供される。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層、電子輸送層ETL、及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むことができるが、電子輸送領域ETRの構造これに限られない。
【0095】
電子輸送領域ETRは、下記式2Aから2E及び3Aと3Bから選択される少なくとも一つを含んでもよい。但し、電子輸送領域ETRに含まれる化合物はこれらに限られない。
<化学式2A>
【化9】
<化学式2B>
【化10】
<化学式2C>
【化11】
<化学式2D>
【化12】
<化学式2E>
【化13】
<化学式3A>
【化14】
<化学式3B>
【化15】
【0096】
化学式2D及び2Eのうち、環A1及びA2は、互いに独立して、C5-C60炭化水素環、またはC1-C30ヘテロ環基であり、
【0097】
環A21、A22、及びA23は、互いに独立して、少なくとも一つの*-[(L22a22-(R22b22]に置換された、C5-C60炭化水素環、またはC1-C30ヘテロ環基であり、
【0098】
11及びT12は、互いに独立して、炭素または窒素であり、化学式3Aの3つのT11のうち任意の2つ以上は互いに同じであるか異なり、T13はNまたはC(R27)であり、T14はNまたはC(R28)であり、化学式3Aの3つのT12のうち任意の2つ以上は互いに同じであるか異なり、化学式3Bの2つのT11のうち任意の2つ以上は互いに同じであるか異なり、化学式3Bの2つのT12のうち任意の2つ以上は互いに同じであるか異なり、T11とT12との間の結合はそれぞれ単一結合または二重結合であり、化学式3Aのうち3つのT11及び3つのT12が全て窒素である場合は除外され、化学式2Hのうち2つのT11、2つのT12、T13、及びT14が全て窒素である場合は除外され、
【0099】
環A21、A22、及びA23それぞれはT11及びT12を共有しながら、化学式3A及び3Bのうち7員環と縮合されており、X1はNまたはC-(L1a1-(R1b1であり、
【0100】
2はNまたはC-(L2a2-(R2b2であり、X3はNまたはC-(L3a3-(R3b3であり、X1からX3のうち少なくとも一つはNであり、
【0101】
11はNまたは(L11a11-(R11b11であり、X12はNまたは(L12a12-(R12b12であり、
【0102】
21はO、S、Se、C(R23)(R24)、Si(R23)(R24)、及びN-[(L21a21-(R21b21]のうちから選択され、
【0103】
1からL14、L21及びL22は互いに独立して、置換または非置換のC3-C10シクロアルキレン基、置換または非置換のC1-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換のC3-C10シクロアルケニレン基、置換または非置換のC3-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換または非置換のC6-C60アリレン基、置換または非置換のC1-C60ヘテロアリレン基、置換または非置換の2価非芳香族縮合多環基、及び置換または非置換の2価非芳香族ヘテロ縮合多環基から選択され、a1からa14、a21及びa22は互いに独立して、0乃至5の整数から選択され、
【0104】
1からR14、R21からR24、R27及びR28は互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、置換または非置換のC1-C60アルキル基、置換または非置換のC2-C60アルケニル基、置換または非置換のC2-C60アルキニル基、置換または非置換のC1-C60アルコキシ基、置換または非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換または非置換のC1-C10ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC3-C10シクロアルケニル基、置換または非置換のC1-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換または非置換のC6-C60アリール基、置換または非置換のC6-C60アリールオキシ基、置換または非置換のC6-C60アリールチオ基、置換または非置換のC1-C60ヘテロアリール基、置換または非置換の1価非芳香族縮合多環基、置換または非置換の1価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q1)(Q2)(Q3)、-N(Q1)(Q2)、-B(Q1)(Q2)、-C(=O)(Q1)、-S(=O)2(Q1)、及び-P(=O)(Q1)(Q2)から選択され、
【0105】
b1からb14、b21及びb22は互いに独立して、0乃至4の整数から選択され、
【0106】
c13及びc14は互いに独立して、0乃至5の整数から選択され、
【0107】
置換されたC3-C10シクロアルキレン基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルキレン基、置換されたC3-C10シクロアルケニレン基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルケニレン基、置換されたC6-C60アリレン基、置換されたC1-C60ヘテロアリレン基、置換された2価非芳香族縮合多環基、置換された2価非芳香族ヘテロ縮合多環基、置換されたC1-C60アルキル基、置換されたC2-C60アルケニル基、置換されたC2-C60アルキニル基、置換されたC1-C60アルコキシ基、置換されたC3-C10シクロアルキル基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC3-C10シクロアルケニル基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC6-C60アリール基、置換されたC6-C60アリールオキシ基、置換されたC6-C60アリールチオ基、置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換された1価非芳香族縮合多環基、及び置換された1価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基のうち少なくとも一つは、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、及びC1-C60アルコキシ基と、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、1価非芳香族縮合多環基、1価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q11)(Q12)(Q13)、-N(Q11)(Q12)、-B(Q11)(Q12)、-C(=O)(Q11)、-S(=O)2(Q11)、及び-P(=O)(Q11)(Q12)から選択された少なくとも一つに置換された、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、及びC1-C60アルコキシ基と、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、1価非芳香族縮合多環基、1価非芳香族ヘテロ縮合多環基、ビフェニル基及びテルフェニル基と、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、1価非芳香族縮合多環基、1価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-Si(Q21)(Q22)(Q23)、-N(Q21)(Q22)、-B(Q21)(Q22)、-C(=O)(Q21)、-S(=O)2(Q21)、及び-P(=O)(Q21)(Q22)から選択された少なくとも一つに置換された、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、1価非芳香族縮合多環基、及び1価非芳香族ヘテロ縮合多環基と、-Si(Q31)(Q32)(Q33)、-N(Q31)(Q32)、-B(Q31)(Q32)、-C(=O)(Q31)、-S(=O)2(Q31)、及び-P(=O)(Q31)(Q32)と、から選択され、
【0108】
1からQ3、Q11からQ13、Q21からQ23、及びQ31からQ33は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C1-C60アルキル基に置換されたC6-C60アリール基、C6-C60アリール基に置換されたC6-C60アリール基、テルフェニル基、C1-C60ヘテロアリール基、C1-C60アルキル基に置換されたC1-C60ヘテロアリール基、C6-C60アリール基に置換されたC1-C60ヘテロアリール基、1価非芳香族縮合多環基、及び1価非芳香族ヘテロ縮合多環基から選択される。
【0109】
【化16】
【0110】
【化17】
【0111】
【化18】
【0112】
【化19】
【0113】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法などのような多様な方法を利用して形成することができる。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約100nmから約150nmであってもよい。
【0114】
実施形態の一つにおいて、電子輸送領域ETRは第2電子輸送物質を含むことができる。第2電子輸送物質は、上記三重項エネルギーの関係式を満足すれば特に限られない。例えば、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2,4,6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イルフェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0115】
実施形態の一つにおいて、第2電子輸送物質は第1電子輸送物質と同じであってもよく、または異なってもよい。
【0116】
電子輸送領域ETRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。例えば、電子輸送領域ETRは電子注入層のEILまたは電子輸送層ETLの単一層の構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層構造を有してもよい。
【0117】
図2及び図3を参照すると、電子輸送領域ETRは複数の有機層を含むことができる。図2を参照すると、電子輸送領域ETRは、第2発光層EML2から順番に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EILを含んでもよい。図3を参照すると、電子輸送領域ETRは、第2発光層EML2から順番に積層されたバッファ層BFL/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有しているが、電子輸送領域ETRの構成はこれらに限られない。
【0118】
電子輸送領域ETRが複数の有機層を含む場合、第2発光層に隣接する有機層が第2電子輸送物質を含んでもよい。例えば、図3の場合、第2発光層EML2と接するバッファ層BFLは上述した第2電子輸送物質を含んでもよい。
【0119】
電子輸送物質ETRの厚さは、約10nmから約100nm、例えば約10nmから約50nmであってもよい。電子輸送領域ETRの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる電子輸送特性が得られる。
【0120】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、電子輸送領域ETRは、LiF、LiQ(リチウムキノリナート)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタン族金属、またはRbCl、RbIのようなハロゲン化金属などをさらに含んでもよいが、電子輸送領域ETRに含まれる材料はこれに限られない。電子注入層EILはまた、第2電子輸送物質と絶縁性の有機酸の金属塩(metal salt)が混合された物質からなる。有機酸の金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質である。詳しくは、例えば、有機酸の金属塩は、金属酢酸塩(metal acetate)、金属安息香酸塩(metal benzoate)、金属アセト酢酸塩(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトナート(metal acetylacetonate)、または金属ステアレート(metal stearate)を含む。電子注入層EILの厚さは、約0.1nmから約100nm、約0.3nmから約9nmであってもよい。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる電子注入特性が得られる。
【0121】
電子輸送領域ETRは正孔阻止層を更に含むことができる。正孔阻止層は、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、及びBphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)のうち少なくとも一つを含んでもよいが、正孔阻止層に含まれる材料はこれらに限られることはない。
【0122】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETRの上に提供される。第2電極EL2は、共通電極または陰極である。第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極とすることができる。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどを含んでもよい。
【0123】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極の場合、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含むことができる。あるいは、上記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造を有してもよい。
【0124】
図示しないが、第2電極EL2は補助電極と連結されてもよい。第2電極EL2が補助電極と連結されることにより、第2電極EL2の抵抗に起因する電圧降下を軽減させることができる。
【0125】
有機電解発光素子10において、第1電極EL1と第2電極EL2にそれぞれ電圧が印加されることで、第1電極EL1から注入された正孔(hole)は正孔輸送領域HTRを経て第1発光層EML1に移動し、第2電極EL2から注入された電子は電子輸送領域ETRを経て第1発光層EMLに移動する。電子と正孔は第1発光層EMLで再結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から基底状態に緩和する際に発光を与えることができる。
【0126】
有機電界発光素子10が上面発光型であれば、第1電極EL1は反射型電極であって、第2電極はEL2を透過型電極または半透過型電極とすることができる。有機電界発光素子10が下面発光型であれば、第1電極EL1は透過型電極または半透過型電極とすることができ、第2電極はEL2は反射型電極とすることができる。
【実施例
【0127】
以下、具体的な実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲はこれに限ることはない。
【0128】
(素子作成例1)
表1のように材料を使用して、実施例1の有機電界発光素子を下記のように作製した。
【0129】
120nmの厚さのITO層が形成されたITOガラス基板(Corning社製)を50mm×50mm×0.5mmの大きさに切り、イソプロピルアルコールと純水を利用して各15分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射し、オゾンに露出させて洗浄し、真空蒸着装置内に設置した。
【0130】
ITOガラス基板の上に、公知の化合物m-MTDTAを真空蒸着し、60nmの厚さでまず正孔注入層を形成した後、NPBを10nmの厚さで真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0131】
正孔輸送層の上に第1発光ホストと第1発光ドーパントを重量比97:3で共蒸着し、30nmの厚さで第1発光層を形成した。
【0132】
第1発光層の上に第1電子輸送物質と第2発光ドーパントを重量比97:3で共蒸着し、10nmの厚さで第2発光層を形成した。
【0133】
次に、第2発光層の上に電子輸送層として第2電子輸送物質を20nmの厚さで蒸着した後、この電子輸送層の上にハロゲン化アルカリ金属であるLiFを電子注入層として1nmの厚さで蒸着し、Alを200nm(第2電極)の厚さで真空蒸着してLiF/Al電極を形成することで、有機電界発光素子を作製した。
【0134】
(素子作成例2)
表1のように材料を使用して、比較例1の有機電界発光素子を下記のように制作した。
【0135】
120nmの厚さのITO層が形成されたITOガラス基板(Corning社製)を50mm×50mm×0.5mmの大きさに切り、イソプロピルアルコールと純水を利用して各15分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射し、オゾンに露出させて洗浄して、真空蒸着装置内に設置した。
【0136】
ITOガラス基板の上に、まず公知の化合物m-MTDTAを真空蒸着し、60nmの厚さで正孔注入層形成した後、NPBを10nmの厚さで真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0137】
正孔輸送層の上に第1発光ホストと第1発光ドーパントを重量比97:3で共蒸着し、30nmの厚さで第1発光層を形成した。
【0138】
次に、第1発光層の上に電子輸送層として第2電子輸送物質を20nmの厚さで蒸着した後、この電子輸送層の上にハロゲン化アルカリ金属であるLiFを電子注入層として1nmの厚さで蒸着し、Alを200nm(第2電極)の厚さで真空蒸着してLiF/Al電極を形成することで、有機電界発光素子を作製した。
【0139】
【表1】
【0140】
<素子作製材料>
【化20】
【0141】
実施例1及び比較例1による有機電界発光素子の駆動電圧、及び効率を測定し、結果の一部を表2に示す。
【0142】
【表2】
【0143】
表2の結果を参照すると、実施例1は比較例1に比べ低駆動電圧化、高効率化されていることが分かる。実施例1の有機電界発光素子は、第1発光層、第2発光層、及び電子輸送領域を順番に含み、第1発光ホストの三重項エネルギーT1a、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1b、及び第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cがT1a<T1b<T1cの関係を満足する。よって、三重項励起子が第1発光層EML1以外の層に拡散することを防止することができ、第1発光層EML1に束縛された三重項励起子は衝突融合で一重項励起子に変化され、素子の発光効率が向上される。
【0144】
比較例1の有機電界発光素子は第2発光層を含まず、第1発光層EML1の三重項励起子が電子輸送領域に容易に拡散される。よって、実施例に比べ素子の発光効率が低下することが分かる。
【0145】
本発明の実施形態の一つによる有機電界発光素子は、第1発光ホスト及び第1発光ドーパントを含む第1発光層、第2電子輸送物質を含む電子輸送領域、及び第1発光層と電子輸送領域との間に提供され、第1電子輸送物質及び第2発光ドーパントを含む第2発光層を含み、第1発光ホストの三重項エネルギーT1a、第2発光ドーパントの三重項エネルギーT1b、及び第2電子輸送物質の三重項エネルギーT1cをT1a<T1b<T1cとなるように制御することで、素子の優れた効率を達成している。
【0146】
これまで本発明の実施形態と実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得ることを理解できるはずである。よって、上述した実施形態と実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0147】
10:有機電界発光素子 EL1:第1電極
HTR:正孔輸送領域 HIL:正孔注入層
HTL:正孔輸送層 EML1:第1発光層
EML2:第2発光層 ETR:: 電子輸送領域
ETL:電子輸送層 EIL:電子注入層
EL2:第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6