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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】点火プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/54 20060101AFI20231130BHJP
   H01T 13/20 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H01T13/54
H01T13/20 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019205760
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021077604
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 翔太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 文明
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 明光
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056258(JP,A)
【文献】特開平02-144873(JP,A)
【文献】特許第6015678(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/54
H01T 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記連通空間形成部の内周面には、上記副室側から上記主燃焼室側に向かって延びる凹状又は凸状のガイド部(64)が形成されている、点火プラグ。
【請求項2】
上記ガイド部は、上記副室内側開口部から上記主室側開口部に亘って連続している、請求項1に記載の点火プラグ。
【請求項3】
上記連通空間形成部は、上記副室内側開口部から上記主室側開口部に近づくにつれて拡径している、請求項1又は2に記載の点火プラグ。
【請求項4】
筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記連通空間形成部は、上記副室内側開口部から上記主室側開口部に近づくにつれて拡径している、点火プラグ。
【請求項5】
プラグ軸方向において、上記副室形成部のプラグ軸方向先端から上記接地電極のプラグ軸方向基端までの距離は、上記副室形成部のプラグ軸方向先端から上記絶縁碍子のプラグ軸方向先端までの距離の0.25~0.75倍の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の点火プラグ。
【請求項6】
プラグ軸方向先端側から見たとき、上記中心電極の先端部の全体が上記副室内側開口部の内側に位置している、請求項1~5のいずれか一項に記載の点火プラグ。
【請求項7】
上記中心電極の先端部は、上記副室内側開口部を通じて上記連通空間内に位置している、請求項1~6のいずれか一項に記載の点火プラグ。
【請求項8】
筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記副室内側開口部の内径(D1)は、上記主室側開口部の内径(D2)よりも小さくなっており、
上記連通空間形成部は、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを繋ぐとともに、プラグ軸方向に対して傾斜した側壁部(63a)を有しており、
上記中心電極の上記先端部における上記主燃焼室側の先端位置は、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向基端側に位置しており、
上記副室形成部のプラグ軸方向先端側の端部は、プラグ軸方向基端側に向かうにつれて拡径する拡径領域を有しており、
上記噴孔は上記拡径領域を貫通するように設けられているとともに、上記噴孔の貫通方向はプラグ軸方向に対して傾斜しており、
プラグ軸方向に対する上記噴孔の貫通方向の傾斜角度は、プラグ軸方向に対する上記側壁部の傾斜角度よりも大きい、点火プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点火プラグとして、主燃焼室と連通する噴孔を有する副室を備え、噴孔を介して副室内に混合気を流入させて、副室内で生じた火炎を噴孔から主燃焼室内に噴出させるものがある。例えば、特許文献1には、副室に外表面から内方に向けて突出した突起を設けることにより、副室内の火炎核を副室の内周面から離して噴孔からの火炎噴出を促す構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6015678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成では、エンジンの運転条件が低負荷の場合には、部分負荷や高負荷である場合に比べて、副室内の発生熱量が少なくなる。そのため、低負荷時には、副室内では副室を形成する壁などへの熱損失の占める割合が大きくなって火炎の成長が阻害される。その結果、十分な火炎噴出が得られない場合があり、主燃焼室における混合気の燃焼が安定しない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、主燃焼室における燃焼の安定性の向上が図られる点火プラグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記連通空間形成部の内周面には、上記副室側から上記主燃焼室側に向かって延びる凹状又は凸状のガイド部(64)が形成されている、点火プラグにある。
また、本発明の他の態様は、筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記連通空間形成部は、上記副室内側開口部から上記主室側開口部に近づくにつれて拡径している、点火プラグにある。
また、本発明のさらに他の態様は、筒状のハウジングと、該ハウジングのプラグ軸方向先端側に副室(2)を形成する副室形成部(30)と、上記ハウジングに内包された絶縁碍子(50)と、該絶縁碍子の内側に配設されるとともに、上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、該中心電極との間に放電経路を形成する接地電極(70)とを備える点火プラグ(1)であって、
上記副室形成部から上記副室内に突出するとともに、上記副室内側に開口した副室内側開口部(61)と、主燃焼室に開口した主室側開口部(62)と、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを介して上記副室と上記主燃焼室とに連通する連通空間(63)とを有する連通空間形成部(60)と、
上記副室形成部において、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に配置されて、上記副室と上記主燃焼室とを連通して上記主燃焼室内に火炎を噴出するように構成された噴孔(35)と、を備え、
上記接地電極は、上記副室内側開口部又は上記副室内側開口部から突出する突出部(65)からなり、
上記副室内側開口部の内径(D1)は、上記主室側開口部の内径(D2)よりも小さくなっており、
上記連通空間形成部は、上記副室内側開口部と上記主室側開口部とを繋ぐとともに、プラグ軸方向に対して傾斜した側壁部(63a)を有しており、
上記中心電極の上記先端部における上記主燃焼室側の先端位置は、上記副室内側開口部よりもプラグ軸方向基端側に位置しており、
上記副室形成部のプラグ軸方向先端側の端部は、プラグ軸方向基端側に向かうにつれて拡径する拡径領域を有しており、
上記噴孔は上記拡径領域を貫通するように設けられているとともに、上記噴孔の貫通方向はプラグ軸方向に対して傾斜しており、
プラグ軸方向に対する上記噴孔の貫通方向の傾斜角度は、プラグ軸方向に対する上記側壁部の傾斜角度よりも大きい、点火プラグにある。
【発明の効果】
【0007】
上記点火プラグでは、副室内に突出した連通空間形成部において副室内側開口部と主室側開口部とが連通空間によって連通しており、中心電極との間に放電経路を形成する接地電極は、副室内側開口部又は副室内側開口部から突出する突出部からなる。そして、放電経路に形成された放電で点火された初期火炎の一部は、副室内での火炎成長を経ずに連通空間及び主室側開口部を通じて直接主燃焼室に伝播される。それゆえ、副室内での熱損失の影響が低減されることとなり、低負荷時において噴孔から十分な火炎噴出が得られなくとも、主燃焼室内の混合気に直接着火することができ、主燃焼室における燃焼の安定性を向上できる。
【0008】
さらに、放電経路は、副室内に突出した連通空間形成部における副室内側開口部又は副室内側開口部から突出する突出部からなる接地電極と中心電極との間に形成される。従って、放電経路は副室の内方に位置しており、副室内側開口部よりもプラグ軸方向先端側に位置する噴孔から離れた位置に位置している。そのため、部分負荷-高負荷時には、副室の内方の放電経路で発生した初期火炎が、副室内に十分存在する混合気によって十分に成長した段階で噴孔に到達させることができる。そのため、部分負荷-高負荷時には十分な火炎噴出を得ることができ、着火性の向上を図ることができる。よって、低負荷時の燃焼安定性と、部分負荷-高負荷時の着火性向上との両立を図ることができる。
【0009】
さらに、エンジンにおいて、ピストンの上死点前に点火時期を到来させるBTDC(Before Top Dead Center)点火を行う運転条件では、放電形成時にピストンの上昇に伴って生じる気流により、主燃焼室の混合気が主室側開口部から連通空間及び副室内側開口部を通じて副室内に流入することとなる。そして、中心電極と接地電極との間の放電経路に生じた放電が当該気流によって副室内に伸長することにより、副室内の混合気に与えるエネルギ量が高まる。その結果、副室内での燃焼が促進される。
【0010】
一方、ピストンの上死点後に点火時期を到来させるATDC(After Top Dead Center)点火を行う運転条件では、放電形成時にピストンの下降に伴って生じる気流により、副室内のガスが副室内側開口部、連通空間及び主室側開口部を通じて副室内から主燃焼室側への流出することとなる。そして、中心電極と接地電極との間の放電経路に生じた放電及びかかる放電により生じた初期火炎が当該気流によって主燃焼室側に伸長することにより着火性を向上できる。特にATDC点火が行われる冷間始動時では、副室内に位置する中心電極や絶縁碍子の表面温度が低い状態となっているため、これらから離れる方向に放電や火炎を伸長させることにより熱損失を抑制して燃焼の安定性を向上することができる。
【0011】
以上のごとく、上記態様によれば、燃焼の安定性が図られる点火プラグを提供することができる。
【0012】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1における、点火プラグの側面図。
図2図1における、II-II線位置の断面一部拡大図。
図3】実施形態1における、点火プラグの底面図。
図4図1における、II-II線位置の断面一部拡大斜視図。
図5】実施形態1における、連通空間形成部の組付態様を説明する概念図。
図6】(a)及び(b)実施形態1における点火プラグの使用態様を表す概念図。
図7】(a)及び(b)実施形態1における点火プラグの使用態様を表す他の概念図。
図8】(a)比較例の点火プラグにおける、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大図、(b)評価試験1の結果を表す図。
図9】変形形態1における、点火プラグの底面図。
図10】変形形態2における点火プラグの、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大図。
図11】変形形態3における点火プラグの、図1のII-II線に相当する位置の断面。
図12】変形形態4における点火プラグの、図1のII-II線に相当する位置の断面。
図13】変形形態5における点火プラグの、図1のII-II線に相当する位置の断面。
図14】変形形態6における点火プラグの、図1のII-II線に相当する位置の断面。
図15】(a)評価試験2における試験例4の試験結果を示す図、(b)評価試験2における比較例の試験結果を示す図。
図16】評価試験2における、試験結果を示す図、
図17】実施形態2における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図。
図18】(a)及び(b)実施形態2における点火プラグの使用態様を表す概念図。
図19】(a)変形形態7における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図、(b)変形形態8における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図。
図20】変形形態9における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図。
図21】変形形態9における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大図。
図22】(a)変形形態10における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図、(b)変形形態11における、図1のII-II線に相当する位置の断面一部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
点火プラグの実施形態について、図1図4を用いて説明する。
本実施形態の点火プラグ1は、図1図2に示すように、ハウジング40、副室形成部30、絶縁碍子50及びする中心電極10を備える。
ハウジング40は筒状をなしている。
副室形成部30は、ハウジング40のプラグ軸方向先端側Y1に副室2を形成する。
絶縁碍子50は、ハウジング40に内包されている。
中心電極10は、副室2内に先端部11が位置するように構成されている。
接地電極70は、中心電極10との間に放電経路Gを形成する。
【0015】
そして、点火プラグ1は、図2に示すように、連通空間形成部60と噴孔35とを更に備える。
連通空間形成部60は、副室形成部30から副室2内に突出している。連通空間形成部60は、副室2内側に開口した副室内側開口部61と、主燃焼室3に開口した主室側開口部62と、副室内側開口部61と主室側開口部62とを介して副室2と主燃焼室3とに連通する連通空間63とを有する。
噴孔35は、副室形成部30において、副室内側開口部61よりもプラグ軸方向先端側Y1に配置されて、副室2と主燃焼室3とを連通して主燃焼室3内に火炎を噴出するように構成されている。
そして、接地電極70は、副室内側開口部61又は副室内側開口部61から突出する突出部65(図11参照)からなる。
【0016】
以下、本実施形態の点火プラグ1について、詳述する。
図1に示すように、本実施形態の点火プラグ1は、先端が内燃機関の主燃焼室3に露出するように内燃機関のシリンダヘッド101に取り付けられる。図2に示すように、点火プラグ1は、プラグ軸方向Yを長手方向とする筒状のハウジング40を有する。ハウジング40内にハウジング40と同軸上に筒状の絶縁碍子50が配置されている。ハウジング40のプラグ軸方向先端側Y1には副室2を形成する副室形成部30が設けられている。なお、本実施形態では、ハウジング40と副室形成部30とは一体としたが、これに替えて、両者を別体で形成して互いに溶接して接合してもよい。また、副室形成部30をシリンダヘッド101と一体で形成してもよい。
【0017】
図2に示すように、絶縁碍子50の内側には絶縁碍子50と同軸上に中心電極10が配置されている。中心電極10のプラグ軸方向先端側Y1には棒状の先端部11が溶接されて取り付けられている。先端部11は副室2内に露出している。
【0018】
図2に示すように、副室形成部30には、連通空間形成部60が設けられている。連通空間形成部60は、プラグ軸方向Yに帯びる筒状をなしており、プラグ軸方向基端側Y2に副室内側開口部61と備え、プラグ軸方向先端側Y1に主室側開口部62を備える。連通空間形成部60に形成された連通空間63によって副室2と主燃焼室3とが連通している。本実施形態では、図4に示すように、連通空間形成部60は副室内側開口部61から主室側開口部62に近づくにつれて拡径しており、連通空間63の側壁部63aは部分円錐の側面形状であるコーン型をなしている。
【0019】
図2に示すように、副室内側開口部61と中心電極10の先端部11とは互いに対向している。図3に示すように、副室内側開口部61は円形に開口しており、図2に示すように、副室内側開口部61の内径D1は先端部11の外径D0よりも大きくなっており、プラグ軸方向Yから見て、中心電極10の先端部11の全体が副室内側開口部61の内側に位置している。そして、中心電極10への電圧印加により副室内側開口部61と中心電極10の先端部11との間に放電が発生する放電経路Gが形成されている。従って、本実施形態では、接地電極70は副室内側開口部61からなる。
【0020】
図2に示すように、主室側開口部62は、点火プラグ1においてプラグ軸方向先端側Y1の最も先端側に位置している。図3に示すように、主室側開口部62は円形に開口しており、図2に示すように、主室側開口部62の内径D2は副室内側開口部61の内径D1よりも大きくなっている。
【0021】
図2に示すように、プラグ軸方向Yにおいて、副室形成部30のプラグ軸方向先端から接地電極70である副室内側開口部61までの距離H1は、副室形成部30のプラグ軸方向先端から絶縁碍子50のプラグ軸方向先端までの距離H0の0.25~0.75倍の範囲内とすることができ、好ましくは0.3~0.6倍の範囲内とすることができる。本実施形態では、距離H1は、距離H0の0.5倍としている。
【0022】
本実施形態1では、図5に示すように、連通空間形成部60は副室形成部30と別部品として形成されて、副室形成部30のプラグ軸方向先端側Y1の開口部37に嵌入されて互いに溶接されて組付けられている。なお、これに替えて、連通空間形成部60と副室形成部30とを一体形成してもよい。
【0023】
次に、点火プラグ1の使用態様を詳述する。
図6(a)に示すように、BTDC点火を行う運転条件では、放電形成時にピストンの上昇に伴って生じる気流F1により、主燃焼室3の混合気が主室側開口部62から連通空間63及び副室内側開口部61を通じて副室2内に流入することとなる。そして、放電経路Gに生じた放電が気流F1によって副室2内に伸長することにより、副室2内の混合気に与えるエネルギ量が高まる。その結果、副室2内での燃焼が促進されて、初期火炎P0が生じる。その後、副室2内での火炎成長により火炎が噴孔35に到達すると、図6(b)に示すように、噴孔35から火炎P1が主燃焼室3内に噴出する。これにより、主燃焼室3の混合気に着火される。
【0024】
一方、図7(a)に示すように、ATDC点火を行う運転条件では、放電形成時にピストンの下降に伴って生じる気流F2により、副室2内のガスが副室内側開口部61、連通空間63及び主室側開口部62を通じて副室2内から主燃焼室3側へ流出することとなる。そして、放電経路Gに生じた放電が当該気流F2によって主燃焼室側に伸長することにより、連通空間63において直接主燃焼室3の混合気に着火して火炎P2が発生する。放電及び火炎は気流F2によって主燃焼室側にさらに伸長して、火炎が主燃焼室3の混合気に伝播されて着火性が向上する。
【0025】
(評価試験1)
次に本実施形態の点火プラグ1における評価試験1を行った。
評価試験1では、比較例、試験例1~3の点火プラグを用いて、点火後15ms経過時の主燃焼室3の圧力をシミュレーションにより算出した。試験条件は、燃料種はプロパン(空燃比:ストイキ)、初期圧力0.5MPa、点火エネルギ50mJとした。
【0026】
本評価試験1では、比較例として図8(a)に示す点火プラグ9を用意した。図8(a)に示すように比較例の点火プラグ9は、連通空間63を有さず、副室形成部93のプラグ軸方向先端側Y1の端部に先端噴孔94を有する。中心電極10の先端部11は先端噴孔94まで延設されており、先端噴孔94の壁面と先端部11との間に放電経路Gが形成されるように構成されており、先端噴孔94の壁面が接地電極97となっている。そして、比較例の点火プラグ9では、プラグ軸方向Yにおいて、絶縁碍子95のプラグ軸方向先端から副室形成部93のプラグ軸方向先端までの距離H0は、本実施形態1の場合と同等となっている。一方、副室形成部93のプラグ軸方向先端から放電が形成される先端噴孔94までの距離H0は実質的に0である。よってH1/H0で表される放電位置比は0である。
【0027】
試験例1~3の点火プラグ1として、本実施形態1において図2に示す、副室形成部30のプラグ軸方向先端から副室内側開口部61までの距離H1を変更したものを用意した。試験例1の点火プラグ1は放電位置比H1/H0が0.375となるようにH1が設定されており、試験例2の点火プラグ1は放電位置比H1/H0が0.625となるようにH1が設定されており、試験例3の点火プラグ1は放電位置比H1/H0が1.0となるようにH1が設定されている。
【0028】
図8(b)に示すように、試験例1、試験例2における点火後15ms経過時の主燃焼室圧力は、において、比較例に対して上回っていた。そして、本評価試験1から、範囲として、放電位置比H1/H0が符号Kで示す0.25~0.75の範囲内であるときに比較例に対して主燃焼室圧力の上昇率が5%以上となり、比較例に対して燃焼改善効果が奏されることが示された。
【0029】
なお、試験例3では、点火後15ms経過時の主燃焼室圧力は比較例よりも低い値となっていた。しかしながら、試験例3の点火プラグ1では、放電位置比H1/H0が1.0であるため、副室2内において放電経路Gから噴孔35までの距離が十分長く確保されている。そのため、部分負荷-高負荷時には、放電経路Gで生じた放電による初期火炎は噴孔35に到達するまでに十分に成長することができ、噴孔35からの火炎噴出を強化することができる。その結果、部分負荷-高負荷時の着火性の向上が図られる。
【0030】
次に、本実施形態の点火プラグ1における作用効果について、詳述する。
本実施形態の点火プラグ1では、副室2内に突出した連通空間形成部60において副室内側開口部61と主室側開口部62とが連通空間63によって連通しており、放電経路Gは中心電極10と副室内側開口部61との間に形成される。そして、放電経路Gに形成された放電で点火された初期火炎は、副室2内での火炎成長を経ずに連通空間63及び主室側開口部62を通じて主燃焼室3に直接伝播される。それゆえ、副室2内での熱損失の影響が低減されることとなり、低負荷時において噴孔35から十分な火炎噴出が得られなくとも、主燃焼室3内の混合気に直接着火することができ、主燃焼室3における燃焼の安定性を向上できる。
【0031】
さらに、放電経路Gは、副室2内に突出した連通空間形成部60における副室内側開口部61からなる接地電極70と中心電極10との間に形成される。従って、放電経路Gは、副室2の内方に位置しており、副室内側開口部61よりもプラグ軸方向先端側Y1に位置する噴孔35から離れた位置に位置している。そのため、部分負荷-高負荷時には、副室2の内方の放電経路Gで発生した初期火炎P0が、副室2内に十分存在する混合気によって十分に成長した段階で噴孔35に到達させることができる。そのため、部分負荷-高負荷時には十分な火炎噴出を得ることができ、着火性の向上を図ることができる。よって、低負荷時の燃焼安定性と、部分負荷-高負荷時の着火性向上との両立を図ることができる。
【0032】
さらに、エンジンにおいて、BTDC点火を行う運転条件では、上述の如く、放電経路Gに生じた放電が副室2内に伸長することにより、副室2内の混合気に与えるエネルギ量が高まり、副室2内での燃焼が促進される。一方、ATDC点火を行う運転条件では、上述の如く、放電経路Gに生じた放電及びかかる放電により生じた初期火炎が主燃焼室3側に伸長することにより着火性を向上できる。特にATDC点火が行われる冷間始動時では、副室2内に位置する中心電極10や絶縁碍子50の表面温度が低い状態となっているため、これらから離れる方向に放電や火炎を伸長させることにより熱損失を抑制して燃焼の安定性を向上することができる。
【0033】
本実施形態では、プラグ軸方向Yにおいて、副室形成部30のプラグ軸方向先端から接地電極70である副室内側開口部61までの距離H1は、副室形成部30のプラグ軸方向先端から絶縁碍子50のプラグ軸方向先端までの距離H0の0.25~0.75倍の範囲内である。これにより、放電経路Gは副室2の中央領域に位置しているため、部分負荷-高負荷時には火炎が噴孔35に到達するまでに火炎を十分に成長させることができるため、十分な火炎噴出を得ることができ、着火性の向上を図ることができる。また、放電経路Gは副室2の中央領域であって主燃焼室3から遠すぎない位置であるため、低負荷時に火炎P2により主燃焼室3の混合気も直接着火する場合にも十分な着火性を維持できる。これらにより、低負荷時の燃焼安定性と、部分負荷-高負荷時の着火性向上との両立を一層図ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、プラグ軸方向先端側Y1から見たとき、中心電極10の先端部11の全体が副室内側開口部61の内側に位置している。これにより、放電経路Gに生じる放電は、副室2内への伸長と主燃焼室3内への伸長とのいずれもしやすくなっている。そのため、低負荷時の燃焼安定性と、部分負荷-高負荷時の着火性向上との両立を一層図ることができる。また、中心電極10の先端部11のエッジと副室内側開口部61のエッジとが対向することとなるため、両者に電界が集中しやすくなり要求電圧の低減を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、プラグ軸方向先端側Y1から見たとき、中心電極10の先端部11の全体が副室内側開口部61の内側に位置していることとしたが、これに限らず、図9に示す変形形態1のように、中心電極10の先端部11の一部が副室内側開口部61の内側に位置していることとしてもよい。この場合でも、これにより、放電経路Gに生じる放電は、副室2内への伸長と主燃焼室3内への伸長とのいずれもしやすくなっているとともに、中心電極10の先端部11のエッジの一部と副室内側開口部61のエッジの一部とが対向することとなるため、要求電圧の低減をある程度図ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、連通空間形成部60は、副室内側開口部61から主室側開口部62に近づくにつれて拡径している。これにより、連通空間63に混合気が流入しやすくなるとともに、連通空間63の掃気性を向上できるため、着火性の向上が図られる。
【0037】
また、本実施形態では、連通空間形成部60において連通空間63の側壁部63aはコーン型をなしている。これにより、主室側開口部62を広く開口させやすくなり、低負荷時の火炎伝播が阻害されにくいとともに、放電経路Gに生じる放電を主室側開口部62側に伸長させやすくなり、低負荷時の着火性を向上することができる。
【0038】
なお、連通空間63の側壁部63aをコーン型に替えて、図10に示す変形形態2のように、側壁部63aをプラグ軸方向基端側Y2からプラグ軸方向Y中央領域まで略円筒状に形成するとともに、プラグ軸方向先端側Y1を大きく開口させた、いわゆる、ラッパ型としてもよい。この場合には、放電経路Gから噴孔35に繋がる領域が比較的幅広に形成されるため、部分負荷-高負荷時において副室2内で火炎成長させる際の熱損失を低減して火炎噴出を強化することにより、部分負荷-高負荷時の着火性を向上することができる。
【0039】
なお、本実施形態1では、接地電極70が副室内側開口部61からなることとしたが、これに替えて、図11に示す変形形態3のように、副室内側開口部61から突出する突出部65からなることとしてもよい。当該変形形態3では、突出部65は、副室内側開口部61の全体からプラグ軸方向基端側Y2に突出してリング状に形成されている。また、図12に示す変形形態4のように、突出部65は副室内側開口部61の一部からプラグ軸方向基端側Y2に突出して棒状に形成されていてもよい。そして、変形形態3、4において、突出部65は、副室内側開口部61の形成材料よりも耐熱性、強度に優れた材料からなるものとすることができ、例えば、貴金属製とすることができる。これにより、放電による接地電極70の消耗を抑制することができる。なお、接地電極70は、突出部65に替えて又は突出部65とともに他の部材を接地電極70の一部として取り付けて構成してもよい。
【0040】
また、図13に示す変形形態5のように、中心電極10が先端部11のプラグ軸方向先端側Y1の端面にチップ12を備えていてもよい。チップ12は中心電極10の先端部11よりも耐熱性、強度に優れた材料からなるものとすることができ、例えば、貴金属製とすることができる。これにより、放電による先端部11の消耗を抑制することができる。さらに、図14に示す変形形態6のように、中心電極10が先端部11のプラグ軸方向先端側Y1の端面に上述したチップ12を備えているとともに、接地電極70が上述したリング状の突出部65により形成されていてもよい。当該変形形態6によれば、中心電極10の先端部11と接地電極70の両方の消耗を抑制することができる。また、当該変形形態3~6においても実施形態1と同様の作用効果を奏する。なお、中心電極10は、チップ12に替えて又はチップ12とともに他の部材を中心電極10の一部として取り付けて構成してもよい。
【0041】
(評価試験2)
次に火炎噴出のシミュレーションに基づく評価試験2を行った。
当該評価試験では、試験例4として変形形態2の点火プラグ1を用いた。また、比較例として、図8(a)に示す点火プラグ9を用いた。試験条件は、燃料種はプロパン(空燃比:ストイキ)、初期圧力0.5MPa、点火エネルギ50mJとし、放電開始後の0.5ms経過時、2.0ms経過時及び3.5ms経過時の火炎噴出の状態を評価した。また、主燃焼室3内の圧力変化を経時的に算出した。
【0042】
図15(a)に示す試験例4では、図15(b)に示す比較例に比べて、噴出される火炎が強化されていた。また、図16に示すように、試験例4では、比較例よりも早期に主燃焼室3内の圧力が上昇しており、着火性が向上されたことが示された。
【0043】
以上のごとく、本実施形態によれば、燃焼の安定性が図られる点火プラグを提供することができる。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態2の点火プラグ1では、図17に示すように、連通空間形成部60の内周面には、ガイド部64が形成されている。ガイド部64は、副室2側から主燃焼室3側に向かって延びる凹状の溝として形成されている。本実施形態2では、ガイド部64は、副室内側開口部61から主室側開口部62に亘って直線状に形成されている。本実施形態2におけるその他の構成は、実施形態1と同様であって、本実施形態2においても実施形態1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0045】
本実施形態2の点火プラグ1においても実施形態1と同等の作用効果を奏する。さらに、本実施形態2の点火プラグ1によれば、図18(a)に示すように、ATDC点火を行う運転条件において、放電経路Gに放電が形成されると、図18(b)に示すように、副室2から主燃焼室3に向かう気流F2により放電の一端がガイド部64に沿って主燃焼室3に移動することとなる。すなわち、凹状のガイド部64において副室内側開口部61から主室側開口部62に亘って延びるエッジが放電移動のガイドとなる。これにより、放電を主燃焼室3側に一層伸長させることができるため、着火性の向上を一層図ることができる。
【0046】
本実施形態2では、凹状のガイド部64としたが、これに替えて、図19(a)に示す変形形態7や図19(b)に示す変形形態8のように、凸状のガイド部64としてもよい。図19(a)に示す変形形態7ではガイド部64の断面形状を四角形状としている。また、図19(b)に示す変形形態8ではガイド部64の断面形状を三角形状としている。変形形態7、8においても本実施形態2と同等の作用効果を奏する。
【0047】
また、本実施形態2では、中心電極10の先端部11を副室内側開口部61まで延設したが、これに替えて、図20図21に示す変形形態9では、中心電極10の先端部11は、副室内側開口部61を通じて連通空間63内に位置している。そして、プラグ軸方向Yにおいて先端部11の端面は主室側開口部62と同じ位置に位置している。
【0048】
変形形態9の点火プラグ1によれば、図21に示すように、副室2から主燃焼室3に向かう気流F2により、放電経路Gに形成された放電の一端がガイド部64に沿ってプラグ軸方向先端側Y1に移動するとともに、放電の他端が中心電極10の先端部11に沿ってプラグ軸方向先端側Y1に移動する。これにより、放電全体をプラグ軸方向先端側Y1に移動させることができ、放電を主燃焼室3内に引き延ばして主燃焼室3内の混合気に直接着火しやすくなる。
【0049】
なお、本実施形態1、2では、中心電極10のプラグ軸方向先端側Y1に棒状の先端部11を溶接して取り付けたが、これに替えて、図22(a)に示す変形形態10のように、中心電極10を副室内側開口部61まで延設してそのプラグ軸方向先端側Y1を先端部11としてもよい。
【0050】
また、図22(b)に示す変形形態11のように、中心電極10のプラグ軸方向先端側Y1に溶接又は嵌合させて取り付けた棒状の先端部11に、脱落防止部材13を取り付けてもよい。脱落防止部材13は、副室内側開口部61の開口径よりも径方向に大きい形状を有しており、棒状の先端部11のプラグ軸方向中央に取り付けられている。これにより、仮に先端部11が中心電極10から脱離しても脱落防止部材13が副室内側開口部61に引っかかって先端部11が主燃焼室3内に脱落することを防止することができる。なお、変形形態11の脱落防止部材13に替えて、先端部11のプラグ軸方向中央にプラグ径方向に突出するように屈曲させてなる突出部を設けて、先端部11の脱離時には当該突出部が副室内側開口部61に引っかかって先端部11が主燃焼室3内に脱落することを防止するようにしてもよい。
【0051】
なお、本実施形態1、2及び各変形形態の点火プラグ1は、副室2内に燃料を投入する構成を有していてもよい。
【0052】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…点火プラグ、2…副室、3…主燃焼室、10…中心電極、11…先端部、30…副室形成部、35…噴孔、40…ハウジング、50…絶縁碍子、60…連通空間形成部、61…副室内側開口部、62…主室側開口部、63…連通空間、64…ガイド部、65…突出部、G…放電経路
図1
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