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特許7393922トレーニングマシン及びテスト環境内での仮想化による仮想現実
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】トレーニングマシン及びテスト環境内での仮想化による仮想現実
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/30 20060101AFI20231130BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20231130BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20231130BHJP
   B64F 5/60 20170101ALI20231130BHJP
【FI】
G09B9/30
G06F3/0481
G06T19/00 300B
B64F5/60
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019205990
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2020112780
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】16/195,117
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホートラ, ジョナサン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】カー, レイトン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ハント, アントニー アール.
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184244(JP,A)
【文献】特開2004-258334(JP,A)
【文献】特開2017-055998(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0244537(US,A1)
【文献】特開2002-229433(JP,A)
【文献】特開2001-100628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
G06F3/01
3/048-3/04895
G06T1/00
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G09B1/00-9/56
17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実(VR)環境プラットフォームであって、
航空機制御及びディスプレイユニット(104、106、108、112、114)を備え、航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン(102)、
任務飛行プログラム(OFP)(310)を実行する仮想飛行管理コンピュータ(FMC)(160)、並びに
前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続する通信チャネル(122)であって、前記没入型VR環境エンジンが前記仮想FMCを実行することを可能にするために、FMC通信プロトコルをエミュレートする通信チャネルを備える、VR環境プラットフォーム。
【請求項2】
没入型VR環境のビューを表示するための頭部装着ディスプレイ(HMD)(182)を更に備える、請求項1に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項3】
前記没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を提供する仮想相互作用点(104、106、108、110、112、114)を更に備える、請求項1又は2に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項4】
航空機制御をシミュレートし、前記VR環境プラットフォームのユーザ(180)に物理的なフィードバックを提供するか、又は前記ユーザから物理的な入力を受け取る、物理的な相互作用点(172)を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項5】
前記没入型VR環境エンジン及び前記仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素(150)を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項6】
前記飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素(230)を更に備える、請求項5に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項7】
前記飛行シミュレータ構成要素、前記没入型VR環境エンジン、及び仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素(130)を更に備える、請求項5又は6に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項8】
前記テスト環境コア構成要素と相互作用する、少なくとも1つの構成要素であって、
少なくとも、ナビゲーションシミュレーション(132)、データリンクシミュレーション(134)、航空交通管制シミュレーション(136)、及び飛行可視化(138)を含むリストから選択された、少なくとも1つの構成要素を更に備える、請求項7に記載のVR環境プラットフォーム。
【請求項9】
没入型仮想現実(VR)環境プラットフォームを動作させる方法であって、
航空機制御及びディスプレイユニット(104、106、108、112、114)を備え、航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン(150)を動作させること(502)、
任務飛行プログラム(OFP)(310)を実行する、仮想飛行管理コンピュータ(FMC)(160)を動作させること(508)、及び
通信チャネル(122)を用いて前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続すること(504)であって、前記没入型VR環境エンジンが前記仮想FMCを実行することを可能にするために、前記通信チャネルがFMC通信プロトコルをエミュレートする、前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続することを含む、方法。
【請求項10】
没入型VR環境のビューを頭部装着ディスプレイ(HMD)(182)上に表示すること(518)を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
仮想相互作用点(104、106、108、110、112、114)を介して、前記没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を受け取ること(520)を更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点(172)を介して、前記VR環境プラットフォームのユーザ(180)に物理的なフィードバックを提供するか、又は前記ユーザから物理的な入力を受け取ること(522)を更に含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記没入型VR環境エンジン及び前記仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素(150)を動作させること(506)を更に含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素(230)を動作させること(526)を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記飛行シミュレータ構成要素、前記没入型VR環境エンジン、及び前記仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素(130)を動作させること(528)、並びに
少なくとも、ナビゲーションシミュレーション(132)、データリンクシミュレーション(134)、航空交通管制シミュレーション(136)、及び飛行可視化(138)を含むリストから選択された、少なくとも1つの構成要素が、
前記テスト環境コア構成要素と相互作用すること(530)を更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータ処理能力がここ何年かで向上したことにより、低コスト構成要素を使用する、注目に値する拡張現実(AR)、複合現実(MR)、及び仮想現実(VR)プラットフォームを創り出すことが可能になった。例えば、AR、MR、及びVRプラットフォーム(集合的にVR)は、しばしば、グラフィックス及びユーザコントロール用のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を提供する、ゲームエンジンを使用することがある。しかし、これらのゲームエンジンは、環境内での物体との相互作用に関する忠実度を制限してきた。
【0002】
VRゲームエンジンの制限された忠実度の一例は、仮想環境内でのコントロールパネルが、しばしば、ポリゴン上にビットマップされたテクスチャを有するポリゴンとして表示されるということである。したがって、それは、物理的なコントロールパネルに似ているが、未だ潜在的な入力の全範囲(フルレンジ)にわたって現実的な相互作用体験を提供しない。ある状況では、テクスチャビットマップが静的であるか、又は、シミュレートされたコントロールパネルが、制限された機能性を有するのみである。したがって、トレーニングマシン及びテスト環境内での仮想化による、より現実的な仮想現実が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、以下で挙げられる添付の図面に関して以下で詳細に説明される。以下の概要は、本明細書で開示される幾つかの実施例を例示するために提供される。しかし、それは、全ての実施例が、任意の特定の構成又は動作のシーケンスに限定されることを意図するものではない。
【0004】
本明細書で開示される幾つかの態様及び実施例は、没入型仮想現実(VR)環境エンジン(おそらくVRゲームエンジン)を仮想飛行管理コンピュータ(FMC)に接続する通信チャネルを使用することによって、高品質の没入型環境エンジンと、仮想マシン上に実装された仮想FMC上で実行される任務飛行プログラム(operational flight program:OFP)とを同時に活用する、VR航空機テスト及びトレーニング環境を対象とする。飛行シミュレータ、テスト環境構成要素、並びに、ナビゲーションシミュレーション、データリンクシミュレーション、航空交通管制シミュレーション、及び飛行可視化モジュールのうちの何れかへの既存の投資は、高品質で現実的なテスト及びトレーニング機能を提供するために有利に使用することができる。
【0005】
本明細書で開示される幾つかの態様及び実施例は、VR環境プラットフォームであって、航空機制御及びディスプレイユニットを有し且つ航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン、OFPを実行する仮想マシン上に実装された仮想FMC、並びに、没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続する通信チャネルであって、没入型VR環境エンジンが仮想FMCを実行することを可能にするために、FMC通信プロトコルをエミュレートする通信チャネルを有する、VR環境プラットフォームを対象とする。
【0006】
本開示の実施例は、以下で挙げられる添付の図面に関して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様による、テスト環境を提供するための仮想現実(VR)環境プラットフォームを示すブロック図である。
図2】本開示の態様による、トレーニング環境を提供するためのVR環境プラットフォームを示すブロック図である。
図3】本開示の態様による、仮想マシン上に実装された仮想飛行管理コンピュータ(FMC)の図である。
図4】本開示の態様による、仮想化システムを示すブロック図である。
図5】本開示の態様による、トレーニングマシン及びテスト環境内での仮想化による仮想現実を提供するプロセスを示す流れ図である。
図6A】本開示の態様による、サーバコンソリデーションの図である。
図6B】本開示の態様による、仮想化の図である。
図7】本開示の態様による、仮想化され得る航空機操縦室の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部品を示す。
【0009】
添付の図面を参照しながら、様々な実施形態が詳細に説明されることとなる。可能なときは何時でも、同じ又は類似する部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。本開示の全体を通して行われる特定の実施例及び実施態様に対する参照は、例示のみを目的とするものであり、逆のことが示唆される場合を除き、全ての実施例を限定することを意図しない。
【0010】
ゲームエンジンとは対照的に、フル機能の飛行シミュレータは、多目的コンピュータディスプレイユニット(MCDU)(多目的制御及びディスプレイユニットとしても知られる)と通信する、飛行管理コンピュータ(FMC)などの高忠実度モデルのハードウェアを有する。所望レベルの現実を実現するために、MCDU及びFMCは、しばしば、複雑なモデルでシミュレートされ、又は実際の飛行ハードウェア若しくはプロキシ飛行ハードウェアを通じて実現される。しかし、これらのオプションは、製造することが高価であり、開発者の技能に依存する。一方、既存の低レベルのトレーニングデバイスは、モデルベースであり、時々、操縦室、地上基地局などをモックアップする物理的な構造物で補完される。存在するときに、これらの物理的モックアップは、トレーニング中の実際のデバイスのレイアウトに近いが、他のほとんどの場合において、実際のレイアウトに一致しないかもしれない。更に、サブシステムモデルは、仮想マシン(VM)と同じ程度の忠実度を有さない。通常、モデルは、サブシステム用の入力/出力を見ること、及び入力/出力の観点からこのサブシステムの動作を模倣するソフトウェアを創り出すことによって、作製される。
【0011】
VMは、入力/出力動作も生成し、したがって、同様に見えるかもしれないが、VMの場合、任務飛行プログラム(OFP)などの実際の変更されていない又は最小限の変更が加えられた飛行ソフトウェアバイナリ実行可能ファイルによって、その動作が駆動される。例えば、FMC OFPは、VM上で実行されてよい。(本明細書で「仮想FMC」とも称される)FMCのOFPを実行するVMは、より単純なモデルと比較して、トレーニング環境内の大幅に高い忠実度を提供することができ、また、トレーニングマシン内で観察された動作が、トレーニングマシンが表している物理的デバイスと同じになるという信頼性を提供することができる。次いで、代わりに、より低価格の注目に値する没入型の高忠実度トレーニングプラットフォームを使用することによって、(しばしば千万ドルを超える費用の)高価なフルモーショントレーニングマシンに対する必要性を低減させることが可能であり得る。
【0012】
したがって、本開示の実施例は、没入型仮想現実(VR)環境エンジン(おそらくVRゲームエンジン)を仮想飛行管理コンピュータFMCに接続する通信チャネルを使用することによって、高品質の没入型環境エンジンと、仮想マシン上に実装された仮想FMC上で実行されるOFPとを同時に活用する、VR航空機のテスト及びトレーニング環境を提供する。飛行シミュレータ、テスト環境構成要素、並びに、ナビゲーションシミュレーション、データリンクシミュレーション、航空交通管制シミュレーション、及び飛行可視化モジュールのうちの何れかへの既存の投資は、高品質で現実的なテスト及びトレーニング機能を提供するために有利に使用することができる。
【0013】
新しい種類のトレーニング環境を創り出すために、コンピュータ処理能力における最近の改善とVR及び仮想化技術における進歩が利用されている。最先端のVR世界は、没入型の現実的な視覚体験をユーザに提供すると共に、一方で、VRとリアルタイムコンピュータグラフィックスの組み合わせは、ユーザが、現実のデバイスで得られるのと同じやり方で、仮想世界を知覚し、仮想世界と相互作用することを可能にする。モデル及びVMから構成される高忠実度のバックエンド(back end)とVRの世界を統合すると、物理的ハードウェアとほぼ同等の動的動作がもたらされる。VMは、実際に未変更の又は最小限の変更を加えた飛行ソフトウェアバイナリ及びデータベースを、トレーニングデバイス内で使用できるようにし、トレーニングマシン内で観察されるものが、実際の航空機と同じであるという信頼性を提供する。更に、ヒューマンインザループテストを早期に創り出すことで、テスト環境を実現できる。操縦室がVR世界で創り出されるので、操縦室は、比較的安価にプロトタイプが作製され且つ変更され、最終的には物理的な操縦室向けの設計入力として使用され得る。一般的に、物理的なシステム向けの要件が開発されると、モデル及び仮想マシンを比較的迅速に創り出し、テストすることができる。
【0014】
様々な実施例が、通信するための種々のFMC/MCDUによる種々のプロトコル(例えば、ARINC 429、MIL-STD-1553、イーサネット)の使用に関する1以上の問題を解決する。そして、メッセージは、遠隔端末(RT)及び航空機の種類に応じて、種々のやり方でパッケージされ得る。本明細書で開示される1以上の実施例は、メッセージをパック/アンパックするための一様なやり方を可能にする、通信チャネルを使用する。結果として、通信チャネルは、種々の処理エンジン、例えば非現実(Unreal)エンジン4などのゲームエンジン内に組み込まれてよい。したがって、本開示の1以上の実施例では、コーディングが一度だけ実行され、より少ない変更及びより高い一貫性を伴って、種々のFMC上で使用され得る。これは、誤差/デバッグ時間及び費用を低減させる。次に、様々な実施形態の実施例が説明されることになる。
【0015】
本明細書で説明される様々な実施例は、航空機環境に関するものであるが、本開示が他の環境内にも実装され得ることを理解されたい。例えば、本明細書で説明される実施例は、宇宙船、自動車、船、医療デバイスなどの、トレーニングを必要とする任意の複雑なシステムに関連付けて実施されてよい。したがって、本明細書で説明される様々な構成要素は、多くの他のシステム内で動作可能である。
【0016】
図1は、本開示の態様による、テスト環境を提供するための例示的なVR環境プラットフォーム100を示すブロック図である。VR環境プラットフォーム100は、航空機制御及びディスプレイユニットを備え且つ航空機操縦室の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン102を含む。例えば、没入型VR環境エンジン102は、MCDU104、モードコントロールパネル(MCP)106、アイオワ州シーダーラピッズのRockwell Collinsから購入可能なMAX(登録商標)ディスプレイシステム(MDS)などのディスプレイシステム(DS)108、ラジオチューニングパネル(RTP)110、頭上パネル112、及び電子飛行計器システム(EFIS)114を含む。MCDU104は、ナビゲーション計画を提供し、電子コンパス及び飛行情報を表示することができる。MCP106は、対気速度及び警告などの情報を飛行乗務員に表示する。DS108は、プライマリフライトディスプレイ(PFD)、ナビゲーションディスプレイ(ND)、及びシステムステータスなどの、情報を表示する。頭上パネル112は、スイッチなどの相互作用点を提供する。VR環境では、頭上パネル112が、仮想相互作用点を介して航空機操縦室制御入力を受け取ってよい。EFIS114は、電気機械的というよりもむしろ電子的に飛行データを表示する、操縦室計器ディスプレイシステム(の仮想版)である。ある実施例では、EFIS114が、DS108の中に組み込まれている。
【0017】
仮想化システム170は、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに没入型VR環境エンジン102を動作させることを含む動作を実行させる、VR環境プラットフォーム100を動作させるためのコンピュータ実行可能指示命令が記憶された、1以上のコンピュータ記憶デバイスを備える。仮想化システム170に接続され且つ制御スティックとして示されている、物理的な相互作用点172は、航空機制御をシミュレートし、VR環境プラットフォーム100のユーザ180に物理的なフィードバックを提供する。例えば、これもまた航空機制御をシミュレートし、ユーザ180に物理的なフィードバックを提供する、方向舵ペダルなどの他の物理的な相互作用点も設けられ得ることに留意されたい。(VR環境プラットフォーム100によって生成される)没入型VR環境のビューをユーザ180に表示するための、ユーザ180によって装着される、頭部装着ディスプレイ(HMD)182も仮想化システム170に接続されるように示されている。
【0018】
図1で示されている、VR環境プラットフォーム100では、テスト環境コア構成要素130が、飛行シミュレータ構成要素150、没入型VR環境エンジン102、及び仮想FMC160と相互作用する。テスト環境コア構成要素130は、航空機飛行シミュレータ構成要素150の動作向けの更なる現実を提供するために、ナビゲーションシミュレーション132、データリンクシミュレーション134、航空交通管制シミュレーション136、及び飛行可視化138と更に相互作用する。他の実施例では、所望レベルの忠実度のために必要とされる、より多くの又はより少ない構成要素を有する、他の配置が可能である。動作では、例えば、シミュレートされた不具合を差し挟み、サブシステム動作をモニタするために、テスト環境コア構成要素130が使用されてよい。テスト環境コア構成要素130は、テスト環境コア構成要素130を通過する、飛行シミュレータ構成要素150、仮想FMC160、ナビゲーションシミュレーション132、データリンクシミュレーション134、航空交通管制シミュレーション136、及び飛行可視化138のそれぞれの間の信号伝達によって、これらの作業を完了することができる。例えば、VR環境プラットフォーム100の動作によって使用され、生成されるデータを記憶するための、ファイルサーバ140も、テスト環境コア構成要素130と相互作用するように示されている。
【0019】
ある実施例では、飛行シミュレータ構成要素150が、高価な飛行シミュレータ内で使用されるのと同じバイナリ実行可能ファイルである。したがって、飛行シミュレータ構成要素150は、システムの構成に基づいて相互交換可能であってよい。例えば、飛行シミュレータ構成要素150は、所望レベルの忠実度のために必要とされる、モーションベース(図示せず)を伴って又は伴わずに、動作するように構成されてよい。VR環境プラットフォーム100では、飛行シミュレータ構成要素150が、テスト環境コア構成要素130を介して仮想FMC160と相互作用する。それによって、テスト環境コア構成要素130は、データトラフィックをモニタし、シミュレートされた不具合を差し挟むことができる。ある実施例では、仮想FMC160が、運航中の航空機上のハードウェアFMC内で使用されるのと同じバイナリ実行可能ファイルのコピーである、OFPを実行する。上述の配置は、普通であれば通常のゲームエンジンによって取得され得ないレベルの現実を提供する。本明細書で説明されるように、様々な実施例で、通信チャネルの使用は、ゲームエンジンが、ゲームエンジンのみによって従来から実現され得るよりも容易に、OFPと相互作用することも可能にする。通信チャネル122は、テスト環境コア構成要素130を通じて、没入型VR環境エンジン102を仮想FMC160に接続する。すなわち、データトラフィックは、テスト環境コア構成要素130を通して経路指定され、それは、例えばテストスクリプト及び手動相互作用が、テスト目的で公称システム動作をオーバーライドすることを可能にする。通信チャネル122は、FMC通信プロトコルをエミュレートして、没入型VR環境エンジン102が、実際のパックされた航空機の入力/出力(I/O)を使用して、仮想FMC160と相互作用することを可能にする。様々な実施例では、(エミュレートされたFMCプロトコルを有する)通信チャネル122が、データリンクシミュレーション134とテスト環境コア構成要素130との間、及び航空交通管制シミュレーション136とテスト環境コア構成要素130との間にもある。図1で示されている残りの接続は、FMC通信プロトコルを使用せず、一次航空機シミュレーションとVMとをサポートする構成要素を相互接続する。ある実施例では、通信チャネル122が、データ通信技術分野で知られているプロトコルバッファを使用して実装される。しかし、任意の適切な種類の通信チャネルが使用されてよい。
【0020】
通信チャネル122は、ARINC 429、ARINC 664、CANバス、RS-485、MIL-STD-1553、MIL-STD-6016、ACARS、ATN、イーサネットなどの、航空機アビオニクスボックスへの任意の種類のパックされた入力/出力(I/O)をサポートする。リンクが仮想である場合、例えば、航空機のI/Oがパケット内にカプセル化されたソケット及びUDPパケットである場合、I/Oは、プロセス間通信の形式を使用して、通信チャネル122を経由して転送される。別の一実施例として、パックされたI/Oは、ARINC 429 I/OカードをPC内にインストールすることによって、物理的なI/Oリンクを経由して転送される。I/Oは、ファイル内に記憶されていないが、動的な情報は、実際の航空機内と同様に、システム間で共有されている。
【0021】
図2は、本開示の態様による、トレーニング環境を提供するための例示的なVR環境プラットフォーム200を示すブロック図である。VR環境プラットフォーム200は、図1のVR環境プラットフォーム100と幾つかの構成要素を共有するが、VR環境プラットフォーム100は、テスト向けに使用される一方で、VR環境プラットフォーム200は、飛行乗務員のトレーニングなどのトレーニング向けに使用される。VR環境プラットフォーム200では、没入型VR環境エンジン102が、飛行シミュレータ構成要素150及び仮想FMC160と直接的に相互作用する。したがって、通信チャネル220は、没入型VR環境エンジン102を仮想FMC160に接続する。通信チャネル220は、FMC通信プロトコルをエミュレートして、没入型VR環境エンジン102が、仮想FMC160と相互作用することを可能にする。図2のある構成では、航空機飛行シミュレータ150が、図1に類似する他の構成要素に位置付けられ、接続される。
【0022】
更に、飛行シミュレータ構成要素150と仮想FMC160は、媒介としてテスト環境コア構成要素130なしに接続されるが、ある実施例では、テスト環境コア構成要素130に類似した構成要素が使用されてよい。飛行シミュレータ構成要素150は、没入型VR環境エンジン102と仮想FMC160の両方と相互作用する。ファイルサーバ140が、仮想FMC160と接続されるように示されているが、ある実施例では、ファイルサーバ140が、飛行シミュレータ構成要素150に接続されてよい。更に、VR環境プラットフォーム200は、トレーニング用に使用されるので、インストラクターオペレータステーション構成要素230が、飛行シミュレータ構成要素150と相互作用する。インストラクターオペレータステーション構成要素230は、インストラクターが、VR環境プラットフォーム200で実行されるトレーニング活動をモニタし、場合によっては、その活動に参加することを可能にする。
【0023】
VR環境プラットフォーム200は、飛行管理システム(FMS)トレーニングマシンとして使用されてよい。ある実施例では、二次元(2D)タブレットベースアプリケーションが、様々な飛行フェーズの前に及び間に、MCDU104、MCP106、及び他のディスプレイ(例えば、DS108)の動作の学習及び実施を容易にする。受講者は、FMSデータエントリ(飛行計画など)を学習し、実施することができ、更には、インストラクター主導のカリキュラムの一部として、又はスタンドアロンのセルフガイドトレーニングのために、オートフライト(autoflight)及び飛行経路管理を学習し、実施することができる。
【0024】
VR環境プラットフォーム200は、双方向の完全にシミュレートされた仮想航空機操縦室として使用されてよい。受講者は、インストラクター主導のカリキュラムの一部として、又はスタンドアロンのセルフガイドトレーニングのために、完全に没入型の現実的な仮想環境内で手順を学習し、実施することができるだろう。VR環境プラットフォーム200内に記載されているような高忠実度構成要素を有する3D双方向VRアプリケーションは、トレーニングの費用を大幅に低減させ、更には、没入型体験を通じて学習結果を改善する可能性を有する。また、それは、自己学習及び遠隔学習を可能にし、オンサイトのトレーニング場所に移動する必要性を低減させ、潜在的に回避することができる。
【0025】
図3は、例示的な仮想FMC160の図であり、それは、図4でより詳細に示されている仮想化システム170上の仮想マシン(VM)として実行されてよい。図示されているように、仮想FMCは、パワーPCプロセッサであってよいプロセッサ302、ARINC bus304(例えば、ARINC 429又はARINC 664)、汎用非同期送受信機(UART)306、イーサネットモジュール308、及びOFP310を備える。DITS304は、多くの高価な民間航空機及び輸送機上で使用される、普及しているアビオニクスデータバスである。それは、2線式データバスの物理的及び電気的インターフェースと、航空機のアビオニクスローカルエリアネットワークをサポートするためのデータプロトコルとを規定する。UART306は、データフォーマットと伝送速度とを設定できる非同期シリアル通信用のデバイスである。
【0026】
OFP310は、アビオニクスデバイスすなわちハードウェアFMC上で実行される、埋め込み式のソフトウェアである。本明細書で説明されるように、物理的なプラットフォームであって、それを開発するためにテスト環境が使用され得る、そして、それを操作するように訓練するためにトレーニングマシンが使用される、プラットフォームが、図7で示されているような航空機操縦室700を模倣する。すなわち、様々な実施例が、航空機操縦室700に対応する物理的なシステムを模倣する。
【0027】
OFP310は、FMCの動作にとって必要な機能を実行するソフトウェア論理を含む。ハードウェアFMCの実施例では、OFP310プラットフォームが、経路計画、計算、論理、入力/出力などを実行する。OFP310は、通常、オペレーティングシステムのソフトウェア(例えば、埋め込み式のリアルタイムのオペレーティングシステム)及び機能構成要素上で実行される。OFP310は、アビオニクスのハードウェア、航空機、及び航空機の種類に対して、特に調整することができる。ハードウェアFMC OFPは、ARINC 429などのアビオニクスバスを使用して、他の航空機システムと通信する。他の航空機システムの例には、MCDU104、MCP106、DS108、頭上パネル112、及びEFIS114が含まれる。実際の航空機上での通信には、通常、プロトコルバッファが使用されないことを理解されたい。それに対してプロトコルバッファが設計されるところの標準的なイーサネットは、航空機システムの動作にとって必要とされる保証されたメッセージ配信を欠いている。
【0028】
図4は、例示的な仮想化システム170向けの更なる詳細を示すブロック図である。仮想化システム170は、他のデバイスをエミュレートすることができるハードウェア及びソフトウェアから成る計算システムであってよい。実施態様では、仮想化システム170が、ハードウェアFMCなどの物理的なハードウェアシステム、並びにそれらのハードウェア及びソフトウェアインターフェース(例えば、周辺機器、データリンク、割り込み動作、及びタイミング要求)をエミュレートする、1以上のVMをホストする、サーバ又はデスクトップコンピュータなどの、1以上の汎用コンピュータであってよい。更に、仮想FMC160などのVMは、対応する物理的なハードウェアシステムによって実行されるアプリケーションソフトウェア(例えば、OFP310)の正確な又は実質的に正確なコピー(例えば、画像)を実行する。実施態様では、仮想化システム170が、例えば、ハイパーバイザー又は仮想マシンモニタソフトウェアを含むことができる。例えば、仮想化システム170は、ハードウェア仮想化を実行するオープンソースソフトウェアアプリケーションである、QUICK EMULATOR(「QEMU」)を使用することができる。したがって、仮想FMC160は、仮想化システム170内の物理的なハードウェアFMCのエミュレーションであってよい。
【0029】
仮想化システム170は、計算デバイス403、入力/出力(I/O)デバイス413、及び記憶デバイス415を含む。I/Oデバイス413は、個人が計算デバイス403(例えば、ユーザインターフェース)と相互作用することを可能にする任意のデバイス、及び/又は計算デバイス403が任意の種類の通信リンクを使用して1以上の他の計算デバイスと通信することを可能にする任意のデバイスを含んでよい。例えば、I/Oデバイス413は、タッチスクリーンディスプレイ、ポインターデバイス、キーボードなどであってよい。
【0030】
記憶デバイス415は、情報及びプログラム指示命令を記憶した、コンピュータ可読不揮発性ハードウェア記憶デバイスを備えてよい。例えば、記憶デバイス415は、1以上のフラッシュデバイス及び/又はハードディスクドライブであってよい。本開示の態様によれば、記憶デバイス415は、ハードウェアシステムのプログラムコード417、1以上のメモリマップ419、割り込み論理421、及びデバイスライブラリ423を記憶することができる。プログラムコード417は、物理的なハードウェアシステム(例えば、物理的なFMC)のアプリケーションソフトウェアであってよい。実施態様では、プログラムコード417が、物理的なハードウェアシステムのものと実質的に酷似している。メモリマップ419は、メモリインターフェースの観点から物理的なハードウェアシステムの構成要素間の接続を描いている。例えば、メモリマップ419は、物理的なハードウェアシステムのハードウェア構成要素のメモリレジスタに関する情報の位置を、開始メモリアドレスからのオフセットとして表すことができる。割り込み論理421は、以下で詳細に説明されるように、物理的なハードウェアシステムの割り込み機能を表す情報であってよい。デバイスライブラリ423は、1以上の物理的なハードウェアシステムのエミュレーションを表すコンピュータ可読情報及び指示命令の保存場所であってよい。それらは、以前に生成され、将来の使用のために記憶され得る。
【0031】
ある実施例では、計算デバイス403が、1以上のプロセッサ439(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロチップ、又は特定用途向け集積回路)、1以上のメモリデバイス441(例えば、RAM、リードオンリーメモリ(ROM))、1以上のI/Oインターフェース443、及び1以上のネットワークインターフェースデバイス445を含む。メモリデバイス441は、プログラム指示命令の実行中に使用される、ローカルメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ及びキャッシュメモリ)を含んでよい。更に、計算デバイス403は、それによって計算デバイス403が、I/Oデバイス413及び記憶デバイス415と通信するところの、少なくとも1つの通信チャネル444(例えば、データバス)を含む。プロセッサ439は、メモリデバイス441及び/又は記憶デバイス415内に記憶され得る、コンピュータプログラム指示命令(例えば、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションプログラム)を実行する。
【0032】
プロセッサ439は、仮想化アプリケーション451(例えば、QEMU)並びにテスト及び/又は評価ソフトウェア455の、コンピュータプログラム指示命令を実行することもできる。仮想化アプリケーション451は、以前に説明したものと同じ又は同様であってよい。例えば、仮想化アプリケーション451は、ハイパーバイザー又はVMモニタソフトウェアを含んでよい。本開示の態様によれば、仮想化アプリケーション451は、プログラムコード417、メモリマップ419、割り込み論理421、及び/又はデバイスライブラリ423を使用して、VM(例えば、仮想FMC160)を提供することができる。
【0033】
トレーニング、テスト、及び/又は評価ソフトウェア455は、ソフトウェアを訓練し、評価し、且つ/又は認証するように構成された、コンピュータ可読指示命令及び情報を含む、アプリケーション又はプログラムであってよい。例えば、トレーニング、テスト、及び/又は評価ソフトウェア455は、ハードウェアデバイスのプログラムコードが、所定のシナリオに応答して予期されるように動作することを検証する、テストルーチンを実行することができる。更に、トレーニング、テスト、及び評価ソフトウェア455は、悪意のあるソフトウェアの攻撃ベクトルをテストする、サイバーセキュリティールーチンを実行することができる。例えば、トレーニング、テスト、及び/又は評価ソフトウェア455は、指示命令が、損なわれたシステムの観察及び解析を可能にするために実行されるときに、仮想マシンの完全状態(レジスタ、メモリ、ハードウェアのステータス)を記録することができる。トレーニング、テスト、及び/又は評価ソフトウェア455は、VR環境プラットフォーム200のユーザ(例えば、飛行乗務員又は整備トレーナー)に、トレーニングマシンを提供するために使用されてよい。
【0034】
計算デバイス403は、本明細書で説明されるプロセスを実行することができる、様々な考えられ得る同等な計算デバイスを代表している。この点で、実施形態では、計算デバイス403によって提供される機能性が、汎用及び/又は特定目的のハードウェア及び/又はコンピュータプログラム指示命令の任意の組み合わせであってよい。本開示の実施形態では、プログラム指示命令及びハードウェアが、それぞれ、標準プログラミング及び工学技術を使用して創り出されてよい。
【0035】
図5は、トレーニングマシン及びテスト環境内での仮想化による没入型VR環境を提供する例示的なプロセスを示している、流れ図500である。動作502は、航空機制御及びディスプレイユニット(例えば、MCDU104、MCP106、DS108、頭上パネル112、及び電子飛行計器システム(EFIS)114)を備えた、没入型VR環境エンジン102を開始することを含み、動作504は、航空機の没入型VR環境を提供することを含む。ある実施例では、システム向けのスタートアップ手順が、テスト環境コアGUI上でスタートアップを開始する(例えば、ユーザが「スタートアップ」をクリックする)ことを含む。しかし、VR環境技術における他のスタートアップ手順が使用されてよい。
【0036】
動作506は、没入型VR環境エンジン102及び仮想FMC160と相互作用する、(XML及びJSONファイルで構成された)飛行シミュレータ構成要素150を動作させることを含む。動作508は、OFP310を実行する仮想FMC160を動作させることを含む。動作510では、OFP310が、仮想化システム170上の仮想FMC160内で実行される。様々な実施例におけるVMの構成は、物理的な航空機ハードウェアと同様に動作する。例えば、飛行ソフトウェアOFPは、動作プログラム構成(OPC)データベース、及び航空会社が変更可能な情報(AMI)で構成されている。それらは、ある構成ではXMLベースである。様々な実施例では、通信チャネルが、設計中に定義され、コンパイルされたコードとして実装されることに留意されたい。
【0037】
動作512は、通信チャネル(例えば、通信チャネル122及び220のうちの1以上)を用いて、没入型VR環境エンジン102を仮想FMC160に接続することを含む。動作514は、通信チャネル(例えば、通信チャネル122及び220のうちの1以上)が、FMC通信プロトコルをエミュレートすることを含む。それによって、動作516では、没入型VR環境エンジン102が、仮想FMC160と並行して実行され、仮想FMC160と通信することを可能にされる。動作518は、没入型VR環境のビュー(view)を表示することを含む。ディスプレイは、2Dであっても3Dであってもよく、スクリーンや(HMD182などの)HMDなどの任意の適切なディスプレイデバイス上にあってよい。動作520は、仮想相互作用点(例えば、没入型VR環境エンジン102内のシミュレーションである、MCDU104、MCP106、DS108、RTP110、頭上のパネル112、及びEFIS114)を介して、没入型VR環境に対する航空機操縦室制御入力を受け取ることを含む。動作522は、航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点(例えば、物理的な相互作用点172)を介して、VR環境プラットフォームのユーザに物理的なフィードバックを提供することを含む。例えば、制御スティック及び方向舵ペダルの物理的な明示は、飛行シミュレーション活動によって制御されるときに、機械的な抵抗又は移動を提供することができる。
【0038】
決定524は、2つの選択肢を示す。すなわち、図1のVR環境プラットフォーム100などのテスト環境、又は図2のVR環境プラットフォーム200などのトレーニング環境である。トレーニング環境の場合、動作526は、飛行シミュレータ構成要素150と相互作用する、インストラクターオペレータステーション230を動作させることを含む。テスト環境の場合、動作528は、飛行シミュレータ構成要素150、没入型VR環境エンジン102、及び仮想FMC160と相互作用する、テスト環境コア構成要素130を動作させることを含む。動作530では、ナビゲーションシミュレーション132、データリンクシミュレーション134、航空交通管制シミュレーション136、及び飛行可視化138のうちの少なくとも1つが、テスト環境コア要素130と相互作用する。
【0039】
図6Aは、本開示の態様による、サーバコンソリデーションの図である。図6Aでは、サーバ602、604、及び606のそれぞれが、それぞれ、単一のホストサーバ610上で、VM612、614、及び616のうちの1つとして動作する。3つのサーバ(602、604、及び606)が示されているが、異なる数のサーバが、ホストサーバ上のVMとして組み合わされてよいことを理解されたい。ハイパーバイザー620が、ゲストマシンとして、VM612、614、及び616の実行を管理する。このやり方で、動作は、図1のVR環境プラットフォーム100、及び図2のVR環境プラットフォーム200の様々な構成要素が、単一のマシン(例えば、単一のホストサーバ610)上で動作することを可能にする。
【0040】
図6Bは、本開示の態様による、仮想化の別の図である。図6Bでは、ライン交換式ユニット(LRU)652、654、及び656が、航空機で使用され得るハードウェアユニットなどの、専用ハードウェアユニットを表している。LRU652、654、及び656のそれぞれは、それぞれ、単一のホストサーバ660上で、VM662、664、及び666のうちの1つを使用してシミュレートされる。3つのLRU(652、654、及び656)が示されているが、異なる数のLRUが、ホストサーバ上のVMとして組み合わされてよいことを理解されたい。仮想I/O構成要素670は、ゲストマシンとして、VM662、664、及び666のそれぞれの間でのメッセージング及びデータフローを管理する。このやり方で、動作は、図1のVR環境プラットフォーム100、及び図2のVR環境プラットフォーム200で使用するために、航空機の様々な構成要素が仮想化されることを可能にする。
【0041】
本明細書で提供される例示的なシステムは、VR環境プラットフォームである。VR環境プラットフォームは、航空機制御及びディスプレイユニットを備え且つ航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン、OFPを実行する仮想FMC、並びに、没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続する通信チャネルであって、没入型VR環境エンジンが仮想FMCを実行することを可能にするために、FMC通信プロトコルをエミュレートする通信チャネルを備える。
【0042】
本明細書で提供される例示的な方法は、没入型VR環境を動作させる方法である。該方法は、航空機制御及びディスプレイユニットを備え且つ航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジンを動作させること、OFPを実行する仮想FMCを動作させること、並びに、通信チャネルを用いて没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続することであって、没入型VR環境エンジンが仮想FMCを実行することを可能にするために、通信チャネルがFMC通信プロトコルをエミュレートする、没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続することを含む。
【0043】
本明細書で提供される例示的なシステムは、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに以下のことを含む動作を実行させる、没入型VR環境プラットフォームを動作させるためのコンピュータ実行可能指示命令が記憶された、1以上のコンピュータ記憶デバイスを含む。すなわち、航空機制御及びディスプレイユニットを備え且つ航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジンを動作させること、没入型VR環境のビューをHMD上に表示すること、仮想相互作用点を介して没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を受け取ること、任務飛行プログラム(OFP)を実行する仮想飛行管理コンピュータ(FMC)を動作させること、航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点を介して、VR環境プラットフォームのユーザに物理的なフィードバックを提供すること(又は物理的な入力を受け取ること)、没入型VR環境エンジン及び仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素を動作させること、並びに、プロトコルバッファを用いて没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続することであって、没入型VR環境エンジンが仮想FMCを実行することを可能にするために、通信チャネルがFMC通信プロトコルをエミュレートする、没入型VR環境エンジンを仮想FMCに接続することである。
【0044】
本明細書で説明される他の実施例に代えて又は加えて、前述の例示的なシステム及び方法は、以下の任意の組み合わせを含む。すなわち、没入型VR環境のビューを表示するためのHMD、HMD上に没入型VR環境のビューを表示すること、没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を提供する仮想相互作用点、仮想相互作用点を介して没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を受け取ること、航空機制御をシミュレートし且つVR環境プラットフォームのユーザに物理的なフィードバックを提供する、物理的な相互作用点、航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点を介して、VR環境プラットフォームのユーザに物理的なフィードバックを提供すること(又は物理的な入力を受け取ること)、没入型VR環境エンジン及び仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素、没入型VR環境エンジン及び仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素を動作させること、飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素、飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素を動作させること、飛行シミュレータ構成要素、没入型VR環境エンジン、及び仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素、飛行シミュレータ構成要素、没入型VR環境エンジン、及び仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素を動作させること、テスト環境コア構成要素と相互作用する、少なくとも1つの構成要素であって、ナビゲーションシミュレーション、データリンクシミュレーション、航空交通管制シミュレーション、及び飛行可視化から成るリストから選択された、少なくとも1つの構成要素、並びに、ナビゲーションシミュレーション、データリンクシミュレーション、航空交通管制シミュレーション、及び飛行可視化から成るリストから選択された、少なくとも1つの構成要素が、テスト環境コア構成要素と相互作用することである。
【0045】
本明細書で示され説明された実施例、並びに、本明細書で具体的に説明されなかったが本開示の態様の範囲内にある実施例は、VR環境を提供するための例示的な手段を構成する。本明細書で示された説明された本開示の実施例における動作の実行又は実施の順序は、必須のものではなく、様々な実施例において種々の連続的なやり方で実行されてよい。 例えば、別の動作の前、同時、又は後に特定の動作を実行又は実施することは、本開示の態様の範囲内にあると考えられる。
【0046】
以下の段落は、本開示の更なる態様を説明する。
条項1.
仮想現実(VR)環境プラットフォームであって、
航空機制御及びディスプレイユニット(104、106、108、112、114)を備え、航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン(102)、
任務飛行プログラム(OFP)(310)を実行する仮想飛行管理コンピュータ(FMC)(160)、並びに
前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続する通信チャネル(122)であって、前記没入型VR環境エンジンが前記仮想FMCを実行することを可能にするために、FMC通信プロトコルをエミュレートする通信チャネルを備える、VR環境プラットフォーム。
条項2.
没入型VR環境のビューを表示するための頭部装着ディスプレイ(HMD)(182)を更に備える、条項1に記載のVR環境プラットフォーム。
条項3.
前記没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を提供する仮想相互作用点(104、106、108、110、112、114)を更に備える、条項1又は2に記載のVR環境プラットフォーム。
条項4.
航空機制御をシミュレートし、前記VR環境プラットフォームのユーザ(180)に物理的なフィードバックを提供するか、又は前記ユーザから物理的な入力を受け取る、物理的な相互作用点(172)を更に備える、条項1から3のいずれか一項に記載のVR環境プラットフォーム。
条項5.
前記没入型VR環境エンジン及び前記仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素(150)を更に備える、条項1から4のいずれか一項に記載のVR環境プラットフォーム。
条項6.
前記飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素(230)を更に備える、条項5に記載のVR環境プラットフォーム。
条項7.
前記飛行シミュレータ構成要素、前記没入型VR環境エンジン、及び仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素(130)を更に備える、条項5又は6に記載のVR環境プラットフォーム。
条項8.
前記テスト環境コア構成要素と相互作用する、少なくとも1つの構成要素であって、
少なくとも、ナビゲーションシミュレーション(132)、データリンクシミュレーション(134)、航空交通管制シミュレーション(136)、及び飛行可視化(138)を含むリストから選択された、少なくとも1つの構成要素を更に備える、条項7に記載のVR環境プラットフォーム。
条項9.
コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに以下の動作を実行させる、没入型仮想現実(VR)環境プラットフォームを動作させるためのコンピュータ実行可能指示命令が記憶された、1以上のコンピュータ記憶デバイスであって、前記以下の動作が、
航空機制御及びディスプレイユニット(104、106、108、112、114)を備え、航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン(150)を動作させること(502)、
没入型VR環境のビューを頭部装着ディスプレイ(HMD)(182)上に表示すること(518)、
仮想相互作用点(104、106、108、110、112、114)を介して、前記没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を受け取ること(520)、
任務飛行プログラム(OFP)(310)を実行する仮想飛行管理コンピュータ(FMC)(160)を動作させること(508)、
航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点(172)を介して、前記VR環境プラットフォームのユーザ(180)に物理的なフィードバックを提供すること、又は前記ユーザから物理的な入力を受け取ること(522)、
前記没入型VR環境エンジン及び前記仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素(150)を動作させること(506)、並びに
プロトコルバッファ(122)を用いて前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続すること(504)であって、前記没入型VR環境エンジンが前記仮想FMCを実行することを可能にするために、前記プロトコルバッファがFMC通信プロトコルをエミュレートする、前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続することを含む、1以上のコンピュータ記憶デバイス。
条項10.
前記以下の動作が、
前記飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素(230)を動作させること(526)を更に含む、条項9に記載の1以上のコンピュータ記憶デバイス。
条項11.
前記以下の動作が、
前記飛行シミュレータ構成要素、前記没入型VR環境エンジン、及び仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素(130)を動作させること(528)を更に含む、条項9又は10に記載の1以上のコンピュータ記憶デバイス。
条項12.
前記以下の動作が、
少なくとも、ナビゲーションシミュレーション(132)、データリンクシミュレーション(134)、航空交通管制シミュレーション(136)、及び飛行可視化(138)を含むリストから選択された、少なくとも1つの構成要素が、
前記テスト環境コア構成要素と相互作用すること(530)を更に含む、条項11に記載の1以上のコンピュータ記憶デバイス。
条項13.
没入型仮想現実(VR)環境プラットフォームを動作させる方法であって、
航空機制御及びディスプレイユニット(104、106、108、112、114)を備え、航空機の没入型VR環境を提供する、没入型VR環境エンジン(150)を動作させること(502)、
任務飛行プログラム(OFP)(310)を実行する、仮想飛行管理コンピュータ(FMC)(160)を動作させること(508)、及び
通信チャネル(122)を用いて前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続すること(504)であって、前記没入型VR環境エンジンが前記仮想FMCを実行することを可能にするために、前記通信チャネルがFMC通信プロトコルをエミュレートする、前記没入型VR環境エンジンを前記仮想FMCに接続することを含む、方法。
条項14.
没入型VR環境のビューを頭部装着ディスプレイ(HMD)(182)上に表示すること(518)を更に含む、条項13に記載の方法。
条項15.
仮想相互作用点(104、106、108、110、112、114)を介して、前記没入型VR環境向けの航空機操縦室制御入力を受け取ること(520)を更に含む、条項13又は14に記載の方法。
条項16.
航空機制御をシミュレートする物理的な相互作用点(172)を介して、前記VR環境プラットフォームのユーザ(180)に物理的なフィードバックを提供するか、又は前記ユーザから物理的な入力を受け取ること(522)を更に含む、条項13から15のいずれか一項に記載の方法。
条項17.
前記没入型VR環境エンジン及び前記仮想FMCと相互作用する、飛行シミュレータ構成要素(150)を動作させること(506)を更に含む、条項13から16のいずれか一項に記載の方法。
条項18.
前記飛行シミュレータ構成要素と相互作用する、インストラクターオペレータステーション構成要素(230)を動作させること(526)を更に含む、条項17に記載の方法。
条項19.
前記飛行シミュレータ構成要素、前記没入型VR環境エンジン、及び前記仮想FMCと相互作用する、テスト環境コア構成要素(130)を動作させること(528)を更に含む、条項17又は18に記載の方法。
条項20.
少なくとも、ナビゲーションシミュレーション(132)、データリンクシミュレーション(134)、航空交通管制シミュレーション(136)、及び飛行可視化(138)を含むリストから選択された、少なくとも1つの構成要素が、
前記テスト環境コア構成要素と相互作用すること(530)を更に含む、条項19に記載の方法。
【0047】
本開示の態様の要素又はその実施例を導入するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び「前記(said)」は、要素のうちの1以上が存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図し、挙げられた要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。「例示的な(exemplary)」という用語は、「の一実施例(an example of)」を意味するものとする。「A、B、及びCのうちの1以上」という言い回しは、「Aの少なくとも1つ及び/又はBの少なくとも1つ及び/又はCの少なくとも1つ」を意味する。
【0048】
本開示の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の態様の範囲から逸脱することなく修正および変更が可能であることは明らかであろう。本開示の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法に様々な変更を加えることができるため、上述の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、例示的なものとして且つ限定的にではなく解釈されることを意図している。
【0049】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連し得るか、又は幾つかの実施形態に関連し得ることが理解されるであろう。実施形態は、述べられた問題の何れか又は全てを解決するもの、又は述べられた利益及び利点の何れか又は全てを有するものに限定されない。本明細書で示され説明された本開示の実施例における動作の実行又は実施の順序は、特に指定されない限り、必須ではない。すなわち、動作は、特に指定されない限り、任意の順序で実行することができ、本開示の実施例は、本明細書で開示されたものに追加して又はより少ない動作を含んでよい。例えば、別の動作(例えば、異なるステップ)の前、同時、又は後に特定の動作を実行又は実施することは、本開示の態様の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7