(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20231130BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231130BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20231130BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B24B41/06 L
B24B49/12
B23Q17/24 Z
(21)【出願番号】P 2019214166
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】右山 芳国
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良信
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014000(JP,A)
【文献】特開昭57-086743(JP,A)
【文献】特開2019-197818(JP,A)
【文献】特開2019-169608(JP,A)
【文献】特開2017-219364(JP,A)
【文献】特開2015-115526(JP,A)
【文献】特開2007-142284(JP,A)
【文献】特開2006-035328(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109326536(CN,A)
【文献】特開2019-155481(JP,A)
【文献】特開2009-128260(JP,A)
【文献】特開2003-053644(JP,A)
【文献】特開平09-183025(JP,A)
【文献】特許第6625128(JP,B2)
【文献】特開2018-083237(JP,A)
【文献】特開2000-343372(JP,A)
【文献】中国実用新案第209250745(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00-23/00
B24B 41/00-51/00
B24B 55/12
H01L 21/78-21/80
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段が保持した被加工物を加工する加工手段と、
該保持手段と該加工手段とを相対的に移動させる移動手段と、を備える加工装置であって、
該移動手段を構成する部品には、蛍光剤入りのグリスが塗布されており、
該保持手段が被加工物を保持する保持面を撮像するカメラと、
該保持手段の該保持面に紫外線を照射する紫外線ライトと、
該カメラを用いて撮像した撮像画を、所定の明るさを境として2値化し、白黒の2値化画像を形成する2値化画像形成部と、
該2値化画像において白があったら
該グリスが付着していると認識し該加工装置を停止させる制御部と、
を備える加工装置。
【請求項2】
該紫外線ライトにより紫外線が照射される照射エリアに外からの光が当たらないように該光を遮光して該照射エリアを暗室にする遮光手段を備える請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、加工手段の下降位置にチャックテーブルを移動させる移動手段とを備えている。移動手段は、チャックテーブルの移動方向をガイドするガイドレールと、ガイドレールに平行に延在するボールネジとを備えている。
【0003】
ボールネジ及びガイドレールには、特許文献1に示すように、グリスが塗布されている。グリス塗布を定期的に実施することによりボールネジ及びガイドレールの劣化を防止することができる。グリスの塗布作業の際に、グリスが作業着などに付着することがあり、別の作業をしているときに作業着に付着したグリスが加工室内に付着することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加工装置内にグリスが付着したら被加工物を油汚染させてしまうという問題がある。
したがって、加工装置には、被加工物を油汚染させないようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段が保持した被加工物を加工する加工手段と、該保持手段と該加工手段とを相対的に移動させる移動手段と、を備える加工装置であって、該移動手段を構成する部品には、蛍光剤入りのグリスが塗布されており、該保持手段が被加工物を保持する保持面を撮像するカメラと、該保持手段の該保持面に紫外線を照射する紫外線ライトと、該カメラを用いて撮像した撮像画を、所定の明るさを境として2値化し、白黒の2値化画像を形成する2値化画像形成部と、該2値化画像において白があったら該グリスが付着していると認識し該加工装置を停止させる制御部と、を備える加工装置である。
この加工装置には、該紫外線ライトにより紫外線が照射される照射エリアに外からの光が当たらないように該光を遮光して該照射エリアを暗室にする遮光手段を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
カメラを用いて保持面を撮像し、撮像された撮像画を基に2値化画像形成部を用いて2値化画像を形成して、形成された2値化画像に白が含まれているかどうかを調べることにより、保持面が油汚染されているかどうかを調べることができる。これにより、保持面に保持される被加工物の油汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 加工装置の構成
図1に示す加工装置1は、例えば研削砥石340を用いて被加工物Wを研削加工する加工装置である。以下、加工装置1の構成について説明する。
【0010】
加工装置1は、
図1に示すように、Y軸方向に延設されたベース10とベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
ベース10の上方には、直方体状の装置カバー15が配設されている。装置カバー15によって仕切られた直方体状の空間は、被加工物Wの搬入出や研削加工が行われる空間となっている。
【0011】
ベース10の上には、板状のチャックテーブル2が配設されている。チャックテーブル2は基台22に着脱可能に装着されている。チャックテーブル2は、保持手段20と保持手段20を支持する枠体21とを備えている。保持手段20の上面は被加工物Wが保持される保持面20aとなっている。枠体21の上面21aは、保持面20aに面一に形成されている。
保持面20aには図示しない吸引手段等が接続されている。保持面20aに被加工物Wが載置されている状態で、図示しない吸引手段等を用いて吸引力を発揮させることにより、生み出された吸引力が保持面20aに伝達されて、保持面20aに被加工物Wが吸引保持されることとなる。
【0012】
チャックテーブル2の下には、円板状の基台22が配設されている。基台22の下には、回転手段24が配設されている。回転手段24は、基台22を、その中心を通るZ軸方向の回転軸25を軸にして回転させることができる。
【0013】
ベース10の内部には、内部ベース16が配設されている。内部ベース16の上には、基台22を水平方向に移動させる水平移動手段5が配設されている。
水平移動手段5は、Y軸方向の回転軸55を有するボールネジ50と、ボールネジ50に対して平行に配設された一対のガイドレール51と、ボールネジ50に連結され回転軸55を軸にしてボールネジ50を回動させるY軸モータ52と、底部のナットがボールネジ50に螺合してガイドレール51に沿ってY軸方向に移動する可動板53とを備えている。また、可動板53の上面53aには、回転手段24が配設されている。
【0014】
Y軸モータ52にボールネジ50が駆動されてボールネジ50が回転軸55を軸として回転すると、これに伴い、可動板53がガイドレール51に案内されてY軸方向に移動するとともに、可動板53に回転手段24を介して支持されているチャックテーブル2が可動板53と一体的にY軸方向に移動することとなる。
【0015】
また、チャックテーブル2の周囲にはカバー27及びカバー27に伸縮自在に連結された蛇腹28が配設されている。例えば、水平移動手段5に駆動されてチャックテーブル2がY軸方向に移動すると、カバー27がチャックテーブル2とともにY軸方向に移動して蛇腹28が伸縮することとなる。
【0016】
コラム11の+X方向側の側面には、加工手段3を昇降可能に支持する上下移動手段4が配設されている。加工手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続された円環状のマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備えている。
研削ホイール34は、ホイール基台341と、ホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体形状の複数の研削砥石340とを備えており、研削砥石340の下面は被加工物Wを研削する研削面340aとなっている。
【0017】
上下移動手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され加工手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0018】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されて、ボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って、昇降板43がガイドレール41に案内されてZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ44に保持されている加工手段3がZ軸方向に移動することとなる。
【0019】
水平移動手段5及び上下移動手段4を構成する諸々の部品には、図示しない蛍光剤入りのグリスが塗布されている。
【0020】
ベース10の上には、例えば厚み測定手段100が配設されている。厚み測定手段100は、例えば加工装置1のベース10の上の-X方向側に配設された筐体101を備えている。筐体101の側面には、上面ハイトゲージ102が配設されている。
例えば保持面20aに被加工物Wが保持されている状態で、上面ハイトゲージ102のプローブを被加工物Wの上面Waに接触させることにより、被加工物Wの上面Waの高さを測定することができる。
【0021】
ベース10の-Y方向側には、カセット載置部12が設けられている。
カセット載置部12には、カセット70が載置されている。カセット70には、研削加工前の被加工物Wが収容されている。また、カセット70には、研削加工後の被加工物Wを収容することができる。
【0022】
カセット70の+Y方向側には、ロボット71が配設されている。ロボット71は、保持手段710と保持手段710を旋回可能に支持する軸部711とを備えている。保持手段710の上面は、被加工物Wが保持される保持面710aとなっている。保持手段710を用いてカセット70に収容されている被加工物Wをカセット70から取り出して、軸部711を軸にして保持手段710を旋回させることにより、被加工物Wを搬送することができる。
【0023】
保持手段710の可動域における+X方向側には、研削加工前の被加工物Wが仮置きされる仮置き領域13が配設されており、保持手段710の可動域における-X方向側には、研削加工後の被加工物Wを洗浄する洗浄領域14が設けられている。
【0024】
仮置き領域13には、位置合わせ手段72が配設されている。カセット70から搬出されて仮置き領域13に載置された被加工物Wは、位置合わせ手段72によって所定の位置に位置合わせされることとなる。
【0025】
洗浄領域14には、スピンナ洗浄手段73が配設されている。スピンナ洗浄手段73は、被加工物Wが保持される保持手段730と、保持手段730に保持された被加工物Wに向けて洗浄水を噴出する洗浄水供給ノズル731とを備えている。保持手段730の上面は、被加工物Wが保持される保持面730aとなっている。
例えば、保持手段730の保持面730aに研削加工後の被加工物Wが載置されている状態で、洗浄水供給ノズル731から洗浄水を供給することにより被加工物Wを洗浄することができる。
【0026】
仮置き領域13に隣接する位置には、位置合わせ手段72によって位置合わせされた被加工物Wをチャックテーブル2に搬入する搬入手段6Aが配設されている。
搬入手段6Aは、円板状のパッド60及びパッド60を上下自在に吊持するアーム61を備えている。アーム61の端部には、Z軸方向の回転軸65を有する筒状の軸部610が連結されている。例えば、軸部610には、回転軸65を軸にして軸部610を回転させる図示しない回転手段等が接続されている。
【0027】
アーム61の軸部610に連結されていない側の端部には、環状部材62が連結されている。環状部材62には、例えば3つの貫通孔620が円周上に等間隔に貫通形成されており、それぞれの貫通孔620にネジ63(
図1においては1つのみが示されている)が貫通して、さらにパッド60に螺嵌している。ネジ63のツバ部630は貫通孔620よりも大径に形成されており、ネジ63はその下降範囲が制限された状態でパッド60とともに環状部材62に吊持されている。
例えば、パッド60を被加工物Wの上面Waに下降させることにより被加工物Wの上面Waとパッド60の下面とが接触した際に、パッド60の下面に被加工物Wの上面Waから+Z方向の押力が加えられると、パッド60及びネジ63は、環状部材62に対して+Z方向に上昇する構成となっている。
【0028】
搬入手段6Aの-X方向側には、搬出手段6Bが配設されている。搬出手段6Bは、搬入手段6Aと同様の構成を有しているため、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0029】
加工装置1は、チャックテーブル2の保持手段20の保持面20a、ロボット71の保持手段710の保持面710a、及びスピンナ洗浄手段73の保持手段730の保持面730aを撮像する3つのカメラ80を備えている。カメラ80は、保持面20a、710a、及び730aの上方に配設されている。カメラ80には、紫外線の入射を防ぐ図示しないフィルタが装着されている。
【0030】
加工装置1は、チャックテーブル2の保持手段20の保持面20a、ロボット71の保持手段710の保持面710a、及びスピンナ洗浄手段73の保持手段730の保持面730aに、紫外線を照射する紫外線ライト81を備えている。紫外線ライト81から照射される紫外線の波長は、例えば約365nmとする。
【0031】
装置カバー15の上面には、遮光手段82が配設されている。遮光手段82は、装置カバー15の上面の-X方向側において、Y軸方向に向かって延設されたガイドレール821と、ガイドレール821に支持された連結支持部823と、連結支持部823にその一端が連結され、連結支持部823から+X方向に延設された角材824と、角材824の底面に一端が固定されたドレープ825とを備えている。連結支持部823は、ガイドレール821に摺接しながらY軸方向に往復移動可能となっている。
【0032】
図1には、装置カバー15の上面の+Y方向側にロール状に巻き束ねられた状態のドレープ825が示されている。
例えば、角材824を把持して-Y方向に引っ張ると、角材824及び角材824に連結されている連結支持部823が、一体となってガイドレール821に案内されながら-Y方向に移動するとともに、ロール状に巻かれているドレープ825が、装置カバー15の上面に展開されていく。これにより、ドレープ825が装置カバー15の上面に覆い被さって、紫外線ライト81から紫外線が照射される照射エリアに外からの光が当たらないように遮光されることとなる。
【0033】
また、例えば装置カバー15の±X方向側の2つの側面がガラス等の透光性を有する部材等によって形成されている場合には、該2つの側面から入射される外からの光を遮光するための同様の構成を有する遮光手段82が、さらに設けられるものとする。
【0034】
ドレープ825は、装置カバー15の上面等に作業者の手作業によって展開されるものであってもよいし、または、制御部9による動作制御を受けて適宜、展開・収束される構成であってもよい。
【0035】
加工装置1は、2値化画像形成部83を備えている。2値化画像形成部83は、カメラ80を用いて撮像された撮像画の各画素の輝度値が、予め定めた所定の閾値を超えている場合は白に、超えていない場合は黒に変換する2値化処理を行い、該撮像画の該各画素が所定の明るさを境として白か黒かのいずれかによって表された2値化画像を形成することができる。
【0036】
加工装置1は、加工装置1の各種の機構を制御する制御部9を備えている。特に、制御部9は、カメラ80によって撮像した位置に油が付着しているために、2値化画像形成部83によって形成された2値化画像において白い部分があった場合に、加工装置1を停止させる機能を有している。
なお、保持面20a等において、油汚染の他にも白く写るものがある場合には、例えば該白く写るものについて最初から加工装置1に認識させておけば、該白く写るものは、油汚染に由来するものではないと判断することができる。
【0037】
装置カバー15の-Y方向側の側面には、研削加工の加工条件等の入力機能、研削加工時に生じたエラー等の表示機能等を有するタッチパネル90が配設されている。
例えば、タッチパネル90は、2値化画像形成部83によって形成された2値化画像を表示することができる。
また、例えば、タッチパネル90は、2値化画像形成部83に電気的に接続されており、タッチパネル90を適宜操作することによって、2値化処理の閾値を入力することができるものとする。
【0038】
2 加工装置の動作
加工装置1を用いて被加工物Wの研削加工を行う際には、まず、ロボット71を用いてカセット70に収容されている被加工物Wのうちの一枚を引き出して、仮置き領域13に載置する。被加工物Wが仮置き領域13に載置されると、位置合わせ手段72による被加工物Wの位置合わせが行われる。
【0039】
位置合わせ手段72によって被加工物Wの位置合わせを行った後、搬入手段6Aを用いて被加工物Wをチャックテーブル2の保持面20aに載置して、図示しない吸引手段等を作動させる。これにより、生み出された吸引力が保持面20aに伝達されて、被加工物Wが保持面20aに吸引保持される。
【0040】
そして、被加工物Wが保持面20aに吸引保持されている状態で、水平移動手段5を用いてチャックテーブル2を+Y方向に移動させて、加工手段3の下方に位置付ける。
次いで、回転手段24を用いて回転軸25を軸にしてチャックテーブル2を回転させることにより、保持面20aに保持されている被加工物Wを回転させるとともに、スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にして研削砥石340を回転させる。
【0041】
被加工物Wが回転軸25を軸にして回転しており、かつ、研削砥石340が回転軸35を軸にして回転している状態で、上下移動手段4を用いて研削砥石340を-Z方向に下降させて、研削砥石340の研削面340aを被加工物Wの上面Waに接触させる。研削面340aが被加工物Wの上面Waに接触している状態で、さらに研削砥石340を-Z方向に下降させることにより被加工物Wが研削される。
【0042】
被加工物Wの研削加工中には、厚み測定手段100を用いて被加工物Wの厚みの測定が行われる。被加工物Wが所定の厚みまで研削されたら研削加工を終了する。
研削加工後、搬出手段6Bを用いて被加工物Wを洗浄領域14に位置づけて、スピンナ洗浄手段73を用いて上面Waを洗浄する。そして、ロボット71を用いてカセット70に収容する。
【0043】
なお、加工装置1は、
図1に示した単軸の研削装置に限定されず、複軸研削装置、若しくは研磨装置、または切削装置であってもよい。
さらに、リングフレームとウェーハとにテープを貼着して一体化するテープマウンタ、ウェーハの一方の面の全面に樹脂を塗布し保護部材を形成する保護部材形成装置でもよい。
【0044】
上記の加工装置1を用いた被加工物Wの加工においては、保持面20aの上に被加工物Wを載置する前に、チャックテーブル2の保持面20a等に油汚染があるかどうかを調べる。
以下、油汚染の有無を調べる際の加工装置1の動作について説明する。
【0045】
まず、遮光手段82を用いて、照射エリアに外からの光が当たらないように外からの光を遮光して暗室を形成する。次に、撮像画の2値化処理のために、例えばタッチパネル90に2値化処理の閾値の入力を行う。
そして、紫外線ライト81を用いて保持面20aに紫外線を照射して、カメラ80を用いて保持面20aを撮像する。撮像された撮像画は、例えばタッチパネル90に表示される。
【0046】
その後、カメラ80により撮像された該撮像画に対して、入力された閾値に基づいて2値化処理を行うことにより、所定の明るさを境として白黒の2値化画像を形成する。
【0047】
形成された2値化画像は、例えばタッチパネル90に表示される。
ここで、2値化画像において白がある場合、その白い部分には蛍光剤を含んだ油が付着しており、そのことが制御部9によって認識されて、制御部9により制御されて加工装置1の動作が停止する。
加工装置1の動作が停止した後、例えばチャックテーブル2を外して交換するとともに、外されたチャックテーブル2を洗浄する。
【0048】
上記のように、カメラ80を用いて保持面20aを撮像し、撮像された撮像画を基に2値化画像形成部83を用いて2値化画像を形成して、形成された2値化画像に白があるかどうかを調べて、保持面20aが油汚染されているかどうかを調べることにより、保持面20aに保持される被加工物Wの油汚染を防止できる。
【0049】
また、同様にカメラ80を用いてロボット71の保持面710a及びスピンナ洗浄手段73の保持面730aを撮像して、得られた撮像画を基に2値化画像を形成し、形成された2値化画像に白があるかどうか調べることによっても、保持面710a及び保持面730aが油汚染されているかどうか調べることができる。これにより、被加工物Wの油汚染を防止できる。
【0050】
なお、上記実施形態では、遮光手段82を用いて照射エリアを暗室にしてカメラ80による撮像をしたが、遮光手段82は必須ではなく、暗室を形成せずに撮像した画像を2値化した2値化画像から白を認識できる場合は、遮光手段82を用いなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1:加工装置 10:ベース
100:厚み測定手段 101:筐体 102:上面ハイトゲージ
11:コラム 12:カセット載置部 13:仮置き領域
14:洗浄領域 15:装置カバー 16:内部ベース
2:チャックテーブル 20:保持手段 20a:保持面
21:枠体 21a:枠体の上面 22:基台 24:回転手段 25:回転軸
3:加工手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 340a:研削面
341:ホイール基台
35:回転軸
4:上下移動手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸
5:水平移動手段 50:ボールネジ 51:ガイドレール 52:Y軸モータ
53:可動板 53a:可動板の上面
6A:搬入手段 6B:搬出手段
60:パッド 61:アーム 610:軸部 62:環状部材 620:貫通孔
70:カセット 71:ロボット 710:保持手段 710a:保持面
711:軸部 72:位置合わせ手段
73:洗浄手段 730:保持手段 730a:保持面
731:洗浄水供給ノズル
80:カメラ 81:紫外線ライト 82:遮光手段 821:ガイドレール
823:連結支持部 824:角材 825:ドレープ
83:2値化画像形成部 9:制御部 90:タッチパネル
W:被加工物 Wa:被加工物の上面