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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】液晶表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20231130BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02F1/1337
G02F1/1335
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019216777
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086097
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】箱井 博之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 純一
(72)【発明者】
【氏名】倪 明
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-121820(JP,A)
【文献】特開2003-107453(JP,A)
【文献】特開2003-050389(JP,A)
【文献】特開2004-334205(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114954(WO,A1)
【文献】特開2005-338472(JP,A)
【文献】特開2002-040216(JP,A)
【文献】特開2014-007399(JP,A)
【文献】国際公開第2011/125416(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0040432(US,A1)
【文献】特開2010-072391(JP,A)
【文献】特開2004-246328(JP,A)
【文献】特開2004-258527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/13,1/137-1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、反射モードで表示を行う反射領域および透過モードで表示を行う透過領域を有する複数の画素を備える、液晶表示パネルであって、
第1基板および第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた、誘電異方性が負のネマチック液晶材料およびカイラル剤を含む液晶層と、
前記第1基板の前記液晶層側に設けられた画素電極であって前記反射領域に形成された反射導電層および前記透過領域に形成された透明導電層を備える画素電極と、
前記第2基板の前記液晶層側に設けられた対向電極と、
前記反射領域および前記透過領域に共通に設けられた光拡散構造と、
前記画素電極と前記液晶層との間に設けられた第1垂直配向膜および前記対向電極と前記液晶層との間に設けられた第2垂直配向膜と
を有し、
前記第1垂直配向膜および前記第2垂直配向膜の少なくとも一方はプレチルト方位を規定する配向規制力を有し、
前記反射領域の前記液晶層の厚さをdr、前記透過領域の前記液晶層の厚さをdtとするとき、0.85≦dt/dr≦1.25の範囲内にあ
前記反射領域の前記液晶層および前記透過領域の前記液晶層には実質的に同じ電圧が印加され、
前記液晶層の液晶分子の配向状態は、電圧無印加状態および電圧印加状態のいずれにおいても、前記反射領域と前記透過領域とで実質的に同じである、液晶表示パネル。
【請求項2】
dt/dr=1.0である、請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
前記第1垂直配向膜および前記第2垂直配向膜の一方だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、VA-HANモードで表示を行う、請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
前記光拡散構造は、前記反射導電層および前記透明導電層に形成された凹凸表面構造を含み、前記第2垂直配向膜だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
前記光拡散構造は、前記対向電極に形成された凹凸表面構造を含み、前記第1垂直配向膜だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
前記凹凸表面構造は、前記反射領域と前記透過領域とで実質的に同じである、請求項4または5に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
前記光拡散構造は、透明樹脂に、前記透明樹脂と屈折率が異なる粒子が分散された光拡散層を含む、請求項1からのいずれかに記載の液晶表示パネル。
【請求項8】
前記光拡散層は、前記対向電極と前記第2基板との間に設けられている、請求項7に記載の液晶表示パネル。
【請求項9】
前記ネマチック液晶材料の複屈折率をΔnとすると、Δn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.19μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、前記液晶層のカイラルピッチの大きさは8μm以上17μm以下の範囲内にある、請求項1から8のいずれかに記載の液晶表示パネル。
【請求項10】
前記ネマチック液晶材料の複屈折率をΔnとすると、Δn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.22μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、前記液晶層のカイラルピッチの大きさは9μm以上14μm以下の範囲内にある、請求項1から9のいず
れかに記載の液晶表示パネル。
【請求項11】
前記複数の画素のそれぞれに接続されたTFTをさらに有し、
前記TFTは、活性層として、In-Ga-Zn-O系半導体を含む酸化物半導体層を有する、請求項1から10のいずれかに記載の液晶表示パネル。
【請求項12】
前記複数の画素のそれぞれに接続されたメモリ回路を有する、請求項1から11のいずれかに記載の液晶表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルに関し、特に、各画素が反射領域および透過領域を有する半透過型液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
画素のそれぞれが反射モードで表示を行う反射領域と透過モードで表示を行う透過領域とを有する液晶表示パネルは、半透過型(Transflective)または透過反射両用型液晶表示パネルと呼ばれる。半透過型液晶表示パネルとバックライト装置とを備える半透過型液晶表示装置は、バックライト装置から出射された光を用いた透過モードの表示と周囲光を用いた反射モードの表示とを同時に、あるいは切り替えて行うことができる。半透過型液晶表示装置は、特に、屋外で利用されるモバイル用途の中小型の表示装置として好適に用いられている。
【0003】
半透過型液晶表示パネルには、反射モードおよび透過モードの表示品位を向上させるために、反射領域の液晶層の厚さを透過領域の液晶層の厚さよりも小さくした構造(「マルチギャップ構造」または「デュアルセルギャップ構造」ということがある。)が採用されていた。本明細書において、「セルギャップ」を「液晶層の厚さ」と同意で用いる。反射領域の液晶層の厚さが透過領域の液晶層の厚さの2分の1であることが最も好ましい。反射モードの表示に寄与する光は液晶層を2回通過するので、反射領域の液晶層の厚さを透過領域の液晶層の厚さの2分の1にすることによって、反射モードで表示を行う光と透過モードで表示を行う光の両方に対する液晶層のリタデーションが一致し、反射領域および透過領域の両方にとって最適な電圧-輝度特性が得られる。
【0004】
しかしながら、各画素に液晶層の厚さが互いに異なる領域を形成するのは容易ではない。そこで、反射領域の液晶層の厚さと透過領域の液晶層の厚さとが等しい「単一セルギャップ構造」の半透過型液晶表示パネルが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
例えば、特許文献1は、反射領域と透過領域とで液晶分子のプレチルト角を異ならせた、単一セルギャップ構造の半透過型液晶表示パネルを開示している。また、特許文献2は、反射領域と透過領域とに異なる電圧を印加することを特徴とする半透過型液晶表示パネルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-199030号公報
【文献】特開2016-133803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2の半透過型液晶表示パネルは、いずれも反射領域と透過領域とで液晶分子のプレチルト角を異ならせるための構造や、液晶層に印加する電圧を異ならせるための構造を作製するために、液晶表示パネルの構造が複雑になる、あるいは、製造プロセスが複雑になるという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、従来よりも簡単な構造を有し、従来よりも簡単な製造プロセスで製造することができる半透過型液晶表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によると、以下の項目に記載の解決手段が提供される。
【0010】
[項目1]
それぞれが、反射モードで表示を行う反射領域および透過モードで表示を行う透過領域を有する複数の画素を備える、液晶表示装置であって、
第1基板および第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた、誘電異方性が負のネマチック液晶材料およびカイラル剤を含む液晶層と、
前記第1基板の前記液晶層側に設けられた、反射導電層および透明導電層を備える画素電極と、
前記第2基板の前記液晶層側に設けられた対向電極と、
前記反射領域および前記透過領域に共通に設けられた光拡散構造と、
前記画素電極と前記液晶層との間に設けられた第1垂直配向膜および前記対向電極と前記液晶層との間に設けられた第2垂直配向膜と
を有し、
前記第1垂直配向膜および前記第2垂直配向膜の少なくとも一方はプレチルト方位を規定する配向規制力を有し、
前記反射領域の前記液晶層の厚さをdr、前記透過領域の前記液晶層の厚さをdtとするとき、0.85≦dt/dr≦1.25の範囲内にある、液晶表示パネル。
[項目2]
dt/dr=1.0である、項目1に記載の液晶表示パネル。
[項目3]
前記第1垂直配向膜および前記第2垂直配向膜の一方だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、VA-HANモードで表示を行う、項目1または2に記載の液晶表示パネル。
[項目4]
前記反射領域の前記液晶層および前記透過領域の前記液晶層に実質的に同じ電圧が印される、項目1から3のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目5]
前記光拡散構造は、前記反射導電層および前記透明導電層に形成された凹凸表面構造を含み、前記第2垂直配向膜だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、項目1から4のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目6]
前記光拡散構造は、前記対向電極に形成された凹凸表面構造を含み、前記第1垂直配向膜だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する、項目1から4のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目7]
前記光拡散構造は、透明樹脂に、前記透明樹脂と屈折率が異なる粒子が分散された光拡散層を含む、項目1から4のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目8]
前記光拡散層は、前記対向電極と前記第2基板との間に設けられている、項目7に記載の液晶表示パネル。
[項目9]
前記ネマチック液晶材料の複屈折率をΔnとすると、Δn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.19μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、前記液晶層のカイラルピッチの大きさは8μm以上17μm以下の範囲内にある、項目1から8のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目10]
前記ネマチック液晶材料の複屈折率をΔnとすると、Δn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.22μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、前記液晶層のカイラルピッチの大きさは9μm以上14μm以下の範囲内にある、項目1から9のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目11]
前記複数の画素のそれぞれに接続されたTFTをさらに有し、
前記TFTは、活性層として、In-Ga-Zn-O系半導体を含む酸化物半導体層を有する、項目1から10のいずれかに記載の液晶表示パネル。
[項目12]
前記複数の画素のそれぞれに接続されたメモリ回路を有する、項目1から11のいずれかに記載の液晶表示パネル。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によると、従来よりも簡単な構造を有し、従来よりも簡単な製造プロセスで製造することができる半透過型液晶表示パネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施形態によるVA-HANモードの液晶表示パネル100Aの模式的な断面図であり、液晶層に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示している。
図1B】本発明の実施形態によるVA-HANモードの液晶表示パネル100Aの模式的な断面図であり、液晶層に白表示電圧を印加しているときの液晶分子の配向状態をも示している。
図2】本発明の他の実施形態によるVA-HANモードの液晶表示パネル100Bの模式的な断面図であり、液晶層に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示している。
図3】本発明のさらに他の実施形態によるVA-HANモードの液晶表示パネル100Cの模式的な断面図であり、液晶層に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示している。
図4】透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)が異なるVA-HANモードの液晶表示パネルの透過領域の電圧-透過率曲線を示すグラフである。
図5】VA-HANモードの液晶表示パネルにおける透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)と反射モードおよび透過モードにおける輝度との関係を示すグラフである。
図6】VA-HANモードの液晶表示パネルにおける透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)と反射モードおよび透過モードにおけるとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図7】透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)が異なる比較例のVAモードの液晶表示パネルの透過領域の電圧-透過率曲線を示すグラフである。
図8】VAモードの液晶表示パネルにおける透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)と反射モードおよび透過モードにおける輝度との関係を示すグラフである。
図9A】VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層に白表示電圧を印加しているときの液晶分子の配向状態の例を示す模式図であり、セルギャップが大きい(ツイスト角が大きい、またはカイラルピッチが小さい)場合を示している。
図9B】VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層に白表示電圧を印加しているときの液晶分子の配向状態の例を示す模式図であり、セルギャップが小さい(ツイスト角が小さい、またはカイラルピッチが大きい)場合を示している。
図10】VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層のΔn・dとツイスト角との関係を示すグラフである。
図11】VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層のカイラルピッチとツイスト角との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による半透過型液晶表示パネルおよびそれを備える半透過型液晶表示装置を説明する。以下、半透過型液晶表示パネルを単に液晶表示パネルということにする。
【0014】
実施形態による液晶表示パネルとして、VA-HANモードの液晶表示パネルを例示するが、本発明の実施形態による液晶表示パネルは、これに限られず、VA-TNモードの液晶表示パネルに適用することができる。
【0015】
本発明の実施形態による液晶表示パネルは、誘電異方性が負のネマチック液晶材料およびカイラル剤を含む液晶層を有し、電圧無印加状態(黒表示電圧印加状態)において黒を表示し、最高階調を表示する電圧印加状態(白表示電圧印加状態)において白を表示するノーマリブラックモードの液晶表示パネルである。液晶層の液晶分子は、黒表示状態では垂直配向をとり、白表示状態ではツイスト配向をとる。液晶層は、一対の垂直配向膜によって配向規制されており、一方の垂直配向膜だけがプレチルト方位(アジマス)を規制するVA-HANモードであっても、両方の垂直配向膜がプレチルト方位を規制するVA-TNモードであってもよい。VA-HANモードは、一方の垂直配向膜だけに配向処理を施し、プレチルト方位を規制する力(方位角アンカリング力)を付与すればよいので、両方の垂直配向膜に配向処理を施す必要があるVA-TNモードよりも簡便に製造できるという利点を有する。また、後に例示するように、光拡散構造としての凹凸構造を電極の表面に有する場合等、配向処理によってプレチルト方位を規制する力を付与することが難しい場合には、VA-HANモードは、VA-TNモードよりも有利である。
【0016】
本明細書において、ツイスト角を以下の様に定義する。液晶表示パネルを上から(観察者側から)みたときに、下側基板の近傍の液晶分子の配向方位から上側基板の近傍の液晶分子の配向方位へとねじれている方向をツイスト方向といい、反時計回りのときに右回りツイスト、時計回りのときに左回りツイストという。ツイスト角は、右回りを正とし、左回りを負として表す。ただし、表示特性に対して、右回りツイストと左回りツイストは等価であり、ツイスト角の大きさ(絶対値)が意味を持つ。以下では、電圧印加時に左回りツイスト配向を示す液晶層を例示するので、ツイスト角は負の値として示すが、正の値としても同じ結果が得られる。カイラルピッチも同様に右回りを正の値で、左周りを負の値で示すが、カイラルピッチの大きさ(絶対値)が意味を持つ。
【0017】
なお、以下の図において、液晶表示パネルが上下に有する一対の偏光板を省略する。さらに、偏光板と基板との間に位相差板が設けられることもある。偏光板(および位相差板)は、液晶表示パネルがノーマリブラックモードの表示を行うように配置される。
【0018】
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、本発明の実施形態によるVA-HANモードの液晶表示パネル100Aの構造および動作を説明する。図1Aは、液晶表示パネル100Aの模式的な断面図であり、液晶層に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示しており、図1Bは、液晶層に最高階調電圧(白表示電圧)を印加しているときの液晶分子の配向状態をも示している。
【0019】
図1Aおよび図1Bに示す液晶表示パネル100Aは、それぞれが、反射モードで表示を行う反射領域Rfおよび透過モードで表示を行う透過領域Trを有する複数の画素PXを備えている。図1Aおよび図1Bは1つの画素の断面構造を模式的に示している。
【0020】
液晶表示パネル100Aは、第1基板12および第2基板22と、第1基板12と第2基板22との間に設けられた、誘電異方性が負のネマチック液晶材料およびカイラル剤を含む液晶層32と、第1基板12の液晶層32側に設けられた、反射導電層15aおよび透明導電層14aを備える画素電極PEと、第2基板22の液晶層側に設けられた対向電極(共通電極ともいう。)24aと、画素電極PEと液晶層32との間に設けられた第1垂直配向膜16および対向電極24aと液晶層32との間に設けられた第2垂直配向膜26とを有している。基板12上には、画素を駆動するための回路(バックプレーン回路)が形成されている(不図示)。バックプレーン回路は、画素電極PEに接続されたTFTおよびTFTに接続されたゲートバスライン、ソースバスラインなどを含んでいる。TFTは、例えば、活性層として、アモルファスシリコン層、ポリシリコン層、またはIn-Ga-Zn-O系半導体を含む酸化物半導体層を有するTFT(特開2014-007399号公報参照)であり、バックプレーン回路は公知の構成を広く採用できる。また、画素毎にメモリ回路(例えばSRAM)を有する、いわゆるメモリ液晶を採用することができる(例えば、特許第5036864号公報参照)。特開2014-007399号公報および特許第5036864号公報のすべての開示内容を参考のために本明細書に援用する。
【0021】
液晶表示パネル100Aは、反射領域Rfおよび透過領域Trに共通に設けられた光拡散構造として、画素電極PE、すなわち、反射導電層15aおよび透明導電層14aの表面が凹凸構造を有している。光拡散構造は、反射モードの表示がペーパーホワイトの表示を行うために設けられており、従来のマルチギャップ型半透過型液晶表示パネルでは、反射領域にだけ設けられていたのに対し、液晶表示パネル100Aでは、透過領域にも共通に設けられている。反射導電層15aおよび透明導電層14aの表面が有する凹凸構造は、凹凸表面構造を有する樹脂層13の上に、透明導電層14aおよび反射導電層15aを形成することよって得られる。凹凸表面構造を有する樹脂層13は、例えば、特許第3394926号公報に記載されているように、感光性樹脂を用いて形成される。凹凸表面構造は、例えば、隣り合う凸部の中心間隔が5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上20μm以下となるようにランダムに配置された複数の凸部で構成され得る。基板法線方向からみたとき、凸部の形状は略円形または略多角形である。画素PXに占める凸部の面積は、例えば約20%から40%である。凸部の高さは、例えば1μm以上5μm以下である。画素PXに占める反射領域Rfの面積は用途等に応じて適宜設定され得るが、例えば、20%以上90%以下である。また画素PX内における反射領域Rfの位置も用途等に応じて適宜設定され得る。
【0022】
透明導電層14aは、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、またはこれらの混合物を用いて公知の方法で形成され得る。反射導電層15aは、銀、アルミニウムまたはアルミニウム合金など反射率の高い金属材料を用いて公知の方法で形成され得る。ここでは、透明導電層14a上に直接接するように反射導電層15aを形成した例を示しているが、反射導電層15aと透明導電層14aとの接続構造は任意であり得る。ただし、反射導電層15aと透明導電層14aとには同じ電圧が供給される。なお、対向電極24aも透明導電層14aと同様の材料を用いて、公知の方法で形成され得る。
【0023】
第1垂直配向膜16および第2垂直配向膜26は、公知の垂直配向膜材料を用いて公知の方法で形成される。ここでは、表面に凹凸構造を有しない対向電極24a上に形成された第2垂直配向膜26だけがプレチルト方位を規定する配向規制力を有する。すなわち、第2垂直配向膜26に対してのみ、配向処理(例えばラビング処理または光配向処理)が施されている。第1垂直配向膜16の表面は凹凸構造を有しているので、配向処理を施しても、安定した配向規制力が得られないことがある。
【0024】
液晶表示パネル100Aが有する液晶層32は画素PXの全体にわたって連続した構造を有し、電圧無印加状態(図1A参照)においても、電圧印加状態(図1B参照)においても、反射領域Rfと透過領域Trとで実質的の同じ配向状態にある。反射領域Rfの液晶層32の厚さdrと透過領域Trの液晶層32の厚さdtとは実質的に同じであるが、画素電極PEの積層構造などの違いによって、反射領域Rfの液晶層32の厚さdrと透過領域Trの液晶層32の厚さdtとが異なってもよい。後述するように、0.85≦dt/dr≦1.25の範囲内にあれば、透過モードの輝度は最大値の90%以上を得ることができる。
【0025】
液晶表示パネル100Aは、ノーマリブラックモードで表示を行うように配置された2枚の円偏光板(直線偏光板と4分の1波長板との積層体)を基板12の下側および基板22の上側に有している。このときプレチルト方位と偏光板の吸収軸との配置関係に制限はない。半透過型液晶表示装置としての特性を評価する際には、基板12の下側にバックライト装置を配置した。なお、円偏光板と基板12および基板22の間に2分の1波長板をさらに配置し、波長分散による色づきや視野角特性を改善してもよい。偏光板や位相差板の配置は上記の例に限られず公知の種々の組合せを適用することができる。
【0026】
液晶表示パネル100Aは、図1Aに示したように、電圧無印加状態(しきい値電圧よりも低い電圧印加している状態)で黒を表示する。このとき液晶層32の液晶分子LCは、垂直配向膜16および26の配向規制力を受けて垂直に配向している。液晶層32に、画素電極PEと対向電極24aとの間の電位差に相当する電圧が印加されると、誘電異方性が負の液晶分子LCは倒れる。垂直配向膜26には配向処理(例えばラビング処理)が施されており、垂直配向膜26の近傍の液晶分子LCが倒れる方位(すなわちプレチルト方位)は、垂直配向膜26によって規制される方位である。
【0027】
液晶層32には、誘電異方性が負のネマチック液晶材料とともにカイラル剤が混合されており、液晶分子LCはカイラル剤で規定される方向にツイスト配向する。液晶層32に白表示電圧を印加したときの液晶分子LCの配向状態は例えば図1に示す様なツイスト配向をとる。
【0028】
液晶層32の液晶分子LCは、垂直配向膜26で規定されたプレチルト方位に倒れた液晶分子LCに連続して、カイラル剤で規定される方向にツイストする。垂直配向膜16の近傍の液晶分子LCの配向方位は、カイラル剤の種類および量によって変わるカイラルピッチ(液晶分子が360°ツイストするのに必要な厚さ方向の長さ)と液晶層32の厚さ(セルギャップ)とによって決まる方位になる。
【0029】
なお、垂直配向膜26および16の表面の極近傍の液晶分子(不図示)は、垂直配向膜26および16の配向規制力(極角アンカリング)を強く受けており、白電圧印加時においても、ほぼ垂直に配向している。このように垂直配向膜26および16で強く配向規制された液晶分子が存在するので、電圧を取り除いた際に、可逆的に垂直配向状態に戻り、黒を表示することができる。図1A図1B等に図示している液晶分子LCは、液晶層32に電圧を印加することによって配向方向を変化させることができる液晶分子LCだけである。
【0030】
後にシミュレーション結果を示して説明する様に、液晶材料の複屈折率Δn、液晶層32の厚さd(dt、dr)、カイラルピッチによって、液晶表示パネルの輝度、コントラスト比などの表示特性が影響を受ける。ネマチック液晶材料の複屈折率をΔnとすると、Δnと液晶層32の厚さ(dr、dt)との積で表されるリタデーションΔn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.19μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、液晶層のカイラルピッチは8μm以上17μm以下の範囲内にあることが好ましい。このとき、液晶層32に最高階調表示電圧を印加したときのツイスト角の大きさは31°以上110°以下である。Δn・drおよびΔn・dtは、それぞれ独立に、0.22μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、液晶層32のカイラルピッチは9μm以上14μm以下の範囲内にあることがさらに好ましい。このとき、液晶層32に最高階調表示電圧を印加したときのツイスト角の大きさは41°以上98°以下である。
【0031】
このような構造を有する液晶表示パネル100Aは、従来の単一セルギャップ構造の半透過型液晶表示パネルよりも簡単な構造を有し、従来よりも簡単な製造プロセスで製造することができる。具体的には、画素電極PEの反射導電層15aおよび透明導電層14aに同じ電圧を供給すればよく、また、液晶層32における液晶分子LCの配向も、反射領域Rfと透過領域Trと同じでよい。垂直配向膜26の配向処理は、反射領域Rfと透過領域Trとで同じでよい。光拡散構造としての凹凸表面構造も反射領域Rfと透過領域Trとで同じでよい。したがって、例えば反射領域Rfと透過領域Trとの面積比を変更する場合、単純に、反射導電層15aを形成する面積だけを変更すればよい。
【0032】
本発明の実施形態による液晶表示パネル100Aは、種々に改変され得る。図2に本発明の他の実施形態による液晶表示パネル100Bの模式的な断面図を示す。図2は、液晶層32に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示している。以下の図において、図1A図1Bに示した構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
【0033】
液晶表示パネル100Bは、反射領域Rfおよび透過領域Trに共通に設けられた拡散構造として、透明樹脂に、透明樹脂と屈折率が異なる粒子が分散された光拡散層25を有している点において、液晶表示パネル100Aと異なる。液晶表示パネル100Bの画素電極PEは光拡散構造を有する必要がなく、反射導電層15bおよび透明導電層14bは平坦な表面を有している。液晶表示パネル100Bにおいては、第1垂直配向膜16および第2垂直配向膜26のいずれも平坦な表面を有しているので、いずれに配向処理を施してもよい。また、第1垂直配向膜16および第2垂直配向膜26の両方に配向処理を施し、VA-TNモードの液晶表示パネルに改変してもよい。
【0034】
光拡散層25は公知の材料を用いて形成することができる。光拡散層25は、対向電極24aと第2基板22との間に設けられている。光拡散層25は、例えば、カラーフィルタ層を兼ねてもよい。また、光拡散層25を透明導電層14bと基板12との間に設けてもよい。さらに、光拡散層25を液晶表示パネル100Aに設けてもよい。
【0035】
図3に本発明によるさらに他の実施形態による液晶表示パネル100Cの模式的な断面図を示す。図3は、液晶層32に電圧を印加していないときの液晶分子の配向状態をも示している。液晶表示パネル100Cは、反射領域Rfおよび透過領域Trに共通に設けられた拡散構造として、対向電極24bが凹凸表面構造を有している。対向電極24bの凹凸表面構造は、凹凸表面構造を有する樹脂層23の上に対向電極24を形成することによって得られる。樹脂層23は、先の樹脂層13と同様の方法で形成することができる。液晶表示パネル100Cでは、平坦な表面を有する垂直配向膜16に配向処理を施すことが好ましい。
【0036】
次に、図4図6を参照して、液晶表示パネル100Aの表示特性を説明する。
【0037】
図4および図5は、シンテック株式会社製の液晶シミュレーションソフト、LCDマスターを用いた結果を示す。液晶層32のΔn・d(d=dr=dt)を0.28μm、カイラルピッチを-11μmとしたとき、最も高品位な表示が得られた(表1、表2参照)。ネマチック液晶材料としては、Δnが0.1の誘電異方性が負のネマチック液晶材料を用いた。したがって、Δn・dの値を10倍した値がセルギャップ(液晶層の厚さ)である。このときの白表示状態におけるツイスト角の大きさは72°であった。
【0038】
なお、ここでは、下側直線偏光板の吸収軸、下側4分の1波長板の遅相軸、第2垂直配向膜26のプレチルト方位、上側4分の1波長板の遅相軸、下側直線偏光板の吸収軸の方位は、上から見たとき、時計の文字盤の3時方向を0°どし、反時計回りを正とすると、それぞれ、下側直線偏光板の吸収軸:-45°、下側4分の1波長板の遅相軸:0°、第2垂直配向膜26のプレチルト方位:-50°、上側4分の1波長板の遅相軸:+90°、上側直線偏光板の吸収軸の方位:+45°とした。
【0039】
図6は、実際に作製した半透過型液晶表示パネルを評価した結果を示す。パネルサイズは31.5型、画素数は1920×RGB×1020であった。反射領域Rfと透過領域Trとの面積比は4.3:1とした。反射特性の測定は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計、CM-700dを用いて行った。透過特性の測定は、トプコン株式会社製の分光放射計、SR-UL1Rを用いて行った。
【0040】
図4に、透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)が異なるVA-HANモードの液晶表示パネルの透過領域の電圧-透過率曲線を示す。図4において「1」はdt=drを、「1.5」はdt=1.5dr、「2」はdt=2drを表す。図4における「1」は、上記の最も高品位な表示が得られた液晶表示パネル100Aの透過領域の電圧-透過率曲線に相当する。
【0041】
図5は、VA-HANモードの液晶表示パネルにおける透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)と反射モードおよび透過モードにおける輝度との関係を示すグラフである。
【0042】
図4から分かるように、dt=drのときに、透過領域Trの透過率が最大になる。また、図5から分かるように、dt=drのときに、反射モードでの輝度が最大になるとともに、透過モードでの輝度も最大になる。また、0.85≦dt/dr≦1.25の範囲内にあれば、透過モードの輝度は最大値の90%以上となる。
【0043】
図6に、VA-HANモードの液晶表示パネルにおける透過領域のセルギャップ(反射領域のセルギャップで規格化)と反射モードおよび透過モードにおけるとコントラスト比との関係を示す。透過領域の規格化セルギャップが0.94、0.98、1.02、1.06および1.10の5種類の液晶表示パネルを作製した。規格化セルギャップが1.00のとき、上記の最も高品位な表示が得られた液晶表示パネル100Aに相当する。図6から分かるにように、dt=drのときに、反射モードのコントラスト比も透過モードのコントラスト比も最大となる。透過領域の規格化セルギャップが0.98および1.02のとき、反射モードのコントラスト比は20かつ透過モードのコントラスト比は40であり、高品位の表示が得られた。
【0044】
このように、液晶層32のΔn・dおよびカイラルピッチを最適化することによって、同じセルギャップ(dt=dr)で、反射モードの表示と透過モードの表示との両方において表示品位を最高にできる。
【0045】
これは、従来のVAモードの半透過型液晶表示パネルの表示特性からは到底予想できない。図7に、透過領域の液晶層の厚さ(反射領域の液晶層の厚さで規格化)が異なる比較例のVAモードの液晶表示パネルの透過領域の電圧-透過率曲線を示し、図8にVAモードの液晶表示パネルにおける反射モードおよび透過モードにおけるセルギャップと輝度との関係を示す。VAモードについての図7および図8は、先のVA-HANモードの図4および図5にそれぞれ対応する。なお、VAモードの半透過型液晶表示パネルでは、反射導電層にのみ凹凸表面構造を設けた。
【0046】
図7から分かるように、VAモードにおいては、透過領域の透過率は、dt=2drのときに最大となり、図8から分かるように、VAモードにおける透過モードでの輝度は、dt=2drのときに最大になる。
【0047】
次に、VA-HANモードの液晶表示パネル100Aの表示特性と、液晶層32のΔn・dおよびカイラルピッチとの関係を説明する。
【0048】
図9Aは、VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層に白表示電圧を印加しているときの液晶分子の配向状態の例を示す模式図であり、セルギャップが大きい(ツイスト角が大きい、またはカイラルピッチが小さい)場合を示している。また、図9Bは、VA-HANモードの液晶表示パネルの液晶層に白表示電圧を印加しているときの液晶分子の配向状態の例を示す模式図であり、セルギャップが小さい(ツイスト角が小さい、またはカイラルピッチが大きい)場合を示している。このように、セルギャップおよびカイラルピッチを変化させると、Δn・dが変化するとともに、ツイスト角が変化する。これらの関係を図10および図11に示す。図10は、異なるカイラルピッチについて、液晶層のΔn・dとツイスト角との関係を示すグラフであり、図11は、異なるΔn・dについて、液晶層のカイラルピッチとツイスト角との関係を示すグラフである。
【0049】
Δn・dとカイラルピッチとの最適な組合せを見出すために、Δn・dおよびカイラルピッチを変化させ、表示特性を評価した結果を表1に示し、それに対応するツイスト角を表2に示す。表示特性は、反射モードおよび透過モードの白表示状態における輝度および階調反転等を評価した。上述した液晶表示パネル100Aの最高品位の表示品位を基準に、反射モードの輝度が約80%以上、透過モードの輝度が約65%以上、透過モードおよび反射モードのそれぞれにおける階調反転が3%以下、光源色(色度x、yで表記)からの変化が、Δx:約-0.03~約+0.02、Δy:約-0.03~約+0.01に収まるものを◎判定とした。上記基準を一部満たさないが◎判定に近い条件について、順次、〇、△判定とした。なお、階調反転が3%以下とは、白表示電圧での輝度が、中間調表示電圧(黒表示から白表示までの電圧)での最大輝度の3%以内(すなわち、最大の輝度を1.00としたとき、0.97以上)にあることを意味する。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1の結果から分かるように、Δn・dは、0.19μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、液晶層のカイラルピッチは8μm以上17μm以下の範囲内にあることが好ましい。このとき、液晶層32に最高階調表示電圧を印加したときのツイスト角の大きさは31°以上110°以下である(破線の範囲内)。Δn・dは、0.22μm以上0.31μm以下の範囲内で、かつ、液晶層32のカイラルピッチは9μm以上14μm以下の範囲内にあることがさらに好ましい。このとき、液晶層32に最高階調表示電圧を印加したときのツイスト角の大きさは41°以上98°以下である(実線の範囲内)。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、半透過型液晶表示パネルに広く適用できる。
【符号の説明】
【0054】
12、22:基板
13、23 :樹脂層
14a、14b :透明導電層
15a、15b :反射導電層
16、26 :垂直配向膜
24、24a、24b :対向電極
25 :光拡散層
32 :液晶層
100A、100B、100C :液晶表示パネル
LC :液晶分子
PE :画素電極
PX :画素
Rf :反射領域
Tr :透過領域
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11