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▶ キリンホールディングス株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ラベル付き容器及び飲料製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/60 20060101AFI20231130BHJP
   B65D 41/34 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65D41/60
B65D41/34 114
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019227274
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021095171
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 貴史
(72)【発明者】
【氏名】中谷 正樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 恵美子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/099351(WO,A2)
【文献】特開2017-095113(JP,A)
【文献】特開2012-176760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/60
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、当該口部に連続する首部、当該首部に連続する肩部、当該肩部に連続する胴部及び当該胴部に連続して最下部に位置する底部を有する容器本体と、
周壁及び天板を有するキャップ本体、並びに前記キャップ本体の下端に切断可能に接続されているバンドを有し、前記口部に取り付けられているキャップと、
少なくとも前記周壁の一部及び前記首部の上端を一体に被覆するラベルと
を備え、
前記ラベルは、前記周壁の一部、前記バンド及び前記首部の上端に粘着剤を介して固定されており、
前記ラベルには、前記キャップ本体の周方向に沿って第1切り取り線及び第2切り取り線が設けられており、
前記第1切り取り線は、前記首部と前記キャップとの境界に重なっており、
前記第2切り取り線は、前記キャップ本体と前記バンドとの境界に重なっており、
前記第1切り取り線は、前記キャップを周方向に回転させることで破断可能に設けられていることを特徴とするラベル付き容器。
【請求項2】
前記キャップを周方向に回転させたときに、前記第1切り取り線は、前記キャップ本体から前記バンドが切断される前に破断可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記第1切り取り線は、前記キャップを周方向に3°~10°回転させることで破断可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
前記第1切り取り線は、1.0~2.5mmの間隔で形成されている複数の孔部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項5】
前記ラベルの表面には、防滑部が設けられていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項6】
前記防滑部は、前記ラベルの表面に形成された凹凸構造であることを特徴とする請求項に記載のラベル付き容器。
【請求項7】
前記凹凸構造は、前記キャップ本体の周方向に直交する方向に長手方向を有し、当該周方向に所定の間隔で配置されている複数の凸部と隣接する2つの前記凸部の間に位置する凹部とを含むことを特徴とする請求項に記載のラベル付き容器。
【請求項8】
前記凸部は、前記ラベルの表面に塗布された硬質ニスにより形成されていることを特徴とする請求項に記載のラベル付き容器。
【請求項9】
前記硬質ニスにより形成されている前記凸部の短手方向の幅は、0.5~1.0mmであることを特徴とする請求項に記載のラベル付き容器。
【請求項10】
前記凹部の短手方向の幅は、0.1~1.3mmであることを特徴とする請求項のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項11】
前記ラベルは、前記キャップ本体の前記天板の周縁部及び前記周壁、並びに前記首部の上端を一体に被覆していることを特徴とする請求項1~1のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項12】
前記ラベルは、前記キャップ本体の前記天板及び前記周壁、並びに前記首部の上端を一体に被覆していることを特徴とする請求項1~1のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項13】
前記ラベルには、前記ラベルの下端縁から前記第1切り取り線に向かって延びる少なくとも1本の引き裂き線が設けられていることを特徴とする請求項1~1のいずれかに記載のラベル付き容器。
【請求項14】
前記請求項1~1のいずれかに記載のラベル付き容器の前記容器本体に飲料が充填されていることを特徴とする飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル付き容器及び飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等を容器に充填し、容器の口部に取り付けられたキャップにより閉栓されている飲料製品等は、店頭等に陳列されて販売されることがある。店頭等に陳列されている容器の口部に取り付けられているキャップがいたずら等によって開封されるのを防止することを目的として、熱収縮性樹脂からなる筒状のラベル(シュリンクラベル)からなるキャップシールがキャップ及び容器の首部に密着されているラベル付き容器が飲料を充填する容器として用いられることがある。また、キャップ及び容器の首部とともに、容器本体の胴部の略全体を一体的に被覆するシュリンクラベルを有するラベル付き容器も知られている。
【0003】
このようなラベル付き容器においては、例えば特許文献1に開示されているように、キャップ及び容器の首部に密着されているキャップシールを開封するために、破断容易な切り取り線が容器本体の軸方向(容器の底部と口部とを結ぶ方向,鉛直方向)に沿って設けられている。この切り取り線に沿って破断することで、キャップシールを容易に取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-48111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているラベル付き容器においては、キャップシールを切り取り線に沿って破断し、取り外した後に、キャップを回転させて開栓する。開栓後、当該容器に充填されている飲料を飲み切らない場合には、キャップにより閉栓されるが、キャップシールがキャップから分離されるために、キャップシールのみが廃棄物として排出されてしまうという問題がある。また、ラベルを外す作業とキャップを回転させて開栓する作業が別々になるため、開栓作業が煩雑であるという問題もある。
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、開栓後であってもラベルを廃棄物として排出することがなく、容易に開栓可能なラベル付き容器及び飲料製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、口部、当該口部に連続する首部、当該首部に連続する肩部、当該肩部に連続する胴部及び当該胴部に連続して最下部に位置する底部を有する容器本体と、周壁及び天板を有するキャップ本体、並びに前記キャップ本体の下端に切断可能に接続されているバンドを有し、前記口部に取り付けられているキャップと、少なくとも前記周壁の一部及び前記首部の上端を一体に被覆するラベルとを備え、前記ラベルは、前記周壁の一部、前記バンド及び前記首部の上端に粘着剤を介して固定されており、前記ラベルには、前記キャップ本体の周方向に沿って第1切り取り線及び第2切り取り線が設けられており、前記第1切り取り線は、前記首部と前記キャップとの境界に重なっており、前記第2切り取り線は、前記キャップ本体と前記バンドとの境界に重なっており、前記第1切り取り線は、前記キャップを周方向に回転させることで破断可能に設けられていることを特徴とするラベル付き容器を提供する。
【0008】
前記キャップを周方向に回転させたときに、前記第1切り取り線は、前記キャップ本体から前記バンドが切断される前に破断可能に設けられていてもよく、前記第1切り取り線は、前記キャップを周方向に3~10°回転させることで破断可能に設けられていてもよく、前記第1切り取り線は、1.0~2.5mmの間隔で形成されている複数の孔部を有していてもよい。
【0010】
前記ラベルの表面には、防滑部が設けられていてもよく、前記防滑部は、前記ラベルの表面に形成された凹凸構造であってもよく、前記凹凸構造は、前記キャップ本体の周方向に直交する方向に長手方向を有し、当該周方向に所定の間隔で配置されている複数の凸部と隣接する2つの前記凸部の間に位置する凹部とを含んでいてもよく、前記凸部は、前記ラベル表面に塗布された硬質ニスにより形成されていてもよく、前記硬質ニスにより構成されている前記凸部の短手方向の幅は、0.5~1.0mmであってもよく、前記凹部の短手方向の幅は、0.1~1.3mmであってもよい。
【0011】
前記ラベルは、前記キャップ本体の前記天板の周縁部及び前記周壁、並びに前記首部の上端を一体に被覆していてもよいし、前記キャップ本体の前記天板及び前記周壁、並びに前記首部の上端を一体に被覆していてもよく、前記ラベルには、前記ラベルの下端縁から前記第1切り取り線に向かって延びる少なくとも1本の引き裂き線が設けられていてもよい。
【0012】
また、本発明は、上記ラベル付き容器の前記容器本体に飲料が充填されていることを特徴とする飲料製品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開栓後であってもラベルを廃棄物として排出することがなく、容易に開栓可能なラベル付き容器及び飲料製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の概略構成を示す側面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態における容器本体の概略構成を示す側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態におけるキャップの概略構成を示す半断面側面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の他の態様のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の他の態様のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の他の態様の概略構成を示す側面図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の開栓の様子を概略的に示す部分拡大斜視図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の開栓の様子を概略的に示す部分拡大斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の他の態様のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図10図10は、本発明の一実施形態におけるラベルの概略構成を示す部分拡大平面図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係るラベル付き容器の他の態様のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係るラベルの他の態様を示す部分拡大平面図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係るラベルの他の態様を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るラベル付き容器について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るラベル付き容器の概略構成を示す側面図であり、図2は、本実施形態における容器本体の概略構成を示す側面図であり、図3は、本実施形態に係るラベル付き容器のキャップ及び首部の近傍の概略構成を示す側面図である。なお、本実施形態においては、容器本体に飲料を充填するために用いられるラベル付き容器を例に挙げて説明するが、この態様に限定されるものではなく、種々の内容物(例えば、醤油等の調味料、化粧水等の化粧品、胃薬等の医薬品等)を充填するために用いられるものであってもよい。なお、本実施形態における容器本体に充填され得る飲料としては、例えば、ミネラルウォーター、茶飲料(例えば、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ブレンド茶等)、醸造酒(例えば、ビールや発泡酒などの穀類分解物含有発泡性飲料、日本酒、ワインやシードルなどの果実酒、梅酒などのリキュール等)、蒸留酒(例えば、ウイスキー、焼酎、ブランデー等)、野菜飲料(例えば、トマトジュース、にんじんジュース、トマトミックスジュース、にんじんミックスジュース等)、果実飲料(例えば、リンゴジュース、オレンジジュース、果汁入り飲料等)、果実・野菜ミックスジュース、コーヒー飲料、穀物乳(例えば、豆乳、ライスミルク、ココナッツミルク、アーモンドミルク等)、酢飲料(例えば、果実酢飲料等)、ノンアルコールビールテイスト飲料等が挙げられる。
【0016】
図1図3に示すように、本実施形態に係るラベル付き容器1は、口部21、当該口部21に連続する首部22、当該首部22に連続する肩部23、当該肩部23に連続する胴部24及び当該胴部24に連続して最下部に位置する底部25を有する容器本体2と、口部21に取り付けられているキャップ3と、キャップ3及び首部22の上端を一体に被覆し、それらに密着するラベル4とを備える。
【0017】
口部21は略円筒状であり、口部21の開口端側の側面には、キャップ3を取り付けるためのねじ山212が形成されている。これにより、容器本体2に飲料を充填した後に、口部21にキャップ3を取り付けることで、容器本体2を密封することができる。
【0018】
容器本体2の高さ方向(口部21を上方に位置させて容器本体2を水平面に載置したときに当該水平面に直交する方向)の大半を占める胴部24は、例えば、横断面略円形状を有していてもよいし、横断面略四角形状を有していてもよい。略円形状とは、真円形状の他、楕円形状、長円形状等も含まれる趣旨である。略四角形状とは、正方形、長方形等の方形状の他、当該方形状の各角部を丸めた形状、当該方形状の各角部を切り欠いた八角形状、当該八角形状の各角部を丸めた形状等も含まれる趣旨である。なお、本実施形態において、胴部24の側面視における形状は、略長方形状であるが、このような態様に限定されるものではなく、肩部23と底部25との間(例えば、胴部24の高さ方向略中央の位置)において容器本体2の内方にわずかに湾曲する形状(くびれを有する形状)であってもよい。
【0019】
本実施形態における底部25の形状は、特に限定されるべきものではなく、飲料の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、底部24の周縁には、複数の脚部と、隣接する2つの脚部間に位置し、底部24の一部が容器の内方に陥入する凹部とが形成され、同数の脚部及び凹部が周方向に沿って交互に配置されていてもよい。このような底部24の構造により、容器本体2に炭酸飲料を充填する場合に、炭酸ガスによる容器本体2内の加圧状態に耐え得る耐圧性が発揮され得る。
【0020】
容器本体2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料により構成される。
【0021】
図4に示すように、キャップ3は、平面視略円形の天板312及び天板312の周縁部に連続して垂下する周壁311を有するキャップ本体31と、キャップ本体31の下端に切断可能に接続されているバンド(タンパーエビデンスバンド)32とを有する。
【0022】
キャップ3は、容器本体2と同様の樹脂材料により構成されていればよい。キャップ3の直径(外径)は、容器本体2の口部21の大きさに応じて適宜設定され得るものであるが、例えば20~60mm程度である。
【0023】
周壁311の内周面には、容器本体2の口部21の開口端側の側面に形成されているねじ山212に螺合するねじ山313が形成されている。なお、キャップ3は、通常右ねじタイプであり、キャップ本体31の天板312側から見たときに、キャップ3を反時計回りに回転させることで開栓することができ、キャップ3を時計回りに回転させることで閉栓することができる。
【0024】
ラベル4は、例えば、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(Glycol-modified PET,PETG)等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなる熱収縮性樹脂フィルムにより構成される、いわゆるシュリンクラベル等と称されるものである。
【0025】
本実施形態において、図1及び図3に示すように、ラベル4は、キャップ本体31の天板312及び周壁311、並びに首部22の上端を一体に被覆し、それらに密着するが、この態様に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、ラベル4は、キャップ本体31の周壁311の一部及び首部22の上端を一体に被覆し、それらに密着していてもよいし、図6に示すように、キャップ本体31の天板312の周縁及び周壁311、並びに首部22の上端を一体に被覆し、それらに密着していてもよい。すなわち、本実施形態におけるラベル4は、少なくともキャップ本体31の周壁311の一部から首部22の上端までの間を一体に被覆し、それらに密着していればよい。なお、図7に示すように、ラベル4は、首部22に連続する肩部23及び胴部24をも一体に被覆し、それらに密着していてもよい。なお、ラベル4は、キャップ3及び首部22の上端に被覆された後、加熱収縮させることによりキャップ3及び首部22の上端に密着される。
【0026】
図1及び図3に示す態様において、ラベル4は、キャップ3(キャップ本体31及びバンド32)と首部22の上端に粘着剤を介して固定されている。後述するように、本実施形態においては、ラベル4が固定されている状態でキャップ3を周方向に回転させて開栓するが(図8A及び図8B参照)、ラベル4が粘着剤を介してキャップ3及び首部22の上端に固定されていることで、開栓後においてもキャップ3や容器本体2からラベル4が分離せず、ラベル4が廃棄物として排出されることがない。なお、ラベル4は、当該ラベル4が当接するキャップ3及び首部22の上端の全面において粘着剤を介して固定されていてもよいが、ラベル4が固定されている状態でキャップ3を周方向に回転させて開栓した後、キャップ3や容器本体2からラベル4が分離することがない程度に固定されていればよい。図9に示すように、例えば、ラベル4は、少なくとも周壁311、バンド32及び首部22の上端のそれぞれの周方向において所定の間隔で粘着剤5を介して固定されていてもよい。この場合において、キャップ本体31の天板312の全面が粘着剤を介してラベル4と固定されていてもよいし、キャップ本体31の天板312の一部が粘着剤を介してラベル4と固定されていてもよいし、キャップ本体31の天板312とラベル4とは固定されていなくてもよい。なお、粘着剤として、キャップ3や首部22からラベル4を剥離したときに、キャップ3や首部22に残存しにくい粘着剤を用いてもよい。このような粘着剤を用いることで、ラベル4を剥離した後の容器本体2のリサイクル適性に優れたものとすることができる。
【0027】
ラベル4には、キャップ本体31の周方向に沿って第1切り取り線41と第2切り取り線42とが設けられている。第1切り取り線41は、首部22とバンド32との境界に重なっており、第2切り取り線42は、キャップ本体31とバンド32との境界に重なっている。なお、「境界に重なる」とは、第1切り取り線41や第2切り取り線42が上記境界(首部22とバンド32との境界やキャップ本体31とバンド32との境界)から僅かにずれている(例えば、容器本体2の軸方向に1mm以下程度ずれている)ことを許容する趣旨である。
【0028】
図10に示すように、第1切り取り線41及び第2切り取り線42は、周方向に所定の間隔で連続する複数の孔部411,421と、隣接する2つの孔部411,421間に位置する接続部412,422とを有する。第1切り取り線41の孔部411の長さL411は、例えば1.0~4.0mmであればよい。第1切り取り線41の接続部412の長さL412は1.0~2.5mmであればよく、好ましくは1.0~2.0mmであればよい。第1切り取り線41の接続部412の長さL412が上記範囲であれば、キャップ3を周方向に回転させるだけで、第1切り取り線41(接続部412)を破断させることができる。第2切り取り線42の孔部421の長さL421は、例えば1.0~4.0mmであればよい。第2切り取り線42の接続部422の長さL422は、例えば1.0~2.5mmであればよく、好ましくは、第1切り取り線41の接続部412の長さL412よりも長ければよく、例えば1.5~2.5mmであればよい。第2切り取り線42の接続部422の長さL422が第1切り取り線41の接続部412の長さL412よりも長いことで、キャップ3を周方向に回転させたときに、先に第1切り取り線41の接続部412を破断させ、キャップ本体31からバンド32が切断された後に第2切り取り線42の接続部422を破断させることがより容易となる。なお、孔部及び接続部の長さは、例えば、画像寸法測定器(キーエンス社製、型番:IM-6225)を用いて、キャップ本体3及び首部22に固定された後のラベル4の孔部411,421及び接続部412,422を測定した値であればよい。
【0029】
第1切り取り線41は、キャップ3を周方向に回転させることで破断可能に設けられており、キャップ本体31からバンド32が切断されるよりも前に破断可能に設けられているのが好ましい。ラベル4がキャップ3及び首部22の上端に固定された状態でキャップ3を回転させると、回転当初、ラベル4のうちのキャップ3を被覆している部分はキャップ3の回転に伴い周方向に移動する。一方、ラベル4のうちの首部22を被覆している部分は移動しない。そのため、キャップ3と首部22との境界に重なる第1切り取り線41の接続部412に対し、周方向へのねじりトルク(ねじり荷重)が印加される。一般に、キャップ本体31からバンド32が切断されない状態において、キャップ3は周方向に10°程度の角度で回転する。そのため、第1切り取り線41は、キャップ3の回転角度が3~10°程度、好ましくは4~7°程度で破断可能に設けられているのが好ましい。また、キャップ3の回転角度が3~10°程度であるときに、第1切り取り線41の接続部412に対して印加される周方向へのねじりトルク(ねじり荷重)の最大値は200N・cm程度である。そのため、第1切り取り線41は、接続部412に対して印加されるねじりトルク(ねじり荷重)の最大値が200N・cm以下、好ましくは100~200N・cm、より好ましくは100~150N・cmで破断可能に設けられていればよい。なお、ねじりトルク(ねじり荷重)の最大値は、例えば、デジタルトルクメーター(日本電産シンポ社製、製品名:TNJ-5)を用いて、23℃に保管したラベル付き容器1のキャップ3を手で開栓方向に所定の角度回転させる方法により測定される値であればよい。
【0030】
なお、上述した実施形態において、ラベル4には第1切り取り線41と第2切り取り線42とが設けられているが、この態様に限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、ラベル4には第1切り取り線41のみが設けられ、第2切り取り線42が設けられていなくてもよい。この場合において、ラベル4は、キャップ本体31及び首部22に粘着剤を介して固定されていればよく、バンド32には固定されていなくてよい。ラベル4がバンド32に固定されていると、開栓することが極めて困難となるおそれがあるためである。
【0031】
ラベル4の表面には、防滑部が設けられていてもよい。一般に、キャップ本体31の周壁311の外周面には、主に開栓時のグリップ性を確保することを目的として、凹凸構造が設けられている。本実施形態のようにキャップ本体31の周壁311にラベル4が密着すると、周壁311の外周面に設けられている凹凸構造によるグリップ性が低下してしまい、開栓の作業性が悪化してしまう。ラベル4の表面に防滑部が設けられていることで、主に開栓時のグリップ性を確保することができ、容易に開栓することができる。
【0032】
ラベル4の表面に設けられている防滑部としては、例えば、図1及び図3に示すように、キャップ3の周方向に略直交する方向(略鉛直方向)を長手方向とする複数の凸部61と、隣接する凸部61間に位置する凹部62とを含む凹凸構造6等が挙げられる。この凹凸構造6における凸部61は、例えば硬質ニス等により形成されていればよい。凸部61の短手方向の幅と凹部62の短手方向の幅とは、開栓時のグリップ性等を考慮して適宜設定され得るものであって、両幅は互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。凸部61の短手方向の幅は、例えば0.5~1.0mmであればよく、好ましくは0.5~0.75mmであればよい。凹部62の短手方向の幅は、例えば0.1~1.3mmであればよく、好ましくは0.4~1.3mmであればよい。凸部61及び凹部62の数は、例えば60~90個程度であればよい。
【0033】
なお、防滑部は、ラベル4の表面に形成された凹凸構造6に限定されるものではなく、所望のグリップ性を確保できるものであればよい。例えば、防滑部は、ラベル4の表面にエンボス加工、ブラスト加工等のマット加工を施すことで形成されてもよいし、ラベル4の表面にアクリル樹脂等を含む水溶性ワニス等のノンスリップニスを塗布して形成された防滑樹脂層であってもよい。
【0034】
本実施形態に係るラベル付き容器1において、ラベル4が被覆し、固定されたキャップ3を3~10°程度回転させると、ラベル4が第1切り取り線41に沿って破断される(図8A参照)。キャップ3をさらに回転させると、キャップ本体31とバンド32とが切断される。キャップ本体31とバンド32とが切断されると、キャップ本体31は回転しながら上方に移動する。このとき、第1切り取り線41に沿って破断され、キャップ3に固定されているラベル4は、キャップ本体31及びラベル32の双方に粘着剤を介して固定されているため、キャップ本体31の上方への移動に伴い、ラベル4が第2切り取り線42に沿って破断される(図8B参照)。すなわち、開栓に伴い、ラベル4は、首部22に固定されている部分、ラベル32に固定されている部分及びキャップ本体31に固定されている部分に分離し、各部分がそれぞれ固定されている状態が維持される。したがって、本実施形態によれば、開栓後であってもラベル4が廃棄物として排出されることがなく、またキャップ3を回転させるという一般的な開栓操作を通じ、ラベル4が第1切り取り線41及び第2切り取り線42に沿って破断されるため、容易に開栓することができる。
【0035】
本実施形態に係るラベル4には、装飾効果が付与されていてもよい。なお、ラベル4に装飾効果を付与する方法としては、例えば、デジタル印刷技術を活用したバリアブル印刷等の印刷処理、塗装処理、ホットスタンプ処理、サンドブラスト処理等により、メタリック調、パール調、ミラー調、光輝感、ホログラム、錯視等の視覚的な装飾;ソフト感、スエード調、和紙調、梨地調等の触覚的な装飾等を付与する加飾方法等が挙げられる。
【0036】
本実施形態に係るラベル付き容器1において、図12に示すように、ラベル4には、キャップ3の周方向に略直交する方向に沿って、ラベル4の下端縁43から第1切り取り線41に至る少なくとも1本の引き裂き線44が設けられていてもよい。引き裂き線44に沿ってラベル4を引き裂くことで、例えば容器本体2を廃棄する際に容器本体2からラベル4を容易に分離することができ、リサイクル適性に優れたものとすることができる。なお、図12に示す態様において、ラベル4に1本の引き裂き線44が設けられているが、この態様に限定されるものではなく、例えば、互いに平行な複数(2本)の引き裂き線44がラベル4に設けられていてもよい。
【0037】
図12に示す態様において、引き裂き線44は、ラベル4の下端縁43から第1切り取り線41まで連続しているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、ラベル4の下端縁43から第1切り取り線41まで到達せずに途中で止まっていてもよい。また、引き裂き線44は、キャップ3の周方向に対して傾斜していてもよい。
【0038】
なお、引き裂き線44が設けられているラベル4の全面が首部22の上端に粘着剤5を介して固定されていると、引き裂き線44に沿ってラベル4を引き裂きにくくなるため、引き裂き線44が設けられているラベル4は、首部22の上端の周方向において所定の間隔で粘着剤5を介して固定されていることが好ましく(図9参照)、引き裂き線44は、ラベル4における接着剤5に重ならない位置に設けられているのがより好ましい。
【0039】
本実施形態に係るラベル付き容器1は、容器本体2に飲料を充填することで、飲料製品とすることができる。
【0040】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための記載であって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0041】
1…ラベル付き容器
2…容器本体
21…口部
22…首部
23…肩部
24…胴部
25…底部
3…キャップ
31…キャップ本体
32…バンド
4…ラベル
41…第1切り取り線
42…第2切り取り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13