(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】荷物積付装置
(51)【国際特許分類】
B65G 57/03 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B65G57/03 A
(21)【出願番号】P 2020024148
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】古賀 直幸
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼村 悠登
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直城
(72)【発明者】
【氏名】中原 稔継
(72)【発明者】
【氏名】林 功二
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-011842(JP,A)
【文献】特開2006-273538(JP,A)
【文献】特開平10-120178(JP,A)
【文献】特開平02-221027(JP,A)
【文献】実開昭51-031278(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00 - 57/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に搬送された複数の荷物をカートに積み付ける荷物積付装置であって、
前記複数の荷物は、n個(nは2以上の自然数)の第j荷物(jは1からn-1までの自然数)及び第n荷物を含み、
前記カートに荷物を積み付ける積付処理部と、
前記搬送路の荷物
を受け取って上下に移動して前記積付処理部に渡す受渡処理部
と、
前記カートを前記搬送路から遠ざけるように移動させるカート移動部を備え、
前記積付処理部は、上流積付処理部と、下流積付処理部を備え、
前記受渡処理部及び前記上流積付処理部は、前記搬送路の延長上において前記搬送路から受け取った荷物を前記搬送路で荷物が移動する向きに移動させて前記下流積付処理部に渡し、
前記積付処理部は、前記カートに第j荷物を積み付け、
当該荷物積付装置において前記受渡処理部が前記搬送路から第j+1荷物を受け取ると第j荷物の上に載せることができるか否かを判断し、
第j+1荷物を第j荷物の上に積み付けることができないのであれば、前記カート移動部は前記カートを前記搬送路から遠ざけて前記積付処理部は前記カートにおいて第j荷物を積み付けた箇所よりも前記搬送路に近い箇所に第j+1荷物を積み付け、
第j+1荷物を第j荷物の上に積み付けることができるのであれば、前記下流積付処理部は第j荷物の上にあって前記上流積付処理部は第j荷物の上になく、前記受渡処理部は、
前記上流積付処理部と同じ高さで第j+1荷物を前記
上流積付処理部に渡し、前記
上流積付処理部は、
前記受渡処理部から受け取った第j+1荷物を水平に移動させて
前記下流積付処理部に渡し、前記下流積付処理部は第j+1荷物を支持した状態から支持しない状態とすることにより第j+1荷物を第j荷物の上に落下させて第j+1荷物を第j荷物の上に積み付ける、荷物積付装置。
【請求項2】
既設の搬送路を短くして設置される請求項1記載の荷物積付装置。
【請求項3】
前記荷物の形状は段ボールの形状であり、
第j+1荷物を第j荷物の上に積み付ける場合に、前記上流積付処理部及び前記下流積付処理部の高さは第j荷物の高さによる計算値とセンサによる計測値を組み合わせて求められた高さである、請求項1又は2に記載の荷物積付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物積付装置及び荷物積付方法に関し、特に、搬送路に搬送された複数の荷物をカートに積付する荷物積付装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、パレットなどに対してケースを自動で積みつけることを提案している(特許文献1参照)。具体的には、パレットなどを下降させつつ、これにタイミングを合わせてケースを積みつけることにより実現している。
【0003】
また、出願人は、積付効率を上げるための順列装置を提案している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願平11-124233号公報
【文献】特願2018-139161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、装置が大がかりとなり、既存の施設への導入が難しい場合があった。また、積み付けに高度な制御が必要であり、トラブルが発生しやすかった。特許文献2には、具体的な積付作業について記載されていない。
【0006】
よって、本発明は、カートへの荷物の積付作業をコンパクトかつシンプルに実現することに適した荷物積付装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の観点は、搬送路に搬送された複数の荷物をカートに積み付ける荷物積付装置であって、前記カートに荷物を積み付ける積付処理部と、前記搬送路の荷物を前記積付処理部に渡す受渡処理部を備え、前記積付処理部は、第1荷物を前記カートに積み付け、前記受渡処理部は、上下に移動して、前記搬送路の第2荷物を前記積付処理部に渡し、前記積付処理部は、第1荷物よりも上に位置して、受け取った第2荷物を水平に移動させて第1荷物の上に積み付ける。
【0008】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の荷物積付装置であって、前記受渡処理部及び前記積付処理部は、荷物を、前記搬送路において荷物が移動する向きに移動させて、それぞれ、荷物を渡し及び荷物を積み付ける。
【0009】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の荷物積付装置であって、前記カートを移動させるカート移動部を備え、前記積付処理部は、前記カートの少なくとも第1積付箇所及び第2積付箇所に、荷物を積み付けるものであり、前記カートにおいて、前記第1積付箇所は、前記第2積付箇所よりも前記搬送路から遠く、前記積付処理部が、前記カートの第1積付箇所に、前記受渡処理部から受け取った複数の荷物を積み付け、前記カート移動部が前記カートを前記受渡処理部から遠ざけて前記カートの位置を変更し、前記積付処理部が、前記カートの第2積付箇所に、前記受渡処理部から受け取った複数の荷物を積み付ける。
【0010】
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の荷物積付装置であって、前記積付処理部は、上流積付処理部と、下流積付処理部を備え、前記積付処理部は、第3荷物の上に第4荷物を積み付ける場合に、前記下流積付処理部は第3荷物の上にあって、前記上流積付処理部は第3荷物の上になく、前記上流積付処理部は、前記受渡処理部から受け取った第4荷物を、前記下流積付処理部に渡し、前記下流積付処理部が第4荷物を支持した状態から支持しない状態とすることにより第4荷物を第3荷物の上に落下させて、第4荷物を第3荷物の上に積み付ける。
【0011】
本願発明の第5の観点は、搬送路に搬送された複数の荷物をカートに積み付ける荷物積付方法であって、積付処理部が、第1荷物を前記カートに積み付ける第1荷物積付ステップと、受渡処理部が、上下に移動して、前記搬送路の第2荷物を前記積付処理部に渡す受渡ステップと、前記積付処理部が、第1荷物よりも上に位置して、受け取った第2荷物を水平に移動させて第1荷物の上に積み付ける第2荷物積付ステップを含む。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の各観点によれば、搬送路において荷物が搬送される向きに従って、荷物を水平に移動させることに、荷物を上下に移動させることを加えることによって、カートへの積付作業を実現することができる。加えるのは、上下に移動させるというシンプルなものである。さらに、これは、コンパクトなサイズで実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)本願発明の実施の形態に係る荷物積付装置1の構成の一例を示すブロック図と、(b)受渡部3、(c)積付部5及び(d)カート処理部7の動作の一例を示すフロー図である。
【
図2】
図1(a)の荷物積付装置1の具体的な構成の一例を示す図である。
【
図3】受渡処理部及び積付処理部の具体的な動作の一例を説明するための第1図である。
【
図4】受渡処理部及び積付処理部の具体的な動作の一例を説明するための第2図である。
【
図5】4つの荷物α、β、γ及びδを、カート83の2つの積付箇所に積付する例を説明するための第1図である。
【
図6】4つの荷物α、β、γ及びδを、カート83の2つの積付箇所に積付する例を説明するための第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
図1は、(a)本願発明の実施の形態に係る荷物積付装置1の構成の一例を示すブロック図と、(b)受渡部3、(c)積付部5及び(d)カート処理部7の動作の一例を示すフロー図である。
【0016】
図1(a)を参照して、荷物積付装置1の構成の一例を説明する。荷物積付装置1は、搬送路41(例えば、ベルトコンベアーなど)により搬送された荷物43を、順番にカート45に積付する。ここで、カート45は、例えば6輪カート(手動台車)などである。
【0017】
荷物積付装置1は、受渡部3と、積付部5と、カート処理部7を備える。受渡部3は、受渡制御部11と、受渡昇降駆動部13と、受渡処理部15(本願請求項の「受渡処理部」の一例)を備える。積付部5は、積付制御部17と、積付昇降駆動部19と、積付処理部21(本願請求項の「積付処理部」の一例)を備える。カート処理部7は、カート制御部29と、カート固定部31と、カート移動部33(本願請求項の「カート移動部」の一例)を備える。
【0018】
図2は、
図1(a)の荷物積付装置1の具体的な構成の一例について、(a)上及び(b)横からみた図である。
図2の搬送路51、荷物53、カート55、受渡処理部59、積付処理部61、受渡昇降駆動部63及び積付昇降駆動部65は、それぞれ、
図1(a)の搬送路41、荷物43、カート45、受渡処理部15、積付処理部21、受渡昇降駆動部13及び積付昇降駆動部19の一例である。
【0019】
図2(a)を参照して、搬送路51、受渡処理部59、積付処理部61及びカート55は、各中心が一直線上にある。搬送路51において搬送される荷物53は、その搬送される向きに移動して受渡処理部59に至り、受渡処理部59は荷物53を積付処理部61に受け渡し、積付処理部61は荷物53をカート55に積み付ける。
【0020】
図2(b)を参照して、受渡昇降駆動部63及び積付昇降駆動部65(例えばモーターなど)は、筐体57において、それぞれ、受渡処理部59及び積付処理部61の上方に位置し、チェーンなどを利用して受渡処理部59及び積付処理部61を上下に移動させる。積付処理部61は、上下に移動して、カート55に荷物53を積み付ける。受渡処理部59は、上下に移動して、搬送路51から荷物53を受け取り、積付処理部61に荷物53を渡す。
【0021】
図2について説明を追加する。通常、既設の搬送路51で搬送された荷物53は、人力などでカートに載せられ、カートを使ってトラックなどに運び、人力でその荷台に載せられている。そのため、既設の搬送路51の先端側には、人が作業するための一定のスペースがある。ただし、近くに壁などがあるために、ロボットなどを設けて旋回させつつカートに荷物を載せるようなスペースはないことが多い。
【0022】
図2(a)にあるように、荷物積付装置1は、基本的に、搬送路51の延長上に設けられる。筐体57は、搬送路51よりも少し広い幅が必要になる程度である。そのため、搬送路51が既設であっても、荷物積付装置1を実現するスペースは、通常、充分に確保することができる。また、筐体57の長さが確保できなければ、既設の搬送路51を短くすれば、荷物積付装置1を設置するスペースを充分に確保することができる。
【0023】
図2(b)にあるように、搬送路51が荷物53を水平に移動させるのに対し、荷物積付装置1は、いわば、荷物53を上下に移動させることにより積付作業を実現する。ここで、積付作業は、荷物を持ち上げる作業と、荷物を積む作業が含まれる。積付作業を1つの作業部によって実現すれば、これら2つの作業をシリアルに実現することとなり、時間的なロスが大きくなる。荷物積付装置1は、受渡処理部59と積付処理部61により積付作業を実現して、いわば、荷物を持ち上げる作業と、荷物を積む作業とをパラレルに実現することができ、時間的なロスを少なくすることができる。このように、荷物を三次元的な動きによって捉えることで、荷物積付装置1の動作の意義が明確となる。特に、受渡部3という積付けとは並列に動作できるエリアによって、積み付けるための前準備を行うことができる。受渡処理部15は、積み付ける能力を上げるためのものであり、荷物(ケース)を積付処理部21にいかに早く渡せるかを考えた動作を行う。積付処理部21は、主として積付作業の動作を行うことができる。
【0024】
図1(a)を参照して、荷物積付装置1の構成の一例について、説明を追加する。搬送路41は、例えばベルトコンベアーなどであり、荷物43を搬送する。
【0025】
なお、積付装置では、通常、積付作業を行う荷物全体の重さやサイズなどを把握して、積み付け後の状態を確定してから、積み付ける順番に荷物を搬送している。他方、荷物積付装置1は、例えば最もシンプルにするのであれば、積み付け作業を行う荷物を受け取ると、そのサイズや重さを把握して、直前の荷物の上に載せることができるか否かを判断すればよい。直前の荷物の上に載せてもよい(すなわち、その下にある荷物も含めて積み付けることができる)のであれば、直前の荷物の上に積み付ける。他方、直前の荷物の上に載せることができなければ、カートでの次の積付位置に積み付ければよい。そうすると、例えば特許文献2などに記載された順列装置を利用して、積み付け作業の効率を向上させることが有効である。
【0026】
受渡部3において、受渡制御部11は、受渡部3の動作を制御する。受渡昇降駆動部13は、例えばモーターであり、受渡処理部15を上下に移動させる。受渡処理部15は、例えば上側表面で回転するローラなどを利用して、搬送路41から荷物43を受け取り、積付処理部21に荷物43を渡す。
【0027】
積付部5において、積付制御部17は、積付部5の動作を制御する。積付昇降駆動部19は、例えばモーターであり、積付処理部21を上下に移動させる。積付処理部21において、上流積付処理部23は、例えば上側表面で回転するローラなどを利用して、受渡処理部15から荷物43を受け取る。係止部27は、積付処理部21にある荷物43を係止する。下流積付処理部25は、上下に移動するときは上流積付処理部23と重なっており、積付作業のときは、引き出されて、カート45において荷物43を積み付ける位置にある。荷物43は、係止部27を利用して、上流積付処理部23から下流積付処理部25に移動する。荷物43が係止部27により係止された状態で、下流積付処理部25が上流積付処理部23側に引き抜かれることにより、下流積付処理部25の荷物43は、自然落下し、荷物43はカート45に積み付けられる。なお、自然落下は、下流積付処理部25の厚み程度のものであり、その距離は数cm程度である。例えば人力での積付などを考慮すれば、荷物43へのダメージは充分に小さい。
【0028】
カート処理部7において、カート制御部29は、カート処理部7の動作を制御する。カート固定部31は、カート45を固定する。例えばカート45の棚枠を利用して固定したり、天板の両側を利用して固定したりすることができる。なお、固定は、自動で行ってもよく、手動で行ってもよい。カート移動部33は、カート45を移動させる。カート45には、搬送路41から最も遠い積付箇所から荷物が積み付けられ、順に搬送路41に近い側の積付箇所に積み付けられる。そのため、カート移動部33は、初期位置としては、カート45を最も搬送路41に近くなるようにしておき、積み付けられるにつれて、徐々にカート45を遠ざけていく。
【0029】
図1(b)を参照して、受渡部3の動作の一例を説明する。搬送路41では、図示を省略する測定部により、荷物43のサイズや重さなどが測定されている。受渡制御部11は、受渡昇降駆動部13を制御して、受渡処理部15を搬送路41の高さにする(ステップSTA1)。受渡処理部15は、搬送路41から荷物43を受け取る(ステップSTA2)。受渡制御部11は、受渡昇降駆動部13を制御して、受渡処理部15を上流積付処理部23の高さにする(ステップSTA3)。受渡処理部15は、上流積付処理部23に荷物43を渡す(ステップSTA4)。受渡制御部11は、積付処理が終わったか否かを判断する(ステップSTA5)。積付処理が終わったならば、受渡処理部15を搬送路41の高さにして処理を終わる。積付処理が終わっていないならば、ステップSTA1に戻る。
【0030】
図1(c)を参照して、積付部5の動作の一例を説明する。上流積付処理部23と下流積付処理部25は、重なった状態である。積付制御部17は、積付昇降駆動部19を制御して、積付処理部21をカート45の天板の上面の高さとする(ステップSTB1)。積付処理部21は、例えば下流積付処理部25を引き出して荷物を積み付ける位置に移動させることなどにより、積付処理のための準備をする(ステップSTB2)。上流積付処理部23は、受渡処理部15から荷物43を受け取る(ステップSTB3。ステップSTA4参照)。積付制御部17は、同じ積付箇所における積付処理(「列積付処理」ともいう。)が終わったか否かを判断する(ステップSTB5)。
【0031】
列積付処理が終わっていないならば、積付制御部17は、積付昇降駆動部19を制御して、積付処理部21を次に荷物を積付する高さとし(ステップSTB6)、ステップSTB2に戻る。なお、次に荷物を積み付ける高さは、理想的には、これまでの列積付処理により積み付けた荷物の高さを足すという単純な計算で求めることができる。しかしながら、通常、段ボールの形状が崩れるなどの影響で誤差が生じる。そのため、計算値を参照しつつ、積付処理部21が、センサで計測することなどを組み合わせて、次に荷物を積み付ける高さを求めることが望ましい。
【0032】
列積付処理が終わったならば、積付処理全体が終了したか否かを判断する(ステップSTB7)。積付処理全体が終わったならば、処理を終了する。積付処理全体が終わっていないならば、次の列積付処理のために、ステップSTB1に戻る。
【0033】
図1(c)を参照して、カート処理部7の動作の一例を説明する。カート固定部31は、カート45を固定する(ステップSTC1)。カート制御部29は、カート移動部33を制御して、カート45が最初に荷物を積み付ける位置に移動させる(ステップSTC2)。カート制御部29は、列積付処理が終了したか否かを判断する(ステップSTC3)。列積付処理が終了していないならば、終了するまで待機する。列積付処理が終了したならば、積付処理全体が終了したか否かを判断する(ステップSTC4)。積付処理全体は終了していないならば、カート制御部29は、カート移動部33に対して、カート45を搬送路41から遠ざけて、次に荷物を積み付ける位置に移動させ(ステップSTC5)、ステップSTC3に戻る。積付処理全体が終了したならば、カート固定部31はカートの固定を解除し(ステップSTC6)、処理を終了する。カート45は、荷物が積付された状態であり、作業者は、カート45を、例えばトラックなどに移動して、トラックなどの荷台に荷物を載せる作業を行うことができる。
【0034】
図3及び
図4を参照して、受渡処理部及び積付処理部の具体的な動作の一例を説明する。
図3及び
図4の荷物71
1及び71
2、上流積付処理部73、下流積付処理部75、搬送路77、受渡処理部78、並びに、係止部79
1及び79
2は、それぞれ、
図1(a)の荷物43、上流積付処理部23、下流積付処理部25、搬送路41、受渡処理部15、及び、係止部27の一例である。この例では、荷物71
1は既にカートに載せられており、荷物71
1の上に荷物71
2を積み付ける。簡単のために、受渡処理部78並びに上流積付処理部73及び下流積付処理部75は、板状とする。
【0035】
図3(a)を参照して、上流積付処理部73と下流積付処理部75は、上流積付処理部73が上で、下流積付処理部75が下で、重なっている。上流積付処理部73と下流積付処理部75は、上下に移動して、下流積付処理部75の下面の高さが、荷物71
1の上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。
図3(b)を参照して、下流積付処理部75は、上流積付処理部73の下から引き出されて、荷物71
1の上面の上へと移動する。
【0036】
図3(c)を参照して、受渡処理部78は、上下に移動して、その上面の高さが、搬送路77の高さとなるようにする。
図3(d)を参照して、受渡処理部78は、搬送路77が搬送する荷物71
2を受け取る。
【0037】
ここで、
図3(a)及び(b)と、
図3(c)及び(d)は、パラレルに実行することができる。他も同様に、パラレルに実現することができる部分がある。
【0038】
図3(e)を参照して、受渡処理部78は、荷物71
2がある状態で上下に移動して、その上面の高さが、上流積付処理部73の上面の高さとなるようにする。
図3(f)を参照して、受渡処理部78は、上流積付処理部73に荷物71
2を渡す。
【0039】
図4(a)を参照して、上流積付処理部73にある荷物71
2には、搬送路77で荷物71
2が移動する向き(
図4の左向き)を基準として、その左及び右から、それぞれ、係止部79
1及び79
2が係止する。係止部79
1及び79
2は、荷物71
2が、搬送路77で荷物71
2が移動する向きとは反対の向き(
図4の右向き)に移動することを阻害して、搬送路77で荷物71
2が移動する向き(
図4の左向き)に移動させることができる。
図4(b)は、係止部79
1及び79
2が、上流積付処理部73にある荷物71
2を係止した状態を示す。
【0040】
図4(c)を参照して、係止部79
1及び79
2を利用して、上流積付処理部73から下流積付処理部75へと荷物71
2を移動させる。荷物71
2は、荷物71
1の上に位置する。下流積付処理部75は、荷物71
1と荷物71
2の間に存在する状態である。
【0041】
図4(d)を参照して、下流積付処理部75を、荷物71
1と荷物71
2の間から上流積付処理部73の下へと引き抜く。ここで、荷物71
2は、係止部79
1及び79
2により下流積付処理部75が引き抜かれても移動せず、荷物71
1の上に留まったままである。そのため、下流積付処理部75が引き抜かれると、荷物71
2は、自然に落下して、荷物71
1の上に積み付けられる。
【0042】
図4(e)を参照して、係止部79
1及び79
2は、外される。
図4(f)を参照して、上流積付処理部73と下流積付処理部75は、重なったままで上下に移動して、下流積付処理部75の下面の高さが、荷物71
2の上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。
【0043】
ここで、荷物711の上面は、通常、完全な平面状ではなく、また、強度も部分的に強弱がある。そのため、荷物711の上面で、荷物712の下面を直接スライドさせても、摩擦などにより処理が難しくなったり、転倒させてしまったりするリスクがある。下流積付処理部75を利用することにより、安定した積付処理を実現することができる。
【0044】
図5及び
図6を参照して、4つの荷物α、β、γ及びδを、カート83の2つの積付箇所に積付する例を説明する。なお、積付箇所のうち、搬送路81よりも遠いものを第1積付箇所とし、搬送路41に近いものを第2積付箇所という。
図5及び
図6の荷物α~δ、搬送路81、カート83、受渡処理部85、上流積付処理部87及び下流積付処理部89は、それぞれ、
図1(a)の荷物43、搬送路41、受渡処理部15、上流積付処理部23、及び、下流積付処理部25の一例である。
【0045】
図5(a)を参照して、上流積付処理部87と下流積付処理部89は、重なった状態で上下に移動して、下流積付処理部89の下面の高さが、カート83の天板の上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。カート83は、初期位置にある。下流積付処理部89は、上流積付処理部87の下から引き出され、第1積付箇所の上に位置する。受渡処理部85は、その上面の高さが、搬送路81の高さとなるようにする。
【0046】
図5(b)を参照して、受渡処理部85は、搬送路81が搬送する荷物αを受け取る。
【0047】
図5(c)を参照して、受渡処理部85は、荷物αを載せて上下に移動して、その上面の高さが、上流積付処理部87の上面の高さとなるようにする。
図5(d)を参照して、受渡処理部85は、上流積付処理部87に荷物αを渡す。
【0048】
図5(e)を参照して、上流積付処理部87から下流積付処理部89へと荷物αを移動させる。荷物αは、第1積付箇所の上に位置する。また、受渡処理部85は、その上面の高さが、搬送路81の高さとなるようにする。
【0049】
図5(f)を参照して、下流積付処理部89を荷物αの下から引き抜き、荷物αを第1積付箇所に積み付ける。受渡処理部85は、搬送路81が搬送する荷物βを受け取る。
【0050】
図5(g)を参照して、上流積付処理部87と下流積付処理部89は、重なった状態で上下に移動して、下流積付処理部89の下面の高さが、荷物αの上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。下流積付処理部89は、上流積付処理部87の下から引き出され、荷物αの上に位置する。受渡処理部85は、荷物βを載せて上下に移動して、その上面の高さが、上流積付処理部87の上面の高さとなるようにする。
【0051】
図5(h)を参照して、受渡処理部85は、上流積付処理部87に荷物βを渡す。
図5(i)を参照して、上流積付処理部87から下流積付処理部89へと荷物βを移動させる。荷物βは、荷物αの上に位置する。また、受渡処理部85は、その上面の高さが、搬送路81の高さとなるようにする。
【0052】
図5(j)を参照して、下流積付処理部89を荷物βの下から引き抜き、荷物βを荷物αの上に積み付ける。受渡処理部85は、搬送路81が搬送する荷物γを受け取る。
【0053】
図6(a)を参照して、カート45は、搬送路81から遠ざかるように移動して、下流積付処理部25が引き出された状態で、下流積付処理部25が第2積付箇所の上に位置するようにする。上流積付処理部87と下流積付処理部89は、重なった状態で上下に移動して、下流積付処理部89の下面の高さが、カート83の天板の上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。下流積付処理部89は、上流積付処理部87の下から引き出される。下流積付処理部89は、第2積付箇所の上にある。受渡処理部85は、その上面の高さが、上流積付処理部87の上面の高さとなるようにする。
【0054】
図6(b)を参照して、受渡処理部85は、上流積付処理部87に荷物γを渡す。
図6(c)を参照して、上流積付処理部87から下流積付処理部89へと荷物γを移動させる。荷物γは、第2積付箇所の上に位置する。また、受渡処理部85は、その上面の高さが、搬送路81の高さとなるようにする。
【0055】
図6(d)を参照して、下流積付処理部89を荷物γの下から引き抜き、荷物γを第2積付箇所に積み付ける。受渡処理部85は、搬送路81が搬送する荷物δを受け取る。
【0056】
図6(e)を参照して、上流積付処理部87と下流積付処理部89は、重なった状態で上下に移動して、下流積付処理部89の下面の高さが、荷物γの上面の高さと同じか、少し隙間が生じる高さとする。下流積付処理部89は、上流積付処理部87の下から引き出され、荷物γの上に位置する。受渡処理部85は、その上面の高さが、上流積付処理部87の上面の高さとなるようにする。
【0057】
図6(f)を参照して、受渡処理部85は、上流積付処理部87に荷物δを渡す。
図6(g)を参照して、上流積付処理部87から下流積付処理部89へと荷物δを移動させる。荷物δは、荷物γの上に位置する。また、受渡処理部85は、その上面の高さが、搬送路81の高さとなるようにする。
【0058】
図6(h)を参照して、下流積付処理部89を荷物δの下から引き抜き、荷物δを荷物γの上に積み付ける。
【0059】
なお、本願発明において、例えば上面が広い第1荷物の上に小さな複数の第2荷物を同時に積み付けたり、同一形状の複数の第1荷物の上に同一形状の複数の第2荷物を同時に積み付けたりするように、第1荷物及び/又は第2荷物は、複数の荷物を含む荷物群であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 荷物積付装置、3 受渡部、5 積み付け部、7 カート処理部、11 受渡制御部、13,63 受渡昇降駆動部、15,59,78,85 受渡処理部、17 積付制御部、19,65 積付昇降駆動部、21,61 積付処理部、23,73,87 上流積付処理部、25,75,89 下流積付処理部、27,79 係止部、29 カート制御部、31 カート固定部、33 カート移動部、41,51,77,81 搬送路、43,53,71 荷物、45,55,83 カート、57 筐体