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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ABSユニット
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/34 20060101AFI20231130BHJP
   B62L 3/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60T8/34
B62L3/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020044269
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142946
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 高徳
(72)【発明者】
【氏名】桑山 和也
(72)【発明者】
【氏名】中井 基継
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002146(JP,A)
【文献】特開平05-058259(JP,A)
【文献】登録実用新案第3084708(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102019113019(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第104554587(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103847718(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 15/00-17/22
B62L 1/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の操作装置からの流体が入力される入力部と前記流体を前記人力駆動車の制動装置へ出力する出力部との間に設けられ、前記人力駆動車の車輪に与える制動力を制御するバルブと、
前記バルブを駆動する駆動装置と、
前記バルブおよび前記駆動装置を収納する細長筒状をした筐体と、を備え、
前記入力部に接続されるホース、前記出力部に接続されるホース、および前記駆動装置に接続される配線が、前記筐体の長手方向における両端面のうち一方の端面から前記筐体の外部に向けて延伸し、
前記配線は、前記筐体の内壁と前記バルブとの間に前記筐体の長手方向に沿って配置される、ABSユニット。
【請求項2】
前記出力部に接続されるホースは、前記人力駆動車における前輪用の前記制動装置に接続される、請求項1に記載のABSユニット。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記バルブを駆動する回転軸を有し、
前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向とは異なる、請求項1または2に記載のABSユニット。
【請求項4】
人力駆動車用の操作装置からの流体が入力される入力部と前記流体を前記人力駆動車の制動装置へ出力する出力部との間に設けられ、前記人力駆動車の車輪に与える制動力を制御するバルブと、
前記バルブを駆動する駆動装置と、
前記バルブおよび前記駆動装置を収納する細長筒状をした筐体と、を備え、
前記駆動装置は、
前記バルブを駆動する回転軸を有し、
前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向とは異なる、ABSユニット。
【請求項5】
前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向と直交する、請求項3または4に記載のABSユニット。
【請求項6】
前記回転軸は、ギアを介して前記バルブに連結される、請求項3から5のいずれか1項に記載のABSユニット。
【請求項7】
前記人力駆動車のフレームに内蔵される、請求項1から6のいずれか1項に記載のABSユニット。
【請求項8】
前記制動力の制御に関連して制御対象装置を協調制御する外部装置との間で通信する通信部、を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のABSユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ABSユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ABS(Anti-lock Brake System)ユニットを備える人力駆動車がある。ABSユニットは、制動レバーの操作量が予め定められる操作量を超える状態において、人力駆動車の走行速度と、車輪の回転速度との差が閾値を超える場合に、車輪に与える制動力を弱める。
【0003】
ABSユニットは、人力駆動車の制動装置が油圧式の場合、制動レバーから制動装置へ加えられる油圧を制御するバルブと、バルブを駆動する駆動装置とを備える。ABSユニットには、駆動装置に接続される配線と、制動レバーから作動油が入力されるホースと、作動油が制動装置へ出力されるホースとが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-131017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、人力駆動車に取り付ける作業において、人力駆動車に取り付ける作業において、接続される配線およびホースの取り回しが容易なABSユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に従うABSユニットは、人力駆動車用の操作装置からの流体が入力される入力部と前記流体を前記人力駆動車の制動装置へ出力する出力部との間に設けられ、前記人力駆動車の車輪に与える制動力を制御するバルブと、前記バルブを駆動する駆動装置と、前記バルブおよび前記駆動装置を収納する細長筒状をした筐体と、を備え、前記入力部に接続されるホース、前記出力部に接続されるホース、および前記駆動装置に接続される配線が、前記筐体の長手方向における両端面のうち一方の端面から前記筐体の外部に向けて延伸する。前記第1側面によれば、ABSユニットは、接続される配線およびホースが同一の端面から延伸するので、人力駆動車に取り付ける作業において、接続される配線およびホースの取り回しが容易になる。
【0007】
前記第1側面に従う第2側面の前記出力部に接続されるホースは、前記人力駆動車における前輪用の前記制動装置に接続される。前記第2側面によれば、ABSユニットは、配線およびホースが筐体から人力駆動車の前方へ向けて延伸するように人力駆動車に対して取り付けられることによって、配線およびホースの取り回しが容易になる。
【0008】
前記第1または第2側面に従う第3側面のABSユニットは、前記駆動装置は、前記バルブを駆動する回転軸を有し、前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向とは異なる。前記第3側面によれば、ABSユニットは、回転軸と筐体の長手方向とが平行になるように駆動装置が設けられる場合に比べて、筐体の長手方向のサイズが小さくなり、人力駆動車における取り付け場所の制限が緩和される。
【0009】
本発明の第4側面に従うABSユニットは、人力駆動車用の操作装置からの流体が入力される入力部と前記流体を前記人力駆動車の制動装置へ出力する出力部との間に設けられ、前記人力駆動車の車輪に与える制動力を制御するバルブと、前記バルブを駆動する駆動装置と、前記バルブおよび前記駆動装置を収納する細長筒状をした筐体と、を備え、前記駆動装置は、前記バルブを駆動する回転軸を有し、前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向とは異なる。前記第4側面によれば、ABSユニットは、回転軸と筐体の長手方向とが平行になるように駆動装置が設けられる場合に比べて、筐体の長手方向のサイズが小さくなり、人力駆動車における取り付け場所の制限が緩和される。
【0010】
前記第4側面に従う第5側面の前記回転軸の延伸方向は、前記筐体の長手方向と直交する。前記第5側面によれば、ABSユニットは、筐体の長手方向のサイズがより小さくなり、人力駆動車における取り付け場所の制限がさらに緩和される。
【0011】
前記第3から第5側面のいずれか一つに従う第6側面の前記回転軸は、ギアを介して前記バルブに連結される。前記第6側面によれば、ABSユニットは、例えば、ベベルギアなどの簡易な連動機構によって、駆動装置の駆動力をバルブへ伝達できる。
【0012】
前記第1から第6側面のいずれか一つに従う第7側面のABSユニットは、前記人力駆動車のフレームに内蔵される。前記第7側面によれば、ABSユニットは、人力駆動車の美観を損なうことなく、人力駆動車に取り付けられる。
【0013】
前記第1から第7側面のいずれか一つに従う第7側面のABSユニットは、前記制動力の制御に関連して制御対象装置を協調制御する外部装置との間で通信する通信部、を備える。前記第8側面によれば、外部装置は、ABSユニットと連携することによって、制御対象装置に対して多様な制御ができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ABSユニットは、人力駆動車に取り付ける作業において、接続される配線およびホースの取り回しが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、検出装置が後付けされる人力駆動車を示す図である。
図2A図2Aは、検出装置取付前の状態を示す図である。
図2B図2Bは、検出装置取付準備状態を示す図である。
図2C図2Cは、検出装置取付後の状態を示す図である。
図3図3は、検出装置の構造を示す模式図である。
図4図4は、検出装置の第1の取付例を示す図である。
図5図5は、検出装置の第2の取付例を示す図である。
図6図6は、センサの他の取付例を示す図である。
図7図7は、ABSユニットの構成を示す図である。
図8図8は、ABSユニットの取付態様を示す図である。
図9図9は、通信部の機能の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明は、この実施形態により限定されない。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも本発明に含まれる。
【0017】
図1に示すように、実施形態に係る検出装置が着脱可能に設けられる人力駆動車2は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車である。人力駆動車2は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車も含む。人力駆動車2は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車2を、電動アシストマウンテンバイクとして説明する。
【0018】
人力駆動車2は、人力駆動力が入力されるクランクアセンブリ4を備える。人力駆動車2は、車輪6と、車体8と、を、さらに備える。車輪6は、後輪10と、前輪12と、を含む。車体8は、フレーム14と、フロントフォーク16と、リアスイングアーム18と、を含む。本実施形態において、“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”、ならびにこれらと同義の用語は、ユーザがハンドルバー36に向かってサドルに座った状態からみた“前”、“後”、“左”、“右”、“上”および“下”を意味する。
【0019】
クランクアセンブリ4は、フレーム14に対して回転可能なクランク軸20と、クランク軸20の軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム22とを含む。各クランクアーム22には、ペダル24がそれぞれ連結される。後輪10は、クランクアセンブリ4が回転することによって駆動される。後輪10は、フレーム14に支持される。クランクアセンブリ4と後輪10とは、駆動機構26によって連結される。
【0020】
駆動機構26は、クランク軸20に連結されるフロントスプロケットアセンブリ28を含む。クランク軸20は、フロントスプロケットアセンブリ28と、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク30が前転した場合に、フロントスプロケットアセンブリ28を前転させ、クランク30が後転した場合に、フロントスプロケットアセンブリ28を後転させないように構成される。本実施形態において、フロントスプロケットアセンブリ28は、複数のフロントスプロケットを含む。
【0021】
駆動機構26は、リアスプロケットアセンブリ32と、チェーン34とをさらに含む。チェーン34は、フロントスプロケットアセンブリ28の回転力をリアスプロケットアセンブリ32に伝達する。リアスプロケットアセンブリ32は、後輪10に連結される。リアスプロケットアセンブリ32は、複数のリアスプロケットを含む。リアスプロケットアセンブリ32と後輪10との間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、リアスプロケットアセンブリ32が前転した場合に、後輪10を前転させ、リアスプロケットアセンブリ32が後転した場合に、後輪10を後転させないように構成される。
【0022】
フレーム14には、フロントフォーク16が、回転可能に取り付けられる。ハンドルバー36は、ステムを介してフロントフォーク16と連結されている。フロントフォーク16は、前輪12を回転可能に支持する。フレーム14には、リアスイングアーム18が、回転可能に取り付けられる。リアスイングアーム18は、後輪10を回転可能に支持する。
【0023】
人力駆動車2は、電動コンポーネント38と、電源装置40と、制御装置42と、を備える。電動コンポーネント38は、制御装置42と、無線または有線によって接続される。電動コンポーネント38は、電動変速装置44,46、電動制動装置48,50、電動サスペンション52,54、電動アジャスタブルシートポスト56、電動補助駆動装置58、ABS(Anti-lock Brake System)ユニット60、およびABS制御装置62の少なくともいずれか1つを含む。本実施形態において、電動コンポーネント38は、少なくともABSユニット60およびABS制御装置62を含む。
【0024】
電動変速装置44は、電動モータを含む外装変速装置である。電動変速装置44は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるリア変速操作装置への入力に応じて、リアスプロケットアセンブリ32においてチェーン34が巻きかけられるリアスプロケットを変更するように構成される。
【0025】
電動変速装置46は、電動モータを含む外装変速装置である。電動変速装置46は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるフロント変速操作装置への入力に応じて、フロントスプロケットアセンブリ28においてチェーン34が巻きかけられるフロントスプロケットを変更するように構成される。
【0026】
人力駆動車の変速装置は、ワイヤ式の変速装置でもよい。ワイヤ式の変速装置は、変速操作装置への入力に応じて引っ張られるワイヤの張力によって、チェーン34が巻きかけられるスプロケットを変更するように構成される。
【0027】
電動制動装置48は、電動モータを含むディスクブレーキキャリパである。電動制動装置48は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるリア制動操作装置への入力に応じて、後輪10と一体回転するディスクブレーキロータを、把持または開放するように構成される。
【0028】
リア制動操作装置と電動制動装置48とは、流体が充填されるホースによって接続される。流体は、一例では、作動油である。電動制動装置48は、リア制動操作装置への入力に応じて加圧される流体の圧力によってディスクブレーキロータに制動力を与える。
【0029】
電動制動装置50は、電動モータを含むディスクブレーキキャリパである。電動制動装置50は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるフロント制動操作装置64への入力に応じて、前輪12と一体回転するディスクブレーキロータを、把持または開放するように構成される。
【0030】
フロント制動操作装置64と電動制動装置50とは、流体が充填されるホースによって接続される。流体は、一例では、作動油である。電動制動装置50は、フロント制動操作装置64への入力に応じて加圧される流体の圧力によって、ディスクブレーキロータに制動力を与える。
【0031】
人力駆動車2の制動装置は、ワイヤ式の制動装置でもよい。ワイヤ式の制動装置は、制動操作装置への入力に応じて引っ張られるワイヤの張力によって、人力駆動車2の車輪のリムに制動力を与える。
【0032】
電動サスペンション52は、電動モータを含むサスペンション装置である。電動サスペンション52は、フレーム14とリアスイングアーム18の間に配置される。電動サスペンション52は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるリアサスペンション操作装置への入力に応じて、ロックアウト状態、トラベル量、減衰力、および反発力の少なくともいずれか1つを変更するように構成される。
【0033】
電動サスペンション54は、電動モータを含むサスペンション装置である。電動サスペンション54は、フロントフォーク16に配置される。電動サスペンション54は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられるフロントサスペンション操作装置への入力に応じて、ロックアウト状態、トラベル量、減衰力、および反発力の少なくともいずれか1つを変更するように構成される。
【0034】
電動アジャスタブルシートポスト56は、電動モータを含むシートポストである。電動アジャスタブルシートポスト56は、一例では、ハンドルバー36に取り付けられる電動シートポスト操作装置への入力に応じて、人力駆動車2のシートの高さを変更するように構成される。
【0035】
電動補助駆動装置58は、電動モータを含むドライブユニットである。電動補助駆動装置58は、クランクアーム22に入力される人力駆動力に応じて、補助駆動力を出力するように構成される。
【0036】
電源装置40は、例えば、Li(リチウムイオン)バッテリを含む二次電池である。電源装置40は、電動コンポーネント38へ電力を供給する。電源装置40は、一例では、フレーム14のダウンチューブに内蔵される。制御装置42は、電動補助駆動装置58のハウジングに設けられる。
【0037】
ABSユニット60は、フロント制動操作装置64の操作量が予め定められる操作量を超える状態において、人力駆動車2の走行速度と、前輪12の回転速度との差が閾値を超える場合に、前輪12に与える制動力を弱める。ABSユニット60は、一例では、フレーム14のダウンチューブに内蔵される。
【0038】
ABS制御装置62は、ABSユニット60の動作を制御するプロセッサである。ABS制御装置62は、流体の圧力を検出する検出装置と、人力駆動車2の走行速度を検出する車速センサと、前輪12の回転速度を検出する回転速度センサとに接続される。
【0039】
検出装置は、フロント制動操作装置64の操作によって加圧される流体の圧力を検出する。検出装置は、流体の圧力の検出結果をABS制御装置62に出力する。車速センサは、人力駆動車2の走行速度の検出結果をABS制御装置62に出力する。回転速度センサは、前輪12の回転速度の検出結果をABS制御装置62に出力する。
【0040】
ABS制御装置62は、検出装置、車速センサ、および回転速度センサからの入力に基づいて、前輪12に与える制動力を弱めるか否かを判定する。ABS制御装置62は、前輪12に与える制動力を弱めると判定した場合に、ABSユニット60に動作を開始させる制御信号を出力する。
【0041】
ABSユニット60は、ABS制御装置62から入力される制御信号に応じて、前輪12に与える制動力を弱める。ABS制御装置62は、一例では、フレーム14のトップチューブに内蔵される。
【0042】
次に、図2A図2Cを参照し、実施形態に係る検出装置を人力駆動車2に後付けする場合の取付方法について説明する。実施形態に係る検出装置は、人力駆動車2用の操作装置と操作装置によって操作される対象装置との間に着脱可能に設けられ、操作装置の操作による流体の圧力を検出するセンサ、を備える。
【0043】
操作装置は、一例では、フロント制動操作装置64である。対象装置は、人力駆動車2の車輪に制動力を与える制動装置であり、一例では、電動制動装置50である。操作装置は、他の例では、リア制動操作装置である。対象装置は、電動制動装置48である。操作装置は、他の例では、フロント変速操作装置である。対象装置は、電動変速装置46である。操作装置は、他の例では、リア変速操作装置である。対象装置は、電動変速装置44である。
【0044】
図2Aに示すように、検出装置取付前の状態において、フロント制動操作装置64と電動制動装置50とは、既存のホース66によって接続される。既存のホース66には、流体が充填される。
【0045】
人力駆動車2に対して検出装置を後付けする場合、図2Bに示すように、既存のホース66が取り外されたフロント制動操作装置64に第1のホース68の一端が接続され、既存のホース66が取り外された電動制動装置50に第2のホース70の一端が接続される。
【0046】
検出装置72は、図2Cに示すように、第1のホース68の他端と、第2のホース70の他端とに接続される。検出装置72は、フロント制動操作装置64と、電動制動装置50との間に着脱可能に接続される。検出装置72は、センサ74を備える。センサ74は、フロント制動操作装置64の操作による流体の圧力を検出する。
【0047】
図3に示すように、検出装置72は、操作装置からの流体が入力される入力部76と、入力部76に接続され、流体を対象装置に出力する出力部78と、一端が入力部76および出力部78に接続され、他端がセンサ74に接続される検出部80と、を備える。
【0048】
入力部76は、第1のホース68に接続される。入力部76は、フロント制動操作装置64からの流体が入力される。出力部78は、第2のホース70に接続される。出力部78は、入力部76に接続され、フロント制動操作装置64からの流体を電動制動装置50に出力する。
【0049】
検出部80は、一端が入力部76および出力部78に接続され、他端がセンサ74に接続される。流体は、フロント制動操作装置64が操作される場合、実線矢印によって示す方向に圧力が掛けられる。センサ74は、配線82によってABS制御装置62に接続される。センサ74は、ABSユニット60の制御装置に、圧力の検出結果を出力する。ABSユニット60の制御装置は、一例では、ABS制御装置62である。センサ74は、流体の圧力の検出結果を配線82によってABS制御装置62に出力する。
【0050】
検出装置72は、流体に混入した気体を排気する排気孔84を備える。排気孔84は、ボルト86によって閉塞される。排気孔84は、一例では、流体の交換作業によって流体に気体が混入した場合に、ボルト86が取り外されて気体を検出装置72の外部に排気する。排気孔84は、流体の交換作業において、劣化した流体の排出、および、新品の流体の注入にも利用されうる。
【0051】
次に、図4および図5を参照し、検出装置72の取付例について説明する。入力部76は、操作装置における流体の出力部に接続される。図4に示すように、第1の取付例では、マウント88に内蔵される入力部76は、フロント制動操作装置64における流体の出力部90に接続される。マウント88に内蔵される出力部78は、マウント88を挟んでフロント制動操作装置64とは反対側において、第2のホース70に接続される。
【0052】
センサ74は、マウント88における第2のホース70が接続される面と同じ面に取り付けられる。第1の取付例によれば、第1のホース68が不要となる。第1の取付例では、第2のホース70の代わりに既存のホース66を代用できる。検出装置72は、フロント制動操作装置64に対して固定されることによって、振動などに対する強度が高まる。
【0053】
第2の取付例では、入力部76は、操作装置における流体の出力部に接続されるホースに接続される。図5に示すように、第2の取付例では、マウント88に内蔵される入力部76は、第1のホース68によって、フロント制動操作装置64における流体の出力部90に接続される。マウント88に内蔵される出力部78は、第2のホース70によって、電動制動装置50に接続される。第2の取付例によれば、第1のホース68および第2のホース70が湾曲することによって、検出装置72の取り付け場所の制限が緩和される。
【0054】
センサ74は、マウント88における第1のホース68が接続される面と同じ面に取り付けられる。第2の取付例によれば、センサ74とABS制御装置62とを接続する配線82の取り回しが容易になる。
【0055】
次に、図6を参照し、センサ74の他の取付例について説明する。対象装置は、人力駆動車2の前輪12に制動力を与える制動装置である。入力部76、出力部78、および検出部80は、人力駆動車2の前輪12に与える制動力を制御するABSユニット60の内部に設けられる。センサ74は、ABSユニット60の内部から外部まで延伸するホースによって検出部80に接続されて、ABSユニット60の外部に設けられる。
【0056】
図6に示すように、検出装置72aは、ABSユニット60aを備える。入力部76、出力部78、および検出部80は、ABSユニット60aの内部に設けられる。センサ74は、ABSユニット60aの内部から外部まで延伸するホース92によって検出部80に接続されて、ABSユニット60aの外部に設けられる。
【0057】
検出装置72aによれば、センサ74がABSユニット60aに内蔵される場合に比べて、ABSユニット60aのサイズを小さくできる。他の取付例によれば、ホース92が湾曲することによって、センサ74の取り付け場所の制限が緩和される。
【0058】
ホース92は、ABSユニット60aの細長筒状をした筐体における長手方向の端面からABSユニット60aの外部に向けて延伸する。ABSユニット60aは、より細長い空間に取り付けられうる。
【0059】
本開示に係る検出装置は、一例では、人力駆動車2の制動操作装置と、制動操作装置によって操作される制動装置との間に着脱可能に設けられ、制動操作装置の操作状態を検出するセンサ、を有する。
【0060】
制動操作装置は、一例では、フロント制動操作装置64である。制動装置は、一例では、電動制動装置50である。制動操作装置は、他の例では、リア制動操作装置である。制動装置は、電動制動装置48である。
【0061】
センサ74は、制動操作装置の操作による流体の圧力を操作状態として検出する。センサ74は、一例では、フロント制動操作装置64の操作による作動油の圧力を操作状態として検出する。センサ74は、一例では、制動操作装置における操作レバーの操作量を操作状態として検出する。
【0062】
変形例では、制動装置は、ワイヤ方式であってもよい。センサ74は、一例では、制動操作装置によって引き寄せられるブレーキワイヤの移動量を操作装置の操作状態として検出する。センサ74は、一例では、制動操作装置における操作レバーの操作量を操作状態として検出する。センサ74は、人力駆動車2のブレーキランプに、操作状態の検出結果を出力する。
【0063】
ブレーキランプは、一例では、作動油の油圧が所定の圧力を超えると点灯する。ブレーキランプは、作動油の油圧が所定の圧力以下になると消灯する。ブレーキランプは、一例では、制動操作装置における操作レバーの操作量が所定の操作量を超えると点灯する。ブレーキランプは、制動操作装置における操作レバーの操作量が所定の操作量以下になると消灯する。
【0064】
ブレーキランプは、一例では、制動操作装置によって引き寄せられるブレーキワイヤの移動量が所定の移動量を超えると点灯する。ブレーキランプは、ブレーキランプは、制動操作装置によって引き寄せられるブレーキワイヤの移動量が所定の移動量以下になると消灯する。
【0065】
センサ74は、人力駆動車2の前輪12に与える制動力を制御するABSユニット60の制御装置に、操作状態の検出結果を出力する。ABSユニット60の制御装置は、一例では、ABS制御装置62である。センサ74は、一例では、ABS制御装置62に制動操作装置の操作状態の検出結果を出力する。
【0066】
ABS制御装置62は、制動操作装置による流体の圧力が所定の圧力を超える状態において、人力駆動車2の走行速度と前輪12の回転速度との差が閾値を超える場合に、ABSユニット60に動作を開始させる制御信号を出力する。ABSユニット60は、ABS制御装置62から入力される制御信号に応じて、前輪12に与える制動力を弱める。
【0067】
ABS制御装置62は、一例では、制動操作装置おける操作レバーの操作量が所定の操作量を超える状態において、人力駆動車2の走行速度と前輪12の回転速度との差が閾値を超える場合に、ABSユニット60に動作を開始させる制御信号を出力する。ABSユニット60は、ABS制御装置62から入力される制御信号に応じて、前輪12に与える制動力を弱める。
【0068】
ABS制御装置62は、一例では、制動操作装置によって引き寄せられるブレーキワイヤの移動量が所定の移動量を超える状態において、人力駆動車2の走行速度と前輪12の回転速度との差が閾値を超える場合に、ABSユニット60に動作を開始させる制御信号を出力する。ABSユニット60は、ABS制御装置62から入力される制御信号に応じて、前輪12に与える制動力を弱める。
【0069】
次に、図7を参照し、ABSユニット60の構成について説明する。図7に示すように、ABSユニット60は、バルブ98と、駆動装置100と、細長筒状をした筐体102とを備える。筐体102は、一例では、バルブ98および駆動装置100を収納する。バルブ98は、人力駆動車2用の操作装置からの流体が入力される入力部94と流体を人力駆動車2の制動装置へ出力する出力部96との間に設けられる。バルブ98は、人力駆動車2の前輪12に与える制動力を制御する。操作装置は、一例では、フロント制動操作装置64である。制動装置は、一例では、電動制動装置50である。
【0070】
駆動装置100は、バルブ98を駆動する。バルブ98は、一例では、通常閉じており、駆動装置100により駆動されることにより、開くように構成されている。バルブ98が開くことにより、流体がディスクブレーキキャリパからアキュムレータへ移動する。流体がディスクブレーキキャリパから減少することにより、加圧される流体の圧力が減圧される。駆動装置100は、ディスクブレーキキャリパからディスクブレーキロータに与えられる把持力を低減させることによって、前輪12に与える制動力を弱める。駆動装置100は、一例では、モータである。駆動装置100は、バルブ98を駆動するソレノイドによって構成されてもよい。
【0071】
入力部94には、ホース104の一端が接続される。ホース104は、他端がフロント制動操作装置64における流体の出力部に接続される。出力部96には、ホース106の一端が接続される。出力部96に接続されるホース106は、人力駆動車2における前輪12用の制動装置に接続される。ホース106は、一例では、他端が電動制動装置50に接続される。駆動装置100には、通信部114を介して配線108が接続される。通信部114の機能については、図9を参照して後述する。
【0072】
入力部94に接続されるホース104、出力部96に接続されるホース106、および駆動装置100に接続される配線108は、筐体102の長手方向における両端面のうち一方の端面から筐体102の外部に向けて延伸する。
【0073】
駆動装置100は、バルブ98を駆動する回転軸110を有し、回転軸110の延伸方向は、筐体102の長手方向とは異なる。一例では、回転軸110の延伸方向は、筐体102の長手方向と直交する。回転軸110の延伸方向は、筐体102の長手方向と異なれば、回転軸110の延伸方向と筐体102の長手方向とが必ずしも直交しなくてもよい。
【0074】
回転軸110は、一例では、ギアを介してバルブ98に連結される。ギアは、一例では、連動機構112に内蔵される。連動機構112は、一例では、駆動装置100の出力の伝達方向を変更するベベルギアを含む。連動機構112は、一例では、駆動装置100の回転動力を減速してバルブ98に伝達する複数のギアを含む。
【0075】
一例では、ホース104,106、および配線108は、必ずしも、筐体102の長手方向における両端面のうち一方の端面から筐体102の外部に向けて延伸しなくてもよい。
【0076】
ABSユニット60は、変形例では、バルブ98と、駆動装置100と、細長筒状をした筐体102とを備える。バルブ98は、人力駆動車2用の操作装置からの流体が入力される入力部と流体を人力駆動車2の制動装置へ出力する出力部との間に設けられる。バルブ98は、人力駆動車2の車輪に与える制動力を制御する。操作装置は、一例では、フロント制動操作装置64である。制動装置は、一例では、電動制動装置50である。
【0077】
駆動装置100は、バルブ98を駆動する。筐体102は、バルブ98および駆動装置100を収納する。駆動装置100は、バルブ98を駆動する回転軸110を有する。回転軸110の延伸方向は、筐体102の長手方向とは異なる。
【0078】
変形例では、入力部94に接続されるホース104、出力部96に接続されるホース106、および駆動装置100に接続される配線108は、必ずしも、筐体102の長手方向における両端面のうち一方の端面から筐体102の外部に向けて延伸しなくてもよい。
【0079】
次に、図8を参照し、ABSユニット60の取付態様について説明する。図8に示すように、ABSユニット60は、人力駆動車2のフレーム14に内蔵される。ABSユニット60は、一例では、ダウンチューブ14Dに内蔵される。ABS制御装置62は、一例では、トップチューブ14Tに内蔵される。
【0080】
ホース104は、ABSユニット60とフロント制動操作装置64とを接続する。ホース106は、ABSユニット60と電動制動装置50とを接続する。配線108は、ABSユニット60とABS制御装置62とを接続する。ヘッドチューブ14Hは、ホース104およびホース106を通す孔が設けられる。
【0081】
ホース104は、一例では、一端がフロント制動操作装置64に連結される。ホース104は、他端がヘッドチューブ14Hの孔に挿入されてABSユニット60に連結される。ホース104は、一例では、一端がABSユニット60に連結されてもよい。ホース104は、他端がヘッドチューブ14Hの孔から引き出されてフロント制動操作装置64に連結されてもよい。
【0082】
ホース106は、一例では、一端が電動制動装置50に連結される。ホース106は、他端がヘッドチューブ14Hの孔に挿入されてABSユニット60に連結される。ホース106は、一端がABSユニット60に連結されてもよい。ホース106は、他端がヘッドチューブ14Hの孔から引き出されて電動制動装置50に連結されてもよい。
【0083】
配線108は、一例では、一端がABSユニット60に接続される。配線108は、他端がヘッドチューブ14Hを通してABS制御装置62に接続される。配線108は、一例では、一端がABS制御装置62に接続されてもよい。配線108は、他端がヘッドチューブ14Hを通してABSユニット60に接続されてもよい。
【0084】
ホース104は、図5に示す第1のホース68を介してフロント制動操作装置64に接続されてもよい。ホース106は、図5に示す第2のホース70を介して電動制動装置50に接続されてもよい。
【0085】
次に、図9を参照し、通信部114の機能について説明する。ABSユニット60は、通信部114を備える。通信部114は、外部装置との間で通信する。外部装置は、制動力の制御に関連して制御対象装置を協調制御する。
【0086】
図9に示すように、通信部114は、一例では、電動補助駆動装置58、電動変速装置44,46、および警告灯116と有線または無線によって通信可能に接続される。警告灯116は、ABSユニット60の作動中に点灯または点滅することによって、ABSユニット60が作動中であることを報知する。
【0087】
通信部114は、一例では、スマートフォンなどの携帯端末装置118と無線によって通信可能に接続される。通信部114は、パーソナルコンピュータなどの他の端末装置と有線または無線によって通信可能に接続されてもよい。
【0088】
携帯端末装置118は、通信部114へ所定の指令を送信することによって、ABSユニット60の作動中における電動補助駆動装置58の動作、電動変速装置44,46の動作、および警告灯116による報知動作の許可および禁止を設定できる。携帯端末装置118は、通信部114へ所定の指令を送信することによって、ABSユニット60による制動力および介入減速度の設定を変更できる。
【0089】
通信部114は、携帯端末装置118から受信する所定の指令を対応する電動補助駆動装置58、電動変速装置44,46、および警告灯116へ送信することによって、各種動作の許可および禁止を設定する。通信部114は、携帯端末装置118から受信する所定の指令を対応する電動補助駆動装置58、電動変速装置44,46、および警告灯116へ送信することによって、各種動作の許可および禁止の設定を変更する。
【0090】
通信部114は、ABSユニット60の作動状態を電動補助駆動装置58、電動変速装置44,46、および警告灯116へ送信する。電動補助駆動装置58、電動変速装置44,46、および警告灯116は、ABSユニット60の作動中における設定に応じて動作する。
【0091】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲において構成要素の種々の省略、置換または変更することができる。
【0092】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0093】
2…人力駆動車、44,46…電動変速装置、50…電動制動装置、58…電動補助駆動装置、60…ABSユニット、62…ABS制御装置、64…フロント制動操作装置、66…既存のホース、68…第1のホース、70…第2のホース、72…検出装置、74…センサ、76…入力部、78…出力部、80…検出部、82…配線、84…排気孔、86…ボルト、88…マウント、92…ホース、94…入力部、96…出力部、98…バルブ、100…駆動装置、102…筐体、104,106…ホース、108…配線、110…回転軸、112…連動機構、114…通信部、116…警告灯、118…携帯端末装置
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9