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特許7393995開閉装置、制御プログラム、及び開閉部材の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】開閉装置、制御プログラム、及び開閉部材の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/84 20060101AFI20231130BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20231130BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20231130BHJP
【FI】
E06B9/84 D
E05F15/73
E05F15/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020059752
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156108
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-270354(JP,A)
【文献】特開2021-008793(JP,A)
【文献】特開2007-285006(JP,A)
【文献】特開2010-112044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0259306(US,A1)
【文献】特表2005-538278(JP,A)
【文献】米国特許第07920718(US,B2)
【文献】特表2008-537040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084300(US,A1)
【文献】特開2006-225874(JP,A)
【文献】特開2015-166514(JP,A)
【文献】特開2014-142288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18,
9/40-9/50,9/56-9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に形成された通路口を開閉する開閉部材と、
前記通路口に通じるエリアを撮影するとともに、前記エリアの中にある物体と前記開閉部材との距離を測定する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された前記開閉部材の周囲のエリア映像と、前記物体と前記開閉部材との距離と、を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画する反応エリア生成部と、
前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更する制御部と、
を備え
前記反応エリア生成部は、前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識し、
前記制御部は、前記反応エリア生成部が認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する、
開閉装置。
【請求項2】
前記反応エリア生成部は、前記通路口に近い位置にある前記反応エリアの警戒レベルを、前記通路口に遠い位置にある前記反応エリアの警戒レベルに比べて高く設定する請求項に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記物体が前記反応エリアの間を移動する方向又は移動する速度に応じて、前記開閉部材の動作を変更する請求項又はに記載の開閉装置。
【請求項4】
音を出力するスピーカーを備え、
前記制御部は、
前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記スピーカーから出力される警告音を変更し、
前記取得部で取得された前記エリア映像に示される複数の前記反応エリアの中の一の前記反応エリアに所定時間以上連続して前記物体が写り込んでいる場合、前記スピーカーから注意喚起を示す音を出力させる、
請求項からの何れか1項に記載の開閉装置。
【請求項5】
撮影装置で撮影された、建物に形成された通路口を開閉する開閉部材の周囲のエリア映像と、前記エリア映像の中にある物体と前記開閉部材との距離と、を取得する取得ステップと、
取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画する区画ステップと、
前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更する変更ステップと、
前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識する認識ステップと、
認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する調整ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【請求項6】
撮影装置で撮影された、建物に形成された通路口を開閉する開閉部材の周囲のエリア映像と、前記エリア映像の中にある物体と前記開閉部材との距離と、を取得し、
取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画し、
前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更し、
前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識し、
認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する、
処理をコンピュータが実行する開閉部材の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉装置、制御プログラム、及び開閉部材の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シャッターカーテンの下降中における障害物検知の方式として、シャッターカーテンが障害物に接触する前に障害物を検知する「非接触式」を用いた開閉装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-145554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シャッターカーテンの下降中に障害物を検知した場合でも、シャッターカーテンと障害物との距離によっては、下降動作を停止させずとも安全を確保することができる。例えば、シャッターカーテンと障害物との距離が遠い領域で障害物を検知した場合には、下降動作を停止させずに下降速度を減速させること等が想定される。
【0005】
しかし、特許文献1の技術は、シャッターカーテンの下降中に障害物を検知した場合、一律に下降動作を停止させる構成であり、障害物を検知した領域に応じてシャッターカーテンの動作を変更することについて開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、物体がある反応エリアの位置に応じて、制御対象物の動作を変更することができる閉装置、制御プログラム、及び開閉部材の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備える。
の態様)
の態様は、撮影装置で撮影された制御対象物の周囲のエリア映像と、前記エリア映像の中にある物体と前記制御対象物との距離と、を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記エリア映像を複数の反応エリアに区画する反応エリア生成部と、前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記制御対象物の動作を変更する制御部と、を備える制御装置である。
そのため、の態様によれば、物体がある反応エリアの位置に応じて、制御対象物の動作を変更する制御装置を提供することができる。
【0008】
(第の態様)
の態様は、建物に形成された通路口を開閉する開閉部材と、前記通路口に通じるエリアを撮影するとともに、前記エリアの中にある物体と前記開閉部材との距離を測定する撮影装置と、前記撮影装置で撮影された前記開閉部材の周囲のエリア映像と、前記物体と前記開閉部材との距離と、を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画する反応エリア生成部と、前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更する制御部と、を備え、前記反応エリア生成部は、前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識し、前記制御部は、前記反応エリア生成部が認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する開閉装置である。
そのため、第の態様によれば、例えば、開閉部材の動作中に物体を検知した場合に一律に動作を停止させる構成と比較すると、通路口に接近する物体の動きに応じて開閉部材の動作を細かく制御でき、動作の無駄を省けることで省エネ等に寄与することができる。
【0009】
(第の態様)
の態様は、前記反応エリア生成部は、前記通路口に近い位置にある前記反応エリアの警戒レベルを、前記通路口に遠い位置にある前記反応エリアの警戒レベルに比べて高く設定する開閉装置である。
そのため、第の態様によれば、通路口に近い位置にある反応エリアの警戒レベルを高く設定することで、例えば、当該反応エリアに物体がある場合に動作中の開閉部材を開方向へ反転移動させる等の警戒対応を取ることができる。
【0010】
(第の態様)
の態様は、前記制御部は、前記物体が前記反応エリアの間を移動する方向又は移動する速度に応じて、前記開閉部材の動作を変更する開閉装置である。
そのため、第の態様によれば、物体が反応エリアの間を移動する方向又は移動する速度に応じて、例えば、開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量を調整したり、開閉部材を開方向へ反転移動させる移動速度を調整したりすることができる。
【0011】
(第の態様)
の態様は、音を出力するスピーカーを備え、前記制御部は、前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記スピーカーから出力される警告音を変更し、前記取得部で取得された前記エリア映像に示される複数の前記反応エリアの中の一の前記反応エリアに所定時間以上連続して前記物体が写り込んでいる場合、前記スピーカーから注意喚起を示す音を出力させる開閉装置である。
そのため、第の態様によれば、例えば、物体と開閉部材との距離が近付いていることを物体に対して認識させることができる。
【0012】
(第の態様)
の態様は、撮影装置で撮影された、建物に形成された通路口を開閉する開閉部材の周囲のエリア映像と、前記エリア映像の中にある物体と前記開閉部材との距離と、を取得する取得ステップと、取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画する区画ステップと、前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更する変更ステップと、前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識する認識ステップと、認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する調整ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる制御プログラムである。
そのため、第の態様によれば、物体がある反応エリアの位置に応じて、開閉部材の動作を変更する制御ステップを含む処理をコンピュータに実行させる制御プログラムを提供することができる。
【0013】
(第の態様)
の態様は、撮影装置で撮影された、建物に形成された通路口を開閉する開閉部材の周囲のエリア映像と、前記エリア映像の中にある物体と前記開閉部材との距離と、を取得し、取得された前記エリア映像を、事前に設定された複数の反応エリアに区画し、前記物体がある前記反応エリアの位置に応じて、前記開閉部材の動作を変更し、前記撮影装置から基準面までの距離と前記物体の高さとの差分及び前記反応エリアにおける前記物体の占有率に基づいて、前記物体の種類を認識し、認識した前記物体の種類に応じて、前記開閉部材を開方向へ反転移動させる移動量及び移動速度を調整する、処理をコンピュータが実行する開閉部材の制御方法である。
そのため、第の態様によれば、物体がある反応エリアの位置に応じて、開閉部材の動作を変更する開閉部材の制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、物体がある反応エリアの位置に応じて、制御対象物の動作を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態における開閉装置において、開閉部材の移動範囲に物体(人間)が存在する状態を示す正面図である。
図2】本実施の形態における開閉装置を示す側面図である。
図3】本実施の形態における開閉装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態におけるCPUの機能構成を示すブロック図である。
図5】本実施の形態における制御装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本実施の形態における反応エリアを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1及び図2に示すように、開閉装置10は、例えばシャッター装置であり、開閉部材12と、3Dカメラ14と、制御装置50と、を備えている。
【0017】
開閉部材12は、例えばシャッターカーテンである。開閉部材12の構成は任意であるが、図示の例では、水平方向に延びるスラット12Aが複数連結され、最下部にスラット12Bが連結されて開閉部材12が構成されている。開閉部材12は、左右一対のレール18に沿って開位置Oと閉位置Cとの間を移動可能とされている。
【0018】
レール18の上端部には、シャッターケース20が設けられている。開閉部材12は、このシャッターケース20内のドラム22(図2参照)に巻き取られることで、建物に形成された通路口26を開放する開位置Oへ移動し、ドラム22から繰り出されることで、通路口26を閉止する閉位置Cへ移動するようになっている。ここで、開位置Oとは、最下部のスラット12Bがシャッターケース20の入口まで上昇した位置である。閉位置Cとは、最下部のスラット12Bが下枠24に当接する位置である。
【0019】
3Dカメラ14は、通路口26に通じるエリアRを撮影するための撮影装置であり、例えば光の飛行時間を利用して三次元情報を計測可能なTOFカメラ(トフカメラ、Time-of-Flight Camera)である。この3Dカメラ14によれば、発光部からの照射光が物体に当たって戻ってくるまでの時間に基づいて、物体までの距離を測定することができる。例えば、3Dカメラ14によれば、エリアRの中にある物体と開閉部材12との距離を測定することができる。赤外線画像認識を用いることにより、暗闇でもエリアR内の物体を認識することが可能である。本実施の形態では、3Dカメラ14の電源がオンとなっている間はエリアRが常時撮影されている。なお、3Dカメラ14は、撮影装置の一例である。
図1及び図2に示すように、3Dカメラ14は、シャッターケース20の側面に設置され、図2に示す開閉部材12の外側(屋外)がエリアRとなる。
【0020】
次に、開閉装置10のハードウェア構成について説明する。
図3は、開閉装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、開閉装置10は、開閉装置10の動作を制御する制御装置50を備えている。この制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)54、RAM(Random Access Memory)56、及び入出力インターフェース(I/O)58がバスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
CPU52は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU52は、ROM54からプログラムを読み出し、RAM56を作業領域としてプログラムを実行する。CPU52は、ROM54に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0022】
ROM54は、各種プログラム及び各種データを格納する。この各種プログラムには、少なくとも、コンピュータに、後述する図5に示すフローチャートの処理を実行させるための制御プログラムが含まれている。
【0023】
RAM56は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
I/O58には、開閉部材12、3Dカメラ14、通信部60、及びスピーカー62が接続されている。
通信部60は、制御装置50が他の機器と通信するための通信インターフェースである。
スピーカー62は、音を出力するものであり、例えば、周囲に対して注意喚起を行うための警告音を出力する。
【0024】
次に、図4を用いて、CPU52の機能について説明する。
図4に示すように、CPU52は、ROM54に記憶されたプログラムを実行することで、取得部70、反応エリア生成部72、及び制御部74として機能する。
取得部70は、3Dカメラ14で撮影された開閉部材12の周囲のエリア映像と、エリア映像の中にある物体と開閉部材12との距離と、を取得するものである。
【0025】
反応エリア生成部72は、取得部70で取得されたエリア映像を複数の反応エリアに区画するものである。本実施の形態では、反応エリア生成部72により第1反応エリアE1、第2反応エリアE2、及び第3反応エリアE3の3つの反応エリアが設定されている(図6参照)。
【0026】
ここで、反応エリア生成部72は、3Dカメラ14から基準面(下枠24)までの距離と物体の高さとの差分に基づいて物体を識別している。これにより、所定の閾値(高さ)以下の物体、例えば、落ち葉、紙等が反応エリア内に写り込んだとしても障害物として認識しない。また、上記の差分や反応エリア内の物体の占有率等に基づいて、物体が「人間」か犬や猫等の「小動物」か自動車や自転車等の「車両」かも認識できる。さらに、反応エリアの間を移動する速度から物体が通路口26に到達する時間を推測できる。
【0027】
また、反応エリア生成部72は、3Dカメラ14で撮影されたエリア映像の画素の座標値(X、Y)を指定することで反応エリアを設定している。例えば、反応エリア生成部72により複数の座標値(X、Y)が指定された場合は、複数の反応エリアが設定される。
制御部74は、物体がある反応エリアの位置に応じて、開閉部材12の開閉動作を変更するものである。
【0028】
次に、物体の検知に基づく開閉装置10の動作について説明する。
図5は、開閉部材12の下降中に制御装置50が行う処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下の説明では、事前に反応エリア生成部72により、障害物として検知する物体の設定及び反応エリアの設定が行われているものとする。
【0029】
図5に示すステップS10において、取得部70は、3Dカメラ14により撮影されている開閉部材12の周囲のエリア映像を取得する。そして、ステップS11に進む。
ステップS11において、取得部70は、3Dカメラ14により撮影されているエリア映像の中に障害物として検知する物体が写り込んでいるか否かを判定する。つまり、取得部70は、3Dカメラ14により撮影可能なエリアRの中に障害物として検知する物体が写り込んでいるか否かを判定する。そして、取得部70が、3Dカメラ14により撮影されているエリア映像の中に障害物として検知する物体が写り込んでいると判定した場合はステップS12に進み、3Dカメラ14により撮影されているエリア映像の中に障害物として検知する物体が写り込んでいると判定しない場合は当該処理を終了する。
【0030】
ステップS12において、取得部70は、エリア映像の中にある障害物として検知する物体と開閉部材12との距離を取得する。そして、ステップS13に進む。
ステップS13において、取得部70は、反応エリア内に障害物として検知する物体が写り込んでいるか否かを判定する。つまり、取得部70は、3Dカメラ14により撮影可能なエリアRの中の反応エリア内に障害物として検知する物体が写り込んでいるか否かを判定する。そして、取得部70が、反応エリア内に障害物として検知する物体が写り込んでいると判定した場合はステップS14に進み、反応エリア内に障害物として検知する物体が写り込んでいると判定しない場合は当該処理を終了する。
【0031】
ステップS14において、制御部74は、障害物として検知する物体が写り込んでいる反応エリアに応じた動作を開閉装置10に行わせる。具体的には、制御部74は、以下で図6を用いて説明する開閉装置10の動作を行わせる。そして、当該処理を終了する。
【0032】
次に、物体が写り込んでいる反応エリアに応じた開閉装置10の動作について説明する。
図6は、開閉装置10を上面視した場合において、反応エリア生成部72により設定された反応エリアを示した模式図である。
【0033】
図6に示すように、反応エリア生成部72は、エリアR内において、開閉部材12に最も近い位置にある第1反応エリアE1、第1反応エリアE1よりも開閉部材12との距離が遠い第2反応エリアE2、及び第2反応エリアE2よりも開閉部材12との距離が遠い第3反応エリアE3の3つの反応エリアを設定している。
【0034】
ここで、本実施の形態では、開閉部材12の下降中に物体を検知した場合における開閉装置10の動作を、反応エリアの警戒レベルに応じて複数設けている。反応エリアの警戒レベルは、開閉部材12との距離が近付くにつれ高くなっており、第3反応エリアE3、第2反応エリアE2、第1反応エリアE1の順に警戒レベルが高くなっている。
【0035】
制御部74は、開閉部材12の下降中に第1反応エリアE1に物体が写り込んだ場合には、開閉部材12を開方向へ反転移動させるとともに、スピーカー62から警告音として「第1の警告音」を出力させる。この「第1の警告音」は、後述する「第2の警告音」及び「第3の警告音」よりも音量が大きくなっている。
【0036】
また、制御部74は、開閉部材12の下降中に第2反応エリアE2に物体が写り込んだ場合には、開閉部材12の下降を停止させるとともに、スピーカー62から警告音として「第2の警告音」を出力させる。この「第2の警告音」は、「第1の警告音」よりも音量が小さく、「第3の警告音」よりも音量が大きくなっている。
【0037】
また、制御部74は、開閉部材12の下降中に第3反応エリアE3に物体が写り込んだ場合には、開閉部材12の下降速度を減速させるとともに、スピーカー62から警告音として「第3の警告音」を出力させる。この「第3の警告音」は、「第1の警告音」及び「第2の警告音」よりも音量が小さくなっている。
以上のように、制御部74は、物体と開閉部材12との距離が近付くにつれ、物体が開閉部材12に接触する可能性が低下する動作を行うよう開閉装置10を制御している。
【0038】
また、制御部74は、一度反応エリア内に写り込んだ物体に対しては、当該物体が反応エリア外に出るまで、当該物体が写り込んでいる反応エリアに応じた動作を行うよう開閉部材12を制御する。例えば、最初に物体が第3反応エリアE3に写り込み、その後物体が移動して第2反応エリアE2に写り込んだ場合、制御部74は、開閉部材12の下降速度を減速させるとともに、スピーカー62から第3の警告音を出力させた後、開閉部材12の下降を停止させるとともに、スピーカー62から第2の警告音を出力させる。
【0039】
(作用効果)
上記のように、制御装置50は、3Dカメラ14で撮影された開閉部材12の周囲のエリア映像と、エリア映像の中にある物体と開閉部材12との距離と、を取得する取得部70と、取得部70で取得されたエリア映像を複数の反応エリアに区画する反応エリア生成部72と、物体がある反応エリアの位置に応じて、開閉部材12の開閉動作を変更する制御部74と、を備えている。
そのため、本実施の形態によれば、物体がある反応エリアの位置に応じて、開閉部材12の開閉動作を変更することができる。
そして、本実施の形態では、例えば、開閉部材12の下降中に物体を検知した場合に一律に下降動作を停止させる従来の構成と比較すると、通路口26に接近する物体(例:人間)の動きに応じて開閉部材12の開閉動作を細かく制御でき、動作の無駄を省けることで省エネ等に寄与することができる。
【0040】
また、反応エリア生成部72は、通路口26に最も近い位置にある第1反応エリアE1の警戒レベルを、通路口26に遠い位置にある反応エリア(第2反応エリアE2及び第3反応エリアE3)の警戒レベルに比べて高く設定する。
そのため、本実施の形態によれば、第1反応エリアE1の警戒レベルを高く設定することで、例えば、第1反応エリアE1に物体がある場合に下降中の開閉部材12を開方向へ反転移動させる等の警戒対応を取ることができる。
【0041】
また、制御部74は、物体が反応エリアの間を移動する方向又は移動する速度に応じて、開閉部材12の開閉動作を変更する。上記のように、反応エリア生成部72は、3Dカメラ14から基準面(下枠24)までの距離と物体の高さとの差分や反応エリア内の物体の占有率等に基づいて物体が「人間」か「小動物」か「車両」かを認識でき、また、反応エリアの間を移動する速度から物体が通路口26に到達する時間を推測できる。
そのため、本実施の形態によれば、例えば、物体が「人間」か「車両」かに応じて、開閉部材12を開方向へ反転移動させる移動量を調整したり、開閉部材12を開方向へ反転移動させる移動速度を調整したりすることができる。
【0042】
また、制御部74は、物体がある反応エリアの位置に応じて、スピーカー62から出力される警告音を変更する。上記のように、制御部74は、物体と開閉部材12との距離が近付くにつれ、スピーカー62から出力される警告音の音量が大きくしている。そのため、本実施の形態によれば、例えば、物体と開閉部材12との距離が近付いていることを物体に対して認識させることができる。
【0043】
(その他)
水平方向(開閉部材12の幅方向)に複数の反応エリアを設けた場合は、制御装置50に方向判別機能を設け、物体が通路口26に対して平行移動して通路口26の前を通り過ぎるときには、開閉装置10の動作を変化させないこととしてもよい。
【0044】
上記の実施形態では、開閉部材12の下降中を例にして説明したが、他の開閉部材12の動作中においても同様の制御を行うことができる。例えば、開閉部材12の下降中以外の他の動作中としては、「上下方向又は水平方向への開閉部材12のスライド中やスイング中」などが想定される。
【0045】
上記の実施形態では、物体を開閉装置10の外側(屋外)で検知した場合について説明したが、開閉部材12が開位置Oにある場合には3Dカメラ14で開閉装置10の内側(屋内)も撮影可能となるため、物体を開閉装置10の内側(屋内)で検知した場合についても上記と同様の制御を行うことができる。
【0046】
また、制御装置50は、物体が一の反応エリアに写り込んでいる時間に応じた動作を開閉装置10に行わせてもよい。例えば、制御装置50は、第1反応エリアE1に所定時間以上連続して物体が写り込んでいる場合には、スピーカー62から「注意喚起(例:荷物を置かないでください)」等を出力させてもよい。
【0047】
ここで、上記の実施形態では、制御対象物の一例を開閉部材12としたが、これに限らず、制御装置50は他の制御対象物に対しても同様の制御を行うことができる。
例えば、開閉部材12以外の制御対象物として、「医療・福祉用ベッド」、「店舗等の自動ドア」、「ホームドア」、「エレベーターのドア」、「敷地・内外出入口のゲートや門扉」、「自律移動車両」、「建設機器」、「FA(Factory Automation)機器」などが想定される。
【0048】
制御対象物を「医療・福祉用ベッド」とした場合、制御装置50は、例えば、物体となる「人間」が写り込んだ反応エリアに応じて「医療・福祉用ベッド」の動作を制御してもよい。
【0049】
また、制御対象物を「店舗等の自動ドア」、「ホームドア」、「エレベーターのドア」、又は「敷地・内外出入口のゲートや門扉」とした場合、制御装置50は、例えば、反応エリアに写り込んだ人間等の物体との距離に応じて「上記の各種ドア、ゲート、又は門扉」の開閉動作を制御してもよい。
【0050】
また、制御対象物を「自律移動車両」又は「FA(Factory Automation)機器」とした場合、制御装置50は、例えば、反応エリアに写り込んだ物体となる「壁面」との距離に応じて「自律移動車両」又は「FA(Factory Automation)機器」の自律移動を制御してもよい。
【0051】
また、制御対象物を「建設機器」とした場合、制御装置50は、例えば、反応エリアに写り込んだ物体となる「壁面」との距離に応じて「建設機器のフォークリフト」の動作を制御してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 開閉装置
12 開閉部材
14 3Dカメラ(撮影装置の一例)
50 制御装置
70 取得部
72 反応エリア生成部
74 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6