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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】射出成形機用ベースフレーム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20231130BHJP
   B29C 33/20 20060101ALI20231130BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C33/20
B29C45/64
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020064802
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160249
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山中 一真
(72)【発明者】
【氏名】小川 正樹
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320948(JP,A)
【文献】特開2006-321181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/20,45/17,45/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有するベースフレーム。
【請求項2】
前記プラテン取付けプレートの前記外縁部の少なくとも一方が、前記幅方向の前記外端を含む外側部分に、前記内側部分よりも前記長手方向の外側に突き出る突出縁部を有する請求項1に記載のベースフレーム。
【請求項3】
前記プラテン取付けプレートに固定プラテンが取り付けられ、
前記プラテン取付けプレートの各外縁部のうち、少なくとも、前記長手方向で可動プラテン側に位置する外縁部が、前記突出縁部を有する請求項2に記載のベースフレーム。
【請求項4】
前記プラテン取付けプレートが、前記内側部分における前記可動プラテン側の外縁部に隣接する位置に、前記突出縁部よりも前記長手方向の内側に窪んで成形品取出しスペースの一部を構成する空所を有する請求項3に記載のベースフレーム。
【請求項5】
前記突出縁部の前記長手方向の長さが、前記幅方向の全域にわたって一定である請求項2~4のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項6】
対をなす前記メインビームのそれぞれのフレーム設置面側に該メインビームから間隔をおいて配置されて、前記長手方向に延びる対をなすフレーム基部と
前記メインビームと前記フレーム基部との間に設けられた支柱と
をさらに備え、
前記プラテン取付けプレートの前記外端が、前記長手方向で、当該プラテン取付けプレートのフレーム設置面側に位置する前記支柱の配置領域と重複する長さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項7】
前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し、
前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項8】
前記プラテン取付けプレートの直下位置に設けられ、対をなす前記メインビームの前記幅方向の相互間に延びて該メインビームどうしを連結する連結ビームをさらに備える請求項1~7のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項9】
対をなす前記メインビームのそれぞれが、互いに溶接により接合された二本の梁部材を有する請求項1~8のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項10】
前記プラテン取付けプレートに固定プラテンが取り付けられ、
各メインビーム上で、前記プラテン取付けプレートの可動プラテン側に隣接して設けられ、前記固定プラテンに対する前記可動プラテンの離隔及び接近変位を案内するガイド部材が敷設される対をなすガイド用プレートをさらに備える請求項1~9のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項11】
前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み、
前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端である、請求項1~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項12】
二枚の前記サイドプレート部材の前記幅方向の相互間に配置されたセンタープレート部材をさらに備え、
前記プラテン取付けプレートの各サイドプレート部材の前記内端が、前記センタープレート部材と溶接により接合されてなる請求項11に記載のベースフレーム。
【請求項13】
前記プラテン取付けプレートの各サイドプレート部材の前記内端が、前記メインビームの前記幅方向の内側面よりも該幅方向の内側に突出して位置してなる請求項11又は12に記載のベースフレーム。
【請求項14】
前記プラテン取付けプレートが、対をなすメインビーム間に架け渡された一枚の架設プレート部材を含む請求項1~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられるベースフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の架台を構成するこの種のベースフレームは、その上に型締装置や射出装置等が載置されるものであり、射出成形機の使用に際し、型締装置等の重量及び動作に起因する種々の外力が作用する。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、「射出成形機の型締機構において固定プラテンの傾きを抑制すること」を目的とし、「射出成形機のベースフレーム上に固定プラテンを設けた射出成形機の型締機構において、前記固定プラテンのノズルタッチ側の面の下部にリブを設け、前記ベースフレームに設けた支柱と前記リブとを連結して前記固定プラテンを支えることを特徴とする射出成形機の型締機構」が提案されている。
このうち、「ベースフレーム」について、より詳細には、特許文献1の図2及び3等に示されているように、「ベースフレーム3は、型締軸線に沿って平行に配置した下メインパイプ32a,32bと同じく型締軸線に沿って平行に配置した上メインパイプ31a,31bとを備え、また、上下メインパイプを連結する支柱34a,34bを固定プラテン4の両端のほぼ下方位置に備える。さらに、リブ10脚部の下方にリブ10を支持する支柱30を備える。」との記載、「固定プラテン4と上メインパイプ31a及び上メインパイプ31bとの連結は連結用のプレート11を挟んで行うことができ、連結面の平坦性や連結強度を高めたり、連結作業の操作性を向上させることができる。」との記載、並びに、「固定プラテン4はノズルタッチ側にリブ10を備え、該リブ10の下方位置に支柱30を備える。リブ10と支柱30とは、直接にあるいはプレート11を介して連結する。」との記載等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-289069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、たとえば、特許文献1に記載されているような「ベースフレーム3」では、「プレート11」に、「固定プラテン4」が倒れる方向に変形するときの外力等が繰返し作用すると、耐久性が低下するおそれがある。
【0006】
これに対しては、上述した外力に抗するため、「プレート11」の表面積等の寸法を大きくすることが考えられるが、「ベースフレーム3」での所要のスペース上等の制約から、「プレート11」の寸法を単純に大きくすることはできない。
【0007】
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、耐久性を向上させることができる射出成形機用ベースフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決することができる一のベースフレームは、プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートとを備え、前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
上記のベースフレームによれば、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一の実施形態のベースフレームを備える射出成形機の一例を示す断面図である。
図2図1の射出成形機からベースフレームを取り出して示す部分拡大斜視図である。
図3図2のベースフレームを、型締装置の固定プラテンとともに示す部分拡大斜視図である。
図4図2のベースフレームの一部を切断して要部を取り出して示す、異なる方向から観た斜視図である。
図5図4に示すベースフレームの要部の正面図、背面図及び平面図である。
図6】ベースフレームが備えるプラテン取付けプレートのサイドプレート部材の変形例を示す平面図である。
図7】他の実施形態のベースフレームが備えるプラテン取付けプレートを示す、ベースフレームの要部の平面図である。
図8図4のベースフレームの要部を、プラテン取付けプレートを取り外した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面に示すところに基づいて、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のベースフレーム2は、図1に例示するように、フレーム設置面Si上に設置されるとともに、その上に射出成形機1の各種装置が載置されて当該装置を支持する架台として用いられ得るものである。
【0012】
射出成形機1の詳細については後述するが、この射出成形機1は概して、内部に配置されたスクリュ23の回転及び前進ならびに、周囲に配置されたヒータ24の加熱により、成形材料を溶融させて金型装置101内に向けて射出する射出装置21と、射出装置21を金型装置101に対して前進・後退変位させる移動装置26と、金型装置101を型締状態と型開状態との間で開閉させる型締装置31と、型開状態の金型装置101から成形品を取り出すエジェクタ装置41とを備えるものである。なお、金型装置101は、図示の例では、型締状態で内側にキャビティが区画形成される固定金型102及び可動金型103、ならびに、エジェクタ装置41により変位されて成形品を押し出して取り出すエジェクタピン等の可動部材104を有する。金型装置101は、製造しようとする成形品の形状等に応じて適宜、射出成形機1に取り付けられ、また交換され得るものであり、射出成形機1の一部とはみなさない。
【0013】
このうち、型締装置31は、主として、金型装置101を両側から挟んで配置されるプラテン32、及び、プラテン32を可動させるプラテン稼働機構33とを有する。プラテン32は、射出装置21及び金型装置101の相互間に位置し、ベースフレーム2に対して下端部で固定された固定プラテン32aと、固定プラテン32aとの間に金型装置101を隔てて位置し、固定プラテン32aに対して接近・離隔変位可能な可動プラテン32bとを含む。固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間に位置する金型装置101は、固定金型102が固定プラテン32a側に取り付けられるとともに、可動金型103が可動プラテン32b側に取り付けられる。また、型締装置31には、固定プラテン32aから後述のリヤプラテン34側に延びて固定プラテン32aとリヤプラテン34とを連結する一本又は複数本のタイバー32cが設けられている。可動プラテン32bは、この例では、タイバー32cにより固定プラテン32aに対する離隔・接近変位がガイドされるものとしているが、タイバー32cでガイドされなくてもかまわない。
【0014】
なお、固定プラテン32aに対して可動プラテン32bが離隔する位置では、金型装置101の可動金型103が固定金型102から開いた型開状態となり、この離隔位置から可動プラテン32bを固定プラテン32aに向けて接近させることで、可動金型103が固定金型102に対して閉じた型閉状態となるとともに、さらに可動プラテン32bを固定プラテン32aにて接近させて、可動金型103が固定金型102に対して押し付けられた型締状態となる。ここでは、金型装置101の固定金型102が取り付けられる固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。型締装置31の固定プラテン32aを除く多くの部分については、図1では、固定プラテン32aに接近する右向きが前方側になり、固定プラテン32aから離隔する左向きが後方側になる。
【0015】
たとえば、ベースフレーム2に下端部で固定されて取り付けられる固定プラテン32aは、金型装置101の固定金型102を保持するので、固定金型102の重量分の荷重が作用する。また、固定プラテン32aは、周囲の四隅等にタイバー32cが取り付けられていることにより、プラテン稼働機構33で当該固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間に金型装置101を挟み込んで型締状態にする際等に、タイバー32cに作用する引張力に起因する変形が生じ得る。これに伴い、固定プラテン32aが取り付けられたベースフレーム2には、種々の外力が作用する。また、ベースフレーム2には、リヤプラテン34等も載置され、リヤプラテン34の重量による荷重等も作用する。この実施形態は、主として、このような外力が作用し得るベースフレーム2の耐久性を向上させることを目的とするものである。
【0016】
(ベースフレーム)
一の実施形態のベースフレーム2は、図2に部分拡大図で示すような、複数本のビームないし梁ならびに支柱を含む部材を組み合わせた構造体である。図示のベースフレーム2には、型締装置31が載置される型締装置側フレーム2aが含まれる。型締装置側フレーム2a上には、図3に示すように、固定プラテン32aが取り付けられる。なお、このベースフレーム2はさらに、型締装置側フレーム2aの端部に連結されて、射出装置21が載置される射出装置側フレーム2bを含むものであるが、射出装置側フレーム2bの詳細については後述する。なお図示は省略するが、型締装置側フレームと射出装置側フレームとが一体になったベースフレームもあり、そのようなベースフレームでは、型締装置だけでなく射出装置等も載置される。
【0017】
型締装置側フレーム2aは、主に、ベースフレーム2の幅方向(水平面内で型締装置31の固定プラテン32aと可動プラテン32bとが離隔・接近する方向に直交する方向)に互いに間隔をおいて位置し、ベースフレーム2の長手方向(型締装置31の固定プラテン32aと可動プラテン32bとが離隔・接近する方向)に並んで延びる一対のメインビーム3a及び3bと、射出装置側フレーム2b側の端部付近でメインビーム3a及び3b上に配置されたプラテン取付けプレート4とを備える。この実施形態では、プラテン取付けプレート4は、ベースフレーム2の幅方向に分割されており、各メインビーム3a及び3b上に配置された二枚のサイドプレート部材5a、5bを含んで構成されている。なお、二枚のサイドプレート部材5a、5bの幅方向の相互間には、図2に示すように、たとえばサイドプレート部材5a、5bよりも厚みの薄いセンタープレート部材5cが配置されており、センタープレート部材5cの幅方向の外端と、それらの各サイドプレート部材5a、5bの幅方向の内端Eiとが溶接されている。
【0018】
上記のプラテン取付けプレート4には、図3に示すように、固定プラテン32aが取り付けられる。より詳細には、図示の例では、固定プラテン32aは、全体として実質的に、正面視で四隅に丸みのあるほぼ正方形その他の矩形をなす板状を有するとともに、その下端部の底面に、ベースフレーム2の幅方向に互いに間隔をおいて底面から突出して幅方向外側に段差のあるブロック状等の一対の脚部32eを設けたものである。板状の固定プラテン32aの四隅のそれぞれには、タイバー32cが通される貫通孔32fと、貫通孔32fの周囲の表面部分を他の部分よりも窪ませた凹部32gとが形成されている。一方、プラテン取付けプレート4の各サイドプレート部材5aには、上記の各脚部32eの配設位置に合わせた位置にて、当該脚部32eのそれぞれのとの固定に用いられるプラテン固定箇所が設けられる。プラテン固定箇所は一例として、図示は省略するが、固定プラテン32aの各脚部32eとの締結に用いられるボルトが挿入される穴部とすることができる。但し、固定プラテン32aの取付け方法はこれに限らない。なお、可動プラテン32bは図3には示していないが、ベースフレーム2の長手方向で、固定プラテン32aを隔てて射出装置側フレーム2bとは反対側に、固定プラテン32aから間隔をおいて位置することになり、この間隔はプラテン稼働機構33の作動に応じて変化する。
【0019】
メインビーム3a及び3bに対してプラテン取付けプレート4は、溶接箇所にて溶接されて接合される。プラテン取付けプレート4とメインビーム3a及び3bとの溶接箇所には、図2、4及び5に示すような、プラテン取付けプレート4の、ベースフレーム2の長手方向の外縁部Ed1及びEd2のうちの少なくとも一方が含まれる。外縁部Ed1及び/又はEd2の溶接部分は適宜変更することができるが、この例では、プラテン取付けプレート4の可動プラテン32b側の外縁部Ed1では、その幅方向の内側の一部がメインビーム3a及び3bと溶接されており、プラテン取付けプレート4の射出装置21側の外縁部Ed2では、メインビーム3a及び3bと接触する部分の全体が溶接されている。また、この実施形態では、プラテン取付けプレート4の各サイドプレート部材5a、5bは、外縁部Ed1及びEd2だけでなく、ベースフレーム2の幅方向の外側に位置する外端Eeでも、その全体がメインビーム3a及び3bと溶接により接合されているので、当該外端Eeも溶接箇所になる。プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1、Ed2や外端Eeは、その少なくとも一部がメインビーム3a及び3bと溶接されていれば溶接箇所とみなすことができる。
【0020】
プラテン取付けプレートが外縁部にこのような溶接箇所を有する場合、固定プラテンからの種々の外力の作用により、当該溶接箇所で溶接割れが生じるおそれがある。より詳細には、下端部でベースフレームに固定されるとともに周囲の四隅でタイバーが取り付けられた固定プラテンでは、金型装置を型締状態にする際等に、当該下端部及び四隅が拘束された状態で、金型装置が押し付けられる中央部が射出装置側に膨出しながら、可動プラテン側に倒れるような変形が生じ得る。この際に、固定プラテンの下端部の脚部が取り付けられたプラテン取付けプレートでは、固定プラテンの当該変形に伴い、特に長手方向の外縁部がメインビームから引き離される向きの外力が作用し、これが外縁部での溶接割れを招くことがある。このことは、成形品の製造を比較的短いサイクルで繰り返し行うハイサイクル成形を行う場合に顕著になる。
かかる溶接割れを防止するべく、上述したような外力による溶接箇所での応力を緩和するため、プラテン取付けプレートを長手方向に長くして、固定プラテンが取り付けられる箇所から外縁部を離すとともに、プラテン取付けプレートの表面積等の寸法を、当該外力に十分対抗できるように増大させることが考えられる。
但し、たとえば固定プラテンと可動プラテンとの間でその下方側のスペースは、金型装置内で成形された成形品を取り出す際に空けておく必要がある等といった理由から、プラテン取付けプレートの寸法を単純に増大させることはできない。
【0021】
これに対し、この実施形態では、プラテン取付けプレート4が、ベースフレーム2の幅方向の内側部分Piよりも外端Eeで長手方向の長さを長くした形状を有するものとする。それにより、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1、Ed2の溶接箇所を、少なくとも外端Eeの近傍で十分に、プラテン固定箇所から離して位置させることが可能になり、当該溶接箇所での溶接割れを有効に抑制することができる。また、プラテン取付けプレート4の幅方向の内側部分Piは、長手方向の長さが相対的に短くなり、その内側部分Piにおける外縁部Ed1及び/又はEd2の近傍に、所要のスペースを確保しやすくなる。この実施形態では、プラテン取付けプレート4がサイドプレート部材5a、5bを含んで構成されており、プラテン取付けプレート4の内側部分Piの長手方向の長さは、サイドプレート部材5a、5bの幅方向の内端Eiでの長手方向の長さとすることができる。なお、プラテン取付けプレート4の外端Eeや内側部分Piの長手方向の長さは、ベースフレーム2の長手方向に沿って測った長さとすることができる。
【0022】
より好ましくは、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1及びEd2のうちの少なくとも一方が、幅方向の上述した外端Eeを含む外側部分に、内側部分Piよりも長手方向の外側に突き出る突出縁部6を有するものとする。プラテン取付けプレート4の幅方向の外側部分への突出縁部6の形成により、幅方向の内側の所要のスペースは確保しつつ、突出縁部6に設けられるメインビーム3a及び3bとの溶接箇所が、プラテン固定箇所から、より確実に離れて位置することになる。
【0023】
この実施形態では、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1及びEd2のうち、可動プラテン32b側に位置する外縁部Ed1だけに、突出縁部6を形成している。これにより、プラテン取付けプレート4の内側部分Piにおける可動プラテン32b側の外縁部Ed1に隣接する位置には、上記の突出縁部6よりも長手方向の内側に、たとえば平面視で矩形状に窪む空所7ができる。かかる空所7は、固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間でその下方側に設けられる成形品取出しスペースSeの一部を構成することになる。この場合、金型装置101内で成形品が成形された後、その成形品を型開状態の金型装置101から下方側に落として取り出す際に、そのような成形品の取出しにプラテン取付けプレート4が影響を及ぼすことを、より一層防止することができる。このプラテン取付けプレート4では、空所7に臨む外縁部Ed1の側面が、平面視で「L」字状になる。
【0024】
なお、図6(a)に示す変形例のように、サイドプレート部材5aの外縁部Ed1及びEd2の両方に、突出縁部6を形成することも可能である。図6(a)では、各外縁部Ed1及びEd2でプラテン取付けプレート4の幅方向の外側部分に、長手方向の外側に突き出る突出縁部6を形成しており、この場合も、その内側部分Piには、突出縁部6よりも長手方向の内側に矩形状等の形状で窪む空所7を設けることが好適である。図6(a)に示す例でも、同図から明らかなように、プラテン取付けプレート4の幅方向の内側部分Pi(内端Ei)よりも幅方向の外端Eeで、その長手方向の長さが長くなる。
【0025】
上述したところでは、突出縁部6は平面視で幅方向に平行な側面を有するものとして、突出縁部6の長手方向の長さを幅方向の全域にわたって一定としているが、突出縁部6の長手方向の長さが幅方向で、滑らかに又は階段状等に変化するものとしてもよい。たとえば、図6(b)に示す変形例では、サイドプレート部材5aの外縁部Ed1及びEd2のそれぞれに突出縁部6を形成しており、それらの各突出縁部6は、その長手方向の長さが幅方向の内側に向かうに従って漸減するものとしている。このサイドプレート部材5aは、外縁部Ed1及びEd2のそれぞれに設けた突出縁部6を、外端Eeから内端Eiに至るまで長手方向の長さが漸減しながら形成しており、それにより平面視で台形状をなす。
【0026】
図6(a)及び(b)では、プラテン取付けプレート4の一方のサイドプレート部材5aのみを示しているが、他方のサイドプレート部材5bも、一方のサイドプレート部材5aと同様の形状とすることができる。
【0027】
突出縁部6の幅方向の長さは、成形品取出しスペースSe等の一部になる空所7の必要な大きさその他の条件を考慮して適宜決定することができる。諸条件にもよるが、突出縁部6の幅方向の長さは、この実施形態のように、メインビーム3aの幅と同等か、又はメインビーム3aの幅よりも短くすることが、所要の成形品取出しスペースSeを確保する等の観点から好ましい場合がある。
【0028】
サイドプレート部材5a、5bの内端Eiとセンタープレート部材5cの幅方向の外端との溶接における溶接割れをも抑制する等といった観点からは、サイドプレート部材5a、5bの内端Eiは、プラテン固定箇所からある程度離れるように、幅方向の内側に位置させることが好適である。この実施形態では、サイドプレート部材5a、5bの内端Eiを、該サイドプレート部材5a、5bが配置されたメインビーム3a、3bの幅方向の内側面3cよりも幅方向の内側に突出させて位置させている。なおこの例では、サイドプレート部材5a、5bの外端Eeは、平面視で、メインビーム3a、3bの幅方向の外側面3fとほぼ一致させており、当該外端Eeは、外側面3fと実質的に同一平面上にある。サイドプレート部材5a、5bの内端Ei及び外端Eeはいずれも、図示の実施形態のように、長手方向に直線状に延びるものとすることができる。
【0029】
図7に示す他の実施形態では、プラテン取付けプレート4が、上述した二枚の分割されたサイドプレート部材5a、5bではなく、対をなすメインビーム3a、3b間に架け渡された一枚の一体の架設プレート部材5fを含んで構成されていることを除いて、上述した実施形態とほぼ同様の構成を有するものである。図8では、架設プレート部材5fは、平面視でメインビーム3a、3bのそれぞれの外側面3f間に幅方向の全体にわたって延びるものとしている。
【0030】
図7に示すような架設プレート部材5fを含むプラテン取付けプレート4でも、幅方向の内側部分Piよりも外端Eeで長手方向の長さを長くした形状を有することにより、外縁部Ed1、Ed2の溶接箇所での溶接割れを有効に抑制できるとともに、成形品取出しスペースSe等を確保することができる。また、図7に示す実施形態でも、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1、Ed2の少なくとも一方、たとえば可動プラテン32b側の外縁部Ed1が、幅方向の外端Eeを含む外側部分に、内側部分Piよりも長手方向の外側に突き出る突出縁部6を有することが好ましい。それにより、内側部分Piにおける可動プラテン32b側の外縁部Ed1等に隣接する位置に、成形品取出しスペースSeの一部等を構成し得る空所7が形成される。ここでは、内側部分Piの長手方向の長さは、突出縁部6の存在しない幅方向の内側の箇所で測定することができる。
【0031】
ところで、図示の型締装置側フレーム2aは、対をなす各メインビーム3a、3bのフレーム設置面Si側(鉛直方向の下方側)に、メインビーム3a、3bから間隔をおいて配置されて、長手方向に延びる対をなすフレーム基部8a、8bと、メインビーム3a、3bとフレーム基部8a、8bとの間に介在させて設けられ、高さ方向(鉛直方向)に延びる複数本の支柱9とをさらに備えるものである。なお、図示の例では、フレーム基部8a、8bは角パイプ、支柱9はH形鋼とているが、フレーム基部8a、8b及び支柱9の具体的構造は適宜変更することができる。メインビーム3a、3bと支柱9とフレーム基部8a、8bとは、それぞれ互いに溶接により接合することができる。
【0032】
支柱9は、プラテン取付けプレート4のフレーム設置面Si側における、メインビーム3a、3bとフレーム基部8a、8bとの間にも配置されることが好適である。この場合、固定プラテン32aからプラテン取付けプレート4が受ける荷重が、当該支柱9によって有効に支持される。
【0033】
特にこの場合においては、図示の実施形態のように、プラテン取付けプレート4の外端Eeが、長手方向で、そのプラテン取付けプレート4の当該支柱9の配置領域Apと重複する長さを有することが好ましい。言い換えれば、図5(a)に示すように、プラテン取付けプレート4の外端Eeの長手方向の領域の少なくとも一部が、支柱9の長手方向の配置領域Apの少なくとも一部と重複するように、外端Eeの長手方向の長さを決定することが好適である。このようにすれば、固定プラテン32aからプラテン取付けプレート4が受ける荷重を支柱9で、より効果的に支持することができる。この実施形態では、プラテン取付けプレート4のフレーム設置面Si側には、二本の支柱9が配置されているところ、そのうちの可動プラテン32b側(図6(a)では左側)の支柱9について、その配置領域Apとプラテン取付けプレート4の外端Eeの領域とが長手方向で重複している。ここでは、二本の支柱9のうち、少なくとも一方の支柱9の配置領域Apと重複していればよい。プラテン取付けプレート4の外端Eeは、この実施形態のように、フレーム設置面Si側の支柱9の配置領域Apを超えない長さで、可動プラテン32b側に長くすることが好ましい場合がある。なお、プラテン取付けプレート4のフレーム設置面Si側の二本の支柱9の相互間には、それらの間の隙間を塞ぐ板材9aが配置されている。
【0034】
この型締装置側フレーム2aでは、上述したようなプラテン取付けプレート4の直下位置に、図8にプラテン取付けプレート4を取り外して示すように、対をなすメインビーム3a、3bの幅方向の相互間に延びて該メインビーム3a、3bどうしを連結する連結ビーム10を設けている。連結ビーム10上には、プラテン取付けプレート4の内側部分Piも一部配置されるが、主にセンタープレート部材5cが配置されており、連結ビーム10とセンタープレート部材5cとが溶接される。連結ビーム10の配設は、固定プラテン32aからプラテン取付けプレート4及びメインビーム3a、3bに伝わる外力等に対し、メインビーム3a、3bを幅方向にて補強できる点で好ましい。ここでは、連結ビーム10を、長手方向に互いに間隔をおいて位置する二本の角パイプで構成し、それらの角パイプの端面をメインビーム3a、3bの内側面3cに溶接して接合している。連結ビーム10は一本又は三本以上の角パイプとすることもできる他、角パイプ以外の部材で構成してもよい。
【0035】
先述したプラテン取付けプレート4の突出縁部6は、長手方向で、その直下の連結ビーム10の可動プラテン32b側の側面よりも、可動プラテン32b側に位置させることが、溶接割れ防止の観点から好ましい。一方、プラテン取付けプレート4の内側部分Piでの可動プラテン32b側の外縁部Ed1は、長手方向で、連結ビーム10の可動プラテン32b側の側面と同一面上に位置させることが好適である。成形品取出しスペースSeを十分に確保するためである。
【0036】
各メインビーム3a、3bは、二本以上の梁部材で構成することも可能であるが、図示の例では、互いに溶接により接合された一本の角パイプ等の梁部材を有するものとしている。
【0037】
各メインビーム3a、3bを構成する梁部材上には、当該梁部材3eと平行に長手方向に延びる長尺のガイド用プレート11を、幅方向外側に片寄せて配置している。このガイド用プレート11上には、可動プラテン32bが配置されて固定プラテン32aに対する可動プラテン32bの離隔及び接近変位を案内するガイド部材32dが敷設される。
ガイド用プレート11は長手方向で、プラテン取付けプレート4に隣接して位置している。そして、ガイド用プレート11の射出装置21側の端部は、プラテン取付けプレート4の可動プラテン32b側の外縁部Ed1、より詳細には先述した突出縁部6と接触して位置する。図示の例では、ガイド用プレート11はプラテン取付けプレート4と同程度の厚みを有し、型締装置31側を向くそれらの表面はほぼ同一面内に存在する。
【0038】
プラテン取付けプレート4よりも可動プラテン32b側でメインビーム3a、3b間には、先述した成形品取出しスペースSeが設けられている。
【0039】
フレーム基部8a、8bは、たとえば角パイプ等で構成することができる。
フレーム基部8a、8bの相互は、幅方向に延びる連結部材16により連結されており、その連結部材16の一本が、先述したプラテン取付けプレート4のフレーム設置面Si側に位置している。
【0040】
なお、射出装置側フレーム2bは、ベースフレーム2の幅方向に互いに間隔をおいて長手方向に並んで延びる角パイプ等の射出側ビーム17a、17bと、射出側ビーム17a、17bのそれぞれの直下に位置し、射出側ビーム17a、17bと平行に延びる角パイプ等の射出側フレーム基部18a、18bと、射出側フレーム基部18a、18bの相互間に、長手方向に間隔をおいて複数本設けた射出側連結部材20とを備えるものである。射出側ビーム17a、17bには、その長手方向の全体にわたって長尺プレート17cが配置されている。
【0041】
射出装置側フレーム2bと型締装置側フレーム2aとは、それらの間に、型締装置側フレーム2aの側部に倣う形状を有する連結プレート2cを介在させた状態で互いに連結されている。連結プレート2cは、型締装置側フレーム2aの長手方向の射出装置側フレーム2b側の端部でメインビーム3a、3b間に設けた平板部材2dよりも上方側に突出する形状に形成されている。
【0042】
(射出装置)
射出装置21は主に、金型装置101に向けて延びる円筒状等のシリンダ22と、シリンダ22の内部にそれと中心軸線を平行にして配置されて、周囲にフライトが螺旋状に設けられたスクリュ23と、シリンダ22の外周側にその周囲を取り囲んで配置されたバンド状等のヒータ24と、シリンダ22及びスクリュ23の後方側に配置されたモータボックス25とを備える。図示は省略するが、モータボックス25内には、シリンダ22の先端部に所定の量の成形材料を蓄積させるため、スクリュ23を中心軸線周りに回転させる計量モータや、金型装置101に接近する方向及び金型装置101から離れる方向の各方向へのスクリュ23の前進及び後退変位を行う射出モータ、スクリュ23が成形材料から受ける圧力を検出する圧力検出センサ等が配置されている。
【0043】
なおここでは、金型装置101の固定金型102が取り付けられる型締装置31の固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。したがって、図1では固定プラテン32aの右側に位置する射出装置21について見ると、固定プラテン32aに接近する左向きが前方側となり、固定プラテン32aから離隔する右向きが後方側になる。
【0044】
シリンダ22は、後方側でモータボックス25の手前に、成形材料をシリンダ22内に投入するためのホッパーが取り付けられ得る供給口22aが設けられる。また、金型装置101に近接するシリンダ22の先端部には、その前方側で横断面積が小さくなるノズル22bが設けられている。なお、供給口22aの近傍には水冷等による水冷シリンダ22cを設けることができる。
【0045】
ノズル22bの周囲を含むシリンダ22の周囲に配置されるヒータ24は、たとえば図示のように、シリンダ軸線方向で複数の部分に分割されて、各ヒータ部分の内側のシリンダ22の内部を異なる温度で加熱できるものとすることができる。各ヒータ部分には、温度検出器を設けることができる。
【0046】
スクリュ23の先端側は、その外径を部分的に小さくして設けた括れ部の周囲に、スクリュ23とともに前進及び後退変位してそれより前方側に送られた成形材料の後方側への逆流を防止する図示しない逆流防止リングが配置され得る。この逆流防止リングは、たとえば、それより前方側もしくは後方側に位置する成形材料から受ける圧力に応じて、スクリュ23に対して前後に変位し、それにより後方側から前方側に向かう成形材料の流れのみを許容するものである。
【0047】
このような構成を有する射出装置21によれば、供給口22aからシリンダ22の内部に投入された成形材料は、計量工程で、シリンダ22の外周側のヒータ24による加熱の下、計量モータで駆動されるスクリュ23の回転に基いて溶融されつつ、シリンダ22の内部で前方側に向けて送られて、シリンダ22の先端部に蓄積される。この際に、スクリュ23は射出モータにより後退変位させられて、シリンダ22の先端部に、成形材料が蓄積される空間を形成する。なお、先にも述べたように、この計量工程は、前回の成形時の冷却工程等の際に行うことができる。
【0048】
その後、充填工程で、スクリュ23を前進変位させることにより、シリンダ22の先端部の成形材料は、ノズル22bを経て金型装置101に向けて射出される。さらにその後の保圧工程では、シリンダ22の先端部に残留している成形材料を通じて、金型装置101のキャビティに充填された成形材料に圧力を作用させる。このとき、金型装置101のキャビティで成形材料の冷却収縮に起因して不足した成形材料を補充することができる。
【0049】
なお、この射出成形機1はインラインスクリュ式のものであるが、可塑化シリンダ及び可塑化スクリュと、射出シリンダ及び射出プランジャーとに構造及び機能上分離させたプリプラ式の射出成形機とすることも可能である。
【0050】
(移動装置)
移動装置26は、たとえば射出装置21のモータボックス25の下部等に設けられ、固定プラテン32aに対して射出装置21を前進及び後退変位させる進退駆動機構である。
移動装置26を構成する進退駆動機構としては種々の機構を採用することができるが、図示の移動装置26は、油圧等の液圧ポンプ27と、液圧ポンプ27を作動させる電動等によるポンプ作動用モータ28と、液圧ポンプ27から作動液が供給されて、先端が固定プラテン32aに固定されたピストンロッドを押出・引込運動させる複動型の液圧シリンダ29とを含んで構成されている。
【0051】
この移動装置26は、上述した液圧ポンプ27、ポンプ作動用モータ28及び液圧シリンダ29が取り付けられたスライドベース26a、ならびに、ベースフレーム2上に敷設されて該スライドベース26aの直線運動を案内するガイド26bをさらに含む。それにより、スライドベース26aの上部に載置された射出装置21の進退変位を実現する。
【0052】
移動装置26により、射出装置21を金型装置101から離隔させたり、また、射出装置21を金型装置101に接近させて、射出装置21のシリンダ22のノズル22bを所定の圧力で金型装置101に押し付ける、いわゆるノズルタッチを行ったりすることが可能になる。
【0053】
(型締装置)
型締装置31は、金型装置101の固定金型102に対して可動金型103を変位させて金型装置101を開閉し、金型装置101を型締状態、型閉状態または型開状態とする。この型締装置31は、固定プラテン32a、可動プラテン32b及びタイバー32cを含むプラテン32と、プラテン32を稼働させるプラテン稼働機構33とを有してなる。
【0054】
プラテン32のうち、固定プラテン32aは、先述したように、ベースフレーム2のプラテン取付けプレートに固定して取り付けられる。一方、可動プラテン32bは、ベースフレーム2のガイド用プレート上に敷設されたガイド部材32d上に配置されて、固定プラテン32aに対して離隔する方向及び接近する方向にスライドすることができる。
【0055】
プラテン稼働機構33は、ベースフレーム2上に配置されたリヤプラテン34と、リヤプラテン34上に設けた型締モータ35と、型締モータ35の回転運動を、可動プラテン32bの変位方向の直線運動に変換する運動変換機構36と、運動変換機構36に伝達された力を増大させて可動プラテン32bに伝えるトグル機構37とを備えるものである。
【0056】
このうち、運動変換機構36は、回転運動を直線運動に変換できる種々の機構とすることができるが、この例では、型締モータ35により回転駆動されるねじ軸36a及び、ねじ軸36aに羅合するナット36bを含んで構成されるものとしている。運動変換機構36をボールねじとすることも可能である。
【0057】
そして、運動変換機構36からの伝達力を増大させるトグル機構37は、リヤプラテン34及びナット36bと可動プラテン32bとをつなぐ複数のリンク37a~37cを、ジョイントで揺動可能に接続してなるものである。
リンク及びジョイントの個数ならびにその形状は適宜変更することが可能であるが、図1に示すところでは、ナット36bに接続されて上下方向に延びるクロスヘッド37dに、該クロスヘッド37dを隔てて上下に位置するリンク37a~37cからなる一対のリンク群が、揺動可能に接続されて設けられている。
【0058】
なお、リヤプラテン34上には、上述した型締モータ35の他、型厚調整モータ38も設けることができる。この型厚調整モータ38は、先述のプラテン32の各タイバー32cの延長部分に接続されたねじ軸及びナットに回転駆動力を付与することにより、固定プラテン32aと、ベースフレーム2上で移動可能に載置されたリヤプラテン34との間の間隔を調整するべく機能する。これにより、金型装置101の交換や、温度変化に起因する金型装置101の厚みの変更等の際にも、金型装置101に所期したとおりの型締力を与えることができるように型厚の調整を行うことができる。図示は省略するが、ベースフレーム2上で固定プラテン側を移動可能とし、リヤプラテン側を固定としても、型厚の調整を実現可能である。
【0059】
図示の型締装置31は、可動プラテン32bの移動方向が水平方向と平行な横型のものであるが、該移動方向を垂直方向とした竪型のものとすることも可能である。
【0060】
(エジェクタ装置)
可動プラテン32bに設けられるエジェクタ装置41は、可動プラテン32bを貫通して延びて、金型装置101のエジェクタピン等の可動部材104を後方側から押圧するよう進退駆動されるエジェクタロッド42と、エジェクタロッド42を作動させるべく、たとえばモータ及びボールねじ等の運動変換機構を含むロッド駆動源43とを有する。
【0061】
エジェクタ装置41により、成形品の取出工程で、ロッド駆動源43により駆動されるエジェクタロッド42を前進させて、金型装置101内で可動部材104を突き出し、金型装置101から成形品を押し出すことが可能になる。なお、可動部材104を突き出した後は、ロッド駆動源43によりエジェクタロッド42を後退させて元の位置に戻すことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 射出成形機
2 ベースフレーム
2a 型締装置側フレーム
2b 射出装置側フレーム
2c 連結プレート
2d 平板部材
3a、3b メインビーム
3c メインビームの内側面
3f メインビームの外側面
4 プラテン取付けプレート
5a、5b サイドプレート部材
5c センタープレート部材
6 突出縁部
7 空所
8a、8b フレーム基部
9 支柱
9a 板材
10 連結ビーム
11 ガイド用プレート
16 連結部材
17a、17b 射出側ビーム
17c 長尺プレート
18a、18b 射出側フレーム基部
20 射出側連結部材
21 射出装置
22 シリンダ
22a 供給口
22b ノズル
22c 水冷シリンダ
23 スクリュ
24 ヒータ
25 モータボックス
26 移動装置
27 液圧ポンプ
28 ポンプ作動用モータ
29 液圧シリンダ
26a スライドベース
26b ガイド
31 型締装置
32 プラテン
32a 固定プラテン
32b 可動プラテン
32c タイバー
32d ガイド部材
32e 脚部
32f 貫通孔
32g 凹部
33 プラテン稼働機構
34 リヤプラテン
35 型締モータ
36 運動変換機構
36a ねじ軸
36b ナット
37 トグル機構
37a~37c リンク
37d クロスヘッド
38 型厚調整モータ
41 エジェクタ装置
42 エジェクタロッド
43 ロッド駆動源
101 金型装置
102 固定金型
103 可動金型
104 可動部材
Si フレーム設置面
Ed1、Ed2 プラテン取付けプレートの長手方向の外縁部
Ee プラテン取付けプレートの幅方向の外端
Pi プラテン取付けプレートの幅方向の内側部分
Ei サイドプレート部材の幅方向の内端
Se 成形品取出しスペース
Ap 支柱の長手方向の配置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8