(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】温度センサ一体型圧力センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20231130BHJP
G01K 7/00 20060101ALI20231130BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01L19/14
G01K7/00 A
G01K7/22 L
(21)【出願番号】P 2020100004
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】細川 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】荒井 光廣
(72)【発明者】
【氏名】小貫 洋
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143994(JP,A)
【文献】特開2020-067349(JP,A)
【文献】特開2005-024344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0138924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサと、
温度検出素子及びリード線を有する温度センサと、
前記温度センサの前記リード線を覆うプリモールドと、
前記温度センサ及び前記圧力センサを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、前記プリモールドを覆うオーバーモールドにより形成され、
前記プリモールドは、前記リード線が延出する先端面と、前記先端面の縁辺から前記リード線の延出方向を前記リード線の延出する側とは反対側に向かって延設される先端側側面と、
前記リード線の延出方向に垂直な方向に向かって突出するように形成された鍔部と、を有し、
前記先端面と前記先端側側面の少なくとも一部とが、前記オーバーモールドから露出する露出部を形成し、
前記プリモールドの前記先端側側面は、
前記鍔部から前記先端面の側に形成され、少なくともその一部に、前記リード線の延出方向に対して傾斜した傾斜面が設けられていることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記先端側側面の前記傾斜は少なくとも2箇所以上設けられていることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記リード線は少なくとも2本あり、
前記プリモールドの前記先端面は、2本の前記リード線の当該先端面の面上にある2つの中心点を結ぶ第一中心線に対して線対称な形状であることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記鍔部は、前記先端側側面と交差する端面を有することを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記先端側側面は、前記第一中心線に対して平行で、且つ前記リード線の延出方向に対して傾斜した第一先端側傾斜面と第二先端側傾斜面とを有し、
前記第一中心線と前記第一先端側傾斜面との間の距離と、前記第一中心線と前記第二先端側傾斜面との間の距離と、が同じ大きさであることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記先端面と前記第一先端側傾斜面とが交差する第一先端側縁辺と、前記先端面と前記第二先端側傾斜面とが交差する第二先端側縁辺と、前記鍔部の前記端面と前記第一先端側傾斜面とが交差する第一鍔部側縁辺と、前記鍔部の前記端面と前記第二先端側傾斜面とが交差する第二鍔部側縁辺と、を有し、
前記第一先端側縁辺及び前記第一鍔部側縁辺を、前記先端面を含む平面に投影した場合に、前記第一中心線と前記第一鍔部側縁辺との間の距離は、前記第一中心線と前記第一先端側縁辺との間の距離よりも大きいことを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記プリモールドは、前記鍔部よりも前記先端面の側とは反対側に延設され前記リード線に対して前記第一先端側傾斜面と同じ側に形成される第一後端側側面と、前記鍔部よりも前記先端面の側とは反対側に延設され前記リード線に対して前記第二先端側傾斜面と同じ側に形成される第二後端側側面と、を有し、
2本の前記リード線、前記第一後端側側面及び前記第二後端側側面は平行であることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記第一後端側側面及び前記第二後端側側面を、前記先端面を含む平面に投影した場合に、前記第一中心線と前記第二後端側側面との間の距離は、前記第一中心線と前記第一後端側側面との間の距離よりも大きいことを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記リード線は、エポキシ系樹脂でコーティングされていることを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【請求項10】
請求項2に記載の温度センサ一体型圧力センサ装置において、
前記先端側側面は、全周が前記オーバーモールドから露出して前記露出部を形成することを特徴とする温度センサ一体型圧力センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度を検出する温度センサと圧力を検出する圧力センサとを備えた温度センサ一体型圧力センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気管内の圧力と温度とを検出するための温度センサ一体型半導体圧力センサが特開2018-155670号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の温度センサ一体型半導体圧力センサは、温度センサ端子の接続部と、この接続部を除く領域がコーティングされている温度センサのリード線とを、樹脂材にてリード線の露出が少ないようにプリモールドし、このプリモールド樹脂を、ケースを構成する樹脂(オーバーモールド樹脂)でさらに覆っている(要約参照)。
【0003】
特許文献1の温度センサ一体型半導体圧力センサは、温度センサのリード線が露出するプリモールド樹脂の先端面が、圧力導入孔側のケース先端面(ガードが設けられる面)と同一面となるように形成されている(
図1参照)。或いは、プリモールド樹脂の先端面はオーバーモールド樹脂により完全に覆われる(段落0032及び
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の
図4のように、プリモールド樹脂の先端面がオーバーモールド樹脂により完全に覆われる構成では、プリモールド樹脂の先端面を覆うオーバーモールド樹脂が流れ込む際の樹脂圧などにより温度センサのリード線に曲げ力が作用する場合がある。また特許文献1の
図1のように、プリモールド樹脂の先端面をケース先端面と同一面となるように形成する場合には、オーバーモールド樹脂の樹脂圧などによりプリモールド樹脂部が位置ずれを起こし、金型とプリモールド樹脂の先端面との間に隙間が生じる可能性がある。この隙間が生じると、この隙間に流れ込むオーバーモールド樹脂の樹脂圧を受けて、温度センサのリード線に曲げ力が作用する場合がある。これを避けるために、金型によるプリモールド樹脂を押さえる力を大きくすると、プルモール樹脂を変形させ、リード線に曲げ力が作用する虞がある。
【0006】
リード線に曲げ力が作用すると、リード線のコーティング部にクラックが生じる虞がある。コーティング部のクラックは、リード線を腐食させる原因となる。
【0007】
本発明の目的は、リード線に曲げ力が作用することを抑制することができる温度センサ一体型圧力センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の温度センサ一体型圧力センサ装置は、
圧力センサと、
温度検出素子及びリード線を有する温度センサと、
前記温度センサの前記リード線を覆うプリモールドと、
前記温度センサ及び前記圧力センサを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、前記プリモールドを覆うオーバーモールドにより形成され、
前記プリモールドは、前記リード線が延出する先端面と、前記先端面の縁辺から前記リード線の延出方向を前記リード線の延出する側とは反対側に向かって延設される先端側側面と、前記リード線の延出方向に垂直な方向に向かって突出するように形成された鍔部と、を有し、
前記先端面と前記先端側側面の少なくとも一部とが、前記オーバーモールドから露出する露出部を形成し、
前記プリモールドの前記先端側側面は、前記鍔部から前記先端面の側に形成され、少なくともその一部に、前記リード線の延出方向に対して傾斜した傾斜面が設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度センサ一体型圧力センサ装置において、耐腐食性を向上することができる。
【0010】
上記した以外の本発明の課題、構成、作用および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例に係る温度センサ一体型圧力センサ装置の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る図であり、温度センサのリード線と温度センサ端子とを接合した部品の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る図であり、温度センサのリード線と温度センサ端子とを接合した後にプリモールドした部品の斜視図である。
【
図4】
図3のプリモールド部品を-Z側から見た側面図である。
【
図5】
図4の丸で囲んだ部分Vを拡大して示す図である。
【
図6】
図3のプリモールド部品を+Y側から見た平面図である。
【
図7】
図3のプリモールド部品を+X側から見た正面図(平面図)である。
【
図8】
図3のプリモールド部品と圧力センサ端子との位置関係を示す斜視図である。
【
図9】
図3のプリモールド部品を+Z側から見た斜視図である。
【
図10】
図3のプリモールド部品を-Y側から見た平面図である。
【
図11】
図10の丸で囲んだ部分XIを拡大して示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の温度センサ一体型圧力センサ装置100の一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する実施例の記載に限定されるものではない。
【0013】
最初に、本実施例のプリモールド部品80の基本構成について、
図1~
図8を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る温度センサ一体型圧力センサ装置100の断面図である。
図2は、本発明の一実施例に係る図であり、温度センサ44のリード線42と温度センサ端子11bとを接合した部品の斜視図である。
図3は、本発明の一実施例に係る図であり、温度センサ44のリード線42と温度センサ端子11bとを接合した後にプリモールドした部品80の斜視図である。
図4は、
図3のプリモールド部品80を-Z側から見た側面図である。
図5は、
図4の丸で囲んだ部分Vを拡大して示す図である。
図6は、
図3のプリモールド部品80を+Y側から見た平面図である。
図7は、
図3のプリモールド部品80を+X側から見た正面図(平面図)である。
図8は、
図3のプリモールド部品80と圧力センサ端子11aとの位置関係を示す斜視図である。
【0014】
各図においては互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各座標軸を表示し、以下、この座標軸(直交座標系)を用いて本実施例に係る各構成の位置や向きについて説明する。
【0015】
図1に示すように、Z軸方向は、ケース10のコネクタ開口部13において露出する圧力センサ端子11a及び温度センサ端子11bが延びる方向である。Z軸方向において、コネクタ開口部13の側が+Z側(矢印が指す側)であり、コネクタ開口部13と反対の側(圧力センサセル21側)が-Z側である。
【0016】
Y軸方向は、Z軸方向と直交し、圧力センサセル21と圧力導入孔31とを結ぶ方向(D1方向)である。Y軸方向において、圧力センサセル21の側が+Y側(矢印が指す側)であり、圧力導入孔31の側が-Y側である。
【0017】
X軸方向は、Z軸方向及びY軸方向と直交する方向である。本実施例では、X軸方向において、+X側(矢印が指す側)に圧力センサ端子11aが配置され、-X側に温度センサ端子11bが配置されている(
図8参照)。
【0018】
なお、本明細書において、「直交」又は「平行」と言った場合は、完全な「直交」又は「平行」を含むほか、完全に「直交」又は「平行」な状態から誤差をもってずれた状態や、本実施例の作用効果が得られる範囲内で故意に「直交」又は「平行」な状態からずらした状態を含むものとする。
【0019】
温度センサ一体型圧力センサ装置100は、大別してケース10、圧力センサセル21、及び温度センサ44を備えている。圧力センサセル21は圧力センサを有する。ケース10は、圧力センサセル21及び温度センサ44を収容する。
【0020】
本実施例は、圧力センサセル21の端子21aを圧力センサ端子11aに溶接した後、接着材17(例えばエポキシ)をケース10の上部に充填し、圧力センサセル21を封止する構成である。ケース10はPPS樹脂(ポリファニレンサルファイド:Polyphenylene sulfide樹脂)で作られている。この樹脂は、接着材17との接着性が良く、線膨張係数も近い特性であり、圧力センサセル21にも使用されている。圧力センサセル21とケース10の材料が同一であることから、高温時または低温時における線膨張差によるケース10から圧力センサセル21への応力の影響が少なく、圧力センサセル21が歪むなどといった圧力センサセル21の出力への悪影響を防ぐことが可能である。本実施例によれば、圧力センサセル21の材料とケース10の材料とが同一であることから、高温時または低温時における線膨張差による歪みが生じにくい。
【0021】
ケース10にインサートモールドされた圧力センサ端子11aにはそれぞれ圧力センサセル21の端子21aが溶接(電気的に接続)されており、この溶接部は接着材17にて封止されている。この接着材17による封止は、圧力センサ端子11aと圧力センサセル21の端子21aとの溶接部である接続部23を水や腐食性物質から保護すると共に、接続部23の強度を高める。
【0022】
圧力センサセル21はケース10に対して接着材17を用いて接着されている。このような構造にすることにより、圧力導入孔31から導入された圧力がケース10に拡散することなく、圧力センサセル21に印加される。この場合、圧力センサセル21の全周が接着材17でケース10に接着されているため、圧力がケース10に漏れることなく圧力センサセル21に掛かる。
【0023】
また、ポート部30の一端側(上端側、+Y側)に配置されている圧力センサセル21の上側まで接着材17により封止することにより、接着材17はケース10の蓋の役割を担って圧力センサセル21を気密に覆ってケース10の外部に圧力が漏れてしまうのを防ぐ。
【0024】
また、プリモールド(プリモールド部又はプリモールド樹脂部)26の樹脂材25は、ケース10にインサートモールドされる際、ケース10の一部を構成するオーバーモールド(オーバーモールド部又はオーバーモールド樹脂部)46により一部が覆われることにより、腐食物質からの耐性が向上する。
【0025】
さらに腐食物質からの耐性効果を高めるため、プリモールド26は突起部28a及び突起部28bを有する。突起部28a及び突起部28bは、プリモールド26の、オーバーモールド46と接する面25aに、オーバーモールド46に向かって突出するように設けられる。突起部28a及び28bのそれぞれは、面25aから離れる方向の先端ほど細くなる形状である。突起部28a及び28bのそれぞれは、温度センサ端子11b又はリード線42を軸中心としたときのプリモールド26の周方向の全周に亘って配置されている。
【0026】
以下、プリモールド26、リード線42を含む温度センサ44及び温度センサ端子11bは、プリモールド部品80と呼ぶ。プリモールド部品80はケース10を形成する樹脂(オーバーモールド46)によりオーバーモールドされる。
【0027】
突起部28a及び突起部28bのそれぞれは、プリモールド26を形成する際に温度センサ端子11bを押さえる端子押さえ部29a又は29bの近傍に配置されている。これにより、成形後のプリモールド26とオーバーモールド46との界面の密着性が向上し、水及び腐食ガス等の侵入は確実に阻止される。さらに突起部28a及び突起部28bは、先端部が他部(基端部側)より熱容量が小さくなるように、尖った形状にしている。そうすることで、オーバーモールド46で覆う際、突起部28a及び突起部28bの先端部が溶け出し、突起部28a及び突起部28bの先端部におけるプリモールド26とオーバーモールド46との界面がより強固に密着する。このように、突起部28a及び突起部28bの先端部の密着性を高めるように凸部を意図的に成形したことで、水及び腐食ガス等の侵入を阻止することが期待できる。
【0028】
オーバーモールド46(ケース10)の樹脂材とプリモールド26の樹脂材25とは、高温時または低温時における線膨張差を考慮して同一であることが望ましい。なお、端子押さえ部29a~29fは、
図2の状態の温度センサ44をプリモールド26でモールドする際に、温度センサ端子11b又はリード線42の暴れを押さえるようにモールドの金型が接する箇所である。
【0029】
ケース10をモールド成形する際に、端子押さえ部29a~29fが樹脂で覆われるようにオーバーモールドをするが、プリモールド26とオーバーモールド46との界面(境界面)の密着性が弱いとプリモールド26とオーバーモールド46との間(界面)から水やガスが浸入し、端子押さえ部29a~29fにおいてプリモールド26から露出する温度センサ端子11b又はリード線42を腐食させる虞がある。本実施例によれば、このことを防止するため、端子押さえ部29a及び端子押さえ部29bを囲むように突起部28a及び突起部28bの2つの突起部を設けている。本実施例によれば、突起部28a及び突起部28bを設けることにより、プリモールド26とオーバーモールド46との間から浸入する水やガスを遮る。なお、本実施例において、端子押さえ部29c~29fについても、突起部28a及び突起部28bのような突起部で囲むようにしてもよい。突起部28a及び突起部28bのような突起部は、オーバーモールド46でモールドする際の樹脂の流動方向に応じ、樹脂が行き渡る形状にするのが望ましい。
【0030】
図2や
図3に示すように、温度センサ44と温度センサ端子11bとは、リード線42と温度センサ端子11bとを電気的に接続した後に、その接続部41が樹脂材25によりモールド(封止)したプリモールド26により覆われている。温度センサ端子11bは、オーバーモールド46を介して圧力導入孔31と対向するプリモールド26の側面25aに平行な面内方向の曲がり部11baを有する。プリモールド26は、プリモールド26の側面25aに平行な面内方向の曲がり部60gを有しており、曲がり部60gで温度センサ端子11bの曲がり部11baを覆っている。
【0031】
温度センサ44は、温度を検出する温度検出素子40と、温度センサ端子11bと電気的に接続するリード線42と、を備えている。リード線42は、腐食防止のためにエポキシコーティング45によりコーティングされている。特に、プリモールド26の樹脂材25との密着性の観点から、リード線42のコーティング材は樹脂材料がより好ましい。コーティング用樹脂材料としては、例えばエポキシ等の樹脂が挙げられる。エポキシを用いる理由として、耐熱性、耐薬品性及び耐酸性に優れる点が挙げられる。また、エポキシ等の樹脂は、プリモールド26でモールドする際の材料物性及び線膨張係数のマッチングのための緩衝の役割も兼ね、熱履歴などによる樹脂割れを防止して、耐腐食性を向上させる。エポキシコーティング45は、温度センサ44の少なくともリード線42の接続部(接続部41)以外をエポキシ系樹脂で被覆するように形成するとよい。
【0032】
リード線42は、樹脂材25でモールドされる前に、少なくとも接続部41を除く領域がエポキシコーティング45によりコーティングされている。そして、コーティング45の界面(コーティングされている箇所とコーティングされていない箇所の境界、すなわちコーティング45の端部)が樹脂材25で覆われて保護されるように、プリモールド26が形成されている。本構成によれば、リード線42は端子押さえ部29c~29fにおいてコーティング45により保護され、コーティング45の界面(端部)が樹脂材25で保護されることにより、気体に直接曝されない構成となるので、温度センサ44の耐腐食性を向上させることができる。プリモールド26の圧力導入孔31側の側面(樹脂部)と圧力導入孔31とに挟まれたケース10(オーバーモールド46)の部分には傾斜部46aを備える。すなわち、プリモールド26の圧力導入孔31側の側面25aは傾斜部46aを構成するオーバーモールド46により覆われている。
【0033】
ケース10は、オーバーモールド46を介してプリモールド26と対向する位置に、圧力センサセル21へ圧力を導入する圧力導入孔31を有する。圧力センサセル21は、圧力導入孔31の一端側に配置される。オーバーモールド46は、圧力導入孔31の他端側でケース10の外部に開口する開口部31aを有する。傾斜部46aは、オーバーモールド46をモールドする際の金型により形成される。この金型は、圧力導入孔31を形成する形状である。この金型が、傾斜部46aに応じた傾斜を有することで、オーバーモールド46のモールド時に、プリモールド26の面25aと圧力導入孔31との間にオーバーモールド46の樹脂材を流入させることができ、より確実にプリモールド26をオーバーモールド46で覆うことができる。傾斜部46aは、圧力導入孔31の内壁が圧力導入孔31の一端側(+Y側)よりも他端側(-Y側)の方がプリモールド26に近づく傾斜を有する。これによって、オーバーモールド46の樹脂材をより行き渡らせることができる。
【0034】
温度センサ44のリード線42は、おおよそ半分がプリモールド26の樹脂材25の中にインサートモールドされていることが好ましい。これは、リード線42の固定端からの長さを実質的に短くすることで、温度センサ44の振動における共振周波数を上げることができるからである。結果として振動耐性を向上することができる。また、ケース10からリード線42を介して温度検出素子40へ伝わる熱を、リード線42から放熱するために、樹脂材25並びにケース10からリード線42がある程度露出していることが好ましい。リード線42は、半分程が樹脂材25から露出していれば十分にその機能を果たすため、本実施例によれば、耐振性と放熱性の両立を図ることも可能である。なお、本実施例では、リード線42の長さの約半分がプリモールド26にインサートモールドされている形状を示しているが、例えば2/3の長さまでプリモールド26にインサートモールドすれば、更なる振動耐性の向上が期待できる。
【0035】
温度センサ44を圧力導入孔31に近づけて配置することで、リード線42のプリモールド26からの露出長さを短くすることができる。或いは、温度センサ44のリード線42を覆う樹脂材25の量を多くしても、リード線42のプリモールド26からの露出長さを短くすることができる。
【0036】
図1に示すように、ケース10には、圧力センサセル21が搭載され、圧力センサセル21へ測定媒体である気体圧力を伝達するための圧力導入孔31が形成されている。また、ケース10は、温度センサ端子11b(一部圧力センサ端子11aを兼用)及び温度センサ44を覆うプリモールド26を保持している。ケース10は例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やエポキシ樹脂等の樹脂材料を、金型を用いて型成形して形成される。
【0037】
各端子11(圧力センサ端子11a及び温度センサ端子11b)のうちケース10におけるコネクタ開口部13において露出する端部(+Z側の端部)は、図示しない外部機器(外部の配線部材等)に接続可能となっている。つまり、このケース10のコネクタ開口部13の部分は、当該コネクタ開口部13に位置する各端子11の端部(+Z側の端部)とともに、温度センサ一体型圧力センサ装置100におけるコネクタ部として構成される。
【0038】
圧力センサセル21は、ポート部30の一端側(+Y側)に接着材17で接着される。ポート部30の一端側には圧力検出室16が設けられ、ポート部30の他端側(-Y側)には圧力導入孔31が設けられている。
【0039】
ケース10には、温度検出素子40の保護のために、先端側(ポート部30の圧力導入孔31側、-Y側)にガード35が設けられている。ガード35は、内燃機関の吸気管内に異物が流入して来た場合に、温度検出素子40への衝突を低減したり、温度センサ一体型圧力センサ装置100を取り扱う際に、落下などによる外力から温度検出素子40を保護したりすることができる。ガード35は、ケース10を成形する際、型抜きが可能でかつ吸気管内を流れる気体の流入・流出を妨げない細い柱状構成となっており、複数の細い柱35aの先端を円環部35bで接続することにより、強度を確保している。
【0040】
ケース10は、温度センサ一体型圧力センサ装置100の先端側(-Y側)が内燃機関の吸気管内に挿入されたときに気密を保持するOリング33を有する。
【0041】
圧力センサセル21の端子21aは、電源、出力及びGNDの3端子であり、温度センサ44の端子(リード線)42は2本であり、合計5本であるが、GNDを圧力センサセル21と温度センサ44とで兼用することにより、圧力センサ端子11a及び温度センサ端子11bの端子11の数は4本で構成することができる。すなわち、圧力センサ端子11aのGNDと、温度センサ端子11bのGNDとを兼用することにより、端子11の数を削減できる。
【0042】
本実施例の温度センサ一体型圧力センサ装置100は、圧力センサ(圧力センサセル)21への導入ポート(圧力導入孔)31を備えるケース10と、リード線42と温度検出素子40を有する温度センサ44と、リード線42と接続される温度センサ端子11bと、を備え、リード線42はコーティング45でコーティングされており、温度検出素子40を露出するように、コーティング45の一部並びにリード線42と温度センサ端子11bの接続部を樹脂で封止する封止部(プリモールド)26を備え、封止部26をケース10の樹脂材でオーバーモールドされている。
【0043】
すなわちプリモールド26は、少なくとも温度検出素子40が露出するように、ケース10にインサート固定されている。
【0044】
リード線42の例としては、ニッケル線や、CP線に無電解ニッケルめっき(化学ニッケルめっき)をしたものが挙げられる。温度センサ端子11bの例としては、黄銅材にスズめっきしたもの、りん青銅材にスズめっきをしたもの、或いはステンレス材が挙げられる。ニッケル線によれば、一般的な銅線に比べて熱伝導率が低いため、自動車エンジンルームにおける壁温の影響を受ける環境での温度計測に有利である。無電解ニッケルめっき(化学ニッケルめっき)は融点を下げることができ、プリモールド時に、より溶接しやすくなることが期待できる。また、ステンレス材によれば放熱効率を高めることができる。
【0045】
また、リード線42と温度センサ端子11bとの接続方法は、ハンダ接合、レーザー溶接、又は抵抗溶接等の電気的導通が図れる手法が挙げられる。
【0046】
プリモールド26は、接続部41を完全に覆うようにすることにより、耐腐食性をより向上することができる。しかしプリモールド26は、接続部41の一部を覆うものであってもよい。この場合、オーバーモールド46でプリモールド26から露出する接続部41の一部を覆う。このようにすることで、プリモールド26でモールドする際の位置決め(端子やリードの押さえ)をより確実に行うことができる。
【0047】
本実施例におけるオーバーモールド46は、プリモールド26の一部を覆うようにして、少なくともプリモールド26の先端面26aと、プリモールド26の先端側側面26b(
図8乃至11参照)の少なくとも一部と、プリモールド26の先端側側面26c(
図8乃至11参照)の少なくとも一部と、プリモールド26の先端側側面26g(
図8乃至11参照)の少なくとも一部と、プリモールド26の先端側側面26e(
図8乃至11参照)の少なくとも一部と、がオーバーモールド46から露出するようにする。オーバーモールド46から露出する、先端面26a、先端側側面26b、先端側側面26c、先端側側面26g、及び先端側側面26eの各部位を金型で押えることで、オーバーモールド46でプリモールド部品80をモールドする際の位置決めを、より確実に行うことができる。
【0048】
上述した様に、プリモールド26(プリモールド部品80)をオーバーモールド46でオーバーモールドする際に、傾斜部46aによりオーバーモールド46の樹脂材が行き渡るようにしたことで、特許文献1のようにプリモールド26の先端面26aにオーバーモールド46が回り込む構造にすると、リード線42に対する樹脂圧が増大し、リード線42に曲げ力が作用することになる。リード線42に加わる曲げ力により、コーティング45には引張応力又は圧縮応力が加わり、コーティング部45にクラックを発生させるリスクが高まる。コーティング部45にクラックが発生すると、そこから水やガスが浸入し、リード線42を腐食させる虞がある。
【0049】
一方、プリモールド26の先端面26aをケース10の先端面と同一面となるように構成する場合には、プリモールド26の先端面26aに金型を当て、プリモールド26の先端面26aにオーバーモールド46の樹脂が回り込まないようにする。この場合、オーバーモールド46の樹脂材の樹脂圧などによりプリモールド26が位置ずれを起こし、金型とプリモールド26の先端面26aとの間に隙間が生じることがある。この隙間が生じると、温度センサ44のリード線42はこの隙間に流れ込むオーバーモールド46の樹脂材の樹脂圧による曲げ力を受けることになる。
【0050】
プリモールド26の位置ずれを防ぐために、金型でプリモールド26の先端面26aを拘束する力を増すと、プリモールド26の先端面26aに不均一な力(押圧力)が掛かり、温度センサ44のリード線42に曲げ力を加えることになる。不均一な押圧力は、2本のリード線42の、先端面26a上における中心点を結ぶ第一中心線27aに対して、先端面26aが対称な形状になっていないために発生する。
【0051】
以下、オーバーモールド46の樹脂材の樹脂圧により温度センサ44のリード線42に作用する曲げ力を抑制する構成について、
図9乃至
図13を用いて説明する。
図9は、
図3のプリモールド部品80を+Z側から見た斜視図である。
図10は、
図3のプリモールド部品80を-Y側から見た平面図である。
図11は、
図10の丸で囲んだ部分XIを拡大して示す拡大平面図である。
図12は、
図11のXII-XII断面図である。
図13は、
図11のXIII-XIII断面図である。
【0052】
本実施例のプリモールド部品80は、リード線42がプリモールド26から延出して露出する先端面26aと、先端面26aの外縁(縁辺)27b1,27b2,27c1,27c2からリード線42の延出方向をリード線42の延出する側とは反対側に向かって延設される先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2と、X方向から垂直方向(Z方向)に向かって突出するように形成された鍔部(フランジ部)26fとを有する。
【0053】
本実施例では、先端側側面26b1と先端側側面26c1は第一中心線27aに対して対称に傾斜を設けて形成され、さらにリード線42は、プリモールド26から延出する。
【0054】
図1に示すように、オーバーモールド46は、鍔部26fにおける先端面26aの側とは反対側の端面26fbから先端面26aの側とは反対側(+Y方向)に向かって、プリモールド部品80を覆っている。すなわち、プリモールド26の先端面26a及び側面26b1,26b2,26c1,26c2と、鍔部26fにおける先端面26a側の端面26faとは、オーバーモールド46から露出している。言い換えれば、プリモールド26における、鍔部26fよりも先端面26aの側の側面26b1,26b2,26c1,26c2と先端面26aとがオーバーモールド46から露出して露出部を形成している。
【0055】
なおオーバーモールド46は、
図1に示すように鍔部26fの外周の一部を覆っている。一方、側面26b1,26b2,26c1,26c2は、全周がオーバーモールド46から露出している。本実施例では、鍔部26fはオーバーモールド46のモールド時に樹脂材の先端面26a側への流れを止める機能を持つ。
【0056】
プリモールド26の先端面26aは、第一中心線27aに対して、線対称な形状に形成されている。縁辺27b1,27b2,27c1,27c2と28b1,28b2,28c1,28c2も第一中心線27aに対して、線対称な形状に形成されている。
【0057】
以下、側面26b1,26b2,26c1,26c2はプリモールド26の先端面26aの側に形成される側面部であるため先端側側面或いは温度検出素子側側面と呼び、側面25a,25bは側面26b1,26b2,26c1,26c2に対してプリモールド26の後端側に形成される側面部であるため後端側側面或いは端子側側面と呼んで説明する。
【0058】
本実施例の温度センサ一体型圧力センサ装置100は、圧力センサ(圧力センサセル)21と、温度検出素子40及びリード線42を有する温度センサ44と、温度センサ44のリード線42を覆うプリモールド26と、温度センサ44及び圧力センサ21を収容するケース10と、を備える。ケース10は、プリモールド26を覆うオーバーモールド46により形成される。プリモールド26は、リード線42が延出する先端面26aと、先端面26aの縁辺27b1,27b2,27c1,27c2からリード線42の延出方向(-Y方向)をリード線42の延出する側とは反対側(+Y方向)に向かって延設される先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2と、を有する。先端面26aと先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2の少なくとも一部とが、オーバーモールド46から露出する露出部を形成する。プリモールド26の先端側側面は、少なくともその一部26b1,26b2,26c1,26c2に傾斜面が設けられている。
【0059】
先端面側側面26b1,26b2,26c1,26c2の傾斜は、少なくとも2箇所以上設けられている。
【0060】
先端面26aから延出するリード線42は少なくとも2本あり、プリモールド26の先端面26aは、2本のリード線42の先端面26aの面上にある2つの中心点を結ぶ第一中心線27aに対して線対称な形状である。
【0061】
この場合、温度センサ一体型圧力センサ装置100は、温度センサ44と電気的に接続される温度センサ端子11bを備え、プリモールド26は、温度センサ44のリード線42と温度センサ端子11bとの接続部41を覆うようにするとよい。
【0062】
またプリモールド26は、少なくとも温度検出素子40が露出するように、ケース10にインサート固定されている。
【0063】
第一中心線27aに対する第一先端側縁辺27c1と第二先端側縁辺27b1との位置関係を対称とし、第三先端側縁辺27c2と第四先端側縁辺27b2との位置関係を対称とすることで、金型でプリモールド部品80を拘束した際に、先端面26aに加わる押圧力を均一にできる。これにより、リード線42を曲げることなくオーバーモールドすることが可能となる。
【0064】
さらには、第一先端側側面26c1と第二先端側側面26b1、及び第三先端側側面26c2と第四先端側側面26b2を傾斜面としたことで、第一先端側側面(第一先端側傾斜面)26c1と第二先端側側面(第二先端側傾斜面)26b1、第三先端側側面(第三先端側傾斜面)26c2と第四先端側側面(第四先端側傾斜面)26b2に金型を当ててプリモールド部品80を拘束した際に、先端側面26b1,26b2,26c1,26c2にZ方向の押し圧力が生じ、プリモールド26とエポキシコーティング45の密着性を向上することができる。Z方向の押し圧力は、傾斜幅△26c1(
図12参照)及び傾斜幅△26c2(
図13参照)の大きさを調整することにより、調整することが可能になる。Z方向の押し圧力と傾斜幅との関係は、第二中心線42aに対して対称側についても、同様である。
【0065】
プリモールド26は、リード線42の延出方向(X方向)に垂直な方向(-Y方向)に向かって突出するように形成された鍔部26fを有する。先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2は、鍔部26fから先端面26aの側に形成されている。鍔部26fは、先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2と交差する端面26faを有する。
【0066】
この場合、先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2は、全周がオーバーモールド46から露出して露出部を形成するようにするとよい。これにより、オーバーモールド46の樹脂が先端面26a側に回り込むのを防止して、リード線42に樹脂圧による曲げ力が作用するのを防ぐことができる。
【0067】
プリモールド26の先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2は、第一中心線27aに平行な第一先端側縁辺27c1と、第一先端側縁辺27c1に向かい合う第二先端側縁辺27b1と、第一中心線27aに平行な第三先端側縁辺27c2と、第三先端側縁辺27c2に向かい合う第四先端側縁辺27b2とを備える。第二先端側縁辺27b1及び第四先端側縁辺27b2も第一中心線27aに平行である。
【0068】
また、先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2は、第一中心線27aに平行な第一鍔部側縁辺28c1と、第一鍔部側縁辺28c1に向かい合う第二鍔部側縁辺28b1と、第一中心線27aに平行な第三鍔部側縁辺28c2と、第三鍔部側縁辺28c2に向かい合う第四鍔部側縁辺28b2とを備える。第二鍔部側縁辺28b1及び第四鍔部側縁辺28b2も第一中心線27aに平行である。
【0069】
すなわち本実施例の先端側側面は、先端面26aと第一先端側傾斜面26c1とが交差する第一先端側縁辺27c1と、先端面26aと第二先端側傾斜面26b1とが交差する第二先端側縁辺27b1と、鍔部26fの端面26faと第一先端側傾斜面26c1とが交差する第一鍔部側縁辺28c1と、鍔部26fの端面26faと第二先端側傾斜面26b1とが交差する第二鍔部側縁辺28b1と、を有し、第一先端側縁辺27c1及び第一鍔部側縁辺28c1を、先端面26aを含む平面に投影した場合に、第一中心線27aと第一鍔部側縁辺28c1との間の距離△28c1は、第一中心線27aと第一先端側縁辺27c1との間の距離△27c1よりも大きい(△28c1>△27c1)。
【0070】
そして、プリモールド26の先端面26aは、第一中心線27aに対して線対称な形状に形成される。この場合、
図7及び
図10に示すように、先端側側面は、第一中心線27aに対して平行で、且つリード線42の延出方向に対して傾斜した第一先端側傾斜面26c1と第二先端側傾斜面26b1とを有し、第一中心線27aと第二先端側縁辺27b1との間の距離(間隔)Δ27b1と、第一中心線27aと第一先端側縁辺27c1との間の距離(間隔)Δ27c1とは、同じ大きさである(Δ27b1=Δ27c1)。
【0071】
プリモールド26は、鍔部26fよりも先端面26aの側とは反対側(後端側)に延設され、リード線42に対して第一先端側傾斜面26c1と同じ側に形成される第一後端側側面25a(
図7参照)と、鍔部26fよりも先端面26aの側とは反対側(後端側)に延設されリード線42に対して第二先端側傾斜面26b1と同じ側に形成される第二後端側側面25b(
図7参照)と、を有する。この場合、先端面26aから延出する2本のリード線42、第一後端側側面25a及び第二後端側側面25bは平行である。
【0072】
図7に示す平面図上において、リード線42の中心線(第二中心線)42aと第二先端側縁辺27b1との間の距離(間隔)Δ27b1と、第二中心線42aと第一先端側縁辺27c1との間の距離(間隔)Δ27c1とは、同じ大きさである(Δ26b=Δ26c)。
【0073】
また、第二中心線42aと第二後端側側面25bとの間の距離(間隔)Δ25bは、第二中心線42aと第一後端側側面25aとの間の距離(間隔)Δ25aよりも大きい(Δ25b>Δ25a)。この場合、Δ25bは、Δ27b1及びΔ27c1よりも大きい(Δ25b>27b1,Δ27c1)。これは、リード線42に接続される温度センサ端子11bがリード線42に対して第二後端側側面25bの側に配置されるためである。
【0074】
図7において第一中心線27aは第二中心線42a上にあり、
図10において第二中心線29bは第一中心線27a上にある。このため、第一後端側側面25a及び第二後端側側面25bを、先端面26aを含む平面(仮想平面)に投影した場合に、第一中心線27aと第二後端側側面25bとの間の距離Δ25bは、第一中心線27aと第一後端側側面25aとの間の距離Δ25aよりも大きい。
【0075】
また、第一中心線27aと第二後端側側面25bとの間の距離Δ25bは、第一中心線27aと第一先端側側面26c1との間の距離(Δ27c1と考えて差し支えない)、及び第一中心線27aと第二先端側側面26b1との間の距離(Δ27b1と考えて差し支えない)よりも大きい。この場合、プリモールド26は、リード線42に電気的に接続される温度センサ端子11bを備え、温度センサ端子11bは、リード線42に対して、第二後端側側面25bの側に配置されるようにするとよい。これにより、リード線42に対して第二後端側側面25bの側のプリモールド26の樹脂厚を厚くし、厚くしたプリモールド26の樹脂で温度センサ端子11bを覆うことができる。
【0076】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…ケース、21…圧力センサ(圧力センサセル)、25a…プリモールド26の第一後端側側面、25b…プリモールド26の第二後端側側面、26…プリモールド、26a…プリモールド26の先端面、26b1…プリモールド26の先端側側面(第二先端側傾斜面)、26b2…プリモールド26の先端側側面、26c1…プリモールド26の先端側側面(第一先端側傾斜面)、26c2…プリモールド26の先端側側面、26f…鍔部、26fa…鍔部26fの先端側側面26b1,26b2,26c1,26c2と交差する端面、27a…第一中心線、27b1…先端面26aの縁辺(第二先端側縁辺)、27b2…先端面26aの縁辺、27c1…先端面26aの縁辺(第一先端側縁辺)、27c2…先端面26aの縁辺、28b1…第二鍔部側縁辺、28c1…第一鍔部側縁辺、40…温度検出素子、42…リード線、44…温度センサ、45…エポキシコーティング、46…オーバーモールド、100…温度センサ一体型圧力センサ装置、Δ25a…第一中心線27aと第一後端側側面25aとの間の距離、Δ25b…第一中心線27aと第二後端側側面25bとの間の距離、Δ27b1…第一中心線27aと第二先端側縁辺27b1との間の距離、△27c1…第一中心線27aと第一先端側縁辺27c1との間の距離、△28c1…第一中心線27aと第一鍔部側縁辺28c1との間の距離。