(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】配線構造、表示基板及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20231130BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231130BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20231130BHJP
H01L 21/3213 20060101ALI20231130BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20231130BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231130BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20231130BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20231130BHJP
H05K 3/08 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H01L21/88 A
H01L21/88 B
H01L21/88 C
H01L21/88 M
G09F9/30 308Z
G09F9/30 310
G09F9/30 330
H05K1/02 J
H05K1/09 A
H05K3/08 D
(21)【出願番号】P 2020513581
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(86)【国際出願番号】 CN2018119002
(87)【国際公開番号】W WO2020000900
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-03-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】201810703265.6
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 坤
(72)【発明者】
【氏名】李 亜龍
(72)【発明者】
【氏名】喬 貴洲
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】恩田 春香
【審判官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0219696(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062447(US,A1)
【文献】特開2017-78993(JP,A)
【文献】特開2013-74025(JP,A)
【文献】特開2016-38564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/3205-3215
H01L21/768
H01L23/52
H01L23/522-532
H01L21/28-288,44-445
H01L29/40-51
H05K1/02,09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線構造であって、非ナノ材料である導電ワイヤーパターンを含む第1の領域と、金属ナノワイヤーパターンを含む第2の領域と、を含み、
前記第1の領域は前記第2の領域と互いに接続され、前記配線構造に曲げ歪みが生じた場合に前記第2の領域に生じる応力は、前記第1の領域に生じる応力より大きく、
前記
第1の領域を構成する前記非ナノ材料である導電ワイヤーパターンは、第1の方向に平行に配列され、複数のストライプ状構造である第1の金属ワイヤーパターンと、第2の方向に交互に配列され、複数のストライプ状構造である第2の金属ワイヤーパターンとを含み、前記第1の方向と前記第2の方向は互いに直交し、前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとは、互いに接続されなく、
前記配線構造の耐折り曲げ特性である延性を向上するように前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとの角部で
前記第2の領域を構成する前記金属ナノワイヤー
パターンによって前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとが接続され、
前記第2の領域は、四角形、五角形、六角形のいずれか1種類または2種類以上であることを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記第2の領域に生じる応力は、前記第1の領域に生じる応力の1.2倍以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
前記
導電ワイヤーパターンの導電ワイヤーの材料は、金ワイヤー、銀ワイヤーまたは銅ワイヤーを含み、前記
金属ナノワイヤーパターンの金属ナノワイヤーの材料は、銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、白金ナノワイヤー、銅ナノワイヤー、コバルトナノワイヤーまたはパラジウムナノワイヤーを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項4】
表示基板であって、基底と、前記基底に設けられる請求項1に記載の前記配線構造とを含む表示基板、
ここで、前記基底はフレキシブル基底であり、前記フレキシブル基底の材料としては、アクリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリルーブタジエンースチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾールポリブテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリグリコール酸、ポリメチルペンテン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンおよびスチレンーアクリロニトリルのいずれか1種類または2種類以上が挙げられる表示基板。
【請求項5】
表示基板の作製方法であって、
基底を提供するステップと、
前記基底上に互いに接続される第1の領域と第2の領域を含む配線構造を形成するステップと、を含み、
前記配線構造に曲げ歪みが生じた場合に前記第2の領域に生じる応力は、前記第1の領域に生じる応力より大きく、
前記基底上に配線構造を形成するステップは、前記基底上に非ナノ材料である導電ワイヤーパターンを形成し、前記非ナノ材料である導電ワイヤーパターンは、前記配線構造の前記第1の領域を形成するステップと、
前記基底上に金属ナノワイヤーパターンを形成し、前記金属ナノワイヤーパターンは前記非ナノ材料である導電ワイヤーパターンに接続され、前記金属ナノワイヤーパターンは前記配線構造の前記第2の領域を構成するステップと、を含み、
前記第1の領域を構成する前記非ナノ材料である導電ワイヤーパターンは、第1の方向に平行に配列され、複数のストライプ状構造である第1の金属ワイヤーパターンと、第2の方向に交互に配列され、複数のストライプ状構造である第2の金属ワイヤーパターンとを含み、前記第1の方向と前記第2の方向は互いに直交し、前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとは、互いに接続されなく、
前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとの角部で
前記第2の領域を構成する前記金属ナノワイヤーパターンによって前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとが接続され、
前記第2の領域は、四角形、五角形、六角形のいずれか1種類または2種類以上であることを特徴とする表示基板の作製方法。
【請求項6】
前記基底上に前記非ナノ材料である導電ワイヤーパターンを形成するステップは、前記基底上に金属薄膜を形成するステップと、前記導電ワイヤーパターンを形成するように、前記金属薄膜をエッチングするステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の作製方法。
【請求項7】
前記基底上に金属ナノワイヤーパターンを形成するステップは、前記導電ワイヤーパターンと露出した前記基底を覆う金属ナノ層を塗布するステップと、前記金属ナノワイヤーパターンを形成するように、一部の前記金属ナノ層を除去するステップとを含み、
前記金属ナノ層を塗布する方式はインクジェット、散布、凹版印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ナノインプリント、スクリーン印刷、ドクターブレード塗布、スピンコート塗布、スリットコート塗布またはフローコート塗布を含み、一部の前記金属ナノ層を除去する方式はレーザーエッチングまたは機械的スクラッチを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示の技術分野に関し、特に配線構造、表示基板及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル表示装置は、携帯しやすく、可撓性、自由な変形等の利点があり、現在、フレキシブル表示技術がますます熟達になり、フレキシブルスクリーンも徐々に日常生活の主なツールとなり、業界でまもなくフレキシブル携帯機器が従来の携帯機器(携帯電話、タブレット等)に取って代わることが予想される。
【0003】
フレキシブル表示装置において、配線構造はフレキシブル表示装置におけるコア機構の一つであり、例えば、薄膜トランジスタアレイ電極の配線構造、有機発光層電極の配線構造、及びタッチパネルにおけるタッチ電極の配線構造のような配線構造、前記配線構造は現実の電極間の電気的な導通または電気的な引き出しに用いられる。しかしながら、フレキシブル表示装置の配線構造が破断しやすくなり、フレキシブル表示装置の故障を招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願が解決しようとする課題は、どのように配線構造の破断しやすいことを回避することにより、配線構造の力学的信頼性を向上させ、配線構造を含む表示装置の信頼性を向上させるように、配線構造、表示基板およびその作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本願の実施形態は、導電ワイヤーを含む第1の領域と、金属ナノワイヤーを含む第2の領域と含む配線構造を提供し、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きい。
【0006】
さらに、前記配線構造において、前記配線構造は折り線構造であり、前記第2の領域は折り線の変曲点に位置する。
【0007】
さらに、前記配線構造において、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力の1.2倍以上である。
【0008】
また、前記配線構造において、前記第2の領域のパターンは四角形、五角形、六角形、円弧形、V字形のいずれか1種類または2種類以上であり、前記V字形の挟角は、鋭角、直角、あるいは鈍角であってもよい。
【0009】
また、前記配線構造において、前記導電ワイヤーの材料は金ワイヤー、銀ワイヤーまたは銅ワイヤーを含み、前記金属ナノワイヤーの材料は銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、白金ナノワイヤー、銅ナノワイヤー、コバルトナノワイヤーまたはパラジウムナノワイヤーを含んでもよい。
【0010】
また、前記配線構造は直線構造であってもよい。
【0011】
本願の別の側面によれば、本願の実施形態は、基底と、基底に設けられる前記配線構造とを含む表示基板をさらに提供する。
【0012】
また、前記基底はフレキシブル基底であり、前記フレキシブル基底の材料としては、アクリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾールポリブテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリグリコール酸、ポリメチルペンテン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンおよびスチレン-アクリロニトリルなどのいずれか1種類または2種類以上が挙げられる。
【0013】
本願の別の側面によれば、本願の実施形態は、基底を提供するステップと、前記基底に互いに接続される第1の領域と第2の領域とを含む配線構造を形成するステップとを含む表示基板の作製方法をさらに提供し、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きい。
【0014】
また、前記基底に配線構造を形成するステップは、前記基底に前記配線構造の第1の領域を構成する導電ワイヤーパターンを形成するステップと、および前記基底に前記配線構造の第2の領域を構成する金属ナノワイヤーパターンを形成し、前記金属ナノワイヤーパターンと前記導電ワイヤーパターンと接続されるステップとを含んでもよい。
【0015】
さらに、前記基底に導電ワイヤーパターンを形成するステップは、前記基底に金属薄膜を形成するステップと、前記導電ワイヤーパターンを形成するように、前記金属薄膜をエッチングすることを含む。
【0016】
さらに、前記基底に金属ナノワイヤーパターンを形成するステップは、前記導電ワイヤーパターンと露出した前記基底を覆う金属ナノ層を塗布するステップと、前記金属ナノワイヤーパターンを形成するように、一部の金属ナノ層を除去するステップとを含む。
【0017】
また、前記導電ワイヤーパターンは複数の交差しない直線形の金属ワイヤーを含んでもよい。
【0018】
また、前記導電ワイヤーパターンは、前記第1の方向に平行に配列された第1の金属ワイヤーパターンと、前記第2の方向に交互に配列された第2の金属ワイヤーパターンとを含み、前記第1の方向と前記第2の方向は互いに直交してもよい。
【0019】
また、前記金属ナノワイヤーパターンは、前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンとを接続してもよい。
【0020】
また、前記第1の金属ワイヤーパターンと前記第2の金属ワイヤーパターンの少なくとも一方は、ストライプ状構造であってもよい。
【0021】
また、前記金属ナノワイヤーパターンは銀ナノワイヤーパターンであってもよい。
【0022】
また、前記金属ナノ層を塗布する方式としては、インクジェット、散布、凹版印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ナノインプリント、スクリーン印刷、ドクターブレード塗布、スピンコート塗布、スタイラスコーティング(stylus plotting)、スリットコート塗布またはフローコート塗布などが挙げられてもよい。
【0023】
また、一部の前記金属ナノ層を除去する方式は、レーザーエッチングまたは機械的スクラッチを含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本願は、従来技術に比べて、以下の効果を有する。
本願の配線構造は、導電ワイヤーを含む第1の領域と、金属ナノワイヤーを含む第2の領域とを有し、前記第1の領域は前記第2の領域と互いに接続され、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きい。金属ナノワイヤーは好適な導電性能を有するだけでなく、好適な延性(耐折り曲げ特性)を有するため、大きな応力が生じる第2の領域に破断しにくい金属ナノワイヤーを設けることにより、前記第2の領域が折り曲げられる過程で破断することを防止し、前記配線構造の力学的信頼性を効果的に向上させることができる。前記配線構造を含む表示基板を表示装置に適用することにより、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本願の実施形態に係る表示基板の作製方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施形態における配線構造を形成するステップのフローチャートである。
【
図4】本出願の一実施形態における前記表示基板の作製方法における各ステップに対応する平面構造を示す概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態における前記表示基板の作製方法における各ステップに対応する平面構造を示す概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態における前記表示基板の作製方法における各ステップに対応する平面構造を示す概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態における前記表示基板の作製方法における各ステップに対応する平面構造を示す概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態における前記表示基板の作製方法における各ステップに対応する平面構造を示す概略図である。
【
図9】本願の別の実施形態における前記表示基板の平面構造を示す概略図である。
【
図10】本願の別の実施形態における前記表示基板の平面構造を示す概略図である。
【
図11】本願の別の実施形態における前記表示基板の平面構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はフレキシブル表示装置における表示基板の構造を示す平面図である。
図1に示すように、表示基板は、フレキシブル基底10と、フレキシブル基底10上に形成された配線構造11とを含む。前記配線構造11は折れ線構造であり、前記折れ線構造は複数本の首尾が接続される金属ワイヤーで形成され、隣接する二本の前記金属ワイヤーの接続箇所を前記配線構造11の変曲点Aとし、前記隣接する二本の金属ワイヤーの変曲点Aでの挟角Aは直角であってもよく(
図1に示す)、前記挟角Aはさらに鈍角または鋭角であってもよい。しかしながら、出願人は、前記表示基板をフレキシブル表示装置に適用し、前記フレキシブル表示装置は曲げ歪みを生じる場合、前記配線構造11のいくつかの領域(例えば、複数の変曲点A等)に応力集中という現象が発生しやすくなり(すなわち、前記変曲点Aに生じる応力は他の領域に生じる応力より大きい)、前記複数の変曲点Aを含む配線構造が破断しやすく、フレキシブル表示装置の故障を招くおそれがあると見出した。
【0027】
また、前記配線構造の金属ワイヤーのパターンは直線形である場合、前記フレキシブル表示装置は曲げ歪みを生じる過程において、前記配線構造において異なる領域に生じる応力も異なり、応力が集中する領域も破断するおそれがある。
【0028】
以上の知見に基づき、本願の実施形態は、導電ワイヤーを含む第1の領域と、金属ノナワイヤーを含む第2の領域とを含む配線構造を提供し、前記第1の領域と前記第2の領域と互いに接続され、前記第2の領域に生じる応力は前記第2の領域は記第1の領域に生じる応力より大きい。
【0029】
これに対して、本願の別の側面によれば、本願の実施形態は、基底と、基底に設けられる前記配線構造とを含む表示基板を提供する。
【0030】
また、本願の別の側面によれば、本願の実施形態は、表示基板の作製方法をさらに提供し、
図2に示すように、前記方法は、基底を提供するステップS1と、前記基底に互いに接続される第1の領域と第2の領域とを有する配線構造を形成し、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きいステップS2とを含む。
【0031】
なお、前記基底に前記配線構造を形成するステップは、
図3に示すように、前記基底に前記配線構造の第1の領域を構成する導電ワイヤーパターンを形成するステップS21と、および、前記基底に前記配線構造の第2の領域を構成する金属ナノワイヤーパターンを形成し、前記金属ノナワイヤーパターンは前記導電ワイヤーパターンと接続されるステップS22とを含む。
【0032】
本願の配線構造は、導電ワイヤーを含む第1の領域と、金属ナノワイヤーを含む第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域と互いに接続され、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きい。金属ナノワイヤーは好適な導電性能を有するだけでなく、好適な延性(耐折り曲げ特性)を有するため、大きな応力が生じる第2の領域に破断しにくい金属ナノワイヤーを設けることにより、前記第2の領域が折り曲げられる過程で破断することを防止し、前記配線構造の力学的信頼性を効果的に向上させることができる。前記配線構造を含む表示基板を表示装置に適用することにより、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0033】
以下、本願の配線構造、表示基板およびその作製方法について、フローチャートおよび概略図を参照して、より詳細に説明する。なお、本願の好ましい実施例を示し、本願の内容は以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の一般的な技術的解決手段による改善も本願の技術的思想の範囲内にある。
【0034】
まず、基底を提供するステップS1を実行する。好適には、前記基底はフレキシブル基底20を含み、
図4に示すように、前記フレキシブル基底20の材料としては、アクリル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリベンゾイミダゾールポリブテン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンオキサイド、ポリグリコール酸(PGA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニル(PVE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびスチレン-アクリロニトリルの1種類または2種類以上が挙げられる。本実施形態では、前記フレキシブル基底20の材料はPIである。
【0035】
次に、前記基底に、第1の領域と第2の領域とを有する配線構造を形成し、前記第1の領域と前記第2の領域と互いに接続され、前記第2の領域に生じる応力が前記第1の領域に生じる応力より大きいステップS2を実行する。具体的には、従来のプロセス条件で、実際の需要を満たすために、前記配線構造を多種構造形態に設計してもよく、例えば、前記配線構造は、直線構造、円弧構造、V字構造のいずれか1種類または2種類以上であってよい。前記配線構造を含む表示パネルに曲げ歪みが生じる場合、前記配線構造において異なる領域に生じる応力は差が存在する。本願の実施形態では、前記配線構造において応力集中が生じやすい領域をまとめて前記第2の領域と言い、応力集中が生じにくい領域をまとめて前記第1の領域と言い、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力より大きい。さらに、本実施形態では、前記第2の領域に生じる応力は前記第1の領域に生じる応力の1.2倍以上である。
【0036】
折り曲げ過程において、前記第2の領域に生じる応力が大きいので、前記配線構造の力学的信頼性を向上させ、前記配線構造の破断現象を防止するために、前記基底に前記配線構造を形成するステップは、前記基底に前記配線構造の第1の領域を構成する導電ワイヤーパターンを形成するステップS21を実行することを含む。また、前記導電ワイヤーパターンの材料は金ワイヤー、銀ワイヤーまたは銅ワイヤー等のような金属である。具体的には、まず、前記フレキシブル基底20に金属薄膜21を形成し、
図5に示すように、前記金属薄膜21は蒸着やスパッタリング等のような物理的気相成長法(PVD)により作製し得られ、これに限定されない。前記金属薄膜21の材料は金、銀または銅であってもよいが、これらに限定されない。そして、フォトリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスにより、前記金属薄膜21に必要な導電ワイヤーパターン21’を形成し、前記導電ワイヤーパターン21’は前記配線構造における第1の領域を構成する。フォトリソグラフィープロセス及びエッチングプロセスは従来のフォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスを用いて得ることができ、なお、詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、前記配線構造は折れ線構造である場合、前記配線構造に変曲点が存在し、前記変曲点は前記配線構造の第2の領域であり、他の部分は前記第1の領域である。
【0037】
また、本実施形態では、前記導電ワイヤーパターン21'に変曲点が存在しない(
図1参照)、前記導電ワイヤーパターン21'は複数本の交差しない直線形の金属ワイヤーを含む。具体的には、
図6に示すように、前記導電ワイヤーパターン21'は第1の方向に平行に配列される第1の金属ワイヤーパターン210’と、第2の方向に交互に配列される第2の金属ワイヤーパターン211’を含み、前記第1の金属ワイヤーパターン210は前記第2の金属ワイヤーパターン211’と交差しておらず、前記第一方向は第2の方向と互いに直交している。
図6を参照して、前記第2の金属ワイヤーパターン211’は第1の方向に間隔をあけて配置された第1の位置と第2の位置(
図6における上側位置と下側位置参照)を有し、前記第2の金属ワイヤーパターン211’が第2の方向に交互に配列されることは、第2の金属ワイヤーパターン211’が第2の方向に互いに平行かつ交互に第1の位置と第2の位置に位置することを意味する。
【0038】
例示的に、
図6に示すように、前記第1の金属ワイヤーパターン210’と前記第2の金属ワイヤーパターン211’といずれもストライプ状構造であってもよく、前記第1の金属ワイヤーパターン210’と前記第2の金属ワイヤーパターン211’を含む前記導電ワイヤーパターン21’は前記配線構造の前記第1の領域を構成する。具体的には、前記フレキシブル基底20に前記導電ワイヤーパターン21’を形成する場合、前記第2の領域(変曲点)の金属薄膜をエッチングして除去する。前記変曲点の金属薄膜のエッチング面積は実際の生じる応力の大きさに応じて決めてもよい。本実施形態では、前記配線構造の変曲点の挟角は直角である例のみを挙げ(すなわち、前記第1の方向と第2の方向は互いに直交する)、他の実施形態では、前記挟角さらに鈍角または鋭角であってもよい。当業者は上記説明に基づいて対応する前記金属ワイヤーパターンの分布状態を容易に取得することができ、なお一々説明しない。
【0039】
次に、前記基底に前記導電ワイヤーパターンと接続される金属ナノワイヤーパターンを形成し、前記金属ノナワイヤーパターンは前記配線構造の第2の領域を構成するステップS22を実行する。好適には、ナノ銀は、一般的な形態で銀白色金属であり、導電性に優れ、耐折り曲げ性能が強いため、本実施形態では、前記金属ナノワイヤーパターンは、銀ナノワイヤーパターンであることが好ましい。また、前記金属ノナワイヤーパターンは、他の金属ノナワイヤーパターンであってもよく、例えば、ナノ金(Au)、ナノ白金(PT)、ナノ銅(Cu)、ナノコバルト(Co)、ナノパラジウム(Pd)等であってもよい。具体的には、まず、銀ナノワイヤー層22を塗布して、前記銀ナノワイヤー層22は、
図7に示すように、露出した前記フレキシブル基板20と前記導電ワイヤーパターン21’を覆う。前記塗布の方法はインクジェット、散布、凹版印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ナノインプリント、スクリーン印刷、ドクターブレード塗布、スピンコート塗布、スタイラスコーティング(stylus plotting)、スリットコート塗布またはフローコート塗布を含むが、これらに限定されない。そして、前記配線構造における前記第2の領域の分布状態に応じて、
図8に示すように、前記第2の領域(変曲点)で銀ナノワイヤーパターン22’を形成するように、レーザーエッチングまたは機械的スクラッチ等の方法で一部の前記銀ナノワイヤー層を除去する。前記銀ナノワイヤーパターン22’は第1の金属ワイヤーパターン210’と第2の金属ワイヤーパターン211’と接続し、形成された前記配線構造は、前記第1の領域の導電ワイヤーパターン21’と、前記第2の領域の銀ナノワイヤーパターン22’とを含む。本実施形態では、前記銀ナノワイヤーパターン22’はV字形であり、前記V字形の挟角Pは直角であり、他の実施形態では、前記V字形の挟角Pは鈍角または鋭角であってもよい。また、他の実施形態では、前記銀ナノワイヤーパターン22’は、四角形(
図9に示す)、五角形(
図10に示す)、六角形(概略図省略)、または円孤形(
図11に示す)などであってもよい。そして、前記銀ナノワイヤーパターン22’は、V字形、四角形、五角形、六角形、円弧形等における2種類以上の図形の組み合わせであってもよい。
【0040】
また、前記実施形態は、設計された前記配線構造を折れ線構造とする例であり、別の実施形態では、前記配線構造を直線構造に設計してもよい。前記配線構造の金属ワイヤーのパターンが直線形である場合、折り曲げの過程において、前記配線構造において異なる領域が生じる応力も異なる。曲げ歪みの程度が高ければ高いほど応力が集中する。この場合、生じる応力が大きい領域に金属ノナワイヤーを用いて、他の領域に導電ワイヤーを用いることにより、前記配線構造の力学的信頼性を向上させることができる。当業者は、折れ線構造の配線構造の作製方法により、直線構造の配線構造の作製方法を容易に得ることができ、なお、詳細な説明しない。
【0041】
前記作製方法により形成される表示基板は、フレキシブル基底20と前記フレキシブル基底20に設けられる配線構造を含み、前記配線構造は、前記第1の領域の導電ワイヤーパターン2と前記第2の領域の銀ナノワイヤーパターン22’を含む。もちろん、本願は、前記作製方法によって前記表示基板を得るものに限定されるものではない。
【0042】
前記表示基板をフレキシブル表示装置に適用し、前記表示基板の配線構造の力学的信頼性を向上させるし、フレキシブル表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0043】
以上により、本願の配線構造は、相互に接続する応力集中が生じにくい第1の領域と、応力集中が生じやすい第2の領域とを含み、前記第2の領域に生じる応力は、前記第1の領域に生じる応力より大きくて、前記第1の領域は、導電ワイヤーを含み、前記第2の領域は、金属ノナワイヤーを含む。金属ノナワイヤーは好適な導電性能を有するだけでなく、好適な延性(耐折り曲げ特性)を有するため、生じる応力が大きい第2の領域に破断が生じにくい金属ノナワイヤーを設け、前記第2の領域が折り曲げられる過程で破断することを防止し、前記配線構造の力学的信頼性を効果的に向上させることができる。前記配線構造を含む表示基板を表示装置に適用し、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0044】
明らかに、当業者であれば、本願の精神及び範囲から逸脱しないで本願に様々な修正及び変更できる。このように、本願のこれらの修正および変更が、本発明の請求項およびその均等の技術の範囲に属する場合に、そのような修正および変更を含むことも意図される。