(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】リム缶可動子
(51)【国際特許分類】
B65G 47/68 20060101AFI20231130BHJP
B65G 47/74 20060101ALI20231130BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65G47/68 A
B65G47/74 B
B65G43/08 A
(21)【出願番号】P 2020517506
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018052025
(87)【国際公開番号】W WO2019078997
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-30
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラガン,ブライアント ジー.
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-174031(JP,A)
【文献】国際公開第2016/069190(WO,A1)
【文献】特開昭63-202261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/68
B65G 47/74
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶コンベアシステムであって、
第1の側面から第2の側面に延在する幅を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間の搬送経路に沿って缶を搬送する、コンベアと、
電磁束波を生成する、2組以上の重複するコイルを含む固定子であって、前記搬送経路に沿って、前記固定子を通過する前記缶内に電流を誘導し、前記電流が、前記電磁束波と相互作用して、前記缶を前記第1の側面および前記第2の側面のうちの少なくとも1つに向かって迂回させる力を生成する、固定子と、を備え、
前記2組以上の重複するコイルが、
前記搬送経路に沿って延在し、かつ前記コンベアの前記幅にわたって延在する第1の幅を有する第1の組のコイルと、
前記第1の組のコイルと重複する第2の組のコイルであって、前記第2の組のコイルが、前記搬送経路に沿って延在し、前記第1の幅未満の距離だけ前記コンベアの前記幅にわたって延在する、第2の幅を有する、第2の組のコイルと、を含み、
前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルによって生成されている前記電磁束波が、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルが重複する場所で最大磁界強度を有する磁界パターンを生成する、システム。
【請求項2】
前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルが、前記第1の側面と前記第2の側面との間の中間で最大磁界強度を有する磁界パターンを生成するために、前記コンベアの前記第1の側面と前記第2の側面との間の中心に集められている、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項3】
前記第2の組のコイルが、前記第1の側面のより近くに最大磁界強度を有する前記第1の側面に向かって歪んだ磁界パターンを生成するために、前記コンベアの前記第2の側面よりも前記コンベアの前記第1の側面により近くなっている、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項4】
前記2組以上の重複するコイルが、
第1の方向において、前記搬送経路の第1の分岐に沿って、上流端部から下流端部まで延在する第1の組のコイルと、
前記第1の方向に対して斜めの第2の方向において、前記搬送経路の第2の分岐に沿って、上流端部から下流端部まで延在する第2の組のコイルと、を含み、
前記第1の組のコイルと前記第2の組のコイルの重複が、前記下流端部よりも前記上流端部でより大きい、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項5】
一度に1組のみの前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルを通電するコイル制御装置をさらに備える、請求項4に記載の缶コンベアシステム。
【請求項6】
前記コイル制御装置が、缶によって前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルを、交互に通電する、請求項5に記載の缶コンベアシステム。
【請求項7】
前記コイル制御装置が、所定数の缶の通過後に、前記第1の組のコイルと前記第2の組のコイルを交互に通電する、請求項5に記載の缶コンベアシステム。
【請求項8】
前記缶内の不良を検出し、前記コイル制御装置に不良品信号を送信する、不良検出器をさらに備えて、不良缶を前記コンベアの前記第2の側面に迂回させるように、前記第2の組のコイルに通電する、請求項5に記載の缶コンベアシステム。
【請求項9】
単一のファイル内の缶を前記コンベアに供給する、送り込みコンベアをさらに備える、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項10】
前記2組以上の重複するコイルが、
前記搬送経路に沿って、上流端部から下流端部まで延在する第1の組のコイルと、
前記搬送経路に沿って、前記第1の組のコイルと平行な上流端部から下流端部まで延在する第2の組のコイルと、を含み、
前記第1の組および前記第2の組が、前記コンベアの前記第1の側面と前記第2の側面との間の中間で重複し、
前記第1の組の各コイルが、第1方向において、前記第1の側面および前記第2側面に対して斜めであり、前記第2の組の各コイルが、缶を前記第1の側面と前記第2の側面との間で中心に集めるために、前記下流端部に向かって前記第1の方向と合流する、第2の方向において、前記第1の側面と前記第2の側面に対して斜めである、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項11】
前記固定子が、並んで配置されている、重複するコイルの組の第1の対および第2の対を含み、各対が、
前記搬送経路に沿って延在する第1の組のコイルと、
前記第1の組の幅の一部分に沿って前記第1の組のコイルと重複する、第2の組のより狭いコイルであって、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルによって生成されている前記電磁束波が、前記第1の組のコイルと前記第2の組のコイルが重複する場所で最大磁界強度を有する磁界パターンを生成する、コイルと、を含み、
前記第1の対の第2の組のより狭いコイルが、前記第2の対よりも、前記コンベアの前記第1の側面により近い前記第1の対の前記第1の組のコイルに重複し、前記第2の対の前記第2の組のより狭いコイルが、前記第1の対よりも前記コンベアの前記第2の側面により近い前記第2の対の前記第1の組のコイルに重複して、前記コンベアの中心に向かって缶を方向転換させるために、前記コンベアの前記第1の側面と前記第2の側面付近の最大磁界強度を有する左右に歪んだ磁界パターンを生成する、請求項1に記載の缶コンベアシステム。
【請求項12】
缶コンベアシステムであって、
第1の側面から第2の側面に延在する幅を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間の搬送経路に沿って缶を搬送する、コンベアと、
1つ以上の組のコイルを含む固定子であって、各々が前記搬送経路に沿って、前記固定子を通過する前記缶内に電流を誘導する、磁界パターンおよび電磁束波を生成し、前記電流が、前記電磁束波と相互作用して、前記缶を前記第1の側面および前記第2の側面のうちの少なくとも1つに向かって迂回させる力を生成する、固定子と、を備え、
前記1つ以上の組のコイルによって生成されている前記磁界パターンが、前記第2の側面よりも前記第1の側面により近い最大磁界強度を有するように、前記コンベアの前記第1の側面に向かって歪められており、
前記1つ以上の組のコイルが、2組の重複するコイルを含み、前記コイルが、
前記搬送経路に沿って延在し、かつ前記コンベアの前記幅にわたって延在する第1の幅を有する第1の組のコイルと、
前記第1の組のコイルと重複する第2の組のコイルであって、前記第2の組のコイルが、前記搬送経路に沿って延在し、前記第1の幅未満の距離だけ前記コンベアの前記幅にわたって延在する、第2の幅を有する、第2の組のコイルと、を含み、
前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルによって生成されている前記電磁束波が、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルが重複する場所で最大磁界強度を有する磁界パターンを生成し、
前記第2の組のコイルが、前記第1の側面のより近くに最大磁界強度を有する前記第1の側面に向かって歪んだ磁界パターンを生成するために、前記コンベアの前記第2の側面よりも前記コンベアの前記第1の側面により近くなっている、システム。
【請求項13】
前記固定子が、一組のコイルが埋め込まれているポッティング材料を含み、前記ポッティング材料が、前記コンベアの前記第1の側面から前記コンベアの前記第2の側面に向かって濃度が減少する鉄材料を含んで、前記第1の側面に向かって前記磁界パターンを歪める、請求項12に記載の缶コンベアシステム。
【請求項14】
缶コンベアシステムであって、
第1の側面から第2の側面に延在する幅を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間の搬送経路に沿って缶を搬送する、コンベアと、
前記搬送経路の下に配設されている固定子であって、
前記搬送経路に沿った長さ、および前記第1の側面から前記第2の側面に向かって所定の幅で延在する第1の組のコイルと、
前記搬送経路に沿った長さで延在し、前記第2の側面から前記第1の側面に向かって所定の幅で延在する第2の組のコイルと、
前記第1の組のコイルを制御する第1のコイル制御装置と、前記第2の組のコイルを制御する第2のコイル制御装置と、
前記缶
を単一のファイルに制限する一対のサイドレールと、を含む、固定子と、を備え、
前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルが、前記搬送経路に沿って前記缶を推進する電磁束波を生成し、
前記第1のコイル制御装置および前記第2のコイル制御装置が、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルを、前記缶が前記搬送経路に沿って推進される際、前記缶を回転させるために異なる周波数で通電し、または回転を避けるために同じ周波数で通電し、
前記2組以上の重複するコイルが、
前記搬送経路に沿って延在し、かつ前記コンベアの前記幅にわたって延在する第1の幅を有する第1の組のコイルと、
前記第1の組のコイルと重複する第2の組のコイルであって、前記第2の組のコイルが、前記搬送経路に沿って延在し、前記第1の幅未満の距離だけ前記コンベアの前記幅にわたって延在する、第2の幅を有する、第2の組のコイルと、を含み、
前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルによって生成されている前記電磁束波が、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルが重複する場所で最大磁界強度を有する磁界パターンを生成する、システム。
【請求項15】
前記缶が前記固定子の上流の前記コンベア上を通過する際に、前記缶の各々の配向を判定し、各缶の前記配向を目標の配向と比較し、前記缶の配向と前記目標の配向との間の有向差の関数として、前記第1の組のコイルおよび前記第2の組のコイルの前記周波数を調節する、配向センサを備える、請求項14に記載の缶コンベアシステム。
【請求項16】
前記回転された缶が適切な配向になっているかをチェックするために、前記固定子の下流に第2の配向センサをさらに備える、請求項15に記載の缶コンベアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、動力駆動コンベアに関し、より具体的には、アルミ缶などの導電性物品を移動させるためにリニア誘導を使用するコンベアに関する。
【0002】
缶は、製造中に多くの操作を受ける。缶は、これらの操作の多くのために、正しく配向または位置決めされなくてはならない。缶は、洗浄と乾燥のためにまとめて梱包される。しかし、コーティングおよび装飾は、多くの場合、缶を単一のファイルで離間されることを必要とする。多くの場合、缶は、負荷の平準化または様々な装飾機への迂回のために、異なるコンベア間で切り替える必要があり得る。アルミ缶は、薄肉で、転倒やへこみが発生しやすいため、慎重に取り扱う必要がある。しかし、レールおよび押し工具を備えた従来型の缶コンベアは、直接接触により缶を倒したり、へこませたりする可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の特徴を具現化する缶コンベアシステムの1つのバージョンは、コンベアおよび固定子を備える。コンベアは、第1の側面から第2の側面まで延在する幅を有し、缶を第1の側面と第2の側面との間の搬送経路に沿って搬送する。固定子は、搬送経路に沿って、固定子を通過する缶に電流を誘導する電磁束波を生成する2組以上の重複するコイルを含む。電流は、電磁束波と相互作用して、缶を第1の側面および第2の側面の少なくとも1つに向かって迂回させる力を生成する。
【0004】
缶コンベアシステムの別のバージョンは、コンベアおよび固定子を備える。コンベアは、第1の側面から第2の側面まで延在する幅を有し、缶を第1の側面と第2の側面との間の搬送経路に沿って搬送する。固定子は、1つ以上の組のコイルを含み、各々は、搬送経路に沿って固定子を通過する缶に電流を誘導する電磁束波を生成する。電流は、電磁束波と相互作用して、缶を第1の側面および第2の側面の少なくとも1つに向かって迂回させる力を生成する。1つ以上の組のコイルによって生成される磁界パターンは、第2の側面よりも第1の側面により近い最大磁界強度を有するコンベアの第1の側面に向かって歪められる。
【0005】
缶コンベアシステムのさらに別のバージョンは、コンベア、固定子、第1および第2のコイル制御装置、並びに一対のサイドレールを備える。コンベアは、第1の側面から第2の側面まで延在する幅を有し、缶を第1の側面と第2の側面との間の搬送経路に沿って搬送する。固定子は、搬送経路の下に配設され、2組のコイルを含む。第1組のコイルは、搬送経路に沿った長さと、第1の側面から内向きの幅で延在する。第2組のコイルは、搬送経路に沿った長さで延在し、継ぎ目によって第1組から分離され、第2の側面から内向きの幅で延在する。第1のコイル制御装置は、第1組のコイルを制御し、第2のコイル制御装置は第2組のコイルを制御する。サイドレールは、缶を継ぎ目にまたがる単一のファイルに制限する。第1組のコイルおよび第2組のコイルは、搬送経路に沿って缶を推進する磁束波を生成する。第1のコイル制御装置および第2のコイル制御装置は、第1組のコイルおよび第2組のコイルを、缶が搬送経路に沿って推進される際、缶を回転させるために異なる周波数で通電し、または回転を避けるために同じ周波数で通電する。
【0006】
缶コンベアシステムのさらに別のバージョンは、コンベアベルトおよび固定子を備える。コンベアベルトは、第1の側面および第2の側面を有し、ベルトの移動方向に走る上部の搬送路に沿って缶の流れを搬送する。固定子は、コンベアベルトの中央部分に走る搬送路の下に配設され、ベルトの移動方向とは反対の方向に移動する電磁束波を生成する。電磁束波は、電磁束波と相互作用する固定子上を通過する缶内に電流を誘導して、ベルトの移動方向において缶の運動を妨げる力を生成し、コンベアベルトの第1の側面および第2の側面に向かって流れを迂回させ、かつ缶を展開する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは、リニア誘導モータ(LIM)固定子筐体の等角図であり、
図1Bは、電磁界パターンが示された
図1Aのような等角図であり、
図1Cは、
図1Aの筐体内に収容された固定子コイルの等角図である。
【
図2】
図2は、
図1Aのような固定子筐体を使用し、本発明の特徴を具現化する、缶スプレッダの等角図である。
【
図4】
図4は、本発明の特徴を具現化する缶ギャッパの等角図である。
【
図6】
図6は、
図5の缶ギャッパ内で使用される固定子筐体の等角図である。
【
図7】
図7は、段階的な鉄濃度によって引き起こされる段階的な電磁界パターンを備えたLIM固定子の等角図である。
【
図8】
図8は、ブーストコイルによって引き起こされる段階的な電磁界を備えたLIM固定子のコイルの等角図である。
【
図9】
図9は、
図7または
図8のような段階的な磁界LIM固定子の電磁界パターンの等角図である。
【
図10】
図10は、
図7または
図8のような段階的な磁界固定子を含む、本発明の特徴を具現化する缶アライナの等角図である。
【
図11】
図11は、缶レーナまたはスイッチで使用可能なLIM固定子の複合コイルの等角図である。
【
図12】
図12は、
図11のようなLIM固定子を含む、本発明の特徴を具現化する缶レーナの等角図である。
【
図14】
図14は、
図11のようなLIM固定子を使用する不良品を伴う缶QCステーションの等角図である。
【
図15】
図15は、中央ブーストコイルを備えるLIM固定子のコイルの等角図である。
【
図17】
図17は、缶を単一化するように構成されたLIM固定子のコイルの等角図である。
【
図19】
図19Aないし
図19Dは、本発明の特徴を具現化し、
図17のようなコイルを備えたLIM固定子を使用する缶シンギュレータの単一化シーケンスの等角図である。
【
図20】
図20は、缶を単一化するように構成されたLIM固定子の角度付きコイルの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
缶などの導電性物品を移動させるのに有用な固定子アセンブリ30が、
図1A~
図1Cに示される。固定子アセンブリ30は、直列の三相コイル34を収容する筐体32を含む。コイル34は、筐体32の長さに沿ってABC位相シーケンスで直線的に配置されている。すべてのAコイルは、電気的に直列に接続されて、A巻線を形成する。BコイルおよびCコイルも同様に、直列に接続されて、B巻線とC巻線を形成する。巻線は、従来の三相固定子コイル制御装置(図示せず)に接続される。制御装置はコイル34を駆動して、筐体32の長さに沿って進む電磁波を生成する。すべての固定子コイル34が、
図1Cでは同じであるため、それらは、固定子筐体32の幅にわたる強度または振幅が筐体の長手方向中心線37に関して対称である、均一な磁界パターン36を生成する。磁界強度は、筐体32の2つの外側よりも中心線37でわずかにより高い。三相コイル制御装置は、固定子筐体の長さに沿って伝搬する電磁波を生成する三相電流を伴う固定子コイル34を駆動する。進行する電磁波は、導電性のアルミ缶に電流を誘導する。誘導された電流は、固定子の磁界の反対の磁界を生成し、缶に対する反力を適用する。磁界強度が大きいほど、缶に対する反発力は大きくなる。このため、フォーサとして機能する、導電性缶は、固定子コイル34を有するリニア誘導モータ(LIM)を形成します。
【0009】
図2および
図3は、本発明の特徴を具現化する缶展開コンベアシステムを示す。缶スプレッダ39は、缶のための平坦な上面41を提供するコンベアベルト38の上部搬送路走行のすぐ下にある、
図1Aのようなリニア固定子アセンブリ30によって実現される。缶の流れ40は、別のコンベアベルトまたはチェーン若しくはLIM駆動コンベアなどの上流の送り込みコンベア44から移送プレート42にわたってコンベアベルト38上に供給される。搬送経路に沿ってベルトが進行する方向における、搬送方向46に前進する缶40が、LIM固定子30の上にあるとき、ベルト進行方向とは反対の方向に進行する固定子の電磁束波が、缶内に電流を誘導し、磁界および缶の前進運動を妨げる反発力を生成して、缶の流れをコンベアベルト38の第1の側面31および第2の側面33に向かって横方向に迂回させる。このようにして、缶40は、上流コンベア44上の狭いランクから下流ベルト38上の展開構造にまで展開する。
【0010】
図1A~
図1CのようなLIM固定子を使用し、本発明の特徴を具現化するギャップコンベア48は、
図4および
図5に示される。ギャッパ48は、缶40がしっかりと詰められているが、概してサイドレール52間の単一のファイルに制限される、上流の送り込みコンベア50を含む。LIM固定子54は、送り込みコンベア50と下流のコンベア56との間に能動的な移送プレートを形成する。位置センサ57は、送り込みコンベア50を出る缶40の存在を検出するようにプログラムされた、プロセッサ(図示せず)に位置信号を送る。位置センサ57を通過する缶40を検出すると、プロセッサは、三相固定子制御装置に信号を送信して、固定子54に通電する。代替的に、位置センサは、固定子制御装置が固定子54に連続的に通電することにより除去することができる。固定子54によって生成された進行電磁波は、缶40が固定子58(
図6)にわたって前進する際に、缶40を加速させる。送り込みコンベア50と搬出コンベア56との間の空間62内の移送に入る際の缶40の加速は、搬出コンベアに入る連続する缶の間にギャップ64を導入する。
図6に示されるように、固定子コイル(図示せず)は、ポリマーまたは鉄ポリマー組成物などのポッティング材料60に埋め込むことができる。固定子アセンブリは、リラクタンスを低下させ、固定子磁界の磁束密度を増加させるために、裏鉄プレート66を含むことができる。この構造は、同様に
図1Aの固定子アセンブリ30に適用される。
【0011】
図7および
図8は、
図9のように、固定子の磁界強度を片側に歪める2つの方法を示す。
図7の固定子コイルは、鉄濃度が、第1の側面72から横方向に反対の第2の側面73に減少する、ポリマー鉄複合材料70内に埋め込まれる。鉄の密度は、搬送方向46に走るポッティング70の長さを示す、線74の密度で表現される。第1の側面72での鉄のより高い濃度は、第2の側面73における磁界強度に対して、第1の側面72における磁界強度76を増加させる。
図8に示されるように、一組の均一な固定子コイル34に一組のブーストコイル78を追加することにより、代替的に同様の磁界パターンが生成される。三相ブーストコイル78は、より幅の広い固定子コイル34の幅未満の距離だけコンベアの幅にわたって延在する幅を有し、第2の側面73よりも第1の側面72の近くに位置し、固定子コイル34に重複する。このため、2組78、34のコイルが重複する場所での最大磁界強度で、第2の側面73における強度に対して、第1の側面72における固定子磁界強度76を増加させる。両方の技術が、第1の側面72に向かって歪み、中心線37の周りで固定子の幅にわたって非対称である、
図9の磁界パターンを生成する。
【0012】
図7の段階的な鉄濃度74または
図8のオフセットブーストコイル78のいずれかによって生成された非対称磁界パターン76は、
図10に示されるギャップアアライナで使用される。これらの技術のいずれかを使用する固定子80は、送り込みコンベア82と下流の搬出コンベア84との間に位置決めされて、缶40を介在空間86にわたって移送する。磁界強度が第1の側面72に歪んだ進行電磁固定子波は、缶40を、空間86の縦方向にわたって加速して、連続する缶間にギャップ88を導入することと、第2の側面73のサイドレール90に沿って横方向のアライメントに迂回させることと、の両方を行う。
【0013】
2組92、93の互いにかみ合った三相固定子コイルが、固定子91を形成して、
図11に示される。2組92、93は、互いに斜めに配置され、部分的に重複している。重複は、下流端部89よりも上流端部87でより大きい。通電されるとき、各組92、93は、搬送経路の第1の分岐に沿った第1の搬送方向94、または搬送経路の第2の分岐に沿った第2の搬送方向95において、伝播方向に缶を方向付ける電磁波を生成する。
【0014】
図12は、
図11の固定子91を使用した缶レーナ96を示す。送り込みコンベア98上の缶40は、搬送経路に沿って、固定子91にわたって、搬出コンベア100に移送される。送り込みコンベア98を出る缶40が位置センサ57によって検出されるとき、センサは、検出信号を固定子コイル制御装置に送り、固定子コイルの1つの組(92、
図11)または他の組(93、
図11)に通電する。レーナ96の場合、コイル制御装置は、缶毎に各組92、93を交互に通電して、連続する缶40を搬出コンベア100の反対側に方向付ける。
図12のレーナ96は、
図13に示されるように、スイッチコンベア102として代わりに動作することができる。物理的な構造は、同じである。違いは、固定子制御装置が、所定数の缶40を各側面に方向づけた後、固定子コイルの各組92、93を交互に通電することである。この実施例では、レーナ102は、反対側に切り替える前に、直列の5つの缶40を1つの側面に方向付けることが示される。
図12のレーナ96および
図13のスイッチ102の両方において、固定子の上流の位置センサ57は、固定子への缶40の近々の進入をプロセッサに通知する。次いで、プロセッサは、缶をコンベアの選択された側面に方向付けるために、固定子制御装置に信号を送信する。
図14は、不良検出器の一部としてカメラ106を使用する、品質管理(QC)ステーション104を示す。カメラ106は、送り込みコンベア98の出口に位置決めされ、ビデオ画像をプロセッサに送信する。プロセッサがビデオから不良缶40’を検出した場合、プロセッサは、固定子制御装置に不良品信号を送信して、不良缶を搬出コンベア100の第1の側面108に迂回させるために、固定子コイルの第1の組92を通電する。不良が検出されない場合、プロセッサは、コイル制御装置に通過信号を送信して、許容缶40を搬出コンベア100の第2の側面109に迂回させるために、固定子コイルの第2の組93を通電する。このようにして、不良品40’は、許容缶40から選別され、別の目的地に搬送される。また、カメラ106は、位置センサとしても使用することができる。
【0015】
図15は、幅の広いコイルの中心に沿って長手方向に延在する、重複する幅の狭いブーストコイルの組111が重ねられた幅の広いコイルの組110を示す。両方の組110、111が通電されると、
図16に示されるような磁界強度112がもたらされ、第1の側面113と第2の側面115との間の中間の固定子の中心線37に沿って最大である。缶がそのような固定子にわたって移送するとき、固定子の片側にわずかに届く缶は、固定子の上を前進する際に、その側に完全に迂回する。このため、固定子構成は、磁界強度が最も弱いコンベアの外側に沿って、缶をレーンに整列させるために使用される。
【0016】
図17の固定子コイル構成は、
図18に示されるような、磁界強度パターン114を生成する。固定子構成16は、
図8中のようなオフセット磁界ブーストコイル組120、121を有する、となり合った2対のコイル組118、119を備える。対118、119は両方とも、共に通電される。ブーストコイル組120、121は、各対118、119の外側に向かって位置決めされるため、磁界の強さは、同様に中心線から離れるほど大きくなる。このため、固定子構成116は、コンベアの中心に向かって横方向に迂回させることにより、缶を中央に配置する傾向がある磁界パターンを生成する。下流の均一磁界固定子コイル122は、缶を搬送方向46に推進するために、
図1Bのような対称磁界パターン124を生成する。
【0017】
図17の固定子構成116は、
図19A~
図19Dの缶シンギュレータ126で示される。
図19Aでは、缶40の塊が、
図17のように構成された固定子116を収容する固定子筐体128の上面に、送り込みコンベア125によって送り込まれる。
図19A~
図19Bのシーケンス内で示されるように、磁界ブーストコイルを備える、となり合った固定子は、缶40を中央に配置しつつ、それらを搬送方向130に搬出コンベア132に向かって推進する。固定子筐体128の下流部分134の均一磁界固定子コイル(122、
図17)は、缶40を前方に加速させて、連続する缶の間にギャップ136を入れる。
【0018】
缶をセンタリングするための別の固定子コイル構成138が、
図20に示される。2組140、141の固定子コイルが、平行に配置される。第1の組140の各コイルは、第1の方向142に、固定子138の側面137、139に対して斜めに配置され、第2の組141の各コイルは、異なる第2の方向143に、固定子の側面に対して斜めに配置される。各組140、141は、同じ駆動波形によって通電されて、缶を固定子構成138の中心に向かって押し進める収束搬送方向142、143に進行する、同相電磁波を生成する。
【0019】
図21Aおよび
図21Bに示されるように、缶40はまた、缶が回転する固定子構成において搬送方向146に沿って推進される際、垂直軸144の周りで回転することもできる。缶ターナ148は、カメラ150として示される、配向センサを含み、これは、継ぎ目161によって分離された2つのとなり合う均一な固定子コイル組156、157から構成される固定子154のすぐ上流の送り込みコンベア152に隣接して位置決めされる。サイドレール163は、コイル組156、157によって搬送経路に沿って推進される缶40を、継ぎ目161にまたがる単一のファイルに制限する。カメラ150は、撮像プログラムを実行するプロセッサによって使用される画像を生成して、装飾などの下流操作のために正しく配向されるように、回転させる必要のある缶40と、垂直軸144を中心に回転させる必要がある距離を検出する。このカメラはまた、缶がターナに入る時を判定するための位置センサとして使用することができる。プロセッサは、対応するコイル組156、157に各々接続された固定子コイル制御装置に命令して、上流の固定子コイル158を異なる周波数で駆動し、缶が固定子154に沿って搬送方向146において推進される際に缶40を回転させる。周波数差は、カメラ157によって生成された画像からプロセッサによって判定されるように、各缶により必要な回転度に依存する。コイル制御装置は、缶40の回転を避けるために、同じ周波数で2つのコイル組156、157を通電する。このため、カメラの画像を使用してプロセッサによって実行される配向検知は、各缶の実際の配向を目標の方向と比較し、実際の配向と目標の配向との有向差を判定し、2組のコイル156、157の通電周波数を、有向差の関数としてコイル制御装置を通して設定する。回転子固定子コイル158の下流の任意の第2のカメラ160は、通過する缶の画像を撮影して、缶ターナによる正しい回転のために缶をチェックする。下流の固定子コイル159は、同相で動作し、缶40をさらに回転させることなく搬送方向146において推進する。
【0020】
図22Aおよび
図22Bに示されるような缶端部ターナ
168は、
図21Aおよび
図21Bの缶ターナ148と同様に動作する固定子164を有する。缶端部166は、プルタブ172の角度位置を検出するために、缶端部を見下ろすカメラ170によって最初に撮像される。次に、固定子164は、
図21Aおよび
図21Bの固定子154と同じ方法で動作して、タブ172が、すべて下流処理のために整列するように、各缶端部166を正しい量で回転させる。
【0021】
詳細に説明されているさまざまな缶可動子のいくつかのバージョンでは、コイルの構成をわかりやすく示すために、固定子の筐体は示されていない。しかしながら、すべての場合において、固定子は、缶が沿って進むにつれて缶が摺動する、平らな上面を備えた筐体に収納される。平坦な上面は、固定子筐体と一体化することも、または固定子筐体の上にある低摩擦シートなどの別個の部品にすることもできる。または、固定子筐体は、
図2および
図3の缶スプレッダのように、平坦な上面を有するコンベアベルトの下に位置決めすることができる。導電性物品は便宜上アルミニウム缶として説明されているが、缶という用語は、説明および請求の目的のために定義され、缶以外では、アルミニウム瓶、およびフォーサを形成する他の軽量の導電性容器または製品を含み、およびフォーサを含み、LIMおよびコンベアシステムの一体部分を形成するトレイなどの介在する缶キャリアは含まない。