(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】抗寄生生物性ポアオン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/42 20060101AFI20231130BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20231130BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20231130BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231130BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231130BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231130BHJP
【FI】
A61K31/42
A61P33/14
A61P33/00
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/14
(21)【出願番号】P 2020533625
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2018086558
(87)【国際公開番号】W WO2019122324
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,ジョン・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】フリーホーフ,キース
(72)【発明者】
【氏名】フロシュライ-シゴニヤルト,アニー
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504586(JP,A)
【文献】国際公開第2009/156369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.5%~15%w/vの
フルララネル;
(b)5%~15%w/vのメントール;
(c)10%~50%w/vのイソプロピルアルコール;
(d)10%~40%w/vのピロリドン溶媒;及び、
(e)5%~80%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;を含む、
ウシ動物の寄生虫による侵襲の保護及び治療において使用するための液体ウシ用ポアオン組成物。
【請求項2】
前記組成物が、2%w/v、3%w/v又は5%w/vの
フルララネルを含み;そして、担体が、35%w/vのイソプロピルアルコール及び35%w/vの2-ピロリドンを含む、請求項1記載の
液体ウシ用ポアオン組成物。
【請求項3】
前記外部寄生虫による侵襲が、マダニ類及び/又はシラ
ミによる侵襲である、請求項1
又は2記載の
液体ウシ用ポアオン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物における寄生虫を防除するための獣医学的組成物、それらの組成物の寄生虫に対する使用、及び、動物における寄生虫の感染(infection)及び侵襲(infestation)を予防又は治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
数種類の害虫及び寄生虫は、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジのような家畜や、ネコやイヌのような伴侶動物に侵襲又は感染し得る。これらの害虫及び寄生虫は、動物とその所有者の両方にとって非常に迷惑である。
【0003】
動物の外部寄生虫、例えば、マダニ類、ダニ類、シラミ類及びハエ類などは、その動物を刺激し、そして、それら自体によって又はベクター伝染性病原体を運ぶことによって、疾患を引き起こし得る。ウシ又はヒツジのような家畜は、異なる寄生虫、例えば、マダニ類、ハジラミ類(biting lice)及びハジラミ類(chewing lice)、並びに、吸血性の(hematophage)サシバエ類及びクロバエ類の影響を受ける。
【0004】
ウシの特に重要な外部寄生虫は、マダニ類、例えば、オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)(ウシマダニ)及びケニア産コイタマダニ(R.decoloratus)及びリピセファルス・アニュラツス(R.annulatus)である。マダニ類による侵襲は、質の劣る皮革、羊毛又は羊の皮、質の劣る肉/組織、体重増加の低減及び乳生産の低減に起因して、家畜類において重大な経済的損失を引き起こし得る。
【0005】
さらに、マダニ類は、世界中で多くの疾患の伝染及び蔓延に関与している。それらは、細菌性(例えば、リケッチア)疾患、ウイルス性疾患及び原虫性疾患のキャリアであり、そして、マダニ麻痺及びマダニ中毒症を引き起こす。
【0006】
ヒツジ及び別の家畜は、シラミ類、クロバエ、マダニ類、ヘッドフライ(head fly)、ヒツジシラミバエ類及びヒツジ疥癬のような広範囲の外部寄生虫によって侵襲される。特に重要なのは、ヒツジクロバエ(sheep blow fly)、例えば、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)、ヒロズキンバエ(L.serircata)、ホホジロオビキンバエ(Chrysomyia rufifacies)及びクロバエの一種(Calliphora stygia)であり、これらの幼虫は、感染したヒツジで激しい苦痛及び生産性の損失を引き起こし得る寄生虫である。クロバエ類が活動的である年の特定の時期に、成体クロバエはヒツジに産卵する。これらの卵が孵化すると、その幼虫期は感染したヒツジの肉の摂食を開始し、ブローフライストライク(blow fly strike)又はヒツジ蠅蛆症として知られているものを引き起こす。
【0007】
動物、特に、家畜、例えば、ウシ及びヒツジへの殺寄生虫薬の投与は、極めて労働集約的な作業であり、そして、その動物のストレス及び体重減少の原因となる。それは、家畜の頻繁な措置を必要とし、そのような頻繁な措置は、特に、肥育場や牧草地では望ましくない。
【0008】
イソオキサゾリンで置換されているベンズアミド誘導体は、既知殺外部寄生虫薬である。
【0009】
イソオキサゾリンで置換されているベンズアミド誘導体は、獣医学的な殺虫用途及び殺ダニ用途に関する可能性を有する殺有害生物剤として、WO2005/085216(Nissan Chem. Ind.)に最初に記載され、その後、それらの殺寄生虫薬としての使用に関してさらに開発された。
【0010】
一方では、イソオキサゾリン系殺有害生物剤の多くの変異形が、例えば、以下のものに記載されている:WO2007/079162、WO2008/122375、WO2009/002809、WO2009/024541、WO2009/080250、WO2010/070068、WO2010/079077、WO2011/075591、WO2011/124998、WO2012/155352、WO2012/155676、WO2012/158396、WO2015/048371、WO2015/066277、及び、EP2865369。
【0011】
数種類のイソオキサゾリン系殺寄生虫薬が、外部寄生虫による侵襲の予防又は治療における獣医学的な使用に関して、具体的に記載されている。その例は、以下のものである:
フルララネル(CAS登録番号:864731-61-3)、アフォキソラネル(CAS RN:1093861-60-9)、ロチラネル(CAS RN:1369852-71-0)、及び、サロラネル(CAS RN:1398609-39-6)。
【0012】
イソオキサゾリン活性薬剤を単独で又は上記文献に記載されている別の活性薬剤と組み合わされて含む組成物が存在しているのにもかかわらず、特に家畜動物を外部寄生虫に対して保護するための、効果的な獣医学的組成物及び獣医学的方法が求められている。従って、本発明は、少なくとも1つの一般的な課題及び幾つかの特定の課題を解決する。
【0013】
最適な組成物は、効果的であるべきであり、頻繁な再施用の必要性を避けるために活性の迅速な発現及び活性の長い持続期間を有するべきであり、そして、宿主動物及び管理者にとって安全であるべきであり、そして、望ましい生物学的利用能及び望ましい適用範囲も有するべきである。
【0014】
さらに、最適な組成物は、施用が充分に容易であるべきであり、そして、降雨中の洗浄への制限された傾向を有すべきであり、濡れた動物に対して効果を保持しているべきであり、動物の外観を損なうことなく適切な期間内に乾くべきであり、動物の被毛に対して優しくあるべきであり、動物の皮膚に対する刺激が許容される程度であるべきであり、そして、太陽や水に晒されることのような動物の通常の活動を通して動物に対するその有効性を維持すべきである。
【0015】
家畜動物、例えば、ヒツジ、ウシ、及び、ヤギ、ブタ及びウマを含む別の動物における外部寄生虫を防除するためには、1種類以上の活性成分を含むポアオン組成物の局所施用を利用するのが一般的な方法である。
【0016】
全身性抗炎症性疾患を治療するためのNSAID化合物のポアオン獣医学的組成物は、US2013/0310372に記載されている。
【0017】
WO2012/089622及びWO2013/039948には、イソオキサゾリン化合物を局所投与するための組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】WO2005/085216
【文献】WO2007/079162
【文献】WO2008/122375
【文献】WO2009/002809
【文献】WO2009/024541
【文献】WO2009/080250
【文献】WO2010/070068
【文献】WO2010/079077
【文献】WO2011/075591
【文献】WO2011/124998
【文献】WO2012/155352
【文献】WO2012/155676
【文献】WO2012/158396
【文献】WO2015/048371
【文献】WO2015/066277
【文献】EP2865369
【文献】US2013/0310372
【文献】WO2012/089622
【文献】WO2013/039948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、当技術分野において求められているのは、上記で記載した欠点のうちの1以上を回避するイソオキサゾリン化合物の局所組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
【0021】
〔式中、
R
1=ハロゲン、CF
3、OCF
3又はCNであり;
n=0から3までの整数(3を含む)であり;
m=1又は2であり;
R
2=C
1-C
3ハロアルキルであり;
T=環構造:5員若しくは6員又は二環式であり、これは、1以上のラジカルYで置換されていてもよい;
Y=メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=Sであるか、又は、2つの隣接するラジカルYは一緒に鎖を形成し;
Q=X-NR
3R
4、NR
5-NR
6-X-R
3、X-R
3であるか、又は、1以上のラジカルで置換されていてもよい5員N-ヘテロアリール環であり;
X=CH
2、CH(CH
3)、CH(CN)、CO、CSであり;
R
3=水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアルキル、
【化2】
【0022】
であり;
ここで、
Z
A=水素、ハロゲン、シアノ又はハロメチル(CF
3)であり;
R
4=水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
R
5=H、アルキル又はハロアルキルであり;
R
6=H、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、ここで、R
3とR
4は、一緒に、
【化3】
【0023】
からなる群から選択される置換基を形成する〕
で表される少なくとも1種類のイソオキサゾリン化合物又はその薬学的に許容される塩を含む動物の寄生虫による侵襲の保護及び治療において使用するための獣医学的液体組成物であって、ここで、該組成物は、ポアオン又はスポットオンとして投与され、そして、少なくとも1種類の皮膚浸透増強剤及び溶媒系を含む薬学的に許容される担体を含み、ここで、皮膚浸透増強剤はメントールを含み、及び、溶媒系はピロリドン溶媒を含む、前記獣医学的液体組成物を対象とする。
【0024】
一実施形態では、溶媒系は、揮発性溶媒を含む。
【0025】
別の実施形態では、組成物は、グリセロールエステルを含む。
【0026】
一実施形態では、組成物は、スポットオンとして投与される。
【0027】
別の実施形態では、組成物は、ポアオンとして投与される。
【0028】
一実施形態では、本発明は、家畜動物、例えば、ウシ動物又はヒツジ動物を外部寄生虫による侵襲から保護する方法であって、該方法は、そのような保護を必要とする動物に有効投与量の本出願に記載されている獣医学的な液体状のポアオン組成物又はスポットオン組成物を投与することを含む。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、ウシ動物のマダニ、ダニ又はシラミ類による侵襲を治療する方法であって、該方法は、そのような治療を必要とする動物に有効投与量の本出願に記載されている獣医学的な液体状のポアオン組成物又はスポットオン組成物を投与することを含む。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、上記で記載されている方法のいずれかにおいて使用するための本出願中に記載されているポアオン組成物を投与する方法であって、ここで、該方法は、
(a) 組成物をプレスインボトル施用装置(press-in bottle application device)の中に組み入れ;そして、
(b) 投与を必要とする動物に有効量の該組成物をその動物の背部にポアオン投与によって投与する;ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本試験の第1日~第22日における、5mg/kg体重のフルララネルを含むポアオン組成物をマダニに侵襲されているウシに投与した場合に得られたウシにおける(オウシマダニ(Rhipicephalus microplus))に対する治療的なマダニ効力を示している。当該グラフは、第0日における、代替え的なポアオン組成物(表4 - No.71(T1)及びNo.74(T4))と比較した本発明による組成物No.72(T2)及びNo.73(T3)を示している。
【
図2】
図2は、本試験の第23日~第115日における、該ポアオン組成物をマダニに侵襲されているウシに投与した場合に得られたウシにおける(オウシマダニ(Rhipicephalus microplus))に対する長期マダニ効力を示している。
【
図3】
図3は、上記
図1及び
図2から得られた1日当たりのマダニの防除(%)に関する情報と血液中のフルララネルの血漿濃度の組み合わせを1つのグラフで示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、少なくとも1種類のイソオキサゾリン化合物を単独で又は別の活性薬剤と組み合わされて含む獣医学的液体組成物、及び、家畜動物の寄生虫を防除するためのそれらの使用を提供する。
【0033】
従って、本発明の目的は、本発明のポアオン組成物又はスポットオン組成物を投与することによる、家畜動物、特に、ウシ及びヒツジにおける寄生虫、特に、外部寄生虫による感染又は侵襲を予防、治療及び防除する方法を提供することである。
【0034】
有利なポアオン又はスポットオンの獣医学的な施用は、単回投与で、長期間にわたって、好ましくは、21日間以上にわたって、治療された動物に有効な保護を提供することを可能とするものであろう。有効性の持続期間に加えて、医薬組成物の技術的特徴、例えば、施用の容易さ(適用性/粘度)、副作用(局所耐性)及び動物体内(特に、家畜体内)における残留物は、重要な特徴である。
【0035】
本発明によれば、本発明の組成物は、一般に、そのような有益な技術的特徴のうちの1つ以上を示すことが見いだされた。
【0036】
加えて、そのような組成物の単回投与は、一般に、1種類以上の外部寄生虫に対して強力な活性を示し、一方、活性の迅速な発現、活性の長い持続期間並びに/又は宿主動物及び動物の管理者に対する望ましい安全性プロフィールも提供する傾向があるということが見いだされた。
【0037】
そのようなポアオン組成物又はスポットオン組成物は、驚くべきことに、(化学的に)安定であること、即ち、活性成分が分解しないこと及び賦形剤に起因する不適合性がないことが見いだされた。さらに、該組成物は、上記動物への投与が容易である。
【0038】
表現「ポアオン」は、計量カップ又は噴出ボトル又は自動マイクロスプレー装置のような適切な装置を用いて、動物に対して局所的に(topically)及び局所的に(locally)施用されることが意図されている即時使用可能な(ready-to-use)濃厚物を表すということは理解される。
【0039】
ポアオン組成物は、典型的には、動物の背側正中線(背部)又は肩に沿って、1本若しくは数本のラインに、又は、スポットオンに注ぐことによって施用する。さらに典型的には、組成物は、脊椎に続いて、動物の背部に沿って注ぐことによって施用する。
【0040】
そのようなポアオン投与によって、治療対象の動物の皮膚上に少量の組成物を直接施用することが可能となり、それによって、当該活性成分は、その動物の外表面全体を保護するように移動し(拡展し)、そして、必要に応じて、当該活性成分は(その分子に応じて)皮膚に浸透してその体内に入り経皮的に作用する。好ましくは、有効な血中レベルは、本発明の組成物を投与することによって得られる。ウシの皮膚は、経皮投与が特に困難であることが知られている。従って、本発明の組成物をポアオン投与又はスポットオン投与した後で有効な血中レベルが得られるということは予想外であった。さらに予想外であったのはその保護の持続期間である。従って、一実施形態では、本発明の組成物は、ウシに投与され、そして、2週間を超えて、好ましくは4週間を超えて、さらに好ましくは6週間、8週間、10週間又は12週間を超えてウシ動物を外部寄生虫から保護する。
【0041】
ポアオン組成物は、液体、エマルション、泡状物、ペースト、エアロゾル、軟膏(ointment)、軟膏(salve)又はゲルの形態であり得る。典型的な組成物は、液体投与形態又は半液体投与形態である。典型的には、ポアオン組成物は液体であり、そして、投与後に動物の毛皮/皮膚に充分に付着することによって動物の毛皮又は皮膚からの流出を防止するのに充分な粘度を有し、容易に投与することができ、例えば、さまざまな温度で容器から正確な量を放出可能である。
【0042】
ポアオン組成物として適切であると考えられる液体投与形態は、一般に、溶液、懸濁液又はエマルションである。溶液は、分子レベルまで均質な単一相を形成する2種類以上の成分の混合物である。懸濁液は、液体媒体中に分散された不溶性の固体粒子からなり、その固体粒子は懸濁液の約0.5%~約30%を占める。該液体は、水性、油性又はその両方であり得る。エマルションは、混和しない液体が別の液体に不均一な分散物であり;それは、安定性用の乳化剤に依存する。
【0043】
ポアオンとしてうまく製剤するためには、動物の皮膚が充分な耐容性を示す適切な溶媒の中に溶解、分散又は乳化させたときに、化合物が活性を示すことが必要である。
【0044】
好ましくは、ウシ動物に対しては、動物1匹当たり30mL以下の体積のポアオン組成物を、ヒツジ動物に対しては、動物1匹あたり10mL以下の体積のポアオン組成物を投与する。一実施形態では、該組成物は、粘度増大成分を含有する。ポアオン組成物は、一実施形態では、活性成分の溶液である。一実施形態では、該ポアオン溶液は、50%w/vの活性成分、イソオキサゾリン化合物、特に、フルララネルを含む。別の実施形態では、活性成分の濃度は、40~50%w/vである。別の実施形態では、該濃度は、30~40%である。本発明による組成物は、当該活性成分の沈澱がなく、そして、スポットオン又はポアオンによる投与後に有効な血中レベルをもたらすという利点を有している。
【0045】
表現「スポットオン」は、ピペット又はシリンジのような適切な装置を用いて、低用量で当該動物に対して局所的に(topically)及び局所的に(locally)施用されることが意図されている即時使用可能な(ready-to-use)濃厚物を表すということは理解される。代替え的には、マルチドーズアプリケーターが使用される。
【0046】
該スポットオン組成物は、典型的には、動物の背側正中線(背部)又は肩に沿って1つ又は幾つかのスポットを投与することによって施用する。より典型的には、該組成物は、動物の肩の間のスポットとして施用する。好ましくは、ヒツジ動物に対しては、動物1匹あたり10mL以下の体積のスポットオン組成物を、ウシ動物に対しては、動物1匹当たり30mL以下の体積のスポットオン組成物を投与する。スポットオン組成物は、一実施形態では、活性成分の溶液である。一実施形態では、該スポットオン溶液は、50%w/vの活性成分、イソオキサゾリン化合物、特に、フルララネルを含む。別の実施形態では、活性成分の濃度は、40~50%w/vである。別の実施形態では、該濃度は、20~40%である。本発明による組成物は、当該活性成分の沈澱がなく、そして、スポットオン又はポアオンによる投与後に有効な血中レベルをもたらすという利点を有している。
【0047】
代替え的な実施形態では、特にヒツジの場合、1~10%w/vの濃度の有効成分をヒツジに施用する。好ましくは2~8%w/v、さらに好ましくは2.5~5%w/vである。
【0048】
そのようなスポットオン投与によって、治療されている動物の皮膚の表面に少量の組成物を直接施用することを可能となり、それによって、当該活性成分は、その動物の外表面全体を保護するように移動し(拡展し)、そして、必要に応じて、当該活性成分は(その分子に応じて)皮膚に浸透してその体内に入り、経皮的に作用する。
【0049】
スポットオン組成物は、液体、エマルション、泡状物、エアロゾル、軟膏(ointment)、軟膏(salve)又はゲルの形態であり得る。典型的な組成物は、液体投与形態又は半液体投与形態である。典型的には、スポットオン組成物は液体であり、そして、投与後に動物の毛皮/皮膚に充分に付着することによって動物の毛皮又は皮膚からの流出を防止するのに充分な粘度を有し、容易に投与することが可能であり、例えば、さまざまな温度で容器から正確な量を放出可能である。
【0050】
スポットオン組成物として適切であると考えられる液体投与形態は、一般に、溶液、懸濁液又はエマルションである。溶液は、分子レベルまで均質な単一相を形成する2種類以上の成分の混合物である。懸濁液は、液体媒体中に分散された不溶性の固体粒子からなり、その固体粒子は懸濁液の約0.5%~約30%を占める。該液体は、水性、油性又はその両方であり得る。エマルションは、混和しない液体が別の液体に不均一に分散したものであり;それは、安定性用の乳化剤に依存する。
【0051】
ポアオン又はスポットオンとしてうまく製剤するためには、動物の皮膚が充分な耐容性を示す適切な溶媒の中に溶解、分散又は乳化させたときに、化合物が活性を示すことが必要である。
【0052】
経皮的活性が望まれる場合、当該化合物は、動物の皮膚を通して容易に吸収され得るべきであり、及び、その組成物は、全体として動物の体全体に充分に分散又は拡展すべきであり、そして、そのように拡展したとき、比較的低い粘度を有するべきである。
【0053】
さらにまた、各化合物は、特別に考慮することが必要で且つ使用可能な溶媒、希釈剤、安定化剤及び別の賦形剤のタイプを制限する独自の化学的特性及び物理的特性を有しているということは、認識しなくてはならない。
【0054】
しかしながら、ポアオン経皮組成物を達成しようとするときに直面する1つの困難は、皮膚が薬物送達に関して「ブラックボックス」として記載されてきたという事実である。これは、表皮を通過する薬物の浸透とその下層への分配のメカニズムに関する知識が不足していることに起因する。これまで、そのような特性に関する境界は定義されていない;そのことが、どのような化合物が経皮的に効果的に送達され得るのかということについて予測することを極めて困難にしている。
【0055】
1種類の化合物を送達するのに効果的な経皮システムは、殆どの場合、別の化合物では効果がない。また、1つの種で機能するシステム及び装置は、通常、別の種では効果がない。さらに、角質層のバリアが存在していることにより、皮膚を通る大部分の移動は、通常、急速で大量の全身的な吸収にとっては遅すぎる。このことは、ヒトが使用するための市販されている経皮製品の極めて少数しか、即時薬物送達又は長時間作用のために設計されていない理由を説明する。ヒトにおいて機能する経皮薬物は、殆どの場合、毛皮を有する動物、特に、ウシ亜科の動物、例えば、ウシには適していない。ウシの皮膚は、経皮組成物にとって非常に挑戦的であることが分かっている。従って、一実施形態は、ウシ用のポアオン組成物又はスポットオン組成物である。
【0056】
本発明による組成物は、イソオキサゾリン化合物が皮膚に浸透し、身体の別の部分(例えば、全身)に作用することを可能にするか又は容易にする。そのようなポアオン組成物又はスポットオン組成物は、イソオキサゾリンを獣医学的に又は薬学的に許容される適切な担体に溶解、懸濁又は乳化させることによって調製することができる。
【0057】
本発明による組成物は、濡れた動物から流出するという又は治療後に起こる降雨によって洗い流されるという不利点を回避する。水と接触すると、当該活性成分は、水混和性溶媒に基づく従来の組成物から急速に沈澱する。この組成物が濡れた動物に施用された場合、又は、処理が動物の表面上で乾燥する前に動物が雨に晒された場合、活性成分が溶液から沈澱し、そして、その動物の背部に沿って堆積し、その溶媒も雨によって洗い流される。これは、(必要に応じた)経皮吸収を妨害又は防止し、及び、動物全体への活性成分の拡展を妨害又は防止する。この現象は、動物の下側の領域で特に重要である。これは、これらの条件下において、有効性を低減させ得る。
【0058】
現実的には、ウシ又はヒツジ、特に、ウシに対して農場で使用するために設計された理想的な獣医学的組成物は、30℃で、少なくとも12ヶ月、好ましくは、24ヶ月の貯蔵寿命を有するべきであり、その際、その貯蔵寿命を達成するために過剰量は必要ではない。
【0059】
「薬学的又は獣医学的に許容される担体」は、一般的に安全で無毒性であり且つ生物学的にもその他の点でも望ましくないことがない、医薬組成物の調製において有用な担体を意味し、そして、獣医学的用途又は医薬的用途に関して許容される担体を包含する。
【0060】
一部の実施形態では、局所獣医学的組成物は、薬学的に許容される担体を含み、ここで、担体は、少なくとも1種類の溶媒及び少なくとも1種類の浸透増強剤を含む。
【0061】
本発明における使用に関し、「イソオキサゾリン」又は「イソオキサゾリン化合物」は、以下の化合物である:
【化4】
【0062】
ここで、
R
1=ハロゲン、CF
3、OCF
3又はCNであり;
n=0から3までの整数(3を含む)であり;
m=1又は2であり;
R
2=C
1-C
3ハロアルキルであり;
T=環構造:5員若しくは6員又は二環式であり、これは、1以上のラジカルYで置換されていてもよい;
Y=メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=Sであるか、又は、2つの隣接するラジカルYは一緒に鎖を形成し;
Q=X-NR
3R
4、NR
5-NR
6-X-R
3、X-R
3であるか、又は、1以上のラジカルで置換されていてもよい5員N-ヘテロアリール環であり;
X=CH
2、CH(CH
3)、CH(CN)、CO、CSであり;
R
3=水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアルキル、
【化5】
【0063】
であり;
ここで、
Z
A=水素、ハロゲン、シアノ又はハロメチル(CF
3)であり;
R
4=水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
R
5=H、アルキル又はハロアルキルであり;
R
6=H、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、ここで、R
3とR
4は、一緒に、
【化6】
【0064】
からなる群から選択される置換基を形成する。
【0065】
【0066】
から選択され;
ここで、T-1、T-3及びT-4においては、ラジカルY=水素、ハロゲン、メチル、ハロメチル、エチル又はハロエチルである。
【0067】
【0068】
から選択され;
ここで、R
3、R
4、X及びZ
Aは、上記で定義されているとおりであり;そして、
Z
B=
【化9】
【0069】
【0070】
である。
【0071】
一実施形態では、式(I)で表されるイソオキサゾリンにおいては、(R
1)
n、R
2、R
3、R
4、T、Y,Q、Z及びXは、表1において与えられているとおりである。
【表1】
【0072】
一実施形態では、式(I)で表されるイソオキサゾリンにおいては、(R
1)
n、R
2、R
3、R
4、T、Y,Q、Z及びXは、表2において与えられているとおりである。
【表2】
【0073】
一実施形態では、本発明において使用するためのイソオキサゾリンは、化合物:
【化10】
【0074】
であり、ここで、R1a、R1b、R1cは、互いに独立して、水素、Cl又はCF3である。
【0075】
好ましくは、R
1a及びR
1cは、Cl又はCF
3であり、R
1bは、水素であり;
Tは、
【化11】
【0076】
であり、ここで、Yは、メチル、臭素、Cl、F、CN又はC(S)NH2であり;n=1又は2であり;そして、Qは、上記で記載されているとおりである。
【0077】
本明細書中で定義されているイソオキサゾリンの一実施形態では、R3はHであり、そして、R4は、-CH2-C(O)-NH-CH2-CF3、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH3、-CH2-CH2-CF3又は-CH2-CF3である。
【0078】
本発明による医薬組成物の好ましい実施形態では、イソオキサゾリンは、以下のものからなる群から選択される1種類以上である:
・ フルララネル、アフォキソラネル、ロチラネル、サロラネル;
・ (Z)-4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN:928789-76-8);
・ 4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド(CAS RN:1164267-94-0)[これは、WO2009/0080250に開示されている];及び、
・ 5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(CAS RN:1231754-09-8)[これは、WO2010/070068に開示されている]。
【0079】
従って、本発明による医薬組成物の好ましい実施形態では、イソオキサゾリンは、以下のものからなる群から選択される1種類以上である:フルララネル、アフォキソラネル、ロチラネル及びサロラネル。
【0080】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、フルララネルである。本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、アフォキソラネルである。本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、ロチラネルである。本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、サロラネルである。
【0081】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、(Z)-4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN:928789-76-8)である。
【0082】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド(CAS RN:1164267-94-0)[これは、WO2009/0080250に開示されている]である。
【0083】
本発明による医薬組成物の一実施形態では、イソオキサゾリンは、5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(CAS RN:1231754-09-8)[これは、WO2010/070068に開示されている]である。
【0084】
本発明による医薬組成物のさらに好ましい実施形態では、イソオキサゾリンは、フルララネルである。フルララネルは、局所投与後に、ウシ及びヒツジにおける外部寄生虫に対して延長された効力を示した。これは、殺寄生虫効果の優れた効力及び優れた持続期間を示した。
【0085】
本発明において使用するためのイソオキサゾリンは、その薬学的に許容される塩、エステル及び/又はN-オキシドも包含する。
【0086】
式(I)又は式(II)で表されるイソオキサゾリン化合物の薬学的に許容される塩は、その塩の物理的特性(例えば、異なる温度及び湿度における薬学的な安定性;結晶特性;及び/又は、水、油若しくは別の溶媒の中の望ましい溶解度)のうちの1つ以上に起因して有利であり得る。酸塩及び塩基塩は、典型的には、例えば、当技術分野で既知の様々な方法を使用して、当該化合物をそれぞれ酸又は塩基と混合させることによって形成させることができる。
【0087】
さらに、イソオキサゾリン化合物への言及は、その多形形態又は立体異性体のいずれにも等しく当てはまる。
【0088】
イソオキサゾリン化合物は、様々な異性体形態で存在し得る。本発明による化合物、その中間体及び本発明による使用に対応する化合物への言及は、常に、そのような化合物の全ての可能な異性体形態を包含する。
【0089】
一実施形態では、イソオキサゾリン化合物のラセミ形態が本発明による組成物の中に存在している。別の実施形態では、S-エナンチオマーが存在している。特定の実施形態では、フルララネルのS-エナンチオマーが存在している。
【0090】
イソオキサゾリンは、標準的な機器及び手順を使用して、液体クロマトグラフィーで検出及び定量化することができる。
【0091】
一実施形態では、イソオキサゾリン活性薬剤は、約0.5~約25%(w/v)の濃度で組成物中に存在している。本発明の一部の実施形態では、イソオキサゾリン活性薬剤は、約1~約20%(w/v)、約1~約10%(w/v)、約2~約8%(w/v)、又は、約2%(w/v)、約3%(w/v)、約4%(w/v)若しくは約5%(w/v)の濃度で組成物中に存在している。
【0092】
別の実施形態では、イソオキサゾリン活性薬剤は、約25%w/v及び約50%w/vの濃度で組成物中に存在している。別の実施形態では、濃度は、20~40%(w/v)である。
【0093】
別の実施形態では、イソオキサゾリン活性薬剤は、約1~約6%(w/v)、約2~約5%(w/v)又は約5%(w/v)の濃度で組成物中に存在している。
【0094】
追加の活性成分
別の実施形態では、組成物は、さらに、1種類以上の追加の活性薬剤を含んでいてもよい。一実施形態では、組成物は、少なくとも1種類の大環状ラクトン系活性薬剤を含み、ここで、大環状ラクトン系活性薬剤としては、限定するものではないが、アベルメクチン類又はミルベマイシン類を含む。一部の実施形態では、アベルメクチン活性薬剤又はミルベマイシン活性薬剤は、エプリノメクチン、アバメクチン、イベルメクチン、セラメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシンD、ミルベマイシンオキシム又はモキシデクチンである。
【0095】
一実施形態では、組成物は、1種類以上のイソオキサゾリン化合物及びエプリノメクチンを含む。特定の実施形態では、本発明による組成物は、フルララネル及びエプリノメクチンを含む。
【0096】
一実施形態では、組成物は、フルララネルとエプリノメクチンの組み合わせ又はフルララネルとモキシデクチンの組み合わせを含む。一実施形態では、組成物は、アフォキソラネルとエプリノメクチンの組み合わせ又はアフォキソラネルとモキシデクチンの組み合わせを含む。一実施形態では、組成物は、サロラネルとエプリノメクチンの組み合わせ又はサロラネルとモキシデクチンの組み合わせを含む。一実施形態では、組成物は、ロチラネルとエプリノメクチンの組み合わせ又はロチラネルとモキシデクチンの組み合わせを含む。
【0097】
別の実施形態では、本発明の局所用組成物は、本出願において記載されているイソオキサゾリン活性薬剤と昆虫成長調節剤(IGR)活性薬剤の組み合わせを含む。好ましくは、IGR殺虫剤は、ジフルベンズロン、ジシクラニル、ルフェヌロン、ノバルロン、トリフルムロン及びシロマジンのうちの1種類以上から選択される。
【0098】
別の実施形態では、本発明の局所用組成物は、本出願において記載されているイソオキサゾリン活性薬剤と別の(1種類以上の)殺外部寄生虫剤化合物(類)の組み合わせを含む。一実施形態では、そのような殺外部寄生虫剤化合物は、ピレスロイドである。特定の実施形態では、本発明の局所用組成物は、フルララネル、アフォキソラネル、サロラネル又はロチラネルとピレスロイドとの組み合わせ、特に、デルタメトリン若しくはシペルメトリンとの組み合わせ、フルメトリン若しくはペルメトリンとの組み合わせ、又は、レスメトリン若しくはラムダ-シハロトリンとの組み合わせ、又は、それらの組み合わせを含む。特定の好ましい実施形態では、組成物は、フルララネルとデルタメトリンの組み合わせを含む。別の好ましい実施形態は、アフォキソラネルとデルタメトリンを含む。
【0099】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、アベルメクチン又はミルベマイシン、及び、少なくとも1種類の殺内部寄生虫剤、例えば、チアベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、フェンベンダゾール、フルベンダゾール、オキシフェンダゾール、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール、デルカンテル、フェバンテル、レバミソール、ピランテル、オキサンテル、エモデプシド、モネパンテル、アテロカンテル、モランテル、プラジカンテル、エプシプランテル、クロサンテル、クロルスロン、ラフォキサニド及びニトロキシニルを含む。
【0100】
一般に、追加の活性薬剤は、約0.1%~約50%w/vの量で組成物に含まれている。より典型的には、追加の活性薬剤は、約0.5%~約25%w/v、約又は約1%~約10%w/vの量で含まれ得る。
【0101】
本発明の別の実施形態では、追加の活性薬剤(例えば、上記で記載されている追加の活性薬剤)は、動物の体重1kg当たり約5μg~約50mgの投与量を送達するために組成物に含ませることができる。別の実施形態では、追加の活性薬剤は、動物の体重1kg当たり、約0.01mg~約30mg、約0.1mg~約20mg又は約0.1mg~約10mgの投与量を送達するのに充分な量で存在することができる。別の実施形態では、追加の活性薬剤は、動物の体重1kg当たり、約5μg~約200μg又は約0.1mg~約1mgの投与量で存在することができる。本発明のさらに別の実施形態では、追加の活性薬剤(類)のうちのいずれか1種類が、約0.5mg/kg~約50mg/kgの投与量で含まれている。
【0102】
活性薬剤がポアオン投与後に局所的に又は経皮的に分配される能力は、その化合物の物理化学的特性及び当該組成物の非活性賦形剤の両方に依存するということは理解されるであろう。
【0103】
経皮分布に影響を与える非活性賦形剤の例は、皮膚浸透増強剤又は「浸透増強剤」である。これらは、典型的には、活性化合物を経皮的に送達するように設計された組成物において使用される。
【0104】
皮膚浸透増強剤(又は浸透増強剤)は、化合物が皮膚を通って血流、別の体液(リンパ液)及び/又は体組織(脂肪組織)に吸収又は浸透されるのを促進する薬学的に許容される担体である。
【0105】
本発明による組成物は、皮膚浸透増強剤としてメントールを含む。
【0106】
メントールは、2種類のエナンチオマーのうちの1種類、又はラセミ化合物として利用することができる。天然に存在する物質は、左旋性の形態の(-)-メントール(又は、l-メントール)である。合成メントールは、ラセミ体で、等量の(-)-メントールと(+)-メントール(又は、d-メントール)からなる。好ましくは、レボメントールEP(ヨーロッパ薬局方)又はl-メントール(USP)を、本発明の組成物において使用する。あるいは、別のテルペノイド類、例えば、ユーカリプトール、ショウノウ、d-リモネン、ネロリドール、1-8シネオール及びそれらの混合物などが、当該組成物の中に付加的に存在している。あるいは、メントールとユーカリプトールの組み合わせを使用する。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、メントールは、組成物の約2~約20%w/vの量で存在しており、特に、約5~約15%w/v、又は、特に、約6~約12%w/v、又は、約10%w/vの量で存在している。
【0108】
一実施形態では、本発明の経皮液体調製物は、2種類以上の皮膚浸透増強剤を含む。
【0109】
浸透増強剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ミリスチン酸イソプロピル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、シリコーン油、脂肪族エステル類、トリグリセリド類、及び、脂肪アルコール類、ピロリドン類、エタノール、プロピレングリコール、酢酸エチル、ジメチルアセトアミドのような特定の溶媒、および、角質層のバリア機能を破壊することが可能なものを包含するさまざまなクラスの化合物を構成する。
【0110】
適切な皮膚浸透増強剤の非限定的な例としては、限定するものではないが、以下のものを含む:テルペノイド類、例えば、メントール、ユーカリプトール、ショウノウ、d-リモネン、ネロリドール、1-8シネオール及びそれらの混合物、飽和又は不飽和の脂肪酸エステル、又は、プロピレングリコールのジエステル、又は、グリセロールのエステル、ジエステル又はトリエステル、飽和又は不飽和の脂肪酸、飽和又は不飽和の脂肪アルコール、キシレン、ミリスチン酸イソプロピル又はそれらの混合物。
【0111】
特に、皮膚浸透増強剤は、メントールとキシレン及び/又はd-リモネン及び/又はミリスチン酸イソプロピルの組み合わせである。一実施形態では、皮膚浸透増強剤は、メントール又はユーカリプトール又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、皮膚浸透増強剤は、メントールである。
【0112】
別の物質も、同様に、皮膚を通る特定の活性薬剤の流動を増大させることが示されている。これらのものとしては、以下のものを含む:親油性化合物、例えば、ラウロカプラム(Azone);脂肪酸又はアルコール、例えば、オレイン酸、オレイルアルコール、リノール酸など;特定の脂肪酸エステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ノナン酸メチル、カプリン酸メチルなど。特定の浸透増強剤とプロピレングリコールの混合物も、特定の活性成分の送達を向上させることが知られている。
【0113】
別の浸透増強剤は、ジメチルイソソルビド及びグリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME、Transcutolr(登録商標))、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルである。
【0114】
本発明の特定の実施形態では、皮膚浸透増強剤は、経皮液体調製物の約2~約90%w/vの量で存在しており、特に、約5~約80%w/v、又は、特に、約10~約70%w/vの量で存在している。一実施形態では、メントールは、10%w/vで存在している。別の実施形態では、メントールは、約10%w/vで存在しており、及び、ユーカリプトールは、10%w/vで存在している。
【0115】
任意の第2の皮膚浸透増強剤は、特に、経皮液体調製物の約2~約70%w/vの量で存在しており、特に、約5~約50%w/v、又は、さらに特に、約10~約40%w/vの量で存在している。
【0116】
薬学的に許容される担体は、組成物の技術分野で一般的に使用される適切な担体又は希釈剤(これは、溶媒又は溶媒の混合物を包含する)を含む溶媒系を含む。
【0117】
局所用組成物に適した特定の溶媒は、良好な拡展性を有するとして特徴付けることができるが、局所用組成物のための別の溶媒は、活性薬剤が皮膚バリアを通って体循環の中に浸透するのを増強する能力によって特徴付けることができる。
【0118】
本発明の特定の実施形態では、組成物は、組成物の拡展能力及び/又は浸透増強能力を増強する溶媒の混合物を含有する。
【0119】
本発明の特定の組成物において、溶媒は、経皮液体調製物の約10~約90重量%の量で存在し、特に、約20~約80%w/v、約25~約70%w/v、約70%w/v、60%w/vの量である。
【0120】
一実施形態では、溶媒系は、少なくとも1種類のピロリドン溶媒及び少なくとも1種類の揮発性溶媒、特に、揮発性アルコール溶媒を含む。
【0121】
別の実施形態では、溶媒系は、揮発性溶媒の代わりに又は揮発性溶媒に加えて、グリセロールエステル、プロピレングリコールエステル又は別の不揮発性溶媒のうちの1種類以上を含む。
【0122】
別の実施形態では、溶媒系は、グリセロールエステル、プロピレングリコールエステルのうちの1種類以上を含む。
【0123】
本発明の実施形態では、ピロリドン溶媒は、組成物の約5~約50%w/vの量で存在しており、特に、約5~約40%w/v、又は、特に、約5%w/v、約10%w/v若しくは約35%w/vの量である。
【0124】
特に、ピロリドン溶媒は、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン(NMP)又はそれらの混合物を含む。一実施形態では、ピロリドン溶媒は、2-ピロリドンである。別の実施形態では、ピロリドン溶媒は、NMPである。
【0125】
本発明の特定の実施形態では、2-ピロリドン又はNMPは、組成物の約5~約50%w/vの量で存在しており、特に、約5~約40%w/v、又は、特に、約5%w/v、約10%w/v若しくは約35%w/vの量である。
【0126】
本発明の実施形態では、揮発性溶媒、特に、アルコール溶媒は、組成物の約5~約60%w/vの量で存在しており、特に、約5~約50%w/v、又は、特に、約20~45%w/v、又は、特に、約33~35%w/v、約54~55%w/v若しくは約10%w/vの量である。
【0127】
特に、揮発性溶媒、特に、アルコール溶媒は、揮発性アルコール、例えば、エチルアルコール、メタノール又はイソプロピルアルコール(イソプロパノール)又はそれらの混合物を含む。一実施形態では、アルコール溶媒は、イソプロピルアルコールである。
【0128】
揮発性物質は、一般に、常温で容易に蒸発し、そして、容易に蒸気又はガスになる。欧州連合は、揮発性有機化合物を、「101.3kPaの標準大気圧で測定して250℃(482°F)以下の初留点を有する任意の有機化合物」と定義している。
【0129】
本発明の特定の実施形態では、イソプロピルアルコールは、組成物の約5~約60%w/vの量で存在し、特に、約5~約50%w/v、又は、特に、約20%~約45%w/v、又は、特に、約33~35%w/v、約54~55%w/v若しくは約10%w/vの量である。
【0130】
別の実施形態では、溶媒系は、少なくとも1種類のピロリドン溶媒及び少なくとも1種類の揮発性溶媒、特に、アルコール溶媒及び追加の溶媒を含む。
【0131】
別の実施形態では、溶媒系は、少なくとも1種類のピロリドン溶媒及び少なくとも1種類のグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル若しくは別の不揮発性溶媒を含む。
【0132】
適切な溶媒の非限定的な例としては、限定するものではないが、以下の溶媒を含む:例えば、水、ピロリドン溶媒、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン及び/又はそれらの混合物、並びに、グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジプロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、グリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGMEE)、グリセリン、ジメチルイソソルビド、トリアセチン、プロピレングリコール、グリコールエーテル、例えば、平均分子量が約200~1000のポリエチレングリコール(PEG)、ジメチルイソソルビド、カルボン酸とジカルボン酸のPEGエステル及び脂肪酸のPEGエステル、トリアセチンを包含するグリセロールエステル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Miglyol 812(登録商標))など;グリセロールホルマールを包含するグリセロールエーテル;ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール(Miglyol 840(登録商標))、乳酸ラウリル、アジピン酸ジイソプロピル(DIPA、「CERAPHYL 230」としても知られている)、アジピン酸ジイソブチル、ジメチルイソソルビド(DMI)、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸;二酸のエステルを包含するカルボン酸エステル、ケトン、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIK)、メチルエチルケトン、アセトニトリル、C1-C12アルコール、例えば、ベンジルアルコール、メタノール、エチルアルコール、イソプロパノール イソプロパノール、(1,2-プロパンジオール、イソプロピルアルコール)及びブタノール;芳香族エーテル、例えば、アニソール;アミド、例えば、ジメチルアセトアミド、モノメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリコールカルボネート、例えば、限定するものではないが、プロピレンカルボネート及びブチレンカルボネート;カルボン酸のC1-C12アルキルエステル、例えば、酢酸ブチル又は酢酸オクチル及び酢酸ベンジル;ジカルボン酸のC1-C12アルキルエステル;アリールエステル、例えば、安息香酸ベンジル、安息香酸エチルなど;及び、フタル酸ジエチル、ジカルボン酸のジエステルはセバシン酸ジエチル又はアジピン酸ジイソプロピルである、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、さまざまなグレードの液体ポリオキシエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG400、EGモノカプリレート又はPGモノカプリレート、EGカプリレート又はPGカプリレート、EGモノラウレート又はPGモノラウレート、EGジカプリレート/ジカプレート又はPGジカプリレート/ジカプレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME、Transcutol(登録商標))、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル又はそれらの組み合わせ;エーテル、例えば、限定するものではないが、ジメチルイソソルビド;エステル又はジエステル、例えば、限定するものではないが、トリアセチン、乳酸ラウリル、グリセロールホルマール、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、PGモノカプリレート、PGカプリレート、PGモノラウレート、PGジカプリレート/ジカプレート、パルミチン酸イソプロピル、又は、それらの混合物。
【0133】
一実施形態では、組成物は、揮発性溶媒を含まない。一実施形態では、組成物は、フルララネル、浸透増強剤(メントール)、溶媒(ピロリドン)、及び、グリセリルモノカプリレートを、好ましくは、20~80%v/vで含み、揮発性溶媒は含まない。
【0134】
親油性溶媒又は親油性溶媒系を含む担体の中にイソオキサゾリン活性薬剤を含む本発明の局所用組成物は、外部寄生虫に対して非常に良好な効力を長期間にわたってもたらすということが見いだされた。理論に拘束されることは望まないが、本発明の局所用組成物の中の非活性賦形剤は、イソオキサゾリン活性薬剤を長期間にわたって皮膚内に閉じ込めるのを促進しながら、外部寄生虫に対して長期間にわたって効果的であるために必要とされる血流中の活性物質の濃度をもたらす速度でその活性薬剤が循環系の中に絶えず拡散することを可能にしていると考えられる。
【0135】
これは、所望の生物学的効果、例えば、特に家畜動物の場合は残留のリスクがあるため、長期間の持続期間が望ましくないNSAID場合の迅速な炎症効果が直ぐに得られるように化合物の経皮通過を迅速に促進するように設計された典型的な局所用組成物で使用されるアプローチに反している。
【0136】
ビヒクル又は希釈剤として、植物油(例えば、大豆油、落花生油、ヒマシ油、トウモロコシ油、ワタ油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油など)、鉱油(例えば、限定するものではないが、石油、パラフィン、シリコーンなど)、脂肪族炭化水素若しくは環状炭化水素(例えば、リモネン、あるいは、例えば、中鎖(例えば、C8-C12)トリグリセリド、例えば、ミグリオール812又はミグリオール840)又はそれらの混合物を使用することが可能であろう。
【0137】
一実施形態では、ポアオン又はスポットオンイソオキサゾリン組成物は、グリセリルモノカプリレートを含む。
【0138】
別の実施形態では、薬学的に許容される担体は、C4-C22脂肪酸又はそのエステル、例えば、C6-C20長鎖アルコール、C1-C12アルコール、C1-C4アルコール又はC3-C8アルコールとのエステル;C10-C18飽和脂肪酸又はそのエステル、例えば、C6-C20長鎖アルコール、C1-C12アルコール、C1-C4アルコール又はC3-C8アルコールとのエステル;C10-C18不飽和脂肪酸又はそのエステル、例えば、C6-C20長鎖アルコール、C1-C12アルコール、C1-C4アルコール又はC3-C8アルコールとのエステル;C6-C16脂肪族カルボン酸及びジカルボン酸(carboxylic diacids)のモノエステル又はジエステル、例えば、C6-C20長鎖アルコール、C1-C12アルコール、C1-C4アルコール又はC3-C8アルコールとのエステル、又は、それらの混合物を含む。別の実施形態では、担体は、C1-C10アルコール、C1-C8アルコール又はC1-C6アルコール又はそれらのエステルを含むことができる。
【0139】
別の実施形態では、本発明の組成物は、極性溶媒を含む。別の実施形態では、組成物は、芳香族アルコール又はそのエステルを含む。好ましい一実施形態では、本発明の局所用組成物は、溶媒としてイソプロピルアルコール又はベンジルアルコールを含むことができる。一実施形態では、本発明の局所用組成物はイソプロピルアルコールを含む。あるいは、揮発性溶媒は、組成物に含まれず、グリセロールエステルが含まれている。
【0140】
好ましい実施形態では、ポアオン又はスポットオンイソオキサゾリン組成物は、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、プロピレングリコールの飽和若しくは不飽和脂肪酸モノエステル及びジエステル、又は、C8-C14のアルキル鎖長を有するグリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪酸、C14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪酸、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪アルコール及びC14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪アルコールからなる群から選択されるビヒクルを含む。
【0141】
別の好ましい実施形態では、ポアオン又はスポットオンイソオキサゾリン組成物は、プロピレングリコールの飽和若しくは不飽和脂肪酸モノエステル及びジエステル、又は、C8-C14のアルキル鎖長を有するグリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪酸、C14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪酸、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪アルコール及びC14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪アルコールからなる群から選択されるビヒクルを含む。
【0142】
好ましい実施形態では、ポアオン又はスポットオンイソオキサゾリン組成物は、好ましいビヒクルであるプロピレングリコールジカプリオカプレート、グリセリルモノカプリレート及びそれらの混合物を含む。
【0143】
好ましい実施形態では、イソオキサゾリン活性薬剤を含む本発明の局所用組成物は、1種類以上の溶媒を含む薬学的に許容される担体に溶解させる。本発明の一部の実施形態では、溶媒は、限定するものではないが、ジメチルイソソルビドグリコフロール、グリセロールホルマール(メチリジノグリセロール又はグリセリンホルマール)、トリアセチン、PEG200又はPEG400を包含する液体ポリエチレングリコール、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、シリコーン液;プロピレングリコール(又は、別の脂肪族二価アルコール)、ベンジルアルコール、プロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレンカルボネート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート及びプロピレングリコールジラウレート;ジカルボン酸のアルキルエステル、例えば、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル;及び、脂肪酸のエステル若しくはジエステル、又は、それらの組み合わせを含む。
【0144】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、界面活性剤を含むことができる。その界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤であることができる。
【0145】
アニオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、アルカリステアレート;ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルフェート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;脂肪酸などを含む。
【0146】
カチオン性界面活性剤の例としては、限定するものではないが、式の水溶性第四級アンモニウム塩;セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びオクタデシルアミン塩酸塩を含む。
【0147】
組成物において使用することができる非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、ポリオキシエチレン化(PEG化)エステル、例えば、限定するものではないが、ソルビタンエステル及び脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、及び、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、限定するものではないが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えば、ポロキサマーなど(例えば、BASF製のLutrol(登録商標)Fグレード及びLutrol(登録商標)Lグレード、例えば、Lutrol(登録商標)F68、Lutrol(登録商標)F87、Lutrol(登録商標)F108及びLutrol(登録商標)F127)を含む。
【0148】
界面活性剤のさらなる例としては、限定するものではないが、それぞれ6及び5のHLB(親水性-親油性バランス)を有する油性液体であるCAPRYOLTM90(プロピレングリコールモノカプリレート)、CAPRYOLTMPGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)を含む。局所的に、それらはマイクロエマルションの中の共界面活性剤として、及び、可溶化剤/浸透増強剤として使用することができる。本明細書中で使用される場合、HLB値は、以下の一般的な意味を有する:<10のHLB値を有する化合物は、脂溶性(水不溶性)である傾向があり、HLB>10の溶媒は、水溶性である傾向がある。4~8のHLBを有する界面活性剤は、典型的には、消泡剤として有用である。7~11のHLBを有する界面活性剤は、W/O(油中水)乳化剤として有用であり得る。12~16のHLBは、典型的には、界面活性剤が水中油型エマルションで有用であり得ることを示しており、そして、11~14のHLBは、湿潤剤を示している。12~15のHLBは、洗剤に特有であり、そして、16~20のHLBは、可溶化剤又はヒドロトロープを示している。範囲/用途の有意な重複が存在しており、当業者は、HLB値だけを使用して特定の界面活性剤が特定の目的(例えば、消泡剤、乳化剤、湿潤剤、可溶化剤、ヒドロトロープ)に役立つかどうかを予測することはできないということをよく理解している。従って、一般に、溶媒、活性薬剤、界面活性剤及び別の賦形剤の適切な系を決定することは、非日常的な実験及び発明的努力を必然的に伴う。
【0149】
組成物は、さらにまた、オレオイルマクロゴールグリセリド(ポリオキシルグリセリド、例えば、いずれも4のHLBを有する、LABRAFIL(登録商標)M1944CS及びLABRAFIL(登録商標)M2125CS)のような界面活性剤を含むことができる。これらの化合物は、例えば、エマルション、マイクロエマルションの油相としても、及び、浸透増強剤としても使用することができる。
【0150】
別の実施形態では、ポリオキシルグリセリドは、LABRASOL(登録商標)(HLB14)のようなポリエチレングリコールカプリル酸/カプリル酸グリセリドを含むことができる。局所的に、それは、マイクロエマルションにおける界面活性剤として使用され、そして、局所用組成物における溶解性/浸透性増強剤としても作用し得る。
【0151】
別の実施形態では、該界面活性剤は、5のHLBを有するLAUROGLYCOLTM90(プロピレングリコールモノラウレート)である。これは、局所用組成物におけるマイクロエマルション用の共界面活性剤であり、そして、局所用組成物における可溶化剤/浸透増強剤としても作用し得る。一部の実施形態では、界面活性剤は、6のHLBを有するPLUROL(登録商標)OLEIQUE CC497(オレイン酸ポリグリセリル)である。
【0152】
本発明の一部の実施形態では、担体が良好な拡展特性と浸透特性の両方を示す溶媒を含む組成物が提供される。別の実施形態では、本発明は、担体が良好な拡展特性を示す溶媒を含む組成物を提供する。本発明のさらに別の実施形態では、担体ビヒクルが、活性薬剤が皮膚を通して体循環の中に浸透するのを増強する溶媒を含む組成物が提供される。
【0153】
一部の例では、溶媒は、良好な拡展特性と良好な浸透特性の両方を含み得る。プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(例えば、ミグリオール840)は、優れた拡展特性と浸透特性の両方を有している。
【0154】
本発明の特定の実施形態では、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートは、組成物の約2~約90%w/vの量で存在し、特に、約5~約80%w/v、又は、特に、約10~約70%w/vである。
【0155】
活性薬剤を皮膚の中に長期間にわたって閉じ込めるのを促進することもでき且つ本発明の組成物の中に含ませることができる賦形剤としては、限定するものではないが、スクロースとカルボン酸の混合エステル、例えば、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)など;低温溶融ワックス、水素化植物油、カプリル酸/カプリン酸グリセリド;グリセロールエステル、例えば、トリアセチン、モノオレイン酸グリセロール、モノリノール酸グリセロール、ステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセリルなど;トリグリセリド、例えば、カプリル酸、カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸トリグリセリド;熱可逆性ポリマー、例えば、プルロニック及びポロキサマー、例えば、単独のLutrol F127又は別のポロキサマーと混合されたLutrol F127;又は、それらの組み合わせを含む。
【0156】
ポアオン施用に適した特性を有する製品を提供するために、1種類以上の追加の別の溶媒を添加して組成物の粘度を変化させることが望ましい場合がある。
【0157】
ポアオン組成物の粘度は、当技術分野で知られている方法によって測定することができる。
【0158】
適切な粘度調整剤としては、限定するものではないが、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、トリアセチン又はグリセロールを含み、これらは、当業者には既知の適切な量で添加する。
【0159】
本発明の組成物において使用することができるゲル化及び/又は接着に適した代表的なポリマー(「高分子剤」)としては、限定するものではないが、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、メチルセルロース、メタクリル酸エステルコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル、及び、ポリビニルプロピレン(PVP)/酢酸ビニルコポリマー、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポリブテン、ポビドンK17及びポビドンK90を含む。本発明の組成物は、着色剤、抗酸化剤、防腐剤、pH安定剤、キレート剤及び粘度調整剤のような別の不活性成分を含むことができる。
【0160】
パラベン(メチルパラベン及び/又はプロピルパラベン)のような防腐剤は、適切には、約0.01~約2.0%w/vの範囲内の量で当該組成物中で使用され、約0.05~約1.0%w/vが特に好ましい。別の防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサールを含む。
【0161】
代表的なキレート剤としては、限定するものではないが、エデト酸二ナトリウム及びEDTAを含む。
【0162】
ビタミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸n-プロピル、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHAとクエン酸、モノチオグリセロール、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)などのような抗酸化剤を本発明の組成物に添加することができる。
【0163】
抗酸化剤は、一般に、組成物の総重量に基づいて、約0.01~約2.0%w/vの量で組成物に添加し、約0.05~約1.0%w/vが特に好ましい。
【0164】
本発明の組成物の中の活性成分の分解を防止するために、少なくとも1種類の安定剤を添加することが有利であることが分かった。
【0165】
一実施形態では、本発明による組成物の追加の成分は、薬学的に許容される着色剤、例えば、染料又は顔料又は異なる染料若しくは顔料の組み合わせである。これにより、動物の背部の着色剤の色を検出することによって、処理された動物を視覚的にモニターすることができる。
【0166】
本発明で使用する着色剤は、当技術分野で一般に知られている着色剤である。そのような着色剤は、もちろん、食物を産生する家畜動物への投与が容認されるべきである。適切な着色剤は、米国連邦食品医薬品化粧品法(FD&C)のもとで許可されている着色剤(例えば、FD&C Blue n°1、FD&C Yellow n°5)、又は、自然食品染料(例えば、クロロフィリン(緑))、又は、上記着色剤のいずれかの混合物である。好ましい範囲としては、約0.01%~約2%(w/v)、さらに、好ましくは、約0.01%~約0.5%(w/v)を含み得る。
【0167】
場合により、組成物は、消泡剤、例えば、シメチコンエマルジョン30%USP、オレイン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム又はそれらの混合物を含んでいてもよい。消泡剤は、本発明の組成物を水で希釈したときに泡の形成を防ぐのに充分な濃度で存在する。本発明において、シメチコンエマルジョンは、約0.2%w/v~約1%w/vの濃度で存在し得る。一部の実施形態では、シメチコンエマルションは、約0.5%w/vの濃度で存在する。
【0168】
任意に、本発明の組成物に香料を加えることができる。
【0169】
薬物及び様々な賦形剤の組成に関するさらなる態様は、例えば、「Gennaro, A.R., et al., eds., Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Lippincott Williams & Wilkins, 20th Ed., 2000)」の中に見いだされる。
【0170】
一実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、
(a) 約0.5%~約15%w/vのイソオキサゾリン化合物;
(b) 約5%~約15%w/vのメントール;
(c) 約10%~約50%w/vのイソプロピルアルコール;
(d) 約10%~約40%w/vのピロリドン溶媒;及び、
(e) 約2%~約50%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;を含む。
【0171】
別の実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、
(a) 約0.5%~約15%w/vのイソオキサゾリン化合物;
(b) 約5%~約15%w/vのメントール;
(c) 約10%~約40%w/vのピロリドン溶媒;及び、
(d) 約2%~約70%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;を含む。
【0172】
別の実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、
(a) 約0.5%~約15%w/vのイソオキサゾリン化合物;
(b) 約5%~約15%w/vのメントール;
(c) 約10%~約50%w/vのグリセロールエステル(特に、グリセリルモノカプリレート);
(d) 約10%~約40%w/vのピロリドン溶媒;及び、
(e) 約2%~約50%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;を含む。
【0173】
好ましい実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、約2~約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み、そして、担体は、約10%w/vのメントール、約35~約55%w/vのイソプロピルアルコール、約5~約35%w/vの2-ピロリドン及び/又は約10%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む。
【0174】
代替え的な実施形態では、組成物は、約2~約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み、そして、担体は、約10%w/vのメントール、約5~約35%w/vの2-ピロリドン及び/又は約10%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む。
【0175】
別の好ましい実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、約3~5%w/v、又は、約2%w/v、約3%w/v若しくは約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み、そして、担体は、約35%w/v又は約55%w/vのイソプロピルアルコール及び約5%w/v又は約35%w/vの2-ピロリドン又はNMPを含む。
【0176】
別の好ましい実施形態では、獣医学的液体ポアオン組成物は、約3~5%w/v、又は、約2%w/v、約3%w/v若しくは約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み、そして、担体は、約35%w/v又は約55%w/vのグリセリルモノカプリレート及び約5%w/v又は約35%w/vの2-ピロリドン又はNMPを含む。
【0177】
特筆すべきは、5%w/vのフルララネル、任意に0.5%のエプリノメクチン、ピロリドン溶媒(好ましくは、2-ピロリドン)、L-メントール、ミグリオール840及びグリセロールモノカプリレートを含む組成物である。
【0178】
特筆すべきは、5%w/vのフルララネル、任意に0.5%のエプリノメクチン、ピロリドン溶媒(好ましくは、2-ピロリドン)、L-メントール、ミグリオール840及びイソプロピルアルコールを含む組成物である。
【0179】
本発明の組成物を調製する方法において、賦形剤及びイソオキサゾリン化合物を、すべての固体が溶解するまで混合させる。必要に応じて、組成物を最終体積にするための追加の溶媒を加えることができる。添加剤(例えば、上記に挙げた添加剤)を容器の中に入れて組成物に混合させることもできる。上記賦形剤、溶媒及び添加剤を添加する順序は重要ではない。
【0180】
別の実施形態では、本発明の組成物は、水中油型エマルション又は油中水型エマルションの形態であることができる。一部の実施形態では、油相は、植物油(例えば、オリーブ油又は落花生油)又は鉱油(例えば、流動パラフィン)又はこれらの混合物であることができる。適切な乳化剤としては、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズレシチン)、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、及び、上記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などを含む。一部の実施形態では、エマルションは、防腐剤も含むことができる。
【0181】
別の実施形態では、本発明の組成物は、マイクロエマルションの形態にある。マイクロエマルションは、液体担体ビヒクルとして非常に適している。マイクロエマルションは、典型的には、水相、油相、界面活性剤及び共界面活性剤を含む第四系である。それらは、通常、半透明で等方性の液体である。マイクロエマルションは、油相中の水相の微小液滴の安定した分散液からなるか、又は、逆に、水相中の油相の微小液滴の安定した分散液からなる。これらの微小液滴のサイズは、典型的には、200nm未満である(エマルションの場合は、1000~100,000nm)。界面膜は、交互に存在する界面活性(SA)分子と共界面活性(Co-SA)分子からなり、それらは、界面張力を低下させることにより、マイクロエマルションを自然発生的に形成することができる。
【0182】
油相の一実施形態では、油相は、鉱油若しくは植物油から、不飽和ポリグリコシル化グリセリドから、又は、トリグリセリドから形成させることができるか、あるいは、そのような化合物の混合物から形成させることができる。油相の一実施形態では、油相はトリグリセリドを含む。油相の別の実施形態では、トリグリセリドは、中鎖トリグリセリド、例えば、C5-C10カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。別の実施形態では、油相は、約1~約20%v/v;約2~約15%v/v;約7~約10%>v/v;及び、約8~約9%v/vのマイクロエマルションからなる群から選択される%v/v範囲を表す。
【0183】
水相は、典型的には、例えば、水又はグリコール誘導体(例えば、プロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリエチレングリコール又はグリセロール)を含む。グリコール誘導体の一実施形態では、グリコールは、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される。一般に、水相は、マイクロエマルションの中の約1~約10%v/v又は約1~約4%v/vの割合を表す。
【0184】
マイクロエマルションのための界面活性剤は、典型的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコリル化C8-C10グリセリド若しくはポリグリセリル-6ジオレエート又はこれらの界面活性剤の組み合わせを含む。これらの界面活性剤に加えて、共界面活性剤は、エタノール及びプロパノールなどの短鎖アルコールを含む。さらに、ポロキサマー及びプルロニックF127を界面活性剤として使用することができる。
【0185】
一部の化合物は、上記で論じた3種類の成分(即ち、水相、界面活性剤及び共界面活性剤)に共通である。しかしながら、同じ組成物の各成分に対して異なる化合物を使用することは、充分に専門家の技術レベルの範囲内である。
【0186】
薬学的に許容される担体は、活性成分(例えばイソオキサゾリン化合物)が結晶又は沈澱を形成するのを抑制するために、任意に、結晶化抑制剤、例えば、以下に記載される結晶化抑制剤又はそれらの混合物を含むことができる。
【0187】
獣医学的に及び/又は薬学的に許容される担体は、一般に、活性薬剤がその中で溶解する希釈剤又はビヒクルを含む。局所用組成物の担体又は希釈剤は、活性薬剤が溶液から沈澱することなく又は結晶を形成することなく、活性薬剤を標的位置に送達できなければならないことは当業者には明らかであろう。一部の実施形態では、組成物の担体又は希釈剤は、活性薬剤の沈澱又は結晶化を回避するのに適している。別の実施形態では、組成物は、担体又は希釈剤に加えて、結晶化抑制剤成分を含むことができる。
【0188】
本発明にとって有用な結晶化抑制剤としては、限定するものではないが、以下のものを含み得る:
(a) ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー、2-ピロリドン、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのコポリマー、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、又は、ソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチン又はカルボキシメチルセルロースナトリウム;又は、アクリル誘導体、例えば、アクリルモノマーから誘導されるポリマー、例えば、ポリアクリレート又はポリメタクリレート;及び、該活性薬剤の結晶化を抑制する本明細書中に記載されている溶媒、及び、同様の化合物;
(b) アニオン性界面活性剤、例えば、アルカリステアレート(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム);ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;アルキルスルフェート(例えば、限定するものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム);ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;又は、脂肪酸(例えば、ココナッツオイル);
(c) カチオン性界面活性剤、例えば、式NR’R”R”’R””Y<~>〔式中、Rラジカルは、同一であるか又は異なって、ヒドロキシ化されていてもよい炭化水素ラジカルであり、及び、Yは、強酸のアニオン、例えば、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンである〕で表される水溶性第四級アンモニウム塩;臭化セチルトリメチルアンモニウムは、使用することが可能なカチオン性界面活性剤のうちの1つである;
(d) 式NHR’R’R”’Y<”>〔式中、Rラジカルは、同一であるか又は異なって、ヒドロキシ化されていてもよい炭化水素ラジカルであり、及び、Y<”>は、鉱酸又は有機酸のアニオンである〕で表されるアミン塩;オクタデシルアミン塩酸塩は、使用することが可能なカチオン性界面活性剤のうちの1つである;
(e) 非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンのポリオキシエチレン化されていてもよいエステル、例えば、ポリソルベート80、又は、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、例えば、硬化ヒマシ油及びその誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;
(f) 両性界面活性剤、例えば、ベタインの置換ラウリル化合物;又は
(g) 上記(a)-(f)に記載されている化合物のうちの少なくとも2種類の化合物の混合物。
【0189】
結晶化抑制剤の一実施形態では、結晶化抑制剤の対を使用する。そのような対は、例えば、ポリマータイプの被膜形成剤と界面活性剤の組み合わせを含む。別の結晶化抑制剤の対は、ポリエチレングリコールと非イオン性界面活性剤を含む。別の混合物を含有する付加的な結晶化の対も考えられる。これらの作用剤は、結晶化抑制剤として上記で記載した化合物から選択することができる。
【0190】
一部の実施形態では、結晶化抑制剤は、約1~約30%(w/v)の割合で存在することができる。典型的には、結晶化抑制剤は、約1%~約20%(w/v)、約1%~約10%(w/v)、又は、約5%~約15%(w/v)の割合で存在することができる。許容される抑制剤は、組成物に添加されることによって、その組成物を施用したときにその活性薬剤の結晶の形成を抑制する抑制剤である。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中において挙げられている結晶化抑制剤以外の結晶化抑制剤として機能する化合物を含むことができる。これらの実施形態では、結晶化抑制剤の適合性は、10%(w/v)の結晶化抑制剤と一緒に上記で記載されている溶媒の中の10%(w/v)のイソオキサゾリン活性薬剤を含むサンプルがガラススライドの上に20℃で24時間置かれた場合に、20未満(好ましくは、10未満)の結晶しかもたらさないように、結晶の形成を充分に抑制するかどうかを試験することによって確認することができる。
【0191】
ポアオン組成物は、さらにまた(又は代替的に)、1種類以上の拡展剤を含むことができる。これらの物質は、活性成分を動物レシピエントの外皮又は皮膚の全体に分配するのを助ける担体として作用する。それらは、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、シリコーン油、脂肪酸エステル、トリグリセリド及び/又は脂肪アルコールを含むことができる。
【0192】
さまざまな拡展性の油/溶媒の組み合わせ、例えば、油性溶液、アルコール性及びイソプロパノール性溶液(例えば、2-オクチルドデカノール又はオレイルアルコールの溶液)、モノカルボン酸のエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸シュウ酸エステル、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸デシルエステル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル及び12~18個の炭素からなる炭素鎖を有する飽和脂肪アルコールのカプロン酸エステル)の溶液、ジカルボン酸のエステル(例えば、フタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルエステル及びアジピン酸ジ-n-ブチル)の溶液、又は、脂肪族酸(例えば、グリコール)のエステルの溶液なども適切であり得る。組成物が拡展剤を含む場合、分散剤、例えば、ピロリジン-2-オン、N-アルキルピロリジン-2-オン、アセトン、ポリエチレングリコール若しくはそれらのエーテル若しくはエステル、プロピレングリコール又は合成トリグリセリドを含むことも有利であり得る。
【0193】
本発明の一部の実施形態では、本発明の局所用組成物に、皮膚軟化剤及び/又は拡展剤及び/又は皮膜形成剤を添加することができる。皮膚軟化剤、拡展剤及び被膜形成剤は、当技術分野ではよく知られている。さまざまな実施形態において、局所用組成物の中で使用することができる皮膚軟化剤、拡展剤及び被膜形成剤としては、上記(a)~(g)において挙げられている成分、例えば、ポリマー誘導体、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及び酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー;アニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;非イオン性界面活性剤;両性界面活性剤;アミン塩、及び、それらの組み合わせを含む。一実施形態では、皮膚軟化剤は、約0.1~約10%(w/v)、又は、約0.25~約5%(w/v)の割合で使用する。
【0194】
本発明の組成物の局所投与は、有効な血漿濃度をもたらす。本発明の組成物の局所施用は、外部寄生虫に対する長期にわたる優れた効力を提供するのに充分な濃度で、活性薬剤を経皮的に皮膚を通して体循環の中に及び動物の体表面上に効果的に送達することを可能にする。本発明の組成物は、活性薬剤の、動物の被毛上への局所的な分配及び血流の中への経皮的な分配を達成する。この実施形態では、局所用組成物は、イソオキサゾリン活性薬剤の予想外に低い血漿濃度で高レベルの効力を提供する。
【0195】
本発明の一部の実施形態では、組成物は、血漿中の活性物質の有効レベルを長期間維持し、効力の持続期間を大幅に延長するために、イソオキサゾリン化合物の浸透速度を制御するように製剤される。
【0196】
本発明による液体調製物は、外部寄生虫に対するこの優れた長期間にわたる効力を促進するために望ましい絶対的全身性生物学的利用能を有する。生物学的利用能は、体循環に到達する治療的に活性な薬物の程度の測定である。これは文字Fで表される。絶対的生物学的利用能は、非静脈内投与後(即ち、経口投与後、経皮投与後、皮下投与後)の全身循環における活性薬物の有用性を測定する。
【0197】
絶対的生物学的利用能は、投与量で補正された非静脈内投与時の曲線下面積(AUC)を静脈内投与時のAUCで除算したものである。例えば、皮下経路(sc)で投与された薬物に関するFを計算する式は、以下のとおりである。
【数1】
【0198】
一実施形態では、本発明による組成物の中のイソオキサゾリン化合物は、ポアオン投与又はスポットオン投与の後で、5~10%の絶対的全身性生物学的利用能を有する。一実施形態では、絶対的全身性生物学的利用能は2~10%である。別の実施形態では、絶対的全身性生物学的利用能は、30~40%である。別の実施形態では、絶対的全身性生物学的利用能は、20~30%である。別の実施形態では、絶対的全身性生物学的利用能は、30%より高い。
【0199】
治療方法
本発明の別の態様においては、動物に、有効量の少なくとも1種類のイソオキサゾリン活性薬剤を動物の皮膚へのポアオン及び/又はスポットオン施用に適している薬学的に許容される担体と一緒に含む局所用組成物を投与することを含む、動物における寄生虫の侵襲/感染を予防又は治療する方法が提供される。本発明の組成物又は組成物は、外部寄生虫(例えば、ノミ及びマダニ)に対して長期間持続する効力を有し、及び、特定の実施形態では、動物を害する内部寄生虫に対しても活性を示し得る。
【0200】
本発明の一実施形態では、有効量の少なくとも1種類のイソオキサゾリン活性薬剤を含む局所用組成物をポアオン又はスポットオンとして動物に投与することを含む、家畜動物における寄生虫の侵襲又は感染を治療又は予防する方法が提供される。本発明の方法及び組成物が有効である外部寄生虫としては、限定するものではないが、ノミ類、マダニ類、ダニ類、カ類、ハエ類及びシラミ類を含む。組成物が内部寄生虫に対して活性を示す1種類以上の付加的な活性薬剤を含む特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、内部寄生虫(例えば、限定するものではないが、動物及びヒトの消化管の回虫類、鉤虫類、線虫類及び条虫類)に対しても有効であり得る。
【0201】
治療対象の外部寄生虫としては、限定するものではないが、ノミ類、マダニ類、ダニ類、カ類、ハエ類、シラミ類、クロバエ類及びそれらの組み合わせを含む。
【0202】
外部寄生虫に対する治療に関する別の実施形態では、外部寄生虫は、ボオフィルス/リピセファルス属(Boophilus/Rhipicephalus)、デルマセントル属(Dermacentor)、イキソデス属(Ixodes)、ボオフィルス属(Boophilus)、アンビロンマ属(Ambylomma)、ヘマフィサリス属(Haemaphysalis)、ヒアロンマ属(Hyalomma)のマダニ、特に、ボオフィルス属(Boophilus)(Rhipicephalus)のマダニ、特に、ミクロプルス種(microplus)(ウシマダニ)のマダニ、ケニア産コイタマダニ(R.decoloratus)及びリピセファルス・アニュラツス(R.annulatus)である。
【0203】
オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)、ケニア産コイタマダニ(R.decoloratus)及びリピセファルス・アニュラツス(R.annulatus)は、単一宿主マダニ類であり、これは、その生活環の3つの全ての段階を同一の動物で過ごすことを意味する。
【0204】
マルチ宿主マダニ類は、マダニが各段階の後で地面に落ち、別の宿主に再付着することを意味し、そして、異なる段階の間で宿主の種類が異なっていてもよいマルチ宿主マダニ類は、例えば、アンビロマ・カジェネンセ(Amblyoma cajennense)、イキソデス・ホロシクルス(Ixodes holocyclus)、即ち、麻痺マダニ:フタトゲチマダニ(H.longicornis)、リピセファルス・アペンジクラツス(Rhipicephalus appendiculatus)、及び、アンビロマ・ハエブラウム(Amblyoma haebraum)、デルマセントル・アルビピクツス(Dermacentor albipictus)、アンビロマ・マクラツム(Amblyoma maculatum)、アンビロマ・アンデルソニ(Amblyoma andersoni)、イキソデス・リシヌス(Ixodes ricinus)、デルマセントル・マルギナツス(Dermacentor marginatus)である。
【0205】
外部寄生虫の追加の例としては、限定するものではないが、以下のものを含む:蠅蛆症を引き起こすハエ類、例えば、ヒトヒフバエ(Dermatobia hominis)(ブラジルでは、「Berne」として知られている)、及び、ラセンウジバエ(Cochliomyia hominivorax)(キンバエ);ヒツジ蠅蛆症を引き起こすハエ類、例えば、ヒロズキンバエ(Lucilia sericata)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)(オーストラリア、ニュージーランド及び南アフリカでは、ブローフライストライク(blowfly strike)として知られている)。
【0206】
サシバエ類、即ち、その成体が寄生虫となるハエ類、例えば、ノサシバエ(Haematobia irritans)(horn fly)、ハエマトビア・イリタンス・エキシクア(Haematobia irritans exiqua)(buffalo fly)、及び、サシバエ(Stomoxys calcitrans)(stable fly)である。
【0207】
吸血性シラミ類は、それらの宿主から血液を摂取し、そして、病原体を伝染させる点でより重要である。ハジラミ類(chewing lice)又はハジラミ類(biting lice)は、被毛及び皮膚を食し、そして、場合により、宿主から血液を摂取する、重要なシラミ類寄生虫は、ウシハジラミ(cattle biting louse)(Bovicola bovis)、ウシホソジラミ(longnosed cattle louse)(Linognathus vituli)、ケブカウシジラミ(little blue cattle louse)(Solenopotes capillatus)、ウシジラミ(shortnosed cattle louse)(Haematopinus eurysternus)、及び、ウシジラミ(cattle tail louse)(Haematopinus quadripertusus)、並びに、ヒツジ及びヤギのヒツジハジラミ(Bovicola ovis)である。
【0208】
重要なダニ寄生虫は、例えば、ショクヒヒゼンダニ(Chorioptes bovis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、及び、ヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)である。
【0209】
上記のリストは、網羅的なものではなく、別の外部寄生虫も、動物(特に、家畜動物、特に、反芻動物、さらに特に、ウシ又はヒツジ)にとって有害であることが当技術分野でよく知られている。そのようなものとしては、例えば、移動性の双翅目幼虫を含む。
【0210】
驚くべきことに、本発明のポアオン組成物は、これらの寄生虫のうちの1種類以上を防除するのに有効であることが分かった。
【0211】
本発明の一部の実施形態では、特に、イソオキサゾリン化合物が別の活性成分と組み合わされる場合、組成物は、さらにまた、内部寄生虫、例えば、とりわけ、アナプロセファラ(Anaplocephala)、アンシロストマ(Ancylostoma)、アネカトル(Anecator)、アスカリス(Ascaris)、カピラリア(Capillaria)、クーペリア(Cooperia)、ジピリジウム(Dipylidium)、ジロフィラリア(Dirofilaria)、エキノコックス(Echinococcus)、エンテロビウス(Enterobius)、ファシオラ(Fasciola)、ハエモンクス(Haemonchus)、オエソファゴスツムム(Oesophagostumum)、オステルタギア(Ostertagia)、トキソカラ(Toxocara)、ストロンギロイデス(Strongyloides)、トキサスカリス(Toxascaris)、トリキネラ(Trichinella)、トリクリス(Trichuris)及びトリコストロンギルス(Trichostrongylus)からなる群から選択される蠕虫に対して治療するために使用することができる。
【0212】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法及び組成物は、ウシ又はヒツジにおける寄生虫の感染及び侵襲を治療又は予防するために使用される。家畜動物(例えば、ウシ又はヒツジ)を治療する場合、方法及び組成物は、以下に対して特に有効である:オウシマダニ(Rhipicephalus(Boophilus)microplus)、ノサシバエ(Haematobia irritans)(horn fly)、サシバエ(Stomoxys calcitrans)(stable fly)、及び、以下のものによって引き起こされる(ヒツジ)蠅蛆症:クロバエ類、例えば、ヒロズキンバエ(Lucilia sericata)(European green blowfly)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)(Green blowfly、又は、Australian sheep blowfly;オーストラリア、ニュージーランド及び南アフリカでは、ブローフライストライク(blowfly strike)として知られている)、ホホジロオビキンバエ(Chrysomya rufifacies)(Hairy maggot fly)、クリソミア・バリペス(Chrysomya varipes)(Small green blowfly)、クロバエの一種(Calliphora stygia)(Common brown blowfly)、カリホラ・アウグル(Calliphora augur)(Lesser brown blowfly(eastern)、カリホラ・ノビシア(Calliphora novicia)(Lesser brown blowfly(western)。
【0213】
本発明の組成物で防除することが可能な、反芻動物(例えば、ウシ及びヒツジ)における重要なシラミ類の種は、ボビコラ属種(Bovicola spp.)及び、リノグナツス属種(Linognathus spp.)(例えば、ヒツジハジラミ(Bovicola ovis))である。
【0214】
用語「治療する(treating)」又は「治療する(treat)」又は「治療(treatment)」は、治療を受けている動物を侵襲している寄生虫を根絶するか又は寄生虫の数を減らすために、寄生虫(特に、外部寄生虫)に侵襲されている動物に本発明の組成物を施用又は投与することを意味することが意図されている。本発明の組成物は、そのような寄生虫の(再)侵襲を予防するために使用することができるということに留意されたい。
【0215】
本発明の組成物は、寄生虫を所望の程度まで防除するのに適した有効な量(殺寄生虫)で投与する。
【0216】
「有効量」は、宿主動物への侵襲を根絶するか又は動物を侵襲する寄生虫の数を低減させるのに充分な本発明の組成物の量を意味している。一部の実施形態では、有効量の活性薬剤は、標的寄生虫に対して少なくとも70%の効力を達成する。
【0217】
効力は、当技術分野で知られている方法で、例えば、外部寄生虫の評価に関するWAAVPガイドラインで概説されている方法で計算する。別の実施形態では、有効量の該活性薬剤は、標的有害生物に対して少なくとも80%の効力又は少なくとも90%の効力を達成する。好ましくは、有効量の該活性薬剤は、標的寄生虫に対して少なくとも95%、少なくとも98%又は100%の効力を達成する。
【0218】
本発明の各態様において、本発明の化合物及び組成物を使用して、単一の寄生虫種における又は異なる寄生虫種の組み合わせを有している動物における侵襲を防除することができる。
【0219】
本発明の組成物は、寄生虫の感染又は侵襲を治療又は予防するために継続的に投与することができる。このようにして、本発明の組成物は、標的寄生虫を防除するために有効量の活性化合物をそれを必要とする動物に送達する。寄生虫を効果的に防除するためには、本発明の組成物の1回以上の施用することが必要であり得る。一実施形態では、既存の寄生虫による侵襲を治療し、及び、動物を再侵襲から保護するために、必要な投与は1回だけである。
【0220】
一般に、単回投与として又は1~5日間の間の分割投与において、体重1kgあたり約0.001~約100mgの投与量で充分であるが、もちろん、より高い又はより低い投与量範囲が示される場合もあり、そして、それは本発明の範囲内である。特定の宿主及び寄生虫に関する特定の投薬レジメを決定することは、充分に専門家の日常的な技能の範囲内にある。単回投与が好ましい。
【0221】
ウシ又はヒツジのような家畜動物を治療するための別の実施形態では、投与されるイソオキサゾリン活性薬剤の投与量は、約1~約30mg/kg体重であり得る。より典型的には、投与される投与量は、約1~約20mg/kg又は約1~約15mg/kgである。好ましくは、家畜動物に投与されるイソオキサゾリン活性薬剤の投与量は、約1~約10mg/kg体重である。
【0222】
本発明による組成物は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマのような反芻動物にとって特に有用であり、特に、それらが家畜動物であって、肉及び乳又は羊毛のために飼育している場合、又は、使役動物として飼育している場合、特に有用である。
【0223】
一実施形態では、動物は、ウシのようなウシ亜科の動物である。ウシの皮膚は、ポアオン投与又はスポットオン投与の後でイソオキサゾリン化合物の効果的な血中レベルを得ることに関して特に挑戦的であるので、ウシにおけるマダニのような寄生虫に対する効力は、極めて予想外である。
【0224】
本明細書においては、ウシ亜科の動物は、Bos属の反芻哺乳動物であり、そして、限定するものではないが、ウシ、去勢ウシ、未経産雌ウシ、雌ウシ(泌乳及び非泌乳)、子ウシ、雄ウシを包含し、及び、バッファローも包含する。特に好ましいのは、食用ウシ、即ち、肉用に飼育されているウシ動物である。別の実施形態では、動物は、ヒツジである。別の実施形態では、動物は、ヤギである。
【0225】
本明細書で全体を通して使用されている場合、「長期間作用する(long acting)」は、24時間を超えて続く、好ましくは、1週間を超えて続く、活性の持続期間を示す。好ましくは、2週間を超える。ウシ動物をマダニの侵襲から保護することは、本発明の特に好ましい実施形態である。
【0226】
本発明での使用に関する「有効量」を構成するのは、そのような動物を侵襲する寄生虫を完全に根絶するために又は動物を侵襲する寄生虫を少なくとも有意に低減させるために必要な、本明細書中に記載されているイソオキサゾリン化合物の量(amount)、治療投与量又は量(quantity)である。あるいは、これは、動物舎又はその周囲、例えば、家、ビルディング、飼育場、圃場などにおける寄生虫の存在を効果的に防除及び/又は低減することが可能な量(amount)、治療投与量又は量(quantity)を示し得る。
【0227】
動物の侵襲の効果的な減少又はその周囲における寄生虫の効果的な防除及び/若しくは減少が生じたことを立証すること、従って:そのような有効量を構成するものは、本明細書中に記載されているイソオキサゾリン化合物を投与する前と後に動物における寄生虫の数又は動物の周囲における寄生虫の数を比較することによって容易に決定される。検出は、動物の表面上で肉眼で認識できる寄生虫の数を数えることによって、又は、その周囲においてトラップ又は別の検出装置を使用して寄生虫を数えることによって実施することができる。治療の前後に行われたそのような計数から得られた数の差異は、施用された投与量の有効性を示している。そのような計数を統計的に信頼できるものにするために、特定の最小数の宿主動物又は検出装置をモニターすることが必要である。
【0228】
本明細書中に記載されているイソオキサゾリン化合物を用いて本発明で使用するための治療又は予防の寄生虫に対する効果は、例えば、殺卵性、殺幼虫性及び/若しくは殺成虫性又はそれらの組み合わせであり得る。その効果は、直接現れ得る、即ち、直ぐに寄生虫を殺すか又は一定時間が経過した後で、例えば、脱皮が起こったときに寄生虫を殺す、又は、刺している時間若しくは回数又は寄生虫が1回刺すことによって摂取する血液若しくは体液の量に影響を与えることによって現れ得る。あるいは、その効果は、例えば、寄生虫の繁殖性又は産卵効率、例えば、産卵された卵のサイズ、数又は質;孵化率;孵化した幼虫の生存度;又は、孵化した幼虫の性比を低減させることにより、直接その寄生虫の子の数に対するものであり得るか、又は、次の世代における子の数に対するものであり得る。
【0229】
あるいは、その動物の経済的成果に対する効果、例えば、毎日の体重増加、飼料転換又はミルクの産生量における差異をモニターすることができる。
【0230】
従って、100%又は100%に近い低減を目指しているが、しかしながら、寄生虫の数における約5%の低減は、既に有意な低減であり得る。これは、そのような限られた低減でさえ寄生虫に冒された動物の特定の症状を既に緩和し、そして、その動物を改善された経済的生産レベルに回復させ得るからである。寄生虫の死虫率は、その治療の効果の好ましい指標である。別の効果は、寄生虫の繁殖の低減、即ち、より少ない子孫を産むことであり得る。
【0231】
好ましい実施形態では、動物への侵襲の低減、又は、達成された防除及び/若しくは低減は、特定のタイプの寄生虫の数を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%低減させることに関し、ここでこの順で好ましさが増す。
【0232】
一実施形態では、防除効力(%)の計算にアボット式を使用し、無処理対照群と比較して、少なくとも90%のマダニ効力が得られる。
【0233】
本発明で使用する治療は、治療期間中に単一の動物に対して利用することができる。さらに有利には、一群の動物を同時に、又は、単一の畜舎、囲い、群、小屋若しくは農場における全ての動物を同時に治療する。
【0234】
本明細書中で使用されている「治療(treatment)」、及び、同様の用語、例えば、「治療する(treating)」又は「治療する(treat)」は、本発明での使用に関して記載されている有効量のイソオキサゾリンを1以上の種の寄生虫に侵襲されている動物(重症度の差はあるが)に投与することを示す。
【0235】
「保護」は、動物の既存の侵襲が減少されること及び低減されること、並びに/又は、本発明による組成物の投与後に出現する新たな侵襲が防除/減少/低減されること若しくは治療されることを意味する。
【0236】
用語「(寄生生物の)感染又は侵襲」は、1種類以上の(寄生性)病原体に関連又は起因する症状を包含し;ここで、症状には、臨床症状(寄生虫症)及び不顕性症状が包含される。
【0237】
不顕性症状は、典型的には、寄生虫に感染した動物において臨床症状を直接にもたらさないが、経済的損失を引き起こす症状である。そのような経済的損失は、例えば、若い動物における成長の低下、飼料効率の低下、肉生産動物における体重増の低下、反芻動物における乳生産の低下又はヒツジにおける羊毛生産の低下に起因し得る。
【0238】
用語「寄生虫症」は、1種類以上の寄生虫による感染に関連又は起因する臨床的に明らかな病理学的症状及び疾患、例えば、反芻動物(例えば、ヒツジ又はヤギ)における寄生虫性胃腸炎若しくは貧血又はウマにおける疝痛に関する。
【0239】
本発明での使用に関して、「再侵襲からの保護」は、動物が生きている寄生虫が存在している環境に住んでいるか、又、は寄生虫が侵襲している動物(又は、ヒト)と密接に接触している(従って、「侵襲されるリスクがある」)という理由で、動物が寄生虫による新たな侵襲にさらされている状況を包含する。再侵襲は、2回目以降の侵襲である。
【0240】
これは、ある特定の時点では寄生虫に(実質的に)侵襲されていない動物が、外部の寄生虫源から(再度)侵襲されることを意味する。本発明の組成物は、そのような新たに出現する寄生虫が動物への侵襲を確立し得る前にその寄生虫を殺すか、あるいは、寄生虫の数を低減させて、寄生虫の数を有意ではない数とすることで、動物への刺激及び損傷を制限する。
【0241】
一実施形態では、組成物は、長期間持続する効力を示し、そして、少なくとも1ヶ月間、家畜動物における寄生虫に対する保護を提供する。
【0242】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、マダニ類に対して少なくとも50%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0243】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、マダニ類に対して少なくとも70%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0244】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、マダニ類に対して少なくとも90%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0245】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、シラミ類に対して少なくとも50%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0246】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、シラミ類に対して少なくとも70%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0247】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、シラミ類に対して少なくとも90%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0248】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、ダニ類に対して少なくとも50%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0249】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、ダニ類に対して少なくとも70%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0250】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月の期間にわたって、ダニ類に対して少なくとも90%の極めて長期間持続する効力を示す。
【0251】
別の実施形態では、組成物は、少なくとも6週間の期間にわたって、マダニ類、ダニ類又はシラミ類に対して少なくとも50%の長期間持続する効力を示す。
【0252】
別の実施形態では、組成物は、少なくとも6週間の期間にわたって、マダニ類、ダニ類又はシラミ類に対して少なくとも70%の長期間持続する効力を示す。
【0253】
別の実施形態では、組成物は、少なくとも6週間の期間にわたって、マダニ類、ダニ類又はシラミ類に対して少なくとも90%の長期間持続する効力を示す。
【0254】
従って、本発明の一実施形態は、本発明による組成物を毎月投与するような方法である。
【0255】
従って、本発明の別の実施形態では、本発明による組成物を、6週間ごとに投与する。
【0256】
従って、本発明の別の実施形態では、本発明による組成物を、2ヶ月ごとに投与する。
【0257】
従って、本発明の別の実施形態では、本発明による組成物を、3ヶ月ごとに投与する。
【0258】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組成物を、季節ごとに単一の治療として投与する。
【0259】
驚くべきことに、イソオキサゾリン活性薬剤を含む本発明の局所用組成物は、予想外に極めて低い血漿濃度でマダニ類に対して優れた効力を提供することが見出された。一部の実施形態では、選択された溶媒及び賦形剤を含む本発明の局所用組成物は、長期間にわたって活性薬剤の一定の低レベルをもたらす。
【0260】
一部の実施形態では、マダニ類に対する少なくとも90%の効力を得るのに充分な血漿中の活性薬剤の濃度は、約200ng/mL以下、又は、約150ng/mL以下である。別の好ましい実施形態では、マダニ類に対する90%の効力を達成するのに必要とされる血漿中のイソオキサゾリン活性薬剤の濃度は、約100ng/mL以下、約75ng/mL以下、又は、さらに、約50ng/mL以下である。本発明の別の実施形態では、マダニ類に対する90%の効力を達成するのに必要とされる血漿中のイソオキサゾリン活性薬剤の濃度は、約75~100ng/mL、約50~75ng/mL、又は、約30~50ng/mLである。
【0261】
一実施形態では、有効投与量の組成物は、少なくとも21日間、マダニ類、ダニ類、シラミ類及び/又はサシバエ類による侵襲又は再侵襲からウシ動物又はヒツジ動物を保護する。
【0262】
従って、本発明の別の実施形態では、ポアオン組成物は、3週間ごと又は21日ごとに投与する。
【0263】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の局所用組成物が90%の効力を達成するのに必要とされる低い血漿濃度は、組成物が動物の表面及び全身の両方に作用することによって外部寄生虫に対する保護を提供することを示し得る。
【0264】
本発明の局所用組成物が有意に低い血漿濃度でこれらのマダニ種に対して示す改善された効力は、本発明の組成物の中の非活性賦形剤が有する有効量のイソオキサゾリン活性薬剤を投与部位から血流の中へゆっくりと送達する能力に基づいて、効力のより長い持続期間を可能にし得る。
【0265】
本発明の別の実施形態では、驚くべきことに、本発明の局所用組成物は、その局所用組成物の投与の4日後という早い時期に90%の効力を呈し、そして、さらに、長期持続する効力も提供するということが見いだされた。本発明のさらに別の実施形態では、局所用組成物は、投与の3日後又は2日後又は1日後という早い時期に効力を呈する。
【0266】
本発明の組成物によって提供される速く作用し且つ長く続く保護は、予想外である。
【0267】
本発明の別の態様においては、少なくとも1種類のイソオキサゾリン活性薬剤を、薬学的に許容される担体及び組成物のポアオン施用のための送達装置と一緒に含む、動物における寄生虫の侵襲を治療又は予防するためのキットが提供される。
【0268】
スポットオン又はポアオンとして施用される局所用組成物の体積は、実用的であるべきであり、そして、安全且つ有効であることが示されるべきである。典型的には、施用される体積は、動物のサイズ及び体重並びに活性成分の濃度に左右される。正確な投与を可能にするが、特に動物が動いたとしても、組成物の流出を引き起こさない体積を施用することが好ましい。
【0269】
本発明による組成物は、その組成物の中のイソオキサゾリン化合物の非常に高い濃度を可能にし、従って、低い施用体積を可能にする。
【0270】
組成物のポアオン形態の場合、その施用体積は、約0.3~約100mL程度であり得る。別の実施形態では、ポアオン組成物の施用体積は、約1mL~約100mL又は約1mL~約50mLであることができる。さらに別の実施形態では、体積は、約5mL~約50mL又は約10mL~約100mLであることができる。
【0271】
局所的な局在化されたスポットオン組成物は、1kg当たり約0.01~1mL、好ましくは、1kg当たり約0.05~0.1mLの少ない体積で施用され、ここで、標的種に応じて動物1匹当たり0.3~100mLの総体積であり、好ましくは、最大で約50mLに制限される。
【0272】
一実施形態では、施用体積は、動物の体重10kg当たり1mLの組成物であり、それによって、500kgのウシ動物の場合は50mLの総施用体積となり、又は、80kgのヒツジの場合は8mLの総施用体積となる。これらの施用体積は、動物の管理者にとって都合がよい。
【0273】
別の実施形態では、施用体積は、動物の体重20kg当たり1mLの組成物であり、それによって、500kgのウシ動物の場合は25mLの総施用体積となり、又は、80kgのヒツジの場合は4mLの総施用体積となる。
【0274】
本発明によるポアオン又はスポットオン組成物は、それ自体既知の任意の手段を用いて、例えば、アプリケーターガン、又は、計量フラスコ、ピペット、シリンジ、ロールオン、スポイト、カプセル、ホイルパッケージ、バイアル、ツイストチップコンテナ、定量エアロゾル又はスプレー、並びに、別の単回用量及び複数回用量の容器などを使用して施用する。
【0275】
一実施形態では、本発明の組成物は、それを必要とする動物に、プレスインボトル式挿入施用装置(press in bottle insert application device)(PIBA)で施用する。そのような装置によって、医療専門家は、液体をストックボトルから(経口)シリンジに簡単に分注することができる。
【0276】
組成物を投与する際、専門家は、ボトルを開け、プラスチック製アダプターをボトルの開口部に押し込み、次いで、経口シリンジをアダプターのポートに取り付ける。次に、専門家は、ボトルから投与量の薬剤を引き出し、その投与量を投与することができる。その後、後で使用するためにキャップをボトルに戻すことができる。
【0277】
現在、動物ポアオン製品は、一般に、より大きな体積の組成物を投与する必要があるため、上記の投与方法は適切ではない。従って、現在のポアオン製品は、投薬ガン又は投薬カップのいずれかで投与する。そのような投与方法は、少量の薬物を正確に送達するにはあまり好ましくない。
【0278】
従って、PIBA施用システムを使用する本発明の投与方法は、現在特許請求されているポアオン液体調製物をより正確に簡便に投与することを可能にする。
【0279】
一実施形態では、本発明は、本発明による組成物を投与する方法に関し、ここで、該方法は、
(a) 組成物をプレスインボトル施用装置の中に入れること;そして、
(b) 有効量の組成物を、それを必要とする動物に、動物の背部にポアオン投与することによって投与すること;
を含む。
【0280】
この方法は、以下の段階を含む:動物の体重を測定し、ボトルの投薬チャンバー(これは、体重のキログラムで較正する)を使用して正確な投与量を選択する。選択した指標まで投薬チャンバーを満たすためにボトルをゆっくりと優しくに圧縮しながら、ボトルを直立させ、目の高さに保持しする。背峰から尾根まで伸びている動物の背部の正中線の上に、測定した体積を注ぐ。
【0281】
本発明の一態様は、本発明の局所用ポアオン組成物を含む複数回使用容器を提供することであり、それにより、その容器から持続性局所用組成物の正確な単回用量アリコートを投与することができる。
【0282】
組成物は、外部環境(特に、酸素及び水)に繰り返し晒されても安定していることが必要である。この実施形態は、1~6ヶ月ごとに1回のような動物への投与をまれにしか必要としない本発明の極めて長期間にわたって作用する組成物について特に有用であり得る。
【0283】
かくして、組成物の安定性は、複数回の開閉の間に組成物が酸素及び水にさらされる可能性がある複数投与容器による施用にとって特に重要である。
【0284】
本発明による組成物は安定であり、これは、未開封状態での貯蔵時、及び、容器の複数回の開閉の間に活性成分が実質的に分解しないことを意味する。
【0285】
ポアオン組成物は、別の慣習的な方法によって動物に施用することも可能であり、例えば、含浸された材料を動物の少なくとも小さな領域にこすりつけることを含み、又は、組成物を市販の塗布器を使用して塗布することによって、シリンジ用いて、噴霧することによって、又は、スプレーレースを使用して施用することも可能である。
【0286】
定義
本明細書中で使用されている用語は、別途明記されていない限り、当技術分野における慣習的な意味を有する。
【0287】
本開示及び特許請求の範囲において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含んでいる(containing)」及び「有している(having)」のような用語は、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」などを意味することができ;「本質的に~からなる(consisting essentially of)」又は「本質的に~からなる(consists essentially)」は、同様に制限がなく、記載されているものの基本的な特性又は新規特性が記載されているものを超える存在によって変えられない限りは、記載されているものを超える存在を許容するが、従来技術の実施形態は排除する。
【0288】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されている場合、用語「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、値が統計学的に有意な範囲内にあることを示す。そのような範囲は、所与の値又は範囲の、典型的には20%以内、さらに典型的には10%以内、一層さらに典型的には5%以内であり得る。用語「約」及び「およそ」に包含されている許容可能な変動量は、試験下の特定の系に依存し、そして、当業者は容易に認識することができる。
【0289】
この詳細な説明によれば、以下の略語と定義が適用される。本明細書中で使用されている場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その文脈が明確に異なるように示していない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。
【0290】
本明細書中で論じられている刊行物は、それらの開示のみに関して提供されている。本明細書中のいかなるものも、当該刊行物に先行することに関する承認として解釈されるものではない。さらに、提供されている刊行日は、実際の刊行日と異なる場合があり、これは、個別に確認することが必要であり得る。
【0291】
値のある範囲が与えられている場合、その間に存在するそれぞれ値が含まれることは理解される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、その指定された範囲の具体的に除外された限界に従い、独立してその小さな範囲に含まれ得る。示された範囲がその限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれている限界のいずれかを除外する範囲も本発明に含まれる。引用された範囲内にある任意の値も企図される。
【0292】
開示されている組成物の成分の濃度範囲は、別途示されていない限り、最終組成物の体積あたりの重量%として表される。
【実施例】
【0293】
実施例
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明し、それら実施例は、本発明についてさらに例証しているが、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、また、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0294】
非限定的な実施例として、イソオキサゾリン化合物フルララネル(化合物A)を、ウシのような家畜動物への局所送達に関して調査した。一部の組成物では、その組成物は、化合物A(フルララネル)及びエプリノメクチンを含む。
【0295】
組成物を調製し、そして、ウシにおける外部寄生虫(例えば、マダニ)を防除する有効性について評価した。
【表3】
【表4】
【表5】
【0296】
実施例の組成物を調製するために、ビヒクル又はビヒクルの一部分を配合容器に添加し、続いて、残りの賦形剤及び活性物質を添加する。その組み合わせた物を、すべての固体が溶解するまで混合させる。ここには含まれていないが、添加剤(例えば、詳細な説明に記載されている添加剤)も容器に含ませ、該組成物に混合させる。添加の順序は、重要ではなかった。
【0297】
生物学的実施例1:
オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)に対する効力
化合物Aを含む本発明の2種類のポアオン組成物の効力を、2種類の代替え的なポアオン組成物及び無処理対照と比較して、オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)による侵襲に対して試験した。
【0298】
各試験群では、体重70~150kgの6~15ヶ月齢の5頭の健康なウシを使用した。群1のウシは処理しなかった(対照)。群2のウシは、第0日に、5%(w/v)の濃度の油性溶液中に化合物Aを含むポアオン組成物で、5mg/kgの投与量で処理した;群3のウシは、第0日に、揮発性溶液Iの中に5%(w/v)の濃度で化合物Aを含むポアオン組成物(ポアオン2組成物、表1を参照されたい)で、5mg/kgの投与量で処理した;群4のウシは、第0日に、揮発性溶液IIの中に5%(w/v)の濃度で化合物Aを含むポアオン組成物(ポアオン3組成物、表1を参照されたい)で、5mg/kgの投与量で処理した;及び、群5のウシは、第0日に、油性溶液中に5%(w/v)の濃度で化合物Aを含むポアオン組成物で、5mg/kgの投与量で処理した。
【0299】
試験した治験薬に関する詳細を、表4に記載する。
【表6】
【0300】
処理前の第-28日から第-1日まで、ウシに、週3回、約3000匹のオウシマダニ(Rhipicephalus microplus)幼虫を侵襲させて、継続的な侵襲を確立させる。群2、群3、群4及び群5のウシは、第0日に、必要な量の該溶液を計量して指標が付けられている使い捨てシリンジの中に入れ、背峰から尾根まで各動物の背部の正中線に沿って当該材料を均一に塗布することによりそれぞれの組成物で処理した。
【0301】
処理後、週3回、約3000匹のオウシマダニ(R. microplus)幼虫による侵襲によって各動物を攻撃した。群1(無処理対照群)では、処理後2週間、侵襲を継続させた。
【0302】
処理の1日後(第1日)に開始して、各動物から落ちる完全に充血した雌マダニを集め、カウントして、動物相の期間中毎日記録した。対照群(C1)のマダニ収集は、処理後2週間のみ動物に再侵襲させるという事実のため、治療効力期間の後に終了した。
【0303】
さらに、集めたマダニを群として計量して、対照と比較したマダニの体重増加に対する処理の影響を測定して、処理されたマダニの活力と生殖能力を評価した。
【0304】
IVPの効力は、「Holdsworth, P.A., Kemp, D., Green, P., Peter, R.J., De Bruin, C., Jonsson, N.N., Rehbein, S., Vercruysse, J. World Association for the Advancement of Veterinary Parasitology (W.A.A.V.P.) guidelines for evaluating the efficacy of acaricides against ticks (Ixodidae) on ruminants. Veterinary Parasitology, 136(2006) 29-43」に記載されている標準的なADEQ解析法を用いて確認した。
【0305】
ウシにおける化合物A(フルララネル)の血漿薬物動態学的プロフィールを確認するために、全ての処理群の血液サンプルを、処理前、並びに、処理の1日後、2日後、5日後、7日後、9日後、12日後、14日後、16日後及び21日後に収集した。その後、動物相の終わりまで、血液サンプルを毎週1回(即ち、6~8日ごとに)に採取する。
【0306】
図1及び
図2は、無処理対照群と比較した、処理後115日までのオウシマダニ(R. microplus)に対するポアオン組成物のマダニ総数%効力を示す。
【0307】
治療的1日当たりマダニ防除効力(>95%)は、群T1では処理の3日後、群T2では処理の10日後、群T3では処理の4日後、及び、群T4では処理の3日後に、到達した。
【0308】
群T1(5mgフルララネル/kg体重)、持続的な1日当たりマダニ防除効力(>95%)は、処理後3~76日に変動した。最も高い効力(100%)は、処理後9~55日に維持され、最も低い効力(90.6)は、処理後90日に記録された。群T1は、第98日に排除した。
【0309】
群T2(5mgフルララネル/kg体重)、持続的な1日当たりマダニ防除効力(>95%)は、処理後23~108日に変動した。最も高い効力(100%)は、処理後35~42日に維持され、最も低い効力(88.54)は、処理後111日に記録された。群T2は、第117日に排除した。
【0310】
群T3(5mgフルララネル/kg体重)、持続的な1日当たりマダニ防除効力(>95%)は、処理後4~104日に変動した。最も高い効力(100%)は、処理後10~15日及び33~42日に維持され、最も低い効力(65.27)は、処理後110日に記録された。群T3は、第117日に排除した。
【0311】
群T4(5mgフルララネル/kg体重)、持続的な1日当たりマダニ防除効力(>95%)は、処理後3~72日に変動した。最も高い効力(100%)は、処理後12~42日に維持され、最も低い効力(65.25)は、処理後77日に記録された。群T4は、第84日に排除した。
【0312】
図1及び
図2に示されているように、本発明のポアオン組成物は、長期間にわたって、オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)に対して優れた効力を提供する。
【0313】
オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)に対するポアオン組成物の長期間持続する90%を超える効力は、当技術分野で既知のポアオン組成物と比較して顕著である。
【0314】
本発明による組成物の個々の薬物動態学的パラメータ(即ち、C
max及びAUC)を以下の表5に示す。
図3は、この試験の薬物動態学及び効力の結果を1つのグラフに要約している。
【表7】
【0315】
生物学的実施例2:
ウシにおけるハエマトビア・イリタンス・エキシクア(Haematobia irritans exiqua)に対するポアオン組成物の効力
オーストラリアのノースクイーンズランド州のトパーズの近くの営利農場で、パドックペン試験(paddock pen study)を実施した。試験の目的は、ウシにおけるバッファローフライ(buffalo fly)(Haematobia irritans exigua)の自然個体群に対するフルララネルの4種類の実験的なポアオン製剤の治療効力及び残存効力を確認することであった。試験動物は、試験の経過中に農場に留まった商業用ウシであり、そして、事前の3ヶ月以内に大環状ラクトン、有機リン酸エステル、合成ピレスロイド又は昆虫成長調節剤による外部処理は為されていない。治療群の詳細を以下に示す。
【0316】
当該動物を、第0日に、それらの群に選抜した。処理を開始する前に、無処理群1の動物をそれら自身の独立したパドックに移した。処理群2~処理群5は、選抜後、処理に関する集団(race)に参加させるまで、放飼場(yard)内の小さな畜舎(pen)の中で別々に維持した。群3及び群5(IVP2及びIVP4)は、本発明による組成物である(表1 No.14-82及び14-86を参照されたい)。群1及び群4(IVP1及びIVP3)は、比較のポアオン製剤であった。それらの組成物の詳細は、下記表6に記載されている。
【表8】
【0317】
各動物は、処理を施す間、ヘッドクラッシュ内に拘束した。該動物は、第-1日の処理の前に記録された個々の体重に従って処理した。処理は、肩甲骨の前約10cmで始まり尾の付け根で終わる動物の背部ライン上に、20mL容プラスチック製シリンジを介して局所的に投与した。
【0318】
各評価は、個別の各群の全ての動物のそれぞれの片側全体のハエの数を数えることからなる。処理の割り当てを決定するために、第-6日及び第-1日に、バッファローフライの計数を実施した。処理の実施(第0日)に続いて、処理の1日後、3日後、7日後、14日後、21日後、28日後、35日後に、ハエの計数を実施した。
【0319】
処理前の群のバッファローフライの数は、群の間で均一であり、適切な攻撃を提供した。その総数は、5つの処理群に関して、算術平均で208.3~239.2匹のハエの範囲であった。動物1匹当たりのバッファローフライの平均数は、処理後の最初の3日間、無処理の対照ウシにおいて比較的一定であり、平均で233.3~278.3匹のハエの範囲であった。処理後21日と35日の間で、ハエの数は平均で526.7匹に増加した。
【0320】
その総数は、農場でのハエによる攻撃が試験期間中に充分であったことを示した。
【0321】
処理後第1日に、4つの全てのIVP群では、無処理対照群と比較して、平均ハエ数が有意に減少した。
【0322】
IVP2、群3は、残りの処理群よりも統計的に高い数であった;しかしながら、対照は依然として比較的高く、82.6%の効力であった。残りのIVPは、第1日に97.7%を超える効力を達成した。
【0323】
群4は、IVP3 フルララネル+エプリノメクチン ポアオンで処理した - IVP3は、第3日及び第14日に100%の防除を達成した;しかしながら、これらの評価時点において、群4、群2及び群3の間のハエの平均数に統計的な差異はなかった。群4の効力は、第21日まで、99.0%以上であった。第28日及び第35日では、それぞれ93.3%と80.9%の防除で、中程度の効力のレベルがまだ明らかであった。
【0324】
残りの製剤は、第21日まで93.9%を超える高い効力レベルを維持した。全ての製剤は、第28日と第35日に中程度の効力レベルまで低下した。第35日には、全ての製剤で処理されたウシは算術平均ハエ数がUTC群よりも有意に低かった。
【0325】
群5での76.3%の効力から群4での80.9%の効力に至るまで、IVP群の間では差はなかった。
【0326】
該IVP製剤は、ポアオン処理として投与された場合、バッファローフライの自然個体群に対して高いレベルの効力を提供した。
【0327】
本発明は、さらに、以下の番号が付けられた段落によって説明される。
【0328】
【0329】
〔式中、
R
1=ハロゲン、CF
3、OCF
3又はCNであり;
n=0から3までの整数(3を含む)であり;
m=1又は2であり;
R
2=C
1-C
3ハロアルキルであり;
T=環構造:5員若しくは6員又は二環式であり、これは、1以上のラジカルYで置換されていてもよい;
Y=メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=Sであるか、又は、2つの隣接するラジカルYは一緒に鎖を形成し;
Q=X-NR
3R
4、NR
5-NR
6-X-R
3、X-R
3であるか、又は、1以上のラジカルで置換されていてもよい5員N-ヘテロアリール環であり;
X=CH
2、CH(CH
3)、CH(CN)、CO、CSであり;
R
3=水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアルキル、
【化13】
【0330】
であり;
ここで、
Z
A=水素、ハロゲン、シアノ又はハロメチル(CF
3)であり;
R
4=水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
R
5=H、アルキル又はハロアルキルであり;
R
6=H、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、ここで、R
3とR
4は、一緒に、
【化14】
【0331】
からなる群から選択される置換基を形成する〕
で表される少なくとも1種類のイソオキサゾリン化合物又はその薬学的に許容される塩を含む動物の寄生虫による侵襲の保護及び治療において使用するための獣医学的液体組成物であって、ここで、組成物は、ポアオンとして投与され、そして、少なくとも1種類の皮膚浸透増強剤及び溶媒系を含む薬学的に許容される担体を含み、ここで、皮膚浸透増強剤はメントールを含み、そして、溶媒系はピロリドン溶媒を含む、前記獣医学的液体組成物。
【0332】
【0333】
から選択され;
ここで、T-1、T-3及びT-4においては、ラジカルY=水素、ハロゲン、メチル、ハロメチル、エチル又はハロエチルであり;そして、
ここで、Qは、
【化16】
【0334】
から選択され;
ここで、R
3、R
4、X及びZ
Aは、上記で定義されているとおりであり;及び、
Z
B=
【化17】
【0335】
【0336】
である;
パラグラフ1の獣医学的液体組成物。
【0337】
3. 前記溶媒系が、揮発性溶媒を含む、パラグラフ1又は2の獣医学的液体組成物。
【0338】
4. 前記組成物が、約2~約20%w/vの前記揮発性溶媒を含む、パラグラフ1又は2の獣医学的液体組成物。
【0339】
5. 前記揮発性溶媒が、アルコール溶媒である、パラグラフ1~3のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0340】
6. 前記組成物が、約5~約60%w/vの前記アルコール溶媒を含む、パラグラフ1~4のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0341】
7. 前記アルコール溶媒が、イソプロピルアルコールである、パラグラフ1~5のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0342】
8. 前記組成物が、グリセロールエステルを含む、パラグラフ1又は2の獣医学的液体組成物。
【0343】
9. 前記グリセロールエステルが、プロピレングリコールの飽和若しくは不飽和脂肪酸モノエステル及びジエステル、又は、C8-C14のアルキル鎖長を有するグリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪酸、C14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪酸、C8-C14のアルキル鎖長を有する飽和脂肪アルコール及びC14-C22のアルキル鎖長を有する不飽和脂肪アルコール又はそれらの混合物、から選択される、パラグラフ1又は2の獣医学的液体組成物。
【0344】
10. 前記グリセロールエステルが、プロピレングリコールジカプリオカプレート、グリセリルモノカプリレート及びそれらの混合物からなる群から選択される、パラグラフ8の獣医学的液体組成物。
【0345】
11. 前記組成物が、約5~約70%w/vのグリセロールエステルを含む、パラグラフ8~10のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0346】
12. 前記グリセロールエステルが、グリセリルモノカプリレートである、パラグラフ8~11のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0347】
13. 前記イソオキサゾリン化合物が、フルララネルである、パラグラフ1~12のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0348】
14. 前記組成物が、約1~約20%(w/v)のイソオキサゾリン化合物を含む、パラグラフ1~13のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0349】
15. 前記組成物が、約20~約50%(w/v)のイソオキサゾリン化合物を含む、パラグラフ1~14のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0350】
16. 前記組成物が、約2~約20%w/vのメントールを含む、パラグラフ1~15のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0351】
17. 前記ピロリドン溶媒が、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン及び/又はそれらの混合物である、パラグラフ1~16のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0352】
18. 前記組成物が、約5~約50%w/vのピロリドン溶媒を含む、パラグラフ1~17のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0353】
19. さらに、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む、パラグラフ1~18のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0354】
20. 前記組成物が、約5~約80%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む、パラグラフ1~19のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0355】
21. 前記組成物が、約5~約50%w/vのピロリドン溶媒及び約5~約80%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む、パラグラフ1~20のいずれかの獣医学的液体組成物。
【0356】
22.
(a)約0.5%~約15%w/vの少なくとも1種類のイソオキサゾリン化合物;
(b)約5%~約15%w/vのメントール;
(c)約10%~約50%w/vのイソプロピルアルコール;
(d)約10%~約40%w/vのピロリドン溶媒;及び、
(e)約5%~約80%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;を含む、1~7の獣医学的液体組成物。
【0357】
23. 前記組成物が、約2~約5%のイソオキサゾリン化合物を含み、並びに、担体が、約10%w/vのメントール、約35~約55%w/vのイソプロピルアルコール、約5~約35%w/vの2-ピロリドン及び/又は約10%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む、パラグラフ22の獣医学的液体組成物。
【0358】
24. 前記組成物が、約2%w/v、約3%w/v又は約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み;並びに、担体が、約35%w/v又は約55%w/vのイソプロピルアルコール及び約5%w/v又は約35%w/vの2-ピロリドンを含む、パラグラフ1~7のいずれか1つの獣医学的液体組成物。
【0359】
25. 前記組成物が、約20~約50%のイソオキサゾリン化合物を含み、並びに、担体が、約5~約15%w/vのメントール、約35~約55%w/vのイソプロピルアルコール、約5~約40%w/vの2-ピロリドン及び/又は約10%~70%w/vのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートを含む、パラグラフ1~7の獣医学的液体組成物。
【0360】
26. 前記組成物が、約2%w/v、約3%w/v又は約5%w/vのイソオキサゾリン化合物を含み;並びに、担体が、約35%w/v又は約55%w/vのイソプロピルアルコール及び約5%w/v又は約35%w/vの2-ピロリドンを含む、パラグラフ1~7の獣医学的液体組成物。
【0361】
27. 前記イソオキサゾリン化合物が、フルララネル、アフォキソラネル、ロチラネル及びサロラネルからなる群から選択される、パラグラフ1~26のいずれか1つの獣医学的液体組成物。
【0362】
28. 寄生虫を防除するための薬物の製造において使用するための、パラグラフ1~27のいずれか1つの獣医学的液体組成物であって、ここで、前記動物は、ウシ動物又はヒツジ動物である、組成物。
【0363】
29. 前記外部寄生虫による侵襲が、マダニ類及び/又はシラミ類による侵襲である、パラグラフ1~28のいずれか1つの獣医学的液体組成物。
【0364】
30. ウシ動物を外部寄生虫による侵襲から保護する方法であって、そのような保護を必要とする動物に有効投与量のパラグラフ1~27のいずれか1つの獣医学的液体組成物を投与することを含む、前記方法。
【0365】
31. ウシを、外部寄生虫による、好ましくは、マダニ又はシラミ類による侵襲から保護するための及び/又は外部寄生虫、好ましくは、マダニ又はシラミ類による侵襲、を治療するための薬物の製造における、パラグラフ1~27のいずれか1つの獣医学的液体組成物の使用。
【0366】
32. ヒツジを外部寄生虫、好ましくは、ブローフライストライクによる侵襲から保護するための及び/又は外部寄生虫、好ましくは、ブローフライストライクによる侵襲を治療するための薬物の製造における、パラグラフ1~27のいずれか1つの獣医学的液体組成物の使用。