(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】触覚フィードバックを生成するための装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231130BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20231130BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B06B1/06 Z
H10N30/20
(21)【出願番号】P 2020552219
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2019058300
(87)【国際公開番号】W WO2019193006
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】102018108061.1
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノイヴィルト, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カストル, ハラルド
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】富澤 哲生
【審判官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-11376(JP,A)
【文献】国際公開第2018/046201(WO,A1)
【文献】特開2016-162328(JP,A)
【文献】特開2017-175875(JP,A)
【文献】特開2012-221387(JP,A)
【文献】特開2016-129013(JP,A)
【文献】特開2010-146507(JP,A)
【文献】特開2010-146516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01, 3/041
H10N 30/20
B06B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚フィードバックを生成するための装置(1)であって、
タッチ・センシティブな表面(3)を有するインターフェース(2)と、
圧電アクチュエータ(11)と、
機械的な増幅要素(13a)と、
ベースプレート(4)と、
前記タッチ・センシティブな表面(3)の操作が検出された時、前記タッチ・センシティブな表面(3)を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように前記機械的な増幅要素(13a)が変形するような電圧パルスを、前記圧電アクチュエータ(11)に印加するように構成された制御ユニットと、を備え、
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記圧電アクチュエータ(11)に取り付けられており、
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記インターフェース(2)に直接的に又は間接的に取り付けられており、
前記機械的な増幅要素(13a)は、第1の方向(R1)における前記圧電アクチュエータ(11)の広がりの変化の結果として、前記機械的な増幅要素(13a)の部分領域(17a)が、前記圧電アクチュエータ(11)に対して、前記第1の方向(R1)に対して垂直な第2の方向(R2)に移動されるように変形するよう、形成され配置されており、それにより、前記インターフェース(2)に力が加えられ、
前記インターフェース(2)は、それに加えられる力によって、前記タッチ・センシティブな表面(3)に対して横方向(RL)にのみ移動され、
前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して移動させるように配置され形成されており、
前記圧電アクチュエータ(11)は、触覚フィードバックを生成するために、前記インターフェース(2)を前記ベースプレート(4)に対して角度αで移動させるように配置され形成されており、0°≦α≦180°であり、
前記力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象を与
え、
前記インターフェース(2)は、ユーザによる操作のために設けられた上面と、前記上面とは反対側の下面と、を備え、
前記圧電アクチュエータ(11)は、前記インターフェース(2)の前記下面と前記ベースプレート(4)との間に配置されており、
前記インターフェース(2)は、前記圧電アクチュエータ(11)によってのみ移動されるように構成されている、装置(1)。
【請求項2】
前記インターフェース(2)は、タッチ・センシティブな表面(3)を有するディスプレイである、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記機械的な増幅要素(13a)の前記部分領域(17a)は、前記タッチ・センシティブな表面(3)に対して垂直な前記インターフェース(2)の側面(2a)に取り付けられている、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記角度αは、0°<α<90°を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記インターフェース(2)は、柔軟な接続部(5)を介して、前記ベースプレート(4)と接続されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記柔軟な接続部は、前記インターフェースを、横方向において前記ベースプレートに取り付けている、及び/又は、
前記柔軟な接続部は、前記インターフェースを、前記タッチ・センシティブな表面に対して垂直な方向において前記ベースプレートに取り付けている、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記柔軟な接続部は、バネ、ダンパ、発泡材料要素又はゴム緩衝器を備える、請求項5又は6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記柔軟な接続部は、前記インターフェースの前記ベースプレートに対する移動を可能とするように構成されていると共に、前記インターフェースの前記ベースプレートに対する移動のために克服されなければならないプリテンションをもたらす、請求項5~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記インターフェース(2)は、前記ベースプレート(4)の上に緩く載置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記インターフェース(2)は、前記ベースプレート(4)に対して浮遊状態にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記圧電アクチュエータ(11)に取り付けられた第2の機械的な増幅要素(13b)を更に備え、
前記第2の機械的な増幅要素(13b)は、前記ベースプレート(4)と、接着、ネジ締結、溶接若しくはクランプにより直接的に、又は、少なくとも1つの別の要素を介して間接的に、接続されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記インターフェース(2)と、接着、ネジ締結、溶接、クランプ、テンション若しくはハンダ付けにより直接的に、又は、少なくとも1つの別の要素を介して間接的に、接続されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記機械的な増幅要素(13a)は、前記部分領域(17a)の前記第2の方向(R2)への前記移動が、前記第1の方向(R1)への前記圧電アクチュエータ(11)の前記広がりの前記変化と比較して、大きな振幅を有するように形成され配置されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記部分領域(17a)は、中央領域(19a)及び接続領域(20a)を備え、
前記部分領域(17a)は、前記圧電アクチュエータ(11)の表面から隔てて配置されており、かつ、
前記機械的な増幅要素(13a)は前記圧電アクチュエータ(11)の前記表面に取り付けられた2つの端部領域(18a)を備え、前記機械的な増幅要素(13a)の前記2つの端部領域(18a)は、前記機械的な増幅要素(13a)の前記部分領域(17a)と直接的に隣接しており、前記2つの端部領域(18a)は、前記機械的な増幅要素(13a)の前記部分領域(17a)の反対側に配置されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記機械的な増幅要素(13a)はブラケット状である、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記圧電アクチュエータ(11)に取り付けられた第2の機械的な増幅要素(13b)を更に備え、前記圧電アクチュエータ(11)は、前記2つの機械的な増幅要素(13a、13b)の間に配置されており、
前記第2の機械的な増幅要素(13b)は、前記第1の方向(R1)への前記圧電アクチュエータ(11)の前記広がりの前記変化の結果として、前記第2の機械的な増幅要素(13b)の部分領域(17b)が、前記圧電アクチュエータ(11)に対して、前記第1の方向(R1)に対して垂直な第2の方向(R2)に移動されるように変形するよう、形成され配置されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚フィードバックを生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ原動機付き車両において、装置を操作するためのボタン及びスイッチが、純粋に電子的な代替手段によって、特にタッチ・センシティブ・ディスプレイによって置き換えられることが、ますます多くなっている。その際、タッチ・センシティブ・ディスプレイの汎用性が高いと、特に有利である。単一のインターフェースによって、例えばエアコン、ナビゲーション装置、カーラジオ及び照明を制御することができる。しばしば、この目的のために、大型で重いディスプレイが原動機付き車両に取り付けられる。
【0003】
しかしながら、車両においてタッチ・センシティブ・ディスプレイを使用することの本質的な欠点は、ボタンが成功裏に押されたこと、又は、所望の機能が正しく作動させられたことを認識できるよう、車両の運転者がディスプレイを積極的に見ることを強いられる可能性があることにある。まさに原動機付き車両において、これは、安全性を脅かすリスクであり得る。何故なら、運転者は、このようにして一定の時間、注意を逸らされるからである。
【0004】
この欠点を回避するために、タッチ・センシティブ・ディスプレイ及び他のインターフェースには、しばしば、触覚フィードバックを生成するための装置が設けられる。例えば、仮想的なボタンが操作された後、当該ボタンが正しく操作されたことをユーザに知らせるために、インターフェースを振動状態へと移行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、触覚フィードバックを生成するための改良された装置を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の主題によって解決される。
【0007】
タッチ・センシティブな表面を有するインターフェースと、圧電アクチュエータと、機械的な増幅要素とを備える、触覚フィードバックを生成するための装置が提案される。機械的な増幅要素は、圧電アクチュエータに取り付けられている。機械的な増幅要素は、インターフェースに直接的に又は間接的に取り付けられている。機械的な増幅要素は、第1の方向への圧電アクチュエータの広がりの変化の結果として、機械的な増幅要素の部分領域が、圧電アクチュエータに対して、第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動するように変形するよう、形成され配置されている。それにより、タッチ・センシティブな表面に対して横方向にインターフェースを移動させる力が、当該インターフェースに加えられる。代替的に、それにより、タッチ・センシティブな表面に対して垂直な方向にインターフェースを移動させる力が、当該インターフェースに加えられ得る。
【0008】
触覚フィードバックを生成するために圧電アクチュエータを使用することにより、短い応答時間という利点が提供される。圧電アクチュエータは、タッチ・センシティブな表面の操作が検出された後、数ミリ秒以内に触覚フィードバックを生成することができる。したがって、圧電アクチュエータは、例えば線形共振器のような触覚フィードバックを生成するための他の手段と比較して、明らかに短い応答時間を提供する。
【0009】
機械的な増幅要素は、第1の方向への圧電アクチュエータの広がりの変化を、第2の方向への部分領域の移動に変換するように形成することができ、その際、第2の方向への移動の振幅は、アクチュエータの広がりの変化と比較して明らかに大きい。それに応じて、機械的な増幅要素は、圧電アクチュエータによって大型で重いインターフェースを移動させることを可能とすることができる。インターフェースが、その長さがアクチュエータの広がりの変化に相当する距離しか移動しない場合、その結果として生じる移動は、人間の触覚にとって知覚することが困難であろう。しかしながら、インターフェースは、その長さが第2の方向への部分領域の移動の振幅に相当する距離だけ移動することができ、その結果、人間の触感にとって良好に知覚可能な、インターフェースのより大きな移動がもたらされる。
【0010】
第2の方向は、特に、第1の方向に対して垂直であることができる。第2の方向は、触覚フィードバックを生成するためにインターフェースが移動する横方向に相当し得る。
【0011】
アクチュエータ及び増幅要素は、インターフェースが、そのタッチ・センシティブな表面に対して横方向に移動するように、配置されている。ユーザが、そのような移動を、そのタッチ・センシティブな表面に対して垂直なインターフェースの移動と区別することはできない。以下において平行な方向への移動とも称される、タッチ・センシティブな表面に対して垂直な移動の場合、インターフェースは、平行な方向への移動に対して低い曲げ剛性の故に、望ましくない固有振動へと移行する可能性がある。このような固有振動は、ユーザが、表面上の異なる位置において、異なる強度で触覚フィードバックを知覚するという結果をもたらす。それに対して、インターフェースが横方向に移動する場合、インターフェースの固有振動は発生せず、ユーザは、インターフェースのあらゆる位置において、触覚フィードバックを同一の強度で知覚する。それにより、ユーザにとってより快適な使用体験がもたらされる。
【0012】
いくつかの用途では、タッチ・センシティブな表面に対して垂直な方向へのインターフェースの移動が望ましい可能性がある。
【0013】
アクチュエータは、2つ以上の機械的な増幅要素と接続され得る。好ましくは、アクチュエータは、2つの機械的な増幅要素を備え、そのうちの1つは、インターフェースに対向するその上面上に、そのうちの1つは、インターフェースとは反対側の下面上に、それぞれ配置されている。代替的な実施形態では、下面上に配置された増幅要素を省略することができる。
【0014】
インターフェースは、好ましくは、タッチ・センシティブな表面を有するディスプレイであることができる。そのようなディスプレイは、しばしば大型で重く、平行な方向への移動の際の曲げ剛性が低い。それに応じて、特にそのようなインターフェースの場合、横方向への移動が、触覚フィードバックを生成するために有利である。
【0015】
代替的な構成では、インターフェースは、単純なボタン又は他の入力デバイスであってもよい。
【0016】
機械的な増幅要素の部分領域は、タッチ・センシティブな表面に対して垂直な、インターフェースの側面に取り付けられていてもよい。部分領域を側面に配置することにより、圧電アクチュエータ及び機械的な増幅ユニットがインターフェースを横方向に移動させるように構成された、単純な構造をもたらすことができる。アクチュエータによって生成された力は、機械的な増幅要素を側面に配置することによって、簡単な方法で、実質的な損失なしに、インターフェースに伝達され得る。
【0017】
更に、装置は、ベースプレートを備えることができ、その際、圧電アクチュエータは、触覚フィードバックを生成するために、インターフェースをベースプレートに対して移動させるように配置され構成されている。特に、触覚フィードバックは、インターフェースのベースプレートに対する相対移動によって生成することができる。ベースプレートは、特に、装置を、例えば車両又は携帯電話のような任意の装置に組み込むことを可能とするように構成することができる。そのために、ベースプレートは、任意の装置に機械的に取り付けられるように構成することができる。
【0018】
圧電アクチュエータは、触覚フィードバックを生成するために、インターフェースをベースプレートに対して角度αで移動させるように配置され形成されており、その際0°≦α≦180°である。角度α=0°である場合、ベースプレートに対して平行なインターフェースの移動が存在する。角度α=90°である場合、ベースプレートに対して垂直なインターフェースの移動が存在する。ベースプレートに対するインターフェースの任意の他の方向への移動も可能である。その際、インターフェースは、特に、ベースプレートに対して斜めに移動することができる。
【0019】
角度αが90°≦α≦180°の範囲である場合、インターフェースは、ベースプレートに対してオーバーハングして配置され得る。インターフェースのそのような配置は、例えば、インターフェースがオーバーヘッド・ディスプレイである場合に選択することができる。オーバーヘッド・ディスプレイは、例えば車両において使用することができる。
【0020】
インターフェースは、ベースプレートと、柔軟な接続部を介して接続することができる。その際、柔軟な接続部は、ベースプレートに対するインターフェースの相対移動が可能となるように、構成することができる。柔軟な接続部によって、インターフェースがベースプレートから最大距離を超えて離れて移動することができず、同時に、触覚フィードバックを生成するためにベースプレートに対して常に移動することができることが、保証され得る。柔軟な接続部は、1つ以上のバネを備えることができる。代替的に又は補完的に、バネ付勢された接続部は、例えばゴムのような軟質材料を含むことができる。
【0021】
柔軟な接続部は、インターフェースを、横方向において、ベースプレートに取り付けることができる。代替的に又は補完的に、柔軟な接続部は、インターフェースを、タッチ・センシティブな表面に対して垂直な方向において、ベースプレートに取り付けることができる。
【0022】
柔軟な接続部は、バネ、ダンパ、発泡材料要素又はゴム緩衝器を備えることができる。
【0023】
柔軟な接続部は、ベースプレートに対するインターフェースの移動を可能とするように構成されていると共に、ベースプレートに対するインターフェースの移動のために克服されなければならないプリテンションをもたらすことができる。
【0024】
インターフェースは、ベースプレートの上に緩く載置することができる。
【0025】
インターフェースは、ベースプレートに対して浮遊状態であることができる。その際、インターフェースは、圧電アクチュエータにのみ機械的に取り付けることができる。
【0026】
機械的な増幅要素は、インターフェースと、接着、ネジ締結、溶接、クランプ、テンション又はハンダ付けにより接続することができる。機械的な増幅要素は、インターフェースと、少なくとも1つの別の要素を介して、直接的に又は間接的に接続することができる。その際、機械的な増幅要素のインターフェースとの接続は、少なくとも増幅要素の部分領域がインターフェースに対して移動できないように構成することができる。それに応じて、当該接続は、インターフェースが機械的な増幅要素の部分領域の移動に追従するように構成することができる。
【0027】
圧電アクチュエータは、ベースプレートと、接着、ネジ締結、溶接又はクランプにより、直接的に又は間接的に、少なくとも1つの別の要素を介して接続することができる。別の要素は、例えば1つ以上の機械的な増幅要素であることができる。
【0028】
機械的な増幅要素は、第2の方向への部分領域の移動が、第1の方向への圧電アクチュエータの広がりの変化と比較して、大きな振幅を有するように形成され配置されることができる。それに応じて、増幅要素は、第1の方向へのアクチュエータの移動を第2の方向に転向させ、その際に当該移動の振幅を増大させる、並進運動を形成することができる。その際、第2の方向への移動の振幅は、アクチュエータの広がりの変化と比較して、少なくとも5倍大きくすることができ、好ましくは、当該振幅は少なくとも10倍大きい。
【0029】
部分領域は、圧電アクチュエータの表面から隔てて配置することができ、機械的な増幅要素は、圧電アクチュエータの表面に取り付けられた2つの端部領域を備え、2つの端部領域は、部分領域に直接的に隣接し、2つの端部領域は、部分領域の対向する側に配置されている。第1の方向への圧電アクチュエータの広がりの変化によって、端部領域は、互いに向かって移動されるか、又は、互いから離れるように移動される。それにより、部分領域は、第2の方向に移動することができる。
【0030】
機械的な増幅要素は、ブラケット状であることができる。
【0031】
装置は、更に、タッチ・センシティブな表面の操作が検出された時に、圧電アクチュエータに電圧パルスを印加するように構成された制御ユニットを備えることができる。制御ユニットは、インターフェースに統合することができる。電圧パルスは、例えば、単一の正弦波状、矩形状又は鋸歯状の電圧パルスであることができる。代替的に、電圧パルスは、2つ以上の正弦波状、矩形状又は鋸歯状の電圧パルスであることができる。
【0032】
制御ユニットは、タッチ・センシティブな表面を押す物体に対して、力の急変を再現する触覚フィードバックが生成されるように機械的な増幅要素が変形するような電圧パルスを、圧電アクチュエータに印加するように構成することができる。力の急変を通じて、ユーザは、機械的なボタンの操作感覚を感じることができる。力の急変は、スイッチングポイントを乗り越えた後、表面の機械的な抵抗が急激に減少するという触覚的な印象をユーザに与えること、によって特徴付けられる。
【0033】
装置は、更に、圧電アクチュエータに取り付けられた第2の機械的な増幅要素を備えることができる。アクチュエータは、2つの増幅要素の間に配置することができ、第2の機械的な増幅要素は、第1の方向における圧電アクチュエータの広がりの変化の結果として、第2の機械的な増幅要素の部分領域が、圧電アクチュエータに対して、第1の方向に対して垂直な第2の方向へ移動されるように変形するよう、形成され配置されている。第2の機械的な増幅要素は、第1の機械的な増幅要素と構造的に同一である。
【0034】
以下において、本発明が、図面に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】2つの増幅要素を有する圧電アクチュエータを示している。
【
図2】2つの増幅要素を有する圧電アクチュエータを示している。
【
図3】2つの増幅要素を有する圧電アクチュエータを示している。
【
図4】触覚フィードバックの生成を概略的に示している。
【
図5a】触覚フィードバックを生成するための装置の第1の実施例を示している。
【
図5b】触覚フィードバックを生成するための装置の第1の実施例を示している。
【
図6a】触覚フィードバックを生成するための装置の第2の実施例を示している。
【
図6b】触覚フィードバックを生成するための装置の第2の実施例を示している。
【
図7】触覚フィードバックを生成するための装置の第3の実施例を示している。
【
図8】触覚フィードバックを生成するための装置の第4の実施例を示している。
【
図9】触覚フィードバックを生成するための装置の第5の実施例を示している。
【
図10】触覚フィードバックを生成するための装置の第6の実施例を示している。
【
図11】触覚フィードバックを生成するための装置の第7の実施例を示している。
【
図12】触覚フィードバックを生成するための装置の第8の実施例を示している。
【
図13】触覚フィードバックを生成するための装置の第9の実施例を示している。
【
図14】触覚フィードバックを生成するための装置の第10の実施例を示している。
【
図15a】触覚フィードバックを生成するための装置の第11の実施例を示している。
【
図15b】触覚フィードバックを生成するための装置の第11の実施例を示している。
【
図16】触覚フィードバックを生成するための装置の第12の実施例を示している。
【
図17】触覚フィードバックを生成するための装置の第13の実施例を示している。
【
図18】触覚フィードバックを生成するための装置の第14の実施例を示している。
【
図19】触覚フィードバックを生成するために制御ユニットによって圧電アクチュエータに印加され得る電圧パルス、及び、その結果として生じるアクチュエータの撓みを、時系列で示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1、2及び3は、2つの増幅要素13a、13bを有する圧電アクチュエータ11を示している。圧電アクチュエータ11は、触覚フィードバックを生成するための本発明による装置において使用することができる。
【0037】
圧電アクチュエータ11は、多数の圧電層22と内部電極21とを有する焼結部品である。圧電アクチュエータ11は、特に、積層体を形成するように互いに重ね合わせて配置された多数の圧電層又は活性層22を備えている。圧電層22の間には、内部電極21が配置されている。その際、異なる極性の内部電極21が交互に配置されている。
【0038】
圧電層22は、チタン酸ジルコン酸鉛セラミックス(PZTセラミック)であることができる。PZTセラミックは、更に、付加的にNd及びNiを含んでいてもよい。代替的に、PZTセラミックは、更に、付加的にNd、K、及び必要に応じてCuを含んでいてもよい。代替的に、圧電層は、Pb(ZrxTi1-x)O3 + y Pb(Mn1/3Nb2/3)O3を含む組成を有していてもよい。
【0039】
圧電層22は、積層方向Sを有している。積層方向Sは、アクチュエータ11の端面又は側面24に沿って延びている。特に、圧電層22は、アクチュエータ11の鉛直方向の広がり又は厚さに沿って積層されている。
【0040】
アクチュエータ11は、2つの絶縁領域12を備えている。それぞれの絶縁領域12は、アクチュエータ11の端部領域に形成されている。特に、それぞれの絶縁領域12は、アクチュエータ11の端面24の領域に形成されている。
【0041】
絶縁領域12では、一方の極性の内部電極21のみが、アクチュエータ11の端面24まで達している。絶縁領域12は、アクチュエータ11の接触のために使用することができる。例えば、それぞれの絶縁領域12には、電気的な接触のための外部電極23を設けることができる。
【0042】
アクチュエータ11は、電圧が印加された際に、アクチュエータ11の変形が生じるように構成されている。これは、第1の方向R1におけるアクチュエータ11の広がりの変化である。特に、圧電層22は、内部電極21間に電圧を印加すると、アクチュエータ11の長さが積層方向Sに対して垂直に変化する、アクチュエータ11の横方向収縮が生じるように、分極されている。したがって、アクチュエータ11の広がりは、分極方向及び電界に対して横方向に変化する(d31効果)。
【0043】
積層方向Sにおける長さの変化の効果を更に増幅するために、装置は、2つの増幅要素13a、13bを備えている。アクチュエータ11に電圧が印加されると、増幅要素13a、13bは、後に詳述するように、アクチュエータ11の広がりの変化の結果として、少なくとも部分的に変形する。
【0044】
アクチュエータ11は、増幅要素13a、13bの間に配置されている。増幅要素13a、13bは、少なくとも部分的に、アクチュエータ11の上面25又は下面26の上に載置されている。それぞれの増幅要素13a、13bは、好ましくは、アクチュエータ11の幅に対応する幅を有している。同じことが、好ましくは増幅要素13a、13bの長さについても言える。
【0045】
それぞれの増幅要素13a、13bは、一体に形成されている。それぞれの増幅要素13a、13bは、矩形の形状を有する。それぞれの増幅要素13a、13bは、帯状に形成されている。それぞれの増幅要素13a、13bは、湾曲して形成されている。例えば、それぞれの増幅要素は、メタルストリップを備えている。メタルストリップは、以下において詳細に説明されるように、湾曲している。
【0046】
一体の増幅要素13a、13bの各々は、複数の領域又はセクションに細分されている。したがって、それぞれの増幅要素13a、13bは、部分領域又は第1の領域17a、17bを備えている。部分領域17a、17bは、それぞれ、第1のセクション又は中央領域19a、19bを備えている。
【0047】
部分領域17a、17bは、更に、それぞれ2つの第2のセクション又は接続領域20a、20bを備えている。それぞれの増幅要素13a、13bの2つの接続領域20a、20bは、それぞれの増幅要素13a、13bの中央領域19a、19bに直接的に隣接している。換言すれば、それぞれの増幅要素13a、13bの中央領域19a、19bは、両側において2つの接続領域20a、20bによって取り囲まれている。
【0048】
それぞれの増幅要素13a、13bは、更に、2つの端部領域18a、18bを備えている。端部領域18a、18bは、それぞれの増幅要素13a、13bの接続領域20a、20bに、直接的に隣接している。換言すれば、それぞれ1つの接続領域20a、20bが、1つの端部領域18a、18bを、1つの増幅要素13a、13bの中央領域19a、19bと接続している。
【0049】
それぞれの増幅要素の2つの端部領域18a、18bは、アクチュエータ11の表面上に直接的に載置されている。したがって、第1の増幅要素13aの第1及び第2の端部領域18aは、アクチュエータ11の上面25の部分領域の上に載置されている。更に、第2の増幅要素13bの第1及び第2の端部領域18bは、アクチュエータ11の下面26の部分領域の上に載置されている。
【0050】
端部領域18a、18bは、好ましくは、アクチュエータ11の表面と着脱不能に接続されている。特に、端部領域18a、18bは、接着接続部15によってアクチュエータ11の表面と接続されている。
【0051】
それぞれの部分領域17a、17bは、アクチュエータ11の表面から隔てられている。特に、それぞれの部分領域17a、17bと、アクチュエータ11の下面26又は上面25との間には、自由領域16が存在する。自由領域16は、高さhを有する。最大高さh、ひいてはアクチュエータ11と部分領域17a,17bとの間の最大距離は、好ましくは3mm以下、有利には2.5mmである。
【0052】
自由領域16の高さhは、それぞれの部分領域17a、17bに沿って変化する。それにより、それぞれの部分領域17a、17bの中央領域19a、19bは、アクチュエータ11の表面に対して平行に延びるように形成されている。したがって、自由領域16の高さhは、中央領域19a、19bの領域において最大である。それとは逆に、それぞれの接続領域20a、20bは、アクチュエータ11の表面に対して斜めに延びている。換言すれば、それぞれの接続領域20a、20bは、アクチュエータ11の上面25又は下面26との間に、ある角度を成している。当該角度は、好ましくは45°以下である。それにより、自由領域16の高さhは、それぞれの増幅要素13a、13bの中央領域19a、19bから端部領域18a、18bへ向かう方向に減少している。したがって、それぞれの増幅要素13a、13bは、湾曲した形状を有している。
【0053】
それぞれの増幅要素13a、13bは、更に、少なくとも1つの薄肉部14、好ましくは複数の薄肉部14を備えている。
図1~3において、それぞれの増幅要素13a、13bは4つの薄肉部14を備えている。その際、薄肉部14は、それぞれの増幅要素13a、13bが、その他の領域と比較して薄い、すなわち鉛直方向の広がり又は厚さが小さい領域と見なすことができる。薄肉部14は、アクチュエータ11が撓んだ際に、増幅要素13a、13bが薄肉部14の位置で曲がることができるように設けられている。有利には、薄肉部14は、それぞれの増幅要素13a、13bの移行領域に形成されている。その際、薄肉部14は、それぞれ、接続領域20a、20bと端部領域18a、18bとの間の移行領域に形成されている。更に、それぞれ1つの薄肉部14が、中央領域19a、19bと接続領域20a、20bとの間の移行領域に位置している。アクチュエータ11が変形するとき、増幅要素13a、13bは移行領域において曲がらなければならない。薄肉部14によって、増幅要素13a、13bの必要な可撓性が保証される。
【0054】
ここで、アクチュエータ11に電圧が印加されると、それぞれの増幅要素13a、13bの部分領域17a、17bは、アクチュエータ11に対して相対的に第2の方向R2に移動する。第2の方向R2は、第1の方向R1に対して垂直である。第2の方向R2は、積層方向Sに沿って延びている。
【0055】
特に、中央領域19a、19bは、第2の方向R2に移動する。その際、それぞれの増幅要素13a、13bは、中央領域19a、19bと接続領域20a、20bとの間、及び、接続領域20a、20bと端部領域18a、18bとの間の薄肉部14の位置で湾曲する。
【0056】
それとは逆に、端部領域18a、18bの第2の方向R2への移動は、アクチュエータ11との接着接続部15によって阻止される。むしろ、端部領域18a、18bは、アクチュエータ11と共に第1の方向R1に移動する。それにより、端部領域18a、18bと部分領域17a、17bとの間に相対運動が生じる。
【0057】
図1~3に示された圧電アクチュエータ11は、触覚フィードバックを生成するための装置1において使用される。
図4は、触覚フィードバックの生成を概略的に示している。
【0058】
装置1は、タッチ・センシティブな表面3を有するインターフェース2を備えている。これは、好ましくは、タッチ・センシティブ・ディスプレイである。インターフェース2を操作するために、タッチ・センシティブな表面3に圧力が印加される。そのような操作が認識されると、インターフェース2の振動が引き起こされる。そのために、インターフェース2は横方向RLに移動する。横方向RLは、タッチ・センシティブな表面3への圧力印加の方向に対して垂直である。横方向RLは、タッチ・センシティブな表面3に対して平行である。
【0059】
装置1のユーザは、インターフェース2の横方向RLへの移動を、横方向RLに対して垂直な平行方向へのインターフェース2の移動と区別することができない。インターフェース2が大型で重いディスプレイである場合、横方向RLへの移動は、平行な方向への移動と比較して、本質的な利点を提供する。ディスプレイの曲げ剛性がより低いことに起因して、平行な方向への移動の際には、望ましくない固有振動が励起される。これらは、ユーザが、ディスプレイの異なる位置において異なる強さで触覚フィードバックを知覚する、という結果をもたらす。しかしながら、この問題は、横方向RLへの移動の際には発生しない。
【0060】
インターフェース2の横方向RLへの移動は、圧電アクチュエータ11によって引き起こすことができる。
図5及び6に基づいて、アクチュエータ11をインターフェース2に取り付けるための可能性を示す実施例が説明される。
【0061】
以下においては、圧電アクチュエータ11の上面25に配置された機械的な増幅要素13aを第1の機械的な増幅要素13aと称し、その際、圧電アクチュエータ11の上面25が、インターフェース2と対向する面である。圧電アクチュエータ11の下面26に配置された機械的な増幅要素13bを、以下においては第2の機械的な増幅要素13bと称し、その際、圧電アクチュエータ11の下面26は、上面25とは反対側にある。第2の機械的な増幅要素13bは、任意の部材である。代替的な実施形態によれば、装置1は、アクチュエータ11の上面25に配置された第1の増幅要素13aのみを備え、第2の増幅要素13bを備えていない。
【0062】
図5a及び5bは、触覚フィードバックを生成するための装置1の第1の実施例を示している。
図5aは平面図を示しており、
図5bは側方断面図を示している。
【0063】
装置1は、ベースプレート4を備えている。ベースプレート4は、底板又は後壁であることができる。触覚フィードバックは、ベースプレート4に対するインターフェース2の相対移動によって生成される。相対運動の際、ベースプレート4は実質的に不動のままである一方、インターフェース2は横方向RLに移動する。ベースプレート4は、そのために、例えば車両のような別の装置に取り付けることができる。ベースプレート4は、インターフェース2と比較して、本質的に大きな質量、例えば、インターフェース2の質量の少なくとも10倍の質量を有することができる。
【0064】
ベースプレート4は、フレームを形成することができる。フレームは、開口部又は凹部を備え、それらの形状は実質的にインターフェース2の形状に対応する。ベースプレートは、それにより、インターフェース2を縁取ることができる。
【0065】
装置1は、更に、
図1~3に関連して説明した圧電アクチュエータ11を備えている。第1の増幅要素13aは、インターフェース2のタッチ・センシティブな表面3に対して垂直なインターフェース2の側面2aに取り付けられている。特に、部分領域17aの中央領域19aが、側面2aに取り付けられている。その際、中央領域19aは、インターフェース2が中央領域19aに対して移動することができず、それにより中央領域19aのあらゆる移動に追従するよう、側面2aに取り付けられている。部分領域17aは、例えば接着接続又は溶接のような取り外し不能な接続によって、又は、例えばネジ締結のような取り外し可能な接続によって、インターフェース2の側面2aに取り付けることができる。圧電アクチュエータ11は、第1の方向R1へのアクチュエータ11の広がりの変化の結果として部分領域17aが移動することができる第2の方向R2が、横方向RLに対応するように、インターフェース2に取り付けられている。
【0066】
アクチュエータ11に電圧パルスが印加されると、第1の増幅要素13aの部分領域17aは第2の方向R2に移動する。インターフェース2は部分領域17aと強固に接続されているので、部分領域17aの第2の方向R2への移動によって、インターフェース2は横方向RLに移動する。このようにして、触覚フィードバックが生成される。
【0067】
第2の増幅要素13bは、更に、ベースプレート4に取り付けられている。その際、第2の増幅要素13bの部分領域17bは、ベースプレート4と強固に接続されているので、部分領域17bの中央領域19bは、ベースプレート4に対して移動することができない。第2の増幅要素13bの部分領域17bは、例えば、ベースプレート4に接着されるか、ベースプレート4にネジ締結されるか、又は、ベースプレート4に溶接されることができる。ベースプレート4は、インターフェース2と比較して本質的に大きな質量を有するか、又は、例えば車両のような別の装置に取り付けられているので、アクチュエータ11の広がりの変化によって移動しない。
【0068】
インターフェース2は、第1の実施例においては、2つの増幅要素13a、13b及び圧電アクチュエータ11を介してのみ、ベースプレート4と接続されている。装置1は、インターフェース2とベースプレート4との間に、別の機械的な接続部を備えていない。それに応じて、インターフェース2は、ベースプレート4に対して移動することができる。インターフェース2は、ベースプレート4の上に緩く載置されている。触覚信号が生成される際、インターフェース2はベースプレート4の上を摺動する。
【0069】
ベースプレート4は、インターフェースのタッチ・センシティブな表面に対して平行に配置されている。
【0070】
それにより、インターフェース2がベースプレート4に対して横方向RLに移動することを可能とする、簡単な構造が得られる。
【0071】
図6a及び
図6bは、装置1の第2の実施例を示している。
図6aは平面図を示しており、
図6bは断面図を示している。
【0072】
第2の実施例によれば、インターフェース2は、柔軟な接続部5を介してベースプレートと接続されている。柔軟な接続部5は、第1の増幅要素13aと接続された側面2aとは反対側の、インターフェース2の側面2bに形成することができる。代替的に、柔軟な接続部5は、インターフェース2の別の側面に、又は、インターフェース2の複数の側面に、形成することもできる。
【0073】
図6a及び
図6bに示された第2の実施例において、柔軟な接続部5は、インターフェース2をベースプレート4と接続するバネ27を備えている。柔軟な接続部5は、それぞれインターフェース2をベースプレート4と接続する2つ以上のバネ27を備えることもできる。バネ27の代わりに又はそれを補完するものとして、柔軟な接続部5は、例えば軟質ゴムのような弾性材料を含むことができる。
【0074】
柔軟な接続部5は、ベースプレート4に対するインターフェース2の相対移動を可能とする。しかしながら、相対移動の振幅は、柔軟な接続部5によって制限され得る。柔軟な接続部5は、ベースプレート4に対するインターフェース2のプリテンションをもたらすことができ、当該プリテンションは、ベースプレート4に対するインターフェース2の移動のために克服されなければならない。
【0075】
柔軟な接続部5のバネ27は、インターフェース2を、横方向において、すなわちインターフェース2のタッチ・センシティブな表面3に対して垂直な方向において、ベースプレート4と接続する。
【0076】
第2の実施例において、インターフェース2は、圧電アクチュエータ11及び柔軟な接続部5を介して、当該インターフェース2がベースプレートの上方で吊り下げられるよう、ベースプレート4に取り付けられている。インターフェース2は、ベースプレート4と接触していない。
【0077】
第1の実施例に関連して既に説明したように、第1の増幅要素13aの部分領域17aは、インターフェース2の側面2aと接続されている。それに応じて、部分領域17aの第2の方向R2への移動によって、触覚フィードバックを生成することができ、その際、インターフェース2は、横方向RLに移動する。
【0078】
その際、第1の実施例とは対照的に、圧電アクチュエータ11は、ベースプレート4によって形成されたフレームと強固に接続される必要はない。第1の実施例に関連して挙げられた、第2の増幅要素13bの部分領域17bをベースプレート4と接着、溶接又はネジ締結するという接続の可能性に加えて、第2の実施例においては、アクチュエータ11を、インターフェース2と、ベースプレート4によって形成されたフレームとの間にクランプするという可能性が存在する。その際、クランプは、ベースプレート4とインターフェース2との間の柔軟な接続部5によってもたらすことができる。その際、柔軟な接続部5には、
図6a及び6bに示された、アクチュエータ11に電圧が印加されない休止状態において、プリテンションをかけることができる。更に、第1の増幅要素13aの部分領域17aを、クランプによってのみインターフェース2と接続することも可能である。
【0079】
圧電アクチュエータ11に電圧が印加されると、第1の実施例に関連して既に説明したように、増幅要素13a、13bの第2の方向R2にへの移動の結果として、インターフェース2がベースプレート4に対して横方向RLに移動する、という結果がもたらされる。
【0080】
図7は、装置1の第3の実施例を示している。
図7は、断面図を示している。
【0081】
第3の実施例によれば、2つの増幅要素13a、13bを有する圧電アクチュエータ11は、インターフェース2の第1の側面2aに配置されている。特に、第1の増幅要素13aは、直接的に第1の側面2aと接続されている。第2の増幅要素13bは、直接的に、ベースプレート4と接続されている。
【0082】
インターフェース2は、柔軟な接続部5を介して、ベースプレート4と接続されている。柔軟な接続部5は、ベースプレート4と対向するインターフェース2の下面に配置されている。それに応じて、柔軟な接続部5は、触覚信号が生成される際にインターフェース2が移動する横方向RLに対して垂直に、形成されている。横方向において、インターフェース2は、側面2a上においてのみ、圧電アクチュエータ11及び2つの増幅要素13a、13bを介して、ベースプレート4と接続されている。
【0083】
側面2aとは反対側の側面2bは、ベースプレート4と接続されていない。それに応じて、第3の実施例による装置は、鉛直方向においては、インターフェース2のベースプレート4との柔軟な接続部5を備え、横方向RLにおいては、インターフェース2のベースプレート4との柔軟な接続部5を備えていない。
【0084】
柔軟な接続部5は、2つのゴム緩衝器28を備えている。ゴム緩衝器28は、インターフェース2のベースプレート4に対する横方向の移動を可能とする弾性を有している。柔軟な接続部5は、インターフェース2とベースプレート4との間にプリテンションを生じさせる。プリテンションは、インターフェース2をベースプレート4に対して移動させるために、克服されなければならない。
【0085】
柔軟な接続部5は、ベースプレート4に対するインターフェース2の移動を完全に阻止することなく、インターフェース2を安定化させると共に、触覚信号が生成される際にインターフェース2が移動する移動半径を制限することを可能とする。
【0086】
【0087】
第4の実施例による装置は、インターフェース2とベースプレート4との間の柔軟な接続部5の構成において、第3の実施例による装置と異なっている。第4の実施例によれば、柔軟な接続部5は、バネ27を備えている。バネ27は、インターフェース2を、鉛直方向においてベースプレート4と接続している。バネ27は、ベースプレート4に対するインターフェース2の横方向の移動を可能とする。バネ27は、ベースプレート4に対するインターフェース2のプリテンションを生じさせ、当該プリテンションは、インターフェース2がベースプレート4に対して移動できるよう、克服されなければならない。ゴム緩衝器28の代わりにバネ27を使用することを除いて、第4の実施例は、第3の実施例と異なるものではない。
【0088】
【0089】
第5の実施例による装置は、インターフェース2とベースプレート4との間の柔軟な接続部5の構成において、第3の実施例による装置と異なっている。第5の実施例によれば、柔軟な接続部5は、インターフェース2の下面及びベースプレート4に取り付けられた、平坦な発泡材料要素29を備えている。発泡材料要素29は、ベースプレート4に対するインターフェース2の横方向の移動を可能とする。発泡材料要素29は、ベースプレート4に対するインターフェース2のプリテンションを生じさせ、当該プリテンションは、インターフェース2がベースプレート4に対して移動できるよう、克服されなければならない。発泡材料要素29に代えて、平坦なゴム要素を使用することができる。
【0090】
図10は、装置の第6の実施例を示している。
図10は、側方断面図を示している。
【0091】
第6の実施例による装置は、インターフェースの側面2bとベースプレート4との間に、柔軟な接続部5を備えている。柔軟な接続部は、発泡材料要素29を備えている。柔軟な接続部は、横方向RLに形成されている。インターフェース2とベースプレート4との間に、鉛直方向の柔軟な接続部は設けられていない。第2の実施例と同様に、横方向RLにおける柔軟な接続部5は、ベースプレート4に対するインターフェース2の横方向RLへの移動を可能とし、その際、柔軟な接続部5によって生成されたプリテンションは、克服されなければならない。
【0092】
図11は、装置の第7の実施例を示している。第7の実施例によれば、インターフェース2は、ベースプレート4の上方に浮遊状態で配置されている。インターフェース2は、側面2aにおいて、圧電アクチュエータ11及び増幅要素13a、13bを介して、ベースプレートに取り付けられている。インターフェース2のベースプレート4との付加的な柔軟な接続部は、設けられていない。第7の実施例は、例えば小さなディスプレイのような軽量のインターフェース2に特に適している。第1の増幅要素13aは、インターフェースにネジ締結することができる。第2の増幅要素13bは、ベースプレート4にネジ締結することができる。
【0093】
【0094】
第8の実施例による装置において、圧電アクチュエータ11は、インターフェース2の側方にではなく、インターフェース2の下方に配置されている。特に、圧電アクチュエータ11は、インターフェース2の下面とベースプレートとの間に配置されている。その際、圧電アクチュエータ11は、インターフェース2に横方向RLへの移動を引き起こし得るように配置されている。
【0095】
第2の増幅要素13bは、ベースプレート4に直接的に取り付けられている。第1の増幅要素13aは、第1の接続要素30に取り付けられている。第1の増幅要素13aは、第1の接続要素30にネジ締結されている。第1の接続要素30は、インターフェース2の下面に取り付けられている。第1の接続要素30が圧電アクチュエータ11によって横方向RLに移動されると、インターフェース2は、第1の接続要素30がインターフェース2と接続されているため、この移動に追従する。
【0096】
第8の実施例によれば、インターフェース2は、ベースプレート4の上方に浮遊状態で配置されている。インターフェース2は、第1の接続要素30と、圧電アクチュエータ11と、2つの増幅要素13a、13bとから形成される接続部を介してのみ、ベースプレート4と接続されている。付加的な柔軟な接続部は、設けられていない。
【0097】
圧電アクチュエータ11に交流電圧が印加されると、触覚信号が生成される。アクチュエータ11の変形は、増幅要素13a、13bによって、増幅された移動振幅を有する横方向RLの移動に変換される。第1の増幅要素13aが第1の接続要素30に取り付けられており、第1の接続要素30がインターフェース2に取り付けられているため、インターフェース2はベースプレート4に対して横方向に移動する。それにより、触覚信号が生成される。
【0098】
【0099】
第9の実施例よる装置においては、第8の実施例と比較して、第2の接続要素31が設けられている。第2の増幅要素13bは、ベースプレート4に直接的に取り付けられているのではなく、ベースプレー4に取り付けられた第2の接続要素31に取り付けられている。
【0100】
【0101】
第10の実施例は、第9の実施例に基づいており、その際、付加的に、インターフェース2とベースプレート4との間に2つの柔軟な接続部5が設けられている。インターフェース2の側面2a及び2bは、それぞれ、柔軟な接続部5を介して、横方向RLにおいてベースプレート4と接続されている。柔軟な接続部5は、それぞれ1つのバネ27を備えている。柔軟な接続部5は、インターフェース2とベースプレート4との間にプリテンションを生じさせ、当該プリテンションは、インターフェース2が触覚信号を生成するためにベースプレート4に対して横方向RLに移動できるよう、克服されなければならない。
【0102】
図15a及び
図15bは、装置の第11の実施例を示している。第11の実施例によれば、インターフェース2は、ベースプレート4に対して平行には配置されていない。むしろ、インターフェース2とベースプレート4は、角度αを成している。圧電アクチュエータ11は、インターフェースの第1の側面2aに配置されている。圧電アクチュエータ11は、タッチ・センシティブな表面に対して平行な横方向RLにインターフェース2を移動させるように構成されている。この方向とベースプレートは、角度αを成している。
図15a及び
図15bに示された実施例では、角度αは0°より大きく90°より小さい。0°の角度αは、第1~10の実施例で示されるように、インターフェース2のベースプレート4に対して平行な移動の際に生じる。
【0103】
図16は、異なる態様で構成されたベースプレート4によって第11の実施例と区別される、第12の実施例を示している。
【0104】
図17は、第13の実施例を示している。第13の実施例において、インターフェース2は、同様に、ベースプレート4に対して0°<α<90°の角度で移動される。圧電アクチュエータ11及び増幅要素13a、13bは、インターフェース2の第1の側面2aに配置されている。インターフェース2の第2の側面2bには、バネ27を備える柔軟な接続部5が配置されている。バネ27は、第2の側壁2bをベースプレート4と接続している。
【0105】
図18は、装置の第14の実施例を示している。圧電アクチュエータ11及び増幅要素13a、13bは、タッチ・センシティブな表面3から離れる方を向いたインターフェース2の下面とベースプレート4との間に配置されている。圧電アクチュエータ11は、タッチ・センシティブな表面3に対して垂直な方向にインターフェース2を移動させるように構成されている。その際、移動方向とベースプレート4は、90°の角度αを成している。付加的に、インターフェース2の下面とベースプレートとの間に、ゴム緩衝器18を備える柔軟な接続部5が形成されている。柔軟な接続部5は、インターフェース2とベースプレート4との間にプリテンションをもたらし、当該プリテンションは、インターフェース2の移動のために克服されなければならない。柔軟な接続部5は、ベースプレート4に対するインターフェース2の移動を可能とするように構成されている。
【0106】
図19は、触覚フィードバックを生成するために制御ユニットによって圧電アクチュエータ11に印加され得る電圧パルスを示している。
【0107】
その際、曲線K1は、印加された電圧の経時変化を示している。ここでは、3.3msのパルス幅を有する単一の半正弦波状パルスが印加され、これは700Hzの周波数に相当する。
【0108】
曲線K2は、印加されたパルスの結果としての圧電アクチュエータ11の第1の方向における撓みの経時変化を示している。既に約5ms後に、撓みは最大に達する。それに応じて、応答時間は非常に短い。比較として線形共振器が参照され、当該線形共振器は、通常、電圧が印加された後、約100msにおいて初めて、撓みが最大に達する。
【0109】
最大の撓みに続いて、圧電アクチュエータ11は、撓みの振幅が急速に減少する短い減衰挙動を示す。
【0110】
制御ユニットによって、ユーザに対して力の急変の印象が生じるよう、アクチュエータ11にパルスを印加することができる。この力の急変は、機械的なボタンの挙動を再現しており、それにより、ユーザにクリック感を与えることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 装置
2 インターフェース
2a インターフェースの側面
2b インターフェースの側面
3 タッチ・センシティブな表面
4 ベースプレート
5 バネ付勢された接続部
11 圧電アクチュエータ
12 絶縁領域
13a 第1の増幅要素
13b 第2の増幅要素
14 薄肉部
15 接着接続部
16 自由領域
17a,17b 部分領域
18a,18b 端部領域
19a,19b 部分領域の第1のセクション/中央領域
20a,20b 部分領域の第2のセクション/接続領域
21 内部電極
22 圧電層
23 外部電極
24 端面
25 上面
26 下面
27 バネ
28 ゴム緩衝器
29 発泡材料要素
30 接続要素
31 接続要素
H 高さ
R1 第1の方向
R2 第2の方向
RL 横方向
S 積層方向
α 角度