(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】遠心分離機
(51)【国際特許分類】
B04B 9/08 20060101AFI20231130BHJP
B04B 5/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B04B9/08
B04B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2020569193
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019065255
(87)【国際公開番号】W WO2019238711
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】102018114289.7
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508291836
【氏名又は名称】アンドレアス ヘティック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ホーネック
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルダーレ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー プリラ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ヘーゲレ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス-ギュンター エベレ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0252754(US,A1)
【文献】特開昭53-143391(JP,A)
【文献】特開2011-011118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0158769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)駆動シャフト(12)、前記駆動シャフト(12)に取り付けられ、取外し方向(26)に軸方向に取外し可能なロータ(14)と、
b)前記ロータ(14)と前記駆動シャフト(12)との間で作動し、それによって前記ロータ(14)を前記駆動シャフト(12)に対して前記取外し方向(26)に固定できる即効型クロージャ(20)と、
c)前記駆動シャフト(12)に接続されたスラスト軸受(44)と、
d)前記ロータ(14)に接続されたロッキング軸受(24)と、
e)作動すると、前記ロータ(14)を前記駆動シャフト(12)に対して固定し、前記ロータ(14)の前記ロッキング軸受(24)と前記駆動シャフト(12)の前記スラスト軸受(44)との間で動く、少なくとも1つのブロッキング要素(38)とを備え、
前記即効型クロージャ(20)は作動要素(52)を有し、前記即効型クロージャ(20)が、前記
ロッキング軸受(24)および/または前記スラスト軸受(44)に対して前記駆動シャフト(12)の長手方向軸に平行な方向への前記作動要素(52)の動き及び前記ブロッキング要素(38)の動きによってロック解除されるように、前記ブロッキング要素(38)は前記作動要素(52)に作動可能に接続され、ロック時は、一方では前記ブロッキング要素(38)、他方では前記ロッキング軸受(24)および/または前記スラスト軸受(44)の互いに向かう相対的な動きが、前記駆動シャフト(12)の長手方向軸と平行な方向に発生し、前記ブロッキング要素(38)は、少なくともロック位置とロック解除位置との間で旋回軸の中心に旋回するようになっており、
前記旋回軸(38b)は、前記駆動シャフト(12)に平行な直線に垂直に整列しており、
前記ブロッキング要素(38)は、前記旋回軸(38b)を中心に旋回するように適合されたカルダンシャフト(38a)または軸受(40)を有しており、前記カルダンシャフト(38a)が軸受(40)に係合している、または、前記軸受(40)がカルダンシャフト(38a)の周りに係合している、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
請求項1に記載の遠心分離機において、
前記カルダンシャフト(38a)は、前記ブロッキング要素(38)の長手方向の範囲に対して横方向に延び、前記ブロッキング要素(38)の旋回軸(38b)に沿って延びて、前記軸受(40)に旋回可能に接続され、前記旋回軸(38b)周りの前記ブロッキング要素(38)の動きは、前記カルダンシャフト(38a)および前記軸受(40)との前記ブロッキング要素(38)の相対的な動きをもたらす、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項3】
請求項1に記載の遠心分離機において、
前記軸受(40)は、前記作動要素(52)に作動可能に接続される力伝達要素(60)の一部である、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の遠心分離機において、
前記軸受(40)は、ラジアル軸受として設計されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)は、その長手方向範囲に垂直に及び長手方向範囲に横方向に延び、それぞれ前記軸受(40)の領域と関連している2つのカルダンシャフト領域(38a)を有している、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)は、前記
カルダンシャフト(38a)に対して一方の側にブロッキング領域(38e)を有し、他方の側にブロッキング質量(38c)を有する、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項7】
請求項
6に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング質量(38c)は、前記ブロッキング領域(38e)よりも重い、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項8】
請求項6に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング質量(38c)は、前記遠心分離機の作動中に、前記ブロッキング要素(38)の前記ブロッキング領域(38e)を前記ロック位置に押しやる、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項9】
請求項
6乃至8の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)の重心(S)は、前記ブロッキング質量(38c)内に位置し、ロック解除中に、トルクが前記ロック解除位置の方向に前記ブロッキング要素(38)の前記ブロッキング領域(38e)に作用するように、前記旋回軸(38b)による長手方向範囲に沿った軸の交点の外側に位置している、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項10】
請求項
6乃至8の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)の前記ブロッキング領域(38e)は、湾曲に形成されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項11】
請求項
6乃至9の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング領域(38e)は、前記スラスト軸受および/またはロッキング軸受の形状と一致するように設計されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項12】
請求項
6乃至11の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)の前記
ブロッキング質量(38c)は、自由端から離れた側に、ガイド凹部(38d)を有する、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項13】
請求項
3に記載の遠心分離機において、
前記力伝達要素(60)は
、凹部に係合するガイド突起(62a)を有する、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記ブロッキング要素(38)は、粉末射出成形体、精密鋳造体、ダイカスト鋳造体、冷間成形体、プラスチック射出成形体または焼結体である、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の遠心分離機において、
少なくとも2つの前記ブロッキング要素(38)が設けられ、すべての前記ブロッキング要素(38)は同一の設計であり、それぞれの前記ブロッキング要素が、隣接する前記ブロッキング要素から一定の距離に配置されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項16】
請求項
3に記載の遠心分離機において、
前記力伝達要素(60)は、前記ロック位置の方向にバネ荷重が作用している、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項17】
請求項
3に記載の遠心分離機において、
前記力伝達要素(60)は、シリンダ
(30)内でガイドされる円筒形ピストンとして設計されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項18】
請求項17に記載の遠心分離機において、
前記円筒形ピストン(60)は、円筒軸の周りに互いに移動可能に取り付けられたいくつかのピストンセグメント(54、56、58)から成っている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項19】
請求項17または18に記載の遠心分離機において、
前記円筒形ピストン(60)に作用するばね(42)が設けられている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項20】
請求
項18に記載の遠心分離機において、
いくつかのばねが設けられ、そのうち1つの前記ばねが前記ピストンセグメント(54、56、58)に作用する、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項21】
請求項
17乃至20の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記シリンダ(30)は、前記駆動シャフト側の前
記力伝達要素(60)を支持するように前記駆動シャフト(12)に接続されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項22】
請求項
17乃至20の何れか1項に記載の遠心分離機において、
前記シリンダ(30)は、前記ロータ側の前
記力伝達要素(60)を支持するように前記ロータ(14)に接続されている、ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れか1項に記載の遠心分離機において、
ロック解除中、前記作動要素(52)は、前記駆動シャフト(12)へ向かう方向または前記駆動シャフト(12)から離れる方向に動かされる、ことを特徴とする遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分で特定された形式の遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
取外し可能なロータを有する遠心分離機は既に知られており、この遠心分離機は、ロータを駆動シャフトに軸方向にロックするための手段を含み、そのようなロックを達成するために複雑な組立ステップまたは特別な工具を必要としない。
【0003】
例えば特許文献1には、駆動シャフトと駆動シャフトに取り付けられたロータとを備えた一般的な遠心分離機が開示されており、このロータは、取外し方向において軸方向に取り外すことができる。ロータおよび駆動シャフトに結合された即効型クロージャが設けられ、このクロージャを用いることで、ロータを駆動シャフトに対して取外し方向に固定することができる。即効型クロージャは、ロータのロック部分が係合する駆動シャフト内のスラスト軸受と、作動すると駆動シャフトに対してロータを固定する少なくとも1つのブロッキング要素とを備える。ブロッキング要素は、ロータのロック部分と駆動シャフトのスラスト軸受との間で動作する。即効型クロージャは、動力伝達要素を有する。ブロッキング要素は、動力伝達要素を介して作動要素と動作可能に接続されている。即効型クロージャは、作動要素、動力伝達要素および少なくとも1つのブロッキング要素を、ロック部分に対して、駆動シャフトの長手方向軸と平行な直線方向に移動させることによって、ロック解除される。ロック解除時において、作動要素は、駆動シャフトの長手方向軸と平行な直線方向に、駆動シャフトへ向かって移動する。ロック時では、動力伝達要素および少なくとも1つのブロッキング要素と、ロック部分とが、長手方向軸に平行な直線方向に互いに向かって相対的に移動する。ブロッキング要素は、固体状ジョイントによって弾性的に旋回可能な方法で取り付けられている。これは、ロータを挿入する際、軸力を生成する必要があることを意味する。この力を最小限に抑えるためには、ブロッキング要素の撓みを増やして設置スペースを大きくするか、ブロッキング要素の材料の厚さを薄くして固定領域を小さくする必要がある。これにより、特に製造のばらつきが考慮されている場合、即効型クロージャの保持力と操作上の安全性が低下する。これを防ぐ1つの案は、ブロッキング要素の固定領域における材料を厚くすることである。しかしながら、実際には、これらの領域は連続運転で破損し得ることが示されている。
【0004】
公知の遠心分離機のもう一つの問題は、ロータが軽量の場合、ブロッキング要素を変更させるために必要な軸力が大きすぎるため、ロータの自重をロックに使用できず、動作エラーを招く可能性があることである。
【0005】
特許文献2に、別の遠心分離機が開示されている。しかしながら、この場合、ブロッキング要素は、垂直に整列された軸を有するジョイントを中心に旋回するように適合されており、ロック機構は異なる。この設計は、非常に動作がぎこちなく、エラーが発生しやすいことが証明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE102014112501A1
【文献】DE69810060T2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、連続運転においても信頼性があり、ロータを挿入するためにわずかな操作力しか必要としないクイックリリースシステムを有するように、請求項1の前段部分で特定された形式の遠心分離機をさらに開発することである。好ましくは、ロータが駆動シャフト上に配置されると、ロック機能は、軽量のロータであっても、追加の力なしで重力によってのみ達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、この目的が、ブロッキング要素をそのロック位置からロック解除位置に、およびその逆に、弾性変形なしに単に旋回させることによって達成できるという洞察に基づいている。これは、特に固体状ジョイントではなく、むしろ水平旋回軸回りに作用する通常ジョイント、特にヒンジジョイントを使用することで最も簡単に実現することができる。
【0009】
したがって、本発明によれば、ロックジョイントの旋回軸は、駆動シャフトの長手方向軸に平行な直線に垂直に整列され、ブロッキング要素は、旋回軸回りに回転可能なカルダンシャフト、軸受、軸受と係合するカルダンシャフトまたはカルダンシャフトを含む軸受を備えている。したがって、簡単な方法で、ブロッキング要素はヒンジ付き軸受に取り付けられる。固体状ジョイントのようにもはや弾性変形がなくなり、軸受内のカルダンシャフトの摩擦だけを克服する必要があるため、これは加える力を減らす簡単な方法である。さらに、垂直に整列された旋回軸とは対照的に、水平に整列された旋回軸回りの旋回運動は、旋回をかなり容易にする。これにより、追加の労力を必要とせずに、純粋に重力によってロータを駆動シャフトに接続することが可能になる。さらに、これにより、構造設計に関する追加のオプションが増える。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、カルダンシャフトは、ブロッキング要素の長手方向の範囲まで横方向に延び、且つ、ブロッキング要素の旋回軸に沿って延び、カルダンシャフトの周りでブロッキング要素が軸受に旋回可能に接続されている。ブロッキング要素が旋回軸を中心に移動すると、カルダンシャフトを備えたブロッキング要素と軸受との間に相対的運動が生じる。これは、ブロッキング要素が弾性変形することを防ぐ簡単な方法である。
【0011】
好ましくは、軸受は、作動要素に動作可能に接続されている力伝達要素の一部である。
【0012】
軸受は、製造を容易にし、高い疲労強度を保証するラジアル軸受として設計することができる。
【0013】
特に、ブロッキング要素は、その長手方向の範囲に垂直に延びる2つのカルダンシャフト領域を有し、各シャフト領域は、軸受の1つの領域に関連付けられている。これにより、片側取り付けによるずれが防止される。
【0014】
ロック位置での保持力を増大させるための条件を生成するために、ブロッキング要素は、駆動シャフト領域の一方の側にブロッキング領域を有し、他方の側にブロッキング質量を有し、好ましくは、ブロッキング質量はブロッキング領域よりも重い。これにより、遠心分離機の運転時に、ブロッキング質量が外側へ押し出されると同時に、ブロッキング要素のブロッキング領域が内側へ押し出され、そのため、そのロック位置になる。これにより、即効型クロージャの安全性が高まる。
【0015】
この目的のために、ブロッキング要素の重心は、ロック解除中に、ロック解除位置の方向にあるブロッキング要素のブロッキング領域にトルクが作用するように、旋回軸による長手方向の範囲に沿った軸の交点の外側に位置するブロッキング質量内にある。
【0016】
好ましくは、ブロッキング要素のブロッキング領域は、湾曲状に設計および/またはスラスト軸受および/またはロッキング軸受の形状に適合するように設計される。これにより、小さいサイズのコンパクトな接続が実現される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、ブロッキング要素は、その自由端から離れた側に、ガイド凹部、特にU字型のガイド凹部を有する。これは、特に遠心分離機において荷重の変化がある場合に、軸受への負担を軽減するのに役立つ。この目的のために、力伝達要素は、好ましくは、凹部に係合するガイドを有する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ブロッキング要素は、粉末射出成形、特に金属粉末射出成形(MIM)、精密鋳造、ダイカスト鋳造、冷間成形、プラスチック射出成形または焼結によって製造される。これにより、軽量で恒久的な負荷に耐えることができるブロッキング要素を製造することができる。
【0019】
遠心分離機におけるロータのより安全な取り付けのために、少なくとも2つのブロッキング要素、好ましくは3つのブロッキング要素が設けられ、すべてのブロッキング要素は同一の設計であり、各ブロッキング要素はそれぞれの隣接するブロッキング要素から一定の距離に配置される。これにより、即効型クロージャが、取り付け時に駆動シャフトおよびロータと共に不均衡を引き起こすことが防止される。
【0020】
好ましくは、動力伝達要素は、ロック位置の方向にばね荷重が作用する。力伝達要素は、シリンダ内でガイドされる円筒形ピストンとして設計することができる。
【0021】
円筒形ピストンは、円筒軸に対して互いに相対的に移動可能に取り付けられたいくつかのピストンセグメントで構成することができる。
【0022】
好ましくは、円筒形ピストンに作用するばねが設けられる。あるいは、いくつかのばねが設けられ、その1つのばねがピストンセグメントに作用する。したがって、製造公差を補うことができ、ブロッキング要素がスラスト軸受およびロッキング軸受と平らに接触することが保証される。
【0023】
この場合、シリンダを駆動シャフトに接続することができ、動力伝達要素を駆動シャフト側に取り付けることができる。シリンダがロータに接続されている場合、動力伝達要素はロータ側に取り付けられる。
【0024】
ロック解除中、作動要素は、好ましくは、駆動シャフトへ向かって移動するか、駆動シャフトから離れる方向へ移動する。
【0025】
本発明の追加の利点、特徴および可能な用途は、図面に示されている実施形態を参照する以下の説明から収集することができる。
【0026】
明細書、特許請求の範囲および図面を通して、それらの用語および関連する参照符号は、以下の参照符号のリストに記載されているように使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による、遠心分離機の中心軸に沿って示すカバーおよび駆動シャフトを備えたアングルロータの断面図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の第1の実施形態による、3つのブロッキング要素を備えた動力伝達要素を示す第1の側面図である。
【
図2b】
図2bは、本発明の第1の実施形態による、3つのブロッキング要素を備えた動力伝達要素を示す第2の側面図である。
【
図2c】
図2cは、本発明の第1の実施形態による、3つのブロッキング要素を備えた動力伝達要素を上からの角度で示す第3の斜視図である。
【
図2d】
図2dは、本発明の第1の実施形態による、3つのブロッキング要素を備えた動力伝達要素を示す上面図である。
【
図4a】
図4aは、本発明の第1の実施形態による、ブロッキング要素を備えた動力伝達要素を示す詳細断面図である。
【
図4c】
図4cは、
図4aの動力伝達要素の一部を上からの角度で示す斜視図である。
【
図5a】
図5aは、本発明の第1の実施形態によるブロッキング要素を示す側面図である。
【
図6a】
図6aは、動力伝達要素の一部を、
図5aのブロッキング要素を除いて示す側面図である。
【
図6c】
図6cは、
図6aの動力伝達要素の一部を上からの角度で示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態による、ロック解除位置にあるブロッキング要素を備えた動力伝達要素を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態によるアングルロータを有する本発明の遠心分離機の垂直断面を概略的に示しており、全体が参照番号10によって示されている。分かり易くするために、下部構造は示されておらず、駆動シャフト12の上部のみが概略的に示されている。ロータ14は、駆動シャフト12上に配置されている。
【0029】
図に示す実施形態によれば、遠心分離機10は、垂直に延びる円筒状の駆動シャフト12と、駆動シャフト12上に配置され且つ駆動シャフト12に回転不能に接続されたアダプタ16とを備える。ロータ14の同軸に配置されたロータハブ18は、アダプタ16に取り付けられている。アダプタ16とロータハブ18、ひいては駆動シャフト12とロータ14とは、以下に説明するように回転不能に接続されている。ロータ14は、ロータ14をアダプタ16ひいては駆動シャフト12に接続する即効型クロージャ20を備えている。
【0030】
また、アダプタ16は、駆動シャフト12と構造的なユニットを形成するように設計して、ロータハブ18に適合させることができる。別の方法では、アダプタ16はオプションである。あるいは、駆動シャフト12は、ロータハブ18を直接収容するように設計することもできる。
【0031】
アダプタ16の外側輪郭16a、16bは、本質的にロータハブ18の内側輪郭に適合しており、肩16cから見た場合、最初は上向きに先細りの円錐16aの形に延び、次にシリンダ16bの形に延びる。
【0032】
ロータハブ18の内側輪郭は、アダプタ16の外側輪郭16bの円筒部の自由端を超えて上方に延び、次いで、ロータハブ18に回転不能に接続されているロータ中央部22に合流する。
【0033】
ロータ14をアダプタ16ひいては駆動シャフト12に軸方向に固定するために、ロータ中央部22は、アダプタ16内に突出し、取外し方向26とは反対方向に見たときに、最初に最も幅広な点24aまで増加し、次にそこから減少する直径の外側輪郭を有するロック部24を備えている。取外し方向26とは反対方向に見たときに円周が減少する外側輪郭の領域は、制御面24bを形成しており、その機能は以下に説明される。ロック部24は、アダプタ16の内側輪郭から離間している。ロック部24は、その中に作られた穴24cを有し、この穴24cは、駆動軸28と同軸である。
【0034】
アダプタ16は、第1の中央円筒形凹部30と、その直後に上方向に続き、より広い直径を有する第2の中央円筒形凹部30を備え、内側輪郭32をもたらす。内側輪郭32は、ロータ側の端部に肩部32bが続き、より長くて高い区域32aを有する。より長い区域32aよりも大きい内径を有する短くて低い区域32cは、この肩部32bに隣接している。
【0035】
凹部30のベースは、駆動シャフト12上にある。ねじ34およびピン(図示せず)は、ベースをその前端で駆動シャフト12に接続する。このようにして、駆動シャフト12およびアダプタ16は、互いに回転不能に接続されている。
【0036】
アダプタ16内の凹部30のベースの上に位置するのは、即効型クロージャ20のシャフト側部分である。この部分は、
図2~
図6に示されるように、3つのブロッキング要素38がそれぞれ、ラジアル軸受40に取り付けられ、互いに等間隔に配置されている、ブロッキングユニット36を含む。ブロッキングユニット36は、凹部30の底部に載っているばね42によって取外し方向26に作動するピストン60を形成している。ピストン60は、以下で説明するように、駆動シャフト12の長手方向軸に沿って移動することができる。
【0037】
スラスト軸受インサート44は、アダプタ16の区域32cにねじ込まれている。このインサートは、区域32cの自由端を越えて上方に延び、区域32cの上のその外側輪郭は、ロータ中央部22の内側輪郭に適合している。スラスト軸受インサート44は穴44aを有し、その上端は、ロック部24の最も幅広な点24aがそれを通過できるように寸法が定められている。そして、穴44aは、底部へ向かって円錐状に広がり当接面44bを形成し、その機能は以下で説明される。
【0038】
アダプタ16の内側輪郭32a、32b、32cは、スラスト軸受インサート44の当接面44bと共に、ロータ14が駆動シャフト12上に位置する状態で、ロック部24の外側輪郭との間で、ロータ14がロックおよびロック解除されひいては駆動シャフト12に軸方向に固定されるロッキングチャンバの境界を定めている。
【0039】
ロータ14の上には、ハンドル48を取外し不可能に備えたユニットを形成する取外し可能なカバー46が設けられている。ハンドル48は、カバー46の上部の駆動軸28に対して同軸に取り付けられ、ハンドル48のハウジング50は、回転対称の外側輪郭と、円筒形の内側輪郭と、カバー46の中央に配置された凹部46aとを有し、凹部46aはカバー46を通っている。
【0040】
即効型クロージャ20のロータ側部分は、本質的にハンドル48の内側に配置されている。それは、ハンドル48の軸方向長さよりも長く、シャフト側がロック部24の穴24cを通過し、ブロッキングユニット36のベース領域36aと接触する、作動ピン52を含んでいる。作動ピン52の自由端は、作動ノブ52aを有する。ロータは、ハンドル48および作動ノブ52aの相互作用により、ロック解除される。作動ノブ52aは、ハンドル48がユーザのカウンタベアリングとして機能するように押し下げられ、その後、ロータ14は特にハンドル48を介して取り外すことができる。
【0041】
図7は、
図1の遠心分離機10の中心軸に沿って切断した断面の拡大詳細であり、ロータ14がまだアダプタ16に取り付けられた状態でロック解除されている即効型クロージャ20を示している。作動ピン52は押し下げられている。その結果、作動ピン52がシャフト側でベース領域と当接しているピストン形のブロッキングユニット36は、ばね42の作用に抗して、駆動シャフト12の長手方向軸と平行な取外し方向26とは反対方向にロッキングチャンバ内で変位する。ブロッキング要素38の完全にロック解除された位置では、それらの自由端は、ロック部24の制御面24bに当接し、すなわち、ブロッキング要素38は、ロック部24と当接面44bとの間のそれらのブロック位置の外側にある。
【0042】
ロックについては、
図8に示すように、作動ピン52の圧力は、取外し方向26と反対方向に解放される。そうすることで、ロータ14はそのロック位置にもたらされる。ロータ14の重量は、ロータ14をそのロック位置に移動させるのに十分なものである。軽量ロータ14の場合、ロータをロック位置にわずかに押し込む必要がある場合がある。ロータ14を取り付けると、ブロッキングユニット36、ひいてはブロッキングユニット36に取り付けられたブロッキング要素38も、ばね42の作用により、取外し方向26、すなわち長手方向軸に沿って変位するか、またはこれらの構成要素がロータ14の重量を相殺する。ブロッキング要素38は、ロータ14のロック部24の制御面24bに沿って、その最も幅広な点24aを通過して、ロック部24の外側輪郭と当接面44bとの間のそれらのブロッキング位置にスライドする。ロータ14の重量は、制御面24b上をスライドするブロッキングユニット36のブロッキング要素38を打ち消す。
【0043】
ロックの場合、ブロッキング要素38は、横方向に偏向される、すなわち、水平に延びる旋回軸38bを中心に旋回されて、それらが最も広い点47aを通過できるようにし、その後、ブロッキング要素38の重心により、以下でより詳細に説明するように、それらは元の配向を完全に再開することはないが、ロック部分24および当接面44bの外側輪郭に再び荷重がかかる。これにより、ロータ14は、遠心分離機10において軸方向に、すなわち、取外し方向およびそれと反対の方向の両方に固定される。
【0044】
図8は、
図1の遠心分離機10の中心軸に沿って切断した断面の拡大詳細であり、ロック状態にある即効型クロージャ20を示している。
図7とは対照的に、この図は、作動ピン52に駆動シャフト12の長手方向に外圧が加えられていないときに、ばね42の間接的な作用によって自動的に動かされる位置にある作動ピン52を示している。ブロッキングユニット36およびブロッキングユニット36に取り付けられたブロッキング要素38は、ばね42の作用および作動ピン52によって駆動シャフト12の方向に加えられる圧力がないために、ロータの近くのロッキングチャンバの領域に位置する。それらのロック位置において、ブロッキング要素38は、ロック部24の外側輪郭と当接面44bとの間に配置される。したがって、即効型クロージャ20はロックされる。
【0045】
特に
図2から
図6に示されるように、ブロッキングユニット36は、3つのピストンセグメント54、56、58からなる。3つのピストンセグメント54、56、58はすべて同一の設計であり、力伝達要素としてピストン60を形成する。ピストン60は、アダプタ16の円筒形の凹部30に取り付けられている。ばね42は、ピストン60に作用する。ピストンセグメント54、56、58は、駆動軸28に沿って互いに移動可能に取り付けられている。これにより、製造公差を補償することができ、すべてのブロッキング要素38がロック位置で動作することが保証される。またこれは、すべてのブロッキング要素38が互いに同じ距離に配置されることを確実にする。
【0046】
各ピストンセグメント54、56、58は、水平な旋回軸38bを中心に、ひいては駆動シャフト12の長手方向軸に平行な直線を中心に旋回できるようにするために、ラジアル軸受40を備えている。ラジアル軸受40は、2つの軸受アーム40a、40bによって形成され、これらは、いくつかの領域において、ブロッキング要素38の長手方向の範囲まで横方向に延びるカルダンシャフト38a周りに係合している。カルダンシャフト38aは、ブロッキング要素38の水平方向に延びる旋回軸38bに沿って延びており、両側に2つのカルダンシャフト領域を有する。ブロッキング要素38は、
図7に示すようなロック解除位置と
図8に示すようなロック位置との間で旋回軸38bを中心に旋回するようになっている。ブロッキング要素38は、カルダンシャフト38aの下で、実質的に長方形の質量要素38cを備え、カルダンシャフト38aの上で、ブロッキング領域38eを備えている。旋回シャフト38bは、駆動シャフト12の長手方向軸に平行な直線に対して垂直に延びており、そのため、駆動シャフト12の長手方向軸が垂直に延びている場合は、水平に位置合わせされる。
【0047】
ピストンセグメント54、56、58はそれぞれ、質量要素38cの外側輪郭に形成された凹部62を有する。凹部62は、ブロッキング要素38の旋回位置に関係なく、質量要素38cが常にピストン60の覆い(エンベロープ)内に位置するように設計されている。これにより、ピストン60は、ブロッキング要素38の旋回位置に関係なく、アダプタ16の凹部30内の駆動軸28に沿って移動することを妨げられない。
【0048】
凹部62は、その下部領域に長方形の突起62aを有し、その突起62aは、凹部62に延びている。それに対応して、質量要素38cは、突起62aの形状に一致するように設計されたU字形の凹部38dを有する。
【0049】
ブロッキング領域38eは湾曲しており、ロック部24の外側輪郭に一致するように設計されている。
【0050】
質量要素38cは、ブロッキング領域38eよりも重い。ブロッキング要素38の重心Sは、質量要素38c内に位置し、ひいては、旋回軸38bによるブロッキング要素38の長手方向に沿った軸の交点の外側にある。これは、ロック解除中に、トルクが、ロック解除位置の方向に、ブロッキング要素38のブロッキング領域38eに作用することを意味する。ロック解除中、すなわち、作動ピン52が作動され、ピストン60がばね42の力に逆らって動かされると、加えられたトルクにより、ブロッキング要素38が水平の旋回軸38bを中心にロック位置からロック解除位置に旋回する。
【0051】
ピストンセグメント54、56、58は、中央に配置された支柱64を備えており、特に
図6に示すように、支柱64は、互いに静止している他のピストンセグメント54、56、58と共に、作動ピン52のための円筒容器66を形成する。鉛直支柱64に接続され、突起62a内で終端する水平支柱68は、ばね42の接触面68aを形成する。さらに、支柱64、68は、ピストンセグメント54、56、58を安定させるように作用する。鉛直支柱64は、ピストンセグメント54、56、58の側面と共に、ピストン60を一緒に形成する他の隣接するピストンセグメント54、56、58が互いに移動できるようにガイド表面として機能する。
【0052】
ブロッキング要素38は、粉末射出成形、特に金属粉末射出成形、精密鋳造、ダイカスト鋳造、冷間成形、プラスチック射出成形または焼結によって製造される。
【0053】
ここに示されていない代替の実施形態では、ブロッキング要素38は軸受40の周りに係合し、ピストンセグメント54、56、58はカルダンシャフト38aの周りに係合する。軸受40を備えたブロッキング要素38は、ピストンセグメントのカルダンシャフトに対して旋回するようになっている。それ以外の場合、ピストンセグメント54、56の設計は、上記の実施形態と同じである。
【符号の説明】
【0054】
10 遠心分離機
12 駆動シャフト
14 ロータ
16 アダプタ
16a アダプタ16の外側輪郭の円錐部
16b アダプタ16の外側輪郭の円筒部
16c アダプタ16の外側輪郭の肩部
18 ロータハブ
20 即効型クロージャ
22 ロータ中央部
24 ロック部
24a ロック部24の外側輪郭の最も幅広な部分
24b ロック部24の外側輪郭の制御面
24c ロック部24の中央穴
26 取外し方向
28 駆動軸
30 アダプタ16の凹部
32 アダプタ16内の内側輪郭
34 ねじ
36 制御装置
38 ブロッキング要素
38a カルダンシャフト
38b 旋回軸
38c 質量要素
38d 質量要素38cの凹部
38e ブロッキング要素38のブロッキング領域
40 ラジアル軸受
40a 左側軸受アーム
40b 右側軸受アーム
42 ばね
44 スラスト軸受インサート
44a スラスト軸受インサートの穴
44b 当接面
46 取外し可能なカバー
46a カバー46の凹部
48 ハンドル
50 ハンドル48のハウジング
52 作動ピン
52a 作動ピン52の作動ノブ
54 第1ピストンセグメント
56 第2ピストンセグメント
58 第3ピストンセグメント
60 ピストン
62 凹部
62a 凹部62の凸部
64 支柱
66 円筒容器
68 水平支柱
68a 接触面
S ブロッキング要素38の重心