(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/16 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B29C65/16
(21)【出願番号】P 2020573361
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019040380
(87)【国際公開番号】W WO2020010129
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519092897
【氏名又は名称】デューケイン アイエーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サビツキー アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キャスカート ポール エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ブガイ グジェゴシュ スジスワフ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/053238(WO,A1)
【文献】特開2006-168252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0191148(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00454377(EP,A1)
【文献】特開2016-052794(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022739(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッグのそれぞれのフィルム層を同時に接合するためのレーザ溶接方法であって、
複数のフィルム層を、互いに隣接して、および互いと重複様式で位置付けるステップであって、前記複数のフィルム層が、第2のフィルム層に隣接する第1のフィルム層および第4のフィルム層に隣接する第3のフィルム層を含み、前記複数のフィルム層の各層が
、2ミクロンの波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される、ステップと、
前記第2のフィルム層および前記第3のフィルム層を非吸収キャリアフィルム層により分離するステップであって、前記非吸収キャリアフィルム層が、前記レーザ照射
のエネルギーを透過する材料で作製される、ステップと、
前記レーザ照射を前記第1のフィルム層および前記第2のフィルム層上へ向けて、前記第1のフィルム層および前記第2のフィルム層の照射部分を互いに溶融して第1のバッグを形成するステップと、
前記第2のフィルム層と前記第3のフィルム層との間に介入される前記非吸収キャリアフィルム
層を通って、前記レーザ照射の前
記エネルギーを透過させるステップと、
前記レーザ照射の透過された前記エネルギーを前記第3のフィルム層および前記第4のフィルム層上へ向けて、前記第3のフィルム層および前記第4のフィルム層の照射部分を互いに溶融して第2のバッグを形成するステップであって、前記第2のバッグが、前記第1のバッグと概して同時に形成される、ステップと、
前記レーザ照射をオフにして、前記第1のフィルム層、前記第2のフィルム層、前記第3のフィルム層、および前記第4のフィルム層の少なくとも前記照射部分を固まらせるステップと、を含むことを特徴とする、レーザ溶接方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層の材料が、フルオロポリマーを含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項3】
請求項
1に記載のレーザ溶接方法であって、前記
非吸収キャリアフィルム層の材料は、ふっ素化エチレンプロピレン
を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層を、前記第2のフィルム層および前記第3のフィルム層と重複様式で位置付けるステップをさらに含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層が、前記レーザ照射の透過された前記エネルギーが前記第3のフィルム層および前記第4のフィルム層上に向けられる間、固体のままであることを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層が、レーザ吸収添加剤を欠く熱可塑性材料を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項7】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記複数のフィルム層を前記レーザ照射で加熱するステップをさらに含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項8】
請求項7に記載のレーザ溶接方法であって、パワーおよび前記複数のフィルム層の縁に沿った前記レーザ照射の移動速度を制御して、接合されるべき領域内のそれぞれの縁を溶融するステップをさらに含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項9】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層が
、0.14ミリメートルの厚さを有し、前記複数のフィルム層が各々
、0.1
~0.28ミリメートルの範囲の厚さを有することを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザ溶接方法であって、前記非吸収キャリアフィルム
層が、ふっ素化エチレンプロピレン(FEP)材料またはシリコーン材料のうちの少なくとも一方を含み、前記複数のフィルム層の各々が、ポリ塩化ビニル(PVC)材料を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項11】
請求項1に記載のレーザ溶接方法であって、前記レーザ照射のため
に95~100ワットの範囲のパワー出力を使用するステップであって、前記レーザ照射の透過された前記エネルギーを前記第3のフィルム層および前記第4のフィルム層上に向ける前に
、2.5ワットを損失する、ステップをさらに含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項12】
複数のバッグのそれぞれの層を同時に接合するためのレーザ溶接
方法であって、
複数のフィルム層を、互いに隣接して、および互いと重複様式で位置付ける
ステップであって、前記複数のフィルム層が
、第2のフィルム層に隣接する第1のフィルム層
および第4のフィルム層に隣接する第3のフィルム層
を含み、前記複数のフィルム層の各層が
、808ナノメートル
~1064ナノメートルの範囲外の波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される、
ステップと、
前記第2のフィルム層および前記第3のフィルム層を非吸収キャリアフィルム層
により分離するステップであって、前記非吸収キャリアフィルム層が、前記レーザ照射
のエネルギーを透過する材料で作製される、
ステップと、
前記レーザ照射
を前記第1のフィルム層および前記第2のフィルム層
上へ向けて、照射部分を互いに溶融することによっ
て第1のバッグを形成
するステップと、
前記第2のフィルム層と前記第3のフィルム層との間に介入される前記非吸収キャリアフィルム層を通って、前記レーザ照射の前記エネルギーを透過させるステップと、
前記レーザ照射の透過された前記エネルギーを前記第3のフィルム層および前記第4のフィルム層
上へ向けて、照射部分を互いに溶融することによっ
て第2のバッグを形成
するステップであって、前記第1のバッグが、前記第2のバッグと概して同時に形成さ
れる、ステップと、
前記レーザ照射をオフにして、前記第1のフィルム層、前記第2のフィルム層、前記第3のフィルム層、および前記第4のフィルム層の少なくとも前記照射部分を固まらせるステップと、を含むことを特徴とするレーザ溶接
方法。
【請求項13】
請求項
12に記載のレーザ溶接方法であって
、前記材料が、フルオロポリマーを含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項14】
請求項
12に記載のレーザ溶接方法であって、前
記材料が、ふっ素化エチレンプロピレン
を含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月6日に提出された米国特許出願第16/212,664号、および2018年7月3日に提出された米国特許出願第16/026,909号の優先権および利益を主張するものであり、これらの各々は、その全体を本願に引用して援用する。
【0002】
本開示は、一般に、熱可塑性材料のレーザ溶接、より詳細には、2つの隣接するバッグの間のセパレータとしてキャリアフィルムを使用して複数のバッグを同時に溶接するための、2ミクロン波長を有するレーザ照射を使用するレーザ溶接、ならびにまた、熱可塑性材料のレーザ溶接、より詳細には、一緒に接合されるべき複雑または凸凹表面を有する熱可塑性プラスチック部分を溶接するための、ふっ素化エチレンプロピレン締め付け工具と共に2ミクロン波長を有するレーザ照射を使用するレーザ溶接に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザ溶接は、レーザビームを使用して、制御された量のエネルギーを正確な位置に送達することによって接合領域内の熱可塑性材料を溶融する。ビームサイズを制御するためのシステムが開発されており、ビームを正確に位置付け、移動させるために、様々な方法が利用可能である。レーザ溶接は、他の溶接技術と同じ材料適合性の基本要件に基づくが、多くの場合、大半の他のプラスチック溶接プロセスよりも、樹脂化学または溶融温度差により寛大であることが分かっている。ほぼすべての熱可塑性プラスチックは、適切なレーザ源および相応しい接合デザインを使用して溶接され得る。
【0004】
プラスチック材料のための従来のレーザ溶接プロセスは、最も一般的には、約1ミクロン、例えば、808nm、960nm、980nm、1050nm、または1064nmの波長を有する照射を放出するレーザを利用する。これらの波長では、熱可塑性材料は、赤外線放射を吸収せず、溶接プロセスは、選択的な加熱効果を活用することができる。この幅広く受け入れられた手法において、レーザ照射は、溶接のために一緒に接合され、締め付けられるべき2つの部分の上部分を通って透過されており、最も一般的にはカーボンブラックであるレーザ吸収添加剤を有する、下部分によって吸収される。上部分の表面が平坦である場合、このレーザ溶接プロセスのための締め付け工具は、通常、ガラスプレートを組み込んでおり、これにより、組立体に対して締め付け圧を印加することを可能にすると同時に、ガラスプレートを通って向けられているレーザビームを溶接表面まで透過させる。上面が曲面または複雑な形状を有するとき、締め付け工具は、多くの場合、1ミクロンレーザによって放出されるレーザ照射を吸収せず、レーザビームを最小電力損失でワークピースまで透過させる、機械加工するのが容易な何らかの透明なプラスチック、最も一般的には、アクリル、からできている。これらの材料はまた、溶接されている組立体に締め付け力を伝達するために十分に高い剛性を有する。しかしながら、それらは、約1ミクロンの波長を有するレーザにのみ好適である。
【0005】
2ミクロンレーザ波長を利用するレーザ溶接プロセスは、プラスチック材料の大半がそのようなレーザにより溶融され得るため、未充填プラスチックが任意のレーザ感応添加剤の存在なしに溶接されることを可能にする。このプロセスは、組立体の下部にレーザ感応添加剤の存在を必要とする1ミクロンレーザを利用することに基づいた溶接プロセスと比較して、著しい利点を提供する。しかしながら、複雑または非平坦表面幾何形状を有するワークピースを接合するために2ミクロンレーザ波長を使用するレーザ溶接プロセスが必要とされている。1ミクロン波長レーザ溶接プロセスにおける締め付け固定具を作製するために使用される材料は、2ミクロンレーザ溶接プロセスには好適ではない。
【0006】
レーザ溶接の別の態様によると、IVバッグおよび製薬業のための同様の容器は、典型的には、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)材料の場合は、無線周波数(RF)溶接、または、例えば、ポリオレフィンベースの材料(様々な多層構造体を含む)の場合は、ヒートシール溶接を使用して作製される。典型的には、IVバッグは、バッグを形成する2つのフィルム層のウェブに対して熱および溶接圧力を印加することによって作製される。この手法は、効率的であり、4~8個のバッグを作製するのに十分な材料のシートをカバーする大きな工具を使用することによって、1つのサイクルでいくつものバッグを作製することを可能にする。しかしながら、バッグの形状にかかわらず、現行の方法は、溶接パラメータを区別することを可能にせず、バッグの側面、ならびにその角および曲面に同じ量の熱を印加するという結果をもたらす。結果として、熱印加が、バッグの角および曲面を過熱するという結果をもたらす。材料の薄層化、およびバッグの角の小さい穴は、よく見られる欠陥であり、合計スループットに影響を及ぼし、擦り率および頻繁なプロセス調整のための停止時間を推進する。
【0007】
1940nmレーザを使用することにより、特別なレーザ感応添加剤の必要性なしに熱可塑性プラスチックフィルムの溶接が可能になる。レーザで溶接されるバッグは、RFまたはヒートシール溶接と比較して優れた品質を有することが実証されている。レーザ溶接プロセスは、レーザビームによりバッグの周囲をスキャンし、溶接線に沿って強力かつ一貫したシールを形成することによって行われる。この手法は、バッグの形状の全セグメントについて入熱を区別することを可能にし、具体的には、直線部分のため、およびバッグの角のために入熱を最適化し、一般に、RFまたはヒートシール溶接法よりも一貫した溶接およびより良好なスループットを結果としてもたらす。しかしながら、現行のレーザ溶接方法の大きな問題は、プロセスを完了するのに著しい時間を必要とする、溶接周囲の長さをスキャンするレーザビームに基づくことである。そのようなものとして、現行のレーザ溶接法は、それが、典型的には、大きいRFおよびヒートシール機械によって行われるため、いくつかのバッグの全周囲を一度に加熱するよりも著しく遅い。したがって、レーザ溶接されたバッグの品質はより良好であるが、プロセス速度は、著しくより遅く、このことは、バッグの製造においてレーザ溶接プロセスを採用するのを大いに妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、これらおよび他のニーズに対処し、これらおよび他の問題を解決する。例えば、これまで、レーザ溶接プロセスを使用して同時バッグを形成する方法を決定した当業者はいなかった。さらには、これまで、複雑または凸凹(非平坦)ワークピース表面幾何形状のために機械加工または適合され得る、2ミクロンレーザ溶接プロセスに好適である材料がどれであるかを決定した当業者はいない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それらに対処するための締め付け要件および手法は、本質的に、両方のプロセス(1ミクロンおよび2ミクロン)で同じであるが、大半のプラスチックは、2ミクロンレーザ波長周辺のレーザ照射を吸収するため、これが、組立体を締め付けるためにそのようなプラスチックを使用することを不可能にし、そのようなものとして、工具は、部品が溶接されるのと同じやり方で、レーザビーム下で溶融することになる。なぜなら、ガラスのシートを使用することが選択肢にないため、外表面が平坦でない場合には、締め付け力を溶接領域上に直接伝達することが不可能であり、これが、2ミクロンレーザのための締め付け工具を製造するのに複雑かつ時間がかかるものにする。
【0010】
市販のプラスチックの材料特性の入念な調査、および直接的実験を通じて、本発明者らは、特に材料の1つのクラス、具体的には、ふっ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフルオロポリマーが、1940ナノメートル(約2ミクロン)の波長を有するレーザビームを透過させるときの低いパワー損失、ならびに凸凹、複雑、または非平坦形状に適合するように処理および機械加工される材料の能力を有するという矛盾する要件を満たすということを確証した。FEP(例えば、商標TEFLONで販売される)におけるパワー損失の測定は、この材料におけるパワー損失が、1940ナノメートル(約2ミクロン)の波長を有するレーザビームを透過させるとき、ホウケイ酸ガラスにおけるパワー損失に匹敵することを示している。そのことが、FEP材料および他のフルオロポリマー材料を、2ミクロンレーザを利用した溶接プロセスのための締め付け工具を作製するのに比類なく好適にする。
【0011】
実施形態によると、レーザ溶接方法は、約2ミクロン(例えば、1940nm)の波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される一対のワークピースの部分を接合するために提供される。ワークピース材料は、光学的に透明である必要はない。それは、PEもしくはPPのような自然色、または光学的に透明ではないがレーザ照射に対して透過的である多くの他の熱可塑性材料のものであり得る。または、一方または両方のワークピースは、色素を有してもよく、これは、必ずしもカーボンブラックのようなレーザ吸収剤ではない。交互に、ワークピースは、照射の一部分のみを吸収することができる色素を有し得るが、十分な照射を界面および下部まで透過させることができる。本方法は、一対の締め付け工具の間で熱可塑性プラスチックワークピースを締め付けることを含み、一対の締め付け工具の少なくとも一方は、プラスチック材料であって、約2ミクロンの波長を有するレーザ照射をこの材料を通って透過させるとき、ホウケイ酸ガラスと実質的に同じパワー損失を有するプラスチック材料、で作製される。レーザ照射は、ワークピースを一緒に機械的に押圧している間に、締め付け工具を通ってワークピース上へ向けられて、ワークピースの照射部分を溶融する。レーザ照射は、次いでオフにされ、ワークピースは、締め付け工具からそれらを解放する前に、固まることがきる。レーザ照射が通過する締め付け工具は、約2ミクロンの波長を有するレーザ照射を透過させるとき、ホウケイ酸ガラスと実質的に同じパワー損失を有するふっ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフルオロポリマーで作製され得る。
【0012】
レーザ照射のパワー、および締め付けられたワークピースに沿ったレーザ照射の移動経路は、接合されるべき部分または領域内のワークピースを溶融するように制御される。基板は、レーザ照射を透過することができない、または別途これに対して耐性のある材料で作製され得る。
【0013】
空気圧シリンダなどのアクチュエータは、レーザ照射が接合されるべき締め付けられたワークピースの部分に印加されている間、締め付け工具またはプレートの少なくとも一方を他方の締め付け工具またはプレートに向かって付勢して、ワークピースを一緒に押圧する。レーザ照射のパワー、および締め付けられたワークピースに沿ったレーザ照射の移動速度は、接合されるべき領域内のワークピースを均一に溶融するように制御され得る。
【0014】
本開示の実施形態によると、第1および第2の熱可塑性プラスチックワークピースを接合し、クランプ、アクチュエータ、およびレーザ源を含むための、レーザ溶接システムが開示される。クランプは、ワークピースが互いに隣接するときにワークピースの反対側に係合するように一緒に位置付けられる第1および第2の締め付け構造体を含む。第1の締め付け構造体は、第1のワークピースに面する、非平坦または凸凹表面を有する。アクチュエータは、締め付け構造体に、第1および第2のワークピースを一緒に押圧させる。レーザ源は、2ミクロンの波長を有するレーザ照射を、接合されるべきワークピースに向かって、それらがクランプによって一緒に押圧されている間に、印加して、ワークピースの照射部分を互いに溶融する。第1の締め付け構造体は、レーザ照射のエネルギーの実質的にすべてを、材料を通って透過させる。第1のワークピースは、第1の締め付け構造体の表面と実質的に適合する、第1の締め付け構造体に面する非平坦または凸凹表面を有する。
【0015】
本開示の別の実施形態によると、レーザ溶接方法は、複数のバッグのそれぞれのフィルム層を同時に接合することを目的とする。本方法は、複数のフィルム層を、互いに隣接して、および互いと重複様式で位置付けることを含み、複数のフィルム層は、第2のフィルム層に隣接する第1のフィルム層、および第4のフィルム層に隣接する第3のフィルム層を含む。複数のフィルム層の各層は、約2ミクロンの波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される。本方法は、第2のフィルム層および第3のフィルム層を非吸収キャリアフィルム層により分離することをさらに含み、非吸収キャリアフィルム層は、レーザ照射の実質的にすべてのエネルギーを透過する材料で作製される。本方法はまた、レーザ照射を第1のフィルム層および第2のフィルム層上へ向けて、第1のフィルム層および第2のフィルム層の照射部分を互いに溶融して第1のバッグを形成することを含む。本方法は、第2のフィルム層と第3のフィルム層との間に介入される非吸収キャリアフィルムを通って、レーザ照射の実質的にすべてのエネルギーを透過させることをさらに含む。本方法は、レーザ照射の透過されたエネルギーを第3のフィルム層および第4のフィルム層上へ向けて、第3のフィルム層および第4のフィルム層の照射部分を互いに溶融して第2のバッグを形成することを含み、第2のバッグは、第1のバッグと概して同時に形成される。本方法は、レーザ照射をオフにして、第1のフィルム層、第2のフィルム層、第3のフィルム層、および第4のフィルム層の少なくとも照射部分を固まらせることを含む。
【0016】
本開示の別の実施形態によると、レーザ溶接システムは、第1のバッグおよび第2のバッグのそれぞれの層を同時に接合することを目的とする。本システムは、互いに隣接して、および互いと重複様式で位置付けられる複数のフィルム層を含む。複数のフィルム層は、第1のバッグを形成するための第2のフィルム層に隣接する第1のフィルム層、および第2のバッグを形成するための第4のフィルム層に隣接する第3のフィルム層を含む。複数のフィルム層の各層は、約2ミクロンの波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される。本システムは、第2のフィルム層と第3のフィルム層との間に位置付けられる非吸収キャリアフィルム層をさらに含み、非吸収キャリアフィルム層は、レーザ照射の実質的にすべてのエネルギーを透過する材料で作製される。本システムはまた、接合されるべき複数のフィルム層の部分に向かってレーザ照射を印加するレーザ源を含む。レーザ源は、第1のフィルム層および第2のフィルム層の照射部分に、照射部分を互いに溶融することによって、第1のバッグを形成させ、第3のフィルム層および第4のフィルム層の照射部分に、照射部分を互いに溶融することによって、第2のバッグを形成させる。第1のバッグは、第2のバッグと概して同時に形成される。
【0017】
本開示のさらに別の実施形態によると、レーザ溶接システムは、複数のバッグのそれぞれの層を同時に接合することを目的とする。本システムは、互いに隣接して、および互いと重複様式で位置付けられる複数のフィルム層を含む。複数のフィルム層は、第1のバッグを形成するための第2のフィルム層に隣接する第1のフィルム層、および第2のバッグを形成するための第4のフィルム層に隣接する第3のフィルム層を含む。複数のフィルム層の各層は、およそ808ナノメートル~およそ1064ナノメートルの範囲外の波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される。本システムは、第2のフィルム層と第3のフィルム層との間に位置付けられる非吸収キャリアフィルム層をさらに含み、非吸収キャリアフィルム層は、非接着性ふっ素化エチレンプロピレン(FEP)など、レーザ照射の実質的にすべてのエネルギーを透過する材料で作製される。非吸収キャリアフィルムは、レーザ吸収添加剤を欠く。本システムはまた、接合されるべき複数のフィルム層の部分に向かってレーザ照射を印加するレーザ源を含む。レーザ源は、第1のフィルム層および第2のフィルム層の照射部分に、照射部分を互いに溶融することによって、第1のバッグを形成させ、第3のフィルム層および第4のフィルム層の照射部分に、照射部分を互いに溶融することによって、第2のバッグを形成させる。第1のバッグは、第2のバッグと概して同時に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】溶接されるべき2つの熱可塑性プラスチックワークピースを締め付けながら2つの熱可塑性プラスチックシートを溶接するためのレーザ溶接装置の側面図である。
【
図2】
図1に示されるレーザ溶接装置の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示されるレーザ溶接装置の部分斜視図である。
【
図4】本開示の態様に従うワークピースをレーザ溶接する方法のフローチャート図である。
【
図5】2つのバッグを同時に溶接するためのレーザ溶接装置の分解斜視図である。
【
図7】本開示の態様に従う複数のバッグを同時にレーザ溶接する方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、いくつかの好ましい実施形態に関連して説明されるが、本開示はそれらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲に含まれ得るようなすべての代替形態、修正形態、および等価の装置を網羅することが意図される。
【0020】
本明細書に開示される実施形態において使用されるレーザ照射は、レーザ照射を吸収するためにカーボンブラックなどのいかなるレーザ感応添加剤も一切含まない熱可塑性材料を溶融することができる約2ミクロン(例えば、1940nm)の波長を有し得る。本明細書で使用される場合、締め付け工具、締め付け要素、または締め付けプレートは、別の締め付け工具または要素またはプレートと連動した締め付けのために使用される、平坦表面を有することが必要とされない構造体を指す。プレートという用語は、締め付け構造体が平坦表面を有することを伝えることは意図されない。逆に、本開示は、有利には、レーザ溶接応用における締め付け工具としての使用のための驚くほど好適な材料として、機械加工可能でありながら、2ミクロンレーザ照射の透過を可能にし、以て、締め付け工具が任意の形状または輪郭を有することを可能にするフルオロポリマー材料を開示する。
【0021】
締め付け要素の一方または両方は、ふっ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフルオロポリマーで作製される。実験を通じて、本発明者らは、FEP締め付け要素が、約2ミクロン波長を有するレーザ照射の著しい量を吸収しないということを発見した。言い換えると、レーザ照射の実質的にすべてが、フルオロポリマー材料を通って透過され、フルオロポリマーを、2ミクロンなど、808nm~1064nmの波長の範囲外のレーザ溶接応用に比類なく好適にする。したがって、FEP締め付け要素は、溶接される部品(ワークピース)上に、部品の外表面が平坦でないときにさえ、ワークピース上へのレーザ照射の実質的にすべて(例えば、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)の透過も可能にしながら、締め付け力を直接伝達することができる。以下の表1は、ホウケイ酸ガラスと比較したFEPの場合のパワー損失測定値を例証し、これは、FEPおよびガラスの間のかなり匹敵するパワー損失を示し、FEPを、複雑または凸凹ワークピース表面に一致するために材料の形状を容易に適合させるように機械加工可能にすると同時に、ガラスの非常に好適な代用物にする。
【表1】
【0022】
図面に移ると、レーザ溶接装置100は、一対のワークピース110および111を含み、これらは、下方ワークピース111の下表面115の構成または表面輪郭に一致する規則的または不規則な腔を形成するように機械加工される上表面113を有する「ネスト」112内で互いに対して保持される。ワークピース110および111の上方部分は、ネスト112より上に延在して、上部締め付けプレート113に係合し、そして上部締め付けプレート113が、固定式の上部保持プレート114に係合し、締め付けプレート113は、部品110および111を下方に押圧して、それらをネスト112の下壁112bに対して付勢する。ネスト112は、ワークピース110および111をネスト腔112aの下壁112bに対して保持する下部締め付けプレート122によって支持される。
【0023】
2つのワークピース110および111が一緒に押圧されている間、それらの隣接する表面は、レーザ照射を吸収するためにいかなるレーザ感応添加剤も含有しない熱可塑性材料を溶融することができる約2ミクロン(例えば、1940nm)の波長を有するレーザ照射によって溶融される。2ミクロン照射が使用されるとき、大半の熱可塑性材料がその波長を有する照射を吸収することから、そのような添加剤は必要とされない。本明細書で使用される場合、用語「2ミクロン」は、1940nmを包含する。
【0024】
レーザ120が通過する締め付けプレート113の少なくとも部分は、2ミクロン波長を有するレーザ照射の任意の著しい量を吸収しないふっ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフルオロポリマーで作製される。したがって、FEP締め付けプレート113は、上方ワークピース110上に締め付け力を直接伝達することができる。上方ワークピース110の上表面117が平坦でないとき、FEP締め付け要素113の下表面119は、ワークピース110の上表面に一致するように機械加工され得、締め付け要素113がワークピース110の上表面117と整合する。言い換えると、FEP締め付け要素113の下表面119全体が非平坦または凸凹または複雑な幾何形状を有する必要はない。FEP締め付け要素113の下表面119が非平坦、凸凹、または複雑である必要があるのは、締め付け要素113が、それに対応して非平坦、凸凹、または複雑な、ワークピース110の上表面と整合する領域においてのみである。用語「上方」、「下方」、「上」、または「下」は、締め付け要素およびワークピースの配向を直立または垂直構成に制限することは意図されず、むしろ、構造体の異なる表面を互いから区別することが意図される。
【0025】
図3に示されるレーザ組立体200は、例えば約2ミクロン(例えば、1940nm)の波長を有する照射のレーザビーム120(
図3に示される)を生成する従来型のレーザ源を含む。架台212aは、直交ガントリ214aおよび214bに結合される。スキャンヘッド212内の1つ以上のスキャナ鏡は、レーザビーム215を溶接によって接合されるべき2つの熱可塑性プラスチックワークピース110および111を含む積層部116上へ下方に向けるように、プロセッサ制御の駆動ユニット213によって制御される。駆動ユニット213は、積層部116の上表面上の定められた溶接区域を照明することが必要とされる様式でレーザビーム120を移動させるためにスキャナ鏡の位置を調整するように制御される。
【0026】
図2に描写されるように、2つの熱可塑性プラスチックワークピース120および121は、一対の締め付けプレート113および122によって一緒に締め付けられる。上方プレート113は、透過的であり、すなわち、レーザビーム120は、事実上損失なしに、上方プレートを通過することができる。この上方プレート113は、ガラス製であってもよい。下方プレート122は、非透過的であり、すなわち、レーザ120は、下方プレート122を貫通することができず、したがって、本開示が関係する技術においては時に「ネスト」112と呼ばれる下方プレート122に対して回折される。両方の締め付けプレート113、122は、剛性が高く、下方プレート122は、好ましくは、金属製である。
【0027】
上方締め付けプレート113は、制御可能なアクチュエータによって上方ワークピース110に対して下方に押圧されて、ワークピース110および111を下方プレート122に対してしっかりと締め付ける。下方への圧力がワークピース110、111上で維持されると同時に、レーザビーム120が、定められた、または恣意的な、溶接区域または経路を横断し、熱可塑性プラスチックワークピースの影響を受ける区域または領域を次第に加熱して、溶接区域内の熱可塑性材料を溶融してその区域内のワークピースを一緒に融合する。次いで、溶接は、ワークピース110、111を圧力下で冷まし、以て、溶接区域内でレーザ120によって溶融された熱可塑性材料を固まらせることによって完了される。熱可塑性材料のこのような加熱および冷却は、レーザビーム120が定められた溶接区域に沿って前進されると、その区域に沿って進行し、この区域は、典型的にはワークピース110、111の円周全体の周りに延在するが、任意の他の既定された、または恣意的な横断経路が本明細書内で企図される。レーザが進む特定の横断経路は、本開示の発明の態様には重要ではない。
【0028】
図面に例証される例示的な実施形態において、レーザビーム120は、透明な上方締め付けプレート113、ならびに溶接されるべきワークピース110、111に対応する熱可塑性材料110および111の2つのシートを通って下方に透過される。2つのシート110および111は、光学的に透明であるが、それにもかかわらず、レーザビーム120が2ミクロン(2μm)ファイバーレーザであるとき、レーザビーム120の部分を吸収する。2ミクロンレーザは、未充填ポリマーによる大いに増大した吸収を特徴とし、これが、いかなるレーザ感応添加剤の必要性もなしに光学的に透明であり得るワークピース部品110、111の厚さを通じた、非常に制御された溶融を可能にする。両方のシート110および111内のレーザビーム120の部分吸収によってもたらされる熱は、上方締め付けプレート113が2つのシート110、111を互いに対して継続して押圧すると、シート110および111をレーザビーム120の経路に沿って一緒に融合させるために十分にシート内の材料を溶融し、以て、レーザビーム120によって横断される溶接区域において熱可塑性材料の2つのシート110、111の所望の溶接をもたらす。結果として生じる溶接継ぎ目は、2つの透明なワークピースが一緒に融合される透明な溶接である。
【0029】
図4は、第1のワークピースおよび第2のワークピースの部分を接合するための例示的なレーザ溶接方法400のフローチャートを例証し、ワークピースが、約2ミクロンの波長を有するレーザ照射を吸収する熱可塑性材料で作製される。方法400は、機械加工された締め付け工具および第2の締め付け工具(機械加工される場合とそうでない場合とがある)の間で、一緒に接合されることになる非平坦ワークピースおよび第2のワークピース(平坦または非平坦であり得る)を締め付けること(402)を含む。2ミクロンレーザ照射は、一対の締め付け工具を使用するなど、両方のワークピースを一緒に押圧している間に、非平坦ワークピース上に照射を透過させる機械加工された締め付け工具を通って向けられる(404)。レーザ照射は、オフにされて、ワークピースの照射部分を固まらせてそれらを一緒に接合する(406)。最後に、接合されたワークピースは、締め付け工具から解放される(408)。
【0030】
本開示の態様は、消費財、医薬品、および密封包装が必要とされる他の製品の包装に適用可能であるが、これに限定されない。
【0031】
図5を参照すると、
図2と同様の多くの構成要素およびラベルが、使用される。加えて、
図5は、縁6-6を実証する。縁6-6は、
図6にさらに示され、第1の対のワークピース507(ワークピース501および502)ならびに第2の対のワークピース509(ワークピース503および504)は、フィルム505によって分離される。1つの実施形態によると、フィルム505は、非吸収キャリアフィルムであり、ワークピース501、502、503、および504は、熱可塑性プラスチックフィルムのフィルム層である。
【0032】
図5および
図6は、第1のバッグがどのように第2のバッグの上に溶接されるかを実証する。ワークピース501および502は、第1のバッグ507を形成するためにレーザビーム120によってそれらの縁が密閉されていると同時に、レーザビーム120は、第2の対のワークピース509の縁を密閉して第2のバッグにする。レーザビーム120(例えば、1940nmレーザ照射)の一部分は、第1の対のワークピース507によって吸収され、これにより、ワークピース501および502を溶融させて、溶接圧力が印加されるときに一緒に溶接されるようにする。しかしながら、レーザビーム120からの照射の大部分は、これら2つのワークピース501および502を通って透過される。レーザビーム120からの照射のこのような残りの大部分は、第1の対507の下に置かれる別の第2の対のワークピース509を溶融するのに十分であり、別のバッグを形成する。
【0033】
フィルム505は、第1のバッグ507が第2のバッグ509から容易に分離されるように、第1の対507が第2の対509に接着することを防ぐバリアを提供する。本開示は、フィルム505が、レーザ照射を容易に吸収せず、第1の対507または第2の対509のいずれかに接着しない任意の材料であることを企図する。例えば、フィルム505は、市販のFEPフィルムである。大半の熱可塑性プラスチックは、1940nm波長にあるIR照射(例えば、レーザビーム120からの照射)を吸収する。そのような熱可塑性プラスチックは、レーザ感応剤の追加なしにポリマーが溶接されることを可能にする。しかしながら、FEPおよび他のフルオロポリマーは、1940nm波長での照射を吸収しない。したがって、FEPおよび他のフルオロポリマーは、1940nmレーザを使用するプラスチック溶接プロセスにおいて製作工具として使用される。例えば、製作工具は、フィルム505であり、そのためこれは、レーザビーム120からのレーザ照射を最小エネルギー損失でフィルム505を通じて第2の対509へ伝達しながら、二対のワークピース507および509を分離する。
【0034】
図5および
図6は、レーザ溶接プロセスのスループットが、一対のワークピース(例えば、対507および509)を互いの上に積層することによって2倍に(または3倍にさえ)なることを示す。2対のワークピース507および509は、互いの上に積層され、フィルム505によって分離されて示されるが、本開示は、スループットをさらに増大させるために、ワークピースの各対が、フィルムによって分離され、レーザビーム120が、ワークピースの各対を十分に溶融するのに十分に強力である限り、2対を超えるワークピースが互いの上に積層可能であることを企図する。
【0035】
例示的な方法論600は、
図7に関して論じられる。方法論600は、例えば、
図5および
図6のシステムにおいて実施される。
【0036】
方法論600は、4つのフィルム層を互いに隣接して位置付けることによりステップ602で開始する。4つのフィルム層は、各フィルムが残りの3つのフィルムと重複するように、重複様式で位置付けられる。4つのフィルムは、(1)第1および第2の層、ならびに(2)第3および第4の層のそれぞれの対で位置付けられる。ステップ602のいくつかの例では、6つのフィルム層は、(1)第1および第2の層、(2)第3および第4の層、ならびに(3)第5および第6の層のそれぞれの対で位置付けられて、互いに隣接して置かれている。
【0037】
方法論600は、第2のフィルム層および第3のフィルム層を非吸収キャリアフィルム層により分離するために、ステップ604へ進む。3対のフィルム層が存在するステップ604のいくつかの例では、第4のフィルム層および第5のフィルム層もまた、非吸収キャリアフィルム層により分離される。
【0038】
方法論600は、第1のフィルム層および第2のフィルム層上にレーザ照射を向けて第1のバッグを形成することをもたらすために、ステップ606へ進む。
【0039】
方法論600は、ステップ608へ進む。ステップ608は、上記レーザ照射の実質的にすべてのエネルギーを、非吸収キャリアフィルムを通って透過させることをもたらす。
【0040】
方法論600は、ステップ610へ進む。ステップ610は、レーザ照射の透過されたエネルギーを第3のフィルム層および第4のフィルム層上に向けることをもたらす。したがって、ステップ610は、第2のバッグを得る。
【0041】
方法論600は、ステップ612で終了する。ステップ612は、レーザ照射をオフにして、フィルム層の照射部分を固まらせることをもたらす。
【0042】
下の表2は、関係する材料のパワー損失測定値を測定することによって、
図5~
図7に関して説明されるようなレーザ溶接の有効性を示す。
【表2】
表2の測定値は、互いの上に設置される2つの正方形形状の空気注入式封入体を同時に溶接した溶接プロセスから提供される。各封入体は、0.28mm厚のPVCフィルムで作製され得る。0.14mm厚のFEPフィルムを、2対のPVCフィルム層の間に置いて、この2つの封入体を効果的に分離した。両方の封入体は、等しく強力であり、それらにおいて欠陥は有していなかった。
【0043】
表2は、FEPフィルムを通した透過のときは約1Wのレーザパワー損失しか、および上方バッグ構造体全体(上方バッグ構造体は、2層のPVCフィルムおよび別個のFEPフィルムを一緒に備える)を通した透過のときは約2.5Wしかないことを実証する。この材料の溶接プロセスに使用されるパワー出力が、典型的には、95~110Wの範囲内であることを考えると、約2.5Wの損失は取るに足りない。したがって、表2は、本開示の実施形態に従う、
図5~
図6にあるような例示的な溶接プロセスが、十分なエネルギーがPVCシートの下の対に送達されて、それらを溶融して接着を形成することを可能にすることを示す。
【0044】
表2は、パワー測定が少なくとも6秒の曝露を必要とすることから、超音波溶接の典型的な範囲よりも低いパワーでのパワー測定を提供する。そのような長い時間にわたる同じスポットのこのような加熱は、典型的な超音波溶接プロセスのためのパワーが使用された場合は、熱可塑性プラスチックフィルムを劣化させ、読み取りを歪める(材料内のパワー損失は、材料特性によって規定される)。結果として、表2内のすべての測定は、低パワーで実施されたものであり、パワーメータ読み取りを得るのに十分な時間にわたってフィルムをレーザに曝露した。
【0045】
一般に使用されるフィルムの大半の厚さは、通常、0.1mm未満である。多くの一般に使用されるフィルム(PC、COC、PMMAなど)は、PVCよりも良好な透明度を有する。したがって、表2におけるプロセス実証のために選択された材料(材料は、0.28mm厚のPVCフィルム)は、一般に使用されるフィルムが提示する同時溶接についてのより困難なケースを提示する。したがって、一般に使用されるフィルムの大部分(薬剤のための容器を構築するため、ならびに多くの他の用途に使用されるものなど)にとっては、提案されたプロセスは、さらに容易に適用され得る。本開示は、一般に使用されるフィルムの大部分にとって、
図5~
図7に関して論じられるような手法が、垂直に積層される少なくとも3つのバッグであって、それらの間の非吸収および非接着フィルムによって分離される少なくとも3つのバッグを、同時に溶接することを可能にすることを企図する。
【0046】
本開示の特定の実施形態および応用が例証および説明されてきたが、本開示は、本明細書に開示される正確な構造および構成に限定されないこと、ならびに様々な修正形態、変更、および変異形態が、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、先述の説明から明らかになり得るということを理解されたい。