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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20231130BHJP
   H02K 3/18 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021136863
(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2023031406
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】由良 直也
(72)【発明者】
【氏名】道岡 力
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146703(JP,A)
【文献】特開2015-149863(JP,A)
【文献】特開2011-045165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに巻装された三相コイルと、
前記三相コイルのそれぞれに接続され、一連の線状の導体で形成された中性点接続導体とを備え、
前記三相コイル及び前記中性点接続導体は、中央に位置する第一接続点、前記第一接続点に対して一方側に配される第二接続点、及び前記第一接続点に対して他方側に配される第三接続点において接続されており、
前記第一接続点は、前記中性点接続導体の一端部及び他端部によって形成されており、
前記第二接続点及び第三接続点は、前記中性点接続導体の一端部から他端部に至る中間部分において前記中性点接続導体を折り返すことにより形成された折返部A、及び折返部Bによって形成されており、
前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の前記一端部から前記折返部Aに至る区間、及び前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の前記他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体に対し、前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体が沿う形状となるように形成されていること、を特徴とするステータ。
【請求項2】
前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の一端部から前記折返部Aに至る区間、及び前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体が、前記ステータコアの径方向の内側及び外側のうち一方に配され、
前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体が、前記ステータコアの径方向の内側及び外側のうち他方に配され、
前記ステータコアの径方向の内側及び外側に配される各々の前記中性点接続導体が、前記ステータコアの周方向に沿う形状となるように形成されていること、を特徴とする請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記第一接続点において前記中性点接続導体の前記一端部及び前記他端部が、前記ステータコアの径方向において重なるように接続されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載のステータ。
【請求項4】
前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の一端部から前記折返部Aに至る区間をなす前記中性点接続導体の長さと、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体の長さとは、略等しいこと、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相コイルが中性点接続導体により接続されたステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相コイルが中性点接続導体により接続されたステータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、三相コイル(U相、V相、及びW相)が中性点接続導体により接続されたステータが記載されている。
【0004】
上記特許文献1には、三相コイルと中性点接続導体との接続点のうち両端部(例えばU相及びW相との接続点)が中性点接続導体の両端となるように配されており、接続点のうちW相側における接続点ではサーミスタが接続されるように中性点接続導体が折り返し形状になっている、ことが記載されている。また、上記特許文献1には、三相コイルと中性点接続導体との接続点のうち中央部(例えばV相との接続点)において、中性点接続導体が折り返し形状となっていること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-126665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたステータにおいて、W相側の接続点におけるサーミスタとの接続部分において、中性点接続導体が折り返し形状になっている。このため、各相間に経路の差が生じてしまうことに起因して、抵抗値がばらついてしまい、電流の脈動が大きくなる可能性があるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、電流の脈動を抑制することが可能なステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0009】
(1)本発明によるステータは、ステータコアと、前記ステータコアに巻装された三相コイルと、前記三相コイルのそれぞれに接続され、一連の線状の導体で形成された中性点接続導体とを備え、前記三相コイル及び前記中性点接続導体は、中央に位置する第一接続点、前記第一接続点に対して一方側に配される第二接続点、及び前記第一接続点に対して他方側に配される第三接続点において接続されており、前記第一接続点は、前記中性点接続導体の一端部及び他端部によって形成されており、前記第二接続点及び第三接続点は、前記中性点接続導体の一端部から他端部に至る中間部分において前記中性点接続導体を折り返すことにより形成された折返部A、及び折返部Bによって形成されており、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の前記一端部から前記折返部Aに至る区間、及び前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の前記他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体に対し、前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体が沿う形状となるように形成されていること、を特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、中性点接続導体が折返部A及び折返部Bにおいて折り返されて、中性点接続導体の一端部及び他端部が中央で接続される。これにより、中性線接続導体の各接続点間の抵抗値を概略同じにできるので、抵抗値がばらつくことを抑制し、電流の脈動を抑制することができる。その結果、三相間の抵抗値のばらつきに起因するトルク変動が小さくなるため、振動低減のための制御(制振制御)等が不要になる。このため、本発明のステータは、NV(騒音(Noise)及び振動(Vibration))クオリティを従来技術のものに比べて向上させることができる。また、本発明のステータは、上記構成によれば、三相間の抵抗値の差異が小さくなるため、中性点接続導体の温度上昇のばらつきを抑制できる。さらに、本発明のステータは、上記構成によれば、中性点接続導体が三相コイルに対して一連の構造であるため、各接続点に対して位置決めし易くなる。
【0011】
(2)本発明によるステータにおいて、好ましくは、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の一端部から前記折返部Aに至る区間、及び前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体が、前記ステータコアの径方向の内側及び外側のうち一方に配され、前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体が、前記ステータコアの径方向の内側及び外側のうち他方に配され、前記ステータコアの径方向の内側及び外側に配される各々の前記中性点接続導体が、前記ステータコアの周方向に沿う形状となるように形成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、中性点接続導体がステータコアの周方向に沿う形状となるように形成されているため、ステータコアの周方向に沿って巻装されている三相コイルに対して、中性点接続導体を沿うように配置することができる。これにより、本発明のステータは、中性点接続導体と三相コイルの各々とを各接続点C1~C3において位置決めし易くなり、一層容易に接続する可能となる。
【0012】
(3)本発明によるステータにおいて、好ましくは、前記第一接続点において前記中性点接続導体の前記一端部及び前記他端部が、前記ステータコアの径方向において重なるように接続されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、中性点接続導体の一端部及び他端部を並列に接続する場合と比較して、溶接時に溶接玉を形成し易くなるため、一端部及び他端部における接続不良が抑制される。
【0013】
(4)本発明によるステータにおいて、好ましくは、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の一端部から前記折返部Aに至る区間をなす前記中性点接続導体の長さと、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体の長さとは、略等しいこと、を特徴とするとよい。本発明のステータは、このように構成することにより各接続点(第一接続点、第二接続点、及び第三接続点)間における中性線接続導体の各接続点間の抵抗値を概略同じにできる。
【0014】
(5)本発明によるステータにおいて、好ましくは、前記中性点接続導体は、平角形状のエナメル線を折り曲げることにより形成されていること、を特徴とするとよい。本発明のステータは、このように構成することにより、プレス製作によるバスバーよりも歩留まりが良く製作できるようになる。また、本発明のステータは、前述のような構成とすることにより、絶縁処理が不要となり、その分だけ安価に製作できる。
【0015】
(6)本発明によるステータにおいて、好ましくは、前記中性点接続導体の温度を検出する温度検出部を備え、前記温度検出部は、前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の一端部から前記折返部Aに至る区間をなす前記中性点接続導体と、前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体との間、及び前記第一接続点をなす前記中性点接続導体の他端部から前記折返部Bに至る区間をなす前記中性点接続導体と、前記折返部A,Bを繋ぐ区間をなす前記中性点接続導体との間のうち少なくともいずれかに配されていること、を特徴とするとよい。本発明のステータは、このように構成することにより、温度検出部による温度測定時に中性点接続導体の任意の位置で測温することが可能となり、固定箇所の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る態様によれば、電流の脈動を抑制することが可能なステータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るステータの全体構成の一例を示す斜視図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るステータの要部拡大図である。
図2】本発明の一実施形態に係る中性点接続導体を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る中性点接続導体を軸方向から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る中性点接続導体を径方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るステータを説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0019】
(ステータ)
図1図4を参照して、本実施形態におけるステータ100の構成について説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、ステータ100は、ステータコア10と、三相コイル20U、20V、20Wと、中性点接続導体30と、温度検出部40とを備えている。
【0021】
(ステータコア)
図1(a)及び(b)に示すように、ステータコア10は、周方向に沿って延びる円環状のヨーク12と、ヨーク12の内周面より径方向内側(図示しないロータ側)へ突出する複数のティース14とを含んでいる。複数のティース14は、周方向に互いに間隔をおいて(等間隔で)配置されている。周方向に隣接するティース14間には、スロット16が形成されている。なお、ステータコア10における周方向を単に「周方向」いい、ステータコア10における軸方向を単に「軸方向」といい、ステータコア10における径方向を単に「径方向」ということがある。
【0022】
(三相コイル)
三相コイル20U、20V、20Wは、スロット16を通ってティース14に巻装されている。コイル20U、20V、20Wの導体は、例えば、長方形断面の平角線が用いられている。
【0023】
コイル20U、20V、20Wは、周方向位置の異なるスロット16を介して、ステータコア10(ティース14、及びヨーク12)より軸方向一方側に張り出したコイルエンド部がステータコア10の周方向に曲げ加工され、コイルエンド部の先端部同士が接合されている。また、コイル20U、20V、20Wの各接合部22U、接合部22V、接合部22Wは、軸方向に沿って延びている。
【0024】
(中性点接続導体)
図2図4に示すように、中性点接続導体30は、一連(一本)の線状の導体を複数箇所において折り曲げることにより形成されている。中性点接続導体30は、例えば、平角形状(長方形断面)のエナメル線を折り曲げることにより形成されている。
【0025】
図1(b)に示すように、中性点接続導体30は、三相コイル20U、20V、20Wのそれぞれと電気的に接続されている。コイル20Uの接合部22Uの1つが、中性点接続導体30との接続端子24U(第一接続点C1)として用いられている。コイル20Vの接合部22Vの1つが、中性点接続導体30との接続端子24V(第二接続点C2)として用いられている。コイル20Wの接合部22Wの1つが、中性点接続導体30との接続端子24W(第三接続点C3)として用いられている。
【0026】
コイル20Uにおける接続端子24U、コイル20Vにおける接続端子24V、及びコイル20Wにおける接続端子24Wは、それぞれ、周方向に互いに間隔をおいて配置され、軸方向の長さが互いに等しく、軸方向の位置が互いに一致している。
【0027】
三相コイル20U、20V、20Wと、中性点接続導体30とは、それぞれ、第一接続点C1、第二接続点C2、及び第三接続点C3において接続されている。第一接続点C1は、ステータコア10の周方向における中央に位置している。第二接続点C2は、第一接続点C1に対して、ステータコア10の周方向における一方側に配されている。第三接続点C3は、第一接続点C1に対して、周方向における他方側に配されている。
【0028】
図2に示すように、中性点接続導体30は、第一部分31、第二部分32、及び第三部分33を有している。
【0029】
第一部分31は、中央部311と、一端部312と、他端部313とを有している。一端部312及び他端部313は、中央部311からステータコア10の軸方向に向かって折り曲げられている。
【0030】
第二部分32は、中央部321と、一端部322と、他端部323とを有している。一端部322及び他端部323は、中央部321からステータコア10の軸方向に向かって折り曲げられている。
【0031】
第三部分33は、中央部331と、一端部332と、他端部333とを有している。一端部332及び他端部333は、中央部331からステータコア10の軸方向に向かって折り曲げられている。
【0032】
第一接続点C1は、中性点接続導体30の第一部分31の一端部312、及び第三部分33の他端部333によって形成されている。第二接続点C2は、折返部34Aによって形成されている。第三接続点C3は、折返部34Bによって形成されている。折返部34A、及び折返部34Bは、それぞれ、中性点接続導体30の第一部分31の一端部312から第三部分33の他端部333に至る中間部分において、中性点接続導体30を折り返すことにより形成されている。
【0033】
具体的には、折返部34Aは、第一部分31の他端部313と、第二部分32の一端部322との間で、中性点接続導体30を径方向に折り返すことにより形成されている。同様に、折返部34Bは、第二部分32の他端部323と、第三部分33の一端部332との間で、中性点接続導体30を径方向に折り返すことにより形成されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第一部分31の一端部312から折返部34Aに至る第一部分31、及び第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る第三部分33をなす中性点接続導体30に対し、折返部34Aと折返部34Bとを繋ぐ第二部分32をなす中性点接続導体30が沿う形状となるように形成されている。すなわち、中性点接続導体30の第一部分31及び第三部分33に対して、第二部分32が沿う形状となるように形成されている。
【0035】
第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第一部分31の一端部312から折返部34Aに至る第一部分31、及び第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る第三部分33が、ステータコア10の径方向の内側に配されている。一方、折返部34A及び折返部34Bを繋ぐ第二部分32が、ステータコア10の径方向の外側に配されている。すなわち、中性点接続導体30の第一部分31及び第三部分33が、第二部分32に対してステータコア10の径方向内側に配されている。
【0036】
第一接続点C1において中性点接続導体30の第一部分31の一端部312、及び第三部分33の他端部333が、ステータコア10の径方向において重なるように接続されている。中性点接続導体30の第一部分31の一端部312が、第三部分33の他端部333に対してステータコア10の径方向外側に配されている。
【0037】
中性点接続導体30の第一部分31の一端部312の先端には、絶縁被膜により覆われていない接続端子30a(導体部分)が設けられている。中性点接続導体30の折返部34A(第一部分31の他端部313、及び第二部分32の一端部322)の先端には、絶縁被膜により覆われていない接続端子30b(導体部分)が設けられている。中性点接続導体30の折返部34B(第二部分32の他端部313、及び第三部分33の一端部332)の先端には、絶縁被膜により覆われていない接続端子30c(導体部分)が設けられている。中性点接続導体30の第三部分33の他端部333の先端には、絶縁被膜により覆われていない接続端子30d(導体部分)が設けられている。
【0038】
第一部分31の接続端子30a及び第三部分33の接続端子30dと、コイル20Uの接続端子24Uとが第一接続点C1において溶接により接合されている。折返部34Aの接続端子30bと、コイル20Vの接続端子24Vとが第二接続点C2において溶接により接合されている。折返部34Bの接続端子30cと、コイル20Vの接続端子24Vとが第三接続点C3において溶接により接合されている。これによって、中性点接続導体30がコイル20U、20W、20Vと結線される。
【0039】
図3に示すように、第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第一部分31の一端部312から折返部34Aに至る第一部分31の長さL1と、第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る第二部分32の長さL2とは、略等しい。
【0040】
温度検出部40は、中性点接続導体30の温度、又は三相コイル20U、20V、20Wの少なくともいずれかの温度を検出(計測)するために設けられている。温度検出部40の一例としては、モールド樹脂により覆われたサーミスタ等の温度センサが挙げられる。温度検出部40は、第一接続点C1をなす中性点接続導体30の第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る第三部分33と、折返部34A及び折返部34Bを繋ぐ第二部分32との間に配されている。
【0041】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(6)を得ることができる。
【0042】
(1)上記実施形態によるステータ100では、第一部分31の一端部312から折返部34Aに至る区間をなす第一部分31、及び第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る区間をなす第三部分33に対して、折返部34A及び折返部34Bを繋ぐ区間をなす第二部分32を沿う形状となるように形成した。
【0043】
上記実施形態によれば、中性点接続導体30が折返部34A及び折返部34Bにおいて折り返されて、中性点接続導体30の一端部312及び他端部333が中央(第一接続点C1)で接続される。これにより、中性線接続導体30の各接続点C1、C2、及びC3間の抵抗値を概略同じにできるので、抵抗値がばらつくことを抑制し、電流の脈動を抑制することができる。その結果、三相間の抵抗値のばらつきに起因するトルク変動が小さくなるため、振動低減のための制御(制振制御)等が不要になる。このため、NV(騒音(Noise)及び振動(Vibration))クオリティを向上させることができる。また、上記実施形態によれば、三相間の抵抗値の差異が小さくなるため、中性点接続導体30の温度上昇を均一にすることができる。さらに、上記実施形態によれば、中性点接続導体30が三相コイル20U、20V、20Wに対して一連の構造であるため、各接続点C1~C3に対して位置決めし易くなる。
【0044】
(2)上記実施形態によるステータ100では、ステータコア10の径方向の内側及び外側に配される各々の中性点接続導体30を、ステータコア10の周方向に沿う形状となるように形成した。これにより、中性点接続導体30がステータコア10の周方向に沿う形状となるように形成されているため、ステータコア10の周方向に沿って巻装されている三相コイル20U、20V、20Wに対して、中性点接続導体30を沿うように配置することができる。これにより、中性点接続導体30と三相コイル20U、20V、20Wの各々とを各接続点C1~C3において位置決めし易くなるため、容易に接続することができる。
【0045】
(3)上記実施形態によるステータ100では、第一接続点C1において中性点接続導体30の第一部分31の一端部312及び第三部分33の他端部333を、ステータコア10の径方向において重なるように接続した。これにより、中性点接続導体30の一端部312及び他端部333を並列に接続する場合と比較して、溶接時に溶接玉を形成し易くなるため、第一部分31の一端部312及び第三部分33の他端部333の接続不良を抑制することができる。
【0046】
(4)上記実施形態によるステータ100では、中性点接続導体30の第一部分31の一端部312から折返部34Aに至る区間をなす第一部分31の長さL1と、中性点接続導体30の第三部分33の他端部333から折返部34Bに至る区間をなす第三部分33の長さL2とを略等しくした。これにより、第一接続点C1と第二接続点C2とを接続する中性点接続導体30は、短い線(第一部分31)と、長い線(第二部分32+第三部分33)との並列接続になる。また、第一接続点C1と第三接続点C3とを接続する中性点接続導体30は、短い線(第三部分33)と長い線(第一部分31+第二部分32)との並列接続になる。また、第二接続点C2と第三接続点C3とをつなぐ中性点接続導体30は、長い二本の線(第一部分31+第三部分33、及び第二部分32)の並列接続になる。これにより、各接続点(第一接続点C1、第二接続点C2、及び第三接続点C3)間における中性点接続導体30の各接続点間の抵抗値を概略同じにできる。
【0047】
(5)上記実施形態によるステータ100では、中性点接続導体30を平角形状のエナメル線を折り曲げることにより形成した。これにより、プレス製作によるバスバーよりも歩留まりが良く、絶縁処理が不要であるため、安価に製作できる。
【0048】
(6)上記実施形態によるステータ100では、中性点接続導体30の第三部分33と第二部分32との間に温度検出部40を配した。これにより、温度検出部40による温度測定時に中性点接続導体30の任意の位置で測温することが可能であるため、固定箇所の自由度を向上させることができる。
【0049】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0050】
上記実施形態では、中性点接続導体を一本の線状の導体により形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中性点接続導体を一連の線状の導体により形成することが可能である。例えば、中性点接続導体を複数本の線状の導体を連結(結線)することにより形成することが可能である。これにより、中性点接続導体の長さを任意の長さに調整することが可能となる。
【0051】
上記実施形態では、中性点接続導体の第一部分、第二部分、及び第三部分がステータコアの周方向に沿うように形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中性点接続導体の第一部分及び第三部分が第二部分に対して沿う形状に形成されていれば、中性点接続導体の第一部分、第二部分、及び第三部分がステータコアの周方向以外の方向に沿うように形成することも可能である。
【0052】
上記実施形態では、中性点接続導体の第一部分及び第三部分がステータコアの径方向の内側に配されるとともに、第二部分ステータコアの径方向の外側に配される例を示したが、本発明はこれに限られない、本発明では、中性点接続導体の第一部分及び第三部分がステータコアの径方向の外側に配されるとともに、第二部分ステータコアの径方向の内側に配されることも可能である。
【0053】
上記実施形態では、中性点接続導体を平角形状のエナメル線を折り曲げることにより形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中性点接続導体を平角形状以外に長方形状、正方形状、及び円形状等に形成することが可能であるとともに、エナメル線以外の導体を用いることも可能である。
【0054】
上記実施形態では、中性点接続導体の第三部分と第二部分との間に温度検出部を配する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中性点接続導体の第一部分と第二部分との間に温度検出部を配することも可能である。
【0055】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0056】
10 :ステータコア
20U、20V、20W :コイル
30 :中性点接続導体
31 :第一部分
312 :一端部
313 :他端部
32 :第二部分
322 :一端部
323 :他端部
33 :第三部分
332 :一端部
333 :他端部
34A :折返部(折返部A)
34B :折返部(折返部B)
40 :温度検出部
100 :ステータ
C1 :第一接続点
C2 :第二接続点
C3 :第三接続点
図1
図2
図3
図4