(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 85/60 20230101AFI20231130BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20231130BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231130BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
H10K85/60
C09K11/06 690
H05B33/14 B
H10K50/12
(21)【出願番号】P 2021513235
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2019009860
(87)【国際公開番号】W WO2020054977
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0107679
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082470
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビンナリ
(72)【発明者】
【氏名】イ、スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ホンセ
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、サンヒ
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086629(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/151520(WO,A1)
【文献】特表2019-514203(JP,A)
【文献】特表2018-521506(JP,A)
【文献】特表2020-507924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/10
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の第1のホスト化合物と少なくとも1種の第2のホスト化合物とを含む複数のホスト材料であって、前記第1のホスト化合物が以下の式1によって表され、前記第2のホスト化合物が以下の式2-1又は2-2によって表される、ホスト材料:
【化1】
(式中、
L
1~L
3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
Ar
1~Ar
3は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すが、
L
1~L
3の全てが単結合であり且つAr
1~Ar
3の全てが水素である化合物は除外される);
【化2】
(式2-1中、
Lは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル及びアズレニルからなる群から選択される置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又はフリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリジニル、シラフルオレニル及びゲルマフルオレニルからなる群から選択される置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
X
1~X
6は、それぞれ独立して、CR
a又はNを表し、X
1~X
6のうちの少なくとも1つはNであり、
R
aは、それぞれ独立して
、水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、又はフェニル、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル及びアズレニルからなる群から選択される置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表し、
a’は1~3の整数を表し、a’が2以上である場合には、(L-Ar)のそれぞれは同じであっても異なっていてもよい):
【化3】
(式2-2中、
Lは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
Z
1~Z
4は、それぞれ独立して、CR
a又はNを表し、Z
1~Z
4のうちの少なくとも1つはNであり、
R
aは、それぞれ独立して
、水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表し、
a’は1~3の整数を表し、a’が2以上である場合には、(L-Ar)のそれぞれは同じであっても異なっていてもよい)。
【請求項2】
前記式1が、下記の式1-1~1-6のうちのいずれか1つにより表される、請求項1に記載のホスト材料:
【化4】
【化5】
(式中、
Yは、CR
6R
7、NR
8、O又はSを表し、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは隣接する置換基に結合されて環を形成していてもよく、
L
4は、単結合、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
Ar
4は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキルを表し、
a、b、c、及びeは、それぞれ独立して1~4の整数を表し、b”、c”、及びe” はそれぞれ独立して1~3の整数を表し、dは1又は2の整数を表し、d”は1を表し、a~e、b”、c”、及びe”が2以上の場合には、R
1~R
5のそれぞれは同じであっても異なっていてもよく、
Ar
2、Ar
3、及びL
1~L
3は、請求項1で定義されている通りである)。
【請求項3】
前記第2のホスト化合物が式2-2により表される、請求項1に記載のホスト材料。
【請求項4】
L
1~L
3、Ar
1~Ar
3、HAr、L、及びArにおける、前記置換(C1~C30)アルキル(エン)、前記置換(C6~C30)アリール(エン)、前記置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、前記置換(C3~C30)シクロアルキル(エン)、前記置換(C1~C30)アルコキシ、前記置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、前記置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、前記置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、前記置換トリ(C6~C30)アリールシリル、前記置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、前記置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は前記置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノの置換基が、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール置換若しくは無置換(5~30員)ヘテロアリール、(5~30員)ヘテロアリール置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つを表す、請求項1に記載のホスト材料。
【請求項5】
式1によって表される前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載のホスト材料。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項6】
式2-1又は2-2によって表される前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載のホスト材料。
【化11】
【化12】
【化13】
【請求項7】
アノード;カソード;及び前記アノードと前記カソードとの間の少なくとも1つの発光層;を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記少なくとも1つの発光層が請求項1に記載の複数のホスト材料を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
1987年にEastman Kodakによって、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することによって、最初の有機エレクトロルミネセントデバイスが開発された[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)は、有機エレクトロルミネセント材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノードと、カソードと、2つの電極間に形成された有機層とを含む。
【0004】
有機エレクトロルミネセントデバイスにおける発光効率を決定する際の最も重要な要素は発光材料である。発光材料は、機能面でホスト材料とドーパント材料とに分類され、色純度、発光効率、及び安定性を改善するために、ホストとドーパントとの組み合わせとして使用することができる。一般的に、優れたEL(エレクトロルミネセント)特性を有するデバイスは、ホストにドーパントをドープすることにより形成される発光層を含む構造を有する。このようなドーパント/ホスト材料システムを発光材料として使用する場合、ホスト材料はエレクトロルミネセントデバイスの効率及び寿命に非常に影響を与えるため、それらの選択は重要である。
【0005】
近年の緊急の課題は、高効率且つ長寿命の有機エレクトロルミネセントデバイスの開発である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なエレクトロルミネセント特性を考慮すると、従来の材料を凌ぐ非常に優れた発光材料の開発が緊急に必要とされている。
【0006】
韓国特許第2015-0117173A号明細書及び韓国特許第2015-0042603A号明細書には、複数のホスト化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに使用される組成物及び有機エレクトロルミネセントデバイスが開示されている。しかしながら、駆動電圧、発光効率、及び寿命の点で依然として改善が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、第1に、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は長寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造できる複数のホスト材料を提供すること、第2に、ホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的問題を解決するための集中的な研究の結果として、本発明者らは、前述の目的は、以下の式1によって表される少なくとも1種の第1のホスト化合物と、以下の式2によって表される少なくとも1種の第2のホスト化合物とを含む複数のホスト材料によって達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【化1】
【0009】
式1において、L1~L3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
Ar1~Ar3は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すが、
L1~L3の全てが単結合であり且つAr1~Ar3の全てが水素である化合物は除外される。
HAr-(L-Ar)a’ (2)
【0010】
式2において、HArは、置換若しくは無置換窒素含有(3~10員)ヘテロアリールを表し、
Lは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
a’は1~3の整数を表し、a’が2以上である場合には(L-Ar)のそれぞれは同じであっても異なっていてもよい。
【0011】
発明の有利な効果
本開示による複数のホスト材料を使用することにより、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は長い寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを作製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では以下、本開示が詳細に説明される。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0013】
本開示は、上の式1で表される少なくとも1種の第1のホスト化合物と、上の式2で表される少なくとも1種の第2のホスト化合物とを含む複数のホスト材料、及びホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0014】
本明細書において、「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料又は電子注入材料等であり得る。
【0015】
本明細書において、「複数のホスト材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の発光層中に含まれ得る少なくとも2種の化合物の組み合わせを含むホスト材料を意味する。これは、有機エレクトロルミネセントデバイス中に含まれる前(例えば蒸着前)の材料と、有機エレクトロルミネセントデバイス中に含まれた後(例えば蒸着後)の材料との両方を意味し得る。一実施形態では、本開示の複数のホスト材料は、少なくとも2種のホスト材料の組み合わせであり得、選択的に、有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料が更に含まれ得る。本開示の複数のホスト材料に含まれる少なくとも2種の化合物は、1つの発光層中に一緒に含まれ得るか、又は当該技術分野で公知の方法により別々の発光層中にそれぞれ含まれ得る。例えば、少なくとも2種の化合物は、混合蒸着又は共蒸着され得るか、又は個別に蒸着され得る。
【0016】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル(エン)」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状アルキルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは、1~20個、より好ましくは1~10個である。上記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を含み得る。「(C3~C30)シクロアルキル(エン)」は、3~30の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であり、炭素原子の数は、好ましくは3~20であり、より好ましくは3~7である。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。「(C6~C30)アリール(エン)」は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式又は縮合環ラジカルであり、環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~15であり、部分的に飽和されることができ、スピロ構造を含み得る。アリールの例としては、具体的には、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル等が挙げられる。より具体的には、アリールは、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4”-t-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-ターフェニル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-ターフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[b]フルオレニル等であり得る。「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、3~30個の環骨格原子(環骨格原子の数は、好ましくは5~25である)を有し、B、N、O、S、Si、P、及びGeからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4つのヘテロ原子を含むアリールである。上記ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換の(5~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換の(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換のトリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換のジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換のトリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つの置換基と連結していてもよい。更に、上記ヘテロアリールは、単結合を介してヘテロアリール基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を結合することにより形成されたものであってもよく;またスピロ構造を含んでいてもよい。ヘテロアリールの例としては、具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等を含む単環式環型ヘテロアリール及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリジニル、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニル等を含む縮合環型ヘテロアリールが挙げられ得る。より具体的には、ヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、4-ゲルマフルオレニル等であり得る。本明細書において、「ハロゲン」としては、F、Cl、Br及びIが挙げられる。
【0017】
更に、「オルト(o)」、「メタ(m)」、及び「パラ(p)」は、全ての置換基の置換位置を示すことを意味する。オルト位は、例えば、ベンゼンの1位及び2位で互いに隣接している置換基を有する化合物である。メタ位は、直接隣接する置換位置の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び3位に置換基を有する化合物である。パラ位は、メタ位の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び4位に置換基を有する化合物である。
【0018】
本明細書において、「隣接する置換基に連結されて形成されている置換若しくは無置換の環」とは、2つ以上の隣接する置換基を連結又は縮合することにより形成された置換若しくは無置換(3~30員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環、又はこれらの組み合わせを意味し、好ましくは置換若しくは無置換(3~26員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環、又はこれらの組み合わせであり得る。更に、形成された環の中の炭素原子のうちの少なくとも1つは、B、N、O、S、Si、及びPから、好ましくはN、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよい。本開示の一実施形態によれば、環骨格原子の数は(5~20員)であり、本開示の別の実施形態によれば、環骨格原子の数は(5~15員)である。
【0019】
更に、表現「置換若しくは無置換」における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。式1及び2のL1~L3、Ar1~Ar3、HAr、L、及びArにおける、置換(C1~C30)アルキル(エン)、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル(エン)、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシ、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール置換若しくは無置換(5~30員)ヘテロアリール、(5~30員)ヘテロアリール置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールなどからなる群から選択される少なくとも1つであり、例えば置換基は、メチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フルオレニル、又はピリジニルなどであってもよい。
【0020】
以下で一実施形態のホスト材料について説明する。
【0021】
一実施形態のホスト材料は、上の式1によって表される少なくとも1種の第1のホスト化合物と、上の式2によって表される少なくとも1種の第2のホスト化合物とを含み、ホスト材料は、一実施形態の有機エレクトロルミネセントデバイスの発光層中に含まれていてもよい。
【0022】
一実施形態のホスト材料としての第1のホスト化合物は、下記の式1で表すことができる。
【化2】
【0023】
式1において、L1~L3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
Ar3~Ar3は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すが、
L1~L3の全てが単結合であり且つAr1~Ar3の全てが水素である化合物は除外される。
【0024】
一実施形態では、L1~L3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは単結合又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレンとすることができる。例えば、L1~L3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換フェニレン、置換若しくは無置換o-ビフェニレン、置換若しくは無置換m-ビフェニレン、置換若しくは無置換p-ビフェニレン、置換若しくは無置換ナフチレン、又は置換若しくは無置換フルオレニレンであり得る。
【0025】
一実施形態では、Ar1~Ar3は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは置換若しくは無置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは無置換(5~30員)ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C20)アリール又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールであり得る。例えば、Ar1~Ar3は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換o-ビフェニル、置換若しくは無置換m-ビフェニル、置換若しくは無置換p-ビフェニル、置換若しくは無置換m-ターフェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換フルオレニル、置換若しくは無置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは無置換フェナントレニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、置換若しくは無置換カルバゾリル、置換若しくは無置換ベンゾカルバゾリル、置換若しくは無置換ジベンゾカルバゾリル、置換若しくは無置換インデノカルバゾリル、置換若しくは無置換ベンゾチエノカルバゾリル、置換若しくは無置換ベンゾフロカルバゾリル、又は置換若しくは無置換インドロカルバゾリルとすることができる。
【0026】
式1で表される化合物は、以下の式1-1~1-6のいずれか1つで表されることができる。
【化3】
【化4】
【0027】
式1-1~1-6において、
Yは、CR6R7、NR8、O、又はSを表し、
R1~R8は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか、或いは隣接する置換基に結合されて環を形成していてもよく、
L4は、単結合、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキレン、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し、
Ar4は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキルを表し、
a、b、c、及びeは、それぞれ独立して1~4の整数を表し、b”、c”、及びe”はそれぞれ独立して1~3の整数を表し、dは1又は2の整数を表し、d”は1の整数を表し、a~e、b”、c”、及びe”が2以上の場合には、R1~R5のそれぞれは同じであっても異なっていてもよく、
Ar2、Ar3及びL1~L3は、式1で定義されている通りである。
【0028】
一実施形態では、Yは、NR8、O、又はSであり得る。
【0029】
一実施形態では、R1~R5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノであってもよく、或いは隣接する置換基に連結して環を形成していてもよく、好ましくは、水素、重水素であるか、隣接する置換基に連結して置換若しくは無置換の(3~18員)の単環式若しくは多環式の環を形成していてもよく、より好ましくは、水素であるか隣接する置換基に連結して無置換の(3~10員)の単環式若しくは多環式の環を形成していてもよい。例えば、隣接するR1又は隣接するR2は、互いに連結してベンゼン環を形成していてもよい。
【0030】
一実施形態では、R6~R8は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、好ましくは置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであってもよい。例えば、R6~R8は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のフェニル又は置換若しくは無置換のビフェニルであってもよい。
【0031】
一実施形態では、L4は、単結合又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、好ましくは単結合又は置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、より好ましくは単結合又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレンであり得る。例えば、L4は、単結合であってもよく、或いは置換若しくは無置換のフェニレンであってもよい。
【0032】
一実施形態では、AR4は、水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、好ましくは置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであってもよい。例えば、Ar4は、置換若しくは無置換のフェニル、置換若しくは無置換のo-ビフェニル、置換若しくは無置換のm-ビフェニル、又は置換若しくは無置換のp-ビフェニルであってもよい。
【0033】
一実施形態によれば、式1で表される第1のホスト化合物は、以下の化合物によって例示され得るが、これらに限定されない。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0034】
本開示による式1の化合物は、当業者に公知の合成方法によって製造することができ、例えば、韓国特許出願公開第2013-0106255A号明細書(2013年9月27日)、韓国特許出願公開第2012-0042633A号明細書(2012年5月3日)、及び韓国特許出願公開第2015-0066202A号明細書(2015年6月16日)に開示の方法により合成することができるが、これらに限定されない。
【0035】
一実施形態の別のホスト材料としての第2のホスト化合物は、下記の式2により表すことができる。
HAr-(L-Ar)a’ (2)
【0036】
式2において、
HArは、置換若しくは無置換窒素含有(3~10員)ヘテロアリールを表し、
Lは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Arは、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し、
a’は1~3の整数を表し、a’が2以上である場合には、(L-Ar)のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る。
【0037】
一実施形態では、HArは、置換若しくは無置換の窒素含有(5~10員)ヘテロアリール、好ましくは無置換の窒素含有(6~10員)ヘテロアリールとすることができる。例えば、HArは、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、又はキナゾリニルであってもよい。
【0038】
一実施形態では、Lは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリーレンであってもよく、好ましくは単結合、無置換(C6~C20)アリーレン、又は置換若しくは無置換(5~18員)ヘテロアリーレンであってもよい。例えば、Lは、単結合、ナフチル置換若しくは無置換フェニレン、置換若しくは無置換m-ビフェニレン、置換若しくは無置換p-ビフェニレン、置換若しくは無置換ナフチレン、置換若しくは無置換フルオレニレン、又は置換若しくは無置換ピリジニレンであってもよい。
【0039】
一実施形態では、Arは、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールであってもよく、好ましくは(C6~C18)アリール又は置換若しくは無置換(5~18員)ヘテロアリールであってもよい。例えば、Arは、ナフチル又はフルオレニルで置換されているか無置換のフェニル、置換若しくは無置換m-ビフェニル、置換若しくは無置換p-ビフェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換m-テルフェニル、置換若しくは無置換p-テルフェニル、置換若しくは無置換トリフェニレニル、置換若しくは無置換フェナントレニル、少なくとも1つのフェニル又は少なくとも1つのメチルで置換されたフルオレニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、フェニルで置換されているか無置換のカルバゾリル、又はメチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、及びピリジニルのうちの少なくとも1つで置換されているか無置換のベンゾフルオレニルであってもよい。
【0040】
一実施形態では、a’は2又は3の整数であってもよく、(L-Ar)のそれぞれは同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
式2で表される化合物は、次式2-1又は2-2により表すことができる。
【化10】
【0042】
式2-1及び2-2において、
X1~X6及びZ1~Z4は、それぞれ独立して、CRa又はNであり、X1~X6のうちの少なくとも1つはNであり、Z1~Z4のうちの少なくとも1つはNであり、
Raは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表し、
L,Ar、及びa’は式2に定義される通りである。
【0043】
一実施形態では、式2-1において、X1~X6のうちの少なくとも1つはNであり、好ましくは、X1~X6のうちの少なくとも2つはNであり、より好ましくは、X1~X6のうちの少なくとも3つがNとすることができる。例えば、式2-1で表される化合物は、(L-Ar)a’で置換されたピリジン、ピリミジン、又はトリアジンであってもよい。
【0044】
一実施形態では、式2-2において、Z1~Z4のうちの少なくとも1つはNであり、好ましくはZ1~Z4のうちの少なくとも2つがNであってもよい。例えば、式2-2で表される化合物は、(L-Ar)a’で置換されたキノリン、キノキサリン、又はキナゾリンであってもよい。
【0045】
一実施形態では、Raは全て水素であってもよい。
【0046】
一実施形態によれば、式2によって表される第2のホスト化合物は、下記の化合物によってより具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0047】
本開示による式2の化合物は、当業者に公知の合成方法により製造することができ、例えば、式2-1又は2-2で表される化合物は、以下の反応スキーム1又は2を参照することにより合成することができるが、これらに限定されない:
[反応スキーム1]
【化17】
[反応スキーム2]
【化18】
【0048】
反応スキーム1及び2において、L、Ar、及びa’は式2で定義した通りであり、X1~X6及びZ1~Z4は、式2-1及び2-2で定義した通りである。
【0049】
上で説明した通り、一実施形態による式2-1又は2-2によって表される化合物の例示的な合成例が記載されており、特定の合成例で記載されている置換基以外の式2-1又は2-2で定義されている他の置換基が結合している場合であっても、上記の反応が進行することが当業者によって理解されるであろう。
【0050】
以下、前述した複数のホスト材料に適用されている有機エレクトロルミネセントデバイスについて説明する。
【0051】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と;第2の電極と;第1の電極と第2の電極の間に挟まれた少なくとも1つの有機層とを含む。有機層は発光層を含んでいてもよく、発光層は、式1により表される少なくとも1種の第1のホスト材料と式2により表される少なくとも1種の第2のホスト材料とを含む、複数のホスト材料を含んでいてもよい。
【0052】
一実施形態によると、式1によって表される第1のホスト化合物と、式2によって表される第2のホスト化合物とは、同じ有機層に含有され得るか、又はそれぞれ異なる有機層に含有され得る。
【0053】
発光層は、光を放出する層であり、単層であってもよく、又は2つ以上の層が積層された多層であってもよい。発光層において、好ましくは、ホスト化合物に基づくドーパント化合物のドーピング濃度は、20重量%未満、好ましくは17重量%未満とすることができる。
【0054】
第1の電極と第2の電極のうちの一方はアノードとすることができ、他方はカソードとすることができ、これらの第1の電極と第2の電極は、それぞれ透過性導電性材料、半透過性導電性材料、又は反射性導電性材料として形成することができる。有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極及び第2の電極を形成する材料の種類に従ってトップエミッション型、ボトムエミッション型、又は両面エミッション型であり得る。有機層は、発光層を含み得、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、電子阻止層、及び電子緩衝層から選択される少なくとも1つの層を更に含み得る。
【0055】
有機層は、本開示の発光材料以外にアミン系化合物及び/又はアジン系化合物を更に含み得る。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光層、発光補助層又は電子阻止層は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光材料、発光補助材料又は電子阻止材料としてのアミン系化合物、例えばアリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物などを含み得る。また、電子輸送層、電子注入層、電子緩衝層又は正孔阻止層は、電子輸送材料、電子注入材料、電子緩衝材料又は正孔阻止材料としてアジン系化合物を含み得る。
【0056】
また、有機層は、周期表の1族の金属、2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド及びd-遷移元素の有機金属又はそのような金属を含む少なくとも1種の錯体化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属を更に含み得る。
【0057】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)又はYG(黄緑色)の発光ユニットの配置に応じて、平行並列配置法、積層配置法又はCCM(色変換材料)法などの様々な構造が提案されている。加えて、一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、QD(量子ドット)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも適用され得る。
【0058】
アノードと発光層の間に、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、又はこれらの組み合わせを使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げるために多層であり得、ここで、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。また、正孔注入層は、p-ドーパントとしてドープされ得る。電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。正孔輸送層又は電子阻止層は、複数層であり得、この場合、それぞれの層は、複数の化合物を使用することができる。
【0059】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層又はこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間に用いることができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、且つ発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために多層であり得、ここで、多層のそれぞれは、2つの化合物を同時に使用し得る。正孔阻止層又は電子輸送層は多層であってもよく、ここで、各層は、複数の化合物を使用し得る。また、電子注入層は、n型ドーパントとしてドープされ得る。
【0060】
発光補助層は、アノードと発光層との間又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/若しくは正孔輸送を促進するために、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。加えて、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進する又は阻止するのに有効であり得、それによって電荷のバランスが制御されることを可能にする。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、追加で含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用することができる。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有し得る。
【0061】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくはカルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下では「表面層」)が1つ又は両方の電極の内部表面に配置され得る。具体的には、ケイ素及びアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層がエレクトロルミネセント媒体層のアノード面上に好ましくは配置され、金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層がエレクトロルミネセント媒体層のカソード面上に好ましくは配置される。有機エレクトロルミネセントデバイスについての動作安定性は、表面層によって得られ得る。好ましくは、カルコゲナイドとしては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられ;金属ハロゲン化物としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物等が挙げられ、金属酸化物としては、Cs2O、Li2O、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0062】
更に、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも1つの表面に配置され得る。この場合、電子輸送化合物は、アニオンに還元され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体に電子を注入及び輸送することがより容易になる。更に、正孔輸送化合物はカチオンに酸化され、こうして混合領域からエレクトロルミネセント媒体へ正孔を注入する及び輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの混合物を含む。また、還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを調製することができる。
【0063】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、発光層に少なくとも1種のドーパントを更に含んでいてもよい。
【0064】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料に含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は特に限定されないが、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子の金属化錯化合物、より好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯化合物、及びさらにより好ましくはオルト金属化イリジウム錯化合物であり得る。
【0065】
有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、次式101で表される化合物を使用し得るが、それに限定されない:
【化19】
【0066】
式101において、Lは以下の構造1又は2から選択され:
【化20】
R
100~R
103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲンで置換されているか無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか、隣接する置換基と連結して置換若しくは無置換の環を形成していてもよく、例えば置換若しくは無置換キノリン、置換若しくは無置換ベンゾフロピリジン、置換若しくは無置換ベンゾチエノピリジン、置換若しくは無置換インデノピリジン、置換若しくは無置換ベンゾフロキノリン、置換若しくは無置換ベンゾチエノキノリン、又は置換若しくは無置換インデノキノリンを形成していてもよく、
R
104~R
107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲンで置換されているか無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか、隣接する置換基に結合して、置換若しくは無置換の縮合環、例えば置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換フルオレン、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは無置換ジベンゾフラン、置換若しくは無置換インデノピリジン、置換若しくは無置換ベンゾフロピリジン、又は置換若しくは無置換ベンゾチエノピリジンを形成していてもよく、
R
201~R
211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ハロゲンで置換されているか無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;又は隣接する置換基に結合して、置換若しくは無置換の縮合環を形成していてもよく、
sは1~3の整数を表す。
【0067】
ドーパント化合物の具体的な例としては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない。
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0068】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング法等などの湿式膜形成法を用いることができる。湿式膜形成法を用いる場合、薄膜は、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の好適な溶媒に溶解又は拡散させることによって形成され得る。溶媒は、各層を形成する材料が溶解又は拡散することができ、且つ製膜能力に問題がない任意の溶媒であり得る。
【0069】
一実施形態による第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物によって層を形成する場合、上記の方法を使用することができ、好ましくは、共蒸着又は混合蒸着を使用することができる。共蒸着は、2つ以上の異性体材料をそれぞれの個別のるつぼソースに入れ、両方のセルに電流を同時に流して材料を蒸発させ、混合蒸着を行う混合蒸着法であり;混合蒸着は、蒸着前に2つ以上の異性体材料を1つのるつぼソースにおいて混合し、次いで1つのセルに電流を流して材料を蒸発させる混合蒸着法である。
【0070】
一実施形態による第1のホスト化合物と第2のホスト化合物が有機エレクトロルミネセントデバイスの同じ層又は別の層に存在する場合、2つのホスト化合物は別々に堆積させることができる。例えば、第1のホスト化合物が堆積されてから第2のホスト化合物が堆積されてもよい。
【0071】
一実施形態によれば、本開示は、式1によって表される化合物と、式2によって表される化合物とを含む複数のホスト材料を使用することにより、スマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV、若しくは車両用表示装置などの表示装置、又は屋外若しくは屋内照明などの照明装置を提供することができる。
【0072】
以下では、本開示を詳細に理解するために、本開示の複数のホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの作製方法及びその特性について説明する。
【実施例】
【0073】
[デバイス実施例1-1、1-2、2-1~2-7、3-1~3-4、4-1~4-6、5-1、及び5-2]
本開示による第1のホスト化合物及び第2の化合物がホストとして堆積されるOLEDの製造
本開示の化合物を含むOLEDを製造した。最初に、OLEDデバイス用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本)上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)をアセトン、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水で順次超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保存した。次いで、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入した後、装置のチャンバー内の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して上記導入された材料を蒸発させて、これによりITO基板に厚さ80nmの第1の正孔注入層を形成した。次に、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに入れ、セルに電流を流して蒸発させ、これにより第1の正孔注入層に厚さ5nmの第2の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに入れ、セルに電流を流して蒸発させて、これにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに入れ、セルに電流を流して蒸発させて、これにより第1の正孔輸送層に厚さ60nmの第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をその上に形成した。以下の表1の第1のホスト化合物と第2のホスト化合物をホストとして真空蒸着装置の1つのセルに入れ、化合物D-39をドーパントとして別のセルに入れた。2つのホスト材料を1:1の割合で同時に蒸発させ、ドーパントを3重量%のドープ量で蒸着させて、正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を形成した。次に、化合物ET-1及びEI-1を1:1比で蒸発させ、蒸着して発光層上に35nmの厚さの電子輸送層を形成した。電子輸送層上に厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を蒸着した後、電子注入層上に別の真空蒸着装置によって厚さ80nmのAlカソードを蒸着した。このようにして、OLEDを製造した。
【0074】
[比較例1~5]
ホストとして比較化合物を含むOLEDの製造
以下の表1の化合物を発光層のホストとして使用したこと以外、デバイス実施例1-1と同じ方法でOLEDを製造した。
【0075】
上述した通りに製造したデバイス実施例1-1、1-2、2-1~2-7、3-1~3-4、4-1~4-6、5-1、5-2、及び比較例1~5の有機エレクトロルミネセントデバイスの駆動電圧、発光効率、単一のホストと比較した効率の増加率、5,000ニトの輝度での電力効率、並びに5,000ニトの輝度で100%から96%まで減少するのに要した時間(寿命;T96)を以下の表1に示す。
【0076】
【0077】
【0078】
[デバイス実施例6~8]本開示による第1のホスト化合物と第2の化合物がホストとして蒸着されたOLEDの製造
以下の表2の化合物を発光層のホストとして使用したことを除いては、デバイス実施例1-1と同じ方法でOLEDを製造した。
【0079】
[比較例6]ホストとして比較化合物を含むOLEDの製造
以下の表2の化合物を発光層のホストとして使用したことを除いては、デバイス実施例1-1と同じ方法でOLEDを製造した。
【0080】
上記のように製造したデバイス実施例6~8及び比較例6の有機エレクトロルミネセントデバイスの、1,000ニトの輝度での発光効率、電力効率、及び1,000ニトの輝度で100%から70%に低下するのに要した時間(寿命;T70)の結果を以下の表2に示す。
【0081】
【0082】
上記の表1及び2を参照すると、ホスト材料として一実施形態の特定の組み合わせの化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスが、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスよりも駆動電圧を大幅に低下させることができ、効率及び寿命の観点から改善された特徴を有することが確認された。
【0083】
デバイス実施例及び比較例に用いた化合物を以下の表3に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】