(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】in vivo全視野干渉顕微鏡を用いたイメージング方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20231130BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20231130BHJP
A61B 3/13 20060101ALI20231130BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G02B21/00
A61B3/13
G01N21/17 620
(21)【出願番号】P 2021517572
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019076311
(87)【国際公開番号】W WO2020065068
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-12
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518436250
【氏名又は名称】パリ シアンス エ レットル
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】517124642
【氏名又は名称】エコール シュペリュール ドゥ フィジーク エ ドゥ シミ アンドゥストゥリエール ドゥ ラ ヴィーユ ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マズラン,ヴィアチェスラフ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ペン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ボッカラ,アルベール クロード
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0182096(US,A1)
【文献】Viacheslav Mazlin,Ultra-High Resolution Full-Field OCT(FFOCT) for Cornea and Retina,Imaging and Applied Optics,IM3B.1,米国,2018年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G02B 21/00-21/36
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱3次元サンプルのin vivo全視野干渉顕微鏡イメージングのための方法であって、物体アーム(147)と、光学レンズ(134)および第1の反射面(133)を有する参照アーム(146)と、を備える、全視野OCTイメージングシステム(130)の干渉装置の、前記物体アーム(147)にサンプルを配置する工程と、
イメージングフィールドの各点において、前記イメージングフィールドの前記点に対応する前記第1の反射面(133)の素子面上で入射光波が反射して得られる参照波と、所与の深さにある前記サンプルのスライスのボクセルであって、前記イメージングフィールドの前記点に対応する前記ボクセルによって入射光波が後方散乱して得られる物体波と、の間の干渉を生じさせる工程と、
前記全視野OCTイメージングシステム(130)の取得装置(138)を用いて、前記イメージングフィールドの各点で生じた前記干渉に起因する、時間的に連続した複数の2次元干渉信号を取得する工程と、
各2次元干渉信号について、取得時刻を格納する工程と、
前記2次元干渉信号の取得時刻ごとに、OCTイメージングシステム(110)を用いて、
前記サンプルと前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記第1の反射面(133)
の両方の断面画像(X-Z)を提供する工程と、
前記サンプルの複数のスライスの複数のen face画像(X-Y)を、各々、所与の位相シフトを有する少なくとも2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)から決定する工程と、
前記2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)のそれぞれの取得時に前記OCTイメージングシステム(110)によって提供される前記断面画像から、前記複数のスライスの各en face画像(X-Y)の深さ(z)を決定する工程と、
前記サンプルの前記複数のスライスの前記複数のen face画像と深さから、前記サンプルの3D画像を決定する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記全視野OCTイメージングシステム(130)および前記OCTイメージングシステム(110)は可動式プラットフォーム(150)に搭載され、前記方法は、前記複数のen face画像(X-Y)を決定するために、前記プラットフォーム(150)を少なくとも前記物体アームの光軸(Z)に沿って移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラットフォーム(150)を、少なくとも前記物体アームの前記光軸に垂直な方向(X、Y)に沿って移動させることをさらに含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記参照アーム(146)は可動式プラットフォーム(131)に搭載され、前記方法は、デフォーカスを補正するために、前記プラットフォーム(131)を移動させることをさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記物体アーム(147)は可動式プラットフォーム(143)に搭載され、前記方法は、前記複数のen face画像(X-Y)を決定するために、前記物体アームの光軸(Z)に沿って前記プラットフォーム(143)を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記参照アーム(146)は可動式プラットフォーム(131)に搭載され、前記方法は、デフォーカスを補正するために、前記プラットフォーム(131)を移動させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記参照アーム(146)は可動式プラットフォーム(131)に搭載され、前記方法は、前記複数のen face画像(X-Y)を決定すべく、デフォーカスを補正するために、前記参照アームの光軸(X)に沿って前記プラットフォーム(131)を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)間の前記位相シフトを提供するために、前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記参照アームの前記第1の反射面(133)の位置をずらすことをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記取得装置によって取得された前記時間的に連続した複数の2次元干渉信号において、前記位相シフトを有する前記少なくとも2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)を選択することをさらに含み、前記位相シフトは、前記サンプルのin vivoでの動きに起因する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
散乱3次元サンプルのin vivo全視野干渉顕微鏡イメージングのためのシステム(101、102)であって、
前記サンプルのen face画像を提供するための全視野OCTイメージングシステム(130)と、
OCTイメージングシステム(110)と、
処理装置(160)と、を備え、
前記全視野OCTシステムは、
前記サンプルを受けるように意図された物体アーム(147)と、光学レンズ(134)および第1の反射面(133)を含む参照アーム(146)と、を備える干渉装置と、
取得装置(138)と、を備え、
前記物体アーム(147)と前記参照アーム(146)とは、ビームスプリッター(135)によって分離され、
前記干渉装置は、前記サンプルが前記干渉装置の前記物体アーム
に配置されているときに、イメージングフィールドの各点において、前記イメージングフィールドの前記点に対応する前記第1の反射面の素子面上での入射光波の反射によって得られる参照波と、所与の深さにある前記サンプルのスライスのボクセルであって、前記イメージングフィールドの前記点に対応する前記ボクセルによる入射光波の後方散乱によって得られる物体波と、
の間の干渉を生じさせるように適合され、
前記取得装置(138)は、前記イメージングフィールドの各点で生じた前記干渉に起因する時間的に連続した複数の2次元干渉信号(I
1、I
2)を取得するように構成され、
前記OCTイメージングシステム(110)は、前記2次元干渉信号の取得と同時に、
前記サンプルと前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記第1の反射面(133)
の両方の断面画像を提供するためのものであり、
前記処理装置(160)は、
前記サンプルの複数のスライスの複数のen face画像(X-Y)を、各々、所与の位相シフトを有する少なくとも2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)から決定し、
前記2つの2次元干渉信号(I
1、I
2)のそれぞれの取得時に前記OCTイメージングシステム(110)によって提供される前記断面画像から、前記複数のスライスの各en face画像(X-Y)の深さ(z)を決定し、
前記サンプルの前記複数のスライスの前記複数のen face画像と深さから、前記サンプルの3D画像を決定するように構成されている、システム(101、102)。
【請求項11】
前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記参照アームの前記第1の反射面(133)は、前記少なくとも2次元干渉信号(I
1、I
2)間の前記光路差を提供するように位置シフトされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理装置(160)はさらに、前記取得装置によって取得された前記時間的に連続した複数の2次元干渉信号において、前記所与の光路差を有する前記少なくとも2次元干渉信号(I
1、I
2)を選択するように構成され、前記光路差は、前記サンプルのin vivoでの動きに起因する、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記物体アーム(147)は、光学レンズ(142)をさらに備える、請求項10~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記参照アーム(146)および/または前記物体アームは、前記全視野OCTイメージングシステム(130)の前記干渉装置の前記ビームスプリッター(135)に対して移動可能である、請求項10~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
可動式プラットフォーム(101)をさらに備え、前記全視野OCTイメージングシステム(130)および前記OCTイメージングシステム(110)が前記可動式プラットフォーム(101)に搭載されている、請求項10~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記OCTイメージングシステムは、スペクトル領域OCTイメージングシステム、時間領域OCTイメージングシステム、または波長掃引型OCTイメージングシステムである、請求項10~15のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、in vivo全視野干渉顕微鏡を用いたイメージング方法およびシステムに関する。これは、ランダムに動いている物体のin vivoイメージングに適用可能であり、特に、眼組織のin vivoイメージングに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
25年間にわたる開発の中で、光干渉断層法(OCT)が強力なイメージング方法になってきた(例えば、"Optical Coherence Tomography - Technology and Applications" - Wolfgang Drexler - James G. Fujimoto - Editors - Springer 2015を参照のこと)。OCTは干渉技術であり、超音波イメージングの「光学版」とみなすことができる。OCTは幅広い分野で応用され、特に眼科、皮膚科、心血管分野、胃腸科などのバイオメディカル分野で応用されている。
【0003】
in vivo(生体内)では組織が不随意に動いているが、これらの動きがすべてのOTC技術の歴史の中で常に課題となっていた。より正確には、従来の走査型OCT画像では、動きがあると、ミスアライメント、シフト、ダブリングなどのアーチファクトが発生する。発生するアーチファクトのタイプは、画像の全画素を一度に取得せずにサンプルを点走査するOCTの手法に関係している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像におけるこれらのモーションアーチファクトを回避したいという要望が動機となり、OCTの技術は、より高速なイメージングを達成すべく進歩し、結果的に、スペクトル領域OCT(SD-OCT)(例えば、L. An et al. "High speed spectral domain optical coherence tomography for retinal imaging at 500,000 A-lines per second" - Biomedical Optics Express 2, 2770 (2011)を参照のこと)や、最近ではA-スキャンレート300,000回/秒(1Dプロファイル)を上回る速度でイメージングが可能な波長掃引型OCT(SS-OCT)(例えば、B. Potsaid et al. "Ultrahigh speed 1050 nm swept source / Fourier domain OCT retinal and anterior segment imaging at 100,000 to 400,000 axial scans per second", Optics Express 18, 20029 (2010)を参照のこと)が生まれている。しかしながら、そのような走査速度であっても、OCT画像は、in vivoモーションアーチファクトと無縁ではない。
【0005】
モーションアーチファクトのない画像を得るという同じ目標に向けて、いくつかの刊行物や特許に、ソフトウェアベースの動き補償スキームやハードウェアベースの動き補償スキームが提案されている(例えば、M. Kraus et al. "Motion correction in optical coherence tomography volumes on a per A-scan basis using orthogonal scan patterns", Biomedical Optics Express 3, 1182 (2012)を参照のこと)。しかしながら、ハードウェアベースで対処をすると、装置がさらに複雑になり、かさばって高価になることも多い。一方、ソフトウェアベースでの対処は、サンプルや動きに特化しており、特定の物体にかぎった何種類かの動きしか補償することができない。
【0006】
OCTの特別な例である全視野OCT(FFOCT)では、カメラを使用して、点走査や線走査を行わずに画像の全画素を同時に取得するため、上述したアーチファクトの影響を受けることはない。全視野OCTイメージング技術については、例えば、"Optical Coherence Tomography - Technology and Applications"(791~812頁)- Wolfgang Drexler - James G. Fujimoto - Editors - Springer 2015収載のF. Harms et al.著の記事「Full-field optical coherence tomography」に記載されている。また、フランス特許出願第FR2817030号にも全視野OCTイメージング技術が記載されている。
【0007】
全視野OCTイメージング技術は、低コヒーレンス光源でサンプルに光をあてたときにサンプルから後方散乱される光の利用に基づいており、特に、in vivoサンプルの場合には、微細な細胞や組織構造から後方散乱される光を利用して成り立っている。この技術では、光源の低コヒーレンス性を利用して、サンプルの深さ方向の仮想スライスによって後方散乱される光を分離する。干渉計を用いることで、干渉現象によってサンプルの所与のスライスから選択的に生じる光を表す干渉信号を生成し、サンプルの残りの部分から生じる光を除去することができる。具体的には、1枚の2D FFOCT画像を得るために、カメラで複数枚(通常は2~5枚)の直接画像を取得する。これらの直接画像は、干渉計の参照アームにピエゾ素子(PZT)付きのミラーを正確に配置することで設定された特定の干渉位相で取得される。これらの直接画像を特定の位相で後処理することで、FFOCT画像を取得することができる。
【0008】
一般的なOCTでは被写界深度を深くする必要性から比較的低開口数の対物レンズを用いるため、FFOCTでは、上述した走査アーチファクトの影響を受けないことに加えて、OCTよりも高開口数の対物レンズを用いることで横方向の高い解像度が得られる。また、安価で空間的にインコヒーレントな広帯域光源を用いることで、同等の軸方向解像度が得られる。
【0009】
しかしながら、FFOCTの現行の2Dイメージングスキームは、静止したサンプル(または動きがないか動きが少ない瞬間のin vivoサンプル)において実用的なものである。なぜなら、サンプルの動きは、それがどのようなものであっても、あらかじめ定められた位相をシフトさせ、FFOCT信号を劣化させる場合もあれば、FFOCT画像を損なうことすらあり得るためである。また、捕捉した2D画像の位置(X、Y、Z)がわからなくなるため3D画像の構築ができず、3Dイメージングのスキームをin vivoイメージングに応用することもできない。その結果、現在までのところ、FFOCTの応用は、ほぼ完全に静止したex vivoサンプルに限られていた。
【0010】
本明細書は、全視野光干渉断層法の利点を有すると同時に、常に動いているin vivo物体のイメージングが可能な装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、本明細書は、
散乱3次元サンプルのin vivo全視野干渉顕微鏡イメージングのための方法であって、
物体アームと、光学レンズおよび第1の反射面を有する参照アームと、を備える、全視野OCTイメージングシステムの干渉装置の、物体アームにサンプルを配置する工程と、
イメージングフィールドの各点において、イメージングフィールドの前記点に対応する第1の反射面の素子面上で入射光波が反射して得られる参照波と、所与の深さにあるサンプルのスライスのボクセルであって、イメージングフィールドの前記点に対応する前記ボクセルによって入射光波が後方散乱して得られる物体波と、の間の干渉を生じさせる工程と、
前記全視野OCTイメージングシステムの取得装置を用いて、イメージングフィールドの各点で生じた前記干渉に起因する、時間的に連続した複数の2次元干渉信号を取得する工程と、
各2次元干渉信号について、取得時刻を格納する工程と、2次元干渉信号の取得時刻ごとに、OCTイメージングシステムを用いて、前記全視野OCTイメージングシステムの前記第1の反射面とサンプルの両方の断面画像を提供する工程と、
サンプルの複数のスライスの複数のen face画像を、各々、所与の位相シフトを有する少なくとも2つの2次元干渉信号から決定する工程と、
前記少なくとも2つの2次元干渉信号のそれぞれの取得時にOCTイメージングシステムによって提供される断面画像から、前記複数のスライスの各en face画像の深さを決定する工程と、
サンプルの前記複数のスライスの前記複数のen face画像と深さから、サンプルの3D画像を決定する工程と、
を含む、方法に関する。
【0012】
本明細書において、「en face画像」とは、物体アーム(サンプルアームともいう)の光軸に垂直な平面(「X-Y」平面)で決定される画像である。本明細書では、「en face画像」を「X-Y画像」または「FFOCT信号」とも称する。
【0013】
「断面画像」とは、物体アームの光軸を含む平面で決定される画像(1Dまたは2D)である。本明細書では、断面画像を「X-Z画像」とも称するが、特定の平面に限定されるものではなく、「X-Y」平面に垂直であるどの平面で決定されてもよい。
【0014】
本明細書における「光学レンズ」とは、光の屈折によって光を集束または分散させるあらゆる光学装置をいう。したがって、「光学レンズ」には、他のイメージングシステム(例えば、顕微鏡対物レンズ)として、両方の従来の光学レンズ(凸レンズ、平凸レンズ、ダブレットなど)も包含される。
【0015】
このように記載されるイメージング方法によって、自然な動きのあるin vivoサンプルのイメージングの場合でも、FFOCTイメージングシステムによるイメージングの対象となるスライスの深さを正確に決定することが可能になる。これは、FFOCTイメージングシステムを用いる2次元干渉画像の取得と、OCTイメージングシステムによって提供される断面画像の取得とを、同時に行うことで可能になる。
【0016】
このように、物体のin vivoでの自然な動きを3Dイメージングに利用することが可能であり、ほとんどの方法が排除しようとしたり克服しようとしたりする効果を有効利用していることを意味する。
【0017】
1つ以上の実施形態によれば、サンプルの前記複数のスライスの各en face画像について深さを決定することは、OCTイメージングシステムによって提供される断面画像におけるサンプルの少なくとも1つの特定の構造と前記第1の反射面との相対的な軸方向位置を決定することを含む。
【0018】
実際には、サンプルの複数のスライスの複数のen face画像は、サンプルの探索されたボリューム内で決定されてもよい。スライスのen face画像の深さは、検出された参照ミラーのピークの軸方向の位置と、任意のサンプルのピークの軸方向の位置との差から、OCT画像から決定される。サンプルのどのピークを使用するかは重要ではないが、通常、最も明るいピークを使用すればよい。しかしながら、1つのボリュームの取得を通して同一のサンプルピークが使用されるため、en faceスライスの相対的な深さは正しく、3D画像を決定することができる。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、前記全視野OCTイメージングシステムおよび前記OCTイメージングシステムは可動式プラットフォームに搭載され、この方法は、前記複数のen face画像を決定するために、前記プラットフォームを少なくとも物体アームの光軸(Z)に沿って移動させることをさらに含む。
【0020】
1つ以上の実施形態によれば、この方法は、物体アームの光軸に垂直な複数の方向(X、Y)のうちの少なくとも1つに沿って前記プラットフォームを移動させることをさらに含む。これにより、断面画像を軸方向および横方向に重ねることができ、より大きな3Dボリュームを形成することが可能となる(例えば、画像レジストレーションによって)。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、前記物体アームは可動式プラットフォームに搭載され、この方法は、前記複数のen face画像を決定するために、物体アームの光軸に沿って前記プラットフォームを移動させることをさらに含む。
【0022】
1つ以上の実施形態によれば、サンプルのin vivoでの自然な動きが、前記複数のen face画像を決定するために使用される。前記物体アームのプラットフォームまたは前記全視野OCTイメージングシステムおよび前記OCTイメージングシステムのいずれも移動させる必要がない。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、例えば角膜のイメージングの場合、物体アームは、光学レンズ、例えば顕微鏡対物レンズをさらに備える。このような光学レンズの焦点深度は、眼の焦点深度よりもはるかに浅い。その結果、サンプルアームとサンプルの相対的な位置が変化したときに、この方法は、デフォーカスを補正するために、すなわち、サンプルアームの顕微鏡対物レンズの焦点深度内にコヒーレンス面を維持するために、前記参照アームの光軸に沿って参照アームを移動させることをさらに含む。実際のところ、例えば空気と目のように、1つの媒体から2つ目の媒体に移動するとき、焦点と両アームの光路が等しくなる位置との間にシフトが現れる。このデフォーカスを補正する必要がある。
【0024】
1つ以上の実施形態によれば、例えば網膜のイメージングの場合、焦点深度が深く、サンプルアームとサンプルの相対的な位置が変化しても、デフォーカスを補正する必要がない。
【0025】
1つ以上の実施形態によれば、この方法は、前記少なくとも2つの2次元干渉信号の間の前記位相シフトを提供するために、全視野OCTイメージングシステムの参照アームの前記第1の反射面の位置をずらすことをさらに含む。これらの実施形態では、少なくとも2つの2次元干渉信号の取得時間中、サンプルの自然な動きが遅いことを想定している。一般的な取得時間は1~10msである。
【0026】
1つ以上の実施形態によれば、この方法は、取得装置によって取得された前記時間的に連続した複数の2次元干渉信号において、前記位相シフトを有する前記少なくとも2次元干渉信号を選択することをさらに含み、位相シフトは、サンプルのin vivoでの動きに起因する。
【0027】
ここでも、in vivoサンプルの自然な動きがen faceイメージングに使用されており、ほとんどの方法が排除しようとしたり克服しようとしたりする効果を有効利用していることを意味する。
【0028】
本明細書の第1の態様によるイメージング方法の異なる実施形態を、互いに組み合わせることができる。
【0029】
第2の態様によれば、本明細書は、第1の態様による方法の1つ以上の実施形態を実施するために構成された、散乱3次元サンプルのin vivo全視野干渉顕微鏡イメージングのためのシステムに関する。
【0030】
1つ以上の実施形態によれば、第2の態様によるシステムは、
サンプルのen face画像を提供するための全視野OCTイメージングシステムと、
OCTイメージングシステムと、
処理装置と、を備え、
前記全視野OCTシステムは、
前記サンプルを受けるように意図された物体アームと、光学レンズおよび第1の反射面を含む参照アームと、を備える干渉装置と、
取得装置と、を備え、
前記物体アームと前記参照アームとは、ビームスプリッターによって分離され、
干渉装置は、サンプルが干渉装置の物体アームに接して配置されているときに、イメージングフィールドの各点において、イメージングフィールドの前記点に対応する第1の反射面の素子面での入射光波の反射によって得られる参照波と、所与の深さにあるサンプルのスライスのボクセルであって、前記イメージングフィールドの前記点に対応する前記ボクセルによる入射光波の後方散乱によって得られる物体波との間の干渉を生じさせるように適合され、
取得装置は、イメージングフィールドの各点で生じた干渉に起因する時間的に連続した複数の2次元干渉信号を取得するように構成され、
OCTイメージングシステムは、前記2次元干渉信号の取得と同時に、前記全視野OCTイメージングシステムの前記第1の反射面とサンプルの両方の断面画像を提供するためのものであり、
処理装置は、
サンプルの複数のスライスの複数のen face画像を、各々、所与の位相シフトを有する少なくとも2つの2次元干渉信号から決定し、
前記2つの2次元干渉信号のそれぞれの取得時にOCTイメージングシステムによって提供される断面画像から、前記複数のスライスの各en face画像の深さを決定し、
サンプルの前記複数のスライスの前記複数のen face画像と深さから、サンプルの3D画像を決定するように構成されている。
【0031】
このイメージング方法について述べた利点は、本明細書の第2の態様によるイメージングシステムに置き換えることができる。
【0032】
1つ以上の実施形態によれば、全視野OCTイメージングシステムの参照アームの前記第1の反射面は、前記少なくとも2次元干渉信号間の前記光路差を提供するように位置シフトされる。
【0033】
1つ以上の実施形態によれば、全視野OCTイメージングシステムの参照アームの前記第1の反射面は固定され、処理装置はさらに、取得装置によって取得された前記時間的に連続した複数の2次元干渉信号において、前記所与の光路差を有する前記少なくとも2次元干渉信号を選択するように構成され、前記光路差は、サンプルのin vivoでの動きに起因する。
【0034】
1つ以上の実施形態によれば、全視野OCTイメージングシステムの前記物体アームは、光学レンズをさらに備える。
【0035】
1つ以上の実施形態によれば、参照アームおよび/または物体アームの前記光学レンズは、顕微鏡対物レンズである。
【0036】
1つ以上の実施形態によれば、全視野OCTイメージングシステムの前記参照アームおよび/または物体アームは、前記全視野OCTイメージングシステムの干渉装置の前記ビームスプリッターに対して(前記参照アームおよび物体アームの各光軸に沿って)移動可能である。
【0037】
1つ以上の実施形態によれば、システムは、可動式プラットフォームをさらに備え、前記全視野OCTイメージングシステムおよび前記OCTイメージングシステムは、前記可動式プラットフォームに搭載されている。
【0038】
1つ以上の実施形態によれば、OCTイメージングシステムは、スペクトル領域OCTイメージングシステムまたは波長掃引型OCTイメージングシステムまたは時間領域OCTイメージングシステムである。
【0039】
本明細書によるイメージングシステムの異なる実施形態を、互いに組み合わせることができる。
【0040】
また、本明細書の様々な態様の異なる特徴および実施形態を、互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
上記にて提示したイメージング技術の他の利点および特徴については、図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで、明らかになるであろう。
【
図1A】
図1Aは、本明細書の実施形態によるシステムのスキームである。
【
図1B】
図1Bは、本明細書の実施形態によるシステムのスキームである。
【
図1C】
図1Cは、本明細書の実施形態による、OCT光源およびFFOCT光源の例示的な光源スペクトルと、システムのフィルタでそのようなスペクトルの一部を遮断することを示す。
【
図1D】
図1Dは、本明細書の実施形態による、OCT光源およびFFOCT光源の例示的な光源スペクトルと、システムのフィルタでそのようなスペクトルの一部を遮断することを示す。
【
図2A】
図2Aは、本明細書によるイメージング方法の実施形態の流れ図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに示す実施形態のうちのいくつかの工程を説明するための画像である。
【
図3A】
図3Aは、本明細書によるイメージング方法の別の実施形態の流れ図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示す実施形態のうちのいくつかの工程を説明するための画像である。
【
図4A】
図4Aは、本明細書によるイメージングシステムの例示的なOCTイメージングシステムを用いて得られた参照ミラー(サンプルが見えない状態)の断面画像の一例である。
【
図5A】
図5Aは、本明細書によるイメージングシステムの例示的なOCTイメージングシステムを用いて得られた参照ミラー(角膜サンプルが見える状態)の断面画像の一例である。
【
図6】
図6は、in vivoでの動きによる必要な位相シフトを示すグラフである。
【
図7】
図7は、自然な眼の動きによる位相シフトを用いて取得した、in vivoヒト角膜の深部層のFFOCT画像を示す(参照ミラーの移動なし)。
【
図8】
図8は、異なるカメラ露光時間で、自然な眼の動きによる位相シフトを用いて取得したin vivoヒト角膜(基質)の深部層のFFOCT画像を示す(参照ミラーの移動なし)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
システム
図1Aおよび
図1Bに、本明細書によるin vivo全視野干渉顕微鏡を用いたイメージングシステムの2つの実施形態101、102をそれぞれ示す。システム101は、動いているin vivoサンプル、特にin vivoの眼の前部11(角膜)であるがこれに限定されるものではないサンプル、の3Dイメージングのための方法の実施に適している。また、システム102は、動いているin vivoサンプル、特にin vivoの眼の後部13(網膜)であるがこれに限定されるものではないサンプル、の3Dイメージングのための方法の実施に適している。
【0043】
図1Aに示すシステム101は、全視野OCT(「FFOCT」)イメージングシステム130および光干渉断層(「OCT」)イメージングシステム110の2つのイメージングシステムと、少なくとも1つの処理装置160とを備える。FFOCTイメージングシステムでは、動いているin vivoサンプル11の「en face」画像すなわち、サンプルの深部画像を取得することができ、光干渉断層(「OCT」)イメージングシステム110では、軸(Z)方向の、例えば光軸に沿った、サンプルの位置に関する情報が提供される。また、システム101はさらに、FFOCTイメージングシステム130およびOCTイメージングシステム110が搭載された、例えば1つ以上のモータを有する可動式のプラットフォーム150を含んでもよい。可動式プラットフォーム150によって、FFOCTイメージングシステムおよびOCTイメージングシステムを、互いに直交するX、Y、Zの全ての方向にまとめて平行移動させることができる。
【0044】
図1AのFFOCTイメージングシステム130は、前記少なくとも1つの処理装置160に接続された取得装置138と干渉装置145とを備える。
【0045】
一実施形態によれば、干渉装置145は、例えば無偏光スプリッターキューブなどのビームスプリッター素子135を含み、これによって、光軸Δ
Rを有する参照アーム146と、光軸Δ
Oを有する物体アーム147の2本のアームを形成することが可能となる。
図1Aでは、物体アームの光軸Δ
OがZ軸を規定し、参照アームの光軸Δ
RがX軸を規定している。参照アーム146は反射面133を有する。反射面133は平面であってもよく、例えば、金属ミラー、ニュートラルデンシティ(ND)フィルターガラス、あるいは単なるガラス板である。物体アーム147は、動作時に3次元散乱サンプル11を受けるよう意図され、そのボリュームの断層画像を作成することが望まれる。
【0046】
図1Aの実施形態では、反射面133は位相変調のためのピエゾステージ(PZT)132に取り付けられているが、本明細書による方法の一実施形態においてこのような位相変調を使用してもよいし、さらに以下に説明するように、別の実施形態においてこれを使用しなくてもよい。
【0047】
干渉装置は、一方では、空間的にインコヒーレントな光源であるか低コヒーレンスの光源である光源141により放射された光が参照アーム146の反射面133の各素子面で反射して得られる参照波と、他方では、同一の光源から放射された光がサンプルの深さ方向にサンプル11のスライスの各ボクセルで後方散乱して得られる物体波と、の間の光学的干渉を発生させるように適合されており、サンプル11は物体アーム147と接して配置され、前記ボクセルと前記素子面とがイメージングフィールドの同一点に対応している。
【0048】
光源141は、空間的にインコヒーレントであって時間的に低コヒーレンス(実際には1~20マイクロメートルの範囲内)の光源であり、例えば、熱光源(例えば、ハロゲンランプ)またはLEDである。1つ以上の例示的な実施形態によれば、光源141は、
図1Aの例のようにFFOCTイメージングシステム130の一部を形成してもよいし、イメージングシステムの外部の要素であってもよく、FFOCTイメージングシステム130は光源から放射される光波と協働するように構成されている。光学系140を用いて、コーラーのような照明を実現してもよい。動作時、光源141から放射された光は、ダイクロイックミラー139で反射し、干渉装置145のビームスプリッター素子135に到達する。
【0049】
取得装置138は、基準波と物体波との間の干渉に起因する少なくとも1つの2次元干渉信号の取得を可能にする。
【0050】
取得装置138は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device(電荷結合素子))またはCMOS(Complementarity metal-oxide-semiconductor(相補型MOS))カメラタイプのイメージセンサである。この取得装置は、高速、例えば100Hzと1000Hzとの間、あるいはそれより高い周波数、で画像を取得することができる。調査対象となるサンプルのダイナミクス、より具体的にはサンプル内の動きのダイナミクスに応じて、数Hzから数KHzまで動作するカメラを使用することが可能である。
【0051】
処理装置160は、サンプルスライスの少なくとも1つの画像を生成するために、取得装置138によって取得された少なくとも1つの2次元干渉信号を処理する少なくとも1つの工程および/または本明細書によるイメージング方法のうちの少なくとも1つに従った画像生成の少なくとも1つの工程を実行するように構成されている。
【0052】
一実施形態では、処理装置160は、特に、取得装置138によって取得された少なくとも1つの2次元干渉信号を処理する少なくとも1つの工程および/または本明細書によるイメージング方法のうちの少なくとも1つに従った画像計算の少なくとも1つの工程の実行を制御するために、デジタル画像を格納するための第1のメモリCM1(図示せず)と、プログラム命令を格納するための第2のメモリCM2(図示せず)と、この第2のメモリCM2に格納されたプログラム命令を実行できるデータプロセッサと、を備えるコンピューティングデバイスである。
【0053】
この処理装置を、当該処理装置のために本明細書に記載された1つ以上の機能を実現するのに適した電子部品を含む集積回路の形で製造することも可能である。また、処理装置160を、1つ以上の物理的に異なるデバイスによって実現することも可能である。
【0054】
図1Aの例では、干渉装置はリニク干渉計であり、参照アームと物体アームにそれぞれ配置された2つの光学レンズ134、142、例えば顕微鏡対物レンズを含む。顕微鏡対物レンズ134、142は、開口数が比較的高い(一般に約0.3)ものであってもよく、同時に比較的大きな視野(一般に約1mm)を提供する。このため、参照アームの対物レンズ134の焦点に反射面133が位置し、物体アームの対物レンズ142の焦点にサンプル11が位置するように意図されている。より具体的には、対物レンズ142の焦点にサンプルの着目する層が位置するように意図されている。本明細書による方法の実施のために、他のタイプの干渉計を想定することができ、特にマイケルソン干渉計を想定することができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
図1Aの例では、物体アーム147の顕微鏡対物レンズ142は、前記物体アームの光軸(Z軸)の方向に沿って、すなわちサンプル11に近づいたり遠ざかったりして移動可能な電動プラットフォーム143に搭載されている。また、参照アーム146の反射面133および顕微鏡対物レンズ134は、いずれも別の電動プラットフォーム131に搭載されており、前記参照アームの光軸(X軸)の方向に沿って移動可能となっている。
【0056】
干渉計145の出力には、光学スペクトルフィルタ136と光学レンズ137とが設けられていてもよく、光学レンズは、例えば、焦点距離が取得装置138によるサンプル11の適切なサンプリングを可能にするように適合され、2つの対物レンズの焦点に位置する面と取得装置138の検出面との共役を可能にするアクロマティックダブレットである。このようにして、取得装置138は、干渉装置によって生成された干渉信号を取得する。顕微鏡の対物レンズ134および142によって許容される解像度を制限しないために、光学部品137の焦点距離については、シャノンサンプリング基準に沿うように選択される。光学部品137の焦点距離は、例えば数百ミリメートル、一般に300mmである。
【0057】
以下でさらに説明するように、光学スペクトルフィルタ136は、好都合なことに光源141の波長を透過させる一方で、OCT光源112の波長を遮断する。
【0058】
分散を補償するために、ガラス板あるいは、いわゆる分散補償ブロック(
図1Aには図示せず)をアームのそれぞれに設けてもよい。
【0059】
OCTイメージングシステム110は、空間的にコヒーレントな光源112と、検出器113と、OCTイメージングシステムの干渉装置の参照アームと物体アームを規定するビームスプリッター素子114を有する干渉装置と、を備える。一般に、空間的にコヒーレントな光源112は、例えばスペクトル領域OCTまたは時間領域OCTの場合にはスーパールミネッセントダイオード(SLD)、あるいは掃引レーザー光源とすることができる。一般に、検出器113は、入射光パワーを電気信号に直接変換するデバイス、例えば、時間領域OCTまたは波長掃引型OCTの場合はフォトダイオード、空間領域OCTの場合は分光器とすることができる。
【0060】
光源112からの光は、コリメートされてファイバー118に入り、ビームスプリッター素子114によって2本のファイバー121(物体アーム)および120(参照アーム)に分割される。動作時、ファイバー120を通った後、光は、レンズ115、回転可能な分散補償板116を通過し、反射面117、例えばメタライズドミラーに達する。ファイバー121を通った後、光は、ビームを2D(X-Y)方向に走査することができる横方向走査機構111に達する。その後、光ビームは光学フィルタ122を通過し、ダイクロイックミラー139を通過し、ビームスプリッター135によってFFOCT参照アーム146とFFOCTサンプルアーム147に分割される。
【0061】
光学フィルタ122は、OCT光源112から放射された光ビームを、OCT参照アーム、FFOCT参照アームおよびFFOCTサンプルアームの両方で伝搬させるが、FFOCT光源141からの光を遮断するように選択されている。一方、光学フィルタ136は、OCT光源112から放射された光ビームを遮断し、FFOCT光源からの光を通過させる。
【0062】
光学フィルタ122、136の機能について、
図1Cおよび
図1Dとの関連でさらに説明する。
図1Cに示す例では、光学フィルタ122は、FFOCTイメージングシステムで使用される最大波長λ
FFOCTmaxを超える所与の波長λ
Filter122未満のOCT光源112の波長を遮断(破線)することができる。一方、
図1Dに示すように、FFOCTイメージングシステムの光学フィルタ136は、FFOCTイメージングシステムで使用される前記最大波長λ
FFOCTmaxを超える所与の波長λ
Filter136を超えるOCT光源の波長を遮断することができる。その結果、OCT光はどれも取得装置138に到達しない。
【0063】
言うまでもなく、
図1Cおよび
図1Dは、光学フィルタ122、136の機能の一例を示すにすぎない。OCT光がどれも取得装置138に到達しないようにする限り、他の多くの構成が可能である。
【0064】
予備的な工程では、ビームスプリッター114からミラー117までのOCTアーム(参照アーム)の光路長を、ビームスプリッター114からFFOCT参照アーム146のミラー133までの光路長と一致させてもよい。OCTアームとFFOCT参照アームの光路の一致は、簡単な方法で実現することができる。リアルタイムで、OCT画像に注目する。FFOCT参照アームのミラーがOCT画像上に見えない場合、OCTシステムとFFOCTシステムの参照アームは一致していない。FFOCT参照アームのミラーがOCT画像上に見えるようになるまで、OCTイメージングシステムの参照アームを伸ばす。
【0065】
動作時、FFOCTイメージングシステムの参照アーム146の反射面133からの後方反射光が、ビームスプリッター135においてサンプルの異なる層からの後方反射光と結合する。ビームスプリッター135で光を再び2つの部分に分け、反射部分が(
図1Dに関連して説明したように)フィルタ136によって遮断され、透過部分は、ダイクロイックミラー139、フィルタ122、ファイバー121を通過する。そして、この光ビームがファイバー120からの後方反射光と混ざり、ファイバー119を通過した後、検出器113により集められる。検出器113、例えば分光器は、イメージング対象となる物体の異なる深さにおける反射率に関する情報を含む、いわゆるA-scan(1Dプロファイル)を記録するように構成されている。さらに、これは、FFOCTイメージングシステムの参照アーム146の参照ミラー133の位置に関する情報を収集する。走査機構111でビームを走査することで、2Dおよび3Dの反射率画像を取得することができる。
【0066】
OCTイメージングシステムは、スペクトル領域OCT(検出器113は分光器である)であってもよいが、時間領域OCTや波長掃引型OCTであってもよい。
【0067】
また、OCTイメージングシステムによって、サンプルの連続したいくつかの位置とそれらの間の時間間隔に基づいて、サンプルの速度に関する情報を提供してもよい。サンプルの瞬間的な速度に関する情報は、サンプルの将来の動きを予測するのに役立つ場合がある(例えば、最初の瞬間にサンプルがZ方向に急速に動いている場合、次の瞬間にも同じ方向に動き続けると予想することができる)。
【0068】
以下でさらに説明するように、本明細書による方法の実施形態では、サンプル11の異なる複数の着目層の位置と、FFOCTイメージングシステムの参照アーム146の参照ミラー133の位置とに関する情報を得るために、上述のOCTイメージングシステムを使用する。
【0069】
図1Bに示すシステム102は、
図1Aのシステムとわずかに差があるだけで同様のものである。
図1Bの実施形態では、FFOCTイメージングシステムのサンプルアーム147の顕微鏡対物レンズの役割は、眼の角膜11と水晶体12によって果たされる。さらに、眼によって導入される収差と分散ミスマッチを補正するために、例えば液体レンズなどの適応レンズ148および回転ガラス板149を参照アームに挿入してもよい。眼の水晶体12は一般に焦点深度が深いため、
図1Aに示す装置とは対照的に、深さの異なる網膜層のイメージングについては、デフォーカスを補正せず、したがって参照アーム146を移動させることなく行うことができる。他のすべての態様については、
図1Aに示す実施形態のシステムと同様のシステムであってもよい。
【0070】
3Dイメージング方法
図2Aは、本明細書によるイメージング方法の実施形態の流れ図である。この方法は、例えば、
図1Aに示すようなシステムを用いて実施することができる。表記の方法は、動いているin vivoサンプル、特にin vivoの眼の前部11(角膜)であるがこれに限定されるものではないin vivoサンプルの3Dイメージングに適している。
【0071】
図2Bは、OCTイメージングシステムとFFOCTイメージングシステムの両方によって
図2Aに示す異なる工程で取得された画像を示す。
【0072】
【0073】
工程201では、OCTイメージングシステムとFFOCTイメージングシステムの2つの装置からの画像が取得および表示される。FFOCT画像については、さらに以下に説明するように、変調PZTまたは静的PZTのどちらかによって得ることができる。
図2Bにおける対応する工程201では、OCT画像221には、FFOCTイメージングシステムの参照アームのミラー133が表示される。画像222および228には、まだデフォーカス補正がなされていないまたは/およびサンプルアームと参照アームの光路が一致していないため、カメラノイズだけが存在する。
【0074】
工程203では、OCT画像に角膜層が見えるか否かが確認される。
【0075】
NOの場合、
図2Bの画像226に示すように、装置150全体を、X軸、Y軸、Z軸に沿って移動させることができる(工程204)。例えば、必要な層が画面上で観察されるまで、オペレータによって移動させることが可能である。
【0076】
YESの場合、
図2Bの画像227に示すように、装置150全体をX軸およびZ軸に沿って移動させることにより、参照ミラー133のOCT画像を角膜層(参照角膜層)と重ね合わせることができる(工程205)。参照角膜層は、どの層であってもよいが、一般に明るいピークを提供する層を選択すればよい。
図2Bにおいて、画像229は、参照角膜層の画像と重なる参照ミラーの画像を示している。同時に、デフォーカス補正が行われていないがゆえ、ぼやけたFFOCT画像230をみることが出来る。
【0077】
FFOCT画像単独では、画像が捕捉されたサンプルにおける位置に関する情報が全く含まれていない。OCTイメージングシステム110は、FFOCTと併用され、捕捉された画像のX、Y、Z座標を提供することによって、この不足分を補う。2DのFFOCT画像のスタックには各々の位置が付随しており、これらの画像をひとまとめにして3D画像を形成することができる。以下、より正確に、3D画像取得209の方法について説明する。
【0078】
第1の実施の形態(210)では、モータによって顕微鏡対物レンズ142だけをサンプルアーム147の下に移動させる。同時に、サンプルアーム147と参照アーム146との間の光路のミスマッチを補正するために、参照アーム146をビームスプリッター135から離れる方向(またはビームスプリッターに近づく方向)に移動させる。
【0079】
第2の実施の形態(211)では、モータ101によって装置150全体をサンプル11に近づく方向に(またはサンプルから離れる方向に)移動させる。同時に、サンプルアーム147と参照アーム146との間の光路のミスマッチを補正するために、参照アーム146をビームスプリッター135からから離れる方向(またはビームスプリッターに近づく方向)に移動させる。
【0080】
第3の実施の形態(212)では、サンプルアーム147と参照アーム146との間の光学的ミスマッチ(デフォーカス)を補正するために、参照アーム146だけをビームスプリッター135から離れる方向に移動させる。参照アームの移動範囲については、瞬間的なサンプル位置(またはサンプルにおける深さ)に依存する。サンプルの位置(または深さ)の変化は、サンプルのin vivoでの動きにのみ左右される。
【0081】
すべての実施の形態において、サンプルにおける異なる深さのスライスそれぞれのen face画像が、以下で説明する方法に従って記録される。同時に、各2D画像に対応するスライスの位置(X、Y、Z)がOCTイメージングシステム110によって記録される。各2D画像の位置情報を持つことで、3D画像を形成するために2D画像を再配置することができる。
【0082】
各スライスのen face画像が取得された時刻を格納する(213)ことにより、各スライスの深さの決定がなされる。必要に応じて取得を停止する(214)。工程215では、格納されている異なる時刻のOCT画像からの位置情報を用いて、2D OCM画像すなわちFFOCT装置によって得られた画像を再配置し、3D角膜画像を形成する。
【0083】
【0084】
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bは、FFOCTイメージング装置によるイメージングの対象となるスライスの深さを決定するために、OCTイメージングシステムをどのように用いるか、を示している。また、デフォーカスの補正についても示している。
【0085】
図4Aおよび
図4Bは、サンプルが導入されていないときにOCTイメージングシステムを用いて得られた2D断面画像および対応するプロファイル(A-スキャン)をそれぞれ示す。
図5Aおよび
図5Bは、サンプルがサンプルアームに導入され、OCTイメージング装置の視野内にある場合に、OCTイメージングシステムを用いて得られた2D断面画像および対応するプロファイルをそれぞれ示す。スライスの深さは、デフォーカス補正されていない基準位置を基準に測定されており、
図4A、
図4B、
図5A、
図5Bでは、深さ0における黒い縦線に対応する)。例えば、基準となる層は角膜の最上層である。
【0086】
画像231では、角膜の一番上の層(角膜を括弧で示す)が参照ミラー(矢印で示す)と重なっている。この位置は、
図4A、
図5Aの「0」の位置、すなわち角膜最上層の位置とデフォーカス補正されていない参照ミラーの位置との差がゼロに等しい場合に対応する。その結果、デフォーカス補正は行われず、角膜表面の画像232が得られる。
【0087】
画像233では、デフォーカス補正されていない参照アーム位置に対して、角膜上層が(画像上で)上にシフトされる。その結果、ゼロではない深さが測定される。この深さに基づいて、デフォーカス補正されていない基準位置から参照アームが(画像上で)下にシフトされる。その結果、角膜層からの画像234が得られる。これは、OCT画像においては参照ミラー画像と重なることになる。
【0088】
画像235では、前の工程と同様にしてすべてが繰り返される。角膜は再び上にシフトされ、参照アームがミラーとともに再び下にシフトされる。その結果、角膜深部からのFFOCT画像236が得られる。
【0089】
上述した実施形態については、動いているin vivoサンプル、特にin vivoの眼の前部の、イメージングに用いることが提案されている。
【0090】
以下に説明する方法の実施形態は、様々なin vivoサンプルのイメージングにも使用可能であるが、特に、in vivoの眼の後部に焦点が当てられている。
図3Aは、本明細書によるイメージング方法の実施形態の流れ図である。この方法は、例えば、
図1Bに示すようなシステムを用いて実施することができる。表記の方法は、動いているin vivoサンプル、特にin vivoの眼の後部13(網膜)であるがこれに限定されるものではないin vivoサンプル、のイメージングに適している。
【0091】
図3Bは、OCTイメージングシステムとFFOCTイメージングシステムの両方によって
図3Aに示す異なる工程で取得された画像を示す。
【0092】
工程301では、取得が開始され(取得は、画像を得るための処理を含む)、OCTイメージングシステムとFFOCTイメージングシステムの2つの装置からの画像が表示される。FFOCTでの取得は、後述するように、変調PZTまたは静的PZTのどちらかによって行うことができる。工程303では、OCT画像で網膜層が見えるか否かが確認される。画像322および326には、まだデフォーカス補正がなされていないまたは/およびサンプルアームと参照アームの光路が一致していないため、カメラノイズだけが存在する。
【0093】
NOの場合、
図3Bの画像324に示すように、装置150全体を、X軸、Y軸、Z軸に沿って移動させる(工程304)。YESの場合、
図3Bの画像325に示すように、装置150全体をX軸、Y軸、Z軸に沿って移動させることにより、参照ミラー133のOCT画像を着目する網膜層と重ね合わせる(工程305)。
【0094】
その段階で、OCT画像327または329、
図3Bおよび対応するFFOCT画像328、330に示されているように、ミラー133と網膜層のいずれかとの間で光路長が一致する。
【0095】
その後、3D画像取得309が開始される。
【0096】
第1の実施態様(310)では、参照アーム146だけをモータによって下に移動させる。
【0097】
第2の実施態様(311)では、モータ101によって装置150全体をサンプル11に近づく方向に(またはサンプルから離れる方向に)移動させる。
【0098】
第3の実施態様では、いずれのモータも動かされず、サンプルのin vivoでの動きによって3Dスタックの作製が実現される。
【0099】
図2Aおよび
図2Bについては、動いているin vivoサンプルの2D断面画像それぞれが、上述の方法に従って記録される。サンプルのin vivoでの動きを利用する場合、サンプルの一般的な動きの周波数で最大のFFOCT信号が得られるように装置を調整することができる。同時に、各2D画像に対応するサンプルの位置(X、Y、Z)がOCTイメージングシステム110によって記録される(
図3Bの工程313、314、315および対応する画像331~336)。各2D画像の位置情報を持つことで、3D画像を形成するために2D画像を再配置することができる。
【0100】
en face画像の決定
直接カメラ画像からFFOCT画像を抽出するためには、位相シフトのスキームが必要である。
【0101】
本明細書の第1の実施形態では、標準的なFFOCT画像検索方法が使用され、その方法に従って、ピエゾ素子(PZT)132を変調することによって位相シフトが行われる。この実施形態は、(一般的な画像取得時間でのサンプルの動きが<<π位相シフトになるはずの)ゆっくりと動くサンプルの場合、あるいは、高速で動くサンプルでの動きのない瞬間に有用である。スキームに応じて、2つ、4つまたは5つの直接画像から、FFOCT画像を抽出することができる。
【0102】
例えば、直接画像が2つである場合、次のようになる。
【0103】
【0104】
位相シフトした2つの画像は、次のようになる。
【0105】
【0106】
【0107】
この2つの画像を減算してモジュールを取ると、FFOCT画像すなわち「FFOCT信号」が得られる。
【0108】
【0109】
2つの連続した直接カメラフレーム間の位相シフトがπに等しい(2位相シフトスキームの場合)ことで、可能な限り高いFFOCT信号を得ることができる。
【0110】
本明細書の第2の実施形態では、使用される画像検索方法は、サンプルのin vivoでの自然な動きに依存している。
【0111】
出願人らは、例えば眼組織のイメージング用途において、自然な眼球運動が原因で連続する直接画像間に位相変化が生じ、これがFFOCT画像を抽出するのに十分な大きさになり得ることを示した。より正確には、出願人らは、in vivoのヒトの目の動きを測定し、カメラの露光時間が例えば1ms~10msの範囲に設定されている(すなわち、2つの連続したカメラフレームが、それぞれ2~20msで取得される)場合、連続したカメラフレーム間に目の動きによって誘導される位相シフトは、0~±30ラジアン(すなわち±10πに相当する)のうちのいずれかの値を取り得ることを示した。より一般的には、in vivoでの動きによって、連続した直接カメラ画像間に位相変化が生じ得る。これらの位相変化を利用して、FFOCT画像を抽出することができる。この方法によれば、2つ、4つまたは5つの直接画像からFFOCT画像を抽出することができるが、スキームによっては、この順序に限定されない。以下、2つの直接画像に対するFFOCT抽出方法を例にあげて説明するが、本発明は二画像スキームだけに限定されるものではなく、あらゆるFFOCT画像検索スキームに適用可能である。
【0112】
【0113】
【0114】
そして、2つの直接画像が得られる。
【0115】
【0116】
【0117】
2つの画像を減算して式を単純化すると、次のようになる。
【0118】
【0119】
【0120】
図6では、高いFFOCT信号を得るためには、位相シフトが十分に大きいことが求められるだけでなく、カメラが複数のフレームを取得している間に位相シフトが生じなければならないことが示されている(
図6では2フレームの例が示されている)。サンプルのin vivoでの動きの瞬間的な速度を知ることで、平均π位相シフトを得るのに必要な時間間隔を見つけることができる。直接画像のスタックを記録することができ、高いFFOCT信号を得るために、π位相シフトに対応する2つのフレームをスタックから抽出して処理することが可能である。この方法は、例えば、眼のイメージングに用いることができる。眼の動きが2つの連続する直接カメラ画像間の誘導された位相シフトが(通常、心拍のような大きなスパイクからの)ラジアンより小さいようなものである場合、これらの2つの画像間の位相シフトは、FFOCT画像を得るのに十分である。さらに、カメラの有用な(π位相シフトのある)直接画像の数を増やすために、in vivoサンプルの動きの一般的な速度に応じて、カメラの取得速度と光源の波長を調整することができる。最大FFOCT信号が得られるサンプルの速度が達成される。
【0121】
【0122】
この式から、最初にサンプルのin vivoでの一般的な動きの速度νがわかっていれば、カメラの速度と光源の波長を調整して、サンプルの一般的な速度での直接画像間の平均π位相差(したがって、最良のFFOCT信号)を得ることができる。眼の動きが2つの連続する画像間の誘導された位相シフトが(通常、心拍のような大きなスパイクからの)ラジアンよりも小さいようなものである場合、標準的なFFOCTの2つの位相画像が使用可能である。
【0123】
【0124】
【0125】
2つの連続する直接画像は、次のとおりである。
【0126】
【0127】
【0128】
2つの画像を減算して式を単純化すると、次のようになる。
【0129】
【0130】
【0131】
図6の例では、FFOCT画像を得るためには、少なくとも2つの直接画像を取得する必要があるが、これは、πに等しい画像間の平均位相シフト(グラフのY軸)を有する。サンプルの平均移動速度がわかっていれば、サンプルがπだけ移動するのに必要な時間がわかる(例えば、グラフ上では3.4ミリ秒となっている)。そのため、3.4msの時間で2つの画像を取得するようにカメラの取得速度を調整することができる。その結果、サンプルのみで位相シフトが行われることになる。
【0132】
【0133】
図7において、画像71~76はそれぞれ、in vivoのヒト角膜の上皮および涙液膜(71)、上皮および基底膜下神経(72)、前部、中部、後部間質(73~75)、内皮(76)からの反射を示す。
【0134】
図8は、異なるカメラ露光時間(したがって、それぞれ550フレーム/秒、300フレーム/秒、200フレーム/秒、100フレーム/秒の異なるカメラフレームレート)を用いて取得した角膜の深部実質層の画像81、82、83、84を示している。画像は、
図7と同じ条件、すなわち自然な眼の動きによってのみ位相がシフトされ、参照ミラーの移動が行われていない、連続した2次元干渉信号を用いて捕捉される。
【0135】
本出願人は、このような実施形態により、非常に高品質な画像を取得することができ、カメラとピエゾの同期を必要とせずにシステムを大幅に簡素化できることを示している。
【0136】
複数の詳細な例示の実施形態を用いて説明したが、本明細書による散乱3次元サンプルのin vivo全視野干渉顕微鏡イメージングのためのシステムおよび方法は、当業者には明らかな様々な変形、変更および改良を含んでおり、これらの様々な変形、変更および改良は、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲に包含されることが理解される。