(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】飲料調製マシン
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A47J31/36 320
(21)【出願番号】P 2021521185
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2019078291
(87)【国際公開番号】W WO2020079191
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507163714
【氏名又は名称】チボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュンキ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ネフ,パトリック
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518809(JP,A)
【文献】特表2017-503558(JP,A)
【文献】特表2014-511712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0290457(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0157668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料物質を有するポーションパッケージ(20)を受け入れるために設計される浸出チャンバを形成するための浸出モジュール(10)と、調製流体を流体導管(2)を通って前記浸出チャンバ内に送達するためのポンプ(5)と、前記流体導管(2)上に配される流量計(3)と、前記ポンプ(5)を制御し、かつ、前記流量計(3)の測定データを取得するためのマシン電子機器(9)とを含む飲料調製マシンにおいて、前記マシン電子機器(9)は、前記流量計(3)の前記測定データを評価するように構成され、かつ、前記浸出チャンバにおいてポーションパッケージの有無を検出するために、当該評価から、ポーションパッケージが前記浸出チャンバに挿入されている状態に対応する第1の状態と、ポーションパッケージが前記浸出チャンバ内に挿入されていない状態に対応する第2の状態との間の区別を行うように構成されることを特徴とする、飲料調製マシン。
【請求項2】
前記マシン電子機器(9)は、飲料調製のカウンタを含み、前記飲料調製のカウンタは、飲料調製プロセスのアクティベーションの後、前記第1の状態が決定された場合にのみ、ある値だけ増加される、請求項1に記載の飲料調製マシン。
【請求項3】
前記マシン電子機器(9)は、測定された流量をしきい値と比較するように構成され、かつ、前記流量が前記しきい値を下回る場合、前記第1の状態を結論付けるとともに、前記流量が前記しきい値を上回るかまたは前記しきい値に対応する場合、前記第2の状態を結論付けるように構成される、請求項1または2に記載の飲料調製マシン。
【請求項4】
飲料調製プロセスのアクティベーションまでのあらかじめ規定される時間間隔において測定される前記流量が、前記しきい値と比較される、請求項3に記載の飲料調製マシン。
【請求項5】
あらかじめ規定される送達体積に達した後に測定された前記流量が、前記しきい値と比較される、請求項3に記載の飲料調製マシン。
【請求項6】
前記しきい値との比較のために、ある時間間隔にわたって積算される流量が使用される、請求項3~5のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項7】
前記
マシン電子機器
(9)は、ネットワーク(52)とデータを交換するために、および/または、外部デバイス(51)と直接的にデータを交換するために、通信モジュールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の飲料調製マシン。
【請求項8】
前記マシン電子機器(9)は、前記評価の結果を、前記外部デバイス、または、前記ネットワークを介して到達可能なサービスに転送するように構成される、請求項7に記載の飲料調製マシン。
【請求項9】
請求項7または8のいずれか1項に記載の飲料調製マシンと、前記飲料調製マシンに直接的な態様で通信接続可能な外部デバイス(51)上、または、前記飲料調製マシンに前記ネットワーク(52)を介して通信接続可能な外部コンピュータ上にインストール可能なソフトウェアとを含み、前記ソフトウェアは、当該
外部デバイス
(51)または当該
外部コンピュータが、前記飲料調製マシンによって実行される飲料調製の数に関するデータを導くことを可能にする、システム。
【請求項10】
ポーションパッケージ(20)内に格納される飲料物質から飲料を調製するための飲料調製マシン、特に請求項1から8のいずれか1項に記載の飲料調製マシンを操作するための方法であって、前記飲料調製マシンは、前記ポーションパッケージのための浸出チャンバを形成するための浸出モジュール(10)を有し、前記浸出チャンバにポンプ(5)により水が供給され、供給される前記水の流れが測定される方法において、測定される流量が評価され、かつ、前記浸出チャンバにおいてポーションパッケージの有無を検出するために、当該評価から、ポーションパッケージが前記浸出チャンバに挿入されている状態に対応する第1の状態と、ポーションパッケージが前記浸出チャンバに挿入されていない状態に対応する第2の状態との間の区別が行われることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーションパッケージに格納される抽出材料により形成されるポーションパッケージから飲料などを調製するための飲料調製マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーションパッケージ内に存在する抽出材料、たとえば、挽豆されたコーヒーまたは茶葉から飲料などを調製するための抽出デバイスが、たとえば、コーヒーマシンまたはエスプレッソマシンまたは茶調製マシンとして既知である。パッドとも称されるカプセルが、ポーションパッケージとして既知である。
【0003】
たとえば、このために構成されるコーヒーマシンの認識モジュールによって読み出されるコードをポーションパッケージに設けることが既知であり、これにより、たとえば、認識されたポーションパッケージのタイプに依存する態様で、読出の後に実行される浸出を構成する。タイプに依存する可能な浸出パラメータの選択の利点とは別に、カプセルの認識(すなわち、他のポーションパッケージの認識であり、本明細書における「カプセルの認識」は、好適なポーションパッケージの認識のための表現により使用される)は、特にロジスティックスおよび利便性のためにカプセル認識データが使用され得るというさらに別の利点を提供する。したがって、たとえば、マシン上でどれだけ多くのカプセルが消費されたかが記録され得、また、記録されたカプセル供給が枯渇していっている場合、カプセルの再送達が開始され得る。さらに、ある数のカプセルが消費された後に消費者がディスカウントでさらなるカプセルを得るロイヤリティプログラムなどが設定され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カプセル認識モジュールは、技術的に複雑であり、抽出デバイスをより高価にするという欠点を有する。
【0005】
本発明の目的は、マシンカプセル認識の利点のいくつかを少なくとも有するが、たとえばポーションパッケージ上の光学コードを読み出すためのカプセル認識モジュールを有する抽出デバイスよりも、複雑ではなく、製造において経済的である抽出デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求の範囲において規定される発明によって達成される。
請求されるタイプの飲料調製マシンは、一般的に水であり場合によっては付加的なものを伴う調製流体を、ポーションパッケージを受け入れる浸出チャンバ内に送達するためのポンプと、浸出チャンバ内へ送達される流体の送達体積を直接的または間接的に測定し得るように、ポンプを介して浸出チャンバに繋がる流体導管上に配される流量計とを含む。マシン電子機器が、ポンプをアクティベートし、この測定の結果を取得し、たとえば規定される送達合計流体量に達した後にポンプをスイッチオフする。本発明のある局面によれば、電子機器は、流量計の測定データを評価するように構成され、かつ、浸出チャンバにおいてポーションパッケージの存在を検出するために、当該評価から、「挿入されたポーションパッケージにより浸出する」第1の状態と、「ポーションパッケージが挿入されていない水の貫流」の第2の状態との間の区別を行うように構成される。
【0007】
ベーンホイール流量計はしばしば、家庭用機器において流量計として適用される。そのような流量計は、インペラの回転ごとにインパルスを電子機器に伝達する。インパルスの数は、送達体積の特徴であり、流量(単位時間当たりの体積)は、除算により、クロックも含む制御部によって決定され得る。そのような流量計の使用も本発明についてのオプションである。しかしながら、本発明は、このタイプの流量測定に限定されない。対照的に、送達体積の測定に適用され得る任意の測定方法、または、直接的に流量の測定に適用され得る任意の測定方法が適用され得る。
【0008】
電子機器、したがってマシン電子機器が、本明細書に記載されるような方法を実行するように「構成される」という事実は、電子機器において特定の手段が実現されることを意味するので、この方法は、それぞれの条件が満たされた場合、たとえば、飲料調製プロセスがアクティベートされた場合に実行される。したがって、当該方法を実行するために、電子機器は、プログラム可能であることは十分ではなく、具体的にプログラムされなければならないか、または、したがって別の態様で(たとえば、同時に機能を含むASICを適用することにより)構成/設定されなければならない。多くの実施形態では、電子機器の構成は、それぞれのファームウェアをアップロードすることを介して実行される。
【0009】
本明細書では、飲料調製マシンは、それが実行する方法によって記載される場合、常に意味するのは、マシン、特に電子機器が当該方法を実行するように構成されるということである。
【0010】
ポーションパッケージはカプセルであり得る。ポーションパッケージは、飲料成分、たとえばコーヒー粉末または茶といった抽出材料を含む。しかしながら、飲料成分はさらに、抽出物もしくはたとえばミルク粉末であり得るか、または、それを含み得、さらに、たとえば、砂糖もしくは他の甘味料などの水溶性成分も、ポーションパッケージに含まれ得る。
【0011】
電子機器は、たとえば、たとえば作動ボタンを作動させることによる浸出プロセスのアクティベーション後に、(ポーションパッケージが検出された)第1の状態が決定された場合に、「1」だけ増加するポーションカウンタを含む。
【0012】
したがって、本発明は、飲料調製をカウントするためのカウンタ、または、一般的に飲料調製の発生に関する情報を、アクティベーション手順にのみ関係付けるのではなく、実際に、評価の結果に関係付けることを提案する。それ自体が極めてシンプルであるこの処置によって、ユーザが、たとえば飲料容器を予熱するために、または、誤って、ポーションパッケージを挿入することなく、見掛けの飲料調製をアクティベートすることが可能であることによって情報の品質が劣化されないことが保証される。これにも関わらず、当該ソリューションは安価であり、実際、いずれの場合においても飲料調製マシン内に通常存在する要素のみが使用される。
【0013】
評価は、浸出モジュールを通る流れ抵抗、すなわち、一方での浸出モジュールの入口側と出口側との間の圧力差と、他方での流量(単位時間当たりの送達体積)との比が、ポーションパッケージが挿入されているか否かに依存するという事実を利用する。パッケージ流体は、流れる必要があるが、ポーションパッケージが存在する場合、貫流抵抗は大きくなる。貫流抵抗は時に、流れ抵抗とも称されるが、その定義は、流体を通る移動の際に対象(たとえば搬送手段)が晒される流れ抵抗とは異なる。
【0014】
たとえば、本質的に一定のポンプ圧力が与えられると、ポンプによって送達される流体の流量、したがって、流量計による場合によっては評価される測定の結果は、ポーションパッケージが挿入されているか否かの直接的な尺度であり得る。これは、浸出モジュールを通る貫流抵抗が、ポーションパッケージが挿入されているか否かに確かに依存しており、かつ、水タンクから注ぎ口までの流体経路の全ての他のセクションを通る流れ抵抗が一定であるからである。ポンプ圧力は、一般に、本質的に一定であると想定され得、たとえば、より大きな流量によって若干低下する場合であっても、これは、流量がポーションパッケージの存在の有無についての尺度であるという事実を変更しない。
【0015】
さらに、別の態様では、ポンプ圧力またはポンプパワー、たとえばポンプの電力消費を特徴付ける測定データを評価に含めることも可能である。
【0016】
好適な態様で、評価は、ポーションパッケージが挿入されている場合、流量挙動がそうでない場合と異なるという事実を使用する。これは、たとえば、流量値をある時点において、または、ポンプをスイッチオンした後で規定の送出体積に達した後に、しきい値と比較することによって行なわれ得る。流量がしきい値を上回るか、または、しきい値に等しい場合、ポーションパッケージは挿入されていない。ある期間にわたって、または、ある体積の送達中(たとえば、最初のxmlを送達した後から次のymlが送達されるまで)に流量が検出および評価される変形例が考えられる。たとえば、最初のxmlの送達後にさらなるymlを送達するのに必要な時間が決定され得、しきい値と比較され得るか、または、最初のxmlの送達後の流量とさらなるymlの送達後の流量との間の差が形成され得、しきい値と比較され得る。そのような手順に関して、x[ml]についての典型的な値は3と7との間に存在し、たとえば約5であり、y[ml]についての典型的な値は、5と24との間であり、特に8と18との間であり、たとえば約12である。
【0017】
時間の関数としての流量、または、送達体積の関数としての流量が、特徴的な過程を有するか否かを確認することも可能である、すなわち、絶対値の比較の代わりに、流量の展開におけるパターンの比較が可能である。これは、たとえば、時間導関数または送達体積に従った導関数が、取得され、時間または体積に依存する規定された値または比較関数と比較されることを含み得る。人工知能の方法に進展する、特徴的なパターンおよび/または特徴的な過程を検出するためのさらなる方法が考えられ、当該方法は除外されるべきではない。たとえば、多数の測定と、そのような測定がポーションパッケージが存在する場合または存在しない場合の測定に対応するか否かについての詳細とが、データ処理ユニットにフィードされる方法が既知である。次いで、これから、電子機器は、データを考慮に入れる区別基準を決定する。アルゴリズムと、そのようなアルゴリズムを実行するマシンラーニングの方法とは既知である。
【0018】
プロセス中にポーションパッケージが挿入されているか否かについての情報は、本発明に従った手順の結果として得られる。特に、これは、飲料調製(特に浸出)のカウントのために使用され得る。しかしながら、情報は、マシン制御にも有用であり得る。たとえば、流体の送達に続く不規則性(ブロッキングなど)が与えられると、マシン制御によって適用される測定は、先行する流体送達の間にポーションパッケージが浸出チャンバ内に存在したか否かに依存し得る。
【0019】
特に、飲料調製マシンの電子機器は、通信モジュールを含み得る。本発明に従ったポーションパッケージの検出の結果は、この通信モジュールを介して外部デバイスおよび/またはネットワークに転送され得る。具体的には、飲料調製のカウントの結果が使用され得る。
【0020】
たとえば、これに関して第1の可能性に従って在庫管理が行なわれ得る。これは、飲料調製マシンによって行われ得、場合によっては外部デバイス(たとえば、携帯電話、特にスマートフォン)によって行われ得、および/または、場合によっては、ネットワークを介してマシンと接続するサービス、たとえば、ポーションパッケージの提供者のサーバによって行われ得る。この目的のために、マシン、デバイスまたはサービスは、在庫情報を含み、在庫情報は、ユーザによって能動的に提供され得、および/または、電子的に実行される注文などに基づき得る。飲料調製のカウントは、在庫をコンスタントに更新するために使用され得、たとえば、必要な場合、ポーションパッケージの自動的な再送達または供給が枯渇していっているという情報のユーザへの自動的な再送達といった処置を開始するために使用され得る。
【0021】
さらなる可能性によれば、サービスまたは外部デバイスへの転送によるカウントはさらに、プロモーションおよび/または顧客関係の目的、たとえば、ロイヤリティプログラムなどのために使用され得る。
【0022】
したがって、飲料調製マシンとは別に、本発明は、たとえば、マシンとは別に、携帯電話および/またはたとえばポーションパッケージの提供者のサーバといったコンピュータに外部からインストールされ得るソフトウェアをさらに含むシステムであって、マシン上で実際上実行された飲料調製の数の評価を可能にするシステムをさらに含む。
【0023】
実行される飲料調製のカウントはさらに、たとえば、メンテナンス目的、実行されるべき洗浄または湯垢除去サイクルの情報などのために、マシン自体においても有用であり得る。
【0024】
飲料調製マシンとは別に、飲料調製マシンを動作するための方法も本発明の主題である。
【0025】
方法の独立項において特定される方法は、デバイスの独立項に関係するデバイスの従属項に記載されるデバイスの特徴、または、対応する方法の特徴を有するようにさらに発展され得る。
【0026】
以下、本発明の実施形態の例が図面により記載される。図面において、同一の参照番号は、同一または同様の要素を示す。以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】特にコーヒーマシンといった飲料調製マシンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、飲料調製マシン、特にコーヒーマシンの概略図を示す。水供給部は、水タンク1と、流体導管、具体的には、水タンクから浸出モジュール10への供給導管2とを含む。水は、ポンプ5によって送達され、ここでは連続するフローヒータ7として描かれる水ヒータを通って流れ、その後、浸出モジュールに流入する。流量計3は、ポンプの上流に配されており、供給導管を通る水の流量を測定し、かつ、供給導管2が流量計の下流において分岐しないので、浸出モジュール10への流体の流れも測定する。たとえばベーンタイプの流量計のような「容積式流量計」タイプの流量計では、このような測定は、体積単位がカウントされ、かつ、たとえば以下に記載のマシン電子機器、または、それ自体の電子機器において、時間単位で体積単位を除算することによって流量が決定されることによって行われる。
【0029】
ポンプの上流への流量計の配置には、流量計が、圧力下にある領域に配置されず、熱い領域にも配置されないという利点がある。しかしながら、流量計の好適な設計が与えられる場合、流れ方向においてポンプの下流への配置、または、水ヒータの下流への配置もしくは水ヒータ内への配置でさえも、先験的に除外されるべきではない。ポンプへの流量計の統合もオプションである。すべての場合において、それによって(直接的に、または、たとえば前述のベーンタイプの流量計が与えられる場合、電子機器による評価を介して間接的に)測定される流量が、閉じられた浸出モジュールが与えられると形成され、かつ、場合によっては挿入されたカプセル20を格納する浸出チャンバ内への流体の流れの決定を可能にするように配置されるべきである。たとえば、単位時間当たりの体積または質量として表される、単位時間当たりに流れる流体量は、(流量計の位置における)流量、または、(浸出チャンバへの)流体の流れとして示される。
【0030】
それ自体既知のように、浸出モジュールは、ポーションカプセル20に水を導入するための注入器11と、流体をカプセル20から注ぎ口13へ導くための放出デバイス12(または抽出デバイス)とを含む。
【0031】
当該マシンは、マシンのための制御部Sと、随意の通信モジュールCと、入力ユニットまたは随意の入力/出力ユニットI/Oとは別に、評価ユニットAをさらに形成する電子機器9を含む。これらの個々の機能は、少なくとも部分的に互いに通信接続される別個のモジュールに統合されるように存在し得るか、または、共通のデータ処理および入力/出力ユニットにおいて存在し得る。ボタンなどを含み得る入力/出力ユニット、および/または、タッチセンシティブスクリーンといった要素は、飲料調製マシンについて既知であり、本発明の主題ではないので、ここではより詳細には説明されない。
【0032】
電子機器9は、ポンプ5をアクティベートするとともに、場合によっては水ヒータもアクティベートする。流量計3によって測定される流量値、および、場合によっては随意の温度センサ8によって決定される温度値が、制御部のための入力変数として機能する。
【0033】
図示されるような温度センサ8は、水ヒータの後の供給導管2と接触して配置され得るか、水ヒータ自体内に配置され得るか、または、水ヒータ上に配置され得る。制御部は、温度センサ8によって測定される温度が常に、ある窓内で移動するように水ヒータが制御されることによって、温度についての制御ループを形成するように構成され得る。温度の閉ループ制御のために、他の測定値の包含も可能であり、具体的には、測定された流量の包含も可能である。
【0034】
ユーザによって入力されるこれらのパラメータおよび/またはプログラミングのうち、さらなる入力変数が電子機器9に導かれ得、制御部に影響を及ぼし得る。
【0035】
時間の関数としての送達体積Vは、例として、
図2(参照番号30)にプロットされる。特に、
図2において破線の態様で丸く囲んだ領域において、プロセスの開始時に、後で記載される評価のために使用される特徴的な過程が得られる。
【0036】
流量測定の結果が評価のために使用される。
図3に概略的に描かれるように、一定のポンプパワーが与えられた際の、時間tの関数としての、流量31であるdV/dt、すなわち、単位時間あたりの送達体積Vは、カプセル(または他のポーションパッケージ)が流体で満たされ、貫流抵抗を形成するので、ポンプをスイッチオンにした直後に低下し得る。流量減少の正確な過程および程度は、カプセルに依存し得、特に、含有物(挽豆の細かさ、充填された量など)と、カプセル材料と、カプセルの性質と、カプセルを受け入れる浸出モジュールの性質とに依存し得るが、有意な低減が常に確認されることになる。
【0037】
対照的に、カプセルが挿入されていない場合、ポーションパッケージ内に存在する抽出材料(または場合によっては抽出物)に起因して流れ抵抗が実際に発生しないので、流量はほぼ一定のままである(グラフ32)か、または、時間の関数として、後でかつあまり顕著でない態様でのみ低下する。
【0038】
これは、評価のために使用され得る。1つの可能性は、たとえば経験的に決定される時間t1の後、流量が、たとえば同様に経験的に決定されるしきい値FSを上回るかまたは下回るか否かを確認することであり、流量がしきい値を下回る場合、カプセルが存在する。
【0039】
本明細書に記載されるすべての実施形態においてのように、プロセス中にカプセル(または他のポーションパッケージ)の存在の決定が与えられると、カウンタZ(
図1)において取得されるカウント値が1だけ増加される。そうでなければ、カプセルはカウントされない。
【0040】
必要な場合、この方法は、時間スパン[t2,t3]にわたって積算される流量、すなわち、2つの時点t2およびt3同士の間に送達される送達体積によってより堅牢にされ得るか、または、同等に、ある時点t1における流量の代わりに使用される比較変数としてのいくつかの流量測定からのたとえば算術平均といった平均値によって、より堅牢にされ得る。この比較変数があるしきい値を上回って存在する場合、カプセルは挿入されていない。別の可能性は、流量差、すなわち、2つの時点間の流量の低減についてであり、または、流量の時間導関数が評価されることについてである。組み合わせも可能である。
【0041】
いくつかの飲料調製マシンでは、カプセル特性の許容誤差から生じ得るとともに、カプセルがカプセル開放段階(たとえば、水を導入するためにカプセルが穿孔される)の間に既知でない流体により充填され始める正確な時点につながる定義のある時間的な欠如が存在する。
【0042】
そのような状況について、時間の関数としての評価の代替例として、
図4において描写されている既に送達された体積V(送達体積)の関数として流量を評価することが提案される。カプセルが挿入されている場合、ある値に達した後の流量41はさらに、送達体積の関数として著しく低減する。これは、カプセルが挿入されていない場合ではない(グラフ42)。
【0043】
この代替例によっても、まず、ある体積V1の送出後に測定される流量をしきい値FSと比較する可能性が存在する、すなわち、流量がしきい値より小さい場合、カプセルが挿入され、そうでなければ挿入されない。コーヒーカプセルとして一般に6gと10gとの間の充填量を有するポーションパッケージに依存して、特に良好な区別が行われる体積V1は、約12mlと約25mlとの間の固定値に存在し得、特に、15mlと20mlとの間の値に存在し得る。
【0044】
時間の関数としての評価について上で記載される変形例も、体積の関数としての評価のために存在する。たとえば、規定された体積V2に達した時点と、別の規定された体積V3に達した時点との間で、どれだけの時間が経過しているかが評価され得、または、流量差、もしくは、送達体積に従った流量の時間導関数もしくは導関数
【0045】
【0046】
が比較され得る。
本発明に従った手順は、飲料調製マシンについて、他のデバイスおよび/またはネットワークとデータを交換する可能性、すなわち、電子機器の通信モジュールとデータを交換する可能性と組み合わせると特に有利であり、これはさらに、以下の説明から明らかとなる。
【0047】
評価に基づくカウントの結果は、たとえば、以下のように使用され得る。
第1に、飲料調製マシンは、実行された飲料調製のカウントをメンテナンス目的のために使用し得る。これについて、たとえば、ある数のカウントされた飲料調製の後、ユーザが、洗浄および/または湯垢除去などを行うように促されることが想定され得る。さらに、飲料調製の数は、読み出され得、ある部分が交換されるべき旨などをサービス技術者に提供し得る。
【0048】
第2に、飲料調製のカウントは、ポーションパッケージの在庫の監視のために使用され得る。これについて、第1のオプションによれば、在庫に関するデータが、たとえば購入後に飲料調製マシンに読み込まれ得る。これは、たとえばオンライン注文として電子的な補助により購入が行われた場合に、自動的に行われ得る。次いで、カウントの結果は、在庫の監視を可能にし、飲料調製マシンは、たとえば、在庫が枯渇する危険があることをユーザに知らせ得、および/または、注文の可能性を直ちに提供し得る。この目的のために、たとえば、ポーションパッケージの規定されたバスケットの注文をアクティベートする専用のキーがマシン上に存在し得るか、または、メニュー入力を介してそのような注文が行なわれ得る。
【0049】
第2のオプションによれば、そのような在庫管理は、飲料調製マシンの外部で行われ、たとえば、外部デバイス51(特に携帯電話)において行われ、および/または、ネットワーク52を介して、サーバ上もしくはクラウドにおいて行われる。この目的のために、飲料調製マシンは、各飲料調製において、定期的なインターバルで、または、所与のあるイベントで、実行された飲料調製の数を外部デバイスまたはネットワークに転送し得る。ユーザによって行われた設定に依存して、再注文が自動的にアクティベートされ得るか、または、好適な態様で、随意に飲料調製マシンを介して、在庫が少ないことおよび注文の可能性をユーザに認識させ得る。
【0050】
第3に、カウントはさらに、プロモーションおよび/または顧客関係の目的のために使用され得る。たとえば、マシンは、ある数の飲料調製が再び実行されたという情報を、直接的な態様で、および/または、外部デバイス51を介して、ネットワーク52に転送し得る。これにより、直接的な態様で実行された設定、さらに別のイベントなどに依存して、ユーザへのロイヤルティギフトまたはオファーなどの発送がアクティベートされ得る。