(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】心臓の虚血および冠動脈疾患を診断するためのシステム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/243 20210101AFI20231130BHJP
【FI】
A61B5/243
(21)【出願番号】P 2021527232
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(86)【国際出願番号】 US2018062113
(87)【国際公開番号】W WO2020106284
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】517363849
【氏名又は名称】ジェネテシス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムッチャラ,ラージ
(72)【発明者】
【氏名】セテグン,エマニュエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ベンジャミン ドナルドソン
(72)【発明者】
【氏名】シュリヴァスタヴァ,ピーユーシュ
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527266(JP,A)
【文献】特表2018-513727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の虚血が個体において存在するかどうかを決定するように構成された診断システムであって、前記診断システムは、
(i)個体の心臓に関連付けられる電磁界の測定値を感知するように構成された電磁界センサ、
(ii)電磁界センサに動作可能に結合されたプロセッサー、および、
(iii)訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを含むソフトウェアを用いてコード化された非一時的なコンピューター可読記憶媒体であって、ここで、前記ソフトウェアは、プロセッサーによって実行可能であり、該プロセッサーに、
(a)電磁界センサからの電磁界測定値を受信させ、および、
(b)前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを用いて、前記電磁界測定値の少なくとも一部を処理することに
よって、前記電磁界測定値に関連付けられた異常の有無に基づいて、虚血が個体の心臓に存在するかどうか、および前記個体が冠状動脈閉塞を有するかどうか、を判定させる、非一時的なコンピューター可読記憶媒体を含む、診断システム。
【請求項2】
感知された電磁界測定値が磁極のばらつきの不規則なパターンを含む時、冠状動脈閉塞が存在すると判定されることを特徴とする、請求項
1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記プロセッサーに、(c)前記個体が前記冠状動脈閉塞の程度が50%を超えるかどうかを判定させることをさらに含む、請求項1に記載の診断システム。
【請求項4】
前記プロセッサーに、(c)前記個体が前記冠状動脈閉塞の程度が70%を超えるかどうかを判定させることをさらに含む、請求項1に記載の診断システム。
【請求項5】
前記プロセッサーに、(c)前記個体が前記冠状動脈閉塞の程度が90%を超えるかどうかを判定させることをさらに含む、請求項1に記載の診断システム。
【請求項6】
前記個体は、少なくとも1つの
正常なトロポニン値を有することを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項7】
前記個体は、正常な心電図を有することを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項8】
センサアレイをさらに含み、および
前記電磁界センサが前記センサアレイ内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項9】
前記電磁界センサは、光励起磁力計型の、または超伝導量子干渉装置型のセンサを含むことを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項10】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールは、集団内の複数の個体から感知された複数の電磁界値を含む、蓄積されたデータへのアクセスを有することを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項11】
前記蓄積されたデータは、
前記複数の個体に関連付けられる複数の健康データ値を含むことを特徴とする、請求項10に記載の診断システム。
【請求項12】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールは、
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータへのアクセスを有することを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項13】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータは、心臓に関するデータを含むことを特徴とする、請求項12に記載の診断システム。
【請求項14】
心臓に関連する
前記データは、
前記個体の心臓に関連付けられる電磁界を含むことを特徴とする、請求項13に記載の診断システム。
【請求項15】
前記プロセッサーは、電磁気の測定値を波形へと翻訳するようにさらに構成されることを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項16】
ソフトウェアは、
前記プロセッサーに、
前記個体を処置するための治療を判定させるようにさらに構成されることを特徴とする、請求項1に記載の診断システム。
【請求項17】
コンピューターを用いた方法であって、該方法は、
(i)
前記コンピューターのプロセッサーが、前記プロセッサーと訓練された機械学習ソフトウェアモジュールとを含む感知装置に動作可能に結合された電磁界センサからの、個体の心臓に関連付けられる電磁界測定値を、受け取る工程と、
(ii)
前記コンピューターの前記プロセッサーが、前記プロセッサーと
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールとを使用して、前記電磁界測定値の少なくとも一部を処理することに
よって、前記電磁界測定値に関連付けられた異常の有無に基づいて、個体の心臓における虚血が存在するかどうか、および前記個体が冠状動脈閉塞を有するかどうか、について電子的な出力の表示を生成する工程と、を含む、方法。
【請求項18】
感知された電磁界測定値が磁極のばらつきの不規則なパターンを含む時、冠状動脈閉塞が存在すると判定されることをとする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、(iii)前記冠状動脈閉塞の程度が50%を超えているかどうかを判定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、(iii)前記冠状動脈閉塞の程度が70%を超えているかどうかを判定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、(iii)前記冠状動脈閉塞の程度が90%を超えているかどうかを判定
する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記個体は、少なくとも1つの
正常なトロポニン値を有することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記個体は正常な心電図を有することを特徴とする、請求項
17に記載の方法。
【請求項24】
感知装置は、センサアレイを含み、および
前記電磁界センサが前記センサアレイ内に配置されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記電磁界センサは、光励起磁力計型の、または超伝導量子干渉装置型のセンサを含むことを特徴とする、請求項
17に記載の方法。
【請求項26】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュール
が、集団内の複数の個体から感知された複数の電磁界値を含む、蓄積されたデータへアクセスする工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記蓄積されたデータは、複数の個体に関連付けられる複数の健康データ値を含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュール
が、
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータへアクセスする工程を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項29】
前記訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータは、心臓に関連するデータを含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
心臓に関連するデータは、
前記個体の心臓に関連付けられる電磁界を含むことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プロセッサー
が、電磁界の測定値を波形へと翻訳することをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記プロセッサー
が、個体を処置するための治療について電子的な出力の表示を生成することを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒトと動物の組織は、その組織を通過する電流によって電磁界(EMF)と関連付けられる。電磁界の異常は深刻な健康状態を示す場合がある。
【発明の概要】
【0002】
個体を評価するためにEMFを使用するためのシステム、装置、ソフトウェア、および方法が本明細書に記載される。個体の心臓に関連するEMFは、個体の心臓の状態を明らかにするために感知され、および分析されることがある。例えば、個体のEMFは、虚血が個体の心臓において存在するか、および虚血が冠動脈疾患(CAD)によって引き起こされるかどうか判断するために使用されることがある。同様に、CADが存在する場合、EMFは存在する冠動脈疾患の重篤度を判定するために使用することができる。
【0003】
より具体的には、個体の心臓に関する判定を下すためにEMFを感知し、および分析するための、システム、装置、ソフトウェア、および方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、個体の心臓によって生成されるEMFは、EMFセンサを使用して感知され、および虚血および/またはCADが個体の心臓に存在しているかどうかを判定するように訓練された機械学習アルゴリズムによって分析される。これらの実施形態のいくつかにおいて、機械学習アルゴリズムは、個体におけるCADの重症度を判定するようにさらに構成される。
【0004】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、EMFデータと、個体の身体中の臓器および/または組織に関するそれらのレコードとデータを含む、個体に関するデータとを使用して訓練される。異常データは、それについて臓器、組織、身体、またはそれらの部分内の異常の有無を含み、前記異常は、任意の、既知の、結果として生じる、または関連づけられる疾患、障害、または疾病について同定される。個体に関するデータは、人口統計データ、医用画像データ、臨床データ(例えば、電子健康記録を含む健康記録)、コード化されたデータ、および、コード化された特徴、または電磁界から導出されたメトリックを含む。
【0005】
EMFデータは、EMF測定値、およびEMF測定値のシミュレーションを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、機械学習ソフトウェアモジュールが新しいEMFデータを分析し、および、訓練に基づいて、異常が存在するかどうかを判定することができるように、EMFデータおよび対応する異常データ(つまり、EMFデータに対応する統計)の両方で訓練される。さらに、機械学習ソフトウェアモジュールは、検出された異常に関連付けられる疾病を判定し得る。
【0006】
本明細書において、被験体の臓器、組織、身体、またはそれらの部分によって生成されたEMFを分析することによって、被験体の臓器、組織、身体、またはそれらの部分における異常の存在を検出するための方法、ソフトウェア、システム、および装置が記載される。いくつかの実施形態では、EMFデータは、医用画像、臨床データ、およびコード化されたデータの1つ以上を生成するために使用される。これらの実施形態では、医用画像データ、臨床データ、コード化されたデータ、および/または、EMFデータから導出された他の特徴あるいはメトリックは、個体における異常の存在を同定するように構成される機械学習アルゴリズムを訓練するために、入力として使用される。前記異常は、EMFが感知される臓器、または個体中の他の臓器または系に関係する場合がある。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、個体について異常スコアを判定するか、または予測するように構成される。
【0007】
本明細書において、心臓の虚血が個体において存在するかどうかを判定するように構成された診断システムが記載され、前記診断システムは:個体の心臓に関連付けられる電磁界の測定値を感知するように構成された電磁界センサ;電磁界センサに動作可能に結合されたプロセッサー;および、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを含むソフトウェアを用いてコード化された非一時的なコンピューター可読記憶媒体であって、ここで、前記ソフトウェアは、プロセッサーによって実行可能であり、該プロセッサーに:電磁界センサからの電磁界測定値を受信させ;および虚血が個体の心臓に存在するかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは個体が冠状動脈閉塞を有するかどうかをプロセッサーに判定させるようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が50%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が50%超かつ70%未満であると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が70%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が70%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が90%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1つの陰性のトロポニン値を有する。いくつかの実施形態では、個体は正常な心電図を有する。いくつかの実施形態では、電磁界センサがセンサアレイ内に配置される。いくつかの実施形態では、電磁界センサは、光励起磁力計型の、または超伝導量子干渉装置型のセンサを含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールは、集団内の複数の個体から感知された複数の電磁界値を含む、蓄積されたデータへのアクセスを有する。いくつかの実施形態では、蓄積されたデータは、複数の個体に関連付けられる複数の健康データ値を含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールは、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータへのアクセスを有する。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータは、心臓に関するデータを含む。いくつかの実施形態では、心臓に関するデータは、個体の心臓に関連付けられる電磁界を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサーは電磁気の測定値を波形に翻訳するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、プロセッサーに、個体を処置するための、または、臨床的決断への支援を提供するための、治療あるいは一連の措置を判定させるように、さらに構成される。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、患者のためのトリアージの経路を判定するようにさらに構成される。
【0008】
診断の方法が本明細書で提供され、該診断の方法は、プロセッサーと訓練された機械学習ソフトウェアモジュールとを含む感知装置に動作可能に結合された電磁界センサからの、個体の心臓に関連付けられる電磁界測定値を、受け取る工程と;プロセッサーを使用して、電磁界測定値に基づいて、個体の心臓における虚血の存在を判定する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは個体が冠状動脈閉塞を有するかどうかをプロセッサーに判定させるようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が50%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が50%超かつ70%未満であると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が70%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が70%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、冠状動脈閉塞は、閉塞の程度が90%を超えていると判定される。いくつかの実施形態では、個体は、少なくとも1つの陰性のトロポニン値を含む。いくつかの実施形態では、個体は正常な心電図を有する。いくつかの実施形態では、感知装置は、センサアレイを含み、および電磁界センサが前記アレイ内に配置される。いくつかの実施形態では、電磁界センサは、光励起磁力計型の、または超伝導量子干渉装置型のセンサを含む。いくつかの実施形態では、方法は、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールによって、集団内の複数の個体から感知された複数の電磁界値を含む、蓄積されたデータへアクセスする工程を含む。いくつかの実施形態では、蓄積されたデータは、複数の個体に関連付けられる複数の健康データ値を含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールによって、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータへアクセスする工程を含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために使用されるデータは、心臓に関連するデータを含む。いくつかの実施形態では、心臓に関連するデータは、個体の心臓に関連付けられる電磁界を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサーは、電磁界の測定値を波形へと翻訳するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、プロセッサーに、個体を処置するための、または、臨床的決断への支援を提供するための、治療あるいは一連の措置を判定させるように、さらに構成される。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、患者のためのトリアージの経路を判定するようにさらに構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
特許または特許出願のファイルは、色付きで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーが、必要な料金の請求および支払い後に当該事務局によって提供される。本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲で説明される。本発明の特徴と利点をより良く理解するには、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と添付図面とを参照されたい。
【
図1A】
図1Aと
図1Bは、ニューラルネットワーク内のデータのフローの観点からニューラルネットワーク・アーキテクチャーの概要の例を示す。
【
図1B】
図1Aと
図1Bは、ニューラルネットワーク内のデータのフローの観点からニューラルネットワーク・アーキテクチャーの概要の例を示す。
【
図2】典型的な機械学習ソフトウェアモジュールを表わす模式図を示す。
【
図3】EMFを感知し、および分析をするための典型的な装置の模式的な表現を示す。
【
図4】デジタル処理装置を含むシステムの典型的な実施形態の模式図を示す。
【
図5A】
図5Aと
図5Bは、個体の胸の近傍内に配置した、複数のOPMセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図5B】
図5Aと
図5Bは、個体の胸の近傍内に配置した、複数のOPMセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図6A】
図6Aと
図6Bは、個体の胸の近傍内に配置した、複数のSQUIDセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図6B】
図6Aと
図6Bは、個体の胸の近傍内に配置した、複数のSQUIDセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図7A】
図7Aと
図7Bは、胎児の近傍内に配置した、複数のOPMセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図7B】
図7Aと
図7Bは、胎児の近傍内に配置した、複数のOPMセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図8A】
図8Aと
図8Bは、胎児の近傍内に配置した、複数のSQUIDセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図8B】
図8Aと
図8Bは、胎児の近傍内に配置した、複数のSQUIDセンサから感知されたEMFデータの例を示す。
【
図9】健康な成人の心臓の磁気活性化の3つの時空間活性化表現を示す。
【
図10】DNNにより受け取られた心臓に関するEMFデータの模式的な表現を示しており、前記DNNは、そのEMFデータXの再構築を出力するように構成されている。
【
図11】本明細書に記載される1つ以上の装置およびソフトウェアを含むようにさらに構成された、本明細書に記載される典型的なシステムを示す。
【
図12A】
図12Aと
図12Bは、それぞれ、EMF感知分析システムを使用した、陰性のスキャン結果を示しており、ここで、
図12Aは、第1の被験者の試験結果に対応する。
【
図12B】
図12Aと
図12Bは、それぞれ、EMF感知分析システムを使用した、陰性のスキャン結果を示しており、ここで、
図12Bは、第2の被験者の試験結果に対応する。
【
図13A】
図13Aと
図13Bは、それぞれ、EMF感知分析システムを使用した、陽性のスキャン結果を示しており、ここで、
図13Aは、第1の被験者の試験結果に対応する。
【
図13B】
図13Aと
図13Bは、それぞれ、EMF感知分析システムを使用した、陽性のスキャン結果を示しており、ここで、
図13Bは、第2の被験者の試験結果に対応する。
【
図14】CAとSTの結果と比較された、EMF感知分析のスキャン結果の模式的表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
個体に関連付けられるEMFデータを感知し、および分析することによって個体における異常を判定するための、システム、装置、ソフトウェア、および方法が、本明細書に記載される。より具体的には、異常、疾患、または前疾患状態の存在について個体の心臓を評価するためのシステム、装置、ソフトウェア、および方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、EMFセンサによって感知されるEMFは、虚血が心臓の組織に存在するかどうかを判定するように構成された機械学習アルゴリズムによって分析される。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、CADを示す冠状動脈狭窄が存在するかどうかを判定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、冠状動脈閉塞の程度もしくはその重篤度のレベルを評価するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、装置、ソフトウェア、および方法は、システム、装置、ソフトウェア、および方法によりCADを持つと判明した個体の評価において、付加的な工程として使用されるべき診断モダリティを特定するように、さらに構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、装置、ソフトウェア、および方法は、個体のための治療を特定するように構成される。
【0011】
ソフトウェアモジュール
1つ以上のEMFのセンサにより感知された、感知EMFデータは、機械学習ソフトウェアアルゴリズム(本明細書では機械学習ソフトウェアモジュールとも呼ばれる)を含むソフトウェアモジュールにより受け取られ、分析される。
【0012】
一般的に、本明細書に記載されるソフトウェアモジュールは、コンピューター可読であり、かつ実行可能のコードを含む。様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミングオブジェクト、プログラミング構造、またはそれらの組み合わせを含む。さらに様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、コードの複数のセクション、複数のプログラミングオブジェクト、複数のプログラミング構造、またはそれらの組み合わせを含む。様々な実施形態において、1つ以上のソフトウェアモジュールは、限定されないが、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、およびスタンドアロンアプリケーションを含む。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータープログラムまたはアプリケーション中にある。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1より多くのコンピュータープログラムまたはアプリケーション中にある。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは1つのマシン上でホストされる(hosted)。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは1より多くのマシン上でホストされる。さらなる実施形態において、ソフトウェアモジュールは、クラウドコンピューティングプラットフォーム上でホストされる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは1つの位置にある1つ以上のマシン上でホストされる。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1より多くの場所にある1つ以上のマシン上でホストされる。
【0013】
一般的に、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、データを受け取り、データを分析し、および出力を生成するように構成される。機械学習ソフトウェアモジュールによって生成された出力の非限定的な例は、異常、疾患状態、不均衡、診断、予後、健康状態の変動の予測、予防的治療を含む治療の提案、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、感知されたEMFデータを分析し、かつ前記検知データに基づいた仮説関数を生成するように構成される。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールによって生成される仮説関数は、いくつかの実施形態では、個体から感知され、および機械学習ソフトウェアモジュールへと入力されたEMFに基づいて個体における異常の存在を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールによって生成される仮説関数は、個体から感知され、および機械学習ソフトウェアモジュールへと入力されたEMFに基づいて、個体の予後を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、仮説関数は個体から感知され、および機械学習ソフトウェアモジュールへと入力されたEMFに基づいて、個体のための治療の提案を判定するように構成され、ここで、前記治療は、1つ以上の、存在する異常に対する処置、および異常の発現の予防を行なう。機械学習ソフトウェアモジュールによるEMFデータの分析は、いくつかの実施形態では、感知されたEMFデータに関連付けられる異常を特定することを含む。例えば、本明細書に記載される機械学習アルゴリズムは、個体から感知されたEMFデータを受け取り、および前記個体がうっ血性心不全を患っていることを判定するために、前記データ分析する場合がある。
【0015】
例えば、1つ以上のニューラルネットワークを利用する機械学習アルゴリズムなどの機械学習アルゴリズムを使用して、EMFデータを分析するように構成された機械学習ソフトウェアモジュールが、本明細書において記載される。ニューラルネットワークは、入力データセットと目標データセットの関係を学習することができる一種の計算システムである。ニューラルネットワークは、ヒト神経系(例えば、認知システム)のソフトウェア表現であり、ヒトによって使用されるような「学習」および「般化」の能力を獲得することを意図される。ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、畳み込みニューラルネットワークを含む、ニューラルネットワークを含む。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアの実施形態の構成要素の非限定的な例は、次のものを含む:(深層)畳み込みニューラルネットワーク、(深層)回帰型ニューラルネットワーク、(深層)膨張(dilated)畳み込みニューラルネットワーク、(深層)全結合(fully connected)ニューラルネットワーク、深層生成モデル、および(深層)(制限)ボルツマンマシン。
【0016】
本明細書に記載されるソフトウェアアプリケーションとシステムのいくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは回帰型ニューラルネットワーク・ソフトウェアモジュールを含む。回帰型ニューラルネットワーク・ソフトウェアモジュールは、継続的なEMFの測定値などのシーケンシャルデータを入力として受け取り、および、回帰型ニューラルネットワーク・ソフトウェアモジュールは、時間ステップ毎に内部状態を更新するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、教師あり、または教師なし学習法を含み、例えば、SVM、ランダムフォレスト、クラスタリングアルゴリズム、アルゴリズム、勾配ブースティング、ロジスティク回帰、ディシジョンツリー、などが挙げられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、CNN、RNN、膨張CNN、全結合ニューラルネットワーク、深層生成モデル、および、深層制限ボルツマンマシンを含む、ニューラルネットワークを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは「ニューロン」と呼ばれる一連の層から成る。ニューラルネットワークにおける典型的なニューロンは、
図1Aで示される。
図1Bで例示されるように、ニューラルネットワークの実施形態では、データが与えられる入力層と;1つ以上の内部層、または「隠れ(hidden)」層と;出力層と、がある。ニューロンは、結合の強さを制御するパラメータである重み(weight)を有する結合を介して、他の層のニューロンへと結合され得る。各層におけるニューロンの数は、解決される問題の複雑さに関係し得る。層において必要とされるニューロンの最小数は問題の複雑さによって決定される場合があり、また、最大数は、ニューラルネットワークの般化する能力によって制限される場合がある。入力ニューロンは、与えられたデータからデータを受け取り、および、結合の、訓練の間に修正される重みを通して、第1の隠れ層にそのデータを送信する場合がある。第1の隠れ層はデータを処理し、および、重みが加えられた結合の第2のセットを通して次の層にその結果を送信する場合がある。続く層は各々、前の層からより複雑な関係の中へ結果を「プール(pool)する」場合がある。加えて、従来のソフトウエアプログラムは、関数を実行する特殊なインストラクションを書くことが必要であったのに対し、ニューラルネットワークは、既知のサンプル・セットを用いてそれを訓練すること、および、出力値などの所望の出力をもたらすように、訓練の間に(および後に)それ自体に自らを修正させることと、によってプログラムされる。訓練の後、ニューラルネットワークが新しい入力データを与えられる時、訓練の間に「学習された」ものを般化するように構成され、および、新しい、今まで見られていない入力データに対して、その入力に関連付けられる出力を生成するために、訓練から学習されたものを適用する。
【0020】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、深層畳み込みニューラルネットワークなどの、ニューラルネットワークを含む。畳み込みニューラルネットワークが使用されるいくつかの実施形態では、ネットワークは、任意の数の、畳み込み層、膨脹層(dilated layers)、または全結合層で構築される。いくつかの実施形態では、畳み込み層の数は1~10の間であり、および、膨脹層の数は0~10の間である。いくつかの実施形態では、畳み込み層の数は1~10の間であり、および、全結合層の数は0~10の間である。
【0021】
図2は、機械学習ソフトウェアモジュールの典型的な実施形態を表わすフローチャートを示す。この典型的な実施形態では、個体の生のEMF(240)は、MFCCの特徴(245)を抽出するために使用され、該特徴は深層学習モジュールの中へ供給される。機械学習ソフトウェアモジュールは、膨脹畳み込みニューラルネットワークの2つのブロック(250)と(260)を含む。各ブロックは、膨張率がD=1、2、4、8、16の、5つの膨脹畳み込み層を有する。ブロックの数、および各々のブロックにおける層の数は、増減する場合があり、そのため、
図2に描写された構成に限定されない。
【0022】
訓練フェーズ
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、少なくとも1つの訓練フェーズを経験するように構成され、該訓練フェーズでは、機械学習ソフトウェアモジュールは、データ抽出、データ分析、および出力生成を含む1つ以上のタスクを行なうように訓練される。
【0023】
本明細書に記載されるソフトウェアアプリケーションのいくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、機械学習ソフトウェアモジュールを訓練する訓練モジュールを含む。訓練モジュールは、機械学習ソフトウェアモジュールに訓練データ提供するように構成され、前記訓練データは、例えば、EMF測定値および対応する異常データを含む。付加的な実施形態では、前記訓練データは、対応するシミュレートされた異常データを伴ったシミュレートされたEMFデータから成る。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態において、機械学習ソフトウェアモジュールは、どの特徴をEMF測定値から抽出するか、および/または、分析するかを決定するために、データの自動統計分析を利用する。これらの実施形態のいくつかにおいて、機械学習ソフトウェアモジュールは、その機械学習ソフトウェアモジュールが受ける訓練に基づいて、どの特徴をEMFから抽出および/または分析するかを決定する。
【0024】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、教師あり学習と記載され得る方法で、データセットと目標を使用して訓練される。これらの実施形態では、通常、データセットは、訓練セット、テスト・セット、場合により、バリデーション・セットに分割される。データセット中の各入力値の適切な分類を含有している目標が指定される。例えば、1つ以上の個体からの一組のEMFデータセットは、機械学習ソフトウェアモジュールに繰り返し与えられ、および、訓練中に与えられた各サンプルについて機械学習ソフトウェアモジュールによって生成された出力は、所望の目標と比較される。目標と入力サンプルのセットとの間の差は計算され、および、機械学習ソフトウェアモジュールは、出力を所望の目標値に対してより厳密に近似させるように改変される。いくつかの実施形態では、出力を所望の目標値に対してより厳密に近似させるために、バックプロパゲーションアルゴリズムが利用される。訓練反復の多くの回数の後、機械学習ソフトウェアモジュールの出力は、入力用訓練セット中の各サンプルについての所望の目標と厳密に一致することになる。その後、訓練中に使用されなかった新規入力データが機械学習ソフトウェアモジュールに与えられた場合、それは新規サンプルが属する可能性が最もありそうなカテゴリーの出力分類値を生成する場合がある。機械学習ソフトウェアモジュールは、その訓練から、新しく、今までに見られていない入力サンプルへと「般化」することができると言われている。機械学習ソフトウェアモジュールのこの特徴は、割り当てられるべきカテゴリーとの関係を数学的に定式化可能なほとんどあらゆる入力データを分類するために、それが使用されることを可能にする。
【0025】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは個体学習モデルを利用する。個体学習モデルは、単一の個体からのデータ上で訓練した機械学習ソフトウェアモジュールに基づき、従って、個体学習モデルを利用する機械学習ソフトウェアモジュールは、それが訓練されたデータが由来する単一の個体に使用されるように構成される。
【0026】
本明細書に記載される機械訓練ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態では、機械訓練ソフトウェアモジュールはグローバル訓練モデルを利用する。グローバル訓練モデルは、複数の個体のデータ上で訓練した機械訓練ソフトウェアモジュールに基づき、従って、グローバル訓練モデルを利用する機械訓練ソフトウェアモジュールは、複数の患者/個体に使用されるように構成される。
【0027】
本明細書に記載される機械訓練ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態では、機械訓練ソフトウェアモジュールは、シミュレートされた訓練モデルを利用する。模擬訓練モデルは、模擬された(simulated)EMF測定値からのデータ上で訓練された機械訓練ソフトウェアモジュールに基づく。模擬訓練モデルを利用する機械訓練ソフトウェアモジュールは多数の患者/個体に使用されるように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、EMFデータの可用性が変わると、訓練モデルの使用が変わる。例えば、機械訓練ソフトウェアモジュールを所望の精度まで訓練するために利用可能な適切な患者データの量が不十分である場合、模擬訓練モデルが使用されてもよい。このことは、関連付けられる異常を伴う適切なEMF測定値が最初はわずかしか利用可能でないため、実施の初期において特に該当し得る。追加データが利用可能になれば、訓練モデルはグローバルまたは個体モデルに変わり得る。いくつかの実施形態では、訓練モデルの混合は、機械訓練ソフトウェアモジュールを訓練するために使用され得る。例えば、訓練データの要件を満たすために、多数の患者のデータと模擬データの混合を利用して、模擬訓練モデルとグローバル訓練モデルが使用されてもよい。
【0029】
教師なし学習は、いくつかの実施形態では、例えば、EMFデータなどの入力データを使用して、診断または異常などを出力するように、機械訓練ソフトウェアモジュールを訓練するために使用される。教師なし学習は、いくつかの実施形態では、入力データ上に機械学習ソフトウェアモジュールによって実行される特徴抽出を含む。抽出された特徴は、視覚化のために、分類のために、後の教師あり訓練のために、および、より一般的には、後の蓄積用または分析用に入力を表わすために、使用されてもよい。場合によっては、各々の訓練事例が複数のEMFデータから成る場合がある。
【0030】
教師なし訓練に普通に使用される機械学習ソフトウェアモジュールは、k平均(k-means)クラスタリング、混合多項分布、アフィニティプロパゲーション(Affinity Propagation)、離散因子分析、隠れマルコフモデル、ボルツマンマシン、制限ボルツマンマシン、オートエンコーダ、畳み込みオートエンコーダ、回帰型ニューラルネットワーク・オートエンコーダ、および、長・短期記憶オートエンコーダを含む。多くの教師なし学習モデルがあるが、それらはすべて、訓練のために、関連付けられるラベルなしの、生物学的シークエンスから成る訓練セットを必要とすることが共通している。
【0031】
機械学習ソフトウェアモジュールは、訓練フェーズおよび予測フェーズを含む場合がある。訓練フェーズは、機械学習アルゴリズムを訓練するために、典型的にデータを提供される。訓練のために機械学習ソフトウェアモジュールの中へ入力されるデータのタイプの非限定的な例は、医用画像情報、臨床データ(例えば、健康記録からの)、コード化されたデータ、コード化された特徴、または、電磁界から導出されたメトリックを含む。機械学習ソフトウェアモジュールに入力されるデータは、いくつかの実施形態では、異常の存在を判定する、仮説関数を構築するために使用される。いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、仮説関数の結果が得られたかどうかを判定し、および、その分析に基づいて、当該仮説関数を構築したデータに関して判定を下すように、構成される。すなわち、結果は、仮説関数が構築されたデータに関して仮説関数を強化するか、または、仮説関数が構築されたデータに関して仮説機能を否定するか、のどちらかの傾向がある。これらの実施形態では、その結果が仮説関数によって判定されるある結果にどれくらい接近している傾向があるかに依存して、機械学習アルゴリズムは、仮説関数が構築されたデータに関して、仮説関数を採用、調節、または廃棄のいずれかを行なうことになる。したがって、本明細書に記載される機械学習アルゴリズムは、患者のEMFの特徴が何らかの異常を示しているかどうかを判定することにおいて、入力(例えば、データ)のどの特性がもっとも予測に役立つか、訓練フェーズを通じて動的に学習する。
【0032】
例えば、機械学習ソフトウェアモジュールは、例えば、動作し続けるために、受け取られたEMFデータの最も顕著な特徴を判定することができるように訓練するためのデータを提供される。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、あらかじめ定義されたインストラクションを使用して、EMFデータを分析するのではなく、EMFデータをいかに分析するかについて訓練する。したがって、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、EMFの特徴が何らかの異常を示しているかどうかを判定することにおいて、入力信号のどの特性がもっとも予測に役立つかを、訓練を通じて動的に学習する。
【0033】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、例えば、異常データと一緒に、EMFデータを繰り返し機械学習ソフトウェアモジュールに与えることによって訓練される。用語「異常データ」は、臓器、組織、身体、あるいはそれらの部分における異常の存在または非存在に関するデータを含むことを意図する。可能な場合、異常に関連するあらゆる疾患、障害、または疾病が異常データに含まれている。例えば、高血圧症、虚血、または息切れの症状を示す被験体に関する情報は、異常データとして含まれている。被験体の何らかの不規則な健康状態がないことに関する情報も、異常データとして含まれている。EMFデータがコンピューターシミュレーションによって生成される場合、異常データは、臓器、組織、身体、またはそれらの部分を模擬するために使用される追加データとして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の異常が異常データに含まれる。付加的な実施形態では、2つ以上の疾病、疾患、または障害が、異常データに含まれている。
【0034】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールがEMFデータを与えられ、異常の存在を判定するように依頼された時、訓練は始まる。次に、予測された異常は、EMFデータに対応する実際の異常データと比較される。勾配降下法とバックプロパゲーションなどの最適化技術は、機械学習ソフトウェアモジュールによって異常確率と異常の存在の間のより近似した一致をもたらすように、機械学習ソフトウェアモジュールの各層における重みを更新するために使用される。ネットワークの正確さが所望のレベルに達するまで、このプロセスは、新しいEMFデータおよび異常データを用いて反復される。いくつかの実施形態では、異常データは、さらに異常のタイプと位置を含む。例えば、異常データは、異常が存在すること、および、前記異常が心臓の左心室の虚血であることを示す場合がある。この場合、機械学習ソフトウェアモジュールが、対応するEMFデータを与えられ、異常のタイプと位置を判定するように依頼された時、訓練は始まる。最適化技術は、機械学習ソフトウェアモジュールによる異常データと実際の異常データの間のより近似した一致をもたらすように、機械学習ソフトウェアモジュールの各層における重みを更新するために使用される。ネットワークの正確さが所望のレベルに達するまで、このプロセスは、新しいEMFデータおよび異常データを用いて反復される。いくつかの実施形態では、異常データは、識別された異常に関連付けられる、既知の、起因もしくは関連する疾患、障害、または疾病をさらに含む。例えば、異常データは、被験体が心房粗動および冠動脈疾患を患っていることを示す場合がある。このような場合、機械学習ソフトウェアモジュールが、対応するEMFデータを与えられ、および、疾病、障害、または疾患の存在を判定するように依頼された時、訓練は始まる。次に、出力データは、EMFデータに対応する実際の異常データと比較される。最適化技術は、機械学習ソフトウェアモジュールによって予想された異常の確率と実際の異常データの間のより近似した一致をもたらすように、機械学習ソフトウェアモジュールの各層における重みを更新するために使用される。ネットワークの正確さが所望のレベルに達するまで、このプロセスは、新しいEMFデータおよび異常データを用いて反復される。上記の与えられた適切な異常データによる訓練の後、機械学習モジュールはEMFの測定値を分析し、および、異常の存在、前記異常のタイプと位置、さらにそのようなものに関連付けられる疾病を判定することができる。
【0035】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールのいくつかの実施形態において、機械学習ソフトウェアモジュールは、EMFデータを受け取り、被験体の異常の確率を直接判定し、ここで、異常の確率は、EMFの測定値が被験体の異常に関係している確率を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、対応する異常データを伴う、単一の、ある期間にわたる連続的なEMF測定値上で訓練される。このことは、機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために入手可能な訓練データの量を大幅に増加させ得る。例えば、随伴する異常データを備えたN個の連続する10秒のセグメントから成るEMF記録からは、少なくともN*N対の、そのような訓練用のセグメントを生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、個体の異常データはそのシステムの個体によって入力される。いくつかの実施形態では、個体の異常データは個体以外のエンティティによって入力される。いくつかの実施形態では、エンティティは、医療提供者、医療従事者、家族、または、知人であり得る。付加的な実施形態では、エンティティは、EMF測定値を分析し、および生理学的な異常に関係するデータを提供する、本明細書に記載されるシステム、装置、または付加的なシステムであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、訓練データを収集するための方策は、機械学習ソフトウェアモジュールのための幅広い訓練データセットを提供するためにEMF測定値が様々な疾病を表わすことを保証するように提供されることである。例えば、設定された時間中の規定数の測定値は、訓練データセットの一区画として必要な場合がある。さらに、これらの測定値は、測定値の間で設定された長さの時間を持っているように規定され得る。いくつかの実施形態では、被験体の身体状態の差異を伴って得られたEMF測定値が訓練データセットに含まれていることがある。身体状態の例は、加速された心拍数と強められた脳シグナル伝達を含む。付加的な例は、投薬影響下の、または医療的処置中の被験体EMFデータの分析を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、訓練データは、被験体によって実行されたEMF測定値のランダムにオーバーラップした区分を抽出することによって生成される場合がある。いくつかの実施形態では、訓練の例は、被験体から独立した測定記録、モデル、またはアルゴリズムによって提供され得る。訓練測定値における被験体と非被験体のいかなる混合または比率も、システムを訓練するために使用することができる。例えば、ネットワークは、1被験体の測定値から抽出された5つのEMFセグメントを使用して訓練されてもよく、および別の被験体の記録から得られた15,000のEMFセグメントを使用して訓練されてもよい。訓練データは、2つの異なる方法を使用して取得され得る。第1の方法は、被験者の胸の上でEMF測定値を直接測定することである。第2の方法は、心臓の正確な電気解剖学的モデルを作成することを含んでいる。この電気解剖学的モデルは、健康および病気の両方の被験体のEMF測定値を生成するために使用され得る。その測定値はビオサバールの法則の適用により取得される。これは、空間における所与のポイントにおいて、電流の特定の動きによって引き起こされる磁界ベクトルを計算する。EMFの測定値が取得または計算された後、それらは、病変組織の存在と位置の両方が記載された分類標識を伴ってネットワークに与えられる。
【0040】
一般的に、機械学習アルゴリズムは、医用画像、および/または臨床データ、および/または1つ以上のEMF測定値からコード化されたデータ、および/または対応するグラウンドトルース値を備えた前記データから計算された何らかの特徴またはメトリック、の大きな患者データベースを使用して訓練される。訓練フェーズは、医用画像、および/または臨床データ、および/または1つ以上のEMF測定値からコード化されたデータ、および/または未知の患者からの前記データから計算された何らかの特徴またはメトリックを使用することによって、未知の患者の臓器、組織、身体、またはそれらの部分における異常の可能性を予測するために変換関数を構築する。したがって、機械学習アルゴリズムは、患者のEMFデータの特徴が何らかの異常を示しているかどうかを判定することにおいて、入力信号のどの特性がもっとも予測に役立つかを、訓練を通じて動的に学習する。予測フェーズは、未知の患者の臓器、組織、身体、またはそれらの部分における異常の可能性を予測するために医用画像、および/または臨床データ、および/または1つ以上のEMF測定値からコード化されたデータ、および/または前記未知の患者データから計算された何らかの特徴またはメトリックを使用することによって、訓練フェーズで構築されかつ最適化された変換関数を使用する。
【0041】
予測フェーズ
訓練の後で、機械学習アルゴリズムは、予測フェーズを使用して、そのシステムがそれについて訓練された、例えば、異常の有無を判定することに、使用される。適切な訓練データにより、システムは、異常の位置とタイプ、およびそのような異常に関連付けられる現在の疾病を同定することができる。例えば、EMF測定値は被験体の脳から得られ、および、そのEMF測定値に由来する適切なデータは、機械学習アルゴリズムを使用する本記載の訓練されたシステムに、分析のために、提出される。これらの実施形態では、機械学習ソフトウェアアルゴリズムは、癲癇に関連付けられる異常を検知する。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、例えば、個体のEMF測定に基づき、個体において癲癇と関連づけられる脳の領域を局地化するように、解剖学的領域をさらに局地化する。
【0042】
付加的な例では、被験体が動脈の虚血を患っていることが既知であり、および、投薬による処置の前後にEMF測定値が記録される。医用画像、および/または臨床データ、および/またはは、EMF測定値からコード化されたデータ、および/または前記データから導出された特徴および/またはメトリックは、予測フェーズを使用して異常な血流についての投薬の有効性を判定するために本記載の訓練された機械学習アルゴリズムを使用するシステムに、分析のために、提出される。
【0043】
予測フェーズは、未知の患者の臓器、組織、身体、またはそれらの部分における異常の可能性を予測するために医用画像、および/または臨床データ、および/またはEMF測定値からコード化されたデータ、および/または前記未知の患者データから計算された何らかの特徴またはメトリックを使用することによって、訓練フェーズで構築されかつ最適化された仮説関数を使用する。
【0044】
いくつかの実施形態において、予測フェーズでは、機械学習ソフトウェアモジュールは、本明細書に記載される任意のシステムまたは装置とは無関係に、そのEMF測定値に由来するデータを分析するために使用され得る。これらの例では、新規のデータ記録は、被験体の異常の存在を判定するために必要とされるよりも長いシグナルウィンドウをもたらす場合がある。いくつかの実施形態では、より長いシグナルは、適切なサイズに、例えば10秒に、カットされ、次に、新しい患者データの異常の可能性を予測するために予測フェーズにおいて使用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、確率閾値は、与えられた記録が訓練された異常と一致するかどうかを判定するために、最終確率と共に使用され得る。いくつかの実施形態では、確率閾値は、訓練されたネットワークの感度を調整するために使用される。例えば、確率閾値は、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%であってもよい。いくつかの実施形態では、精度、感度、または特異性が、あらかじめ定められた調整閾値より下にある場合、確率閾値は調整される。いくつかの実施形態では、調整閾値は、訓練期間のパラメータを判定するために使用される。例えば、確率閾値の正確さが調整閾値より下にある場合、システムは訓練期間を延長する、および/または、さらなる測定および/または異常データを要求する、場合がある。いくつかの実施形態では、付加的な測定および/または異常データは訓練データ中に含めることができる。いくつかの実施形態では、付加的な測定値および/または異常データは、訓練データセットを洗練するために使用され得る。
【0046】
入力データ
本明細書に記載されるように、機械学習ソフトウェアモジュールは、例えば、異常の存在を判定するためにどのようにEMFを分析するかに関して機械学習ソフトウェアモジュールを訓練するために、典型的にはデータ(入力)を提供される。入力データは、出力を生成するためにも機械学習ソフトウェアモジュールによって使用される。
【0047】
本明細書に記載される機械学習アルゴリズムの入力は、いくつかの実施形態において、EMFセンサを含む装置またはシステムによって機械学習アルゴリズムに伝送されたデータである。本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法のいくつかの実施形態では、電磁気センサからの入力として機械学習アルゴリズム・ソフトウェアモジュールによって受け取られるデータは、例えば、テスラなどの、測定値の標準単位で表現されたEMFデータを含む場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、感知されたEMFデータは、個体の身体によって生成された多数の様々な電流に基づく、個体の身体によって生成された、全、または総EMFを含む。すなわち、いくつかの実施形態では、1つ以上のEMFセンサが、個体全体に関連付けられ、および、単一の臓器、組織、身体、またはそれらの部分に特異的でないEMFを含むEMFを感知する。同様に、いくつかの実施形態では、個体の一部に関連付けられるが、単一の臓器、組織、身体、またはそれらの一部に特異的でない、EMFが、個体から感知される。
【0049】
いくつかの実施形態では、感知されたEMFデータは、個体または個体の身体の一部の近傍にあるEMFを含み、および、単一の臓器、臓器系、または組織に関連付けられるEMFを含む。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のEMFセンサが個体の胸および個体の心臓の近傍に配置され、個体の心臓に関連付けられるEMFを感知する。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のEMFセンサは、個体の頭部近くに配置され、個体の脳に関連付けられるEMFを感知する。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のEMFのセンサが個体の胸の近傍に配置され、および個体の心肺系(すなわち、心臓と肺)に関連付けられるEMFを感知する。
【0050】
いくつかの実施形態では、機械学習ソフトウェアモジュールは、入力として、コード化されたある長さのEMFデータのを受け取り、および入力データのウィンドウ長を決定するように構成される。例えば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態における、機械学習ソフトウェアモジュールへの入力は、100秒のコード化されたEMFデータであり、および、機械学習ソフトウェアモジュールは、試験のために100秒のデータサンプルの内の10秒の区分を選択する。いくつかの実施形態では、その入力は複数の入力へ分けられ、それらの入力の任意の数が独立して分析される。これらの任意の数の分析が、最終出力を判定するために使用されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置、システム、または方法は、個体に関連付けられるデータを含むデータを感知および/または受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、データは、本明細書に記載される装置、システム、または方法の構成要素である電磁界センサによって感知される。いくつかの実施形態では、データは、ソフトウェアアルゴリズムも含む装置、システム、または方法の構成要素であるEMF以外のソースによる、本明細書に記載される前記ソフトウェアアルゴリズムへのデータ伝送によって受け取られる。すなわち、データは、いくつかの実施形態では、ソフトウェアアルゴリズムを含む装置、システム、または方法から遠隔のソースから受け取られる。いくつかの実施形態では、受け取られるデータは、保存データを含む。いくつかの実施形態では、受け取られるデータは、ソフトウェアモジュールによって生成されるデータを含む。一般的に、感知および/または受け取られたデータは、本明細書に記載される機械学習アルゴリズムへの入力を含む。入力は、機械学習アルゴリズムを訓練するために使用され、および/または、分析あるいは予測を実行するために機械学習アルゴリズムによって使用される。
【0052】
本明細書に記載されるデータは、EMFデータも、個体に関連付けられる他の情報も、同様に含む。本明細書に記載される、入力として機械学習アルゴリズムに使用されるデータの非限定的な例は、医療記録(例えば、電子健康記録)、診断、臨床検査値、バイタルサイン、予後、心電図、放射線医学画像(超音波、CTスキャン、MRI、およびX線を含む)、脳波、および病理報告を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるタイプのデータは本明細書に記載されるソフトウェアアルゴリズムによって結合され、および/または、関連付けられる。
【0053】
EMFデータは、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるソフトウェアアルゴリズムによって使用される他のタイプのデータを生成するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、EMFデータは、いくつかの実施形態において磁界マップ(MFM)を使用して得られる医用画像データを生成するために使用される。いくつかの実施形態では、EMFデータは擬似電流密度(Pseudo-Current Density)(PCD)マップを使用して、医用画像データを生成するために使用される。いくつかの実施形態では、EMFデータは時空間活性化グラフ(Spatio-Temporal Activation Graph)(STAG)を使用して、医療データを生成するために使用される。
【0054】
EMFデータは、いくつかの実施形態において、MCG、MEG、およびMGGの測定値などの臨床データを生成するために使用される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソフトウェアアルゴリズムへの入力は、データの他の形態にコード化されるEMFデータ、および、例えば、MFCCなどの、コード化されたデータから計算される特徴またはメトリックを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソフトウェアアルゴリズムへの入力は、コンピューターによって生成される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソフトウェアアルゴリズムへの入力は、コンピューターシミュレーションによって生成されたデータを含む。いくつかの実施形態では、コンピューターシミュレーションは、臓器または他の組織(皮膚、骨、および血液を含む)の画像または他の表現を生成する。いくつかの実施形態では、コンピューターシミュレーションは、例えば、血液、リンパ、または胆汁などの体液の流れの画像または表現を生成する。いくつかの実施形態では、コンピューターシミュレーションは、電流の流れの画像または表現を生成する。コンピューターシミュレーションによって生成されるさらなる入力の非限定的な例は、医療記録(例えば、電子健康記録)、診断、臨床検査値、バイタルサイン、予後、心電図、放射線医学画像(超音波、CTスキャン、MRI、およびX線を含む)、脳波、および病理報告を含む。
【0057】
データフィルタリング
本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法のいくつかの実施形態において、入力として機械学習アルゴリズム・ソフトウェアモジュールによって磁気センサから受け取られるデータは、フィルタリングおよび/または修正されているEMFデータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、フィルタリングは、感知した電磁界データからのノイズまたはアーティファクトの除去を含む。例えば、アーティファクトまたはノイズは、個体から感知した電磁気データと共に感知される周囲の電磁気信号を含み得る。
【0058】
本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法のいくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、プロセッサーへの上記データの送信前および/または送信後にフィルタリングされる。感知したEMFデータのフィルタリングは、例えば、感知したEMFデータからの周囲の信号ノイズの除去を含むことがある。例えば、信号ノイズは、例えば、電子装置、地球の磁気圏、送電網、または他の個体(つまり、EMFデータが標的とされている個体ではない)によって生成される周囲のEMFデータを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、データまたは信号の別の形態に変換され、その後、信号フィルタリング処理を受ける。いくつかの実施形態において、装置またはシステムは、感知したEMFデータをデータまたは信号の別の形態に変換するように構成される、ソフトウェアを含むプロセッサーを含む。感知したEMFデータをデータまたは信号の別の形態に変換するプロセスは、典型的にコード化プロセスを含み、ここで、データの第1の形態は、データまたは信号の第2の形態に変換される。
【0060】
いくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、フィルタリングプロセスを受ける音声信号へとコード化される。いくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、音声信号、または代替的に、音声信号の形態学を有する信号へとコード化される。
【0061】
いくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、1つ以上のメル周波数ケプストラム係数(「MFCC」)に由来する、メル周波数ケプストラムへとさらに処理される音声信号へとコード化される。メル周波数ケプストラム(「MFC」)は、音の短期パワースペクトルを表わす。それは、周波数の非線形のメル尺度での対数パワースペクトルの線形コサインの変換に基づく。メル周波数のケプストラム係数(「MFCC」)は集団的にMFCを構成する。これらは音声のケプストラム表現のタイプに由来する。MFCでは、通常のケプストラムにおいて使用される線形間隔周波数帯域と比較して、周波数帯域はメル尺度で等しく間隔があけられる。この等しく間隔があけられた周波数帯域は、音声のより良い表現を可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態において、感知したEMF信号は、感知したEMFデータを、音声信号、または音声信号波の形態学を有する信号へと変換し、その後、MFCCを生成することによってフィルタリングされる。
【0063】
MFCCは、重要なコンテンツとバックグラウンドノイズとを区別することができる、音声信号の成分を識別する際に役立つ。
【0064】
一般的に、感知したEMFデータに由来する音声信号をフィルタリングするための以下の工程を含む:第1工程で、音声信号は短いフレームへと形成される。第2工程で、各フレームについてのパワースペクトルのピリオドグラム推定値が計算される。第3工程で、メルフィルタバンクがパワースペクトルに適用され、各フィルターにおけるエネルギーが合計される。第4工程で、すべてのフィルタバンクエネルギーの対数が決定され、対数フィルタバンクエネルギーのDCTが計算される。第5工程で、最初の20のDCT係数だけが保持され、残りは廃棄される。
【0065】
一旦フィルタリングされると、フィルタリングされたデータは分析のために機械学習アルゴリズムに送信される。本明細書に記載されるアルゴリズムは、人体組織の生理学的健康を分類および特徴づけることができる。アルゴリズムは、入力データを分析し、前述のセンサによって記録された臓器中の病変組織の存在および位置を判定するように設計される。
【0066】
装置およびシステム
いくつかの実施形態において、EMFデータは装置またはシステムを使用して感知される。いくつかの実施形態において、装置またはシステムは1つ以上のEMFセンサを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、該装置またはシステムは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールを含むように構成される。これらの実施形態のいくつかにおいて、装置またはシステムは、装置ドライバまたはシステムの一部として含まれない機械学習ソフトウェアモジュールへと感知したEMFを送信するように構成される。磁気センサを使用して感知されるEMFデータは、細胞、組織、および/または例えば、個体の心臓などの個体の臓器を通る電流の通過に関連する磁気データを含む。一般に、デジタル処理装置を含む装置およびシステムが本明細書に記載される。
【0067】
本明細書に記載される装置およびシステムのいくつかの実施形態において、装置および/またはシステムは、本明細書に記載されるソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されるデジタル処理装置を含む。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、装置の機能を実行する1つ以上のハードウェア中央処理装置(CPU)または汎用グラフィック処理装置(GPGPU)を含む。またさらなる実施形態では、デジタル処理装置は、実行可能な命令を行うように構成された操作オペレーティングシステムをさらに含む。いくつかの実施形態では、デジタル処理装置は、コンピューターネットワークに随意に接続される。さらなる実施形態では、デジタル処理装置はワールド・ワイド・ウェブにアクセスするようにインターネットに随意に接続される。またさらなる実施形態では、デジタル処理装置は、クラウド・コンピューティング・インフラストラクチャーに随意に接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、イントラネットに随意に接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、データ記憶装置に随意に接続される。
【0068】
本明細書の記載に従って、適切なデジタル処理装置は、限定されないが、サーバコンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ノートブックコンピューター、サブノートブックコンピューターコンピューター、ネットブックコンピューター、ネットパッドコンピューター、ハンドヘルドコンピューター、およびタブレットコンピューターを含む。
【0069】
いくつかの実施例では、デジタル処理装置は、実行可能な命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムを含んでいる。オペレーティングシステムは、例えば、装置のハードウェアを制御し、アプリケーションの遂行のためのサービスを提供する、プログラムおよびデータを含むソフトウェアである。適切なオペレーティングシステムの非限定的な例は、FreeBSD、OpenBSD、NetBSDR(登録商標)、リナックス(登録商標)、Apple(登録商標)Mac OS X Server(登録商標)、Oracle(登録商標)、Solaris(登録商標)、Windows Server(登録商標)、およびNovell(登録商標)、NetWare(登録商標)を含む。当業者は、適切なパーソナルコンピューター運用システムが、限定されないが、Microsoft(登録商標)、Windows(登録商標)、Apple(登録商標)Mac OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、及び、GNU/Linux(登録商標)などのUNIXのような運用システムを含むことを認識するであろう。いくつかの実施形態において、オペレーティングシステムは、クラウドコンピューティングによって提供される。
【0070】
いくつかの実施形態では、デジタル処理装置は、記憶装置および/またはメモリ装置を含んでいる。記憶装置および/またはメモリ装置は、一時的または永久的にデータまたはプログラムを記憶するために使用される1つ以上の物理的な機器である。いくつかの実施形態において、装置は揮発性メモリであり、記憶した情報を維持するための電力を必要とする。いくつかの実施形態において、装置は不揮発性メモリであり、デジタル処理装置に電力が供給されないときに記憶した情報を保持する。さらなる実施形態において、不揮発性メモリはフラッシュメモリを含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)を含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)を含む。他の実施形態において、装置は、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ装置、磁気ディスクドライブ、磁気テープ、光ディスクドライブ、およびクラウドコンピューティングベースの記憶装置を含む記憶装置である。さらなる実施形態において、記憶装置および/またはメモリ装置は、本明細書に開示されるものなどの装置の組み合わせである。
【0071】
いくつかの実施例では、デジタル処理装置は、被験体へ視覚情報を送るためのディスプレイを含む。いくつかの実施形態において、デジタル処理装置は、対象から情報を受け取るための入力装置を包含する。いくつかの実施形態において、入力装置はキーボードである。いくつかの実施形態において、入力装置は、非限定的な例として、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ゲームコントローラ、またはスタイラスを含むポインティング装置である。いくつかの実施形態において、入力装置はタッチスクリーンまたはマルチタッチスクリーンである。他の実施形態において、入力装置は、声または他の音入力を捕らえるマイクロホンである。他の実施形態では、入力装置は、動作入力または視覚入力を捉えるためのビデオカメラあるいは他のセンサである。またさらなる実施形態において、入力装置は本明細書に開示されるものなどの装置の組み合わせである。
【0072】
図3は、EMFを感知および分析するための例示的な装置の概略図を示す。患者の臓器はEMF(370)を放射し、それは、その後、EMFの検出器(375)から取得される。その後、データは、デジタル信号処理モジュール(380)によって処理、フィルタリング、および分析され、それにより、ノイズを除去し(もしあれば)、データから重要な情報を抽出する。その後、処理したデータは、膨張畳み込みニューラルネットワークからなるディープラーニングモジュール(385)に送られる。ディープランニングモジュールは、虚血を検知し、臓器(490)の特定の領域に局在化する。
【0073】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、メディア、および方法は、クラウドコンピューティング環境を含む。いくつかの実施形態において、クラウドコンピューティング環境は、複数のコンピューティングプロセッサを含む。
【0074】
図4は、デジタル処理装置(401)を含む、本明細書に記載されるシステムの例示的な実施形態を示す。デジタル処理装置(401)は、電磁界を分析して被験体の疾病を判定するなどのデータ分析を実施するように構成されるソフトウェアアプリケーションを含む。デジタル処理装置(401)は、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールの訓練を含む、機械学習ソフトウェアモジュールを含むソフトウェアアプリケーションを実行するように構成される。この実施形態では、デジタル処理装置(401)は、シングルコアまたはマルチコアプロセッサ、あるいは並列処理のための複数のプロセッサーであり得る、中央処理装置(CPU、さらに本明細書の「プロセッサー」および「コンピュータープロセッサ」)(405)を含む。デジタル処理装置(401)は、メモリまたは記憶場所(410)(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(415)(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(420)(例えば、ネットワークアダプタ)、およびキャッシュなどの周辺機器(425)のいずれかを含む。メモリ(410)、記憶装置(415)、インターフェース(420)、および周辺機器(425)は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU(405)と通信するように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル処理装置(401)は、通信インターフェイス(420)の助けを借りて、コンピューターネットワーク(「ネットワーク」)(430)に動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、ネットワーク(430)はインターネットを含む。いくつかの実施形態では、ネットワーク(430)は、電気通信および/またはデータネットワークである。
【0075】
CPU(405)は、ソフトウェアアプリケーションまたはモジュールにおいて具現化される機械可読命令を実行するように構成される。この命令は、メモリ(410)などのメモリ位置に保存され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、記憶装置(415)は、被検者データ(例えば、被験体の好み、被験体プログラム、および被験体のEMFデータ)などのファイルを保存するように構成される。
【0077】
本明細書に記載される方法は、例えば、メモリ(410)または電子記憶装置(415)などのデジタル処理装置(401)の電子記憶装置の場所に保存された機械(例えば、コンピュータープロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアアプリケーションまたはソフトウェアモジュールの形態で提供されてもよい。使用中に、コードはプロセッサ(405)によって実行され得る。いくつかの場合では、コードは、電子記憶装置(415)から取得され、プロセッサ(405)による容易なアクセスのためのメモリ(410)に保存することができる。いくつかの状況において、電子記憶装置(415)は除外することができ、マシン実行可能命令がメモリ(410)に保存される。
【0078】
リモート装置(435)は、デジタル処理装置(401)と通信するように構成され、任意のモバイルコンピューティング装置を含んでもよく、その非限定的な例は、タブレットコンピューター、ラップトップコンピューター、スマートフォン、またはスマートウォッチを含む。いくつかの実施形態において、リモート装置(435)は、統合センサを含むか、または代替的に、EMFデータを感知するように構成されるセンサに結合されてもよい。
【0079】
本明細書に記載する装置、システム、ソフトウェア、および方法のいくつかの実施形態において、感知したEMFデータは、磁気センサから、受け取ったEMFデータを分析するように構成された機械学習アルゴリズムでコード化されるコンピューティング装置上のプロセッサーに直接送信される。
【0080】
データを感知、分析、および任意にフィルタリングするためのソフトウェアモジュールが本明細書に記載される。本明細書に記載される1つ以上のソフトウェアモジュールを含むソフトウェアは、例えば、EMFセンサを含む1つ以上のセンサを含む、装置またはシステムの構成要素であってもよい。このセンサは、生理活性中に特定の臓器によって自然に放射される磁界を記録する。そのような臓器は、脳、心臓、または肝臓を含み得る。いくつかの実施形態において、このセンサは、対象の臓器上で生体磁気計測を実施するのに適した磁力計、フラックスゲート、または超伝導量子干渉計(SQUID)の形態をとることがある。より具体的には、電磁界を感知することができるいかなるセンサ、または複数のセンサも、本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法との使用に適している。
【0081】
本明細書に記載される装置およびシステムのいくつかの実施形態において、装置は、測定ツールとしての光ポンピング磁力計(OPM)などのセンサを含み、いくつかの実施形態では、閉じた(closed)ポンピングレーザーと結合された非放射性自己完結型アルカリ金属細胞、および光検出器セットアップを利用して、微小磁界を測定する。本明細書に記載される装置およびシステムのいくつかの実施形態において、装置およびシステムは、nxnアレイ(または、グリッド)のOPM、あるいは代替的幾何学形態を利用して、例えば、実施形態によっては、ピックアップ電子機器(pickup electronics)を使用してデジタル化される、胸部領域などの個体の身体の一部にわたるn個の離散的な箇所で磁界データを収集する。
【0082】
OPMは、微小磁界を測定するために、閉じたポンピングレーザーと結合された非放射性自己完結型アルカリ金属細胞、および光検出器セットアップを利用するように典型的に構成される。これらの生体磁界を検出するために典型的に使用される超伝導量子干渉計(SQUID)と比較して、OPMセンサは、非常に小さく、典型的には極低温冷却を使用する必要はない。
【0083】
地球の磁界は自然に、地球上のどこにでも存在し、振幅は約50マイクロテスラである。OPMの性能は、地球の周囲磁界の存在下において、少なくとも2つの例示的方法で強化される。1つ目のOPMを強化する技術では、地球の磁界を表わす基準値をベクター減算の一部として使用して、OPMにおける対象の信号を単離する。2つ目の技術は、OPMのアクティブノイズキャンセルのためのグラジオメーターの使用を含む。
【0084】
本明細書に記載される装置およびシステムのいくつかの実施形態で利用されるようなセンサアレイ構成は、カスタムアレイ構成を含む。いくつかの実施形態において、センサアレイ構成は、個体の解剖学的形態にカスタマイズされる。いくつかの実施形態において、センサアレイ構成は、胸部位置または頭部位置などの、測定される個体の位置にカスタマイズされる。いくつかの実施形態において、センサアレイ構成は、装置が取得するようにプログラムされる測定タイプにカスタマイズされる。いくつかの実施形態において、センサアレイ構成は、シールドおよび/またはアーム動作可能に結合されるようにカスタマイズされる。いくつかの実施形態において、センサアレイ構成は異なるアレイ構成と交換可能であり、つまり、ユーザが交換して実施することができる。いくつかの実施形態では、アレイ構成は、深さを有し、約20cm~約50cmまたは約10cm~約60cmの半径を含むアーク(一般に湾曲した形状など)を含む。いくつかの実施形態では、アーク構成などのアレイ構成は、1つ以上の可変磁力計間距離および可変センサ密度を含む。いくつかの実施形態では、アレイ構成は、凹面構造(頭部または胸部などの身体部位のまわりを包むか、あるいは形成するように構成される凹面構造など)を含む。1つ以上の磁力計は、少なくとも凹面構造の表面の一部に配置される。いくつかの実施形態では、凹面アレイ構成は、1つ以上の可変磁力計間距離および可変センサ密度を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、センサアレイはnxnセンサである。いくつかの実施形態において、センサアレイは、2×2アレイまたは4×4アレイなどの2D長方形アレイである。いくつかの実施形態において、センサアレイは、2×1アレイまたは4×1アレイなどの2D非長方形アレイである。いくつかの実施形態において、センサアレイは、アークまたは凹面構造に配置したセンサの3Dアレイなどの円形アレイあるいは半円アレイである。いくつかの実施形態において、センサアレイは、2Dアレイまたは3Dアレイである。いくつかの実施形態において、センサアレイのセンサは、x、y、およびzの座標を含む。いくつかの実施形態では、アレイは、nxn=1×1などの単一のセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは、nxn=2×1などの2つのセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは3つのセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは4つのセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは9つのセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは16のセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは25のセンサを含む。いくつかの実施形態では、アレイは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはそれ以上のセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは8つのセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは16のセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは、単一のハウジングに収容された単一のセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは、複数のセンサ構成または変更可能なセンサ構成を有するハウジングなどの単一のハウジングに収容された複数のセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは、複数のハウジングに収容された複数のセンサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイは、複数のセンサ、別個のハウジングに収容された各センサを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイの第1のセンサと第1のセンサが異なる。いくつかの実施形態において、センサアレイの第1のセンサと第2のセンサが同じである。いくつかの実施形態において、センサアレイの各センサは特有である。いくつかの実施形態において、センサアレイの各センサは同一である。いくつかの実施形態において、センサアレイ内のセンサのサブセットは特有である。いくつかの実施形態において、センサアレイ内のセンサのサブセットは同一である。センサアレイ内のセンサの空間的位置は、ユーザなどによって調整可能であるか、またはコントローラーによって自動化される。いくつかの実施形態において、センサアレイ内のセンサの空間的位置は固定されている。いくつかの実施形態において、センサアレイ内のセンサの数は、アプリケーションに基づいて選択される。いくつかの実施形態において、センサアレイ内のセンサの数は、測定のタイプまたは測定の位置に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、アレイは、単一のチャネルアレイまたはマルチチャネルアレイを含む。いくつかの実施形態において、センサアレイのセンサの数を増加することは、アレイによって得られる測定の分解能を増大させる。いくつかの実施形態において、センサのセンサアレイは、実質的に互いに隣接するか近位にあるなど、密集している。センサのアレイは、互いに間隔を有するなど、まばらな間隔で配置される。いくつかの実施形態において、センサアレイのセンサのサブセットは、密集している。いくつかの実施形態において、センサアレイのセンサのサブセットは、まばらな間隔または密な間隔で配置される。いくつかの実施形態において、センサの密集するサブセットの任意の2つのセンサの中心点は、約5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.5、0.1センチメートル(cm)以下の間隔で配置される。いくつかの実施形態において、密集するセンサの中心点は、中心点から中心点まで、約0.1cm~約2.0cm、約0.1cm~約1.5cm、または約1.0cm~約2.0cmの間隔で配置される。いくつかの実施形態において、センサの散在するサブセットの任意の2つのセンサの中心点は、約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、8、10cm以下の間隔で配置される。いくつかの実施形態において、散在するセンサの中心点から中心点まで、約1.5cm~約3cm、約2cm~約5cm、約2.5cm~約8cmの間隔で配置される。いくつかの実施形態において、中心点は、中心軸などのセンサの中心位置である。いくつかの実施形態において、円形センサの中心点は、すべての他のエッジ点が等しい距離にある中心点である。
【0086】
いくつかの実施形態において、密集するアレイは、1.5cm未満の磁力計間の配置を示す一方、約1.5cm以上の磁力計配置は、散在するアレイを構成する。
【0087】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、センサ、またはセンサのセンサアレイを収容するように構成される。いくつかの実施形態において、ハウジングは、ハウジング内のセンサ間隔の単一の構成に適応するように構成される。いくつかの実施形態において、ハウジングは、ハウジング内のセンサ間隔の複数の構成に適応するように構成される。いくつかの実施形態において、ハウジングは、(i)密な間隔またはまばらな間隔などのセンサ間隔の調節、あるいは(ii)アレイ内のセンサの数の変更に適応する。いくつかの実施形態において、ハウジングは、複数のアレイおよびアレイ構成のための普遍的なハウジングである。
【0088】
いくつかの実施形態において、センサは、磁界の存在を感知するか、または磁界のパラメータを測定するように構成される。いくつかの実施形態では、センサは、ルートヘルツ(fT/√Hz)当たり約10フェムトテスラの磁界の対する感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約1fT/√Hz~約20fT/√Hzの感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約5fT/√Hz~約15fT/√Hzの感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約0.1fT/√Hz~約30fT/√Hzの感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約0.5fT/√Hz~約12fT/√Hzの感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約1fT/√Hz~約15fT/√Hzの感度を含む。いくつかの実施形態では、センサは、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20fT/√Hzの感度を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、センサは、測定値を収集するために極低温冷却などの冷却要素を必要としない。いくつかの実施形態において、センサは、華氏(F)約30度~華氏約110度の温度範囲にわたって測定値を収集する。いくつかの実施形態において、センサは、華氏約50度~華氏約110度の温度範囲にわたって測定値を収集する。いくつかの実施形態において、センサは、冷却要素を必要とせず、約1秒~約5時間の期間にわたって測定値を収集する。いくつかの実施形態において、センサは、冷却要素を必要とせず、約1秒~約1時間の期間にわたって測定値を収集する。いくつかの実施形態において、センサは、冷却要素を必要とせず、約1秒~約30分の期間にわたって測定値を収集する。
【0090】
いくつかの実施形態では、ノイズ源は磁界の強さを含む。いくつかの実施形態では、ノイズ源の磁界の強度は、テスラ(T)の単位で測定される。いくつかの実施形態では、環境ノイズなどのノイズは、約100ナノテスラ(nT)未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約1000nT未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約500nT未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約200nT未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約120nT未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約80nT未満の磁界強度を含む。いくつかの実施形態では、地球の磁界などのノイズ源は、約50マイクロテスラ(mT)の磁界の強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約40mT~約60mTの磁界の強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、約10mT~約100mTの磁界の強度を含む。いくつかの実施形態では、ノイズは、振幅成分、周波数成分、またはそれらの組み合わせを含み、および、いくつかの実施形態では、直流(DC)、交流(AC)、またはその2つの組み合わせである両方の源を含む。
【0091】
典型的な応用
本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、研究および医療の現場を含む、多くの異なる応用において使用され、ここで、システム、方法、および装置とソフトウェアは個体の状態を評価するために使用され、ある場合には個体が持っている疾病について診断を供給する。疾病は、異常(前疾患の疾病を含む)と疾患状態の両方を同様に含み得る。本明細書に記載されるシステム、方法、装置と、ソフトウェアによって評価される典型的な疾患のタイプは、心臓病および神経疾患と胃腸疾患を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法は、個体のEMFの感知および分析に続いて個体に実行する次の診断工程のために、例えば、診断の達成を支援する付加的な診断検査またはモダリティなどの提案を提供する。示唆された診断モダリティの非限定的な例は、画像化、血液検査、および伝導モニタリング(例えば、ECGおよびEEG)を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置、システム、ソフトウェア、および方法は、個体のEMFの感知および分析に続いて、個体に提供されるべき処置についての提案を提供する。
【0094】
(a)心疾患
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、心疾患について個体を評価するために使用される。本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアによって評価された心疾患の非限定的な例は、CAD、不整脈、およびうっ血性心不全を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、CADについて個体を評価するために使用される。これらの実施形態では、個体の心臓に関連付けられるEMFが感知され、および、感知された個体のEMFに基づき、CADに関して個体のステータスが判定される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、判定は冠動脈疾患が個体において存在するかどうかに関してなされる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、判定は存在するCADの重篤度に関してなされる。判定された重篤度は、いくつかの実施形態において、「重度」、「中度」、「軽度」を含む。重篤度は、いくつかの実施形態において、1つ以上の冠血管の閉塞の程度を含む。例えば、いくつかの実施形態では、個体は、90%を超える左前下行枝(LAD)動脈の閉塞、80%を超えるLADの閉塞、70%を超えるLADの閉塞、60%を超えるLADの閉塞、または、50%を超えるLADの閉塞があると判定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、前CAD状態の存在、またはその個体に冠動脈疾患に進展するリスクがあることを判定する。例えば、いくつかの実施形態では、ある個体が中度から重度のCADに進展する90%超のリスク、中度から重度のCADに進展する80%超のリスク、中度から重度のCADに進展する70%超のリスク、中度から重度のCADに進展する60%超のリスク、を有することが判定される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、急性期医療の現場において胸痛がある個体を評価するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、原因不明の左側の胸痛がある個体は、CADを有することから除外される。例えば、いくつかの実施形態では、原因不明の左側の胸痛がある個体は、CADを有すると判定される。いくつかの実施形態では、正常なECGおよび/または少なくとも1つの正常なトロポニンレベルがある個体は、本明細書に記載されるシステム、装置、方法、およびソフトウェアによって評価され、およびCADを有するか又はCADを有さないかのいずれか、CADを有する見込みが高いか、CADを有さない見込みが高いか、判定する。
【0097】
より具体的には、本明細書に記載されるシステムは、個体の心臓の近傍に位置する少なくとも1つのEMFセンサ(または複数のEMFのセンサ、またはアレイに配置された複数のEMFセンサ)を含む。いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つのEMFセンサを環境EMF読み取りから遮蔽するためのシールドをさらに含む。いったん、少なくとも1つのセンサがEMFを感知すると、感知されたEMFは、本明細書に記載される機械学習アルゴリズムを含むソフトウェアによって分析され、および、個体の心臓の状態に関して判定がなされる。いくつかの実施形態では、分析プロセスは、本明細書に記載されるソフトウェアによってEMFの視覚的表現を生成することを含み、該視覚的表現は次に分析される。いくつかの実施形態では、磁気双極子のばらつきを伴わない規則的なパターンを示す感知されたEMFは、個体における正常所見、個体におけるCADの不在、または、CADが存在する見込みが少ないことを表わす。いくつかの実施形態では、不規則なパターンの磁極のばらつきを示す感知されたEMFは、個体における異常所見、個体におけるCADの存在、またはCADが存在する見込みが高いことを表わす。いくつかの実施形態では、双極子角度におけるずれ、または磁界マップにおける有意な混乱(例えば、三極子)は、より大きな程度の脈管狭窄(すなわち、CADのより大きな程度)を示す。
【0098】
いくつかの実施形態では、処置についての提案が提供される。CADのために示唆される処置の非限定的な例は、保存処置(例えば、食事および/または運動を改善する)、コレステロールを低下させる処置、血管を拡張する投薬、リズムを調整する投薬、ステント術を含む血管内の介入、およびバイパス術を含む。
【0099】
(b)神経系疾患
他の実施形態では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、外傷性障害および卒中から起因する異常を含む神経系疾患について個体を評価するために使用される。本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアによって評価される神経系障害の非限定的な例は、癲癇、卒中、外傷性脳損傷、外傷性脊椎損傷、脳炎、脳膜炎、腫瘍、アルツハイマー病、パーキンソン病、運動失調、および、統合失調症と鬱と双極性障害とを含む精神障害を含む。
【0100】
(c) 胃腸疾患
他の実施例では、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアは、胃腸管、肝臓(胆管系を含む)、および膵臓を含む胃腸系のいかなる構成要素のいかなる疾患または障害をも含む胃腸疾患について個体を評価するために使用される。本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアによって評価される胃腸障害の非限定的な例は、消化器癌(胃腸管、肝臓、および膵臓の腫瘍を含む)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患、運動不全障害、胆石、大腸炎、胆管炎、肝不全、膵臓炎、および胃腸系感染症を含む。
【0101】
方法
本明細書に記載される任意の装置、システム、および/またはソフトウェアは、方法の1つ以上の工程で使用されるように構成されるか、または方法の1つ以上の工程によって補足されることが理解されなければならない。
【実施例】
【0102】
心臓分析
図5Aは、個体の胸部に近接して、したがって、個体の心臓に近接して配置される複数のOPMセンサから感知したEMFデータの例を示す。感知したEMFは、個体の心臓の細胞によって生成される電流と関連する。この特定の例において、感知したEMFデータは、個体の胸部に近接して配置される複数のOPMセンサを使用した58歳の男性からのものである。波形500は、EM単位でEMFデータを含み(Y軸上に示される)、上記データは秒単位で経時的に感知される(X軸上に示される)。
【0103】
より具体的には、波形(500)は、個体の胸部に近接して配置された複数のOPMセンサから感知される複数の波形を含む。
図5Aの例では、複数の波形は、個体の胸部に対して異なる位置に配置される。この例では、1つ以上のOPMセンサはセンサアレイに配置され、ここで、該センサアレイそれ自体が個体の胸部に近接して配置され、複数のOPMセンサの各々が個体の胸部に対して異なる位置にある(1つ以上のOPMセンサは、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアの他の実施形態における他の構成に配置することができ、必ずしもアレイに配置される必要がないことが理解されなければならない)。この例では、波形(500)は、3つの別個の波形(502)、(504)、および(506)を含む。波形(502)、(504)、および(506)はそれぞれ、標準ECGで見られるような単一のPQRST複合体に対応する。したがって、波形(502)、(504)、および(506)はそれぞれ、個々の分極および脱分極心周期(polarization and depolarization cardiac cycle)、または1心拍に対応する。
【0104】
図5Bは、複数の単一のEMFの波形(複数の個々の波形を含む
図5Aの単一の波形と比較して)の例を示す。
図5Bの例では、波形あるいはトレーシング(508)および(510)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知されるそれぞれのEMF信号を表わす。これらの例において、EMFデータは、
図5Aの例のような複数のOPMセンサを使用して、同じ58歳の男性から感知される。
図5Bの例では、トレーシング(508)および(510)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知される単一の波形を表わすトレースであり、および、トレーシング(508)および(510)の各々が、個体の胸部(したがって、心臓)に対して異なる位置にある異なるOPMからそれぞれ感知されるEMF信号に対応するという点で少なくとも部分的に異なる。すなわち、トレーシング(508)は、第1のOPMセンサから感知される第1のEMF信号に対応し、トレーシング(510)は、第2のOPMセンサから感知される第2のEMF信号に対応し、第1および第2のOPMセンサの各々は個体の心臓に対して異なる位置にある。
【0105】
従来のECGトレーシングでは、個体の身体上の異なる位置に配置される10の電極は、12のECGトレーシングを産生し、各々が心臓についての異なる「ビュー」に対応する。特定のECGリードは、各ECGトレーシングが、1つ以上のECG電極と個体の心臓の間との異なる空間的関係に対応するという点で、心臓についての特定の「ビュー」に対応する。
【0106】
従来のECGトレースと同様に、トレーシング(508)および(510)の各々は、個体の胸部に対する1つ以上のEMFセンサの位置に基づいて、心臓についての異なる「ビュー」を表す。すなわち、個体の心臓を介して移動する電流は、異なる位置で異なるEMFを生成し、そのため、そのEMFを感知するセンサの位置に基づいて、異なって見えるトレーシングを結果としてもたらす。トレーシング(508)および(510)はそれぞれ、PQRST複合体(512)(または、示されるように、複数のPQRST複合体)を含む。
【0107】
図5Aおよび5Bからの例示的なデータは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールへの入力として提供される。機械学習ソフトウェアモジュールは、入力を受け取り、および、個体に関する入力データ(入力と同時に受け取られる個体に関連するデータ、ならびに入力前または入力後に受け取られる個体に関連するデータを含む)が、
図5Aおよび5Bの例で示される感知したEMFデータに関連するように、多数の方法でデータを相互に関連付ける。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、個体の年齢(これらの例において、58歳)および性別(これらの例において、男性)をトレーシング(500)、(508)、および(510)の1つ以上と相関させる。機械学習ソフトウェアモジュールが入力とも相関すると決定し得る、個体に関連する追加データが提供されてもよい。追加データの非限定的な例は、診断、薬物、検査結果、および個体からの他のEMF感知データを含む、個体に関する健康記録を含む。
【0108】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、この個体からのデータを相互に関連付ける方法、および個体の異常の存在を認識し、および/または個体を異常の発生を予測するために使用される仮説関数を生成するように他の個体のデータを相互に関連付ける方法をさらに決定する。
【0109】
図6Aは、個体の胸部に近接して、したがって個体の心臓に近接して配置された複数のSQUIDセンサから感知されるEMFデータの例を示す。感知したEMFは、個体の心臓の細胞によって生成される電流と関連する。この特定の例において、感知されるEMFデータは、個体の胸部に近接して配置された複数のSQUIDセンサを使用した58歳の男性からのものである。波形(600)は、EM単位でEMFデータを含み(Y軸上に示される)、上記データは秒単位で経時的に感知される(X軸上に示される)。
【0110】
より具体的には、波形(600)は、個体の胸部に近接して配置された複数のSQUIDセンサから感知される複数の波形を含む。
図6Aの例では、複数の波形は、個体の胸部に対して異なる位置に配置される。この例では、1つ以上のSQUIDセンサはセンサアレイに配置され、ここで、該センサアレイそれ自体が個体の胸部に近接して配置され、複数のSQUIDセンサの各々が個体の胸部に対して異なる位置にある(1つ以上のSQUIDセンサは、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアの他の実施形態における他の構成に配置することができ、必ずしもアレイに配置される必要がないことが理解されなければならない)。この例では、波形(600)は、3つの別個の波形(602)、(604)、および(606)を含む。波形(602)、(604)、および(606)はそれぞれ、標準ECGで見られるような単一のPQRST複合体に対応する。したがって、波形(602)、(604)、および(606)はそれぞれ、個々の分極および脱分極心周期または1心拍に対応する。
【0111】
図6Bは、複数の単一のEMFの波形(複数の個々の波形を含む
図6Aの単一の波形と比較して)の例を示す。
図6Bの例では、波形あるいはトレーシング(608)および(610)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知されるそれぞれのEMF信号を表わす。これらの例において、EMFデータは、
図6Aの例のような複数のSQUIDセンサを使用して、同じ58歳の男性から感知される。
図6Bの例では、トレーシング(608)および(610)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知される単一の波形を表わすトレースであり、および、トレーシング(608)および(610)の各々が、個体の胸部(したがって、心臓)に対して異なる位置にある異なるSQUIDからそれぞれ感知されるEMF信号に対応するという点で少なくとも部分的に異なる。すなわち、トレーシング(608)は、第1のSQUIDセンサから感知される第1のEMF信号に対応し、トレーシング(610)は、第2のSQUIDセンサから感知される第2のEMF信号に対応し、第1および第2のSQUIDセンサの各々が個体の心臓に対して異なる位置にある。
【0112】
従来のECGトレーシングでは、個体の身体上の異なる位置に配置される10の電極は、12のECGトレーシングを産生し、各々が心臓についての異なる「ビュー」に対応する。特定のECGリードは、各ECGトレーシングが、1つ以上のECG電極と個体の心臓の間との異なる空間的関係に対応するという点で、心臓についての特定の「ビュー」に対応する。
【0113】
従来のECGトレースと同様に、トレーシング(608)および(610)の各々は、個体の胸部に対する1つ以上のEMFセンサの位置に基づいて、心臓についての異なる「ビュー」を表す。すなわち、個体の心臓を介して移動する電流は、異なる位置で異なるEMFを生成し、そのため、そのEMFを感知するセンサの位置に基づいて、異なって見えるトレーシングを結果としてもたらす。トレーシング(608)および(610)はそれぞれ、PQRST複合体(612)(または、示されるように、複数のPQRST複合体)を含む。
【0114】
図6Aおよび6Bからの例示的なデータは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールへの入力として提供される。機械学習ソフトウェアモジュールは、入力を受け取り、および、個体に関する入力データ(入力と同時に受け取られる個体に関連するデータ、ならびに入力前または入力後に受け取られる個体に関連するデータを含む)が、
図6Aおよび6Bの例で示される感知したEMFデータに関連するように、多数の方法でデータを相互に関連付ける。
【0115】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、個体の年齢(これらの例において、58歳)および性別(これらの例において、男性)をトレーシング(600)、(608)、および(610)の1つ以上と相関させる。機械学習ソフトウェアモジュールが入力とも相関すると決定し得る、個体に関連する追加データが提供されてもよい。追加データの非限定的な例は、診断、薬物、検査結果、および個体からの他のEMF感知データを含む、個体に関する健康記録を含む。
【0116】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、この個体からのデータを相互に関連付ける方法、および個体の異常の存在を認識し、および/または個体を異常の発生を予測するために使用される仮説関数を生成するように他の個体のデータを相互に関連付ける方法をさらに決定する。
【0117】
図7Aは、胎児の心臓に近接して配置された複数のOPMセンサから感知されるEMFデータの例を示す。この特定の例において、感知されるEMFデータは、胎児に近接して配置された複数のOPMセンサを使用して、39週間と6日齢の胎児から感知される。波形(700)は、EM単位でEMFデータを含み(Y軸上に示される)、上記データは秒単位で経時的に感知される(X軸上に示される)。
【0118】
より具体的には、波形(700)は、個体の胸部に近接して配置された複数のOPMセンサから感知される複数の波形を含む。
図7Aの例では、複数の波形は、個体の胸部に対して異なる位置に配置される。この例では、1つ以上のOPMセンサはセンサアレイに配置され、ここで、該センサアレイそれ自体が個体の胸部に近接して配置され、複数のOPMセンサの各々が個体の胸部に対して異なる位置にある(1つ以上のOPMセンサは、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアの他の実施形態における他の構成に配置することができ、必ずしもアレイに配置される必要がないことが理解されなければならない)。この例では、波形(700)は、3つの別個の波形(702)、(704)、および(706)を含む。波形(702)、(704)、および(706)はそれぞれ、標準ECGで見られるような単一のPQRST複合体に対応する。したがって、波形(702)、(704)、および(706)はそれぞれ、個々の分極および脱分極心周期または1心拍に対応する。
【0119】
図7Bは、複数の単一のEMFの波形(複数の個々の波形を含む
図7Aの単一の波形と比較して)の例を示す。
図7Bの例では、波形あるいはトレーシング(708)、(710)、および(714)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知されるそれぞれのEMF信号を表わす。これらの例において、EMFデータは、
図7Aの例のような複数のOPMセンサを使用して、同じ39週と6日齢の胎児から感知される。
図7Bの例では、トレーシング(708)、(710)、および(714)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知される単一の波形を表わすトレースであり、および、トレーシング(708)、(710)、および(714)の各々が、胎児の胸部(したがって、心臓)に対して異なる位置にある異なるOPMからそれぞれ感知されるEMF信号に対応するという点で、少なくとも部分的に異なる。すなわち、トレーシング(708)は、第1のOPMセンサから感知される第1のEMF信号に対応し、トレーシング(710)は、第2のOPMセンサから感知される第2のEMF信号に対応し、第1および第2のOPMセンサの各々が胎児の心臓に対して異なる位置にある。
【0120】
従来のECGトレーシングでは、胎児の身体上の異なる位置に配置される10の電極は、12のECGトレーシングを産生し、各々が心臓についての異なる「ビュー」に対応する。特定のECGリードは、各ECGトレーシングが、1つ以上のECG電極と胎児の心臓の間との異なる空間的関係に対応するという点で、心臓についての特定の「ビュー」に対応する。
【0121】
従来のECGトレースと同様に、トレーシング(708)、(710)、および(714)の各々は、胎児の胸部に対する1つ以上のEMFセンサの位置に基づいて、心臓についての異なる「ビュー」を表す。すなわち、胎児の心臓を介して移動する電流は、異なる位置で異なるEMFを生成し、そのため、そのEMFを感知するセンサの位置に基づいて、異なって見えるトレーシングを結果としてもたらす。トレーシング(708)、(710)、および(714)はそれぞれ、PQRST複合体(712)(または、示されるように、複数のPQRST複合体)を含む。
【0122】
図7Aおよび7Bからの例示的なデータは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールへの入力として提供される。機械学習ソフトウェアモジュールは、入力を受け取り、および、胎児に関する入力データ(入力と同時に受け取られる胎児に関連するデータ、ならびに入力前または入力後に受け取られる胎児に関連するデータを含む)が、
図7Aおよび7Bの例で示される感知したEMFデータに関連するように、多数の方法でデータを相互に関連付ける。
【0123】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、胎児とトレーシング(700)、(708)、(710)、および(714)の1つ以上を相関させる。機械学習ソフトウェアモジュールが入力とも相関すると決定し得る、胎児に関連する追加データが提供されてもよい。追加データの非限定的な例は、診断、薬物、検査結果、および胎児からの他のEMF感知データを含む、胎児に関する健康記録を含む。
【0124】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、この個体からのデータを相互に関連付ける方法、および胎児の異常の存在を認識し、および/または個体を異常の発生を予測するために使用される仮説関数を生成するように他の胎児のデータを相互に関連付ける方法をさらに決定する。
【0125】
図8Aは、胎児の心臓に近接して配置された複数のSQUIDセンサから感知されるEMFデータの例を示す。この特定の例において、感知されるEMFデータは、胎児に近接して配置された複数のSQUIDセンサを使用した39週間と6日齢の胎児からのものである。波形(800)は、EM単位でEMFデータを含み(Y軸上に示される)、上記データは秒単位で経時的に感知される(X軸上に示される)。
【0126】
より具体的には、波形(800)は、個体の胸部に近接して配置された複数のSQUIDセンサから感知される複数の波形を含む。
図8Aの例では、複数の波形は、個体の胸部に対して異なる位置に配置される。この例では、1つ以上のSQUIDセンサはセンサアレイに配置され、ここで、該センサアレイそれ自体が個体の胸部に近接して配置され、複数のSQUIDセンサの各々が個体の胸部に対して異なる位置にある(1つ以上のSQUIDセンサは、本明細書に記載されるシステム、方法、装置、およびソフトウェアの他の実施形態における他の構成に配置することができ、必ずしもアレイに配置される必要がないことが理解されなければならない)。この例では、波形(800)は、3つの別個の波形(802)、(804)、および(806)を含む。波形(802)、(804)、および(806)はそれぞれ、標準ECGで見られるような単一のPQRST複合体に対応する。したがって、波形(802)、(804)、および(806)はそれぞれ、個々の分極および脱分極心周期または1心拍に対応する。
【0127】
図8Bは、複数の単一のEMFの波形(複数の個々の波形を含む
図8Aの単一の波形と比較して)の例を示す。
図8Bの例では、波形またはトレーシング(808)、(810)、および(814)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知されるそれぞれのEMF信号を表わす。これらの例において、EMFデータは、
図8Aの例のような複数のSQUIDセンサを使用して、同じ39週と6日齢の胎児から感知される。
図8Bの例では、トレーシング(808)、(810)、および(814)はそれぞれ、同じ期間にわたって感知される単一の波形を表わすトレースであり、および、トレーシング(808)、(810)、および(814)の各々が、胎児の胸部(したがって、心臓)に対して異なる位置にある異なるSQUIDからそれぞれ感知されるEMF信号に対応するという点で、少なくとも部分的に異なる。すなわち、トレーシング(808)は、第1のSQUIDセンサから感知される第1のEMF信号に対応し、トレーシング(810)は、第2のSQUIDセンサから感知される第2のEMF信号に対応し、第1および第2のSQUIDセンサの各々が胎児の心臓に対して異なる位置にある。
【0128】
従来のECGトレーシングでは、胎児の身体上の異なる位置に配置される10の電極は、12のECGトレーシングを産生し、各々が心臓についての異なる「ビュー」に対応する。特定のECGリードは、各ECGトレーシングが、1つ以上のECG電極と胎児の心臓の間との異なる空間的関係に対応するという点で、心臓についての特定の「ビュー」に対応する。
【0129】
従来のECGトレースと同様に、トレーシング(808)、(810)、および(814)の各々は、胎児の胸部に対する1つ以上のEMFセンサの位置に基づいて、心臓についての異なる「ビュー」を表す。すなわち、胎児の心臓を介して移動する電流は、異なる位置で異なるEMFを生成し、そのため、そのEMFを感知するセンサの位置に基づいて、異なって見えるトレーシングを結果としてもたらす。トレーシング(808)、(810)、および(814)はそれぞれ、PQRST複合体(812)(または、示されるように、複数のPQRST複合体)を含む。
【0130】
図8Aおよび8Bからの例示的なデータは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールへの入力として提供される。機械学習ソフトウェアモジュールは、入力を受け取り、および、胎児に関する入力データ(入力と同時に受け取られる胎児に関連するデータ、ならびに入力前または入力後に受け取られる胎児に関連するデータを含む)が、
図8Aおよび8Bの例で示される感知したEMFデータに関連するように、多数の方法でデータを相互に関連付ける。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、例えば、胎児の年齢とトレーシング(800)、(808)、(810)、および(814)の1つ以上を相関させる。機械学習ソフトウェアモジュールが入力とも相関すると決定し得る、胎児に関連する追加データが提供されてもよい。追加データの非限定的な例は、診断、薬物、検査結果、および胎児からの他のEMF感知データを含む、胎児に関する健康記録を含む。
【0131】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、この胎児からのデータを相互に関連付ける方法、および胎児の異常の存在を認識し、および/または胎児を異常の発生を予測するために使用される仮説関数を生成するように他の胎児のデータを相互に関連付ける方法をさらに決定する。
【0132】
図9は、健康な成人の心臓の磁気活性化の3つの時空間活性化表現を示す。第1の時空間活性化表現(902)はバタフライプロットを含む。第2の時空間活性化表現(904)は、基底から頂点までの心臓の磁気活性化についての「ビュー」を含む。第3の時空間活性化表現(906)は、左から右までの心臓の磁気活性化についての「ビュー」を含む。
【0133】
図9の例示的なデータは、本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールへの入力として提供される。機械学習ソフトウェアモジュールは、入力を受け取り、および、データが取得された個体に関する入力データ(入力と同時に受け取られる個体に関連するデータ、ならびに入力前または入力後に受け取られる個体に関連するデータを含む)が、および他の感知したEMFデータに関連するように、多数の方法でデータを相互に関連付ける。本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、例えば、個体の年齢と個体に関連する他のデータを相関させる。機械学習ソフトウェアモジュールが入力とも相関すると決定し得る、個体に関連する追加データが提供されてもよい。追加データの非限定的な例は、診断、薬物、検査結果、および個体からの他のEMF感知データを含む、個体に関する健康記録を含む。
【0134】
本明細書に記載される機械学習ソフトウェアモジュールは、この個体からのデータを相互に関連付ける方法、および個体の異常の存在を認識し、および/または個体を異常の発生を予測するために使用される仮説関数を生成するように他の個体のデータを相互に関連付ける方法をさらに決定する。
【0135】
訓練および予測を実証する実施例
【0136】
訓練フェーズ:
ディープニューラルネットワーク(DNN)を含むニューラルネットワークの例において、DNNは、
図9のデータサンプルと同様の10,000の正常なEMFデータサンプルを使用して訓練される。これらのデータサンプルは、この例のニューラルネットワークによって使用されて、正常なEMFデータの確率分布を学習する。訓練フェーズの終わりに、DNNは、DNNがEMFデータからの正常な再分極(ST-T)セグメントの高品質の再構築を生成し、および元の正常なEMFデータの入力と再構築された正常なEMFデータ入力の間の再構築誤差を最小限にすることを可能にする仮説関数を決定、識別、または受け取る。
【0137】
図10は、そのEMFデータX’の再構築を出力するように構成されたDNNによって受け取られる、心臓関連EMFデータの概略図を示す。この例では、EMFデータの再構築の正確さを検証するためにDNNによって使用される仮説関数は、感知した入力EMFデータサンプルをDNNによって生成された再構築と比較し、再構築と入力EMFデータとの間の誤差の程度を決定する。DNNによって生成された再構築と入力EMFデータとの間の誤差の程度は、受け取った10,000の正常なEMFデータサンプルを使用して生成された閾値と比較される。
【0138】
予測フェーズ:
予測フェーズは、訓練フェーズからの構築および最適化された仮説関数を用いて、患者のEMFデータの使用により未知の患者の臓器、組織、身体、またはそれらの部分の異常の可能性を予測する。
【0139】
再構築誤差が特定の閾値より大きい場合、訓練フェーズから学習した仮説関数に基づいて、患者のEMFデータサンプルは異常である。
【0140】
Tを閾値とすると、仮説関数Hは以下のように定義される。
【0141】
H=元の入力(X)と再構成された入力(X’)の間の再構成誤差(E)
【0142】
H=E=X-X’
【0143】
E>=T---->異常である場合、E<T---->正常
【0144】
CAD評価
本明細書に記載されるシステム、装置、方法、およびソフトウェアがCADを評価するためにどのように使用されるかの例として、以下は、本明細書に記載される個体がCADについて評価される臨床研究の結果である:
【0145】
背景と重要性
循環器疾患は、全ての原因による死亡の25%超を示して、アメリカ合衆国における男性および女性の間で死亡原因の筆頭にあり続けている。(1) およそ800万人のアメリカ人が、胸痛で救急科(ED)に現われ、それは2番目によくある主訴となっている。(2) EDに現れる大多数の患者は、軽度から中度の心臓のリスクとして分類され、および、非診断的な心電図と正常な心臓のバイオマーカーを有する。(2) これらの患者は、頻繁に、さらなるモニタリングと診断検査のためにED観察ユニット(EDOU)に入れられ、プロトコルベースの管理を利用する。(2) これはストレステストおよび/または心臓学的なコンサルテーションを含み得る。(3)
【0146】
Genetesis,Inc.は、EMFデータを、CADまたは虚血を指摘することができる動的画像に変換するための一連の診断アルゴリズムを使用する新規なEMF分析システムを開発した。
【0147】
この研究のゴール
このパイロット研究の目的は、(1)EDOUの胸痛患者における心筋虚血を識別することについてEMF感知分析システムをストレステスト(ST)および/または冠動脈造影法(CA)と比較すること、および、(2)退院後30日および6か月のSTまたはCAによるさらなる情報と主要有害心イベント(MACE)を得ることだった。
【0148】
研究の設計と現場
これは、胸痛の評価のためにEDOUに入れられたED患者の前向き観察のパイロット研究であった。EDOUは、ED上に直接位置する30床のユニットであり、救急内科医を配属される。この調査は病院施設内倫理委員会(Institutional Review Board )によって承認され、ClinicalTrials.govに登録された。
【0149】
参加者の選定
急性冠動脈症候群(ACS)と疑われてさらなる評価のためにEDOUに入れられたEDの胸痛患者は、潜在的にパイロット研究のための資格を有した。包含基準は、軽度から中度のリスクの胸痛がある年齢18歳以上の患者を含み、EDにおいてACS診断がないこと、非診断的ECGを有すること、および、EMF感知分析システムでスキャンをすることに同意したEDプロトコルごとに少なくとも3時間隔てた2つの陰性の心臓トロポニンT結果を有すること、と定義された。除外基準は、胸領域に金属品を持つ患者、閉所恐怖症の患者、歩行不能の患者、急速な心室反応がある心房細動中の患者、EMF感知分析システムの装置の中へ入ること又は2分間の背臥ができない患者、貧しくて追跡調査ができない(例えば、電話へのアクセスがない)候補者、囚人、および、参加を反復する者を含んだ。
【0150】
データの収集と処理
適格患者に対し、は、医用情報の公開を伴う、研究への参加と30日および6か月の電話追跡調査について同意を得た。各々の患者に、年代順の研究番号を割り当てた。患者を、STまたはCAのいずれかの前に、またはSTの直後にスキャンした。患者はレール上のベッドと遮蔽チャンバからなるEMF感知分析システムに移動した。
【0151】
図11は、EMFセンサアレイ(またはセンサプレート)(1101)および環境EMFシールド(1102)を含む、1つ以上の装置とソフトウェアを含むようにさらに構成された、本明細書に記載される典型的なシステムを示す。
【0152】
14のセンサを含んでいるセンサプレートを胸領域上に位置させて、90秒のスキャンを取り、そして暗号化されたデータベースに保存して、HIPAAの安全なクラウドに送った。EMF感知分析システムのシグナル品質は、システムソフトウェアの自動化された関数と、二次的にGenetesisの職員によって評価された。感知されたEMFデータを集め、3つの構成要素に処理した:平均化したEMF波形、等価電流双極子(ECD)、および、偽電流密度マップ。ECDは、心臓周期における様々な時点の心筋層内の電流波面の動きを測定し、および配置するための、数理モデルを提供する。参照用の正常画像のデータベースからの著しい乖離を見つけるために、これらの構成要素をシステムのソフトウェアアルゴリズムによって分析した。インデックス訪問から患者退院の後まで、研究チームとGenetesis職員をEMF感知分析システムのスキャン結果に対して盲検化した。陰性のEMF感知分析システムのスキャンは、狭窄と50%未満の相関を有する電流双極子偏差パターンの所見として定義し、および、EMF感知分析システムの陽性の分析結果は、50%~69%および70%以上、とした。STおよびCAの両方が実行された場合、CAをゴールドスタンダードとして使用した。
【0153】
病院電子医療記録を使用して病院データを収集し、そこに患者の人口統計、心臓のリスクファクター、心臓の併存症、研究所報告、コンサルタント報告、診断報告と業務報告、および退院時診断を含めた。
【0154】
退院後30日と6か月のSTまたはCAによるさらなる診断検査、およびMACEによる評価は、患者への通話、プライマリーケア医、および/または心臓病学者を介して実施し、また病院電子医療記録も同様に介した。
【0155】
一次データ分析
研究のグループの特徴は、連続変数については平均と標準偏差を使用して、およびカテゴリー変数については度数分布を使用して記載された。ストレステストおよび/または冠状動脈カテーテル処置からの結果と比較したEMF感知分析システムスキャンの結果の感度、特異性、陽性および陰性的中率を、関連付けられる信頼区間(CI)で計算した。データ分析は、SPSS v24.0により実行された。
【0156】
結果
125人の承諾された患者のうち、101人を、EMF感知分析システムを使用して、スキャンにかけた;24人が除外された。11人の患者が、体型(5人の患者)、閉所恐怖症(3人の患者)、胸部における金属(1人の患者)、血管迷走神経性の発現(1人の患者)、またはスキャン前にOUを去った(1人の患者)こと、によりスキャンされなかった。11の不適当なスキャンがセンサ・レーリング(sensor railing)により生じた;体型と患者の動きはこれらの事例のうちの7つの一因となった。2人の患者は比較するためのSTまたはCAが実行されなかったため、除外した。EMF感知分析システムを使用するスキャンを経験した101人の患者について、平均年齢は56歳であり、53.6%は男性、および56.5%はアフリカ系アメリカ人だった。CADの病歴は患者の9.9%(10/101)において見つかり、および、5.0%(5/101)は、心不全または心臓弁膜症の病歴を持っていた。心臓のリスクファクターの平均数は2であり、および28.7%(29/101)は3以上のリスクファクターを有した。患者の96%(97/101)でSTを実行された;56%でストレス心エコー図(SE)、17%でドブタミン心エコー図(DE)、27%でペルサンチン(persantine)ストレステスト(PST)を行なった。18人の(17.8%)患者がCAを経験した。正常なEMFの感知と分析システムは走査する、結果としてもたらした、磁気双極子ばらつき(異常なEMFの感知と分析システムスキャンは不規則なパターンの磁極ばらつきを実証した)を伴わない規則的なパターン。磁界マップ(例えば三重の極)における双極子角形成または有意な分裂における極端な変化が、より大きな程度の脈管狭窄を示すであろうことが理論付けられた。
【0157】
図12Aと
図12Bは、それぞれ、本明細書に記載されるEMF感知と分析のシステムを使用した、陰性のスキャン結果を示しており、ここで、
図12Aは、第1の被験者の試験結果に対応し、
図12Bは、第2の被験者の試験結果に対応する。より具体的には、
図12Aと
図12Bは各々、磁気双極子ばらつきを伴わない規則的なパターンを示し、それは陰性の結果に対応する。
図12Aおよび
図12Bにおける陰性の結果はそれぞれ、異なる被験者におけるCADの存在についての陰性の結果を示す。
【0158】
図13Aと
図13Bは、それぞれ、本明細書に記載されるEMF感知と分析のシステムを使用した、陽性のスキャン結果を示しており、ここで、
図13Aは、第1の被験者の試験結果に対応し、および、
図13Bは、第2の被験者の試験結果に対応する。より具体的には、
図13Aおよび
図13Bは各々、陽性の結果に対応する不規則なパターンの磁極ばらつきを示す。
図13Aおよび
図13Bにおける陽性の結果は、それぞれ異なる被験者におけるCADの存在について陽性の結果を示す。
【0159】
陰性のEMF感知分析スキャンがある78人の患者のうち、72人は感知および分析は陰性のST(66)またはCA(6)を有し、および、6人は、陽性のST(1)またはCA(5)を有した。
【0160】
図14は、CAとSTの結果と比較された、EMF感知分析スキャンの結果の模式的表現を示す。陽性のEMF感知分析スキャンがある23人の患者のうち、3人は対応する陽性のCAを有し、および、20人は陰性のST(16)またはCA(4)を有した。全体コホートにおける9人の患者だけが虚血について陽性だった:ST(1)、CA(8)。対応する陽性のCAがある3人の患者はみな70%以上の狭窄を有した;これらの患者のうちの2人において、EMF感知分析スキャンは70%以上と判断され(これらの患者のうちの1人において陰性のストレス心エコー図(SE))、および、第3の患者において、EMF感知分析は50~69%(CA所見:75%LAD)と判断された。対応しない陽性のCA(すなわち、誤って陰性のEMF感知分析スキャン)がある5人の患者において、4人の患者がCA上に70%以上の狭窄を有し(これらの患者のうちの1人はSTを有さず)、および1人の患者もSEによって見逃された60%の狭窄を有した。対応しない陰性のCA(すなわち、誤って陽性のEMF感知分析スキャン)がある4人の患者において、EMF感知分析スキャンは、1人の患者において50-69%の狭窄を見つけ、および3人の患者において70%以上の狭窄を見つけた。ゴールドスタンダードとしてSTまたはCAを使用すると、50%以上の狭窄については、95%のCIがある感度は、EMF感知分析スキャンでは33.3%[7.5%、70.7%]、特異性は78.3%[68.4%、86.2%]、PPVは13%[5.2%、29.0%]、およびNPVは92.3%[88.2%、95.1%]であり、および、70%以上の狭窄については、それぞれ、28.6%[3.7%、71.0%]、87.1%[78.6%、93.2%]、14.3%[4.4%、37.6%]、および94.2%[91.0%、96.3%]であった。成功した30日と6か月の電話追跡調査はそれぞれ25.7%と18.8%であった。電話および電子データの両方を使用して、30日の追跡調査においてST/CA受けた、またはMACEを有した患者は、いなかった。1人の患者は、最初のステント術を伴う陽性CAの後、ST(陰性)を受け、および2人の患者が6か月の追跡調査においてCA(陰性)を受けた;両方は、対応する陰性のEMF感知分析スキャンおよびSTを有した。退院後6か月のMACEは報告されなかった。
【0161】
検討
これは、非ハイリスクのEDOU胸痛患者において、EMF感知分析スキャンを前向き評価し、およびこの新規な技術の使用の実現可能性を調査する、最初の研究である。このパイロット研究からの結果は、EMF感知分析スキャンがシンプルで、迅速で、非侵入性の診断モダリティであり、該診断モダリティはOU患者集団において実現可能であり、閉塞(50-69%)、および特に重大な臨界状態の狭窄(70%以上)について、優れた特異性およびNPVを有する。これは、多数の研究からの画像化を備えたSTの報告・蓄積された結果、および50%以上の狭窄がある患者を識別することについて70~80%の特異性を示す異分析に優る。(4)
【0162】
電話追跡調査において4分の1またはそれ未満の患者だけに接触することができたが、これに加え、病院医療記録をレビューすることで、退院後6か月まで、陽性のST/CAまたはMACEを有した患者はいなかったことがわかった。最初の陰性EMF感知分析スキャンがある2人の患者は、6か月の追跡調査において陰性CAを有すると確認された。
【0163】
コンピューターアルゴリズムを含む新技術と同様に、機械学習は精度を改善することができる。このパイロット研究では、EMF感知分析スキャンは、この新規な技術の最初のコンピューターアルゴリズムを使用して、ST/CAと比較された。これは新しい情報を学習し合成する能力を備えた新技術であるため、研究結果にたいして盲検化された独立した内科医が、すべてのスキャンの査読を実行した。この査読の結果は、スキャンのうちの17について変化した。最初に偽陽性であり、および査読において陰性と分かった14のEMF感知分析スキャンがあった。11は対応する陰性のSTがあり(5SE、3 DE、3PST)、および3は陰性のCAがあった.CA(70%以上)と比較された最初に偽陰性だった1つのEMF感知分析スキャンは、査読において陽性であると分かった。最初にSTまたはCAに対応し、査読において偽陽性(PST陰性)または偽陰性(CA陽性、SE陰性)だったEMF感知分析スキャンは2つあった。ゴールドスタンダードとしてSTまたはCAを使用すると、50%以上の狭窄については、95%のCIがある感度は、内科医のEMF感知分析スキャン査読では33.3%[7.5%、70.1%]、特異性は94.4%[83.4%、98.2%]、PPVは37.5%[14.6%、67.8%]、およびNPVは 93.3%[89.8%、95.7%]であり、および、70%以上の狭窄については、それぞれ、42.9%[9.9%、81.6%]、94.4%[87.5%、98.2%]、37.5%[15.2%、66.7%]、および95.5%[91.8%、97.6%]であった。
【0164】
救急内科医にとって、未分化の胸痛があるED患者から心臓の虚血を括り出すことは重大である。心臓の虚血を括り出すことについてSTに匹敵する非侵入性の、放射線被曝や運動を必要としない90秒の診断検査は、これらの患者の評価におけるゲーム・チェンジャーであり得る。EDまたはOU中の滞在日数の延長の代わりに(5)、検査は2分間未満で終わらせ得る。トリアージでの胸痛評価のEDワークフロー、または、胸痛患者のED精密検査におけるさらなる下流に取り入れることは、調査されるべきである。患者と病院への下流コストの利益は多大になり得る。
【0165】
この研究の制限は、この研究コホートにおける、少数の患者、一つのサイトからの及び便宜的標本としての患者の登録、また有意な疾患の少ない罹患率を含む。さらに、数人の患者は、体型のために、つまり、身体の何らかの部分(例えば胸、腹部)がセンサプレートに触れ、およびモーションアーチファクトまたはセンサー・レーリングを引き起こして、スキャンすることができないか、不適当なスキャンだったかのどちらかであった。
【0166】
結論
新規な診断検査のこのパイロット研究の結果は、安静の90秒のEMF感知分析スキャンが、優れた特異性とNPVを有し、および、軽度から中度のリスクの胸痛患者のEDOU集団における、閉塞性の心臓の虚血を括り出すことにおいてSTより速く、および匹敵することを示した。内科医の査読により、EMF感知分析スキャンの特異性およびNPVは、さらに改善する。この研究コホートにおける疾患の少ない罹患率のため、ハイリスクの胸痛患者も含むより大きな研究は、心臓の虚血の検出におけるEMF感知分析スキャンの精度をよりよく評価するために必要である。
【0167】
参考文献
【0168】
(1) Heron M. Deaths:Leading Causes for 2014.Natl Vital Stat Rep. 2016;65(5):1-96.
【0169】
(2) Amsterdam EA, Kirk JD, Bluemke DA, Diercks D, Farkouh ME, Garvey JL, et al.
Testing of low-risk patients presenting to the emergency department with chest pain:a scientific statement from the American Heart Association. Circulation.2010;122(17):1756-76.
【0170】
(3) Moseley MG, Hawley MP, Caterino JM.Emergency department observation units and the older patient.Clin Geriatr Med.2013;29(1):71-89.
【0171】
(4) Arbab-Zadeh A. Stress testing and non-invasive coronary angiography in patients with suspected CAD:time for a new paradigm. Heart Int. 2012;7(1):e2.
【0172】
(5) Reinhardt SW, Lin CJ, Novak E, Brown DL.Noninvasive Cardiac Testing vs Clinical Evaluation Alone in Acute Chest Pain:A Secondary Analysis of the ROMICAT-II Randomized Clinical Trial.JAMA Intern Med. 2018;178(2):212-9.
【0173】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者には思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。