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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】照明パネル及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20231130BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231130BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231130BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20231130BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231130BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20231130BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20231130BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20231130BHJP
   F21Y 105/14 20160101ALN20231130BHJP
   F21Y 113/17 20160101ALN20231130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231130BHJP
【FI】
H01L33/58
G09F9/33
G09F9/00 313
F21S8/02 410
F21S2/00 482
F21S2/00 484
F21V7/28 210
F21V7/28
F21V3/00 530
F21V7/00 530
F21V3/00 320
F21Y105:14
F21Y113:17
F21Y115:10 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021563590
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2020019666
(87)【国際公開番号】W WO2021117267
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】62/947,909
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月4日にパナソニックライフソリューションズ物流株式会社部品倉庫に機器を発送した
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】林 茂生
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170125(JP,A)
【文献】特開2011-192738(JP,A)
【文献】特開2013-026510(JP,A)
【文献】特開2016-162829(JP,A)
【文献】特開2014-187095(JP,A)
【文献】特開2010-067720(JP,A)
【文献】特開2012-084504(JP,A)
【文献】特表2017-521859(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016103632(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
G09G 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記複数のLEDパッケージは、
前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップがこの順序で並んでいる第1のLEDパッケージと、
前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが、前記第1のLEDパッケージにおける前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップの並び方向とは逆の順序で並んでいる第2のLEDパッケージとを含み、
前記第1のLEDパッケージと前記第2のLEDパッケージとが交互に並んでいる
照明パネル。
【請求項2】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上にこの順で一列に並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列され、
前記光拡散板の表面には、当該光拡散板に入射した光が散乱する複数の第1の凹凸が形成されており、
前記複数のLEDパッケージの少なくとも1つにおいて、
前記第1のLEDチップの発光中心と前記第3のLEDチップの発光中心を含み且つ前記反射カップの底面に垂直な断面で、
前記第1のLEDチップの光出射面の発光中心から出た光が前記反射カップの内側最上端部を通過する方向と前記底面に垂直な方向とのなす角をθ1(度)とし、
前記第3のLEDチップの光出射面の発光中心から出た光が前記内側最上端部を通過する方向と前記底面に垂直な方向とのなす角をθ3(度)とし、
当該LEDパッケージの光出射面と前記光拡散板の光入射面との間の垂直距離をd2(mm)とすると、
d2/(θ3-θ1)≦0.1の関係を有する
照明パネル。
【請求項3】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記光拡散板の表面には、当該光拡散板に入射した光が散乱する複数の第2の凹凸が形成されており、
前記LEDパッケージの光出射面と前記光拡散板の光入射面との間の垂直距離をd2(mm)とし、
前記光拡散板の厚さをd3(mm)とすると、
d2/d3≦6の関係を有する
照明パネル。
【請求項4】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3の
LEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光拡散板における前記光出射面の光沢度は、前記光拡散板における前記光入射面の光沢度以上である
照明パネル。
【請求項5】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光拡散板において、前記光出射面の最大高さ粗さを前記光出射面の平均凹凸間隔で除した値は、前記光入射面の最大高さ粗さを前記光入射面の平均凹凸間隔で除した値以下である
照明パネル。
【請求項6】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上にこの順で一列に並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列され、
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光出射面において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第
3のLEDチップの並び方向である第1の方向の光沢度は、前記第1の方向に垂直な方向の光沢度以下であり、
及び/又は、
前記光入射面において、前記第1の方向の光沢度は、前記第1の方向に垂直な方向の光沢度以下である
照明パネル。
【請求項7】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上にこの順で一列に並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列され、
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光入射面において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップの並び方向である第1の方向の最大高さ粗さを前記光入射面の平均凹凸間隔で除した値は、前記第1の方向に垂直な方向の最大高さ粗さを前記光入射面の平均凹凸間隔で除した値以下である
照明パネル。
【請求項8】
映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、
基体と、
前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、
前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、
前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下であり、
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上にこの順で一列に並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLED
チップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列され、
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光出射面において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップの並び方向である第1の方向の最大高さ粗さを前記光出射面の平均凹凸間隔で除した値は、前記第1の方向に垂直な方向の最大高さ粗さを前記光出射面の平均凹凸間隔で除した値以下である
照明パネル。
【請求項9】
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上にこの順で一列に並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列されている
請求項~5のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項10】
前記複数のLEDパッケージの各々は、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップを封止する封止樹脂を有し、
前記複数のLEDパッケージの各々において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップは、前記反射カップの底面上に三角形の配置で並んでおり、
前記複数のLEDパッケージは、すべて、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップが同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列されている
請求項3~5のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項11】
前記光拡散板の表面には、当該光拡散板に入射した光が散乱する複数の第2の凹凸が形成されており、
前記LEDパッケージの光出射面と前記光拡散板の光入射面との間の垂直距離をd2(mm)とし、
前記光拡散板の厚さをd3(mm)とすると、
d2/d3≦6の関係を有する
請求項1、2、4~10のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項12】
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光拡散板における前記光出射面の光沢度は、前記光拡散板における前記光入射面の光沢度以上である
請求項1~3、5~11のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項13】
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光拡散板において、前記光出射面の最大高さ粗さを前記光出射面の平均凹凸間隔で除した値は、前記光入射面の最大高さ粗さを前記光入射面の平均凹凸間隔で除した値以下である
請求項1~4、6~12のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項14】
前記光拡散板は、前記複数のLEDパッケージの各々から出射した光が入射する光入射
面と、前記光入射面に背向する光出射面とを有し、
前記光出射面において、前記第1のLEDチップ、前記第2のLEDチップ及び前記第3のLEDチップの並び方向である第1の方向の光沢度は、前記第1の方向に垂直な方向の光沢度以下であり、
及び/又は、
前記光入射面において、前記第1の方向の光沢度は、前記第1の方向に垂直な方向の光沢度以下である
請求項1~5、7~13のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項15】
前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間における前記基体の表面は、光反射性を有する
請求項1~14のいずれか1項に記載の照明パネル。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の照明パネルと、
前記照明パネルと離間して配置され、前記照明パネルから出射した照明光が入射する光拡散部材と、
前記照明パネルと前記光拡散部材とを保持する筐体とを備える
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明パネル及び照明装置に関し、特に、天空等を模したイメージ映像等の映像を表示するための照明光を照射することができる照明パネル及び映像を表示することができる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像を表示する表示装置は、映像が表示される表示画面を有するディスプレイパネルを備える。従来、ディスプレイパネルの一つとして、複数のLED光源がマトリクス状に配列された構成のLEDディスプレイパネルが知られている。例えば、特許文献1には、ディスプレイパネルに用いられるLED光源として、RGB3色の3つのLEDチップを1つにまとめた多色発光可能なLEDパッケージを用いることが開示されている。この種のLEDパッケージは、例えば、反射カップと、反射カップ内に一列に配置された、赤色光(R)を発する赤色用LEDチップ、緑色光(G)を発する緑色用LEDチップ及び青色光(B)を発する青色用LEDチップとを有する。
【0003】
このようにRGB3色の3つのLEDチップを1つにまとめた多色発光可能なLEDパッケージは、LEDパッケージを製造するメーカにおいてRGBバランスが調整済みになっている。このため、LED光源を用いてディスプレイパネルを製造するメーカは、RGBバランスが調整済みとなった多色発光可能なLEDパッケージを用いることによって、カラー画像を表示するディスプレイパネルを容易に製造することができる。
【0004】
しかしながら、RGB3色の3つのLEDチップが一列に配列された構成のLEDパッケージでは、反射カップと3つのLEDチップとの位置関係からRGBの各色要素の配光分布が同じにならない。このため、RGB3色の3つのLEDチップが一列に配列されたLEDパッケージがマトリクス状に複数配置されたディスプレイパネルを用いた表示装置では、LEDパッケージにおける3つのLEDチップの並び方向から表示画面を高角度(高視野角)で見たときに、表示画面に表示される映像に色ずれが発生する。
【0005】
そこで、テレビ又はモニタ等の表示装置のように表示装置が縦置きに設置される場合には、水平方向(横方向)から高角度で表示画面を見ることはあっても鉛直方向(縦方向)から高角度で表示画面を見ることは少ないことから、ディスプレイパネルにおける複数のLEDパッケージを、表示装置が縦置きに配置されたときにRGB3色の3つのLEDチップが鉛直方向に配列されるように配置する技術が提案されている(例えば特許文献2)。これにより、表示装置の表示画面を水平方向から高角度で見たときでも、表示画面に表示される映像に色ずれが生じることを抑制することができる。つまり、表示画面を鉛直方向から見たときには映像に色ずれが生じることを許容する代わりに、表示画面を水平方向から見たときには映像に色ずれが生じることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2014-533891号公報
【文献】特表2013-524542号公報
【文献】特開2018-163323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、室内から窓を通して空を見るような感覚を疑似体験できる照明装置が提案されている(例えば特許文献3)。この種の照明装置は、天空照明、天窓照明又は青空照明等と呼ばれ、照明光を照射する際に、太陽や雲を含む青空等の天空を模したイメージ映像を付加している。つまり、天空のイメージ映像を含む照明光が照射されることで、照明装置の外郭の発光面を表示面として天空のイメージ映像が表示されるとともに照明光が照射される。これにより、室内の天井に設置された照明装置を見上げることで、室内において奥行き感のある青空と自然光とを疑似体験することができる。
【0008】
このようなイメージ映像を表示することができる照明装置では、LED光源によって構成された照明パネルが用いられる。例えば、RGB3色の3つのLEDチップを1つにまとめた多色発光可能なLEDパッケージがマトリクス状に配列された構成の照明パネルが用いられる。
【0009】
照明光を照射しつつ映像を表示することができる照明装置は、照明用途としての性能だけではなく、ディスプレイ用途としての性能も求められるが、高解像度の映像(高画質)を表示することまでは要求されない。
【0010】
しかしながら、照明光を照射しつつ映像を表示する照明装置であっても、所望の画質の映像が表示されることが望ましい。
【0011】
本開示は、このような課題も解決するためになされたものであり、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる照明パネル及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示に係る第1の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下である。
【0013】
また、本開示に係る第2の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップを少なくとも有し、前記光拡散板は、前記基体と並行な平面部と、前記平面部の面内方向とは異なる方向に延伸する枠部とを有する。
【0014】
また、本開示に係る第3の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップを少なくとも有し、前記基体は、前記複数のLEDパッケージが実装された基板と、前記基板が固定されるフレームとを有し、前記基板における前記フレーム側の表面は、レジストで覆われており、前記基板と前記フレームとは、平面視で離散的に存在する接触部においてネジで固定され、前記接触部は、前記レジスト及び前記フレームの少なくとも一方の表面が溝部で分割された凸部からなる。
【0015】
また、本開示に係る照明装置の一態様は、上記いずれかの照明パネルと、前記照明パネルと離間して配置され、前記照明パネルから出射した照明光が入射する光拡散部材と、前記照明パネルと前記光拡散部材とを保持する筐体とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる照明パネル及び照明装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置の設置例を示す図である。
図2図2は、天井に設置された照明装置の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図4A図4Aは、図3のIVA-IVA線における実施の形態に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図4B図4Bは、図3のIVB-IVB線における実施の形態に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る照明パネルの周辺部分を示す断面図である。
図5B図5Bは、図5AのVB-VB線における実施の形態に係る照明パネルの断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る照明パネルの他の態様を示す断面図である。
図8A図8Aは、実施の形態に係る照明パネルにおけるLEDパッケージの第1変形例の態様を示す断面図である。
図8B図8Bは、実施の形態に係る照明パネルにおけるLEDパッケージの第2変形例の態様を示す断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る照明パネルを撮像したときの写真(図面代用写真)である。
図10A図10Aは、実施の形態に係る照明パネルにおいて、基板とフレームとの固定部分を示す平面図である。
図10B図10Bは、図10AのXB-XB線における照明パネルの一部を示す断面図である。
図11図11は、実施の形態に係る照明パネルにおいて、基板とフレームとの固定部分の構造を示す図である。
図12図12は、実施の形態に係る照明パネルにおいて、基板とフレームとの固定部分における部材を分解して示す平面図である。
図13図13は、実施の形態に係る照明パネルにおいて、基板とフレームとの固定部分の断面図である。
図14図14は、実施の形態に係る照明パネルにおいて、下地凸部の変形例を示す図である。
図15図15は、比較例の照明パネルにおける光の経路を示す図である。
図16図16は、実施の形態に係る照明パネルにおける光の経路を示す図である。
図17図17は、実施の形態に係る照明パネル(d2≠0の場合)におけるパラメータを説明するための図である。
図18図18は、実施の形態に係る照明パネル(d2=0の場合)におけるパラメータを説明するための図である。
図19A図19Aは、変形例1に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図19B図19Bは、変形例1に係る照明パネルの周辺部分を示す断面図である。
図20図20は、変形例1に係る照明パネルの他の態様を示す断面図である。
図21A図21Aは、変形例2に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図21B図21Bは、図21AのXXIB-XXIB線における変形例2に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図22A図22Aは、変形例3に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図22B図22Bは、図22AのXXIIB-XXIIB線における変形例3に係る照明パネルの一部を示す断面図である。
図23図23は、変形例4に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図24図24は、変形例5に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図25図25は、変形例6に係る照明パネルの一部を示す平面図である。
図26図26は、変形例に係る照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本開示の技術を得るに至った経緯)
まず、本開示の実施の形態の説明に先立ち、本開示の技術を得るに至った経緯について説明する。
【0019】
上記のように、近年、照明光を照射しつつ映像を表示することができる照明装置が提案されている。映像を表示することができる照明装置は、照明用途としての性能だけではなく、ディスプレイ用途としての性能も求められる。この場合、照明用途としては、ある程度の大きさの発光面(表示面)を有することと、ある程度の明るさの照明光が照射されることとが要求されるものの、照明装置の表示面に表示される映像はイメージ映像であることが多いので、ディスプレイ用途といっても、高解像度の映像(高画質)を表示することまでは要求されない。
【0020】
しかしながら、照明光を照射しつつ映像を表示する照明装置であっても、所望の画質の映像が表示されることが望ましい。例えば、照明装置でイメージ映像を表示する場合であっても、映像に色ずれが生じることは望ましくない。
【0021】
具体的には、天空を模したイメージ映像を表示することができる照明装置は室内の天井に設置されることから、ユーザは、あらゆる方向から照明装置の発光面(表示面)を見込むことになる。しかも、照明装置から離れた位置からは、高角度で照明装置の発光面を見込むことになる。このため、映像を表示することができる照明装置では、任意の方向から高角度で見た場合であっても映像に色ずれが生じないようにする必要がある。
【0022】
このとき、上記のように、テレビやモニタ等の縦置きに配置される表示装置であれば、RGB3色の3つのLEDチップが鉛直方向に配列されるようにLEDパッケージを配置することで、鉛直方向から高角度で見たときの映像を犠牲にする代わりに水平方向から高角度で見たときの映像の色ずれを抑制することができる。しかしながら、この方法では、あらゆる方向に対して色ずれを抑制することができない。
【0023】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、任意の方向から高角度で見たときでも色ずれが生じることを抑制できる照明パネル等を提供することを第1の目的とする。
【0024】
上記第1の目的を達成するために、本開示に係る第1の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップとを少なくとも有し、前記複数のLEDパッケージのうち隣り合う2つのLEDパッケージの間には、光遮蔽物が無いところが存在し、前記複数のLEDパッケージの全てを同じ電流値で駆動させたときに、前記光拡散板の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下である。
【0025】
この構成により、任意の方向から高角度で見たときでも色ずれが生じることを抑制できる。これにより、所望の画質の映像を表示することができる照明パネルを実現することができる。
【0026】
また、従来の照明パネルでは、LEDパッケージで発生する熱により光拡散板に発生した熱歪によって光拡散板が変形する。これにより、光拡散板に表示される画質が劣化してしまう。
【0027】
本開示は、このような課題も解決するためになされたものであり、熱歪により光拡散板が変形することを抑制できる照明パネル等を提供することを第2の目的とする。
【0028】
上記第2の目的を達成するために、本開示に係る第2の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップを少なくとも有し、前記光拡散板は、前記基体と並行な平面部と、前記平面部の面内方向とは異なる方向に延伸する枠部とを有する。
【0029】
この構成により、熱歪により光拡散板が変形することを抑制することができる。これにより、光拡散板に表示される映像の画質が劣化することを抑制できるので、所望の画質の映像を表示できる照明パネルを実現することができる。
【0030】
また、従来の照明パネルでは、LEDパッケージで発生する熱によって材質の異なる部材間に発生した熱歪が静止摩擦限界を超えて突発的緩和が発生する。例えば、LEDパッケージで発生する熱歪によって光拡散板に突発性緩和が発生する。これにより、光拡散板に表示される画像の画質が劣化してしまう。
【0031】
本開示は、このような課題も解決するためになされたものであり、突発的緩和が発生することを抑制できる照明パネル等を提供することを第3の目的とする。
【0032】
上記第3の目的を達成するために、本開示に係る第3の照明パネルの一態様は、映像となる照明光を照射することができる照明パネルであって、基体と、前記基体上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージの発光面側に配置された光拡散板と、を備え、前記複数のLEDパッケージの各々は、凹状の反射カップと、前記反射カップ内に配置された、それぞれ発光色が異なる、第1のLEDチップ、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップを少なくとも有し、前記基体は、前記複数のLEDパッケージが実装された基板と、前記基板が固定されるフレームとを有し、前記基板における前記フレーム側の表面は、レジストで覆われており、前記基板と前記フレームとは、平面視で離散的に存在する接触部においてネジで固定され、前記接触部は、前記レジスト及び前記フレームの少なくとも一方の表面が溝部で分割された凸部からなる。
【0033】
この構成により、材質の異なる部材間に発生した熱歪が静止摩擦限界を超えて突発的緩和が発生することを抑制できる。例えば、LEDパッケージで発生する熱によって光拡散板に突発性緩和が発生することを抑制できる。これにより、光拡散板に発生した突発性緩和によって光拡散板に表示される画質が劣化することを抑制できるので、所望の画質の映像を表示することができる照明パネルを実現することができる。
【0034】
このように、本開示に係る種々の態様の照明パネル及びこの照明パネルを用いた照明装置によれば、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる。
【0035】
(実施の形態)
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0036】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を表している。x軸及びy軸は、互いに直交し、かつ、いずれもz軸に直交する軸である。本実施の形態では、照明パネル1の光軸をz軸方向としている。
【0037】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0038】
まず、実施の形態に係る照明装置100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明装置100の設置例を示す図である。図2は、天井200に設置された照明装置100の断面図である。
【0039】
図1に示すように、照明装置100は、建築物の天井200に設置される。具体的には、照明装置100は、住宅、施設、店舗もしくは駅等の建物、地下道又はトンネル等その他天井を有する建築物の天井200に設置される。図2に示すように、本実施の形態における照明装置100は、天井200に設けられた開口部201に埋め込み配設された天井埋込型の照明器具であり、下方(床等)に向けて照明光を照射する。
【0040】
照明装置100は、周囲を照らす照明光を照射する照明器具としての機能を有するだけではなく、映像を表示するディスプレイとしての機能を有する。つまり、照明装置100は、映像となる照明光を照射することができる映像用照明装置又は照明用ディスプレイであり、照明光として映像光を照射することができる。
【0041】
本実施の形態において、照明装置100は、ユーザに室内から窓を通して空を見るような感覚を疑似体験させることができる天空照明(青空照明)であり、照明光を照射する際に太陽や雲等を含む青空等の天空を模したイメージ映像を付加している。例えば、照明装置100から照明光が照射されることで、照明装置100の外郭の発光面には、雲が浮かぶ空、青空又は夕焼け等の自然の空を模したイメージ映像(擬似映像)が表示される。したがって、ユーザは照明装置100を見ることで、照明装置100に表示された天空を模したイメージ映像を見ることができる。
【0042】
なお、照明装置100に表示される映像は、動画像及び静止画像のいずれであってもよい。例えば、照明装置100に天空を模したイメージ映像を表示する場合、雲が動いているような動画像を表示してもよい。
【0043】
図2に示すように、照明装置100は、照明パネル1と、筐体2と、光拡散部材3と、光反射部材4と、枠部材5と、制御部6と、電源部7とを備える。
【0044】
照明パネル1は、映像となる照明光を照射することができる。つまり、照明パネル1は、照明光として映像光を生成して照射することができる。例えば、照明パネル1は、青空等の天空を模したイメージ映像が付加された照明光を照射することができる。照明パネル1は、照明装置100の発光光源となる光源モジュールである。本実施の形態において、照明パネル1は、LEDを光源とするLEDモジュールである。
【0045】
照明パネル1は、基板10と、基板10に配置される複数のLEDパッケージ20と、複数のLEDパッケージ20から出射する光が入射する光拡散板30とを備える。本実施の形態において、照明パネル1は、さらに、基板10を支持するフレーム40を備える。
【0046】
複数のLEDパッケージ20の各々は、赤色光を発する赤色用LEDチップと緑色光を発する緑色用LEDチップと青色光を発する青色用LEDチップとを有する多色発光可能なLED素子である。なお、LEDパッケージ20を含めて照明パネル1の詳細な構成については、後述する。
【0047】
照明パネル1は、筐体2に保持されている。具体的には、照明パネル1は、フレーム40が筐体2に固定されることで筐体2に保持されている。
【0048】
筐体2は、照明パネル1を保持するとともに光拡散部材3を保持している。筐体2は、照明パネル1と光拡散部材3と光反射部材4と制御部6と電源部7とを収容している。なお、制御部6及び電源部7は、筐体2に収容されていなくてもよく、例えば筐体2の外側に配置されていてもよい。
【0049】
筐体2は、床面側に開口を有する扁平な箱体である。筐体2の収容空間は、例えば略直方体である。筐体2の開口を覆うように筐体2に光拡散部材3が取り付けられている。筐体2の開口の大きさは、光拡散部材3に対応した大きさである。筐体2の開口形状は、例えば、略矩形状である。なお、筐体2の開口形状は、略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状又は略半円状等の形状でもよく、特に限定されるものではない。筐体2は、金属材料又は樹脂材料によって構成されている。本実施の形態において、筐体2は、金属板によって構成されている。また、筐体2は、照明装置100の外郭部材である。
【0050】
光拡散部材3は、透光性及び光拡散性(光散乱性)を有する。光拡散部材3は、例えば、板状の平面部を有する光拡散板又は光拡散パネルである。光拡散部材3は、照明パネル1の光出射側(前方)に配置されている。したがって、光拡散部材3は、照明パネル1の前面側を覆っている。つまり、光拡散部材3は、照明パネル1を覆う光拡散カバーである。本実施の形態において、光拡散部材3は、照明パネル1と離間して配置されている。
【0051】
光拡散部材3には、照明パネル1から出射した照明光が入射する。光拡散部材3に入射した光は、光拡散部材3で拡散(散乱)して光拡散部材3を透過して、光拡散部材3が疑似発光する。このとき、照明光に映像が付加されている場合には、光拡散部材3の外面である光出射面3aに映像が表示される。つまり、光拡散部材3の光出射面3aを表示面として映像が表示されるとともに、光拡散部材3の光出射面3aを発光面として照明光が照射される。例えば、照明パネル1から青空等の天空を模したイメージ映像が付加された照明光が照射されたときに、照明パネル1から照射された照明光が光拡散部材3に入射することで、光拡散部材3の光出射面3aに天空を模したイメージ映像が表示されるとともに照明光が照射される。
【0052】
光拡散部材3は、例えば、光拡散材が内部に分散された乳白色の拡散パネルとすることができる。このような拡散パネルは、光拡散材を混合した透光性樹脂材料を所定形状に樹脂成型することによって作製することができる。光拡散材としては、ホウケイ酸ガラスや石英ガラスからなるガラス粒子、SiOからなるシリカ粒子、又は、酸化チタン等の透明微粒子等を用いることができる。
【0053】
なお、光拡散部材3としては、内部に光拡散材を分散させるのではなく、透明パネルの表面(内面又は外面)に多数の微小凹凸を形成したもので構成されていてもよく、また、光拡散材等を含む乳白色の光拡散膜を形成することによって構成されていてもよい。また、光拡散部材3は、上記光拡散材に代えて微小な中空(泡)を透明樹脂材料に分散させたものであってもよいし、透明樹脂材料をベース材料とするのではなく、ガラス材料をベース材料としてもよい。
【0054】
また、光拡散部材3は、光拡散パネルではなく、シート状又はフィルム状の光拡散シートであってもよい。この場合、光拡散シートである光拡散部材3は、例えば、透明性を有する又は光拡散性を有する光源カバーの外面又は内面に貼り合わされる。なお、光源カバーと光拡散シートとを合わせて光拡散部材3としてもよい。
【0055】
光反射部材4は、照明パネル1から出射した光を反射する。具体的には、光反射部材4は、照明パネル1から出射した光の一部を反射して光拡散部材3に入射させる。光反射部材4は、照明パネル1の光出射側から見たときに照明パネル1を囲むように構成された枠状の反射板である。
【0056】
光反射部材4は、例えば樹脂材料又は金属材料によって形成することができる。具体的には、光反射部材4は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂材料を用いた作製された白色の樹脂成型品であってもよいし、樹脂成型品の表面にアルミニウム等の金属膜が形成されたものであってもよいし、アルミニウム等の金属材料によって形成された金属部品であってもよい。
【0057】
枠部材5は、筐体2の開口端部に取り付けられた枠体である。枠部材5は、光拡散部材3の光出射面側に配置されているので、光拡散部材3から出射した光は枠部材5の貫通孔を通過して外部に出射する。枠部材5の貫通孔の開口と筐体2の開口とは、同一の開口形状及び同程度の大きさである。本実施の形態において、筐体2の開口形状は、略矩形状であるので、枠部材5の開口形状も、略矩形状である。枠部材5は、例えば、絶縁性樹脂材料によって構成された樹脂製であるが、金属製であってもよい。
【0058】
枠部材5は、枠状の前面部と、枠状の立ち上がり部とを有する。前面部は、立ち上がり部の端部からフランジ状に外方に突出するように形成されており、照明装置100が天井200に設置されたときに天井面と略面一となる。つまり、枠部材5の前面部は、ユーザから見ることができる化粧面となる。枠部材5の立ち上がり部は、前面部の開口端部から床方向とは逆方向に向かって延在する側壁である。この立ち上がり部を設けることで、よりリアリティのある窓を模擬することができる。
【0059】
制御部6は、ユーザからの指示(例えば、リモコン等による指示)に従って、照明パネル1の点灯及び消灯を制御したり、照明パネル1の調光及び調色(発光色又は色温度の調整)したりする制御装置である。例えば、制御部6は、記憶部(不図示)に記憶された映像に関する情報を取得し、この情報に応じて映像を再現する。例えば、制御部6は、ユーザから天空を模したイメージ映像を表示する指示を受けた場合、記憶部から天空を模したイメージ映像に関する情報を取得し、取得した情報をもとに照明パネル1を制御する。これにより、照明パネル1からは天空を模したイメージ映像に基づく映像光として照明光が出射し、光拡散部材3の光出射面3a(表示面)に天空を模したイメージ映像が表示される。
【0060】
本実施の形態において、照明パネル1における各LEDパッケージ20は、緑色用LEDチップ、赤色用LEDチップ及び青色用LEDチップを有するので、制御部6は、ユーザからの指示に応じて、緑色用LEDチップ、赤色用LEDチップ及び青色用LEDチップのそれぞれの明るさに関する情報を含む制御信号を各LEDパッケージ20に出力する。制御信号を受信したLEDパッケージ20は、この制御信号に基づいて、青色光、緑色光及び赤色光を所定の光量で出力して所定の発光色の光を出射する。例えば、緑色用LEDチップ、赤色用LEDチップ及び青色用LEDチップのそれぞれを100%の出力で発光させると、LEDパッケージ20からは白色光が出射する。制御部6は、例えば、制御回路によって実現することができる。
【0061】
電源部7は、電力系統(例えば商用電源)等から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路、及び、照明パネル1を発光させるための電力を生成する電源回路等によって構成されている。電源部7は、例えば、商用電源から供給される交流電力を、整流、平滑及び降圧等して所定レベルの直流電力に変換し、この直流電力を照明パネル1に供給する。
【0062】
次に、実施の形態に係る照明パネル1の詳細な構成について、図3図4A図4B図5A及び図5Bを用いて説明する。
【0063】
図3は、実施の形態に係る照明パネル1の一部を示す平面図である。図4Aは、図3のIVA-IVA線における同照明パネル1の一部を示す断面図であり、図4Bは、図3のIVB-IVB線における同照明パネル1の一部を示す断面図である。図5Aは、同照明パネル1の周辺部分を示す断面図であり、図5Bは、図5AのVB-VB線における同照明パネル1の断面図である。
【0064】
図3図5Bに示すように、照明パネル1は、基板10と、複数のLEDパッケージ20と、光拡散板30とを備える。
【0065】
基板10は、複数のLEDパッケージ20が配置される基体の一例である。本実施の形態において、基板10は、複数のLEDパッケージ20を実装するための実装基板である。基板10は、第1主面10aと第1主面10aに背向する第2主面10bとを有する板状の基材である。第1主面10aは、第2主面10bと反対側の面である。第1主面10a及び第2主面10bは、略平行であり、z軸に直交している。なお、基板10の平面視形状は、例えば矩形状であるが、円形又は六角形等の多角形であってもよいし、これらの形状の一部が切り欠かれた形状であってもよい。また、基板10は、リジッド基板であるが、フレキシブル基板であってもよい。
【0066】
基板10としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、又は、セラミックをベースとするセラミック基板等を用いることができる。樹脂基板としては、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂とからなるガラスエポキシ基板(CEM-3、FR-4等)、紙フェノールや紙エポキシからなる基板(FR-1等)、又は、ポリイミド等からなる可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。メタルベース基板としては、例えば、アルミニウム合金基板、鉄合金基板又は銅合金基板等の合金基板の表面が絶縁被膜されたものを用いることができる。セラミック基板としては、酸化アルミニウム(アルミナ)からなるアルミナ基板等を用いることができる。本実施の形態において、基板10は、厚さが1.6mmで熱膨張係数が2.1×10-5/℃であるFR-4のガラスエポキシ基板である。
【0067】
基板10は、銅等の金属配線が所定のパターンで形成されたプリント配線基板である。また、基板10には、LEDパッケージ20を発光させるための電力を受電する複数の接続端子を有する。複数の接続端子に供給された電力は、基板10に形成された金属配線を経由して複数のLEDパッケージ20の各々に供給される。
【0068】
複数のLEDパッケージ20は、基板10上にアレイ状に配置されている。具体的には複数のLEDパッケージ20は、基板10の第1主面10a上にマトリクス状(行列状)に配置されている。つまり、複数のLEDパッケージ20は、互いに直交する行方向(x軸方向)及び列方向(y軸方向)の各々に沿って配列されている。複数のLEDパッケージ20は、行方向及び列方向の各々において等間隔(つまり同一ピッチ)で配列されているとよい。本実施の形態において、基板10上の複数のLEDパッケージ20は、行方向及び列方向の各々において同一ピッチになっているだけではなく、行方向のピッチと列方向のピッチとも同じになっている。
【0069】
複数のLEDパッケージ20の各々は、多色発光可能なLED素子であり、それぞれ発光色が異なる第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23とを少なくとも有する。
【0070】
第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、ベアチップであり、所定の直流電力により単色の可視光を発する。本実施の形態において、第1のLEDチップ21は、緑色光(G)を発する緑色用LEDチップであり、第2のLEDチップ22は、赤色光(R)を発する赤色用LEDチップであり、第3のLEDチップ23は、青色光(B)を発する青色用LEDチップである。
【0071】
したがって、各LEDパッケージ20は、緑色光、赤色光及び青色光(つまり光の3原色)の各々を発光することができる。つまり、1つのLEDパッケージ20は、ディスプレイの1画素に対応し、緑色光、赤色光及び青色光の明るさが調整されることで様々な色の光を出射することができる。これにより、複数のLEDパッケージ20によって、例えば、青空、曇り空又は夕焼け等を模した映像光を生成することができる。
【0072】
各LEDパッケージ20は、LEDがパッケージ化されたパッケージタイプのLED素子である。本実施の形態において、各LEDパッケージ20は、パッケージとして凹状の反射カップ25を有する。第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、反射カップ25内に配置されている。具体的には、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、反射カップ25の底面に実装されている。
【0073】
複数のLEDパッケージ20の各々において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、反射カップ25の底面上にこの順で一列に並んでいる。本実施の形態において、複数のLEDパッケージ20は、すべて同じ向きで配列されている。つまり、複数のLEDパッケージ20は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23が同じ方向に且つ同じ順序で並ぶように配列されている。本実施の形態では、全てのLEDパッケージ20において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、この順序で行方向(x軸方向)に並んでいる。
【0074】
反射カップ25は、例えば、凹部を有する樹脂製又はセラミック製の容器である。反射カップ25は、少なくとも内面が光反射性を有する。本実施の形態において、反射カップ25は、白色であり、表面全面が光反射性を有する。つまり、反射カップ25は、内面が光反射性を有するだけではなく、外面も光反射性を有する。白色の反射カップ25は、例えば、白色樹脂材料又は白色セラミック材料によって構成されている。また、反射カップ25の上面視形状の外形は、一例として、略矩形である。なお、略矩形とは、完全に矩形である場合に限らず、矩形の角が面取りされていたり矩形の一部の辺に凹凸が存在したりしていてもよく、全体として矩形状であると判断できるものを含む。なお、反射カップ25の平面視形状の外形は、略矩形に限らず、複数の辺を有する形状(多角形等)であってもよい。
【0075】
また、複数のLEDパッケージ20の各々は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23を封止する封止部材として封止樹脂26を有する。封止樹脂26の表面26aは、LEDパッケージ20の光出射面となる。つまり、封止樹脂26の表面26aは、LEDパッケージ20の発光面となる。本実施の形態において、封止樹脂26の表面26aは、反射カップ25の上面と面一になっている。
【0076】
封止樹脂26は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23が配置された反射カップ25の凹部内に充填されている。封止樹脂26は、透明であり、例えばシリコーン樹脂等の透明樹脂材料によって構成されている。なお、封止樹脂26は、透光性を有していれば透明でなくてもよい。また、封止樹脂26の内部には、透明なシリカ粒子又は白色金属粒子等の光拡散材が分散されていてもよい。なお、光拡散材として透明なシリカ粒子を用いることで、封止樹脂26の透過率をあまり低下させることなく、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から出射する光を散乱させて反射カップ25から出射させることができる。
【0077】
本実施の形態において、各LEDパッケージ20は、基板10に表面実装される表面実装(SMD;Surface Mount Device)タイプのLED素子である。各LEDパッケージ20は、反射カップ25の裏面に設けられた複数の電極端子を有している。複数の電極端子は、例えば、一部が反射カップ25に埋め込まれたリードフレームであり、反射カップ25内に配置された複数のLEDチップ(第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22、第3のLEDチップ23)と電気的に接続されている。各LEDパッケージ20は、例えばリフローによって基板10に半田実装される。これにより、LEDパッケージ20の複数の電極端子と基板10の金属配線とが半田により接合されて電気的及び物理的に接続される。
【0078】
図6に示すように、複数のLEDパッケージ20のうち隣り合う2つのLEDパッケージ20の間における基板10の表面は、光反射性を有するとよい。例えば、2つのLEDパッケージ20の間における基板10の表面の反射率は、可視光に対して80%以上であるとよい。
【0079】
本実施の形態では、基板10の表面全体(つまりの実装面全体)が光反射性を有しており、基板10の表面全体の反射率が可視光に対して80%以上になっている。具体的には、基板10の第1主面10aのほぼ全面に金属配線を覆うように白色レジストが形成されている。したがって、基板10の表面は、白色レジストの表面になっている。この場合、LEDパッケージ20は、白色レジストの上に実装してもよいが、LEDパッケージ20の直下に白色レジストを形成することなくLEDパッケージ20を基板10の第1主面10aに直接実装してもよい。白色レジストとしては、表面の反射率が90%以上(例えば98%)の白色の絶縁性樹脂材料を用いることができる。また、白色レジストを構成する樹脂材料としては、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等を用いることができる。
【0080】
このように、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間における基板10の表面が光反射性を有することで、図6に示すように、LEDパッケージ20から出射して光拡散板30の光入射面30aで前方散乱した光は、基板10の表面(白色面)で再反射した後、再び光拡散板30を透過することになる。これにより、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間の輝度が向上して照明パネル1の全体の輝度分布が滑らかになるとともに、照明パネル1の光取り出し効率を向上させることができる。
【0081】
特に、表面の光反射率が高い白色レジストを用いることで、照明パネル1の全体の輝度分布がより滑らかになるとともに、照明パネル1の光取り出し効率を一層向上させることができる。なお、輝度分布が滑らかになることでディスプレイとしての解像度は低くなるが、本実施の形態における照明パネル1は、空や雲等を模したイメージ映像のように意図的に解像度を低くした映像を表示することを目的とする場合もあるので、そのような目的に適したものになっている。また、絶縁性を有する白色レジストによって金属配線を覆うことで、基板10の絶縁耐圧を向上させることもできる。
【0082】
金属配線が白色レジストで覆われている場合、複数のLEDパッケージ20の各々は、白色レジストの上に実装される。この場合、複数のLEDパッケージ20の各々は、白色レジストに形成された開口部を介して基板10の金属配線と電気的に接続される。
【0083】
また、本実施の形態において、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間には、光を遮る光遮蔽物が存在していない。具体的には、基板10をz軸方向から見たときに、基板10に実装されたほぼ全てのLEDパッケージ20について、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間における基板10上には、光遮蔽物が存在していない。光遮蔽物とは、可視光を吸収又は反射することで透過させることなく遮蔽するものである。なお、本実施の形態では、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間には光遮蔽物が全く存在していないが、これに限るものではなく、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間に光遮蔽物が無いところが存在していればよい。また、隣り合う2つのLEDパッケージの間に可視光を透過する光透過物は存在していてもよいが、本実施の形態では、隣り合う2つのLEDパッケージの間には光透過物も存在していない。したがって、基板10のうちLEDパッケージ20が配置されていない部分のほぼ全ての領域については、基板10の表面が露出している。
【0084】
このように、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間に光遮蔽物が存在しないことで、基板10の表面で反射する反射光を利用することができるため、複数のLEDパッケージ20を2次元的に離散して配置した場合でも、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間の輝度不足を低減することができる。
【0085】
光拡散板30は、透光性及び光拡散性(光散乱性)を有する光拡散部材である。光拡散板30は、複数のLEDパッケージ20の発光面側(光出射側)に配置されている。したがって、光拡散板30は、複数のLEDパッケージ20の発光面側を覆っている。つまり、光拡散板30は、複数のLEDパッケージ20を覆う光拡散カバーである。本実施の形態において、光拡散板30は、複数のLEDパッケージ20の各々と離間して配置されている。
【0086】
光拡散板30にはLEDパッケージ20から出射した光が入射する。光拡散板30に入射した光は、光拡散板30で拡散(散乱)して光拡散板30を透過する。具体的には、光拡散板30は、複数のLEDパッケージ20の各々から出射した光が入射する光入射面30a(光拡散板入射面)と、光拡散板30に入射した光が光拡散板30から出射する光出射面30b(光拡散板出射面)とを有する。光出射面30bは、光入射面30aに背向する面である。
【0087】
光拡散板30は表面光散乱型の光拡散部材であり、光拡散板30の表面には、当該光拡散板30に入射した光が散乱する複数の凹凸が形成されている。光拡散板30の表面に形成された複数の凹凸は、光拡散板30に入射した光を均等に散乱する。光拡散板30における複数の凹凸は、シボ加工、エッチング又はサンドブラスト等の表面加工を透明パネルに施したり、光拡散板30を成形する際の型によって転写したりすることで形成することができる。
【0088】
本実施の形態では、光拡散板30の両面の各々に複数の凹凸が形成されている。つまり、光拡散板30の光入射面30aに複数の凹凸30a1が形成されているとともに、光拡散板30の光出射面30bに複数の凹凸30b1が形成されている。光入射面30aに形成された複数の凹凸30a1及び光出射面30bに形成された複数の凹凸30b1は、例えば、ミクロンオーダサイズの微小凹凸である。
【0089】
光入射面30aに形成された複数の凹凸30a1は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向であるLEDチップ並び方向(x軸方向)及び当該LEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)の各々において、例えば等間隔(等ピッチ)で形成されている。複数の凹凸30a1における凹凸間隔は、可視光の波長よりも長くなっている必要があるので、ミクロンオーダ以上である。凹凸間隔は、断面視において、山と山の間隔の平均のことである。
【0090】
本実施の形態において、光入射面30aにおける複数の凹凸30a1の凹凸間隔は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで異なっているが、同じであってもよい。一例として、光入射面30aにおける複数の凹凸30a1の凹凸間隔は、LEDチップ並び方向では10μmであり、LEDチップ並び方向に直交する方向では15μmである。
【0091】
また、本実施の形態において、光入射面30aにおける複数の凹凸30a1の最大高さ粗さ(Rz)は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで同じになっているが、異なっていてもよい。一例として、光入射面30aにおける複数の凹凸30a1の最大高さ粗さ(Rz)は、LEDチップ並び方向とLEDチップ並び方向に直交する方向とのいずれにおいても10μmである。
【0092】
なお、光入射面30aの複数の凹凸30a1は、光入射面30aの光沢度にも関係する。本実施の形態において、光入射面30aの光沢度は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで異なっているが、同じであってもよい。一例として、光入射面30aの光沢度は、LEDチップ並び方向では2%であり、LEDチップ並び方向に直交する方向では10%である。光沢度は、60°鏡面光沢度であり、表面に垂直な方向に対して60°方向から光を入射させて-60°方向に反射した光を受光することで測定することができる。具体的には、光沢度は、光沢計により測定することができる。
【0093】
また、光出射面30bに形成された複数の凹凸30b1についても、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向であるLEDチップ並び方向(x軸方向)及び当該LEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)の各々において、例えば等間隔(等ピッチ)で形成されている。複数の凹凸30b1についても、凹凸間隔は、可視光の波長よりも長くなっている必要があるので、ミクロンオーダ以上である。
【0094】
本実施の形態において、光出射面30bにおける複数の凹凸30b1の凹凸間隔は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで異なっているが、同じであってもよい。一例として、光出射面30bにおける複数の凹凸30b1の凹凸間隔は、LEDチップ並び方向では20μmであり、LEDチップ並び方向に直交する方向では30μmである。
【0095】
また、本実施の形態において、光出射面30bにおける複数の凹凸30b1の最大高さ粗さ(Rz)は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで同じになっているが、異なっていてもよい。一例として、光出射面30bにおける複数の凹凸30b1の最大高さ粗さ(Rz)は、LEDチップ並び方向とLEDチップ並び方向に直交する方向とのいずれにおいても5μmである。
【0096】
なお、光出射面30bの複数の凹凸30b1は、光出射面30bの光沢度にも関係する。本実施の形態において、光出射面30bの光沢度は、LEDチップ並び方向(x軸方向)とLEDチップ並び方向に直交する方向(y軸方向)とで異なっているが、同じであってもよい。また、光出射面30bの光沢度は、LEDチップ並び方向及びLEDチップ並び方向に直交する方向のいずれにおいても、光入射面30aの光沢度以上になっている。一例として、光出射面30bの光沢度は、LEDチップ並び方向では10%であり、LEDチップ並び方向に直交する方向では15%である。
【0097】
光拡散板30は、例えば、ポリカーボネート樹脂(熱膨張係数5.6×10-5/℃)又はポリ塩化ビニル(熱膨張係数7×10-5/℃)等の透明樹脂材料によって構成することができる。なお、光拡散板30の材質は、これらの透明樹脂材料に限るものではなく、アクリル樹脂等の他の透明樹脂材料であってもよい。また、光拡散板30は、樹脂材料ではなく、ガラスによって構成されていてもよい。
【0098】
光拡散板30は、基板10と並行な平面部31と、平面部31の面内方向とは異なる方向に延伸する枠部32とを有する。本実施の形態において、平面部31と枠部32とは、樹脂成型により一体に形成されているが、これに限らない。つまり、平面部31と枠部32とは、別体で構成されていて、互いに接合されていてもよい。この場合、平面部31の材質と枠部32の材質とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
平面部31は、マトリクス状に配列された複数のLEDパッケージ20と対向している。本実施の形態において、平面部31は、上面視において矩形状である。平面部31は、各々がxy平面に平行な面である内面と外面とを有する。平面部31の内面は、光拡散板30の光入射面30aであり、平面部31の外面は、光拡散板30の光出射面30bである。したがって、複数の凹凸30a1及び30b1は、平面部31に形成されている。本実施の形態において、平面部31の厚さは、凹凸30a1及び30b1を除いて、平面部31の全領域において一定である。一例として、上面視において、平面部31は、x軸方向の長さが300mmで、y軸方向の長さが300mmで、厚さが0.5mmである。
【0100】
枠部32は、光入射面30aから離れる方向(z軸方向)に延伸している。断面視において、枠部32は、平面部31と基板10との間に位置している。枠部32は、平面部31の外周端部に沿って形成されている。枠部32は、上面視において矩形の枠状であり、マトリクス状に配列された複数のLEDパッケージ20を囲っている。本実施の形態において、枠部32は、基板10の側面と接するようにして基板10の全周を囲っている。一例として、枠部32は、z軸方向の長さが13mmで、厚さが0.5mmである。なお、光拡散板30が樹脂シートによって構成されている場合、熱プレス加工によって平面部31の面内方向と垂直な方向に延伸する枠部32を容易に形成することができる。
【0101】
本実施の形態において、光拡散板30は、LEDパッケージ20と離間して配置されているが、図7に示すように、光拡散板30の平面部31は、LEDパッケージ20と接していてもよい。この場合、光拡散板30の光入射面30a(平面部31の内面)は、封止樹脂26の表面26a(つまりLEDパッケージの発光面)及び反射カップ25の上面のいずれか一方に接していてもよいし、封止樹脂26の表面26a及び反射カップ25の上面の両方に接していてもよい。
【0102】
光拡散板30は、基板10に固定される。例えば、光拡散板30と基板10とは、接着剤、スナップイン等の係止構造又はネジ止め等によって固定される。図示しないが、本実施の形態において、光拡散板30と基板10とは、光拡散板30における周囲の12箇所と中央の1箇所とにおいて、ネジによって固定されている。なお、光拡散板30は、フレーム40に固定されていてもよい。
【0103】
ここで、照明パネル1における具体的な寸法の一例について、図4Aを用いて説明する。LEDパッケージ20において、反射カップ25の内壁上端から第1のLEDチップ21の発光中心までの水平距離をa1(mm)とし、反射カップ25の内壁上端から第2のLEDチップ22の発光中心までの水平距離をa2(mm)とし、反射カップ25の内壁上端から第3のLEDチップ23の発光中心までの水平距離をa3(mm)とし、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の光出射面からLEDパッケージ20の光出射面までの垂直距離をd1(mm)とし、LEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aとの間の垂直距離をd2(mm)とし、光拡散板30の厚さをd3(mm)とすると、本実施の形態では、a1=0.6、a2=1.2、a3=1.8、d1=0.8、d2=3.0、d3=0.5である。また、光拡散板30のHAZE値(全透過光に対する拡散光の割合)は、例えば0.84(HAZE値=0.84)である。また、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23のチップ間距離は、0.6mmである。
【0104】
なお、本実施の形態のように光拡散板30が表面光散乱型である場合、垂直距離d2は、LEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aの凹凸30a1の凸部の頂点との最小距離のことであり、光拡散板30の厚さd3は、光入射面30aの凹凸30a1の凸部の頂点と光出射面30bの凹凸30b1の凸部の頂点との最大距離のことである。光拡散板30が表面光散乱型であっても、垂直距離d2及び厚さd3は、ノギス等の一般的な膜厚計で測定することができる。
【0105】
また、垂直距離d1、d2において、LEDパッケージ20の光出射面とは、封止樹脂26の表面26aのことであるが、封止樹脂26の表面26aが平坦面ではない場合がある。具体的には、図8Aに示すように、封止樹脂26の表面26aが反射カップ25の上端面から突出して凸状になっていたり、図8Bに示すように、封止樹脂26の表面26aが反射カップ25の上端面からへこんで凹状になっていたりする場合がある。このように、封止樹脂26の表面26aが平坦面でない場合、垂直距離d1、d2におけるLEDパッケージ20の光出射面は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ及び第3のLEDチップ23から出射する光が反射カップ25で遮られる臨界角となるときの高さ位置を基準とする。つまり、図8A及び図8Bに示すように、封止樹脂26の表面26aが平坦面でない場合、LEDパッケージ20の光出射面は、封止樹脂26の表面26aではなく、封止樹脂26を囲う反射カップ25の上端面とする。
【0106】
なお、各LEDパッケージ20において、反射カップ25の平面視形状は長方形又は正方形であり、一例として、反射カップ25の外形サイズは、3.2mm×2.8mm又は2.8mm×2.8mmである。つまり、LEDパッケージ20の平面視形状が長方形又は正方形であって、LEDパッケージ20の外形サイズが3.2mm×2.8mm又は2.8mm×2.8mmである。本実施の形態において、反射カップ25の外形サイズは、2.8mm×2.8mmであり、反射カップ25の内形サイズは、2.4mm×2.4mmである。この場合、隣り合う2つのLEDパッケージ20(反射カップ25)の間隔は、行方向及び列方向のいずれにおいても、8mmである。
【0107】
このように構成される照明パネル1では、複数のLEDパッケージ20の全てを同じ電流値で駆動させたときに、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下になっている。つまり、基板10上の全てのLEDパッケージ20を同じ電流値で駆動させたときに、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下となるように複数のLEDパッケージ20と光拡散板30とが近接して配置されている。
【0108】
具体的には、各LEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aとの間の垂直距離d2は、図9に示すように、発光する複数のLEDパッケージ20を光拡散板30越しに見たときに複数のLEDパッケージ20の各々の位置が十分に区別できる程度に、最外周に位置するLEDパッケージ20よりも内側の領域において、LEDパッケージ20の発光時の面内輝度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)が0.5以下となる距離に設定されている。
【0109】
本実施の形態において、複数のLEDパッケージ20の全てを同じ電流値で駆動させたときに、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値(最小値/最大値)は、0.1である。つまり、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.1となるように複数のLEDパッケージ20と光拡散板30とが近接して配置されている。なお、図9は、このときの照明パネル1を撮像したときの写真である。具体的には、複数のLEDパッケージ20を白色光で全点灯させたときに光拡散板30を撮像したときの写真である。
【0110】
次に、複数のLEDパッケージ20が配置される基板10とフレーム40との固定部分の構造について、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10Aは、実施の形態に係る照明パネル1において、基板10とフレーム40との固定部分を示す平面図である。図10Bは、図10AのXB-XB線における照明パネル1の一部を示す断面図である。
【0111】
図10A及び図10Bに示すように、複数のLEDパッケージ20が配置される基板10は、フレーム40に固定されている。基板10とフレーム40とは、平面視で離散的に存在する接触部15においてネジ50で固定されている。なお、基板10とフレーム40とによって、複数のLEDパッケージ20が配置される基体14が構成されていてもよい。
【0112】
基板10におけるフレーム40側の表面である第2主面10bは、レジスト11で覆われている。レジスト11は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の絶縁性樹脂材料によって構成されている。また、レジスト11は、表面の反射率が90%以上(例えば98%)の白色レジストであってもよい。本実施の形態において、レジスト11は、エポキシ樹脂によって構成された厚さが30μmの白色レジストである。なお、レジスト11は、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は硫酸バリウム等によって構成されていてもよい。
【0113】
基板10は、傾かないように複数箇所でフレーム40に固定されている。例えば、基板10は、4箇所でフレーム40に固定されている。具体的には、基板10は、縦横200mm間隔の4箇所の各々において、ネジ50によってフレーム40に取り付けられている。このように、複数箇所で基板10をフレーム40に固定することで、基板10が傾くことを抑制できる。なお、ネジ50は、例えば、平ネジである。ネジ50の締め付けトルクは、例えば、8.5±1Nである。また、ネジ50の上面には第1主面10aに形成されている白色レジストと同じ白色レジストが塗布されている。
【0114】
フレーム40は、基板10を支持する支持部材である。フレーム40は、樹脂材料又は金属材料によって構成された剛体である。本実施の形態において、フレーム40は、ガラス繊維入りのポリカーボネート樹脂(熱膨張係数5.6×10-5/℃)によって構成されている。
【0115】
ここで、基板10とフレーム40との固定部分の詳細な構造について、図10A及び図10Bを参照しつつ、図11図13を用いて説明する。
【0116】
図11は、実施の形態に係る照明パネル1において、基板10とフレーム40との固定部分の構造を示す図である。図11において、(a)は、基板10とフレーム40との固定部分の分解斜視図であり、(b)は、基板10とフレーム40との固定部分を基板10の第2主面10b側から見たときの平面図である。
【0117】
図12は、実施の形態に係る照明パネル1において、基板10とフレーム40との固定部分における部材を分解して示す平面図である。図12において、(a)は、基板10の平面図、(b)は、凸部下地60の平面図、(c)は、レジスト11の平面図、(d)は、フレーム40の平面図である。
【0118】
図13は、実施の形態に係る照明パネル1において、基板10とフレーム40との固定部分の断面図である。図13において、(a)は、図11のXIIIa-XIIIa線における断面図であり、(b)は、図11のXIIIb-XIIIb線における断面図であり、(c)は、図11のXIIIc-XIIIc線における断面図であり、(d)は、図12のXIIId-XIIId線における断面図である。
【0119】
図11図13に示すように、基板10には、ネジ50のネジ軸が挿通される貫通孔10cが形成されている。貫通孔10cは、段差状に形成されており、ネジ50のネジ頭が収納されるように構成されている。レジスト11にもネジ50のネジ軸が挿通される貫通孔11cが形成されている。基板10の貫通孔10cとレジスト11の貫通孔11cとは連通している。また、フレーム40には、ネジ50のネジ軸がねじ込まれるネジ穴41cが形成されている。本実施の形態において、ネジ穴41cは、フレーム40に設けられた突出部41の先端面に形成されている。突出部41は、基板10に向かって突出するように形成されている。突出部41は、円柱状であるが、直方体等であってもよい。なお、フレーム40には、取り外し可能なハンドル42が設けられている。
【0120】
また、基板10とフレーム40との接続部分における基板10とレジスト11との間には、凸部下地60が配置されている。本実施の形態において、基板10とフレーム40とは複数箇所で接続されるので、凸部下地60も複数個配置される。
【0121】
各凸部下地60は、複数に分割された円環状の薄板部材である。凸部下地60は、基板10の貫通孔10c及びレジスト11の貫通孔11cに連通する貫通孔60cと、1つ以上の分割溝60dとを有する。本実施の形態において、凸部下地60は、90°の等間隔で形成された4つの分割溝60dによって4つに分割されている。凸部下地60は、例えば、厚さが18μmの銅(Cu)によって構成されている。また、分割溝60dの溝幅は、例えば1.2mmである。なお、凸部下地60は、銅に限るものではなく、金(Au)等の他の金属材料によって構成されていてもよい。また、凸部下地60は、樹脂材料等、金属材料以外の材料によって構成されていてもよいが、凸部下地60は、基板10とフレーム40との接続部分であって取付台として機能するので硬質な材料で構成されているとよい。
【0122】
基板10は、フレーム40の突出部41の上に載置されてフレーム40に固定される。この場合、フレーム40の突出部41の上に、基板10、凸部下地60及びレジスト11が積層された物を逆さにして載置し、基板10の貫通孔10cとレジスト11の貫通孔11cとにネジ50のネジ軸を挿通して、フレーム40の突出部41のネジ穴41cにネジ50のネジ軸をねじ込む。これにより、凸部下地60及びレジスト11が設けられた基板10をフレーム40に固定することができる。このように、基板10をフレーム40の突出部41に載置して固定することで、凸部下地60及びレジスト11が設けられた基板10とフレーム40とが離間した状態で固定される。これにより、基板10の第2主面10b側の面(レジスト11の表面)とフレーム40とが極力接触しないようにすることができる。
【0123】
このとき、レジスト11におけるフレーム40の突出部41との接触部分である接触部15は、レジスト11及びフレーム40の少なくとも一方の表面が溝部15dで分割された凸部15eからなる。
【0124】
本実施の形態では、接触部15における基板10とレジスト11との間には凸部下地60が挿入されている。これにより、レジスト11は、凸部下地60の凹凸形状が反映した凹凸形状となる。つまり、接触部15におけるフレーム40との接触面は、凸部下地60の平面視形状と同じ形状となる。具体的には、接触部15におけるレジスト11の表面は、凸部下地60の分割溝60dによって、溝部11dで分割された凸部11eが形成される。つまり、接触部15の溝部15dは、レジスト11の溝部11dに対応し、接触部15の凸部15eは、レジスト11の凸部15eに対応することになる。なお、レジスト11は、少なくとも接触部15以外においては、ほぼ同じ厚さになっている。また、レジスト11は、接触部15においてもほぼ同じ厚さになっていてもよい。
【0125】
このように、フレーム40と基板10との接続部分である接触部15において、分割溝60dで分割された凸部下地60を基板10とレジスト11との間に挿入することで、熱歪による突発的緩和を抑制することができる。この点について、以下説明する。
【0126】
LEDパッケージ20を連続動作させる等すると、LEDパッケージ20で発生した熱によって基板10の温度が上昇する。このとき、材質の異なる部材間には熱膨張係数差によって応力が発生して熱歪が生じる。この熱歪が静止摩擦限界を超えると、板状の部材同士の場合は、面内方向に突発的緩和(位置ずれ)が発生する。また、この時に音も発生する。具体的には、基板10とフレーム40とをネジによって接続する場合、基板10とフレーム40との接続部分(ネジ止め箇所)に熱歪が生じ、この熱歪が静止摩擦限界を超えると、面内方向に突発的緩和が発生する。具体的には、基板10とフレーム40との温度差が約40℃以上になると、突発的緩和が発生する。
【0127】
これに対して、本実施の形態では、フレーム40と基板10との接続部分である接触部15において、分割溝60dで分割された凸部下地60が設けられているので、レジスト11の表面は溝部11dで分割された凸部11eが形成される。これにより、接触部15は、微小な凸部11eの集合体になるので、突発的緩和を抑制することができる。これにより、突発的緩和による音の発生も低減できる。
【0128】
なお、本実施の形態において、複数の凸部下地60は、互いの分割溝60dの方向が揃うように配置されていたが、これに限らない。例えば、図14の(a)に示すように、複数の凸部下地60は、互いの分割溝60dの方向が揃うことなくランダムに配置されていてもよい。また、図14の(b)に示すように、複数の凸部下地60は、分割溝60dの方向が回転するような位置関係で配置されていてもよい。なお、図14の(a)に示すように、分割溝60dの方向が揃うことなく複数の凸部下地60を配置することで、より多くの熱歪の方向に対応することができるので、上記突発的緩和を効果的に抑制することができる。
【0129】
次に、図15及び図16を用いて、本実施の形態に係る照明パネル1の作用効果の1つについて、比較例の照明パネル1Xと比較して説明する。図15は、比較例の照明パネル1Xにおける光の経路を示す図である。図16は、実施の形態に係る照明パネル1における光の経路を示す図である。なお、図15及び図16において、縦横の縮尺については図4A等に対して便宜上変更している。また、図16において、光拡散板30の表面の凹凸は図示していない。
【0130】
比較例の照明パネル1Xでは、本実施の形態に係る照明パネル1と同様に、LEDパッケージ20が離散的に二次元状に配置されているが、光拡散板(不図示)をLEDパッケージ20から離れた位置に配置している。これは、比較例の照明パネル1Xでは、光拡散板を複数のLEDパッケージ20から遠ざけて配置することで、光拡散板における面内の輝度分布を均一にして複数のLEDパッケージ20が粒状に見えること(粒々感)を抑制するためである。つまり、比較例の照明パネル1Xでは、離散的に配置された複数のLEDパッケージ20の明暗差による輝度ムラを抑制している。
【0131】
このように構成される比較例の照明パネル1Xにおける各LEDパッケージ20では、図15に示すように、LEDパッケージ20の直上に出射する光L0は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から出射した光が混合した色の光となる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の直上に出射する光L0は、色ずれの無い白色光となる。
【0132】
一方、図15に示すように、LEDパッケージ20の斜め左上方向に臨界角以上に傾斜して出射する光L1については、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から斜め左上方向に出射した光のうち、第1のLEDチップ21から出射する光が反射カップ25の内壁面で遮光されてしまうので、第1のLEDチップ21の色成分が不足した色の光になる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の斜め左上方向に出射する光L1は、緑色成分が不足することになり、紫色に色ずれした紫白色光となる。
【0133】
また、図15に示すように、LEDパッケージ20の斜め右上方向に臨界角以上に傾斜して出射する光L2については、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から斜め右上方向に出射した光のうち、第3のLEDチップ23から出射する光が反射カップ25の内壁面で遮光されてしまうので、第3のLEDチップ23の色成分が不足した色の光になる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の斜め右上方向に出射する光L2は、青色成分が不足することになり、黄色に色ずれした黄白色光となる。
【0134】
このように、比較例の照明パネル1Xでは、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向であるLEDチップ並び方向から照明パネル1を臨界角以上の高角度から見たときに、色ずれが発生する。
【0135】
これに対して、本実施の形態に係る照明パネル1では、上記のように、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下となるように複数のLEDパッケージ20と光拡散板30とが配置されている。つまり、図16に示すように、光拡散板30とLEDパッケージ20とが近接して配置されている。
【0136】
この構成により、図16に示すように、本実施の形態に係る照明パネル1では、LEDパッケージ20の斜め左上方向に比較例と同じ角度で出射する光L1については、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から斜め左上方向に出射した光のうち、第1のLEDチップ21から出射する光の一部の光が反射カップ25の内壁面で遮光されてしまうものの、第1のLEDチップ21から出射する光の他の一部の光が光拡散板30で散乱して反射カップ25の内壁面の向こう側に回り込んで光拡散板30から出射して加算されることになり、第1のLEDチップ21の色成分が不足した色の光になってしまうことを抑制できる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の斜め左上方向に出射する光L1は、緑色成分が不足して紫色に色ずれすることを抑制できる。これにより、LEDパッケージ20の斜め左上方向に出射する光L1については、光拡散板30の面内分布ではなく遠視野像において、色ずれの少ない白色光となる。
【0137】
なお、本実施の形態において、光拡散板30は表面光散乱型であるので、第1のLEDチップ21から斜め左上方向に出射する光の他の一部の光は、光拡散板30において、光入射面30aと光出射面30bとの2箇所で屈折散乱して、反射カップ25の内壁面の向こう側に回り込むことになる。
【0138】
また、本実施の形態に係る照明パネル1において、LEDパッケージ20の斜め右上方向に比較例と同じ角度で出射する光L2については、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から斜め右上方向に出射した光のうち、第3のLEDチップ23から出射する光の一部の光が反射カップ25の内壁面で遮光されてしまうものの、第3のLEDチップ23から出射する光の他の一部の光が光拡散板30で散乱して反射カップ25の内壁面の向こう側に回り込んで光拡散板30から出射して加算されることになり、第3のLEDチップ23の色成分が不足した色の光になってしまうことを抑制できる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の斜め右上方向に出射する光L2は、青色成分が不足して黄色に色ずれすることを抑制できる。これにより、LEDパッケージ20の斜め右上方向に出射する光L2については、光拡散板30の面内分布ではなく遠視野像において、色ずれの少ない白色光となる。
【0139】
なお、本実施の形態において、光拡散板30は両面が表面光散乱機能を有するので、第3のLEDチップ23から斜め右上方向に出射する光の他の一部の光についても、光拡散板30において、光入射面30aと光出射面30bとの2箇所で屈折散乱して、反射カップ25の内壁面の向こう側に回り込むことになる。
【0140】
また、本実施の形態に係る照明パネル1において、LEDパッケージ20の直上に出射する光L0は、図16に示すように、比較例の照明パネル1Xと同様に、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から出射した光が混合した色の光となる。具体的には、第1のLEDチップ21は緑色光を出射し、第2のLEDチップ22は赤色光を出射し、第3のLEDチップ23は青色光を出射するので、LEDパッケージ20の直上に出射する光L0は、色ずれの無い白色光となる。
【0141】
このように、直線状に並んでいる複数のLEDチップを有するLEDパッケージ20を用いて照明パネルを構成する場合に、光拡散板30を配置しない又はLEDパッケージ20から離れて光拡散板30を配置すると、複数のLEDチップの並び方向から高角度で照明パネルを見れば見るほど色ずれが大きくなっていくが、LEDパッケージ20に光拡散板30を近接して配置することで、複数のLEDチップの並び方向から高角度で照明パネルを見た場合でも、色ずれを低減することができる。
【0142】
次に、本実施の形態に係る照明パネル1の色ずれ低減効果を検証する実験を行ったので、その実験結果について、図17及び図18を用いて説明する。図17及び図18は、実施の形態に係る照明パネル1におけるパラメータを説明するための図である。図17は、d2≠0の場合を示しており、図18は、d2=0の場合を示している。なお、図17及び図18においても、縦横の縮尺については図4A等に対して便宜上変更しており、また、光拡散板30の表面の凹凸は図示していない。
【0143】
上記のように、反射カップ25の内壁上端から第1のLEDチップ21の発光中心までの水平距離をa1(mm)とし、反射カップ25の内壁上端から第2のLEDチップ22の発光中心までの水平距離をa2(mm)とし、反射カップ25の内壁上端から第3のLEDチップ23の発光中心までの水平距離をa3(mm)とし、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の光出射面からLEDパッケージ20の光出射面までの垂直距離をd1(mm)とし、LEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aとの間の垂直距離をd2(mm)とし、光拡散板30の厚さをd3(mm)とすると、第1のLEDチップ21から出射する光が反射カップ25に遮られる臨界角θ1(度)、第2のLEDチップ22から出射する光が反射カップ25に遮られる臨界角θ2(度)及び第3のLEDチップ23から出射する光が反射カップ25に遮られる臨界角θ3(度)は、それぞれ以下の式で表される。
【0144】
θ1=tan-1(a1/d1)
θ2=tan-1(a2/d1)
θ3=tan-1(a3/d1)
【0145】
具体的には、本実施の形態では、a1=0.6、a2=1.2、a3=1.8、d1=0.8、d2=3.0、d3=0.5、であるので、θ1=37度、θ2=56度、θ3=66度、となる。
【0146】
また、光拡散板30に入射した光が光拡散板30で散乱したときの散乱角は、光の進行方向が変わる度合いを意味することとなる。本実施の形態では、光拡散板30は表面光散乱型の光拡散板であるので、LEDパッケージ20から出射して光拡散板30に入射する光は、光拡散板30における光入射面30aと光出射面30bとの2箇所で散乱することになる。具体的には、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の各々から出射した光は、光入射面30a及び光出射面30bの2箇所で散乱して光拡散板30を透過することになる。
【0147】
この場合、図17に示すように、第1のLEDチップ21から出射した光(本実施の形態では緑光)のうち反射カップ25の内壁上端P1を通って臨界角θ3の方向に進む光について、光拡散板30に入射するときの散乱角は、図17に示される角度θ11を用いて、θ11-θ1で表される。また、光拡散板30から出射するときの散乱角は、θ11-θ3で表される。
【0148】
同様に、第2のLEDチップ22から出射した光(本実施の形態では赤光)のうち反射カップ25の内壁上端P1を通って臨界角θ3の方向に進む光について、光拡散板30に入射したときの散乱角は、図17に示される角度θ21を用いて、θ21-θ2で表される。また、光拡散板30から出射するときの散乱角は、θ21-θ3で表される。
【0149】
そして、本実施の形態における照明パネル1において、垂直距離d2のみを変化させたときの結果を以下の表1に示す。表1に示される数値は、a1=0.6、a2=1.2、a3=1.8、d1=0.8としたLEDパッケージ20に対して封止樹脂26の光散乱性を除去したものを想定したときの計算値であり、また、色ずれ低減効果は、光拡散板30のHAZE値を0.84としたときの実測値である。
【0150】
【表1】
【0151】
表1に示される結果から、色ずれ低減効果は、LEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aとの間の垂直距離d2が3.0mm以下のときに発揮されることが分かる。しかも、垂直距離d2が小さくなればなるほど色ずれ低減効果が大きくなることが分かる。つまり、垂直距離d2と色ずれ低減効果とは負の相関になっている。また、表1には記載していないが、光拡散板30の厚さd3が大きいほど、色ずれ低減効果が大きくなることも実験から判明した。なお、光拡散板30の厚さd3は、特に限定されるものではないが、2mm以下であるとよい。また、垂直距離d2と散乱角は正の相関関係にある。
【0152】
このように垂直距離d2が小さくなればなるほど色ずれ低減効果が大きくなる理由は、散乱角が小さいほど散乱した光の強度が高くなり、散乱によって補填される光の強度に比例して色ずれが解消されるからであると考えられる。
【0153】
したがって、色ずれの解消は、光拡散板30での2箇所の散乱角(光入射面30aでの散乱角と光出射面30bでの散乱角)のうち、大きい方に強く相関関係を有すると考えられる。本実施の形態では、2箇所の散乱角のうち光入射面30aでの散乱角の方が大きい角度であるので、表1に示すように、散乱角が48.1度以下の場合に色ずれ低減効果が有意に発現することが分かる。
【0154】
そして、散乱角が48.1度以下となる条件を満たすd2の範囲を検討すると、d2/(θ3-θ1)≦0.1となる。
【0155】
ここで、上記色ずれ低減効果が同量となるパラメータの組み合わせについて、表2を用いて説明する。
【0156】
【表2】
【0157】
表2に示される数値についても、a1=0.6、a2=1.2、a3=1.8、d1=0.8のLEDパッケージ20に対して封止樹脂26の散乱性を除去したものを想定した計算値である。
【0158】
表2に示されるように、色ずれ低減効果の効果量が同じ(つまり散乱角が同じ)になるときのLEDパッケージ20の光出射面と光拡散板30の光入射面30aとの間の垂直距離d2と光拡散板30の厚さd3との比(d2/d3)は、一定であった。
【0159】
この理由は、光拡散板30が表面光散乱型である場合、光拡散板30に入射した光は光拡散板30の2箇所で散乱するので、色ずれ低減効果と負の相関関係を有する光拡散の度合いを示す散乱角は、d2/d3の値と比例するからであると考えられる。したがって、d2/d3の値が小さいほど、色ずれ低減効果が大きくなる。そして、色ずれ低減効果が得られる条件を満たす垂直距離d2と厚さd3との関係を検討すると、d2/d3が一定値の6.0以下(d2/d3≦6.0)の場合に色ずれ低減効果が有意に発現する。
【0160】
このように、照明パネル1における色ずれ低減効果は、垂直距離d2に依存する。ここで、垂直距離d2を変化させたときのLEDパッケージ20の白色光の色度の変化の照射方向依存性(Cx,Cy:CIE色度指標)について、以下の表3及び表4に示す。表3は、封止樹脂26が光散乱樹脂(シリカ粒子をシリコーン樹脂に分散したもの)である場合の結果を示している。また、表4は、封止樹脂26が透明樹脂(シリコーン樹脂のみ)である場合の結果を示している。
【0161】
なお、表3及び表4における数値は、a1=0.6、a2=1.2、a3=1.8、d1=0.8としたLEDパッケージ20に対向して、入射方向に対して±30度の角度範囲までは光強度がほぼ均等であり、それ以上の角度範囲では光強度が急激に減衰する光拡散板30を配置したと想定したときの計算値を示している。また、表3及び表4において、色ずれ解消値(ΔCx1、ΔCy1)とは、光拡散板30が無い場合と比べたときの色度ずれの差分を示しており、色ずれ低減効果とは、光拡散板30が無い場合と比べたときの色度ずれの低減分(x座標値とy座標値のうち、色度ずれ解消効果の大きい方の座標値において、光拡散板がない場合に対する色ずれ解消値の割合)を示している。
【0162】
【表3】
【0163】
表3に示すように、封止樹脂26が光散乱樹脂である場合、光拡散板30がLEDパッケージ20に接したとき(d2=0)の実施例1Aの色ずれ低減効果(20%)を100%で規格化としたときに、色ずれ低減効果が50%以上となるとき、つまり、実施例3A(d2=mm)の色ずれ低減効果の11%という値が実施例1A(d2=0)の色ずれ低減効果の20%という値の半分(50%)以上となるときに、目視により色の違いを確認することができた。このことを数値で示すと、d2≦3mmに相当する。
【0164】
【表4】
【0165】
また、表4に示すように、封止樹脂26が透明樹脂である場合、光拡散板30がLEDパッケージ20に接したとき(d2=0)の実施例1Bの色ずれ低減効果(41%)を100%で規格化としたときに、色ずれ低減効果が50%以上となるとき、つまり、実施例3B(d2=3mm)の色ずれ低減効果の21%という値が実施例1B(d2=0mm)の色ずれ低減効果の41%という値の半分(50%)以上となるときに、目視により色の違いを確認することができた。このことを数値で示すと、d2≦3mmに相当する。
【0166】
このように、封止樹脂26が光散乱樹脂であっても透明樹脂であっても、色ずれ低減効果はほぼ同じであることが分かった。
【0167】
また、封止樹脂26が透明樹脂である場合には、封止樹脂26が光散乱樹脂である場合に比べて、LEDパッケージ20自体の色度の放射方向依存性が大きい(つまり、高角度域での色ずれが大きい)ことも分かった。すなわち、上記のように、垂直距離d2を小さくしてLEDパッケージ20に光拡散板30を近接して設置することで、色度ずれ低減効果をより大きく発揮させることができるが、垂直距離d2の大小にかかわらず、色度ずれ低減効果の絶対値は、封止樹脂26が透明樹脂である場合の方が大きい。
【0168】
以上説明したように、本実施の形態に係る照明パネル1は、基体の一例である基板10と、基板10上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージ20と、複数のLEDパッケージ20の発光面側に配置された光拡散板30とを備えており、複数のLEDパッケージ20の各々は、それぞれ発光色が異なる第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23とを有する。そして、複数のLEDパッケージ20のうち隣り合う2つのLEDパッケージ20の間には、光遮蔽物が無いところが存在しており、複数のLEDパッケージ20の全てを同じ電流値で駆動させたときに、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下になっている。
【0169】
この構成により、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下となるように複数のLEDパッケージ20と光拡散板30とが近接して配置される。これにより、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間の輝度を向上させつつ、照明パネル1を任意の方向から高角度で見たとしても色ずれが生じることを抑制できる。例えば、照明パネル1に映像を表示した場合でも、映像に色ずれが生じることを抑制することができる。このように、本実施の形態に係る照明パネル1によれば、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる。
【0170】
また、本実施の形態における照明パネル1において、複数のLEDパッケージ20の各々は、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23を封止する封止樹脂26を有している。そして、複数のLEDパッケージ20の各々において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、反射カップ25の底面上にこの順で一列に並んでおり、複数のLEDパッケージ20は、すべて同じ向きで配列されている。
【0171】
第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23が一列に並んでいると、このLEDチップの並び方向に対して高角度から照明パネル1を見たときに色ずれが大きくなるが、本実施の形態に係る照明パネル1のように、光拡散板30をLEDパッケージ20に近接して配置することで、LEDチップの並び方向に対して高角度で照明パネル1を見たときに色ずれを抑制することができる。
【0172】
また、本実施の形態における照明パネル1では、光拡散板30が表面光散乱型であって、光拡散板30の表面には、当該光拡散板30に入射した光が散乱する複数の凹凸が形成されている。そして、複数のLEDパッケージ20の少なくとも1つにおいて、第1のLEDチップ21の発光中心と第3のLEDチップ23の発光中心を含み且つ反射カップ25の底面に垂直な断面で、上記の角度θ1、角度θ3、垂直距離d2について、d2/(θ3-θ1)≦0.1の関係を満たしている。
【0173】
このように、d2/(θ3-θ1)≦0.1の関係を満たすことで、表1及び表2を用いて説明したように、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0174】
さらに、本実施の形態における照明パネル1では、表面光散乱型の光拡散板30の厚さをd3(mm)とすると、d2/d3≦6の関係を満たしている。
【0175】
このように、d2/d3≦6.0の関係を満たすことで、表1及び表2を用いて説明したように、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0176】
また、上述のように、高角度から見たときの色ずれは、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向であるLEDチップ並び方向(第1の方向)から高角度で見たときに発生し、LEDチップ並び方向(第1の方向)に垂直な方向(第2の方向)から高角度から見たときにはほとんど発生しない。
【0177】
そこで、本実施の形態では、LEDチップ並び方向とLEDチップ並び方向に垂直な方向とで光入射面30a及び光出射面30bの表面特性(光沢度、最大高さ粗さ(Rz)、凹凸間隔)に異方性を有する光拡散板30を用いて、光沢度が低い方(散乱が多い方)、又は、最大高さ粗さ(Rz)が大きい方もしくは凹凸間隔が小さい方(いずれも凹凸表面の傾斜がきつくて散乱角が高角度になる方)とLEDチップ並び方向とを合わせて光拡散板30を配置することで色ずれを抑制している。なお、上記のように異方性を有する光拡散板30を、光沢度が高い方(散乱が少ない方)、又は、最大高さ粗さ(Rz)が小さい方もしくは凹凸間隔が大きい方(いずれも凹凸表面の傾斜が緩くて散乱角が小角度になる方)に合わせて配置すると色ずれを抑制する効果は小さくなるものので、複数のLEDチップの並び方向に起因する色ずれが小さい方向であるので、そのように配置しても大きな問題にはならない。以下、色ずれ低減効果を効果的に発現できる光拡散板30の配置について説明する。
【0178】
まず、光拡散板30における光出射面30bの光沢度は、光拡散板30における光入射面30aの光沢度以上であるとよい。つまり、光拡散板30における光入射面30aの光沢度は、光拡散板30における光出射面30bの光沢度よりも低くなっているとよい。
【0179】
表1及び表2を用いて説明したように、色ずれ低減効果は、光拡散板30での2回の散乱角(光入射面30aでの散乱角と光出射面30bでの散乱角)のうち光入射面30aでの散乱角の方が大きい方がよい。ここで、光拡散板30に入射した光が光拡散板30で散乱したときの散乱角は、光拡散板30における光入射面30a及び光出射面30bの光沢度と負の相関がある。したがって、色ずれを効果的に抑制するために光入射面30aで大きな散乱角を得るには、光入射面30aの光沢度は小さい方がよい。特に、光拡散板30が表面光散乱型である場合には、光入射面30aの方が大きな散乱角が必要となるので、光入射面30aの光沢度は低い方がよい。
【0180】
このように、光拡散板30において光入射面30aの光沢度を光出射面30bの光沢度よりも低くすることで、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。なお、実際に本発明者らが実験した結果からも、光入射面30aの光沢度<光出射面30bの光沢度の関係を満たしているときに、色ずれ低減効果が大きくなることを確認した。
【0181】
また、光拡散板30において、光出射面30bの最大高さ粗さ(Rz)を光出射面30bの平均凹凸間隔で除した値は、光入射面30aの最大高さ粗さ(Rz)を光入射面30aの平均凹凸間隔で除した値以下であるとよい。
【0182】
最大高さ粗さ(Rz)を光出射面30bの平均凹凸間隔で除した値(表面粗さ/平均凹凸間隔)は、光拡散板30に入射した光が光拡散板30で散乱したときの散乱角と正の相関を有する。上記のように、光入射面30a及び光出射面30bのうち光入射面30aの散乱角が大きい方がよい。特に、光拡散板30が表面光散乱型である場合には、光入射面30aの方が大きな散乱角が必要となる。したがって、光出射面30bの最大高さ粗さ(Rz)を光出射面30bの平均凹凸間隔で除した値を光入射面30aの最大高さ粗さ(Rz)を光入射面30aの平均凹凸間隔で除した値以下にすることで、光出射面30bよりも光入射面30aの方の散乱角を大きくすることができる。これにより、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。なお、実際に本発明者らが実験した結果からも、光出射面30bのRz/平均凹凸間隔≦光入射面30aのRz/平均凹凸間隔の関係を満たしているときに、色ずれ低減効果が大きくなることを確認した。
【0183】
また、光拡散板30の光沢度は、次の(i)及び(ii)の少なくともいずれかを満たしているとよい。
【0184】
(i)光拡散板30の光出射面30bにおいては、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向である第1の方向の光沢度は、当該第1の方向に垂直な方向の光沢度以下である。
【0185】
(ii)光拡散板30の光入射面30aにおいては、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向である第1の方向の光沢度は、当該第1の方向に垂直な方向の光沢度以下である。
【0186】
このように、(i)及び(ii)の少なくともいずれかを満たすことで、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0187】
つまり、高角度から見たときの色ずれは、LEDチップの並び方向である第1の方向の方が第1の方向に垂直な方向よりも大きくなる。また、上記のように、光沢度は、色ずれ低減効果の観点で大きくしたい散乱角と負の相関を有する。したがって、LEDチップの並び方向である第1の方向及び当該第1の方向に垂直な方向のうち第1の方向に、光沢度が小さくなる方向を合わせることで、第1の方向に垂直な方向に光沢度が小さくなる方向を合わせるよりも、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。すなわち、(i)又は(ii)を満たすことで、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0188】
また、光拡散板30の光入射面30aにおいて、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向である第1の方向の最大高さ粗さ(Rz)を光入射面30aの平均凹凸間隔で除した値は、前記第1の方向に垂直な方向の最大高さ粗さ(Rz)を光入射面30aの平均凹凸間隔で除した値以下になっているとよい。
【0189】
光拡散板30の光出射面30bにおいても同様に、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向である第1の方向の最大高さ粗さ(Rz)を光出射面30bの平均凹凸間隔で除した値は、前記第1の方向に垂直な方向の最大高さ粗さ(Rz)を光出射面30bの平均凹凸間隔で除した値以下になっているとよい。
【0190】
表面光散乱型の光拡散板30においては、光入射面30aの凹凸30a1及び光出射面30bの凹凸30b1の大きさ(最大高さ粗さRzや凹凸間隔)が光拡散の度合いを示す散乱角を決めることになる。すなわち、凹凸30a1及び30b1の最大高さ粗さRzが大きい方が散乱角が大きくなり、また、凹凸30a1及び30b1の凹凸間隔(ピッチ)が小さい方が散乱角が大きくなる。したがって、光拡散板30の光入射面30a及び光出射面30bにおいて、LEDチップの並び方向と最大高さ粗さ(Rz)の大きな方向とを合わせたり、LEDチップの並び方向と凹凸間隔の小さな方向とを合わせたりすることで、LEDチップの並び方向に垂直な方向にそれらを合わせるよりも、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0191】
このように、LEDチップ並び方向とLEDチップ並び方向に垂直な方向とで光入射面30a及び光出射面30bの表面特性に異方性を有する光拡散板30を用いて、LEDチップ並び方向との関係で光拡散板30を上記のように配置することで、色ずれ低減効果を効果的に発現させることができる。
【0192】
また、本実施の形態における照明パネル1において、複数のLEDパッケージ20のうち隣り合う2つのLEDパッケージ20の間における基板10の表面は、光反射性を有する。
【0193】
この構成により、LEDパッケージ20から出射して光拡散板30で前方散乱した光は、光反射性を有する基板10の表面で再反射した後、再び光拡散板30を透過することになる。これにより、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間の輝度が向上して照明パネル1の全体の輝度分布が滑らかになるとともに、照明パネル1の光取り出し効率を向上させることができる。
【0194】
また、本実施の形態における照明パネル1は、基板10と、基板10上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージ20と、複数のLEDパッケージ20の発光面側に配置された光拡散板30とを備えており、複数のLEDパッケージ20の各々は、それぞれ発光色が異なる第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23とを有する。そして、光拡散板30は、基板10と並行な平面部31と、平面部31の面内方向とは異なる方向に延伸する枠部32とを有する。
【0195】
この構成により、LEDパッケージ20で発生する熱により光拡散板30に発生した熱歪によって光拡散板30が変形することを抑制できる。この点について、以下詳細に説明する。
【0196】
基板に配置された複数のLEDパッケージに対向して光拡散板が配置された照明パネルでは、複数のLEDパッケージを連続動作させる等すると、LEDパッケージで発生した熱によって光拡散板の温度が上昇する。これにより、光拡散板に熱歪が発生して、光拡散板がたわむ等して光拡散板が変形する。例えば、この光拡散板が、上記光拡散板30において枠部32を有しておらず平面部31のみで構成されているような場合、光拡散板と基板との温度差が約40℃以上になると、光拡散板にたわみが顕著に発生する。特に、光拡散板と基板とが接触していると、光拡散板と基板との熱膨張係数差によって光拡散板と基板との間に熱歪が発生して光拡散板が変形しやすくなる。
【0197】
これに対して、本実施の形態に係る照明パネル1では、光拡散板30に、平面部31の面内方向とは異なる方向(例えば垂直方向)に延伸する枠部32が設けられている。これにより、光拡散板30の温度が上昇して熱歪が発生して光拡散板30が変形することを抑制することができる。なお、枠部32は基板10に固定されているとよい。これにより、光拡散板30が変形することを効果的に抑制できる。この結果、光拡散板30に表示される映像の画質が劣化することを抑制できる。したがって、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる。
【0198】
また、本実施の形態における照明パネル1は、基体14と、基体14上にアレイ状に配置された複数のLEDパッケージ20と、複数のLEDパッケージ20の発光面側に配置された光拡散板30とを備えており、複数のLEDパッケージ20の各々は、それぞれ発光色が異なる第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23とを有する。基体14は、複数のLEDパッケージ20が実装された基板10と、基板10が固定されるフレーム40とを有し、基板10におけるフレーム40側の表面は、レジスト11で覆われており、基板10とフレーム40とは、平面視で離散的に存在する接触部15においてネジ50で固定されている。そして、接触部15は、レジスト11及びフレーム40の少なくとも一方の表面が溝部15dで分割された凸部15eからなる。
【0199】
この構成により、上記のように、LEDパッケージ20で発生した熱によって材質の異なる部材間に発生した熱歪が静止摩擦限界を超えて突発的緩和が発生することを抑制することができる。なお、本実施の形態において、凸部15eの分割数は4であるが、これに限るものではない。ただし、凸部15eの分割数が多い方が(つまり1つの接触部15が小さい方が)突発的緩和の抑制効果は大きい。
【0200】
さらに、本実施の形態では、フレーム40と基板10との接続部分である接触部15において、分割溝60dで分割された凸部下地60が基板10とレジスト11との間に挿入されている。これにより、分割溝60dで分割された凸部下地60によって、溝部15dで分割された凸部15eをレジスト11に容易に形成することができる。
【0201】
さらに、本実施の形態では、凸部下地60とレジスト11とが設けられた基板10を、フレーム40に設けられた突出部41に固定している。これにより、凸部下地60及びレジスト11が設けられた基板10とフレーム40とを離間した状態で固定することができるので、突発的緩和の発生を効果的に抑制することができる。この結果、光拡散板に発生した突発性緩和によって光拡散板に表示される画質が劣化することを抑制できる。したがって、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる。
【0202】
また、本実施の形態における照明装置100は、照明パネル1と、照明パネル1と離間して配置された光拡散部材3と、照明パネル1と光拡散部材3とを保持する筐体2とを備える。
【0203】
この構成により、照明パネル1から青空等の天空を模したイメージ映像が付加された照明光が照射して光拡散部材3に入射することで、光拡散部材3の光出射面3aに天空を模したイメージ映像が表示される。このとき、上記照明パネル1が用いられているので、高角度視でも色度が均一な光が光拡散部材3を通して出射される。これにより、どの方向から光拡散部材3を高角度で見たとしても、光拡散部材3に表示されるイメージ映像に色ずれが生じることを抑制できる。このとき、照明パネル1と光拡散部材3とが十分に離れていることで解像度を低くすることができるので、空と雲などを模した周囲環境等のように解像度が低くてもよいイメージ映像を、どの角度から見ても均一の色度で疑似的に演出することができる。このように、本実施の形態に係る照明装置100によれば、照明光を照射しつつ所望の画質の映像を表示することができる。
【0204】
(変形例)
以上、本開示に係る照明パネル1及び照明装置100について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0205】
例えば、上記実施の形態において、光拡散板30は、表面光散乱型であったが、これに限らない。具体的には、図19A及び図19Bに示される照明パネル1Aのように、表面光散乱型の光拡散板30に代えて、内部光散乱型の光拡散板30Aを用いてもよい。図19A及び図19Bは、変形例1に係る照明パネル1の部分断面図である。
【0206】
図19A及び図19Bに示すように、内部光散乱型の光拡散板30Aは、例えば、粒子分散型であって、透光性を有するベース樹脂33aと、透明媒体であるベース樹脂33aの内部に分散された光拡散材33bとを有する。ベース樹脂33aとしては、ポリカーボネート樹脂(熱膨張係数5.6×10/℃)又はポリ塩化ビニル(熱膨張係数7×10/℃)等の透明樹脂材料を用いることができる。なお、ベース樹脂33aの材質は、これらの樹脂材料に限るものではなく、アクリル樹脂等の他の透明樹脂材料であってもよい。光拡散材33bとしては、ホウケイ酸ガラスや石英ガラスからなるガラス粒子もしくはSiOからなるシリカ粒子や酸化チタン等の透明微粒子を用いることができる。透明媒体中に屈折率の異なる透明粒子を分散させることで屈折率の違いにより光を散乱させることができる。光拡散材33bの直径は、例えば2μm~20μmである。このような光拡散板30Aは、ベース樹脂33aを構成する透光性樹脂材料に光拡散材33bを混合して所定形状に樹脂成型することで作製することができる。なお、光拡散板30Aは、光拡散材33bに代えて、直径が2μm~20μmの微小な中空(泡)を透明樹脂材料に分散させたものであってもよいし、透明樹脂材料をベース材料とするのではなく、ガラス材料をベース材料としてもよい。
【0207】
内部光散乱型の光拡散板30Aは、表面に凹凸を有しておらず、光入射面30a及び光出射面30bは、平坦面になっている。また、本変形例において、光拡散板30Aの厚さd2は、一定である。したがって、光拡散板30Aにおいて、光入射面30aと光出射面30bとは、平行である。
【0208】
このように、内部光散乱型の光拡散板30Aを用いた照明パネル1Aであっても、上記実施の形態における照明パネル1と同様に、隣り合う2つのLEDパッケージ20の間の輝度を向上させつつ、照明パネル1Aを任意の方向から高角度で見たときでも色ずれが生じることを抑制できる。つまり、上記実施の形態のように表面に凹凸が形成された透明な光拡散板30であっても、本変形例のように透明媒体中に光拡散材が分散された光拡散板30Aであっても、高角度域での色ずれ低減効果を得ることができる。ただし、粒子分散型の光拡散板30Aは、表面光散乱型の光拡散板30と比べて、入射光への散乱作用が連続的となるので、同じ散乱指数を有する場合には、粒子分散型の光拡散板30Aの方が表面光散乱型の光拡散板30よりも色ずれ低減効果が小さくなる。
【0209】
また、内部光散乱型の光拡散板30Aを用いる場合であっても、図20に示すように、光拡散板30AとLEDパッケージ20とは接していてもよい(d2=0)。つまり、光拡散板30Aの光入射面30aとLEDパッケージ20の光出射面とが面接触していてもよい。
【0210】
なお、光拡散板のその他の変形例としては、表面光散乱型及び内部散乱型のいずれか一方のみの機能を有する光拡散板ではなく、表面光散乱型及び内部散乱型の両方の機能を有する光拡散板を用いてもよい。
【0211】
また、上記実施の形態において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、一列に配列されていたが、これに限らない。例えば、図21A及び図21Bに示される照明パネル1Bのように、複数のLEDパッケージ20Bの各々において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23は、反射カップ25の底面上に三角形の配置で並んでいてもよい。図21Aは、変形例2に係る照明パネル1Bの一部を示す平面図であり、図21Bは、図21AのXXIB-XXIB線における同照明パネル1Bの一部を示す断面図である。
【0212】
図21A及び図21Bに示すように、本変形例においても、複数のLEDパッケージ20Bは、すべて同じ向きで配列されている。したがって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び順序は、全てのLEDパッケージ20Bで同じであり、一通りである。
【0213】
また、上記実施の形態において、複数のLEDパッケージ20の各々は、第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23との3つのLEDチップによって構成されていたが、これに限らない。例えば、図22A及び図22Bに示される照明パネル1Cのように、複数のLEDパッケージ20Cの各々は、第1のLEDチップ21と第2のLEDチップ22と第3のLEDチップ23と第4のLEDチップ24との4つのLEDチップによって構成されていてもよい。図22Aは、変形例3に係る照明パネル1Cの一部を示す平面図であり、図22Bは、図22AのXXIIB-XXIIB線における同照明パネル1Cの一部を示す断面図である。各LEDパッケージ20Cにおいて、第4のLEDチップ24は、例えば、白色光を出射する白色用LEDチップである。つまり、各LEDパッケージ20Cは、RGBW4色の4つのLEDチップを1つにまとめた多色発光可能なLED素子である。
【0214】
図22A及び図22Bに示すように、本変形例における照明パネル1Cでは、複数のLEDパッケージ20Cの各々において、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22、第3のLEDチップ23及び第4のLEDチップ24は、反射カップ25の底面上に四角形の配置で並んでいる。また、本変形例においても、複数のLEDパッケージ20Cは、すべて同じ向きで配列されている。したがって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22、第3のLEDチップ23及び第4のLEDチップ24の並び順序は、全てのLEDパッケージ20Cで同じであり、一通りである。
【0215】
図21A及び図21Bに示される変形例2に係る照明パネル1BにおけるLEDパッケージ20Bの配置及び図22A及び図22Bに示される変形例3に係る照明パネル1CにおけるLEDパッケージ20Cの配置では、上記実施の形態に係る照明パネル1と比べて、色ずれの方向が変わるだけで、高角度から見たときの色ずれがなくなるものではない。例えば、図21A及び図21Bに示される変形例2に係る照明パネル1Bでは、z軸からy軸に向かって高角度から見たときに青緑色がかった白(赤色不足)の光と赤色がかった白(青色と緑色不足)の光となる。
【0216】
したがって、変形例2に係る照明パネル1B及び変形例3に係る照明パネル1Cにおいても、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下となるように光拡散板30を配置することで、高角度で見たとときに色ずれが生じることを効果的に抑制することができる。
【0217】
また、上記実施の形態では、複数のLEDパッケージ20は、すべて同じ向きで配列されていたが、これに限らない。
【0218】
例えば、図23に示される変形例4に係る照明パネル1Dのように、複数のLEDパッケージ20は、交互に反対の方向を向いて並んでいてもよい。つまり、複数のLEDパッケージ20は、交互配置であってもよい。図23では、列ごとにLEDパッケージ20が交互に反対の方向を向いている場合を示している。具体的には、図23において、x軸の正方向(図23の右方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を基準配置とし、x軸の負方向(図23の左方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を左右逆配置とすると、図23において、左側及び右側に位置するLEDパッケージ20の列は、基準配置であり、中央に位置するLEDパッケージ20の列は、左右逆配置である。なお、図23において、矢印は、LEDパッケージ20の向き(つまり、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向)を示している。
【0219】
あるいは、図24に示される変形例5に係る照明パネル1Eのように、複数のLEDパッケージ20は、隣り合う2つのLEDパッケージ20がそれぞれ面内方向に90度ずつ回転して並んでいてもよい。つまり、複数のLEDパッケージ20は、回転均等配置であってもよい。具体的には、図24において、x軸の正方向(図24の右方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を基準配置とし、y軸の負方向(図24の下方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を90°回転配置とし、x軸の負方向(図24の左方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を180°回転配置とし、y軸の正方向(図24の上方向)に向かって、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23がこの順序で並んでいる配置のLEDパッケージ20を270°回転配置とすると、上段の3つのLEDパッケージ20は、左から右に向かって、270°回転配置、基準配置、90°回転配置となり、中段の3つのLEDパッケージ20は、左から右に向かって、基準配置、90°回転配置、180°回転配置となり、下段の3つのLEDパッケージ20は、左から右に向かって、90°回転配置、180°回転配置、270°回転配置となる。なお、図24において、矢印は、LEDパッケージ20の向き(つまり、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の並び方向)を示している。
【0220】
図23のようにLEDパッケージ20を交互に反転させて配置したり、図24のようにLEDパッケージ20を90°ずつ回転させて配置したりすると、高角度から見たときの色ずれの異方性は巨視的には低減されるが、微視的には色ずれに周期性が現れることになってユーザに違和感を与えてしまうことになる。具体的には、図23の場合は、z軸からx軸に向かって高角度から見たときに、紫色がかった白(緑色不足)の光と黄色がかった白(青色不足)の光とが、隣り合う2つのLEDパッケージ20の距離の2倍の周期で繰り返されて現れることになる。また、図24の場合は、z軸からx軸及びy軸の各々に向かって高角度から見たときに、いずれの方向においても隣り合う2つのLEDパッケージ20の距離の4倍の周期で色ずれが繰り返されて現れることになる。
【0221】
したがって、図23に示される変形例4に係る照明パネル1D及び図24に示される変形例5に係る照明パネル1Eにおいても、光拡散板30の輝度の面内の最小値を最大値で割った値が0.5以下となるように光拡散板30を配置することで、高角度で見たとときに色ずれが生じることを効果的に抑制することができる。
【0222】
なお、図23及び図24において、どの向きのLEDパッケージ20を基準配置とするかは、任意である。
【0223】
また、LEDパッケージ20を90°ずつ回転させて配置する場合、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22及び第3のLEDチップ23の3つのLEDチップを有するLEDパッケージ20に限るものではなく、図25に示される変形例6に係る照明パネル1Fのように、第1のLEDチップ21、第2のLEDチップ22、第3のLEDチップ23及び第4のLEDチップ24の4つのLEDチップを有するLEDパッケージ20Cを90°ずつ回転させて配置してもよい。なお、図25において、矢印は、LEDパッケージ20Cの向きを示している。
【0224】
また、上記実施の形態における照明装置100では、光拡散部材3として、光拡散材を分散させた内部光散乱型のものを用いたが、これに限らない。例えば、図26に示される照明装置100Aのように、表面散乱型の光拡散部材3Aを用いてもよい。表面散乱型の光拡散部材3Aは、表面に複数の凹凸が形成されている。光拡散部材3Aにおける複数の凹凸は、シボ加工、エッチング又はサンドブラスト等の表面加工を透明パネルに施したり、透明パネルの表面にドットパターンを印刷したり、光拡散部材3Aを成形する際の型によって転写したりすることで形成することができる。また、表面光散乱型及び内部散乱型のいずれか一方のみの機能を有する光拡散部材ではなく、表面光散乱型及び内部散乱型の両方の機能を有する光散乱部材を用いてもよい。
【0225】
なお、その他、上記各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本開示は、照明パネル及び照明装置等のLEDチップを光源とする種々の製品に利用することができる。
【符号の説明】
【0227】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 照明パネル
2 筐体
3 光拡散部材
3a 光出射面
4 光反射部材
5 枠部材
6 制御部
7 電源部
10 基板
10a 第1主面
10b 第2主面
10c、11c 貫通孔
11 レジスト
11d、15d 溝部
11e、15e 凸部
14 基体
15 接触部
20、20B、20C LEDパッケージ
21 第1のLEDチップ
22 第2のLEDチップ
23 第3のLEDチップ
24 第4のLEDチップ
25 反射カップ
26 封止樹脂
26a 表面
30、30A 光拡散板
30a 光入射面
30a1、30b1 凹凸
30b 光出射面
31 平面部
32 枠部
33a ベース樹脂
33b 光拡散材
40 フレーム
41 突出部
41c ネジ穴
42 ハンドル
50 ネジ
60 凸部下地
60c 貫通孔
60d 分割溝
100 照明装置
200 天井
201 開口部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26