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特許7394153臨床化学分析システムにおいて試料容器を搬送するための磁気パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】臨床化学分析システムにおいて試料容器を搬送するための磁気パック
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
G01N35/04 G
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021576854
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020039325
(87)【国際公開番号】W WO2020263951
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/866,871
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シミン・ヤオ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-024042(JP,A)
【文献】特表2014-513311(JP,A)
【文献】特開昭60-004860(JP,A)
【文献】特表2015-517675(JP,A)
【文献】特開平05-026883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床分析システムにおいて試料を搬送するためのシステムであって、該システムは、
試料を収容する試料容器と
前記試料容器の底部に接続された強磁性体ベースと
前記試料容器を前記臨床分析システム内で搬送するために動作可能なパックであって、前記パックは前記強磁性体ベースを用いて前記試料容器を前記パックに固定するための埋込磁石を前記パックの上面に含む、上記システム。
【請求項2】
前記埋込磁石は永久磁石であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記埋込磁石は電磁石であり、前記パックは、前記電磁石に電力を供給するための電池をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記パックは、前記電磁石への電圧を調整するためのポテンショメータをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記パックは、1つ以上のセンサをさらに含み、前記ポテンショメータは、前記センサによって生成された出力に基づいて調整されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサは、加速度センサを含むことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記パックは、外部ソースからの信号を受信するネットワーク受信コンポーネントをさらに含み、前記ポテンショメータは、前記信号に基づいて調整されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記パックは、電池を充電するために外部の電源から電力を受け取るための1つまたは複数の電気接点をさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】

前記パックは、外部の磁気コイルによる誘導を介して電池を再充電するための受信機磁気コイルをさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
臨床分析システムにおいて試料を搬送するためのシステムであって、以下の構成を有する、前記システム。
トラックと
トラック上で試料容器を搬送するように動作可能なパックであって、(i)試料容器の少なくとも一部が強磁性体であり、(ii)前記パックは試料容器を前記パックに固定するための電池で駆動される電磁石を前記パックの上面に含み、前記パックは、前記電磁石への電圧を調整するためのポテンショメータをさらに含み、前記パックは、1つ以上のセンサをさらに備え、前記ポテンショメータは、前記センサによって生成された出力に基づいて調整されることを特徴とする、前記パック。
【請求項11】
前記パックが充電ステーションにある間に前記パック内の電池を充電するように構成された、トラック上の充電ステーションをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記パックは、前記電池に接続された第1の電気接点をさらに含み、
前記充電ステーションは、電力源に接続された第2の電気接点のセットを含んでおり、
前記パックが前記充電ステーションにある間に、前記第1の電気接点が前記第2の電気接点と係合し、前記パック内の電池を充電することを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記パックは、第1の磁気コイルをさらに含み、
前記充電ステーションは、電源に接続された第2の磁気コイルを含んでおり、
前記パックが前記充電ステーションにある間に、前記第2の磁気コイルが誘導によって前記第1の磁気コイルに電流を誘導し、前記パック内の電池を充電することを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサは、加速度計を含むことを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記パックは、外部ソースからの信号を受信するためのネットワーク受信コンポーネントをさらに備え、前記ポテンショメータは、前記信号に基づいて調整されることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記トラックは、電磁的強度に対応する1つまたは複数のマーキングを含み、
前記パックは、前記マーキングを読み取るためのスキャナを含んでおり、
前記ポテンショメータは、マーキングに基づいて調整される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスレファレンス
本出願は、2019年6月26日に出願された米国仮特許出願第62/866,871号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的には自動分析システムに関し、より詳細には、臨床化学分析システムの移動パック上に試験管を保持するために永久磁石を使用して患者試料を搬送するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ビトロでの診断(IVD:In vitro diagnostics)は、患者の体液試料で行われるアッセイに基づいて、検査が病気の診断を支援することを可能にする。IVDは、患者の体液、または膿瘍から採取された液体試料の分析によって行う患者の診断および治療に関連する様々なタイプの分析試験およびアッセイが含まれる。
【0004】
これらの検査は、患者の試料が入った試験管やバイアルなどの試料容器がセットされた自動臨床化学分析システムで行われるのが一般的である。化学分析システムは、試料容器から液体試料を抽出し、その試料を特別な反応キュベットまたは試験管(一般に反応容器と呼ばれる)内で様々な試薬と組み合わせて、検査または処理を行う。
【0005】
背景
ビトロでの診断(IVD)は、患者の体液試料で行われるアッセイに基づいて、検査が疾患の診断を支援することを可能にする。IVDは、患者の体液、または膿瘍から採取された液体試料の分析によって行うことができる、患者の診断および治療に関連する様々なタイプの分析試験およびアッセイが含まれる。
【0006】
これらの検査は、典型的には、患者の試料を含む試験管やバイアルなどの試料容器が装填された自動臨床化学分析システムを用いて行われる。分析装置は、試料容器から液体試料を抽出し、試料を特別な反応キュベットまたは試験管(一般に反応容器と呼ばれる)の中で様々な試薬と組み合わせて、検査または処理を行う。
【0007】
一部のシステムでは、分析装置にモジュール方式を採用している。自動分析システムは、試料処理モジュール間で試料をやりとりする。モジュールは、試料処理ステーションおよびテストステーション(例えば、特定のタイプのアッセイに特化することができるか、さもなければより大きな分析装置にテストサービスを提供することができるユニットであって、イムノアッセイ(IA)および臨床化学(CC)ステーションを含むことができる)を含む1つまたは複数のステーションを含むことができる。
【0008】
従来のIVD自動化トラックシステム(track system)の中には、独立したモジュールから別の独立したモジュールに試料を搬送するように設計されたシステムを構成するものがある。これにより、異なるタイプの検査を2つの異なるステーションに特化させることができ、あるいは2つの冗長なステーションを連結して利用可能な試料スループットの量を増加させることができる。
【0009】
トラックシステムは、異なるステーション間でパックと呼ばれる個々の搬送機構を行き来している。このトラックシステムは、例えば、摩擦ベースの機構(コンベヤベルトに似ている)であってもよいし、パックの移動を容易にするために磁気浮上技術を使用してもよい。試料は、試験管などの試料容器に収納され、オペレータやロボットアームによってパックに入れられ、トラックシステムによって分析装置のステーション間を移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のシステムでは、パックは、輸送中に試料容器を保持するために使用される機械的なロック機構を有している。例えば一般的な解決策は、パック内のスプリング装置を使用して、試料容器を保持するために摩擦を生じさせる側のスプリング力を適用することである。機械的なロック機構には、通常の摩耗や損傷によって時間とともにすぐに劣化してしまうという欠点がある。例えば、スプリングを使用した装置では、保持力を提供するスプリングの能力が時間の経過とともに弱くなり、それによって試料容器が輸送中にパックによって確実に保持されなくなることがある。したがって、機械的なロック機構の欠点がなく、試料容器を確実に保持するパックを提供することが望まれている。
【0011】
本発明の実施形態である自動臨床化学分析システムにおいて試料容器を輸送するための磁気パックに関連する方法、システム、および装置によって、上記の欠点および難点の1つ以上に対処し克服するものである。
【0012】
実施形態において、臨床分析システムで試料を輸送するためのシステムは、試料を保持する試料容器と、試料容器の底部に接続された強磁性体ベースと、パックとを含む。パックは、試料容器を臨床分析システムで搬送するために使用される。パックは、強磁性体ベースを用いて試料容器をパックに固定するための埋込磁石を備えている。
【0013】
一実施形態では、埋込磁石は永久磁石である。他の実施形態では、埋込磁石は電磁石であり、パックは、電磁石に電力を供給するための電池をさらに備える。これらの実施形態では、パックは、電磁石への電圧を調整するためのポテンショメータをさらに含んでもよい。ポテンショメータは、例えば、パック内の1つ以上のセンサから受信した信号、またはパック内のネットワーク受信コンポーネントを介して外部ソースから受信した信号に基づいて、調整されてもよい。
【0014】
試料を搬送するためのシステムは、トラックとパックとを含む。パックは、トラック上で試料容器を搬送するように動作可能である。試料容器の少なくとも一部は強磁性体であり、パックは、試料容器をパックに固定するための電池で駆動される電磁石を備える。一実施形態で本システムは、パックが充電ステーションにある間にパック内の電池を充電するように構成されたトラック上の充電ステーションをさらに含む。例えば、ある実施形態では、パックは、電池に接続された第1の電気接点のセットをさらに備え、充電ステーションは、電力源に接続された第2の電気接点のセットを備える。パックが充電ステーションに置かれている間、第1の電気接点は第2の電気接点と係合し、パック内の電池を充電する。他の実施形態では、パックは、第1の磁気コイルをさらに備え、充電ステーションは、電力源に接続された第2の磁気コイルを備えている。パックが充電ステーションに置かれている間に、第2の磁気コイルが誘導によって第1の磁気コイルに電流を誘導し、パック内の電池を充電する。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明の上記の点や他の側面は、添付の図面を見ながら、以下の詳細な説明を読むことによりよく理解される。本発明を説明する目的で、好ましいとされる実施形態が図面に示されているが、本発明は開示された特定の器具に限定されるものではない。図面には、以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】実施形態による、磁気試料容器ホルダの構成要素を示す図である。
図1B】試料容器の輸送中に使用される、図1Aに示された構成要素を示す。
図2A】永久磁石がパックの本体に配置される磁気試料容器ホルダの一例を示す。
図2B】電磁石がパックに埋め込まれている磁気試料容器ホルダを示す。
図2C】センサーがパックに埋め込まれている磁気試料容器ホルダを示す。
図2D】ネットワーク受信コンポーネントによって受信された信号に基づいて電圧が変化する例を示す。
図2E】電磁石を駆動するための再充電可能な電池を含む、磁気試料容器ホルダとともに使用されるパックの例を示す。
図2F】他の実施形態による、充電式電池を有する代替パックを示す。
図3A】実施形態に従って、図2Eに描かれたパックがどのように充電されるかを示す。
図3B】実施形態に従って、図2Fに描かれたパックがどのように充電されるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、臨床化学分析システムにおいて試料容器を搬送するための磁気パックの使用に関連するシステムおよび方法を説明する。
【0019】
簡単に言えば、強磁性体ベースが試料容器に取り付けられ、磁石がパックに埋め込まれる。磁石と強磁性体ベースの間の磁力により、ロック機構なしに試料容器を保持する。この方式では可動部がなく、分析モジュールが処理中に使用するロードおよびアンロードの力と同じ方向の保持力を提供する。バネを使ったロックシステムやその他の従来の機械的なロックシステムとは対照的に、本明細書に記載されている磁気ロック機構は、臨床化学分析システムの通常の動作中に試料容器の移動経路を妨げることはない。
【実施例
【0020】
図1Aおよび1Bは、実施形態による磁気試料容器ホルダの基本構成を示す。この例では、試料容器100は、液体試料105を保持している。試料容器100の底部には、強磁性体ベース110設けられている。この強磁性体ベース110は、例えば、鉄で構成されていてもよい。実施形態では、強磁性体ベース110は、例えば、試料容器100の製造時に試料容器100の底部に固定される。他の実施形態では、強磁性体ベース110および試料容器100は、接続されてもよい別個の構成要素である。例えば、一時的または永久的な接着剤を使用して、使用前に構成要素を接続してもよい。別の実施形態では、試料容器100の底部はねじ切りされており、強磁性体ベース110にねじ込むように構成されている。
【0021】
引き続き図1Aおよび図1Bを参照すると、パック120の上面には磁石115が埋め込まれている。磁石115は、パック120の上面が平坦になるように、パック120内に配置されている。図1Bに示すように、強磁性体ベース110を磁石115の上に配置することで、試料容器100をパック120に取り付けることができる。このように、図1Aおよび図1Bに描かれた磁気試料容器ホルダは、可動部品を持たない単純な取り付け機構を提供する。
【0022】
注目すべきは、試料容器100をパック120から取り外すのに必要なのは、磁石115によって印加される磁力に打ち勝つのに十分な垂直方向の上向きの力を提供することである。例えば、IVDにおいて、分析器モジュールが、パック120を受け取ったときに所定の位置にロックしてもよい。次に、分析器モジュールのロボットアームまたは他の機構が、試料容器100に上向きの力を加えてパック120から分離し、液体試料105の処理を可能にしてもよい。
【0023】
図2A図2Dは、実施形態による、磁気試料容器ホルダと共に使用されるパックの構成例を示す。図2Aは、最も単純な例を示す。ここでは永久磁石210がパック205の本体内に配置されている。この構成は永久磁石210が動作するための電力を必要とせず、動作のために他の部品を必要としないので磁気試料容器ホルダの最も簡単な構成を示す。この構成の欠点は、永久磁石210の磁力が一定であり、変化させることができないことである。
【0024】
図2Bは、電磁石225がパック220に埋め込まれている磁気試料容器ホルダを示す。この例では、電磁石225を形成するために、金属コアの周りにワイヤのコイルが巻き付けられている。電線の一端は、電池215の第1端子215Aに接続され、他端は、電池215の第2端子215Bに接続されている。したがって、電池が充電されたままであれば、コイルに電流が流れ、電磁石225の磁力が発生する。本実施例の電池215は交換可能である。例えば、パック220の底部には、必要に応じて電池215へのアクセス、および交換を可能にするドアが設けられていてもよい。
【0025】
図2Cは、図2Bに示す設計の変形例を示す。この例では、センサ250がパック230に埋め込まれている。このセンサ250は、ポテンショメータ245に入力を与え、これにより、電池240から供給される電圧を変化させる。電圧を変化させることで、パック230内の電磁石235の強さを変化させることができる。センサ250としては、当該技術分野で一般的に知られている様々な種類のセンサを用いることができる。
【0026】
一実施形態では、センサ250は加速度計であり、パック230が斜めに移動していることや高速で移動していることを加速度計が示している場合には、磁力を増加させる。なお、このように力を変化させることで、電池240からの引き込みを最小限にすることができ、それにより、電池240の寿命(すなわち、電池240を再充電または交換するまでの期間)を最大限に延ばすことができる。さらに、図2Bに示す例では、単一のセンサ250しか含まれていないが、複数のセンサを組み合わせて使用し、複数の異なる要因または要因の組み合わせ(例えば、速度、温度、試料の重量など)に基づいて電圧を変化させてもよいことを理解すべきである。
【0027】
センサの使用の代替(または補完)として、図2Dは、ネットワーク受信コンポーネント270によって受信された信号に基づいて電圧が変化するパック255の例を示す。前述の例と同様に、パック230の表面に埋め込まれた電磁石235によって印加される磁力を変化させるために、電位差計が電池240と組み合わせて使用される。一般に、ネットワーク受信コンポーネント270は、外部データソースから信号を受信し、次にポテンショメータ280を駆動するための出力信号を生成することができる当該技術分野で知られている任意のデバイスとすることができる。
【0028】
例えば、一実施形態では、ネットワーク受信コンポーネント270は、IEEE 802.11またはBluetoothなどのネットワークプロトコルを使用して、外部コンピューティングデバイスから信号を受信する。これらの信号は、例えば、特定の電流(Amp-turn)または磁気の強さの値を指定することができる。臨床分析での例として、分析器モジュールは、試料容器がパック255から取り外されているときに、電圧を下げるためにネットワーク受信コンポーネント270に信号を送ってもよい。このようにして、分析器モジュールは、試料容器を移動させる際に、より少ない上向きの力を用いてもよい。ひいては、これにより試料容器内の試料の動きを減らし、試料の完全性を損なう可能性のある、こぼれや他の動作が発生しないようにすることができる。
【0029】
一実施形態では、外部ソースから信号を受信するのではなく、パックは、トラック表面上の標識を読み取るバーコードリーダーまたは同様のスキャナを含む。例えば、ランプ(ramp)を含むトラックを考える。トラックには、ランプが近づいていることをパックに警告する標識が置かれている。この標識を読み取ったパックは、ランプに沿って移動する時間の間、磁石の強さを上げることができる。そして、ランプの終わりには、電圧を安全に下げることができることを示す別の標識が置かれる。この記号がパックに読み取られると、それに応じて電圧を下げるためにポテンショメータを使用することができる。
【0030】
図2Eは、電磁石283を駆動するための再充電可能な電池289を含む磁気試料容器ホルダと共に使用されるパック285の例を示す。この場合、電気接点287A,287Bは、パック285の左側と右側にそれぞれ配置されている。これらの電気接点287A,287Bは、外部からの電力を電池289に供給して充電するように構成されている。なお、電気接点287A,287Bの配置は例示的なものであり、他の実施形態では異なる配置でもよい。さらに、図2Eのパック285は、2つの電気接点287A、287Bを含むが、他の実施形態では、単一の電気接点または2つ以上の電気接点を使用してもよい。
【0031】
図3Aは、分析システムにおけるパック285の使用中に、これらの接点が、再充電可能な電池289(図2E参照)を再充電するためにどのように使用されるかを示している。この例では、パック285は、パック285に保持された試料335を処理する2つの分析器モジュール305,310の間でトラック330に沿って移動する。充電ステーション315は、2つの分析器モジュール305,310の間に配置される。充電ステーションでは、2つの荷電接点320A,320Bがトラック330の壁の側面から突出している。これら2つの荷電接点320A,320Bは、電気源(図3Aには示されていない)に配線されている。
【0032】
パックがステーションに入ると、パックの接点287A,287Bが帯電した接点320A,320Bと係合する。パック285と充電ステーション315の電気配線との間には、導電性の接続が生じる。この接続により、電気が充電ステーション315の電気配線からパック285に自由に通過し、パックの電池を充電するために必要な電力が供給される。
【0033】
引き続き図3Aを参照すると、パック285が充電ステーション(またはコイル活性ゾーン、このゾーンでは電磁石が活性化される)315に入ると、パック上の接点287A,287Bが充電済み接点320A,320Bと係合する指定の停止点に達するまで、パック285はトラック330に沿って推進され続ける。実施形態では、充電ステーション315は、必要に応じてパック285を充電するために、充電済みの接点320A、320Bを伸ばしたり引っ込めたりするように構成されている。例えば、充電ステーション315は、パックの充電ステーション315への進入を検出するセンサ(例えば、モーションセンサ)を含んでもよい。この検出により、充電ステーション315は、充電された接点320A,320Bを拡張する。
【0034】
パックの接点287A,287Bが充電済み接点320A,320Bに係合すると、パック285の前方への移動が停止する。その後、充電ステーション315は、パック285内の電池の充電を監視し、電池が十分に充電されると、充電済み接点320A、320Bを後退させ、それによってパック285の次の分析器モジュール305へのさらなる移動を可能にする。実施形態では、充電ステーションは、電池の充電を積極的に監視するのではなく、パックを解放する前に所定の時間だけ充電するタイマーを使用してもよい。また、上記の充電技術は例示的なものであり、他の実施形態では異なる構成要素を用いて適応してもよい。例えば、実施形態では、充電済み接点320A、320Bは、トラック330に沿ったパック285の通過を可能にする柔軟な金属で作られている。この場合、荷電接点320A、320Bは引っ込まなくてもよいが、必要に応じてパック285を適切な充電位置に保つために、別の装置(例えば、トラック表面から上に伸びる小さな壁)がトラックから伸びていてもよい。
【0035】
図2Fは、他の実施形態による、充電式電池260を備えた代替パック290を示す。この場合、パック290は、充電に誘導を利用する。前記の例と同様に、充電式電池260に接続されたパック内の電磁石293が、充電式電池260に接続されている。図2Fのパック290は、充電コイル265をさらに含む。いくつかの実施形態では、充電コイル265は、パック290内に埋め込まれている。他の実施形態では、充電コイル265を保持する器具が、パック290の下部に接続されてもよい。この場合、器具は、例えば、パックの充電ポート(図2Fには示されていない)を介して、充電式電池260に配線することができる。
【0036】
図3Bは、実施形態に従って、図2Fに描かれたパックをどのように充電することができるかを示している。図3Aの例と同様に、トラック330は、2つの分析器モジュール305、310の間でパック290を輸送するために使用される。充電ステーション340は、パック290内の電池を再充電するためにトラック330上に位置する。この例では、充電に用いられる一次充電コイル345がトラック330に埋め込まれている。この一次充電コイル345は、充電ステーション315の電気配線(図3Bでは図示せず)に接続されている。エネルギーは、電磁誘導を利用して、一次充電コイル345からパック290内の受信側充電コイル265に伝達される。より具体的には、一次充電コイル345が交流電磁場を形成し、パック290内の受信機充電コイル265が電気に戻してパック290内の電池に供給するように変換する。
【0037】
図に示すシステムとプロセスは互いを排除するものではない。同じ目的を達成するために、本発明の原理に基づいて他のシステム、プロセス、メニューを導き出すことができる。
【0038】
本発明について特定の実施形態を参照して説明してきたが、本明細書に示され、説明された実施形態および変形例は、説明のためだけのものであることを理解されたい。現在の設計に対する修正は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者が実施することができる。本明細書で説明したように、様々なシステム、サブシステム、エージェント、マネージャー、およびプロセスは、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、および/またはそれらの組み合わせを使用して実装することができる。本明細書のいかなるクレーム要素も、“means for ”という語句を用いて要素が明示的に記載されていない限り、35 U.S.C. 112(f)の規定に基づいて解釈されるものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B