(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 71/52 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01H71/52
(21)【出願番号】P 2021577686
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060729
(87)【国際公開番号】W WO2021001075
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】102019209747.2
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509031497
【氏名又は名称】エレンベルガー ウント ペンスケン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】ハラー フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】コーフ ヘンドリック-クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルース クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ツェーベル ユルゲン
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-047164(JP,U)
【文献】実開昭50-130664(JP,U)
【文献】特開平08-083552(JP,A)
【文献】特開2016-033892(JP,A)
【文献】特開昭60-148026(JP,A)
【文献】実開昭53-055758(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には電力開閉器(10)の回路遮断器(12)であって、閉鎖位置(84)と開放位置(80)との間を移動可能に搭載されたバスバー(32)と、引外し装置(16)と、第1の姿勢(70)と第2の姿勢(82)との間を移行可能なハンドレバー(66)と、機構(24)と、を備える回路遮断器(12)において、
前記機構(24)により、前記バスバー(32)、前記引外し装置(16)、及び、前記ハンドレバー(66)は、
前記ハンドレバー(66)が前記第1の姿勢(70)から前記第2の姿勢(82)に移動する際には、前記バスバー(32)が、前記開放位置(80)から前記閉鎖位置(84)に移行されるように、
前記引外し装置(16)が動作する際には、前記バスバー(32)が、前記閉鎖位置(84)から前記開放位置(80)に移行され、前記ハンドレバー(66)がブロックされていないならば、前記ハンドレバー(66)が、前記第2の姿勢(82)から前記第1の姿勢(70)に移行されるように、及び、
前記ハンドレバー(66)が前記第2の姿勢(82)から前記第1の姿勢(70)に移動する際には、前記バスバー(32)が、前記バスバー(32)が前記閉鎖位置(84)においてブロックされているかどうかには無関係に、前記閉鎖位置(84)から前記開放位置(80)に移行されるように、結合されている、
さらに、
前記機構(24)は、横方向(40)においてスライド可能に搭載されたスライダ(56)を備え、前記スライダ(56)は、前記バスバー(32)に連結されており、
前記ハンドレバー(66)は、回転軸(68)を中心に回転可能に搭載されており、
前記ハンドレバー(66)に、第1の結合要素(64)が、前記回転軸(68)に対して偏心して回転可能に搭載されており、前記第1の結合要素(64)は、前記スライダ(56)の第1の溝(60)内を案内され、前記第1の溝(60)は、
前記開放位置(80)と前記閉鎖位置(84)に沿う横方向(40)に延びる区域(62)を有することを特徴とする、
回路遮断器(12)。
【請求項2】
前記スライダ(56)はバネ付勢されることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器(12)。
【請求項3】
前記ハンドレバー(66)に、第2の結合要素(74)が、前記回転軸(68)に対して偏心して回転可能に搭載されており、前記第2の結合要素(74)は、前記スライダ(56)に回転可能に搭載された傾斜レバー(78)の第2の溝(76)内を案内されることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器(12)。
【請求項4】
前記機構(24)は、回転可能に搭載された第1のロックレバー(22)を備え、前記第1のロックレバー(22)は、前記引外し装置(16)によって作動され、前記第1のロックレバー(22)は、偏心して配置された、前記傾斜レバー(78)用の支持部(28)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の回路遮断器(12)。
【請求項5】
前記第1の溝(60)は、L字型に構成されており、前記第1の結合要素(64)には、第2のロックレバー(92)の第3の溝(90)内を案内される第3の結合要素(88)が回転可能に搭載されており、前記第2のロックレバー(92)は、回転可能に搭載されていると共に前記引外し装置(16)によって作動されることを特徴とする、請求項1に記載の回路遮断器(12)。
【請求項6】
前記バスバー(32)は、前記横方向(40)に対して垂直な縦方向(34)に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の回路遮断器(12)。
【請求項7】
前記縦方向(34)に沿って配置されたさらなるバスバー(42)であって、前記閉鎖位置(84)において、前記バスバー(32)は、前記さらなるバスバー(42)に機械的に当接し、前記開放位置(80)において、前記バスバー(32)は、前記さらなるバスバー(42)から分離される、さらなるバスバー(42)を特徴とする、請求項6に記載の回路遮断器(12)。
【請求項8】
前記さらなるバスバー(42)は、第1の接点(44)と、縦方向(34)において前記第1の接点(44)から離間された第2の接点(46)とを支持すると共に、第1の電流端子(48)を備えており、前記バスバー(32)は、第1の対向接点(36)と、縦方向(34)において前記第1の対向接点(36)から離間された第2の対向接点(38)とを支持すると共に、第2の電流端子(35)を備えており、前記バスバー(32)は、前記さらなるバスバー(42)に前記縦方向(34)に沿って部分的に重なっており、縦方向(34)において、両前記電流端子(35、48)の間の前記接点(44、46)及び前記対向接点(36、38)は、重複領域(50)内に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の回路遮断器(12)。
【請求項9】
前記引外し装置(16)は、バイメタルストリップ(18)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の回路遮断器(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関する。回路遮断器は、具体的には、電線又は特定の機器の安全確保に寄与する。回路遮断器は、例えば、分離開閉器の機能を有し、好ましくは、電力開閉器の一構成部品である。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、通常、電気スイッチングシステムを有する。通常、電気スイッチングシステムは、ガルバーニ絶縁も実現されるように機械的に構成されている。この場合、電気スイッチングシステムは、接点と、該接点に向かって移動可能に搭載された対向接点と、を有している場合が多い。具体的には、接点及び対向接点はそれぞれ、バスバーに連結されており、その軸受けは、バスバーによってなされている場合が多い。回路遮断器が閉鎖状態にある時、つまり、回路遮断器を介して電流が流れることが可能である時、接点が対向接点の上に載っており、これらの接点は機械的に直接接続されている。この場合、電流が接点及び対向接点上を流れる。
【0003】
したがって、回路遮断器が閉鎖状態にある場合、バスバーは閉鎖位置にあり、バスバーを閉鎖位置に接続することは、機構によってバスバーに結合されたハンドレバーによって行われる場合が多い。ハンドレバー自体は、通常、2つの姿勢を有しており、これらのうちの一方は、バスバーの閉鎖位置に対応し、他方は、バスバーの開放位置に対応する。
【0004】
回路遮断器が動作すると、両バスバーは、互いに離間することによって開放位置に移行する。したがって、電流がこれ以上流れることはない。この離間は、比較的素早く行われる必要があり、このため、バスバーのうちの少なくとも1つがバネ付勢されて、バネが開放位置の方向に作用するようになっていることが多い。また、ハンドレバーを別の姿勢に移行させる必要がある。これは、一方では、回路遮断器が動作したことをユーザに認識可能とするためである。他方では、これによって、バスバーを再び閉鎖位置に移行可能とするためである。しかしながら、ここでさらに過負荷イベントが発生した場合、つまり、例えばエラーが解消されなかった場合、バスバーをほぼ遅延なく再び開放位置に移行させる必要がある。ここで、ハンドレバーはユーザによってまだブロックされている場合が多いので、ハンドレバーがブロックされている場合であっても、バスバーを開放位置に移行させることが可能な、いわゆる自由引外し装置が設けられている。この場合、ハンドレバーを部分的にバスバーから分離させることが行われ、ハンドレバーにより、バスバーを一方向だけにおいて互いに近接させること、つまり開放位置から閉鎖位置に移行させることが可能になる。
【0005】
過負荷イベントの場合に、比較的強い電流が流れると、接点と対向接点との間にアークが形成されることが起こり得る。このアークにより、接点又は対向接点の燃焼が起こり得る。こうして、部分的に、接点又は対向接点の融解が起こり得る。その後すぐに、対向接点を接点に向かって移動させると、これらは表面が部分的に液状となっているため、接点と対向接点とが融着してしまう。したがって冷却後に、作用するバネ力だけでは、これらを離隔させることは不可能となる。つまり、接点と対向接点とが融着したことにより、引外し、つまり電流の流れを意図的に遮断することが不可能となるため、この回路遮断器を引き続き使用することは出来なくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有利にも信頼性が高く、及び/又は、製品寿命が長い、特に好適な回路遮断器を提供することにある。
【0007】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴により解決される。有効な発展形態及び構成は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回路遮断器は、電流の導通及び遮断に寄与する。回路遮断器は、このために適しており、具体的にはこのために設置及び構成されている。加えて、回路遮断器は、機械的に構成されていることが好適である。好ましくは、回路遮断器によって導かれる定格電流は、1A~125Aであり、有利には1A~30A、30A~60A、又は、60A~100Aである。回路遮断器は、具体的には100V~800V、及び、例えば277V、480V、又は、600Vの電圧を有する交流電流を導くために適しており、具体的には、このために設置及び構成されている。あるいは、回路遮断器は、直流電流を導くために適しており、具体的には、このために設置及び構成されている。この場合の電圧は、具体的には、100V~1,500Vである。好ましくは、回路遮断器は、産業設備において使用され、具体的には産業オートメーションにおいて使用される。あるいは、回路遮断器は建物設備の一構成部品である。
【0009】
回路遮断器は、具体的には、例えば電気モータや電線といった装置の安全確保に寄与する。このために、具体的には回路遮断器によって、過負荷の発生について、電圧及び/又は電流が監視され、少なくとも1つの値が所定の閾値を超えると、及び/又は、各値の所定の時間内の変動が別の閾値よりも大きくなると、電流の流れが遮断される。
【0010】
回路遮断器は、閉鎖位置と開放位置との間を可動に搭載されたバスバーを備える。ここで、バスバーは、閉鎖位置及び開放位置の一方を取ることが可能である。換言すると、バスバーは、閉鎖位置を取り、その後に開放位置を取ることが可能であり、その逆も可能である。両方の位置は区別され、閉鎖位置では、動作中、電流がバスバーを流れる。換言すると、閉鎖位置では、電流がバスバーを介して流れることが可能である。しかしながら、開放位置では、動作中、電流がバスバーを介して流れることは不可能である。具体的には、開放位置では、バスバーは、回路遮断器の電位が印加されるさらなる構成部品から離間されている。ここで、バスバーとこのさらなる構成部品とは、ガルバニック絶縁されていることが好ましい。
【0011】
動作中かつ閉鎖位置にある場合、バスバーには、具体的には電流が流れる。したがって、バスバーは、少なくとも部分的に金属から成り、好ましくは銅、つまり純銅又は銅合金から成る。したがって、オーム抵抗は比較的低い。例えば、バスバーには、例えばニッケル、スズ、又は、銀から成るメッキが施されている。したがって、バスバーの他の構成部品、具体的には銅の化学反応は、起こらない、又は、少なくともゆっくりである。また、このようにして、他の構成部品を、例えばはんだ付け又は溶接によりバスバーに固定することが可能である。
【0012】
つまり、バスバーの開放位置では、回路遮断器は非導電状態にあるため、回路遮断器によって電流は導かれない。換言すると、回路遮断器によって保全される対象機器に給電することが不可能になる。バスバーの閉鎖位置では、回路遮断器は、導電状態にあるため、この場合は対象機器に給電が行われる。
【0013】
回路遮断器は、引外し装置をさらに含む。過負荷イベントの場合、つまり回路遮断器によって導かれる電流又は回路遮断器に印加される電圧が、過負荷イベントが起こるための条件を有している場合には、引外し装置によって反応が生じる。具体的には、引外し装置は、少なくとも部分的に機械的に構成されており、したがって、過負荷イベントが起こった際に、引外し装置の機械反応が生じる。
【0014】
加えて、回路遮断器は、第1の姿勢と第2の姿勢との間、及び、その反対方向に移行可能なハンドレバーを有している。換言すると、ハンドレバーを第1の姿勢又は第2の姿勢に移行させることが可能である。ハンドレバーによって、回路遮断器を手動で動作させることが可能である。換言すると、ハンドレバーは、ユーザが回路遮断器を作動させる際に利用される。ここで第1の姿勢は、回路遮断器の非導電状態、すなわち開放位置に対応する。したがって、第1の姿勢はバスバーの開放位置に対応する。ハンドレバーの第2の姿勢は、回路遮断器の導電状態、及び、したがってバスバーの閉鎖位置に対応する。
【0015】
回路遮断器は、バスバー、引外し装置、及び、ハンドレバーを結合させる機構をさらに含む。したがって、ハンドレバーによって、バスバーに作用させることが可能である。引外し装置によって、バスバーを作動させることが可能である。ここで、上述の結合は、ハンドレバーが第1の姿勢から第2の姿勢に移動する際には、バスバーが開放位置から閉鎖位置に移行するように実現されている。したがって回路遮断器は、ハンドレバーを作動することによって導電状態になる。非導電状態では、具体的には、ハンドレバーは第1の姿勢にあり、バスバーは開放位置にある。ハンドレバー及び/又はバスバーは、機構及び/又は引外し装置をロックすることにより、第2の姿勢及び閉鎖位置で維持されることが好ましい。このロックは、具体的には引外し装置が動作すると解除される。
【0016】
さらに、上述の結合は、引外し装置が動作する際には、バスバーが閉鎖位置から開放位置に移行するように実現されている。換言すると、引外し装置が動作すると、閉鎖位置にあるバスバーが開放位置に移行する。この際、バスバーが既に開放位置にある場合、バスバーは、引外し装置の動作時に開放位置で維持される。加えて、引外し装置の動作時に、ハンドレバーがブロックされていないならば、ハンドレバーは第2の姿勢から第1の姿勢に移行する。しかしながら、ハンドレバーが、例えば手動で作動させることにより第2の姿勢でブロックされているならば、引外し装置が動作すると、バスバーは閉鎖位置から開放位置に移行するが、ハンドレバーは第2の姿勢で維持される。ブロックが解除されるとすぐに、ハンドレバーが第1の姿勢に移行されることが有利である。
【0017】
要するに、バスバーの移行は、ハンドレバーの移行とは無関係に行われ、引外し装置が動作した時には常に行われる。引外し装置が動作すると、バスバーを閉鎖位置から開放位置に移行させることにより、回路遮断器を流れる電流は遮断される。このため安全性が向上し、回路遮断器の機能性を満たす。ハンドレバーが第1の姿勢に移行されると、ユーザは、回路遮断器が非導電状態にあることを視認可能である。この場合にも、ハンドレバーを第1の姿勢から第2の姿勢に移動させることによって、バスバーは再び、開放位置から閉鎖位置に移行可能である。しかしながら、ハンドレバーが、例えばユーザによる作動により第2の姿勢でブロックされている場合、ハンドレバーの移行とは無関係にバスバーを開放位置に移行させることにより、電流が遮断され、これによって安全性が向上する。要するに、回路遮断器は、自由引外し装置の機能も有している。
【0018】
加えて、この機構による結合は、ハンドレバーが第2の姿勢から第1の姿勢に移動する際には、バスバーが閉鎖位置から開放位置に移行するような結合となっている。例えば、この場合、場合によっては行われているロックが解除される。したがって、ハンドレバーを作動させることによって、回路遮断器を導電状態から非導電状態にすることも可能である。この場合、バスバーの閉鎖位置から開放位置への移動は、バスバーが閉鎖位置でブロックされているかどうかには無関係である。換言すると、バスバーが実質的に自由に可動する場合、バスバーは、閉鎖位置から開放位置に移行される。しかしながら、バスバーが閉鎖位置でブロックされている場合でも、ハンドレバーが移動すると、開放位置への移行が行われる。もう一度別の言葉で言えば、ハンドレバーによって、力がバスバーに印加されるので、バスバーは開放位置に移行する。したがって、ハンドレバーによって手動で、力が機構を介してバスバーに印加される。印加された力は、ハンドレバーに印加された力に依存する。
【0019】
したがって、バスバーが閉鎖位置でブロックされている場合、ハンドレバーは、具体的には、第2の姿勢で維持される、又は、少なくとも第1の姿勢と第2の姿勢との間の姿勢、すなわち中間姿勢で維持される。ハンドレバーをさらに(手動で)第1の姿勢に移動させる場合、ハンドレバーに作用する力を機構によってバスバーに向けることにより、バスバーに力が作用する。つまり換言すると、ハンドレバーにより、バスバーのブロックが解除される。バスバーが閉鎖位置でブロックされている場合、及び、したがって引外し装置が動作した場合にバスバーが閉鎖位置で維持されている場合にも、ハンドレバーによって、バスバーを再び開放位置に移行させることが可能である。
【0020】
このようなブロックは、例えば、バスバーが回路遮断器の他の構成部品と部分的に融着することにより生じる、具体的にはバスバーを部分的に液化させる比較的強い過負荷イベントが起こった場合に生じる。機構の構成により、このような融着は中止される。これによって、場合によっては回路遮断器をさらに流れる電流が、ハンドレバーの作動により遮断され、これによって安全性が向上する。そしてその後、具体的には、電流の流れがさらなる保護機構、例えばさらなる過電流保護装置、具体的には安全装置により終了した場合、回路遮断器は再び利用可能となる。したがって、機構により、回路遮断器を、比較的強い過負荷イベントの後にも引き続き利用することが可能となるので、使用期間が長くなる。このため、回路遮断器を交換する必要がなく、運転コストが低減される。またこの機構により、ハンドレバーの作動に基づきバスバーが閉鎖状態に移行されたかどうかを確認可能であるため、信頼性が向上する。
【0021】
回路遮断器は、有利には、機構と、回路遮断器と、引外し装置と、少なくとも部分的にハンドレバーとが収容されるハウジングを含む。具体的には、ハンドレバーは、ハウジングによって軸受けされている。ハウジングは、非導電性材料、好ましくはプラスチックから成ることが有利である。このハウジングにより電気絶縁が提供され、人が負傷することは排除される。また、塵埃粒子が回路遮断器の内部に侵入することは機構の機能性を損ない得るが、これも回避されるか、又は、著しく低減される。
【0022】
ハンドレバーは、非導電性材料、好ましくはプラスチックから成ることが有利である。したがって、回路遮断器が誤作動した場合でも、人、具体的にはユーザがハンドレバーに触れた時に負傷することは排除される。
【0023】
回路遮断器は、例えば、分離開閉器の機能を有する。好適には、回路遮断器とは、引外しユニット並びに信号装置及び/又は開閉状態の表示器を備える接点システムであると理解される。ここで、信号装置/表示器は、具体的には分離器機能を指す。ここで、開閉状態は、強制制御により表示されることが有利である。引外しユニットは、好ましくは過電流引外し装置であり、又は、少なくとも過電流引外し装置を含む。要するに、回路遮断器は分離開閉器の機能を有している。回路遮断器は、電力開閉器の一構成部品を含むことが好ましい。これは、当該回路遮断器に電気的に直列接続された、例えば安全装置といったフェイルセイフ要素である。したがって、分離機能と安全機能とを備える電力開閉器が提供される。
【0024】
機構は、横方向にスライド可能に搭載されたスライダを有していることが好ましい。換言すると、スライダは、横方向に沿って横にスライド可能に搭載されている。したがって、スライダを横方向にスライドさせることが可能であり、スライドは、例えば2つのストッパー又は少なくとも1つのストッパーによって制限される。スライダは、バスバーに連結されている。したがって、スライダが移動すると、バスバーは開放位置と閉鎖位置との間を移行する。例えば、スライダは、スライダによって開放位置と閉鎖位置との間を移動するバスバーに、継ぎ手によって連結されている。しかしながら、バスバーがスライダに不動に固定されて、スライダによってバスバーも横方向にスライド可能に搭載されていることが特に好ましい。これによって負荷や破損の危険が低減される。
【0025】
例えば、スライダとバスバーとの間には、機械的に、さらなる部品が配置される。しかしながらスライダは、バスバーに直接固定されていることが特に好ましい。こうすることによって、必要な部品の数が低減され、堅牢性が向上する。スライダは、例えば、非導電性であるように構成されており、具体的には樹脂射出成型法によってプラスチックから成ることが好ましい。したがって、スライダによって電流が流れることはなく、スライダは動作中、実質的に全く電位を有さない。このため、実質的にさらなる絶縁を行う必要はない。スライダによって、バスバーが開放位置と閉鎖位置との間を移動することが可能であり、この際に、バスバーに対するさらなる接点を形成する必要はない。このため安全性が向上する。
【0026】
スライダはバネ付勢されることが好ましい。換言すると、回路遮断器は、具体的には、スライダに、例えば直接的に又はさらなる部品を介して間接的に係合したバネを含む。ここで、このバネは、回路遮断器のさらなる部品に対して、具体的にはハウジングに対して当接していることが有利である。好ましくは、バスバーが開放位置から閉鎖位置に移動する時に、バネは圧縮される。つまり、スライダ及びしたがってバスバーには、バスバーを開放位置に移行させるようにスライダに付勢されるバネ力が作用する。回路遮断器は、バスバーが閉鎖位置にある時に、スライダ、又は、スライダに接続された機構の他の構成部品を係止させるロック装置を含むことが有利である。このロック装置は、有利には、引外し装置によって駆動され、引外し装置が動作すると、ロック装置が解除される。したがって、引外し装置が動作すると、バスバーは、バネによって閉鎖位置から開放位置に移行する。このバネは、例えばコイルバネであり、したがって製造コストが低減される。あるいは、バネは、例えばねじりバネ、板バネ、皿バネ、又は、(圧力)空気バネによって実現される。要するに、スライダは、引外し装置が動作するとバスバーが閉鎖位置から開放位置に移行するように、このバネによってバネ付勢されている。
【0027】
例えば、ハンドレバーは、一方向に沿って横方向に、第1の姿勢と第2の姿勢との間を移行可能であり、したがって横方向にスライド可能に搭載される。しかしながら、ハンドレバーが回転軸を中心に回転可能に搭載されていることが特に好ましい。これによって、必要な空間を縮小できる。したがって、ハンドレバーは、第1の姿勢から第2の姿勢まで移動する際に、回転軸を中心に旋回/回転する。機構は、具体的には1つのねじりバネを有している。このバネによって、ハンドレバーは、第1の姿勢にバネ付勢される。換言すると、ハンドレバーが第2の姿勢に移行する際に、ねじりバネに張力が加えられる。ねじりバネは、このために、一方で偏心してハンドレバーに支持され、他方で好ましくは設けられ得る回路遮断器のハウジングに固定して支持されていることが有利である。ここで、場合によっては係止が行われ、それによってハンドレバーがバネ力に対抗して第2の姿勢で維持されることが有利である。具体的には引外し装置が動作することによって、又は、ハンドレバーの手動動作時にロックが解除されると、ハンドレバーは、第2の姿勢から第1の姿勢に移行する。しかしながら、レバーが第2の姿勢でブロックされて、バネ力よりも大きな力で保持されている場合、ハンドレバーは第2の姿勢を維持する。その後ブロックが解除されると、レバーは、引外し装置の動作とは無関係に、ねじりバネによって好ましくは第1の姿勢に移行される。
【0028】
機構は、回転軸に対して偏心して回転可能にハンドレバーに搭載されている第1の結合要素を含むことが好ましい。ここで、第1の結合要素は、ハンドレバーに関して向きを変えることが可能であり、ハンドレバーが回転軸を中心に回転する時に、第1の結合要素、又は、少なくともその第1の結合要素とハンドレバーとの連結点も、回転軸を中心に運動する。好ましくは、第1の結合要素のハンドレバーへの回転可能な軸受けは、回転軸に対して平行である。結合要素の一端は、回転可能にハンドレバーに連結されていることが有利である。これによって、必要な収容スペースが低減される。
【0029】
さらに、第1の結合要素は、スライダの第1の溝内を案内される。この溝は、具体的にはスライダの開口部であり、第1の結合要素、有利には第1の結合要素の一端が第1の溝の中に係合していることが好ましい。ここで、第1の結合要素は、第1の溝の内部において、スライダに対して走行することが可能である。反対に、第1の結合要素が第1の溝から離脱することは不可能である。例えば、第1の結合要素が、少なくとも1つ又は2つの方向において第1の溝から離隔されることは不可能である。これに対して、例えば、第1の結合要素を横方向に垂直な方向に、例えば回転軸に平行に、第1の溝の中に導入することは、支障なく可能である。したがって組付けが容易である。
【0030】
第1の溝は、横方向に延びる区域を含む。したがって、スライダをハンドレバーとは無関係に横方向に移動させることが可能である。したがって、ハンドレバーが第2の姿勢でブロックされている場合でも、具体的には機構のさらなる構成部品によって、バスバーを開放位置から閉鎖位置に移行させること、及び、スライダを移動させることが可能である。その反対に、具体的にはバスバーが閉鎖位置でブロックされている場合、及び、ハンドレバーが第2の姿勢から第1の姿勢に移行される場合、第1の結合要素が第1の溝の横方向の限界地まで移動して、ハンドレバーが第1の結合要素を介してさらに移動すると、ハンドレバーに作用する力がスライダに導かれる。第1の結合要素によって、力がバスバーに印加されることが可能となり、バスバーは、閉鎖位置から開放位置に移行され、第1の溝によって、具体的には横方向に延びる区域によって、回路遮断器の他の機能に悪影響が及ばないことが確保される。
【0031】
第1の結合要素は、例えば、1つの部品として構成されており、具体的にはU字型に形成されているか、又は、直線状の部品によって形成されている。ここで、両端部は、それぞれ、ハンドレバー及び第1の溝に係合していることが好ましい。このようにして、比較的単純な構成の第1の結合要素が実現されるので、製造コストが低減される。一代替例では、第1の結合要素は、例えば、湾曲して構成されているか、又は、複数の部品、好ましくは変向体を備えている。したがって、ハンドレバーの動作時にスライダに作用する力を調節可能である。具体的には、ハンドレバーによって印加される力が比較的大きくなるように、ハンドレバーを利用することが行われる。ここで、バスバーは、閉鎖位置においてのみブロックが解除されるはずであるため、力が作用するはずの最大距離は比較的短い。
【0032】
第1の結合要素は、比較的堅牢な材料から構成されていることが有利であり、第1の結合要素は、金属、例えば鋼から成ることが好ましい。これによって、堅牢性が向上する。ここで、第1の結合要素の電位がバスバーの電位と無関係となるように、スライダはプラスチックから成ることが好ましい。第1の結合要素は、好ましくは鋼線から成り、好ましくはクリップのように構成されている。
【0033】
機構は、回転軸に対して偏心して回転可能にハンドレバーに搭載された第2の結合要素を含むことが好ましく、ここで、第2の結合要素が軸受けされる軸は、回転軸に平行であることが好ましい。例えば、第2の結合要素と回転軸との距離は、第1の結合要素と回転軸との距離以下である。しかしながら、第2の結合要素と回転軸との距離は、第1の結合要素と回転軸との距離よりも大きいことが特に好ましい。したがって、ハンドレバーが動くと、第2の結合要素は大きな距離を移動する。第2の結合要素は、機構の傾斜レバーの第2の溝の中を案内される。第2の溝は、例えば、直線状又は弓状に構成されている。傾斜レバー自体は、スライダに、具体的にはスライダの端部に回転可能に搭載されており、その軸は、回転軸に平行であることが好ましい。第2の溝は、スライダにおける傾斜レバーの支持点からずらされている。したがって、ハンドレバーが回転軸を中心に回転する時には、第2の結合要素は第2の溝内を、第2の溝のストッパーに当接するまで移動する。その後、傾斜レバーは、スライダに対して向きを変える。
【0034】
第2の結合要素は、例えば、直線状の区域又はU字型の区域であり、つまり具体的にはクリップによって形成されている。好ましくは、端部のうちの一方はハンドレバーに連結されており、他方の端部は第2の溝内に挿入されている。U字型の構成により、第2の結合要素は、対応する収容部の中に回転軸に対して平行に導入されているので、第2の結合要素の比較的容易な取付けが可能である。あるいは、第2の結合要素は、例えば、湾曲して構成されており、したがって、少なくとも1つの弓状部又は複数の弓状部を含む。第2の結合要素は、金属、好ましくは鋼、例えば鋼線から成ることが好ましい。これによって堅牢性が向上する。
【0035】
機構は、第1のロックレバーを有していることが有利である。第1のロックレバーは、好ましくは設けられ得るハウジングに、及び/又は、有利には回転軸に対して平行な軸を中心に回転可能に搭載されている。第1のロックレバーは、引外し装置によって作動される。換言すると、機構と引外し装置との結合は、第1のロックレバーによって行われている。引外し装置が動作すると、ロックレバーが回転することが好ましい。具体的には、第1のロックレバーはバネ付勢されているので、第1のロックレバーは、回転の後に引外し装置が動作することにより、再び元の位置に移行される。第1のロックレバーは、回転可能な軸受けに対して偏心して配置された支持部を備えている。したがって、第1のロックレバーが向きを変えた時には、支持部も向きを変え、つまり回転する。支持部は、傾斜レバーのために設けられており、具体的には、第2の溝に対して離間されている。
【0036】
支持部は、傾斜レバーのスライダに対する旋回運動(回転/方向変換)の限界地として機能する。換言すると、ハンドレバーが動き、第2の結合要素が第2の溝内をストッパーまで移動すると、まず傾斜レバーが、支持部に当接するまでスライダに対して向きを変える。ここで具体的には、傾斜レバーは、端部において、つまりスライダの反対側にある端部において支持部に当接する。さらに方向変換運動を行うと、この運動が、傾斜レバーの支持部を中心とした旋回を導き、これによって、スライダの運動は横方向となる。ここで具体的には、バスバーは閉鎖位置に移動する。バスバーが閉鎖位置にある時、具体的には、第2の結合要素は、ほぼ横方向に配置され、そのためスライダは、この姿勢において、場合によっては設けられている、スライダに作用するバネに対して不安定均衡状態で維持される。したがって、第1のロックレバーが引外し装置によって移動すると、不安定均衡が解除され、スライダは、バネによって横方向に移動する。それとは反対に、比較的大きな故障が生じていない場合には、スライダは、ほぼ横方向に配置された第2の結合要素によってロックされる。一変形例では、第2の結合要素は、横方向よりもわずかに斜めに配置されるが、第2の結合要素のさらなる運動は、具体的にはわずかに弓状に湾曲した第2の溝によって妨げられる。
【0037】
ハンドレバーがブロックされた場合に、第1のロックレバーが引外し装置によって部分的に回転すると、傾斜レバーは、ロックレバーによってさらに維持されることはなく、スライダに対してのみ回転運動する。この場合、存在する重力によって、具体的には、傾斜レバーはスライダに対して旋回し、これによって第2の結合要素の位置が変更される。このため、不安定均衡も解除される。したがって、再びスライダが横方向に移動することが可能になり、バスバーは開放位置に移行する。要するに、支持部及び第2の溝によって、ハンドレバーはバスバーから分離する。
【0038】
代替的な一態様では、第1の溝は、L字型であり、一区域が横方向に延びており、第1の溝は、横方向に対して垂直方向、具体的には縦方向に延びるさらなる区域を有する。第1の結合要素には、第3の結合要素が回転可能に搭載され、この第3の結合要素の第1の結合要素への連結は、第1の結合要素の端部の間で行われるか、又は、少なくともハンドレバーへの連結点と第1の溝への係合部との間で行われることが有利である。したがって、第3の結合要素によって、第1の結合要素を第1の溝の中で移動させることが可能である。第1の結合要素が横軸に垂直に延びる区域の中に設けられている場合、ハンドレバーとバスバーとのほぼ直接的な結合が行われ、ハンドレバーの運動は、バスバーの運動に対応する。したがって、バスバーを、ハンドレバーによって閉鎖位置に移行させることが可能である。バスバーが閉鎖位置でブロックされている場合、ハンドレバーによってバスバーに作用させることも可能である。これによって、このブロックを解除することが可能である。要するに、ハンドレバーが第1の姿勢から第2の姿勢に移動する場合、バスバーは、開放位置から閉鎖位置に移行し、その後、ハンドレバーが第2の姿勢から第1の姿勢に移行されると、バスバーは、閉鎖位置から開放位置に移行する。ここで、ハンドレバーによっても、力がバスバーに印加されることが可能である。
【0039】
その反対に、第1の結合要素が第1の溝における横方向に延びる区域にある場合、ハンドレバーがバスバーから分離され、その結果、ハンドレバーがブロックされている場合でも、回路遮断器が動作することが可能となる。したがって、第1の結合要素が横方向に延びる区域内にある時、ハンドレバーがブロックされている場合でも、バスバーの閉鎖位置から開放位置への移動も可能である。
【0040】
第3の結合要素は、好ましくは回転軸に平行な軸を中心に回転可能に搭載された第2のロックレバーの溝内を案内される。この軸受けは、具体的には、回路遮断器の設けられ得るハウジングに対して行われ、第2のロックレバーは、引外し装置によって作動される。ここで、引外し装置が動作する場合、第2のロックレバーが向きを変える、つまり少なくとも部分的に回転することが有利である。好ましくは、第2のロックレバーは、例えばねじりバネによってバネ付勢されており、引外し装置が動作されていない場合、第2のロックレバーは新たに初期状態に移動する。第3の溝は、具体的には長孔の形に構成されており、引外し装置が動作されていない場合には、横方向に対して垂直に延びていることが有利である。あるいは、第3の溝は、弓状に構成されている。好ましくは、第3の溝は、第2のロックレバーの回転軸からずれて配置されており、第2の停止へーベルが回転されると、第3の溝は移動する。したがって、引外し装置が動作した場合には、第3の結合要素は、少なくとも部分的に第3の溝の中を、第3の溝の一端に当接するまで移動する。この後、第1の結合要素に力が印加され、第1の結合要素は、第1の溝の中を第2のロックレバーによって移動する。
【0041】
第3の結合要素は、例えば1つの部材であり、好ましくは直線状の区域を有している。具体的には、第3の結合要素は、直線状、又は、クリップのようにU字型に構成されている。したがって、取り付けが比較的容易に可能である。第3の結合要素は、金属から成ることが有利であり、鋼、具体的には鋼線から成ることが好ましい。さらなる変形例では、第3の結合要素は、例えば、湾曲して構成されているか、又は、複数の部品、好ましくは変向体を備えている。したがって、生じる状況に適合することが容易である。
【0042】
例えば、バスバーは、横方向に沿って配置されて、これによってスライダの移動時に横方向に移動する。これによって比較的小型の回路遮断器が提供される。しかしながら、バスバーは、横方向に対して垂直である縦方向に沿って配置されていることが、特に好ましい。こうすることによって、バスバーの電気接触が容易となる。ここで、バスバーは、有利には、スライダによって長手にスライド可能に搭載されており、バスバーは、横方向においてのみ移動可能である。これによって堅牢性が向上する。
【0043】
好ましくは、回路遮断器は、縦方向に沿って配置されたさらなるバスバーを有している。したがって、これら両方のバスバーは、平行に配置されており、所定の区域に沿って重なっていることが有利である。閉鎖位置では、バスバーは、機械的にさらなるバスバーに、例えば直接的に又はさらなる部材を介して間接的に当接する。しかしながら少なくとも閉鎖位置では、バスバーは、さらなるバスバーに電気的に接触する。開放位置では、バスバーは、さらなるバスバーから分離される。したがって、バスバーからさらなるバスバーに、及び、その反対方向に電流が流れることは不可能である。換言すると、これら両方のバスバーは、開放位置において、互いにガルバニック絶縁されている。
【0044】
回路遮断器の一端子がさらなるバスバーに電気的に接触されており、動作時にさらなるバスバーに電位が印加されるか、又は、少なくともさらなるバスバーが保全対象の電流回路のさらなる構成部品に不動に接続されていることが好ましい。したがって構造は容易である。さらなるバスバーは、バスバーと同じ材料、好ましくは例えばメッキされた銅から成ることが有利である。さらなるバスバーは、例えば不動に配置されており、具体的には、設けられ得るハウジングに不動に連結されており、このため構造が容易である。あるいは、さらなるバスバーは、可動に搭載されており、好ましくはバネ付勢されている。ここでバネは、バスバーの方向に作用し、バスバーが閉鎖位置に移動する際には、さらなるバスバーもバネ力に対抗して移動する。したがって、これら両方のバスバーは、閉鎖位置において圧力嵌めにより互いに当接するので、これら両方のバスバーが悪状況により意図せずに引き離されることが回避される。また、このようにして電気接触性が向上する。
【0045】
さらなるバスバーは、好ましくは、縦方向において互いに離間された第1の接点及び第2の接点を支持している。この間隔は、4mm、5mm、又は、1cmよりも大きいことが有利である。例えば、この間隔は、5cm、4cm、又は、3cmよりも小さい。例えば、この間隔はほぼ2cmであり、いずれの場合も具体的には10%、5%、又は、0%の偏差を含む。さらなるバスバーは、第1の電流端子をさらに備える。第1の電流端子は、さらなるバスバーと、一端子であり得る、回路遮断器の他の構成部品との電気接触のために使用される。具体的には、第1の電流端子は、クリップ又は同様のものによって実現される。あるいは、第1の電流端子は、想定されるさらなる構成部品と一体成形されて、さらなるバスバーが、第1の電流端子において、このさらなる構成部品に移行している。第1の電流端子が、さらなるバスバーの縦方向における一端を形成していることが有利である。
【0046】
バスバーは、好ましくは、縦方向において互いに離間された第1の対向接点及び第2の対向接点を支持している。ここで、この間隔は、4mm、5mm、又は、1cmよりも大きいことが有利である。例えば、この間隔は、5cm、4cm、又は、3cmよりも小さい。好ましくは、この間隔はほぼ2cmであり、いずれの場合にも具体的には10%、5%、又は、0%の偏差を含む。このような間隔により、比較的小型の回路遮断器が実現される。
【0047】
第2のバスバーは、第2の電流端子をさらに備える。具体的には、第2の電流端子は、第2のバスバーの縦方向の限界地、すなわち第2のバスバーの縦方向の端部を形成している。第2の電流端子は、第2のバスバーと回路遮断器のさらなる構成部品との電気接続部として機能する。例えば、第2の電流端子は、クリップとして構成されている。あるいは、バスバーは、第2の電流端子においてさらなる部品に移行しており、そのため、第2のバスバーは、第2の電流端子によって他の部品と一体成形され、したがってこれと共に1つの部品として形成されている。好ましくは、このさらなる部品は、第2の電流端子において、バンドによって連結されており、これによって電気接触されていることが有利である。したがって電気接触は、バスバーが横方向に移動する際も維持される。
【0048】
さらなるバスバーは、縦方向に沿ってバスバーと部分的に重なっている。また、縦方向においてこれら両方の電流端子の間の接点及び対向接点は、重複領域内に配置される。ここで、第1の接点に第1の対向接点が割り当てられ、第2の接点に第2の対向接点が割り当てられ、これらは、バスバーが閉鎖位置にある時に、好ましくは機械的に互いに直接当接する。したがって、接点及び対向接点は、好ましくは電流の導通に寄与する。
【0049】
接点及び対向接点が縦方向に離間されているため、これらの間には、導電状態において電流の一部が流れる各バスバーの区域が形成される。ここで電流は、縦方向において、両方のバスバーに対して平行に流れる。したがって、同じ方向に向けられた磁界が形成されるので、磁性引張力が、この領域内の両方のバスバーの間に、少なくとも部分的に作用する。具体的には、この力は、接点及び対向接点によって導かれる電流の積、及び、接点間又は対向接点間の間隔と、両方の電流端子の間隔との関係に、ほぼ比例する。
【0050】
この磁力は、接点及び対向接点に形成され両バスバーを押し離す磁力の反対方向に向けられる。したがって、電流が増大すると、結果として生じるバスバーに作用する力は比較的小さくなる。したがって、回路遮断器を導電状態に維持する、つまりバスバーを閉鎖状態に維持するために必要な力は、比較的小さい。したがって機構の構造は単純である。
【0051】
接点の少なくとも一方、好ましくは全ての接点、及び/又は、対向接点の一方、有利には全ての対向接点は、銀ベースの接点材料から構成されていることが好ましい。銀ベースの接点材料としては、銀ニッケル(AgNi)、銀酸化スズ(AgSnO2)、銀タングステン(AgW)、又は、銀グラファイト(AgC)が使用されることが好ましい。このようにして、比較的堅牢な接点又は対向接点が形成される。
【0052】
これに対する一代替例では、例えば、さらなるバスバーは1つの接点だけを有し、バスバーは1つの対向接点だけを有する。これらの接点及び対向接点は、例えば同一の材料、つまり銀合金から成る。さらなる一変形例では、回路遮断器は、さらなるバスバーに距離を置いて配置された追加的なバスバーを含む。追加的なバスバーは、好ましくは、さらなるバスバーと共通の直線上に配置されている。回路遮断器が導電状態にある場合、さらなるバスバー及び追加的なバスバーは、バスバーによって橋渡しされる。したがって、バスバーは、さらなるバスバー及び追加的なバスバーに機械的に直接当接することが好ましい。したがって、さらなるバスバーと追加的なバスバーとの間の電流の流れは、バスバーを介して可能となる。反対に、開放位置では、バスバーは、さらなるバスバーからも追加的なバスバーからも離隔されている。したがって、二重の遮断が行われ、これによって、回路遮断器を切り替える際、つまりバスバーが閉鎖位置から開放位置に移動する際のアークの形成が回避される。
【0053】
引外し装置は、例えば、油圧式、磁気式、又は、熱式に構成されている。一変形例では、引外し装置は、これらの組み合わせを含む。ここで、回路遮断器を介して流れる電流に応じて、引外し装置を動作させる磁界が生成される。あるいは、加熱によって、引外し装置が動作される。引外し装置は、バイメタルストリップ又はバイメタルスナップディスクといったバイメタル/バイメタル要素を含み、例えば、これによって形成されていることが特に好ましい。ここで、バイメタル/バイメタル要素/バイメタルストリップ/バイメタルスナップディスクは、好ましくは端部において、設けられ得るハウジングに好適には不動に張り付けられている。他方の端部は、機構、好ましくは設けられ得るロックレバーと、例えば直接機械的接点を形成している。動作時には、バイメタル/バイメタル要素/バイメタルストリップ/バイメタルスナップディスクには、回路遮断器によって導かれる電流が流れるので、過度の大電流時には、バイメタル/バイメタル要素/バイメタルストリップ/バイメタルスナップディスクは発熱する。したがって、比較的堅牢な引外し装置が提供される。
【0054】
本発明はさらに、このような回路遮断器を備える電力開閉器に関する。ここで、バスバーが開放位置にある場合、具体的には導電性部品のガルバニック絶縁が行われる。電力開閉器では、安全装置が回路遮断器に電気的に並列接続されていることが有利である。これによって安全性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1】回路遮断器を備える産業設備を示す概略的な図である。
【
図2】ハンドレバー及びバスバーを備える回路遮断器の第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】ハンドレバー及びバスバーを備える回路遮断器の第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図4】開放状態にある回路遮断器を示す側面図である。
【
図5】
図4に対応する、閉鎖状態にある回路遮断器を示す図である。
【
図6】
図4に対応する、ハンドレバーがブロックされた、開放状態にある回路遮断器を示す図である。
【
図7】
図4に対応する、バスバーがブロックされた、閉鎖状態にある回路遮断器を示す図である。
【
図8】回路遮断器の第2の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】開放状態にある回路遮断器を示す側面図である。
【
図10】
図9に対応する、閉鎖状態にある回路遮断器を示す図である。
【
図11】
図9に対応する、ハンドレバーがブロックされた、開放状態にある回路遮断器を示す図である。
【
図12】
図9に対応する、バスバーがブロックされた、閉鎖状態にある回路遮断器を示す図である。
【0056】
全ての図において、互いに対応する部材には、同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1には、電源4と電源4によって作動されるアクチュエータ6とを備える産業設備2の概略的な図が示されている。電源4によって、50Hz又は60Hzの交流電圧が提供される。ここで、電圧は、具体的には277V又は480Vである。アクチュエータ6は、例えば電気モータ又は圧縮機を備え、電線8によって電源4に電気的に結合されており、電線8を介してアクチュエータ6の給電が行われる。
【0058】
産業設備2は、電力開閉器10をさらに備えており、電力開閉器10は、一実施例では、電線8の一構成部品であり、詳細には図示されていないスイッチキャビネット内に配置されている。これに対する一代替例では、電力開閉器10は、電源4又はアクチュエータ6に隣接して配置されている。電力開閉器10は、回路遮断器12と、回路遮断器12に直列接続された安全装置14とを含む。回路遮断器12は、遮断機能を有し、この電気的に直列の接続体は、電線8の心線のうちの1つの中に導入されている。
【0059】
この例において、電力開閉器10の定格電流は60Aであり、定格電流を、例えば定格電流の1.1倍の値である所定の閾値を超えた場合、回路遮断器12によって、電流の流れが遮断される。換言すると、この場合、回路遮断器12が動作して開放され、すなわち非導電状態に移行する。反対に、この例ではガラス管ヒューズとして構成された安全装置14は、この場合には動作しない。安全装置14は、定格電流の5倍以上、すなわち300A以上になった時に初めて動作し、安全装置14の引外し時間は、回路遮断器12の引外し時間よりも短い。したがってこの場合、電流の流れは、安全装置14によって遮断されるが、回路遮断器12は、その後も引き続き導電状態にある。回路遮断器12及び安全装置14がこのように接続されているため、電流が定格電流を比較的わずかだけ超過した場合には、回路遮断器12をリセットすることによって、電力開閉器10は、ほぼ遅延なく使用可能となる。また、部品の交換が必要ないので、動作費用が低減される。しかしながら、比較的大きい過電流、すなわち具体的には300Aよりも大きい過電流の場合、機械的に構成された回路遮断器12によるスイッチング時に、故障が生じることがあり得る。この場合、つまり、回路遮断器12の部品に故障を生じさせ得るアークが生じる。回路遮断器12は動作していないので、回路遮断器12は故障せず、電力開閉器10は、安全装置14の交換後再び使用可能である。
【0060】
図2及び
図3には、いずれも、回路遮断器12の第1の実施形態が部分的に斜視図で示されている。回路遮断器12は、バイメタルストリップ18を含む引外し装置16を備える。バイメタルストリップ18は、ストリップ状に構成されており、端部のうちの1つが第1の接続レール20に不動に接続され、したがって第1の接続レール20と電気的に接触している。この端部は、詳細には図示されていない回路遮断器12のハウジングに不動に固定されており、ハウジングは、非導電性のプラスチックにより形成されている。第1の接続レール20は、導電性材料、すなわち銅合金又は純銅から成り、同じくストリップ状であり、その端部のうちの1つは、バイメタルストリップ18に固定されている。第1の接続レール20の残りの端部は、具体的には安全装置14と電気的に接触された回路遮断器12の1つの端子を形成している。第1の接続レール20のこの端部は、一実施変形例では、詳細には図示されていないハウジングから突出している。
【0061】
バイメタルストリップ18の残りの端部は、詳細には図示されていない回路遮断器12のハウジングに対して自由に運動可能である。この端部は、機構24の第1のロックレバー22に偏心して当接している。第1のロックレバー22は、詳細には図示されていないハウジングに、軸受軸26を中心に回転可能に搭載されている。第1のロックレバー22は、同じく偏心して配置された支持部28をさらに有する。支持部28は、軸受軸26に対してバイメタルストリップ18の反対側に設けられている。支持部28は、プラスチックで一体成形された第1のロックレバー22の、軸受軸26に平行に延びる棒状の区域によって形成されている。したがって、バイメタルストリップ18が曲がると、第1のロックレバー22が軸受軸26を中心に部分的に回転し、支持部28も、軸受軸26を中心に運動する。したがって、第1のロックレバー22は、引外し装置16によって作動される。
【0062】
バイメタルストリップ18の自由可動端には、さらに、弾性変形可能なバンド30が連結、例えば、溶接又ははんだ付けされている。したがって、バンド30は、バイメタルストリップ18に電気的に接触している。バンド30の残りの端部は、バスバー32に固定されて、これと電気的に接触している。バスバー32は、縦方向34に延びており、銅板から抜き加工され、銀メッキが施されている。縦方向34の最も端の外側に位置する、バンド30とバスバー32との接点が、第2の電流端子35を形成している。バスバー32の縦方向における両端部には、第1の対向接点36及び第2の対向接点38が設けられている。したがって、これら2つの対向接点36及び38は、縦方向34において互いに離間されている。これら2つの対向接点36及び38は、バスバー32の一方側に配置されており、銀ニッケルから成り、バスバー32と電気的に接触している。
【0063】
対向接点36及び38は、縦方向34に対して垂直な横方向40において、縦方向34に沿って配置されたさらなるバスバー42の方を向いている。ここで、第1の対向接点36は、横方向40において、第1の接点44の上方に位置しており、第2の対向接点38は、横方向40において、第2の接点46の上方に位置している。第1の接点44及び第2の接点46は、さらなるバスバー42に保持されており、バスバー32の方を向いている。したがって、これら2つの接点44及び46も、縦方向34において互いに離間されている。これら2つの接点44及び46は、対向接点36及び38と同じ材料、すなわち銀ニッケルから成り、さらなるバスバー42は、銅板から抜き加工されて、同じく銀メッキが施されている。さらなるバスバー42は、バスバー32に対して平行に延びると共に、横方向40に対して垂直に延びている。反対に、バスバー32は、縦方向34に対して平行に延びると共に、横方向40に対して垂直に延びている。
【0064】
さらなるバスバー42は、第1の電流端子48を備え、縦方向34において第1の電流端子48と第2の電流端子35との間の接点44及び46並びに対向接点36及び38は、バスバー32とさらなるバスバー42との重複領域50内に設けられている。第1の電流端子48は、重複領域50の外側に配置されている。第1の電流端子48には、第2の接続レール52が連結され、電気的に接触している。第2の接続レール52も、詳細には図示されていない回路遮断器12のハウジングから突出しており、電線8への端子として機能する。
【0065】
回路遮断器12は、さらに2つのバネ54を有している。これらのバネ54は、コイルバネとして構成され、横方向40に延びている。バネ54は、詳細には図示されていないハウジングの床と、さらなるバスバー42との間に配置され、これらに支持されている。これによって、さらなるバスバー42を、横方向40にバネ54に対抗し移動させることが可能であり、この場合、バネ54には張力が加えられる。
【0066】
機構24は、横方向40において長手にスライド可能に搭載されたスライダ56をさらに含む。スライダ56は、横方向40に配置されており、その横方向40における一端に、バスバー32が固定されている。したがって、バスバー32も、横方向40に移動可能に搭載されている。スライダ56は、横方向に延びる延長部58を含む。詳細には図示されていないバネが、延長部58によって案内され、延長部58に搭載されている。さらにこのバネは、詳細には図示されていないハウジングに支持されている。このバネによって、スライダ56のバネ付勢が行われ、この場合、横方向40における運動方向は、さらなるバスバー42から離れる方向に向けられる。
【0067】
スライダ56は、横方向40に延びる長孔の形の第1の溝60を有している。したがって、第1の溝60は、横方向40に延びる区域62によって形成されている。第1の溝60の中を、第1の結合要素64が案内される。第1の結合要素64は、鋼線をU字型のクリップに曲げて成り、U字型のクリップの平行の辺のうちの一方が、第1の溝60の中に配置されている。これに交差して延びる辺は、横方向40に平行に延びており、互いに平行に延びる辺の他方は、回転可能にハンドレバー66に搭載されている。ハンドレバー66の自由端も、ハウジングから突出している。ハンドレバー66は、回転軸68を中心に回転可能に搭載されている。第1の結合要素64は回転軸68に偏心して接続されているので、回転軸68から離間されており、結合要素64の回転可能な軸受けは、回転軸68に平行である。要するに、ハンドレバー66は、回転軸68を中心に回転可能であり、したがって、図面に示される第1の姿勢70を取ることが可能である。換言すると、ハンドレバー66は、第1の姿勢70に移行可能である。ここで、ハンドレバー66は、収容部72を備える。収容部72の内部には、詳細には図示されていないねじりバネが配置されており、このねじりバネによって、レバー66は、第1の姿勢70にバネ付勢される。換言すると、ハンドレバー66にさらなる力が作用しない時には、ハンドレバー66は、ねじりバネによって第1の姿勢70を取る。反対に、第1の姿勢70から移動する場合には、回転軸68と同心に配置されたねじりバネに張力が加えられる。
【0068】
ハンドレバー66にはさらに、第2の結合要素74が回転可能に搭載されており、軸受軸は、回転軸68に平行である。第2の結合要素74も、U字型であり、クリップとして構成され、鋼線から成る。互いに平行な辺のうちの一方は、ハンドレバー66に連結されており、回転軸68への距離は、第1の結合要素64の回転軸68に対する距離よりも大きい。第2の結合要素74の平行な辺のうちの他方は、スライダ56に回転可能に搭載された傾斜レバー78の第2の溝76の中に導かれている。ここで、傾斜レバー78のこの接続は、スライダ56の、横方向40におけるバスバー32の反対側の端部で行われている。第2の溝76は、このスライダ56との接続点から離間されており、ほぼ直線状に延びている。加えて、傾斜レバー78は、回転軸68に平行な軸を中心に回転可能である。
【0069】
図4には、回路遮断器12が部分的に側面図で示されている。ここでは、回路遮断器12は、非導電状態にある。換言すると、第1の接続レール20及び第2の接続レール52は、互いにガルバニック絶縁されている。これは、バスバー32が開放位置80にある場合である。開放位置80では、バスバー32は、機構24によって、さらなるバスバー42から離間されており、接点44及び46、並びに、対向接点36及び38は、機械的に当接していない。この場合、ハンドレバー66は、第1の姿勢70にある。
【0070】
ハンドレバー66が、回転軸68を中心に旋回して第2の姿勢に移行すると、第2の結合要素74は、第2の溝76の中で、第2の溝76の端部に到達するまで移動する。さらに力が印加されると、第2の結合要素74の第2の溝76の横断方向における移動は不可能となり、傾斜レバー78は、傾斜レバー78の端部が第1のロックレバー22の支持部28に当接するまでスライダ56に対して旋回する。この時まで、スライダ56は、延長部58において支持されているバネにより、横方向には移動しない。しかし傾斜レバー78が支持部28に当接すると、傾斜レバー78はさらに旋回することができなくなり、支持部28は、傾斜レバー78用の軸受けを形成する。傾斜レバー78はこれによって支持部28の周りを旋回する。これに伴い、スライダ56は、対向接点36及び38が、さらなるバスバー42に配置された接点44及び46に機械的に直接当接するまで横方向40に移動する。ハンドレバー66がさらに動くと、バネ54が圧縮され、その結果、両方のバスバー32及び42は、圧力嵌めにより互いに当接する。スライダ56の移動、すなわちハンドレバー66の移動は、第2の結合要素74がほぼ横方向40に沿って延びるようになるまで続く。ハンドレバー66がさらに動くことは、詳細には図示されていないストッパーにより妨げられ、ハンドレバー66は第2の姿勢82になる。したがって、ハンドレバーは、第1の姿勢と第2の姿勢82との間を移行可能である。この場合機構24は、延長部58に係合しているバネによって、不安定均衡になり、バスバー32は閉鎖位置84を取る。
【0071】
ハンドレバー66が第1の姿勢70から第2の姿勢82に移行する間に、第1の結合要素64は、第1の溝60内に沿って妨げられることなくスライドする。より分かりやすいようにするために、図面においては、スライダ56を半透明に示している。
【0072】
バスバー32が閉鎖位置84にある時、電流が、第1の接続レール20から、バイメタルストリップ18、バンド、及び、バスバー32、並びに、対向接点36、38、接点44、46を介して、さらなるバスバー42まで流れ、バスバー42から第2の接続レール52まで流れることが可能である。したがって、回路遮断器12は、導電状態にある。
【0073】
対向接点36、38及び接点44、46の配置により、バスバー32及びさらなるバスバー42における電流の流れる方向は、少なくとも重複領域50において、互いに平行に向けられており、このため、この領域では整流された磁界が誘導される。このように誘導された磁界により、両方のバスバー32、42は、横方向40において互いに押され合い、その結果、比較的確実な電気接触が形成される。この効果を強化するために、バスバー32は、両対向接点36、38間の重複領域50において、さらなるバスバー42に対して窪みが形成されており、そのため、両バスバー32、42は、この領域において、機械的に直接当接しない。
【0074】
ハンドレバー66が第2の姿勢82から第1の姿勢70に移動する際には、一連の運動が逆方向に行われ、そうして、ハンドレバー66の作動により、バスバー32は開放位置80に移行される。ここで、この運動は、延長部58に係合したバネ及びねじりバネによって支援される。
【0075】
バイメタルストリップ18を介して、発熱を引き起こす比較的大きな電流が流れると、バイメタルストリップ18の自由端が曲がって、第1のロックレバー22が回転する。これにより支持部28は、傾斜レバー78に保持されなくなる。傾斜レバー78はさらに、スライダ56に対して旋回する。この場合、第2の溝76も旋回され、したがって第2の結合要素74が動く。これに伴い、不安定均衡が解除され、スライダ56は、延長部58に係合したバネによって横方向40に移動し、その結果、バスバー32は、さらなるバスバー42から離間される。こうして、接点44、46が対向接点36、38から離間されることにより、電流が遮断される。第2の結合要素74による機械的結合によって、ハンドレバー66も第1の姿勢70に移行され、回路遮断器12は再び
図4に示される状態になり、ここでは、バイメタルストリップ18は、例えばまだ曲がったままである。しかしながら、バイメタルストリップ18の冷却後、これは、再び
図4に示される姿勢となる。さらに、ハンドレバー66の回転運動は、詳細には図示されていないねじりバネによって支援される。
【0076】
しかしながら、ハンドレバー66が第1の姿勢70でブロックされ、バイメタルストリップ18が、流れる過電流によって湾曲した場合、第1のロックレバー22も動き、傾斜レバー78は支持部28により支持されなくなる。したがって、傾斜レバー78のスライダ56に対するさらなる旋回が可能となり、第2の結合要素74は、第2の溝76内を移動する。これによって不安定均衡が解消され、スライダ56は、延長部58に係合したバネによって横方向40に移動可能となり、その結果、バスバー32は開放位置80に移行する。したがってこの場合も、電流の流れは、両方の接続レール20及び52間で遮断される。
【0077】
図7に示されるようにバスバー32が閉鎖位置84においてブロックされた場合、及び、例えばハンドレバー66を手動で第2の姿勢82から第1の姿勢70に移動させることにより傾斜レバー78が支持部28に当接しない場合、又は、引外し装置16が動作した場合、ハンドレバー66を第1の姿勢70に移動させることは不可能である。この場合、第1の結合要素64が、第1の溝60においてストッパーまで移動し、この構成により、ハンドレバー66のさらなる移動が妨げられる。ハンドレバー66に第1の姿勢70の方向に力を加えると、この力が、スライダ56及びしたがってバスバー32に導かれる。したがって、ハンドレバー66を手動で作動させることにより、バスバー32をさらなるバスバー42から離し、起こり得る接点44、46と対向接点36、38との融着を中止させることが可能である。
【0078】
要するに、機構24によって、バスバー32、引外し装置16、及び、ハンドレバー66の結合が行われる。ここで、ハンドレバー66が第1の姿勢70から第2の姿勢82に移動する際には、バスバー32は、開放位置80から閉鎖位置84に移行される。引外し装置16が動作すると、バスバー32は、閉鎖位置84から開放位置80に移行される。この場合、ハンドレバー66がブロックされていないならば、ハンドレバー66は、第2の姿勢82から第1の姿勢70に移行される。あるいは、少なくともバスバー32が対応して移行される。ハンドレバー66が第2の姿勢82から第1の姿勢70に移動する際には、バスバー32は、閉鎖位置84から開放位置80に移行される。これは、バスバー32が閉鎖位置84においてブロックされているかどうかには無関係に行われる。この場合、つまり手動でハンドレバー66に加えられた力により、バスバー32のブロックが解除される。
【0079】
図8には、回路遮断器12の第2の変形例が部分的に斜視図で示されている。この変形例では、2つの接続レール20、52と、対向接点36、38を有するバスバー32と、バンド30に変更はない。また、さらなるバスバー42、及び、接点44、46、並びに、バネ54にも変更はない。さらに、個々の部品の機能性や互いに対する配置にも変更はない。この変形例でもスライダ56が設けられている。スライダ56は、横方向40に延びる区域62を有する第1の溝60を有する。しかしながら、回路遮断器12が側面図で示される
図9~
図12に示されるように、ここでは、第1の溝60は、縦方向34に延びるさらなる区域86を含む。したがって、第1の溝60はL字型に構成されている。ここで、さらなる区域86は、区域62に対して、横方向40においてバスバー32からハンドレバー66に向かってずらして設けられている。
【0080】
ここでも、第1の結合要素64は、回転軸68を中心に回転可能に搭載されたハンドレバー66に対して偏心して回転可能に連結されている。第2の結合要素74及び傾斜レバー78は省かれており、機構24は、第1の結合要素64に回転可能に搭載された第3の結合要素88を有している。ここでは、第3の結合要素88の自由端と第1の結合要素64とは、その両端部の間、つまりL字型の第1の結合要素64の横方向に延びる辺において接続されている。第3の結合要素88の残りの端部は、第2のロックレバー92の第3の溝90において案内されている。第2のロックレバー92は、第1のロックレバー22と同じように、ハウジングに回転可能に搭載されている。換言すると、第1のロックレバー22は、第2のロックレバー92と交換可能である。第2のロックレバー92は、引外し装置16のバイメタルストリップ18によって駆動される。引外し装置16が駆動されていない場合、すなわちバイメタルストリップ18が横方向40に延びている場合、第3の溝90は、実質的に縦方向34に向けられている。
【0081】
ハンドレバー66が、
図9に示される第1の姿勢70にある場合、第1の結合要素64は、第1の溝60のさらなる区域86の中に入り込み、バスバー32は、開放位置80となる。
【0082】
ハンドレバー66が、
図10に示される第2の姿勢82に回転すると、第1の結合要素64は部分的に、さらなるバスバー42に向かって横方向40に移動する。この移動は、第1の溝60を介してスライダ56に作用し、したがって、スライダ56は、横方向40においてさらなるバスバー42に向かって移動する。ここで、第1の溝60は、ハンドレバー66およびその移動方向に関して、第1の結合要素64が、作用する力の方向により、横方向40に延びている区域62の中に移動しないように配置されている。第1の結合要素64が、実質的に横方向40に配置されると、接点44、46は、それぞれの対向接点36、38に当接し、バスバー32は、
図10に示されるような閉鎖位置84につく。ここでも不安定均衡が実現される。要するに、閉鎖位置84では、バスバー32はさらなるバスバー42に機械的に当接する。
【0083】
ハンドレバー66を第2の姿勢82から第1の姿勢70に手動で移動させる場合は、上述の移動工程とは逆方向の移動工程を行う。引外し装置16が動作すると、すなわちバイメタルストリップ18の自由端が動くと、第2のロックレバー92が動いて、これに伴い第3の結合要素88が移動する。したがってこれによって、第1の結合要素64に縦方向34に力が加えられ、不安定均衡が解除される。このため、第3の結合要素88が比較的少しだけ動いた場合でも、不安定均衡が解除され、第1の結合要素64は、引き続きさらなる区域86に留まる。均衡が解除されるため、スライダ56は、詳細には図示されていないバネによって、横方向40に、さらなるバスバー42から離反するように、
図9に示される開放位置80に移動する。ここで、開放位置80では、バスバー32は、さらなるバスバー42から機械的に分離されている。また、第1の結合要素64を介して、スライダ56に作用するバネ力が、ハンドレバー66に作用し、これによってハンドレバー66は、第1の姿勢70に回転する。この回転運動は、ねじりバネによっても支援される。
【0084】
ハンドレバー66が、
図11に示されるように第2の姿勢82においてブロックされた場合、及び、引外し装置16が動作した場合、すなわちバイメタルストリップ18の自由端が動いた場合、第3の結合要素88によって、第1の結合要素64が、第1の溝60の横方向40に延びる区域62の中をさらに移動する。これによって、スライダ56は、さらなるバスバー42から離れる方に横方向に移動可能である。したがって、スライダ56は、バネによって横方向40に移動し、バスバー32は、さらなるバスバー42から離間されることによって、開放位置80に移行する。
【0085】
バスバー32が、接点44、46と対向接点36、38との融着によって、閉鎖位置84で維持され、すなわちブロックされている場合、第1の結合要素64も、引き続き第1の溝60の中にあり、正確には、横方向40においてさらなるバスバー42から最も遠く離れた位置にある第1の溝60のストッパーに当接する。ハンドレバー66が回転する際には、第1の結合要素64が部分的に、横方向40においてさらなるバスバー42から離れるように移動し、その結果、さらなるバスバー42から離れる方向に向けられた力が、スライダ56に加わる。したがって、バスバー32が閉鎖位置84においてブロックされている場合、場合によっては生じる融着が中止され、したがってバスバー32は、閉鎖位置84から開放位置80に移行する。この場合は、このブロックは、力を加えることによって解除される。
【0086】
図13には、回路遮断器12のさらなる変形例が、概略的に単純化されて示されている。ここでも、スライダ56と、スライダ56に連結され、第1の対向接点36及び第2の対向接点38を備えるバスバー32とが示されている。第1の対向接点36及び第2の対向接点38は、縦方向34において互いに離間されている。また、上述の実施形態と同様に構成された第1の接点44を支えるさらなるバスバー42が設けられている。しかしながら、さらなるバスバー42は、縦方向34にずらして配置されており、そのため、重複領域50は縮小されている。さらに、第2の接点46を支える追加的なバスバー94が設けられている。さらなるバスバー42及び追加的なバスバー94は、互いにガルバニック絶縁されており、追加的なバスバー94には、バイメタルストリップ18に電気的に接触したバンド30がはんだ付けされる。
図13に示される開放位置80において、対向接点36、38は、接点44、46から離間されている。閉鎖位置84を取る場合は、第1の対向接点36が第1の接点44に移行され、第2の対向接点38が第2の接点46に移行される。その結果、さらなるバスバー42及び追加的なバスバー94は、バスバー32によって橋渡しされる。したがってこの場合、電流が流れることが可能である。さらなるバスバー42の変形例、及び、追加的なバスバー94の使用は、詳細には図示されていない様々な態様で、
図2~
図12に示される実施形態の回路遮断器12により実現される。
【0087】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の他の様々な変形例が、本発明の対象から逸脱することなく、当業者により想定可能である。特に、また、実施形態に関連して記載される全ての個々の特徴を、本発明の対象から逸脱することなく、別の方法で互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
2 産業設備
4 電源
6 アクチュエータ
8 電線
10 電力開閉器
12 回路遮断器
14 安全装置
16 引外し装置
18 バイメタルストリップ
20 第1の接続レール
22 第1のロックレバー
24 機構
26 軸受軸
28 支持部
30 バンド
32 バスバー
34 縦方向
35 第2の電流端子
36 第1の対向接点
38 第2の対向接点
40 横方向
42 さらなるバスバー
44 第1の接点
46 第2の接点
48 第1の電流端子
50 重複領域
52 第2の接続レール
54 バネ
56 スライダ
58 延長部
60 第1の溝
62 区域
64 第1の結合要素
66 ハンドレバー
68 回転軸
70 第1の姿勢
72 収容部
74 第2の結合要素
76 第2の溝
78 傾斜レバー
80 開放位置
82 第2の姿勢
84 閉鎖位置
86 さらなる区域
88 第3の結合要素
90 第3の溝
92 第2のロックレバー
94 追加的なバスバー