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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】トラック用電気パワートレイン
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20231130BHJP
【FI】
F16H57/04 E
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055870
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2022159150
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】21166815.7
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・グラノティエ
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・ブタン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-045265(JP,A)
【文献】特開2020-091001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートレインアセンブリ(1)であって、
1つ又は複数の電気モータ(2,2’)と、
ギヤボックスハウジング(30)を含むギヤボックス(3)であって、前記ギヤボックスハウジング(30)は、前記電気モータ(2,2’)に係合された少なくとも1つの入力ギヤホイール(31,31’)と、出力ギヤホイール(32)とを含む複数のギヤを収容している、ギヤボックス(3)と、
アクスル(4)であって、
アクスルハウジング(40)と、
前記アクスルハウジングの内側の可動部品であって、前記出力ギヤホイール(32)から動力を受ける車輪用シャフト(41,42)を含む、可動部品と、
を含む、アクスル(4)と、
前記アクスルハウジング(40)の内側に配置されたアクスルオイルサンプ(43)を含むアクスル潤滑装置と、前記ギヤボックスハウジング(30)の内側にギヤボックスオイルサンプ(33)を含むギヤボックス潤滑装置とを含む潤滑システムと、
を含み、
前記ギヤボックス潤滑システムは、ドライサンプ潤滑システムであり、
前記ギヤボックスオイルサンプ(33)とは別のオイル貯蔵領域と、
前記ギヤボックスオイルサンプ(33)からオイルを回収し、回収したオイルを前記オイル貯蔵領域に搬送するように構成されたスカベンジングポンプ(5)及び第1のダクト(6)と、
少なくとも1つの噴霧ノズルを介して前記ギヤボックス(3)のギヤを潤滑するために前記オイル貯蔵領域からオイルを搬送するように構成されたメインポンプ(7)及び第2のダクト(8)と、
を含み、
前記オイル貯蔵領域は、前記アクスルオイルサンプ(43)内に形成され、前記スカベンジングポンプ(5)は、前記アクスルハウジング(40)内の前記可動部品を潤滑するためにオイルを高送出ポイント(HD)に搬送し、前記高送出ポイントのレベル位置(L HD )は、前記アクスルオイルサンプ(43)のオイルのレベル(L )よりも高く、前記高送出ポイント(HD)は、搬送されたオイルが前記アクスルオイルサンプ(43)内に落ちる前に前記可動部品を潤滑するように構成されている、
パワートレインアセンブリ。
【請求項2】
前記スカベンジングポンプ(5)は、前記電気モータ(2,2’)の可動部品、例えば、前記電気モータ(2,2’)の出力シャフトギヤ及び/又は軸受を潤滑するためにオイルを搬送する、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項3】
前記アクスルハウジング(40)と前記ギヤボックスハウジング(30)とは隣接しており、前記アクスルハウジングの内部雰囲気と前記ギヤボックスハウジングの内部雰囲気とが気体連通している、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項4】
前記アクスルハウジング(40)と前記ギヤボックスハウジング(30)とは、前記アクスルハウジング(40)の前記内部雰囲気の圧力及び前記ギヤボックスハウジング(30)の前記内部雰囲気の圧力を外部の雰囲気の圧力と平衡させるように構成された単一の通気システムを共有している、請求項3に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項5】
前記アクスルオイルサンプ(43)と前記ギヤボックスオイルサンプ(33)とは、前記アクスルハウジング(40)における単一のオイル注入口を共有している、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項6】
前記潤滑システムは、前記第1のダクト(6)によって搬送されるオイルを冷却するか又は前記第2のダクト(8)によって搬送されるオイルを冷却するように構成されたオイル冷却器(9)を含む、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項7】
前記メインポンプ(7)を保護するように構成されたオイルフィルタ(10)と、前記オイルフィルタが詰まった場合に前記オイルフィルタを迂回すること可能とするように構成されたバイパス弁(11)とを含む、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項8】
前記ギヤボックス(3)は、前記出力ギヤホイール(32)と前記入力ギヤホイール(31)との間のギヤ比を変化させるように構成されたシステムを含む、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ
【請求項9】
前記アクスルハウジング(40)内の前記可動部品は、
入力部の差動リングホイール(120)と、第1の出力部(121)と、第2の出力部(122)とを有する差動装置(12)であって、前記差動リングホイールが前記ギヤボックスの前記出力ギヤホイール(32)に係合されている、差動装置(12)と、
前記差動装置(12)の第1の出力部(121)及び第2の出力部(122)にそれぞれ連結された第1の車輪用の第1のシャフト(T1)及び第2の車輪用の第2のシャフト(T2)と、
を含む、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項10】
前記スカベンジングポンプ(5)及び/又は前記メインポンプ(7)は、前記アクスル(4)の前記可動部品から動力を受けるか又は前記ギヤボックス(3)から動力を受けるシャフトによって駆動される、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項11】
前記スカベンジングポンプ(5)及び/又は前記メインポンプ(7)は、電気ポンプである、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項12】
前記アクスル潤滑装置及びギヤボックス潤滑装置は、前記アクスルオイルサンプ(33)及び前記ギヤボックスオイルサンプ(44)とは別のオイル容器を必要としない、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項13】
前記スカベンジングポンプ(5)は、前記電気モータ(2,2’)の可動部品、例えば、前記電気モータ(2,2’)の出力シャフトギヤ及び/又は軸受を潤滑するためにオイルを搬送する、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項14】
請求項1~1のいずれか1つに記載のパワートレインアセンブリを含むトラック、バス、建設機械から選択される車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車、ハイブリッド車、又は車両によって牽引されるトレーラーに用いられる、アクスル、ギヤボックス、及び電気モータを含むパワートレインアセンブリに関する。このようなパワートレインアセンブリにおいて、アクスルの駆動輪シャフトは、ギヤボックスの出力部から動力/トルクを受け、ギヤボックスの入力部は、電気モータから動力/トルクを受ける。
【0002】
本開示は、種々の車両、例えば、小型車、中型車、又は、トラック、バス、建設機械のような大型車に適用可能である。本開示は、トラックに関して説明されるが、この車両に限定されるものではなく、乗用車のような他の車両に用いられてもよい。
【0003】
本開示は、大型車用のパワートレインアセンブリ、特に、アクスル(車軸)、ギヤボックス(減速機)、及び電気モータを含むパワートレインアセンブリの分野に関する。大型車用の電気パワートレインアセンブリは、アクスルを含み、アクスルは、アクスルハウジングと、アクスルハウジング内の可動部品とを含む。可動部品には、通常、同一回転軸上に、第1の車輪(例えば、1つ又は複数の左車輪)用の第1のシャフトと、第2の車輪(例えば、1つ又は複数の右車輪)用の第2のシャフトと、一般的には差動装置(ディファレンシャルギヤ)シャフトとが含まれる。シャフト(第1及び第2のシャフト)は、軸受のようなガイド手段によってアクスルハウジング内においてガイドされる。
【0004】
差動装置は、ギヤボックスの出力ギヤホイールから動力/トルクを受けるリングホイールを入力部に有する。ギヤボックスは、出力ギヤホイールと、電気モータから動力/トルクを受ける入力ギヤホイールのような入力部とを含む。ギヤボックスは、典型的には、複数のギヤのための異なるシャフトと、ギヤボックスの出力と入力との間のギヤ比を変化させるように構成されたシフトシステムとを含む。
【0005】
可動部品、例えば、軸受、シャフト、及びギヤは、一般に、以下で説明される「ウエットサンプ(wet sump)」潤滑システムを用いて、オイルによって冷却及び潤滑される。
【背景技術】
【0006】
運輸業界においては、ますます厳しくなる排ガス規制に対処する必要があり、交通量の多い都市部では、市街地での内燃エンジン車の乗り入れが禁止され始めている。
【0007】
車両、とりわけ、電気自動車/ハイブリッド車は、一般に、駆動輪シャフトを介して1つ又は複数の車輪を走行させるために電気モータを使用する。通常、アクスルは、上述のように、2つの駆動輪シャフト(左車輪又は右車輪の各々に対して設けられる第1及び第2のシャフト)を含む。しかし、ほとんどの電気モータは、高トルク/低速条件で走行する既知の内燃エンジンと比べて高速/低トルク条件で走行するように設計されている。
【0008】
車両の車輪におけるトルク要求を満たすことは、種々の条件下での車両の始動性、例えば坂道での車両の始動性にとって重要である。このため、ギヤボックスを介して広範なギヤ減速比、典型的には1:20-1:50となり得るギヤ減速比を有する必要がある。このような広範な減速は、通常、複数の減速段を有するギヤボックスによって実現され、その結果、より広いスペースを必要とし、他の部品(例えば、バッテリー、サスペンションアセンブリ)を組み込むためのスペースを制限する。
【0009】
ガソリン/ディーゼルエンジン用の標準的なトランスミッションシステムでは、トランスミッションが様々な位置に配置されてシャフトアセンブリを介して駆動シャフトに接続され得るが、電気自動車/ハイブリッド車の場合には、電気モータ及びギヤボックスを駆動輪のアクスルの近くに収容する必要がある。通常、電気モータが両方のシャフト(第1及び第2のシャフト)の動力/トルクをシェアする場合、動力/トルクを各車輪(左車輪又は右車輪)に分配するための差動装置が必要である。
【0010】
特許文献1は、電気モータ及びギヤボックスが駆動輪のアクスルの近くにあるパワートレインアセンブリを教示する先行技術の一例である。特許文献1において、電気モータ及びギヤボックスは、駆動輪のアクスルの同じ側に配置されている。具体的には、アクスルの駆動輪シャフト(第1及び第2のシャフト)は、典型的には、同じアクスル回転軸を共用する。一方、ギヤボックスの種々のギヤを保持するギヤボックスのシャフト及び電気モータの出力シャフトは、それぞれアクスル車輪シャフトの回転軸と平行ないくつかの異なる回転軸を有する。ギヤボックスの出力ギヤは、動力/トルクを差動装置の入力リングホイールに伝達する。差動装置は、動力/トルクをそれぞれ第1のシャフト(例えば、右駆動輪用のシャフト)及び第2のシャフト(左駆動輪用のシャフト)に分配するための2つの出力部をさらに含む。
【0011】
特許文献1の簡略図は、ギヤボックスのギヤ及び差動装置のギヤが同じクランクケース(又はハウジング)内に収容されることを示しているように見える。しかし、一方のアクスルのギヤ及び軸受と、他方のギヤボックスのギヤとは、通常、それぞれ独自の潤滑システム、したがって、独自のハウジングを有しており、この潤滑システムは、一般的に、ウエットサンプ潤滑システム(wet sump lubrication system)である。
【0012】
このようなギヤや他の可動部品、例えば、車輪シャフトの回転のための軸受は、通常、ギヤボックスでウエットサンプ潤滑システムを使用して、アクスルでは別のウエットサンプ(wet sump)潤滑システムを使用して冷却され及び潤滑される。
【0013】
以下で単に「ウエットサンプ」という「ウエットサンプ潤滑システム」は、クランクケース(又はハウジング)のサンプが一体型のオイル容器として使用される潤滑システムを意味する。軸受及び/又はギヤ(及び少なくとも下側ギヤ)のような回転する可動部品の少なくとも一部は、サンプ内のオイルのレベル(油面)に浸漬される。
【0014】
ギヤがオイル内で回転すると、「攪拌損失(churning losses)」と呼ばれる動力損失が大きくなる。以下、この「攪拌損失」のことを「スプラッシュ損失(splash losses)」という。本発明者の知見によれば、一般に、電気モータは、低速/高トルクで回転する内燃エンジンと比べて高速で回転するので、電気パワートレインアセンブリのギヤボックス側で「スプラッシュ損失」が高くなる可能性がある。また、アクスル側のギヤ及び軸受は、適切な潤滑を得るために比較的高いレベルのオイルに浸漬される必要があり、駆動アクスル側でも動力損失や効率低下が生じる。
【0015】
本発明者の知見によれば、一方のアクスルのギヤ及び軸受と、他方のギヤボックスのギヤとが一般的にそれらの独自のウエットサンプ潤滑装置を有するこのような潤滑システムの第2の欠点は、ギヤボックスオイル潤滑装置とアクスル潤滑装置との間に油密シールによる油密分離部を有する必要があることである。このような油密シールは、2つの異なるウェットサンプオイル潤滑装置の間でのオイルの混合を回避するために、複雑で高価になる可能性がある。
【0016】
本発明者の知見によれば、アクスル潤滑装置とギヤボックス潤滑装置との間のこのような油密シール設計は、油密に分離されているギヤボックスハウジングとアクスルハウジングとが、さらにそれらの独自のオイル入口及びそれらの独自の通気システムを有することを意味する。
【0017】
特許文献2は、入力シャフトと出力シャフトとの間で直接駆動を行う特定のタイプのギヤボックスにおいて「スプラッシュ損失」を低減することを教示しているが、このギヤボックスにおいて、ギヤボックスハウジングのオイルサンプ内のオイルのレベルは、下側ギヤホイールの外周部分が浸漬されるように、維持される。特許文献2によれば、ギヤボックスがダイレクトドライブ状態になったときにオイルサンプのオイルのレベルを下げることにより、スプラッシュ損失が低減され得る。オイルのレベルは、ダイレクトドライブ状態が解除されると、ギヤの組み合わせを用いたギヤボックスの動作のために回復される。
【0018】
そのために、ギヤボックスのハウジングは、隣接する集油タンクを有しており、集油タンクは、上側オイル入口及び下側出口を有する。上側オイル入口は、ギヤの組み合わせが動作している間、オイルサンプに浸漬している下側ギヤホイールによって飛散させられたオイルに曝される。下側出口は、タンク内に溜まったオイルをオイルサンプに導くものであり、ダイレクトドライブ中はオイルサンプのオイルのレベルを下げるために閉鎖可能であり、また、オイルのレベルを戻すために開放可能である。
【0019】
本発明者の知見によれば、オイルサンプのオイルのレベルを下げることでスプラッシュ損失を低減させるこの解決策は、いくつかの欠点、特に、
特許文献2の教示は、入力シャフトと出力シャフトとの間にダイレクトドライブモードを有する特定のギヤボックス専用であり、他のギヤボックスに適用されない、
特許文献2は、ダイレクトドライブが行われるときにギヤボックスのオイルサンプのオイルのレベルを下げることでギヤボックスにおけるスプラッシュ損失を低減させることを教示しているが、これはアクスルにおいて別の潤滑を行う必要性を強調するものであり、実際、アクスルオイルサンプ内のアクスルのギヤ及び軸受は、適切な潤滑を得るために常に比較的高いレベルのオイル内に浸漬される必要があり、それ故、ギヤボックスハウジング及びアクスルハウジングは、それぞれ別のオイル入口及び通気ステムを有することに加えて複雑でコストのかかる油密シールを有する必要があり、及び、
特許文献2は、ギヤボックス側のスプラッシュ損失を低減するが、アクスル側のスプラッシュ損失を低減しない、
という欠点を有する。
【0020】
先行技術において、「ウエットサンプ」と対照的な「ドライサンプ(dry sump)」も知られている。ドライサンプでは、可動部品(例えば、ギヤ)の冷却と潤滑に用いられるオイルは、貯蔵容器からポンプで送されて、動作しているギヤホイールに噴霧(散布)される。特許文献2の背景技術によれば、ドライサンプ潤滑装置の第1の欠点は、エネルギを消費するポンプと、ギヤホイールに噴霧するための特別のノズルとを必要とすることである。
【0021】
車両の移動中、例えば、車両がコーナで急旋回したとき(又は段差部を走行するとき)に、サンプ内に貯蔵されたオイルがギヤに影響を与えるのを回避するために、有利にはオイル貯蔵容器をクランクケースのオイルサンプとは別の容器として有することがさらに知られている。このような設計では、滴下したオイルがサンプに到達すると、すぐに、オイルは、典型的にはスカベンジングポンプによって連続的に汲み上げられ、オイルサンプとは別の(オイルサンプから分離された)オイル貯蔵領域に搬送される。
【0022】
本発明者の知見によれば、オイルサンプとは別のオイル貯蔵領域を設けることが、車両が急旋回するときや段差部を走行するときのスプラッシュ損失を回避するために有益であるとしても、この設計を、例えば、特許文献1のパワートレインアセンブリに適用するのは困難である。何故なら、このパワートレインアセンブリは、いくつかのギヤ比を有し、既に小型化を損なっており、したがって、他の部品の組み込むためのスペースが不足し、特にギヤボックスのオイルサンプから分離される必要のあるこの補助的なオイル貯蔵のためのスペースが不足しているからである。
【0023】
また、特許文献3に記載の先行技術から、電気モータ、遊星トランスミッション、及び車輪シャフトが全て同一のアクスル軸に沿って収容されるコンパクトな設計の駆動アクスルが知られている。駆動モータは、アクスルオイルサンプのオイル内に浸漬されており、このことは、高いスプラッシュ損失を意味する。トランスミッションの遊星ギヤは、単一ギヤ比のギヤである。
【0024】
また、特許文献4に記載の先行技術から、ウオータジャケット及びオイルを蓄えるオイルサンプを有する同一ハウジングを共有する電気モータ及びギアトランスミッションが知られている。オイルサンプは、トランスミッションのギヤを潤滑するために用いられる。オイルの一部は、電気モータのシャフトの内部の冷却通路にポンプによって搬送される。オイル貯蔵領域は、ハウジング内のオイルサンプであるので、オイルサンプとは別の領域ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【文献】米国特許第9,409,477号明細書
【文献】国際特許出願公開第2008/076061号パンフレット
【文献】独国特許出願公開第102012112379号明細書
【文献】国際特許出願公開第2020/109437号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本開示は、このような状況を改良するものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
提案されるパワートレインアセンブリは、
1つ又は複数の電気モータと、
ギヤボックスハウジングを含むギヤボックスであって、ギヤボックスハウジングは、電気モータに係合された少なくとも1つの入力ギヤホイールと、出力ギヤホイールとを含む複数のギヤを収容している、ギヤボックスと、
アクスルであって、
アクスルハウジングと
アクスルハウジングの内側の可動部品であって、出力ギヤホイールから動力を受ける車輪用シャフトを含む、可動部品と、
を含む、アクスルと、
アクスルハウジングの内側に配置されたアクスルオイルサンプを含むアクスル潤滑装置と、ギヤボックスハウジングの内側のギヤボックスオイルサンプを含むギヤボックス潤滑装置とを含む潤滑システムと、
を含む。
【0028】
本開示によれば、ギヤボックス潤滑システムは、ドライサンプ潤滑システムであり、
ギヤボックスオイルサンプとは別のオイル貯蔵領域と、
ギヤボックスオイルサンプからオイルを回収し、回収したオイルをオイル貯蔵領域に搬送するように構成されたスカベンジングポンプ及び第1のダクトと、
ギヤボックスのギヤを潤滑するためにオイル貯蔵領域からオイルを搬送するように構成されたメインポンプ及び第2のダクトと、
を含み、
オイル貯蔵領域は、アクスルオイルサンプ内に形成されている。
【0029】
以下の特徴は、任意選択的に他の特徴と別々に実施されてもよいし、組み合せて実施されてもよい。
【0030】
スカベンジングポンプは、アクスルハウジング内の可動部品を潤滑するために、アクスルオイルサンプのオイルのレベルよりもレベル位置が高い高送出ポイントまで搬送し、高送出ポイントは、搬送されたオイルがアクスルオイルサンプに落ちる前に可動部品を潤滑するように構成される。
【0031】
アクスルハウジングとギヤボックスハウジングとは隣接しており、アクスルハウジングの内部雰囲気とギヤボックスハウジングの内部雰囲気とは、互いに気体連通していることが好ましい。
【0032】
アクスルハウジングとギヤボックスハウジングとは、アクスルハウジングの内部雰囲気の圧力及びギヤボックスハウジングの内部雰囲気の圧力を外部の雰囲気の圧力と平衡させる(等しくする)ように構成された単一の通気システムを共有してもよい。
【0033】
アクスルオイルサンプとギヤボックスオイルサンプとは、アクスルハウジングにおける単一のオイル注入(入口)部を共有してもよい。
【0034】
潤滑システムは、第1のダクトによって搬送されるオイルを冷却するように構成されたオイル冷却器を含む。あるいは、オイル冷却器は、第2のダクトによって搬送されるオイルを冷却するように構成されてもよい。
【0035】
パワートレインアセンブリは、メインポンプを保護するように構成されたオイルフィルタと、オイルフィルタが詰まった場合にオイルフィルタを迂回することを可能とするように構成されたバイパス弁とを含んでもよい。
【0036】
ギヤボックスは、出力ギヤホイールと入力ギヤホイールとの間のギヤ比を変化させるように構成されたシステム、典型的には、ドッグクラッチを含むシフトシステムを含む。
【0037】
アクスルハウジング内の可動部品は、
入力部の差動リングホイールと、第1の出力部と、第2の出力部とを有し、差動リングホイールがギヤボックスの出力ギヤに係合されている、差動装置と、
差動装置の第1の出力部及び第2の出力部にそれぞれ連結された第1の車輪用の第1のシャフト及び第2の車輪用の第2のシャフトと、
を含む。
【0038】
スカベンジングポンプ及び/又はメインポンプは、アクスルの可動部品から動力を受けるか又はギヤボックスから動力を受けるシャフトによって駆動される。あるいは、スカベンジングポンプ及び/又はメインポンプは、電気ポンプである。
【0039】
アクスル潤滑装置及びギヤボックス潤滑装置は、アクスルオイルサンプ及びギヤボックスオイルサンプとは別のオイル容器を必要としない。
【0040】
第2の態様によれば、本開示は、パワートレインアセンブリを含むトラック、バス、建設機械から選択される車両に関する。
【0041】
他の特徴、細部、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示によるパワートレインの断面図であり、中央にアクスルハウジング、アクスルオイルサンプ、及び差動装置のリングホイール入力部を含むアクスルが示され、左側に2つの電気モータが示され、右側に2つの電気モータのそれぞれに接続された2つの入力部及び差動装置の入力部でリングホイールと螺合する円錐状の出力ギヤを含む出力シャフトを有するギヤボックスが示されている。
図2】本開示によるパワートレインのキネマティックの簡素化された概略図であって、電気モータと、電気モータから動力/トルクを受ける入力部及び差動装置のリングホイールギヤに接続された出力部を含むギヤボックスであって、入力部と出力部との間のギヤ比を変化させるためのシフトシステムを有するギヤボックスと、第1のシャフトに接続された第1の出力部及び第2のシャフトに接続された第2の出力部を有する差動装置とが示されている。
図3】請求項に記載されたギヤボックスの潤滑システムの概略図であり、この潤滑システムは、「ドライサンプ(dry sump)」であり、ギヤボックスオイルサンプと異なる(アクスルオイルサンプ内に形成された)別の貯蔵オイル領域と、オイルをアクスルオイルサンプから汲み上げてギヤボックスの動作しているギヤに噴霧するように構成されたメインポンプと、ギヤボックスオイルサンプ内のオイルを引出してアクスルオイルサンプ内の高送出ポイントのレベルまで搬送するように構成され、先行技術と比べてアクスルオイルサンプのオイルのレベルを低くするスカベンジングポンプと、を有する。
図4図3の斜視図(ギヤが省略されている)である。
図5】ギヤボックスのギヤ及びアクスルのギヤが同じオイルサンプ内に浸漬されていて高いスプラッシュ損失が発生する、請求項に記載されていない構成の概略図である。
図6】ドライサンプ設計がなされたギヤボックス潤滑システムを有する請求項に記載されていない構成の概略図であって、このドライサンプ設計は、ギヤボックスオイルサンプ及びアクスルオイルサンプとは別のオイル貯蔵領域を含んでおり、したがって、ギヤボックスオイルサンプ及びアクスルオイルサンプの両方を補充する追加の容器を必要とするため、他の部品のためのスペースが不足し、ギヤボックス側でのスプラッシュ損失を低減することができるが、アクスル側でのスプラッシュ損失を低減しない。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示は、1つ又は複数の電気モータ2,2’と、ギヤボックス3とを含むパワートレインアセンブリ1に関し、ギヤボックス3は、電気モータ2,2’に係合された少なくとも1つの入力ギヤホイール31,31’と、出力ギヤホイール32とを含む複数のギヤを収容するギヤボックスハウジング30を含む。ギヤボックス3は、好ましくは、複数のギヤ比を有する。すなわち、ギヤボックスは、好ましくは、出力ギヤホイール32と入力ギヤホイール3との間のギヤ比を変化させるように構成されたシステムを含み、種々のギヤの組み合せを提供するように構成されるとよい。したがって、ギヤボックスは、ギヤ比を変化させるために、典型的にはドッグクラッチを有するシフトシステムを含むとよい。
【0044】
図1は、ギヤボックス3が2つの入力部を有する実施形態を開示している。2つの入力部は、第1の電気モータ2のロータに接続された第1の入力ギヤホイール31と、第2の電気モータ2’のロータに接続された第2の入力ギヤホイール31’とを含む。
【0045】
ギヤボックスは、ギヤボックスを介して広範なギヤ減速比、典型的には、1:20-1:50のギヤ減速比を提供するように構成されるとよい。
【0046】
また、パワートレインアセンブリ1は、アクスル4を含み、アクスル4は、アクスルハウジング40と、アクスルハウジングの内側の可動部品とを含む。可動部品は、車輪用のシャフト41,42を含む。これらのシャフトは、出力ギヤホイール32から動力を受けるものである。
【0047】
アクスルハウジング40と、ギヤボックスハウジング30とは、典型的には、隣接している。
【0048】
また、アクスルハウジング40内の可動部品は、差動装置12を含むでもよく、差動装置12は、入力部の差動リングホイール120と、第1の出力部121と、第2の出力部122とを有し、差動リングホイール120は、ギヤボックスの出力ギヤホイール32に係合される。第1の車輪(例えば、1つ又は複数の左車輪)用の第1のシャフトT1及び第2の車輪(例えば、1つ又は複数の右車輪)用の第2のシャフトT2は、それぞれ差動装置の第1の出力部121及び第2の出力部122に連結される。
【0049】
ギヤボックスの種々のギヤを保持する種々のシャフト(入力シャフト、出力シャフト、場合によっては、1つ又は複数の補助シャフト)は、互いに平行に配置されるとよい。ギヤボックスのこれらのシャフトは、図2の概略図に示されるように、アクスル回転軸Tと平行であってもよいし、図1、3の実施形態から理解されるように、アクスル回転軸Tと直交してもよい。出力ギヤホイール32と、差動装置のリングホイール120とは、図1に示されるように、それぞれ、互いに直交する回転軸を有する円錐状のギヤホイールであるとよい。
【0050】
電気モータ2は、図2から理解されるように、アクスル4に対してギヤボックス3と同じ側に配置されてもよいし、あるいは、図1又は3に示されるように、ギヤボックス3及び電気モータ2,2’は、それぞれアクスルの両側に配置されてもよい。
【0051】
パワートレインアセンブリは、潤滑システムを含み、潤滑システムは、アクスルハウジング40の内側に配置されたアクスルオイルサンプ43を有するアクスル潤滑装置と、ギヤボックスハウジング30の内側にギヤボックスオイルサンプ33を有するギヤボックス潤滑装置とを含む。
【0052】
アクスルオイルサンプ43は、アクスルハウジング40内の下側部分に形成され、ギヤボックスオイルサンプ33は、ギヤボックスハウジング30内の下側部分に形成される。
【0053】
有利には、ギヤボックス潤滑システムは、ドライサンプ潤滑システムであり、
ギヤボックスオイルサンプ33とは別のオイル貯蔵領域と、
ギヤボックスオイルサンプ33からオイルを回収し、回収したオイルをオイル貯蔵領域に搬送するように構成されたスカベンジングポンプ5及び第1のダクト6と、
ギヤボックス3のギヤを潤滑するためにオイル貯蔵領域からオイルを搬送するように構成されたメインポンプ7及び第2のダクト8と、
を含む。
【0054】
ダクト(第1のダクト及び第2のダクト)は、柔軟なパイプであってもよく、及び/又は剛性を有してもよい。ダクトは、特に、除去製造法、付加製造法、又は成形製造法による製造中にアクスルハウジング及び/又はギヤボックスハウジング内に得られるハウジング内の剛性のあるチャネル(通路)であってもよい。
【0055】
メインポンプ7の圧力の下で、1つ又は複数のノズルがオイルをギヤボックスのギヤに噴霧するために用いられてもよい。ギヤは、ウエットサンプのようなオイルへの浸漬によってではなく、噴霧によって潤滑されるので、ギヤボックス側におけるスプラッシュ損失が劇的に低減され、ギヤボックス側における効率が改良される。このようなドライサンプ潤滑装置は、ギヤボックスの回転ギヤに対して優先的に適用される。何故なら、通常、これらのギヤは、一般的な内燃エンジンと比べて高速/低トルクで回転する電気モータのロータから動力及びトルクを受けるからである。
【0056】
オイル貯蔵領域がギヤボックスオイルサンプから分離され、及びスカベンジングポンプがギヤボックスオイルサンプのオイルを回収してオイル貯蔵領域まで搬送、特に連続的に搬送するので、オイルがギヤボックスオイルサンプ内に溜まることを有利に防止することができる。(パワートレインアセンブリを含む)車両が例えば急旋回するときや段差部を走行するとき、ギヤボックスオイルサンプ内のオイルは十分に低いレベルにあるので、慣性に起因するスプラッシュ損失を回避することができる。
【0057】
さらに、有利な特徴によれば、オイル貯蔵領域は、図3、4に示されるように、アクスルオイルサンプ43内に形成されている。したがって、請求項に記載されていない図6の開示とは対照的に、アクスルオイルサンプ43とは別の特別(余分)のオイル容器を必要とすることなく、ギヤボックス3にドライサンプ潤滑システムを適用することが可能である。したがって、請求項に記載された開示によるアクスル潤滑装置及びギヤボックス潤滑装置は、図3、4に示されるように、アクスルオイルサンプ33及びギヤボックスオイルサンプとは別のオイルタンクを必要としない。
【0058】
したがって、ギヤボックスにドライサンプ潤滑システムを実装することが可能であり、(完全な)ウエットサンプ潤滑システムと比べてギヤボックスでのスプラッシュ損失を低減し、有利には余分なオイル容器を必要としないことによってパワートレインアセンブリのコンパクトさを損なうことなく、効率を向上させることができる。
【0059】
任意選択的な有利な実施形態によれば、スカベンジングポンプ5は、アクスルハウジング40内の可動部品を潤滑するためにオイルを高送出ポイントHDに搬送し、高送出ポイントのレベル位置LHDは、アクスルオイルサンプ43のオイルのレベルLよりも高く、高送出ポイントHDは、搬送されたオイルがアクスルオイルタンク43内に落ちる前に可動部品を潤滑するように構成される。
【0060】
任意選択的な有利な実施形態によれば、スカベンジングポンプ5は、電気モータ2,2’の可動部品、例えば、出力シャフトギヤ及び/又は軸受を潤滑するためにオイルを搬送する。
【0061】
本実施形態によれば、第1のダクト6は、アクスルハウジング内の可動部品を潤滑するためにオイルを高送出ポイントHDに搬送し、これによって、落下するオイルによって可動部品の良好な潤滑を可能にし、その一方で、高送出ポイントの利点を有しない完全なウエットサンプシステムと同一の潤滑性能を基準として比較した場合、アクスルオイルサンプのオイルのレベルを低くすることができる。完全なウエットサンプシステムと比べてアクスルオイルサンプのオイルのレベルを低くすることによって、アクスルオイルサンプにおけるスプラッシュ損失を低減することができる。
【0062】
有利には、本実施形態は、ギヤボックスにドライサンプを有することによってだけではなく、さらにアクスルオイルサンプにおけるオイルのレベルを低くすることによって、完全なウエットサンプ潤滑システムと比較して、(例えば、ギヤボックス及びアクスルで)スプラッシュ損失を低減することができるという相乗効果を提供する。ギヤボックスだけではなく、さらにアクスルハウジングのスプラッシュ損失及び効率も改善される。
【0063】
本発明者の知見によれば、ギヤボックス及びアクスルの両方が冷却/潤滑のために同じオイルを用いるという事実から良好な利点をさらに得ることが可能である。
【0064】
まず、アクスルハウジング40とギヤボックスハウジング30とは、隣接して同じオイルを共有しており、本発明者の所見によれば、ギヤボックスハウジングとアクスルハウジングとの間に複雑で高価な油密シールシステムを設ける必要がない。それ故、有利には、アクスルハウジングの内部雰囲気と、ギヤボックスの内部雰囲気とが(例えば、パワートレインがそのような油密シールシステムを排除した場合)気体連通する。
【0065】
このような実施形態によれば、アクスルハウジング40及びギヤボックスハウジング30は、有利には、アクスルハウジング40の内部雰囲気の圧力及びギヤボックスハウジング30の内部雰囲気の圧力を外部の雰囲気の圧力と平衡させる(等しくする)ように構成された単一の通気システムを共有し得る。これにより、油密シールがギヤボックスハウジングとアクスルハウジングとを分離する場合、ギヤボックスハウジング及びアクスルハウジングのそれぞれのための2つの通気システムを有するパワートレインアセンブリと比較して、コストを節減することが可能である。
【0066】
他の実施形態によれば、アクスルオイルサンプ43及びギヤボックスオイルサンプ33は、(例えばギヤボックスハウジング30及びアクスルハウジング40のそれぞれのための2つのオイル注入部を有する構成に代わって)アクスルハウジング40において単一のオイル注入口を共有してもよい。
【0067】
一実施形態によれば、ギヤボックス潤滑システムは、第1のダクト6によって搬送されるオイルを冷却するように構成されたオイル冷却器9を含んでもよい。あるいは、冷却器9は、第2のダクト8によって搬送されるオイルを冷却するように構成されてもよい。オイルフィルタ10は、メインポンプ7を保護するように構成されてもよい。バイパス弁11は、オイルフィルタが詰まった場合にオイルフィルタを迂回することを可能とするように構成されてもよい。
【0068】
一実施形態によれば、スカベンジングポンプ及び/又はメインポンプは、アクスルの可動部品又はギヤボックスから動力を受けるシャフトによって機械的に駆動される。あるいは、スカベンジングポンプ及び/又は主ポンプは、電気ポンプであってもよい。
【0069】
本開示によるパワートレインアセンブリは、有利には、少なくともドライサンプ潤滑装置であるギヤボックスにおいて、さらには、高送出ポイントHDが実装される場合にアクスルオイルサンプにおけるオイルのレベルの低減を可能にすることによってアクスルオイルサンプにおいて、スプラッシュ損失を低減することにより、(完全な)ウエットサンプシステムと比べて、効率を向上させる。
【0070】
本開示によるパワートレインアセンブリは、さらに有利には、(例えば、既に存在するアクスルオイルサンプに加えて)追加の容器を必要としないことにより、パワートレインのコンパクト性を損なうことなく効率を向上させる。
【符号の説明】
【0071】
1 パワートレインアセンブリ
2,2’ 電気モータ
3 ギヤボックス
30 ギヤボックスハウジング
31,31’ (電気モータ3,2’のそれぞれのための)入力ギヤホイール
32 出力ギヤホイール
33 ギヤボックスオイルサンプ
4 アクスル
40 アクスルハウジング
41 第1のシャフト
42 第2のシャフト
43 アクスルオイルサンプ
5 スカベンジングポンプ
6 第1のダクト
7 主ポンプ
8 第2のダクト
9 オイル冷却器
10 オイルフィルタ
11 バイパス弁
12 差動装置
120 差動リングホイール(入力部)
121 第1の出力部
122 第2の出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6