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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】無人機、及び配送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231130BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G05D1/02 Z
B65G61/00 540
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022071714
(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公開番号】P2023161366
(43)【公開日】2023-11-07
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086216(JP,A)
【文献】特開2019-173378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162400(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0213719(US,A1)
【文献】特開2005-256423(JP,A)
【文献】特開2019-040452(JP,A)
【文献】特開2022-040862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/02
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配送する無人機において、
前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、
を備え
前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定し、当該決定した機体向きに基づいて前記無人機の車輪を回転させるとともに当該車輪の向きを変化させることで当該決定した機体向きに前記無人機を向かせることを特徴とする無人機。
【請求項2】
前記風特定部は、さらに、前記無人機にあたる風の強さを特定し、
前記扉閉抑制部は、前記風の強さが閾値以上である場合に、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定することを特徴とする請求項に記載の無人機。
【請求項3】
物品を配送する無人機において、
前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、
前記物品の受け取り場所を基準として当該物品の受取人が現れる出現方向を推定する出現方向推定部と、
備え、
前記扉閉抑制部は、前記風の向きと前記出現方向とに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように、且つ前記受け取り面が前記受取人側に向くように前記無人機を制御することを特徴とする無人機。
【請求項4】
物品を配送する無人機において、
前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、
を備え、
前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように前記無人機を制御し、
前記機体向きは、前記受け取り面が停止状態にある前記無人機の機体に対し風下になる向きであることを特徴とする無人機。
【請求項5】
物品を配送する無人機において、
前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、
を備え、
前記風特定部は、前記無人機を移動させるためのモータの出力と前記無人機の移動速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、前記無人機に対し向かい風であるか否かを判定することで前記風の向きを特定し、
前記扉閉抑制部は、前記風特定部により前記風の向きとして前記向かい風が特定された場合、前記受け取り面が前記無人機の機体に対し風下になるように前記無人機を制御することを特徴とする無人機。
【請求項6】
物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、
前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、
前記情報処理装置は、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部を備え
前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定し、当該決定した機体向きに基づいて前記無人機の車輪を回転させるとともに当該車輪の向きを変化させることで当該決定した機体向きに前記無人機を向かせることを特徴とする配送システム。
【請求項7】
物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、
前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、
前記情報処理装置は、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、
前記物品の受け取り場所を基準として当該物品の受取人が現れる出現方向を推定する出現方向推定部とを備え、
前記扉閉抑制部は、前記風の向きと前記出現方向とに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように、且つ前記受け取り面が前記受取人側に向くように前記無人機を制御することを特徴とする配送システム。
【請求項8】
物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、
前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、
前記情報処理装置は、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部とを備え、
前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように前記無人機を制御し、
前記機体向きは、前記受け取り面が停止状態にある前記無人機の機体に対し風下になる向きであることを特徴とする配送システム。
【請求項9】
物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、
前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、
前記情報処理装置は、
前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、
前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部とを備え、
前記風特定部は、前記無人機を移動させるためのモータの出力と前記無人機の移動速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、前記無人機に対し向かい風であるか否かを判定することで前記風の向きを特定し、
前記扉閉抑制部は、前記風特定部により前記風の向きとして前記向かい風が特定された場合、前記受け取り面が前記無人機の機体に対し風下になるように前記無人機を制御することを特徴とする配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を配送する配送システム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人で物品を配送する搬送ロボットなどの無人機が知られている。例えば、特許文献1には、受取人(受領予定者)により指定された、周囲の人に邪魔にならない回収場所に、物品(搬送物)を搬送し、当該受取人に物品を回収させる搬送ロボットが開示されている。かかる搬送ロボットには、物品を収容する収容部の前面に扉が設けられており、当該扉が開かれることで当該物品が受取人により受け取り可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-86216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受取人が無人機から物品を受け取る際に開かれた扉が、風の影響で意図せずに閉まってしまい、当該受取人が物品を受け取ることを妨げるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題等に鑑みてなされたものであり、受取人が無人機から物品を受け取る際に風の影響で扉が意図せずに閉まることを抑制可能な無人機、及び配送システムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物品を配送する無人機において、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、を備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定し、当該決定した機体向きに基づいて前記無人機の車輪を回転させるとともに当該車輪の向きを変化させることで当該決定した機体向きに前記無人機を向かせることを特徴とする。これにより、受取人が無人機から物品を受け取る際に風の影響で扉が意図せずに閉まることを、より効果的に抑制することができる。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の無人機において、前記風特定部は、さらに、前記無人機にあたる風の強さを特定し、前記扉閉抑制部は、前記風の強さが閾値以上である場合に、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定することを特徴とする。これにより、受取人が無人機から物品を受け取る際に風の強さに応じて扉が意図せずに閉まることを抑制することができる。
【0009】
請求項に記載の発明は、物品を配送する無人機において、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、前記物品の受け取り場所を基準として当該物品の受取人が現れる出現方向を推定する出現方向推定部と、を備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きと前記出現方向とに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように、且つ前記受け取り面が前記受取人側に向くように前記無人機を制御することを特徴とする。これにより、受取人が無人機から物品を受け取る際に風の影響で扉が意図せずに閉まることを抑制しつつ、物品の受け取り面までの受取人の導線が長くなることを抑制することができる。
【0010】
請求項に記載の発明は、物品を配送する無人機において、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、を備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように前記無人機を制御し、前記機体向きは、前記受け取り面が停止状態にある前記無人機の機体に対し風下になる向きであることを特徴とする。これにより、無人機の機体により風をブロックでき、扉が風の影響で意図せずに閉まることを、より効果的に抑制することができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、物品を配送する無人機において、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部と、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、を備え、前記風特定部は、前記無人機を移動させるためのモータの出力と前記無人機の移動速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、前記無人機に対し向かい風であるか否かを判定することで前記風の向きを特定し、前記扉閉抑制部は、前記風特定部により前記風の向きとして前記向かい風が特定された場合、前記受け取り面が前記無人機の機体に対し風下になるように前記無人機を制御することを特徴とする。これにより、風向計などの風センサを用いることなく簡易な構成で、風の影響で扉が意図せずに閉まることを抑制することができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、前記情報処理装置は、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部を備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定し、当該決定した機体向きに基づいて前記無人機の車輪を回転させるとともに当該車輪の向きを変化させることで当該決定した機体向きに前記無人機を向かせることを特徴とする。請求項7に記載の発明は、物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、前記情報処理装置は、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部と、前記物品の受け取り場所を基準として当該物品の受取人が現れる出現方向を推定する出現方向推定部とを備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きと前記出現方向とに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように、且つ前記受け取り面が前記受取人側に向くように前記無人機を制御することを特徴とする。請求項8に記載の発明は、物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、前記情報処理装置は、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部とを備え、前記扉閉抑制部は、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が前記風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように前記無人機を制御し、前記機体向きは、前記受け取り面が停止状態にある前記無人機の機体に対し風下になる向きであることを特徴とする。請求項9に記載の発明は、物品を配送する無人機、及び情報処理装置を含む配送システムにおいて、前記無人機は、前記物品を収容するための収容部であって当該物品の受け取り面に開閉可能な扉が設けられた収容部を備え、前記情報処理装置は、前記無人機にあたる風の向きを特定する風特定部と、前記風の向きに基づいて、前記無人機の停止時に開かれる前記扉が風の影響で閉まることを抑制する扉閉抑制部とを備え、前記風特定部は、前記無人機を移動させるためのモータの出力と前記無人機の移動速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、前記無人機に対し向かい風であるか否かを判定することで前記風の向きを特定し、前記扉閉抑制部は、前記風特定部により前記風の向きとして前記向かい風が特定された場合、前記受け取り面が前記無人機の機体に対し風下になるように前記無人機を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受取人が無人機から物品を受け取る際に風の影響で扉が意図せずに閉まることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】配送システムSの概要構成例を示す図である。
図2】UGV1の概要構成例を示す図である。
図3】制御部15における機能ブロック例を示す図である。
図4】風向きと機体向きとの対応関係を示す図である。
図5】UGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。
図6】受取人出現方向を考慮した場合においてUGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。
図7】向かい風が判定された場合においてUGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。
図8】管理サーバ2の概要構成例を示す図である。
図9】実施例1においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図10】実施例2においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図11】実施例3においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図12】実施例4においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、物品を配送する配送システムの一実施形態である。
【0017】
1.配送システムSの構成
先ず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る配送システムSの構成について説明する。図1は、配送システムSの概要構成例を示す図である。図1に示すように、配送システムSは、UGV(Unmanned Ground Vehicle)1、及び管理サーバ2(情報処理装置の一例)を含んで構成され、これらは、通信ネットワークNWに接続可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。UGV1は無人機の一例であり、複数の車輪1bを有し、無人で地上を自律的に走行することが可能になっている。ただし、UGV1は、車輪を有しないロボット(例えば、2足歩行ロボット)等であってもよい。管理サーバ2は、物品の配送を管理及び制御するためのサーバである。また、管理サーバ2は、UGV1を制御することもできる。管理サーバ2は、UGV1との間で通信ネットワークNWを介して通信可能になっている。
【0018】
貨物(荷物)として、UGV1に積載される物品は、例えば、EC(Electronic commerce)サイトまたは宅配サイトなどで注文される注文品(例えば、商品または宅配品)である。物品は、配送拠点から、配送依頼人(例えば、商品の注文者)による注文で指定された配送先(配達先)に向けて運搬される。配送拠点は、物品がUGV1に積み込まれる場所である。物品は、配送先の近傍の受け取り場所においてUGV1から受取人(例えば、配送依頼人)により受け取られる。物品の受け取り場所は、風の影響を受ける場所であるので、基本的には屋外である。例えば、物品の受け取り場所は、受取人が居住する住宅の敷地(例えば、庭)内であってもよいし、当該敷地の外にある道路の端であってもよい。また、受取人が居住する住宅が集合住宅(例えばマンションやアパート)である場合、物品の受け取り場所は共通のエントランス付近であってもよい。或いは、物品の受け取り場所は、受取人が勤務するオフィスがある建物付近の道路の端であってもよいし、公園や学校の校庭、空き地などであってもよい。
【0019】
1-1.UGV1の構成及び機能
次に、図1図3等を参照して、UGV1の構成及び機能について説明する。図2は、UGV1の概要構成例を示す図である。UGV1は、図1に示すように、機体(筐体)1a、UGV1を走行させるための複数の車輪1b、物品Aを収容するための1または複数の収容部1c、及び1または複数の開閉可能な扉1d等を備えて構成される。扉1dは、図1に示すように、収容部1cの開口部Oに設けられている。つまり、扉1dは、物品Aの受け取り面を塞ぐように設けられている。なお、図1の例では、開口部OはUGV1の正面(前方)から向かって右側に設けられているが、開口部OはUGV1の正面から向かって左側、前側(正面)、または後側(背面)に設けられてもよい。また、図1の例では、扉1dは、左開きになっているが、右開きであってもよい。また、UGV1は、図示しないが、車輪駆動機構、施解錠機構、扉駆動機構、及びバッテリを備える。さらに、UGV1は、図2に示すように、測位部11、通信部12、センサ部13、記憶部14、及び制御部15等を備える。
【0020】
車輪駆動機構は、走行用モータ(UGV1を移動させるためのモータ)、転舵用モータ、各種シャフト、各種ギア、及びタイロッド等から構成されている。走行用モータ及び転舵用モータは、制御部15の制御の下、バッテリから供給される電流により回転駆動する。走行用モータの回転駆動により発生したトルク(回転力)がギアを介してシャフトに伝達されることで車輪1bが回転する。また、転舵用モータの回転駆動により発生したトルクがシャフト及びタイロッドを介して伝達されることで車輪1bの向き(転舵角)が変化する。なお、車輪1bは、旋回及び全方向への平行移動が可能なオムニホイールにより構成されてもよい。
【0021】
施解錠機構は、制御部15の制御の下、扉1dに設けられた鍵の施解錠を行う。扉駆動機構は、ヒンジ等から構成されている。ヒンジは、収容部1c及び扉1dに固着(例えば、螺着)されており、それぞれに固着されたヒンジの連結軸を支柱として扉1dが開閉する。例えば、物品Aの受取人は、扉1dの鍵が解錠された後、扉1dの前面に設けられた把手(図示せず)を掴んで扉1dを手前(破線矢印R方向)に開くことができる。扉駆動機構は、さらに、扉用モータ、及びヒンジの連結軸に接続されるギア(またはカム)等を備え、当該扉用モータにより扉を開閉してもよい。この場合、当該連結軸は、扉1d側のヒンジに固着される。扉用モータは、制御部15の制御の下、バッテリから供給される電流により回転(当該電流の極性に応じた方向に回転)駆動する。扉用モータの回転駆動により発生したトルクがギア(またはカム)を介して連結軸に伝達されることで当該連結軸が回転し扉1dが自動的に開閉する。
【0022】
測位部11は、電波受信機等を備える。測位部11は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUGV1の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UGV1の現在位置は、GNSSの衛星から発信された電波に加えて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)処理により特定されてもよい。UGV1の現在位置は、センサ部13のカメラにより撮像された画像に基づいて補正されてもよい。測位部11により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部15へ出力される。通信部12は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。また、通信部12は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を備え、物品の受取人により使用されるユーザ端末(例えば、スマートフォン)との間で近距離無線通信を行ってもよい。
【0023】
センサ部13は、地磁気センサ、モータ出力センサ、走行速度センサ、光学センサ、及び風センサ(例えば、風向計)を備える。地磁気センサは、方角(方位)を検出する。モータ出力センサは、走行用モータのモータ出力[W](仕事量)を検出する。モータ出力[W]は、例えば、走行用モータの回転速度とトルクにより求まる。走行速度センサは、UGV1の走行速度[km/h](移動速度)を検出する。光学センサは、例えば全方位カメラ等の広角カメラを備え、当該カメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的に撮像する。風センサは、UGV1にあたる風の向きを検出する。例えば、設定された検出感度以上の強さを有する風の向きが検出される。ここで、風の向きは、真北を基準に時計回りの角度(真北からUGV1への方向が0度)で表されるとよく、この場合、「風向き(つまり、風が吹いてくる方角)」という。
【0024】
なお、センサ部13によりセンシングされたセンシング情報は、例えば、制御部15へ出力され、各種制御に用いられる。センシング情報には、地磁気センサにより検出された方角を示す方角データ、走行速度センサにより検出された走行速度を示す走行速度データ、モータ出力センサにより検出されたモータ出力を示すモータ出力データ、光学センサにより撮像された画像を示す画像データ、及び風センサにより検出された風向きを示す風向データが含まれる。風センサは、さらに、空気の圧力を計測することでUGV1にあたる風の強さ(以下、「風速」という)を検出してもよい。この場合、センシング情報には、風センサにより検出された風速を示す風速データが含まれる。また、センシング情報及びUGV1の機体IDは、通信部12により管理サーバ2へ逐次送信されてもよい。
【0025】
記憶部14は、不揮発性メモリ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部14は、UGV1の機体IDを記憶する。この機体IDは、UGV1を識別するための識別情報である。図3は、制御部15における機能ブロック例を示す図である。制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備える。制御部15は、ROM(または、記憶部14)に記憶されたプログラム(プログラムコード群)に従って、図3に示すように、走行制御部151、風特定部152、出現方向推定部153、機体向き制御部154、及び扉制御部155等として機能する。
【0026】
走行制御部151は、配送先に向けてUGV1を移動させる制御(走行制御)を行う。かかる制御においては、測位部11からの位置情報、センサ部13からの画像データ、及び配送先情報等が用いられて、車輪1bの回転数の制御、UGV1の位置、及びUGV1の進行方向(車輪1bの向き)の制御が行われる。これにより、UGV1は自律的に配送先に向けて移動することができる。なお、UGV1の走行中に、UGV1の機体ID及び位置情報は、通信部12を介して管理サーバ2へ逐次送信される。配送先情報は、管理サーバ2からUGV1へ送信されて制御部15に設定されるとよい。配送先情報には、例えば、配送先の住所、及び物品の受け取り場所の位置情報が含まれ、かかる位置情報は、緯度及び経度で表されるとよい。物品の受け取り場所は、人為的に決定されてもよいし、配送先を含む地図データから機械的に決定されてもよい。複数の配送先それぞれに物品が配送される場合、配送先ごとに配送先情報が設定される。
【0027】
風特定部152は、センサ部13(風センサ)からの風向データに基づいて、UGV1にあたる風向き(換言すると、UGV1を含む周辺領域における風向き)を特定する。かかる風向きは、UGV1が物品の受け取り場所で停止中に特定されることが望ましいが、UGV1の低速(例えば、2km/h以下)時に特定されてもよい。さらに、風特定部152は、センサ部13(風センサ)からの風速データに基づいて風速を特定してもよい。かかる風速は、風向きと同様、UGV1が物品の受け取り場所で停止中に特定されることが望ましいが、UGV1の低速時に特定されてもよい。また、風特定部152は、センサ部13からの風向データに代えて、センサ部13(モータ出力センサ及び走行速度センサ)からのモータ出力データ及び走行速度データを用いることでUGV1にあたる風の向きを特定してもよい(この場合、風センサはUGV1に備えられなくてもよい)。この場合の風の向きは、例えばUGV1の進行方向を基準とする向きであり、UGV1が物品の受け取り場所の手前で走行中に特定される。風特定部152は、モータ出力データが示すモータ出力と走行速度データが示す走行速度との比率(つまり、モータ出力に対する走行速度)と、基準比率との比較に基づいて、UGV1に対し向かい風(進行方向とは反対向きの風)であるか否かを判定することでUGV1にあたる風の向きを特定する。
【0028】
ここで、基準比率とは、例えば無風状態において所定のモータ出力(例えば、1W)でUGV1を走行させたときの当該モータ出力と走行速度(例えば、4km/h)との比率(例えば、4/1)であり、当該基準比率は予め記憶部14に記憶される。風特定部152は、モータ出力データが示すモータ出力(例えば、1W)と走行速度データが示す走行速度(例えば、3km/h)との比率(例えば、3/1)が基準比率(例えば、4/1)より小さい場合に、UGV1にあたる風の向きがUGV1に対し向かい風であると判定する。これにより、風の向きとして向かい風が特定される。
【0029】
出現方向推定部153は、物品の受け取り場所を基準として当該物品の受取人が現れる出現方向(以下、「受取人出現方向」という)を推定する。つまり、物品の受け取り場所において、どの方向(方角)から受取人が現れるのかが推定される。例えば、出現方向推定部153は、物品の受け取り場所から見て配送先(例えば住宅)の出入口、エントランスまたは敷地の方向を、受取人出現方向として推定する。なお、配送先の出入口、エントランスまたは敷地は、センサ部13からの画像データに基づいて特定されてもよいし、配送先があるエリアの地図データに基づいて特定されてもよい。或いは、出現方向推定部153は、センサ部13からの画像データに基づいて、物品の受け取り場所(またはUGV1)へ向かっている人を受取人として検知(推定)することで受取人出現方向を推定してもよい。
【0030】
機体向き制御部154は、扉閉抑制部の一例として、UGV1にあたる風の向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する。より具体的には、機体向き制御部154は、風特定部152により特定された風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるようにUGV1を制御する。これにより、受取人がUGV1から物品を受け取る際に風の影響で扉1dが意図せずに閉まることを、より効果的に抑制することができる。ここで、機体向きとは、図1を例にとると、UGV1の後方端部から前方端部に至るライン(破線矢印L)が指し示す向きであり、真北を基準に時計回りの角度(UGV1から真北への方向が0度)で表される。なお、機体向きは、UGV1の前方端部から後方端部に至るラインが指し示す向きであってもよい。機体向き制御部154は、UGV1が物品の受け取り場所に到着した際に、風特定部152により特定された風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定するとよい。ここで、機体向きは、例えば、風向きと機体向きとの対応関係を規定する計算式またはテーブルに基づいて決定される。このような対応関係は、配送システムSの管理者等により適宜設定されるとよい。
【0031】
図4は、風向きと機体向きとの対応関係を示す図である。図4において、風“x”は風向き(角度)を表し、“y”は機体向き(角度)を表し、“α”は任意に定められる角度(例えば、0~10度中の何れかの角度)を表す。図4に示す対応関係(例1)は、風向きと機体向きとが1対1の関係になっており、物品の受け取り面がUGV1の機体1aに対し風下になる関係である。例えば、風向きx=0(北寄りの風)である場合、対応関係(例1)の計算式(y=x+270±α)により、機体向きy=270(西向き)が算出(ただし、α=0とする)及び決定される。なお、“y>360”である場合、“y-360”が機体向きとして算出される。一方、図4に示す対応関係(例2)は、風向きと機体向きとが1対N(Nは2以上の整数)の関係になっている。例えば、風向きx=0(北寄りの風)である場合、対応関係(例2)のそれぞれの計算式により、機体向きy=90(東向き)、機体向きy=180(南向き)、及び機体向きy=270(西向き)が算出される(ただし、α=0とする)。
【0032】
図4に示す対応関係(例2)に示すように、風向きに対して扉閉を抑制可能な機体向きが複数算出された場合、これらの機体向きの中から最適な機体向きが1つ決定される。最適な機体向きとは、例えば、物品の受け取り面がUGV1の機体1aに対し風下になる機体向きである。或いは、物品の受け取り場所の周辺に障害物が上記画像データから検出された場合、物品の受け取りにおいて当該障害物の影響を最も受け難い機体向きが最適な機体向きとして決定される。障害物の影響を最も受け難い機体向きとは、例えば、物品の受け取り面が機体1aを挟んで障害物(開口部O)と反対側に位置することになる機体向きである。なお、風向きに対して抑制可能な機体向きは、開口部OがUGV1の正面から向かって右側に設けられている場合と左側に設けられている場合とで異なるので、このような点が考慮されて上記対応関係が設定される。さらに、風向きに対して抑制可能な機体向きは、扉1dが左開きである場合と右開きである場合とで異なるので、このような点も考慮されて上記対応関係が設定される。
【0033】
そして、機体向き制御部154は、上記決定された機体向きに対応する制御指令を車輪駆動機構へ出力し車輪1bを回転させるとともに車輪1bの向きを変化させることで、当該決定した機体向きにUGV1を向かせる。このような制御を、「機体向き制御」という。なお、機体向きが、例えば、90±5度というように範囲で表される場合、機体向き制御部154は、かかる範囲内に収まるように機体向き制御を行うとよい。また、扉1dを閉めるほどの風速でないことも想定されるので、機体向き制御部154は、風特定部152により特定された風速が閾値以上である場合に、上記決定された機体向きになるように機体向き制御を行ってもよい。これにより、受取人がUGV1から物品を受け取る際に風の強さに応じて扉1dが意図せずに閉まることを抑制することができる。かかる閾値は、事前に調査された、扉1dを開閉させるための負荷と風速との関係に基づいて適宜設定されるとよい。なお、UGV1が既に上記決定された機体向きになっている場合、機体向き制御を行う必要がない。
【0034】
図5は、UGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。図5の(a)枠内の例では、機体向き制御の実施前において、UGV1が物品の受け取り場所で停止中、風向きは東寄りの風であるのに対し、機体向きは東向きになっている。そのため、開いた扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制できない。一方、図5の(b)枠内の例では、機体向き制御の実施後において、UGV1が物品の受け取り場所で停止中、風向きは東寄りの風であるのに対し、機体向きは北向きになっている。そのため、開いた扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制できる。この場合の機体向きは、物品の受け取り面(開口部O)が、停止状態にあるUGV1の機体1aに対し風下になる向きである。そのため、機体1aにより風をブロックでき、扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制する効果が最も高い。
【0035】
また、機体向き制御部154は、風特定部152により特定された風向きと出現方向推定部153により推定された受取人出現方向とに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるように、且つ物品の受け取り面が受取人側に向くように機体向き制御を行うとよい。この場合、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きで、且つ物品の受け取り面が受取人側に向く機体向きが決定され、当該機体向きに対応する制御指令が車輪駆動機構へ出力される。これにより、受取人がUGV1から物品を受け取る際に風の影響で扉1dが意図せずに閉まることを抑制しつつ、物品の受け取り面までの受取人の導線が長くなることを抑制でき、ひいては、受取人の利便性が低下することを抑制することができる。
【0036】
図6は、受取人出現方向を考慮した場合においてUGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。図6の(a)枠内の例では、機体向き制御の実施前において、UGV1が物品の受け取り場所で停止中、風向きは東寄りの風であるのに対し、機体向きは東向きになっている(図5の(a)枠内と同様)。なお、図6の(a)枠内の例において、受取人出現方向がUGV1の前方であると推定されるものとする。一方、図6の(b)枠内の例では、機体向き制御の実施後において、UGV1が物品の受け取り場所で停止中、風向きは東寄りの風であるのに対し、機体向きは南向きであり、且つ物品の受け取り面(開口部O)が受取人U側に向くように南向きになっている。そのため、開いた扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制しつつ、受取人Uの利便性が低下することを抑制できる。ただし、この場合の機体向きは、物品の受け取り面が停止状態にあるUGV1の機体1aに対し風上になる向きである。そのため、機体1aにより風をブロックできないが、扉1dが90度以上に開いているとき(つまり、受取人Uが物品を受け取るとき)は風の影響で意図せずに閉まることを抑制する効果がある。
【0037】
一方、風特定部152により風の向きとして向かい風が判定された場合、機体向き制御部154は、物品の受け取り面が、停止状態にあるUGV1の機体1aに対し風下になる向きになるように機体向き制御を行う。つまり、UGV1の進行方向に対し機体向きを交差させるような向きに制御される。この場合、物品の受け取り面が機体1aに対し風下になる機体向きが決定され、当該機体向きに対応する制御指令を車輪駆動機構へ出力される。これにより、風センサを用いることなく簡易な構成で、風の影響で扉1dが意図せずに閉まることを抑制することができる。
【0038】
図7は、向かい風が判定された場合においてUGV1の機体向き制御が行われる様子を表す概念図である。図7の(a)枠内の例では、機体向き制御の実施前において、走行中のUGV1が進行方向にある受け取り場所Pの手前で向かい風が判定されている。そのため、このままの機体向き(つまり、向かい風のまま)でUGV1が停止して扉1dが開いても、開いた扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制できない。一方、図7の(b)枠内の例では、機体向き制御の実施後において、物品の受け取り面がUGV1(受け取り場所Pで停止状態にあるUGV1)の機体1aに対し風下になっている。そのため、開いた扉1dが風の影響で意図せずに閉まることを抑制できる。
【0039】
扉制御部155は、機体向き制御の実施後、UGV1が物品の受け取り場所で停止している状態において、受取人から、扉1dの鍵を解錠(つまり、扉1dのロックを解除)するための認証コードが入力されると、当該入力された認証コードと予め登録された認証コードを用いて認証処理を行う。なお、受取人からの認証コードは、扉1dの前面に設けられた操作パネルから入力されてもよいし、受取人のユーザ端末から近距離無線通信を介して入力されてもよい。そして、扉制御部155は、上記認証処理において認証が成功(例えば、両認証コードが一致)すると、扉1dの鍵を解錠するための制御指令を施解錠機構へ出力することで当該鍵を解錠させる。これにより、受取人は、扉1dを開き、風の影響で扉1dが閉まることが抑制されている状況下で、物品を収容部1cから容易に取り出すことができる。なお、物品の盗難等のリスクがない場合(例えば、配送先が特定の企業内にある場合)、上記認証処理が行われずに扉1dが開放可能となってもよい。
【0040】
また、扉駆動機構が扉用モータにより扉1dを開閉することが可能な場合、扉制御部155は、扉1dの鍵を解錠させた後、扉1dを開放するための制御指令を扉駆動機構へ出力することで扉1dを開放させてもよい。さらに、この場合、扉制御部155は、扉閉抑制部の一例として、風特定部152により特定された風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制してもよい。より具体的には、扉制御部155は、風特定部152により特定された風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制するトルクが発生するように扉駆動機構を制御(扉駆動機構制御)する。これにより、機体向き制御により機体向きを変えなくても、受取人がUGV1から物品を受け取る際に風の影響で扉1dが意図せずに閉まることを抑制することができる。
【0041】
ここで、扉1dが閉まることを抑制するトルクは、扉1dが閉じることを抑制する方向(換言すると、扉1dが開く方向)にヒンジの連結軸を回転させるトルクである。当該トルクは、扉制御部155から扉1dが閉まることを抑制するための制御指令が扉駆動機構へ出力されることで扉用モータが回転駆動することにより発生する。どの程度のトルクを発生させるかは、扉1dを開閉させるための負荷と風速との関係に基づいて適宜設定されるとよい。また、扉制御部155は、風速が高い(大きい)ほど大きいトルクが発生するように扉駆動機構を制御してもよい。なお、扉駆動機構の制御は、扉用モータに供給される電流の大きさを調整することで行われる。
【0042】
1-2.管理サーバ2の構成及び機能
次に、図8を参照して、管理サーバ2の構成及び機能について説明する。図8は、管理サーバ2の概要構成例を示す図である。図8に示すように、管理サーバ2は、通信部21、記憶部22、及び制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。UGV1から送信された位置情報及び機体IDは、通信部21により受信される。管理サーバ2は、UGV1の位置情報によりUGV1の現在位置を認識することができる。また、UGV1から送信されたセンシング情報及び機体IDは、通信部21により受信される。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。
【0043】
また、記憶部22には、配送管理データベース221等が構築される。配送管理データベース221は、物品の配送に関する情報を管理するためのデータベースである。配送管理データベース221には、機体情報、配送先情報、及び受取人情報等が対応付けられて格納(登録)される。ここで、機体情報には、物品を配送するUGV1に関する情報(例えば、機体ID等)が含まれる。受取人情報には、物品の受取人を識別するユーザID、及び受取人のメールアドレスまたは電話番号等が含まれる。制御部23は、CPU、ROM、及びRAM等を備える。制御部23は、UGV1の現在位置を監視し、適宜、UGV1へ制御指令を送信することでUGV1を制御する。かかる制御には、UGV1の飛行制御、機体向き制御、及び扉制御のうち少なくとも何れか1つが含まれてもよい。
【0044】
例えば、制御部23は、制御部15に代えて、UGV1からの風向データに基づいて風向きを特定し、当該風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きを決定し、当該機体向きに対応する制御指令をUGV1へ送信することでUGV1を制御(機体向き制御)してもよい。さらに、制御部23は、制御部15に代えて、上述した受取人出現方向を推定してもよい。この場合、制御部23は、上記風向きと受取人出現方向とに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きで、且つ物品の受け取り面が受取人側に向く機体向きを決定し、当該機体向きに対応する制御指令をUGV1へ送信することでUGV1を制御(機体向き制御)する。
【0045】
或いは、制御部23は、制御部15に代えて、UGV1からのモータ出力データが示すモータ出力と走行速度データが示す走行速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、UGV1に対し向かい風であるか否かを判定することでUGV1にあたる風の向きを特定してもよい。この場合、制御部23は、物品の受け取り面がUGV1の機体1aに対し風下になる機体向きを決定し、当該機体向きに対応する制御指令をUGV1へ送信することでUGV1を制御(機体向き制御)する。或いは、制御部23は、制御部15に代えて、上記風向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制するトルクが発生させる制御指令をUGV1へ送信することでUGV1を制御(扉駆動機構制御)してもよい。
【0046】
2.配送システムSの動作
次に、配送システムSの動作について、実施例1~実施例4に分けて説明する。
【0047】
(実施例1)
先ず、図9を参照して、実施例1における配送システムSの動作について説明する。図9は、実施例1においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、物品を積載するUGV1が配送拠点から配送開始したときに開始される。
【0048】
図9に示す処理が開始されると、制御部23は、UGV1が物品の受け取り場所から所定距離(例えば、5~30m)の位置に到達したか否かを判定する(ステップS1)。UGV1が物品の受け取り場所から所定距離の位置に到達したと判定された場合(ステップS1:YES)、処理はステップS2へ進む。一方、UGV1が物品の受け取り場所から所定距離の位置に到達していないと判定された場合(ステップS1:NO)、処理はステップS1に戻る。
【0049】
ステップS2では、制御部16は、事前に管理サーバ2から取得した受取人情報にしたがって、物品が受け取り場所に到着したこと(物品が受け取り場所の直ぐ近くまで到着したことでもよい)を受取人へ通知する。例えば、制御部16は、物品が受け取り場所に到着したことを示すメッセージを含む電子メールを受取人のメールアドレス宛に送信する。或いは、制御部16は、上記メッセージをSMS(Short Message Service)により受取人の電話番号宛に送信してもよい。或いは、制御部16は、受取人のユーザ端末において常住しているアプリケーションに対して、上記メッセージをプッシュ配信してもよい。なお、物品が受け取り場所に到着したことの通知は、管理サーバ2により行われてもよい。
【0050】
次いで、制御部16は、UGV1を物品の受け取り場所で停止させる(ステップS3)。これにより、UGV1は、例えば、物品の受け取り場所に進行してきた機体向きのままで停止する。次いで、制御部16は、センサ部13(風センサ)からの風向データを取得する(ステップS4)。次いで、制御部16は、ステップS4で取得された風向データに基づいて風向きを風特定部152により特定し(ステップS5)、処理をステップS6に進める。
【0051】
なお、ステップS4及びS5において、制御部16は、センサ部13(風センサ)からの風速データをさらに取得し、当該風速データに基づいて風速を特定してもよい。この場合、制御部16は、当該風速が閾値以上であるか否か判定する。そして、風速が閾値以上であると判定された場合に、処理はステップS6へ進む。一方、風速が閾値以上でないと判定された場合、機体向きの決定及び制御は行われず、処理はステップS9へ進む。
【0052】
ステップS6では、制御部16は、ステップS5で特定された風向きに基づいて、上述したように、扉1dが風の影響で閉まることを抑制する機体向きを機体向き制御部154により決定する。次いで、制御部16は、UGV1がステップS6で決定された機体向きになっているか否かを判定する(ステップS7)。UGV1がステップS6で決定された機体向きになっていないと判定された場合(ステップS7:NO)、処理はステップS8へ進む。一方、UGV1がステップS6で決定された機体向きに既になっていると判定された場合(ステップS7:YES)、機体向きの制御は行われず、処理はステップS9へ進む。
【0053】
ステップS8では、制御部16は、ステップS6で決定された機体向きに対応する制御指令を、機体向き制御部154により車輪駆動機構へ出力することで機体向き制御を行う。これにより、UGV1は、例えば、図5に示すように、上記決定された機体向きになるように物品の受け取り場所で向きを変えることになる。
【0054】
ステップS9では、制御部16は、受取人から認証コードが入力されたか否かを判定する。受取人から認証コードが入力されたと判定された場合(ステップS9:YES)、処理はステップS10へ進む。一方、受取人から認証コードが入力されていないと判定された場合(ステップS9:NO)、処理はステップS9に戻る。なお、機体向き制御の実施から所定時間経過しても、受取人から認証コードが入力されない場合、UGV1は次の配送先または配送拠点に向けて移動を開始してもよい。
【0055】
ステップS10では、制御部16は、入力された認証コードと予め登録された認証コードを用いて認証処理を行う。かかる認証処理において認証が成功すると、制御部16は、扉1dの鍵を解錠するための制御指令を、扉制御部155により施解錠機構へ出力することで当該鍵を解錠させる(ステップS11)。これにより、受取人は、扉1dを開き、物品を収容部1cから容易に取り出すことができる。なお、制御部16は、扉1dの鍵を解錠させた後、扉1dを開放するための制御指令を、扉制御部155により扉駆動機構へ出力することで扉1dを自動的に開放させてもよい。次いで、受取人により物品が受け取られ、扉1dが閉じられると、制御部16は、UGV1を次の配送先または配送拠点に向けて移動を開始させる(ステップS12)。
【0056】
(実施例2)
次に、図10を参照して、実施例2における配送システムSの動作について説明する。図10は、実施例2においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、図10に示すステップS21及びS22の処理は、図9に示すステップS1及びS2の処理と同様である。
【0057】
ステップS23では、制御部16は、物品の受け取り場所を基準として受取人が現れる受取人出現方向を出現方向推定部153により推定する。次いで、制御部16は、UGV1を物品の受け取り場所で停止させる(ステップS24)。これにより、UGV1は、例えば、物品の受け取り場所に進行してきた機体向きのままで停止する。次いで、制御部16は、センサ部13(風センサ)からの風向データを取得する(ステップS25)。次いで、制御部16は、ステップS25で取得された風向データに基づいて風向きを風特定部152により特定し(ステップS26)、処理をステップS27に進める。
【0058】
なお、ステップS25及びS26において、制御部16は、センサ部13(風センサ)からの風速データをさらに取得し、当該風速データに基づいて風速を特定してもよい。この場合、制御部16は、当該風速が閾値以上であるか否か判定する。そして、風速が閾値以上であると判定された場合に、処理はステップS27へ進む。一方、風速が閾値以上でないと判定された場合、機体向きの決定及び制御は行われず、処理はステップS30へ進む。
【0059】
ステップS27では、制御部16は、ステップS23で推定された受取人出現方向と、ステップS26で特定された風向きとに基づいて、上述したように、扉1dが風の影響で閉まることを抑制し、且つ物品の受け取り面が受取人側に向く機体向きを機体向き制御部154により決定する。次いで、制御部16は、UGV1がステップS27で決定された機体向きになっているか否かを判定する(ステップS28)。UGV1がステップS27で決定された機体向きになっていないと判定された場合(ステップS28:NO)、処理はステップS29へ進む。一方、UGV1がステップS27で決定された機体向きに既になっていると判定された場合(ステップS28:YES)、機体向きの制御は行われず、処理はステップS30へ進む。
【0060】
ステップS29では、制御部16は、ステップS27で決定された機体向きに対応する制御指令を、機体向き制御部154により車輪駆動機構へ出力することで機体向き制御を行う。これにより、UGV1は、例えば、図6に示すように、上記決定された機体向きになるように物品の受け取り場所で向きを変えることになる。なお、図10に示すステップS30~S33の処理は、図9に示すステップS9~S12の処理と同様である。
【0061】
(実施例3)
次に、図11を参照して、実施例3における配送システムSの動作について説明する。図11は、実施例3においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、図11に示すステップS41及びS42の処理は、図9に示すステップS1及びS2の処理と同様である。
【0062】
ステップS43では、制御部16は、UGV1の走行中、センサ部13(モータ出力センサ及び走行速度センサ)からのモータ出力データ及び走行速度データを取得する。次いで、制御部16は、ステップS43で取得されたモータ出力データが示すモータ出力と走行速度データが示す走行速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、UGV1に対し向かい風であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0063】
例えば、モータ出力データが示すモータ出力と走行速度データが示す走行速度との比率が基準比率より小さい場合に、向かい風であると判定される。或いは、基準比率から、当該モータ出力と当該走行速度との比率を引いた値が閾値より大きい場合に、向かい風であると判定されてもよい。UGV1に対し向かい風であると判定された場合(ステップS44:YES)、風の向きとして向かい風が特定され、処理はステップS45へ進む。一方、UGV1に対し向かい風でないと判定された場合(ステップS44:NO)、物品の受け取り場所に進行してきた機体向きのままでUGV1が当該受け取り場所で停止し、処理はステップS47へ進む。
【0064】
ステップS45では、制御部16は、物品の受け取り面が機体1aに対し風下になる機体向きを決定する。かかる決定は、物品の受け取り場所に進行してきた機体向きのままでUGV1が当該受け取り場所で停止してから行われるとよい。次いで、制御部16は、ステップS45で決定された機体向きに対応する制御指令を、機体向き制御部154により車輪駆動機構へ出力することで機体向き制御を行う(ステップS46)。これにより、UGV1は、例えば、図7に示すように、上記決定された機体向きになるように物品の受け取り場所で向きを変えることになる。なお、図11に示すステップS47~S50の処理は、図9に示すステップS9~S12の処理と同様である。
【0065】
(実施例4)
次に、図12を参照して、実施例4における配送システムSの動作について説明する。図12は、実施例4においてUGV1の制御部15により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示すステップS61~S66の処理は、図9に示すステップS1~S6の処理と同様である。
【0066】
ステップS67では、制御部16は、UGV1がステップS66で決定された機体向きになっているか否かを判定する。UGV1がステップS66で決定された機体向きになっていないと判定された場合(ステップS67:NO)、処理はステップS68へ進む。一方、UGV1がステップS66で決定された機体向きに既になっていると判定された場合(ステップS67:YES)、処理はステップS75へ進む。
【0067】
ステップS68では、受取人から認証コードが入力されたか否かを判定する。受取人から認証コードが入力されたと判定された場合(ステップS68:YES)、処理はステップS69へ進む。一方、受取人から認証コードが入力されていないと判定された場合(ステップS68:NO)、処理はステップS68に戻る。なお、機体向き制御の実施から所定時間経過しても、受取人から認証コードが入力されない場合、UGV1は次の配送先または配送拠点に向けて移動を開始してもよい。
【0068】
ステップS69では、制御部16は、入力された認証コードと予め登録された認証コードを用いて認証処理を行う。かかる認証処理において認証が成功すると、制御部16は、扉1dの鍵を解錠するための制御指令を、扉制御部155により施解錠機構へ出力することで当該鍵を解錠させる(ステップS70)。次いで、制御部16は、扉1dを開放するための制御指令を、扉制御部155により扉駆動機構へ出力することで扉1dを自動的に開放させる(ステップS71)。
【0069】
次いで、制御部16は、扉1dが風の影響で閉まることを抑制するための制御指令を、扉制御部155によりへ出力することで扉1dが閉じることを抑制する(ステップS72)。次いで、受取人により物品が受け取られると、制御部16は、これを検知して、扉1dを開放するための制御指令を、扉制御部155によりへ出力することで扉1dを自動的に閉鎖させる(ステップS73)。次いで、制御部16は、UGV1を次の配送先または配送拠点に向けて移動を開始させる(ステップS74)。なお、図12に示すステップS75~S78の処理は、図12に示すステップS68~S71の処理と同様である。
【0070】
以上説明したように、上記実施形態によれば、配送システムSは、UGV1にあたる風の向きを特定し、当該風の向きに基づいて、UGV1の停止時に開かれる扉1dが風の影響で閉まることを抑制するように構成したので、受取人がUGV1から物品を受け取る際に風の影響で扉が意図せずに閉まることを抑制することができる。したがって、受取人による物品の受け取りが妨げられることを回避することができる。
【0071】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。上記実施形態においては、風向データ(または、モータ出力データ及び走行速度データ)に基づいてUGV1にあたる風の向きを特定する方法を構成したが、この方法以外にも、機体1aへの風による力のモーメントに対して車輪1bへの負荷を検知することで風向きを特定してもよい。特に、UGV1の前輪にオムニホイールを搭載していれば、例えば縦方向だけでなく横方向等からの風による機体1aへ力のモーメントに対して車輪1bへの負荷を検知することで風向きを特定することができる。
【0072】
また、上記実施形態においては、無人機の例としてUGVを示したが、これ以外にも、本発明は、例えばドローンやマルチコプタなど無人で空中を自律的に飛行することが可能なUAV(Unmanned Aerial Vehicle)や飛行ロボットにも適用することができる。例えば、UAVは、UGV1と同様、物品を収容するための収容部、光センサ及び風センサ等を含むセンサ部、及び制御部を備え、当該収容部の開口部(物品の受け取り面)には開閉可能な扉が設けられる。UAVの制御部は、UGV1と同様、風特定部、及び扉閉抑制部(上述した機体向き制御部154及び扉制御部155に相当)等として機能することで、UAVにあたる風の向きを特定し、当該風の向きに基づいて、UAVの停止時(例えば、着陸時)に開かれる扉が風の影響で閉まることを抑制する。特に、UAVの制御部は、風の向きに基づいて、UAVの停止時(例えば、着陸時)に開かれる扉が風の影響で閉まることを抑制する機体向きになるようにUAVを制御する。かかる制御は、UAVがホバリングした状態で行われるとよい。さらに、UAVの制御部は、出現方向推定部として機能し、上述した受取人出現方向を推定してもよい。この場合、UAVの制御部は、上記風向きと受取人出現方向とに基づいて、UAVの停止時に開かれる扉が風の影響で閉まることを抑制する機体向きで、且つ物品の受け取り面が受取人側に向く機体向きになるようにUAVを制御する。また、UAVの制御部は、UAVを飛行させるためのモータ(つまり、水平回転翼を回転駆動させるための飛行用モータ)の出力とUAVの飛行速度との比率と、基準比率との比較に基づいて、UAVに対し向かい風であるか否かを判定することで風の向きを特定してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 UGV
1a 機体
1b 車輪
1c 収容部
1d 扉
2 管理サーバ
11 測位部
12 通信部
13 センサ部
14 記憶部
15 制御部
151 走行制御部
152 風特定部
153 出現方向推定部
154 機体向き制御部
155 扉制御部
S 配送システム
図1
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図12