(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】歯間クリーナ
(51)【国際特許分類】
A61C 15/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A61C15/02 501
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076136
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2020201461の分割
【原出願日】2014-12-17
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2014-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516039918
【氏名又は名称】テぺ ムニジェンプロダクター アーベー
【氏名又は名称原語表記】TePe Munhygienprodukter AB
【住所又は居所原語表記】Bronsaldersgatan 5, 213 76 Malmo, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルストレーム ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラーション ヨーン-インゲ
(72)【発明者】
【氏名】ディンギシアン アレクサンデル
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506963(JP,A)
【文献】特開2013-192866(JP,A)
【文献】国際公開第2013/176297(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02100570(EP,A1)
【文献】登録実用新案第3154935(JP,U)
【文献】国際公開第2009/150964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディを備える歯間クリーナであって、
前記ボディは、熱可塑性プラスチック材料からなり、
周辺部を有するハンドル部分と、
前記ハンドル部分から延びる細長いクリーニングボディ部分と、
前記ハンドル部分と前記細長いクリーニングボディ部分との間にテーパーづけられた移行部と、を備え、
前記ハンドル部分、前記テーパーづけられた移行部および前記細長いクリーニングボディ部分は、1部品の前記熱可塑性プラスチック材料において形成され、
前記ハンドル部分は、前記ハンドル部分の前記周辺部に沿って延びる外リムを備え、前記ハンドル部分の前記外リムは、ゴムコーティング材料を受容するように構成されるハンドル部分凹所を規定し、
前記ハンドル部分は、前記ハンドル部分の前記外リムによって囲まれる2つの反対の平坦な掴み面を規定する矩形断面を有し、
前記テーパーづけられた移行部は2つの反対の側縁部を有し、前記側縁部は、前記側縁部に沿って延びるそれぞれの外リムを有し、前記テーパーづけられた移行部の前記外リムは、前記ゴムコーティング材料を受容する移行部凹所を規定し、
前記ハンドル部分の前記周辺部に沿って延びる前記外リムの遠位端と、前記移行部における2つの反対の前記側縁部に沿って延びる前記外リムの近位端とが連続していて、前記ハンドル部分凹所と前記移行部凹所とは、連続して一体的に形成され、
前記細長いクリーニングボディ部分は、前記テーパーづけられた移行部から延びる近位端部分および遠位端部分を有し、前記細長いクリーニングボディ部分は、前記近位端部分と前記遠位端部分との間で前記クリーニングボディ部分から半径方向外側に延びる、前記ゴムコーティング材料から形成される可撓性ブラシ部材を有するクリーニング領域を規定するように構成され、
前記ハンドル部分および前記細長いクリーニングボディ部分は、前記外リムにおけるギャップを通して、前記ハンドル部分凹所から前記移行部凹所を介して前記細長いクリーニングボディ部分へ延びる前記ゴムコーティング材料を有するように構成され、
前記ギャップは、前記ハンドル部分と前記細長いクリーニングボディ部分との間に設けられ、
前記ゴムコーティング材料は、前記クリーニングボディ部分を被覆して、前記歯間クリーナのクリーニング部分を形成し、前記クリーニング部分は、前記可撓性ブラシ部材を有し、
前記ボディの前記ハンドル部分は、前記ゴムコーティング材料により少なくとも部分的に被覆されて、前記歯間クリーナの把持部分を形成し、
前記ボディの前記移行部は、前記ゴムコーティング材料により少なくとも部分的に被覆されて、前記歯間クリーナのテーパーづけられた移行部を形成し、
前記クリーニング部分の軸の長さ(L1)は、前記歯間クリーナの全体の軸の長さ(L1+L2)の35~55%の範囲であり、前記把持部分および前
記移行部の軸の長さ(L2)は、前記歯間クリーナの全体の軸の長さ(L1+L2)の45~65%の範囲である、
歯間クリーナ。
【請求項2】
前記熱可塑性プラスチック材料は、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維のいずれか1つによって強化される、請求項
1に記載の歯間クリーナ。
【請求項3】
前記クリーニング部分は、その自由端に向かってテーパーがついている、請求項1に記載の歯間クリーナ。
【請求項4】
前記
ゴムコーティング
材料は、前記把持部分にレリーフ構造を形成する、請求項
1に記載の歯間クリーナ。
【請求項5】
前記レリーフ構造は、前記
ゴムコーティング
材料が少なくとも部分的に無く、前記ボディの下地表面が露出するように、配置される、請求項
4に記載の歯間クリーナ。
【請求項6】
前記クリーニング部分における前記
可撓性ブラシ部材は、可撓性のブラシ・フランジの形態である、請求項1に記載の歯間クリーナ。
【請求項7】
前記把持部分に近い前記ブラシ・フランジは、前記クリーニング部分の自由端に近いブラシ・フランジよりも、より大きい半径方向の突起を有する、請求項
6に記載の歯間クリーナ。
【請求項8】
請求項1に記載の歯間クリーナを製造する方法であって、
射出成形ツールを提供するステップと、
前記射出成形ツールの常温部分で前記細長いボディを射出成形するステップと、
成形された前記細長いボディを前記射出成形ツールの加熱されたキャビティに移動するステップと、
前記細長いボディにコーティング材料をオーバーモールドして、部分的に被覆された前記歯間クリーナを形成するステップと、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間クリーナデバイスに関し、特にブラシ部を有する爪楊枝設計を有する歯間クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの歯間クリーナまたは爪楊枝がずっと以前から用いられた。プラスチック材料の爪楊枝は、今日では広く使われている。そして、歯間爪楊枝の初期の例は、特許文献1に開示される。そこに記載された一実施形態において、爪楊枝は、柔らかい合成樹脂によって部分的に被覆されている硬い合成樹脂の棒状のボディを有する。爪楊枝の柔らかい材料部分は、歯から歯垢などを取り除くのに役立つ。
【0003】
同じ基本構成の他の例は、特許文献2に示される。そこでは、硬いプラスチックでできた棒状キャリアが柔らかい熱可塑性エラストマ(TPE)によって部分的に被覆されている。
【0004】
類似のタイプのさらなる歯間クリーナは、特許文献3および特許文献4に開示される。そして、いくらかの最近の設計は、特許文献5~14に示される。
【0005】
これらの刊行物に記載された歯間クリーナまたは爪楊枝のいくらかは、市場で利用可能である。そして、それらの多くは、ユーザが経験した異なる欠点がある。何本かの爪楊枝は、それらが使用中に破損することを意味するあまりに弱い構造である。他の歯間クリーナは、歯の不完全な清掃に至る非効率的なブラシ部を有する。さらに、特定の爪楊枝は、把持していて気持ち良くなくて、滑るかもしれない。要約すると、多くの従来技術の歯間クリーナは、ユーザによって扱うこしが難しい。
【0006】
上記から、改良のための余地があるものと理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭54-170098号公報
【文献】米国特許第6,158,444号(国際公開第98/16169号に対応)
【文献】欧州特許第153,011号
【文献】米国特許第3,775,848号
【文献】国際公開第2009/150964号
【文献】国際公開第2012/156025号
【文献】国際公開第2013/176297号
【文献】国際公開第2014/005659号
【文献】国際公開第2014/023395号
【文献】国際公開第2014/023424号
【文献】中国実用新案公開第201790907号
【文献】特開2013-188299号公報
【文献】特開2013-192866号公報
【文献】米国特許公開第2014/0008837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の目的は、先行技術を超えて改良される、そして、上記の欠点を除去するかまたは少なくとも緩和する新型の歯間クリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的ならびに以下の説明から現れるさらなる目的は、従属クレームに記載される好ましい実施形態とともに添付のクレーム1に記載の歯間クリーナによって、目下達成された。
【0010】
第1の態様において、熱可塑性プラスチック材料から作られる細長いボディによって形成される把持部分およびクリーニング部分を備える歯間クリーナが提供される。クリーニング部分は、コーティングを有し、コーティングは、熱加硫ゴム材料から成り、そして周辺の可撓性ブラシ部材を形成する。この種類の歯間クリーナは、材料および熱加硫の組合せが剛性と柔軟性の間の良好なバランスを提供するので、有利である。クリーナの活動的部分は、効率的なクリーニング処理に寄与する。
【0011】
一実施形態において、ゴム材料は、熱硬化性ゴム、好ましくは、特定の好ましい特性を有するシリコーン系ゴム、から成る。熱加硫は、歯間クリーナの構造を強化する熱硬化性ゴムの化学架橋を作成する。
【0012】
好ましくは、ゴム材料は、10~60のShore A、好ましくは15~30のShore A、の範囲のショア硬さを有する。ボディを形成している熱可塑性プラスチック材料は、歯間クリーナをより柔軟なそしてこれにより破損することに脆弱でないようにする、口腔から湿度を吸収するポリアミドまたはポリエステルでもよい。好ましくは、ボディは、熱可塑性プラスチック材料の5~30重量%、好ましくは10~20重量%、の比率のガラス繊維によって補強される。
【0013】
その上に好適なレリーフ構造を形成するために、ゴムコーティングが、把持部分に少なくとも部分的に適用されることもできる。この設計は、把持の快適さを強化して、滑りを減らす。それも、歯間クリーナのプロモーション的使用の道も開く。
【0014】
特に歯とのわずかな接触だけを有する、薄くて放射状でピン状のブラシ部材を有する多くの従来技術のクリーナと比較して、ブラシ部材は、歯面でのブラシ掛けを改良する周辺ブラシ・フランジとして形成されてよい。好ましくは、ブラシ・フランジの外側のサイズは、クリーニング部分の自由端に向かって漸減している。そして、ブラシ・フランジの外周は、実質的に円形の形状を好ましくは形成する。これにより、歯との接触が強化されるので、効果的なクリーニングは達成される。
【0015】
実施形態では、ブラシ・フランジは、クリーニング部分に沿って実質的に等距離で間隔を置かれて、好ましくは、クリーニング部分に沿って交互のペアに配置される。第1のペアは、第1の逆方向においてクリーニング部分の軸から放射状に延びる2つのブラシ・フランジを有し、一方、隣接する第2のペアは、第2の逆方向において前記軸から放射状に延びる2つのブラシ・フランジを有する。これらの方向間の角度は、約90°である。歯間クリーナの活動的部分のこの設計は、歯とのクリーニング接触に有益である。
【0016】
クリーニング部分ボディは、好ましくは、歯面に対するブラシ掛けを改良する、ボディの自由端に向かってテーパーがついている。
【0017】
さらに、クリーニングボディ部分は、一種のスプラインを形成している軸状の溝および隆起を備えてよい。この設計は、コーティングの付着を改良する。そして、適切な剛性とバランスさせる好ましい曲げ特性を、それはブラシ・フランジ配置に提供する。
【0018】
この種のクリーニング部分は、口腔内のすべての歯間のすきまを効率的に掃除するユーザの機会を強化する非常に細長い設計を有する。クリーニング部分ボディの隆起が、間隔を置かれたブラシ・フランジの第1および第2の方向と一致する半径方向において突出する場合、利点さえより明らかにされる。
【0019】
把持部分は、2つの反対の実質的に平坦な掴み面を定義している実質的に矩形の断面、および、把持部分の外周に沿って伸びている外リム、を有してよい。これにより、快適な把持は、達成される。
【0020】
さらに、把持部分は、クリーニング部分に向かってテーパーづけられた、そして把持をさらに強化する、移行部を含んでよい。
【0021】
好ましくは、クリーニング部分の軸の長さは、歯間クリーナの全体の軸の長さの35~55%の範囲であり、そして、テーパーづけられた移行部を含む把持部分の軸の長さは、歯間クリーナの全体の軸の長さの45~65%の範囲であることも、好ましい。これらの比率によって、効率的かつ快適な歯クリーニング処理は、達成されることができる。
【0022】
一実施形態では、歯間クリーナの自由端でのクリーニング部分の交差サイズは、移行部に隣接したクリーニング部分の交差サイズの約40~50%を構成する。この設計は、口腔内の各種の歯間空間を掃除するユーザの機会を強化する歯間クリーナの細長い活動的部分を提供する。
【0023】
第2の態様において、熱可塑性プラスチック材料から作られる細長いボディによって形成される把持部分およびクリーニング部分を備える歯間クリーナは、示唆される。クリーニング部分は、周辺の可撓性ブラシ部材を形成している熱加硫ゴム材料を有するコーティングを備える。熱加硫ゴム材料は、熱硬化性シリコーン系ゴムから成る。シリコーンゴムの耐久性は歯間クリーナの使用を強化するので、この設計は有利である。
【0024】
第3の態様は、熱可塑性プラスチック材料から作られる細長いボディによって形成される把持部分およびクリーニング部分を有する歯間クリーナに向けられる。クリーニング部分は、熱加硫された熱硬化性シリコーンゴム材料から成っていて、周辺の可撓性ブラシ部材を形成しているコーティングを有する。ボディを形成している熱可塑性プラスチック材料は、繊維材料またはミネラルによって補強される。この設計によって、歯間クリーナは、クリーニング処理を容易にする剛性と柔軟性との間の良好なバランスを与えられる。
【0025】
第4の態様において、歯間クリーナは、熱可塑性プラスチック材料から作られる細長いボディによって形成される把持部分およびクリーニング部分を備えることを提案される。クリーニング部分は、コーティングを有し、コーティングは、熱加硫ゴム材料から成り、そして周辺ブラシ・フランジとして形成される周辺の可撓性ブラシ部材を形成する。ブラシ・フランジの外側のサイズは、クリーニング部分の自由端に向かって漸減していて、ブラシ・フランジの外周は、実質的に円形の形状を形成する。歯とのブラシ掛け接触が改善されるという点で、利点はこの設計によって得られる。
【0026】
第5の態様は、熱可塑性プラスチック材料から作られる細長いボディによって形成される把持部分およびクリーニング部分を備える歯間クリーナに向けられる。クリーニング部分は、コーティングを備え、コーティングは、熱加硫ゴム材料から成り、そして周辺の可撓性ブラシ部材を形成する。さらに、クリーニングボディ部分は、その自由端に向かってテーパーづけられ、そして軸状の隆起および溝を備える。ブラシ部材は、周辺ブラシ・フランジとして形成され、ブラシ・フランジの外側のサイズは、クリーニング部分の自由端に向かって漸減していて、ブラシ・フランジの外周は、実質的に円形の形状を形成する。この態様において、ブラシ・フランジは、クリーニング部分に沿って実質的に等距離で間隔を置かれ、ブラシ・フランジは、それに沿って交互のペアに配置される。第1のペアは、第1の逆方向においてクリーニング部分の軸から放射状に延びる2つのブラシ・フランジを有し、そして、隣接する第2のペアは、第2の逆方向において軸から放射状に延びる2つのブラシ・フランジを有する。これらの方向間の角度は、約90°であり、そして、クリーニングボディ部分の隆起は、ブラシ・フランジの第1および第2の方向と一致する半径方向において突出する。ブラシ・フランジの配列が効率的なブラシ掛けに結果としてなるので、この設計は有利である。特に、クリーニング部分は、特定の方向において曲がることができる。
【0027】
本発明の実施形態は、以下に記載される。そして、発明の概念がどのようにして実行に移されることができるかという非限定的な実施形態を例示する添付の図表的図面に、参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の歯間クリーナの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2の線IV-IVに沿った拡大断面面である。
【
図8】
図8は、基準サイズの歯間クリーナの平面図である。
【
図14】
図14は、
図8よりもわずかに大きいサイズの歯間クリーナの平面図である。
【
図23】
図23は、歯間クリーナの下地クリーニング部分の斜視図である。
【
図24】
図24は、完全なクリーニング部分の対応する斜視図である。
【
図25】
図25は、説明のために切り離される先端を有する歯間クリーナの端面図である。
【
図26】
図26は、比較のための従来技術の歯間クリーナの断面を示す。
【
図27】
図27は、歯間クリーナの生産のための一組の下地セットの斜視図である。
【
図29】
図29は、一組の完全な歯間クリーナセットの斜視図である。
【
図31】
図31は、
図8の歯間クリーナのクリーニング部分が2本の前歯間のギャップをどのように掃除しているかを例示する。
【
図32】
図32は、
図14の歯間クリーナのクリーニング部分が2本の奥歯間のギャップを掃除するためにどのように曲げられるかを例示する。
【
図35】
図35は、
図32~
図34の歯間クリーナのクリーニング部分が2本の奥歯間のギャップにどのように挿入されるかを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態による歯間クリーナまたは爪楊枝1は、
図1~
図6に示されて、それはまた、以下にキャリアと呼ばれる細長い下地またはボディ2によって形成される。爪楊枝1を形成するための一組のボディセット2は、
図27~
図28に示される。ボディ2は、熱可塑性プラスチック材料、例えばアミド・プラスチック、好ましくはポリアミド「6」または代わりにポリエステルでできている。そして、歯間クリーナ1に良好な剛性を与える。好ましくは、爪楊枝ボディ2は、ガラス繊維によって補強される。
【0030】
爪楊枝1は、ハンドルまたは把持部分3、クリーニング部分4および、クリーニング部分4に向かってテーパーがついた中間移行部5を有する。クリーニング部分4は、自動接着性の熱加硫処理されたゴム材料、好ましくは、液状の自動接着性シリコーンゴムのような熱硬化性ゴムからなるコーティングCを備える。コーティングCは、ブラシ・フランジ6の形状において周辺の可撓性ブラシ部材を形成する。ブラシ・フランジ6の外側サイズまたは放射状延長部は、クリーニング部分4の自由端すなわち先端7に向かって漸減している。クリーニングブラシ・フランジ6は、クリーニング部分4に沿って互いに同じ距離で(等距離の)間隔を置かれる。
【0031】
往復動式のクリーニング運動を実行するときに、彼/彼女が彼/彼女の指をこの移行部5に置くことができるので、移行部5は、ユーザの爪楊枝1の握持を強化する。さらに、移行部5は、剛性を改良して、これにより爪楊枝1の強度を高める。ハンドル/グリップと細長いブラシ部分との間の移行は、しばしば従来技術の歯間クリーナの弱点である。
【0032】
ブラシ・フランジ6の放射状延長部は、
図20~
図21の断面に最もよく示される。ここで、クリーニング部分4の先端7に最も近いフランジ6bが最も小さい半径方向の突起を有するのに対して、把持部分3に最も近いフランジ6aは、最も大きい半径方向の突起を有する。
【0033】
図24に最もよく示されるように、等距離のブラシ・フランジ6は、クリーニング部分4に沿って交互のペアにおいて配置される。第1のペアは、第1の逆方向FODにおいてクリーニング部分4の中心軸線CAから放射状に延びる2つの逆のフランジ6Fを有する。そして、第2のペアは、第2の逆方向SODにおいて中心軸線CAから放射状に延びる2つの逆のフランジ6Sを有する。
【0034】
好ましくは、これらの2つの方向FODとSODとの間の角度は、クリーニング部分4の4翼設計を形成する約90°である(
図13、
図19参照)。4翼設計は、爪楊枝1の先端7から見られる四つ葉のクローバ形状と言われることもできる。等距離に間隔を置かれたブラシ・フランジ6の十字状の配置は、2つの歯の間の空間の非常に効果的な清掃(すなわち、爪楊枝1の活動的なクリーニング部分4がこの空間の往復動式の運動において押されるときである)を提供する。
【0035】
図4で分かるように、コーティング材Cは、把持部分3にも適用される。可撓性のシリコーン系材料Cは、把持部分3の2つの反対の実質的に平坦な掴み面3aおよび3b上にレリーフ構造を形成する。レリーフ構造は、いわゆる負のタイプである。そしてそれは、下にある下地2の表面が露出するように、コーティング材Cが特定の領域において無いことを意味する。これにより、溝8~13が把持部分3上のコーティング材Cにおいて形成される。そしてそれは、レリーフ構造を形成する。
【0036】
下地2が好ましくは淡い色(たとえば白)であり、そして、コーティング材料Cが好ましくは暗い色(
図8、
図14参照)であるので、レリーフ構造は、商標、ロゴタイプ(TePe(登録商標)のような)を露出させるようなプロモーション目的に好都合である非常に明白な外観を有する。
【0037】
さらに、レリーフ構造は、それが把持部分3で爪楊枝1の確実な握持を提供するという点で有利である。
図4に示すように、把持部分4は、レリーフ構造を備える2つの反対の掴み面3a、3bを形成している実質的に矩形の断面を有する。好ましくは、これらの2つの表面3a、3bは、2つの逆の凹領域が形成されるように、爪楊枝1の軸線に向かういくらか曲がった内部である。この凹設計(
図2に楕円形状にみえる)は、ユーザの爪楊枝1の握持をさらに強化する。
【0038】
図8~
図13および
図14~
図19は、それぞれ、上記の一般的設計にしたがう歯間クリーナ1、1’の2つのわずかに異なるサイズを示す。
図8の爪楊枝1のクリーニング部分4は、
図14の爪楊枝1’のクリーニング部分4’よりもわずかに小さい直径または断面を有する。爪楊枝1は、ユーザの要求に応じて、さまざまなサイズおよび色において届けられることができる。
【0039】
把持部分3、3’のレリーフ構造に加えて、
図8および
図14の爪楊枝1は、移行部5、5’の反対側に付加的なリリーフ領域14、14’を備える。これらのリリーフ領域14、14’は、ユーザが彼/彼女の指をリリーフ領域14、14’により形成される小さい凹所内に置くことができるので、爪楊枝1、1’の快適な握持をさらに促進する。下にあるキャリアまたは下地2の表面が露出するように、上述の通り、リリーフ領域14、14’は、コーティング材料Cの除外によって形成される。
【0040】
図23において、クリーニング部分4をいずれ形成する細長いボディ2の部分2aは、コーティングの前に示される。このクリーニング部分ボディ2aは、先端7に向かってテーパーをつけられていて、スプラインを形成している軸状の隆起15および溝16を有する。これらの軸状のスプライン15、16は、十字状の、4翼または4クローバ断面を形成する。そしてそれは、コーティング後に、被覆された先端が説明の便宜上切り離される
図25に示されるように、ブラシ・フランジ6の4翼設計にマッチする。スプライン設計15、16は、クリーニングボディ部分2a上のコーティング材料Cの付着を強化する。そして、適切な剛性とバランスされる好ましい曲げ特性が達成されるように、それは、ブラシ・フランジ配置にマッチする。
【0041】
図24に示される逆方向FODおよびSODを含んでいる軸平面は、クリーニングボディ2aの放射状に突設している隆起15と一致する一方で、放射状の溝16は、ブラシ・フランジ6によって形成される傾斜した凹所17と一致する。クリーニング部分4のこの十字状の設計は、それがクリーニング部分4に沿った長手方向凹所17の方向において爪楊枝1の活動的ブラシ部分の曲げを強化するので、有利である。クリーニング部分4が把持部分3に関して最高180°曲げ可能であることが好ましい。
【0042】
図25から明らかなように、FODおよびSODを含む2つの交差平面間の角度が90°を形成する一方で、凹所17は、これらの平面の間の中間(45°)にある。十字状の設計は、それぞれ、
図12~
図13および
図18~
図19に、さらに示される。
【0043】
図25に示される十字状の設計との比較のための
図26に、従来のタイプの歯間クリーナICの断面が示される。周知のクリーナICは、間に広い空間を有するほんの少数の細い突設しているブラシ部材BMだけを有する。これは、ブラシ部材BMの先端だけがクリーニング処理に活動的に参加することを意味する。この既存の技術に反して、
図25に示される歯間クリーナ1のブラシ・フランジ6は、実質的に円形の形状を形成する外周を定義する。これは、ブラシ・フランジ6の外縁間の接触面が本明細書に記載されている爪楊枝1、1’のために非常に大きいことを意味する。したがって、これらの爪楊枝1、1’によって実行されるクリーニング処理は、従来技術を超えて改良される。
【0044】
歯間クリーナ1の一定の比率は、有利であるとわかった。
図3において、クリーニング部分4および把持部分3(移行部5を含む)の軸の長さは、L1およびL2として示される。効率的な活動的部分(すなわちクリーニング部分4)を有するために、その軸の長さL1は、爪楊枝1の全長L1+L2の35~55%の範囲になければならない。好ましくは、この割合は、40~50%の範囲であり、そして、約45%が最も好ましい。これらの比率によって作られる爪楊枝1は、ユーザが拡張した往復動式のクリーニング運動を実行することを可能にする。それにより、改良されたクリーニング部分4を十分に利用する。
【0045】
さらに、移行部5の軸の長さL3を含む把持部分4の軸の長さ(L2)が爪楊枝1の全体の軸の長さの45~65%の範囲にある場合、爪楊枝1の快適な握持は、達成される。好ましくは、この割合は、50~60%の範囲であり、そして、約55%が最も好ましい。
【0046】
図21~
図22で分かるように、歯間クリーナ1、1’の活動的部分の設計は、細長い。先端7、7’でのクリーニング部分4の交差サイズまたは直径D2、D2’は、移行部5、5’に隣接したクリーニング部分4の交差サイズまたは直径D1、D1’ の約45%を構成する。ボディ部分2aに滑らかにテーパーをつけることは、歯をクリーニングするときに、ユーザが歯の裏側に届いて、すべての歯間空間に爪楊枝1、1’を押し入れることを可能にする。細さは、もちろんある程度変化することができる。そして、上述の直径間の割合は、非常に効果的な結果を有する40~50%の範囲内にあることができる。
【0047】
ここで、使用する材料に戻って、爪楊枝ボディ2は、例えばポリアミドのタイプ「6」の熱可塑性プラスチック材料(好ましくはポリアミド)、またはPBT(ポリブチレンテレフタレート)から作られる。好ましい実施形態では、ボディ2は、強化材料によって補強される。ガラス繊維強化材が使用されるときに、爪楊枝ボディ2のガラス繊維比率が熱可塑性プラスチック材料の5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内、そして最も好ましくは15重量%にある場合、好ましい特性(例えば適切な剛性)は、達成された。12重量%未満の、特に5~10重量%のガラス繊維比率を有する歯間クリーナ1の特定の設計は、良好な結果を有する実地試験が行われた。
【0048】
炭素繊維およびアラミド繊維のような他のタイプの強化材料またはミネラルは、それらの混合物と同様に実行可能である。
【0049】
活動的部分(すなわちクリーニング部分4)のための好適なコーティング材料Cは、自動接着性の、液状の、熱加硫処理を受けたシリコーンゴムである。そしてそれは、実地試験において良好な結果を証明した。この熱硬化性シリコーン・ベースのゴム材料は、好ましい化学的性質を有する。熱加硫プロセスにおいて、化学架橋は、熱力学的手段によって壊れることができない共有結合として作られる。好ましくは、熱加硫は、約120~200℃の温度で実行される。
【0050】
上記のゴム材料に反して、従来技術の大部分の歯間クリーナは、弱い結合を形成する物理的クロスリンクを有する熱可塑性エラストマ(TPE)からなる活動的部分またはコーティングを有する。熱可塑性エラストマが加熱されるときに、結合は断たれる。そしてそれは、材料が再び処理されることができるように、ポリマー鎖が移動することができることを意味する。熱可塑性エラストマを冷却するときに、物理的クロスリンクは再び形成される。
【0051】
本明細書に記載されている実施形態において使用するシリコーン材料の化学架橋は、歯間クリーナ1、1’の活動的部分(すなわちシリコーンゴムのコーティング)に、従来技術のクリーナと比較して改良された引裂き強度を与える。
【0052】
歯間クリーナ1、1’の好ましい柔軟性およびそれを使用する快適なクリーニング処理を得るために、さまざまな硬度特性がテストされた。ショア硬さが10~60のShore Aの範囲内、好ましくは15~30のShore Aの範囲内、そして最も好ましくは約20のShore Aの場合、熱硬化性シリコーン・ベースのゴム材料は、大部分の好ましい特性を証明した。このシリコーンゴム材料を有する実地試験も、好ましい切り取り特性を示した。
【0053】
簡潔には、上記のタイプの歯間クリーナを製造するプロセスは、以下の通りに実行されることができる。熱可塑性顆粒は、加熱される射出ユニットに入れられて、そして溶融した。次いで、融成物は、常温の型内に射出される。そこにおいて、それは堅くなって、成形型のキャビティにしたがって成形される。液状シリコーンゴム(LSR)は、2つの成分(第1成分Aおよび第2成分B)として分配される。成分の1つは触媒を含む一方で、他の成分は架橋剤を含む。2つの成分が混合されるまで、シリコーンはつくられない。室温では、シリコーンがつくられるまでに何週もかかる一方で、より高温度では、シリコーンは、(物品の厚みに応じて)数秒でつくられる。
【0054】
成分AおよびBの比率は1:1である。そして、それらは混合されて、加熱される成形型に射出される。加熱されるツールにおいて、熱加硫と呼ばれている化学反応(その間、自動接着性シリコーンゴムは作成される)は、開始される。
【0055】
このように、プラスチックボディまたはキャリアは、ツールの常温部分において射出成形される。その後、ボディ/キャリアは、加熱されるキャビティへ移動されて、その中で、完全な爪楊枝の目指すコーティングを形成するシリコーンゴム材料によってそれらがオーバーモールドされる。
【0056】
シリコーン材料は、この種の製造工程に非常に役立つと判明した、そして、爪楊枝の下地への粘着力、効果的なクリーニング、適切な柔軟性および快適な握持および使用の点で歯間クリーナの目指す特性を有する、熱硬化性ゴムである。コーティングが塗布される下地のための好ましい材料は、ポリアミド、特にポリアミド・タイプ「6」である。上記したように、他の下地物質は、可能である(たとえばPBT)。
【0057】
コーティングCが塗布される前に、
図27~
図28に示すように、いくつかのボディ2は、セットに配置される。これらの図から、把持部分がその周辺に沿って延びる外リム18を有することが分かる。このリム18は、製造工程においてコーティングCが塗布されるべき一種の凹所19を定義する。リム19は、完全な被覆爪楊枝1の快適な握持に寄与する。下地2は、ボディ材料からなる薄い切り取りブリッジまたはリンク20によって互いに接続している。
【0058】
リンク20は、製造工程において維持されて、
図29~
図30に示されるタイプのセットに仕上げられた爪楊枝1を一緒に保つ。爪楊枝1が使用されるときに、ユーザは、単に2本の隣接する爪楊枝1間のリンク20を断って、使用される爪楊枝1を切り離す。
【0059】
図31に関して、
図8に示されるタイプの歯間クリーナ1は、最初のクリーニング位置に例示される。テーパーがついているクリーニング部分4の設計およびそれのバランスのとれた補強のため、2本の前歯30、31間のギャップにおける軸方向の往復動式のクリーニング運動を容易にする適切な剛性は、達成される。
図23に示されるスプライン15、16も、適切な剛性に寄与する。ユーザが効果的なクリーニングを実行することができるように、平坦な矩形の把持部分3は、ユーザの指による確実なグリップを提供する。クリーニング部分4の交互のブラシ・フランジ6の独創的な配列は、クリーニングをさらに強化する。ブラシ・フランジ6は、クリーニング処理の全体にわたって歯面と密着している。
【0060】
図32には、
図14に示されるタイプの歯間クリーナ1’がクリーニング位置において示される。そこでは、それが曲げられて、2本の奥歯40、41の間に部分的に挿入される。曲げられることができるテーパーつきクリーニング部分4’の剛性と柔軟性とのバランスは、口腔の後ろに届いて、その位置で都合よくきれいにすることを可能にする。また、この曲がった位置で、効果的なクリーニングが達成されるように、ブラシ・フランジ6’は、歯面と密着している。
【0061】
歯間クリーナ1’の4翼ブラシ・フランジ配置は、
図33にさらに示される一方、
図34には、歯間クリーナ1’が斜視図で示される。この位置では、平坦な把持部分3’は、
図32の位置と比較して、約90°回転する。クリーニング処理は、歯間クリーナ1’の軸方向の往復動式運動および軸の周りの回転の両方を好ましくは含むことができる。
【0062】
最後に、この発明の概念は、上記の実施形態および実施例に決して限られないと述べられなければならない。そして、多くの変更態様は、添付の請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲内で可能である。例えば、材料の特定のバージョンが使われることができる。そして、爪楊枝の特定の設計は、変化することができる。さらに、フランジを付けられたクリーニング部分の断面形状は、特定の要件に応じて変化してよい。十字状の設計に加えて、ブラシ・フランジのいくつかの突設しているセットを有するさまざまな星のような設計が使用可能である。設計の代案は、それも歯との快適なクリーニング接触を提供する3フランジ設計である。