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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】試料投入インターフェース
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20231130BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N35/08 C
G01N35/10 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127643
(22)【出願日】2022-08-10
(65)【公開番号】P2023026378
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】21191030.2
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ バシュナーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】ミレンコ コスタディノヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト キューファー
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-294587(JP,A)
【文献】特開昭61-097570(JP,A)
【文献】米国特許第05983734(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
30/00 -30/96
35/00 -37/00
B01J20/281-20/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断アナライザ(200)の検出ユニット(210)へ試料を投入するための試料投入インターフェース(100)であって、
試料容器(1、2)の開口端(1’、2’)を差し込むために構成された投入ポート外側部(11)および投入ポート内側部(12)を備える試料投入ポート(10)と、
上流端(31)および下流端(32)を備える吸引針(30)であって、前記下流端(32)は、前記検出ユニット(210)に流体的に接続されており、または接続可能であり、前記上流端(31)は、前記投入ポート外側部(11)に差し込まれた試料容器(1、2)から試料を吸引するために前記投入ポート内側部(12)に、および、前記体外診断アナライザ(200)の流体供給ユニット(220)から他の流体を吸引するために流体供給ポート(40)に、択一的に連結するように構成されており、前記投入ポート外側部(11)は、前記吸引針(30)によって前記流体供給ユニット(220)から前記試料投入ポート(10)を介して吸引された流体で前記試料投入ポート(10)をリンスするために、前記吸引針(30)の前記上流端(31)が前記投入ポート内側部(12)に連結されている間に、前記流体供給ポート(40)に連結するように、さらに構成されている、吸引針(30)と、
を備える試料投入インターフェース(100)。
【請求項2】
前記試料投入ポート(10)が、少なくとも試料投入位置(20)と流体供給位置(21)との間で、回転可能である、請求項1に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項3】
前記吸引針(30)は、少なくとも、前記試料投入ポート(10)が前記試料投入位置(20)にあるときに前記吸引針(30)の前記上流端(31)が前記投入ポート内側部(12)と位置合わせされている前記試料投入位置(20)と、前記吸引針(30)の前記上流端(31)が前記流体供給ポート(40)と位置合わせされている前記流体供給位置(21)との間で、回転可能である、請求項2に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項4】
前記吸引針(30)の少なくとも前記上流端(31)は、前記投入ポート内側部(12)に連結し前記投入ポート内側部(12)から切り離されるように、および前記流体供給ポート(40)に連結し前記流体供給ポート(40)から切り離されるように、前記吸引針(30)の長手方向に沿って直線的に移動可能である、請求項3に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項5】
前記試料投入ポート(10)が、前記吸引針(30)と一緒に、または前記吸引針(30)から独立して前記吸引針(30)に対して、前記吸引針(30)の前記長手方向に沿って移動可能である、請求項4に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項6】
前記吸引針(30)および前記試料投入ポート(10)の各々が、直接または間接に、それぞれの駆動ピン(35、35’)に接続されており、それぞれの案内スロット(36、36’)を通して前記それぞれの駆動ピン(35、35’)をそれぞれの回転可能なアーム(37、37’)によって駆動することにより、移動可能であり、各回転可能なアーム(37、37’)は、駆動スロット(38、38’)を備え、前記駆動スロット(38、38’)を通って、前記それぞれの駆動ピン(35、35’)が、前記アーム(37、37’)の回転時にスライドすることができ、それによって、前記それぞれの案内スロット(36、36’)を通して前記それぞれの駆動ピン(35、35’)を駆動する、請求項1に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項7】
各案内スロット(36、36’)は、前記それぞれの案内スロット(36、36’)を通して前記それぞれの駆動ピン(35、35’)を駆動することによって、前記吸引針(30)および前記試料投入ポート(10)をそれぞれ停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ端、直線部分および曲線部分を含む、請求項6に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項8】
前記吸引針(30)および前記試料投入ポート(10)をそれぞれ独立におよび/または同時に移動させるために、各回転可能なアーム(37、37’)について、独立したモータを備えている、請求項6に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項9】
前記投入ポート外側部(11)は、異なるそれぞれの試料容器(1、2)の前記開口端(1’、2’)を差し込むために構成された異なるそれぞれの断面の空洞壁セクション(13、14)を含み、前記試料容器(1、2)は、少なくとも毛細管状の試料容器(1)およびシリンジ状の試料容器(2)を含む、請求項1に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項10】
前記投入ポート外側部(11)は、試料吸引時に、前記投入ポート外側部(11)に差し込まれたシリンジ状の試料容器(2)に空気が入るための通気口(16)を備えている、請求項9に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項11】
前記吸引針(30)の前記上流端(31)が、前記シリンジ状の試料容器(2)の前記開口端(2’)を通って少なくとも部分的に前記シリンジ状の試料容器(2)内に入り、前記通気口(16)から入った空気が、試料吸引時に、前記シリンジ状の試料容器(2)の前記開口端(2’)の近くで、かつ前記吸引針(30)の前記上流端(31)から離れて留まるようにするために、前記試料投入ポート(10)は、前記吸引針(30)と一緒に試料投入位置(20)と流体供給位置(21)との間の中間位置(22)まで回転可能であり、前記試料投入ポート(10)は、前記中間位置(22)において前記吸引針(30)の長手方向に沿って前記吸引針(30)に対して移動可能である、請求項10に記載の試料投入インターフェース(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の試料投入インターフェース(100)を備える体外診断アナライザ(200)。
【請求項13】
体外診断アナライザ(200)の検出ユニット(210)に試料を投入する自動化された方法であって、
吸引針(30)が、前記検出ユニット(210)に流体的に接続された、または接続可能である下流端(32)を備える一方で、前記吸引針(30)の上流端(31)を試料投入ポート(10)の投入ポート内側部(12)に連結し、前記試料投入ポート(10)の投入ポート外側部(11)に差し込まれた試料容器(1、2)から試料を吸引することと、
前記吸引針(30)の前記上流端(31)を前記投入ポート内側部(12)から切り離し、前記吸引針(30)の前記上流端(31)を流体供給ポート(40)に連結し、前記体外診断アナライザ(200)の流体供給ユニット(220)から他の流体を吸引することと、
前記吸引針(30)の前記上流端(31)を前記流体供給ポート(40)から切り離すことと、
前記投入ポート外側部(11)を前記流体供給ポート(40)に連結し、前記吸引針(30)の前記上流端(31)を前記投入ポート内側部(12)に連結し、前記吸引針(30)によって前記流体供給ユニット(220)から前記試料投入ポート(10)を介して吸引された流体で前記試料投入ポート(10)をリンスすることと、
を含む方法。
【請求項14】
それぞれの案内スロット(36、36’)を通してそれぞれの駆動ピン(35、35’)をそれぞれの回転可能なアーム(37、37’)によって駆動することにより、前記吸引針(30)および前記試料投入ポート(10)の各々を独立に移動させることを含み、各回転可能なアーム(37、37’)は、駆動スロット(38、38’)を備え、前記駆動スロット(38、38’)を通って、前記それぞれの駆動ピン(35、35’)が、前記アーム(37、37’)の回転時にスライドすることができ、各案内スロット(36、36’)は、前記案内スロット(36、36’)を通して前記それぞれの駆動ピン(35、35’)を駆動することによって、前記吸引針(30)および前記試料投入ポート(10)をそれぞれ停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ端、直線部分および曲線部分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試料容器(2)がシリンジ状の試料容器(2)である場合に、前記吸引針(30)の前記上流端(31)が、前記試料容器(2)の開口端(2’)を通って少なくとも部分的に前記試料容器(2)内に入り、前記投入ポート外側部(11)の通気口(16)から入った空気が、試料吸引時に、前記試料容器(2)の前記開口端(2’)の近くで、かつ前記吸引針(30)の前記上流端(31)から離れて留まるようにするために、前記試料投入ポート(10)を前記吸引針(30)と一緒に試料投入位置(20)と流体供給位置(21)との間の中間位置(22)まで回転させ、前記試料投入ポート(10)を前記中間位置(22)において前記吸引針(30)の長手方向に沿って前記吸引針(30)に対して移動させることを含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料投入インターフェース、試料投入インターフェースを備える体外診断アナライザ、および体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療では、医師の診断と患者の治療は、多くの場合、体外診断アナライザによって実行される患者試料のパラメータの測定に依存している。多くの場合、特に緊急事態では、測定結果をできるだけ早く提供することが重要である。また、アナライザが正しく機能して、正確で信頼性の高い測定値を提供することも、一般に重要である。
【0003】
したがって、体外診断アナライザが正しく機能していることを確実にするために、一連の品質管理(QC)手順を実施することが、一般に必要である。
【0004】
これらの手順の1つは、較正である。ほとんどの場合、較正は、既知の濃度の標準溶液を使用して実行される。このようにして、測定された信号を定量的な結果に関連付けることができる。較正は、システムに応じて、および性能に影響を与える可能性のある他の変動要因に応じて、多い頻度で、または少ない頻度で、実行される必要がある。
【0005】
さらに、較正されたアナライザが実際に仕様または許容範囲内にあることを確認するために、連続する較正の間に、対象となるパラメータの既知の値を持つ1つ以上の基準試料(QC試料とも呼ばれる)もまた、患者試料の測定と同じ方法で、通常、測定される。
【0006】
通常、QC手順中に、アナライザまたはそのコンポーネントは使用できない、例えば、新しい試料を受け入れることができない。したがって、操作者は、アナライザが再び使用可能になるのを、例えばQC手順が完了して、新しい試料をアナライザに投入することができるようになるまで、待たなければならない状況に置かれるかもしれない。その結果、本来ならもっと効率的に使えるはずの操作者の時間を無駄にしてしまう可能性がある。もし、操作者が他の緊急な作業のために待つことができない場合、通常、後で再試行することになるが、その間にもっと早くアナライザが利用できるようになっている可能性が高く、不必要に試料分析が遅れることになる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様が従来技術に対する特定の自明でない利点および進歩を提供するのは、上記の背景に対してである。詳細には、試料処理のスループットを不必要に損なうことなく、特に操作者の時間を無駄にすることなく、アナライザの分析性能を確保する、体外診断アナライザの検出ユニットへの試料の投入のための新しい試料投入インターフェースと新しい自動化された方法が、開示されている。別の利点は、試料のキャリーオーバーが最小限に抑えられることである。別の利点は、試料投入の手順がさらに容易になることである。別の利点は、様々なタイプの試料容器に対応できることである。
【0008】
本明細書で使用する「試料投入インターフェース」とは、体外診断分析のために、操作者によって持ち上げられた外部の試料容器から体外診断アナライザ内に試料を移送するように構成された、操作者が便利にアクセス可能な位置に配置された体外診断アナライザの自動化された機能ユニット、モジュールまたはコンポーネントである。特に、試料投入に関する操作者による手順は、試料容器を試料投入インターフェースに持ってくる(例えば、連結する、取り付ける、接続する、配置する、導入する、差し込む)ことだけに限定することができる。
【0009】
詳細には、本開示の試料投入インターフェースは、試料容器の開口端を差し込むために構成された投入ポート外側部および投入ポート内側部を備える試料投入ポート、ならびに上流端および下流端を備える吸引針、を備える。下流端は、検出ユニットに流体的に接続されており、または接続可能であり、上流端は、投入ポート外側部に差し込まれた試料容器から試料を吸引するために投入ポート内側部に、および、体外診断アナライザの流体供給ユニットから他の流体を吸引するために流体供給ポートに、択一的に連結するように構成されている。吸引針によって流体供給ユニットから試料投入ポートを介して吸引された流体で試料投入ポートをリンスするために、投入ポート外側部は、吸引針の上流端が投入ポート内側部に連結している間に、流体供給ポートに択一的に連結する(試料容器を抜いた後に)ように、さらに構成されている。
【0010】
本明細書で使用する「試料容器」とは、例えば患者から直接に、試料を受け取るために使用される一次容器もしくは試料採取装置、または一次容器もしくは試料採取装置から試料のアリコートを受け取るために使用することができる「二次容器」のいずれかである。試料容器は、通常、少なくとも1つの開口端を備える。一態様によれば、試料容器は、2つの開口端とその間の中空チャネルを有する毛細管状の試料容器であり、典型的には毛細管力を利用して、その内部容積と同量またはそれ以下の量の試料を吸引するために使用される。市販されている(特に血液ガス分析用の)キャピラリーチューブは、プラスチック製またはガラス製であり、充填容量(通常は約50μL~250μLの範囲)や使用する抗凝固剤の種類などは様々であり得る。充填容量は、通常、1つの試料容器につき1回の分析にのみ十分である。一態様によれば、試料容器は、シリンジ状の試料容器であり、円筒形の本体と、開口端と、本体を通って並進可能に第2の端に挿入されたプランジャとを有し、通常、他端におけるプランジャの作動によって開口端を介して試料を吸引および/または吐出するために使用される。市販されているシリンジ、特に血液ガス分析に適したシリンジは、プラスチック製またはガラス製であり、同じく、充填容量(約1mL~20mL)や使用する抗凝固剤は様々であり得る。一般に、開口端は、本体と比較して狭く円錐形(ルアー)の形状を有する本体の付属品として具現化され、例えば、吸引/吐出針、先端部、管などに連結されるように構成されている。開口端を有する円錐部分は、ルアー(Luer)規格(DIN-EN20594-1;EN1707;EN20594-1)によって標準化されている。また、ルアーテーパーの最小内径は、単回使用の無菌皮下注射器の規格(EN ISO7886-1)で規定されている。充填容量が大きいので、多くの場合、1つのシリンジで、数回の測定に十分な試料が提供される。
【0011】
「試料」という用語は、対象となる1種以上の分析物を含む可能性があり、その検出または分析(定性的および/または定量的)が臨床状態に関連し得る生物学的物質を意味する。試料は、血液、唾液、眼球水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、細胞などを含む生理学的液体などの、任意の生物由来のものであってよい。血液から血漿や血清を調製する、粘性液を希釈する、溶解するなど、使用前に検査試料を前処理することができる。処理の方法には、ろ過、遠心分離、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬の添加が含まれ得る。試料は、場合によっては、採取元から得られたものをそのまま使用することもできるが、試料の特性を変更するための前処理および/または試料調製ワークフローの後に、例えば、1つ以上の体外診断検査の実施を可能にするために、すなわち、目的の分析物を濃縮(抽出/分離/濃縮)するために、および/または目的の分析物の検出を妨げうるマトリクス成分を除去するために、例えば、内部標準物質を添加した後に、他の溶液で希釈した後に、または試薬と混合した後に、使用することもできる。
【0012】
一態様によれば、試料は、血液、または血漿や血清などの血液派生物である。特定の態様によれば、対象となる分析物は、O2やCO2などのガス、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、塩素(Cl-)、カルシウム(Ca++)などの血液電解質、pHに関連したプロトン(H+)、グルコースや乳酸などの代謝物、乱用薬物、治療薬、ホルモン、マーカー、タンパク質などである。対象となる他の分析物としては、ヘモグロビン、ヘモグロビン誘導体(脱酸素化ヘモグロビン、オキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、メトヘモグロビン)、ビリルビン、尿素、クレアチニンが挙げられる。ただし、このリストは、全てを網羅するものではない。
【0013】
本明細書で使用する「試料投入ポート」とは、試料容器の開口端を受け、そこに含まれる試料の少なくとも一部が吸引されるまで、試料容器を所定の位置に保持するように特に適合された試料投入インターフェースの構成要素であり、試料分析が完了して試料容器を取り外すことができるまで操作者が試料容器を保持する必要も、試料容器と相互作用する必要もない。詳細には、試料投入ポートは、操作者がアクセス可能であり、試料容器の開口端(開口端を有する試料容器の末端部)を差し込んで試料容器を一時的に保持するように構成された投入ポート外側部と、投入ポート外側部と連通し、投入ポート外側部に差し込まれた試料容器から試料を吸引するために内側吸引針に連結するように構成された投入ポート内側部とを備えている。詳細には、試料投入ポートは、エラストマー材料で作製することができ、投入ポート外側部は、異なるそれぞれの試料容器の開口端を差し込むように構成された異なるそれぞれの断面の空洞壁セクションを有する空洞を含むことができ、試料容器は、少なくとも毛細管状の試料容器およびシリンジ状の試料容器を含む。より具体的には、投入ポート外側部は、内部空洞を画定する壁セクションを含むことができ、各セクションは、それぞれ異なるタイプの試料容器のための密封および/または保持接触面、例えば、毛細管状の試料容器のための第1のセクションにおける毛細管密封接触面およびシリンジ状の試料容器のための第2のセクションにおけるシリンジ密封接触面を画定するような、実質的に円筒または円錐台形状および異なる内径を有している。投入ポート内側部は、投入ポート外側部と一体であってもよく、すなわち一体として作られていてもよく、あるいは、別体として作製され、投入ポート外側部に連結されていてもよい。詳細には、投入ポート内側部もまた、吸引針のための、詳細には吸引針の上流端のための少なくとも1つの密封接触面を画定する、異なる内径の部分を有する1つ以上の内側壁セクションによって形成された内部空洞を含んでいる。また、投入ポート外側部と投入ポート内側部はそれぞれ、投入ポート外側部から投入ポート内側部への試料容器の開口端の進入を阻止し、他方、投入ポート内側部から投入ポート外側部への吸引針の進入を許容するように、寸法が決められ、設計されている。
【0014】
本明細書で使用する「吸引針」とは、そこを通って試料や他の流体が流体システムに入ることができる、流体システムの末端部を意味する。吸引針は、上流端と下流端を備える。下流端は、流体システムを介して検出ユニットに流体的に接続されており、または接続可能であり、上流端は、投入ポート外側部に差し込まれた試料容器から試料を吸引するために投入ポート内側部に、および、体外診断アナライザの流体供給ユニットから他の流体を吸引するために流体供給ポートに、択一的に連結するように構成されている。吸引針は、流体輸送を可能にする任意の種類の中空流体導管とすることができ、少なくとも部分的に、例えば少なくとも上流端は、投入ポート内側部および流体供給ポートへの連結に適した寸法および剛性を有する、任意の材料で作ることができる。一態様によれば、吸引針は、鋼針である。吸引針は、制御された動き、例えば回転および/または並進(前方/後方)運動、ならびに択一的に投入ポート内側部または流体供給ポートと上流端との正確な位置合わせを可能にする針案内アームに便利に動作可能に連結されてもよく、例えば少なくとも部分的に統合されてもよい。一態様によれば、上流端は、少なくとも一部が、投入ポート内側部と相補的であり、および/または投入ポート内側部と密封を形成し、ならびに、少なくとも一部が、流体供給ポートと相補的であり、および/または流体供給ポートと密封を形成する形状のエラストマー材料で少なくとも一部が作製された針案内アームの連結ヘッドを通って、並進可能である。
【0015】
「流体システム」とは、少なくとも一部が互いに接続された、または接続可能な1つ以上の流体ラインを含むシステムである。流体システムは、さらに、流体ラインを通して流体を吸引するための少なくとも1つのポンプ、流体の流れを調整または制御するための1つ以上のバルブ、チャンバ、フィルタ、膜などを含んでいてもよい。流体の流れを「調整」することは、流れの方向を変えること、ある流体ラインから別の流体ラインに流れを変えること、流体ラインにおける流体の流れを可能にしたり不可能にしたりすること、を含むことができる。流体システムは、試料を含む流体を検出ユニットに供給するための少なくとも1つの流体供給ラインを含む。「流体ライン」とは、管、チャネル、チャンバ、またはそれらの組み合わせなどの中空導管であり、液密な方法で流体を通すのに適した1つ以上の部品を含み、それらは、任意の形状とサイズを持つことができるが、通常は、内部容積とデッドボリュームを最小限に抑えるように最適化されている。部品は、可撓性、剛性、弾性、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
本明細書で使用する「流体供給ユニット」とは、1つ以上の流体リザーバを含み、場合によっては、流体システムを通って循環した流体が処理の最後に廃棄され得る1つ以上の廃棄物容器も含む、体外診断アナライザのモジュールまたはコンポーネントである。本明細書で使用する「他の流体」という用語は、流体リザーバに含まれる流体のうち、試料分析の対象となる患者試料以外のもので、試料投入ポートを介して導入されるものを指す。このような他の流体は、例えば、基準流体、1つ以上の較正流体、洗浄/リンス液、湿潤液、1つ以上のQC試料のうちの、いずれか1つ以上を含むことができる。
【0017】
「流体供給ポート」とは、一方の側からは、例えば少なくとも1つの流体供給導管を介して、流体供給ユニットに流体的に接続されており、または接続可能であり、他方の側からは、吸引針が直接または試料投入ポートを介して流体供給ユニットから任意の他の流体を吸引するために、投入ポート外側部および吸引針の上流端の両方を択一的に連結させることができる、例えば差し込むことができるポートである。詳細には、吸引針によって流体供給ユニットから試料投入ポートを介して吸引された流体(例えば、洗浄/リンス液)で試料投入ポートをリンスするために、投入ポート外側部は、吸引針の上流端が投入ポート内側部に連結されている間に、流体供給ポートに連結されるように、構成されている。詳細には、流体供給ポートは、少なくとも一部が、投入ポート外側部と相補的であり、および/または投入ポート外側部と密封を形成し、少なくとも一部が、吸引針と相補的であり、および/または吸引針と密封を形成する形状のエラストマー材料で、少なくとも一部が作製されてもよい。
【0018】
一態様によれば、試料投入ポートは、少なくとも試料投入位置と流体供給位置との間で回転可能であり、試料投入位置は、試料容器を差し込むために操作者が便利にアクセス可能であり、および/または試料容器からの試料吸引を容易にする角度位置にあり、流体供給位置は、流体供給ポートに対応しており、必ずしも操作者が外部からアクセス可能である必要はない。
【0019】
一態様によれば、吸引針は、少なくとも、試料投入ポートが試料投入位置にあるときに吸引針の上流端が投入ポート内側部と位置合わせされている(例えば連結されている)試料投入位置と、吸引針の上流端が流体供給ポートと位置合わせされている(例えば連結されている)流体供給位置との間で、回転可能である。吸引針と針案内アームは、一緒に回転可能である。
【0020】
一態様によれば、吸引針の少なくとも上流端は、投入ポート内側部に連結し、投入ポート内側部から切り離されるように、および流体供給ポートに連結し、流体供給ポートから切り離されるように、吸引針の長手方向に沿って直線的に移動可能である。一態様によれば、針案内アームは、その連結ヘッドが投入ポート内側部に連結し、投入ポート内側部から切り離されるように、および流体供給ポートに連結し、流体供給ポートから切り離されるように、吸引針の長手方向に沿って直線的に移動可能である。針案内アームは、吸引針と一緒に、および/または吸引針から独立して、長手方向に移動可能であり得る。
【0021】
一態様によれば、試料投入ポートは、吸引針と一緒に、または吸引針から独立して吸引針に対して相対的に、吸引針の長手方向に沿って移動可能である。
【0022】
一態様によれば、試料投入ポートおよび吸引針は、直接または針案内アームを介して、それぞれの駆動ピンに接続されており、それぞれの案内スロットを通してそれぞれのピンをそれぞれの回転可能なアームによって駆動することにより、移動可能であり、各回転可能なアームは、駆動スロットを備え、それを通って、それぞれのピンは、アームの回転時にスライドすることができ、それによって、それぞれの案内スロットを通してそれぞれのピンを駆動する。
【0023】
一態様によれば、各案内スロットは、案内スロットを通してピンを駆動することによって、試料投入ポートおよび吸引針(針案内アームを通った、および/または針案内アームと一緒の)を停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ端、直線部分および曲線部分を含んでいる。
【0024】
一態様によれば、試料投入インターフェースは、試料投入ポートおよび吸引針をそれぞれ独立におよび/または同時に移動させるために、各回転可能なアームについて、独立したモータを備えている。
【0025】
一態様によれば、投入ポート外側部は、試料吸引時に、投入ポート外側部に差し込まれたシリンジ状の試料容器に空気が入るための通気口を備えている。
【0026】
一態様によれば、吸引針の上流端が、シリンジ状の試料容器の開口端を通って少なくとも部分的にシリンジ状の試料容器内に入り、通気口から入った空気が、試料吸引時に、シリンジ状の試料容器の開口端の近くで、かつ吸引針の上流端から離れて留まるようにするために、試料投入ポートは、吸引針と一緒に試料投入位置と流体供給位置との間の中間位置まで回転可能であり、試料投入ポートは、中間位置において吸引針の長手方向に沿って吸引針に対して移動可能である。
【0027】
また、本明細書では、いずれかの態様による試料投入インターフェースを備える体外診断アナライザも開示する。
【0028】
「体外診断アナライザ」とは、体外診断用の試料を分析するための実験室用自動装置である。体外診断アナライザは、分析のタイプおよび/または試料の種類および/または特定の実験室のワークフローに従って、異なる構成を有することができる。体外診断アナライザは、1つ以上の特定のタイプの分析に最適化されたそれぞれのワークフローを実行し、特定のタイプのパラメータ、例えば、ガス、電解質、代謝物、臨床化学分析物、免疫化学分析物、凝固パラメータ、血液学パラメータなどを検出するように設計された、少なくとも1つの検出ユニットを含む1つ以上の分析ユニットまたはモジュールを含むことができる。
【0029】
一態様によれば、検出ユニットは、ヘモグロビンの任意の誘導体を含むヘモグロビン、およびビリルビンなどの任意の1種以上の分析物を測光的に検出するためのオキシメトリユニットなどの、対象となる少なくとも1つの分析物を光学的に検出するための光学ユニットを備える。詳細には、オキシメトリユニットは、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの光学センサ、例えばフォトダイオードアレイ、光源と光学センサの間に配置された試料キュベット、および光源からキュベット内の検査試料に光を導き、検査試料から少なくとも1つの光学センサに光を導くためのレンズ、アパーチャ、場合によってはミラー、場合によってはフィルタ、場合によってはグレーティングモノクロメータ、ポリクロメータまたはプリズムなどの光学素子を備えることができる。吸光度、特に吸光度スペクトルおよび/または散乱を測定することができる。吸光度の測定は、流路内で直接行うこともできる。
【0030】
一態様によれば、検出ユニットは、ガス、電解質、代謝物のうちのいずれか1つ以上を検出するためのフロースルー型センサ経路を備える。
【0031】
フロースルー型センサ経路は、各パラメータ/分析物用のセンサを備えることができ、複数のセンサを含む交換可能なカートリッジ状の構造で具現化されてもよい。代替案として、体外診断アナライザは、1つのパラメータ/分析物専用のセンサであって、交換可能であってもなくてもよいセンサを備えるセンサ経路を、各々が有する複数の検出ユニットを備えてもよい。一態様によれば、センサは、厚膜センサである。このように、試料は、1つ以上のセンサ経路に流れ、異なるパラメータ/分析物が、それぞれのセンサによって決定されてもよい。
【0032】
特定の態様によれば、検出ユニットは、PO2センサ、PCO2センサ、pHセンサ、Na+、K+、Ca2+およびCl-などの電解質値を決定するための1つ以上のイオン選択電極(ISE)センサ、乳酸およびグルコースなどのパラメータを決定するための1つ以上の代謝物センサのうちのいずれか1つ以上を含む。センサは、例えば、それぞれアンペロメトリー、ポテンショメトリーまたはコンダクトメトリーの原理に基づくものであってもよい。
【0033】
例えば、PO2センサは、一般に、クラークの測定原理に従って機能する。つまり、酸素が、膜を通って、センサ内部の負電位の金マルチワイヤシステムに拡散する。ここで酸素が還元されて、試料に含まれる酸素に比例した電流が発生する。この電流が、アンペロメトリーで測定される。
【0034】
PCO2センサは、一般に、セベリングハウス型のセンサである。つまり、CO2は、酸素センサと同じように膜を通って拡散する。センサ内で、CO2濃度が変化することで、pH値が変化し、これが、ポテンショメトリーで測定される。
【0035】
pHセンサは、通常、pH感応膜を含む。検査試料のpH値に応じて、電位が、膜と試料の間の境界層に発生する。この電位は、基準センサによってポテンショメトリーで測定することができる。
【0036】
Na+、K+、Ca2+、Cl-ISEセンサは、通常、ポテンショメトリーの測定原理に従って動作する。それらの違いは、それぞれの電解質に対する感度を可能にする膜材料の違いだけである。
【0037】
グルコースセンサは、グルコースを空気からの酸素で酸化してグルコノラクトンにするグルコースオキシダーゼ酵素を、一般に利用する。このプロセスで生成されたH2O2が、二酸化マンガン/カーボン電極によってアンペロメトリーで測定される。センサは、酵素反応によるグルコースの酸化に必要な酸素を戻すので、検査試料中の酸素濃度に依存せず、グルコース値が測定される。
【0038】
乳酸センサは、乳酸を空気からの酸素で酸化してピルビン酸にする乳酸オキシダーゼ酵素を、一般に利用する。このプロセスで生成されたH2O2が、グルコースセンサと同様にアンペロメトリーで測定される。
【0039】
体外診断システムは、試料および/または試薬および/または他の流体のピペットおよび/またはポンプ、例えば吸引、および/または混合用の液体取り扱いユニットなどの機能ユニット、ならびに選別、保存、運搬、識別、分離、検出用の機能ユニットを備えることができる。
【0040】
詳細には、体外診断アナライザは、上記のような少なくとも流体供給ユニットと、吸引針を通して試料容器から試料および流体供給ユニットから他の流体を吸引し、試料を含むそれらの少なくとも一部を検出ユニットを通して吸引するための、典型的には検出ユニットの下流に位置する少なくとも1つのポンプ、例えば蠕動ポンプ、シリンジポンプ、膜ポンプまたは任意の他の適切なポンプとを備える。
【0041】
体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入する方法もまた本明細書に開示され、この方法は、吸引針が、検出ユニットに流体的に接続された、または接続可能である下流端を備える一方で、試料投入ポートの投入ポート内側部に吸引針の上流端を連結し、試料投入ポートの投入ポート外側部に差し込まれた試料容器から試料を吸引すること、を含む。この方法は、吸引針の上流端を投入ポート内側部から切り離し、吸引針の上流端を流体供給ポートに連結し、体外診断アナライザの流体供給ユニットから他の流体を吸引することを、さらに含む。この方法は、吸引針の上流端を流体供給ポートから切り離し、投入ポート外側部を流体供給ポートに、吸引針の上流端を投入ポート内側部に連結し、吸引針によって流体供給ユニットから試料投入ポートを介して吸引された流体で試料投入ポートをリンスすることを、さらに含む。
【0042】
これにより、操作者は、試料投入ポートが使用可能なときはいつでも、例えば、以前の試料容器を抜いた後、以前の試料分析がまだ完了していない場合、またはQC手順がまだ進行中の場合でも、すなわち、試料容器が差し込まれた時点で吸引針が試料投入ポートにではなく、他の流体を吸引するために流体供給ポートに連結されている場合でも、試料投入ポートに試料容器を差し込むことが可能である。吸引針が使用可能になると、吸引針は、自動的に、流体供給ポートから切り離され、すでに差し込まれていた試料容器から新しい試料を吸引するために、試料投入ポートに連結される。さらに、試料投入ポートを流体供給ポートに連結することもできるので、異なる試料と試料の間に試料投入ポートをリンスすることができ、キャリーオーバーのリスクを最小化することができる。
【0043】
一態様によれば、この方法は、それぞれの案内スロットを通してそれぞれのピンをそれぞれの回転可能なアームによって駆動することによって、試料投入ポートおよび吸引針のそれぞれを独立して移動させることを含み、各回転可能なアームは、駆動スロットを備え、それを通って、それぞれのピンが、アームの回転時にスライド可能であり、各案内スロットは、案内スロットを通してピンを駆動することによって、試料投入ポートおよび吸引針を停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ端、直線部分および曲線部分を含む。
【0044】
一態様によれば、この方法は、試料容器がシリンジ状の試料容器の場合に、吸引針の上流端が、試料容器の開口端を通って少なくとも部分的に試料容器内に入り、投入ポート外側部の通気口から入った空気が、試料吸引時に、試料容器の開口端の近くで、かつ吸引針の上流端から離れて留まるようにするために、試料投入ポートを吸引針と一緒に試料投入位置と流体供給位置との間の中間位置まで回転させ、試料投入ポートを中間位置において吸引針の長手方向に沿って吸引針に対して移動させることを含む。
【0045】
このように、試料を投入するためにシリンジプランジャを手動で作動させるなどの、操作者の介入を必要としない。逆に、シリンジは、試料投入ポートによって所定の位置に保持され、空気が、吸引された試料の容積と置き換わるために、通気口を通ってシリンジに入ることができるので、プランジャの移動なしに自動的に試料吸引が行われ、一方、中間位置では、通気口を通って入った空気が、吸引針に入らない。
【0046】
一態様によれば、体外診断アナライザは、上記の方法ステップのいずれかを自動的に実行するように構成されたコントローラをさらに備える。本明細書で使用される「コントローラ」という用語は、任意の物理的または仮想的な処理装置を含むことができ、詳細には、動作計画に従って、詳細には検出ユニットに試料を投入する開示された方法に従って、動作を実行する命令を備えるコンピュータ可読プログラムを実行するプログラマブルロジックコントローラを含むことができる。これは、プロセッサ、コントローラ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、または本明細書に記載された機能/方法の1つ以上を実行するように構成された他の回路またはプロセッサを含むことができる。
【0047】
他のおよびさらなる目的、特徴および利点が、原理をより詳細に説明するのに役立つ例示的な態様についての以下の説明および添付の図面から見えて来るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】試料投入インターフェースの外観斜視図である。
図2図1と同じ試料投入インターフェースの断面図であり、試料投入インターフェースの、具体的には試料容器が差し込まれた試料投入ポートの、内部の詳細を示す図である。
図3図1と同じ試料投入インターフェースを示すが、側面が取り除かれており(断面図ではない)、図1と同じ位置にある構成要素を有し、試料容器がない。
図4図3と似ているが、同じ構成要素のうちのいくつかが、異なる位置にある。
図5】試料投入インターフェースの外観斜視図であり、図2と同じ位置にある構成要素を有し、試料容器がない。
図6図5と同じであるが、側面が取り除かれて内部の構成要素を示す(図2のような断面図ではない)。
図7】他の図と同じ試料投入インターフェースを他の側から見た斜視図を示し、試料投入ポートに別のタイプの試料容器が差し込まれている。
図8】試料投入ポートの正面図およびその断面A-Aを通る断面図を示す。
図9】毛細管状の試料容器が差し込まれた、図8と同じ試料投入ポートの断面図を示す。
図10】シリンジ状の試料容器が差し込まれた、図8および図9と同じ試料投入ポートの断面図を示す。
図11】他の図の試料投入インターフェースの断面図であり、図2と同様の方法で示されているが、試料投入ポートにシリンジ状の容器が差し込まれ、異なる位置に構成要素がある。
図12】他の図と同じ試料投入インターフェースを備える体外診断アナライザを模式的に示すとともに、体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入する方法の第1のステップを模式的に示す。
図13図12と同じ体外診断アナライザと、体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入する方法の別のステップを、模式的に示す。
図14図12および図13と同じ体外診断アナライザと、体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入する方法の別のステップを、模式的に示す。
図15図12図14と同じ体外診断アナライザと、体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入する方法の別のステップを、模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図中の要素は、単純明快になるように図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを、当業者は理解している。例えば、図中の一部の要素の寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある一方、他の要素は、明瞭性を高め、本開示の態様の理解を向上させるために、省かれているか、または数が減らされて表されている場合がある。
【0050】
図1図6はまとめて、体外診断アナライザの検出ユニットに試料を投入するための試料投入インターフェース100の一例を示しており、分かりやすくするために一部の部品が取り除かれている。また、体外診断アナライザの残りの詳細も示していない。詳細には、図1は、試料投入ポート10が試料投入位置20にある、操作者がアクセス可能な前面101と、少なくとも部分的に操作者がアクセス不可の2つの側面102、103と、を備える試料投入インターフェース100の外観斜視図である。前面101は、体外診断アナライザ(図示せず)に対して固定されている側面102、103に対して少なくとも部分的に回転可能な内側本体104の一部である。図2は、試料投入インターフェース100の断面図であり、試料投入インターフェース、特に試料投入ポート10の内部の詳細を示し、図2の拡大部Bに重点を置いて示している。詳細には、試料投入ポート10は、試料容器1の開口端2を差し込むように構成された投入ポート外側部11と、投入ポート内側部12とを備える。図1図2の試料容器1は、毛細管状の試料容器である。試料投入インターフェース100は、上流端31と下流端(図1図6には示されていないが、図9には示されている)を備える吸引針30を、さらに備える。
【0051】
図3および図4は、それぞれ異なる位置にある構成要素を有する、側面102が取り除かれた(断面図ではない)同じ試料投入インターフェース100を示し、図3における構成要素は、図1と同じ位置にある。
【0052】
図5および図6は、図2と同じそれぞれの位置に構成要素を有するが、試料容器1を有しない同じ試料投入インターフェース100を示しており、図5は側面102を含み、図6は側面102が取り除かれている(および断面ではない構成要素を有する)。
【0053】
吸引針30の下流端は、検出ユニット(図1図6には示されていない)に流体的に接続されており、または接続可能であり、上流端31は、投入ポート外側部11(図2)に差し込まれた試料容器1から試料を吸引するために投入ポート内側部12(図2図5図6)に、および、体外診断アナライザの流体供給ユニット(図1図6には示されていない)から他の流体を吸引するために流体供給ポート40(図3)に、択一的に連結するように構成されている。吸引針30によって流体供給ユニットから試料投入ポート10を介して吸引された流体で試料投入ポート10をリンスするために、投入ポート外側部11は、試料容器が抜かれると、吸引針30の上流端31が投入ポート内側部12に連結している間に、流体供給ポート40に連結するように、さらに構成されている(図4)。
【0054】
詳細には、試料投入ポート10は、少なくとも試料投入位置20(図1図3図5図6)と流体供給位置21(図4)との間で、内側本体104とともに回転可能であり、試料投入位置20は、試料容器1を差し込むために操作者が便利にアクセス可能であり、および/または試料容器1からの試料吸引を容易にする角度位置にあり、流体供給位置21は、流体供給ポート40に対応しており、必ずしも操作者が外部からアクセス可能である必要はない。
【0055】
また、図3から、試料投入ポート10が試料投入位置20にある状態で、吸引針30が流体供給位置21で流体供給ポート40に連結されている間でも、図1に示すように試料投入ポート10は試料容器を差し込むために使用可能であることに、留意することができる。
【0056】
また、図4から理解できるように、試料投入ポート10は、例えば、流体供給ポート40に連結し、流体供給ポート40から切り離されるように、内側本体104の案内スリット106に沿って並進可能な試料投入ポート案内アーム105に取り付けられている。
【0057】
吸引針30は、少なくとも、試料投入ポート10が試料投入位置20にあるときに吸引針30の上流端31が投入ポート内側部12と位置合わせされている(例えば連結されている)試料投入位置20(図2図5図6)と、吸引針30の上流端31が流体供給ポート40と位置合わせされている(例えば連結されている)(図3)、または試料投入ポート10が流体供給位置21にあるときに投入ポート内側部12と位置合わせされている(例えば連結されている)(図4)流体供給位置21との間で、回転可能である。詳細には、吸引針30は、制御された動き、例えば回転および/または並進(前方/後方)運動、ならびに択一的に投入ポート内側部12または流体供給ポート40と上流端31との正確な位置合わせを可能にする針案内アーム33に動作可能に連結され、部分的に統合されている。上流端31は、少なくとも一部が、投入ポート内側部12と相補的であり、および/または投入ポート内側部12と密封を形成し(図2図4)、ならびに、少なくとも一部が、流体供給ポート40と相補的であり、および/または流体供給ポート40と密封を形成する(図3)形状のエラストマー材料で少なくとも一部が作製された針案内アーム33の連結ヘッド34を通って、並進可能である。吸引針30と針案内アーム33は、一緒に回転可能である。吸引針30は、図3図4図6では、針案内アーム33の内部に隠れて見えない。
【0058】
吸引針30の上流端31は、例えば、投入ポート内側部12および流体供給ポート40にそれぞれ連結し切り離されるために、吸引針30の長手方向に沿って直線的に移動可能である。針案内アーム33もまた、その連結ヘッド34が投入ポート内側部12および流体供給ポート40にそれぞれ連結し切り離されるために、吸引針30の長手方向に沿って直線的に移動可能である。針案内アーム33は、吸引針30と一緒に、および/または吸引針30から独立して、長手方向に移動可能であり得る。
【0059】
図1図3および図5図6を合わせて見るとよりよく理解できるように、吸引針30は、それぞれの駆動ピン35に接続され、回転可能なアーム37によって駆動ピン35を案内スロット36を通して駆動することにより、移動可能であり、回転可能なアーム37は、駆動スロット38を備え、それを通って、駆動ピン35が、アーム37の回転時にスライドでき、それによって、駆動ピン35を案内スロット36を通して駆動することができる。詳細には、図1および図5に示すように、案内スロット36は、案内スロット36を通して駆動ピン35を駆動することにより、吸引針30(図示せず)および/または針案内アーム33を停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ端、直線部分および曲線部分を含んでいる。例えば、図1に示すように、駆動ピン35が、案内スロット36の一端にあるとき、針案内アーム33を備えた吸引針30(図示せず)は、側面102のない図1に対応する図3に示すように、流体供給位置21にある。図5に示すように、駆動ピン35が、案内スロット36の他端にあるとき、針案内アーム33を備えた吸引針30(図示せず)は、側面102のない図5に対応する図6に示すように、試料投入位置20にある。
【0060】
図7は、試料投入インターフェース100を、他方の側面103が見える反対側から示しており、シリンジ状の試料容器2が、試料投入ポート10に差し込まれている。詳細には、こちら側にも駆動ピン35’があり、試料投入ポート10に間接的に内部で接続されていることがわかる。したがって、試料投入ポート10は、それぞれの駆動ピン35’をそれぞれの回転可能なアーム37’によってそれぞれの案内スロット36’を通して駆動することによって、移動可能であり、回転可能なアーム37’は、駆動スロット38’を備え、それを通って、駆動ピン35’が、アーム37’の回転時にスライドでき、それによって、駆動ピン35’を案内スロット36’を通して駆動することができる。側面103上の案内スロット36’は、側面102上の案内スロット36(図1図5に示すような)に対して鏡像のようであり、同じく、案内スロット36’を通してピン35’を駆動することによって、試料投入ポート10を停止させる、直線的に移動させる、および/または回転させる位置に、それぞれ直線部分および曲線部分を含んでいる。図7では、検出ユニット(図7には示されていない)に流体的に接続されている、または接続可能である、吸引針30の下流端32も見ることができる。試料投入インターフェース100は、試料投入ポート10および吸引針30をそれぞれ独立しておよび/または同時に動かすために、各回転可能なアーム37、37’に対して独立したモータ(図示せず)を備えている。
【0061】
図8は、一態様による、試料投入ポート10の正面図およびその断面A-Aを通る断面図を示す。図9および図10は、タイプの異なる2つのそれぞれの試料容器1、2が差し込まれた、図8と同じ試料投入ポート10を断面で示し、それぞれ、図9では毛細管状の試料容器1が、図10ではシリンジ状の試料容器2が差し込まれている。詳細には、図8図10を組み合わせて参照し、また図2にすでに見られるように、試料投入ポート10は、操作者がアクセス可能であり、試料容器1、2の開口端1’、2’(開口端を有する試料容器1、2の末端部1’、2’)を差し込むために、および試料容器1、2を一時的に保持するために構成された投入ポート外側部11、ならびに、投入ポート外側部11と連通しており、投入ポート外側部11に差し込まれた試料容器1、2から試料が吸引されるように吸引針30(図8図10には示されていない)に連結するように構成された投入ポート内側部12、を備える。詳細には、試料投入ポート10は、エラストマー材料で作製されている。投入ポート外側部11は、内部空洞を画定する壁セクションを含み、各セクションは、それぞれ異なるタイプの試料容器1、2のための密封および/または保持接触面、例えば、毛細管状の試料容器1のための第1のセクション13における毛細管密封接触面13’およびシリンジ状の試料容器2のための第2のセクション14におけるシリンジ密封接触面14’を画定するような、実質的に円筒または円錐台形状および異なる内径を有している。投入ポート内側部12は、この場合、投入ポート外側部11と一体であり、例えば、一体として作られている。詳細には、投入ポート内側部12もまた、吸引針(図8図10には示されていない)のための少なくとも1つの密封接触面を画定する、異なる内径の部分を有する1つ以上の内側壁セクションによって形成された内部空洞15を含んでいる。また、投入ポート外側部11と投入ポート内側部12はそれぞれ、投入ポート外側部11から投入ポート内側部12への試料容器1、2の開口端1’、2’の進入を阻止し、他方、投入ポート内側部12から投入ポート外側部11への吸引針の進入を許容するように、寸法が決められ、設計されている(図11から分かるように)。また、投入ポート外側部11は、図11に関連してより良く説明されるように、試料吸引時に、投入ポート外側部11に差し込まれたシリンジ状の試料容器2に空気が入るための通気口16を備えている。
【0062】
図11は、図2と同様の試料投入インターフェース100の断面図であるが、試料投入ポート10にシリンジ状の容器2が差し込まれている。
【0063】
詳細には、試料投入ポート10は、吸引針30とともに試料投入位置20と流体供給位置21との間の中間位置22まで回転している。さらに、試料投入ポート10は、中間位置22において、吸引針30の長手方向に沿って吸引針30に対して(試料投入インターフェース100の内部に向かって)移動しており、図11の拡大部Cにおいてよく分かるように、吸引針30の上流端31が、シリンジ状の試料容器2の開口端2’を通ってシリンジ状の試料容器2の中に入り込んでいる。このように、試料を投入するためにシリンジプランジャを手動で作動させるなどの、操作者の介入を必要としない。逆に、シリンジ2は、試料投入ポート10によって所定の位置に保持され、空気が、吸引された試料の容積と置き換わるために、通気口16を通ってシリンジ2に入ることができるので、試料吸引が、プランジャの移動なしに自動的に行われ、一方、中間位置22では、開口端2’が上方を向いているので、通気口16を通って入った空気は、試料吸引時に、シリンジ状の試料容器2の開口端2’の近くで、かつ、シリンジ本体内に浸漬されて開口端よりも低い位置にある吸引針30の上流端31から離れて、留まる。
【0064】
一般に、試料投入ポート10は、内側本体104とともに回転可能である他に、吸引針30とともに、または、吸引針30から独立して吸引針30に対して、さらに内側本体104に対して、例えば針案内アーム33とともに、かつ内側本体104に対して、吸引針30の長手方向に沿って移動可能でもある。詳細には、図4にも関連して見られるように、試料投入ポート10は、例えば、流体供給ポート40に連結し、流体供給ポート40から切り離されるために、また、図11に示されるように、中間位置22でシリンジ状の試料容器2から試料を吸引するために、内側本体104の案内スリット106に沿って並進可能な試料投入ポート案内アーム105に取り付けられている。試料投入ポート案内アーム105に連結された追加のモータ(図示せず)が、中間位置22での案内スリット106に沿った並進のために便利に使用され得る。
【0065】
図12図15は、図1図11に関連して説明したような試料投入インターフェース100を含む体外診断アナライザ200を、概略的に示す。詳細には、体外診断アナライザ200は、試料中の例えばガス、電解質、代謝物のいずれか1つ以上を検出するための、この例ではフロースルー型センサ経路211を含む流体システム212を含む、検出ユニット210を備えている。体外診断アナライザ200は、流体供給リザーバ221が洗浄/リンス液を含む、複数の流体供給リザーバ221、222、223と、流体システム212を循環した流体が処理の最後に廃棄され得る廃棄物容器224と、を含む流体供給ユニット220を、さらに備える。様々な流体供給リザーバ221、222、223からの流体は、選択バルブ230を介して選択され得る。体外診断アナライザ200は、吸引針30を、詳細には上流端31を試料投入ポート10または流体供給ポート40のいずれかに直接または試料投入ポート10を介して間接的に連結することによって(一方、下流端32は、検出ユニット210に流体的に連結されている)、試料容器1、2から試料を、流体供給ユニット220から他の流体を、吸引針30を介して検出ユニット210を介して吸引するために、検出ユニット210の下流に位置するポンプ240、例えば蠕動ポンプを、さらに備える。
【0066】
引き続き図12図15を参照して、体外診断アナライザ200の検出ユニット210への試料の投入のそれぞれの方法もまた、模式的に示されている。詳細には、図12に示すように、この方法は、吸引針30が、検出ユニット210に流体的に接続された下流端32を含む一方で、吸引針30の上流端31を試料投入ポート10の投入ポート内側部12に連結し、試料投入ポート10の投入ポート外側部11に差し込まれた試料容器1、2から試料を吸引することを、含む。図13にさらに示すように、この方法は、吸引針30の上流端31を投入ポート内側部12から切り離し、吸引針30の上流端31を流体供給ポート40に連結し、体外診断アナライザ200の流体供給ユニット220から他の流体を吸引することを、含む。図14にさらに示すように、この方法は、吸引針30の上流端31を流体供給ポート40から切り離し、投入ポート外側部11を流体供給ポート40に、吸引針30の上流端31を投入ポート内側部12に連結し、吸引針30によって流体供給ユニット220から試料投入ポート10を介して吸引された流体で試料投入ポート10をリンスすることを、含む。図15にさらに示すように、この方法は、試料容器がシリンジ状の試料容器2である場合に、吸引針30の上流端31が、試料容器2の開口端を通って少なくとも部分的に試料容器2内に入り、投入ポート外側部11の通気口(図15には示されていない)を通って入った空気が、試料吸引時に、試料容器2の開口端の近くで、かつ吸引針30の上流端31から離れて留まるようにするために、試料投入ポート10を吸引針30と一緒に試料投入位置(図12に示されているような)と流体供給位置(図13図14に示されているような)との間の中間位置22まで回転させ、試料投入ポート10を中間位置22において吸引針30に対して吸引針30の長手方向に沿って移動させることを、含む。
【0067】
図12図15を引き続き参照すると、体外診断システム200は、上記の方法ステップのいずれかを自動的に実行するように構成されたコントローラ250を、さらに含む。
【0068】
開示された態様の修正および変形が、上記の説明に照らして、もちろん可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は上記の実施例で具体的に考案された以外の方法で実施され得ることが、理解されるべきである。
【0069】
特に、図面または部品の少なくともいくつかは、概略的なものであり、例示としてのみ提供されることを理解されたい。また、各要素の関係は、図示したもの以外でもよく、本開示の趣旨に関係のない部品は、省略されている。
【0070】
また、先の明細書全体を通して、「一態様」、「一態様」、「一(one)例」または「一(a)例」を参照することは、その態様または例に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも一つの態様に含まれていることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一態様において」、「一態様において」、「一例」、または「一例」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ態様または例を指しているわけではない。
【0071】
さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の態様または例において、任意の適切な組み合わせおよび/または部分的組み合わせで組み合わせることができる。
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図15