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  • 特許-家禽の脚の皮を剥ぐ装置 図1
  • 特許-家禽の脚の皮を剥ぐ装置 図2A
  • 特許-家禽の脚の皮を剥ぐ装置 図2B
  • 特許-家禽の脚の皮を剥ぐ装置 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】家禽の脚の皮を剥ぐ装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022196006
(22)【出願日】2022-12-08
(65)【公開番号】P2023086700
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2030106
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロム、デニス
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-065231(JP,A)
【文献】国際公開第2021/091399(WO,A1)
【文献】実開昭55-045457(JP,U)
【文献】特開2019-088278(JP,A)
【文献】特表2002-540776(JP,A)
【文献】特開平05-076315(JP,A)
【文献】米国特許第04459721(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
A22B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽の脚(2)または家禽脚の一部のための皮剥ぎ装置(1)であって、
家禽の脚(2)または家禽脚の一部を足首によって吊り下げ可能であるシャックル(3′)を有するコンベヤ(3)と、
コンベア(3)よりも下方に設けられた複数のローラ(4′、4′′)であり、互いに逆方向に回転可能であって、これらのローラ(4′、4′′)の間に挟み構造(N)を規定する前記ローラ(4′、4′′)とを備え、
前記複数のローラ(4′、4′′)は、移動可能であって、家禽の脚(2)の皮(2′)またはその一部と噛み合い、掴み、かつ前記挟み構造(N)へと引き込むようにされ、
前記複数のローラ(4′、4′′)は、前記挟み構造(N)内に皮(2′)を保持するために皮(2′)を把持した後に回転を停止するようにされ、かつ
前記複数のローラ(4′、4′′)は、その後に皮(2′)を家禽の脚(2)から引き剥がすために家禽の脚(2)から離れるようにされた前記皮剥ぎ装置(1)において、
前記複数のローラ(4′、4′′)は、それぞれ1方向のみ回転できるようにされて、前記ローラ(4′、4′′)が回転を停止した後に、反対方向に回転するのを阻止されて、前記ローラ(4′、4′′)の間の挟み構造(N)に皮(2′)を保持するようにされていることを特徴とする家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項2】
ローラ(4′、4′′)は、家禽の脚(2)に噛み合い、前記家禽の脚(2)の皮(2′)を把持し、皮(2′)を家禽の脚(2)から引き剥がすために、上下に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項3】
ローラ(4′、4′′)は、水平方向に向いていることを特徴とする請求項1または2記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項4】
家禽の脚(2)の皮(2′)に準備的な切り込みを入れるためのナイフ(5)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項5】
ナイフ(5)は、吊り下げられた家禽の脚(2)を通る水平面内の円周方向の切り込みを入れるようにされていることを特徴とする請求項4記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項6】
ローラ(4′、4′′)に噛合い歯が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項7】
複数のローラ(4′、4′′)を1方向にのみ回転可能とさせる少なくとも1つのフリーホイールクラッチ(7′、7′′)を有して、前記ローラ(4′、4′′)の間の挟み構造(N)に皮(2′)を保持するために前記ローラ(4′、4′′)が回転を停止した後に、前記ローラ(4′、4′′)は反対方向に回転するのを阻止されるものであることを特徴とする請求項1または2記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項8】
ローラの少なくとも1つが、少なくとも1つのフリーホイールクラッチ(7′)に回転可能に接続されていることを特徴とする請求項7記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項9】
複数のローラ(4′、4′′)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのフリーホイールクラッチ(7′)を介して、駆動装置(6)に、駆動力の伝達を受けるように接続されていることを特徴とする請求項7記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項10】
駆動装置(6)がさらなるフリーホイールクラッチ(7)を備えていることを特徴とする請求項7記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【請求項11】
少なくとも1つのフリーホイールクラッチ(7′、7′′)がスプラグクラッチであることを特徴とする請求項7記載の家禽の脚の皮を剥ぐ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽の脚または家禽の脚の一部の皮を剥ぐ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、家禽の脚または家禽の脚の一部を足首によって吊り下げ可能なシャックルを有するコンベヤと、互いに反対方向に回転可能なローラ間の挟み構造を規定するところの、コンベヤよりも下方のローラとを備える。ローラは、挟み構造に家禽の脚またはその一部の皮を噛み込み、把持し、そして引き込むように移動可能である。ローラは、挟み構造に皮を保持するために、皮を把持した後に回転を停止する。その後、ローラは、家禽の脚から皮を引き剥がすために、家禽の脚から離れるように構成されている。
【0003】
特許文献1は、このような皮剥ぎ装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ヨーロッパ特許第3811781号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、ローラは、まず、水平面内で、使用中に家禽の脚が足首により吊るされている位置まで、およびその位置から、水平面内で移動しなければならない。この移動により、ローラは、家禽の脚と噛み合って、家禽の脚の皮を把持する作業を開始することができる。皮の把持後およびその後の上方への移動中に、ローラは回転を停止するように構成されている。それ以降、ローラは、単に皮を保持し、家禽の脚から皮を引き剥がすように維持される。特許文献1に記載の装置は、ローラの移動中に鶏の脚を安定的に位置決めするためのクランプ手段を含む。
【0006】
本発明は、より高速の処理を達成することが可能な皮剥ぎ装置を提供することを第1の目的とする。
【0007】
本発明のさらなる目的は、複雑さをより低減させた設計の皮剥ぎ装置であり、かつそれに対応して製造コストがより低い皮剥ぎ装置を、提供することにある。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、皮剥ぎ動作の信頼性を向上させて、皮剥ぎ動作中に皮が失われる可能性を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の開示から明らかになる本発明のこれらおよび他の目的は、添付の請求項の特徴のうちの1つ以上を有するところの、家禽の脚の皮を剥ぐ装置によって提供される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、ローラは、ローラがローラ間の挟み構造に皮を保持するために回転を停止した後、ローラの逆方向への回転が阻止されるように、一方向への回転だけが可能に構成される。これにより、皮が家禽の脚から引き裂かれる実際の皮剥ぎの間に皮が失われることが、効果的に回避される。
【0011】
本発明の別の態様では、ローラは上下に移動可能であり、それによって、家禽の脚に噛み合い、家禽の脚の皮を把持し、家禽の脚から皮を引き剥がす。これにより、装置の設計が大幅に簡素化される。
【0012】
ローラは、水平方向に配置されていることが好ましい。本発明においては、水平方向とは、水平を基準として±20度の範囲であることを意味する。
【0013】
本発明の装置が、家禽の脚の皮に準備的な切り込みを入れるためのナイフを含むことが、皮剥ぎ工程を容易に促進するために有利である。
【0014】
ナイフは、吊り下げられた家禽の脚を通る水平面内において円周方向に切り込みを入れるように配置されることが好ましい。
【0015】
皮をより良好に把持するために、またローラの駆動を複雑でないようにするために、ローラに噛合歯が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明の装置が少なくとも1つのフリーホイールクラッチを備えることが、本発明の利点を、特別なものとすることができるとともに、低コストで達成することができる。フリーホイールクラッチは、ローラ間の挟み構造に皮を保持するためにローラが回転を停止した後、ローラが逆方向に回転するのを阻止するように、ローラの一方向のみの回転を可能とする。
【0017】
一般的には、ローラの少なくとも1つが少なくとも1つのフリーホイールクラッチに回転可能に接続されていることで十分である。そして、ローラの少なくとも1つが、少なくとも1つのフリーホイールクラッチを介して駆動装置に接続されていることが好ましい。しかしながら、駆動装置がさらなるフリーホイールクラッチを備えていることも可能である。
【0018】
好適には、少なくとも1つのフリーホイールクラッチは、スプラグクラッチである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の皮を剥ぐ装置の一連の動作を示す図である。
図2A】本発明の皮を剥ぐ装置のローラと駆動装置との組立て状態を示す立体図である。
図2B】本発明の皮を剥ぐ装置のローラと駆動装置との組立て状態を示す正面図である。
図2C】本発明の皮を剥ぐ装置のローラと駆動装置との一部分解状態を示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の特許請求の範囲に関して限定的でない、本発明の家禽の脚の皮を剥ぐ装置の例示的な実施形態の図面を参照して、本発明をさらに説明する。
【0021】
図中、同じ参照符号が付されている場合、これらの符号は同じ部材を指す。
【0022】
図面では、本発明の理解に不可欠でない、家禽の脚の皮を剥ぐ装置の部品は示されていない。
【0023】
本発明の皮を剥ぐ装置の一連の動作を示す図1を参照すると、皮を剥ぐ装置1は、シャックル3′を有するコンベヤ3を備えている。コンベヤ3のシャッフル3′から、家禽の脚2が足首によって吊り下げ可能である。皮を剥ぐ装置1は、コンベヤ3の下方に、ローラ4′、4′′を有する。各組のローラ4′、4′′の間に、挟み構造Nが規定される。
【0024】
ローラ4′、4′′は、相互に反対方向に回転可能である。ローラ4′、4′′は、家禽の脚2の表面の皮2′をローラ4′、4′′の間の挟み構造Nに噛み合わせ、掴み、そして引っ張るために、上方へ移動可能である。このことは、図1(a)(b)(c)と進む工程によって明確に示されている。
【0025】
ローラ4′、4′′は、水平方向に方向づけられている。図1(a)(b)において、皮を剥ぐ装置1が、家禽の脚2の皮2′に準備的な切り込みを入れるためのナイフ5を含んでいることが示されている。好ましくは、ナイフ5は、吊り下げられた家禽の脚2を通る水平方向の面内の円周方向の切り込みを入れるように配置される。
【0026】
図1図2Cは、本発明にとって本質的ではないが好ましい実施形態を示し、ここではローラ4′、4′′は、以下にさらに詳述するように、噛み合い歯を備える。しかしながら、噛み合い歯を避けて、ローラ4′、4′′に、家禽の脚2の皮2′を把持するのを助けるための、単に粗い外面を設けることも可能である。
【0027】
各実施の形態において、ローラ4′、4′′は、図1(c)に描かれているように、家禽脚2の皮2′を把持した後に転動を停止し、皮2′をローラ4′、4′′の間の挟み構造Nによって保持するように配置されていることが好ましい。図1(d)(e)(f)は、ローラ4′、4′′が、その後に、家禽の脚2から皮2′を引き離すために、家禽の脚2から離れるように移動するように構成されていることを示す。
【0028】
全体として図1は、ローラ4′、4′′が、家禽の脚2に噛み合い、家禽の脚2の皮2′を把持し、皮2′を家禽の脚2から引き離すために、上下に移動可能であることを示す。
【0029】
ローラ4′、4′′が一方向にのみ回転できるように構成されていることが、本発明にとって不可欠である。これにより、ローラ4′、4′′が回転を停止した後、すなわちそれ以降は、単にローラ4′、4′′の間の挟み構造Nによって皮2′を保持し、ローラ4′、4′′は反対方向に回転することを阻止される。一実施形態では、これは、複数のローラ4′、4′′を、駆動されかつ個別に反対方向への回転を阻止されるように構成することによって、実現することが可能である。
【0030】
別の実施形態では、ローラ4′、4′′は、これらのローラが常に反対方向に回転するように互いに連結される。その状況では、ローラ4′、4′′のうちの1つだけに駆動装置を接続することが可能である。この実施形態において、ローラ4′または4′′の少なくとも一方が駆動装置に回転可能に接続される場合、この接続は、フリーホイールクラッチ7′、好ましくはスプラグクラッチ7′を備えた、フリーホイール機構7を介して行われることが好ましい。この構造は、ローラ4′または4′′の少なくとも1つが一方向にのみ回転すること、および反対方向の回転が阻止されることを可能にする。かつ、同時に、ローラ4′、4′′の組における他のローラについても、その回転および回転阻止を規定する。
【0031】
好ましくは、フリーホイールクラッチは、スプラグクラッチである。スプラグクラッチは、ワンウェイフリーホイールクラッチの一例である。ウィキペディアによれば、スプラグクラッチは、ローラベアリングに似ているが、ベアリングのレース間の円筒形ローラの代わりに、非回転式の非対称の8の字形のスプラグ、または単一方向の回転を可能にする他の要素が使用されている。一方向に回転するとスプラグが滑ってフリーホイールとなり、逆方向にトルクを加えるとスプラグがわずかに傾いてくさび作用を起こし、摩擦によりベアリングのレースが回転しないようにする。フリーホイールクラッチとスプラグクラッチとは、例えばマンチェスター(イギリス国)に本社を置くレノルド社(Renold plc)から市場に提供されている。
【0032】
特に図2A図2B図2Cは、図1の皮剥ぎ装置の一部であるローラ4′、4′′の実施形態を示している。図2A図2B図2Cに示すように、ローラ4′、4′′の組における1つのローラ4′は、駆動装置6に回転可能に接続されている。ローラ4′は方向Aにのみ回転でき、このローラ4′の反対方向B(破線で示す)への回転は阻止される。これは、ローラ4′が、フリーホイールクラッチ7′を有するフリーホイール機構7にて構成されていることによって達成される。さらに、図2A、特に図2C(分解図)に示すように、駆動装置6は、方向Mに移動して、ローラ4′を駆動するようにフリーホイール機構7に連結することが可能である。
【0033】
図2Aおよび図2Bに示すように、ローラ4′、4′′の組における他のローラ4′′は、これらのローラ4′、4′′における噛み合い歯によって、当該他のローラ4′′の回転が、ローラの組における第1のローラ4′の回転にリンクされるように、配置されている。さらに図示の実施形態では、他のローラ4′′は、当該他のローラ4′′が二方向Bに回転でき、かつ方向Aへの回転が阻止されるように配置されたフリーホイールクラッチ7′′を有するさらなるフリーホイール機構を、選択的に備えることが可能である。この配置は、ローラ4′、4′′が噛み合い歯を有する場合は必要ない。しかし、ローラ4′、4′′が互いに独立して回転できるように粗面のみを備える場合は、両ローラ4′、4′′が、上記で論じたように個々のフリーホイール機構を備える構成が好ましい。
【0034】
以上、本発明の皮剥ぎ装置の例示的な実施形態を参照して本発明を説明した。しかし、本発明は、この特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができる。したがって、説明した例示的な実施形態は、添付の請求項を厳密に解釈するために使用されてはならない。それどころか、この実施形態は、単に添付の請求項の文言を説明するためのものである。請求項をこの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言において起こり得る曖昧さは、この例示的な実施形態を用いて解決されるものとする。
【符号の説明】
【0035】
1 皮を剥ぐ装置
4′ ローラ
4′′ ローラ
7 フリーホイール機構
7′ フリーホイールクラッチ
7′′ フリーホイールクラッチ
図1
図2A
図2B
図2C