(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2022208189
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2018177591の分割
【原出願日】2018-09-21
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】西出 基
(72)【発明者】
【氏名】姜 貴暢
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆雄
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092143(JP,A)
【文献】特開2012-190823(JP,A)
【文献】特開2000-114229(JP,A)
【文献】特開2012-009511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
それぞれが複数種類の処理流体を基板に供給可能であり、上下方向に配列された複数の処理部と、
前記複数の処理部から上方に向かうとともに、前記複数の処理部からの排気がそれぞれ流入する複数の排気管と、
前記複数の処理部よりも上方に配置され、前記複数種類の処理流体を分類した2以上の流体区分にそれぞれ対応する2以上の集合管と、
それぞれが一の排気管の上端部に設けられるとともに、前記上端部を前記2以上の集合管に接続し、前記排気管を流れる排気の流路を前記2以上の集合管の間で切り替える複数の流路切替部と、
それぞれが前記2以上の集合管に接続されるとともに、前記複数の流路切替部に対応する複数の外気導入部と、
前記複数の処理部において用いられる処理流体に応じて前記複数の流路切替部を制御する制御部と、
を備え、
前記2以上の集合管が、前記複数の処理部と重なった状態にて前記上下方向において積層し、
前記2以上の集合管の一方の側方に前記複数の流路切替部が接続され、前記2以上の集合管の他方の側方に前記複数の外気導入部が接続されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記複数の流路切替部のそれぞれは、2以上の排気開閉弁を備え、
前記複数の外気導入部のそれぞれは、2以上の外気開閉弁を備え、
前記2以上の排気開閉弁と、前記2以上の外気開閉弁は、前記2以上の集合管を挟んで対向することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記複数の処理部を支持する支持フレームをさらに備え、
前記2以上の集合管が、前記支持フレームに対して固定されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記2以上の集合管が、前記上下方向に略垂直な長手方向に延びており、
前記基板処理装置が、前記複数の処理部、前記複数の排気管および前記複数の流路切替部の集合を積層ユニットとして、前記積層ユニットと同様の構成を有するとともに、前記積層ユニットに対して前記長手方向に位置するもう1つの積層ユニットをさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
各排気管が、
処理部から上方に延びる第1排気経路と、
前記第1排気経路の上端から前記上下方向に略垂直な方向に延びる部位を有し、流路切替部に接続される第2排気経路と、
を備え、
前記複数の排気管における複数の第1排気経路の上端が互いに近接して配置され、前記複数の第1排気経路の長さが互いに相違し、
前記複数の排気管における複数の第2排気経路の長さが互いに相違することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
各処理部が、前記上下方向に延びる長孔を介して、前記上下方向に延びる排気管と接続されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記複数の排気管内に所定の液体をそれぞれ噴出する複数の液体噴出部と、
前記複数の排気管の下端部から下方に向かう複数の排液管と、
をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記複数の排気管にそれぞれ設けられる複数の圧力調整部をさらに備え、
各圧力調整部が、
排気管内の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサの測定値に基づいて前記排気管内を流れる前記排気の流量を調整する流量調整機構と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記各圧力調整部が、処理部の排気口に隣接する領域に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
各流路切替部に対応する外気導入部が、前記各流路切替部により前記排気の流路として選択された集合管を除く集合管に外気を導入することを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理装置であって、
各外気導入部が、前記2以上の集合管に連通する外気導入口の開口面積を変更するシャッタを有することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造では、半導体基板(以下、単に「基板」という。)に対して、様々な種類の処理流体を利用して処理を行う基板処理装置が用いられている。また、特許文献1では、基板処理装置から排出される排気の導出先を、処理流体の種類に応じて、3つの排気処理装置の間で切り替える排気切替装置が開示されている。特許文献1では、基板処理装置はクリーンルームに設置され、排気切替装置は、サブファブと呼ばれる、クリーンルームの階下スペースに設置される。排気切替装置を設けることにより、環境負荷の低減が可能となる。なお、特許文献2では、複数の処理室に対応する排気切換ユニットを多段状態に組み込んで構成した排気切換装置が開示されており、排気切換装置にキャスタを取り付けて移動可能とすることや、排気切換装置を設置場所の床面にボルトで固定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-72480号公報
【文献】国際公開第WO2014/103523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のように、排気切替装置をサブファブに配置する場合、基板処理装置の処理部から排気切替装置まで連続する排気管の長さが長くなるため、排気管における圧力損失が大きくなってしまう。排気切替装置を処理部の側方に配置して、排気管を短くすることも考えられるが、基板処理装置の全体のフットプリントが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、排気管における圧力損失を低減するとともに、基板処理装置のフットプリントを小さくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、基板処理装置であって、それぞれが複数種類の処理流体を基板に供給可能であり、上下方向に配列された複数の処理部と、前記複数の処理部から上方に向かうとともに、前記複数の処理部からの排気がそれぞれ流入する複数の排気管と、前記複数の処理部よりも上方に配置され、前記複数種類の処理流体を分類した2以上の流体区分にそれぞれ対応する2以上の集合管と、それぞれが一の排気管の上端部に設けられるとともに、前記上端部を前記2以上の集合管に接続し、前記排気管を流れる排気の流路を前記2以上の集合管の間で切り替える複数の流路切替部と、それぞれが前記2以上の集合管に接続されるとともに、前記複数の流路切替部に対応する複数の外気導入部と、前記複数の処理部において用いられる処理流体に応じて前記複数の流路切替部を制御する制御部とを備え、前記2以上の集合管が、前記複数の処理部と重なった状態にて前記上下方向において積層し、前記2以上の集合管の一方の側方に前記複数の流路切替部が接続され、前記2以上の集合管の他方の側方に前記複数の外気導入部が接続される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記複数の流路切替部のそれぞれは、2以上の排気開閉弁を備え、前記複数の外気導入部のそれぞれは、2以上の外気開閉弁を備え、前記2以上の排気開閉弁と、前記2以上の外気開閉弁は、前記2以上の集合管を挟んで対向する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置であって、前記複数の処理部を支持する支持フレームをさらに備え、前記2以上の集合管が、前記支持フレームに対して固定される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記2以上の集合管が、前記上下方向に略垂直な長手方向に延びており、前記基板処理装置が、前記複数の処理部、前記複数の排気管および前記複数の流路切替部の集合を積層ユニットとして、前記積層ユニットと同様の構成を有するとともに、前記積層ユニットに対して前記長手方向に位置するもう1つの積層ユニットをさらに備える。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、各排気管が、処理部から上方に延びる第1排気経路と、前記第1排気経路の上端から前記上下方向に略垂直な方向に延びる部位を有し、流路切替部に接続される第2排気経路とを備え、前記複数の排気管における複数の第1排気経路の上端が互いに近接して配置され、前記複数の第1排気経路の長さが互いに相違し、前記複数の排気管における複数の第2排気経路の長さが互いに相違する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、各処理部が、前記上下方向に延びる長孔を介して、前記上下方向に延びる排気管と接続される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記複数の排気管内に所定の液体をそれぞれ噴出する複数の液体噴出部と、前記複数の排気管の下端部から下方に向かう複数の排液管とをさらに備える。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記複数の排気管にそれぞれ設けられる複数の圧力調整部をさらに備え、各圧力調整部が、排気管内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサの測定値に基づいて前記排気管内を流れる前記排気の流量を調整する流量調整機構とを備える。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、前記各圧力調整部が、処理部の排気口に隣接する領域に配置される。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、各流路切替部に対応する外気導入部が、前記各流路切替部により前記排気の流路として選択された集合管を除く集合管に外気を導入する。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の基板処理装置であって、各外気導入部が、前記2以上の集合管に連通する外気導入口の開口面積を変更するシャッタを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、排気管における圧力損失を低減するとともに、基板処理装置のフットプリントを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】流路切替部および外気導入部の内部構成を示す図である。
【
図6】排気管の下端部近傍の内部構成を示す図である。
【
図7】集合管群に接続される複数の積層ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の外観を示す図である。基板処理装置1は、後述する処理部31において基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として示している。典型的には、Z方向は上下方向(鉛直方向)であり、X方向およびY方向は水平方向である。
【0020】
図2は、(+Z)側から(-Z)方向を向いて見た基板処理装置1を示す平面図である。
図1および
図2に示すように、基板処理装置1は、制御部10と、支持フレーム20と、容器載置部21と、インデクサロボット22と、センタロボット23と、複数の積層ユニット3と、複数の集合管群6とを備える。制御部10は、基板処理装置1の全体制御を担う。
【0021】
図2に示すように、容器載置部21は、基板処理装置1の(-Y)側の端部に設けられ、複数の容器載置台211を有する。複数の容器載置台211はX方向に並ぶ。各容器載置台211には、複数の基板9を収納する収納容器Cが載置される。収納容器Cは、複数の基板9を多段に収納するキャリアである。インデクサロボット22は、容器載置部21の近傍に配置される。インデクサロボット22は、収納容器Cから未処理の基板9を搬出するとともに、処理済みの基板9を収納容器C内に搬入する。また、インデクサロボット22は、センタロボット23との間で基板9を受け渡す。センタロボット23は、インデクサロボット22の(+Y)側において、X方向のほぼ中央に配置される。センタロボット23は、インデクサロボット22から受け取った未処理の基板9を後述の処理部31内に搬入する。また、センタロボット23は、処理部31から処理済みの基板9を搬出して、当該基板9をインデクサロボット22に渡す。
【0022】
複数の積層ユニット3は、センタロボット23の周囲に配置される。
図2の例では、センタロボット23の(+X)側において2つの積層ユニット3がY方向に並び、センタロボット23の(-X)側において2つの積層ユニット3がY方向に並ぶ。
図1に示すように、各積層ユニット3は、複数の処理部31を含む。複数の処理部31は、上下方向に配列される。本実施の形態では、各積層ユニット3は3個の処理部31を有する。各積層ユニット3における処理部31の個数は、2であってもよく、4以上であってもよい。支持フレーム20は、基板処理装置1の主たる構成を支持する支持体である。
図1では、支持フレーム20の一部を太い破線で示している。複数の積層ユニット3の処理部31は、ボルト等により支持フレーム20に取り付けられ、支持フレーム20により支持される。
【0023】
図1および
図2では、各処理部31における処理チャンバの外形を破線の矩形で示している。処理部31では、処理チャンバの内部に、基板保持部、ノズル部等が設けられる。処理部31では、基板保持部に保持される基板9に対して、ノズル部を介して複数種類の処理流体を供給可能である。処理流体が、液体である場合、例えば、基板保持部を回転する基板回転部、および、基板保持部の周囲を囲むカップ部がさらに設けられ、回転する基板9上に供給された処理流体はカップ部により受けられて回収される。また、処理チャンバの上方には、ファンフィルタユニット(FFU)が設けられており、処理チャンバ内において下方に向かう気流が形成される。処理部31において利用される処理流体は、複数の流体区分に分類される。本実施の形態では、複数の流体区分は、酸性薬液、アルカリ性薬液および有機溶剤を含む。処理流体は、気体であってもよい。
【0024】
酸性薬液は、例えば、DHF(希フッ酸)、SC2(塩酸過酸化水素水)、BHF(Buffered HF)、硫酸、SPM(硫酸過酸化水素水)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸との混合液)等である。アルカリ性薬液は、例えば、SC1(アンモニア過酸化水素水)、アンモニア水、フッ化アンモニウム溶液、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等である。有機溶剤は、IPA(イソプロピルアルコール)、メタノール、エタノール、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、アセトン等である。有機溶剤は混合液であってもよく、例えば、IPAとアセトンの混合液、IPAとメタノールの混合液等である。
【0025】
図2に示すように、基板処理装置1では、酸性薬液供給ユニット81、アルカリ性薬液供給ユニット82および有機溶剤供給ユニット83も設けられる。酸性薬液供給ユニット81、アルカリ性薬液供給ユニット82および有機溶剤供給ユニット83は、複数の積層ユニット3の(+Y)側に配置される。酸性薬液供給ユニット81は、酸性薬液を貯溜するとともに、処理部31のノズル部に酸性薬液を供給する。アルカリ性薬液供給ユニット82は、アルカリ性薬液を貯溜するとともに、処理部31のノズル部にアルカリ性薬液を供給する。有機溶剤供給ユニット83は、有機溶剤を貯溜するとともに、処理部31のノズル部に有機溶剤を供給する。
【0026】
複数の集合管群6は、複数の積層ユニット3の上方に配置される。
図1に示すように、各集合管群6は、複数の集合管61a,61b,61cを備える。各集合管群6に含まれる複数の集合管61a~61cは、上下方向に積層された状態で、上下方向に略垂直な方向(
図1中のY方向であり、以下、「長手方向」という。)に延びる。本実施の形態では、長手方向に垂直な集合管61a~61cの断面形状は、矩形である(後述の
図3参照)。集合管61a~61cの断面形状は、他の形状であってもよい。複数の集合管61a~61cは、図示省略の部材を介して支持フレーム20に対して固定される。
【0027】
図1および
図2の例では、2つの集合管群6が設けられ、各集合管群6が3個の集合管61a~61cを含む。また、各集合管群6は、長手方向に並ぶ2つの積層ユニット3の上方に配置され、当該2つの積層ユニット3に含まれる各処理部31は、後述の排気管4等を介して当該集合管群6の3個の集合管61a~61cに接続される。当該集合管群6の3個の集合管61a~61cは、当該2つの積層ユニット3に含まれる複数の処理部31と上下方向に重なる。すなわち、
図2のように基板処理装置1を平面視した場合に、当該3個の集合管61a~61cは、当該複数の処理部31と重なる。基板処理装置1では、センタロボット23の上方においてファンフィルタユニット(FFU)が設けられるが、上下方向において、複数の集合管61a~61cが複数の処理部31と重なることにより、ファンフィルタユニットにおける空気の取り入れが、集合管61a~61cにより妨げられることが防止される。
【0028】
各集合管群6に含まれる複数の集合管61a~61cは、既述の複数の流体区分にそれぞれ対応する。本実施の形態では、上下方向に積層される複数の集合管61a~61cのうち、最も上側の集合管61aは、酸性薬液に対応する。すなわち、処理部31内において酸性薬液を利用する際に、処理部31から排出される気体(以下、「酸性排気」という。)の排出ラインとして、最も上側の集合管61aが利用される。酸性排気は、例えば酸性薬液から発生する気体およびミストを含む。同様に、処理部31内においてアルカリ性薬液を利用する際に、処理部31から排出される気体(以下、「アルカリ性排気」という。)の排出ラインとして、最も下側の集合管61cが利用される。アルカリ性排気は、例えばアルカリ性薬液から発生する気体およびミストを含む。また、処理部31内において有機溶剤を利用する際に、処理部31から排出される気体(以下、「有機排気」という。)の排出ラインとして、中央の集合管61bが利用される。有機排気は、例えば有機溶剤から発生する気体およびミストを含む。
【0029】
図2に示すように、複数の集合管61a~61cの(+Y)側の端部は、排気ユニット62に接続される。排気ユニット62では、上下方向に延びる複数の排気路が設けられており、複数の集合管61a~61cは、複数の排気路の上端にそれぞれ接続される。各排気路の下端は、工場配管に接続される。工場配管は、およそ一定の圧力に減圧されている。酸性排気、アルカリ性排気および有機排気は、工場配管を介して個別の排気処理設備へと導かれ、適切に処理される。工場配管の配置によっては、各集合管61a~61cが、当該集合管61a~61cから上方に延びる排気路を介して、工場配管に接続されてもよい。
【0030】
図3は、(-Y)側から(+Y)方向を向いて見た積層ユニット3を示す図である。各積層ユニット3は、複数の処理部31に加えて、複数の排気管4と、複数の流路切替部5と、複数の外気導入部7とをさらに備える。複数の排気管4は、複数の処理部31にそれぞれ接続される。各排気管4は、処理部31から排出される酸性排気、アルカリ性排気および有機排気(以下、「排気」と総称する。)が流入する流路である。なお、処理部31で利用される処理液(酸性薬液、アルカリ性薬液および有機溶剤を含む。)は、図示省略の排液ラインを介して排出される。
【0031】
図3に示すように、各排気管4は、第1排気経路41と、第2排気経路42とを備える。第1排気経路41は上下方向に延びており、第1排気経路41の下端411は、処理部31に接続される。第1排気経路41の下端411は、排気管4の下端部であり、以下、「下端部411」という。排気管4の下端部411近傍には、後述の圧力調整部46等(
図6参照)が設けられる。第1排気経路41の上端412は、当該処理部31よりも上方に位置する。第1排気経路41の上端412には、第2排気経路42が接続される。
【0032】
既述のように、各積層ユニット3において、複数の処理部31は上下方向に積層されており、当該複数の処理部31に接続される複数の第1排気経路41では、上下方向における下端部411の位置が互いに相違する。一方、当該複数の第1排気経路41では、上下方向における上端412の位置が互いに同じである。したがって、複数の第1排気経路41の長さは互いに相違する。当該複数の第1排気経路41のうち、最も下側に配置される処理部31に接続する第1排気経路41の長さが最大となり、最も上側に配置される処理部31に接続する第1排気経路41の長さが最小となる。上下方向に3個の処理部31が積層される
図3の例では、下段の処理部31に接続する第1排気経路41の長さが、中段の処理部31に接続する第1排気経路41よりも長く、中段の処理部31に接続する第1排気経路41の長さが、上段の処理部31に接続する第1排気経路41よりも長い。
【0033】
また、各積層ユニット3では、第1排気経路41の下端部411の、処理部31に対する相対位置が、複数の第1排気経路41において同じである。具体的には、処理部31におけるY方向を向く側面において、X方向の端部に下端部411が取り付けられる。また、複数の第1排気経路41における上端412が互いに近接しつつX方向に並ぶように、中段の処理部31に接続する第1排気経路41、および、下段の処理部31に接続する第1排気経路41では、上下方向に対して傾斜した方向に延びる部位が設けられる。
【0034】
図4は、
図3中の(+X)側の積層ユニット3における複数の第2排気経路42を示す平面図である。各第2排気経路42は、第1接続端部421と、第2接続端部422とを備える。第1接続端部421および第2接続端部422は、第2排気経路42の両端部である。
【0035】
複数の第2排気経路42の第1接続端部421は、X方向に並んでおり、複数の第1接続端部421には、複数の第1排気経路41の上端412がそれぞれ接続される。
図3および
図4に示すように、最も(-X)側の第1接続端部421には、上段の処理部31に接続する第1排気経路41の上端412が接続され、当該第1接続端部421は、当該第1排気経路41を介して上段の処理部31に接続する。このように、最も(-X)側の第1接続端部421、および、当該第1接続端部421を有する第2排気経路42は、上段の処理部31に対応する。同様に、当該第1接続端部421の(+X)側に隣接する第1接続端部421には、中段の処理部31に接続する第1排気経路41の上端412が接続され、当該第1接続端部421、および、当該第1接続端部421を有する第2排気経路42は、中段の処理部31に対応する。また、最も(+X)側の第1接続端部421には、下段の処理部31に接続する第1排気経路41の上端412が接続され、当該第1接続端部421、および、当該第1接続端部421を有する第2排気経路42は、下段の処理部31に対応する。
【0036】
複数の第2排気経路42の第2接続端部422は、集合管61a~61cの長手方向(Y方向)に沿って並んでおり、複数の第2接続端部422には、複数の流路切替部5がそれぞれ接続される。第1接続端部421が最も(+X)側に配置される第2排気経路42、すなわち、下段の処理部31に対応する第2排気経路42では、第1接続端部421から第2接続端部422までの経路はX方向のみに延びる。他の2つの第2排気経路42、すなわち、中段の処理部31に対応する第2排気経路42、および、上段の処理部31に対応する第2排気経路42では、第1接続端部421から第2接続端部422までの経路が、Y方向に延びる部位と、X方向に延びる部位とを有し、L字状である。複数の第2排気経路42における上記経路の長さは、互いに相違する。具体的には、上段の処理部31に対応する第2排気経路42の長さが、中段の処理部31に対応する第2排気経路42よりも長く、中段の処理部31に対応する第2排気経路42の長さが、下段の処理部31に対応する第2排気経路42よりも長い。なお、
図4の第2排気経路42の形状は一例に過ぎず、第2排気経路42は、第1排気経路41の上端から上下方向に略垂直な方向に延びる部位を有する他の形状であってもよい。
【0037】
既述のように、各積層ユニット3に含まれる複数の排気管4では、複数の第1排気経路41のうち、上段の処理部31に対応する第1排気経路41の長さが最小であり、下段の処理部31に対応する第1排気経路41の長さが最大である。また、複数の第2排気経路42のうち、上段の処理部31に対応する第2排気経路42の長さが最大であり、下段の処理部31に対応する第2排気経路42の長さが最小である。したがって、複数の排気管4に含まれる2つの排気管4の各組合せでは、一方の排気管4における第1排気経路41の長さが他方の排気管4における第1排気経路41よりも長く、当該一方の排気管4における第2排気経路42の長さが当該他方の排気管4における第2排気経路42よりも短くなる。なお、基板処理装置1の設計によっては、2つの排気管4の各組合せにおける上記関係が成立しなくてもよい。
【0038】
図5は、流路切替部5および外気導入部7の内部構成を模式的に示す図である。
図5では、後述の圧力調整部46も図示している。既述のように、流路切替部5は、排気管4の上端部である第2排気経路42(
図4参照)に取り付けられており、排気管4を介して1つの処理部31に接続される。流路切替部5は、分岐管51と、複数の排気開閉弁53a,53b,53cとを備える。分岐管51の一端は、排気管4に接続される。分岐管51の他端は、複数の分岐路52a,52b,52cに分岐しており、複数の分岐路52a~52cが、集合管群6の複数の集合管61a~61cにそれぞれ接続される。このように、流路切替部5は、排気管4の上端部を複数の集合管61a~61cに接続する。
【0039】
本実施の形態では、分岐路52aは、酸性排気用の集合管61aに接続され、分岐路52bは、有機排気用の集合管61bに接続され、分岐路52cは、アルカリ性排気用の集合管61cに接続される。複数の分岐路52a~52cの内部には、複数の排気開閉弁53a~53cがそれぞれ設けられる。排気開閉弁53a~53cは、例えばバタフライ弁である。排気開閉弁53a~53cは、他の種類の弁であってもよい。各排気開閉弁53a~53cは、エアシリンダまたはモータ等のアクチュエータ(図示省略)に接続されており、排気開閉弁53a~53cにより、分岐路52a~52cの流路が開閉可能である。
【0040】
外気導入部7は、集合管群6を挟んで各流路切替部5に対向する位置に配置され、複数の集合管61a~61cに接続される。外気導入部7は、分岐管71と、複数の外気開閉弁73a,73b,73cと、シャッタ79とを備える。分岐管71の一端は、外気導入口711として開口している。後述するように、外気導入口711は、分岐管71を介して複数の集合管61a~61cに連通する。外気導入口711には、シャッタ79が設けられる。シャッタ79は、例えば、2つの板状部材791を備え、2つの板状部材791は、外気導入口711の開口面に沿って移動可能である。シャッタ79では、2つの板状部材791の位置を変更することにより、外気導入口711の開口面積を変更することが可能である。
【0041】
分岐管71の他端は、複数の分岐路72a,72b,72cに分岐しており、複数の分岐路72a~72cが、集合管群6の複数の集合管61a~61cにそれぞれ接続される。すなわち、分岐路72aは、酸性排気用の集合管61aに接続され、分岐路72bは、有機排気用の集合管61bに接続され、分岐路72cは、アルカリ性排気用の集合管61cに接続される。複数の分岐路72a~72cの内部には、複数の外気開閉弁73a~73cがそれぞれ設けられる。外気開閉弁73a~73cは、例えばバタフライ弁である。外気開閉弁73a~73cは、他の種類の弁であってもよい。各外気開閉弁73a~73cは、エアシリンダまたはモータ等のアクチュエータ(図示省略)に接続されており、外気開閉弁73a~73cにより、分岐路72a~72cの流路が開閉可能である。
【0042】
基板処理装置1では、各処理部31において用いられる処理流体に応じて、当該処理部31に対応する流路切替部5および外気導入部7が制御部10により制御される。具体的には、各流路切替部5が接続された処理部31内において酸性薬液を利用する際には、分岐路52a内の排気開閉弁53aが開かれ、他の排気開閉弁53b,53cが閉じられる。これにより、当該処理部31からの酸性排気が、酸性排気用の集合管61aに導かれ、他の集合管61b,61cには導かれない。このとき、外気導入部7の分岐路72a内の外気開閉弁73aが閉じられ、他の外気開閉弁73b,73cが開かれる。これにより、有機排気用の集合管61b、および、アルカリ性排気用の集合管61cに、外気が分岐路72b,72cを介して導かれる。
【0043】
また、当該処理部31内において有機溶剤を利用する際には、分岐路52b内の排気開閉弁53bが開かれ、他の排気開閉弁53a,53cが閉じられる。これにより、当該処理部31からの有機排気が、有機排気用の集合管61bに導かれ、他の集合管61a,61cには導かれない。このとき、外気導入部7の分岐路72b内の外気開閉弁73bが閉じられ、他の外気開閉弁73a,73cが開かれる。これにより、酸性排気用の集合管61a、および、アルカリ性排気用の集合管61cに、外気が分岐路72a,72cを介して導かれる。
【0044】
さらに、当該処理部31内においてアルカリ性薬液を利用する際には、分岐路52c内の排気開閉弁53cが開かれ、他の排気開閉弁53a,53bが閉じられる。これにより、当該処理部31からのアルカリ性排気が、アルカリ性排気用の集合管61cに導かれ、他の集合管61a,61bには導かれない。このとき、外気導入部7の分岐路72c内の外気開閉弁73cが閉じられ、他の外気開閉弁73a,73bが開かれる。これにより、酸性排気用の集合管61a、および、有機排気用の集合管61bに、外気が分岐路72a,72bを介して導かれる。
【0045】
以上のように、各流路切替部5では、排気管4を流れる排気の流路が、複数の集合管61a~61cの間で切り替えられる。また、当該流路切替部5に対応する外気導入部7では、当該流路切替部5により排気の流路として選択された集合管を除く集合管に外気が導入される。各外気導入部7では、各集合管61a~61cへの外気の導入流量が、当該集合管61a~61cのみに排気を導入する場合の排気の流量と近似するように、外気導入口711の開口面積がシャッタ79を用いて予め調整される。これにより、各集合管61a~61cに流入する気体の流量を、常時ほぼ一定に保つことが可能となり、集合管61a~61cにおける圧力変動が抑制される。
【0046】
図6は、排気管4の下端部411近傍の内部構成を示す図である。処理部31の処理チャンバにおいて、Y方向を向く面には、上下方向に延びる長孔311が形成される。上下方向に延びる排気管4の下端部411にも、上下方向に延びる長孔413が形成される。処理部31の長孔311と排気管4の長孔413とが重なるように、排気管4が処理部31に取り付けられる。このように、長孔311,413を介して処理部31と排気管4とが接続されることにより、処理部31と排気管4との接続部における流路面積を大きくして、圧力損失を小さくすることが可能である。
【0047】
基板処理装置1は、複数の圧力調整部46と、複数の液体噴出部47と、複数の排液管48をさらに備える。圧力調整部46および排液管48は、各排気管4の下端部411、すなわち、処理部31の排気口(長孔311)に隣接する領域に配置される。液体噴出部47は、各処理部31内の長孔311近傍に設けられる。圧力調整部46は、圧力センサ461と、流量調整機構462とを備える。流量調整機構462は、ダンパ463と、開度調整部464とを備える。ダンパ463は、長孔413よりも上方において排気管4内に設けられる。開度調整部464は、例えばモータを有し、ダンパ463の開度を変更する。圧力センサ461は、排気管4内において長孔413の近傍に設けられ、排気管4内の圧力を測定する。圧力センサ461の測定値は、制御部10に入力される。制御部10では、圧力センサ461の測定値が所定値で一定となるように、開度調整部464を用いてダンパ463の開度が調整される。このように、流量調整機構462により、圧力センサ461の測定値に基づいて排気管4内を流れる排気の流量が調整される。
【0048】
排液管48は、排気管4の下端部411から下方に向かう。排液管48は、工場配管を介して排液処理設備に接続される。既述のように、液体噴出部47は、処理部31内において長孔311近傍に設けられる。液体噴出部47は、排気管4内に所定の液体を噴出するノズル部である。本実施の形態では、純水が液体噴出部47から噴出される。これにより、薬液等から生成するとともに、排気に含まれる微小な結晶等が、噴出された純水に捕捉され、純水と共に排液管48を介して排液処理設備に排出される。このように、排気に含まれる微小な結晶等が、液体噴出部47からの純水により排気から分離される。液体噴出部47では、純水以外の液体が利用されてもよい。
【0049】
図7は、1つの集合管群6に接続される複数の積層ユニット3を模式的に示す図である。
図7では、集合管群6の複数の集合管61a~61cを太い実線で示している。
図1および
図7に示すように、一の積層ユニット3に含まれる各処理部31が、排気管4および流路切替部5を介して複数の集合管61a~61cに接続される。また、当該一の積層ユニット3に対して、集合管61a~61cの長手方向(Y方向)に他の積層ユニット3が位置しており、当該他の積層ユニット3に含まれる各処理部31が、排気管4および流路切替部5を介して複数の集合管61a~61cに接続される。このようにして、各集合管群6の複数の集合管61a~61cには、互いに同様の構成を有する複数の積層ユニット3が接続される。
【0050】
本実施の形態では、排気管4に設けられる既述の圧力調整部46と同様の構造を有する圧力調整部63が、
図7に示すように各集合管61a~61cに設けられる。これにより、工場配管の圧力が、当該工場配管に接続されている他の装置の影響等により変動する場合であっても、当該工場配管を介して減圧されている集合管61a~61c内の圧力(圧力調整部63よりも積層ユニット3側の圧力)が、変動することが抑制される。
【0051】
また、既述のように、各流路切替部5に対して外気導入部7(
図7では、図示を省略している。)が設けられており、流路切替部5により排気の流路として選択されていない集合管にも、外気導入部7により外気が導入される。これにより、各集合管61a~61cに流入する気体の流量を、ほぼ一定に保つことが可能となり、集合管61a~61c内の圧力が、当該集合管61a~61cに接続される複数の処理部31における処理の内容に依存して変動することが抑制される。さらに、各排気管4において圧力調整部46が設けられることにより、集合管61a~61c内の圧力の変動の抑制と相俟って、処理部31の排気口である長孔311近傍における圧力を、常時ほぼ一定に保つことが可能となる。その結果、各処理部31において圧力の条件を時間的に一定にするとともに、複数の処理部31の間においても圧力の条件を一定にすることが可能となる。
【0052】
ところで、特開2016-72480号公報(上記特許文献1)の装置のように、各処理部に対する排気切替装置をサブファブに配置する場合、処理部から排気切替装置まで連続する排気管の長さが長くなるため、排気管における圧力損失が大きくなってしまう。また、排気切替装置の配置によっては、複数の排気管において長さや経路が異なり、当該複数の排気管に接続される複数の処理部において圧力の条件がばらつく場合もある。この場合、複数の処理部における処理結果に大きな差が生じてしまう。排気切替装置を処理部の側方に配置して、排気管を短くすることも考えられるが、基板処理装置の全体のフットプリントが大きくなってしまう。また、処理部の個数を増加する場合には、必要となる排気切替装置の個数も増加するため、基板処理装置の全体のフットプリントはさらに大きくなる(排気切替装置をサブファブに配置する場合も同様)。
【0053】
これに対し、基板処理装置1では、上下方向に配列される複数の処理部31よりも上方に、複数の集合管61a~61cが配置される。また、複数の排気管4が、複数の処理部31から上方に向かうように取り付けられる。そして、各排気管4の上端部に流路切替部5が設けられ、当該排気管4を流れる排気の流路が複数の集合管61a~61cの間で切り替えられる。このように、流路切替部5を処理部31の近傍に配置することにより、排気切替装置をサブファブに配置する場合に比べて、排気管4を短くすることができ、排気管4における圧力損失を低減することが可能となる。また、複数の処理部31における圧力の条件のばらつきを低減し、複数の処理部31における処理結果に差が生じることを抑制することができる。
【0054】
基板処理装置1では、複数の集合管61a~61c、および、複数の流路切替部5を上部(天井部)に配置することにより、排気切替装置を処理部の側方に配置する場合に比べて、基板処理装置1のフットプリントを小さくすることができる。また、処理部の個数を増加する場合でも、フットプリントの増大を抑制することができる。さらに、集合管61a~61cおよび流路切替部5が、他の構成により覆われない設計が容易となり、この場合、集合管61a~61cおよび流路切替部5のメンテナンス等も容易に行うことが可能となる。
図1の基板処理装置1では、集合管61a~61cも、処理部31と同様に支持フレーム20に対して固定されており、集合管61a~61c、流路切替部5および処理部31を一体的に設けた構造が実現される。
【0055】
各排気管4では、処理部31から上方に延びる第1排気経路41と、第1排気経路41の上端に接続される第2排気経路42とが設けられる。第2排気経路42は、第1排気経路41の上端から上下方向に略垂直な方向に延びる部位を有し、流路切替部5に接続される。各積層ユニット3の複数の排気管4に含まれる2つの排気管4の各組合せでは、一方の排気管4における第1排気経路41の長さが他方の排気管4における第1排気経路41よりも長く、当該一方の排気管4における第2排気経路42の長さが当該他方の排気管4における第2排気経路42よりも短い。これにより、同じ積層ユニット3に含まれる複数の排気管4において、圧力損失の差を小さくすることができる。
【0056】
基板処理装置1では、排気管4内に所定の液体を噴出する液体噴出部47と、排気管4の下端部411から下方に向かう排液管48とがさらに設けられる。これにより、排気に含まれる微小な結晶等が、液体噴出部47から噴出された液体に捕捉され、当該液体と共に排液管48を介して排液処理設備に排出される。これにより、当該結晶等が排気管4等の内面に付着して、圧力損失が増大することを抑制することができる。
【0057】
ここで、仮に、処理部31から下方に向かう排気管を設ける場合には、液体噴出部47から噴出された液体が当該排気管内を移動して下方へと向かう。この場合、当該排気管の途中に、当該液体を回収する回収タンクが設けられる。このような構造では、当該回収タンク内の液体の量により、処理部31の排気口近傍における圧力が変動してしまう。これに対し、基板処理装置1では、処理部31から上方に向かう排気管4が設けられることにより、上記構造のように回収タンク内の液体の量に依存する圧力変動が生じることが防止される。
【0058】
上記基板処理装置1では様々な変形が可能である。
【0059】
上記実施の形態では、各集合管群6における複数の集合管61a~61cが上下方向に配列されるが、
図8に示すように、複数の集合管61a~61cが、長手方向および上下方向に垂直な方向(X方向)に配列されてもよい。この場合も、上下方向において、複数の集合管61a~61cが複数の処理部31と重なることにより、センタロボット23(
図2参照)の上方に設けられるファンフィルタユニットにおける空気の取り入れが、集合管61a~61cにより妨げられることが防止される。
【0060】
また、各集合管群6において、2つの集合管のみが設けられてもよい。この場合、一例では、一方の集合管は酸性排気用であり、他方の集合管はアルカリ性排気用である。他の例では、一方の集合管は酸性排気用であり、他方の集合管は有機排気用である。また、各集合管群6において、4個以上の集合管が設けられてもよく、この場合、処理部31において供給可能な複数種類の処理流体が、4以上の流体区分に分類される。以上のように、基板処理装置1では、複数種類の処理流体を分類した2以上の流体区分にそれぞれ対応する2以上の集合管が設けられていればよい。なお、各流路切替部5の排気開閉弁の個数、および、各外気導入部7の外気開閉弁の個数は、上記2以上の集合管と同じである。
【0061】
各排気管4に設けられる
図6の圧力調整部46では、ダンパ463の開度を変更することにより、排気管4内を流れる排気の流量が調整されるが、例えば、送風ファンを流量調整機構として用いて圧力調整部46が実現されてもよい。この場合、圧力センサ461の測定値に基づいて送風ファンの回転数を変更することにより、排気管4内を流れる排気の流量が調整される。各集合管61a~61cに設けられる圧力調整部63(
図7参照)においても同様に送風ファンが用いられてもよい。
【0062】
図5の外気導入部7において、複数の分岐路72a~72c(分岐管71)に代えて、互いに独立した複数の管が設けられてもよい。この場合に、当該複数の管における、複数の集合管61a~61cとは反対側の端部に複数の外気導入口711がそれぞれ設けられ、各外気導入口711にシャッタ79が取り付けられてもよい。これにより、外気の導入流量を集合管61a~61c毎に精度よく調整することが可能となる。
【0063】
基板処理装置1の設計によっては、各積層ユニット3において外気導入部7が省略されてもよい。積層ユニット3は、複数の処理部31、複数の排気管4および複数の流路切替部5の集合を少なくとも含んでいればよい。
【0064】
基板処理装置1において処理が行われる基板は半導体基板には限定されず、ガラス基板や他の基板であってもよい。
【0065】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0066】
1 基板処理装置
3 積層ユニット
4 排気管
5 流路切替部
7 外気導入部
9 基板
10 制御部
20 支持フレーム
31 処理部
41 第1排気経路
42 第2排気経路
46 圧力調整部
47 液体噴出部
48 排液管
53a~53c 排気開閉弁
61a~61c 集合管
73a~73c 外気開閉弁
79 シャッタ
311 (処理部の)長孔
411 (排気管の)下端部
412 (第1排気経路の)上端
461 圧力センサ
462 流量調整機構
711 外気導入口