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特許7394209マルチ画素密度OLEDディスプレイのためのパルス幅変調
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】マルチ画素密度OLEDディスプレイのためのパルス幅変調
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3208 20160101AFI20231130BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231130BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20231130BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G09G3/3208
G09F9/30 365
G09F9/302 Z
G09G3/20 641A
G09G3/20 642B
G09G3/20 680D
G09G3/20 680H
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022506482
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 US2019044680
(87)【国際公開番号】W WO2021021210
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,サンム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ウォンジャエ
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,サン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スン-イル
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108766347(CN,A)
【文献】特開2008-009280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0322831(US,A1)
【文献】特開2005-148749(JP,A)
【文献】特開2005-243281(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106205453(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3208
G09F 9/30
G09F 9/302
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素密度を有する第1の複数の画素線と、前記第1の画素密度よりも高い第2の画素密度を有する第2の複数の画素線とを有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを駆動するための方法であって、前記画素線は、ともに連続的に結合される1行に並んだ複数の画素であり、前記第1の画素密度と前記第2の画素密度との相違は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを生じさせ、前記方法は、
第1の放射信号生成器に第1の放射開始パルスを提供することにより、前記第1の複数の画素線が画像コンテンツのフレームの第1の部分を表示するよう、前記第1の放射信号生成器に第1の複数の駆動信号を生成させるステップと、
前記第1の放射開始パルスを受信した結果として前記第1の放射信号生成器が、前記第1の複数の画素線を、前記第1の複数の対応する駆動信号を用いて駆動するステップを含み、前記第1の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第1の長さの時間の第1の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第1の画素オフ時間とを有し、前記方法はさらに、
第2の放射信号生成器に第2の放射開始パルスを提供することにより、前記第2の複数の画素線が画像コンテンツの前記フレームの第2の部分を表示するよう、前記第2の放射信号生成器に第2の複数の駆動信号を生成させるステップと、
前記第2の放射開始パルスを受信した結果として前記第2の放射信号生成器が、前記第2の複数の画素線を、前記第2の複数の対応する駆動信号を用いて駆動するステップを含み、前記第2の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第2の長さの時間の第2の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第2の画素オフ時間とを有し、
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを減少させるように、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間と異なる、方法。
【請求項2】
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間よりも2倍長い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第1の画素密度と前記第2の画素密度との差に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記ディスプレイについての明るさを決定するステップと、
前記明るさに基づいて、前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間と前記第2の複数の画素線が駆動される前記第2の長さの時間とを決定するステップとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の複数の画素線の前記輝度が、前記第2の複数の画素線の前記輝度と実質的に同一であり、かつ、決定された前記明るさに対応するように、前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間と前記第2の複数の画素線が駆動される前記第2の長さの時間とを決定するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の放射開始パルスは、前記第1の放射開始パルスの画素オン時間の開始後に開始する画素オン時間を有し、
前記第1の複数の駆動信号の全てが前記第1の複数の画素線の駆動を開始した後に、前記第2の複数の駆動信号は、前記第2の複数の画素線の駆動を開始する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の放射信号生成器は、前記第1の複数の画素線のための前記駆動信号の各々についての前記画素オン時間の開始が前記第1の放射開始パルスから異なる期間だけずれ、前記第1の複数の画素線が次から次へと連続して発光を開始するように、前記第1の複数の画素線のための前記第1の複数の駆動信号を生成し、
前記第2の放射信号生成器は、前記第2の複数の画素線のための前記駆動信号の各々についての前記画素オン時間の開始が前記第2の放射開始パルスから異なる期間だけずれ、前記第2の複数の画素線が次から次へと連続して発光を開始するように、前記第2の複数の画素線のための前記第2の複数の駆動信号を生成する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数の駆動信号の各々は、前記第1の放射開始パルスの形状に一致する第1の形状を有し、
前記第2の複数の駆動信号の各々は、前記第2の放射開始パルスの形状に一致する第2の形状を有し、
前記第1の複数の駆動信号の各々の前記第1の画素オン時間は、前記第2の複数の駆動信号の各々の前記第2の画素オン時間よりも大きい、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
装置であって、
第1の画素密度を有する第1の複数の画素線と、前記第1の画素密度よりも高い第2の画素密度を有する第2の複数の画素線とを有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、
回路とを含み、
前記画素線は、ともに連続的に結合される1行に並んだ複数の画素であり、前記第1の画素密度と前記第2の画素密度との相違は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを生じさせ、前記回路は、
第1の放射信号生成器に第1の放射開始パルスを提供することにより、前記第1の複数の画素線が画像コンテンツのフレームの第1の部分を表示するよう、前記第1の放射信号生成器に第1の複数の駆動信号を生成させるため、および、
前記第1の放射開始パルスを受信した結果として前記第1の放射信号生成器が、前記第1の複数の画素線を、前記第1の複数の対応する駆動信号を用いて駆動するために構成され、前記第1の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第1の長さの時間の第1の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第1の画素オフ時間とを有し、前記回路はさらに、
第2の放射信号生成器に第2の放射開始パルスを提供することにより、前記第2の複数の画素線が画像コンテンツの前記フレームの第2の部分を表示するよう、前記第2の放射信号生成器に第2の複数の駆動信号を生成させるため、および、
前記第2の放射開始パルスを受信した結果として前記第2の放射信号生成器が、前記第2の複数の画素線を、前記第2の複数の対応する駆動信号を用いて駆動するために構成され、前記第2の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第2の長さの時間の第2の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第2の画素オフ時間とを有し、
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを減少させるように、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間と異なる、装置。
【請求項11】
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間よりも大きい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間よりも2倍長い、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第1の画素密度と前記第2の画素密度との差に基づいて決定される、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記回路は、
前記ディスプレイについての明るさを決定するためおよび、
前記明るさに基づいて、前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間と前記第2の複数の画素線が駆動される前記第2の長さの時間とを決定するために構成される、請求項10~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記回路は、
前記第1の複数の画素線の前記輝度が、前記第2の複数の画素線の前記輝度と実質的に同一であり、かつ、決定された前記明るさに対応するように、前記第1の複数の画素線が駆動される前記第1の長さの時間と前記第2の複数の画素線が駆動される前記第2の長さの時間とを決定するために構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の放射開始パルスは、前記第1の放射開始パルスの画素オン時間の開始後に開始する画素オン時間を有し、
前記第1の複数の駆動信号の全てが前記第1の複数の画素線の駆動を開始した後に、前記第2の複数の駆動信号は、前記第2の複数の画素線の駆動を開始する、請求項10~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の放射信号生成器は、前記第1の複数の画素線のための前記駆動信号の各々についての前記画素オン時間の開始が前記第1の放射開始パルスから異なる期間だけずれ、前記第1の複数の画素線が次から次へと連続して発光を開始するように、前記第1の複数の画素線のための前記第1の複数の駆動信号を生成し、
前記第2の放射信号生成器は、前記第2の複数の画素線のための前記駆動信号の各々についての前記画素オン時間の開始が前記第2の放射開始パルスから異なる期間だけずれ、前記第2の複数の画素線が次から次へと連続して発光を開始するように、前記第2の複数の画素線のための前記第2の複数の駆動信号を生成する、請求項10~16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の複数の駆動信号の各々は、前記第1の放射開始パルスの形状に一致する第1の形状を有し、
前記第2の複数の駆動信号の各々は、前記第2の放射開始パルスの形状に一致する第2の形状を有し、
前記第1の複数の駆動信号の各々の前記第1の画素オン時間は、前記第2の複数の駆動信号の各々の前記第2の画素オン時間よりも大きい、請求項10~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
第1の画素密度を有する第1の複数の画素線と、前記第1の画素密度よりも高い第2の画素密度を有する第2の複数の画素線とを有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを駆動するためのコンピュータプログラムであって、前記画素線は、ともに連続的に結合される1行に並んだ複数の画素であり、前記第1の画素密度と前記第2の画素密度との相違は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを生じさせ、前記コンピュータプログラムは、1つ以上のコンピュータによって実行可能な命令を含み、前記命令は、そのような実行時に、前記1つ以上のコンピュータに、
第1の放射信号生成器に第1の放射開始パルスを提供することにより、前記第1の複数の画素線が画像コンテンツのフレームの第1の部分を表示するよう、前記第1の放射信号生成器に第1の複数の駆動信号を生成させることと、
前記第1の放射開始パルスを受信した結果として前記第1の放射信号生成器が、前記第1の複数の画素線を、前記第1の複数の対応する駆動信号を用いて駆動することを含む動作を行なわせ、前記第1の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第1の長さの時間の第1の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第1の画素オフ時間とを有し、前記コンピュータプログラムはさらに、前記1つ以上のコンピュータに、
第2の放射信号生成器に第2の放射開始パルスを提供することにより、前記第2の複数の画素線が画像コンテンツの前記フレームの第2の部分を表示するよう、前記第2の放射信号生成器に第2の複数の駆動信号を生成させることと、
前記第2の放射開始パルスを受信した結果として前記第2の放射信号生成器が、前記第2の複数の画素線を、前記第2の複数の対応する駆動信号を用いて駆動することとを含む動作を行わせ、前記第2の複数の駆動信号の各々は、(i)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が発光する第2の長さの時間の第2の画素オン時間と、(ii)前記それぞれの駆動信号によって駆動される前記画素線における画素が暗い第2の画素オフ時間とを有し、
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第1の複数の画素線と前記第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを減少させるように、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間と異なる、コンピュータプログラム。
【請求項20】
前記第1の複数の画素線における画素が駆動される前記第1の長さの時間は、前記第2の複数の画素線における画素が駆動される前記第2の長さの時間よりも大きい、請求項19に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
電子デバイスは、明るさが変わり得るディスプレイを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
この明細書は、マルチ画素密度有機発光ダイオード(organic light-emitting diode:OLED)ディスプレイのためのパルス幅変調のための手法、方法、システム、および他のメカニズムを説明する。ディスプレイ全体にわたって複数の異なる画素密度を有する部分を有するOLEDディスプレイは、それらの部分が同様のパルス幅変調に基づいて駆動される場合、明るさが異なるかもしれない。
【0003】
たとえば、ディスプレイの第1の部分は、ディスプレイの第2の部分と同様のサイズである画素を有するが、第2の部分が有する画素数の半分しか有していないかもしれない。したがって、ディスプレイのこれら2つの部分が、同様の幅のパルスを用いて駆動される場合、第1の部分は第2の部分よりも薄暗く見えるかもしれない。なぜなら、第1の部分では、第2の部分と比べて、平方インチまたは単位面積あたりより少数の画素が発光する(emit light)かもしれないためである。
【0004】
より低い画素密度の領域の輝度をより高い画素密度の領域と同様に保つために、より低い画素密度の領域における各画素の輝度は増加されてもよい。たとえば、より低い画素密度の領域における画素の各々は、各画素が、より高い画素密度の領域における各画素よりも2倍明るく見えるように、変調されてもよい。画素の輝度は、画素の変調を通して制御されてもよい。より長い時間発光する画素は、より短く発光する画素よりも明るく見えるかもしれない。たとえば、パルスが16ミリ秒ごとに発生する場合、人間の目には、パルスごとに8ミリ秒発光する画素は、パルスごとに2ミリ秒発光する画素よりも明るく見えるかもしれない。
【0005】
画素を変調することは、画素を駆動する信号のパルス幅変調を通して行なわれてもよい。これらの信号は、ここに駆動信号とも呼ばれる。たとえば、システムはパルス幅変調を使用して、より低い画素密度の領域における画素への第1の組の駆動信号と、より高い画素密度の領域における画素への第2の組の駆動信号とを提供してもよく、第1の組の駆動信号は、より低い画素密度の領域における画素を、第2の組の駆動信号がより高い画素密度の領域における画素を発光するよう駆動する場合よりも長時間発光するよう駆動する。
【0006】
したがって、マルチ画素密度OLEDディスプレイのためのパルス幅変調は、マルチ画素密度OLEDディスプレイが、異なる画素密度を有するOLEDディスプレイの部分間でも均一な輝度を有することを可能にし得る。均一な輝度を有することは、ディスプレイの部分の画素密度の差を視聴者から隠すかもしれず、ユーザは、ディスプレイが異なる画素密度を有する部分を有することに気付いてさえいないかもしれない。
【0007】
一般に、この明細書で説明される主題の革新的な一局面は、第1の画素密度を有する第1の複数の画素線と、第1の画素密度よりも高い第2の画素密度を有する第2の複数の画素線とを有する有機発光ダイオードOLEDディスプレイを駆動するための方法であって、方法は、第1および第2の複数の画素線を、対応する駆動信号を用いて、フレームが表示されるフレームレートで駆動するステップを含み、フレームの各々の間、駆動信号は、駆動信号によって駆動される画素線における画素が発光する画素オン時間と、駆動信号によって駆動される画素線における画素が暗い画素オフ時間とを有し、画素オン時間および画素オフ時間は、第1の複数の画素線と第2の複数の画素線との間の輝度のばらつきを減少させるように、第1の複数の画素線の駆動信号と第2の複数の画素線の駆動信号との間で変えられる、方法において具現化され得る。
【0008】
この局面の他の実施形態は、方法のアクションを行なうように各々構成された、対応するコンピュータシステム、装置、および、1つ以上のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。1つ以上のコンピュータのシステムは、動作時にシステムにアクションを行なわせる、システムにインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せを有することによって、特定の動作またはアクションを行なうように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されると装置にアクションを行なわせる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを行なうように構成され得る。
【0009】
これらのおよび他の実施形態は各々、以下の特徴のうちの1つ以上をオプションで含み得る。いくつかの局面では、第1の複数の画素線の駆動信号の画素オン時間は、第2の複数の画素線の駆動信号の画素オン時間よりも大きい。いくつかの実現化例では、第1の複数の画素線の駆動信号の画素オン時間は、第2の複数の画素線の駆動信号の画素オン時間よりも2倍長い。ある局面では、第1の複数の画素の駆動信号の画素オン時間は、第1の画素密度と第2の画素密度との差に基づいて決定される。
【0010】
いくつかの局面では、第1および第2の複数の画素線を、対応する駆動信号を用いて、フレームが表示されるフレームレートで駆動するステップは、ディスプレイについての明るさを決定するステップと、明るさに基づいて駆動信号を決定するステップとを含む。いくつかの実現化例では、アクションは、第1の複数の画素線の輝度が、第2の複数の画素線の輝度と実質的に同一であり、かつ、決定された明るさに対応するように、駆動信号を決定するステップを含む。
【0011】
ある局面では、第1および第2の複数の画素線を、対応する駆動信号を用いて、フレームが表示されるフレームレートで駆動するステップは、第1の複数の画素線のための駆動信号を生成するための第1の放射信号生成器のための第1の放射開始パルスと、第2の複数の画素線のための駆動信号を生成するための第2の放射信号生成器のための第2の放射開始パルスとを提供するステップを含む。
【0012】
いくつかの実現化例では、第2の放射開始パルスは、第1の放射開始パルスの画素オン時間の開始後に開始する画素オン時間を有する。いくつかの局面では、第1の放射信号生成器は、第1の複数の画素線のための駆動信号の各々についての画素オン時間の開始が異なる期間だけずれるように、駆動信号を生成する。
【0013】
この明細書で説明される主題の1つ以上の実施形態の詳細は、添付図面および以下の説明において述べられる。主題の他の特徴、局面、および利点は、説明、図面、および請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】パルス幅変調を使用するマルチ画素密度OLEDディスプレイを含む例示的なシステムのブロック図である。
図2】マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な回路のブロック図である。
図3】マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な放射開始パルス信号の図である。
図4】マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な駆動信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
さまざまな図面における同じ参照番号および名称は、同じ要素を示す。
詳細な説明
図1は、パルス幅変調を使用するマルチ画素密度OLEDディスプレイ110と駆動信号生成器120とを含む例示的なシステム100のブロック図である。ディスプレイは第1の部分112と第2の部分114とを含み、第1の部分112は、第2の部分114に含まれる画素線の画素密度よりも低い画素密度で画素線を含む。
【0016】
たとえば、第1の部分112は、353画素/インチという密度で複数の画素線を含んでいてもよく、第2の部分114は、500画素/インチという密度で複数の画素線を含んでいてもよい。図1に示すように、第1の部分112および第2の部分114は、これらの部分間で同じサイズを有する画素を含み得るものの、第1の部分112における画素のパターンは、第2の部分における画素のパターンで画素が1つおきに欠けている場合の第2の部分114における画素のパターンに対応し得るため、第1の部分112は第2の部分114よりも低い画素密度を有し得る。
【0017】
画素線は、画素の線と考えられ得る。たとえば、画素線は、ともに連続的に結合され、単一の駆動信号によって駆動される、1行に並んだ50個の画素を含んでいてもよく、単一の画素線であってもよい。各画素線は、ディスプレイの対応する部分全体にわたって延在していてもよい。たとえば、第1の部分112における画素線はディスプレイ110の幅全体にわたって延在していてもよく、第2の部分114における画素線はディスプレイ110の幅全体にわたって延在していてもよい。ディスプレイ110は、ディスプレイ110の上部からディスプレイ110の底部までの平行な列に並べられた複数の画素線から形成されてもよい。
【0018】
駆動信号生成器120は、画素線における画素を、発光するよう、および暗くなるよう駆動する駆動信号を生成してもよい。たとえば、駆動信号生成器120は、第1の部分112への第1の組の駆動信号と、第2の部分114への第2の組の駆動信号とを駆動してもよい。画素線、たとえば画素行線の各々は、それ自体のそれぞれの駆動信号を受信してもよい。たとえば、第1の部分112が200本の画素線を含み、第2の部分114が800本の画素線を含む場合、駆動信号生成器120は、第1の組の200個の駆動信号を、第1の部分112における画素線の各々について1つずつ生成してもよく、第2の組の800個の駆動信号を、第2の部分114における画素線の各々について1つずつ生成してもよい。
【0019】
各駆動信号は、フレームが表示されるフレームレートで駆動されてもよい。たとえば、各駆動信号は60フレーム/秒のフレームレートを有していてもよく、そのため、各フレームは約16ミリ秒間表示されてもよい。各フレームが表示される時間は、フレーム時間と呼ばれてもよい。各駆動信号は、画素オン時間および画素オフ時間に対応していてもよい。画素オン時間は、駆動信号が画素を発光するよう駆動する時間量に対応していてもよく、画素オフ時間は、駆動信号が画素を暗くなるよう駆動する時間量に対応していてもよい。たとえば、フレームごとに80%の画素オン時間を有する駆動信号を用いて画素線を駆動することは、当該画素線における画素を、フレームごとに時間の80%オンにしてもよい。別の例では、40%の画素オン時間を有する駆動信号を用いて画素線を駆動することは、当該画素線における画素を、時間の40%オンにしてもよい。
【0020】
フレーム時間が16ミリ秒である例では、60フレーム/秒のフレームレートを有し、80%の画素オン時間を有する駆動信号は、当該駆動信号によって駆動される画素が16ミリ秒ごとに約13ミリ秒間発光することをもたらすかもしれない。別の例では、60フレーム/秒のフレームレートを有し、40%の画素オン時間を有する駆動信号は、当該駆動信号によって駆動される画素が16ミリ秒ごとに約7ミリ秒間発光することをもたらすかもしれない。
【0021】
駆動信号生成器120は、第1の部分112における画素線と第2の部分114における画素線との間の輝度のばらつきを減少させるように、第1の部分112および第2の部分114のための駆動信号を変えてもよい。たとえば、駆動信号生成器120は、第1の部分112が第2の部分114の画素密度の半分しか有していない場合でも、第1の部分112と第2の部分114とが同等に明るく見えるように、第1の部分112への80%の画素オン時間を有する駆動信号と、第2の部分114への40%の画素オン時間を有する駆動信号とを生成してもよい。したがって、ディスプレイ110を見ている人は、ディスプレイ110が異なる画素密度を有する部分を含むことに気付いてさえいないかもしれない。
【0022】
図1に示すように、第1の部分112のための画素線の駆動信号の画素オン時間は、第2の部分114のための画素線の駆動信号の画素オン時間よりも大きくてもよく、たとえば2倍長くてもよい。第1の部分112および第2の部分114のための駆動信号の画素オン時間は、第1の部分112の画素密度と第2の部分114の画素密度との差に基づいて決定されてもよい。
【0023】
たとえば、第1の部分112の画素密度は第2の部分114の画素密度の半分であることが知られているかもしれないため、第1の部分112の画素オン時間が常に第2の部分の画素オン時間の画素オン時間の2倍であるように、駆動信号生成器120がプログラムされてもよく、または、回路が物理的に配置されてもよい。別の例では、第1の部分112の画素密度は第2の部分114の画素密度の4分の1であることが知られているかもしれないため、第1の部分112の画素オン時間が常に第2の部分の画素オン時間の画素オン時間の4倍であるように、駆動信号生成器120がプログラムされてもよく、または、回路が物理的に配置されてもよい。
【0024】
いくつかの実現化例では、駆動信号生成器120は、ディスプレイ110についての明るさを決定し、次に、明るさに基づいて駆動信号を決定してもよい。たとえば、駆動信号生成器120は、ディスプレイ110が40%の明るさで示されるべきであると決定し、これに応答して、40%の画素オン時間を有する第1の部分112のための駆動信号と、20%の画素オン時間を有する第2の部分114のための駆動信号とを生成してもよい。別の例では、駆動信号生成器120は、ディスプレイ110が60%の明るさで示されるべきであると決定し、これに応答して、60%の画素オン時間を有する第1の部分112のための駆動信号と、30%の画素オン時間を有する第2の部分114のための駆動信号とを生成してもよい。
【0025】
いくつかの実現化例では、駆動信号生成器120は、以前に明るさにマッピングされた画素オン時間を識別することを通して、明るさに基づいて駆動信号を決定してもよい。駆動信号生成器120は、対応する明るさでラベル付けされた第1の部分112のための駆動信号のための画素オン時間を格納してもよい。
【0026】
たとえば、駆動信号生成器120は、80%の明るさを第1の部分112のための80%の画素オン時間と第2の部分114のための40%の画素オン時間とにマッピングする第1のエントリと、70%の明るさを第1の部分112のための70%の画素オン時間と第2の部分114のための35%の画素オン時間とにマッピングする第2のエントリと、他の明るさについての対応するエントリとを含むテーブルを格納してもよい。
【0027】
他の実現化例では、駆動信号生成器120は、回路を通して、明るさに基づいて駆動信号を決定してもよい。たとえば、駆動信号生成器120は、明るさを受信し、明るさに対応する駆動信号を出力する回路を含んでいてもよい。別の実現化例では、駆動信号生成器120は、明るさを入力として受信し、入力に基づいて駆動信号を出力する公式を使用してもよい。
【0028】
図1は異なる画素密度を有する2つの部分を有するディスプレイを示しているが、駆動信号生成器120は同様に、異なる画素密度を有する3つ、4つ、または5つ以上の部分を有するディスプレイを、異なるパルス幅を有する駆動信号を対応する部分に提供することに基づいて駆動してもよい。たとえば、駆動信号生成器120は、単位面積あたり4倍多い画素を有するディスプレイの第3の部分が、80%の画素オン時間を有する駆動信号を用いて駆動される第1の部分112と同等に明るく見えるように、第3の部分を、20%の画素オン時間を有する駆動信号を用いて駆動してもよい。
【0029】
図2は、マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な回路200のブロック図である。回路200は、図1に示す駆動信号生成器120に含まれていてもよい。回路200は、放射開始パルス回路210と、第1の放射信号生成器220と、第2の放射信号生成器230とを含む。
【0030】
放射開始パルス回路210は、第1の放射信号生成器220を駆動する第1の放射開始パルスと、第2の放射生成器230を駆動する第2の放射開始パルス回路とを生成してもよい。たとえば、放射開始パルス回路210は、導電接続によって第1の放射信号生成器220に接続され、当該導電接続を通して第1の放射開始パルスを出力し、別の導電接続によって第2の放射信号生成器230に接続され、当該別の導電接続を通して第2の放射開始パルスを出力してもよい。
【0031】
第1の放射信号生成器220は、第1の放射開始パルスを受信し、画素線への駆動信号を生成する回路であってもよい。たとえば、第1の放射信号生成器220は、第1の放射開始パルスを受信し、第1の放射開始パルスに基づいて、第1の部分112の画素線の各々についての対応する駆動信号を生成してもよい。
【0032】
同様に、第2の放射信号生成器230は、第2の放射開始パルスを受信し、画素線への駆動信号を生成する回路であってもよい。たとえば、第2の放射信号生成器230は、第2の放射開始パルスを受信し、第2の放射開始パルスに基づいて、第2の部分114の画素線の各々についての対応する駆動信号を生成してもよい。
【0033】
図3は、マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な放射開始パルス信号の図である。図3に示す第1の放射開始パルスは、放射開始パルス回路210から第1の放射信号生成器220へ出力された第1の放射開始パルスに対応していてもよい。第1の放射開始パルスは、第1の部分112の駆動信号の画素オン時間に対応する画素オン時間を有していてもよい。放射開始パルスは低い値および高い値を有していてもよく、低い値は、画素を発光するよう駆動することに対応し、高い値は、画素を暗くなるよう駆動することに対応する。放射信号生成器220、230の回路構造に依存して、放射開始パルスは、場合によっては、その電圧レベルが逆の極性を有していてもよい。
【0034】
同様に、図3に示す第1の放射開始パルスは、放射開始パルス回路210から第2の放射信号生成器230へ出力された第2の放射開始パルスに対応していてもよい。第2の放射開始パルスは、第2の部分114の駆動信号の画素オン時間に対応する画素オン時間を有していてもよい。
【0035】
図3に示すように、第1の放射開始パルスの画素オン時間は、第2の放射開始パルスの画素オン時間の前に開始してもよい。たとえば、第1の放射開始パルスがローからハイに、次に再びローになってから、第2の放射開始パルスがローからハイになってもよい。これらの放射開始パルスのための画素オン時間の開始は異なっていてもよい。なぜなら、第1の放射開始パルスは、第2の放射開始パルスに基づいて駆動される画素線の上に現われる画素線を駆動するために使用されてもよいためである。
【0036】
いくつかの実現化例では、放射開始パルスに基づいて駆動されるディスプレイは、画素線によって示される色を、一度に単一の画素線しか更新できないかもしれず、色を更新することは多少の時間を必要とするかもしれない。たとえば、ディスプレイは、1本の画素線を更新するために5μsを必要とし、ディスプレイの各画素線を上から下へ連続して更新するかもしれない。したがって、第1の部分112のための画素線が第2の部分114のための画素線の上に現われる場合、第1の部分112における画素線がすべて更新されて初めて、第2の放射開始パルスの画素オン時間が開始する。たとえば、第1の部分112に200本の画素線がある場合、第1の放射開始パルスのための画素オン時間が始まってから1ミリ秒後に、第2の放射開始パルスのための画素オン時間が始まってもよい。
【0037】
図4は、マルチ画素密度OLEDディスプレイのパルス幅変調のための例示的な駆動信号の図である。駆動信号は、駆動信号生成器120によって生成され、第1の部分112および第2の部分114における画素線によって受信されるような、図1に示す駆動信号であってもよい。たとえば、図4における上の4つの駆動信号は、第1の部分112のための80%の画素オン時間を有する駆動信号に対応していてもよく、図4における下の4つの駆動信号は、第2の部分114のための40%の画素オン時間を有する駆動信号に対応していてもよい。図4は駆動信号を8つだけ含むように図示されているが、ディスプレイへの駆動信号の数は、ディスプレイにおける画素線の数に対応する。
【0038】
図4に示すように、第1の部分112への駆動信号は、第1の放射開始パルスの形状と一致する形状を有し、駆動信号の各々は、画素線の色を更新するために必要な時間量だけずれている。たとえば、各画素線が更新するために5μsかかる場合、第1の部分112のある特定の画素線の駆動信号の形状は、その特定の画素線のすぐ上の画素線のための駆動信号から5μsだけずれていてもよい。
【0039】
同様に、第2の部分114への駆動信号は、第2の放射開始パルスの形状と一致する形状を有し、駆動信号の各々は、画素線の色を更新するために必要な時間量だけずれている。たとえば、各画素線が更新するために5μsかかる場合、第2の部分114のある特定の画素線の駆動信号の形状は、その特定の画素線のすぐ上の画素線のための駆動信号から5μsだけずれていてもよい。
【0040】
いくつかの実現化例では、ディスプレイの画素線は、対で駆動されてもよい。たとえば、第1の駆動信号は、第1の画素行と、第1の画素行のすぐ下の第2の画素行とを駆動してもよく、第2の駆動信号は、第3の画素行と、第3の画素行のすぐ下の第4の画素行とを駆動してもよい。画素行を対で駆動することは、画素行のための駆動信号を生成する放射信号生成器の物理的設置面積を減少させることを可能にし得る。たとえば、画素行を対で駆動する放射信号生成器は、画素行を個々に駆動する放射信号生成器のサイズのほぼ半分であるかもしれない。
【0041】
この明細書で説明された主題および動作の実施形態は、この明細書において開示された構造およびそれらの構造的均等物を含む、デジタル電子回路において、もしくは、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアにおいて、もしくは、それらのうちの1つ以上の組合せにおいて実現され得る。この明細書で説明された主題の実施形態は、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上で符号化された、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、コンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現され得る。
【0042】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読取可能記憶デバイス、コンピュータ読取可能記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、もしくは、それらのうちの1つ以上の組合せであってもよく、あるいはそれに含まれていてもよい。また、コンピュータ記憶媒体は伝搬信号ではないものの、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号において符号化されたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先であってもよい。コンピュータ記憶媒体はまた、1つ以上の別個の物理的構成要素または媒体(たとえば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であってもよく、あるいはそれらに含まれていてもよい。
【0043】
この明細書で説明された動作は、データ処理装置が、1つ以上のコンピュータ読取可能記憶デバイス上に格納されたかまたは他のソースから受信されたデータに対して行なう動作として実現され得る。
【0044】
「データ処理装置」という用語は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含し、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、もしくは、前述のものの複数のものまたは組合せを含む。装置は、専用論理回路、たとえば、FPGA(field programmable gate array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)を含み得る。装置はまた、ハードウェアに加えて、問題となっているコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォーム実行時環境、仮想機械、または、それらのうちの1つ以上の組合せを構成するコードを含み得る。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングインフラストラクチャなどのさまざまな異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0045】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、それは、コンピュータ環境での使用にとって好適な、スタンドアロンプログラムとしての形態、もしくは、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、または他のユニットとしての形態を含む任意の形態でデプロイメントされ得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに対応していてもよいが、対応する必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部分(たとえば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)に、問題となっているプログラム専用の単一のファイルに、もしくは、協調する複数のファイル(たとえば、コードの1つ以上のモジュール、サブプログラム、または部分を格納するファイル)に格納され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、もしくは、1ヶ所に位置するかまたは複数の場所に分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるようにデプロイメントされ得る。
【0046】
この明細書で説明されたプロセスおよび論理の流れは、入力データに対して動作して出力を生成することによってアクションを行なうように1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって行なわれ得る。プロセスおよび論理の流れはまた、専用論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって行なわれてもよく、装置はまた、専用論理回路として実現されてもよい。
【0047】
コンピュータプログラムの実行にとって好適なプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの双方、ならびに、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読出専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはそれら双方から、命令およびデータを受信するであろう。コンピュータの本質的要素は、命令に従ってアクションを行なうためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスとである。一般に、コンピュータはまた、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光学ディスクといった、データを格納するための1つ以上の大容量記憶デバイスを含み、もしくは、当該大容量記憶デバイスからデータを受信し、または当該大容量記憶デバイスにデータを転送し、またはそれら双方を行なうために動作可能に結合されるであろう。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、たとえば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant:PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤー、ゲーム機、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)受信機、もしくはポータブル記憶デバイス(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus:USB)フラッシュドライブ)に埋込まれ得る。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに好適なデバイスは、EPROM(erasable programmable read-only memory:消去可能プログラマブル読出専用メモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory:電気的消去可能プログラマブル読出専用メモリ)、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内部ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを例として含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足され、または専用論理回路に組込まれ得る。
【0048】
ユーザとの相互作用を提供するために、この明細書で説明された主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのCRT(cathode ray tube:陰極線管)、LCD(liquid crystal display:液晶ディスプレイ)またはOLED(有機発光ダイオード)モニタなどのディスプレイデバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスおよびキーボードとを有するコンピュータ上で実現され得る。他の種類のデバイスも同様に、ユーザとの相互作用を提供するために使用され得る。たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであってもよく、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受信されてもよい。加えて、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスに文書を送信し、デバイスから文書を受信することによって、たとえば、ユーザのユーザデバイス上のウェブブラウザから受信された要求に応答してウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0049】
この明細書で説明された主題の実施形態は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含む、もしくは、アプリケーションサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含む、もしくは、ユーザがこの明細書で説明された主題の実現化例と相互作用できるようにするグラフィカルユーザインターフェイスまたはウェブブラウザを有するユーザコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含む、もしくは、1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含む、コンピュータシステムにおいて実現され得る。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどの任意の形態または媒体のデジタルデータ通信によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(local area network:LAN)およびワイドエリアネットワーク(wide area network:WAN)、インターネットワーク(たとえばインターネット)、ピアツーピアネットワーク(たとえばアドホックピアツーピアネットワーク)を含む。
【0050】
コンピュータシステムは、ユーザとサーバとを含み得る。ユーザとサーバとは一般に互いに離れており、典型的には、通信ネットワークを通して相互作用する。ユーザとサーバとの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータ上で実行され、ユーザ-サーバ関係を互いに有することによって生じる。いくつかの実施形態では、サーバは(たとえば、ユーザデバイスと相互作用しているユーザにデータを表示し、ユーザからユーザ入力を受信する目的のために)データ(たとえばHTMLページ)をユーザデバイスに送信する。ユーザデバイスで生成されたデータ(たとえば、ユーザ相互作用の結果)は、ユーザデバイスからサーバで受信され得る。
【0051】
この明細書は多くの具体的な実現詳細を含んでいるが、これらは、あらゆる特徴または請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきでなく、むしろ、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。この明細書で別々の実施形態の文脈において説明されたある特徴はまた、単一の実施形態において組合されて実現され得る。反対に、単一の実施形態の文脈において説明されたさまざまな特徴はまた、複数の実施形態において別々に、または任意の好適な部分的組合せで実現され得る。また、特徴はある組合せで作用するとして上述され、さらには、そのようなものとして当初請求され得るものの、請求される組合せからの1つ以上の特徴が、場合によってはその組合せから削除されることがあり、また、請求される組合せが部分的組合せに、または部分的組合せの変形に向けられることがある。
【0052】
同様に、図面には動作が特定の順序で図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が図示された特定の順序でまたは順番に行なわれること、もしくは、図示されたすべての動作が行なわれることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキングおよび並行処理が有利であり得る。また、上述の実施形態におけるさまざまなシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネントおよびシステムは一般に、単一のソフトウェア製品に一体化され、または複数のソフトウェア製品へとパッケージ化され得る、ということが理解されるべきである。
【0053】
このように、主題の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は、請求の範囲内にある。場合によっては、請求項に記載されたアクションは、異なる順序で行なわれてもよく、依然として望ましい結果を達成することができる。加えて、添付図面に示されたプロセスは必ずしも、望ましい結果を達成するために、図示された特定の順序または順番を必要とはしない。ある実現化例では、マルチタスキングおよび並行処理が有利であり得る。
図1
図2
図3
図4