(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】センサ素子及びセンサ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01K 7/22 20060101AFI20231130BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01K7/22 N
H01C7/04
(21)【出願番号】P 2022511302
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020075850
(87)【国際公開番号】W WO2021099004
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】102019131306.6
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイデンフェルダー, アンケ
(72)【発明者】
【氏名】イーレ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュテンデル, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】キルステン, ルッツ ハイナー
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004999(JP,A)
【文献】特開平05-135849(JP,A)
【文献】特開平05-175006(JP,A)
【文献】特表2018-535412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G03G 15/20
H01C 7/02
H01C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の測定のためのセンサ素子(1)であって、
- 電気絶縁材料を含むと共に、上面(2a)及び下面(2b)を有するキャリア(2)、
- 前記キャリア(2)の前記上面(2a)に配置されたNTCサーミスタ(3)、
- 前記キャリア(2)の前記上面(2a)に配置された、前記センサ素子(1)の電気的な接触のための少なくとも2つの第1の電極(4、40)、
を有し、
前記センサ素子(1)は、電気的に絶縁された態様で直接的に
パワーモジュールの導体経路の上に組み込まれるように形成されて
おり、
それぞれの前記第1の電極(4)は、ワイヤボンディング又ははんだ付けによる前記センサ素子(1)の電気的な接触のための第1の領域(4a)を有し、それぞれの前記第1の電極(4)は、はんだ付けによる前記NTCサーミスタ(3)の接触のための第2の領域(4b)を有する、センサ素子(1)。
【請求項2】
前記キャリア(2)の前記電気絶縁材料は、AlN、Si
3N
4、Al
2O
3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む、請求項
1に記載のセンサ素子(1)。
【請求項3】
前記キャリア材料及び前記NTCサーミスタ(3)の材料の熱膨張係数は、
周期的な温度変化及びその際に生じる熱機械的な応力による前記NTCサーミスタ(3)と前記キャリア(2)との間の接続部位の損傷を回避することができるよう、互いに適合されている、請求項
1又は2に記載のセンサ素子(1)。
【請求項4】
前記NTCサーミスタ(3)はSMD-NTCサーミスタであり、前記センサ素子(1)は更に保護層(9)を有し、前記保護層(9)は少なくとも前記NTCサーミスタ(3)の周囲に形成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項5】
それぞれの前記第1の電極(4)は複数の層(10、11、12、13)を有し、それぞれの前記第1の電極(4)はCu、Ni、Pd及び/又はAuを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項6】
前記第1の電極(4)の少なくとも1つの層(10、11)は厚膜として形成されており、前記第1の電極(4)の少なくとも1つの別の層(12、13)は薄膜として形成されている、請求項
5に記載のセンサ素子(1)。
【請求項7】
前記第1の領域(4a)及び前記第2の領域(4b)は、接続領域(4c)を介して互いに結合されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項8】
2つの前記第1の電極(4、40)のうちの第1の電極(4)は、前記キャリア(2)の前記上面(2a)の直ぐ上に形成されており、前記NTCサーミスタ(3)は、前記第1の電極(4)の直ぐ上に形成されており、前記NTCサーミスタ(3)は、当該NTCサーミスタ(3)の上面(3a)に形成されたメタライゼーション(40)を有し、前記メタライゼーション(40)は2つの前記第1の電極(4、40)のうちの第2の電極(40)を形成する、請求項1~
3のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項9】
前記NTCサーミスタ(3)は、チップNTCサーミスタである、請求項
8に記載のセンサ素子(1)。
【請求項10】
前記メタライゼーション(40)は、ワイヤボンディングによる前記センサ素子(1)の電気的な接触のために形成されている、請求項
8又は
9に記載のセンサ素子(1)。
【請求項11】
前記メタライゼーション(40)は、ニッケルを含む少なくとも1つの層(41)を有する、請求項
8~
10のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項12】
前記層(41)は、前記NTCサーミスタ(3)のセラミック基体(43)の直ぐ上に塗布されている、請求項
11に記載のセンサ素子(1)。
【請求項13】
前記層(41)は、付加的
にバナジウムを含む、請求項
11又は
12に記載のセンサ素子(1)。
【請求項14】
前記メタライゼーション(40)は、直接的に重なり合って配置された複数の層(41、42)を有する、請求項8~
13のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの第2の電極(5)を更に有し、前記第2の電極(5)は前記キャリア(2)の前記下面(2b)に配置されており、前記第2の電極(5)は、複層に形成され、材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含むか、又は、前記第2の電極(5)は、材料Agの少なくとも1つの層を含む、請求項1~
14のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項16】
前記第2の電極(5)は、前記キャリア(2)の前記下面(2b)の上で全面に亘って形成されている、請求項
15に記載のセンサ素子(1)。
【請求項17】
前記第2の電極(5)は、前記キャリア(2)の前記下面(2b)に自由縁(6)が形成されるように配置されている、請求項
15又は
16に記載のセンサ素子(1)。
【請求項18】
前記第2の電極(5)
の下面に
は、メタライゼーション(7)
が形成されている、請求項
15~
17のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項19】
少なくとも1つの接着仲介層(8)を更に有し、前記接着仲介層(8)は、それぞれの前記第1の電極(4)と前記キャリア(2)との間、及び/又は、前記第2の電極(5)と前記キャリア(2)との間に形成されている、請求項
15~
18のいずれか1項に記載のセンサ素子(1)。
【請求項20】
以下のステップを含む、センサ素子(1)の製造方法。
A)キャリア(2)を形成するためのキャリア材料を準備するステップ;
B)前記キャリア材料の上面(2a)の上に少なくとも2つの第1の電極(4)を塗布するステップ;
C)前記キャリア材料の下面(2b)に少なくとも1つの第2の電極(5)を塗布するステップ;
D)前記キャリア材料の前記上面(2a)の上にNTCサーミスタ(3)を配置するステップであって、前記NTCサーミスタ(3)は前記
少なくとも2つの第1の電極(4)の部分領域の上にはんだ付けされるステップ
【請求項21】
それぞれの前記第1の電極(4)は、複層に構築され、材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の電極(4)は、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより、前記キャリア材料の前記上面(2a)の上に塗布される、請求項
20又は
21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の電極(5)
の下面の上にメタライゼーション(7)を形成するステップであって、前記メタライゼーション(7)は、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積によって塗布されるステップを更に含む、請求項
20~
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
以下のステップを含む、センサ素子(1)の製造方法。
A)キャリア(2)を形成するためのキャリア材料を準備するステップ;
B)前記キャリア材料の上面(2a)の上に少なくとも1つの第1の電極(4)を塗布するステップ;
C)前記キャリア材料の下面(2b)に少なくとも1つの第2の電極(5)を塗布するステップ;
D)前記第1の電極(4)の上にNTCサーミスタ(3)を配置するステップであって、前記NTCサーミスタ(3)は前記第1の電極(4)の部分領域の上に塗布され、前記NTCサーミスタ(3)は更なる第1の電極(4)として機能するメタライゼーション(40)を有するステップ
【請求項25】
前記NTCサーミスタ(3)は、チップNTCサーミスタである、請求項
24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子、特に温度センサに関する。本発明は、更に、センサ素子の、好ましくは温度センサの、製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、多種多様な用途における監視及び制御のための温度は、主にセラミックサーミスタ素子(「負の温度係数」;NTC)、シリコン温度センサ(KTY)、白金温度センサ(PRTD)又は熱電対(TC)によって測定される。その場合、製造コストが低い故に、NTCサーミスタが最も広く普及している。
【0003】
熱電対及び例えばPt素子のような金属抵抗素子と比較した、NTCサーミスタの更なる利点は、顕著な負の抵抗-温度特性にある。
【0004】
パワーモジュールでの使用のために、主にSMD(「表面実装デバイス」)NTC温度センサが使用され、これは、はんだ付けされる。低電力用の制御モジュールの場合、これに代えてNTCチップも使用され、これは、Ag焼結ペースト、はんだ付け又は接着によって下面に取り付けられ、上面はボンディングワイヤを介して接触される。
【0005】
NTCセラミックの電気的な接触のためには、金属電極が塗布されなければならない。従来技術によれば、このために、主に銀ペースト又は金ペーストから成る厚膜電極が、スクリーン印刷プロセス及びそれに続く焼成によって、塗布される。
【0006】
銀メタライゼーションは、はんだ付け接続に特に適している。ボンディング及び溶接のような新しく信頼性の高い接続接点に関する技術的要求が増大しているために、特に金線又はアルミニウム線又は銅線によるボンディングの場合、他の電極が必要とされる。なぜなら、銀への接続は十分な信頼性を有していないからである。
【0007】
金メタライゼーションの場合、接続ワイヤへのはんだ付け接続は、実行することができない。ボンディング接続は、コストの理由から、金細線によってのみ実行される。
【0008】
厚膜金電極上のアルミニウムボンディングワイヤ接続は、信頼性要求を達成しない。
【0009】
微細分散した銀ペーストによる低温での加圧焼結は、金電極の場合、接着性が低すぎ、信頼性が不十分であるため、更に有効ではない。
【0010】
現在、パワーモジュールにおける温度測定は、はんだ付けされたセンサによって、別個の導体経路上で行われている。回路基板上での位置決めは、パワー半導体の縁部又は中間領域におけるパワーモジュールの別個の領域内にある。したがって、正確な温度測定は、非常に限定的にのみ可能である。なぜなら、セラミック基板を介した間接的な熱的接続しか存在しないからである。
【0011】
しかしながら、動作温度及び信頼性に関する要求が増大しているため、好ましくは回路基板の導体経路の上に直接塗布することができるNTC温度センサに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述の問題を解決するセンサ素子及びセンサ素子の製造方法を記述することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項によるセンサ素子及びセンサ素子の製造方法によって解決される。
【0014】
一態様によれば、センサ素子が記述される。センサ素子は、温度の測定のために形成されている。センサ素子は、温度センサである。センサ素子は、パワーモジュールにおける温度測定のために形成されている。
【0015】
センサ素子は、キャリア又は基板を有する。キャリアは、電気的に絶縁された態様で形成されている。特に、キャリアは、電気絶縁材料を含む。キャリアは、高い熱伝導率を有する材料を含む。キャリアは、好ましくは、セラミック材料を含む。キャリアは、セラミックキャリアである。
【0016】
キャリアは、上面及び下面を有する。上面と下面は、互いに反対側にある。その場合、下面は、センサ素子が組み立てられた状態において回路基板と対向する、キャリア又はセンサ素子の面である。
【0017】
センサ素子は、更に、NTCサーミスタを有する。NTCサーミスタは、キャリアの上面に配置されている。第1の変形例において、NTCサーミスタはSMD-NTCサーミスタである。第2の変形例において、NTCサーミスタはチップNTCサーミスタである。NTCサーミスタは、上面及び下面を有する。上面と下面は、互いに反対側にある。その場合、上面は、センサ素子が組み立てられた状態においてキャリアとは反対側を向く、NTCサーミスタの面である。
【0018】
センサ素子は、少なくとも2つの第1の又は上部の電極を有する。特に、センサ素子は、第1上部電極を有する。センサ素子は、更に、第2上部電極を有する。
【0019】
第1の/上部の電極は、センサ素子の及び/又はNTCサーミスタの電気的な接触のために形成されている。第1の/上部の電極は、キャリアの上面に配置されている。第1の/上部の電極は、キャリアの表面上で空間に及び電気的に互いに分離されて形成されている。第1の電極は、構造化された態様で形成されている。
【0020】
センサ素子は、少なくとも1つの第2の又は下部の電極、好ましくはちょうど1つの第2の電極を有する。第2の/下部の電極は、純粋なメタライゼーションであり、電気的な機能を有さない。第2の電極は、キャリアの下面に配置され又は形成されている。好ましくは、第2の電極は、全面に亘って形成されている。換言すれば、第2の電極は下面を完全に覆っている。第2の電極は、キャリアの下面に自由縁が形成されるように、形成され配置されることもできる。この場合、第2の電極は、キャリアの下面の縁部にまでは達しない。
【0021】
センサ素子は、例えばパワーモジュールの導体経路の上に、電気的に絶縁された態様で直接的に組み込まれるように、形成されている。それにより、所望の位置での正確な温度監視が保証される。なぜなら、IC(集積回路)への熱的な結合が、導体経路を介して直接的に与えられているからである。したがって、非常に精密で信頼性の高いセンサ素子が提供される。
【0022】
一実施例によれば、キャリアの材料は、Al2O3、LTCC(低温共焼成セラミックス)又はZTAジルコニア強化酸化アルミニウム)材料をベースとするセラミックを含む。これに代えて、キャリア材料は、AlN又はSi3N4を含むこともできる。これらの材料は、センサ素子の機械的な安定性を向上させる。したがって、特に信頼性の高いセンサ素子が提供される。
【0023】
一実施例によれば、キャリア材料及びNTCサーミスタの材料の熱膨張係数は、互いに適合されている。したがって、周期的な温度変化及びその際に生じる熱機械的な応力によるNTCサーミスタとキャリアとの間の接続部位の損傷を回避することができる。
【0024】
一実施例によれば、第1の又は上部の電極は、従来のAVT(組立及び接合技術)によってセンサ素子の電気的な接触を可能にするように形成及び配置されている。好ましくは、第1の電極は、はんだ付け及び/又はワイヤボンディング(好ましくは太線ワイヤボンディング)によって接触可能であるように、形成されている。
【0025】
更に、第2の又は下部の電極は、従来のAVTによって、パワーモジュールの導体経路の上に直接的に塗布されるように、形成され配置されている。好ましくは、第2の電極は、はんだ付け又は銀焼結によって、導体経路の上に組み込まれる。
【0026】
したがって、パワーモジュールの製造において標準的に使用される接合技術が、採用される。これにより、安価で簡易なセンサ素子を提供することが可能になる。
【0027】
一実施例によれば、それぞれの第1の又は上部の電極は、複数の層を有する。好ましくは、それぞれの第1の電極は、少なくとも2つの層を有する。各層は、多数の個々のレイヤー又は基層を含むことができる。層は、材料に応じて、薄膜又は厚膜として具現されている。それぞれの第1の電極の各層は、特定の材料を含む。
【0028】
第1の変形例(SMD-NTCサーミスタ)において、それぞれの第1の電極は、好ましくは材料Cu、Ni及びAuを含む。第2の変形例(チップNTCサーミスタ)において、キャリアの第1の電極は、材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含み、チップNTCサーミスタの上の電極は、材料Ni及びAuを含む。任意に、それぞれの第1の電極は、Pdを含むこともできる。
【0029】
例えば、キャリアの上で、第1の電極の最下層は、Cuを含む。その場合、最下層は、キャリアの上面の直ぐ上に形成された、第1の電極の層である。例えば、中間層はNiを含む。例えば、第2の又は更なる中間層はPdを含む。最上層は、例えばAuを含む。最上層は、それぞれの第1の電極の上面又は外面を形成する。
好ましくは、キャリアの上に、第1の電極の少なくとも1つの層が、厚膜として形成されている。第1の電極の少なくとも1つの更なる層が、更に、薄膜として形成されている。Cu層及びNi層は、好ましくは厚膜として具現されている。Au層及びPd層は、好ましくは薄膜として具現されている。
【0030】
その場合、層厚は≦1μmから≦20μmまで変化し、厚膜として具現されたCu層及びNi層は、それぞれ20μmまでの厚さであることができる。Pd層及びAu層は、それぞれ、≦1μmの層厚を有する。その場合、層の順序及び厚さは、特に信頼性の高いはんだ付けプロセス及びAl太線ワイヤボンディングプロセスが可能になるように選択されている。
【0031】
第1の又は上部の電極の特殊な構造により、例えばAl太線による接触が、NTCセラミックを損傷することなく、また、標準的なNTCサーミスタと比較して高められた信頼性で可能である。
【0032】
一実施例によれば、それぞれの第1の又は上部の電極は、センサ素子の電気的な接触のための第1の領域を有する。好ましくは、電気的な接触は、ワイヤボンディング(好ましくはAl太線ボンディング)又ははんだ付けによって行われる。それぞれの第1の電極は、更に、NTCサーミスタの接続又は接触のための第2の領域を有する。好ましくは、NTCサーミスタは、はんだ付けによってそれぞれの第2の領域に固定される。
【0033】
第1の領域及び第2の領域は、接合領域を介して互いに接合又は結合されている。それぞれの第1の電極の特定の構成又は構造化により、安価で、安定した、信頼性の高いセンサ素子を提供することが可能になる。
【0034】
一実施例によれば、2つの第1の/上部の電極のうちの(ただ)1つが、キャリアの上面の直ぐ上に形成されている。便宜上、2つの第1の/上部の電極のうちの第1の電極を、以下では、第1上部電極と呼ぶ。第1上部電極は、上述した第1の電極と同様に具現されている。特に、第1上部電極は複層に具現されている。
【0035】
第1上部電極は、セラミックキャリアのメタライゼーションである。NTCサーミスタは、この実施例においては、チップNTCサーミスタである(変形例2)。NTCサーミスタは、第1上部電極の直ぐ上に配置され、例えば、はんだ付け、Ag焼結又は接着されている。NTCサーミスタの厚さは、好ましくは0.2mm~0.7mmである。NTCサーミスタは、好ましくは(1.25±0.75)mm×(1.5±1.0)mmの面積を有する。好ましくは、チップNTCサーミスタは、第1上部電極の周縁領域に配置されている。第1上部電極のうちNTCサーミスタがないままの領域は、(第1の)ボンディングパッドとして機能する。それにより、NTCサーミスタの電気的な接触が、容易に保証される。
【0036】
第1上部電極は、キャリアの上面の上で全面に亘って具現することができる。例えば、第1上部電極は、(1.25±0.75)mm×(2.25±1.25)mmの面積を有する。
【0037】
これに代えて、第1上部電極は、キャリアの上面を部分的にのみ覆うこともできる。例えば、自由縁、すなわち、第1上部電極がない上面の周縁領域が形成されている。例えば、自由縁は、0.1mm~0.25mmの寸法を有する。
【0038】
一実施例によれば、チップNTCサーミスタは、メタライゼーションを有する。メタライゼーションは、NTCサーミスタの上面及び下面に形成されている。メタライゼーションは、例えばワイヤボンディングによるセンサ素子の電気的な接触のために形成されている。メタライゼーションは、チップNTCサーミスタの電極として機能する。
【0039】
好ましくは、メタライゼーションは、チップNTCサーミスタの上面を完全に覆う。チップNTCサーミスタのメタライゼーションは、例えば、Al太線接触のための更なる又は第2のボンディングパッドとして機能する。換言すれば、メタライゼーションは、2つの第1の/上部の電極のうちの第2の電極を形成する。便宜上、2つの第1の/上部の電極のうちの第2の電極を、以下では、第2上部電極と呼ぶ。したがって、チップNTCサーミスタのメタライゼーションを施された上面は、センサ素子の第2上部電極として機能する。それにより、センサ素子の電気的な接触が、容易に保障される。
【0040】
一実施例によれば、メタライゼーション又は第2上部電極は、ニッケルを含む少なくとも1つの層を有する。この層は、チップNTCサーミスタのセラミック基体の直ぐ上に塗布されている。層は、ニッケルから成ることもできる。ニッケル含有層の厚さは、例えば、0.3μm~10μmの範囲にある。ニッケル含有層は、特にNTCサーミスタのセラミックへの特に良好な機械的及び電気的な接続を可能にする。
【0041】
一実施例によれば、層は、付加的にある割合のバナジウムを含む。ある割合のバナジウムは、特にプロセス技術上の理由から、スパッタリングプロセスにとって有利であり得る。例えば、7重量%のバナジウムが、ニッケル含有層中に存在する。ニッケルは、例えば93重量%で存在する。
【0042】
一実施例によれば、メタライゼーション又は第2上部電極は、Auを含む少なくとも1つの層を有する。換言すれば、第2上部電極の層構造は、Auを最上部電極とするNi/Auである。Au層の厚さは、0.1μm~0.3μm、理想的には0.2μmである。
【0043】
一実施形態において、メタライゼーションは少なくとも1つのスパッタ層を有する。例えば、全ての層は、スパッタリングによって塗布されている。好ましくは、メタライゼーションは、焼成されたペーストを含まない。スパッタリングされたメタライゼーションの場合、特に、例えば700℃~900℃の温度でのメタライゼーションペーストの焼成を省略することにより、製造プロセスにおけるセンサ素子への熱負荷がより低いという点に、利点が存在する。
【0044】
例えば、メタライゼーションは薄膜メタライゼーションである。例えば、メタライゼーション全体は、0.3μm~10μmの範囲の厚さを有する。
【0045】
一実施例によれば、メタライゼーションは、直接的に重なり合って配置された複数の層を有する。
【0046】
例えば、メタライゼーションは、下層及び上層を有する。下層は、好ましくは、基体のセラミックと直接的に接触している。上層は、例えば下層の直ぐ上に塗布されている。好ましくは、2つの層はスパッタリングされている。メタライゼーションは、2つより多くの層を有することもできる。
【0047】
例えば、下層は、クロムを含むか又はクロムから成る。クロム含有層は、特に、セラミックへの接着仲介剤として有利であり得る。例えば、上層は、ニッケルを含むか又はニッケルから成る。付加的に、上層は、ある割合のバナジウムを含むことができる。
【0048】
一実施例によれば、第2の若しくは下部の電極又はメタライゼーションは、複層に形成されている。例えば、第2の電極は、第1の電極の層構造に対応する層構造を有することができる。第2の電極は、材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含むことができる。この場合、第2の電極は、センサ素子を確実に銀焼結することができるようにするために、上面又は外面にメタライゼーションを有することができる。
【0049】
しかしながら、これに代えて、第2の電極は、他の特定の材料の、ただ1つの又は複数の層を有することもできる。例えば、第2の電極は、材料Agの少なくとも1つの層を含む。それにより、付加的な層(メタライゼーション)なしに、第2の電極を銀焼結することが可能になる。したがって、センサ素子の構造が簡素化される。
【0050】
一実施例によれば、センサ素子は、第2の/下部の電極なしで具現することもできる。これは、構造の簡素化である。センサ素子は、この場合、組み立てのために接着プロセスが意図されている。
【0051】
一実施例によれば、センサ素子は、少なくとも1つの接着仲介層、例えばTi層を有する。接着仲介層は、それぞれの第1の電極とキャリア、特にキャリアの上面との間に形成することができる。代替的に又は付加的に、接着仲介層は、第2の電極とキャリア、特にキャリアの下面との間に形成することができる。したがって、電極のキャリア材料への接続の信頼性が向上する。
【0052】
一実施例によれば、センサ素子は、少なくとも1つの保護層又は保護カバーを有する。保護層は、少なくともNTCサーミスタの周囲に形成されている。この場合、NTCサーミスタはSMD-NTCサーミスタである。好ましくは、保護層は、NTCサーミスタを完全に包み込む。保護層は、エポキシ樹脂を含むことができる。保護層は、グローブトップとして形成することができる。保護層は、センサ素子の信頼性及び耐用年数を簡単に増大させることに寄与する。
【0053】
更なる態様によれば、センサ素子の製造方法が記述される。好ましくは、当該方法によって、上述したセンサ素子が製造される。センサ素子又は方法に関して開示されている全ての特性は、それぞれの特性がそれぞれの態様の文脈において明示的に言及されない場合であっても、それぞれの他の態様に関して対応して開示されており、その逆も同様である。方法は以下のステップを有するが、ステップの順序は、以下のリストによって拘束されない。
【0054】
A)キャリアを形成するためのキャリア材料を準備するステップキャリアは、電気的に絶縁された態様で形成されている。キャリア材料は、高い熱伝導性を有する。キャリア材料は、セラミック材料を含む。好ましくは、キャリア材料は、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む。これに代えて、キャリア材料は、AlN又はSi3N4を含むこともできる。
【0055】
B)キャリア材料の上面の上に少なくとも2つの第1の又は上部の電極を塗布するステップ第1の電極は、構造化された態様で形成されている。第1の電極は、複層に形成されている。第1の電極は、スパッタリング、CVD(「化学気相成長」)プロセス、PVD(「物理気相成長」)プロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスによって、キャリア材料の上面の上に塗布される。
【0056】
複層の電極の塗布は、特に、厚膜及び薄膜の両方を生成するための種々の堆積方法の組み合わせによって、行われる。付加的に、リソグラフィプロセスが、メタライゼーションの構造化のために必要とされる。特に、キャリア材料の上面の上に少なくとも2つの第1の又は上部の電極を塗布するためのプロセス順序は、以下のとおりである:
a.:湿式化学洗浄
b.1:Tiをスパッタリングする(これは、設備に応じて、上面及び下面について同時に又は連続して、行うことができる);
b.2:Cuをスパッタリングする(これは、設備に応じて、上面及び下面について同時に又は連続して、行うことができる);
c.1:積層
c.2:露光
c.c3:現像(リソグラフィのステップ1)
d.:Cuガルバニック(上面及び下面について同時に);
e.:剥離(レジストを除去する-リソグラフィのステップ2);
f.:無電解ニッケル浸漬金(「化学的ニッケル浸漬金」;ENIG);
f.1:洗浄;
f.2:Pdによる触媒作用;
f.3:ニッケルの無電解堆積(湿式化学的);
f.4:浸漬金(Sudgold、Tauchgold又はFlashgoldとも呼ばれる)
【0057】
結果として得られる第1の電極は、異なる材料の複数の厚膜及び薄膜を有する。第1の電極は、例えばCu、Ni、Pd及び/又はAuを含む。
【0058】
C)キャリア材料の下面に少なくとも1つの第2の又は下部の電極を塗布するステップ第2の電極は、薄膜として又は厚膜として、形成することができる。例えば、第2の電極は、スパッタリングにより生成される。これに代えて、第2の電極は、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより、キャリア材料の下面の上に塗布することができる。この場合、第2の電極は、異なる材料から成る層構造を有する。
【0059】
複層の電極の塗布は、特に、既に複層の上部の電極との関連で説明したように、厚膜及び薄膜の両方を生成するための種々の堆積方法の組み合わせによって、行われる。付加的に、リソグラフィプロセスが、メタライゼーションの構造化のために必要とされる。特に、キャリア材料の下面の上に少なくとも(第2の/下部の)メタライゼーションを塗布するためのプロセス順序は、以下のとおりである:
a.:湿式化学洗浄
b.1:Tiをスパッタリングする(これは、設備に応じて、上面及び下面について同時に又は連続して、行うことができる);
b.2:Cuをスパッタリングする(これは、設備に応じて、上面及び下面について同時に又は連続して、行うことができる);
c.1:積層;
c.2:露光;
c.c3:現像(リソグラフィのステップ1);
d.:Cuガルバニック(上面及び下面について同時に);
e.:剥離(レジストを除去する-リソグラフィのステップ2);
f.:無電解ニッケル浸漬金;
f.1:洗浄;
f.2:Pdによる触媒作用;
f.3:ニッケルの無電解堆積(湿式化学的);
f.4:浸漬金(Sudgold、Tauchgold又はFlashgoldとも呼ばれる)
【0060】
更なるステップにおいて、第2の電極の下面の上にメタライゼーションを塗布することができる。このメタライゼーションは、CVDプロセス、PVDプロセスによって、又は、電気的堆積によって、生成することができる。
【0061】
D)キャリア材料の上面の上に、NTCサーミスタ(SMD-NTCサーミスタ)を配置するステップNTCサーミスタは、少なくとも2つの第1の電極の部分領域の上に塗布され、好ましくは、はんだ付けされる。
【0062】
この時点で、センサ素子は、当該センサ素子の回路基板の導体経路上への直接的な接続を可能にするための全ての特性を有する。これは、第2の電極のはんだ付け又はAg焼結によって行われる。更に、第1の電極及び/又はNTCサーミスタは、特にワイヤボンディング及び/又ははんだ付けによって、電気的に接触させることもできる。
【0063】
センサ素子は、特に、パワーモジュールの導体経路の上に直接的に組み込まれ得ることを特徴とする。電極の特殊な構造により、センサ素子は、はんだ付け、銀焼結及び/又は(太線/細線)ワイヤボンディングのような従来のAVTによって、加工することができる。それにより、特に精密で、信頼性が高く、安価なセンサ素子が生成される。
【0064】
更なる態様によれば、センサ素子の製造方法が記述される。好ましくは、当該方法によって、上述したセンサ素子が製造される。センサ素子又は方法に関して開示されている全ての特性は、それぞれの特性がそれぞれの態様の文脈において明示的に言及されない場合であっても、それぞれの他の態様に関して対応して開示されており、その逆も同様である。方法は、以下のステップを含む。
【0065】
A)キャリアを形成するためのキャリア材料を準備するステップキャリアは、電気的に絶縁された態様で形成されている。キャリア材料は、高い熱伝導性を有する。キャリア材料は、セラミック材料を含む。好ましくは、キャリア材料は、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む。これに代えて、キャリア材料は、AlN又はSi3N4を含むこともできる。
【0066】
B)キャリア材料の上面の上に第1上部電極を塗布するステップ第1の電極は、構造化された態様で形成することができる。第1の電極は、キャリアの上面を完全に覆うことができる。これに代えて、第1上部電極は、キャリアの表面の部分領域のみを覆い、その結果、上面の周縁領域は、第1上部電極がないままである。
【0067】
第1の電極は、好ましくは、複層に形成されている。第1上部電極は、スパッタリング、CVD(「化学気相成長」)プロセス、PVD(「物理気相成長」)プロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスによって、キャリア材料の上面の上に塗布される。
【0068】
複層の第1上部電極の塗布は、特に、厚膜及び薄膜の両方を生成するための種々の堆積方法の組み合わせによって、行われる。既に上述したように、付加的に、リソグラフィプロセスが、メタライゼーションの構造化のために必要とされる。
【0069】
結果として得られる第1上部電極は、異なる材料の複数の厚膜及び薄膜を有する。第1上部電極は、例えばCu、Ni、Pd及び/又はAuを含む。
【0070】
C)キャリア材料の下面に少なくとも1つの第2の又は下部の電極を塗布するステップ第2の電極は、薄膜として又は厚膜として、形成することができる。例えば、第2の電極は、スパッタリングにより生成される。これに代えて、第2の電極は、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより、キャリア材料の下面の上に塗布することができる。この場合、第2の電極は、異なる材料から成る層構造を有する。
【0071】
複層の電極の塗布は、特に、厚膜及び薄膜の両方を生成するための種々の堆積方法の組み合わせによって、行われる。既に上述したように、付加的に、リソグラフィプロセスが、電極の構造化のために必要とされる。
【0072】
更なるステップにおいて、第2の電極の下面の上にメタライゼーションを塗布することができる。メタライゼーションは、CVDプロセス、PVDプロセスによって、又は、電気的堆積によって、生成することができる。
【0073】
D)第1上部電極の部分領域の上に、NTCサーミスタ(チップNTCサーミスタ)を配置するステップNTCサーミスタは、好ましくは、第1上部電極の周縁領域の上に、はんだ付け、Ag焼結又は接着される。第1上部電極のうちNTCサーミスタがないままである領域は、センサ素子の第1のボンディングパッドとして機能する。
【0074】
チップNTCサーミスタは、上面にメタライゼーションを有する。メタライゼーションは、好ましくは薄膜メタライゼーションである。メタライゼーションは、好ましくは、NTCサーミスタの上面の上にスパッタリングされている。メタライゼーションは、センサ素子の第2上部電極を形成する。メタライゼーションは、センサ素子の第2のボンディングパッドとして機能する。
【0075】
NTCサーミスタチップを有する変形例2の場合、上面及び下面の上で電極が同じ層を有する、対称な構造を有するチップを使用する可能性が存在する。しかしながら、代替的に、下面及び上面の上の電極の層が互いに異なる、非対称な構造を有するチップを使用することもできる。例えば、下面の上に銀カバー層を有するニッケル層を塗布し、上面の上でニッケル層を金カバー層と組み合わせることができる。利点は、キャリア上での接合のために、Ag層により、銀加圧焼結及びはんだ付けの際、より良好な接着が達成される点に存在する。層の厚さは、上面と下面との間で異なる。一例において、下面は、0.4μmの厚さの銀層で覆われた0.3μmの厚さのニッケル層を有する。上面の上では、この具体的な例においては、厚さ1.1μmのニッケル層が、厚さ0.2μmの金層によって覆われている。もちろん、層厚及び材料の組み合わせにおける他の変形例も可能である。
【0076】
本発明は、更に、以下の態様を有する:
【0077】
1.温度の測定のためのセンサ素子(1)であって、
- 電気絶縁材料を含むと共に、上面(2a)及び下面(2b)を有するキャリア(2)、
- 前記キャリア(2)の前記上面(2a)に配置されたNTCサーミスタ(3)、
- 前記キャリア(2)の前記上面(2a)に配置された、前記センサ素子(1)の電気的な接触のための少なくとも2つの第1の電極(4)、
- 前記キャリア(2)の前記下面(2b)に配置された、少なくとも1つの第2の電極(5)、
を有し、
前記センサ素子(1)は、電気的に絶縁された態様で直接的にパワーモジュールの導体経路の上に組み込まれるように形成されている、センサ素子(1)。
【0078】
2.前記キャリア(2)の前記電気絶縁材料は、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む、態様1によるセンサ素子(1)。
【0079】
3.前記キャリア材料及び前記NTCサーミスタ(3)の材料の熱膨張係数は、互いに適合されている、態様1又は2によるセンサ素子(1)。
【0080】
4.それぞれの前記第1の電極(4)は複数の層(10、11、12、13)を有し、それぞれの前記第1の電極(4)はCu、Ni、Pd及びAuを含む、態様1~3のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0081】
5.前記第1の電極(4)の少なくとも1つの層(10、11)は厚膜として形成されており、前記第1の電極(4)の少なくとも1つの別の層(12、13)は薄膜として形成されている、態様4によるセンサ素子(1)。
【0082】
6.それぞれの前記第1の電極(4)は、ワイヤボンディング又ははんだ付けによる前記センサ素子(1)の電気的な接触のための第1の領域(4a)を有し、それぞれの前記第1の電極(4)は、はんだ付けによる前記NTCサーミスタ(3)の接触のための第2の領域(4b)を有する、態様1~5のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0083】
7.前記第1の領域(4a)及び前記第2の領域(4b)は、接続領域(4c)を介して互いに結合されている、態様6によるセンサ素子(1)。
【0084】
8.前記第2の電極(5)は、複層に形成されていると共に、材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含み、又は、前記第2の電極(5)は、材料Agの少なくとも1つの層を有する、態様1~7のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0085】
9.前記第2の電極(5)は、前記キャリア(2)の前記下面(2b)の上で全面に亘って形成されている、態様1~8のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0086】
10.前記第2の電極(5)は、前記キャリア(2)の前記下面(2b)に自由縁(6)が形成されるように配置されている、態様1~9のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0087】
11.前記第2の電極(5)は、前記上面にメタライゼーション(7)を有する、態様1~10のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0088】
12.少なくとも1つの接着仲介層(8)を更に有し、前記接着仲介層(8)は、それぞれの前記第1の電極(4)と前記キャリア(2)との間、及び/又は、前記第2の電極(5)と前記キャリア(2)との間に形成されている、態様1~11のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0089】
13.保護層(9)を更に有し、前記保護層(9)は少なくとも前記NTCサーミスタ(3)の周囲に形成されている、態様1~12のいずれか1つによるセンサ素子(1)。
【0090】
14.以下のステップを含む、センサ素子(1)の製造方法。
A)キャリア(2)を形成するためのキャリア材料を準備するステップ;
B)前記キャリア材料の上面(2a)の上に少なくとも2つの第1の電極(4)を塗布するステップ;
C)前記キャリア材料の下面(2b)に少なくとも1つの第2の電極(5)を塗布するステップ;
D)前記キャリア材料の前記上面(2a)の上にNTCサーミスタ(3)を配置するステップであって、前記NTCサーミスタ(3)は前記第2の電極(4)の部分領域の上にはんだ付けされる、ステップ
【0091】
15.それぞれの前記第1の電極(4)は、複層に構築され、材料Cu、Ni、Pd及びAuを含む、態様14による方法。
【0092】
16.前記第1の電極(4)は、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより、前記キャリア材料の前記上面(2a)の上に塗布される、態様14又は15による方法。
【0093】
17.前記第2の電極(5)の前記下面の上にメタライゼーション(7)を形成するステップであって、前記メタライゼーション(7)は、CVDプロセス、PVDプロセス又は電気的堆積によって塗布されるステップを更に含む、態様14~16のいずれか1つによる方法。
【0094】
以下に記述される図面は、縮尺どおりと解釈されてはならない。むしろ、より良好な図示のために、個々の寸法が拡大、縮小あるいは歪曲されて示されている可能性がある。
【0095】
互いに同一の、又は、同一の機能を担う構成要素は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図2】更なる実施例によるセンサ素子の斜視上面図である。
【
図5】更なる実施例によるセンサ素子の上面図である。
【
図6】
図5のセンサ素子(NTCチップサーミスタ)の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、第1の実施形態によるセンサ素子1を示している。センサ素子1は、好ましくは温度の測定のために形成されている。センサ素子1は、温度センサである。センサ素子1は、パワーモジュールの製造において標準的に使用される、はんだ付け、銀焼結及び/又はワイヤボンディングのような従来のAVTによって加工されるよう、形成されている。
【0098】
センサ素子1は、キャリア2を有する。キャリア2は、良好な熱伝導性及び電気絶縁性を有する材料を含む。好ましくは、キャリア2は、セラミックキャリアである。好ましくは、キャリア2は、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む。これに代えて、キャリアは、AlN又はSi3N4を、キャリア材料として含むことができる。
【0099】
キャリア2は、上面2a及び下面2bを有する。その場合、下面2bは、センサ素子1が組み立てられた状態において回路基板と対向する、キャリア2の面である。
【0100】
キャリア2は、矩形に形成されている。一実施例によれば、キャリア2は幅Bを有し(
図2参照)、1.5mm≦B≦2mmである。好ましくは、幅はB=1.6mmである。もちろん、他の(より小さな又はより大きな)幅、例えば0.5mm≦B≦2mmも、考えられる。
【0101】
一実施例によれば、キャリア2は厚さ又は高さHを有し(
図2参照)、0.3mm≦H≦0.5mmである。好ましくは、高さはH=0.4mmである。しかしながら、他の(より小さな又はより大きな)高さ、例えば0.1mm≦H≦1.0mmも、考えられる。
【0102】
一実施例によれば、キャリア2は長さLを有し(
図2参照)、3.0mm≦L≦4.0mmである。好ましくは、長さはL=3.5mmである。より小さな及びより大きな実施形態、例えば1mm≦L≦4mmも、考えられる。
【0103】
換言すれば、センサ素子1又はキャリア2は、非常にコンパクトな寸法とされており、したがって回路基板上への組み込みに抜きん出て適している。
【0104】
センサ素子1は、更に、少なくとも2つの第1の又は上部の電極4と、少なくとも1つの第2の又は下部の電極5とを有する。第2の又は下部の電極5は、好ましくは、純粋なメタライゼーションであり、電気的な機能を有していない。
【0105】
少なくとも2つの第1の電極4は、キャリア2の上面2aの上に形成されている。第1の電極4は、従来のAVT(好ましくは、ワイヤボンディング又ははんだ付け)によるセンサ素子1の電気的な接触を可能にするように、形成され配置されている。
【0106】
それぞれの第1の電極4は、構造化された態様で形成されている。それぞれの第1の電極4は、例えば材料Cu、Ni、Pd及び/又はAuを含む。それぞれの第1の電極4は、複層に構築されている(これについては、
図4参照)。特に、第1の電極4の最下層10は、Cuを含む。その場合、最下層10は、キャリア2の上面2aの直ぐ上に形成された、第1の電極4の層である。第1の電極4の第1の中間層11は、Niを含む。その場合、第1の中間層11は、最下層10に直接的に隣接している。第1の電極4の第2の中間層12は、Pdを含む。その場合、第2の中間層12は、第1の中間層11に直接的に隣接している。第1の電極4の最上層13は、Auを含む。その場合、最上層13は、第2の中間層12に直接的に隣接している。最上層13は、それぞれの第1の電極4の上面又は外面を形成している。
【0107】
層10、11、12、13は、材料に応じて、薄膜又は厚膜として具現されている。最下層10(Cu)及び第1の中間層11(Ni)は、好ましくは厚膜として具現されている。最上層13(Au)及び第2の中間層12(Pd)は、好ましくは薄膜として具現されている。その場合、層の順序及び厚さは、特に信頼性の高いはんだ付けプロセス及びAl太線ワイヤボンディングプロセスが可能になるように選択されている。
【0108】
層厚さは≦1μmから≦20μmまで変化し、厚膜として具現されたCu層及びNi層10、11は、それぞれ20μmまでの厚さであることができる。Pd層及びAu層12、13は、それぞれ、≦1μmの層厚さを有する。
【0109】
それぞれの第1の電極4の個々の層10、11、12、13は、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積から成る組み合わされたプロセスにより、キャリア2の上面2aの上に塗布されている。
【0110】
2つの第1の電極4は、互いに分離して配置されている。電極4は、上面2aに自由領域、すなわち電極材料のない領域が形成されるように構成されている。特に、第1の電極4は、上面2aの縁部にまでは達していない。
【0111】
それぞれの第1の電極4は、第1の領域(ボンディングパッド4a)及び第2の領域(はんだ付けパッド4b)を有する。第1の領域4aは、第2の領域4bよりも大きく形成されている。第1の領域4aは、センサ素子1の長手軸L(
図2参照)に対して平行な広がりD1を有し、0.2mm≦D1≦1.5mmである。好ましくは、広がりD1=0.9mmである。第1の領域4aは、センサ素子1の長手軸Lに対して垂直な広がりD2を有し、0.2mm≦D2≦2.0mmである。好ましくは、広がりはD2=1.1mmである。
【0112】
2つの領域4a、4bは、相互に入り込んでいる。特に、2つの領域4a、4bは、ブリッジ状の接続領域4cによって、互いに結合又は接続されている。
【0113】
2つの第1の電極4は、2つの第2の領域/はんだ付けパッド4bがキャリア2の横軸Qに沿って対向して配置され、それによりNTCサーミスタ3のはんだ付けが可能になるように、上面2aの上で配向されている。その場合、横軸Qは、長手軸Lに対して垂直に延びている(
図2)。特に、第2の領域4bは、上面2aの中央領域に形成されている。
【0114】
任意に、ソルダレジストを、キャリア2の上面2aの上の電極の2つのブリッジの上に塗布することもできる。
【0115】
センサ素子1は、上述したNTCサーミスタ3を有している。NTCサーミスタ3は、この実施例では、SMD-NTCサーミスタである。便宜上、以下においては、
図1~3による実施例に関連して、用語「NTCサーミスタ3」が、「SMD-NTCサーミスタ3」の代わりに使用される。
【0116】
これに代えて(
図5及び6による実施例を参照)、NTCサーミスタ3は、チップNTCサーミスタ3であることもできる。便宜上、
図5及び6による実施例に関連して、用語「NTCサーミスタ3」が、「チップNTCサーミスタ3」の代わりに使用される。
【0117】
NTCサーミスタ3は、上面3a及び下面3bを有する(これについては、
図6による実施例を参照)。NTCサーミスタ3は、0.2mm≦h≦0.7mmの高さhを有する。
【0118】
NTCサーミスタ3は、センサ素子1の表面に配置されている。NTCサーミスタ3は、好ましくは、EIA 0402又はEIA 0201SMD-NTCである。代替的に、NTCサーミスタ3は、EIA 01005SMD-NTCであることもできる。
【0119】
好ましくは、
図1によるNTCサーミスタ3(SMD-NTCサーミスタ、変形例1)は、キャリア2の上面2aの上にはんだ付けされている。特に、NTCサーミスタ3は、第1の電極4の第2の領域4b又ははんだ付けパッド4bの上にはんだ付けされている。したがって、NTCサーミスタ3は、キャリア2の上面2aの中央領域に配置されている。
【0120】
周期的な温度変化及びその際に生じる熱機械的な応力による、NTCサーミスタ3とキャリア2との間の接続部位の損傷を回避するために、キャリア材料とNTCサーミスタ3のセラミック材料の膨張係数は、互いに適合されている。
【0121】
図1~4による実施例において、センサ素子1は、更に、保護層又は保護カバー9(グローブトップ)を有している。保護カバー9は、少なくともNTCサーミスタ3を、好ましくは完全に覆っている。それにより、NTCサーミスタ3は、外部の影響から最適に保護される。
【0122】
センサ素子1の電気的な接触は、第1の電極4、特に第1の領域又はボンディングパッド4aのワイヤボンディング(好ましくはAl太線ワイヤボンディング)によって、達成される。NTCセラミックの損傷は、それにより回避することができる。センサ素子1の信頼性は、従来技術のNTCサーミスタとは対照的に、それにより高められる。第1の領域4aと第2の領域4bとの間のブリッジ状の接続領域4cを介して、ワイヤボンディングにより、NTCサーミスタ3も同様に接触される。
【0123】
第2の電極5は、キャリア2の下面2bに配置されている。第2の電極5は、従来のAVT(好ましくは、はんだ付け又は銀焼結)によってパワーモジュールの導体経路の上に直接的に塗布されるよう、形成され配置されている。
【0124】
第2の電極5は、複層に形成されていてもよいし、単層に形成されていてもよい。例えば、第2の電極5は、ただ1つの又は複数のAg層を有することができる(薄膜電極)。これに代えて、第2の電極5は、それぞれの第1の電極4の層構造に類似した層構造を有することもできる(
図4も参照)。
【0125】
好ましくは、第2の電極5は、全面に亘って形成されている。換言すれば、第2の電極5は、キャリア2の下面2b全体に亘って完全に又はほぼ完全に延びている。しかしながら、下面2bに自由縁6を形成することもできる。この場合、第2の電極5は、キャリア2の下面2bの縁部にまでは達しない。
【0126】
第2の電極5の下面又は外面には、この実施例では、メタライゼーション7、好ましくはAgメタライゼーションが、形成されている。メタライゼーション7は、CVDプロセス、PVDプロセスによって、又は、電気的堆積によって、第2の電極5の上に生成され得る。メタライゼーション7によって、銀焼結プロセスの使用により、センサ素子1を回路基板に直接的に接続することが、可能になる。メタライゼーション7は、特に、第2の電極5が、それぞれの第1の電極4に類似した層構造を有する場合に、使用される。第2の電極5がAg薄膜電極として具現されている限りにおいて、メタライゼーション7を省略することもできる。
【0127】
第1の電極4及び/又は第2の電極5とキャリア2との間に、更に、接着仲介層8、例えばTi層を、形成することができる。この場合、電極4、5は、接着仲介層8の上に直接的に形成されている。これにより、電極4、5のキャリア2への特に良好な接続が可能になる。
【0128】
更なる実施例によれば、センサ素子1は、構造を単純化するために、第2の/下部の電極5なしで形成することもできる。
【0129】
更なる実施例によれば、センサ素子1は、細線ワイヤボンディングのために設計することもできる。この例では、NTCサーミスタ3は、好ましくはSMD EIA 01005である。好ましくは、キャリア2は、この実施例では、以下の寸法を有する:0.1mm≦H≦1mm;0.5mm≦B≦2.0mm;1.0mm≦L≦2.0mm。好ましくは、それぞれの第1の電極4の第1の領域4aは、以下の寸法を有する:0.1mm≦D1≦1.1mm;0.1mm≦D2≦1.1mm。
【0130】
従来技術と比較して、絶縁センサ素子1は、パワーモジュールの導体経路の直ぐ上での使用を可能にする。特殊な電極構造により、Al太線による接触が、NTCセラミックを損傷することなく、また、従来技術によるNTCサーミスタとは対照的に一段と高められた信頼性をもって、可能である。加えて、センサ素子1の機械的な安定性は、例えば、AlN、Si3N4、Al203、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックキャリア材料を使用することにより、向上する。
【0131】
図2及び3は、更なる実施例によるセンサ素子1の斜視上面図(
図2)又は斜視下面図(
図3)を示している。
【0132】
図1によるセンサ素子1とは対照的に、センサ素子は、ここでは保護カバー9を有していない。更に、センサ素子1は、メタライゼーション7なしで且つ接着仲介層8なしで形成されている。センサ素子1の全ての更なる特徴については、
図1に関連した説明を参照されたい。
【0133】
以下では、センサ素子1の製造方法が説明される。好ましくは、当該方法によって、上述した実施例(
図1~3)のうちの1つによるセンサ素子1が製造される。したがって、センサ素子1との関連で説明された全ての特徴は、当該方法にも適用することができ、その逆も同様である。
【0134】
第1のステップA)において、キャリア2を形成するためのキャリア材料が準備される。キャリア材料は、良好な熱伝導性を有する。キャリア材料は、電気絶縁材料を含む。キャリア材料は、セラミックを含む。好ましくは、キャリア材料は、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む。代替的に、キャリア材料は、AlN又はSi3N4を含むこともできる。
【0135】
更なるステップB)において、キャリア材料の上面2aの上で少なくとも2つの第1の電極4の塗布が行われる。これは、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより行われる。その場合、複層の第1の電極4が形成される。特に、それぞれの第1の電極4は、最下層10、2つの中間層11、12及び最上層13から成る層構造を有する。
【0136】
先ず、最下層10が、例えば電気的に、キャリア材料の上面2aの上に堆積される。最下層10は、好ましくはCuを含む。好ましくは、最下層10は厚膜である。好ましくは、最下層10は、1μm~20μmの、特に好ましくは3μm~15μmの厚さを有する。
【0137】
続いて、第1の中間層11が、例えば電気的に、最下層10の上に形成される。第1の中間層11は、Niを含む。好ましくは、第1の中間層11は厚膜である。好ましくは、第1の中間層11は、1μm~20μmの、特に好ましくは3μm~7μmの厚さを有する。
【0138】
続いて、第2の中間層12が、例えばスパッタリングによって、第1の中間層11の上に形成される。第2の中間層12は、例えばPdを含む。好ましくは、第2の中間層12は薄膜である。好ましくは、第2の中間層12は、≦1μmの厚さを有する。
【0139】
最後に、最上層13が、例えばスパッタリングによって、第2の中間層12の上に形成される。最上層13は、Auを含む。最上層13は、それぞれの第1の電極4の上面又は外面を形成している。好ましくは、最上層13は薄膜である。好ましくは、最上層13は、≦1μmの厚さを有する。
【0140】
代替的な実施例においては、ステップB)の前に、接着仲介層8がキャリア材料の上面2aの上に塗布される更なるステップが行われる。続いて、この実施例においては、第1の電極4が、接着仲介層8の上に形成される。
【0141】
更なるステップC)において、キャリア材料の下面2bの上で第2の電極5の塗布が行われる。これは、同様に、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより行われる。その際に生成される第2の電極5は、例えば、それぞれの第1の電極4の構造に類似した複層の構造を有する。
【0142】
しかしながら、これに代えて、第2の電極5は、ただ1つの又は複数の層Agを含むこともできる。この場合、キャリア材料の下面2bの上への第2の電極5の塗布が行われる。
【0143】
代替的な実施例においては、ステップC)の前に、接着仲介層8がキャリア材料の下面2bの上に塗布される更なるステップが行われる。続いて、この実施例においては、第2の電極5が、接着仲介層8の上に形成される。
【0144】
代替的な実施例においては、ステップC)を省略することができ、その結果、第2の電極5は、キャリア材料の下面2bの上に塗布されない。
【0145】
代替的な更なるステップにおいて、第2の電極5の下面又は外面の上に、メタライゼーション7を形成することができる。メタライゼーションは、CVDプロセス、PVDプロセスによって、又は、電気的堆積によって、第2の電極5の上に塗布される。
【0146】
次のステップD)において、キャリア材料の上面2aの上でNTCサーミスタ3の配置が行われる。特に、NTCサーミスタ3は、少なくとも2つの第1の電極4の部分領域(第2の領域4b又ははんだ付けパッド4b)の上にはんだ付けされる。
【0147】
更なるステップにおいて、保護層又は保護カバー9の塗布が行われる。保護カバー9は、好ましくはポリマーを含む。好ましくは、保護カバー9はポリマーから成る。保護カバー9は、NTCサーミスタ3を、好ましくは完全に覆っている。
【0148】
続いて、特に従来のAVTによって、好ましくは第2の電極5のはんだ付け又はAg焼結によって、センサ素子1の、回路基板の導体経路上への直接的な接続を行うことができる。
【0149】
更に、第1の電極4及びNTCサーミスタ3を接触させることもできる。これは、同様に、従来のAVTによって、好ましくはワイヤボンディング(好ましくはAl太線ワイヤボンディング)又ははんだ付けによって、行われる。
【0150】
図5は、更なる実施例によるセンサ素子1を示している。
図1~3に示された実施例とは異なり、NTCサーミスタ3は、ここではチップNTCサーミスタである。
図1~3に示された実施例とは異なり、ここでは更に、ただ1つの電極4がキャリア2の上面2aの直ぐ上に形成されている。以下では、この電極を、第1上部電極4と呼ぶ。第1上部電極4は、上述した第1の電極4と同様に構築されている。特に、第1上部電極は複層に構築されている。
【0151】
第1上部電極4は、キャリア2の周縁領域に第1上部電極4がないよう(自由縁44)、キャリアの上面2aの上に塗布されている。自由縁44は、0.05~0.25mmの幅を有する。
【0152】
しかしながら、これに代えて、第1上部電極4は、キャリア2の上面2aを完全に覆うこともできる(明示的には示されていない)。第1上部電極4の面積は、この場合、(1.25±0.75)mm×(2.25±1.25)mmである。
【0153】
NTCサーミスタ3は、第1上部電極4を完全には覆っていない。
図5から分かるように、NTCサーミスタ3は、第1上部電極4の周縁領域に配置されている。換言すれば、第1上部電極4の部分領域45には、NTCサーミスタ3がない。この部分領域45は、第1のボンディングパッドとして機能する。
【0154】
NTCサーミスタ3は、メタライゼーション40を有している。メタライゼーション40は、薄膜メタライゼーションである。メタライゼーション40は、NTCサーミスタ3の上面3aに形成され、好ましくはスパッタリングされている。NTCサーミスタの別の対向する面(下面3b)には、別のメタライゼーション40を配置することができる(
図6)。
【0155】
NTCサーミスタ3の上面3aのメタライゼーション40は、センサ素子1のAl太線接触のための更なるボンディングパッドとして機能する。換言すれば、NTCサーミスタ3のメタライゼーション40は、第2上部電極4として機能する。それにより、センサ素子1の電気的な接触が、容易に保証されている。
【0156】
メタライゼーション40は、複数の層41、42を有する層状の電極である(
図6)。層41、42は、例えばスパッタリングされている。メタライゼーション40は、基体43のセラミックの直ぐ上に塗布された層41を有する(
図6)。層41は、例えばある割合のバナジウムと共にニッケルを含むか、又は、これらの金属から成る。
【0157】
層41は、やはり複層に形成されていてもよい(明示的には示されていない)。層41の下層は、例えば、セラミックと直接的に接触している。下層は、例えばクロムを含むか又はクロムから成る。層41は、更に、下層の上に塗布された上層を有することができる。上層は、例えばある割合のバナジウム共にニッケルを含むか、又は、これらの金属から成る。
【0158】
層41は、例えば0.2μm~10μmの範囲の厚さを有する。好ましくは、厚さは0.3μm~2μmの範囲にある。この厚さは、単層及び複層の両方の層41に適用当てはまり得る。
【0159】
層41の上には、更なる層42(カバー層)が塗布されている。例えば、カバー層42は、特に酸化を阻止するために、層41の腐食防止として機能する。カバー層は、例えば、銀、金、銅若しくはアルミニウムを含むか、又は、これらの材料のうちの1つから成る。カバー層は、例えば0.05μm~20μmの範囲の厚さを有する。
【0160】
センサ素子1の全ての更なる特徴、特に、第2の又は下部の電極5、メタライゼーション7及び接着仲介層8は、上述した実施例と同様に具現されている。
【0161】
以下で、
図5及び6の実施例によるセンサ素子1の製造方法が説明される。
【0162】
第1のステップA)において、キャリア2を形成するためのキャリア材料が準備される。キャリア材料は、良好な熱伝導性を有する。キャリア材料は、電気絶縁材料を含む。キャリア材料は、セラミックを含む。好ましくは、キャリア材料は、AlN、Si3N4、Al2O3、LTCC又はZTA材料をベースとするセラミックを含む。
【0163】
更なるステップB)において、キャリア材料の上面2aの上での2つの第1の電極4のうちの1つ(第1上部電極4)の塗布が行われる。これは、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより行われる。その場合、複層の第1上部電極4が形成される。特に、第1上部電極4は、最下層10、2つの中間層11、12及び最上層13から成る層構造を有する(
図4)。その場合、第1上部電極4の層構築は、上述した第1の電極の層構築と同様に行われる。
【0164】
第1上部電極4は、上面2aの上で全面に亘って塗布することができる。これに代えて、第1上部電極4は、キャリア2の周縁領域が空いたままとなる(自由縁44)ように塗布される。
【0165】
代替的な実施例においては、ステップB)の前に、接着仲介層8がキャリア材料の上面2aの上に塗布される更なるステップが行われる。続いて、この実施例においては、第1上部電極4が、接着仲介層8の上に形成される。
【0166】
更なるステップC)において、キャリア材料の下面2bの上に第2の又は下部mの電極5の塗布が行われる。これは、同様に、スパッタリング、CVDプロセス、PVDプロセス及び/又は電気的堆積の組み合わせプロセスにより行われる。その際に生成される第2の電極5は、例えば、それぞれの第1の電極4の構造に類似した複層の構造を有する。しかしながら、これに代えて、第2の電極5は、ただ1つの又は複数の層Agを含むこともできる。
【0167】
代替的な実施例においては、ステップC)の前に、接着仲介層8がキャリア材料の下面2bの上に塗布される更なるステップが行われる。続いて、この実施例においては、第2の電極5が、接着仲介層8の上に形成される。
【0168】
代替的な更なるステップにおいて、第2の電極5の下面又は外面の上に、メタライゼーション7を形成することができる。メタライゼーションは、CVDプロセス、PVDプロセスによって、又は、電気的堆積によって、第2の電極5の上に塗布される。
【0169】
代替的な実施形態においては、キャリア材料の下面2bの上での第2の電極5の塗布が省略される。この場合、センサ素子1の接続は、接着によって行われる。
【0170】
次のステップD)において、第1上部電極4の部分領域の上でNTCサーミスタ3の配置が行われる。特に、NTCサーミスタ3は、第1上部電極4の周縁領域の上にはんだ付けされる。NTCサーミスタ3は、第2上部電極4として機能するメタライゼーション40を、上面3aに有する。
【0171】
続いて、特に従来のAVTによって、好ましくは第2の電極5のはんだ付け又はAg焼結によって、センサ素子1の、回路基板の導体経路上への直接的な接続を行うことができる。
【0172】
更に、第1の又は上部の電極4、40を接触させることができる。これは、同様に、従来のAVTによって、好ましくはワイヤボンディング(好ましくはAl太線ワイヤボンディング)又ははんだ付けによって、行われる。
【0173】
ここで提示された主題の記載は、個々の特定の実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に意味のある限り、任意に互いに組み合わせられ得る。
【符号の説明】
【0174】
1 センサ素子
2 キャリア
2a 上面
2b 下面
3 NTCサーミスタ
3a 上面
3b 下面
4 第1の/上部の電極
4a 第1の領域/ボンディングパッド
4b 第2の領域/はんだ付けパッド
4c 接続領域
5 第2の/下部の電極
6 自由縁
7 メタライゼーション
8 接着仲介層
9 保護層/保護カバー
10 最下層
11 中間層
12 中間層
13 最上層
40 メタライゼーション
41 層
42 層/カバー層
43 NTCサーミスタのセラミック基体
44 自由領域
45 第1上部電極の部分領域
B センサ素子の幅
H センサ素子の高さ又は厚さ
L センサ素子の長さ
H NTCサーミスタの高さ
X 長手軸
Q 横軸
D1 長手軸に対して平行な広がり
D2 長手軸に対して垂直な広がり