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特許7394227接続システム及び防水壁モジュール・システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】接続システム及び防水壁モジュール・システム
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/10 20060101AFI20231130BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E02B3/10
E04H9/14 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022538396
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020087196
(87)【国際公開番号】W WO2021123290
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】20191512
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】522246522
【氏名又は名称】アクアフェンス・エイエス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,フランチェスコ・ルジアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ダール,フレッド・スカンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ロージンズ,リハルズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスクス,マルティンス
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202006018777(DE,U1)
【文献】国際公開第2018/011605(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02191808(GB,A)
【文献】特開昭63-210307(JP,A)
【文献】特開2006-283454(JP,A)
【文献】特開2008-163639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/10
E04H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのメンブレン(25、25’)を少なくとも1つの剛性支持体(30、31、50)に接続する接続システム(20)であって、前記接続システムは、
少なくとも1つの締付け部材(15、16)と、
少なくとも1つの係止ユニット(21)と
を備え、前記少なくとも1つの係止ユニット(21)は、前記少なくとも1つの締付け部材(15、16)を前記剛性支持体(30、31、50)に取り付け、これにより、前記少なくとも1つの締付け部材と前記剛性支持体(30、31、50)との間に前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)の一部分を締め付け、前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)と前記剛性支持体(30、31、50)との間に封止部を達成するように構成し、
前記少なくとも1つの係止ユニット(21)は、いくつかの所定の係止ユニット状態の間で可動である個別状態の係止ユニットであり、各前記係止ユニット状態は、接続システムの1つの段階に対応し、前記所定の係止ユニット状態は、
・前記係止ユニットが、前記締付け部材(15、16)と前記剛性支持体(50、30、31)との間に間隙をもたらし、前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)の一部分を前記締付け部材(15、16)と前記剛性支持体との間に挿入可能にするように構成した係止ユニット開放状態であって、前記接続システム(20)の開放段階に対応する係止ユニット開放状態、
・前記係止ユニット(21)が、前記締付け部材(15、16)を前記剛性支持体(30、31、50)の方に押圧し、このため、前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)が、前記締付け部材と前記支持体との間に締め付けられるように構成される係止ユニット閉鎖状態であって、封止部が前記少なくとも1つのメンブレンと前記剛性支持体(30、31、50)との間にもたらされる前記接続システム(20)の閉鎖段階に対応する係止ユニット閉鎖状態、及び
・前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)が、前記締付け部材(15、16)から分離せずに前記締付け部材(15、16)に対して摺動可能である、前記係止ユニット開放状態と前記係止ユニット閉鎖状態との間の係止ユニット中間状態であって、前記接続システム(20)の調節段階に対応する係止ユニット中間状態
を含み、
前記締付け部材(15、16)は、細長締付け外形部(15、16)であり、
前記少なくとも1つの細長締付け外形部(15、16)は、第1の細長締付け外形部(15)と、第2の細長締付け外形部(16)とを備え、前記第1の細長締付け外形部(15)は、前記第2の細長締付け外形部(16)に対してある角度で延在し、
前記接続システムは前記第2の細長締付け外形部(16)上に設けられたモジュール内偏心ラッチ(38)を更に含み、前記モジュール内偏心ラッチ(38)は、下にあるメンブレン部分を、前記第2の細長締付け外形部(16)に対してある角度で延在する剛性支持体及び/又は前記第1の細長締付け外形部(15)の方に押圧するように構成する、
接続システム。
【請求項2】
前記締付け部材(15、16)は、少なくとも1つの往復拡張部及び/又は少なくとも1つのエラストマ・ガスケット及び/又は少なくとも1つのエラストマ層等、封止及び/又は閉鎖改善手段を備える、請求項1に記載の接続システム。
【請求項3】
前記接続システムは、前記剛性支持体(50)を更に備え、前記接続システム(20)は、前記剛性支持体(50)の両側に延在する少なくとも2つのメンブレン(25、25’)を接続するように構成する、請求項1又は2に記載の接続システム。
【請求項4】
前記係止ユニット(21)は、前記所定の係止ユニット状態を調節する較正部材(9)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項5】
前記係止ユニットは、前記係止ユニット(21)を前記係止ユニット閉鎖状態に係止する係止手段を更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項6】
前記係止手段は、人の意図的な作動のみにより前記係止手段の係止解除を可能にするように構成する、請求項に記載の接続システム。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の接続システム(20)を使用して2つのモジュール(41、41’)を接続する方法であって、前記モジュール(41、41’)の少なくとも1つは、前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)を備え、前記方法は、
a.前記モジュール(41、41’)を並べて配置するステップと、
b.前記接続システムが前記開放段階を取るように、前記少なくとも1つの係止ユニット(21)を前記係止ユニット開放状態に設定するステップと、
c.前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)の一部分を前記少なくとも1つの締付け部材(15、16)と前記剛性支持体(30、31、50)との間に挿入ステップと、
d.前記接続システム(20)が前記調節段階を取るように、前記少なくとも1つの係止ユニット(21)を前記係止ユニット中間状態に移動させるステップと、
e.任意で、前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)を前記剛性支持体(30、31、50)に対して調節するステップと、
f.前記少なくとも1つの係止ユニット(21)を前記係止ユニット閉鎖状態に移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記方法は、前記モジュール内偏心ラッチ(38)を、前記第2の細長締付け外形部(16)に対してある角度で延在する前記剛性支持体及び/又は前記第1の細長締付け外形部(15)の方に押圧するため、前記モジュール内偏心ラッチ(38)を締結することを更に含み、これにより、前記第1の細長締付け外形部(15)に面する前記第2の細長締付け外形部(16)の一端部上に設けられた囲繞部材が、メンブレン終端を囲繞し、前記メンブレン終端を押して約90°の角度にし、前記第1の細長締付け外形部(15)と前記第2の細長締付け外形部(16)との間のコーナを往復するようにする、請求項に記載の接続システム(20)と組み合わせた、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の接続システムによって相互に接続される少なくとも2つのモジュール(41、41’)を備える防水壁モジュール・システム(40)であって、前記少なくとも2つのモジュール(41、41’)の少なくとも1つは、メンブレン(25)を備え、前記メンブレン(25)の一部分は、前記接続システム内に係合される、防水壁モジュール・システム(40)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)の一部分は、少なくとも1つの停止部分(26、26’)を備え、前記停止部分は、前記メンブレン(25、25’)よりも厚い、請求項に記載の防水壁モジュール・システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの停止部分は、前記細長締付け外形部と平行に延在する細長部分である、請求項10に記載の防水壁モジュール・システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの停止部分は、ケダー(26、26’)である、請求項11に記載の防水壁モジュール・システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのメンブレン(25、25’)の一部分は、前記メンブレン(25、25’)の一端部分である、請求項12のいずれか一項に記載の防水壁モジュール・システム。
【請求項14】
前記少なくとも2つの相互接続モジュール(41、41’)の少なくとも1つは、パネル(30、31)を備え、前記パネルは、前記剛性支持体を形成し、前記少なくとも1つの細長締付け外形部(15、16)は、前記少なくとも1つの係止ユニット(21)により前記剛性支持体に取り付けられる、請求項13のいずれか一項に記載の防水壁モジュール・システム。
【請求項15】
前記少なくとも2つのモジュール(41、41’)の2つの隣接し合う水平パネル(31)の間の接続部を補強するように構成したモジュール間偏心ラッチ(39)を更に含む、請求項14のいずれか一項に記載の防水壁モジュール・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのメンブレンを少なくとも1つの剛性支持体に接続する接続システムに関する。本発明は、接続システムを使用して2つのモジュールを接続する方法、及び防水壁モジュール・システムにも関する。本発明は、必要とされる接続が2つ以上の空間平面に及ぶ場合、例えば、それぞれのモジュールが、L字形断面等のような約90°の角度で対になる剛性支持体を備える2つのモジュールの間に接続がある場合、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
洪水の際、不動産及び人々を保護するために軽量可搬防壁を展開することは公知である。こうした防壁は、典型的には、接続を必要とする可搬モジュールから作製される。そのような接続作業は、迅速に行う必要があり、多数のモジュールの接続を伴う場合がある。ボルト又はノブの螺入を介してモジュールを接続することは、一般的である。こうしたボルトにより、手作動、又は機械作動に関わらず、そのような接続作業に時間がかかり、あまり人間工学的ではない。
【0003】
2つの隣接し合う防壁を6個のねじで接続する必要がある典型的なケースでは、50個の防壁モジュールの集結を必要とし得る100mの外周部の場合、300個のボルトを操作する必要がある。2.7メートルの洪水位等、より極端な洪水位の場合、100メートルの防御外周部のために組み立てるべきモジュール数は、約100個であり、操作すべきボルト数は、1200個に近い。
【0004】
典型的には2つである、防壁モジュールを構成するパネルは、接続時、防壁の効率を最適化するように調節する必要がある。防壁モジュールが、1つの防壁モジュールにつき典型的には2つのパネル、即ち、水平パネル及び垂直パネルから作製され、これらがヒンジによって接続される場合、各パネルを同じモジュールの他方のパネルに対して調節し、隣接するモジュールの対応するパネルに対して調節することにより、保護を改善している。以下でより詳細に説明するように、設置の間、各ボルトに対して少なくとも3つの調節を必要とし得る。このことは、100メートルの長さの防壁のボルトに対して、少なくとも3600の作業を意味し得る。
【0005】
メンブレンとパネルとの間の接続システムに対して、メンブレンとパネルとの間の接続を分断せず、且つボルトの繰返し作動を要求せずに相対的な調節を可能にし、動作方法が良好に規定され、他人に教え、実行するのが容易であり、設置時間をかなり短縮し、洪水に対峙するのにより安全な解決策を提供する必要性がある。本接続システムは、2つ以上の空間平面内にパネル又は剛性支持体を備えるモジュール、例えば、「L字」に類似した形状の横たわっているものと、直立しているものとを備えるモジュールに特に関連がある。というのは、空間平面を接続する接合部は、漏出しやすいが、封止が困難であり、接続を分断せずにパネル又は支持部材に対してメンブレンを調節する能力は、既存の接続システムが提供するよりも迅速で、より効果的な封止方法を可能にするためである。
【0006】
防水壁モジュール間の接続システムに関し、より迅速で、安全で、直観的で、取扱いがより人間工学的である必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
少なくともいくつかの態様において、従来技術のシステムに対して改善された接続システムを提供することは、本発明の一つの目的である。特に、より迅速で、安全で、直観的で、取扱いがより人間工学的である、防水壁モジュールを接続する接続システムを提供することは、一つの目的である。別の目的は、2つのモジュールを接続する改善された方法を提供することである。また別の目的は、防水壁システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
目的の少なくとも1つは、請求項1に記載の、少なくとも1つのメンブレンを少なくとも1つの剛性支持体に接続する接続システムにより達成される。
【0009】
接続システムは、
少なくとも1つの締付け部材と、
少なくとも1つの係止ユニットと
を備え、少なくとも1つの係止ユニットは、少なくとも1つの締付け部材を剛性支持体に取り付け、これにより、少なくとも1つの締付け部材と剛性支持体との間に少なくとも1つのメンブレンの一部分を締め付け、少なくとも1つのメンブレンと剛性支持体との間に封止部を達成するように構成し、
少なくとも1つの係止ユニットは、いくつかの特定の区別可能な所定の係止ユニット状態の間で可動である個別状態の係止ユニットであり、各係止ユニット状態は、接続システムの段階に対応し、所定の係止ユニット状態は、
・係止ユニットが、締付け部材と剛性支持体との間に間隙をもたらし、少なくとも1つのメンブレンの一部分を締付け部材と剛性支持体との間に挿入可能にするように構成される係止ユニット開放状態であって、接続システムの開放段階に対応する係止ユニット開放状態、
・係止ユニットが、締付け部材を剛性支持体の方に押圧し、少なくとも1つのメンブレンが、締付け部材と剛性支持体との間に締め付けられるように構成される係止ユニット閉鎖状態であって、封止部が少なくとも1つのメンブレンと剛性支持体との間にもたらされる接続システムの閉鎖段階に対応する係止ユニット閉鎖状態、及び
・少なくとも1つのメンブレンが、締付け部材から分離せずに締付け部材に対して摺動可能である、係止ユニット開放状態と係止ユニット閉鎖状態との間の特定の区別可能な係止ユニット中間状態であって、接続システムの調節段階に対応する係止ユニット中間状態
を含む。
【0010】
係止ユニットは、個別状態の係止ユニットであるため、十分に規定され、個別又は明確な状態がもたらされ、したがって、特別な訓練及び経験がない場合でさえ、メンブレンを剛性支持体に接続するのを容易にする。係止ユニット開放状態、係止ユニット閉鎖状態及び係止ユニット中間状態は、係止ユニットの物理的な形状及び回転位置によって規定される全て個別又は明確な状態である。個別状態の係止ユニットの各状態は十分に規定され、容易に認識可能であるため、係止ユニット上に設けられる平滑移行面等を介するこれらの状態の間の移行は、迅速で直観的である。これにより、ねじ等の連続締結機構に関連する問題、例えば、ねじの締結が強過ぎる又は弱過ぎることが回避される。したがって、設置工程はかなり容易になり、接続の最終的な質が改善される。3つの所定の係止ユニット状態のおかげで、接続システムは、安全な締結を可能にし、組付け手順の間に締め付けられるメンブレンの調節を促進する。係止ユニットの個別又は明確な状態を説明する別の様式は、個別/明確な状態の間の移行状態が安定していないことである。即ち、移行状態にある際、係止ユニットのレバー本体又はハンドルにわずかな力を加えることにより、係止ユニットを個別の/明確な係止ユニット状態にする。
【0011】
所定の係止ユニットの状態は、3つの予め規定した個別位置の間で、レバー本体回転軸回りに、レバー基部に対してレバー本体を回転させることによって得ることができる。
【0012】
締付け部材及び係止ユニットは、個別の構成要素とし得、剛性支持体に組み付ける際に組み立てることができる。この場合、締付け部材及び係止ユニットは、互いに永続的に取り付けられない。締付け部材及び係止ユニットは、互いに固定接続してもよい。
【0013】
調節段階に対応する係止ユニット中間状態においてメンブレンの調節を可能にするため、少なくとも1つのメンブレンの一部分は、少なくとも1つの停止部分を備えることができ、停止部分は、メンブレンよりも厚い。そのようなより厚い停止部分は、係止ユニットが係止ユニット中間状態にある際の締付け部材による係合を促進する。したがって、締付け部材は、締付け部材がメンブレンの方に突出する縁部領域を備えること等により、係止ユニット中間状態内にメンブレンのより厚い部分を保持するように構成することができ、縁部領域と剛性支持体との間の間隙は、停止部分の厚さよりも小さい一方で、停止部分を中に受け入れ得る縁部領域の内部に空間をもたらす。
【0014】
任意で、少なくとも1つの締付け部材は、少なくとも1つの細長締付け外形部である。少なくとも1つのメンブレンは、係止ユニット中間状態において、細長締付け外形部から分離せずに細長締付け外形部に沿って摺動することが可能である。この目的で、締付け外形部は、細長締付け外形部に沿って延在する平行な長手方向縁部の形態の、剛性支持体の方に突出する接触部分と、接触部分の間の受入れ部分とを有し得る。本明細書において、受入れ部分は、空間が受入れ部分と剛性支持体との間にもたらされるように構成される。したがって、メンブレンのより厚い停止部分は、受入れ部分の下に受け入れることができる。接続システムは、好ましくは、少なくとも1つの細長締付け外形部に沿って離間して配置される複数の係止ユニットを備える。
【0015】
好ましくは、接続システムの閉鎖段階に対応する係止ユニット閉鎖状態において、メンブレンの締め付けられた領域が、締付け部材に対して移動しない又は実質的に移動しないようにされる一方で、メンブレンの他の領域は、典型的なメンブレンのように屈曲し、湾曲できる。係止ユニット閉鎖状態で加えられる摩擦は、移動を防止し、封止をもたらす。
【0016】
閉鎖段階で達成される封止は、好ましくは、水密封止又は略水密封止とし得る。わずかな漏出は許容可能であり得るが、接続システムを防水壁モジュール・システムで使用する場合、水の質量によって加えられる圧力に耐えることができ、相当量の水が封止部を流れないようにすべきである。
【0017】
接続システムは、メンブレンを剛性支持体に接続するために使用し得、係止ユニットは、剛性支持体にアンカで留められ、細長締付け外形部を固定する。剛性支持体は、例えば、木板又は合板又は金属板を備えるパネル等のパネルとし得る。剛性要素は、様々な可撓性材料、布帛、塗料等で覆うか又は包むことができる。
【0018】
メンブレンとは、本明細書において、用途に応じて、布帛シート、例えば、防水織布シート、不織布シート、帆布、プラスチック・シート等の薄い柔軟なシート材料であると理解されたい。メンブレンは、例えば、水密封止を目的とする場合、不透水性メンブレンとし得る。
【0019】
任意で、係止ユニットは、係止ユニット閉鎖状態で係止ユニットを係止する係止手段を更に備える。この係止手段は、係止ユニット係止状態でも見える。係止手段は、最初に、第1の方向で第1の力を加え、次に、第1の方向とは異なる第2の方向で第2の力を加える等、人による意図的な作動によってのみ、係止手段の解除を可能にするように構成し得る。このことは、以下でも更に説明する。
【0020】
任意で、係止ユニットは、ハンドルを更に備え、ハンドルの作動により、レバー本体回転軸回りでのレバー本体の回転を可能にする。これにより、係止ユニットは、作動が容易である。ハンドルは、L字形状であり、レバー本体に設けられた穴内に延在する内部区間、及びレバー本体の外側に延在する外部区間を有する。任意で、係止ユニットは、持上げばねを更に備え、持上げばねは、レバー本体を押圧して剛性支持体から離すように構成される。
【0021】
任意で、持上げばねは、少なくとも係止ユニット閉鎖状態でレバー本体の方に締付け部材を押圧するように構成される。
【0022】
任意で、持上げばねは、係止ユニット中間状態でレバー本体の方に締付け部材を押圧するように更に構成される。持上げばねは、この場合、任意でレバー本体の平坦面領域と組み合わせて、係止ユニット中間状態を規定する及び/又は安定させるために使用し得る。特に、持上げばねは、係止ユニット中間状態において、ある固定距離が締付け部材と剛性支持体との間にもたらされ、締付け部材と剛性支持体との間でのメンブレンの調節を促進することを保証する。
【0023】
任意で、持上げばねは、開放状態でレバー本体の方に締付け部材を押圧するように更に構成される。このことにより、開放状態において、ある固定距離が締付け部材と剛性支持体との間にもたらされ、締付け部材と剛性支持体との間でのメンブレンの挿入を促進することを保証する。
【0024】
任意で、係止ユニットは、レバー本体の予め規定された位置を調節する較正ボルトを更に備える。
【0025】
任意で、ハンドルは、ハンドル回転軸回りを回転可能であり、係止ユニットが係止ユニット係止状態を取ることを可能にする。ハンドル回転軸は、いくつかの実施形態では、レバー本体回転軸と平行とし得る。
【0026】
任意で、係止ユニット係止状態は、係止ユニット閉鎖状態から係止ユニット係止状態へのハンドル回転軸回りのハンドルの回転によって取ることが可能である。したがって、ハンドルは、ハンドルをレバー基部に対するレバー本体回転のために使用可能である作動位置と、少なくとも係止ユニット閉鎖状態でハンドルがレバー基部に対するレバー本体の回転を防止する係止位置との間で可動とし得る。これにより、ハンドルは、最初に、ハンドルを一方向で引っ張り、その後、ハンドルを引っ張るのに使用した方向とは異なる方向で力を加えることによりハンドルを回転させる等、人による意図的な作動によってのみ、解除を可能にするように構成し得る。
【0027】
任意で、レバー本体は、ハンドルの少なくとも一部分が作動位置で中に受け入れられる第1の溝と、ハンドルの少なくとも一部分が係止位置で中に受け入れられる第2の溝とを備え、前記第1の溝及び前記第2の溝は、主本体に対するハンドルの意図しない回転を防止する。
【0028】
任意で、レバー本体は、作動位置及び係止位置のそれぞれでハンドルを保持するハンドルばねを更に備える。このことにより、ハンドルが一方の位置からもう一方の位置に偶発的に移動しないことを保証する。これにより、作動位置、即ち、係止ユニット係止状態での係止ユニットの取扱いも容易にする。
【0029】
任意で、締付け部材は、少なくとも1つの往復拡張部及び/又は少なくとも1つのエラストマ・ガスケット及び/又は少なくとも1つのエラストマ層等、封止及び/又は閉鎖改善手段を備える。そのような封止及び/又は閉鎖改善手段を含むメンブレン又は剛性支持体を提供することも可能であり、この場合、締付け部材は、必ずしもそのような手段を備える必要はない。
【0030】
任意で、接続システムは、剛性支持体を更に備え、接続システムは、剛性支持体の両側に延在する少なくとも2つのメンブレンを接続するように構成される。このようにして、接続システムは、接続システム及びその剛性支持体の両側で2つの隣接し合うメンブレンを接続するために使用し得る。
【0031】
このようにして、接続システムは、間に延在する着脱可能なメンブレンによって、2つの隣接し合う剛性支持体又は剛性支持体モジュールを接続するために使用し得る。両方のメンブレンの一部分は、同じ細長締付け外形部(複数可)の下に締め付け得る。
【0032】
任意で、少なくとも1つの細長締付け外形部は、第1の細長締付け外形部と、第2の細長締付け外形部とを備え、第1の細長締付け外形部は、第2の細長締付け外形部に対してある角度で延在する。2つの細長締付け外形部は、例えば、互いに対して少なくとも60°又は少なくとも75°又は少なくとも80°の角度で配置し得る。好ましくは、接続システムを防水壁システム内で使用する場合、2つの細長締付け外形部は、本質的に、互いに直交して延在し、一方が水平方向で延在し、他方が垂直方向で延在するようにする。
【0033】
任意で、接続システムは、第2の細長締付け外形部上に設けられたモジュール内偏心ラッチを更に含み、モジュール内偏心ラッチは、下にあるメンブレン部分を、第2の細長締付け外形部に対してある角度で延在する剛性支持体及び/又は第1の細長い締付け外形部の方に押圧するように構成される。接続システムは、第1の細長締付け外形部に面する第2の細長締付け外形部の一端に設けられるプラスチック部材等の囲繞部材を更に備え、この囲繞部材は、メンブレン終端を囲繞し、メンブレン終端を押して約90°の角度にし、第1の細長い締付け外形部と第2の細長い締付け外形部との間でコーナを往復するように構成される。モジュール内偏心ラッチは、任意で囲繞部材と組み合わせると、ヒンジ・メンブレン、又は例えば金属ヒンジの形態の機械的ヒンジ等の少なくとも1つのヒンジ部材によって一緒にヒンジ留めされた2つの剛性支持体部材の間のコーナ領域の封止を改善する。接続システムの細長締付け外形部及び係止ユニットと組み合わせて使用されるモジュール内偏心ラッチは、メンブレンの一方向の圧縮を可能にし、したがって、メンブレンの圧縮にあまり力を必要とせず、効率的な封止を達成する。一代替形態として、モジュール内偏心ラッチは、第1の細長締付け外形部上に設け得る。
【0034】
第2の細長締付け外形部は、任意で、水平平面又は略水平な平面内に延在することができ、第1の細長締付け外形部は、垂直平面又は略垂直な平面内に延在する。又はその逆も同様である。下にある剛性支持体は、それぞれの細長締付け外形部と同じ方向で延在する。
【0035】
任意で、係止ユニットは、所定の係止ユニット状態を調節する較正部材を備える。較正部材は、例えば、較正ボルト、ねじ又は他の適切な部材とし得る。これにより、係止ユニットは、例えば、様々な厚さのメンブレンに適合し得る。
【0036】
別の態様によれば、提案する接続システムを使用して2つのモジュールを接続する方法が提供され、モジュールの少なくとも1つは、少なくとも1つのメンブレンを備え、方法は、
a.モジュールを並べて配置するステップと、
b.接続システムが開放段階を取るように、少なくとも1つの係止ユニットを係止ユニット開放状態に設定するステップと、
c.少なくとも1つのメンブレンの一部分を少なくとも1つの締付け部材と剛性支持体との間に挿入するステップと、
d.接続システムが調節段階を取るように、少なくとも1つの係止ユニットを係止ユニット中間状態に移動させるステップと、
e.任意で、少なくとも1つのメンブレンを剛性支持体に対して調節するステップと、
f.少なくとも1つの係止ユニットを係止ユニット閉鎖状態に移動させるステップと
を含む。
【0037】
任意で、接続システムが、第2の細長締付け外形部の形態の締付け部材上に設けられたモジュール内偏心ラッチを更に含む場合、方法は、偏心ラッチを垂直平面の方に押すため、偏心ラッチを締結することを更に含み、任意で、第2の細長い締付け外形部に面する、第2の細長締付け外形部の一端に設けられた任意の囲繞部材が、メンブレン終端を囲繞し、メンブレン終端を押して約90°の角度にし、第1の細長締付け外形部と第2の細長締付け外形部との間でコーナを往復するようにする。このことは、係止ユニット中間状態、即ち、接続システムの調節段階の係止ユニットで実行される。モジュール内偏心ラッチ及び任意の囲繞部材により、略水平な剛性支持体と略垂直な剛性支持体との間のコーナ領域における効率的な封止、又は互いに対して他の角度で延在する剛性支持体の間のコーナ領域における効率的な封止は、最初に垂直方向で、次に水平方向での連続的な圧縮により達成し得る。2つの剛性支持体部材の間のコーナ領域の封止は、他の場合では達成が困難である場合がある。というのは、第1の方向及び第2の方向での連続的な力の印加を含め、理想的にはコーナに交差する平面上に直交する、必要な2方向での力の印加は、生成が簡単ではないためである。本発明による係止ユニット中間状態及び調節段階によって、メンブレンの端部分が、水平細長締付け外形部の下の位置から滑り出さない一方で、メンブレンを垂直に延在する剛性支持体の方に押圧することが保証される。囲繞部材は、メンブレンを押圧する細長締付け外形部によって偶発的に穴があかないようにする機能、及び厚みのある端部分とし得るメンブレン終端の往復によって、締付け及び封止を改善する機能という複合機能を有する。
【0038】
一方向圧縮による利点は、例えば、1つの巨大レバーを通じて過度に圧縮するのではなく、より小さなモジュールに容易に分割でき、いくつかのより小さなレバーを使用でき、それぞれのレバーに必要な力は、より小さいということである。この概念は、一続きで加えられる二方向の力と組み合わせるのは困難である。
【0039】
別の態様によれば、提案する接続システムによって相互接続される少なくとも2つのモジュールを備える防水壁モジュール・システムが提供され、少なくとも2つのモジュールの少なくとも1つは、メンブレンを備える。メンブレンの一部分は、接続システム内で係合され、したがって、封止を保証する。各モジュールは、好ましくは、互いに対して少なくとも60°又は少なくとも75°又は少なくとも80°等、互いに対してある角度で、好ましくは、互いに対して直交又は略直交して延在する第1の剛性パネルと第2の剛性パネルとを備える。各パネルに対して少なくとも1つのメンブレンを取り付けることができ、例えば、第1のモジュールのメンブレン(複数可)が、第2の隣接するモジュールの剛性パネル(複数可)に接続されるようにする。防水壁モジュール・システムは、好ましくは、一緒に接続される複数のモジュールを備える。
【0040】
任意で、少なくとも1つのメンブレンの一部分は、少なくとも1つの停止部分を備え、停止部分は、メンブレンよりも厚い。そのようなより厚い停止部分は、係止ユニットが係止ユニット中間状態にある際の細長締付け外形部による係合を促進する。
【0041】
任意で、少なくとも1つの停止部分は、細長締付け外形部と平行に延在する細長部分である。
【0042】
任意で、少なくとも1つの停止部分は、ケダーである。
【0043】
任意で、少なくとも1つのメンブレンの一部分は、メンブレンの一端部分である。
【0044】
任意で、少なくとも2つの相互接続モジュールの少なくとも1つは、パネルを備え、パネルは、剛性支持体を形成し、少なくとも1つの細長締付け外形部は、少なくとも1つの係止ユニットにより剛性支持体に取り付けられる。
【0045】
任意で、防水壁モジュール・システムは、少なくとも2つのモジュールの2つの隣接し合う水平パネルの間の接続部を補強するように構成された偏心ラッチを更に含む。
【0046】
任意で、2つのモジュールは、提案する接続システムを、システムの互いに面する側に備え、固定していないメンブレンは、これらの側のそれぞれで、接続システムの各モジュールに係合し得る。そのようなシステムは、モジュール及び接続メンブレンを個別に保管、係合することを可能にする。
【0047】
別の態様によれば、係止ユニットが提供される。以下で説明する係止ユニットは、提案する接続システムの一部を形成し得るが、異なる目的で単独でも使用し得る。異なる目的で使用する場合、係止ユニットは、上記した細長締付け外形部とは異なる、他の種類の締付け部材と共に使用し得るか、又は締付け部材を全く使用しなくてもよい。特に、本明細書で説明する種類の中間状態又は係止状態を対象とする場合、あらゆる他の閉鎖、係止、配置又は締結用途のために使用してもよい。係止ユニットは、いくつかの適用例では、例えば、係止ユニット自体の表面が締め付け面として構成される場合、個別の締付け部材を伴わずに使用し得る。係止ユニットは、係止ユニットが回転可能であるあらゆる種類の締付け部材も備え得る。特に、本明細書で説明する種類の中間状態又は係止状態を対象とする場合、あらゆる他の閉鎖、係止、配置又は締結用途のために使用してもよい。一例として、そのような係止ユニットは、剛性支持体を伴って又は伴わずに接続システムの一部を形成し、メンブレンを接続するために使用され、テント状構造で風雨から資産又は領域を保護することができる。係止ユニットは、プールの閉鎖、氾濫の緩和、例えば、フェンス状構造の状態で工業又は都市での使用に有用なもの、例えば、柱/ポールの間に強固なメンブレン/板を延在させることによる工事現場の囲い、又は雨水を取り込むためのプールの生成で使用し得る。代替的に、そのような接続システムは、ボートの帆を直立させ、維持するために使用し得る、又は耐風日よけ幕として使用し得る、又は支持部材を接続する分離可能ヒンジとして使用し得る。
【0048】
係止ユニットは、少なくとも3つの所定の係止ユニット状態の間で可動である個別状態の係止ユニットであり、状態は、個別状態の係止ユニットの物理的形状及び回転位置によって規定され、係止ユニットは、ある回転軸を有するレバー本体を含み、係止ユニットは、支持体上にアンカで留められ、係止ユニットと支持体との間に配置された締付け部品と係合するように構成され、所定の係止ユニット状態は、
・レバー本体と支持体との間に、予め規定されたより大きな距離をもたらす係止ユニット開放状態、
・レバー本体と支持体との間に、予め規定されたより小さな距離をもたらす係止ユニット閉鎖状態、
・レバー本体と支持体との間に中間距離をもたらし、接続物体の分離を可能にせずに接続物体の再配置を促進する中間状態
を含み、少なくとも3つの異なる状態は、予め規定した位置の間でレバー本体回転軸回りにレバー本体を回転させることによって得られる。
【0049】
任意で、レバー本体は、少なくとも2つの個別の予め規定した位置の間で回転可能であり、これらの位置は、係止ユニット開放状態及び係止ユニット閉鎖状態のそれぞれに対応する。係止ユニット中間状態に対応する、第3の個別の予め規定した位置も提供し得る。
【0050】
係止ユニットの実施形態は、上記で説明されている。
【0051】
本発明の更なる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属クレームで開示する。
【0052】
以下に続くのは、図面を参照しながら、例として挙げる本発明のより詳細な実施形態の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1a】本発明の一実施形態による、ある縮尺における防水壁モジュールの斜視図である。
図1b】本発明の一実施形態による、ある縮尺における防水壁モジュールの斜視図である。
図2a】本発明の一実施形態による、開放段階における接続システムの正面図である。
図2b】本発明の一実施形態による、調節段階における接続システムの正面図である。
図2c】本発明の一実施形態による、閉鎖段階における接続システムの正面図である。
図2d】本発明の一実施形態による、係止段階における接続システムの正面図である。
図3a図2aの接続システムの側面図である。
図3b図2bの接続システムの側面図である。
図3c図2cの接続システムの側面図である。
図3d図2dの接続システムの側面図である。
図4図1図3に示す接続システム内で使用される係止ユニットの斜視部分分解図である。
図5】別の実施形態による接続システムの正面図である。
図6図4の係止ユニットの部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面は、本発明の概略的、例示的な実施形態を示すため、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図示、説明する実施形態は、例示的であり、本発明をそれらの実施形態に限定しないことを理解されたい。図面の一部の細部は、本発明をより良好に説明し、例示するため、誇張される場合があることにも留意されたい。同じ参照記号は、別段に明示しない限り、説明全体にわたって同じ要素を指す。
【0055】
本発明の一実施形態による防水壁モジュール・システム40を図1に示す。防水壁モジュール・システムは、2つの同一のモジュール41、41’を備え、各モジュールは、L字形状で接続された2つのパネル30、31を備え、1つは垂直に延在する垂直パネル30であり、1つは水平に延在する水平パネル31である。垂直パネル30は、メンブレンにより水平パネル31に接続され、メンブレンは、垂直パネル30の底外周縁部に沿って延在し、したがってヒンジ32を構成する。垂直パネル30と水平パネル31との間には、洪水側であることが意図されるモジュール41の側に、ブラケット37によって接続されるワイヤ34及び支柱35が延び、ブラケット37は、両方のパネル30、31上に取り付けられている。
【0056】
支柱35は、水平パネル31上に折り重ねられるように、垂直パネル30から外すことができ、搬送及び保安を容易にするのに適している。ワイヤ34は、両方のパネル30、31に永続的に取り付けられ、垂直パネル30が後ろに折り曲がらないようにする、即ち、洪水側及び水平パネル31から離れないようにする。支柱は、2つの目的、即ち、洪水を待機する間に垂直パネル30を直立したままにする目的、及び折曲げが意図されない場合、例えば、強風により折り曲がらないようにする目的を果たす。
【0057】
モジュール41、41’は、メンブレン25によって相互接続され、モジュール41、41’の間に可撓性をもたらすように構成される。このメンブレン25により、一連のモジュールは、障害物をよけ、地形の高低に追従するように、上下左右に向きを変えることができる。メンブレン25は、各モジュール41、41’の洪水側から見た右手側に永続的に固着され、本発明の一実施形態による接続システム20は、モジュール41、41’の左手側に設けられ、隣接するモジュール41、41’のメンブレン25が、解放可能に固着締結されることを可能にする。この場合、モジュール41’のメンブレン25は、モジュール41上に設けられた接続システム20に締結すべきである。
【0058】
接続システム20は、2つの細長締付け外形部15、16を備え、これらのうち、第1の細長締付け外形部15は、垂直パネル30上に組み付けられ、第2の細長締付け外形部16は、水平パネル31上に組み付けられる。パネル30、31は、この実施形態では剛性支持体を形成する。各締付け外形部15、16は、複数の係止ユニット21によりそれぞれのパネルに組み付けられる。
【0059】
接続システム20は、図2a~図3dにより詳細に示され、ここでは、パネル30、31ではなく、個別の剛性支持体50を有する。係止ユニット21は、いくつかの所定の係止ユニット状態の間で可動である個別状態の係止ユニットであり、各係止ユニット状態は、接続システムの1つの段階に対応する。係止ユニット21は、係止ユニット21を剛性支持体50に取り付ける接続ボルト9と、所定の状態の間で係止ユニット21を移動させるハンドル1と、レバー本体2とを備える。係止ユニット21は、図4及び図6を参照して以下でも更に説明する。
【0060】
接続システムの段階は、メンブレン25を締付け外形部15の下に挿入し得る開放段階、メンブレン25が固着締結される閉鎖段階、及びメンブレン25が、細長締付け外形部15から外れないようにする一方で細長締付け外形部15の下で摺動可能である調節段階を含む。細長締付け外形部15は、第1の接触部分17と第2の接触部分18とを備え、両方とも剛性支持体50に対して押圧するように構成される。受入れ部分19は、接触部分17、18の間に延在し、受入れ部分19と剛性支持体50との間に空間が設けられる。この実施形態のメンブレン25は、メンブレン25の端部分にケダー26を備え、ケダーは、受入れ部分19と剛性支持体50との間の嵌合に適合する。
【0061】
図2a及び図3aは、開放段階における接続システム20を示し、係止ユニット21は、係止ユニット開放状態にある。係止ユニット21を示す図4も更に詳細に参照されたい。係止ユニット21が係止ユニット開放状態にある場合、持上げばね5は、細長締付け外形部15を押して支持体から離す、したがって、接続システム20を押して開放段階にする。係止ユニット開放状態において、剛性支持体50と接触部分17、18との間に予め規定された第1の間隙がもたらされ、この予め規定された第1の間隙は、ケダー26の厚さよりも大きい。こうして、ケダーを細長締付け外形部15の下に挿入し得る。所定の開放状態の距離は、レバー本体2とレバー基部3の接触面10との間にもたらされる。レバー本体2は、レバー本体2と細長締付け外形部15との間にもたらされる接触領域の構成により、したがって、締付け外形部15に作用する持上げばね5からの圧力によって細長締付け外形部15に対して固定される。
【0062】
図2b及び図3bは、調節段階における接続システム20を示し、係止ユニット21は、係止ユニット中間状態にある。この段階において、剛性支持体50と接触部分17、18との間に予め規定された第2の間隙がもたらされ、この予め規定された第2の間隙は、ケダー26の厚さよりも小さい。したがって、メンブレン25は、細長締付け外形部15に沿って移動し得るが、メンブレン25があらゆる他の方向で引っ張られることにより細長締付け外形部15から外れることはない。所定の中間状態の距離は、レバー本体2とレバー基部3の接触面10との間にもたらされる。係止ユニット中間状態は、係止ユニット開放状態から、ハンドル1、したがって主本体2を心棒4回りに約90°回転させることによって取られる。心棒4が剛性支持体50と平行に延在する場合、ハンドル1は、剛性支持体50から離して向けられる。持上げばね5は、細長締付け外形部15をレバー本体2の方に押圧し、係止ユニット21が係止ユニット中間状態で保持されるようにする。メンブレン25が係合されるそのような係止ユニット中間状態がなければ、メンブレンの調節は、締付け部材からのメンブレンの分離を繰り返させ、時間がかかるものにする可能性がある。この場合、メンブレンを再度操作し、締付け部材の下に再度挿入する必要があり、ヒンジにおける調節も再度行う必要がある場合がある。
【0063】
図2c及び図3cは、閉鎖段階における接続システム20を示し、係止ユニット21は、係止ユニット閉鎖状態にある。この段階において、係止ユニット21は、接触部分17、18を剛性支持体50の方に押圧し、メンブレン25が剛性支持体50と第1の接触部分17との間で締め付けられるようにする。これにより、封止部がもたらされる。係止ユニット21の閉鎖状態は、ハンドル1及びレバー本体2を更に心棒4回りに約90°回転させることによって取られ、このため、係止ユニット閉鎖状態にあるハンドル1は、係止ユニット開放状態に対して約180°回転される。所定の閉鎖状態の距離は、主本体2とレバー基部3の接触面10との間にもたらされる。
【0064】
図2d及び図3dは、係止段階における接続システム20を示し、係止ユニット21は、係止ユニット係止状態にある。この段階において、係止ユニット21は、ちょうど係止ユニット閉鎖状態のように接触部分17、18を剛性支持体50の方に押圧する。しかし、この状態において、係止ユニット21は、人の意図的な作動のみにより係止を可能にするように係止される。係止ユニット係止状態は、図4及び図6を参照して以下で更に説明するように、ハンドル1をレバー本体2に対して回転させることによって取られる。
【0065】
接続システム20が調節段階にあり、ケダー26が水平パネル31の細長締付け外形部15の内部に保持される場合、細長締付け外形部15の上の、水平パネル31上に設置された任意のモジュール内偏心ラッチ38(図1bを参照)を使用し、垂直パネル30と水平パネル31との間に設けられたヒンジ32の方に外形部15を押すことができる。これにより、接続システム20は、ヒンジ32内に維持可能な90°の角度をもたらし、特に、2つの隣接し合うモジュール41、41’の間のコーナ領域内に改善された水封止性能を達成するようにする。メンブレン25及びメンブレン25のケダー26への損傷を回避し、封止性能を改善するため、U字外形を有する囲繞部材36は、水平細長締付け外形部15の縁部上に永続的に固着される。
【0066】
本明細書で説明する係止ユニット中間状態がなければ、モジュール内偏心ラッチ38等の作動により、メンブレンの終端を剛性支持体パネルの間のヒンジ/コーナの方に押し、同時に、締付け部材(複数可)からメンブレンを部分的に分離させてヒンジから更に遠くなる可能性があり、この後、メンブレンは、ヒンジの方への圧縮によって引っぱられる。したがって、モジュール内偏心ラッチを分離せずにメンブレンを再配置することが困難となる。
【0067】
接続システム20を使用して2つのモジュール41、41’を接続する方法は、
a.モジュール41、41’を並べて配置するステップと、
b.接続システム20が開放段階を取るように、係止ユニット21を係止ユニット開放状態に設定するステップと、
c.ケダー26を含むメンブレン25の一部分を細長締付け外形部15、16と剛性支持体50又はパネル30、31との間に挿入するステップと、
d.接続システム20が調節段階を取るように、少なくとも1つの係止ユニット21を係止ユニット中間状態に移動させるステップと、
e.任意で、メンブレン25を剛性支持体50又はパネル30、31に対して調節するステップと、
f.少なくとも1つの係止ユニット21を係止ユニット閉鎖状態に移動させるステップと
を含む。
【0068】
任意で、少なくとも1つの係止ユニット21は、係止手段の使用により係止ユニット係止状態に配置し得る。別のステップは、任意の偏心ラッチ38を締結し、偏心ラッチ38を垂直平面の方に押圧し、任意の囲繞部材36が、メンブレン終端を取り囲み、メンブレン終端を押して約90°の角度にし、メンブレン終端は、第1の細長締付け外形部15と第2の細長締付け外形部16との間でコーナを往復する。別の任意ステップは、メンブレンを受け入れる側のモジュール41の前端部にモジュール間偏心ラッチ39を利用し、メンブレンを与える側のモジュール41’にモジュール間偏心ラッチ39を接続、締結し、モジュール41、41’の下にあるガスケットが接続されるようにすることである。
【0069】
方法は、最初に、水平パネル31の係止ユニット21を係止ユニット閉鎖状態に設定する前、メンブレン25を水平に調節することによって実施し得る。この後にのみ、メンブレン25を垂直方向で調節し、その後、垂直パネル30の係止ユニット21を係止ユニット閉鎖位置に設定する。
【0070】
方法は、最初に、メンブレン25を両方の細長締付け外形部15、16の下に挿入し、その後、細長締付け外形部15、16の全ての係止ユニット21を中間係止位置に移動させ、次に、メンブレン25を調節することによっても実施し得る。
【0071】
この接続システムは、以下で更に詳細に説明するように、個別状態の係止ユニットによって特に良好に働く。他のデバイスを使用してもよく、これは、好ましくは、特に、デバイスと剛性支持体50との間の間隙が所定である少なくとも1つの中間状態で動作が容易な個別の状態をもたらす場合、好ましくは、調節可能である場合である。
【0072】
図5は、2つのメンブレン25、25’が接続システム20により締め付けられる接続システム20の一実施形態を示す。それぞれのメンブレン25、25’のケダー26、26’は、細長締付け外形部15と剛性支持体50との間で、接続ボルト9の両側に挿入される。本実施形態では、剛性支持体50は、接続システム20の一部を形成する。
【0073】
次に、本発明の一実施形態による個別状態の係止ユニット21を示す図4を参照されたい。個別状態の係止ユニット21は、ここでは、接続システム20の一部を形成する。係止ユニット21は、ハンドル1とレバー本体2とを備える。係止ユニット21は、図2a~図3dを参照して上記で説明したように、いくつかの個別状態の間で操作し得る。いくつかの個別状態の一部は、レバー本体2の形状及び向きによって規定され、その他は、ハンドル1の向きによって規定される。レバー本体2は、レバー本体回転軸Aを画定する心棒4回りに回転し得る。心棒4は、較正ボルト8によりレバー基部3上に組み付けられ、レバー基部3に対する心棒4の垂直位置の調節を可能にし、係止ユニット21の閉鎖によって生じる力を較正できるようにする。レバー本体2の回転により、心棒4に対して特定の変位が生じ、レバー本体2の形状の曲率によって画定されるレバー本体2の下の本体に作用する。個別領域は、係止ユニット21の状態の一部又は全部を規定するように働く。接続システム20に適用される場合、レバー本体2は、細長締付け外形部15、16に適用されるが、他の種類の接続システムでは、異なる形状及び構成を有する他の締付け部材に適用してもよい。
【0074】
次に、主本体2を有さない係止ユニット21を示す図6も参照されたい。図6に示すように、ハンドル1は、ほぼL字形状であり、一方の外部区間1aは、レバー本体2の外部にあり、もう一方の内部区間1bは、レバー本体2の内側に配置され、レバー本体2を接続し、心棒として働く。これにより、ハンドル1を手で持ち、レバー本体2に対して回転させることができる。この回転は、ハンドル1を軸方向に引っ張り、引張り方向D引張りでレバー本体2から離し、ハンドル1の作動位置から外し、ハンドル1をレバー本体2に対して回転軸B回りに180°回転させることによる。作動位置は、実質的な第1の溝11によって規定され、実質的な第1の溝11は、ハンドル1をレバー本体2に対して所定の位置に固定する。係止位置は、レバー本体2内の実質的な第2の溝(図示せず)によって規定され、実質的な第2の溝内では、ハンドル1の一部分は、係止位置で保持される。ハンドルばね6は、引張り方向D引張りとは反対にハンドル1をレバー本体2の方に引っ張ることによって、位置を確定する。係止位置にあると、回転軸Bに対して接線方向にあるハンドル上の力により、係止ユニット21を係止ユニット閉鎖状態から係止ユニット開放状態に移行することがない。というのは、ハンドルは、剛性支持体50に衝突し、更に移動するのを止めるか、又は係止ユニット21を係止ユニット開放状態にする方向とは反対の方向でレバー本体2上に力を作動させ、したがって、係止ユニット21が偶発的に開放されないようにするためである。このことは、図2d及び図3dを参照して説明した係止段階に対応する。したがって、ここでは、係止手段がもたらされ、係止ユニット21を係止ユニット閉鎖状態で係止する。
【0075】
ワッシャ7は、ハンドルばね6を保持し、ハンドル1が回転する際にハンドルばね6を保護する。C字リング13は、ワッシャ7をハンドル1上に緊密に把持することによってワッシャ7を保持し、レバー本体2内に保持するように、更に設けられる。C字リング13は、レバー本体2内にハンドル1を保持することによって、ハンドル1がレバー本体2から完全に外れるのも防止する。
【0076】
持上げばね5は、係止ユニット21が組み付けられる平面に直交する方向で、接続システム20内の細長締付け外形部15等、係止ユニット21が作用する構成要素を持ち上げるように、レバー基部3の下に設けられ、これにより、係止ユニット21の状態の一部又は全部を確定する。このことは、レバー本体2に作用する構成要素を強制的にこれらの状態と整合する特定の位置で安定させるようにし、偶発的に回転しないようにすることによって行われる。接続ボルト9は、剛性支持体50又はパネル30、31等の支持体に係止ユニット21を取り付けるように設けられる。
【0077】
レバー本体2は、第1の側14aと反対の第2の側14bとを備え、第1の側14aは、係止ユニット開放状態で剛性支持体に面するように構成され、第2の側14bは、係止ユニット閉鎖状態で剛性支持体に面するように構成される。第1の側14a及び第2の側14bは、細長締付け外形部15、16等の締付け部材の平坦面と接触する際、個別状態として、係止ユニット開放状態及び係止ユニット閉鎖状態のそれぞれを規定する手段を備える。ここでは、この手段は、平坦面領域によって達成される。
【0078】
係止ユニット21は、第1の側14aと第2の側14bとの間に第3の側14cを更に備え、第3の側14cは、係止ユニット中間状態で剛性支持体に面するように構成され、第1の面14a、第2の面14b及び第3の面14cは、湾曲面領域によって接続されている。
【0079】
図示の実施形態では、メンブレンは、帆布/タープ型のメンブレンで周知の技法であるケダーを備える。しかし、このことは必要条件ではない。好ましくは、メンブレンの端部分、即ち、細長締付け外形部内に捕捉される部分は、より厚い部分(複数可)を呈し、接続システムが調節段階にある際、細長締付け外形部による係合及び保持を促進する。好ましくは、そのようなより厚い部分(複数可)は、細長く、メンブレンの終端に平行である。好ましい実施形態では、、そのようなより厚い細長部分は、例えば、ケダーのケースのように、メンブレンのかなり終端にある。
【0080】
別の実施形態では、接続システム20は、接続システム20が接続する2つの要素の重なりを確実にし得る。例えば、2つのメンブレンを接続する際、接続システム20は、メンブレン25’の上にメンブレン25を締め付けることができ、いずれか一方又は両方のメンブレン25、25’は、接続システム20を横断し、接続システム20の両側に延在することさえでき、この場合、一方又は両方の横断メンブレン25、25’は、接触部分17、18の下で締め付けられる。例えば、メンブレン25をパネル31に接続する場合、メンブレン25は、接続システム20に横断し、両方の接触部分17、18の下でパネル31上に締め付けることができる。
【0081】
接続システムの水封止及び閉鎖特性を改善するため、いくつかの改善をもたらし得る。例えば、細長締付け外形部は、メンブレンに接触するように構成されたいくつかの平行面を有し、こうして、封止接点を倍増させ得る。例えば、剛性支持体は、細長接触部分が閉鎖段階にある際に嵌合する細長凹部を設ける等によって、細長締付け外形部の接触面の往復に適合させることができる。別の可能性は、細長締付け外形部の封止面、代替的に剛性支持面に、封止を改善するエラストマ・ガスケット又は層を設けることである。当技術分野で公知の他の封止改善形態も使用し得る。
【0082】
接続システムが防水壁、又はより一般的には液体容器で使用されるケースでは、いくつかの改善をもたらし得る。次に、更なる防水壁実施形態を説明する。水平パネルの前縁部の下には、水平パネルの下を流れる水を封止するゴム発泡体ガスケットを置くことができる。洪水位が上昇すると、水平パネル上の水の重量も増大する。重力方向において、水の静水力は、垂直パネルに直交する方向の水の静水力よりも2倍大きい。したがって、各モジュールは、自己安定性であり、横転しない。更に、水の重量は、ゴム発泡体ガスケットに対する圧縮を増大させ、床上の水平パネルの封止を助け、したがって、水が水平パネルの下を流れないようにする。偏心ラッチは、水平パネルの前縁部に組み付けられ、隣接モジュールのパネル上でラッチ留めされ、前縁部の下の2つのゴム発泡体ガスケットが一緒に押し付けられ、交差防水点をもたらすようにする。
【0083】
水平パネルの前縁部の上には、システムの安定性を更に増大させ、摺動に対する抵抗を増大させるため、地面にボルトで留められるアンカを配置してもよい。アンカは、車輪を使用するパネルに組み付けられ、地面のボルトが留められる場所の観点から、アンカを横方向に回転可能にし、自由を与える。
【0084】
本発明による接続システムは、メンブレンが剛性支持体に取り付けられる他の用途、特に、本明細書で説明したもの等、メンブレンの調節が望ましい場合がある用途でも使用し得る。そのような用途は、例えば、テント及び貯水池を含み得る。
【符号の説明】
【0085】
1 ハンドル
2 レバー本体
3 レバー基部
4 心棒
5 持上げばね
6 ハンドルばね
7 ワッシャ
8 較正ボルト
9 接続ボルト
10 接触面
11 第1の溝
13 C字リング
14a 第1の側
14b 第2の側
14c 第3の側
15 細長締付け外形部
16 細長締付け外形部
17 接触部分
18 接触部分
19 受入れ部分
20 接続システム
21 係止ユニット
25 メンブレン
25’ メンブレン
26 ケダー
26’ ケダー
30 垂直パネル
31 水平パネル
32 垂直パネルと水平パネルとの間のヒンジ
34 パネルの間のワイヤ
35 パネルの間の支柱
36 囲繞部材
37 ブラケット
38 モジュール内偏心ラッチ
39 モジュール間偏心ラッチ
40 防水壁モジュール・システム
41 モジュール
41’ モジュール
50 剛性支持体
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6