(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】低温プラズマによる清掃を備えたエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/85 20200101AFI20231130BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231130BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231130BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
A24F40/85
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022551408
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2021054696
(87)【国際公開番号】W WO2021170725
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】タウリーノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン トニー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508287(JP,A)
【文献】特表2013-507976(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138076(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108308725(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108741230(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
-エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するために構成された発熱体と、
-前記発熱体の表面を清掃するために前記発熱体と協働するように配設された清掃ユニットと、を備え、
前記清掃ユニットが少なくとも一つの圧電素子を備え、前記圧電素子が、前記発熱体の前記表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記圧電素子が大気圧で前記低温プラズマを発生するように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記圧電素子が17~75℃の範囲内の温度で前記低温プラズマを発生するように構成されている、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記圧電素子が第一の端を有し、前記清掃ユニットが少なくとも二つの電極を備え、前記圧電素子の前記第一の端がこれらの電極の間に配設されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記圧電素子が、前記圧電素子の突出部に対して実質的に直交する面において点イオン風噴流として前記低温プラズマを発生するために前記突出部を有する第二の端を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記圧電素子が、前記圧電素子の二つの角を接続する前線に対して直交する面において直接的放電イオン風噴流として前記低温プラズマを発生するために
第二の端にて前記少なくとも二つの角を有する長方形状を有する第二の端を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置の電源ユニット用の充電電力を受信するための充電ユニットをさらに備え、前記充電ユニットが、エアロゾル発生物品を挿入するための開口部を有する上端と、前記上端に対向する下端とを有し、前記清掃ユニットが前記充電ユニットの内部および前記充電ユニットの前記下端に配設されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
エアロゾル発生物品を受容するための保持ユニットをさらに備え、前記圧電素子が前記保持ユニット内部に配設されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記清掃ユニットが複数の圧電素子および複数の電極を備え、前記複数の圧電素子のそれぞれの端が、層状に積み重ねた配設で隣接する電極の間に配設されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記発熱体および前記清掃ユニットに電力を供給するように構成された電源ユニットをさらに備え、前記電源ユニットが前記エアロゾル発生装置の唯一の電源である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法であって、
-圧電素子によって低温プラズマを発生する工程であって、前記低温プラズマが前記発熱体の表面を清掃する、発生する工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の清掃する方法であって、低温プラズマを発生する工程が、
前記圧電素子に電圧を印加する工程と、
それによって、前記発熱体の前記表面を清掃するための前記低温プラズマを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記電圧が、5~15Vppの範囲内のピーク間AC電圧を有する、請求項12に記載の清掃する方法。
【請求項14】
前記電圧が、10kHz~500kHzの範囲の周波数で前記圧電素子の機械的振動を引き起こす、請求項12または請求項13に記載の清掃する方法。
【請求項15】
エアロゾル発生装置を製造する方法であって、
-エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するための発熱体と、少なくとも一つの圧電素子を備える清掃ユニットであって、前記圧電素子が前記発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、清掃ユニットとを提供する工程と、
-前記発熱体の前記表面を清掃するために前記発熱体と協働することを可能にするように前記清掃ユニットを配設する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品の消費に使用するエアロゾル発生装置に関する。エアロゾル発生装置は、発熱体用の清掃ユニットを備える。本開示は、エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法と、当該のエアロゾル発生装置を製造する方法とにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱される喫煙物品は、当業界で周知である。こうした加熱式喫煙物品の目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの葉の燃焼および熱分解性劣化によって生成される既知の有害な煙成分を低減することである。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源の中、熱源の周囲、または熱源の下流に位置してもよい物理的に分離されたエアロゾル形成基体または材料に、熱源からの熱を伝達することによって発生される。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。
【0003】
典型的に、エアロゾル発生装置で使用する喫煙物品は、しばしばその他の要素または構成要素とともにスティックの形態に組み立てられたエアロゾル形成基体を備える。典型的に、こうしたスティックは、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備えるエアロゾル発生装置の中に挿入される形状およびサイズに構成されている。
【0004】
エアロゾル発生装置において、エアロゾルの発生は、エアロゾル形成基体が活性な発熱体に曝露されている時に起こる。エアロゾル形成基体は、複雑な有機化合物から成る。このエアロゾル形成基体が加熱時にエアロゾルを発生する時、エアロゾル形成基体からの不揮発性の有機残渣が滞留し、発熱体表面上に蓄積する。発熱体上に蓄積したこれらの有機残渣は、経時的に熱抵抗層として働く場合がある。この抵抗層の形成は、エネルギー要件および消費を増加させるなど、エアロゾル発生に影響を与える。
【0005】
現在、発熱体の清掃のために、熱分解またはその他の手順、例えば超音波クリーニング、またはブラッシングのような手作業での清掃などの方法が利用されている。熱分解は、例えばEP2797444(A1)に記載されている。本明細書は、エアロゾル発生装置の発熱体をエアロゾル形成基体と接触させる工程と、エアロゾル形成基体を十分に加熱してエアロゾルを形成するために発熱体の温度を第一の温度に上昇させる工程と、発熱体をエアロゾル形成基体との接触から解除する工程と、発熱体に付着または堆積された有機物質を熱的に放散するために発熱体を第一の温度よりも高い第二の温度に加熱する工程とを含むエアロゾル発生装置を使用する方法を開示している。エアロゾル発生装置の一実施形態は、発熱体を第一の温度および第二の温度に加熱するためのコントローラに連結された発熱体を備える。
【0006】
先行技術による清掃する方法の一部は、比較的に大量の電気エネルギーを消費し、これによって例えばエアロゾル発生装置の電池は、より速く消耗される。さらに一部の場合において、電池が消耗した場合、認可された整備センターにエアロゾル発生装置を送る必要があることもある。これらの方法は、清掃プロセス全体を高コストで時間のかかるものにする。反対に、エアロゾル発生装置のユーザーの一部は、不適切なブラシを使用して、または非承認の化学試薬を使用することによって、装置の発熱体を独自に清掃する。この行為は、発熱体を損傷させて使用不能にすることにつながりうる。
【0007】
要約すると、既存の方法を使用してエアロゾル発生装置の発熱体上の有機残渣を効果的に除去することは、比較的に大量の電気エネルギーを必要とし、時間がかかる。
【0008】
従って、エアロゾル発生装置の発熱体用の清掃ユニットを有する代替的なエアロゾル発生装置を提供する必要性がありうる。
【発明の概要】
【0009】
本開示の目的は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。以下に記載の本開示の態様は、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法と、エアロゾル発生装置を製造する方法とに適用されることに留意されたい。
【0010】
本開示の一態様によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は発熱体および清掃ユニットを備える。
【0011】
発熱体は、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するために構成されている。
【0012】
清掃ユニットは、発熱体の表面を清掃するために発熱体と協働するように配設されている。清掃ユニットは少なくとも一つの圧電素子を備える。
【0013】
圧電素子は、発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている。
【0014】
本開示によるエアロゾル発生装置は、発熱体上に蓄積された有機残渣を、低温プラズマを使用して清掃するための統合された清掃配設を有するエアロゾル発生装置として使用することができる。発熱体および清掃ユニットは、エアロゾル発生装置内に配設されることができる。エアロゾル発生装置は低温プラズマを使用して、圧電清掃配設を使用して有機残渣を除去することができる。言い換えれば、本開示は、エアロゾル発生装置で使用される発熱体を清掃するためのプラズマクリーナーを指すことができる。圧電素子は、発熱体から有機残渣を清掃するための低温プラズマを発生するために使用されることができる。清掃中、エアロゾル発生装置の中に消耗品またはエアロゾル発生物品はない。
【0015】
清掃ユニットを備えた従来のエアロゾル発生装置と対照的に、本エアロゾル発生装置は取り扱いが容易である。圧電素子と低温プラズマの使用とによって、清掃は周囲条件で行われることができる。圧電素子の配設によって、発熱体の清掃はエアロゾル発生装置内部で行われてもよい。装置は、エアロゾル発生装置を分解する必要性がないように、かつ電池寿命が延長されうるように設計されることもできる。エアロゾル発生装置、清掃要素、および発熱体は、小さい寸法を有してもよく、これは既存の装置に容易に統合されうる。
【0016】
発熱体の寿命と効率、および従ってエアロゾル発生装置の寿命と効率は延長されうる。エアロゾル発生装置は、より少ないエネルギーを消費しうる。さらに、清掃にかかる時間は、より短い場合がある。さらに、エアロゾル発生装置は、より安価であることができる。
【0017】
発熱体の清掃は、より良い場合がある。これは、イオン風噴流の「ブラストオフ」効果および分子の分解によって、より効果的である場合がある。低温プラズマは、発熱体に及ぼす、またはエアロゾル発生装置のユーザーに及ぼす有害な影響を最小限に抑えうる。エアロゾル発生装置で使用される圧電素子は、従来のアーク放電プラズマと比較して、高周波放射または高電圧または直接的電荷移動を発生しない。圧電素子は低温で動作する。それ故に、その有用性または商業製造のために安全性要因についての追加的な検討事項はないであろう。
【0018】
エアロゾル発生装置の清掃ユニットの動作は、以下のように理解されることができる。電圧に供されると清掃ユニットの圧電素子は、機械的振動、好ましくは高周波機械的振動の発生によって反応してもよい。圧電素子内の誘電材料の機械的振動は、電界を生成し、その近くでイオン化されたガス、すなわちイオン化ガスをもたらしうる。イオン化ガスは、イオン風噴流の形態で低温プラズマを形成してもよい。圧電の直接的放電で発生された低温プラズマは、75℃以下、好ましくは50℃以下のままであることができる。発生された低温プラズマは、17~75℃、または好ましくは17~50℃の範囲内の温度を有してもよい。低温プラズマは、有機残渣を発熱体から清掃するために、発熱体の表面上の有機残渣と相互作用することができる。低温プラズマは、重い有機分子残渣を軽い残渣と揮発可能な有機分子とに分解することができる。発熱体上の軽い残留有機化学種(例えば炭素)は酸化して、(炭素)酸化物および水蒸気を形成することができる。揮発可能な有機分子は、室温で発熱体表面から蒸発し、表面を清浄な状態のままにすることができる。さらに、軽い残留有機化学種は揮発可能であることができる。重い有機分子残渣についても同様である。
【0019】
「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾルを発生させるために電源からエアロゾル形成基体にエネルギーを供給するために使用される一つ以上の構成要素を備えてもよい。エアロゾル発生装置およびそのすべての構成要素は、携帯可能かつ移動可能であってもよい。エアロゾル発生装置は通常の手持ち式装置と同じサイズであってもよい。
【0020】
発熱体は、異なる形状、サイズ、数で提供されうる。例えば、発熱体は、エアロゾル形成基体と接触するために喫煙物品の中に挿入されうる針、ピン、ロッド、またはブレードの形状とすることができる。エアロゾル発生装置は複数の発熱体を備えてもよく、以下の説明において発熱体への言及は、一つ以上の発熱体を意味する。エアロゾル発生装置はまた、発熱体の温度を制御するために発熱体への電流の供給を制御するように配設された電子回路を備えてもよい。エアロゾル発生装置はまた、発熱体の温度を検出するための手段を備えてもよい。
【0021】
清掃ユニットは少なくとも一つの圧電素子を備える。清掃ユニットは、発熱体の表面を清掃するために発熱体と協働するように配設されている。例えば、圧電素子は、エアロゾル発生装置内に設置されることができる。この位置は、エアロゾル発生装置の電源ユニット用の充電ユニット、または(エアロゾル発生物品用)スティックホルダーの内部、もしくは任意の他の適切な位置とすることができる。
【0022】
圧電素子は圧電トランスであってもよい。圧電素子は、異なる幾何学的形状、例えば長方形、半円形、らせん形を有してもよい。圧電素子は、発熱体の表面の近くで低温プラズマを発生するように構成されている。低温プラズマは、表面を清掃するために発熱体の表面と相互作用するように構成されている。「近くで」という表現は、発生された低温プラズマが発熱体の表面に接触することにおいて理解されることができる。特に、低温プラズマを形成するイオンおよび自由電子のガス流は、発熱体の表面に接触し、イオンと電子は発熱体の表面にぶつかる。従って圧電素子は、発熱体の表面の近くに、またはそれに隣接して、またはその隣に配設されてもよい。圧電素子と発熱体の表面との間の距離は可能な限り近いべきであり、例えば2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下であるべきである。
【0023】
低温プラズマは、イオンと自由電子のガスとして理解されることができる。低温プラズマまたは非熱プラズマは熱力学的に平衡ではなく、低温(75℃以下、好ましくは50℃以下、17~75℃または17~50℃の範囲)でイオン(および中性荷電粒子)を含むことができ、その一方で電子はより高温である。
【0024】
「清掃」は、発熱体の表面上の望ましくない種を低減、除去、放散、および/または排除することとして理解されることができる。望ましくない種は、エアロゾル形成基体の加熱によって発生される残渣であってもよい。これは、発熱体の表面上に滞留して蓄積する不揮発性有機残渣、特に炭素種でありうる。
【0025】
圧電素子は、大気圧で低温プラズマを発生するように構成されてもよい。圧電素子は、周囲空気中で低温プラズマを発生するように構成されることができる。結果として、エアロゾル発生装置は取り扱いが容易である。高圧システム、高電圧、または類似のものを取り扱う必要性はない。さらに、その有用性または製造に関する安全面の検討を必要としない。
【0026】
圧電素子は、75℃以下、好ましくは50℃以下の範囲内の温度で低温プラズマを発生するように構成されてもよい。圧電素子は、17~75℃の範囲内の温度で低温プラズマを発生するように構成されてもよい。圧電素子は、17~50℃の範囲内の温度で低温プラズマを発生するように構成されてもよい。一実施例において、圧電素子は、室温(例えば17~25℃)で低温プラズマを発生するように構成されている。その結果として、エアロゾル発生装置は、従来の装置よりも少ないエネルギーを消費し、かつ取り扱いが容易である。高温を提供するおよび取り扱う必要がないため、使用と製造がより安全なものとなる。
【0027】
圧電素子は、圧電結晶を含んでもよい。圧電素子は、チタン酸ジルコン酸鉛から成ってもよい。圧電素子は、チタン酸ジルコン酸鉛、またはチタン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3(PZT))およびチタン酸バリウム(BaTiO3(BTO))とジルコン酸鉛との混合物のいずれかから成ってもよい。圧電素子は、保護セラミック層を有することができる。保護セラミック層は、例えば3年間の最低保存可能期間を圧電素子にもたらしうる。これらの材料は非常に効果的であり、製造にとっても依然として良好である。
【0028】
圧電素子または圧電結晶の寸法は、0.5ミリメートル~0.9ミリメートルの範囲の厚さであってもよい。圧電素子または圧電結晶の寸法は、0.5ミリメートル~0.9ミリメートルの範囲の短辺であってもよい。圧電素子または圧電結晶の寸法は、0.5センチメートル~4センチメートルの範囲の長辺であってもよい。これらの寸法は、快適な小型かつ軽量の手持ち式エアロゾル発生装置を可能にすることができる。
【0029】
圧電素子は、第一の端または領域と、第一の端に対向する第二の端または領域とを有することができる。圧電素子は、例えば長軸方向を有する直方体とすることができる。圧電素子は、平行六面体または台形とすることができる。圧電素子の隣接面の各対は、直角に交わることができる。圧電素子の隣接面はまた、90度までの異なる角度で交わってもよい。第一の端は、直方体の長軸方向に対して第二の端と対向してもよい。
【0030】
清掃ユニットは少なくとも二つの電極を備えてもよく、圧電素子の第一の端は、これらの電極の間に配設されている。電極(複数可)は、銅もしくは銀、または合金もしくはこれに類するものから作製されることができる。圧電素子および電極のこうした実装は、構築することが非常に容易である。
【0031】
清掃ユニットは、複数の圧電素子および複数の電極を備えてもよい。複数の圧電素子のそれぞれの第一の端は、層状に積み重ねた配設で隣接する電極の間に配設されることができる。電極(複数可)は、銅もしくは銀、または合金もしくはこれに類するものから作製されることができる。幾つかの圧電素子および電極のこうした実装は、より強力でありながらも依然としてコンパクトな清掃ユニットを提供することができる。
【0032】
低温プラズマは、圧電素子の表面上の電界強度に達した時にイオン風噴流として形成されてもよい。圧電素子の角、縁または先端からの圧電の直接的放電は、低温プラズマ、すなわちイオン風噴流として発生してもよい。「イオン風噴流」という用語は、イオン風、イオン性風、コロナ風、または電気風として理解されることができ、地面に対して高電圧に供される角、縁または先端で発生するコロナ放電に関連付けられる静電力によって誘導される気流である。双極子に関連する局所電荷分布を含め、導体上の正味電荷は、その外部表面上に完全に存在し、平坦な面上よりも鋭角、縁または先端の辺りに集中する傾向がある。これは、角、縁または先端での電荷によって発生される電界が、大きい導電性シェル上の同じ電荷によって発生される電界よりもはるかに強いことを意味する。この電界強度が、コロナ放電開始電圧勾配として知られている度合いを超えると、角、縁または先端の周りの空気をイオン化し、低温プラズマの小さい淡紫色の噴流が導電性の角、縁または先端で暗闇において見える。近くの空気分子のイオン化は、荷電角、縁または先端の極性と同じ極性を有するイオン化された空気分子の発生をもたらしうる。その後、角、縁または先端は、同様の電荷を有するイオン雲に反発してもよく、イオン雲は、イオン自体間の反発によって直ちに拡張する。イオンのこの反発は、角、縁または先端から発せられる電気的な「風」を生成しうる。
【0033】
イオン風噴流の形態は、異なる形状の圧電素子を使用して制御されることができる。圧電素子の第二の端は、端に少なくとも二つの角を有する長方形を有してもよく、圧電素子の二つの角を接続する前線に対する直交面において、直接的放電イオン風噴流として低温プラズマを発生する。圧電素子は、圧電素子の外縁上に四つの角を有する長方形を有してもよく、これによって、圧電素子の前面に対して直交する方法でのイオン風噴流の直接放電が発生する。圧電素子のこうした形状およびイオン風噴流は、発熱体上の広い領域を清掃することを可能にする。
【0034】
圧電素子の第二の端は、突出部を有することができ、突出部と同じ方向の点イオン風噴流として低温プラズマを発生する。低温プラズマは、圧電素子の突出部に対して実質的に直交する面において点イオン風噴流として発生されうる。圧電素子は、尖った端または先端を有してもよく、これが単一の点にて、圧電素子の先端に対して垂直の方向で複数のイオン風噴流を発生させてもよい。圧電素子のこうした形状およびイオン風噴流は、発熱体上の一点に焦点を合わせて非常に集中的に清掃することを可能にする。
【0035】
エアロゾル発生装置は、発熱体および清掃ユニットに電源を供給するように構成された電源ユニットを備えてもよい。この電源ユニットは、エアロゾル発生装置の唯一の電源であることが好ましい。言い換えれば、発熱体と清掃ユニットには二つの異なる電源ユニットがない。例えば、電源ユニットは(再充電可能)電池であってもよく、またはこれを備えてもよい。これは、重量、容量、コストを増大させる第二の電源の必要性を回避する。
【0036】
清掃を起動する方法は多数ある。エアロゾル発生装置は、清掃ユニットを起動するためのユーザー操作可能なボタンを備えてもよい。清掃を達成するために、エアロゾル発生装置にあるボタンを押すことは、清掃ユニットの清掃機能の起動をもたらす。結果として、ユーザーは、発熱体を清掃する必要があると判断し、清掃を作動してもよい。
【0037】
ボタンとは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生装置は制御ユニットを備えてもよい。制御ユニットはプロセッサとすることができる。
【0038】
制御ユニットは、所定の間隔または場合にて、清掃ユニットを自動的に起動しうる。この清掃機能は、例えば各体験の後に自動的に開始されることができ、これは、発熱体が次回の体験の前に完全に効率的かつ衛生的なままであることを確実にするであろう。エアロゾル発生装置は、ユーザーによって消費された喫煙物品の数を記録する手段を備えてもよく、制御ユニットは次に、所定の数の喫煙物品が消費された後に清掃を自動的に開始してもよい。消費された喫煙物品の所定の数は、例えば2個、5個、または10個であってもよい。消費された喫煙物品の数を記録する手段は、プロセッサ計数、例えば加熱イベントの数であってもよい。
【0039】
エアロゾル発生装置は、発熱体がエアロゾル形成基体との接触から解除されている時、例えば喫煙物品が装置から取り外されている時を検出するための手段を備えてもよい。こうしたイベントが検出された時、制御ユニットは清掃を開始してもよい。エアロゾル形成基体が取り外されている時を検出するための手段は、例えば誘導コイル、エアロゾル形成基体センサー、物理的なスイッチ(これはエアロゾル形成基体によって押されてもよい)、および/またはこれに類するものであってもよい。
【0040】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の電池が充電されている時を検出するための手段を備えてもよい。こうしたイベントが検出された時、制御ユニットは清掃を開始してもよい。エアロゾル発生装置の電池が充電されている時を検出するための手段は、例えば電子回路であってもよい。
【0041】
制御ユニットは、上述の手段のうちの一つ、または幾つか、またはすべてと組み合わされてもよい。当業者は、これらの手段を実施する方法を容易に理解するであろう。
【0042】
エアロゾル発生装置の構成要素を配設するための多くの実施例がある。
【0043】
一つのある事例において、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の電源ユニットのための充電電力を受信するための充電ユニットを備えてもよい。充電ユニットは、エアロゾル発生物品またはスティックを保持するスティックホルダーを挿入するための開口部を備える上端または自由端を有するスティック充電コンパートメントを有することができる。充電ユニットは、上端に対向する下端を有することができる。下端は、エアロゾル発生装置に物理的に接続されてもよい。清掃ユニットは、充電ユニット内部に配設されることができる。清掃ユニットは、充電ユニットの下端に配設されることができる。この配設は、エアロゾル発生装置を非常に小さくかつコンパクトにすることを可能にする。スティックホルダーが充電ユニットのスティック充電コンパートメントの中に挿入されると、充電ユニットの下端に配設された圧電素子を含む清掃ユニットは、加熱ユニットと接触する。スティックホルダーがスティック充電コンパートメントの中に挿入されている時、エアロゾル発生装置の空洞ドアは、ヒンジ開口部を充電コンパートメントに向かって移動させることによって閉じられることができる。空洞ドアを閉じると、エアロゾル発生装置は、清掃ユニットを起動するための制御ユニットを自動的にトリガーするように構成されることができる。
【0044】
エアロゾル発生装置の構成要素を配設する別の事例において、圧電素子を含む清掃ユニットは、エアロゾル発生物品を保持するスティックホルダー内部に配設されることができる。上述の実施形態と対照的に、充電ユニットはない場合がある。この配設は、エアロゾル発生装置の非常に簡単で手際のよい取り扱いを可能にする。
【0045】
エアロゾル発生装置は、格納式の清掃配設を備えてもよく、圧電素子は、格納可能な圧電素子であってもよい。格納式の清掃配設は、発熱体に対して格納可能な圧電素子を移動するためのマイクロモーターを備えてもよい。マイクロモーターは、発熱体からより離れた格納位置から、発熱体により近い延伸位置に発熱体を移動してもよい。マイクロモーターは、格納ボタンによって起動されてもよい。マイクロモーターは、スピンドルによって発熱体を移動してもよい。清掃プロセスが完了した時、マイクロモーターは、格納式の清掃配設を格納位置に再び下げてもよい。
【0046】
本開示の別の態様によると、エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法が提供されている。エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法は、
-圧電素子によって低温プラズマを発生する工程であって、低温プラズマが発熱体の表面を清掃する、発生する工程を含む。
【0047】
エアロゾル発生装置の発熱体を清掃するための従来の方法と異なり、この方法は取り扱いがより容易である。発熱体の清掃は、エアロゾル発生装置内部で行われてもよい。エアロゾル発生装置の分解は回避されうる。エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法の効率は、改善されうる。エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法は、費やされるエネルギーと時間がより少なくてもよい。さらに、清掃する方法は、より安価とすることができる。清掃の結果は、より良い場合がある。
【0048】
清掃とは、破片との相互作用として、および発熱体の表面からの破片の除去として理解されうる。
【0049】
発熱体を清掃する方法の例示的な動作は、以下の通りであってもよい。低温プラズマを発生する工程は、圧電素子の第一の領域に電圧を印加する工程と、それによって発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを形成する工程とを含む。電圧は、5~15Vppの範囲のピーク間AC電圧を有してもよい。AC電位は、少なくとも一つ以上の電極(複数可)に印加されてもよい。こうした電圧レベルは、やや控えめなレベルであることができ、従って使用するのに安全でありうる。
【0050】
電圧は、圧電素子の機械的振動を引き起こしうる。機械的振動は、例えばサブマイクロメートル範囲での顕微鏡的次元の変形として理解されることができる。圧電素子の機械的振動は、10kHz~500kHzの範囲の周波数を有してもよい。圧電素子の機械的振動は、圧電素子の寸法に依存してもよい。
【0051】
機械的振動は、例えば圧電素子の第一の領域から第一の領域に対向する圧電素子の第二の領域に、圧電素子に沿って伝搬してもよい。機械的振動は、圧電素子の第一の領域または端から発生されてもよく、圧電素子の長軸方向に沿って、圧電素子の対向する第二の領域または端に伝搬してもよい。第二の領域にて、機械的振動は電界を生成してもよい。圧電素子の第二の領域は次に、例えば3kV~20kVなどの電位に供されてもよい。圧電素子の第二の領域の外縁は、高電位の印加を容易にするために金属化された形態で提供されることができる。
【0052】
電界はイオン化ガスをもたらしうる。イオン化ガスは、発熱体を清掃するための低温プラズマを形成してもよい。言い換えれば、低温プラズマは、圧電素子の表面上の電界の強度が、必要なイオン化電界強度の閾値を超える時に、イオン風噴流として形成されてもよい。圧電素子に印加されるこの電界閾値を超える時(これは非常に迅速に、例えばマイクロ秒以内に起こりうる)、これらの電荷は、低温プラズマ、すなわちイオン風噴流として、圧電素子の角および/または縁から圧電の直接的放電を形成しうる。イオン化ガスおよび低温プラズマは、使用するのに安全である。
【0053】
発熱体の表面を清掃するために、低温プラズマは、発熱体の表面上の有機残渣の有機分子を、より軽いおよび/または揮発可能な有機分子に分解しうる。より軽い有機残渣は、酸化して(炭素)酸化物および水蒸気を形成することができる。(炭素)酸化物、水蒸気、および/または揮発可能な有機分子は、室温で発熱体から蒸発することができる。この清掃する方法は、非常に効果的かつ効率的であることができる。
【0054】
低温プラズマは、大気圧で発生されてもよい。大気圧で低温プラズマを発生する能力は、エアロゾル発生装置の取り扱いを容易にし、その有用性またはその製造に関するいかなる安全面の検討を回避させる。
【0055】
低温プラズマは、75℃以下、好ましくは50℃以下の範囲内の温度で発生されてもよい。低温プラズマは、17~75℃の範囲内の温度で発生されてもよい。低温プラズマは、室温(例えば17~25℃)で発生されてもよい。このような低温の使用は、安全面の検討をする必要なく、低エネルギー消費および容易な取り扱いを可能にする。
【0056】
エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法は、清掃ユニットを起動させるためにエアロゾル発生装置上のユーザー操作可能なボタンを作動する工程を含みうる。このようにして、清掃する工程は、ユーザーによって手作業で作動されてもよい。例えば、ユーザーは、発熱体を清掃する必要があると判断し、清掃を作動してもよい。作動は、エアロゾル発生装置上のボタンを押すことによって達成されうる。清掃は、所定のまたは事前にプログラムされた期間の後に自動的に終了されることが好ましい。
【0057】
エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法は、制御ユニットによって所定の間隔で清掃ユニットを自動的に起動する工程を含んでもよい。制御ユニットはプロセッサとすることができる。この清掃機能は、発熱体が完全に効率的かつ衛生的なままであることを確実にする。
【0058】
本開示の別の態様によると、エアロゾル発生装置を製造する方法が提供されている。エアロゾル発生装置を製造する方法は、以下の工程、すなわち、
-エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するための発熱体を提供する工程と、
-少なくとも一つの圧電素子を備える清掃ユニットを提供する工程であって、圧電素子が、発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、提供する工程と、
-発熱体の表面を清掃するために発熱体と協働することを可能にするように清掃ユニットを配設する工程と、を含み、これらの工程は必ずしもこの順序である必要はない。
【0059】
エアロゾル発生装置を製造するための本方法は容易である。製造は、多くの費用をかけることなく、および/または欠陥を起こりやすくすることなく、迅速に行われることができる。
【0060】
本製造方法は、統合された清掃ユニットを有するエアロゾル発生装置を生産することを可能にし、このエアロゾル発生装置は取り扱いがより容易である。発熱体の清掃は、エアロゾル発生装置内部で行われてもよい。清掃は周囲条件で行われることができる。エアロゾル発生装置を分解する必要はない場合がある。
【0061】
エアロゾル発生装置は、より少ないエネルギーを消費しうる。さらに、清掃にかかる時間は、より短い場合がある。発熱体の清掃は、より良い場合がある。
【0062】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾルを発生させるために電源からエアロゾル形成基体にエネルギーを供給するために使用される一つ以上の構成要素を備えてもよい。
【0063】
エアロゾル発生装置は、ヒーターまたは発熱体を備えるエアロゾル発生装置である加熱式エアロゾル発生装置として記述されうる。ヒーターは、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するために使用されることが好ましい。
【0064】
エアロゾル発生装置は、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するために電力によって動作されるヒーターを備えるエアロゾル発生装置である、電気加熱式のエアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ガス加熱式エアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。
【0065】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、担体上にまたは支持体上に吸着、被覆、含浸、または別の方法で装填されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0066】
エアロゾル形成基体は、個体または液体のどちらであってもよく、ニコチンを含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよく、例えば加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料、例えばキャストリーフたばこを含んでもよい。
【0067】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」および「喫煙物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0068】
随意に、エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されているエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品である。エアロゾル形成基体の加熱によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル形成基体の燃焼または熱分解によって生成されるよりも少ない既知の有害成分を含有しうる。エアロゾル発生物品は、たばこスティックであってよい、またはそれを含んでもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0070】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、加工されたたばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。例えば、基体のエアロゾル形成材料は、紙または包み内に包含され、かつプラグの形態を有してもよい。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッピングペーパーを含むプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0071】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0072】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するために、あるパターンで堆積されてもよい。
【0073】
随意に、エアロゾル形成基体は、喫煙物品(例えば紙巻たばこなどのスティック状の喫煙物品)中に含有されている。喫煙物品は、エアロゾル形成基体を装置の発熱体と接触させるためにエアロゾル発生装置と係合するように適切なサイズおよび形状であることが好ましい。例えば、喫煙物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。喫煙物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。
【0074】
当業者であれば、上述のタイプのエアロゾル形成基体の少なくとも一つを使用した後に、どの有機残渣が発熱体上に堆積されうるかを容易に理解するであろう。
【0075】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0076】
A.エアロゾル発生装置であって、
-エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を使用時に加熱するために構成された発熱体と、
-発熱体の表面を使用時に清掃するために発熱体と協働するように配設された清掃ユニットと、を備え、
清掃ユニットが少なくとも一つの圧電素子を備え、圧電素子が、発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、エアロゾル発生装置。
【0077】
B.圧電素子が大気圧で低温プラズマを発生するように構成されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0078】
C.圧電素子が17~75℃の範囲内の温度で低温プラズマを発生するように構成されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0079】
D.圧電素子が第一の端を有し、清掃ユニットが少なくとも二つの電極を備え、圧電素子の第一の端がこれらの電極の間に配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0080】
E.圧電素子が、圧電素子の突出部に対して実質的に直交する面において点イオン風噴流として低温プラズマを発生するために突出部を有する第二の端を有する、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0081】
F.圧電素子が、圧電素子の二つの角を接続する前線に対して直交する面において直接的放電イオン風噴流として低温プラズマを発生するために端にて少なくとも二つの角を有する長方形状を有する第二の端を有する、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0082】
G.エアロゾル発生装置の電源ユニット用の充電電力を使用時に受信するための充電ユニットをさらに備え、充電ユニットが、エアロゾル発生物品を挿入するための開口部を有する上端と、上端に対向する下端とを有し、清掃ユニットが充電ユニットの内部および充電ユニットの下端に配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0083】
H.エアロゾル発生物品を受容するための保持ユニットをさらに備え、圧電素子が保持ユニット内部に配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0084】
I.清掃ユニットが複数の圧電素子および複数の電極を備え、複数の圧電素子のそれぞれの端が、層状に積み重ねた配設で隣接する電極の間に配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0085】
J.発熱体および清掃ユニットに電力を供給するように構成された電源ユニットをさらに備え、この電源ユニットがエアロゾル発生装置の唯一の電源である、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0086】
K.圧電素子が、チタン酸ジルコン酸鉛、またはチタン酸鉛およびチタン酸バリウムとのジルコン酸鉛の混合物から成る、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0087】
L.圧電素子が、0.5ミリメートル~0.9ミリメートルの厚さおよび/または短辺および/または0.5~4センチメートルの長辺の範囲の寸法の圧電結晶を含む、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
【0088】
M.エアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法であって、
-圧電素子によって低温プラズマを発生する工程であって、低温プラズマが発熱体の表面を清掃する、発生する工程を含む、方法。
【0089】
N.実施例Mに記載の清掃する方法であって、低温プラズマを発生する工程が、
-圧電素子に電圧を印加する工程と、
-それによって、発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを形成する工程と、を含む、方法。
【0090】
O.電圧が、5~15Vppの範囲内のピーク間AC電圧を有する、実施例Mに記載の清掃する方法。
【0091】
P.電圧が、10kHz~500kHzの範囲の周波数で圧電素子の機械的振動を引き起こす、実施例Mに記載の清掃する方法。機械的振動が圧電素子に沿って伝搬し、3kV~20kVの範囲の電位を有する電界を生成する、実施例Pの一つに記載の清掃する方法。
【0092】
Q.電界がイオン化ガスをもたらす、実施例Qに記載の清掃する方法。
【0093】
R.イオン化ガスが、発熱体を清掃するための低温プラズマを形成する、実施例Rに記載の清掃する方法。
【0094】
S.実施例Mに記載の清掃する方法であって、発熱体の表面を清掃するために、低温プラズマが、発熱体の表面上の有機残渣の有機分子を、より軽い有機残渣および/または揮発可能な有機分子に分解し、より軽い有機残渣が酸化して、炭素酸化物および水蒸気を形成し、炭素酸化物、水蒸気および/または揮発可能な有機分子が、室温で発熱体から蒸発する、方法。
【0095】
T.低温プラズマが大気圧で発生される、実施例Mに記載の清掃する方法。
【0096】
U.低温プラズマが17~75℃の範囲内の温度で発生される、実施例Mに記載の清掃する方法。
【0097】
V.エアロゾル発生装置を製造する方法であって、
- エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するための発熱体を提供する工程と、
-少なくとも一つの圧電素子を備える清掃ユニットを提供する工程であって、圧電素子が、発熱体の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、提供する工程と、
-発熱体の表面を清掃するために発熱体と協働することを可能にするように清掃ユニットを配設する工程と、を含む、方法。
【0098】
W.清掃ユニットを起動するように構成されたユーザー操作可能なボタンをエアロゾル発生装置上に提供する工程をさらに含む、実施例Wに記載の製造する方法。
【0099】
X.所定の間隔で清掃ユニットを起動するように構成された制御ユニットを提供する工程をさらに含む、実施例Wに記載の製造する方法。
【0100】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、本開示によるエアロゾル発生装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図2a-2e】
図2a~
図2eは、本開示による圧電素子の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図3a-3c】
図3a~
図3cは、本開示によるエアロゾル発生装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図4a-4c】
図4a~
図4cは、本開示によるエアロゾル発生装置の別の実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図5a-5d】
図5a~
図5dは、本開示による格納式の清掃配設の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【
図6】
図6は、本開示によるエアロゾル発生装置の発熱体を清掃する方法を概略的かつ例示的に示す。
【
図7】
図7は、本開示による、エアロゾル発生基体を加熱するための発熱体と、発熱体の表面を清掃するための清掃ユニットとを有するエアロゾル発生装置を製造する方法を概略的および例示的に示す。
【0102】
図1は、本開示によるエアロゾル発生装置100を示し、このエアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体20と相互作用してエアロゾルを発生させる。エアロゾル発生装置100は発熱体250を備える。発熱体250はエアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを発生させる。発熱体250はここで、実質的にブレード形状である。発熱体250は、発熱体250と係合したエアロゾル形成基体20の長軸方向軸に沿って使用時に延びる長辺と、短辺と厚さとを有する。短辺は厚さよりも大きい。発熱体250は、エアロゾル形成基体20を貫通するための先端またはスパイクで終わる。発熱体250は、電気的に絶縁された基体を備え、これは発熱体250の形状を画定する。電気絶縁材料は、例えばアルミナ(Al
20
3)であっても、安定化ジルコニア(Zr0
2)であってもよい。
【0103】
エアロゾル発生装置100は、発熱体250および清掃ユニット400(
図2に示す)を備える。発熱体250および清掃ユニット400は、エアロゾル発生装置100の内に配設されていて、エアロゾル発生装置100の中に統合されている。清掃ユニット400は、発熱体250の表面を清掃するために発熱体250と協働するように、発熱体250の近くまたは隣に配設されている。
【0104】
図2aに示す通り、清掃ユニット400は、発熱体250を清掃するためのプラズマクリーナーである。清掃ユニット400は、一つ以上の圧電素子410を備える。圧電素子410は、長軸方向を有する直方体である。圧電素子は、第一の端または領域412と、直方体の長軸方向に対して第一の端412に対向する第二の端または領域413とを有する。
【0105】
圧電素子410は、発熱体250の表面の近くで低温プラズマを発生する。低温プラズマは、表面を清掃して発熱体250上の蓄積された有機残渣を除去または低減するために、発熱体250の表面と相互作用する。
【0106】
より詳細に、圧電素子410は、その第一の端412で、好ましくは例えば5~15Vppの入力電圧で、電圧に供される。圧電素子410は、機械的振動を発生することによって反応する。機械的振動は、10kHz~500kHzの範囲の周波数を有することが好ましい。機械的振動は、圧電素子410の第二の端413に伝搬する。そこで、機械的振動は電界を生成する。電界は、第一の端412での入力電力と比較して、より高い出力電力を有する。電界は例えば3kVpp~20kVppの電位を有することが好ましい。電界は、圧電素子410の近くの空間においてイオン化ガスをもたらす。
【0107】
イオン化ガスは、圧電素子410の近くまたは近傍で低温プラズマを形成し、それによって発熱体250の表面の近くでも低温プラズマを形成する。「近くで」という表現は、発生された低温プラズマが発熱体250の表面に接触することを意味する。低温プラズマは、低温(17~75℃)およびより高温の電子でのイオンおよび中性荷電粒子(分子および原子)を含む。圧電素子410は、大気圧、周囲空気、および17~75℃の範囲の総合的な温度で、低温プラズマを発生する。
【0108】
低温プラズマは、発熱体250から残渣を清掃するために、発熱体250の表面上の望ましくない残渣と相互作用する。望ましくない残渣は、エアロゾル形成基体20の加熱によって発生された。残渣は、発熱体の表面に滞留して蓄積する不揮発性有機残渣、特に炭素種でありうる。
【0109】
低温プラズマは、重い有機分子残渣を軽い残渣に分解することができる。軽い残渣は、揮発可能な有機分子であってもよい。また、重い有機分子は揮発可能であってもよい。揮発可能な有機分子は、発熱体表面から蒸発し、表面をより清浄な状態のままにする。発熱体250上の軽い残留有機化学種は酸化して、酸化物および水蒸気を形成することができる。結果として、低温プラズマは、発熱体250の表面上の望ましくない種を低減、除去、放散および/または排除することによって、発熱体250を清掃する。
【0110】
図2aに示す通り、圧電素子410は、長軸方向を有する直方体である。圧電素子は、第一の端または領域412と、直方体の長軸方向に対して第一の端412に対向する第二の端または領域413とを備える。
【0111】
図2bに示す通り、清掃ユニット400は二つの電極411を備えてもよく、圧電素子410の第一の端412は、これらの電極411の間に配設されている。
【0112】
図2cに示す通り、清掃ユニット400は、複数の圧電素子410および複数の電極411を備える。複数の電極411は、複数の共焼結電極411とすることができる。複数の圧電素子410のそれぞれの第一の端412は、層状に積み重ねた配設で隣接する電極411の間に配設されている。
【0113】
低温プラズマは、圧電素子410の表面上の所定の電界強度に達した時に形成される。圧電素子410の角および縁からの圧電の直接的放電は、イオン風噴流の形態の低温プラズマとして発生する。以下に示す通り、イオン風噴流の形態は、圧電素子410の異なる形状を使用して制御されることができる。
【0114】
図2dに示す通り、圧電素子410の第二の端413は(断面において)四隅を有する長方形形状を有する。これらの角にて、低温プラズマは、圧電素子410の前面に対して直交する面において、複数(ここでは四つ)の直接的放電イオン風噴流として発生される。
【0115】
図2eに示す通り、圧電素子410の第二の端413は(断面において)鋭利な端、突出部または先端を有してもよく、これは単一の点にて、圧電素子410の先端に対して直交する面において単一のイオン風噴流を発生させてもよい。
【0116】
図3aに示す通り、エアロゾル発生装置100は、電源ユニット(図示せず)の充電電力を受信するための充電ユニット101を備える。電源ユニットは、発熱体250に、および清掃ユニット400に電力を供給する。電源ユニットは(再充電可能)電池であってもよく、またはこれを備えてもよい。
【0117】
充電ユニット101は、スティックまたはエアロゾル発生物品を挿入するための開口部を備える上端を有するスティックホルダー充電コンパートメント110を有する。充電ユニット101は、上端に対向する下端を有する。
図3a~3cに示す実施形態において、清掃ユニット400は、充電ユニット101の内部、特に充電ユニット101の下端に配設されている。
【0118】
清掃ユニット400は、スティックホルダー充電コンパートメント110内部の底部に配設されている。圧電素子410は、充電ユニット101のスティックホルダー空洞111の底部に配設されている。スティックホルダー空洞111は、圧電素子410がスティックホルダー200のキャップ開口部220を通過するような方法で、スティックまたはエアロゾル形成基体を受け入れる。圧電素子410は、上面図および側面図で
図3bに示されている。
【0119】
図3cに示す通り、圧電素子410は発熱体250に近い。圧電素子410は電荷されて、発熱体250に入射して直接、低温プラズマ450を発生する。発生された低温プラズマ450は、発熱体250上の有機残渣を揮発、酸化することを可能にする。
【0120】
清掃手順でユーザーは、スティックまたはエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置100内部に保持するために、スティックホルダー200を挿入する必要がある。エアロゾル発生装置100は、清掃ユニット400上の圧電素子410がキャップ開口部220を通ってスティックホルダー200に入るような方法で、充電ユニット101のスティックホルダー充電コンパートメント110の中にスティックホルダー200を受容する。
【0121】
スティックホルダー200がその位置に来ると、エアロゾル発生装置100の空洞ドア112は、ヒンジ開口部を充電コンパートメントに向かって移動させることによって閉じられる。空洞ドア112を閉じると、ユーザーは清掃起動ボタン180を押し、これは発熱体250の清掃を起動する。清掃が完了すると、スティックホルダー200はエアロゾル発生装置100から取り外されることができ、次回の体験のための準備が整う。
【0122】
図4a~4cに示す実施形態において、A-A’およびB-B’の表示は、スティックホルダー200の上部および解剖図のマーカーである。清掃ユニット400および圧電素子410は、スティックホルダー200内部に配設されている。圧電素子410はここで、円弧形状である。圧電素子410は、格納式の清掃配設420を使用して格納可能である。
【0123】
動作は以下の通りである。清掃を開始するために、ユーザーは格納ボタン430を押すことができ、これが清掃を起動する。清掃機能は、格納式の清掃配設420が発熱体250に向かって垂直に上方に移動することから始まる。圧電素子410の位置が発熱体250と整列すると、清掃プロセスが開始する。清掃プロセスが完了すると、格納機構420は自動的に下向きに移動し、新しいエアロゾル発生物品をスティックホルダー200の中に受容するためのスペースを利用可能にする。
【0124】
図4a~4cおよび
図5a~5dは、格納式の清掃配設420をより詳細に説明する。清掃プロセスを起動するために、
図4aにおいて、格納ボタン430が押され、これがマイクロモーター310を起動する。
図4b~4dに示す通り、マイクロモーター310は、ねじ込みスピンドル429を回転させて、圧電素子410を下側部分205から上向きに移動させ、圧電素子410を発熱体250に近づける。圧電素子410および発熱体250が望む通りに整列されると、低温プラズマの発生が起動されうる。発生された低温プラズマ(すなわちイオン風噴流の形態の低温プラズマ)は、発熱体250上の有機残渣と直接接触する。この相互作用は、室温にて発熱体250上の有機残渣の酸化および蒸発をもたらす。
【0125】
清掃プロセスが完了すると、マイクロモーター310は、格納式の清掃配設420を分離器245の下まで降下させ、圧電素子410上の上部クラッディング428は分離器245と整列し、格納式の清掃配設420を封止する。マイクロモーター310は自動的に前進して格納機構を停止する。
【0126】
図4a~
図4cに示す通り、スティックホルダー200は、キャップ開口部220を上部に有する取り外し可能キャップ210と、スティックホルダーハウジング230と、キャップハウジング240と、キャップリリースボタン215とを備える。キャップハウジング240は、側面開口部260と、再充電可能電池391と、電子機器282と、発熱体組立支持体255とを備える。キャップ210およびキャップリリースボタン215は随意のものである。キャップリリースボタン215はまた、スティックホルダーハウジング230上に提供されてもよい。
【0127】
図6は、エアロゾル発生装置100の発熱体250を清掃する方法を示す。エアロゾル発生装置100の発熱体250を清掃する方法は、圧電素子410によって低温プラズマを発生する工程S1を含み、低温プラズマは発熱体250の表面を清掃する。
【0128】
低温プラズマを発生する工程S1は、圧電素子410の第一の領域に電圧を印加する副工程S11と、それによって発熱体250の表面の近くに低温プラズマを形成する副工程S12とを含む。電圧は、圧電素子410の機械的振動を引き起こす。機械的振動は、例えば第一の領域から対向する第二の領域に、圧電素子410に沿って伝搬する。第二の領域にて、機械的振動は電界を生成する。電界はイオン化ガスをもたらす。イオン化ガスは、発熱体250を清掃するための低温プラズマを形成する。低温プラズマは、大気圧で、また17~75℃の範囲内の温度で発生される。
【0129】
低温プラズマは、発熱体250の表面上の有機残渣の有機分子を、より軽いおよび/または揮発可能な有機分子に分解する。より軽い有機残渣は、酸化して酸化物および水蒸気を形成することができる。酸化物、水蒸気、および/または揮発可能な有機分子は、室温で発熱体250から蒸発することができる。
【0130】
図7は、エアロゾル発生基体を加熱するための発熱体250と、発熱体250の表面を清掃するための清掃ユニット400とを有するエアロゾル発生装置100を製造する方法を示す。エアロゾル発生装置100を製造する方法は、以下の工程、すなわち、
S1. エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生物品を加熱するための発熱体250を提供する工程と、少なくとも一つの圧電素子410を備える清掃ユニット400を提供する工程であって、圧電素子410が発熱体250の表面を清掃するための低温プラズマを発生するように構成されている、清掃ユニット400を提供する工程と、
S2. 発熱体250の表面を清掃するために発熱体250と協働することを可能にするように清掃ユニット400を配設する工程と、を含み、これらの工程は必ずしもこの順序である必要はない。
【0131】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±20%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本開示の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
【0132】
添付の図面を一部参照しながら、本開示の例示的な実施例が上述されているものの、本開示はこれらの実施例に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施例に対する変形は、図面、明細書および添付の特許請求の範囲を吟味した上での本開示の実施において、当業者によって理解され、かつ行われることができる。
【0133】
特許請求の範囲において、括弧内の任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「含む(comprising)」という用語は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の要素または工程の存在を排除するものではない。要素に先行する「一つの(「a」または「an」)」という単語は、こうした要素の複数の存在を排除するものではない。本開示は、幾つかの別個の要素を備えるハードウェアによって実施されることができる。幾つかの手段を列挙する、装置の特許請求の範囲において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの全く同一の品目によって具現化されることができる。互いに異なる従属請求項において特定の測定値が列挙されているという単なる事実は、これらの測定値の組み合わせを有利に利用できないことを示唆するものではない。