(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】消火器箱
(51)【国際特許分類】
A62C 13/78 20060101AFI20231130BHJP
A62C 35/20 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
A62C13/78 A
A62C35/20
(21)【出願番号】P 2023019702
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2021163250の分割
【原出願日】2016-08-31
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓史
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-009053(JP,A)
【文献】実開平07-012431(JP,U)
【文献】実開昭54-126497(JP,U)
【文献】実開昭49-085896(JP,U)
【文献】登録実用新案第3101235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を有するトンネル内の前記道路とトンネル壁面との間に前記トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路内に埋込み設置され、内部に消火器が収納された消火器箱であって、
前記埋込み設置状態に於いて前記監視員通路の路面側に位置する上面の扉開口を開閉自在に配置された上扉と、
前記埋込み設置状態に於いて前記上扉の閉鎖状態で前記消火器の上部を前記トンネル壁面側に傾斜させて消火器を収納し、前記上扉の開放状態で収納された消火器の傾斜状態を変更自在とする消火器取出し構造と、
を備えたことを特徴とする消火器箱。
【請求項2】
請求項1記載の消火器箱であって、
前記消火器取出し構造は、上部に取手が設けられ、前記上扉の閉鎖状態で前記取手が前記上扉の裏面に設けられた係止部材に係止されることで、前記消火器の収納状態を前記消火器の上部を前記トンネル壁面側に傾斜させた状態で維持することを特徴とする消火器箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の監視員通路内に埋込み設置されて消火器が取り出し自在に収納された消火器箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道などのトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。
【0003】
このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器、手動通報装置及び非常電話が設けられ、また火災の消火や延焼防止のために消火栓装置及び消火器箱が設けられ、更にトンネル躯体を火災から防護するために水噴霧ヘッドから消火用水を散水させる水噴霧設備などが設置され、非常用設備の設備機器を監視センターに設けられた防災受信盤からの伝送回線に接続して監視制御が行われている。
【0004】
例えば消火栓装置は、トンネル内に設けた監視員通路に面した側壁に沿って50メートル間隔で設置され、開放自在な消火栓扉を備えた筐体に、先端にノズルを装着したホースとバルブ類が収納されている。
【0005】
また、消火器箱は、消火栓装置と一体に設けられるか、あるいは消火器箱単独で設けられ、トンネル内に設けた監視員通路に面した側壁に沿って例えば50メートル間隔で設置されている。
【0006】
監視員通路は路面に対し1メートル程度高くした側壁通路として設けられており、トンネル内の車両通行を妨げることなく且つ安全にトンネル内に設置している消火器箱を含む各種の機器の点検を行うことを可能としている。
【0007】
火災を伴う車両事故が発生した場合には、事故車両の運転者等の利用者は、消火器箱の消火器扉を開いて消火器を取出して消火作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-181057号公報
【文献】特開2008-055024号公報
【文献】特開2009-285126号公報
【文献】特開2003-190315号公報
【文献】特開2006-181057号公報
【文献】特開2001-009053号公報
【文献】特開2017-209145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、シールド工法等により作られた都市型トンネルにあっては、トンネル壁面に消火器箱を埋込み設置できない構造であり、監視員通路側面(壁面)に消火器箱を埋込み設置する必要がある。
【0010】
しかしながら、従来のように扉を前開きする消火器箱を監視員通路に設置した場合には、消火器扉が開くと建築限界を超えて道路側に飛び出す問題がある。
【0011】
一方、この問題を解決できたとしても、消火器箱をトンネル内の道路に面した監視員通路壁面に沿って埋込設置した場合、車両火災が発生して消火器扉の前に車両が停止すると、停止車両が邪魔になって、消火器扉を開いて消火器を取り出すことができない場合がある。更に、仮に監視員通路上から操作できる場合でも、監視員通路から消火器扉を開くには、体をかがめて手を伸ばす必要があり、消火器箱からの消火器の取出しに手間取ってしまう場合もある。
【0012】
本発明は、トンネル内の道路側及び監視員通路面側から、特に監視員通路面側から消火器箱の扉を開いて簡単且つ容易に消火器の取出しを可能とする消火器箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(消火器箱)
本発明は、道路を有するトンネル内の道路とトンネル壁面との間にトンネル壁面に沿って設けられた監視員通路内に埋込み設置され、内部に消火器が収納された消火器箱であって、
埋込み設置状態に於いて監視員通路の路面側に位置する上面の扉開口を開閉自在に配置された上扉と、
埋込み設置状態に於いて上扉の閉鎖状態で消火器の上部をトンネル壁面側に傾斜させて消火器を収納し、上扉の開放状態で収納された消火器の傾斜状態を変更自在とする消火器取出し構造が設けられたことを特徴とする。
【0014】
(取手と係止部材による消火器の傾斜状態の維持)
消火器取出し構造は、上部に取手が設けられ、上扉の閉鎖状態で取手が上扉の裏面に設けられた係止部材に係止されることで、消火器の収納状態を消火器の上部をトンネル壁面側に傾斜させた状態で維持する。
【発明の効果】
【0015】
(消火器箱の効果)
本発明は、道路を有するトンネル内の道路とトンネル壁面との間にトンネル壁面に沿った監視員通路内に埋込み設置され、内部に消火器が収納された消火器箱であって、埋込み設置状態に於いて監視員通路の路面側に位置する上面の扉開口を開閉自在に配置された上扉と、埋込み設置状態に於いて上扉の閉鎖状態で消火器の上部をトンネル壁面側に傾斜させて消火器を収納し、上扉の開放状態で収納された消火器の傾斜状態を変更自在とする消火器取出し構造が設けられたため、誤って扉が開放されても道路側に消火器が飛び出すことがなく、走行する車両との衝突を防止可能とする。また、上扉が開放された場合には消火器の傾斜状態が変更自在となるため取り出す位置に対応した取りやすい角度に消火器を傾斜させることが可能であり、消火器を簡単且つ容易に取り出して消火作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】シールドトンネル内に設置した消火器箱を含むトンネル非常用設備を示した説明図
【
図2】消火器箱の外観を消火栓収納箱と共に示した図
【
図3】上扉を前開きし前扉をスライド落下して開放させた消火器箱を示した説明図
【
図6】消火器箱の前扉側を内部から見て示した説明図
【
図7】上扉を前開きして前扉をスライド開放させる第1扉開閉機構と上扉を後開きさせる第3扉開閉機構を横断面で示した説明図
【
図8】上扉を閉鎖位置に係止すると共に上扉を後開きさせる第2扉開閉機構を横断面で示した説明図
【
図9】消火器取出し構造の第1実施形態を備えた消火器箱を側面から見た断面により示した説明図
【
図10】
図9の消火器取出し構造を備えた消火器箱を正面から見た断面で示した説明図
【
図11】
図9における取手係止構造を取り出して示した説明図
【
図12】取手係止構造としてボールチャッキ構造を設けた消火器箱の実施形態を示した説明図
【
図13】消火器取出し構造に吊下げ網部を設けた消火器箱の実施形態を示した説明図
【
図14】消火器取出し構造の第2実施形態を備えた消火器箱を側面から見た断面により示した説明図
【
図15】
図14の消火器取出し構造を備えた消火器箱を正面から見た断面で示した説明図
【
図16】
図14における消火器取出し構造を取り出して示した説明図
【
図17】
図14における取手係止構造を取り出して示した説明図
【
図18】
図14のガイドプレートに対するスライダのガイド構造を取り出して示した説明図
【
図19】
図14のガイドプレートに設けられたラッチ機構を取り出して示した説明図
【
図20】
図14の消火器箱の上扉及び前扉を開放して道路側から消火器を取り出す場合を示した説明図
【
図21】
図14の消火器箱の上扉を後開きして監視員通路側から消火器を取り出す場合を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[トンネル非常用設備の概要]
図1は自動車専用道路のトンネル内に設置された消火器箱を含むトンネル非常用設備を示した説明図である。
図1に示すように、シールド工法により構築されたトンネル10内は円筒形のトンネル壁面12により覆われ、床版17により仕切られることで道路15が設けられており、この例にあっては、道路15は1方向2車線としている。
【0018】
床版17で仕切られた道路15の左側のトンネル壁面12に沿って監視員通路14が設けられ、監視員通路14の下側の内部空間はダクト22として利用され、電線管等が敷設される。監視員通路14は例えば高さが90センチメートル、横幅が70センチメートルといった大きさをもつ。
【0019】
道路15が形成された床版17の下側はトンネル横方向に複数の区画に仕切られており、例えば、監視員通路14の下に位置する区画は、管理用通路23として使用され、また、管理用通路23はトンネル内での火災発生時には、緊急避難通路として使用される。管理用通路23には給水本管24が敷設されている。
【0020】
トンネル10の長手方向の50メートルおきには、消火栓設備16が設置され、消火栓設備16はホースが収納された消火栓収納箱18と例えば2本の消火器を収納した消火器箱20が配置され、消火栓収納箱18に対し放水制御機構収納部25が管理用通路23に分離して設置されている。
【0021】
消火器箱20及び消火栓収納箱18は、監視員通路14の路面及び道路15側の壁面にかけて箱形に刳り貫かれた消火栓埋込部に配置されている。なお、消火器箱20は消火栓収納箱18から分離して配置される場合もあるが、以下の説明は、消火栓収納箱18と一体に設けた場合を例にとっている。
【0022】
[消火栓設備]
(消火栓収納箱の外観構造)
図2は消火器箱を消火栓収納箱と共に示した説明図、
図3は上扉を前開きして前扉をスライド落下して開放させた消火器箱を示した説明図、
図4は上扉を後開きした消火器箱を示した説明図である。なお、
図3では、筐体内に設けられる、後の説明で明らかにする消火器取出し構造の図示は省略している。
【0023】
図2に示すように、消火器箱20は、監視員通路14の路面下の内部空間に埋込み設置されている。消火器箱20は、筐体31の前面中央に前扉30が設けられ、前扉30は、下側に固定扉35が配置され、その上に2枚のスライド扉36a,36bが上下方向にスライド開閉自在に配置されている。
【0024】
また、消火器箱20の監視員通路14の路面側となる上面には、前扉30と同じ横幅の上扉32が配置されている。上扉32は、
図3に示す前開きと、
図4に示す後開きができる。
【0025】
ここで、上扉32で示す前開きとは、
図3に示すように、上扉32の奥行側の後縁部を軸として上向き回りに開閉されることを意味し、また、上扉32の後開きとは、
図4に示すように、上扉32の手前の前縁部を軸として上向き回りに開閉されることを意味する。
【0026】
図2に示すように、通常状態では、前扉30の最上部のスライド扉36aは閉鎖状態にある上扉32により閉鎖状態に係止されており、利用者が道路15側から操作する場合には、前開きハンドル34を開操作すると、上扉32に対するスライド扉36aの係止が解除され、
図3に示すように、スライド扉36a,36bは自重により固定扉35の裏側に落下して消火器箱20の前面扉開口を開放させ、また、上扉32を前開きすることで、消火器箱20の上面扉開口を開放させる。
【0027】
前扉30の開放は、固定扉35の裏側に2枚のスライド扉36a,36bが落下して開放されるため、固定扉35及びスライド扉36a,36bの高さを同じとすると、前扉30の上側の2/3が開放されることとなり、前扉30の開口領域を大きくすることで、筐体31内に収納している消火器の道路15側からの取出しをより行い易くしている。
【0028】
なお、本実施形態では、前扉30を固定扉35と2枚のスライド扉36a,36の合計3枚の扉により3分割しているが、分割数を更に増やすことで、前扉30を開放した場合の開口領域を更に大きくして、筐体31内に収納している消火器の道路15側からの取出しをより行い易くできる。
【0029】
また、利用者が監視員通路14側から操作する場合には、後開きハンドル38を開操作すると、筐体31に対する上扉32の係止が解除され、
図4に示すように、上扉32を後開きすることで、消火器箱20の上面扉開口を開放させる。
【0030】
図2に示すように、消火器箱20の前面右側には通報装置パネル42が設けられる。通報装置パネル42には、赤色表示灯44、発信機45、電話ジャック46及び応答ランプ48が設けられている。赤色表示灯44は常時点灯し、消火栓設備の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機45を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ48が点灯され、更に、赤色表示灯44が点滅される。
【0031】
[前扉及び上扉の開閉機構]
図5は前扉及び上扉を閉鎖した消火器箱を正面及び平面から示した説明図、
図6は消火器箱の前扉側を内部から見て示した説明図、
図7は上扉との係止を解除して前扉をスライド開放させる第1扉開閉機構の機能構成を示した説明図、
図8は上扉を閉鎖位置に係止すると共に上扉を後開きさせる第2扉開閉機構を横断面で示した説明図である。
【0032】
(前開き機構と後ろ開き機構)
図5乃至
図8に示すように、消火器箱20の上面扉開口に配置された上扉32は、前開きハンドル34により操作される前開き機構と、後開きハンドル38により操作される後開き機構を備える。
【0033】
上扉32の前開き機構は、上扉32が図示の閉鎖位置にある場合に、前扉30の中の最上部に位置するスライド扉36aの上部を第1扉開閉機構60により係止して閉鎖位置に保持しており、上扉32の前縁に下向きに配置されている前開きハンドル34をリフトアップ(開操作)した場合に、上扉32に対するスライド扉36aの係止解除により2枚のスライド扉36a,36bを固定扉35の裏側にスライド落下させ、2枚のスライド扉36a,36bで閉鎖していた前面扉開口を開放させる。
【0034】
また、上扉32を奥行方向に開く前開き操作に対し、第2扉開閉機構62による筐体31側との係止を解除し、上扉32の奥行側に配置された第3扉開閉機構64の軸中心線85を回転軸として上扉32を前開きすることで、上面を開口させる。
【0035】
上扉32の後開き機構は、上扉32が閉鎖位置にある場合に、第3扉開閉機構64により上扉32を筐体31側に係止して閉鎖位置に保持しており、上扉32の後縁側に設けられた後開きハンドル38を操作した場合に、筐体31側との係止が解除され、上扉32の前縁側に配置された第1扉開閉機構60及び第2扉開閉機構62の軸中心線75を回転軸として、上扉32の後開きすることで、上面を開口させる。
【0036】
(第1扉開閉機構)
図5乃至
図7に示すように、前扉30における最上部のスライド扉36aの上部中央と上扉32の前縁中央に配置された第1扉開閉機構60は、前開きハンドル34の裏側のハンドル本体34aから両側に軸部材(第1軸部材)66を突出させており、軸部材66の先端は、スライド扉36aの裏面に固定された軸受部68の軸穴68aに挿入されており、これにより上扉32にスライド扉36aを係止させて閉鎖位置に保持させている。
【0037】
スライド扉36aの下側に位置するスライド扉36bは、スライド扉36aが上扉32に係止されて閉鎖位置に保持されると、スライド扉36aの裏側で吊り下げられるように連結されることで、閉鎖位置に保持される。
【0038】
ハンドル本体34aの軸部材66は前開きハンドル34をリフトアップすると、内側に引き込まれ、軸受部68の軸穴68aから抜けることで、スライド扉36aの係止が解除され、スライド扉36a,36bは自重によりスライドしながら固定扉35の裏側に落下して前面上部を開口させる。
【0039】
第1扉開閉機構60の詳細は、
図7(A)に示すように、ハンドル本体34a内に、一対の屈曲したリンク78の一端が移動支点80で連結され、リンク78の屈曲位置が回動支点82としてハンドル本体34a側に固定され、リンク78の他端はスライド支点84として、軸部材66の軸端の支点86に連結されており、更に、移動支点80はスプリング88により図示で上方向に付勢されている。
【0040】
前開きハンドル34を操作していない場合、スプリング88の力を受けて、リンク78は外側に回動することで、軸部材66を軸受部68の軸穴68aに嵌め入れ、上扉32にスライド扉36aを係止させている。
【0041】
前開きンドル34をリフトアップすると、
図7(B)に示すように、図示しないリンク機構を介して移動支点80がスプリング88に抗して下側に移動し、これによりリンク78は内側に回動し、軸部材66を内側に引き込むことで、軸受部68の軸穴68aから軸部材66の先端を引き外し、スライド扉36aの係止が解除され、スライド扉36aはスライド扉36bと共に自重によりスライドしながら落下して前面扉開口を開放させる。
【0042】
なお、第1扉開閉機構60は
図7のリンク機構に限定されず、前開きハンドル34をリフトアップにより軸部材66を内側に引き込んで軸受部68の軸穴から引き外す適宜のリンク機構が含まれる。
【0043】
(第2扉開閉機構)
図5及び
図6に示すように、上扉32の前縁両端に配置された第2扉開閉機構62は、上扉32の内側に軸部材(第2軸部材)72を扉裏面から浮かせた状態で片持ち支持させており、筐体31側に固定された軸受部70に対し、軸部材72を上方から着脱自在としている。
【0044】
第2扉開閉機構62は第1扉開閉機構60と同じ軸中心線75を有しており、軸中心線75は上扉32を後開きする場合の回転中心となる。
【0045】
第2扉開閉機構62の詳細は
図8に取り出して示すように、上扉32の内側に支持部材73により軸部材72は片持ち支持されており、上扉32の閉鎖状態で筐体31側に固定された軸受部70に回転自在に嵌め込まれている。
【0046】
軸受部70には、上向きに開いた半円筒形の開口軸受部材71が設けられ、開口軸受部材71の上側にはゴム等の弾性材料で作られた一対のボールキャッチ77が配置され、開口軸受部材71に対し軸部材72を上方から着脱自在に支持させるボールキャッチ機構が構成されている。
【0047】
また、スライド扉36aの上端にはスリット79が形成され、上扉32を後開きさせる場合に、軸部材72を支持している支持部材73の回動を可能とする隙間が形成されている。
【0048】
なお、軸受部70には、ボールキャッチ77を設けずに、上向きに開いた半円筒形の開口軸受部材71を設け、開口軸受部材71により軸部材72を上方から着脱自在に受けて、回転自在に軸支するようにしても良い。
【0049】
(第3扉開閉機構)
図5(B)に示すように、上扉32の後縁中央に配置された第3扉開閉機構64は、後開きハンドル38の裏側のハンドル本体(不図示)から両側に軸部材(第3軸部材)74を突出させており、軸部材74の先端は、筐体31の背面内面に固定された軸受部材76の軸穴に挿入されており、上扉32の後縁側を筐体31側に係止させて閉鎖位置に保持させている。
【0050】
軸部材74は後開きハンドル38をリフトアップ(開操作)すると、内側に引き込まれ、軸受部材76の軸穴から抜けることで、上扉32の後縁側の係止が解除され、上扉32の前縁側に配置された第1扉開閉機構60と第2扉開閉機構62による軸中心線75(
図6参照)を中心に、後開きすることができ、これにより上面扉開口を開放させる。
【0051】
後開きハンドル38のリフトアップにより上扉32の係止を解除させる第3扉開閉機構64の機構構造は、
図7に示した、第1扉開閉機構60と同じ機構構造となる。
【0052】
[消火器取出し構造の第1実施形態]
図9は消火器取出し構造の第1実施形態を備えた消火器箱を側面から見た断面により示した説明図であり、
図9(A)に上扉及び前扉の閉鎖状態を示し、
図9(B)に上扉及び前扉を開いた状態を示し、
図9(C)に上扉を後開きした状態を示す。また、
図10は
図9の消火器取出し構造を備えた消火器箱を正面から見た断面で示した説明図、
図11は9における取手係止構造を取り出して示した説明図である。
【0053】
(消火器を吊り上げる消火器取出し構造)
図9(A)及び
図10に示すように、消火器箱20には、消火栓取出し構造の第1実施形態として、消火器50の底部側を着脱自在に収納する収納篭90が設けられ、収納篭90は伸縮自在な吊下げ部材として機能する樹脂製のストリング92により取手94に吊下げられており、取手94は着脱連結部98を備えたリング部材96と止め輪100により構成される取手係止構造により上扉32の裏面に切り離し自在に係止されている。
【0054】
消火器50はボンベの上部に固定レバー50aと操作レバー50bが設けられ、操作レバー50bの動きはリング状のストッパピン50cの装着でロックされており、通常の操作では、固定レバー50aを持って取出し、安全ピン50cを抜いて操作レバー50bを押し下げることで、ホース先端のノズル50dから消火剤を放出させることができる。なお、収納篭90は、消火器50のホース先端に設けられたノズル50dがボンベに係止された位置で、上方に刳り貫かれた形状を持ち、この刳り貫き部分にノズル50dが入ることで、消火器50の向きが決められている。
【0055】
取手94に収納篭90を吊り下げるストリング92は途中にコイル状に形成された伸縮部を備えており、上扉32の開閉に伴う取手94の動きに対し伸縮可能としている。なお、ストリング92に代えて、途中をコイル状に巻き回したコイルバネが形成された金属ワイヤーを使用しても良い。
【0056】
取手係止構造は
図11(A)に取出して示すように、上扉32の裏面に固定された固定部材101に止め輪100が回動自在に吊り下げられており、止め輪100にリング部材96が取り下げられている。
【0057】
リング部材96は、
図11(B)に示すように、可撓性を持つ樹脂製の線材をリング状に形成し、一端にマグネット98aが固定され、他端に鉄製の磁性体98bが固定され、マグネット98aに磁性体98bを吸着することで着脱連結部98を実現している。
【0058】
図11(C)はリング部材96の他の実施形態であり、可撓性を持つ樹脂製の線材の一端に球状嵌合穴を備えたソケット98cが固定され、他端に球状突起を備えたプラグ98dが固定され、ソケット98cにプラグ98dを嵌合することで、着脱連結部98を実現している。
【0059】
図11(A)に示すように、リング部材96は着脱連結部98を開いた状態で、止め輪100と取手94に通して着脱連結部98を吸着させることで、リング部材96を介して止め輪100に取手94を吊り下げている。
【0060】
(道路側から上扉及び前扉を開放して消火器を取り出す操作)
道路利用者が道路側から消火器箱20に収納されている消火器50を取り出す場合には、
図3に示したように、道路利用者は前開きハンドル34をリフトアップすると、前扉30における最上部のスライド扉36aの係止が解除され、スライド扉36aはスライド扉36bと共に自重によりスライド落下して固定扉35の裏側に収納され、前扉30が開放される。
【0061】
続いて、道路利用者が上扉32を奥行方向に開く前開き操作を行うと、上扉32の前縁両側に配置されている軸部材72が軸受部70から抜き出され、筐体31側に対する前縁側の係止が解除され、奥行側に配置された第3扉開閉機構64による軸中心線85を中心に、上扉32は前開きされ、上面扉開口が開放される。
【0062】
このような上扉32及び前扉30の開放操作が行われると、
図9(B)に示すように、軸部材74を軸中心線とした上扉32の前開きに伴い、上扉32の裏面に止め輪100にリング部材96を介して吊り下げている取手94が筐体31の背面側に引き上げられ、取手94の引き上げに伴いストリング92のコイル部分も伸展して背面側に傾き、消火器50から遠ざけられた位置に移動する。
【0063】
このため道路利用者は、取手94やストリング92に妨げられることなく、上扉32及び前扉30の開放により形成された消火器箱20の上面扉開口及び前面扉開口を介して筐体31内に収納されている消火器50の固定レバー50aを持って前方に簡単且つ容易に取り出して消火作業を行うことができる。
【0064】
(監視員通路側から上扉を開放して消火器を取り出す操作)
道路利用者が監視員通路側から消火器箱20に収納されている消火器50を取り出す場合には、
図4に示したように、道路利用者は監視員通路14から体をかがめて後開きハンドル38をリフトアップすると、上扉32の後縁側の筐体31側に対する係止が解除され、
図5及び
図6に示した、前縁側に配置された第1扉開閉機構60及び第2扉開閉機構62による共通の軸中心線75を中心に、上扉32は後開きされ、上面扉開口が形成される。
【0065】
このような上扉32が後開きされると、
図9(C)に示すように、軸部材72を軸中心線とした上扉32の後開きに伴い、上扉32の裏面に止め輪100にリング部材96を介して吊り下げている取手94が筐体31の前面側に引き上げられ、取手94の引き上げに伴いストリング92のコイル部分も伸展して前面側に傾き、取手94が道路利用者の目の前に出現する。
【0066】
この状態で道路利用者は、取手94を手にとって引くと、リング部材96の例えば磁気吸着している着脱連結部98が離れ、取手94を上扉32側から外すことができる。
【0067】
続いて、道路利用者は、取手94によりストリング92を介して消火器50が収納されている収納篭90を上部に引き上げることで、筐体31内から消火器50を取り出して消火作業を行うことができる。
【0068】
このように筐体31内からの消火器50の引き上げは、取手94により行うことができるため、上面扉開口から筐体31内に手を入れるといった無理な姿勢で取り出す必要がなく、10キログラム程度と重い消火器50であっても取手94を持った引き上げにより簡単且つ容易に取り出すことができる。
【0069】
また、消火器50を直接取り出す場合には、消火器50の上部に設けている安全ピン50cに指をかけて抜いてしまうような誤操作の可能性が高いが、取手94を持って引き上げればよいことから、安全ピン50cを抜いてしまうような誤操作が確実に防止される。
【0070】
(ボールチャッキ構造を用いた消火器箱)
図12は取手係止構造としてボールチャッキ構造を設けた消火器箱の実施形態を示した説明図であり、正面から見た断面の一部で示している。
【0071】
図12(A)に示すように、消火器50を収納した収納篭90はコイル部分を備えた2本のストリング92を介して取手94に吊下げられており、取手94と上扉32の間には取手係止構造としてボールチャッキ構造102が設けられている。
【0072】
ボールチャッキ構造102は、
図12(B)に取出して示すように、取手94の付け根側にボールチャッキ本体104が設けられ、ボールチャッキ本体104は中央の嵌合切欠の両側に、バネ108で押されたボール106が先端側を露出して配置されている。一方、上扉32の裏面には、チャッキ部材110が固定されており、チャッキ部材110の両側にはボール溝112が形成されており、取手94側のボールチャッキ本体104をチャッキ部材110に押し込むことで、ボール106がボール溝112に嵌着し、上扉32の裏面に取手94が着脱自在に係止される。
【0073】
道路利用者が道路側から消火器50を取り出す場合には、上扉32の前開きに伴いボールチャッキ構造102により係止された取手94及びストリング92が筐体31の背面側に後退し、取手94及びストリング92に妨げられることなく、上面扉開口及び前面扉開口から手を入れ、消火器50の固定レバー50aを持って簡単且つ容易に取り出すことができる。
【0074】
また、道路利用者が監視員通路側から消火器50を取り出す場合には、上扉32の後開きに伴い、上扉32の裏面にボールチャッキ構造102により係止されている取手94が道路利用者の目の前に出現し、取手94を外して消火器50を引き上げることで、簡単且つ容易に取り出すことができる。
【0075】
(吊下げ網部を設けた消火器取出し構造)
図13は消火器取出し構造に吊下げ網部を設けた消火器箱の実施形態を示した説明図である。
【0076】
図13に示すように、本実施形態の消火器取出し構造は、
図9の実施形態と同様に、上扉32の裏面の止め輪100にリング部材96を介して取手94を着脱自在に係止させているが、取手94にコイル状に形成されたストリング92を介して吊下げている収納篭90側に吊下げ網部114が設けられている点で相違する。
【0077】
吊下げ網部114は、金属製のリング116と同じく金属製の線材で形成された収納篭90とが、例えば円周状の4か所が樹脂コーティングされた樹脂被覆金属ワイヤー120で連結され、その間は、破線で示す樹脂製のストリング118で連結された縦網が形成されている。
【0078】
このように収納篭90の上側に形成された吊下げ網部114を介して取手94にストリング92で消火器50を吊り下げた消火器取出し構造にあっては、監視員通路側から消火器50を取り出すため、上扉32を後開きし、取手94を持って消火器50を引き上げる場合、上面扉開口の開口縁に消火器50を当てながら斜め上方に引き上げる場合がある。
【0079】
このとき樹脂製のストリング118と樹脂被覆金属ワイヤー120が組み合わされた吊下げ網部114にゆり開口縁部との滑りが高められ、接触抵抗の低減により、軽い力で滑らかに消火器50を取出すことが可能となる。
【0080】
[消火器取出し構造の第2実施形態]
図14は消火器取出し構造の第2実施形態を備えた消火器箱を側面から見た断面により示した説明図、
図15は
図14の消火器取出し構造を備えた消火器箱を正面から見た断面で示した説明図、
図16は
図14における消火器取出し構造を取り出して示した説明図、
図17は
図14における取手係止構造を取り出して示した説明図、
図18は
図14のガイドプレートに対するスライダのガイド構造を取り出して示した説明図、
図19は
図14のガイドプレートに設けられたラッチ機構を取り出して示した説明図である。
【0081】
(消火器のスライド引上機構を備えた消火器取出し構造)
図14、
図15及び
図16に示すように、消火器箱20の筐体31内には、底部に支持された回動軸132により前後方向に回動自在に台座130が配置され、台座130の背後にガイドプレート134が起立されている。
【0082】
ガイドプレート134には高さ方向にガイド溝154が形成され、ガイド溝154に沿って上下方向に移動自在にスライダ136が配置され、スライダ136には消火器50の底部側を収納する収納篭138が固定されている。
【0083】
ガイドプレート134の両側には段付部として軌道142が形成され、軌道142に対してはスライダ136の両側に軸支されたローラ140が乗り、スライダ136の上下方向の動きをローラ140の転動で滑らかに行うことを可能としている。
【0084】
軌道142の上部のスライダ136の停止位置と、その途中の位置には、ラッチ機構144が設けられている。ラッチ機構144は下側からのローラ140の通過は許容するが、ローラ140の下方への戻りを阻止する。
【0085】
ガイドプレート134の上部は、筐体31の背面上部に配置された吸着支持部148が位置し、吸着支持部148に設けられたマグネット156により吸着支持されている。
【0086】
また、吸着支持部148に相対したガイドプレート134の前面には、取手基台158に軸160により回動自在に設けられた取手146が配置されており、マグネット156の磁力によりガイドプレート134に吸着固定されている。
【0087】
ガイドプレート134に摺動自在に配置されたスライダ136と取手146の間は金属ワイヤー150により連結されており、取手146を取り外して金属ワイヤー150を介してスライダ136に固定された収納篭138を引上げ可能としている。また、金属ワイヤー150はガイドプレート134の上部に配置されたワイヤーガイド135を通して取手146に連結されている。また、ワイヤーガイド135はスライダ136の引上げ位置を規制するストッパーとしても機能する。
【0088】
取手係止構造は、
図17(A)の平面から見た説明図に示すように、筐体31の背面上部に固定された吸着支持部148のマグネット156により、ガイドプレート134及び取手基台158を磁気吸着により着脱自在に係止させている。
【0089】
この取手係止構造は、
図17(B)に示すように、取手146を引くことで取手基台158をガイドプレート134から外すことができ、また、ガイドプレート134も前方に回動させることで、吸着支持部148から外すことができる。
【0090】
図14に示すように、取手146は上扉32及び前扉30の閉鎖状態で、前方の水平方向に位置しており、水平に位置した取手146の先端に対しては、上扉32の裏面に固定されたフック部材152が先端の屈曲部により下側から係止されている。フック部材152は上扉32の前開き又は後開きによる移動で、水平位置にある取手146を起立方向に回動させる。
【0091】
なお、フック部材152の取付位置によっては、上扉32の前開きによる移動のときに取手146を起立方向には動かさないようにすることもできる。
【0092】
ガイドプレート134のガイド溝154に対するスライダ136のガイド構造は、
図18に示すように、スライダ136の背後に形成されたガイド突起162がガイド溝154に摺動自在に嵌め入れられており、ガイド突起162のガイド溝154を超えた位置には止め板164が固定され、スライダ136がガイド溝154から抜け出さないようにしている。
【0093】
ガイドプレート134の両側に形成された軌道142に設けられたラッチ機構144は、
図19に示すように、軌道142の所定位置に形成された矩形の切欠168の下側に軸ピン170により楔形のラッチ爪166の下端が回動自在に軸支されており、軸ピン170に巻いたバネ172によりラッチ爪166を図示の起立位置に保持させている。
【0094】
ラッチ機構144は、軌道142に沿ったローラ140の下から上への移動に対しては、ローラ140の通過に伴いラッチ爪166が押し込まれ、ローラ140の通過、即ちスライダ136の通過を許容し、ローラ140の上から下への戻りに対しては、ラッチ爪166は図示の起立状態を維持してローラ140の通過をロックしてスライダ136を停止保持させる。
【0095】
ここで、
図14に示すように、上扉32及び前扉30が閉鎖された通常状態で、ガイドプレート134の吸着支持部148による吸着保持により、台座130の収納篭138に収納された消火器50は筐体31の背面側に傾いた状態となっており、上扉32及び前扉30が誤作動などによる誤って開放されたとしても、消火器50が道路側に飛び出して建築限界を侵すことがなく、走行する自動車との衝突を確実に防止可能としている。
【0096】
(道路側から上扉及び前扉を開放して消火器を取り出す操作)
道路利用者が道路側から消火器箱20に収納されている消火器50を取り出す場合には、上扉32及び前扉30の開放操作が行われると、
図20に示すように、軸部材74を軸中心線とした上扉32の前開きに伴い、上扉32の裏面に固定されたフック部材152により取手146が軸160を中心に回動され、消火器50から遠ざけた位置に起立する。
【0097】
この状態で、筐体31内に収納されている消火器50の固定レバー50aを持って手前に引くと、回動軸132を中心に台座130が前方に回動し、台座130の回動に伴いガイドプレート134も吸着支持部148から外れて前方に回動し、スライダ136に固定された収納篭130に収納している消火器50も想像線で示す消火器50-1のように前方に傾斜する。
【0098】
このため道路利用者は、前方に傾いた状態にある消火器50-1の固定レバーを持って簡単且つ容易に取出して消火作業を行うことができる。
【0099】
(監視員通路側から上扉を開放して消火器を取り出す操作)
道路利用者が監視員通路側から消火器箱20に収納されている消火器50を取り出す場合には、上扉32が後開きされると、
図21に示すように、軸部材72を軸中心線とした上扉32の後開きに伴い、上扉32の裏面に固定されているフック部材152により取手146が軸160を中心に回動され、上面扉開口から上方に取手146が飛び出すように起立し、取手146が道路利用者の目の前に出現する。
【0100】
この状態で道路利用者は、取手146を手にとって引くと、磁気吸着されているガイドプレート134から外れ、取手146を上に引くことで、金属ワイヤー150を介して収納篭138が固定されたスライダ136により消火器50を引き上げる。
【0101】
取手146による消火器50の引き上げは、スライダ136のローラ140が最上部のラッチ機構144を超える位置まで引き上げると、その位置でロックされ、取手146を離しても消火器50は下降せず、上面扉開口から消火器50を露出した状態が維持され、消火器50の固定レバー50aを持って消火器50を簡単且つ容易に監視員通路から取り出して消火作業を行うことができる。
【0102】
また、取手146による消火器50の引き上げを途中で止めても、中間のラッチ機構144を超える位置まで引き上げていれば、ラッチ機構144の位置で消火器50は保持され、引上げ途中に保持された状態から改めて取手146により引き上げることが可能となる。このため女性や高齢者等の力のない道路利用者であっても、10キログラム程度と重い消火器50を複数回に分けて引き上げることで、簡単且つ容易に上面扉開口から露出する取出し位置に引き上げることができる。
【0103】
[本発明の変形例]
(第1乃至第3扉開閉機構)
上記の実施形態に示した消火器を吊り上げるか消火器を引き上げる消火器取出し構造は一例であり、上扉側に着脱自在に配置された取手を持って消火器を監視員通路側から取り出す構造であれば、適宜の構造が適用できる。
【0104】
(扉開閉構造)
上記の実施形態は、上扉の前開きに伴い前扉の係止を解除してスライド開放させ、また、前扉を閉鎖位置に保持したまま上扉を後ろ開きさせる構造であれば、適宜の構造が含まれる。
【0105】
(消火器箱の配置)
上記の実施形態は、消火栓収納箱の片側に、2本の消火器を収納する消火器箱を配置した場合を例にとっているが、消火栓収納箱の両側に、消火器1本を収納する消火器箱を設けるようにしても良い。
【0106】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0107】
10:トンネル
12:トンネル壁面
14:監視員通路
15:道路
16:消火栓設備
17:床版
18:消火栓収納箱
20:消火器箱
22:ダクト
23:管理用通路
24:給水本管
25:放水制御機構収納部
30:前扉
31:筐体
32:上扉
34:前開きハンドル
34a,38a:ハンドル本体
36a,36b:スライド扉
38:後開きハンドル
42:通報装置パネル
44:赤色表示灯
45:発信器
46:応答ランプ
48:電話ジャック
50:消火器
60:第1扉開閉機構
62:第2扉開閉機構
64:第3扉開閉機構
66,72,74:軸部材
68,70:軸受部
73:支持片
75,85:軸中心線
76:軸受部材
78:リンク
80:移動支点
82:回動支点
84:スライド支点
88:スプリング
90,138:収納篭
92,118:ストリング
94,146:取手
96:リング部材
98:着脱連結部
98a:マグネット
98b:磁性体
98c:プラグ
98d:ソケット
100:止め輪
102:ボールキャッチ構造
104:ボールキャッチ本体
110:チャッキ部材
114:吊下げ網部
120:樹脂被覆金属ワイヤー
130:台座
132:回動軸
134:ガイドプレート
136:スライダ
140:ローラ
142:軌道
144:ラッチ機構
148:吸着支持部
150:金属ワイヤー
152:フック部材
154:ガイド溝
156:マグネット
158:取手基台
160:軸
162:ガイド突起
164:止め板
166:ラッチ爪
168:切欠
170:軸ピン
172:バネ