(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2019053988
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-01-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀江 敦行
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173296(WO,A1)
【文献】特開2013-206963(JP,A)
【文献】特開2015-103773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が格納される複数のエンボス部が所定のピッチで断続的に形成されたキャリアテープを搬送可能な部品供給装置であって、
前記キャリアテープが搬送される搬送路と、
可動支点を介して回動自在に設けられ前記キャリアテープと当接する当接部を備えたドグ部材と、
前記ドグ部材の回動を検知することにより前記キャリアテープを検出する検出部と、を有し、
前記搬送路は、前記エンボス部を収容する溝部と、前記キャリアテープにおいて前記エンボス部から外側に延出した端部に当接して支持する支持部と、を有し、
前記ドグ部材は、前記当接部が前記エンボス部と干渉しないように配置されており、
前記ドグ部材が回動する範囲を規制する規制部を有
し、
前記検出部は検出光を投光する投光部と投光された前記検出光を受光する受光部を有する光センサであり、
前記ドグ部材は、前記投光部と受光部との間に位置して前記検出光を遮光する遮光部を有し、
前記当接部と前記遮光部は、前記ドグ部材の前記可動支点を挟んで位置している、部品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給装置であって、
前記ドグ部材は、前記当接部が前記端部と当接するように配置されている、部品供給装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の部品供給装置であって、
前記遮光部は、前記キャリアテープが前記当接部に当接していない状態
で前記検出光を遮光
し、前記キャリアテープが前記当接部に当接して前記ドグ部材が回動すると、前記投光部と受光部との間から退避する、部品供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品供給装置であって、
前記遮光部が前記投光部と受光部との間から退避して前記受光部が前記検出光を受光した場合に、キャリアテープを検出したと判定する判定部を備えた、部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置において供給位置に部品を供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置に部品を供給する部品供給装置として、キャリアテープのポケットに収納された部品を部品実装機構に供給するテープフィーダが広く用いられている。キャリアテープはリールに所定長さで巻回収納された状態でセットされ、テープフィーダによって部品取出し位置まで搬送されたキャリアテープから部品が取り出される。そして1つのリールに収納されたキャリアテープが全て引き出されて部品切れとなると、新たなリールをセットして次のキャリアテープを追加供給するリール交換が行われる。このリール交換に際しては、最後の部品が取り出された先行するキャリアテープを送り出す「空テープ排出」や、後続して供給されるキャリアテープの先頭を部品取り出し位置に送る「頭出し」が行われる。このようなリール交換に伴う処理をはじめ、テープフィーダ内におけるキャリアテープのテープ送り制御に際しては、所定位置におけるキャリアテープの有無を検出する必要がある。このため、従来よりキャリアテープの有無を検出するためのテープ検出センサを備えたテープフィーダが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に示す先行技術では、可動支点を介して回動自在なセンサードグを用いてキャリアテープを機械的に検出するようにしている。すなわちセンサードグに設けられた当接部にキャリアテープが当接するとセンサードグが回動し、これによりキャリアテープが所定位置に到達したことを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献に示す先行技術のように、キャリアテープにドグ部材を当接させる機械式のテープ検出方式では、検出対象が複数のエンボス部が凸設されたエンボステープである場合には、ドグ部材がエンボス部と干渉することによる搬送不具合を引き起こすおそれがある。このような機械式のテープ検出方式における不具合を回避するために、機械的な検出に変えて非接触で対象を検出する光学式のテープ検出方式を採用することも考えられる。しかしながら検出対象がエンボステープである場合には、エンボス部には樹脂などの透光性の材質が用いられる場合が多いことから、光学式のテープ検出方式では確実な検出ができないおそれがある。このように従来技術においては、複数のエンボス部が凸設されたエンボステープが検出対象である場合には、テープ有無の検出を確実に行うことが難しいという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、複数のエンボス部が凸設されたエンボステープが検出対象である場合にも、テープ有無の検出を確実に行うことができる部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品供給装置は、部品が格納される複数のエンボス部が所定のピッチで断続的に形成されたキャリアテープを搬送可能な部品供給装置であって、前記キャリアテープが搬送される搬送路と、可動支点を介して回動自在に設けられ前記キャリアテープと当接する当接部を備えたドグ部材と、前記ドグ部材の回動を検知することにより前記キャリアテープを検出する検出部と、を有し、前記搬送路は、前記エンボス部を収容する溝部と、前記キャリアテープにおいて前記エンボス部から外側に延出した端部に当接して支持する支持部と、を有し、前記ドグ部材は、前記当接部が前記エンボス部と干渉しないように配置されており、前記ドグ部材が回動する範囲を規制する規制部を有し、前記検出部は検出光を投光する投光部と投光された前記検出光を受光する受光部を有する光センサであり、前記ドグ部材は、前記投光部と受光部との間に位置して前記検出光を遮光する遮光部を有し、前記当接部と前記遮光部は、前記ドグ部材の前記可動支点を挟んで位置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のエンボス部が凸設されたエンボステープが検出対象である場合にも、テープ有無の検出を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品供給装置の全体構成を示す構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品供給装置の部分断面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品供給装置の開閉カバーの平面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品供給装置の開閉カバーの平面図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品供給装置の開閉カバーの縦断面図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品供給装置の開閉カバーの斜視図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品供給装置の部分断面図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品供給装置におけるテープ搬送部へ駆動トルクを伝達する伝達機構の説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品供給装置の部分断面図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品供給装置の機能説明図
【
図11】本発明の一実施の形態の部品供給装置の機能説明図
【
図12】本発明の一実施の形態の部品供給装置におけるテープ検出部の構成説明図
【
図13】本発明の一実施の形態の部品供給装置におけるテープ検出部の機能説明図
【
図14】本発明の一実施の形態の部品供給装置においてキャリアテープを案内する搬送路の断面図
【
図15】本発明の一実施の形態の部品供給装置による供給対象となるキャリアテープの説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。先ず
図1を参照して、本実施の形態における部品供給装置であるテープフィーダ1の全体構成を説明する。テープフィーダ1は、部品供給用のキャリアテープ20に収納された部品を図外の部品実装装置へ供給する機能を有する。本実施の形態に示すテープフィーダ1では、部品が格納される複数のエンボス部20e(
図15参照)が所定のピッチで断続的に形成されたエンボスタイプのキャリアテープ20を搬送可能な構成となっている。
【0010】
図15を参照して、エンボスタイプのキャリアテープ20の構成を説明する。
図15(a)に示すように、キャリアテープ20の本体であるベーステープ20aには実装の対象となる部品Pを収納した複数のポケット20cと搬送用の送り孔20dが一定間隔で形成されている。ベーステープ20aの上面にはポケット20cを封止するためのカバーテープ20bが貼付されている。キャリアテープ20の搬送は、送り孔20dに係合する係合ピンが設けられたスプロケットを回転させることにより行われ、これによりポケット20cに収納された部品Pを部品実装装置に供給する。
【0011】
図15(b)に示すように、ベーステープ20aの下面にはポケット20cの外面を構成する凸形状のエンボス部20eが所定のピッチで断続的に形成されている。テープフィーダ1による部品Pの供給に際しては、ベーステープ20aからカバーテープ20bを剥離してポケット20cを開放し、テープフィーダ1の下流端部近傍に設定された供給位置4cにおいて開放されたポケット20cから部品Pを取り出して部品実装装置へ供給する。
【0012】
図15(c)は、エンボス部20eの位置におけるキャリアテープ20の断面を示している。キャリアテープ20においてベーステープ20aの幅方向の端部20fは、エンボス部20eから外側に延出する形態となっている。キャリアテープ20がテープフィーダ1内において搬送される搬送路4は、このベーステープ20aの左右の端部20fの下面に当接して支持する支持部4e(
図14参照)を有する構成となっている。
【0013】
テープフィーダ1は、板状のフレームより成る本体部2に、以下に説明する要素を配設して構成されている。これらの要素は、両側面に設けられた側面カバー(図示省略)によって覆われている。
図1に示すように、本体部2にはキャリアテープ20を上流側の下部に開口した挿入口4aから下流側の上面の端部近傍に設定された排出口4bまで案内する搬送路4が設けられている。
【0014】
挿入口4aから搬送路4に導入(矢印a)されたキャリアテープ20は、中間に設けられた斜行部を経て本体部2の上面まで搬送され、部品実装装置Mへの部品Pの供給位置4cに到達する。供給位置4cにおいて、部品実装装置M(図示省略)のノズルが昇降して(矢印b)部品取出動作を行うことにより、ポケット20cから部品Pが取り出される。取り出された部品Pは、実装ヘッドによって部品実装装置へ移送され(矢印c)、作業対象の基板に実装される。上述の部品供給におけるキャリアテープ20の搬送は、以下に説明するテープ搬送部3によって行われる。
【0015】
テープ搬送部3は、第1のモータ5、テープ送りスプロケット6、位置決めスプロケット7および排出スプロケット8を備えている。駆動源である第1のモータ5によってテープ送りスプロケット6、位置決めスプロケット7および排出スプロケット8を駆動することにより、挿入口4aから挿入されたキャリアテープ20はテープフィーダ1内を搬送され、供給位置4cに位置決めされる。テープ搬送部3は開閉可能な開閉カバー9によって覆われており、キャリアテープ20の位置決めスプロケット7、排出スプロケット8への係合は、開閉カバー9によってキャリアテープ20を位置決めスプロケット7、排出スプロケット8に押し付けることにより行われる。なお、排出スプロケット8を
図1よりも下方に設けた場合は、開閉カバー9に押し付け部品(図示せず)を設け、当該押し付け部品によりキャリアテープ20を排出スプロケット8へ押し付けることで排出スプロケット8をキャリアテープ20と係合させることも可能である。
【0016】
テープ搬送部3によってキャリアテープ20を搬送路4に沿って搬送するテープ搬送過程において、ベーステープ20aから剥離されたカバーテープ20bは上流側へ折返されて、本体部2に設けられたカバーテープ収納部2f内へ回収される。供給位置4cにて部品Pが取り出された後のベーステープ20aは、本体部2の端面に配置された前カバー2hを介して排出スプロケット8によってテープフィーダ1の下流側へ排出される。
【0017】
すなわち上述のテープ搬送部3の構成において、位置決めスプロケット7は、キャリアテープ20の送り孔20dに係合して回転することによりキャリアテープ20を搬送してポケット20cを供給位置4cへ位置決めする第1のスプロケットである。またテープ送りスプロケット6は、上流側から送られたキャリアテープを上述の第1のスプロケットに渡す第2のスプロケットである。第1のスプロケットである位置決めスプロケット7および第2のスプロケットであるテープ送りスプロケット6は、キャリアテープ20に設けられた送り孔20dに係合して回転することによりキャリアテープ20を搬送して、部品実装装置Mへの供給位置4cに部品Pを供給する搬送スプロケットを構成する。
【0018】
そして排出スプロケット8は、供給位置4cよりも下流に配置され、キャリアテープ20の送り孔20dに係合して回転することによりキャリアテープ20を供給位置4cから排出口4bへ搬送する機能を有している。このように、本実施の形態では、供給位置4cを、位置決めスプロケット7と、排出スプロケット8との間に配置した構成となっている。
【0019】
位置決めスプロケット7および第1のモータ5は、搬送路4の下流部に配置され、キャリアテープ20を供給位置4cに搬送する第1のキャリアテープ搬送部15を構成する。さらに本実施の形態では、挿入口4aから導入されたキャリアテープ20を搬送路4の上流から第1のキャリアテープ搬送部15まで搬送する第2のキャリアテープ搬送部16を備えている。すなわち、搬送路4において挿入口4aの下流側の近傍には、テープ搬入スプロケット10を第2のモータ11によって回転駆動する構成の第2のキャリアテープ搬送部16が配置されている。第2のキャリアテープ搬送部16は、キャリアテープ20を搬送路4の下流まで自動で挿入するために用いられる。なお、キャリアテープ20の挿入を手動で行う場合は第2のキャリアテープ搬送部16を省略しても構わない。
【0020】
第1のキャリアテープ搬送部15と第2のキャリアテープ搬送部16の間の搬送路4の斜行部(
図7に示す登り区間B参照)には、テープ検出部13(
図12、
図13参照)が設けられている。テープ検出部13はキャリアテープ検出手段であり、ここでは、キャリアテープ20の所定の部位に当接するドグ部材14の変位を光学センサ13aによって検知することにより、当該位置におけるキャリアテープ20の有無を検出する。
【0021】
本体部2の下面には、部品実装装置Mとの接続用の凸状部2a、取り付け用レール2bが設けられている。取り付け用レール2bを部品実装装置Mの部品供給部に設けられたフィーダベースに装着することにより、テープフィーダ1は部品供給部の所定位置にセットされる。凸状部2aにはコネクタ2c、エアジョイント2dおよびフック2eが設けられており、フィーダベースにテープフィーダ1をセットした状態では、コネクタ2c、エアジョイント2dは相手側(部品実装装置側)と嵌合して接続状態となる。このとき、テープフィーダ1はフック2eによってフィーダベースに位置固定される。この接続状態においては、部品実装装置からテープフィーダ1への電源供給、エアの供給、さらに部品実装装置とテープフィーダ1の間での信号授受が可能となっている。
【0022】
凸状部2aにはテープフィーダ1の動作を制御するフィーダ制御部12が内蔵されている。テープフィーダ1を部品実装装置Mに接続した状態では、フィーダ制御部12は部品実装装置Mの装置制御部とコネクタ2cを介して電気的に接続される。これにより、部品実装装置Mの装置制御部からの動作指令がテープフィーダ1に対して伝達されるとともに、テープフィーダ1による部品供給動作の動作フィードバック信号が部品実装装置Mに伝達される。
【0023】
本体部2の上面には、上流側に位置して操作パネル2gが設けられている。操作パネル2gには、フィーダ制御部12と接続されたボタン、表示部、ランプなどの端末機器(図示省略)が設けられている。これらの端末機器を操作することにより、テープフィーダ1へ所定の操作入力が行われるとともに、テープフィーダ1の動作状態や、異常警報などの報知用の表示が行われる。
【0024】
次に
図2~
図6を参照して、テープ搬送部3および開閉カバー9の詳細構成を説明する。
図2に示すように、本体部2の上端面には搬送路4の下流側を覆って、開閉カバー9(カバー部材)が開閉自在に取り付けられている。
図6に示すように、開閉カバー9は下面側が開放された略門形断面(
図5参照)を有する細長形状の部材である。
【0025】
開閉カバー9には門型を構成する頂面の両側端から下方に延出した1対の側面部9gが設けられている。開閉カバー9の上流側端部には、1対の側面部9gを連結して係止ピン9iが設けられている。さらに開閉カバー9の下流側端部に側面部9gから下方に延出して1対の下垂部9jが設けられており、下垂部9jは固定ピン9hによって連結されている。
【0026】
図2において、本体部2の下流側の先端部には、開閉カバー9を保持する開閉カバー保持部17が設けられている。本体部2において開閉カバー保持部17の上流側には、開閉カバー9の上流側の端部を係止する開閉カバー係止部18が設けられている。開閉カバー9を本体部2に取り付けた状態では、開閉カバー9の下流側端部の固定ピン9hは開閉カバー保持部17に設けられた縦長の長穴に軸支されるとともに、開閉カバー保持部17が備えた付勢バネ17aによって下方に付勢されている。
【0027】
開閉カバー9を本体部2に対して閉じた状態では、開閉カバー9の上流側端部に設けられた係止ピン9iが開閉カバー係止部18によって係止される。開閉カバー係止部18は、係止ピン9iを係止可能な係止部材18cが設けられ軸支ピン18bによって軸支された係止ブロック18aを備えている。係止ブロック18aには係止部材18cを押し下げる方向に付勢する付勢バネ18dが接続されており、開閉カバー9を閉じた状態では、係止ピン9iが係止部材18cによって押し下げられて係止される。
【0028】
図3は、このようにして本体部2に取り付けられた状態の開閉カバー9の上面を示している。また
図4は、開閉カバー9の上面における開口部の配置を示している。
図4に示すように、開閉カバー9の上面には平面状の第1カバー部9a、第2カバー部9bが設けられている。第1カバー部9a、第2カバー部9bは、開閉カバー9が本体部2に取り付けられた状態において搬送路4の上方を覆う。すなわちカバー部材である開閉カバー9は、第1のスプロケットである位置決めスプロケット7と係合したキャリアテープ20を上方から覆う。
【0029】
さらに開閉カバー9の上面には、第1開口部9c、第2開口部9d、第1の逃がし部9e、第2の逃がし部9fが開口して設けられている。第1開口部9cは部品取り出し用の開口であり、第1開口部9cの下流側の端部領域は搬送路4における供給位置4cと合致している。供給位置4cの上流側の第1開口部9cには、以下に説明するテープガイド23の下流部分が嵌入する。テープガイド23の下流側の端部は、後述するように、マニュアル操作でキャリアテープ20のセットを行う場合に、カバーテープ20bを端部で折り返すことによりキャリアテープ20からカバーテープ20bを剥離する剥離部23aとして機能する。
【0030】
第2開口部9dは、以下に説明する従動ローラ22に対応した位置に設けられており、これにより開閉カバー9を閉じた状態において上方から従動ローラ22にアクセスすることが可能となっている。第1の逃がし部9e、第2の逃がし部9fは、開閉カバー9を本体部2に対して下降させて閉じた状態において、それぞれ位置決めスプロケット7の係合ピン7a、排出スプロケット8の係合ピン8aを逃がすために設けられている。
【0031】
図5は、
図4に示す開閉カバー9におけるA-A断面~E-E断面を示している。すなわち
図5に示す各断面には、いずれも開閉カバー9の門型断面を構成する上面および側面部9g、係止ピン9iが現れている。そして
図5(a)に示すA-A断面には、上面の第1カバー部9a、第1の逃がし部9eおよび従動ローラ22が現れている。
図5(b)に示すB-B断面には、上面に設けられた第1開口部9cおよび従動ローラ22が現れている。
図5(c)に示すC-C断面には、上面に設けられた第1開口部9c、第2の逃がし部9fおよび従動ローラ22が現れている。
図5(d)に示すD-D断面には、上面に設けられた第2開口部9dおよび従動ローラ22が現れている。
図5(e)に示すE-E断面には、上面の第2カバー部9bおよび係止ピン9iが現れている。
【0032】
テープ搬送部3には、板状のテープガイド23が、搬送路4の上面に沿ってテープ送りスプロケット6、位置決めスプロケット7の上方を覆う配置で設けられている。テープガイド23は搬送路4に沿って搬送されるキャリアテープ20の上面をガイドする機能を有する。テープガイド23には搬送路4を上方に連通させる開口部23bが設けられている。開口部23bの上方には、カバーテープ20bの剥離および排出用の駆動ローラ21および従動ローラ22を噛み合わせた構成の一対のローラが配置されている。
【0033】
搬送路4の底面において開口部23bと対向する位置には、所定のタイミングでエアを噴射する機能を有するエア噴出孔(図示省略)が開口している。このエア噴出孔から噴射されたエアによってキャリアテープ20に張り付いているカバーテープ20bの先端を吹き上げることにより、カバーテープ20bを駆動ローラ21と従動ローラ22の間に導入することができる。そしてこの状態で、駆動ローラ21、従動ローラ22を回転させることにより、カバーテープ20bをキャリアテープ20から剥離するとともに、剥離されたカバーテープ20bを引き込んでカバーテープ排出路24を介してカバーテープ収納部2fに排出することができる。
【0034】
したがって駆動ローラ21および従動ローラ22は、供給位置4cよりも上流においてキャリアテープ20からカバーテープ20bを剥離する剥離部としての機能を有するとともに、この剥離部によって剥離されたカバーテープ20bを引き込んでカバーテープ収納部2fに排出する機能を有している。すなわちこの場合には、駆動ローラ21および従動ローラ22を備えた剥離部は、カバーテープ20bを自動的に剥離する自動剥離機能を有している。そしてこの自動剥離機能は、キャリアテープ20を自動的に装填するオートロードモードおよびキャリアテープ20を手動で装填する場合において用いられる。ここでオートロードモードとは、部品を供給している現行のキャリアテープ20による部品供給が終了すると、第2のキャリアテープ搬送部16を用いて、待機中の後続のキャリアテープ20を搬送路4の下流まで自動で挿入する機能のことである。
【0035】
これらの1対のローラのうち、一方の駆動ローラ21(ローラ)は本体部2に固定配置されている。駆動ローラ21には、駆動源である第1のモータ5が発生するトルクが伝達機構(
図8参照)を介して伝達される。またこれら1対のローラのうち、他方の従動ローラ22は開閉カバー9の側面部9gに軸支されており、駆動ローラ21に噛み合うことによって回転する。すなわち本実施の形態では、開閉カバー9は駆動ローラ21の回転に従動して回転し、駆動ローラ21とともにカバーテープ20bを剥離する従動ローラ22を有する構成となっている。これにより、従動ローラ22を開閉カバー9とともに着脱することができ、キャリアテープ20をテープフィーダ1に装着する際のカバーテープ20bのセットが容易になる。
【0036】
そして第1のスプロケットである位置決めスプロケット7と第2のスプロケットであるテープ送りスプロケット6よりなる搬送スプロケットおよび排出スプロケット8と1対のローラである駆動ローラ21、従動ローラ22とは、開閉カバー9の下方に配置されている。このような構成により、駆動ローラ21、従動ローラ22を供給位置4cに近い位置に配置することが可能となる。
【0037】
図7は、開閉カバー9を開放してテープ搬送部3および搬送路4を露呈させた状態を示している。すなわち、まず開閉カバー係止部18において係止ブロック18aを軸支ピン18b廻りに回動させて(矢印d)、係止部材18cによる係止ピン9iの係止を解除する。これにより、開閉カバー保持部17によって下流側の固定ピン9hを軸支された状態の開閉カバー9を開放することができる(矢印e)。このとき、従動ローラ22は駆動ローラ21との噛み合いが解除されて開閉カバー9とともに移動する。この状態では、搬送路4および搬送路4を覆うテープガイド23が露呈された状態となる。
【0038】
ここに示すように、搬送路4において位置決めスプロケット7の頂点から下流の範囲は搬送路4が平坦な平坦区間Aであり、平坦区間Aの上流の範囲は本体部2の下部から上面に至る登り区間Bとなっている。部品Pを取り出す供給位置4cは、平坦区間Aに配置されている。そして1対のローラである駆動ローラ21、従動ローラ22は、上流の登り区間Bと開閉カバー9とに挟まれた空間に配置されている。
【0039】
登り区間Bから供給位置4cの上流の搬送路4の上方には、搬送路4を覆うテープガイド23が、開閉カバー9とは別体で本体部2に固定されて設けられている。テープガイド23に設けられた開口部23bは駆動ローラ21、従動ローラ22の間の噛み合い部に位置している。これにより、搬送路4を搬送されるキャリアテープ20から剥離されたカバーテープ20bを、駆動ローラ21と従動ローラ22によって挟み込んで排出することができるようになっている。
【0040】
テープフィーダ1が備えた自動剥離機能を用いずにキャリアテープ20を装填する場合には、カバーテープ20bをテープガイド23の下流側のエッジを周回させて折り返すことにより、カバーテープ20bをキャリアテープ20から剥離する。すなわちこの場合はテープガイド23の下流側のエッジは、供給位置4cよりも上流においてキャリアテープ20からカバーテープ20bを剥離する剥離部として機能する(
図10参照)。なお、自動剥離機能とは、キャリアテープ20の部品供給装置へのセットを自動で行うカバーテープ20bの剥離機能のことである。
【0041】
ここで
図8、
図9を参照して、第1のキャリアテープ搬送部15における伝達機構の構成について説明する。この伝達機構は、単一のモータである第1のモータ5が発生するトルクを、以下に説明する各要素に伝達する機能を有している。
図8において第1のモータ5の回転軸に結合された駆動ギア50には、第一伝動ギア51が噛み合っており、第一伝動ギア51と同軸に設けられた第二伝動ギア52には第三伝動ギア35が噛み合っている。第三伝動ギア35には、キャリアテープ20を位置決めする位置決めスプロケット7と同軸の位置決めスプロケットギア31、およびキャリアテープ20を位置決めスプロケット7まで搬送するテープ送りスプロケット6と同軸の第2のスプロケットギア34(第4のギア)が噛み合っている。
【0042】
位置決めスプロケットギア31には、キャリアテープ20を排出する排出スプロケット8と同軸の排出スプロケットギア32へトルクを伝達するための第四伝動ギア33が噛み合っている。また第2のスプロケットギア34には、第五伝動ギア37が噛み合っている。さらに第五伝動ギア37には、駆動ローラ21と同軸の剥離ローラギア36へトルクを伝達する第六伝動ギア38が噛み合っている。従って、位置決めスプロケットギア31のトルクは、第五伝動ギア37と第六伝動ギア38と剥離ローラギア36によって、キャリアテープ20から剥離されたカバーテープ20bをテープ送りする1対のローラである駆動ローラ21と従動ローラ22に伝達される。
【0043】
図9は、第五伝動ギア37から従動ローラ22に至るトルクの伝達経路を断面にて示している。
図9に示すように、第五伝動ギア37と噛み合う第六伝動ギア38、第六伝動ギア38と噛み合う剥離ローラギア36は、いずれもテープフィーダ1のフレームを構成する本体部2に固定された固定軸38a、固定軸36bによって、それぞれ回転自在に軸支されている。ここで、剥離ローラギア36には、一方側の側面から水平方向に延出する回転スリーブ36aが設けられている。回転スリーブ36aには、固定軸36bが相対回転が許容された形態で嵌合する。さらに回転スリーブ36aには、駆動ローラ21が剥離ローラギア36に対して軸方向にスライド自在且つ回転自在に装着されている。
【0044】
本体部2の上面を覆う開閉カバー9には、開閉カバー9に装着された軸22bが設けられている。軸22bは、回転軸22aに相対回転自在に嵌合しており、回転軸22aには従動ローラ22が固定されている。開閉カバー9を本体部2に対して閉じた状態では、従動ローラ22は駆動ローラ21と噛み合い、従動ローラ22は駆動ローラ21に従動して回転する。軸22bはバネ等の弾性体を用いて所定の範囲だけ移動できるようになっている。これは、開閉カバー9がキャリアテープ20の厚さに応じて上下した場合でも、従動ローラ22が駆動ローラ21との接触を維持できるようにするためである。
【0045】
駆動ローラ21の一方側(剥離ローラギア36と対向する側)の側面には、円形の凹部21aが設けられており、凹部21aの底面と剥離ローラギア36の側面との間には、圧縮バネであるコイルバネ39aが装着されている。コイルバネ39aは、駆動ローラ21を回転スリーブ36aに沿って外側方向に付勢する。これにより駆動ローラ21は、回転スリーブ36aに固定装着されたストッパ39にコイルバネ39aの付勢力で押しつけられる。第五伝動ギア37から駆動ローラ21へのトルクの伝達は、駆動ローラ21とストッパ39との摩擦力を介して行われ、駆動ローラ21のストッパ39および回転スリーブ36aとの相対滑りが許容される。
【0046】
これにより、駆動ローラ21へ伝達されるトルクの上限をコイルバネ39aの付勢力による摩擦力の範囲で制限することが可能となっている。したがって、駆動ローラ21に過大なトルクが伝達されることによる不具合、例えば駆動ローラ21、従動ローラ22によって挟み込まれたベーステープ20aの過大な張力による破断などの不具合を防止することができる。伝達トルクの上限を制限する機能は、回転スリーブ36aの周囲にスリップ可能なコイルを巻きつける等の別の機構でも実現することが可能である。
【0047】
上記構成において、第1のモータ5を駆動してトルクを発生させることにより、位置決めスプロケットギア31、排出スプロケットギア32、第2のスプロケットギア34および剥離ローラギア36に複数のギアを介してトルクが伝達される。これにより、位置決めスプロケットギア31、排出スプロケットギア32、第2のスプロケットギア34、剥離ローラギア36と同軸に設けられた駆動ローラ21、位置決めスプロケット7、排出スプロケット8、テープ送りスプロケット6にトルクが伝達される。
【0048】
すなわち、第1のスプロケットである位置決めスプロケット7と第2のスプロケットであるテープ送りスプロケット6よりなる搬送スプロケットおよび排出スプロケット8と、1対のローラのうちの駆動ローラ21とを駆動するトルクは、共通の駆動源である単一の第1のモータ5によって発生される。このように駆動源を共通にすることにより、カバーテープ20bの排出のための駆動ローラ21、従動ローラ22を供給位置4cに近い位置に配置することができる。
【0049】
上述構成に示すように、
図8に示す伝達機構は複数のギアを含んで構成されている。そしてこれらの複数のギアは、第2のスプロケットであるテープ送りスプロケット6と同軸に設けられた第2のスプロケットギア34を含み、駆動ローラ21は第2のスプロケットギア34を介して伝達されるトルクにより回転するようになっている。すなわち駆動ローラ21は駆動ローラ21と同軸の剥離ローラギア36を有しており、駆動ローラ21は剥離ローラギア36を介して伝達されるトルクにより回転する。
【0050】
このように、テープフィーダ1において、テープ搬送機構を構成する搬送スプロケットとカバーテープ回収機構を構成するローラとを単一のモータによって駆動することにより、テープフィーダ1の設備コストの低減を可能にするとともに、設備のコンパクト化を図ることができる。
【0051】
図10は、カバーテープ20bの自動剥離機能を用いてキャリアテープ20をセットした状態を示している。すなわちカバーテープ20bの先端部をエア噴射によって開口部23bを介して駆動ローラ21、従動ローラ22の間に導入し、この状態でこれらのローラを回転させることにより、カバーテープ20bを挟み込んでキャリアテープ20から剥離する。そして剥離されたカバーテープ20bは、カバーテープ排出路24を介してカバーテープ収納部2f(
図1参照)に排出される。
【0052】
次に
図11は、キャリアテープ20を手動操作によってセットした状態を示している。自動剥離機能を用いた場合と異なり、カバーテープ20bを供給位置4cの直前で剥離できるため、段取り替え時の部品の廃棄数を少なくしたい場合に用いられる。この場合には、開閉カバー9を開放した状態で(
図7参照)、先頭のキャリアテープ20を搬送路4に沿って搬送して、先端部をテープガイド23の剥離部23aの下流側まで到達させる。
【0053】
次いでこの状態でカバーテープ20bを手動操作によりキャリアテープ20から剥離し、剥離部23aを折り返してカバーテープ排出路24まで導く。そしてこの状態で開閉カバー9を閉じることにより、カバーテープ20bは駆動ローラ21と従動ローラ22との間に挟み込まれた状態となる。これにより、これらのローラによるカバーテープ20bのキャリアテープ20からの剥離およびカバーテープ収納部2fへの排出が可能となる。
【0054】
次に、搬送路4においてキャリアテープ20を検出するテープ検出部13の構成および機能を説明する。まず
図12を参照して、テープ検出部13の構成を説明する。
図12(a)、(b)に示すように、テープ検出部13はテープフィーダ1の本体部2において、搬送路4の一方側(ここに示す例では下側)にドグ部材14および光学センサ13aを配置した構成となっている。
【0055】
ドグ部材14は、可動支点14cを介して回動自在に設けられ、キャリアテープ20と当接する当接部14fを備えている。搬送路4に沿ってキャリアテープ20を搬送する過程において、キャリアテープ20が当接部14fに当接することにより、ドグ部材14は可動支点14c廻りに回動する。そしてこの回動を光学センサ13aによって検知することにより、搬送路4においてテープ検出部13が配置されたテープ検出位置におけるキャリアテープ20の有無を検出する。したがって光学センサ13aは、ドグ部材14の回動を検知することによりキャリアテープ20を検出する検出部となっている。
【0056】
このような構成により、キャリアテープ20を直接光学センサ13aの検出対象とする場合に生じる課題、すなわちキャリアテープ20が透光性を有する材質である場合に生じる誤検出を解消することができる。したがって、樹脂などの透光性を有する材質よりなるキャリアテープ20が検出対象である場合にあっても、確実なテープ検出を行うことが可能となっている。
【0057】
ここで搬送路4の断面形状について
図14を参照して説明する。
図14(a)、(b)に示すように、テープフィーダ1の本体部2においてキャリアテープ20を案内して搬送する搬送路4には、キャリアテープ20のエンボス部20eを収容する溝部4dが設けられている。
【0058】
図14(a)に示すように、キャリアテープ20は溝部4d内にエンボス部20eを収容した状態で搬送路4に沿って搬送される。このキャリアテープ20の搬送において溝部4dの両側の段付き部は、キャリアテープ20においてエンボス部20eから外側に延出したベーステープ20aの端部20fに当接して支持する支持部4eとなっている。
【0059】
ドグ部材14は、当接部14fが支持部4eによって支持された状態のベーステープ20aの端部20fと当接するように配置されている。ドグ部材14によるキャリアテープ20の検出は、
図14(a)に示すように、支持部4eによって支持された状態のベーステープ20aの端部20fにドグ部材14の当接部14fが当接することにより行われる。
【0060】
このように、本実施の形態に示すテープ検出部13では、ドグ部材14は当接部14fがエンボス部20eと干渉しないように配置されている。これにより、キャリアテープ20のエンボス部20eにドグ部材14の当接部14fが接触することによる搬送不具合を防止することができ、テープ検出を安定して確実に行うことができる。
【0061】
以下、上述構成のテープ検出部13の詳細構造を説明する。
図12(a)に示すように、本体部2において搬送路4の斜行部の下側には、本体部2を構成するフレーム部材を厚み方向に所定形状で削り込んだ凹状部2iが形成されている。
図12(a)、(b)に示すように、凹状部2iには、以下に説明するドグ部材14および光学センサ13aが、本体部2から厚み方向に突出すること無く収納配置されている。
【0062】
ドグ部材14は、搬送路4の下側の近傍に位置する可動支点14cによって回動自在(矢印g)に保持されている。ドグ部材14において可動支点14cの両側にそれぞれ設けられた第1回動部14a、第2回動部14bは、凹状部2iの内周面に沿って回動が許容される形状となっている。
【0063】
一方側の第1回動部14aにはドグ部材14の回動可能範囲を規定する形状の開口部14eが開口して設けられている。凹状部2iの底面には開口部14e内に位置してストッパ凸部2kが凸設されており、ストッパ凸部2kが開口部14eの内周面に当接することにより、ドグ部材14の可動支点14c廻りの回動が規制される。すなわち第1回動部14aが時計回り方向に回動して、開口部14eの内周面がストッパ凸部2kに当接した状態では、第1回動部14aは上限位置にある。
【0064】
第1回動部14aの上端部には、上方に延出した当接部14fが設けられている。第1回動部14aが可動支点14c廻りに回動することにより、当接部14fは搬送路4を横切る方向に変位する(矢印h)。第1回動部14aが時計回り方向に回動して上限位置にある状態では、当接部14fは本体部2に搬送路4を隔てて形成された切り欠き部2j(
図14参照)まで到達している。
【0065】
他方側の第2回動部14bは、第1回動部14aの回動と可動支点14cに関して点対称に回動する。すなわち当接部14fが矢印h方向に変位すると、第2回動部14bの下端部は矢印i方向に変位する。これにより、第2回動部14bの下端部に設けられた遮光部14dも同様に矢印i方向に変位する。
【0066】
テープ検出部13は、ドグ部材14と組み合わされてキャリアテープ20を検出する光学センサ13aを備えている。光学センサ13aは、検出光を投光する投光部13bと投光された検出光を受光する受光部13cを有している。ドグ部材14の第2回動部14bに設けられた遮光部14dは、投光部13bと受光部13cとの間で進退するように配置されている。
【0067】
遮光部14dが投光部13bと受光部13cとの間に進出した状態では、投光部13bから投光された検出光(矢印j)は遮光部14dによって遮光され、受光部13cによって受光されない。これに対し、遮光部14dが投光部13bと受光部13cとの間から退避した状態では、投光部13bから投光された検出光(
図13(b)に示す矢印n参照)は、そのまま受光部13cによって受光される。光学センサ13aによる検出光の受光の有無を示す検出信号は判定部40に伝達され、判定部40はこの検出信号に基づいて搬送路4においてキャリアテープ20が存在するか否かを判定する。
【0068】
図13は、上述構成のテープ検出部13によるキャリアテープ20の検出動作を示している。まず
図13(a)は、搬送路4にキャリアテープ20が存在しない状態を示している。この場合には、当接部14fはキャリアテープ20に当接しないことから第1回動部14aは当接部14fが切り欠き部2j内まで進出した上限位置にある。この状態では、第2回動部14bに設けられた遮光部14dは投光部13bと受光部13cとの間に進出する。これにより、投光部13bから投光された検出光(矢印j)は遮光部14dによって遮光される(
図12(a)参照)。
【0069】
次に
図13(b)は、搬送路4にキャリアテープ20が存在する状態を示している。この場合には、当接部14fはキャリアテープ20のベーステープ20a(
図14(a)に示す端部20f参照)に当接する。この端部20fへの当接部14fの当接により、当接部14fは下方に押し下げられ(矢印k)、ドグ部材14は反時計回り方向に回動する(矢印m)。
【0070】
そしてこの回動により、遮光部14dは投光部13bと受光部13cとの間から退避する(矢印n)。これにより、投光部13bから投光された検出光(矢印o)は、遮光部14dによって遮光されること無く、受光部13cによって受光される。この検出信号が判定部40に伝達されることにより、判定部40は搬送路4においてキャリアテープ20が存在する旨の判定を行う。
【0071】
すなわち、上記構成のテープ検出部13において、ドグ部材14はキャリアテープ20が当接部14fに当接していない状態で投光部13bと受光部13cとの間に位置して検出光を遮光する遮光部14dを有している。そして遮光部14dは、キャリアテープ20が当接部14fに当接してドグ部材14が回動すると、投光部13bと受光部13cとの間からら退避するように動作する。
【0072】
そして判定部40は、遮光部14dが投光部13bと受光部13cとの間から退避して受光部13cが検出光を受光した場合に、キャリアテープ20を検出したと判定する。このキャリアテープ20の検出結果を示す判定信号はフィーダ制御部12に伝達され、フィーダ制御部12によるテープフィーダ1の動作制御はこの検出結果を参照して実行される。
【0073】
上記説明したように、本実施の形態に示す部品供給装置は、部品Pを収納した複数のポケット20cを有しこのポケット20cを封止するカバーテープ20bが貼付されたキャリアテープ20を搬送して、部品Pを部品実装装置Mへ供給する部品供給装置としてのテープフィーダ1であって、キャリアテープ20に設けられた送り孔20dに係合して回転することによりキャリアテープ20を搬送して、部品実装装置Mへの供給位置4cに部品Pを供給する搬送スプロケットとしてのテープ送りスプロケット6および位置決めスプロケット7と、キャリアテープ20からカバーテープ20bを剥離するとともに、剥離されたカバーテープ20bを引き込むローラである駆動ローラ21および従動ローラ22と、これらの搬送スプロケットおよびローラを駆動するトルクを発生する単一のモータとしての第1のモータ5と、第1のモータ5が発生したトルクを搬送スプロケットおよびローラに伝達する伝達機構を有する構成となっている。この構成により、テープフィーダ1におけるキャリアテープ20の搬送およびカバーテープ20bの剥離を単一の駆動源で行うことができ、設備コストの低減を可能とするとともに設備のコンパクト化を図ることができる。
【0074】
また本実施の形態に示す部品供給装置は、部品Pが格納される複数のエンボス部20eが所定のピッチで断続的に形成されたキャリアテープ20を搬送可能な部品供給装置としてのテープフィーダ1であって、キャリアテープ20が搬送される搬送路4と、可動支点14cを介して回動自在に設けられキャリアテープ20と当接する当接部14fを備えたドグ部材14と、ドグ部材14の回動を検知することによりキャリアテープ20を検出する検出部としての光学センサ13aを有し、搬送路4は、エンボス部20eを収容する溝部4dと、キャリアテープ20においてエンボス部20eから外側に延出した端部20fに当接して支持する支持部4eとを有し、ドグ部材14は当接部14fがエンボス部20eと干渉しないように配置された構成となっている。この構成により、ドグ部材14がエンボス部20eと干渉することに起因する搬送不具合を防止することができ、複数のエンボス部が凸設されたエンボステープが検出対象である場合にも、テープ有無の検出を確実に行うことができる。
【0075】
なお、本実施の形態に示した部品供給装置は、紙テープ式のキャリアテープについても搬送および部品供給を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の部品供給装置は、複数のエンボス部が凸設されたエンボステープが検出対象である場合にも、テープ有無の検出を確実に行うことができるという効果を有し、キャリアテープに収納された部品を取り出して部品実装装置に供給する技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 テープフィーダ
3 テープ搬送部
4 搬送路
4c 供給位置
4d 溝部
4e 支持部
5 第1のモータ
6 テープ送りスプロケット
7 位置決めスプロケット
13 テープ検出部
13a 光学センサ
13b 投光部
13c 受光部
14 ドグ部材
14f 当接部
14d 遮光部
15 第1のキャリアテープ搬送部
20 キャリアテープ
20e エンボス部
20f 端部